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エンパイアウォー⑦~壁

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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●グリモアベース
「今日も元気に予知をします! 今回は関ヶ原ですよ!」
 まだまだ元気そうなウィルバー・グリーズマン(入れ替わった者・f18719)が、さっそく予知の内容を説明していく。

「上杉謙信と彼が率いる精鋭部隊……これらが幕府軍を撃破しようと、『軍神車懸かりの陣』で待ち構えています。これをどうにかしなければ、幕府軍は為す術もなく蹂躙されてしまうでしょう」
 唐突に真面目な顔になるウィルバー。実に切り替えが早い。

 軍神車懸かりの陣。
 上杉謙信を中心に、オブリビオンが円陣を組みながら敵陣に突入して、全軍が風車の様に回転。最前線の兵士を交代させながら戦うという、無茶苦茶な陣形だ。
 これも上杉謙信の異常なまでの統率力が可能にする、言わば『超防御型攻撃陣形』。
「何か色々と馬鹿だと思いません? でも上手く行くんですよねぇ、これが」
 それだけではなく、防御力が向上して、超高速の自動回復まで付いてくると言う理不尽っぷり。常に万全な状態の上杉軍と戦わなければならない。

「ちなみに、上杉謙信も自身の復活時間稼ぎで軍神車懸かりの陣を使用していますので、上杉軍を倒さないと彼も倒せません……鉄壁ですよねぇ」
 それでも、猟兵ならばこれを突破可能。
 今回は上杉謙信ではなく、車懸かりの陣の外縁部のオブリビオンの撃破が目的だ。

 非常に凶悪な性能な反面、数は少なく、ここでは3体程しか居ない。
「並大抵のダメージでは通りませんので、最高火力を叩き込んで下さい。毒やウイルス、連携などで自然回復を阻害するのも手ですが、防御力もヤバいのでお忘れなく」
 ダメージが浅ければ回復して一からやり直しだ。
 そうならない様に、確実な大ダメージを与えよう。

「とにかく、一体一体倒して行きましょう。では、頑張って下さいませ」
 そしてウィルバーは、関ヶ原まで猟兵を送り始めた。


小強欲
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 軍神『上杉謙信』は、他の魔軍将のような先制攻撃能力の代わりに、自分の周囲に上杉軍を配置し、巧みな采配と隊列変更で蘇生時間を稼ぐ、『車懸かりの陣』と呼ばれる陣形を組んでいます。
 つまり上杉謙信は、『⑦軍神車懸かりの陣』『⑱決戦上杉謙信』の両方を制圧しない限り、倒すことはできません。

 どうも、小強欲と申します。
 中々の数の戦争シナリオを出しています。

 詳しい内容はOPの通り。敵を倒しましょう。

 数は非常に少ないですが、物凄く堅いです。ダメージを与えてもすぐ回復します。
 最高火力の大ダメージ連打や、自動回復を阻害した上での高火力攻撃。
 いっそ一撃で仕留めましょう。

 それでは、殺意の高い戦闘プレイングをお待ちしております。

●他
 プレイングが来たらとりあえずリプレイを書きます。
 4名様以上のプレイングを頂いた後、全リプレイが書き終わり次第に一斉提出してシナリオを終了します。
 また、リプレイ提出時には一度リロードしますが、その際にプレイングが増えていた場合は、そのリプレイを書き終えてから一斉提出します。
 7人目以降は私の執筆力不足により、採用率が下がります。申し訳御座いません。
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第1章 集団戦 『堕ちた白虎』

POW   :    旋風
自身の身長の2倍の【3つの竜巻】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    飄風
【触れるものを切り裂く暴風を纏った突進】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    凱風
自身に【相手の動きを読む風の鎧】をまとい、高速移動と【かまいたちによる遠距離斬撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。

イラスト:小日向 マキナ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヘンリエッタ・モリアーティ
【鎧坂探偵社】
固い、とは聞いているから
うーん。素手だとちょっと危ないかしらね
「死樹の篭手」を装着して挑むことにします
各個撃破がいちばんいいと思うから、私が襲い掛かって一匹固定しましょうか
今日は灯理に活躍してほしいし
――スカっとしましょ?ね

