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エンパイアウォー⑳~その血と汗は~

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #日野富子

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●その血と汗と涙と
「諸君。貴き者の使う金子は、何処から来ると思う?」
 異界の天使スフィーエ・シエルフィートは集まってきた猟兵達に冷徹に語り出す。
 杖代わりに立てた剣は、細かく震えているのが静かな怒りを物語るのだろうか。
「……そう、貴き者を支える民の血と汗の結晶だ」
 静かに重く語りながら、彼女は秘宝(グリモア)を輝かせ語りを始めた。

「それを履き違えた悪女を討って欲しい。相手はこいつ、悪女と名高き『日野富子』だ」

 大悪災『日野富子』――信長六魔将が一人にし、経済を以て幕府軍を苦しめんとした歴史に名高き悪女の亡霊(オブリビオン)である。
 猟兵の活躍により、現在は「花の御所」と呼ばれる場所にいることが分かった。
 京都にあるそれは現在は、日野富子の財を尽くした私邸となっており、新築の豪華絢爛な建物になってると映し出しながら語る。
「そこに直接転送するから、彼女を懲らしめて欲しい……のだが、注意点はある」
 それは過去の『強敵』の多分に漏れず、猟兵達の攻撃に先んじて攻撃を仕掛けてくるということだ。
 無策のまま突撃すればただ攻撃され失敗に終わるだけだし、単純な邪法(ユーベルコード)の効果自体での対応は効果が限りなく薄い。
 複数の邪法による対抗もその分だけ、敵の邪法を受けてしまうのだと語る。

「使用する能力は三つ。どれも強力だが、それを凌がないことには始まらない」
 肉体的な力に秀でた者には、憎悪の籠った視線を向けて対象を燃やす力。
 敏捷性に優れた者には、長く伸びる強固な爪で凄まじい連続攻撃を仕掛けてくる。
 魔力等を得意とする者には、苛立ちを向けた相手に応仁の乱で飛び交った火矢の怨霊を嗾けるという。
 いずれも強力な技だが、まずはその先制攻撃を凌がなければ、態々相手の技を喰らいにいくだけのことだと語る。
「勿論、凌いで漸く……だということを忘れてはいけないがね」
 スフィーエの語るように凌いで、その上で強力な反撃を与える必要はあるだろう。
 兎に角、相応の強敵ではあるので十分に注意して欲しいのだと語った。

「彼女は金、金と執着しているようだが……その金の貴さをまるで知らないように私は思える」
 そうして語りを一頻り終えた彼女はまたぽつぽつと語り出す。
 一瞬だけ銀灰色の瞳に冷たい輝きを宿すと、はっと気づいたように頭を振って改めて猟兵達の前に転送の結界を作り上げつつこう締めた。
「どうか、血税という言葉の貴さを、我欲に魅入られた哀れな亡霊に叩き込んでやって欲しい。では送るから、準備ができた者から声を掛けてくれたまえ」


裏山薬草
●注意!
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●注意その弐!
 大悪災『日野富子』は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼女を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
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第1章 ボス戦 『大悪災『日野富子』』

POW   :    アタシの前に立つんじゃねぇ!
【憎悪の籠った視線】が命中した対象を燃やす。放たれた【爆発する紫の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    アタシのジャマをするな!
自身の【爪】が輝く間、【長く伸びる強固な爪】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    誰かアイツをぶっ殺せよ!
自身が【苛立ち】を感じると、レベル×1体の【応仁の乱で飛び交った火矢の怨霊】が召喚される。応仁の乱で飛び交った火矢の怨霊は苛立ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:みそじ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※マスコメ補足
 どうも、裏山薬草です。
 今回も戦争シナリオをお送りいたします。

 今回は豪華絢爛な花の御所にて大悪災『日野富子』を討伐して頂きます。

 敵は必ず猟兵の皆様の扱うユーベルコードの能力値に応じ、同じ能力のユーベルコードで先制攻撃を行ってきます。
 なので対抗策を書かないプレイングは問答無用で「失敗」となります。
 また、単純なユーベルコードの効果自体での対応、または複数のユーベルコードでの対抗も「苦戦」は免れませんのでご注意ください。

 また、先制攻撃を潜り抜けたとしても日野富子は強敵です。
 相応の判定は致しますし、苦戦も多くなると思われますのでご注意ください。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
 裏山薬草でした。
シーザー・ゴールドマン
【POW】
金が好きかね? 構わないとも。
だが、その集めた金で何を成すつもりなのか興味があるね。
いや、オブリビオンである君にはこう尋ねるべきかな?
何を成したかったのかね、と。

■先制対策
直感によって視線の直撃を避ける。延焼分はオドによって防いで反撃開始。
(第六感×見切り→オーラ防御×火炎耐性)

まずは接近、オーラセイバーによる斬撃を。
(先制攻撃×怪力×鎧砕き)(フェイント×2回攻撃×鎧無視攻撃)など
強敵であるので少し戦って力量、間合いを掴み、ここぞというタイミングで右手の剣で防御を崩し、左手の『バベルの消失』の拳打を叩きこみます。
敵の攻撃は直感による回避からのカウンター
(第六感×見切り×カウンター)



