エンパイアウォー⑲~驕れるコンキスタドール
●略奪と征服の異端者
「サムライエンパイアでの戦争も、中盤ってところかしらね? 正直、自分の故郷がここまで凄い戦禍に巻き込まれるなんて、想像もしてなかったけど……」
だが、戦いになってしまった以上、降り掛かる火の粉は払わねばならない。そう言って、神楽・鈴音(歩く賽銭箱ハンマー・f11259)より伝えられたのは、次なる魔軍将の討伐依頼だった。
「あなた達の活躍で、信長軍の魔軍将の一人、侵略渡来人『コルテス』の居場所が判明したわ。このコルテスを撃破するための決戦に、あなた達にも向かって欲しいの」
そのコルテスだが、彼は厳島神社を拠点とし、そこで我関せず高みの見物と洒落込んでいる。予知を見る限り、コルテス本人は戦争の行末には一切興味がなく、己の欲望を満たすためだけに動いているようだ。
「まあ、そんな感じで油断しきってるから、攻めるだけなら簡単ね。それに、あまり長く実戦から遠ざかっていたから、今じゃ戦い方も忘れちゃってるみたいだし」
実際、コルテス本人が戦ったのは最初に侵略を開始した数回だけ。その後は『侵略して滅ぼした世界の戦力』を利用して、本人は安全圏から侵略と虐殺を行って来たため、予想外の事態には滅法弱い。
「なんか、物凄く腹が立つ相手だけど、それがこいつの弱点でもあるからね。予想できないような、奇抜な技を次々と仕掛ければ、コルテスは何もできないまま一方的に攻撃されるわ」
その反対に、一目見て技の種類や性質が予想できそうな単純な攻撃や、以前に攻撃を仕掛けた猟兵と同じタイプの技を仕掛けた場合、コルテスは対処の方法を即座に『思い出し』て、強烈な反撃を繰り出して来る。
慢心から油断しているとはいえ、本気を出したコルテスの攻撃を食らえば、無事では済まない。こちらの用意できる防御手段など気休めにもならず、一撃で撃破されてしまうのがオチだろう。
「要するに、誰も思い付かないような変わった技で、色々やってみればいいってわけね。他の人と戦い方が似ていると、それだけで『思い出される』可能性が高いから、武器とか基本の動作なんかも、なるべく違ったものにした方がいいのかもしれないわ」
油断している相手を一方的に圧倒するか、あるいは手の内を読まれて敗退するか。
待っている未来は、二つに一つ。知略を用いて、傲慢なる征服者を討伐すべし。この世界を狙う侵略渡来人を討てるか否かは、猟兵達の知恵と力に委ねられた。
雷紋寺音弥
こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
コルテスは今までの強敵オブリビオンとは異なり、先制攻撃を行いません。
むしろ、こちらが先制攻撃を仕掛けられるのですが、カウンターには注意です。
敵が予測できないようなユーベルコード、あるいは戦い方であれば、一方的に攻撃でき、戦闘を有利に進めることが可能です。
反対に、動きが予測しやすい単調な攻撃や、或いはシナリオ中既に同じ戦法が行われていた場合は、強力な反撃が行われ、戦闘では極めて不利になります。
第1章 ボス戦
『侵略渡来人『コルテス』』
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POW : 古典的騎乗術
予め【大昔にやった騎馬突撃を思い出す 】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD : マスケット銃撃ち
【10秒間の弾籠め 】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【マスケット銃】で攻撃する。
WIZ : 奴隷神使い
【ケツァルコアトルの噛みつき 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:シャル
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
遠呂智・景明
十六夜と連携
意表を突くって意味じゃ、十六夜以外に適任を知らねぇな。
で、何する?……え?
よし、それで行くか。
先制攻撃だ。
十六夜のUCの発動に合わせて俺も風林火陰山雷 火の如くを発動。
はっはっは!仲魔に蹴られて飛んでくる燃える敵なんぞ見た事ねぇだろう!!
さらに、九連撃火炎放射斬り。
とくと味わえ侵略者。
これが驚愕の味ってやつだ。
月代・十六夜
遠呂智・景明(f00220)と連携。
ふむ、10秒必要な遠距離攻撃…これ撃たせたらダメなやつだな了解了解。
よっしゃ遠呂智君、翔ぶか!!
転移直後に構える相方の後ろに移動。
全速力の疾走からの低空【ジャンプ】!
からのー、速度を全部乗せた【韋駄天足・裏】ドロップキック!!
たーまやーってな。いや、なんか違うな?
人間大砲なんて知らんだろ!というか知ってたらドン引きするが!!
あとはまだ動くようなら遠呂智君回収して撤退だ!
アレ食らってまともに反撃してくるようなの相手にしていられるか!
●炸裂、人間大砲!
