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エンパイアウォー④~戯れに呼ぶは、災禍

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #エンパイアウォー④ #傾国の白仙狐

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●命、其れは戯れに踏みにじるもの
「こるたす……いや、こめてす、だったか。まあどっちでもよい、妾は暇を潰せればそれで良い」
 白毛を揺らし一匹の大きな狐が大きな尾を揺らす。狐は樹海の富士の樹海に隠された儀式場へ降り立つと人の姿へと变化した。
「富士の噴火などという面白いこと、一枚噛まねば損というもの。であれば此度は異邦人の配下になるもまた一興」
 手には縄で括った小さな竜と、ゴブレット型で金の装飾がある杯。
「さて、この子竜の血を、せいはい、とやらに注いで祈るのであったか。ふふ……人々の叫びや嘆きが木霊しさぞ愉しい光景となるであろうな」
 白と金、左右の異なる色の瞳を細め、白狐はこれから呼び起こす災禍への期待に舌舐めずりをする。
「勿論、邪魔も入るであろうな。妾を退屈させてくれるなよ」
 休火山を噴火させる『太陽神の儀式』が、今まさに着々と進められていく。

●富士の樹海の儀式を止めよう!
「集まってくれて、ありがとうございます!『エンパイアウォー』へ参加するみなさんへ、ユーノのお願いです!」
 グリモア猟兵のユーノ・エスメラルダ(f10751)はグリモアベースに集まってくれた猟兵たちへ語りかけた。
「現状を説明をします! 寛永三方ヶ原の戦いに勝って手に入れた『第六天魔軍将図』によって第六天魔軍将達の存在が判明しました。しかし同時に敵側が攻勢に出てきたため、私達も動き出している状態です」
 ユーノは持ってきたノートへ、ペンでざっくりした地図を描く。それは『幕府軍』の陣営と、目指す『魔空安土城』。
「そして、この戦いのための幕府軍の行軍に対して大きな妨害が行われることが予知できています!」
 赤い色鉛筆でバツ印を書き入れたのは富士山の麓、富士の樹海。
「魔軍将の一人、侵略渡来人『コルテス』が太陽神ケツァルコアトルの力を使って富士山を噴火させようとしています。この富士の樹海の何処かの儀式場でコルテス配下のオブリビオンが『太陽神の儀式』を行うことで富士山は噴火するようです」
 ノートのページをめくり続けて描くのは、ゴブレット型の器と、小さな竜。
「この小さな竜……ケツァルコアトルの子供の血を聖杯に捧げて祈ることで儀式は成立するようです。この儀式は妨害だけでは不十分です。阻止するためには、儀式を行ったオブリビオンを倒す必要があります!」
 ユーノは集まってくれた猟兵たちへ改めて向き直る。
「ユーノのお願いは、ここからです。みなさんには、この富士の樹海にある儀式場で太陽神の儀式を行っているオブリビオンを撃破してほしいのです」
 ノートへ続けて書き込むのは白髪の妖狐。
「ユーノが予知したあたりで儀式を行っているのは、『傾国の白仙狐』さんです。幻惑で妨害してきたり、妖狐の霊を呼び出したり、狐火で燃やしてきたりします」
 転移先の状況についてユーノはこう情報を付け加えた。
「儀式場の近くまでは転送できるので、迷うことは無いはずです。ですが、視界の悪さを逆手に取って捜索や奇襲の工夫をするとより上手くいくかもしれません」

●日常を守るために
「もし阻止できなければ東海・甲信越・関東といった広い地域に火砕流や火山灰が降り注ぎ、一帯は壊滅的な状態になると予想されます。そこには日々の生活をしている普通の人たちも居ます。『魔空安土城』への進軍だけでなく、一般の方々の日常を守るためにも……この災害は防がなければなりません」
 そう言いながらユーノは猟兵たちを転移さる用意を進めて無事の祈りを捧げる。
「ユーノはみなさんを転移させなければならないので同行はできません。みなさまに幸運がありますように……」