●貴公子
 転送の結界を通った先に見たのは、それだけを見れば正に天上の館だった。
 贅を尽くした花の御所とはよく言うか――その中で、髪を振り乱し半狂乱に叫ぶ女がいた。
 それこそが信長六魔将が一人、大悪災『日野富子』であった。
「金、金、金ぇぇ……全部、全部全部全部!」
「おや、そんなに金が好きかね?」
「何奴ッ!? ……徳川葵共か!!」
 尊大にして優雅な貴族然とした振る舞いの半魔、シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は大悪災に問いかけた。
「構わないとも。だが、その集めた金で何を成すつもりなのか興味があるね――」
「黙れ愚民がッ! 来やすくアタシに話かけんな! アタシの前に立つな!」
 悠然と頷き彼女に歩み寄りながら言葉を続けるシーザーに憎悪の籠った眼が向かう――睨むだけで蚊も殺すとは誰が言うた。
 尤も、立ち込める爆炎は屈強な妖魔すらも焼き尽くすだろうが――間一髪で視線の直撃を避ける……つもりだったが。
 女の憎悪の視線の広さは余りにも広く、目に映る全てを憎む勢いで次々とシーザーの回避する先ごと紫の炎が爆ぜて破壊を振りまいていく。
「先程の質問は失礼したよ」
 咄嗟に纏う魔力によって爆炎の直撃だけを避けるが、彼の衣服が焼け焦げ魔力に覆われた肉体を貫き熱傷を喰らうが――それでも、光の剣を右手に携え大悪災に兜割を仕掛け。
「亡霊である君にはこう尋ねるべきだったね――何を成したかったのかね、と」
「ッ……黙れよ! アタシを馬鹿にするのも大概にしやがれ!!」
 それを躱す大悪災へ間合いを図りながら、剣を繰り出し彼女を翻弄しつつ、シーザーは悠然と言葉を投げかける。
 言葉の苛立ちがやがては頂点に達し、大悪災が再びその憎悪の籠った視線から目の前の偉丈夫を焼き尽くさんとした刹那、眼前を光の剣が走り一瞬だけ硬直させ。
「消えたまえ」
「しまっ……!」
 剣は囮、本命は左拳……魔力を乗せた必殺の剛拳が、大悪災の顔面に減り込んでいた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

うっわぁ、ヒス持ちでもここまで来ると一周回って立派だわー。
しかも金の使い方が下手って。
もうちょい頭使えばこんなことにならなかったんじゃ……
ってなんだよその火矢はよー!?
そんなに図星突かれたのが嫌だったのかってまた増えた!?
咄嗟に『オーラ防御』を展開しながら、
『衝撃波』で矢を吹き散らしつつ『ダッシュ』!
襖や障子といった屋敷の中にある『地形の利用』も併用して、
兎にも角にもサイキックを練り上げるまでは逃げ回るよ!

その内に上手くバリアが完成すれば、
【嵐裂く稲妻】となって突っ込める。
逃げ回ってる間に奴の死角に回り込み、
『敵を盾にする』ように
自分の呼び出した火矢を浴びせたいね!


仇死原・アンナ
まさしくその姿は金の亡者か…
貴様のような悪災には悪銭すら身に付くまい…

他の同行者と共闘

[存在感と殺気]を放ち敵を[挑発]し視線を集めよう
紫の炎には[呪詛・火炎・激痛耐性]で耐え抜いてやろう

「そんな目でワタシを見るんじゃあない…さもないと!」

さらに【ゲヘナ・フレイム】で体を地獄の炎で纏い敵の炎を[吹き飛ばす]

敵に元に[ダッシュ]で近づき[ロープワーク]で鉄球の付いた鎖の鞭を振り払い敵の目に強く叩きつけてその憎悪の籠る目を[部位破壊]しよう

そして鉄塊剣を抜き[力溜め]と[怪力]による一撃を叩き込む

地獄の沙汰も金次第だが…我が地獄の炎は金も貴様も燃し尽くすぞ…
富も生まれも関係なくな!

アドリブ絡みOK



●来園せし女達の雷炎
「徳川葵共めぇ……オラッ! 一人残さずブチ殺したらぁっ!!」
 顔面を抑え、大悪災は喚き散らす――黙っていれば美人に分類されるであろう顔の表情は、人間の顔では無かった。
「うっわぁ、ヒス持ちでもここまで来ると一周回って立派だわー」
 転移してきた数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は呆れ返った様子で、大悪災の姿を見やる。
「しかも金の使い方が下手って。もうちょい頭使えばこんなことにならなかったんじゃ……」
「あァ!? アタシの自由だろうが! お前達、このアマァぶっ殺しちまいな!!」
 多喜の声に耳聡い大悪災は目つきを更にきつくし多喜を睨みつけ。
 かつての怨霊を呼びつけると、その苛立ちをぶつけるように火矢を嗾ける。
「うげっ聞こえてたか……って、なんだよこの火矢ー!?」
 繰り出された150は優に超えるであろう軍勢から放たれる火矢、真面に受ければ大火事は避けられないそれに青ざめつつ多喜は逃げ出す。
「逃がすかよクソ女ァ!」
「そんなに図星突かれたのが嫌だったのかってまた増えた!?」
 視線からの爆炎ほどに強い火でない以上、咄嗟に巡らせた光壁での防御も可能、光壁からの衝撃で矢を吹き飛ばしつつ駆けるも、大悪災と彼女の呼んだ軍勢は容赦なく追い縋る。
「……はっ」
「……あ? なんだてめぇ。てめぇもアタシの邪魔ァする気か? 怪我したくなきゃさっさと退きやがれ!」
 追いつかれ組伏されては不味い――焦る多喜と大悪災の間に割って入ったのは、仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)だった。
 執着からなる憎悪と苛立ちの眼を見下し、誘うように溜息一つ、大悪災の下へ投げかける。
「まさしくその姿は金の亡者か……貴様のような悪災には悪銭すら身に付くまい……」
「ッ……退けって、言ってんだろうが!」
 苛立ちを収めることはなくも、憎悪の対象をアンナに決めたか。
 立ちはだかる者への憎しみを込めた眼が彼女の体を包む――!