相手が何かを思い出す前に、意表を突いて相手を倒せ。
そう言われて遠呂智・景明(いつか明けの景色を望むために・f00220)は、直ぐに月代・十六夜(韋駄天足・f10620)の名前を思い出した。
「意表を突くって意味じゃ、十六夜以外に適任を知らねぇな」
そんなこんなで、現在彼らは侵略渡来人コルテスの目の前にいる。やる気もなければ警戒心もゼロの相手のところへは、辿り着くだけなら楽勝だったが。
「なんだ、お前達は? 悪いが、今はお前達の相手などしている暇はないのだ」
二人が目の前にいるにも関わらず、コルテスはまるでやる気がなかった。だが、それを良いことに十六夜は、景明に作戦の概要を耳打ちして聞かせた。
「で、何する? ……え?」
一瞬、十六夜の案を聞いて、景明に一抹の不安がよぎった。
普通であれば、こんな無茶な作戦など絶対にしない。というか、下手に強敵相手にそんなことをしようものなら、まず間違いなく空回りして失敗する。
だが、それでも二人には勝機があった。それは、目の前の男が慢心に支配され、完全にこちらを舐め切っているが故に。
「よし、それで行くか」
「ああ、作戦通りに頼むぜ」
景明に促され、十六夜が彼の後ろから猛ダッシュ! そのまま低空ジャンプをして、十六夜が景明の前に現れたところで、景明は自らの身体に炎を纏い。
「侵略すること火の如く。燃え盛る炎の如き一撃を見せてやるよ」
そのまま容赦なく、燃え盛る脚で十六夜の事を蹴り出した!
「こういう使い方もできるんだぜっ!」
「な、なんだとぉっ!」
名付けて、業炎人間大砲。仲間を攻撃するという、一見して在り得ない行動からの、燃え盛る人間そのものを弾丸として叩き出す、無茶苦茶な技だ。
「ぐわぁぁぁぁっ!」
あまりに突拍子もない合体技に、コルテスは反応することさえできず、そのまま十六夜の身体の直撃を食らって吹っ飛んだ。直線的な攻撃に警戒こそしていたが、まさか人間そのものを弾にして、特攻して来るとは思わなかったのだ。
「まだだ! 九連撃火炎放射斬り! とくと味わえ侵略者!」
続けて、コルテスが起き上がるよりも早く、景明が触れた物体を切断することも可能な程に、鋭い蹴りを連続を見舞う。こちらは、そこまで突拍子もない攻撃ではないが、しかし変幻自在の蹴り技を、この短時間で見切ることはコルテスにとっても難しかった。
「ちっ……味な真似をしてくれる。だが、こちらも弾の装填は完了したぞ。今から、お前達の脳天を、コイツでブチ抜いてやるから覚悟し……っ!?」
ボコボコにされながらも、ようやくマスケット銃へ弾を込めたコルテスだったが、彼が顔を上げた時には、既に十六夜も景明も目の前から消えていた。
「ち、畜生! あいつら、好き勝手にやるだけやって、私が弾を込めている間に逃げたのだな!」
歯噛みするコルテスだったが、時既に遅し。弾込めに10秒もかかるが故、コルテスがようやく反撃の体制を整えた時には、既に二人は撤退した後だった。
大成功
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フェルト・ユメノアール
キミが誰かは知らないけど、みんなの笑顔を奪うような真似はボクが許さないよ!
ボクは『ミラクルシルクハット』から『トリックスター』を複数取り出し、敵に『投擲』
それだけじゃないよ、投擲の中に『ワンダースモーク』を混ぜる事で煙幕を作って視界を塞ぎ、銃の攻撃を妨害
そして、すでにボクは【SPミラーマジシャン】の効果を発動している!
煙幕の中に作り出された鏡に虚像を映す事で敵を惑わし、その隙に一気に接近
相手は騎兵、ボクが勝つには攻撃がしにくい懐まで飛び込んで超近接距離で攻撃をするしかないからね
あとは手を緩めずとにかく攻めるよ!