【燻狂う神鳴嵐】で一匹感電させます
回復している間に出番は任せてしまいましょう
さあ、灯理。――怒り方はわかってるわよね?
ぶっ飛ばせ

もしこの間に割り入ろうとするほかの白虎がいたなら
私が怪力で相手をします。でも殺しきれないでしょうからね、それも灯理にとどめを任せる
信頼できる相手でないと、背中は任せられないから
――そういうことよ、着いてこれるでしょう?どこまでも


鎧坂・灯理
【鎧坂探偵社】
高火力でなければ厳しいとのことですし
念動力で補佐を……ハティ?
……、ふふっ。わかりました

念動力の神髄を見せてやろう
鎧坂灯理、推して参る

念動奇術・肆ノ型『内壁楽園』
見た物を中心として思念波を広げ、その内側にいる者すべてに分子レベルで干渉する奥義
分子を暴走させるとどうなるか知っているか
――消滅するのさ
実際には蒸発しただけだがな
生まれる熱やエネルギーも私の手の内

さあ、この戦場は私の舞台
触れずとも千切り圧し折り蒸発させてやる

ははは!そうだ、それでいい!
敵め!障害め!腹立たしい苛立たしい皆消してやる!
焼滅だ!消滅だ!あはは!ははは!

ああ――楽しいですね、ハティ



 軍神車懸かりの陣。
 上杉軍の最前線にて、首のない堕ちた白虎が暴風の鎧を纏い、敵を待つ。
 触れる者を全て傷付けるであろう嵐の虎は、陣形の力を得て最強クラスの防御力を得ている。

 白虎の前に立つ二人。
 鎧坂・灯理(不退転・f14037)と、そのすぐ隣にはヘンリエッタ・モリアーティ(犯罪王・f07026)。
 目の前の嵐を前にしても全く動じておらず、寧ろ倒す気が満々な様子で。
「高火力でなければ厳しいとのことですし、念動力で補佐を……ハティ?」
 灯理は今回もヘンリエッタの戦闘補助をしようと考えていが、彼女はクスッと笑って。
「今日は灯理に活躍してほしいし、――スカっとしましょ? ね」
「……、ふふっ。わかりました」
 そう言う事ならば、派手に暴れてみせよう。
 灯理は今こそ、本気の念動力。その神髄を見せてやろうと、数歩進んで白虎の前に出て。
 白虎から空に視線を移せば、ヘンリエッタはその戦場に暗雲を呼び出して。すぐに空が闇に覆われて。
 そこから降り注ぐは豪雨……ではなく、絶え間なく降り注ぐ無音の雷。
「鎧坂灯理、推して参る」
 灯理の言葉と同時に一際大きく光が発生すれば、それは戦闘開始の合図。まずは白虎が駆け出した。

 静かな戦場には、何も音は響かない。
 唯一聞こえるものと言えば、ただ一点に集められた雷が命中して、バランスを崩した白虎が暴れる音か。
 しかし大量の雷が当たろうとも白虎に致命傷は与えられず、すぐに回復してしまう。
 だがダメージを与えずとも問題はない、狙うはそれによる感電なのだから。
「さあ、灯理。――怒り方はわかってるわよね? ……ぶっ飛ばせ」
 ヘンリエッタは振り向いて、後ろから現れた別の白虎に向き直る。
 突進して放たれる白虎の両爪を、両腕で掴んで動きを封じて。触れるものを切り裂く暴風はヘンリエッタの腕を傷付ける……筈だったが、彼女の腕には『死樹の篭手』。
 持ち主を死から遠ざけると謳われるそれは、暴風の切り裂きを無効化し、異様なまでの怪力で白虎の動きを封じた。

 感電している白虎は立ち上がり、灯理へと向かおうとしていた。
 しかしそれを見ている時点で、念動力の奥義は発動している。白虎を中心とした思念波は、その内側にいる者すべてに分子レベルで干渉。
「見通しているよ……分子を暴走させるとどうなるか知っているか? ――消滅するのさ」
 念動奇術・肆ノ型『内壁楽園』。
 戦場にズシャッ、と音が響けば、白虎の二本の尻尾は消滅してしまう。その他にも身体の至る部分が音を立てて圧し折られて行く。
 正確には消滅ではなく蒸発と言うべきか。熱やエネルギーも灯理の手の内にあり、ただ視線を向けるだけで五感を奪って、肉体を蒸発させてしている。
 視覚外からの攻撃には厳しい物があるが、それもヘンリエッタが押さえている。なによりも、彼女がここまで通す筈もない。ならば、目の前に集中するのみ。

