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エンパイアウォー⑧~煉獄の蓋を開かせぬように

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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●鳥取城近郊・ある農村
 その日、ある農村では小さな小さな夏祭りが行われていた。

 娯楽に乏しい村にとっては、年に1度の楽しみ。
 老人も子供も、男性も女性も、村人は皆広場に集まり、飲み物片手に笑顔で語らい、踊る。

 楽しい祭りに異変が起こったのは、祭広場が夕闇に沈もうとしていた時だった。

 ぱきっ、ぽりっ。
 グシャッ、トサッ。

 謎の咀嚼音が、祭広場に響く。
 その後、祭広場に無造作に投げ入れられたのは……赤子の足。

「な、なんだべ……これは」
 それに気が付いた村の長老の顔が、青ざめる。

 バキッ、ゴクッ、グシャッ。
 ドサッ。

 引き続き、余りにも生々しい咀嚼音が広場に響く。
 それを耳にした村人らが目撃したのは……双肩から水晶を生やした屍人が、赤子の母親らしき女性の手足を引きちぎり、喰らっている場面。

「ぎゃあああああああ!!」
「ば、化け物!!」
「人食いが……人食いがああああ!?」

 ようやく事態を把握した村人らが、一瞬にしてパニックに陥る。
 それを合図に、双肩から水晶を生やした屍人が10体、広場に乱入し、次々と村人を殴り倒していった。

●新たな惨劇を防げ!!
「…………っ……また……か!」
 丸盾のグリモアが明滅しながら新たにもたらした予知に、グリモアベースの隅で眠りに落ちていたグリモア猟兵館野・敬輔が頭を押さえながら目を覚ます。
「まだ足りないようだな……安倍晴明!」
 グリモアの見せる光景に敬輔は一瞬で怒りを沸騰させるが、猟兵らが驚いているのを見てすぐに矛を収めた。
「すまない、『水晶屍人』による人さらい案件をひとつ阻止してもらったところだが……別の村で新たな惨劇が発生しそうだ。向かってもらえないだろうか」
 猟兵らもそれぞれの想いで頷くが、当の敬輔の表情は明らかに憔悴し切っていた。

「今回は夏祭りが行われている山村が『水晶屍人』らに狙われるようだ。皆には『水晶屍人』を撃破して村人たちを助けてほしい」
 意図的に感情を殺して淡々と話す敬輔だが、口調にも表情にも隠しきれぬ疲労が現れている。
「現在、鳥取城を中心に山陰地方の各所に出現している『水晶屍人』は、奥羽に現れたそれより遥かに強い、強化型だ」
 かつて凄惨な『鳥取城餓え殺し』の舞台となった鳥取城を占拠した安倍晴明は、怨念残る鳥取城に近隣の農村や城下町から人々を集め、閉じ込めて飢え死にさせることで、奥羽戦線で利用された『水晶屍人』の十倍以上の戦闘力を持つ、強化型『水晶屍人』を量産しようとしている。
 万が一『水晶屍人』の量産体制を整えられたら、その先に待つのは幕府軍と猟兵の壊滅と言う未来。しかし安倍晴明の居所が判明した今は、量産体制を潰す絶好の機会でもある。
「強さはだいたい10体程度で猟兵と渡り合える程度。繰り返すけど奥羽のそれと同じ感覚でかかると、確実に返り討ちに遭うから、気を付けて」
 今回現れる『水晶屍人』は、赤子や女性を喰らう姿を見せつけて村人たちの恐怖を煽った後、殴りつけて力の差を見せつけ、村人たちの心を折った上で鳥取城へ連れ去ろうとしている。
「今からすぐ向かえば、村人たちが殴られる前に介入できる。既に喰われてしまった人は助けられないけど、それ以上の犠牲は阻止できる」
 村人は全員祭広場にいるため村内の捜索は不要だが、全員を別の場所に避難させるだけの余裕はおそらくない。その場で村人らを守りながら戦う必要がありそうだ。
「これ以上、無闇な犠牲を出したくない。どうか『水晶屍人』の手から村人を守ってくれ。……頼む」
 頭を下げた敬輔はグリモアを展開し、山村への転送ゲートをその場に開いた。

