エンパイアウォー㉖~捕
●グリモアベース
「やあこんにちは、戦争楽しんでますか?」
ニコニコと笑って、猟兵達の様子を確認しているウィルバー・グリーズマン(入れ替わった者・f18719)は、今日も元気に魔本を確認して、予知の内容を告げる。
「皆さんの活躍によって集まった徳川埋蔵金を使って、幕府軍は無事に補給物資を集める事に成功しました。ここからが本題で、買い占めを行っていた商人の中に、魔軍将『日野富子』の配下である悪徳商人がいる事が発覚しました」
その悪徳商人はオブリビオンで、彼等が逃走する前に資金を没収してしまえば、補給不足などの状況に陥り難くなる。
また、悪徳商人の能力は低く、簡単に捕縛できてしまうだろう……単体ならば。
「そうは行かないのが厄介ですよね。当然ながら対策している様で、用心棒のオブリビオンを雇っています」
数はそう多くはないが、中々強い部類の敵だ。
また一騎打ちを好んでおり、どうにかこうにかして一対一に持ち込もうとする。此方が何が何でも離れたくない場合以外は、まず一騎打ちとなるだろう。
「それ以外に言う事は特にないですかね。適当に悪徳商人をとっ捕まえれば終わりです。では、さっそく転送しますよ」
ウィルバーがニコニコとした表情を全く変えずに、転送を始めて行った。
●先生
悪徳商人オブリビオンを追い詰めた役人達。
しかし悪徳商人は全く余裕の表情で、役人達を見ていて。
「くく、何で俺がこんなに余裕なのか分かるかい? すぐに教えてやるさ……お願いしますぜぇ! 先生方ッ!」
悪徳商人が大声で叫ぶと、辺りに現れる落ち武者のオブリビオン達。
いずれも中々の手練だ。
しかし、役人達はそれを見ても動揺したりはしなかった。
「此方にも心強い味方がいるのです。宜しくお願いします! 猟兵の皆さん!!」
同じ様に現れる猟兵達。言うまでもなく、強者達だろう。
落ち武者達と向き合って、ほんの数分間の戦いが始まるのだった。
小強欲
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
どうも、小強欲と申します。
結構な数の戦争シナリオを出しています。
詳しい内容はOPの通り。
ぶっ倒して、捕らえましょう。(要約)
基本的に一対一ですが、複数人プレイングの場合はその限りではありません。
それでは、熱い戦闘プレイングをお待ちしております。
●他
プレイングが来たらとりあえずリプレイを書きます。
4名様以上のプレイングを頂いた後、全リプレイが書き終わり次第に一斉提出してシナリオを終了します。
また、リプレイ提出時には一度リロードしますが、その際にプレイングが増えていた場合は、そのリプレイを書き終えてから一斉提出します。
第1章 集団戦
『落武者』
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POW : 無情なる無念
自身に【すでに倒された他の落武者達の怨念】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 欠落の決意
【武器や肉弾戦】による素早い一撃を放つ。また、【首や四肢が欠落する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 妄執の猛撃
【持っている武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
イラスト:麻風
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
御園・ゆず
…確かに
確かに次は近接戦だね
と言ってましたが
また戦争ですか!
縋る目でウィルバーさんを見た後
半分べそで転送
眼前に広がる光景に絶望
ニンゲンじゃないですか!