ウノ アキラ
 はじめましての方は初めまして。そしてこんにちわ。
 8月5日(月)はちょうど休みを取っていたので、書けそうだと考えてOPを提出しました。ウノ アキラです。
 このオープニングに興味を持っていただき、ありがとうございます。


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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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●お得情報
 土曜の夜から日曜にかけては、別の執筆のため一時的に止まる見込みです。月曜にまた走り出します。
 他にもマスター紹介のページは一読頂けると文字数を少し節約できるかもしれません。
 よろしくお願いいたします。

●依頼について
 書けそうなタイミングで順にリプレイにしていくため、基本的に順番に入れ替わりながら戦闘する形になる想定です。いつもの戦争シナリオのパターンでいきます。
 私の執筆能力の問題で『採用は最大で12名までが最大になる見込み』です。『書きやすそうな方から採用する』ためプレイングは不採用になる可能性があります。ご了承ください。
 敵の心情描写はただの趣味です。特に意味はありません。
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第1章 ボス戦 『傾国の白仙狐』

POW   :    その精、喰ろうてやろうぞ
【全身】から【魅了の術】を放ち、【幻惑】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    出でよ我が僕、死ぬまで遊んでおやり
【自身に従属する妖狐】の霊を召喚する。これは【剣】や【電撃】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    妾の炎に焼かれて死ぬがよい
レベル×1個の【狐火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は御狐・稲見之守です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヨナルデ・パズトーリ
『動物使い』で呼びだした『動物と話す』事で情報を集め敵の遺した痕跡を
『野生の勘』により『見切り』『追跡』

敵を発見後は樹海という地理を活かし『目立たない』様に気配を消しつつ
『暗殺』技能を活かしUC発動後すぐ『怪力』の『鎧無視攻撃』で子竜を
持つ手に『先制攻撃』

其の後は間髪入れず『高速詠唱』による『呪詛』のこもった『全力魔法』を
ぶち込み其の侭『怪力』の『なぎ払い』を叩込む

炎は動きを『見切り』つつ当った際は『火炎耐性』と『激痛耐性』で対処

暇つぶし、の
直ぐに暇等感じられぬようにしてやろう

貴様は妾が其の童の世界の妾に変わって討ち滅ぼしてやる故、の!



自分の嘗ての好敵手兼伴侶と同じ名を持つ者への愚弄に怒り心頭



●その名は汚させぬ
 森の動物達がささやく。
 大きな狐? それなら見たよ。あっちへ行ったよ。
「ん……? 気のせいか」
 耳に草木の擦れる音を聞き『傾国の白仙狐』はふと振り返る。そこには樹海と称されるほどの深い木々の海が広がるのみ。
「どう血を抜いてやろう、やはり首を捻り千切るが早いか、それとも爪でも突き刺してやろうか」
 キィキィと鳴く小さな竜を儀式場の作業台に抑えつける様子をじっと見つめる黒い影があった。苔むした岩の影から黒いジャガーを模した鎧――『第一之太陽再臨』に身を包むヨナルデ・パズトーリ(テスカトリポカにしてケツァルペトラトル・f16451)が、闇に溶けながら、獲物を狙う目でこの儀式場をじっと見ている。
 ヨナルデはかつて神としての自身へ捧げられた血と骨による翼を広げ、夜風の様に樹へ登ると降下と共に『黒曜石の戦斧』を振りかぶった。
 膨れ上がるは憤怒と殺気。ヨナルデにとってケツァルコアトルの名は特別だった。ヨナルデの世界のケツァルコアトルとは長年の好敵手でよく競い合ったもの。そこには愛すら感じる程に縁の深い相手。だからこそ同じ名を持つ者への愚弄は許せぬ――。