「……グリモアは何故、僕に凄惨な光景ばかり見せるんだろう」
 猟兵等がゲートを潜る寸前、猟兵らの耳に敬輔の自嘲気味の呟きが入る。
「敬輔?」
「……いや、何でもない。どうか村人たちの事を……頼むな」
 首を振った敬輔に念押しされ、猟兵らはゲートを潜って村へと赴いた。


北瀬沙希
 北瀬沙希(きたせ・さき)と申します。
 よろしくお願いいたします。

 安倍晴明は、まだ強化版『水晶屍人』の量産を諦めていないようです。
 確実に阻止すべく、猟兵の皆様のお力をお貸し頂けないでしょうか。

 なお、本シナリオには残虐描写が含まれます。
 参加の際には、よくご検討願います。

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

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 概要・詳細はオープニングの通り。
 プレイング受付はオープニング公開後から行います。

 補足として、猟兵の皆様が介入可能となるのは、屍人が広場に乱入する直前です。ただし村人たちは人が喰らわれる光景を見てパニックを起こしています。
 これを踏まえて、『水晶屍人』を撃破し、村人を守る方法を考えてみてくださいね。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『水晶屍人』

POW   :    屍人爪牙
【牙での噛みつきや鋭い爪の一撃】が命中した対象を切断する。
SPD   :    屍人乱撃
【簡易な武器や農具を使った振り回し攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    水晶閃光
【肩の水晶】の霊を召喚する。これは【眩い閃光】や【視界を奪うこと】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:小日向 マキナ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エルナ・ミューレン
何故、いつも私たちは奪われるんだろう。
精一杯に生きてるだけなのに。
…全部助けたいのに、私の手は…。

それでも、助けられる道を示されてる。
この手に掬えるだけ、やれるだけやるよ。

「そんなに食べたいのなら、私を食べたらいい!」

大きな声を上げて、武器も構えず無防備な状態で水晶屍人達の気をひく。
少しでも村人から気を逸らしたい。
こっちに襲いかかってきたら、ギリギリのタイミングで『無敵城塞』
村人が逃げる時間を稼ぐよ。

村人に気が向くようになってしまったら、すぐに解除。
オーラ防御はしてみるけど、多少の怪我は構わない。アストラを抜剣、氷の属性攻撃を乗せたカウンターで串刺しを狙う。

「誰も、殺させない…!」



●差し伸べる手は限られど
(「何故、いつも私たちは奪われるんだろう」)
 転送直後、赤子と母親が喰らわれる光景を見てパニックに陥る村人を眺めながら、エルナ・ミューレン(銀雪の騎士・f18527)は軽い郷愁に駆られていた。
(「私たちは、精一杯生きているだけなのに」)
 騎士となるべく育てられたエルナには、忠誠を誓うはずだった少女がいた。しかし、その少女はもういない。そして故郷もまた……。

 ――全部助けたいのに、私の手は……。

 エルナは両の手に視線を落とし、唇を軽く噛みしめる。
 手は2本しかなく、この手で助けられるいのちはあまりにも限りあり過ぎて、時には届かないのだから。

 しかし、それでも、この村の人々を助けられる道は示されている。
 なら、この手に掬えるだけのいのちは……いや掬えなくてもやれるだけのことはやろう。

 決意したエルナはあえて武器を手にせず、大声を発しながら村人らをかばうように立つ。
「そんなに食べたいのなら、私を食べたらいい!!」
 別の村人を捕らえ、喰らおうとしていた水晶屍人が、エルナの大声に反応して村人を放り出す。
「ヴヴァアアアアア!!」
「早く逃げて!!」
 大声で村人に逃げるよう促し、エルナはできるだけ村人と反対の方向へ引き付けるように移動。ある程度引き付けたと判断したところで【無敵城塞】を発動した。
「ヴァァアア!!」
「ガアアア!!」
 水晶屍人らが足を止めたエルナを喰らおうと殺到し、その腕に、胴に、脚に爪を立て、牙を立てて貪り喰らおうとするが、超防御モードとなり、あらゆる攻撃に対してほぼ無敵状態のエルナに対しては全く歯が立たない。
「ヴァアアア!!」
「グアアアアア!!」
 怒りに怒った水晶屍人たちは、さらにエルナに噛みつくが、やはり全く歯が立たない。
 しかし一方、エルナを喰らうのを諦め、村人のいる広場へと歩きだそうとする水晶屍人も現れる。このままでは村人が再度喰らわれてしまう。
「誰も、殺させない……!」
 やむなく【無敵城塞】を解除したエルナは、薄青のオーラで水晶屍人の爪と牙を防ぎ、手を払いのけながらアストラを抜剣、手近な水晶屍人に向けて真っ直ぐに突き出す。氷の粒が刀身を舞う剣が易々と水晶屍人の胴を貫き、その内側から凍結させた。