厳密には人間ではないと説明されましたが
…でも、このまま突っ立ってたら殺されるだけ
護るべきもののために、それは避けないと
ええと、よろしくおねがいします
ぺこり、お辞儀をしたら、『かもめ』を発動
五感が研ぎ澄まされていく
相手がどう動くかわかる
初撃が大事
左足を軸に楽器ケースを振り回す
側頭部に当てたらケースを放って
腰後ろに隠してたFN Five-seveNを構えて撃つ
近距離ではまず胴体
それから頭
動かなくなるまで、引鉄を
無感動に流れ出る血のようなものを眺めて
幾つかの場所に分散した猟兵とオブリビオン達。
その一つには、年若いであろう少女と落ち武者が対峙していた。
「……確かに。確かに次は近接戦だね、と言ってましたが……また戦争ですか!」
この前の依頼にて、狙撃による戦術を学んだ御園・ゆず(群像劇・f19168)だったが、今回は近接戦を学ぼうと依頼に顔を出していた。
しかし、今回も戦争による依頼。初めての近接戦闘でこんな場所にまで来てしまった事に、軽く泣き出しそうな表情で。
先ほどもウィルバーに縋るような目で見ていたが、無情にも転送されてしまった。
「ククク、例え嬢ちゃんが相手だろうと……この四郎、一切の容赦はせぬ。我等四兄弟の力、味わうが良い」
そして目の前には落ち武者の一人。名前の通り、四男なのだろう。
威圧感のある表情と、禿頭。姿形だけ見れば、人間そのもの。事前にオブリビオンだと説明はされているが、そう簡単には割り切れない。
(「……でも、このまま突っ立ってたら殺されるだけ」)
護るべきものの為、それだけは避けなければならない。
楽器ケースを取り出して、同じく落ち武者も刀を抜いて、構えた。
「ええと、よろしくおねがいします」
まずは挨拶、ぺこりとお辞儀をすると、落ち武者もまた手を合わせて礼を返した。
自身の肉体に動物の力が宿されて五感が研ぎ澄まされると、同時に呪いを受けて息が荒くなって。
宿された鷹の目は落ち武者の動きをスローモーションで見極める。
更に、その動きを先読みして攻撃の予測を立てて。
(「見える……一人なら、全部」)
これが複数人ならばどうなるかは分からなかったが、一人ならば読み切れる。
戦いは初撃が大事。左足を軸にして楽器ケースを振り回すと、それは敵の刀の突きが届くよりも速く、その頭に命中して。
「ぐおぉっ!」
ボギリッと首が折れるが、それによって動きが加速して、先ほどよりも速い二撃目の突きを放って。
ゆずはそれに動じず、何時の間にかケースを放っており、腰の後ろに隠し持っていた自動拳銃『FN Five-seveN』を構えていて……。
パンッ、と至近距離から落ち武者の胴に向けて、引き金を引いた。
どれ程に落ち武者のスピードが上がろうとも、至近距離からの銃弾を避ける術はない。
パンッ、パンッ、と甲高い発砲音が鳴り響いて、落ち武者の頭や四肢が次々と吹き飛んで行って。しかしそれでも、致命傷を与えるには至らず。
「お、お……やり、おるわ……」
首が千切れ掛かっても声を上げて、ゆずの攻撃に感嘆する落ち武者。
それをゆずは無表情で見る。先ほどとは人が変わったかのように……いや、事実、人が変わっていたのだろう。
多重人格者ではなく、まるで演技をするかの如く。初心者のゆずではなく、何にでもなれる女優として。
落ち武者の鋭い攻撃も、宿した動物の力を最大限に活用して、完全に読み切って銃撃を続けて行く。
「……終わり」
「こ、この四郎が、何も出来ぬとは、な」
四肢を砕かれて、刀も落としてしまった落ち武者に突き付けられる銃身。
ゆずは彼が流す血のような物を無感動に眺めながらも、零距離から銃弾を発射した。
落ち武者はばたりと倒れて、そのまま動く事はなかった。
大成功
🔵🔵🔵
尾崎・ナオ
首や!四肢が!欠落する等で!身軽になれば!更に加速する!!?