「大丈夫かねあの人……ってうわっ!」
 アンナが注目を集め、何とか軍勢から逃げるだけに済んだ多喜であったが、怨霊の猛追は続く。
「しつこいよ!」
 御所の障子や襖に隠れ、纏う壁以外でも火矢の猛攻をやり過ごしつつ駆け抜ける。
 だがこれは逃げではない、戦略的撤退……そう、この身体に流れる念力の力を練り上げる為の。
「……よし! 稲妻の如く……駆け抜ける!」

 一方その頃。
「ぐっ、ぅぅ……!」
「さっさと消し炭になっちまえ! 畜生、苛立つ奴ばっかだ」
 爆炎を誘う視線を真っ向から受けたアンナの身は紫炎に包まれ、その激しい苦痛が彼女の身を焼き続ける。
 憎しみの呪詛と高熱を必死で耐えるも、大悪災の眼と注意を真っ向から引き受けている形となる以上損傷は必死、しかし。
「そんな目でワタシを見るんじゃあない……さもないと!」
「さもないと、なんだって……があっ!?」
 放たれる地獄の業火は、悪女の炎と悪女自身の体を吹き飛ばし。
 壁に叩き付けられる大悪災へアンナは増強した力を以て距離を詰めると、その片目へ鉄球を叩き付け盛大に壁へ叩き付け。
「待たせたね!」
「あっ、テメ、ここで会ったが百年目……ッ!」
 潰れかけた片目を抑えつつ大悪災の視界に映ってきたのは、雷を球場に纏い、正に雷速が如き速度で御所を一回りし駆けてきた多喜だった。
 苛立ちに比例し、火矢の勢いは増すがそれは自殺行為――火矢が大悪災目掛けて駆ける多喜の背に突き刺さる瞬間。
 彼女は雷速を以て大悪災の背後に回ると、それ自身を盾に火矢を逆に突き返し。
「っくしょぅ……あいつら……! あの給料泥棒め、地獄の渡し賃やんねーぞコラ……あ」
「……確かに地獄の沙汰も金次第、だが」
 火矢を抜き、怨霊を踏み潰す大悪災の下に現れたのは。
「我が地獄の炎は金も貴様も燃し尽くすぞ……富も生まれも関係なくな!」
 鉄塊の如き巨大剣に、極限まで巡らせた膂力と業火を乗せてその脳天へ叩き付けるアンナだった――!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニコ・ベルクシュタイン
其の苛立ちはお前だけのものであろう、ならば――

召喚される怨霊の数は敵の強大さに比例して途轍も無く多いと見た
ならば此方も物量で対抗せねばなるまい
武器を【花冠の幻】で無数の花弁と為し「範囲攻撃」にて
可能な限り広く花弁を展開して怨霊達を迎撃しよう
「オーラ防御」の力を通して一種の防御障壁にもなり得る花弁だ
どうか火矢の雨なる怨霊を防いでおくれ

