エクセレント・エクスプローラーズ~漆黒のブリンガー
エクセレント・エクスプローラーズ!
通称エクエク。キマイラフューチャーで大人気のMMORPGだ。
プレイヤーは劇中に倣い、ピカピカな戦士略してピカセンと呼ばれる。
そんなエクエクの新たなデータが、戦争終結をきっかけにコンコンコンから出てきた。
それが『漆黒のブリンガー』。ピカセン達は期待に大盛り上がり!
「残党怪人をコロセー! コロセー!!」
ところでそのエクエクのガチ勢、もといグリモア猟兵の白鐘・耀は荒ぶっていた。
猟兵がなだめたところ、どうやらこういう予知らしいことがわかった。
舞台は"エクカフェ"。エクエクの世界観を模した喫茶店である。
ここでは新メニューとなるスイーツの研究&発表会が行われる、のだが。
「そこに怪人が来やがるわけよ! ぶっ殺すしかないでしょ!?」
と、耀は息巻く。殺意が高い。
「あんな奴らのためにイベントを中止するなんて言語道断もいいところ。
だからあんた達はキマイラと一緒に、まずはイベントを楽しんできなさい」
猟兵はヒーローなので、飛び入りでスイーツを作ることも試食も出来る。
さらに現地には、エクエクをプレイするための実機環境も用意されており、
『漆黒のブリンガー』の新たな要素を試遊出来るらしい!
「キーッ!! 羨ましい!! 私も行きたい!!!!!!」
生成のような形相でのたうち回る自称・可憐な猟兵。コワイ!
ところで忘れてはいけないのが、襲撃怪人の詳細だ。
耀はスペアの眼鏡を装着しつつこう語る。
「まず『模倣怪人ノッペロイド』ってのがわんさか出てくるわ。ザコね。
ただこいつら、エクエクのキャラになりきることが出来るみたいね」
劇中のNPCやモンスター、果てはネトゲあるあるな迷惑プレイヤーにすらなりきる。
別に強さは変わらないので戦略上の注意は必要ないが、惑わされないようにしよう。
「大ボスは『破壊の化身』ってヤツね。あんま怪人っぽくないわねこれ?
まあ、なんかエクエク的にはぶっとばしたほうがいい気がするから懲らしめなさい」
なんとなく王女と王子が仲間にいそうだが、こいつはひとりである。
エクエクへの恨みつらみを募らせるかもしれないが吹き飛ばせばいいだろう。
「せっかく戦争終わったのにこれ以上邪魔されてたまるもんですかーッ!!
なんとしてでも抹殺しなさい!! いいわね!!!!」
血走った形相で叫ぶ耀。火打ち石の音もカカカカッという感じだったという。
唐揚げ
第六猟兵プレイヤー兼マスター兼メインタンク、シャクシュカです。
エクエクシナリオ三作目です。以下まとめ。
●シナリオ構成
1章:エクカフェでの新作スイーツ考案&発表会(日常)
2章:VS模倣怪人ノッペロイド(集団戦)
3章:VSもょ……謎の怪人『破壊の化身』(ボス戦)
●エクエクとは?
正式名『エクセレント・エクスプローラーズ』。
キマイラフューチャーで大人気のMMORPG(いわゆるネットゲーム)。
プレイヤーはピカピカな戦士(ピカセン)となり、世界を救うために冒険する。
『漆黒のブリンガー』では、神の如き戦士略してカミセンになるらしい。
関連作:『ギスギス×でお願いします』『我々のエクエク』
という具合です。
プレイング締切は特に設けず、思い立った時に採用していきます。
それでは皆さん、動き理解しつつよろしくお願いします。
第1章 日常
『時代を追い越したお菓子達……!』
|
POW : 味覚をぶっちぎれ!甘さの限界を越えたお菓子に挑戦!
SPD : 視覚を貫け!カラフルド派手、あるいは装飾が凄いお菓子に挑戦!
WIZ : 思考をふっとばせ!見た人の度肝を抜くデザイン勝負のお菓子に挑戦!
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
エクカフェは内装からメニューから、エクエクの世界観を模したこだわりの店だ。
ゲーム内に登場する料理の他に、登場人物やクラスなどをイメージしたドリンクなど、
メニューはどれも美味しく、そしてピカセンには嬉しいものばかり。
「こちらは新クラスのガンブレイダーをイメージしたドリンクです!」
「感情に任せてスイーツを貪りますかァ? 無料で提供される新作メニューをォ!?」
「はちみつください!」
ピカセン達は新たな冒険に胸踊らせおおいに湧き上がっている。
怪人はまだ出待ち中なので、いまのうちに色々楽しんでおこう!
エクエクもプレイ可能だ! 新クラスのガンブレイダーとかダンサーが遊べるぞ!
ヨハン・グレイン
強引に呼び出されてオルハさん/f00497 と
……はぁ。良かったですね
楽しそうでなによりです
全部なんて言ってませんが
聞いてないですよね?
聞け
誰が暗黒魔導士だ
いや、俺じゃなくてヨハネスか……
……いやヨハネスはやめろとあれほど(略
どちらかというとあなたのテンションについていけないって顔してますよ
もう慣れましたけどね……
そういう理由で部屋に呼ぶのはどうかと思います
ゲームは相変わらず詳しくないので
話がまったく分からない訳で
はぁ……今度調べてみますかね
あくまでも話が分からないのが嫌だからです
本当です(虚空に向ける)
はいはい、食べましょうか
少しくらいなら付き合いますよ
あんたが楽しそうならもうそれでいいよ
オルハ・オランシュ
強引に呼び出したヨハン(f05367)と
くううっ……!エクカフェの新メニューだ!
ねぇどれ頼む!?全部?いいよ!!
ヨハンにおすすめなのはこれっ
暗黒魔導士イメージのドリンク!
だってほら、ヨハネスは暗黒魔導士だもの
またそういう、理解できませんって顔する……
今度私の部屋に遊びにおいでよ
ヨハネスの勇姿を見せてあげる!
私はこっちのイメージドリンクから飲もうかな
このNPCは今生死不明になってるんだよ
再登場しないかなー
料理もゲーム中のCGそのもので凄いなぁ
これ私のハウスに置いてるアフタヌーンティーセット!
ね、ヨハン
分け合って食べよう!
試遊にも付き合ってくれるよね?
私達の冒険はまだ始まったばかりなんだよ!
●いつものふたりのいつものじゃれあい
「くうう~っ! エクカフェの新メニューが食べれるなんて最高だよっ!