 しかし、黙ってやられるほど白虎も大人しくは無い。
 五感を失いながらも周囲にかまいたちを発生させ斬撃攻撃を行って、その一つが高速で灯理に向かって来る。
「ははは! そうだ、それでいい!」
 横に跳んで斬撃を躱すが、完全には避け切れずに頬を掠って、僅かに血が吹き出る。
「敵め! 障害め! 腹立たしい苛立たしい皆消してやる!!
 だがそれは灯理の怒りを増長させてしまい、まるで周囲の雷と同調するかのように憤怒して。
 更にかまいたちを作り出そうとする白虎に、それを阻止するかの如く雷が降り注いで。

「焼滅だ! 消滅だ! あはは! ははは!」

 この戦場は既に灯理の舞台だ。
 隙を逃さない追撃。グシャッ、ドシャッ、と鈍い音が響き渡る。
 白虎の自然回復能力も、圧倒的な防御力も、問答無用の威力の思念波が蒸発させてしまって。
 その場に残るは、白虎の血溜まりのみだった。

 残る白虎とヘンリエッタは、互いに一歩も引かない、拮抗状態だった。
 白虎の目には、たった今、戦闘を終えた灯理が来るのが見えた。
 だが、その先に居る灯理の戦いを見ていた白虎は、これ以上の戦いは単独では危険と考えて、渾身の力と暴風で、ヘンリエッタを灯理に向けて弾き飛ばそうとして。
「ぐっ……しかし、まだ」
 力のみで言えばヘンリエッタの方が格段に上だが、暴風も合わさると話は別だ。しかしヘンリエッタは中々にしつこく、弾き飛ばされる前に白虎の肉と、骨の一部を引き千切った。
 飛ばされながらも、更に雷による追撃を行おうとするが、それは痛みを無視した無理矢理な高速移動で躱されて。白虎は二人の視界から外れて行った。

 そして、空を舞うヘンリエッタをしっかりと受け止める灯理。
「ああ――楽しかったですよ、ハティ」
「そう? それなら良かった。一匹は逃しちゃったけど、ね」
 だが、灯理の無邪気な楽しそうな表情を見れば、その悔しさも吹き飛んでしまった。
 そうして二人は、まずは三匹の内の一匹……更に一匹の白虎にも手傷を負わせる事に成功した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御園・ゆず
……ハハハ
なんとなく読めてましたよ(諦めの境地)

今度の訓練は、急所に素早く一撃、だそうで
…ウィルバーさん、転送しないって手は…無いですよねソウデスヨネ

今回は鞄も楽器ケースも置いてきて、身軽に
鋼糸とナイフだけで勝負

…埒外のチカラに目覚めてから、ヒトの能力を軽々凌駕してる気がする
前は足も遅かったし、こんなに高く飛べやしなかった
…ヒトらしさを失っていく

小説みたいな動きを演じろ
素早く、機敏に
相手を翻弄しながら、さりげなく鋼糸を巻いていって
キュ、と縛り上げたら、急所であろう場所へ右袖から抜き出したナイフを突き立て
ぐじぐじ、傷を抉る
絶命を見届けるまで気は抜けない


……これからも、もっと戦わないと
瞑目する



「……ハハハ、 なんとなく読めてましたよ」
 遠い目をして、御園・ゆず(群像劇・f19168)は達観していた。
 狙撃、近接と来て、次の訓練は急所に素早く、最高火力を叩き込む訓練だ。
 問題は、初心者にこれをやらせていいのかどうか……しかし残念、ウィルバーは無情にも転送をしてしまった。
 前方には手負いの白虎が一匹。無理をして動いたからか、移動はしない様子で。
「んで……なんですかあれーっ!!」
 白虎の周囲には巨大な竜巻が三つ、それが白虎と同じく首のない風貌を形作っており、見るからに危険そうだ。
 とは言え、やらなければやられる……突貫するのみだ。

