エンパイアウォー②~結晶の山の中で笑う姫君~
「皆様、奥羽地方で大量の『水晶屍人』が発生し、奥羽諸藩が危機に陥っています」
真剣な面持ちで資料を並べだしたルウ・アイゼルネ(マイペースな仲介役・f11945)に周りにいた猟兵達の視線が集まる。
水晶屍人という言葉は知らなくても、ルウの表情や「奥羽諸藩が危機」という言葉からあまり良い存在ではないことは誰でも想像が出来た。
「水晶屍人とは『魔軍将』の一人である陰陽師『安倍晴明』が屍に術をかけて造り出した、肩から奇妙な水晶を生やした動くゾンビのような存在です」
戦闘能力自体は高くないが、水晶屍人に噛まれた人間は傷口から水晶を生やして新たな水晶屍人となる為、雪だるま式に数が増え続けているそうだ。
しかも徳川軍の派遣要請に従って最低限の兵力しか持っていなかったことにより対策は後手後手になってしまい、被害はより大きくなってしまっているらしい。
「水晶屍人の軍勢は各地の砦や町、城を落としながら江戸に向かって南下しています。このまま水晶屍人を放置していれば奥羽諸藩からの援軍はおろか、江戸の防衛の為に現在集まっている軍勢から人員をさらに割く必要も出てくるでしょう」
幸か不幸か水晶屍人には知性は無く、周りにある生物を手当たり次第に襲い掛かるのみで、猟兵でない者でも対処は可能である。
だがそれが障害だらけの砦や城を攻め落としたり、群れを成して南下していたりすることは、それを操る者が水晶屍人の周りにいることを暗に示していた。
「複数の目撃証言から、水晶屍人の周りに白い巫女装束を着た妖狐の姿が確認されています。おそらくそれが水晶屍人をコントロールしている者だと判断して良いでしょう」
しかし大量の水晶屍人の群れからその妖狐を的確に見つけ出すことは難しい。さらに言えばそもそも妖狐は被害者だった可能性、指揮官は群れを遠くから操っているだけで、中にはいない恐れも考えられる。
だが、分かっている情報は一応全員に周知させておくことは案件の解決には重要なことだとルウは判断して公表した。
「今回の案件はあくまで『水晶屍人の討伐』ではなく『水晶屍人を誘導する者の討伐』です。倒さないよりかは倒した方が良いですが、本分を見失わないようお気を付けください」
平岡祐樹
今度の案件の舞台は進路から逆行する奥羽地方です、平岡です。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
今回の案件はあくまでも【ボス戦】でありますが、数百から数千の水晶屍人の軍勢の中に飛び込み、蹴散らしつつ、指揮官であるオブリビオンを探し出す必要があります。
プレイングでは水晶屍人の進軍を防ぐ方法、あるいは無数の水晶屍人の中から素早く指揮官を見つける方法を記載していただかなければ、やや辛めの判定となりますのでご容赦ください。
第1章 ボス戦
『巫女を騙る者・アズサ』
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POW : 私、傀儡回しは得意なんですよ~?