鳩に戻した『ハートロッド』を『動物使い』で操り、敵の顔を塞ぐと共に連続攻撃を仕掛ける
●スモーク&ミラージュ
「まったく、さっきの連中は何だったのだ。好き放題に攻撃して、さっさと撤退しおってからに……」
先の戦いでケツァルコアトルから叩き落されたコルテスは、散々に愚痴を零しながら、再び竜の背に乗り直していた。
傷は浅かったが、随分と切り刻まれたので、全身が痛む。おまけに、人間大砲なるものの直撃を食らい、肋骨が数本ほど折れてしまった。
この借りは、次に目の前に現れた者を叩き潰すことで、必ず返してやることにしよう。そう、息巻いていたコルテスの目の前で、なにやら白い煙が炸裂し。
「む! な、なんだ!?」
思わず身構えたコルテスの前に、煙の中から一人の少女が現れた。
「夢と笑顔の道化師、フェルト・ユメノアール! キミが誰かは知らないけど、みんなの笑顔を奪うような真似はボクが許さないよ!」
煙に紛れて現れたのはフェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)。その名の通り、彼女の武器は様々な道具とカードを駆使した、夢を現実にするマジックだ。
「まずは、これだよ! 行け、トリックスター!」
シルクハットを抜いで、その内側をフェルトがコルテスに向けた瞬間、中から放たれるのは無数のナイフ。しかも、ただナイフを発射しているわけではない。
「なるほど、投げナイフか。だが、その程度の技であれば、私にも見切れ……?」
マスケット銃を構えるコルテスだったが、気が付いた時には、周囲の視界を完全に煙で覆われていた。
フェルトの放ったナイフは、あくまで見せ技。本命は、ナイフに紛れて投げた煙幕だ。
観客の視線を目立つ何かに集中させ、本命の動きから意識を逸らす。手品師の技としては王道中の王道だが、侵略に明け暮れて虐殺と略奪しか目にしていなかったコルテスにとって、それは未知の動きだった。
「く、くそ! どこにいる!」
慌てて周りを見回すも、フェルトの姿は煙に隠れてまったく見えない。それでも、微かな足音を頼りにマスケット銃の狙いを定め、コルテスは躊躇うことなく引き金を引いたのだが。
「よし、取った……な、なんだと!?」
ガラスの砕け散るような音がして、銃弾に貫かれたフェルトの身体が粉々に砕け散った。コルテスがフェルトだと思って攻撃したのは、鏡に映し出された虚像に過ぎなかったのである。
「ちっ! ならば、今度こ……ぬおっ! な、なんだ、これは!?」
残念ながら、次はなかった。フェルトの杖が鳩になってコルテスに襲い掛かり、彼の顔面を覆う形で視界を塞ぐ。そして、その隙を逃さず、フェルトは再びシルクハットから、無数のナイフを発射したのだ。
「ぐぁぁぁぁっ!」
相次ぐフェイクに翻弄されて、コルテスは反撃することさえできなかった。全身に突き刺さったナイフを抜いて、煙の晴れた部屋の中を見回すと、事を終えたフェルトは既に、姿を消した後だった。
大成功
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ティエル・ティエリエル
WIZで判定
「むむむー、お前、そのドラゴンさんを無理やり使役してるんだな!許さないぞー!」
背中の翅で「空中浮遊」して空中から襲い掛かるよ!
「空中戦」で「フェイント」を入れながらヒット&アウェイで戦うよ!
一直線で突撃したら次はひらりひらりと舞うように近づいてなるべく違った動きを続けるね♪
レイピアでちくちくと刺す攻撃を続けたところに【お姫様ビーム】で突然ビームを出して意表を突いた攻撃だ☆
ふふーん、どうだ!お姫様だったらビームだって出せるんだよ!
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
●姫のレコンキスタ?
「くそっ、猟兵どもめ! 調子に乗りおって……」
全身、傷だらけとなったコルテスは、だんだんと余裕がなくなっていた。
斬撃にしろナイフにしろ、個々の傷はそこまで深くはない。しかし、こうも立て続けに、それも手数で押されては、さすがに蓄積した負傷も馬鹿にならなくなってくる。
だが、今までの戦いで、自分も猟兵とやらがどのような技を仕掛けて来るのかは、だいたい理解したつもりだと、コルテスは鼻で笑っていた。
次に仕掛けて来た者こそ、絶対に返り討ちにしてやろう。自信満々に構えるコルテスだったが、そんな彼の前に現れたのは、なんとも小さな刺客だった。
「むむむー、お前、そのドラゴンさんを無理やり使役してるんだな! 許さないぞー!」
レイピアを抜いて構えるティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)。しかし、その小柄な体躯と愛らしい姿が邪魔をして、どうしても威圧感に欠けるのはご愛敬。
「ハッ! 誰かと思えば、カトンボか。お前のような雑魚にやられる私ではない。死にたくなければ、さっさと失せろ」
案の定、コルテスはティエルの姿を見ただけで、完全に彼女のことを舐め切っていた。もっとも。ティエルとしては、いきなり雑魚扱いなど到底納得行かないわけで。