 隠しきれぬ殺気を気取った『白仙狐』は小竜を抑えていた手を離し咄嗟に身を引いた。
「わざわざ的のでかい部位ではなく、手を狙うとは――」
 白い狐が何か喋っているがヨナルデはその言葉に興味はない。着地と共に間髪入れず手を振りかざし呪詛を込めた呪いの風を放つ。それを『白仙狐』は多数もの狐火を放ち相殺すると、その隙へヨナデルはしなやかに肉薄し戦斧を振りかぶっていく。その怪力を以て薙ぎ払うと白狐を樹木へ叩きつけた。
「……せっかちな奴よ、妾の話に少しは付き合うても良かろう? 長く生きると暇つぶしにも飽きてしまってな」
 大木を一つへし折り地に倒れた『白仙狐』は衝撃で出血し負傷を負ったが、しかし態度はどこか余裕を含んでいる。
「暇つぶし、の」
 戦斧を再び構え、獲物へ飛びかかるジャガーのように体をバネにし再び攻撃を仕掛けるヨナデル。
「直ぐに暇など感じられぬようにしてやろう、貴様は妾が、『其の童の世界』の妾に変わって、討ち滅ぼしてやる故、の!」
 その戦斧を『白仙狐』は妖狐の霊を召喚し盾とすることで防いだ。実体を持った霊が戦斧に込められた魔力に押しつぶされ歪にひしゃげる。この霊は長く保たないだろう。
「成程、貴様ケツァルコアトルの縁者か」
 ヨナデルの気迫に白狐は悪戯を思いついたような顔で笑う。
「面白い、くく……世界が違えど縁を気にするか。ならこの小竜を焼けば、どうなる?」
 放たれた狐火が儀式の生贄の小竜――ケツァルコアトルの子供へを炎に包んだ。
「さあ、妾の炎に焼かれて死ぬがよい!」
「――!」
 焼かれる小竜にヨナデルが目を奪われた隙に『白仙狐』は再び狐火を放ちヨナデルの背を焼いた。
「くっ……」
「ふふ、どうした? オブリビオンは滅ぼすのが汝ら猟兵の本分であろう。あの小竜とて例外ではないハズ。なのに気が散っておるな?」
 炎に耐えるヨナデルから離れた『白仙狐』は、自身の額から流れる血をペロリと舐めると邪悪に微笑んだ。
「妾が血を流すとはな……。手痛い一撃を受けてしまったが、クク……成程。楽しめそうではないか」

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
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異国の術式ね。そこに多少の興味はあるけど、今はその成就阻止に専念。

黒鴉召喚。式神よ、白き仙狐を探し出せ。

式神が居場所を見つけたら、気付かれないよう忍びより、不意を突いて「先制攻撃」で七星七縛符を飛ばすわ。
先手を取れるなら、後々まで響く手を使うべきよね。

さあ、あなたの術は封じた。
富嶽が炎を吹き上げる前に、あなたは三昧神火に巻かれて燃え尽きなさい。
――不動明王火界咒。「全力魔法」、炎の「属性攻撃」、「破魔」、「2回攻撃」を乗せて、白紙のトランプを飛ばす。

七星七縛符が効かなかったら、狐火は火炎耐性で凌ぐ。従属狐の霊は「破魔」の七星七縛符を大盤振る舞い。幻惑は符の縁で指を切って痛みで自分を保つ。



●狐退治
 先程の攻防が途切れるや即座に次の攻撃が『傾国の白仙狐』の不意をつく。負傷を与えた目の前の敵に気を取られて反応が遅れた『白仙狐』は、直ぐにそれが何の業かを悟った。
「……これは!」
 取り囲み、絡みつくは白紙のトランプを思わせる『霊符『白一色』』。それはサムライエンパイアでも馴染みのある陰陽師のユーベルコード――。
「『七星七縛符』か!」