なにそれぇ。
「やいやい、この超絶可愛いナオちゃんが相手をしてあげよう!そこのハゲ、名乗りをあげよ!」
UC発動のためとはいえ、名乗りに罵倒を込めるのは良くないと思う。ごめんね。ハゲってどうしようもないもんね。落ち武者なんて悲惨で惨めで本人が一番苦しんでるだろうに。本当にごめんね。【挑発】
二丁拳銃で超速早打ち。ちなみに空気中に痺れ毒を少量まいてまーす。ナオちゃん毒使いなので多少は慣れてるんだにゃあ。
狙うは心臓近く。胴体が飛んでくるなら、胴体ごと消し飛ばせば良い!拳銃である程度ダメージを与えたら【早業】でガトリングに持ち替えて。えーーーい☆
「やいやい、この超絶可愛いナオちゃんが相手をしてあげよう! そこのハゲ、名乗りをあげよ!」
別の戦場で落ち武者と対峙する尾崎・ナオ(ウザイは褒め言葉・f14041)は、二丁拳銃を構えて高らかに名乗る。
かなりの力を持つであろう落ち武者はニヤリと笑うと、中々に恐ろしい笑顔で。
「某の名は三太郎。豪胆なる娘よ。某は禿に非ず。これは剃られたものだ」
ナオが落ち武者の言葉を聞けば、ハッとした真面目な顔になって。
名乗りに罵倒を込めるとは何たる事かと、言ってしまった後で気付いてしまった。
すぐに申し訳無さそうな表情で謝罪を始める。
「ごめん! 落ち武者なんて悲惨で惨めで本人が一番苦しんでるだろうに。本当にごめんね……! 戦で敗走して賞金首にされたり、落ち武者狩りされたりして、辛かっただろうね! ところで三太郎さんはどんな感じに亡くなったの? これも何かの縁、良ければ参考までに聞かせてくれないかなっ!!」
物凄い早さで口から出て来る怒涛の発言。慰めているようで喧嘩を売っている様にも見えるが、これでもわざとではない。
ついでにこの際に気になった事も聞こうとして見るが、それも落ち武者の神経を逆撫でして。
笑顔のままの落ち武者も口元をヒクヒクとして、かなりキレている様にも見える。
「…………あの、怒ってる?」
「怒ってない」
それだけ言うと、刀を構えてナオへと向かって来る。
鋭い怒りの一撃の速度は、まさしく雷光の如き凄まじい速度。
「うわっとぉっ!? お、怒ってんじゃんっ!!」
ナオもまた、爆発的なスピードでそれを躱して、同時に銃を撃って動きを止めようとする。
タタタンッ、と音を立てて落ち武者に向かって行くが、それは一太刀で斬り払われてしまう。
生前は凄まじい実力者だったのだろう、太刀筋に微塵の迷いはなく、何故落ち武者となったのかが謎だ。
「怒ってないと言ったら怒ってない。某、冷静」
「絶対嘘だぁ! この可愛いナオちゃんに嘘は通用……うにゃあっ!」
超人的なナオの動きにも遅れずに、凄まじい速度で詰め寄って刀を横薙ぎする落ち武者。怒りでヤバい動きになっている落ち武者の攻撃を、ギリギリ回避し続ける。
そうして小時間、敵の猛攻をひたすら逃げに徹するナオだった。
不意に、落ち武者の身体にパリッと痺れが走れば、動きが鈍って。
「……これは毒か。いかんな、怒りで我を忘れて、冷静さを欠いたか」
「やっぱり怒ってたんじゃんッ!」
ナオは戦闘中、微量の痺れ毒を空気中に撒き続けていた。
毒使いである彼女は、この毒の効能や範囲を熟知している。自分だけ効果を受けず、敵だけ受けるように動いていたのだ。
その隙を逃さずに、タタタタタタッ、と残る銃弾を放てば、落ち武者を撃ち抜いて。
しかし四肢や頭を撃ち抜いても普通に動いていた。しかしそれは事前に得た情報で知っている。
(「いやいや、首や四肢が欠落して身軽になればって……恐ろしいわぁっ!」)
銃撃が終われば追撃、敵の胴を蹴って商店の壁へと叩き付けると、一気に近付いて。
一瞬の早業でガトリングに持ち替えれば、それを落ち武者の胴体に突き付ける。
「あっ、さっきの悪かったね! いや、わざとじゃなくてさぁ……」
「もう怒ってないから早く終わらせい。今度こそは真実ぞ」
こくりと頷けば、ガトリングが発射されて、胴体ごと落ち武者を消し飛ばしてしまった。
大成功
🔵🔵🔵
鈴木・志乃
※人格名【昨夜】で参加
単純な戦闘は私も志乃も苦手なのだけれど……
どのみち、これ以上の横暴を許す気はありません
UC発動
たとえこの体が壊れようとも、私達の願いは一つ
一刻も早い戦争の終結を、この手に!!