「そんなに言うなら、ボクを捕まえてごらんよ! できるものなら、だけどね!」
持ち前のスピードを使って翻弄しつつ、一撃離脱を繰り返す。フェイントを絡め、死角に回っては突くの繰り返し。そこまで深くは刺さらないものの、これはこれで鬱陶しい。
「ぬぁぁぁっ! こいつも手数勝負か! だが、そう簡単にやられる私ではない!!」
今までとは攻撃の種類こそ違うが、それでも手数勝負であることに変わりはない。失われた記憶の断片を強引に捻り出し、コルテスは自らの騎乗するケツァルコアトルに命じた。
「あのカトンボを食い殺すのだ!」
瞬間、翼を持った蛇竜が、ティエル目掛けて襲い掛かって来た。かろうじて避けたティエルだったが、このまま戦えば敗北は必至だ。
こうなれば、こちらも奥の手を見せてやろう。続け様に放たれたケツァルコアトルの牙を避け、ティエルはここぞとばかりに、謎の光線を発射した。
「うーー、どっかーん! 今ならビームだって出せそうだよ☆」
「なにっ!? ぐぁぁぁっ!!」
レイピアを向ける先は、当然のことながらコルテスだ。普通に突きを繰り出してくるとばかり思ったコルテスに、まさかの飛び道具が炸裂である。
「ふふーん、どうだ! お姫様だったらビームだって出せるんだよ!」
「そ、そんな無茶苦茶な姫がいるかぁぁぁっ!!」
ティエルの光線に焼かれ、コルテスが盛大に突っ込んでいた。まあ、世間一般の考えるお姫様は、ビームなんて発射しないから当然である。
多少の反撃こそ許したものの、ティエルの作戦勝ちだった。常識に囚われているようでは、型破りな戦い方をする者には決して勝てない。ティエルのお転婆ぶりを予測できなかったコルテスは、彼女の放った謎の光線で、一方的に身体を焼かれてしまったようだ。
成功
🔵🔵🔴
霧島・絶奈
◆心情
勝者が正義であり歴史を作る
そういう意味ではまさに支配者らしい手合いです
ただ、其で足元を掬われるなら道化ですか
まあ、オブリビオンになっている時点で敗北者でしたね
◆行動
『二つの三日月』を召喚し戦闘
私自身は【目立たない】事を利用し、巨人の影に紛れて行動
私も【罠使い】として戦場に罠も仕掛けた後に接近
【二回攻撃】する【範囲攻撃】で【マヒ攻撃】
『二つの三日月』、罠、私自身の攻撃
これらの波状攻撃による十字砲火で対策を絞るまでの時間を稼ぎ攻撃を当てます
知恵を持つ者が感じる最高の恐怖とは「未知」なのだそうです
これで【恐怖を与える】事が出来れば留飲も下がります
負傷は【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復
●破壊と破滅の巨人
猟兵達の度重なる奇策に、コルテスは完全に翻弄されていた。
これは何かの間違いだ。あんな下等生物どもに、神さえも従えた自分が負けるはずがない。
慢心、ここに極まれり。そんな彼の心を更に砕くべく、霧島・絶奈(暗き獣・f20096)は淡々とコルテスへ告げた。
「勝者が正義であり歴史を作る。そういう意味では、正に支配者らしい手合いです。ただ……其で足元を掬われるなら道化ですか」
どの道、オブリビオンになっている時点で、歴史のどこかで敗北しているのだ。そんな敗者が、今さら戦いの最中に現れて、火事場泥棒とは片腹痛い。
「言ってくれるではないか。ならば、お前に私が止められるか!」
追い詰められながらも、コルテスは諦めることなく絶奈に向かって叫ぶ。往生際の悪さだけは天下一品だが、そういう手合いは今までに絶奈とて腐るほど見て来た。
「其は宇宙開闢の理、無限の宇宙を抱擁する者。永遠の停滞にして久遠の静謐」
こいつを倒すには、工夫が必要。ならば、今こそ禁忌の技を見せてやろうと、絶奈は静かに呪文を紡ぎ。
「死の根源にして宇宙新生の福音……。顕現せよ『二つの三日月』」
詠唱と共に現れたのは、巨大な二本の三日月だった。否、正確には三日月などではなく、それは巨人の脚だった。
「なるほど、そのデカブツで、私を踏み潰させるつもりか? だが、その程度の攻撃に対処できないほど、耄碌してはおらんのでな!」
さすがに、巨大なだけの敵を相手に戦う術を忘れはしないと、コルテスはケツァルコアトルを馬に見立て、そのまま一気に突進して来た。
「……狙い通りですね」
だが、それこそが絶奈の狙い。巨人はあくまで盾でしかなく、本当の本命は、周囲に張り巡らせた多数の罠だ。
「消えろ、下等生ぶ……ぐわぁっ!?」
コルテスが巨人の脚に攻撃しようとした瞬間、真下で何かが爆発し、彼を盛大に吹き飛ばした。それを皮切りに、周囲の罠が一斉に作動し、コルテスと爆風や毒矢、トラバサミなどが立て続けに襲い。
「どうですか? 少しは猟兵という存在を、恐れるようになりましたか?」
「ふざけるな! 誰がお前達なんぞを恐れるものか! 虫けらにやられて怒るものはいても、虫けらを恐れる者など、いるはずがないだろう!」
散々に攻撃されながらも、コルテスは自分が強者であり、絶対者であることを譲らなかった。なんというか、無駄にプライドだけは高い。こういう手合いの心を圧し折るのは、なかなかどうして面倒だ。