 水晶屍人は今、ひとりの騎士の少女が引き付けている。
 ならば、次の猟兵がやることは……。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒影・兵庫
晴明のクソ野郎のせいでまた被害が!
...とにかく水晶屍人を倒して皆さんを助けないといけません、せんせー!
(【教導姫の再動】発動)
俺が【誘煌塗料】を体に塗って敵を【誘惑】し【第六感】【見切り】【ダンス】【武器受け】で
敵の攻撃を回避・防御しながら皆さんの逃げる時間を稼ぎます!
せんせーは皆さんのところに水晶屍人が近づかないように牽制しておいてください!
俺への攻撃に夢中になっている間に【皇糸虫】と粘着性の【蠢く水】を
【念動力】【ロープワーク】【罠使い】で敵の足に絡ませて動きを止めます!
敵が止まったら【衝撃波】で一緒に水晶屍人を叩きつぶしましょう!



●誘引のタップダンス
「晴明のクソ野郎のせいでまた被害が!」
 村に駆け付けた黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は、元凶の安倍晴明を罵倒しつつ状況を確認。水晶屍人は別の猟兵が引き付けているようだが、1人だけで全員引き付けるのには限界があるだろう。
「とにかく水晶屍人を倒して皆さんを助けないといけません、せんせー!!」
 兵庫が虚空に呼びかけると、蜂の触覚を持ちクールな印象を与える身長3mを超えるパンツスーツ姿の長髪の女性が彼の傍らに現れた。
「せんせーは皆さんのところに水晶屍人が近づかないように牽制しておいてください!」
(「アタシは兵庫の動きをトレースするけど、できるだけやってみるわね♪」)
「お願いします!」
 兵庫は誘煌塗料を全身に塗ってキラキラと光らせ、誘導灯型合金破砕警棒を両手に持ち、あえて水晶屍人の前に立つ。己のキラキラ光る身体で敵を誘惑し惹きつけるつもりだったが、水晶屍人の興味は目の前の柔らかい肉体にあるようで、少し離れたキラキラした肉体にはあまり興味を示さない。
「さあ来い屍人ども!!」
 仕方なく兵庫は声を荒げて挑発すると、声に反応して兵庫に気が付いた水晶屍人の何人かがキラキラ光る兵庫を新たな獲物と認識し、鋭い爪を光らせながら足を向ける。そのうちの1体が急速接近し爪を振り降ろすが、兵庫はダンスのように軽やかなステップで鋭い爪をいなした。続いて兵庫に咬みつこうとした別の水晶屍人を避けながら警棒で胴を打ち据え、引き離す。
(「もう、噛みつきはお断りよ?」)
 ふと兵庫が「せんせー」の方を見ると、兵庫と同じ警棒を手に「せんせー」が水晶屍人を2体ほど牽制している。水晶屍人の喰らう対象に見境はないのか「せんせー」にも噛みつこうとしているが、牽制されていて足が止まっていれば十分。
 兵庫は生きた糸でもある皇糸虫と、微生物の集合体である粘着性の蠢く水を出すと、蠢く水を皇糸虫に塗布し、ステップを踏みながら爪を回避しつつ身を低くし、己の前で蠢く水晶屍人の足に皇糸虫を絡ませる。続いて「せんせー」が牽制している水晶屍人の足にも皇糸虫を絡ませ、一時的にだが動きを止めた。
「これで叩き潰せたら!」
 兵庫がバックステップで距離を取りつつ警棒を一振りして衝撃波を生み出すと、足を止めた水晶屍人らが悉く切り裂かれ、先程凍りついた1体は消滅する。続いて「せんせー」が警棒を真横に振り生み出した衝撃波が水晶屍人らを吹き飛ばし、さらに1体が消滅した。 