ねえヨハン、どれ頼む? えっ、全部? もちろんいいよっ!!」
と、テンションバリ高のオルハ・オランシュと、
「楽しそうで何よりなんですが、全部どころか俺何も言ってないですよ。
……とか言っても聞く耳持ちませんよね、例によって例のごとく……」
そんなオルハに付き合わされているヨハン・グレイン。
あちこちの依頼に足を伸ばす、いつものふたりのいつものじゃれあいである。
以前ヨハンはエクエクのファンイベントに(無理やり)参加したのだが、
さすがにあの一件でエクエクに興味を持った、ということはないようだ。
「まあ、好きなものを堪能できるのはいいことじゃないですか。よかったですね」
「そんな顔しないで、私オススメの暗黒魔導士イメージのドリンクでも飲んで!」
「誰が暗黒魔導士だ(真顔)」
びびくぅ! とヨハンの圧に驚くオルハ。
「違うよ、暗黒魔導士なのはヨハネスだから! ね?」
「……そうですか。ヨハネスのことなら仕方な いや仕方なくないですよ」
そのキャラ名はやめろと前に言ったじゃないですか、とか抗弁するヨハン。
ぐだぐだと長引くお説教を、オルハはどこ吹く風で受け流していた。心が強い。
「……だいたいですね」
眉間を揉みながら、なんだかんだドリンクを受け取ったヨハンが言う。
「俺はエクエクとやらに興味はないんですよ。わかってますか?」
「だからアピールしてるんだよ? えっとほら、ステマってやつ!」
「ステルスしてないしマーケティングにもなってないです」
ばっさりと真顔で切り捨てた。
「……なにかに熱意をかけるのはいいことだと思いますが」
「"俺には理解できません"、でしょ? まーたそういうこと言うんだから」
紡ごうとした言葉の先を気取られ、ヨハンはうぐ、と呻いて黙った。
なんだかんだ付き合いの長いふたりである。この程度はツーカーのようだ。
「あ、だったらさ! 今度私の部屋に遊びにおいでよ!」
「は???」
「ヨハネス(エクエクのキャラ名)の勇姿、見せてあげる!」
「いや、そういう理由で男を部屋に呼ぶのはどうかと思います」
おほん、と咳払いしながら、眼鏡を直しつつあっさりと一蹴するヨハン。
むう、と唇を尖らせるオルハの頬が、微妙に赤いのは気のせいだろうか?
そんなこんなの間に、ふたり(主にオルハ)が注文した品が運ばれてきた。
オルハが手にとったのは、鮮やかな水色のラムネに、甘い牛乳とバニラアイス、
さらにアクセントにトルティーヤがあしらわれたドリンクである。
「これね、エクエクのNPCをイメージしたドリンクなんだって」
「そうですか」
大して興味なさそうなヨハン。彼は受け取った暗黒魔導士ドリンクを飲んでいる。
こちらはグラスに青色のカシスティーが入っており、
そこに付属の赤紫色のシロップを入れて混ぜて飲むというものである。
マドラーが暗黒魔導士の装備である杖を模しているのがこだわりポイントだ。
「……このNPC、人気があるんだけど、いまストーリーで生死不明になっててね」
「はあ」
大して興味なさそうなヨハンをじっと見つめるオルハ。
「すごく頭がよくて魔法も得意なんだけど、いわゆる未熟な天才ってやつでさ」
「そうなんですか」
「頑固で真面目すぎるせいで、とんでもない目に遭って挫折しちゃうんだよねー」
「…………なんですかその目は」
「別に?」
明らかに含みのあるオルハの物言いに、はあ、と溜息をつくヨハン。
「そうやって難しい顔をしてるせいで、その子も悪い大人に利用されちゃうの」
皺が寄る眉間を指さされ、ヨハンは物言いたげな顔で見返す。
「……俺はそんなヘマはしませんよ」
「別にヨハンのことだなんて言ってないけど?」
「ああ言えばこういう……」
くすくすと楽しげなオルハに、ヨハンはまた溜息をついた。
このオルハのテンションの高さについていけないというのが、正直なところだ。
……にもかかわらず、こうして同道しているあたり、つまりそういうことだが。
余談だが件のNPCは、偉大な祖父の孫たらんと背伸びする若者……という設定だったりする。
はたしてそこまで聞いていたなら、ヨハンはどう思っただろうか。
……ひとしきり喉を潤したところで、次の品物が運ばれてきた。
「わあ、すごい! ゲームの中のCGそのままだ! すごいなぁ」
と、オルハが快哉をあげたのも無理はない。
洒落た皿を彩るのは、ふわふわとしたパイナップルケーキとハニーマフィン。
さらにいい焼き加減のナッツクッキーまでついている、午後のティーセットだ。
「ずいぶん本格的ですね」
「でしょ? これ、ゲームの中でもちゃんと作れる料理なんだよ」
ヨハンが食いつくと、オルハはすぐさま早口になった。
「これを家のテーブルに置くと、その場で食べることが出来てね。
ちゃんと食べるごとにクッキーやケーキの数が減っていったりするの」
「……それ、必要な要素なんですか? よくわからないですけど」
「そういうとこをこだわってるから、エクエクはすごいんだよっ!」
どやぁ。ゲームプレイヤーにありがちな謎のドヤ顔である。
本来ゲーム中だと、このクッキーはエーコン(どんぐり)を使うのだが、
さすがにそこは手軽で食用に適したナッツに置き換わっているらしい。
「あ、もちろんほかにも色々あるんだよ! お饅頭とかホールケーキとか……」
などと語るオルハだが、ヨハンはゲームそのものにさっぱり詳しくない。
が、彼女や他のピカセンが、なぜエクエクの世界観を愛するのか。
その一端を、なんとなく知ったような気がしたヨハンである。
「はぁ。……まあ、今度調べてみますかね」
「ほんと!?」
「いや、あまりオルハさんに語らせても悪いですし。それだけです。
話を聞くにしても、前提知識はもう少しあったほうがいいでしょうからね」
そう、けして暗黒魔導士というワードがグッと来たとか、
どことなく共感を覚えるNPCがどういうやつなのか気になるとか、
オルハにいい顔をしたいとかそんな理由ではない。決してそんなことはない。
わかっています。はい。遥かにいいです。いつもありがとうございます。
さておき。
「せっかくだし、ふたりで分け合って食べようよ!」
「そう来ると思いました。はいはい、じゃあ食べましょうか」
少しくらいなら付き合いますよ、とカモミールティを手に取るヨハン。
そんな様子にニコニコしつつ、オルハは続けざまにこう言った。
「決まりだね! じゃあエクエクの試遊も一緒にやろう!」
「は???」
「だって漆黒のブリンガーが先取りできるチャンスなんだよ!?
私達の冒険はまだ始まったばかりなの。これを逃す手はないよ!」
「…………」
またしてもよくない噴き上がり方をしたオルハに、ヨハンは何度めかの溜息。
「あんたが楽しそうなら、もうそれでいいよ……」
思わず敬語を忘れてしまうぐらい、うんざりした顔であったという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フルール・トゥインクル
ネグル・ギュネス(f00099)さんと一緒に
ネグルさんネグルさんエクカフェなのですよ!