「まったく、小賢しい小細工ばかりしおって……。だが、その程度の攻撃では、この私を完全に仕留めることはできんぞ!」
再びケツァルコアトルに騎乗し、コルテスが突撃して来た。すかさず、巨人の後ろに隠れる絶奈だったが、強烈な突撃を食らった巨人の足は、たった一撃で木っ端微塵に砕かれた。
(「……っ!? これは……想像していた以上の攻撃力ですね」)
さすがは、これまでにも多くの国を滅ぼして来たと豪語するだけのことはある。奇策を用いて奇襲を仕掛けねば、こんな威力の技を使う相手となど、まともに戦えるはずがない。
残念ながら、これ以上は限界だ。敵が真に戦い方を思い出せば、万に一つも勝ち目はない。
とりあえず、今はコルテスを罠に嵌め、負傷させられただけでも良しとしよう。残った巨人の脚を囮にしつつ、絶奈は次の突進が来るよりも先に、早々にコルテスの前から撤退した。
成功
🔵🔵🔴
アストレア・ゼノ
◆SPD/アドリブ歓迎
美しい場所だが、それに似つかわしくない
不快な臭いの男が居るな
私のUC【竜言語・幼竜招集】は、
骸の海に眠る幼竜達を幻影ドラゴンとして呼び出す技だ
その姿は様々だが、今回召喚するのは
奴が犠牲にして来た「ケツァルコアトルの子」達だ
「行け、敵はあの男だ」
個々の力は弱くとも、奴が彼らを傷付けるなら
その度に「彼女」の心は揺さぶられるだろう
騎乗での狙撃は、騎手と乗騎が息を合わせてこそ成功する
お前の銃など私達には当たりはしないさ
騎竜が揺らぎ、幼竜に群がられて体勢を崩した所に
竜槍を投げて【串刺し】にし
竜の背から引きずり降ろしてやろう
そしてそのまま
自らが踏みにじった命の怒りに喰われるがいい
●復讐の幼竜
厳島神社。航海の平穏を祈る場所に、大航海の果てに略奪行為の限りを尽くした賊がいるというのは、なんとも皮肉な話である。
「美しい場所だが、それに似つかわしくない、不快な臭いの男が居るな」
アストレア・ゼノ(眩き槍の騎士・f01276)にとって、それは許し難い暴挙だった。だが、それ以上に、今までコルテスの行って来た行為そのものが、彼女にとっては許せなかった。
「無垢にして残虐なる者共よ、此処に集え」
開幕一番、彼女は深淵の闇より、竜の幻影を召喚する。それにより呼び出されるのは、他でもないケツァルコアトルの幼竜達。今まで、様々な国を攻め滅ぼす際に、コルテスに生贄として利用されてきた、哀れな小竜。
「む……私の騎竜に対抗するつもりか? 言っておくが、そんな小竜程度では……」
それでも、操る神の格では自分の方が上だと自負するコルテスだったが、彼女の狙いはそこではなかった。
「行け、敵はあの男だ」
あくまでコルテスを襲わせつつ、しかし本命は彼の乗るケツァルコアトルへの攪乱にある。コルテスが弾を込めている間、我が子の似姿をした敵に襲われるケツァルコアトルは、どうにも動きが鈍くなっていた。
「くそっ、この駄神め! この程度のことで、動揺するでない!」
苛立ち紛れに、コルテスがケツァルコアトルの腹を蹴る。ケツァルコアトルを含めてオブリビオンである以上、あの神もまた、まともな良心など持ち合わせてはいないはず。しかし、それでも同族が操られるという様を見せつけられるのは、あまり気持ちが良いものではないのだろう。
「終わりだ、コルテス! この一撃で、地獄へ行け!」
弾を込めている間は丸腰のコルテスに、アストレアの投げた槍が突き刺さる。ケツァルコアトルから叩き落されたコルテスは、そのまま昆虫標本の如く、神社の柱に貼り付けられてしまった。
「……そのまま、自らが踏みにじった命の怒りに喰われるがいい」
これで最後だ。駄目押しに小竜の群れを嗾け、アストレアはコルテスに引導を渡そうと試みた。が、無数の小竜に群がられているにも関わらず、コルテスはマスケット銃をアストレアへと向け。
「この程度で勝ったつもりか? だから、お前達は分かってないというのだ」
「なっ……!」
放たれた銃弾が脇腹を掠めた瞬間、その衝撃だけでアストレアは体勢を崩された。
「ほう、急所は外したか。やはり、この状態では本気で狙うことは難しかったな」
「……お、お前は……」
騎乗からの狙撃に特化させていれば、ケツァルコアトルが予想に反した動きをしたことで、まだ避ける見込みもあったはず。だが、強引に引きずり降ろしてしまった結果、却ってコルテスの射撃を邪魔する者はおらず、彼はアストレアに狙いを定めることができてしまった。
「なかなか、面白い策だったな。だが、最後の最後で使う技が槍投げでは、さすがに私とて対処できるぞ」
なにしろ、自分はこういった原始的な武器を使う者達の国を、いくつも攻め滅ぼして来たのだから。
槍を引き抜き、投げ返すコルテス。互いにダメージは大きく、これ以上の深追いは命を無駄に捨てるだけだろう。
悔しいが、ここは後続の者達に任せよう。投げ返された竜槍を拾い上げ、アストレアはコルテスが再び弾を込めている間に、厳島神社から撤退した。
成功
🔵🔵🔴
ユーノ・エスメラルダ
ヴロス(f03932)さん、ニレ(f02691)さんの三人と参加です
●
生きている以上は立場はみんな同じだとユーノは考えます。存在を尊重もなく雑に弄ぶ様な行為は、ユーノは否定します!