※全ての行動、攻撃、防御に【祈り、破魔、呪詛耐性】を付与※
※【オーラ防御】常時発動※
貴方の衝撃波なんてなまぬるいほど高速で動いてあげましょう
体が欠落されてもよくないと言うのなら
そうね、そのまま突進を
ええ、鳩尾の辺りに頭から激突して差し上げましょう
……何かおかしなこと言いましたか、私
【衝撃波、なぎ払い】
敵攻撃は【第六感】で【見切り】
突進して敵が怯んだ隙に【念動力】で武器を取り上げましょうか
彼方へポイです
悪徳商人の店の周囲で戦闘が始まって、鈴木・志乃(生命と意志の守護者達・f12101)の別人格、昨夜もまた落ち武者と向き合っていた。
単純な戦闘は昨夜も志乃も、苦手な部類なのだが、これ以上の商人の横暴は許せる筈もない。
そう、二人の願いは一つ……。
「一刻も早い戦争の終結を、この手に!!」
昨夜の身体から凄まじい聖光が発せられると、それは邪を消し去る白いオーラとなって、彼女に纏われる。
それを見ていた落ち武者は、すぐに刀を構えて。
「……次悟郎だ。戦争を終結させたければ、まずは我を倒してみせよ」
先に動いたのは落ち武者。聖なる光など恐れてはいないかの様に、真っ直ぐに昨夜へと向かった。
落ち武者が刀で空を斬れば、それは衝撃波と変化して、弧を描いて昨夜に向かう。
それを超える速度で飛翔して躱すが、すぐに追撃による刀の突き刺しが待っている。
「はぁっ!」
聖なるオーラを解き放てば、迫る落ち武者を大きく跳ね飛ばして。
即座に落ち武者へと近付いて、高速移動による攻撃……即ち、突進で落ち武者を倒そうと向かって行って。
それを高速の動きでギリギリ躱すが、聖光は当たらずとも敵を破魔の力によって、よろめかせた。
「ほう、これ程とは……ぬぅっ?」
体勢を立て直して刀を構えようとするが、構える前に謎の力で押さえ付けられる。
それは、昨夜の念動力。不利な状態で止められたまま、刀を奪い取って、そのまま遥か彼方へと投げ飛ばしてしまう。
ここがチャンスと考えると、またもや突進を仕掛けようとするが……。
「なっ、速っ……!」
それよりも先に、落ち武者が殴り掛かっていた。
すぐに落ち武者の腕に向けて頭突きをすると、バギィッ、と音がして。
昨夜の頭に激痛が走る。しかし聖光のオーラで落ち武者にもダメージはある様で、拳が赤く腫れていた。
「この次悟郎、ただでは倒されぬ。刀が無ければ殴るのみよ」
剣術だけではない、落ち武者は格闘術にも精通しているらしく、聖光にも怯まない……相当な猛者である事が窺い知れる。
続く拳撃も凄まじい速度で、一撃でも当たってしまえば、そのまま追撃で倒されてしまう可能性もある。
視覚と第六感をフルに働かせて、更にはオーラも最大限にまで発揮。だがしかし、守ってばかりでは戦いに勝つ事は出来ない。
「たとえこの体が壊れようとも……必ず倒してみせますッ!!」
意志の力は、昨夜に力を与える。
その力が大きければ大きいほど、それは目に見える確かなもの……黄金の聖光となって現れた。
聖光を見て落ち武者が静かに笑うと、受けてやろうと正拳突きの構えを取って。
「来るが良いッ!」
「ええ、いざ……勝負ッ!!」
その言葉と共に、昨夜は二度目の突進を仕掛けた。
黄金の聖光は一直線に落ち武者へと向かって、まさしく光の速度で突き進む。
昨夜の突進は、敵が正拳突きを行うよりも速く、鳩尾へと命中して消滅させてしまった。
大成功
🔵🔵🔵
愛久山・清綱
むむ、まんま時代劇の1シーンでござるな。
自在符見せて「御用改めである」と言ってみようか?