自身が装備する【操り人形】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
SPD : その怨み、私の力にしちゃいますね~
全身を【怨霊】で覆い、自身の【食い物にしてきた人間の数】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ : 私の活躍、そこで指を咥えて見てると良いですよ♪
戦闘力のない【怨霊】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【怨みと嘆き】によって武器や防具がパワーアップする。
イラスト:赤霧天樹
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ニィ・ハンブルビー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
政木・葛葉
大勢の敵から一人探すのってやっぱりまどろっこしいよね!ここは大きなアクションを全体に与えて、集団を混乱させるよ。
【エレメンタル・ファンタジア】で氷の波濤を召喚、屍人の前線を押し流すと共に足場を悪くして進軍を急激に食い止めるよ。大群だし暴走しちゃうくらいの方がいいかもしれないけど、仲間に被害がでないようには注意するよ。
もちろん狙いはこいつらじゃなくて指揮官級。前線を機能不全にすれば目立った動きを見せるはず。
仲間に見つけてもらうのが手っ取り早いけど、あたしも自分で探すよ。見つけたら、【全力魔法】で叩く!逃げ足が速そうだから、もう一回【エレメンタル・ファンタジア】して氷をぶつけてもいいかも。
唐草・魅華音
目標、水晶屍人の誘導者の討伐。任務了解だよ。
思考なき群れは、頭脳を叩けば烏合の衆になる。
ドローンの情報鳳収集能力も駆使して索敵を行い、屍人の流れから誘導者の位置を割り出して排除に向かうよ。
まずは移動を最優先にして、高所から出来る限り全体を見渡せる場所を探索、豆の木を伸ばして【ジャンプ】【ロープワーク】駆使してそこへ登り、ドローンを戦場へ飛ばして屍人の流れを【情報収集】、流れの大元に誘導者がいると思うのでそこを【戦闘知識】も併用して割り出し、現場を探索するよ。
発見できたら出来るだけ近づいて奇襲。人形を銃とドローンで迎撃しながら出来るだけ近づいて刀による渾身の一撃を狙うよ。
アドリブ・共闘OK
「大勢の敵から一人探すのってやっぱりまどろっこしいよね!」
高台から、下の道をふらふらと進軍していく水晶屍人の群れの中から先導役である何かを探していた政木・葛葉(ひとひら溢れし伝説の紙片・f21008)はため息をつきながら双眼鏡から手を離すと幣を構えた。
「凍てつきなさい!」
幣が一振りされると、屍人が歩いていた地面が突如として凍り付いていき、歩いていた者が転倒する。
転倒した屍人に足を引っかける形でどんどん被害が拡大する中、氷の地面は揺れだすと一気に天に向けて突き出した。
巻き込まれた屍人の体が宙に舞う様子を映した映像を見ながら唐草・魅華音(戦場の咲き響く華・f03360)は蔦に体を預けながら一心不乱にコントローラーを操作していた。
出来る限り全体を見渡せる場所に生やした豆の木に乗ることで唐草の視界ははるか遠くにまで及んでいた。
さらにそこからドローンを飛ばし、気づかれないようにはるか上空から情報収集能力も駆使して気になった部分への索敵を行うことで、屍人の流れから誘導者の位置を割り出しにかかる。
その中で、まるで囲むように生じた氷の壁を叩く屍人達とは別の方向へ向かう複数体の屍人が合流したところに状況説明の中で語られていた白装束の妖狐の姿があったことを唐草のドローンは見逃さなかった。
「見つけた」
戦闘補助ドローンに発砲許可を出した唐草は作業補助ドローンにロープを括り付けて戦場に向けて飛び立つ。
その一方で屍人の頭を踏みつけて戦場を跳び駆ける葛葉の耳に甲高い声が響いた。
「絶対相手はあの豆の木にいるはずよ! 早く壁を壊すか乗り越えるかして急いで向かいなさい!」
声の時点で察してはいたが、問題の妖狐の姿が明確に見えてきたところで葛葉は残念そうに、ただどこかホッとしたように呟いた。
「姉上じゃなかったか」
「何?」
言葉まで聞き取れなかったものの、何かを言ったことだけは認識した妖狐が葛葉に振り向く。その視界に映ったのは幣を振り上げた葛葉の姿だった。
「え」
「逃がしはしない!」
『私の活躍、そこで指を咥えて見てると良いですよ♪』