反撃の機が見えたら別の装備武器を惜しみなく投入して「2回攻撃」
最初は防御に使用した花弁を一斉に敵目がけて殺到させよう

怒りを他者に代行させようなど、少々勝手が過ぎるのではないか
己が手で縊り殺す位で無くては其の妄執も晴れはすまい
そう容易く此の身をくれてやる訳には行かぬが



●時は金なり
 脳天より流れた血は、美人の顔を鬼のように歪める――或いは、内面を単にそのまま外に出しただけなのかもしれないが。
 大悪災は秘宝の転移を通り、新たに現れた徳川葵にその込み上げる苛立ちを向ける。
「糞がぁぁ……糞! 糞ッ! 揃いも揃ってアタシの邪魔ァしやがって! 苛立つわぁぁ……!」
「其の苛立ちはお前だけのものであろう、ならば――」
 ニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)は大悪災の呼びだせし無数の軍勢を前に眼鏡を軽く押し上げると、星型の花咲く柊の杖を取り出し。
 涼やかな声の紡ぐ詠唱が、柊の杖身を次々に虹色の花弁に変えていき――
「夢は虹色、現は鈍色、奇跡の花を――」
 火矢の怨霊の壁と為さんと、魔力の輝きを宿した花弁を巡らすも。
「――遅ェんだよ」
「がっ……!」
 ニコの呪法の発動よりも早く――嗾けられた火矢の怨霊がニコの体に次々と突き刺さり熱と刺突の耐え難い苦痛を与える。
 しかし。
「……此処に紡がん!」
「なにが花だ……花より金子だろうが。殺っちまえ!」
 ――それでも解き放たれた眩き虹色の花弁は、纏う輝きも相俟って正に怨霊を弔う艶やかな虹の光壁の如く。
 最初の着弾を呪法以外で凌いでいれば、紛れもなくニコは完封できていたであろう程の防壁は、怨霊の火炎を完全に防ぎ切る。
「怒りを他者に代行させようなど、少々勝手が過ぎるのではないか」
 余計に苛立つ大悪災に、巡らせた壁越しにニコは語る。
 勿論、損傷は痛いが当初の予定通り――受け止め、そのまま押し返す。
 新たな武器を静かに、また新たに追加で虹の花弁に開かせると。
「己が手で縊り殺す位で無くては其の妄執も晴れはすまい……そう容易く此の身をくれてやる訳には行かぬが」
 最初に生み出された花弁と共に大質量の花弁が、怨霊共々に大悪災の喚きと呼吸を完全に埋もれさせ。
 時<金>の重みを知らしめた宿神は、杖と……そして、時計の針を象った剣を花弁より戻すのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
所有欲の権化、放置しておけば財を残らす我が物とし、民衆を飢えさせることでしょう。それはある意味武力よりも脅威
騎士として阻止せねばなりません
その野望、阻ませて頂きます

初撃は視線を遮るように大盾を投げて●盾受け
盾を犠牲に凌ぎ、接近しつつ御所の床の畳を●踏みつけ、跳ね上げ●怪力で掴んで投げつけ先の盾と同じ方法で視線を防ぎ接近


UCを発動し、向上した機動力とスラスターによる●スライディングで視線から逃れる様に背後へと急速接近
発射したワイヤーアンカーでの●ロープワークで髪の房を掴み頭の向きを無理矢理変えて視線を防ぎ、剣で刺し貫きます

…女性の髪にこのような暴挙、騎士失格ですが、エンパイアの人々の為です…



●長き友の無かろう女
 激戦で己の身の損傷と同時に、荒れた御所の具合を見て騒ぎ立てる女を見て戦機人の騎士は思った。
 正に所有欲の権化、その際限なき欲望は放置すれば血税を根こそぎ吸い上げ民に還さず餓えを齎すだろう――それは単純な武力より脅威故に。
「――その野望、阻ませて頂きます」
「野望……? アタシの金をアタシが手にするんだから正当な権利だろうが!!」
 機械騎士トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)の野望と言う言葉に怒りを覚えたか憎悪の籠った眼を大悪災は向ける。
 それと同時、トリテレイアは大盾を顔面目掛け投げつけて視界を遮る――瞬きする間も無く業火で包まれる盾が音を立てて床に落ち。
 大悪災は新たな目線をトリテレイアへ、トリテレイアは力強く御所の畳を足を差し込み蹴り上げるように剥がし、その剛拳で投げ放ち視界を封じつつ迫る――
「!? 糞がッ! アタシの屋敷に何しやがる!」
 視界を覆う畳を爆炎で焼き尽くし、己が屋敷を傷つけられた怒りの眼を今度こそ向けんとするが、既にそこに騎士の姿は無く。
「格納銃器強制排除、リミット解除、超過駆動開始――!」
 その鎧に秘められた銃器を外した代償に、背の推進は限りなく速く――近接に特化した形態となった騎士は推進器を噴き上げ床を削りながら滑り込む。
 その先は大悪災の背後……彼女が振り向き憎悪の眼を向けるその前に。
(……女性の髪にこのような暴挙、騎士失格ですが、エンパイアの人々の為です……)
 だが力無き民の為なら、この騎士道喜んで背こう――それが正しき騎士道――かつて民の為に己が誇りを喜んで落とした武士の如く。
 射出した鋼線の錨が大悪災の髪を絡め所々を千切れさせながら、強引にその視線を逸らさせ。
「てめっ、女の命だぞ……!」
「謗りは喜んで受けましょう……全ては民の為に!」
 真の誇りを以て突き出した騎士の刃が、悪女の腹を穿ち血の華を散らす――!!

成功 🔵​🔵​🔴​

ジード・フラミア
メリアのボディがジードを下に落下しながら
メリア『お金に執着デスカ。それはいいデスケド、お金の怨みは食べ物の次に恐ろしいデスヨー!サァ!私たちの攻撃で実感してクダサイ!!!…………


今デス!』

【オペラツィオン・マカブル】を使用
ジードは脱力状態で落下します。攻撃が来る瞬間メリアもジードの体で脱力
そのまま【アタシのジャマをするな!】を排出 つまり、メリアの爪を伸ばし攻撃します。ジードも、できるなら落下の勢いを使い攻撃を開始します。