……いや、ダメだな。意味が違うから。
■闘
と、それは置いといて。先ずは用心棒を倒さねばな。
一騎打ちにも応じるか。
刀による攻撃を【野生の勘】で振るう瞬間を【見切り】、
【怪力】を込めた【武器受け】で受け止め、押し返す。
相手の攻撃を弾いてからが本番だ。
先ず、斬りかかる直前に刀を落とす【フェイント】から
「武器を振るうような動作」を見せつけ、突如発生する
無数の斬撃波で斬り伏せてやろう。
これが「無手」の太刀だ。
して、成り行きを見ている商人にも『得体の知れない技』を
見せつけられる【恐怖を与え】、黙らせてやれ。
※アドリブ歓迎
愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は悪徳商人のすぐ近く、敵が営んでいた商店前にいる落ち武者と対峙している。
「むむ、まんま時代劇の1シーンでござるな」
辺りに響く戦闘音は、銃などの音も聞こえて来るが、映画でよくありそうな光景だ。
ここで自在符見せて『御用改めである』と言ってみようか?意味が違うが、何となくそんな雰囲気を出せそうな気もする。
問題はそんな事をしている暇がないと言う事だ。
目の前にいる落ち武者は、途轍もないレベルの実力者……。今も鋭い殺気を放っており、一瞬でも油断をすれば首を狩られてしまいそうだ。
「私は一郎丸と申す者。貴公は?」
物静かに、簡潔に言葉を出す落ち武者。
「愛久山・清綱だ」
同じく簡潔に告げて、互いに刀を構える。
これ以上の言葉は無用……後は斬り合いで語るのみ。
全くの同時に動き出して、戦闘が始まった。
「ぜぇい、やアァッ!!!」
落ち武者の剣撃は恐ろしいまでに達しており、一撃でも当たれば致命傷を免れないであろう、必殺の剣。
威力に特化しているそれの速度が遅い訳でもなく、ましてや適当に振っている訳でもない。高い精度と速度をもった上での、必殺の一撃なのだ。
(「これ程とはな……恐ろしい奴よ」)
だがしかし、清綱はそれを確実に見切っており、極限まで研ぎ澄ませた勘で反撃の機会を待つ。
何度かそれを躱していると、甘い動きで踏み込んで突きが放たれる。即座にそれを『今刀』で受けようとするが……。
突如として突きが止まると、二度目の踏み込みで、刀の振り下ろしがによる一撃が清綱を襲う。
「くッ、これは……!」
渾身の力で後ろに下がってそれを躱すが、切っ先が当たって、額に血が流れてしまう。
単純な膂力も恐ろしいが、技量もまた凄まじい。フェイントによる一撃は、僅かに清綱を傷付けた。
「今の一撃を……」
まさか躱されるとは思っていなかったようで、驚きつつも鋭い目で清綱を見ていた。
そこに、商店の中から悪徳商人が顔を見せて。
「い、今、援護いたしますぞ、先生……!」
ぶるぶるとした手で火縄銃を構えており、清綱へと向けて、火を付けようとするが……。
二人の鋭い視線が突き刺さって、ひぇぇ! と声を上げれば、恐怖でへたり込んでしまう。
「ここからが良い所だ、邪魔はするなよ?」
「そうです、そこで見ていなさい」
悪徳商人は無視して、再度二人は向き直った。
幾つもの剣閃が放たれる戦場。
しかし剣が当たる音はなく、落ち武者は斬り続けて、清綱は機を待ち続ける。
そうして、落ち武者の渾身の突きが放たれて、もはやリスクを負ってでも受けなければならないと考えた清綱は、後ろに下がりながらそれを今刀の面で受け止める。
ギリギリギリッ、清綱の合金刀は敵の突きを捉えて、すぐにそれを押し返す。
しかし体勢は崩れず、即座に反撃に移ろうとするが、既に清綱は上段に構えていた。
「ほう、速いですね」
流れるような動作でそれを防ごうと、防御の構えを取って、刀に力を込める。
そして、振り下ろされる刀……。は、落ち武者の目の前を垂直落下していって、代わりに放たれるのは、何も持たない清綱の振り下ろし。
一瞬、何が起きたのか分からない落ち武者だったが、すぐにその行動の意味に気付いた。これはそう……フェイントだ。
「はは、は……これが、貴公の力、ですか……」
「いざさらば、一郎丸殿」
無刃。
無手から放たれる太刀は防御を無視して、斬撃の嵐を発生させ、落ち武者を一瞬で斬り裂いてしまった。
●悪徳商人の最期
数分間の戦闘を終えて、落ち武者は完全に倒され、悪徳商人は捕縛されてしまう。
色々と喚いていたが、すぐに処分されて無事資金を没収する事に成功した。
これで補給不足に陥る事が減るだろう。
だが、まだまだ戦争は終わらない。
次なる戦場に向けて、力尽きるまで走り続けよう。
大成功
🔵🔵🔵