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エンパイアウォー⑥~ヨリマシの盾

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「関ヶ原に到着お疲れ様。幕府軍被害ゼロなんてすごいじゃない! ――というわけで、休む間もなく次の脅威よ!」
 仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)がサムライエンパイア行きを探す猟兵に声を掛ける。
「織田信長の軍勢、重装歩兵軍による邪魔が見つかったわ。阻止失敗すると幕府軍半数、なんと5万人がいなくなっちゃうの! 気合いれてね!」

●関ヶ原のファランクス
 大帝剣『弥助アレキサンダー』が所持する『大帝の剣』には広範囲の洗脳能力がある。この力により畿内全域の農民たちが、弥助アレキサンダーに従って幕府軍を迎え撃たんとしている。農民兵は日野富子から徴収した金銭により整えられた長槍と大盾を装備する。
 彼らの戦術である、右手で長槍を構え、左手の盾で自分の左隣の仲間を守る陣形『ファランクス』は、一般の幕府軍では突破不可能だ。

「密集重装歩兵軍『ファランクス』は正面からの攻防に強い縦横16×16の256名が一部隊になってるの。途方もない数だわ。――でも、私たち猟兵が倒すはこの農民兵じゃない。最奥にいる指揮官のオブリビオンよ」
 指揮官であるオブリビオンは、大帝の剣の洗脳能力を農民兵に伝達し、ファランクスを組ませる中継機の役割を果たしている。指揮官さえ撃破すれば、その部隊のファランクスは壊滅し、戦闘意欲を失って降伏してくるだろう。
「重ねて言うけれど、ファランクス部隊は農民軍――オブリビオンじゃなくて、サムライエンパイアに住むただの一般人よ。できるだけ殺さない方法で、部隊の中央に居る指揮官オブリビオンだけを撃破するのがいいと思うわ」

「とはいえ、洗脳された彼らがハイソウデスカと道を開けてくれることなんてないわよ。まずは効果的な突破方法を考えないとね?」
 左隣の仲間を盾で守っている――つまりガラ空きの最右翼から突破して指揮官に迫る。槍も届かない上空から突入する。進行方向の地面に穴を掘り、部隊が通過したところで飛び出す、等々。
「正面衝突にはめっぽう強い隊列なんだけれど……隣を守り合っているから勝手な動きができない、列が崩れないように歩幅を合わせなければいけない、だからゆっくり歩かなきゃいけない……なんて、意外と弱点も多い戦法なのよ。いろんな角度から見るといいわ。隙を突いたアイディアが、勝負のカギよ」

「最奥で洗脳指揮をとるのは憑坐絡繰『白花』。加持祈祷のヨリマシだったのに、浄化しきれなかった怨霊怨念を溜め込んで堕ちたカラクリ人形よ。人々を厄災から守るための子が、今度はそれを振りまく道具にされちゃってるってことね……。どうぞ止めてやって」

 赤い爪の先に青く光るグリモアを灯し、衣吹は集う猟兵を見る。
「それじゃもういっちょ、お江戸の国を守ってきてね!」


小風
 小風(こかぜ)です。
 11作目もサムライエンパイア。重装歩兵軍の突破を目指します。
 よろしくお願いします。

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 ボス戦 『憑坐絡繰『白花』』

POW   :    鳥獣偽牙
戦闘用の、自身と同じ強さの【怨霊獣】と【怨霊鳥】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    禍鳥降霊
【取り憑かれた獣の力を解放】事で【巨大な禍鳥】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    禍神虚戯
自身の装備武器を無数の【瘴気を纏ったウツギ】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:まっちょす

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠薄荷・千夜子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ドッコイショ! アソーレ ドッコイショ!

 大平原に田舎の雰囲気たっぷりの音頭が響き渡る。
 ファランクスの進軍は息を合わせなければいけない。
 ならばと農民軍こと村人の中から拍子をとる者が現れて、いつの間にか広まった様だ。

『さてはて、この立派な板さぁ向こうに持ってけば米俵と交換なんだべ?』
『おらぁは馬くれるって聞いたなぁ』
『あん? 日照り続きやからぁ雨降らしてくれるつって聞いたわよ?』

 決して軍人ではない農民軍。長い進軍の中、黙らず漏れるは知り合いとの世間話。
 最前列と最後列に体格の良い者達。間を埋めるが若者に子供だ。

ドッコイショ! アソーレ ドッコイショ!

 最深部で指揮をとる麗しい人形も、その調子に合わせて柔らかにウツギの花を揺らす。
 けれど彼等は気付かない。
 その認識が歪んでいることに。
 自分達が進む道が、このサムライエンパイアに終焉をもたらさんとしていることに。

ドッコイショ! アソーレ ドッコイショ!