●
作戦通り、触手に包まれます
電脳ゴーグルや【ハッキング】を活用して通信規格を合わせヴロスさんとやりとり
聖痕で治癒に努めつつ、ニレさんへタイミングを伝えます
タイミングが近づいたら【生まれながらのエメラルドの光】を二人に使用、上手くいくよう【祈り】と【鼓舞】の言葉を
二人の能力を大きく上げ、敵の想定を外れる様に
戦いに出る【覚悟】もあります
攻撃を受けても【激痛耐性】や【オーラ防御】で耐えてみせます
●アドリブアレンジ歓迎
ヴロス・ヴァルカー
ユーノさん(f10751)ニレさん(f02691)と共に。
侵略など悲しみ以外に何も生まないというのに。
…かつて奪う側だった私が言うべきことではないですね。
でも、だからこそ貴方を止めます…コルテス!
転送前に少し準備を。
【狩獣】で作り出した触手塊を身体に接続し巨大化、お二人を頭部付近に格納します。
転送後は頭部を庇いつつ、『エンドレス・フューリー』で射撃戦を。
リロードが確認出来たらニレさんを腕に移動させ、ユーノさんの援護を受け強化された『ストーム・ウォーカー』を使いコルテスに向け腕を発射。
これで相手に一撃を加えつつ、悟られぬようニレさんを傍まで運ぶことが出来るはず。
トドメは任せましたよ。
ニレ・スコラスチカ
…きっとあなたには罪悪感など欠片もないのでしょうね。
わたしもそうでしたから、よくわかる。なら、あなたの贖罪をわたしが代行致しましょう。死を以て。
手筈通り、ユーノさん(f10751)と一緒にヴロスさん(f03932)の中で待機します。
「失せた左眼」により【視力】を共有し自立行動する生体拷問器を外に放ち、【フェイント】でヴロスさんを援護。打ち出された触手がコルテスと近接する時に飛び出し、再装填を【見切り】。強化を受けて【磔刑】を放ちその行動を縫い付けます。敵を拘束したら、洗礼聖紋の肉体再生と【激痛耐性】の続く限り【捨て身の一撃】で接近戦を。何度命中させても向かってくる敵、戦ったことがありますか?
●終わらない強襲
猟兵達との度重なる戦いで、コルテスは完全に疲弊していた。
だが、それでも彼が未だ消滅しないのは、妄執とも呼ぶべき執念を抱くが故に。己こそ至高の存在と自負するコルテスにとって、猟兵に敗北するということは、即ち下等生物に敗北するのと同義だからだ。
「おのれ、猟兵ども……。だが、お前たちの戦い方も、かなり覚えたぞ」
次に誰かが現れたら、その時こそは、自分の力を思い知らせてやろう。傷口を庇いつつも立ち上がり、再びケツァルコアトルに騎乗したところで、彼の前に新たな猟兵が現れた……のだが。
「な、なんだ、こいつは? こいつも猟兵……なのか?」
目の前に現れたヴロス・ヴァルカー(優しい機械・f03932)の姿に、コルテスは思わず動揺した。先程までの者達は自分と似たような姿をしていたが、しかし目の前のヴロスは人間とは似ても似つかぬ、異形の存在だったのだから。
「侵略など悲しみ以外に何も生まないというのに。……かつて奪う側だった私が言うべきことではないですね」
自嘲しながらも、ヴロスはゆっくりと触手に覆われた両腕をコルテスへと向ける。奪う側だったからこそ解る悲しみ。そして過ち。そんなものを、これ以上は繰り返させるわけにはいかないのだ。
「敵を逃すなかれ……」
己の身を纏う触手を、ヴロスは両腕から発射した。それだけであれば、コルテスとて対処は可能だったかもしれない。
「……甘いですよ」
触手と同時に、ヴロスの中から飛び出してくるニレ・スコラスチカ(旧教会の異端審問官・f02691)。形状の安定しないヴロスの身体を隠れ蓑に、ニレは触手に紛れて一気にコルテスへと接敵したのだ。
「な、なんだ、お前は! まさか、あの化け物の中身だというのか!?」
「残念、ハズレです。その程度の想像力では、私の攻撃に対処する方法も『思い出せない』でしょうね」
眼前に迫るニレは、実に冷めた口調でコルテスへと告げた。このまま殴ることは簡単だったが、それでは彼に戦い方を思い出させてしまう可能性がある。