屍人の体から浮かび上がった霊体が嘆き悲しむ中、妖狐は葛葉が叩き込む氷の礫を軽いステップで避けようとする。
しかし足元を滑らすと、きれいに体を浮かせて頭から受け身も取れずに転倒。さらにその腹部に葛葉の拳ぐらいの大きさの礫をくらって噴き出した。
「うえぇっ、ゲホゲホ! 屍人達、私を守りなさい!」
自分たちの指揮官がみっともない姿になっていても、操り人形と化している屍人達は何も反応を見せずに言われた通りに葛葉の前に壁になるように立ちふさがる。
『私、傀儡回しは得意なんですよ~?』
その背後から音もなく近づいてくる飛行物体に気付いているのは葛葉だけだった。
葛葉が下がろうとすることで妖狐と屍人の視線が一つに集中したのを見て、唐草は銃を乱射する。
水晶が生えたことでむき出しになっていた傷に埋め込まれた銃弾は呪詛によって再度破裂して破壊力を増す。次々に爆散する屍人の姿に慌てて妖狐は振り返ったが、その時にはもう手遅れだった。
「思考なき群れは、頭脳を叩けば烏合の衆になる」
美しさより斬る事に特化した無骨な刃が、体をひねって避けようとした妖狐の体を抉った。
大成功
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シエル・マリアージュ
先行した猟兵たちは派手にやっているようですね。その混乱を利用させて頂いて、私は見通しのよい空から攻めさせて頂きましょう。
こちらが見通しが良いということは敵からも同じ【Garb of Mirage】の光学【迷彩】で【目立たない】ように空に溶け込むようにしながら猟兵と戦っている妖狐を目指します。
妖狐を見つけたら、天上の乙女〈再臨〉で召喚した乙女たちに邪魔な屍人や妖狐の傀儡の始末を頼み、私は聖銃剣ガーランドから狙った標的を追跡する誘導弾で妖狐を執拗に狙います。
戦闘中は太陽を背にしたり【残像】を残しながら常に移動して敵から狙われにくいように立ち回ります。
空から確認した敵の配置などは他の猟兵にも共有。
「先行した猟兵たちは派手にやっているようですね」
氷に覆われた地面で屍人がうめき声を上げながら立ち往生している様子をシエル・マリアージュ(天に見初められし乙女・f01707)は音もなく空を飛びながら眺めていた。
「Garb of Mirage」という名称のコートの光学迷彩によって空に溶け込んで滑空するシエルに屍人達は一切気づかずに自分に命じられたそれぞれの職務に邁進している。
その中の何体かが白装束を自らの血で赤く汚した妖狐を担いで凍りついた戦場から離脱しようとしていた。
「は、早く私を運びなさい! あいつらに追いつかれる前に、早く!」
激痛と恐怖に顔をしかめながら妖狐は叫びながら屍人の頭を引っ叩くが、そんな主人の思いとは裏腹に屍人の動きは鈍いままである。
『聖櫃の扉は開かれり、来たれ天上の乙女達』
シエルが懐から取り出した光り輝く聖櫃の蓋がひとりでに開き、美しい乙女の英霊達が中から現れて戦場に降り立つ。
そして乙女達は手に持った斧槍やレイピアを構え、屍人達を薙ぎ払い始めた。
担いでいた屍人達もその凶刃に倒れ、支えを失った妖狐は地面に投げ出される。
それに合わせてコートを脱ぎ捨てたことによりシエルの姿が露わになるが、背にある太陽の逆光によって妖狐は反射的に目を細めて背けた。
「静かにお逝きなさい」
「誰が逝くもんですか! 『私、傀儡回しは得意なんですよ~?』」
聖銃剣ガーランドから放たれた弾から自分の身を守ろうと、近くにいる屍人を妖狐は手元に引き寄せようとする。
しかしその動きに気づいた乙女達が即座に近寄ってきた屍人を斬り伏せ、その包囲を偶然搔い潜った屍人の壁すらも弾がまるで意思のあるようにひらりと避ける。
「いったああああ!」
そして落ちたその場で尻餅をついていた妖狐の足や腕を貫いた。
成功
🔵🔵🔴
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】(共闘/アドリブ可)
「あそこに妖狐の女の子がいるみたいだね」
フィオ姉ちゃんと妖狐をやっつけちゃうよ
【行動】()内は技能
魅華音さんの刃が煌めいた先に向かってFlying Broom GTSで急行するよ
水晶屍人は蹴散らしていくんだ。(騎乗)能力は高いんだからね!
「簡単には逃がさないよ」
飛翔で逃げられる前にアズサに接近しつつ(先制攻撃)でクラロ・デ・ルーナを放つよ
妖狐の後ろにフィオ姉ちゃんが回り込む時間を稼ぐ意味もあるんだ
そしてフィオ姉ちゃんの竜巻がアズサを捉えている隙に星箒を構えて詠唱するよ
「これだおしまいだよ!」
とどめは(全力魔法)のカラミダド・メテオーロ!