「さあ、あなたの術は封じた」
 樹海の薄闇から姿を現したのは、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)。ユーベルコード『黒鴉召喚』による探索で気取られずにこの儀式場を発見したゆかりも、先手をとるため潜んでいたのだ。
 ゆかりは探索に用いた極めて発見され難い式神を呼び戻すと、式神を解く。そしてちらと『太陽神の儀式』を見た。
「異国の術式ね。そこに多少の興味はあるけど……富嶽が炎を吹き上げる前に、あなたは三昧神火に巻かれて燃え尽きなさい」
 ゆかりは白紙のトランプを新たに数枚取り出すと、それを空中へ滑らせ真言を唱える。
「ノウマク サラバタタギャテイ――」
「一部の寺坊主どもが使う呪言か、だが……」
「――不動明王火界咒」
 ゆかりの放つトランプより噴出した炎が放たれると同時に『白仙狐』を捕縛していた霊符が弾け狐火によりその炎が遮られる。
「――だが、妾を捕え続けるには力が足りぬぞ小娘」
 フフと『白仙狐』が妖しく微笑むと、胸が高鳴り思考にモヤがかかるようなぼやけた感覚がゆかりを襲いはじめた。
(……これは、魅了の術……!)
 魅了に意識を持っていかれぬようゆかりは抵抗を試みる。
「そうさな……ここらで若い娘の精でも喰らうて傷を癒やすのも良いかも知れん」
 いつの間にか近づいた『白仙狐』がゆかりの頬を指で撫でその唇へ顔を近づけようとする。しかし、ゆかりはこれを押しのけた。
「ほう、抵抗を見せるか。いいぞ、そうでなくてはつまらぬ」
 唇の内側を自ら噛み切り痛みで幻惑から抜け出したゆかりは、口から一筋の血を流しながら真言を唱えた。すると『白仙狐』の『足元に落ちていた』トランプが火を吹く。
「ノウマク サラバタタギャテイ――」
「――む」
 今度こそ、不浄を灼く炎が『白仙狐』を捉え絡みつく。
「ぐ……! ち、遊びすぎたか」
 炎を振り払った『白仙狐』は敵対する相手から距離を離した。ダメージの蓄積で余裕が無くなってきた様子だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧島・絶奈
&

◆心情
確かに手段としては間違っていませんが…
不愉快である事に変わりはありません
貴女も同じ理不尽に晒されると良いでしょう

◆行動
【目立たない】事を利用し漸近
他の猟兵を支援する形で強襲
攻撃によって算を乱した所を時間差で襲撃

強襲攻撃までの間は【罠使い】として罠を設置
追撃目的としても逃走抑制としても機能するでしょう

『DIABOLOS LANCER=Replica』に【範囲攻撃】【マヒ攻撃】の力を込めて【二回攻撃】
二者択一を迫る事で【精神攻撃】と為し、敵に【恐怖を与える】としましょう

さあ、私に貫かれるか、強化された猟兵に倒されるのか…お好みは何方でしょう?