「“木にかけられたものは全て呪われている" ……執行完了」
次の瞬間、コルテスの両腕と両足に骨釘が突き刺さり、彼の動きを封じ込めた。本当は急所にも当てたかったところだが、そこは狙いよりもタイミングを重視しているので、仕方がない。
もっとも、完全に決まり切らずとも、ニレのユーベルコードは、それだけでコルテスに凄まじい激痛を与えるのに十分だった。
「ぐぅぅぅ……! な、なんだ、この力は! 下等生物如きが……調子に乗りおって……」
口では悪態を吐いているが、予想していた以上のダメージ、コルテスは苦悶の表情を隠し切れなかった。
いったい、なぜニレの攻撃は、こうまで強力だったのか。彼女の怒り? いや、それだけでは説明がつかない。実は、ヴロスその身にニレだけでなく、もう一人の猟兵を隠していたのだ。
(「ここまでは、作戦通りですね。二人とも、頑張ってください!!」)
ヴロスの中で祈るユーノ・エスメラルダ(深窓のお日様・f10751)。彼女の力はヴロスとニレの潜在能力を極限まで高め、その技の威力を何倍にも増強していたのだ。
「……きっとあなたには罪悪感など欠片もないのでしょうね。わたしもそうでしたから、よくわかる。なら、あなたの贖罪をわたしが代行致しましょう。死を以て」
「ふ、ふざけるなぁっ! この私が……数多の国を侵略して来たコルテスが、貴様達下等生物如きに、倒されてたまるかぁっ!!」
止めを刺さんと迫るニレに向かい、コルテスが吠える。もはや、武器の狙いさえ定められなくなったコルテスは、マスケット銃を闇雲に打ちながら、ケツァルコアトルに命令した。
「この駄神が! さっさと私を、安全なところまで運ばぬか!!」
どうやら、コルテスは戦いを捨てて逃げ出すことを選択したようだ。他人を下等生物扱いしながら、なんとも笑える話だが、しかし彼の行いを黙って眺めているわけにも行かず。
「生きている以上は、立場はみんな同じだとユーノは考えます。存在を尊重もなく雑に弄ぶ様な行為は、ユーノは否定します!」
あまりに傍若無人なコルテスの振る舞いに、とうとうユーノもヴロスの触手の中から飛び出した。彼女の武器は決して他人を傷つけるためのものではなかったが、それでも平手の一発でもかまさなければ気が済まない。
「ぬぅ……ま、まだ伏兵を隠して……ぶへっ!!」
厳島神社の境内に、乾いた音が響き渡った。ユーノの平手がコルテスの頬に炸裂した音だ。が、その一撃を食らいながらも、コルテスはケツァルコアトルの力を利用し、強引に戦場から離脱した。
「……逃がしましたか」
最後の最後で仕留め損ねたことで、ニレが軽く舌打ちをした。散々に人を煽っておきながら、自分が危なくなるとすぐ逃げる。大方、この敗北も、コルテスは相手が卑怯な手を使ったからだとでも思っているのだろう。
「すみません。私が……ナイフの一本でも持っていれば、また違ったかもしれませんね……」
「いえ、気にする必要はありませんよ。あんな男を傷つけ、殺めるのを、ユーノさんが直々にされるまでもありません」
準備不足だと項垂れるユーノに、ヴロスが言った。
あのような下衆を殺めることで、ユーノが傷つく必要はない。どうせ、あの深手では長くは持たない。ならば、せめて束の間の生を謳歌させてやれば良いと、ヴロスはコルテスの逃走した後に、冷ややかな視線を向けていた。
成功
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アンノット・リアルハート
……わかった、じゃあ下等生物らしく戦ってあげる
ユーベルコードで【メタルハート・ベーゼン】と一緒に小さくなって分裂
一部は【継承のリボン】を絡み付かせてマスケットの【武器落とし】を狙いながらコルキスの気を引いて【時間稼ぎ】をしてもらい、残りはその隙に【ダッシュ】で彼の鼻から体内に侵入
【オーラ防御】で生理現象から身を守り、手近な所に槍を突き刺しながら彼の胃まで向かいましょう
胃袋までたどり着くことができたら、ユーベルコードを解除!