 今の所、水晶屍人の足止めは順調。残りも8体。
 なら、次の猟兵が行うべき行為は……。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴木・志乃
アド連歓迎
館野さん、貴方にも救いがありますように、ね
……参ります

噛みつき、切り裂き重々承知
それでも私は貴方が救われる可能性の一瞬に賭けたい
念動力で周囲の器物を巻き上げ、屍人と村人の間に壁のように落とす
割って入りそのまま交戦
屍人を抱き締めてでも食い止める

シンプルに叫ぶ
『逃げて!!』

※オーラ防御常時発動

光の鎖を操り足払いからの転倒を狙う
怨念の塊である屍人の攻撃は第六感で見切り、口に鎖を食ませ腕は縛り上げる(早業武器受け)

抱き締める(手をつなぐ)
UC発動
祈り、破魔を乗せた全力魔法の衝撃波で
晴明の邪法、怨念、力の源の一切合切をなぎ払う

一瞬でいい
思い出して
貴方の、幸せだった頃のこと

呪詛は私が引き受けるよ



●「救える」一縷の可能性に賭けて
 鈴木・志乃(オレンジ・f12101)もまた、この状況をグリモア猟兵から聞きつけ、駆けつけたひとり。だが、転送前に見たグリモア猟兵の憔悴振りがどうにも気になった。
(「無理もない……水晶屍人の予知ばかりしていたら、心も擦り切れる」)
 ――死ばかり予知し、しかし直接救いに行けない葛藤は、如何程のものか?
(「……貴方にも救いがありますように、ね」)
 目を閉じ心の中でそっと祈りを捧げた後、志乃が改めて目にするのは、粘着性の糸で足を止められもがく水晶屍人たち。だがそのうちの1体が糸を振りほどき自由を取り戻す。

 その時、志乃の頭に、ある可能性が過る。
 ――今なら、彼らを救えないだろうか?

 水晶屍人と化した人間を、肉体を救うことはできない。
 だが、せめて彼らの魂だけでも……救うことはできないか。

「逃げて!!」
 志乃は村人たちに大声で叫んで避難を促すと同時に、光の鎖で手近な石や柱を巻き上げ吊り上げ、屍人と村人の間を遮るように落として即席の壁を構築。温かい日差しのような橙のオーラを纏いながら壁の前に躍り出る。
「ヴヴァアアアア!」
 壁をよじ登ろうとする水晶屍人を、志乃は咄嗟に背後から抱きつき食い止めるが、信じられない程の膂力で振りほどかれ、そのまま転倒し地面を滑る。
 倒れた志乃に水晶屍人が襲いかかり、肩を噛み、胴を鋭い爪で斬り裂いていくが、元より多少の負傷は重々承知。倒れたまま光の鎖を操り、足払いをかけて逆に転倒させる。
「これで……!」
 立ち上がった志乃はそのまま倒れた水晶屍人の口に光の鎖を噛ませ、腕を縛り上げ、そのまま強く抱き締めた。

「一瞬でいい。思い出して」
 ――貴方の、幸せだった頃の事。
「呪詛は私が……引き受けるよ」

 優しい祈りと共に【祈願成就之神子】の光が、志乃が抱き締めている水晶屍人に降り注ぎ、吸い込まれる。
 それは水晶屍人の両肩の水晶を砕き、封じられし怨念と邪法を浄化し、本来あるべき農民の姿へと戻していった。