負傷は【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復



●生命の光
「ぐ……! ち、遊びすぎたか」
 炎を振り払った『白仙狐』がこれまで現れた猟兵たちから距離を離す。その後退で踏み出した足が、何かを踏み抜いた。
「――なっ」
 その足首に輪となった弦が掛かり締め上げるとともに、頭上へ『白仙狐』を吊るし跳ね上げる。
「掛かりましたね」
 吊るされる『白仙狐』へ即座に追撃を仕掛ける霧島・絶奈(暗き獣・f20096)。平穏を愛し殺戮を嗜好する、相反する性質を持つ彼女にとって悪戯な噴火の誘発は不愉快に思う事でもある。故に、確実に仕留めるべく迫る。
「ち、獣を捕らえるような罠とは、妾を愚弄するか!」
 黒剣の『【Guilty】』を手に襲いかかる絶奈に対して『白仙狐』は跳ね上げられた勢いのまま足に掛かる弦を切り反転した。
「出でよ我が僕、妾に尽くせ」
 絶奈を迎え撃つ『白仙狐』は従属する妖狐の霊を呼び出すと、それを足場として飛び退いた。空中で足場として蹴られた妖狐の霊はバランスを崩し飛びかかる絶奈へ衝突する。それを黒剣で受け直撃を防いだ絶奈は、その直後にその妖狐の霊ごと炎に包まれた。
「――っ! 部下ごと狐火で焼くとは……」
「我が僕は、まだ尽きぬぞ」
 地上に降りると『白仙狐』は続けて妖狐の霊を召喚する。生命や魂を尊ぶことをしないその思考は理不尽なもの。
「ならば、貴女も同じ理不尽に晒されると良いでしょう」
 絶奈は片手を掲げ、異なる世界より力を呼び寄せる。
「今此処に顕れ出でよ、生命の根源にして我が原点の至宝。かつて何処かの世界で在り得た可能性……『銀の雨の物語』が紡ぐ、生命賛歌の力よ」
 その手に木の根を思わせる幾重の刃先を持つ槍のようなものが現れた。其れはまばゆく輝き、その存在を世界に降ろしていく。
「さあ、私に貫かれるか、強化された猟兵に倒されるのか……お好みは何方でしょう?」
 絶奈は槍の様に見える巨大な輝く物体――ユーベルコード『DIABOLOS LANCER=Replica』を浮かべて『白仙狐』へ問いかけた。その表情は輝きの影に隠れて見えない。
「汝に限らぬが……猟兵とは奇妙な力を使うものよな。其の力、神のモノか」
「……獣用の罠に掛かるような畜生には、この力は理解出来ないでしょうね」
「ぬかせ!」

 輝く槍は2つ放たれた。一つは迫る狐火の壁に弾かれ地に刺さると生命力と意思を強める銀色の雨のようなものを降らせる力場を生み出す。もう一つは一つ目を弾き薄くなった箇所を穿つとそのまま炎を抜け、『白仙狐』の肩を貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
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噴火が齎されれば被害甚大、絶対に阻止しなければ…
それに儀式に生贄は必要とはいえ、何の罪なき命が悪戯に消費されるのは騎士として気分の良いものではありません

●防具改造で森に紛れる外套を装備

樹海の中、センサーでの●暗視や●情報収集で真新しい足跡や枝折れ等の痕跡を捜索
一定以上の重さ、大きさの小竜を連れている以上、痕跡はある筈
それらを手掛かりに儀式場を捜索

発見時は投光器による●目潰しの●だまし討ち
ワイヤーアンカーの●ロープワークで小竜を確保し自動●操縦する機械馬に運ばせ退避

魅了に対してUCで対抗
●怪力による剣の一閃と●シールドバッシュで只管攻撃
貴女に対して慈悲はありません、此処で果てて頂きます



●その戦いは、ただ護る為に
「ああ、良かった……まだ息はある様です」
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は、最初に狐火で焼かれぐったりしていた小竜へ駆け寄っていた。
 儀式場の側では戦いが繰り広げられ『傾国の白仙狐』も生贄に注意を払う余裕は無さそうだ。
「儀式に生贄は必要とはいえ、何の罪なき命が悪戯に消費されるのは騎士として気分の良いものではありませんからね」
 それに『白仙狐』はあの様に言っていたが、小竜についてはオブリビオンだと確定してはいない。トリテレイアは小竜へ応急処置を施し水を飲ませると、タオルなど柔らかい素材で『機械白馬『ロシナンテⅡ』』に入れ物の様なベッドをこさえて小竜を寝かせる。
 この容態では逃げることはないと思うものの、念の為逃げないよう空気穴を残し蓋をした。
「……あなたの処遇は後に決めます。まずは安全な所へ。窮屈かもしれませんが……」
 小竜を載せた『ロシナンテⅡ』がこの場を退避するのを見届けたトリテレイアは剣を抜いた。
 ――汝、心の儘に振る舞え。其の心は御伽噺の如く、弱者を護りし清廉な騎士の心――『重質量大型シールド』と『義護剣ブリッジェシー』を手に、トリテレイアは倒すべき敵を見据える。
(噴火が齎されれば被害甚大、絶対に阻止しなければ……)