ジード「人から奪うだけ奪うなんて許されない!そんな領主は要らないよ!!」

アドリブ・共闘は歓迎です。



●貴き者の応報
 絢爛なる御所も激戦によりて無残な姿となりて。
 贅を凝らした調度品は荒れ、最早その権威を表すことも叶わない……大悪災は壊れた調度品を踏み潰し怒る。
「ハァ、ハァ……ちぃっ、アタシの屋敷がぁっ……!」
 その大悪災を天井から見つめる少年と少女――内、少女は明らかな人形であった。
 その少女人形メリアが呆れたように語りつつ、少年ジード・フラミア(人形遣いで人間遣いなスクラップビルダー・f09933)が飛び降りる。
『お金に執着デスカ。それはいいデスケド、お金の怨みは食べ物の次に恐ろしいデスヨー!』
「……上か! 金が一番に決まってんだろ、クソガキャァ!!」
 その爪を輝かせては伸ばし、名刀も凌ぐ切味を持たせ大悪災は落下するジード目掛けてその爪を振るう。
 対してジードと少女人形の語りを担うもう一つの人格、メリアの狙いは、落下しつつ完全な脱力状態となることで受ける。
 猟兵が扱う呪法の一つに、そうすることで技を無力化し跳ね返す技を以て凌ぐこと……だったが。
「だから……遅ェんだよ!!」
 完全な脱力が整う前に、大悪災の爪は容赦も情けも微塵もなく。
 単純な邪法の効果で凌ぐことは難しい――歯噛みするジードの体を、大悪災は嬉々として斬り裂いていく。
「おらっ! 落とし前付けて貰おうじゃねぇか、徳川葵よォ!」
 悪女の笑い声が響く――身を切り刻む痛みと嘲笑に怒りが湧き上がり、力が籠りかける……駄目だ。邪法の為には力を抜かなければならない。
 そうして籠りかけた力を完全に抜けば漸く邪法の準備は整う。
『今デス!』
「人から奪うだけ奪うなんて許されない! そんな領主は要らないよ!!」
『サァ! 私たちの攻撃で実感してクダサイ!!」
「アタシのモンを……がああ!!」
 九度目の爪の斬撃を吸い込むように身体に取り込み。
 人形のメリアの体から、大悪災と同じ名刀を凌ぐ切味の爪を輝かせ伸ばすと――傲慢なる奪うだけの女を、容赦なく刻んでいくのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

レン・ランフォード
Pow・アドリブ等歓迎

凄まじい執念…まさに金の亡者ですか
死者がもつのは六文で十分、その執念ここで斬ります

ワープする時点でダンボールをかぶって身を隠します
到着即発煙弾をばらまいて「目潰し」、【大典太】を召喚
燃やされても我慢「火炎耐性」しつつ「早着替え」で脱ぎ捨て
更に「残像」を置いて「時間稼ぎ」を

大典太の持つ刀を突き立て私を隠し「武器受け」
大典太も巻いているお揃いのマフラーを敵に「投擲」
視線を封じ、また燃える布を敵にぶつけ巻き付ける火「属性攻撃」
そこに大典太のオーガスラッシャーで「なぎ払い」を叩き込みます

保険として煙幕に紛れて「忍び足」で「目立たない」よう接近
隙をついて「暗殺」を仕掛けます


四季乃・瑠璃
緋瑪「うわー…お金への執着とか狂いっぷりもあそこまでだと引くねー…」
瑠璃「悪女で有名なヒトみたいだしね。地獄の沙汰も金次第とは言うけど、死んで役に立ったか聞いてみて良いかな?」

UCで分身&能力・武装強化

・対策
屋敷に転送されたら、角や物陰から閃光仕様と煙幕仕様のボムを放り投げて視界を封じ、視線によるUCを無効化。
UCを発動しつつ、屋内である事を活かして煙幕で互いが見えなくても逃げ場が無い程の【範囲攻撃、早業】接触式ボムを二人掛かりで放り込んで飽和攻撃。

敵の反撃を煙幕や爆風で視線を遮ったり【見切り、第六感】で回避しながら爆破を仕掛けて行き、最後はジェノサイドノヴァで消し飛ばしてあげるよ!