 ――ようやく、呪縛から解放され申した。
 ――思い出したよ……幸せな頃の記憶。

 志乃の耳に届くは、この身体の持ち主の農民の想いか。
 それとも……この農民を屍人へと変えた、鳥取城餓え殺しで餓死した者の魂の残滓か。

 ――邪法により屍人へと化したこの者の魂も、これで救われるだろう。
 ――貴方様には感謝します……ありがとう。

 想いが途切れると同時に、志乃が抱きしめていた水晶屍人の身体がサラサラと砂になり、消滅した。

 肉体は救えなかったが、魂は救えた。
 今はそう、信じたい。

成功 🔵​🔵​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
まだ間に合う命が存在する
騎士として動く理由はそれだけで十分です

機械馬に●騎乗、現場に突入し頭部、肩部格納銃器でのスナイパー射撃で屍人の脚を撃ち足止め
その隙に村人を●かばう為、保護するようにUCの発信機をばら撒き電磁バリアの障壁を形成。
片手に「天下自在符」を高々と掲げ、大音声で
「我ら、幕府の命を受け妖の討伐の命を受けた者。命惜しくば結界から出ることを禁ずる!」と宣言&説明
パニックを収集

屍人へは●怪力で振るうランスで●なぎ払い転倒させ、馬で●踏みつけ
動きを封じランスで●串刺してトドメ。他の屍人の攻撃はセンサーて●見切り●盾受けからの●シールドバッシュで反撃

(母子の肉片を見て)
それも返して頂きます!



●守るもの、取り返すモノがあれば
(「失った命もありますが、まだ間に合う命も存在します」)
 機械場に騎乗して祭広場に向けて疾走するトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が騎士として動く理由は、それだけで事足りた。既に2人の命が失われているが、他の命を救うのはまだ間に合うのだから。

 祭り広場に突入したトリテレイアは、広場に侵入しようとしていた水晶屍人らを頭部・肩部格納銃器で片っ端から狙い撃ち、転倒させる。そのうち1体は負傷が嵩んでいたのか、それで消滅した。
 水晶屍人らが動けぬその隙に【攻勢電磁障壁発振器射出ユニット】で作成した複数の杭型の発信器を、水晶屍人と村人のいる祭広場を隔てるよう撃ち込み、祭り広場全域を護るための電磁バリアを形成した。
「あ、あんた突然何だべ……?」
 見慣れぬ馬に乗り乱入してきたトリテレイアを見て唖然とする村人を前に、トリテレイアは片手で天下自在符を掲げ、宣言。
「我ら、幕府の命を受け妖の討伐の命を受けた者!」
 高らかに宣言するトリテレイアに、村人らが驚き注目した。
「あんれ、城のお殿様が!?」
「何を言う、お上だお上!!」
「命惜しくば、結界から出ることを禁ずる!!」
「お殿様」のいる鳥取城が妖の手に落ちていることには意図的に触れず、一方的に宣言を終えるトリテレイア。パニックを鎮めるためには時には強引な手段も効果的と言えよう。
「わしらを助けに来てくれたのか!」
「その通りです。いいですか、この結界から出ないように!!」
 電磁バリアを指差し重ねて要請するトリテレイアに、村人らは皆頷く。これでパニックはほぼ収まった。
「た……頼む! おらの嫁さんと子供の敵を取ってくれ!!」
 母子の夫らしき男性の叫び声を背に受け、トリテレイアは屍人の下へ疾走する。

 電磁バリアに阻まれている屍人を見て、トリテレイアは力任せにランスを振るい、一気に薙ぎ払い転倒させる。さらに馬で踏みつけて動きを封じ、ランスで両肩の水晶を破壊した後頭を一刺しして止めを刺した。
 その隙にもう1体の水晶屍人がトリテレイアの機械馬を爪で斬り裂こうとしてきたが、慌てず馬で踏みつけ……ようとして水晶屍人が咥えているあるモノに気づき、その爪を盾で受けて動きを止める。
「あの母親の……それも返していただきます!」
 水晶屍人が咥えていたのは母親の腕の一部だった。これ以上喰いちぎることは許さぬとトリテレイアは沸きあがる怒りを抑えシールドバッシュで反撃し、ランスで胴を串刺しにして止めを刺した。

 トリテレイアは消滅した水晶屍人が落とした母親の腕を拾い上げた後、頭をランスで串刺しにした水晶屍人のいた場所に落ちている肉片――赤子の脚をも拾い上げる。
(「後であのご主人と一緒に弔いましょう」)
 だが、それは水晶屍人の脅威を全て排除してからになるだろう。