「小癪な……! 出よ、我が僕」
 先程までの戦いで輝く槍に左肩を貫かれた『白仙狐』は召喚した妖狐の霊を前面に出すと自身は少しずつ後退を始めていた。
 その退路を防ぐ様に、巨大な盾を構えトリテレイアが躍り出る。
「貴女に対して慈悲はありません、此処で果てて頂きます」
 接近に気づき振り返る『白仙狐』に対しトリテレイアは投光器による強い光を浴びせた。薄暗い樹海にまばゆい閃光が走り直視した者の視界を奪う。
「くっ、目が……!」
 視界を潰された白狐が咄嗟に放つ狙いの定まらない狐火を掻い潜り、トリテレイアは加速を乗せたシールドバッシュを浴びせる。
「我が名はトリテレイア。……貴女は悪業が過ぎます。それゆえ、騎士として貴女を討ち倒させて頂きます」
 木に叩きつけられた『白仙狐』へ剣を向け、トリテレイアは騎士としての悪の討伐を宣告をする。
「その精気、汝は機械人形だな……? くく、汝がそう振る舞うのは『其の様に作られた』からか?」
 トリテレイアの精神を揺さぶろうと出任せに言った『白仙狐』だったが、反応を見て悩み有りと判断し言葉を続ける。
「それで良いのか? お主の心は何処にある?」
 同時に魅了の術を放ち相手を幻惑に絡め取ろうとしながら『白仙狐』は妖しげに微笑みトリテレイアへ近づく。その言葉に対するトリテレイアの答えは――。
「ベルセルクトリガー、限定励起。……『人』ではない。だからこそ出来ることがあります」
 トリテレイアは自身の精神構造を戦闘を最優先とするものへ書き換えた。ソレは豊かな感情を消しトリテレイアをただの戦闘機械へと変える。
「ちぃ、駄目か!」
 急ぎ引こうとする『白仙狐』をトリテレイアは無言で追う。損傷を無視したその戦闘行動は、狐火でも、妖狐の霊による反撃でも止めることは出来なかった。
 衝撃で何処からか染み出たオイルが一筋、涙のように伝う。トリテレイアは自身の損傷と引き換えに目標へ剣を振り下ろした。
「ぐ……おのれ……」
 その怪力による剣の一閃を受けた『白仙狐』は、左肩から胸にかけて袈裟がけに浅くない傷を負った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御劔・姫子
&&&
まずは【地形の利用】をしつつ、【忍び足】で様子を探ろうかな? 首尾よく見つかったら
えぇんやけど…

ふぇ? <狐のお守り>が…光っとる?
なんやろ、うちの【第六感】に呼び掛けてきてるような…とにかく行ってみよかっ!

探し出して、先手が取れるようやったら【先制攻撃】で【部位破壊】の小手討ちっ!
まずは龍の子を助けなっ!

って…その瞳の色っ…!?
うち、同じ瞳をしてはる妖狐を知っとるけど…まさかっ!?
あっ、あかんっ…この、妖術は…っ!?

(再び狐のお守りが光り、【呪詛耐性】を発揮する)

このお守りが…守ってくれてるんやろか?
…ありがとうな。

よしっ、相手が妖狐なんやったら…この技やっ!