こんな形でもエクカフェに来れるなんて夢のようなのです
はわぁ……エクエクの世界が目の前にお料理も美味しそう
で、す、が!!
メインの目的はお料理ではないのです、わかりますですよね?わからないですか?(食い気味)
エクエクの新要素に決まっているのです!!!
これをやらなくては勿体なのです
というわけで私はやりますですよ
ダンサーが気になっていたのです
新種族と合わせて動かしてみると……な、何とも色っぽいような
え、私に……って何です?
いえ確かに果物は好きですけど、オランジェ逃げないでくださいです!?
(でも食べる)(一口でダウン)
ネグル・ギュネス
フルール(f06876)と参加
アドリブ大歓迎
二人でカフェとはデートみたいだな
わ、わかった、わかったから落ち着いてくれ、ください!
というわけで、新要素だ
ガンブレは矢張り浪漫!
新武器の使い心地を試そう
クエスト突撃!
服装も黒ジャケットに獅子のシルバーアクセサリーを身につけて行こう
お、おぉ…良いな、実に、踊り子…
運営、君はよくわかってる…最高だ!(最高の笑み)(ガン見)
クエスト後は、お疲れ様としてお菓子メニューを考える研究で試作した、様々なフルーツで彩ったお菓子を彼女にプレゼントしよう
味?
独特かも、しれないね───(味見無し)(混ざり合うフルーツ)(カオス勢力も真っ青な混沌を君に)(自分も食べて死ぬ)
●えくかふぇの ほうそくが みだれる!
ガンブレイダー!
それは漆黒のブリンガーで新規追加される、エクエクの新たなクラスだ。
ガンブレイドという特殊な武器を操る、いわゆるタンク系のクラスに当たる。
このガンブレイド、もともとはシリーズの別作品に登場したアイテムで、
そのせいか元作品のファンからは大きな喜びを以て受け入れられた経緯がある。
そして今! ネグル・ギュネスの装いは……おお、まさに!
「ね、ネグルさん! その装備はもしや……!」
フルール・トゥインクルも、思わず彼の格好には瞠目した。
ファー付きの黒いジャケットに、トレードマークの獅子のアクセサリー。
ご丁寧にヘアスタイルも、ちょっと元のキャラクターに寄せている徹底ぶり。
「なら、壁にでも話しているがいい」
キリッとした表情で言い放つネグル。別にフルールを煽っているわけではない。
ガンブレイドのオリジナルに当たるキャラクターの、名台詞を再現しているのだ。
フルールもそれを知っているので、きゃーっとテンションが上がっていた。
「すごいのです! さすがネグルさん、こだわりのコスプレなのですね!」
「ふっ、もちろんだ。なにせ二人でカフェ、つまりこれはデートのような……」
「そう! なの!! ですよ!!!」
「えっ」
うまいこと流れで歯の浮く台詞を言おうとしたネグルがちょっと驚いた。
なにせフルールが、いきなりテンション爆上がりして燃え始めたからだ。
「エクカフェなのですよ! こんな形とはいえ、夢のようなのです!
見てくださいネグルさん! はわぁ……エクエクの世界そのままなのです!!」
と、店内のこだわりの内装やら料理やらを見てうっとり顔である。
よほどエクカフェに来たかったらしい。ネグルの話など聞いちゃいない。
ネグルは残念半分、安心半分の心持ちであった。彼は……ヘタレだから……!
「ところでネグルさん!!」
「うおっ!? な、なんだ!?」
うっとりしていたフルールがいきなりぐるんと振り向いた。ビビるネグル。
「たしかにエクカフェは素晴らしい場所なのです。お料理も美味しそう!」
「う、うむ」
「で・す・が!!」
くわわっ。普段の彼女ならありえないくらいの迫真のマジ顔である。
「メインの目的はお料理ではないのです! わかりますですよね?」
「え、ええと、それはもちろん」
「わからないですか!?!?」
「わ、わかった! わかったから落ち着いてくれ、ください!」
どうどう。食い気味のフルールをなんとかなだめるネグル。
「皆まで言わずともわかるさ。エクエクの新要素の試遊……だろう?」
「なのです!! これをやらなくては勿体無いのです!!」
ネグルもこの点は素直に頷く。だからこその気合の入ったコスプレなのだ。
ガンブレイド。それは浪漫の塊。男の子の心が騒がずにはいられない!
そんなわけで、ふたりはさっそく試遊コーナーに向かうのであった。
そして漆黒のブリンガーのもう一つの目玉、それがダンサーだ。
名前の通り、様々な踊りで味方を強化しつつ、投擲武器で戦うアタッカー。
ダンサーもまたシリーズではおなじみのクラスということもあり、
フルールの興味は真っ先にそこへ向かっていた!
「PVや実機映像で見ていたですけれど、こうして改めて動かしてみると……」
画面の中では、さらに漆黒のブリンガーで実装される新種族のダンサーが、
専用装備を身に纏い軽やかにダンスを踊っていた。
臍を惜しげもなくさらけ出した、ダンサーらしい露出度の高いコスチュームだ。
新種族は背の高いグラマラスな見た目が特徴ということもあって、
フェアリーであるフルールとしては自分にない色気を噛み締めざるを得ない。
「で、でも考えすぎなのですよね! ねえネグルさ」
「お、おぉ……いいな、実にいいぞ、ダンサー……!」
そんなネグルは、おもいっきり邪な笑みで画面に魅入っていた。
わざわざエモートを駆使したり、カメラワークできわどい角度を探したりする。
フルールは一瞬で絶対零度の表情になった。ダイヤモンドダストとか出せそう。
「そういうとこなのですよ」
「えっ何がだ!? 私なにかやってしまったか!?」
いまはエクエクのことだけ考えよう。そう決めたフルールだった。
「なるほどシナジーはこうなってるのですね、限界突破は……おおー!」
「フルール、フルール?」
「いまいいところなのです! わあ、IDのBGMもかっこいいのですね……!」
「あの、フルールさん? こっち見てくれません???」
すっかり熱中していたフルールが仕方なくネグルのほうを見てみると、
なんとそこには……色とりどりのフルーツを盛り付けた新作スイーツが!
「熱中している間に、スタッフさんに頼んで新作メニューの考案に参加したんだ。
エクエクもいいが、こちらも忘れてはいけないよフルール。お疲れ様だ」
ニコッ。イケメンスマイルを浮かべるネグル。見た目は様になっている。
なっている、の、だが……スイーツが、こう、ちょっとケオスが過ぎている。
色とりどりのスイーツを盛り付けた、というのはオブラートに包んだほうで、
実際はかなり皿の上の法則が乱れていた。全体攻撃とかしそうだ。
「食べてくれるかい、フルール?」
「ね、ネグルさんのお誘いは大歓迎なのですけど、あの」
「何かな?」
「……あ、味見はしたのです?」
「さあ、食べてくれ!!」
「ネグルさん!? そしてオランジェなんで逃げるのですー!?」
ゴリ押しするネグル。逃げる精霊。フルールはなんだかんだで優しい女の子だ!