 遅れては取り戻し、互いを支え合う農民軍。
 彼等はもう気付かない。
 その足が、思考が、自らの意志で止まらなくなっていることに。

ドッコイショ! アソーレ ドッコイショ!

 絶望へと向かう進軍が、陽気な音頭と共に続く。
依神・零奈
……隊列を組む大軍の進軍、中々に壮観な眺めだね
相手するのはめんどくさいけど……
現世守護の務めの為、やるしかないか

陣形の特製上、右翼側に屈強な兵が配備される筈だけれど
今回は関係なさそうね
それに密集してる分、機転は利かない筈
素直に守備の薄い右翼側から突入させて貰う

その際に【呪詛】を周辺の兵に与えて動きを鈍らせるよ
密集したその陣形を足場として利用させて貰うよ
邪魔な大槍の先を刀で切り落としながらその槍の先、大盾の上を
足場の代わりに駆け抜ける

指揮官の元に辿り着いたらUCを発動
【呪詛】を込めた禍言を放ちつつ【破魔】の力を込めた
無銘刀で斬りかかる
敵が瘴気を放ったら【破魔】で低減しつつ
【カウンター】を決める



「……隊列を組む大軍の進軍、中々に壮観な眺めだね」
 関ヶ原の光景を見てそう感想を漏らすのは依神・零奈(忘れ去られた信仰・f16925)。別世界に残る同様の歩兵軍の記録でも最大のものに等しい。サムライエンパイアで見られるのは、後にも先にもここだけだろう。
『ドッコイショ! アソーレ ドッコイショ!』
「……掛け声が、これでなければ……!」
 近付いて分かった、歩調を合わせる為のその掛け声。そう、彼らは農民であった。洗脳の度合いにもよるだろうが、クワとカゴを槍と盾にしたところで、突然軍人にはなったりしないらしい。
「相手するのはめんどくさいけど……現世守護の務めの為、やるしかないか」
 無銘の刀を挿し、零奈は大きく左へ走る。

 これが本当の軍隊であれば、弱点たる最右翼に精兵が配備されるが今回はそれが無い。数でゴリ押しする戦法のようだ。ならば素直にそこを突かせて貰う。半身をさらした農民兵に零奈が迫る。
『なんじゃあんた? 邪魔ぁするなべぇ!』
 盾は無いが槍はある。隣や後ろから突き出される無数の長槍が零奈を追う。
「人の守り神ではあるけれど……刃は向けるな。呪われる」
『うぐっ!?』
 零奈の静かな詞と共に、農民兵の体が急速に重たくなる。そこにいるのはただの娘の筈なのに、感じるそれは畏怖か恐怖か。次いで走るのは大盾の急速な重量。……否、盾が重くなったのではない。上に零奈が乗ったのだ。
 呪詛が効き、動きの鈍った農民軍の上を神が駆ける。向けられた槍の先をことごとく斬り落とし、ただの棒切れへと変えながら。

 大盾の道の先にいたのは白い肌の人形、憑坐絡繰『白花』。カタリ、と微笑の首を傾けると、禍々しい瘴気を纏ったウツギの花が舞い上がる。
「帰依の御霊、倦む惰性を絶て」
 神たる零奈の体が薄く透けて守護神霊の姿へと変わる。放たれる白い花弁を破魔を以って打ち払うと、怨霊怨念の虜となったそれに迫る。
 禍花よりなお白い白刃が輝き、虚ろな体の指揮官が後方へと投げ出される。

成功 🔵​🔵​🔴​

リステル・クローズエデン
大帝の剣……僕が探すあの魔剣とは別の剣……だけど。
いえ、今は目の前のことをやるべきですね。

仕込みとして。
装備しているサプライズボムを
武器改造+メカニック+毒使い+医術で、
殺傷力を最小に、
マヒと気絶の効果と薬品散布範囲を極力最大になるよう改造。

戦場ではユーベルコードを防具改造で発動。
迷彩と空中浮遊を駆使し陣形の上から用意したサプライズボムを投擲。
範囲攻撃+マヒ攻撃+気絶攻撃で攪乱する。

その後、視力で確認後、上空から指揮官へ強襲。
鎧砕き+怪力でひと当て後、上空へ。
相手の怨霊鳥。できれば怨霊獣も相手取り
オーラ防御や武器受けに盾受け、見切りを併用し防御回避
相手をおびき寄せ、時間稼ぎする。
出来れば反撃も