●複なる御霊が煙に撒く
 大悪災との戦いは転機を迎えんとしていた――これまで、限りなく一進一退の攻防を繰り広げてきた徳川葵と亡霊だが、ここが転機だろう。
 形勢を決める最後の一手――新たに秘宝の転移を抜けてきた二人の少女の姿がそこにあった。
 現れるや否や、一人は紙箱に隠れ、また一人は柱の陰に隠れ――奇しくも、同じ手段を以て大悪災の邪法に対抗せんとしていた。
 それこそは彼女達が同時に投げ放つことで広げられた煙幕――紙箱に隠れたレン・ランフォード(近接忍術師・f00762)と柱の陰に隠れた四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)の手に依るものだった。
「糞がぁぁ!! そんなんでアタシの力を封じたつもりかぁっ!!」
 勿論、煙だけで完全に封じられる訳ではない――視線が彼女達に向かうその前に。
 瑠璃の放つ閃光弾が煙に僅かに映った人影すらも、大悪災の視界から掻き消す。
「糞糞糞糞糞が! 大人しくしな! アタシの屋敷が燃えるだろ! アタシの! 金が! 燃えるだろうがぁ!!」
 しかし手当たり次第に憎悪の籠った視線が、花の御所を次々と爆ぜさせ絢爛なる屋敷を次々と炎上させていき。
 自らの行いを完全に責任転嫁させて叫ぶ大悪災を閃光と煙幕の中に隠れやり過ごしつつ、瑠璃の体のまま半身の緋瑪の人格を以てレンに囁く。
「うわー……お金への執着とか狂いっぷりもあそこまでだと引くねー……」
「なんと凄まじい執念……まさに金の亡者ですか」
 視線を手当たり次第に向け、爆炎を振りまき執着を叫ぶ姿は亡霊ということを差し引いても亡者に相応しいだろう。
「悪女で有名なヒトみたいだしね。地獄の沙汰も金次第とは言うけど、死んで役に立ったか聞いてみて良いかな?」
「それも一興ですが死者がもつのは六文で十分、その執念ここで斬ります……これは私たちの新たな剣、三界の力で生まれた機械仕掛けの覇王!」
 改めて瑠璃の人格にレンは頷くと、十分な時間を稼げたことを確認し邪法を発動する。
 それと同じくし、瑠璃もまた邪法の力を以てもう一つの御霊である緋瑪に語り掛ける。
「行くよ、緋瑪」
「行こう、瑠璃」
「「さぁ、わたし達の殺戮を始めよう」」
 レンの呼び出した機械仕掛けの巨人が現れると同時、瑠璃もまた半身の緋瑪を現世へ具現し、その身に光を纏い。
「おるぁっ! さっさと出てきやがれ徳川葵共が! ……そこか!」
 現れた巨人の影にこれ以上と無い存在感を覚えたか。
 大悪災はその眼を半狂乱になって向けるが、巨人の持つ刀が影となって三人を隠し。
 その対価に刀が燃え盛るも彼女達に一切の傷は無く――
「こんなに騒がれるとすぐに場所が分かっていいよねー♪」
「どの道纏めて吹き飛ばすけどね」
 巨大な刀を影とし、瑠璃と緋瑪の投げ放つ爆弾が、その煙幕を吹き飛ばす勢いで次々と投げ放たれていけば、衝撃と熱が大悪災に牙を剥き。
 罵声は悪女の存在を露わにし、放たれる爆炎は悪女の放つ爆炎そのものすらも飲み込み、逆に吹き飛ばし、その身体を芋虫の如く転がして。
 起き上がる大悪災目掛け、紫炎の付けられた首巻をレンの動きと連動する巨人が、その爆風に乗せて放ち。
「糞、がぁっ……! アタシの顔に、糞ったれぇ!」
 顔面に燃える帯を叩き付けられ、悶絶する大悪災目掛け振るわれていくは巨大な翠の光放つ刃――鬼斬りの銘を持つそれが悪女の肌に。
「ご安心を。……顔だけではありませんので」
「そう、丸ごと!」
「消し飛ばしてあげる」
 ――触れる刹那、二人で一人の殺人姫の放つ殲滅の閃光が鬼斬りの刃と共に大悪災に炸裂し。
 光の斬撃と衝撃に全身へ無残な裂傷と熱傷を刻まれながら、悪女は憎悪の目を向けんとするが。
「あ、が……徳川葵がっ……」
「念には念を、です」
 それは敵わない――何故なら、閃光と煙幕が徐々に晴れる中、その背後からレンが大悪災の腹部へ刀の刃を生やしていたからだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フレミア・レイブラッド
随分と品の無い女ね…口も悪いし、そのお金への執念とも言える程の執着…見るに堪えないわ…。

・先制対策
【念動力】で自身に防御膜を張りつつ、氷の魔力【属性攻撃】で敵の炎を相殺。更に自身の【怪力、早業】で床や壁を破壊し、【念動力】で空中に固定する事で遮蔽物を作り出して視線を遮る事で憎悪の視線を封じ、爆炎で問答無用に排除してきたら逆に爆炎を利用して身を隠し、そのまま【吸血姫の覚醒】を発動するわ。

発動後はそのまま爆炎を突っ切り、覚醒で得た速度で視界に入らない様に翻弄しながら、敵を氷の魔力を纏った魔槍で攻撃。凍結で動きも封じつつ追い詰め、最後は覚醒で得た魔力を注ぎ込んだ渾身の魔槍の一撃を叩きつけてやるわ!


御鏡・十兵衛
済まぬが貴殿にくれてやれる銭は六文銭くらいでな。
それで満足できぬとあらば、手荒く帰って貰うしかあるまい。

そう簡単に行かぬのは承知の上。
刀を届かせるために、何とか視線を凌いで近づかなければな。
というわけで。贅を尽くした立派な屋敷、ちょーっと使わせて貰うでござるよ。

初撃は持ち込んだ外套を広げ、それを犠牲に視線を防く。以降は手近な襖を盾に、畳を蹴り上げて、床板を踏み抜いて跳ね上げてとどうにかこうにか視線を防いでいくでござる。
勝負を仕掛けるは一瞬よ。派手な爆炎の嵐でこちらの姿が隠れた瞬間。
斬り飛ばした襖を何枚か纏めてぶん投げて、それらの裏に紛れるように飛び掛かり一閃……と、なれば良いのでござるが。