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(連携・アドリブ可)
「姿を捉えた今がチャンスね。一気に叩くわよ」
■作戦
弟と連携して巫女を騙る者・アズサを挟撃し先制攻撃からの
連続攻撃で撃破する
■行動
Flying Broom GTRに[騎乗]してアズサに接近
屍人を蹴散らしながら少しだけ遠回りし弟とアズサを挟撃する位置へ
「フォルセティ、逃げ出す前に攻撃開始よ」
インカムで弟と連絡を取りながら攻撃を促し、銀翼杖を高く掲げて攻撃準備
「今度はこちらの攻撃よ」
弟のUCに続いて[全力魔法]で【フィンブルの冬】を唱え、氷雪の竜巻にアズサを巻き込む。
きつーいお仕置きでアズサを撃退ね。
「あそこに妖狐の女の子がいるみたいだね」
「姿を捉えた今がチャンスね。一気に叩くわよ」
「Flying Broom」というブランドの2台のバイクが凍った地面の上をしっかりとタイヤに食い込ませて疾走する。
それに跨るフィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)とフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)は偶然進行方向に入ってしまった屍人を轢き飛ばしながら、すでに先行している仲間の刃が煌めいた先に向かってアクセルを吹かせていた。
「フォルセティ、逃げ出す前に攻撃開始よ」
「わかった。簡単には逃がさないよ」
轢く度に自分のヘルメットにつく腐肉や水晶に顔をしかめつつ、並走していた2人は手分けして妖狐を取り囲むようにハンドルを切る。
間近に迫ってきた妖狐は血だらけになって動けなくなっていた体を屍人の体から離した怨霊を身に纏うことで無理矢理動かそうとしていた。
「させない! 『放て』クラロ・デ・ルーナ!」
フォルセティが運転しながら片手に掲げられた箒から大量の閃光と衝撃を伴う高エネルギー波が放たれる。
「『その怨み、私の力にしちゃいますね~』!?」
叩き込まれた衝撃波によって怨霊の鎧が剥がされ、飛び立とうとしていた体が地面に墜落していく。
「よし、落とした!」
「いいわ、今度はこちらの攻撃よ!」
インカム越しに会話しながら、悲鳴をあげて墜落していく妖狐の姿をフィオリナは確認し、口角を上げる。
正面から突っ込ませた弟とは反対に大きく回って背後に回っていたフィオリナはバイクから降りると自身の得物を構えた。
『氷の檻に閉じ込めてあげる。氷結へ導け、黄昏の吹雪よ!』
フィオリナの学園服が光り輝く白銀のドレスに変わっていき、妖狐の体を氷雪の竜巻に閉じ込める。
「いやぁぁぁぁぁぁっ⁉︎」
完全に姉弟の掌の上で転がされている妖狐の姿を見て、屍人から浮かび上がらせられた霊体が歓声を上げる。
妖狐が悲鳴を上げながら氷雪混じりの竜巻に舞い上がらされる中、バイクから降りたフォルセティは顔を引き締めて箒を構えた。
「これでおしまいだよ。『悠久に揺蕩う無限の星屑よ。星柩満ちて此へ集うは漆黒の紅炎』」
自分が逃げようとしていた空に吹き飛ばされた妖狐の体に詠唱によって呼び出された特大の隕石が迫る。
「カラミダド・メテオーロ!」
怨霊の鎧が無いと空で行動出来ない妖狐は、もし怨霊の嘆き悲しむ声がこの場に流れていたとしても何もできない。
さらに空を飛べない屍人がはるか上空にいる妖狐を防御することは不可能。
寒い場所から一転して灼熱の隕石の間近に飛ばされ、自分の使える手札を全て封殺された妖狐は金切り声を上げながら飲みこまれて消滅した。
「お疲れ様」
「この程度余裕だよ、フィオ姉ちゃん」
徒歩で合流した姉弟は互いの健闘を称えあってハイタッチを交わす。
そのはるか先では依然としてオブリビオンとは別個に発生した屍人達が氷の壁にすがりよっていたが、指揮官がいなくなったことにより統制を失ってあちこちの方向へとあてもなく歩いていった。
大成功
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