 最右翼に何者かが飛び込み突破され、農民軍に動揺が走る。ならば今が好機とリステル・クローズエデン(なんか青いの・f06520)が改造したサプライズ・ボムを握る。
「鎧装変換……斬刃の翼、断空の鎧」
 ユーベルコード鎧装変換・斬翼断空(ブレイドウィングメイル・カスタマイズ)。長槍も届かない上空から、人が追えない速度で飛び越える。そして自身が突破するだけにとどまらず、持っていたボムをファランクスの中心へと落とした。
『んん? なんだべこりゃ――うおぉぉ!!?』
 時限式爆弾であるそれが弾けて、まき散らされるはマヒと気絶をもたらす薬品。殺傷力を最小限にしぼった品であるが、動けなくなった者達が次々に倒れ、陣に大きな穴が開くこととなった。
『だ、大丈夫だべかぁ!? アソーレ! アソーレ!』
 心配する声、それでも洗脳された農民軍の足は止まらない。抜けた農民兵を放置し避けながら、穴を埋めるように前進と横移動をする歪な行進が始まった。
 迷彩を施し高速で飛ぶリステルを追う者はいない。陣の後方で空を見上げる人形を確認すると、加速しながら突進した!

 カシャン!! と軽い音を立てて吹き飛ぶ憑坐絡繰『白花』。その表情に変化は無く、ただ大帝の剣の中継機として、そして怨霊怨念の器としてそこにあるのみ。しかし内にある邪悪な者達は立腹したようだ。瘴気を放つ緑の珠を宙に浮かべると、リステルへ向かって飛ばし――それは瞬く間に緑の目を持つ怨霊獣と怨霊鳥となって襲い掛かった。
「僕が、するべきとは……」
 飛ぶ鳥獣偽牙と、実に4500km/hで飛べるリステル。飛翔能力では圧倒的だ。それでも、相手の注意を逸らすことと時間稼ぎを選んだサイボーグ、すぐには仕留めない。白花の視線の先で怨霊獣の鋭い爪をかわし、背後に迫る怨霊鳥よりも早く飛んでみせる。
 リステルの赤いスピネルアイが続く猟兵の姿を捉える。
「それでは、後は頼みますよ」
 並んで飛んで来た獣と鳥に真正面から突進。断刃ノ鎧から光刃を発生させると、すれ違い様にまとめて切り裂いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

真宮・響
ファランクスね。手堅くて強力な戦法だ。一般の農民を使ってなければもっと褒めたんだが・・・

ファランクスをまともに相手にしてると面倒な事になる。真紅の竜を起動して【騎乗】。竜を上空に飛び上がらせてファランクスの隊列の上を移動するように。

竜を咆哮させて農民をびびらせて委縮させ、少し手荒いが竜の翼の羽ばたきで農民の幾人かを転倒させて進軍を止める。

敵将の白花を上空から確認後、上空にいたまま、【ランスチャージ】して【先制攻撃】【二回攻撃】【串刺し】を併せた【槍投げ】で召喚したものごと貫く。


真宮・奏
ファランクス・・・昔の偉大なる王が用いた戦略ですっけ?優れた戦略ならぜひ学びたいところですが、それどころじゃないようですね。

ファランクスは手堅い陣形ですが、崩すとたちまち有利性を失うでしょう。蒼の戦乙女を発動、上空を飛び回って攪乱しながら、ストレートに高速で敵将の白花の元へ。

白花を確認したら、上空から、【属性攻撃】【二回攻撃】【衝撃波】で攻撃します。敵から飛んでくる攻撃の被害は【オーラ防御】【武器受け】【盾受け】で軽減。


神城・瞬
ふむ、ファランクス。なかなか手堅い戦法を使う。・・・一般の農民の方を兵力として使っていなければ、称賛すべきですが。・・・まあ、何とかしましょう。

月読の騎士を発動、上空を飛び回りながら最大限に威力を抑えた【誘導弾】【マヒ攻撃】【武器落とし】【範囲攻撃】で農民の攻撃手段を削ぎながら、【吹き飛ばし】で農民の陣形を崩します。

敵将の白花を確認したら、【高速詠唱】【全力魔法】【二回攻撃】で【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】を乗せた【誘導弾】で攻撃します。