●二人の鬼と、鬼の如き悪
 最早形勢は完全に猟兵達の物となった――これより、如何な戦を以てしても大悪災が猟兵を退けることは敵わないだろう。
 だが油断はならない――大悪災の命を断つまで此度の戦は続くのだから。
「ガハァッ、ハァ……チキショウ、アタシの屋敷ィ……!」
 息をしているのも不思議な損傷で、猟兵との激戦で駄目になってしまった調度品を自棄になって足で踏み砕き。
「ざけやがって、アイツらの給料で弁償できるかってんだ。いや、アタシの一文はアイツらの千両でも足りないだろ糞がっ……」
「随分と品の無い女ね……口も悪いし、そのお金への執念とも言える程の執着……見るに堪えないわ……」
「済まぬが貴殿にくれてやれる銭は六文銭くらいでな。それで満足できぬとあらば、手荒く帰って貰うしかあるまい」
 何処までも理不尽な怒りに燃える大悪災の前に新たに現れた猟兵の、溜息交じりのフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)と、態々銭を足元に投げる御鏡・十兵衛(流れ者・f18659)の言葉に大悪災は無残に焼け焦げた顔を向ける。
「足りるか馬鹿野郎! テメェの渡し賃に……いや、やっぱ貰ってやる! 地獄の川で溺れちまえクソ女ァ!」
 ご丁寧に銭を懐に仕舞いつつ、十兵衛にその眼を向けると同時。
 十兵衛の投げ放った外套が大悪災の視線を遮るも、その代償にそれは跡形もなく燃え尽き、留まらぬ炎が十兵衛に牙を伸ばす。
 しかしその炎を、フレミアの放つ氷の術法が空中で掻き消し、寸での所で延焼による被害を防ぎ切る。
 苛立ちの収まらぬ悪女は、尚も視線を向けようとしたが。
「贅を尽くした立派な屋敷、ちょーっと使わせて貰うでござるよ」
「オイ! 勝手に使うんじゃねぇ!」
「使えってことね。分かったわ」
 手近な襖を盾代わりに悪女の視線を遮っては、畳を蹴り上げ、床板を盛大に踏み抜き次々と盾にしていき。
 金は人の目を曇らすというが、まさか己が財産を以て物理的に目を瞑らせられるというのは執着する者への何たる皮肉であるか。
 大悪災の罵声に挑発気味に笑い、フレミアがその剛力を以て床や壁に槍を叩き付ければ、その破片を念力を以て浮かべ大悪災の視線を遮るべく嗾けて。
「フリじゃねえよ! アタシは芸人じゃねえんだぞオイ!!」
 己が屋敷を破壊される屈辱に更に憎悪を掻き立てられたか。
 大悪災は業を煮やし、次々と飛来する遮蔽物を目掛けその眼を向け――己が財を汚される怒りが爆ぜるように、これ以上とない炎が広がり。
「我が血に眠る全ての力……今こそ目覚めよ!」
 だがこれは好機――その炎を隠れ蓑に、フレミアは己が内に眠る真祖の力を解き放ち。
 その背に羽ばたく八枚の翼を持って飛び、爆炎を斬り裂きつつ――大悪災へ槍刃を走らせ。
 瞬間移動もかくやの速度を以て放たれる突きによろめく悪女へ、次々と吸血姫は氷を纏った槍を繰り出しその身体を揺さぶり、同時に下る霜が悪女の体を縛り付ける。
 視線を以て焼き尽くさんとしても、爆発的なその速さを追うことは到底敵わず、大悪災は苛立ちのまま歯噛みするばかり。
(そう簡単にいかぬは承知の上……でござったが)
 その様子を見つつ十兵衛は斬り飛ばした襖を用意しながら思う。
 一人でやれば好機を図ることも難しかったであろうが、氷に縛られた今とならば――襖を投げ放ち、今度こそ完全に大悪災の視界を叩き潰し。
 今こそ、この刀を届かせよう――全てはこの時の為に地道に目を封じてきたのだから。
「これでトドメよ!」
「お望み通り六文銭はくれてやろう!」
 勝負は一瞬――真祖の血脈の力を全て載せた吸血姫の剛槍が、激しい紅の閃光を伴い吹き飛ばすと同時。
 大悪災の視界を潰した襖を切り開きながら迫るのは羅刹の剣豪――名高き剛の者と同じ名を戴く女の。
 止水の如き清らかにして激しき刃が、金に執着する悪女の体を通り過ぎていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

上野・修介
※連携、アドリブ歓迎
元より常在戦場。
何が相手だろうとやることは変わらない。

――恐れず、迷わず、侮らず
――熱はすべて四肢に込め、心を水鏡に

調息、脱力、敵を観【視力+第六感+情報収集】据える。
敵の戦力を把握。体格・得物・構え・視線・殺気等から拍子と間合いを量【学習力+戦闘知識+見切り】る。

炎攻撃に対しては軌道を【見切り】廻し受け【戦闘知識+グラップル】で弾き散らす。

得物は素手喧嘩【グラップル】
UCは攻撃力強化。

元より焼かれることは【覚悟】の上。
防御回避は最小限。炎を恐れず【勇気+激痛耐性】、最短距離を駆け【ダッシュ】懐に飛び込む。
擒拿術と柔術を主眼にした超至近戦闘【グラップル+戦闘知識】で攻める。