 ――水晶屍人、あと4体。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・響
水晶屍人の引き付けは他の奴に任せてアタシは村人の避難誘導を担当するか。困難な道でも助けられる命は出来るだけ助けたい。

【ダッシュ】で水晶屍人の群れに飛び込み、【先制攻撃】【二回攻撃】【範囲攻撃】で屍人を倒してから、後の屍人への攻撃は他の猟兵に任せ、村人を即急に安全な所に逃がす。

出来るだけ村人を逃がしたら、真紅の竜に【騎乗】。村人が逃げた道の出入り口を真紅の竜で塞ぐ。屍人が突破しようとしたら竜の尻尾の薙ぎ払いや羽ばたきや竜のブレス、【二回攻撃】【範囲攻撃】で追い払うよ。遠距離攻撃が必要なら【槍投げ】を使うよ。


真宮・奏
たとえもう二度と救えない命があろうと、これ以上の悲劇を防ぐことは出来ます。伸ばせる手は、伸ばしましょう。

おそらく住民の避難を優先させる猟兵さんがいると思うので、私は水晶屍人の引き付けを担当しましょう。まずトリニティ・エンハンスで防御力を強化し、【オーラ防御】【武器受け】【盾受け】【拠点防御】【激痛耐性】で住民の皆さんを【かばう】。無事住民の皆さんが戦場を離脱したら、屍人の追撃を阻止する為に【シールドバッシュ】【二回攻撃】【範囲攻撃】でのふっ飛ばしをメインに屍人の足止めをします。遠距離攻撃が必要なら【衝撃波】を使います。


神城・瞬
(目を伏せ)外道はどこまでも外道ですね・・・生業を乱され、苦しむ人達。もう救えないなら・・・終わらせてあげるしかないですね。救える命があるならば、救いましょう。

避難誘導を担当する味方を援護する為、月読の同胞に敵を押し返して貰いながら、【誘導弾】【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】に【範囲攻撃】を併せて屍人の動きを止めることに専念します。もし突破されそうになったら【吹き飛ばし】で屍人を吹き飛ばしていきます。



●村を護り、悲劇を防ぐために
 村人の避難と祭広場の隔離は、他の猟兵らの手によって成された。これで水晶屍人が祭広場に入り、村人をさらに喰らうことはない。
 後は、祭広場の外に残る4体の水晶屍人を駆逐するのみ。そして、それと対峙するのは、駆けつけた3人の猟兵だった。

(「外道はどこまでも外道ですね……」)
 水晶屍人を生み出した陰陽師「安倍晴明」に対し、神城・瞬(清光の月・f06558)は憤りを募らせている。どこまでの人の心は無く、生命すらモノとして見ない存在に対して。
「生業を乱され、苦しむ人達。もう救えないなら……終わらせてあげるしかないですね」
「そうですね……。たとえもう二度と救えない命があろうと、これ以上の悲劇を防ぐことは出来ます」
 伸ばせる手は伸ばしましょうと沈痛な表情で語る真宮・奏(絢爛の星・f03210)に、頷いて同意する瞬。
「ええ、救える命があるならば、救いましょう」
「そうだな。困難な道でも助けられる命は出来るだけ助けたい」
 真宮・響(赫灼の炎・f00434)は村人の避難誘導のつもりでやって来たのだが、避難が全て完了したのを見て、これ以上の被害を防ぐための水晶屍人の駆逐に意識を切り替えていた。