「ファランクスね。手堅くて強力な戦法だ。一般の農民を使ってなければもっと褒めたんだが……」
 似た戦法は世界を越えて、会戦において威力を発揮したという。だがこれは洗脳によって戦を望まぬ民も巻き込んだ方法だ。真宮・響(赫灼の炎・f00434)は厳しい表情で農民軍を見つめる。
「昔の偉大なる王が用いた戦略ですっけ? 優れた戦略ならぜひ学びたいところですが、それどころじゃないようですね」
 そんな母の様子を見て同じく関ヶ原を見つめるのは真宮・奏(絢爛の星・f03210)。その威力は平地において最大となる。幕府軍五万を撤退させるとは、決して誇張した数ではないようだ。
「……まあ、何とかしましょう」
 そんな二人を見守り静かに覚悟を決めるのは神城・瞬(清光の月・f06558)。先の猟兵の手によりファランクスの最右翼と中央が崩れ、急ぎ立て直しているところだ。その壁は今完全ではない。
 それぞれの武器に力を込めて、三人の家族が走る。

「さて、一緒に行くよ!! 気張りな!!」
 響がユーベルコードで呼び出すは真紅の竜。3メートル越えのそれに飛び乗ると、目指すは農民軍の頭上。
『なっ!? 今度は何だべさ!? アソーレ!』
『竜じゃ! 真っ赤っかな竜神様じゃあ!? ドッコイショ!』
 騎竜の咆哮が風に乗って農民兵を震わせ、すくんだ兵の上を飛び越えたところで、もうひと羽ばたき。大盾が後ろから風にあおられて倒れ、それを支える農民兵を転倒させる。
「アンタらはちょっと止まってな! まともに相手すると面倒なんだから」
 そう叫びながら、チャージしていたブレイズランスを農民軍とは反対側へ、憑坐絡繰『白花』へと即座に投げる響。振り向いた白花も巨大な禍鳥へとその身を変じさせる。反応速度が爆発的に上がる技、槍を避けるなんて造作も無いはずだったが……一拍遅れた。先の猟兵との攻防は、つい瞬刻決したばかりなのだ。
 滑らかな肌を持つ人形の肌が貫かれ、片腕が吹き飛ばされる。空洞な上肢から滴るは鮮血ではなく、どす黒い怨念の瘴気だ。

「さあ、希望を持って、未来を切り拓こう!!」
「我が身は大切な者を護る為にある!!」
 揃って駆け抜けるのは瞬と奏の義兄妹。同時に発動するユーベルコードは月読の騎士と蒼の戦乙女。目の前で突然男女が銀鎧の騎士と青ドレスの姫になり翼で飛んで行った! まだ伏して置き上がれない農民兵達が、呆けた表情のまま二人を見送る。
 それを迎えるが幻想的な白い花びらの舞だったらどんなにピッタリだっただろう。残念ながらそれは憑坐絡繰『白花』による禍神虚戯。壊れた腕から滴る瘴気と同じものを宿した禍花の刃だ。
 うねる毒花の波を上へ下へ、時に旋回しながら躱してゆく奏と瞬。変わらぬ微笑のまま、それでも負けじと花びらを操り続ける白花。そして一際濃い波を越えた時、ほんの僅かに花びらの密度が薄くなる。
「奏!」
 瞬の持つ六花の杖と月虹の杖から行動阻害の力を込めた弾が放たれる。片腕で防ごうとするがすり抜けられ、人形の壊れた腕が肩から更に吹き飛ばされる。
「ハァッ!!」
 防御しながらも花びらに突っ込み加速する奏。信念の証であるブレイズセイバーが熱く輝き、ひび割れ残っていたもう片腕をも斬り飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

四葉・蛍輝
誰かのために、と作られたのにこんな形になってしまうなんて悲しいね
救うために生まれた子がこれ以上誰かを傷つけるのは同じ人形として見過ごせない

まずはファランクスをどうするかだね
草木の精霊に力を借りて【地形の利用】【罠使い】で足元の草木を操作、足に絡めて隊列を崩してみようか
うまく陣形が崩れるようだったらその隙に中央へ

「それは君が行うべきものではないよ」
そこにいる人たちは本来守られるべき人のはずだから
「だから、ここで止めよう」
UC『エレメンタル・パスチーシュ』を発動
この一撃に全力を込めて【全力魔法】【破魔】【属性攻撃:光】
聖なる光をあの人形へ


リリィエル・ロックウェル
アドリブ歓迎
つまり認識されなければいいのです、塗りつぶしペイントで透明になってファランクスの間をすり抜けるのです、フェアリーの小さい体ならできるのです。
ボスの所までついたら透明なまま背後に回ってクレヨンソードを銀色に入れ替えてギガドリルクラッシャーで一撃加えてやるのです。