このあと襲い来る悲劇をなんとなく感じつつも南無三と一口食べてみた!
「……きゅう」
「フルール―!? バカな、たしかに味見はしてないがそこまでのはずhきゅう」
二人揃って、仲良く床ペロするほどの破壊力だったという。
このスイーツを考えたのは誰だぁ!!(斃れている男である)
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
荒・烏鵠
いーちゃん(f14324)と!
戦争しゅーりょーオツカレサマー!ってコトで打ち上げ気分!タダ飯食べられるッてンでいーちゃん引っぱってきたぜ!
マ、アイツゲームとかさっぱどわがんねッてタイプだが。
オレもエクエクは知らんッ!ケド面白そうだから遊べンなら遊ぶ!回避系タンクやりたい。ヘイト管理したい。または全体にバフかけるサポート系!
あ、いーちゃんおかえりー。ちょーど喉渇いてたからサンキューな。
うわなんだコレ、ミントヨーグルト?すげーさらっとしてッケド。
ウン確かに甘いが言うほどではねーな。さわやかーなカンジ。うめぇ。
いーちゃんも満足そーだしよかったヨカッタ、この後の〝腹ごなし〟も楽しみだナ?
イリーツァ・ウーツェ
烏鵠(f14500)に誘われて来た。
ゲームはわからん。液晶は苦手だ。
ずっと見ていると目が痛くなる。
烏鵠はゲームで遊ぶとの事なので、私は食事を摂る。
飲料と甘味を除いて、とりあえず上から一個ずつ頼む。
一度には頼まず、一品ずつ。
しかし、烏鵠はずっとゲームをしているが、疲れないのか?
適当に飲料を持っていこう。
ほら。これでも食べて、眼球と頭を休めろ。
ミントラッシーだそうだ。甘いぞ。
さて、この後はオブリビオンが出るのだったな。
いいぞ、適度に飢えも満たされた。
気持ちよく皆殺しに出来そうだ。
●打ち上げ・おぶ・ふらわーず
このカフェ店内はおろかキマイラフューチャーはもう完全に平常運転だが、
ついこないだまで北と南に真っ二つに割れて大戦争の真っ最中だった世界だ。
「なンか、この呑気な風景見てるとソレも忘れちまいそうだなァ」
相変わらずのお気楽極楽なキマイラ達の乱痴気騒ぎを尻目に、
荒・烏鵠はひとりごちた。もっとも、彼がそれをとやかく言うことはない。
では彼が連れてきたイリーツァ・ウーツェがどうなのかというと、
「この世界ではそれが自然なのだろう。ならば、特に言うことはない」
と、相も変わらずの仏頂面で頷くばかり。つまりは彼も平常運転だ。
「まッ、それでこそいーちゃんだ。戦争しゅーりょーオツカレサマだぜ?」
「なるほど、私を誘ったのはそのためか」
打ち上げパーティー。世俗に疎いイリーツァには馴染みの薄い単語だ。
「しかしお疲れ様と言っても、戦闘の負傷や疲労はすでに回復しているのだが」
「ゼッテー言うと思ったその台詞、打ち上げってのァそういうモンなんだって」
「そうか」
イリーツァは、烏鵠の言葉に相変わらずの無表情で頷く。この狐が云うのなら、
よくわからないがそうなのだろう。ならば、それに倣うだけの話だ。
「それで、一体何を打ち上げればいいんだ」
続けざまのイリーツァの台詞には、さしもの烏鵠も吹き出してしまったとか。
しばらくして、烏鵠が落ち着いた頃のこと。
「しかし烏鵠、私はゲームのことなどまったくわからんのだが」
「あァ、イイってイイって。オレもエクエクのこたさっぱり知らんし!」
などと、イリーツァを誘った当人である狐は、飄々と笑っていた。
彼らがここを打ち上げの場に選んだ理由も、主に無料で食事が出来るからだ。
試しに実機コーナーのほうを藪睨みするイリーツァだが、すぐに頭を振り、
烏鵠のほうへ目線を戻した。なにやら眉間を揉みほぐす仕草をしている。
「そもそも私は液晶が苦手だ。ずっと見ていると目が痛くなる」
「ゲームを遊ぶ以前の問題かよッ! イヤま、それもいーちゃんらしいけどよ」
という具合なので、しばらくふたりは別行動を取ることにした。
エクエクに興味のある烏鵠が、実機コーナーでの試遊体験にチャレンジし、
その間にイリーツァは食事を摂る。なにせ無料なので食い気は十二分だ。
「ンじゃちょっくら行ってくるわ!」
「ああ。……すみません、注文をしたいのですが」
烏鵠を見送ったイリーツァは、無表情のまま手を挙げてスタッフを呼ぶ。
イリーツァはどんな時も、どんな相手だろうとまっすぐに挑み打ち倒す。
それが盾の龍である。打ち上げだろうがやることは変わらない。つまり……。
「まず、この一番上の料理をひとつ」
メニューを上から制覇。とにかく目についたものを食う、それだけだ……!
一品ずつ頼むあたり、スタッフへの心配りは出来ているのかもしれない。
あるいは単にそう教わったか。いずれにしてもいい判断なのは確かだ。
そして最初に運ばれてきたのは、『ハンター風・山の幸串焼き』という料理だ。
エクエクの料理アイテムを再現したもので、大きな鶏肉と瑞々しいパプリカ、
さらに丸々と育ったトマトが串に刺さったシンプルなものである。
「なるほど」
特製スパイスとオリーブオイルで味付けされた串焼きは、かなりボリューミー。
この料理に限った話ではないが、エクカフェのフードは割と量が多い。
だがこの男、言わずもがな大食漢である。平気な顔でむしゃりと食う。
「すみません」
ほどなくして次の注文。運ばれてきたのは具沢山の冷麺、なのだが……。
「……青いな。何故だ」
そう、スープも麺も青い。『水竜神の冷やしタイダル冷麺』という料理だ。
劇中で立ちはだかる強大な水の龍神をモチーフにしたメニューらしく、
波を模した青い冷麺はまさに大海嘯の如し。その上に盛られた海老もデカい。
(味はまあまあだし、食べごたえもある。しかしなぜ青いのだ)
鉄面皮のまま妙なところを気にしつつ、それはそれとしてあっさり完食。
「すみません、注文を」
「あ、あのお客様? 足りないようであれば複数ご注文頂いても……」
などとスタッフがおずおず言い出すと、イリーツァは沈思黙考する。
「……いや、一品ずつで結構です。次はこの『破壊神麻婆豆腐』を」
「は、はあ」
妙に節度を守る不器用な健啖家に、目を丸くするスタッフ達だった。
その頃の烏鵠はというと!