 屍人と化した人は、ここで滅ぼすしかできない。
 だが、これ以上の悲劇を、被害を防ぐことは、まだできる。

 3人の意志は、一致していた
 ――未来の為に、過去が生み出した負の遺産はここで葬ろう、と。

「行くよ!」
 響が真っ先にブレイズランスを構えてダッシュで水晶屍人の目前に踊り出し、槍で立て続けになぎ払い、怯ませる。
「月読の同胞、力を借ります!!」
 瞬は月読の紋を付けた戦士の霊を召喚し、念のため村への道を封鎖させる。いくら電磁バリアで隔離されているとはいえ、念には念を入れるに越したことはない。同時に弓を持つ霊には水晶屍人に射かけさせ、少しでもその動きを牽制させる。
「私は母さんの隣にいるほうがよさそうですね」
 奏は【トリニティ・エンハンス】で炎・水・風の魔力を身に纏い防御を固め、エレメンタル・シールドを手に響の横に並ぶ。
「ヴヴァアアアアア!!」
「アアアアア!!」
 彼女たちが自らに死を齎す者と悟ったか、ある水晶屍人は鋭い爪を振り下ろして奏の盾を真っ二つに割ろうとし、別の水晶屍人は手にした鍬や鎌で響を斬り刻まんと超高速で振り回す。
「奏の盾を簡単に割らせるわけにはいきません」
 背後に控えていた瞬が杖をかざし、水晶屍人らを狙い撃つように氷の誘導弾を放てば、それは的確に爪や鍬を狙い、爪を破壊し、鍬を叩き落とし、身体の随所を凍らせ、動きを鈍らせた。
「ヴアアアア!!」
 だが別の水晶屍人が両肩の水晶から霊を召喚し、激しく光らせて3人の目を眩ませる。
「くっ……!」
 咄嗟に槍を目の前にかざしたが、圧倒的な光量に目が眩んだ響に、水晶屍人は再び鎌を縦横無尽に振り回す。
「母さん!」
 同じく目が眩んでいる奏が響を庇うが、鎌が何度も激しくエレメンタル・シールドを叩き、その衝撃で徐々に奏の手がしびれ始める。
「まずいね……」
 響もブレイズランスを突き出すが、目が眩んだ状態では牽制程度にしかならない。せめて目の眩みが取れるまでは時間を稼ぎたいが、水晶屍人らが接近する気配が濃くなりつつあった。
 その時、剣を構えた月読の戦士たちが水晶屍人らに突撃し、立て続けにその剣を突き出した。同時に道を封鎖していた弓持つ戦士たちもさらに激しく矢を射かけ、残った水晶屍人らの動きを封じる。水晶屍人らの意識が月読の戦士に向いたその隙に奏と響は後退し、瞬と合流した。
「これでしばらく時間を稼げます」
「助かったよ、瞬」
「痛かったです~」
 後退した奏は、いったんエレメンタル・シールドを手放し、しびれた手を振って手早く回復させようとしていた。余程の衝撃で叩かれ続けたようだ。
「……けど、あと少しのようです」
 ようやく目の眩みが取れた奏が水晶屍人らを観察すると、4体そろって負傷が嵩み、足元がおぼつかなくなってきている。代わりに月読の戦士たちが満身創痍となっている。
「そろそろ月読の戦士たちも限界かもしれません」
「それじゃあ、虎の子のこいつを出すかね。さて、一緒に行くよ!」
 目の眩みが取れた響はその場で真紅の竜を召喚、そのまま騎乗し、瞬が月読の戦士たちを後退させるのに合わせて水晶屍人たちに炎のブレスをひと吐きさせる。
「ヴアアアアアアアア!!」
 ブレスに焼かれもがく水晶屍人らに、再度エレメンタル・シールドを構えた奏が接近。
「……ごめんなさい」
 奏は小さな声で謝った後、手近な水晶屍人に強烈なシールドバッシュを浴びせる。真正面から盾に叩かれた水晶屍人はそれで力尽き、消滅した。
「せめて、これ以上は苦しませずに逝かせるよ」
 響も真紅の竜の上からブレイズランスを構え、別の水晶屍人に投擲。槍に胴を貫かれた屍人も膝をつき消滅する。

 そして。
「あなたたちを屍人に変えた外道は、我々の手で討ちますから」
 祈りと誓いを込めた瞬の氷の誘導弾が、残る2体の水晶屍人の頭を撃ち抜いた。

 こうして、猟兵たちは村をひとつ、水晶屍人の手から守った。
 戦いの後、犠牲となった母子を丁重に葬り、村を後にする猟兵らの胸に飛来する想いは、如何なるものだったのだろうか。

 ――安倍晴明との決戦も、近い。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月18日


挿絵イラスト