「誰かのために、と作られたのにこんな形になってしまうなんて悲しいね」
 憑坐絡繰『白花』の辿って来た経緯に思いを馳せるは四葉・蛍輝(蛍火の鍵・f17592)。眼下に広がるは白花の指揮する密集重装歩兵軍ファランクス。それも猟兵の度重なる働きにより人数を減らし、農民の性格を多く残す彼等では大きく乱れた陣を即座に戻すことは難しいようだ。
「救うために生まれた子がこれ以上誰かを傷つけるのは同じ人形として見過ごせない」
 ミレナリィドールたる青年はその連鎖を止める為、夏空の関ヶ原を駆ける。

「つまり認識されなければいいのです、透明になってファランクスの間をすり抜けるのです、フェアリーの小さい体ならできるのです」
 そう唱えユーベルコード、クレヨンソード白:塗りつぶしペイントを発動するはリリィエル・ロックウェル(クレヨンの勇者・f01438)。その姿に平原の景色を映し、いざ大盾に挑もうとしたが。
 ベチン!
「あーれー!?」
 陣が乱れているとはいえ人と同じ高さで真正面からぶつかれば、重なる大盾の守りは厚かった。呆気なく弾かれるその小さな体。
「――いいね。まだ被害が少ない部分を崩そうか」
 見えぬが賑やかなフェアリーの声を聞き取った蛍輝が、精霊術士の力を行使す。草木の精霊に問いかければ、風のさざめきと共に応えが返ってくる。平原を覆う膝丈のエノコログサが頭を垂れ、互いを結び合い輪を作る。強固な盾を構えて進む、農民軍の足の先で。
『ガタガタ騒ぐな! ドッコイしょわあぁぁ!?』
『あんたがウルサイ! アソ―れえええぇぇ!!?』
 バタバタと草の輪に足を引っかけて倒れてゆく農民軍。立て直そうにも草の影にある罠に気付かず続けて転ぶ者もおり、なかなか立ち上がらない。
「ごめんね」
 とても跳び越えやすくなった農民兵の大盾や背中を踏み足場にしながら、蛍輝とリリィエルは陣を突っ切る。

 越えた先にいたのは、両腕の無いカラクリ人形。それが自身の意志で動いていたのなら、息も絶え絶えと言ったところだっただろう。だが、バランスの取り難くなった体を振り回すように動かし、半身をとって立つ。
 白花を動かすは弥助アレキサンダーの代理としての無情な指揮、そして怨霊怨念が赴くままの悪意だ。白花にも、そして農民兵にも自ら率先して戦おうという意思などありはしない。全員が自分でない誰かによって動く代理。この強固なファランクスはヨリマシで作られた盾だった。
「それは君が行うべきものではないよ。そこにいる人たちは本来守られるべき人のはずだから」
 白花も本当は人を守る為に作られたはずだと。蛍輝の声に、悪鬼の虜となった人形は答えられない。
「だから、ここで止めよう――解錠(コール)、光環接続(アイン・ソフ・アウル)」
 発動するはユーベルコード、エレメンタル・パスチーシュ。関ヶ原に生命樹を思わせる十の魔法陣が芽吹き輝きだす。
 白花もかつては加護を込めて添えられたウツギの花を咲かせようと、武器である珠に瘴気を纏わせるが――。
「透明なフェアリーならボスの背後まで気付かれず回れるのです。クレヨンソード銀色、ギガドリルクラッシャー!」
 そう唱え技の発動と共に姿を現したリリィエル。勇ましい銀色で描いた小さなドリルを自らの武器に宿すと、轟音と共に鋭い突きを繰り出し、白花の膝裏を砕き割った。
 後ろへのけ反るように体勢を崩す白花。見上げた金色のガラス眼球に映った最後の光はどこまでもまばゆく澄み切っていて。
「聖なる光をこの人形へ」
 自らを飲み込む光が、怨霊、怨念、悪意……溜めに溜め込まれた邪悪なものを、全て溶かしてゆくのが分かった。そして自らの砕けた体も。これでこれでやっと白花は、返るべき姿、まっさらな人形、憑坐絡繰『白花』だ――。

 洗脳が解け、ただの農民へと返った畿内の人々は大人しく投降した後――元気だった。とても元気だった。猟兵の指示に従い関ヶ原を後にする時も、今まで使っていた立派な槍と盾を、壊れたものまで綺麗にひとつ残らず持って帰るほど。売るなら今かね、使えないものは鉄として売り払おう、いやこのままでも買い手はいるぞ、と。戦場から日常へ帰る会話を、たくましく冗談めかしながら足早に。これは一時の夢だったのだと願うように。
 すれ違う江戸幕府お墨付きの猟兵へ向けられる、感謝と頑張ってくれよの言葉を餞別に、君達は一時グリモアベースへと帰る。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月14日


挿絵イラスト