「――室…玄能っ!!」



●縁は巡り、いずれ繋がる
 樹海に着くなり、御劔・姫子(はんなり剣客乙女・f06748)が持つ『狐のお守り』が淡く光を発した。それは長い刻を生きる、とある妖狐からの贈り物。
「ふぇ? 『狐のお守り』が…光っとる?」
 姫子はこの現象に戸惑い、光るお守りを観察する。
「なんやろ、うちの第六感に呼び掛けてきてるような……とにかく行ってみよかっ!」
 お守りを通して何かに引かれているようなものを感じた姫子は、しかし敵に気取られぬよう慎重に樹海の中を進んでいった。

 お守りに導かれ森を進むにつれて聞こえてくる戦闘音。足音を気にしすぎたか出遅れてしまった様子だ。
「あかん、出遅れたっ!」
 足を速めた姫子は刀に手をかけ『太陽神の儀式』の儀式場へと飛び出した。負傷し抵抗をするこの白髪の妖狐――『傾国の白仙狐』が目的のオブリビオンだろう。
「御劔家、第三十二代当主……御劔姫子、参りますえっ!」
 姫子は『剛刀『巌太刀』』を収める鞘の柄に手を添え、鯉口を切り戦いへ加わる。召喚した妖狐の霊のものだろうか? 『白仙狐』は手に持っていた剣で横から飛び出してきた姫子の一閃を受け止めた。
「次から次へと……妾の命、易々と取れると思うな!」
 鍔迫り合いとなり一時互いの顔が近づく。
「って……その瞳の色っ……!?」
 この時に敵の顔を間近で見た姫子は驚愕をした。何故なら、知り合いの妖狐と顔立ちが似ており瞳の色も同じだったからだ。
(白と金、左右の異なる色の瞳……。うち、同じ瞳をしてはる妖狐を知っとるけど、まさかっ……!?)
 この思考の隙間へモヤのようなものが滑り込む。『白仙狐』と至近距離で目が合うことで姫子は深く魅了の術を刻まれた。
「汝の精、妾が喰ろうてやろうぞ」
(あっ、あかんっ……この、妖術は……)
 意識がまどろみ始めた矢先のことだった。姫子の持つ『狐のお守り』が光を放ち魅了の術をはねのけた。自我を取り戻した姫子は咄嗟に敵から距離をとる。

「汝、ソレは何だ……、何処で手に入れた! 其の霊力、間違えるはずもない、其れは妾の……」
 距離を取る姫子へ反射的に伸ばされた『白仙狐』の手を、姫子は払い除け間合いを保とうとする。
(なんや、急に様子が変わって……。このおぶりびおんの妖狐はん、このお守りの事を知ってそうや)
 瞳を見た時の感覚が幻惑で無いのなら、この敵はきっとこのお守りの作り手……その知り合いの妖狐の縁者なのだろう。『白仙狐』は再び魅了の術を放つが、この『狐のお守り』が再び光りその力を遮断する。お守りに込められた『御利益』により妨害されている様だった。
(このお守りが……守ってくれてるんやろか? ……ありがとうな)
 このお守りを作った知り合いはこの敵と縁があるのかもしれない。けれどこのお守りは自分を守り味方となってくれている。ならこの場においては『白仙狐』は倒すべき相手。
「よしっ、相手が妖狐なんやったら……この技やっ!」
 姫子は鞘の帯留めを解きその丈夫で重い鞘を振りかぶる。その技は殺生石に関する逸話から取った技――『鞘撃・室玄能』。
「――室……玄能っ!!」
 鞘によるその単純で重い一撃は、大地を砕きながら敵を地へ叩きつける。この一撃により『傾国の白仙狐』は力尽きた。


 この戦いにより『太陽神の儀式』の一つは阻止された。しかしまだ『太陽神の儀式』はこの樹海の各地で密かに行われている。
 それでも、猟兵たちはその儀式を一つ一つ阻止していくだろう。

 この戦いの最終目標は『魔空安土城』。そこへ『首塚の一族』と、必要な数の随伴者たちを幕府軍と共に届けてサムライエンパイアを救う一手とするために、猟兵たちは戦う。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月03日


挿絵イラスト