 今回、ゆずが持ってきたのは鋼糸とナイフのみ。
 求めるのはスピード、猟兵に覚醒してから人間に可能な動きを軽々と凌駕している。
 人間の頃ならば、竜巻の爪など避ける事もできなかったし、突風を跳んで避けるなど、不可能に決まっている。
「……ヒトらしさを失っていく」
 まるで小説の主人公の様な動き。
 竜巻をありえない動きで避けて、すぐに白虎の目の前へ。
 目にも止まらない速度で白虎の下に潜り込めば、鋼糸で後ろ足を縛ってしまって。
 前足は手負い、後ろ足は捕縛、何とかバランスを取ろうとする白虎を思い切り蹴ってしまえば、無様に倒れてしまった。

 先ほどの戦いと同様だ。幾ら防御力が上がろうとも、幾ら自然回復力が高かろうとも、動きを封じられればどうしようもない。
 勿論、それから逃れようとする白虎だが、ゆずは横になったそれに跨ると、ナイフを振り上げて。
 当然だが、ただのナイフではない。超高速、かつ極めて高い威力のナイフは、白虎の腹をドゴンッ、と砕いてしまって。
 辺りに舞い散るは白虎の血液。それを間近で受けたゆずだが、全く気にしていないかのように、ナイフを突き付け続ける。
「早く……死んで……ッ!」
 高速で傷が回復する白虎だが、何度も何度も傷を抉り続けて。
 纏われた風によって切り傷ができようとも、完全に絶命するまで。何度も何度も何度も何度も……。

 何度刺しただろうか。五十、六十? いや、もっとかも知れない。
 手は敵の血で真っ赤に染まって、身体も傷だらけだが、目の前には生命活動を停止した白虎。
「……これからも、もっと戦わないと」
 一つ、瞑想をし終えれば、ゆずは立ち上がってまた別の場所に向かって行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナイ・デス
猟兵の戦いにも、通ずるところ、あるでしょうか
グリモアベースから出撃し、入れ替わり交代しながら戦う

絶対無敵の陣では、ないのです。崩し、倒します……!

【第六感で見切り】風を回避
無理でも【念動力のオーラ防御】で防ぎ、頭は腕で【かばい】

動きを読まれても、風のように速くても
光の方が、はやい。加減なし。逃がさない、です!
『生命力吸収光』放ち続け、意識を奪い動きを封じる……までできればいいのですが、無理でも回復阻害

【忍び足ダッシュ】で近付きながら黒剣を長剣型に戻し
風の【鎧無視】【暗殺】剣技で、急所貫き
【生命力吸収】強めて、一気に奪い尽くし、消滅させます

吸収回復したので、まだいけますが……
無理しない。離脱です


愛久山・清綱
車懸かりの陣。家のデータにはなかった戦術だが、
「攻めては引く」の繰り返しというわけか。
……成程、厄介でござる。
■闘
確実に1体ずつ倒していこう。
といっても、先ずはあの竜巻から逃れねばならんな。

先ずは、【野生の勘】を働かせて竜巻の動きを注視し、
『比較的安全な場所』を探り出す。
見つけたらそこを【ダッシュ】で通り抜け、急接近を図る。

相手の姿が見えたら【山蛛】の構えを取るぞ。
先ずは一の太刀で【マヒ攻撃】を絡めた空間切断で
相手の動きを止める。
そこから【破魔】の力を最大限に籠め、【鎧無視攻撃】と
なった二の太刀を放ち、真正面から切り伏せてやるのだ。