「ケッコー忙しいなエクエク! 攻撃もしなきゃなンねェのかァ」
ヒーラークラスのひとつである『スカラー』が肌に合ったらしい。
これは、古代の軍略知識を武器に仲間を支援するというフレーバーのクラスだ。
スキル名も『戦意高揚の陣』や『深慮遠謀の策』などそれっぽいのばかりで、
基本的回復方法も、『妖精を召喚し使役する』という一風変わったものである。
「ンで、ここで『混戦計』を使うと。いちいち洒落てンなスキル名!」
ターゲットにデバフが付与され、味方のダメージが一気に増大するスキルだ。
そしてスカラー自身が回復魔法には、ダメージを軽減するバリア効果がある。
……つまり、常に敵の動きを先読みし、味方にはダメージ軽減のバフを。
敵にはダメージ増加デバフや、毒ダメージ効果のある魔法を唱えることで、
ターゲットを弱め味方を支援する。それがスカラーの基本戦術なのだ。
常に策を張り巡らせ、様々な式を使役する烏鵠にはぴったりと言えよう。
「やっぱなー、バフはパーティ全体に張りたいモンなー。
コッチのアストロジアンもイイけどなァ、単体だとちょっとなァ……」
などと別クラスも品評する烏鵠。ゲームそのものには慣れてるらしい。
余談だが、エクエクのタンクはどれも耐久型のビルドばかりである。
いわゆる回避盾は存在しない。ナイトに汚物扱いされる忍者はいないのだ。
「烏鵠」
「ン? お、いーちゃんおかえり」
そんな烏鵠のもとへイリーツァがやってきたのは、かなり後のこと。
「ずっとゲームをしているな。疲れないのか?」
そう言いながら、イリーツァは持っていたグラスを烏鵠に差し出す。
「これでも食べて、眼球と頭を休めろ」
「ちょーど喉渇いてたンだ、サンキューな……ってうわ、なんだコレ」
「ミントラッシー、だそうだ。甘いぞ」
名前の通り、ラッシーの上には鮮やかなミントが一枚載せられている。
さらにレモンか何かの汁とブラックペッパーも軽く混ざっているようで、
一口飲んでみれば爽やかなハーブの味わいと、控えめな甘さが喉を通り抜けた。
「ウン、たしかに甘いが言うほどではねーな。けどうめぇわ」
「そうだろう。青汁などよりも、ずっといい」
イリーツァは相変わらずの無表情、声音も平坦なものである。
しかし烏鵠は、そんな彼を横目にくつくつと愉快そうに笑いだした。
「どうした」
「いや、いーちゃんも満足そーでよかったヨカッタ、ってな」
「そうだな。おかげで、飢えも適度に満たされている」
なんやかやでメニューをほぼ制覇したイリーツァだったという。
食事を終えた今、龍の興味はこのあとに来るであろう怪人どもに向けられる。
「このあとの"腹ごなし"も楽しみだナ?」
「ああ――気持ちよく皆殺しに出来そうだ」
溢れた一言は、おっかないことこの上ないものだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
須藤・莉亜
「ダンサーでうさ耳はどこですか?そして、拡張パックの度に削れる僕の寿命(寝不足)」
試遊できる場所はどこだー。
とりあえず、新ジョブは全部触る。触りまくる。撫で回す。
「猟兵になって良かったー。」
んー、今度のメインは何にしようかなぁ…。刀を捨てるのもなぁ…。
ひと段落出来れば、新作スイーツの方も、ちらっと見とくのもありかな?
あと、喫煙所の場所も探しとこう。集中しすぎてニコチン切れになりそうだし。
難駄芭院・ナナコ
エクカフェだ!
🔄よろしくお願いします!🔄
POW
アタイは覚えている!前回のエクエクイベントで食べたグレートソーサーパフェ(バナナVer)の感動を!
ならば作るぜ!あの時の感動をもう一度!いつでも手軽に一人用サイズに!
だがお手軽サイズになっても甘さのレベルは同じ!いやそれ以上に盛り込まれたバナナで限界突破だ!
超えるバナナだ!
そして!このパフェは上昇パラメータ優秀!次のエンドでの主食はコレで決まりだ!(適当情報)
あ、市場のバナナはアタイが(趣味で)買い占めておいたぜ!
そして!忘れてならねぇのが!
新パッケージ『漆黒のブリンガー』をいま予約すると何と!
先行アクセスが可能!一足早く新しい世界を体験せよ!
ジョン・ブラウン
無料の新作スイーツや料理!
どれも美味しそうだけど、ただ食べて満足するだけじゃ二流さ
そう、この中には漆黒で登場する新規レシピのヒントが含まれているはず!
次に高騰する素材を推理し買い占めておく、それも大規模アップデートのだいご……(周りの騒ぎが聞こえてくる)
何……次に来るのはバナナパフェ……!?
よし、今すぐ買い占めて……(スマホアプリを開く)
なっ……既に安価なバナナは独占されている……!?
くそっ、ならそれ以外に使われそうな素材を……こっちも根こそぎだと!?
くそっ!金の亡者達め!
だが諦めないぞ、僕には負けられない理由がある!
何故なら新エリアのLハウスをフレのヒーラーちゃんが欲しいって言ってたからーー
籠目・祷夜
夏が楽しみだな…(目頭を押さえて)
ああそうだ、復帰した
猟兵で生活に余裕ができたからな
ふむ…
白いもぐらを模した白米が食べたい
どりんくは「たんくの血涙ぶらっどべりーそーだ」で
でざーと?そんなものもあるのか…ではれいどぱふぇを!…と思ったが
1人ではさすがに食えんか…(しゅん
ぷ、…黄色い鳥のぷりんを…
くっぷりん1つ頼むだけでこんなに照れ臭いとは!
!!うまい!
可愛らしいもぐらを食べているという罪悪感を与えないほどうまい!
たんくの血涙そーだもうまい…身にしみる
ぷりんもうまいな(もぐもぐ
本当は龍蛇神の青いかれーらいすを食べて見たかったが、これはこれで良い思い出になったな
アドリブ、絡み歓迎
メルノ・ネッケル
【POW】
前のイベントでオブリビオン騒動があったって聞いたけど、それでもこの盛況ぶり……流石は覇権ゲームや。
新クラス、始めるにはええタイミングやろ?
ここらで趣味をひとつ増やすんもええかも……という訳で仕事の前にレッツ試遊や!
いきなり突っ込むんは【勇気】いるけど……素人がプレイして初めて見えてくる事もあるやろ、遊ばせて貰うんならフィードバックまでやってこそやし。
選ぶクラスはガンブレイダー!武器がキマッとるね!