元のサイズに戻って内側からコルテスを突き破ります
外に出たら完璧な【礼儀作法】で別れの挨拶をして撤退しましょう
アディオス、アブエロ(古い人)もう会うことはないでしょう
●
厳島神社の海上にて。
海の上に鎮座する巨大な鳥居。そこをくぐり抜ける形で、コルテスは這う這うの体で逃げ出していた。
冗談じゃない。あんな分別のない連中に、このコルテスが殺されてたまるか。殆ど負け惜しみに近い形で、傷だらけの身体を庇いつつケツァルコアトルを飛ばしていたが。
「そこまでだよ。残念だけど、逃げ場なんてないからね」
鳥居を抜けたその先に、立ちはだかったのはアンノット・リアルハート(忘国虚肯のお姫さま・f00851)だった。
「どうやら、まだ私の邪魔をする者がいるらしいな。群れねば何もできぬ下等生物の分際で、なんともしつこい連中だ……」
邪魔をするなら、容赦はしない。今までの戦いで思い出した数々の戦術。それを以てすれば、猟兵の一人や二人、容易く片付けられると息巻くコルテス。もっとも、その慢心が故に、今まで一人の猟兵さえも退けることができていないのだが。
「……わかった、じゃあ下等生物らしく戦ってあげる」
敢えて怒りは飲み込んで、アンノットは静かに詠唱の言葉を紡いだ。
「これは解離する夢、分け隔てられる幻想、されど悪夢を滅する小さな猟兵……」
波が打ち寄せる音に合わせ、アンノットの身体が崩れて行く。いや、崩れたのではない。よくよく見れば、彼女は自らの身体を200近くに分裂させ、それぞれを小さな自分の似姿としていた。
「集団戦を仕掛けるつもりか? だが、私とて多対一の経験はある。異民族の大兵団を退けた時のように、お前達を残らず蹴散らしてやろう」
それでも、何ら驚くことなく、コルテスはマスケット銃に弾を込めた。
彼の経験上、こういう手合いは指揮官を倒せば直ぐに隊列が崩れて動けなくなる。何かを呼び出す類の技もそうだが、命令している存在を見つけ出し、先に倒せばそれで終わる。
「数さえ増やせば勝てると思っているのか? これだから下等生物は……!?」
だが、そこまで準備をしたところで、コルテスは妙なことに気が付いた。
(「なんだ、これは? 指揮官がいないではないか!」)
そこにいるのは、全てがアンノットの同時存在。200近くいる小さなアンノットは、その全てがアンノットであり、互いに意識も感覚も共有している。
指揮官を探したところで、見つからないのは当然だ。なぜなら、この場にいるアンノットは全員が指揮官であり、同時に兵士でもあるのだから。
「し、指揮官だけの部隊だと!? くそっ……いったい、どうすれば止められるのだ!」
さすがに、そんな部隊とは、コルテスも戦ったことがない。しかし、そうしている間にも、アンノットの集団はコルテスを囲い込み、一斉に飛び掛かって来た。
「うおっ! や、やめろ! 離れぬか!」
いくら振り落としたところで、続々としがみついて来るため、きりがない。銃で撃ち殺そうにも、自分の身体に付着しているアンノットを撃てば、自分の体まで射抜いてしまう。
「まだですよ」
「本当の恐怖は……」
「……これからです!」
コルテスに取り付いた小さなアンノット達が交互に喋る。紡ぐ言葉は違うのに、その表情は全て同じ。彼女達はコルテスの顔に貼り付くと、そのまま強引に口を開かせ……盛大に開かれた口の中に、分裂したアンノットの一人が飛び込んだ。
「むぐっ!? な、なにをす……おぶっ!? ぐぼっ! おげぇぇぇ……!」
口の中から食道で強引に入り込まれ、コルテスが噎せた。集団で襲い掛かって来るとはいえ、まさか体内に入り込んで来るとは考えてもいなかったのだ。
「ぐっ……がぁっ……む、胸が……ぎぁっ!?」
足場として槍を食道に突き刺しながらアンノットが進むため、その度にコルテスの胸元に凄まじい痛みが走る。それらがようやく収まると、今度は胃だ。胃袋の辺りに刺すような痛みを覚え、腹を押さえながら顔を上げたところで、コルテスはいつの間にか小さなアンノット達が消えていることに気が付いた。
「な、なん……だ……? いなく……なった、だと…うぅっ……」
アンノット達が消えた矢先、なにやら腹が裂けるように痛む。いや、気のせいなどではなく、本当に彼の腹が内から裂けているのだ。
「ま、まさか……あの娘、私の腹の中で……ユーベルコードを……むげぇぇぇっ!」
果たして、そんなコルテスの予測は正しく、彼の腹を突き破り、元のサイズに戻ったアンノットが現れた。敢えて体内に侵入し、その内部で技を解除することで、アンノットはコルテスを内部から突き破ったのだ。
「終わりましたね。……群れなければ戦えない? その群体を甘く見て敗北するとは、なんとも皮肉なことですけれど」
身体に付着した粘性の高い物質を、アンノットは顔を顰めつつ払い落とす。内より破られたコルテスは無残にも四散し、その肉体は、やがて溶けるようにして消えて行った。
「アディオス、アブエロ。もう会うことはないでしょう」
去り際に、それだけ言って帰還するアンノット。願わくは、彼女の言う通り、こんな男はこの戦いで、完全に消滅して欲しいものである。
大成功
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