『蛛の如き太刀』で喰らい尽くしてやろう。

※アドリブ・連携歓迎



 この場に残るは、完全な状態の白虎一匹のみ。
 吹き荒ぶ風の鎧と巨大な竜巻の虎、それから発生する風圧は、辺り一帯の草むらを揺らして。
「車懸かりの陣。家のデータにはなかった戦術だが、『攻めては引く』の繰り返しというわけか……成程、厄介でござる」
「猟兵の戦いにも、通ずるところ、あるでしょうか」 
 白虎と対峙する愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)とナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は、その陣の恐ろしさを再認識していた。
 ここにいる白虎以外にも、大量のオブリビオンが強化されているのだ。前線の兵士が回復し続けて入れ替わり続ける……あまりにも凶悪。
 だが、各個撃破さえ出来れば打ち崩す事は可能……。
「絶対無敵の陣では、ないのです。崩し、倒します……!」
 ナイがそう言うと、二人の目の前から竜巻が迫って来て。
 すぐに二手に分かれると、この戦場、最後の戦いが始まる。

 辺りに巻き起こる三匹の竜巻の虎。
 本体を含めれば四匹だが、それらも猟兵達と同じく二手に分かれて、清綱の前方には竜巻の虎が二匹。
「先ずはあの竜巻から逃れねばならんな」
 暴風の鎧は極めて危険。
 如何に清綱の高い防御力と言えど、直撃すれば容易く吹き飛ばされてしまうだろう。
 駆けている清綱は、野生の勘を働かせながらも竜巻の動きを注視して、ある一点を探す為に、全力で動き続ける。
 襲い掛かる竜巻の虎の飛び掛かりを潜って避けて、続く二匹目の爪も飛翔して躱す。
「……あの場所か。時間はない、一気に通り抜けるッ!」
 荒れ狂う暴風の中で、清綱はその一点、嵐の影響が薄い場所に向けて、高速移動をして行く。

 二振りの黒剣を持ったナイの前には竜巻の虎と、白虎。
 第六感を極限まで研ぎ澄ませて、念動力のオーラで防御を固めて、腕と黒剣で頭をかばう。
 しかしここまで防御を固めても、暴風とかまいたちの一撃を受ければ、多大なダメージになる事は間違いない。
「光の方が、はやい。加減なし。逃がさない、です!」
 ナイの体内から発せられる光は、敵の意識を奪い動きを封じる力。
 光を至近距離から受ければ、どれ程に高い防御を持とうとも、昏倒はさせられる。動きを封じてしまえば、先の二戦の様に絶大な効果が発揮できる。
 竜巻の虎が一気に近寄って来れば、ナイの動きを封じる様にかまいたちが放たれて。
「う、ぐうっ!!」
 竜巻には当たれない。かまいたちに突っ込んで、そのまま白虎を目指して突き進む。
 かまいたちが直撃したが、近付けば近付く程に、傷が塞がって行く……そう、ナイの光は、生命力を奪い取る光なのだ。
 オーラの防御もあって、幾らかのダメージを受けたものの、致命傷には至らず。すぐに傷が完全に塞がってしまった。
 これは危険だと判断した白虎は、すぐに移動を始めるが……。

「霊剣、山蛛ッ!」

 移動をした先に、清綱の剣技。
 遠方より放たれた空間切断攻撃が、白虎の動きを止めてしまう。
 そして、ナイはそのチャンスを逃さずに音のない歩法で近付いて、黒剣を長剣型へと戻せば、それを突き付けた。
 風の鎧を纏い、陣形の力も得ている白虎には、普通の攻撃は通らない。だが、ナイの黒剣はその鎧も貫いて、生命力を吸収する光を更に強めて。
「ここまで、ですっ!!」
 生命力の吸収は自動回復をも上回り、一気に吸収して行って。
 すぐに白虎は竜巻の虎を呼び戻そうとするが……霊剣は一太刀に非ず。渾身の二の太刀がすぐ目の前に迫っていて……。
「喰らい尽くしてやろう」
 真正面から放たれた蛛の如き太刀は、白虎の身体を半分に斬り裂いてしまう。
 それでも即死には至らず。されど、残る僅かな命も光に吸い込まれ、遂には消滅してしまった。


●前線崩壊への一歩
 辺りの暴風は収まったが、関ヶ原はまだまだ戦いの真っ最中。
 至る所から戦闘音が聞こえる。

 まずは三匹の強力な白虎を撃破した猟兵達。
 未だに軍神車懸かりの陣は乱れず。だが、まずは一つ確実に切り崩した。

 時間はあまりない。
 一気に攻撃して、残るオブリビオンも完全に撃破しよう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月12日


挿絵イラスト