えーっと……なになに、スキルを順番に使って、コンボを繋げて……おお、動きがかっこええなー。
……うおっ何か強くてド派手なスキル出た!!うっわ楽しい!!
これは帰ったら早速エクエク勢ならんと……!
バルディート・ラーガ
へエー、ゲームの中身をモチーフにしたメシ屋なんてェモンがあるとは。
キマイラのヒトらの娯楽にかける情熱ッつーのはすげえモンですねエ。
ちいとばかしはゲームの方にご縁もあるとはいえ、あっしは未だに最初のクラスも育ちきってねエという体たらく。
やーそのう、新しい種族つーのがなかなかイケてるじゃアねエですかい。ついつい新キャラに手が……コホン。ともあれ、試遊は後ろから眺めるに留めやしょ。
代わりに飲食のコーナーに居座って、酔っ払っちまうタイプのドリンクを美味しく頂いておりやす。ヒヒヒ。
……しっかし、パラパラとメニュー捲ってるだけでもすっげエ種類があンのねエ。真紅のお空、そして真っ青な麺……麺?
祇条・結月
考えたらこういうゲームはあんまりやったことないな。
ゲーセンとかは好きなんだけど、かえって家でするゲームはしていない気がする
せっかくの機会だし、ちょっと試していきたいところ
それにスイーツの研究会でもあるらしいし、あわせて堪能していきたいな
……やったことないゲームだからどうしても最初の内は失敗するだろうけど、手先もそこそこ器用だし仕様を把握していったら割と上達は早いかも
コツを見つけるのは、わりと得意なんだよね、って。ゲームの要点を【鍵開け】するように把握して。
ゲームの内容を知っておけば後々に役に立つかもだし、そうやって真面目に楽しみながら「その時」を待つよ
アドリブも歓迎。好きに動かして
ピリカ・コルテット
ぴこーん☆
エクカフェのメニューもすっごく気になるけど、
団子よりエクエクだよねっ♪
(空いてたらプレイ台へダーッシュ!)
せっかくだし新クラスを体験しちゃおうっ!
希望はもちろんタンクのガンブレイダーですよう!
魔弾を貯めて、斬りコンボの合間に爆発させてく感じなのかな?
派手だし爽快でいいねいいねーっ♪
TPがなくなったし、範囲攻撃もし放題なんだよね!
何と戦うのか分からないけど、タンクの仕事はしっかりこなそうっ!
もし一緒に遊べそうな子がいたら、声を掛けてPTを組みたいなー♪
分からない事はばっちり教えてあげちゃう!
絡み・アドリブ大歓迎っ☆ 口調は気分!
●約半年ぶりの
「お! 🔄よろしくお願いします!🔄」
「ぴこーん☆」
「おやア、こりゃ皆さんお揃いで」
「なんだか妙に懐かしい気がするな!」
「たしかにそうだね」
エクカフェの一角。顔を合わせるなり、五人の男女は口々にそう言った。
難駄芭院・ナナコ。ジョン・ブラウン。籠目・祷夜。
そしてバルディート・ラーガと、ピリカ・コルテット。
種族も性別も、いわんや戦い方も何もかもバラバラの五人であるが、
彼ら彼女らにはふたつ共通点がある。
ひとつ、練度もバラバラなれど、五人はいずれもれっきとしたピカセンだ。
そしてもうひとつは、かつて『ある事件』を解決した、という縁である。
「あのアルパカマッスルは、今思い返しても不届きな輩だったな」
『ある事件』……エクエクのゲーム内マナーを乱そうとする怪人との戦い。
それを思い返しながら、祷夜が趣深い表情でそう呟いた。
「ホントだぜ! まあそのあと、別のマッスルまで出てきやがったんだけどな!」
「おまけに巨大化までしやがりましたからねエ……まさに大巨人(タイタン)でさアよ」
やれやれといった様子で頭を振るナナコに、バルディートが同意する。
エクエクは、二度同じ怪人の標的となった。その二つ目の事件の話である。
「そ、そんなことあったんだ!? 見てみたかったかも……いや、うーん」
見上げるほどのムキムキマッチョな怪人。想像するだに汗臭い。
頭が痛くなりそうな脳内風景を、ぶんぶん顔を振って振り払うピリカ。
「まあまあ、思い出話もいいけどさ! 僕らの本題は別にあるでしょ?」
と、そこで、ジョンが話をやや強引に切り替えた。そわそわしている。
それは当然だろう。彼らがここに来たのは、そう! エクエクのためなのだ!
「そうだぜそうだぜ! エクカフェに来たんだから楽しまないとな!」
「いよいよ夏まであと少しか、楽しみだな……」
テンション上がった様子のナナコ、目頭を抑えて感極まる祷夜。
当時はピカセンを引退していた彼も、いまでは無事復帰したようだ。
「ま、あっしは未だに最初のクラスも育ちきってねエんですがね、ヒヒヒ」
「ピカセンに貴賎なんてないですよ♪さあ、さっそくエクカフェを楽しもう☆」
バルディートに対するピリカの言葉で、一同はようやく一時を楽しむことに。
どうやら、それぞれスイーツコーナーと実機コーナーに分かれるようだが……?
●ライトパーティ:エクエク編
というわけで、所変わって実機が用意された試遊コーナー。
猟兵だけでなくキマイラ達も数多く集まっているのだが、
どうやらカフェのスタッフがそれを見越して十分な数の台を用意していた。
「なるほど、あれが噂のエクエクってやつか……」
そんな人だかりをやや遠巻きに眺めている少年がひとり。
彼の名は祇条・結月。お察しの通り、非ピカセンの猟兵である。
別に物怖じをしているわけではない。むしろ興味は人一倍というところだ。
「うーん、初心者向けの台とかはあるのかな……」
いわゆるゲームセンターにあるようなアーケードゲームは好きだが、
この手のPCゲームや家庭用のゲーム機には、少々馴染みが薄いらしい結月。
先にエクエクに触れてみるか、あるいはスイーツのほうに向かうか、
考えあぐねているようだが……彼は知らなかったのだ。
「ぴっこーん☆」
「うわっ!?」
突然背後から聞こえた女性の声に、結月は驚いてつんのめった。
振り向いてみれば、そこにはにやりと意味深な笑みを浮かべるピリカの姿。
「そのおずおずした様子……もしかしなくても若葉さんだよね♪」
「えっと、若葉? あー、初心者ってこと……かな?」
そう、エクエクでは初心者のことを『若葉』あるいは『ビギナー』と呼ぶ。
作成したばかりのキャラクターの名前に、若葉マークがつくのが由来である。
ピリカはニコニコ笑顔のまま、妙な"圧"を放ちながらずずいっと詰め寄った。
「ええっ、な、何!? 僕何かした!?」
「あー、驚くのも無理はないよねえ」
そんなところへやってきたのは、気怠げな声をしたダンピールの青年の須藤・莉亜。
言わずもがな、彼もガチガチのピカセンである。
先に話に出た、二つ目の事件……エクエクのファンイベント騒動でも、
そのガチ勢っぷりを披露しつつ、怪人退治に一役買った立役者というわけだ。
ともあれ莉亜は、困惑するばかりの結月にうんうんとしたり顔で頷いている。
「僕らピカセンはねえ、若葉を見つけると……」
「み、見つけると……!?」
なんだ、まさか囲んで棒で殴られるというのか。
もしかして自分はとんでもないところに迷い込んだのではないか。
早とちりした結月が、思わず冷や汗をかいた、その時!