●始末の極意
 転送の結界を通り、絢爛なる御所の荒れ具合は猟兵と亡霊の激戦を伺わせる。
 兵どもが夢の跡……ではないだろう、まだ跡とするには早いのだから。
「……ふぅぅぅ……」
 ――恐れず、迷わず、侮らず。
 ――熱はすべて四肢に込め、心を水鏡に。
「かはぁっ、がはっ……!」
 上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)は、口から血反吐を吐き出し、これまでの損傷を起点に全てを憎む女の姿を見据える。
 力を極限まで抜き、息を整え、その一挙手一投足、乱れる感情と立ち込める憎悪を流れ水のように清らかに、冷たく己が思考に刻む。
「何、勝手に吸って、んだ……! アタシの、げほっ、空気っ……」
 清廉なるその呼吸に苛立ったのか、大悪災はその眼に限りなき憎悪を込めて。
「払え、よっ……一回、十両ッ……!」
 ――鰻の匂いに金を払えと要求した吝嗇なる店主が如く。
 理不尽な要求と、何処までも金子への執着とそれを阻む者への憎悪を載せた視線が、修介を射抜きにかかり。
 視線の動きを撃鉄とする爆炎を、見切ることは難しく故に爆炎が彼の体を包み込みに来る目に遭おうとも。
 その手を旋回させ、迫る炎を逸らしつつ爆炎の中を最短距離で駆ける――強力無比なる炎が肌を焼こうと、覚悟の上だ。
「――力は溜めず――息は止めず――意地は貫く」
 虚脱の体は限りなく行動に移す速度を早め。
 炎に焼かれて尚、屈さぬ矜持と呼吸はその膂力を限りなく高め――懐に潜り込み、大悪災の手首を捻り上げ、その胸倉を掴み。
「が、あっ……て、めぇ……!!」
「……」
 魔眼とも称される術法を相手に、至近距離にまで掴みかかるが故に、その憎悪の眼をより強く受け。
 その身を更に紫の業火で焼かれても――逆に大悪災自身を焼く勢いで、尤も延焼は自在に制御されるが、業火に包まれつつ大悪災を勢いよく組み伏せて。
 限界を迎え転移で退去されるその寸前まで――修介は大悪災の首を絞め続けていた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

月凪・ハルマ
ヒェこわっ!!

あんな顔見せられたら金が無くてもとは言わないまでも、やっぱ程々が一番だと思わざるを得ない

◆SPD
まぁ、当然の様に伸びる爪で攻めてくるか
しかも攻撃回数9倍。キツイ

まず【早業】で防具に斬撃耐性を付与して
【見切り】【残像】【武器受け】で回避を試みる
多少は【激痛耐性】で耐える事になるかもしれないが

凌ぎきったら【忍び足】で敵の死角へ
時折、手裏剣の【投擲】で牽制しつつ
御所内を逃げ回って苛つかせてやろ

チョロチョロ逃げるなとか言われてもなぁ!
そうしなきゃ死ぬじゃん俺!

あれだけの癇癪持ちなら、その内に必ず隙が出来る筈だ

その瞬間に【降魔化身法】
そして破砕錨・天墜で【捨て身の一撃】を
叩き込んでやる

 



●地獄の沙汰は
「げはっ、がはっ……じねぇぇっ!」
 呼吸を千々に乱れさせ、大悪災は最期の命を燃やし尽くす勢いで、目につく猟兵達全てに敵意を向ける。
 八つ当たりに近いその攻撃は、どの猟兵も躱すには容易いだろうが、攻撃の精度はともあれ数多の損傷を受けたその形相はといえば。
「ヒェこわっ!!」
 新たに結界を通ってやってきた月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)は、悪女の形相に思わず声を挙げた。
 やはり何事も程ほどが一番――真理を心に思う彼に、大悪災はその爪を輝かせると、名刀の如く伸ばし斬りかかる。
 咄嗟に羽織に斬撃への耐性を付加し、振るわれる爪を後方へ跳躍しその射程から寸での場所で躱すも、耐性を付加して尚、羽織に刻まれる裂傷に軽く冷や汗一つ。
 続け様に振るわれる爪を脇へ忍び込むように躱すも、頬を走る爪の痛みに顔を顰め、それでも爪から逃げて。
 振り向かず後方へ手裏剣を投げて牽制を行えば、それを大悪災は爪で弾き。
「チョコマカチャカポコ逃げてんじゃねえぞクソガキィ!!」
「そんなこと言われても! そうしなきゃ死ぬじゃん俺!?」
 そこから始まるは決死の追い掛けっこ――荒れる御所を女と少年の繰り広げる競争。
 掴まれば死は免れない――振るわれる爪が柱や襖を無残に刻み、絵画や壺を塵に変え。
 飛び掛かる爪の刺突を、横転を以てハルマは躱し。
「金……アタシの、金ェェッ!?」
「うぉぉぉおおお!!」
 当たった箇所が幸運だったか――千両箱を隠した壁を貫き、小判を床に撒き散らす結果と相成れば大悪災は必死に掻き集め。
 その隙にハルマは宿す――百鬼夜行の化生の力を。
 例えこの身が如何になろうと、極限まで高めたこの力を以て錨を振り上げ――
「しまっ……!?」
 散らばった小判ごと、身を棄てる勢いで放たれた錨の一撃が大悪災を叩き潰し。
 最期の痙攣と共に伸びた指の先は、散らばった小判の欠片……何処までも金子に執着しかない哀れな悪党の最期であった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月09日


挿絵イラスト