「やってみたいジョブはどれかなっ!?」
「えっ」
「あ、難しく考えないでいいよ♪でも初心者にはアタッカーがおすすめかも!」
「ええ……?」
ニコニコ顔のまま、若干早口であれやこれやと語り始めるピリカ。
「僕らピカセンは、若葉を見つけると……世話を焼かずにいられないんだよねえ」
「紛らわしいこと言わないでくれる!?」
しみじみとした莉亜の言葉に、思わずツッコミを入れる結月。
「なんや、初心者は手取り足取りレクチャーしてくれるんか!?」
そこで、新たな若葉もといメルノ・ネッケルがにゅっとポップした。
「なんや前のイベントでオブリビオン騒動があったって聞いたけど、
この盛況ぶりに初心者サポートまで手厚いとは、さすが覇権ゲームやな!」
「は、覇権?」
「エクエクはめっちゃ人気なんやで! いやうちやったことないねんけど!」
すっかり驚き役に収まった結月に、なぜか微妙にドヤ顔で語るメルノ。
ピリカも莉亜も世話を焼くつもりは満々とはいえ、だいぶタフな妖狐である。
「もちろん大歓迎だよ☆ わからないことはばっちり教えてあげちゃう!」
「おおきに! 勇気出して突っ込んだ甲斐があったわー、なあ若葉くん?」
「いや、僕も君も初心者って意味では同じだと思うんだけど……まあ、いっか」
なんだか真面目にあれこれ考えているのが馬鹿らしくなった結月である。
妖狐の女性二名はすっかり打ち解けあい、さっそくレクチャーを受けている。
「で? 君はどんなクラスやってみたいとかあるの?」
「あ、うーん……そもそもどういうのがあるのか……」
「なるほど。じゃあ僕と一緒に、一通り触ってみない?」
莉亜も、新しいクラスや追加スキルを網羅するつもり満々らしい。
「それはありがたいけど、こういうのってひとり1キャラなんじゃ?」
「よくぞ聞いてくれました☆」
ずずいっと割り込んでくるピリカ。満面の笑みである。
「たしかにダンジョンの中や戦闘中は切り替えできないけど、
エクエクではいつでもどこでもクラスを切り替えることが出来るんですよ!」
「ここの実機も戦闘クラスは全部選べるようになってるんやね、便利やわー」
メルノは既にコントローラーを手に、次々にキャラの武器を持ち替えている。
ピリカの言葉通り、大体いつでもクラスを変えられるのがエクエクの長所だ。
「やってると自然と、メインのクラスが定まってくるのが面白いところだよね。
まあ今日は新クラス触るつもりだけど。ダンサーでうさ耳はどこですかーっと」
莉亜の手付きは慣れている。そして目元の隈も相当に深く刻まれている。
「あー、猟兵になれてよかったー」
つまり彼は……それだけピカセンとしてガチなのだ……!!
「ほんならうちはこれやな、ガンブレイダー!」
「おおー、一緒の希望だね♪木人形叩いてみよっか☆」
言いながら、ピリカもメルノに倣ってクラスをガンブレイダーへ。
銃と剣が一体化した、ガンブレイドという武器を扱う新たなクラスである。
「あ、これかっこいいかも。これがアタッカー……なのかな?」
「ううん、これはタンクって言って、敵の狙いを引き付ける防御系の役割なの♪」
「ようは前衛ってこと? なんとなくわかってきたかも」
実際に触れてみれば、結月も若者だけあって飲み込みが早い。
タンク、アタッカー、ヒーラーの三つの役割(ロール)種別を把握し、
数分もすればそれぞれの基礎的な動きすらもおおよそ理解していた。
余談だが、試遊コーナーではフィールドを歩き回って雑魚(モブ)と戦ったり、
木人形(もくにんぎょう)という練習用のオブジェクトを攻撃できる。
別のコーナーへ行けば、漆黒のブリンガーで追加される新たなダンジョンを、
ひとつだけ先取りして楽しむことが出来るというわけだ。
一方メルノは、実機に併設された説明書を前に悪戦苦闘していた。
「えーっと、なになに……スキルを順番に使って、コンボをつなげて……?
そうは云うけど、あれこれ技が多すぎてどれ選べばいいのかわからへん~!!」
「大丈夫大丈夫☆ まずはこれをポチッと押してー」
「おお、隣のスキルがなんかピカピカ光っとる! これ選べばええの!?」
「そうそう!」
画面の中で、ガンブレイドを担いだキャラクターが勇ましく敵を切り裂く。
素早い二連撃が決まった瞬間、なにやら弾倉のようなアイコンが光り輝いた。
「これで"魔弾"が溜まったよ♪ そしてこの"魔弾"を使って……」
ピリカがボタンを押すと、ガンブレイダーはやおら敵を横薙ぎに裂いた。
メルノが決めたコンボと異なるのは、斬撃の瞬間に生じた派手な爆発だ!
「おお~!!」
「この『ビートクロウ』や『ブラストストライク』で大ダメージ、みたいな☆」
「……えっ、これって新しく追加されたクラスなんだよね?」
素直に驚いているメルノに対し、結月は思わず突っ込んでいた。
そう、ガンブレイダーはあくまで先行体験できる新たなクラス。
ピリカも今回初めて触るという意味では、若葉の二人と何も変わりない。
にも関わらず、彼女はすでにスキルを完全に把握して華麗に連撃していた。
「派手だし爽快でいいねいいねーっ♪」
「こ、これがガチ勢の貫禄……!!」
結月は奇妙な尊敬の念を感じずにはいられなかったという。
「ふふん、メインタンクのピリカといえば! わたしですよーっ♪」
ぺかー、と、妙な後光を放ちつつポーズを取るピリカである。
「いやー動きかっこええなー! うわこのスキルも派手でめっちゃかっこいい!!」
と、すっかりガンブレイダーの魅力に酔いしれるメルノ。
そんな彼女を満足気に見やり、ピリカは別のクラスに切り替えた。
ガンブレイドではなく、身の丈ほどの巨大な両手剣を背負ったダークナイトだ。
「これもタンクなのかな?」
「うん☆私のいまのメインクラスは、このダークナイトなんだよ!」
「あー、いいよねダクナ。クラスクエストが神でさあ……」
にゅっと横入りしてきた莉亜の言葉に、それな! って感じで頷くピリカ。
画面の中でコンボを決めていたダークナイトが、おもむろに胸に手を入れた。
そして心臓をえぐり出すような禍々しいモーションを決めた瞬間……!
「お? なんか影の分身が出てきた。かっこいいね、これ」
「「…………」」
「あれ?」
結月はキョトンとした顔で、押し黙っているピリカと莉亜の横顔を見た。
なぜかふたりは、画面の中に現れた黒い影の分身をじっと見つめている。
「これさあ……ヤバいよね」
「ヤバすぎるよね……!!」
(なんだろう、何かものすごいプロみたいな気配を感じる……!)
感無量と言った様子の二人の迫力に、ごくりと唾を飲む結月であった。
「おっと、いけないいけない。若葉くんはクラス、決まったの?」
「あ、うん。一応一通り触ってみたんだけど……」
そこで莉亜から水を向けられた結月は、我に返って画面を見せた。
彼の使っているキャラクターは、一対の双剣を逆手に構えている。
「お、シノビだ」
「化身忍者だから、ってわけじゃないんだけど」
エクエクのシノビは、三つの『印』を結び様々な忍術を発動するアタッカーだ。
敵の守りを弱め、すさまじい連撃を他の追随を許さない速度で叩き込む。
それだけにプレイヤースキルを要求される難しいクラスだが、
ふたりにコンボを披露する結月の腕前は、現役のピカセンになんら見劣らない。
「この短時間でよくここまで上達したもんだねえ」
「コツを見つけるのは、割と得意なんだよね」
少し誇らしげに笑う結月。莉亜は意味ありげに笑う。
「ならアタッカー同士、僕のダンサーとふたりで狩りをしてみようよ。
ダンサーは味方を強化する支援クラスだから、もっと火力が上がるはずだし」
「へえ、そういう相性みたいなのもあるんだ。ネットゲームだもんね」
莉亜も莉亜でさすがは最先端をひた走るピカセンか、ダンサーもお手の物。
円月輪をリズミカルに投げるたび、舞踊の力が結月のシノビを強化する。
一体の敵をスピーディなふたりが切り裂く様は、まさに変幻自在のコンビだ。
「こっちもめっちゃかっこええやん! うちやってみたいんやけど!」
「そしたら次はアタッカー、そのあとはヒーラークラスをやってみましょう☆
一通り慣れたら、四人でパーティを組んでダンジョンに行くのはどうかな♪」
「あ、じゃあその前にニコチン補給してこよっかな。大事なバフだからね」
「タバコはどう考えてもデバフだと思うんだけど……」
などと、四人のピカセン達は和気藹々と技を試し、連携を磨いていた。
このあとのダンジョンアタックも、見事なまでにスムーズに進んだとか。
●ライトパーティ:スイーツ編
……一方その頃、食事を楽しむためのフードコーナー!
騒がしいいくつもの席のひとつ、バルディートと祷夜が相席していた。
「いやしかし、ゲームの中身をモチーフにしたメシ屋なんてェモンがあるとは」
「うむ。どうやらここは、"ぐりでぃにあ"の酒場を模しているようだな」
グリディニアとは、エクエクでプレイヤーが最初に降り立つ都市の一つだ。
自然豊かな森のなかに存在する街で、精霊を尊ぶ信心深い人々が住んでいる。
そんなグリディニアにある『ラフター・カフェ』という酒場をモチーフに、
このエクカフェは作られている。こだわりの内装の元ネタというわけだ。
「酒場がモチーフってンなら、この時間から酔っ払っちまってもイイわけだ」
ヒヒヒ、と陰気に笑いながら、ドリンクをぐいぐいと飲み干すバルディート。
お察しの通り、彼が飲んでいるのはバリバリのアルコールドリンクだ。
その名も『ヘブンリーレモンサワー』。ちなみに、梅サワーもある。
「やれやれ、これから戦いが控えているというのに豪気なヤツだな」
「そういうダンナは、何か頼まねエんですかい?」
などと水を向けられ、祷夜はふうむと思案しながらメニューに目を落とす。
「ならば俺は、これを食べるか」
選んだのは、エクエクのマスコットキャラをモチーフにしたライスセットだ。
「何度見ても可愛らしいな、この白もぐらは」
「あっしにゃ何度見てもビーバーに見えるンですよねエ」
などと男たちが言っている間に、注文した商品が運ばれてくる。
一緒についてきたドリンクは、妙に禍々しい赤黒い色に染まっていた。
「これが"たんくの血涙ぶらっどべりーそーだ"か。美味そうだな」
「ええ……」
ちょっとヒくバルディート。だがタンク経験者ならば納得できるだろう。
自分より先行して敵モンスターに殴り殺されるアタッカーや、
頑張ってダメージを耐えているのに回復してくれないヒーラー……!
そうしたちょっとアレな仲間に対するいろんな感情が生み出したドリンク。
それが、タンクの血涙ブラッドベリーソーダなのだ……!!
「ふっ……二人とも、いいやこのエクカフェに居るピカセン全員、甘いね」
そこで不敵な笑い声。二人はやや呆れながらそちらを見やる!
「無料の新作スイーツに料理、たしかにどれも美味しそうだ。けど!
……ただ食べて満足する。それじゃ、ピカセンとしては二流さ」
「ジョンの旦那はズバッと事件でも解決するンでしょうかねエ?」
「わからん」
バルディートと祷夜の反応はあくまで冷ややかであった。
だがジョンはめげない。彼にはメニューを堪能するのとは別の目的がある!
「いいかい? エクカフェはイベントがあるとすぐメニューを更新するんだ!
そしてこの漆黒のブリンガー発売記念メニュー……これがヒントなんだ!!」
「「はあ」」
「そう、漆黒で登場する新規レシピ……その手がかりがあるはずなんだよ!!」
「「な、なんだってー」」
迫真のジョン。いまいちその重みというかインパクトがわからないふたり。
やれやれといった様子で頭を振ったジョンが、聞かれてもないのに解説する。
「これはギャザリング&クラフト勢にとっては死活問題なんだよ!!
新規レシピに使われる素材、すなわち次に高騰する素材ってことなんだから!」
生産や採集を主に楽しむジョンにとって、これこそが拡張の醍醐味らしい。
実際、ネトゲの大型アップデート時には、ユーザー同士の取引が活発化し、
マーケットは現実の市場さながらに目まぐるしく価格変動を起こす。
それを先読みし、高騰した素材を売り抜く。まるで先物取引のようである。
「考えろ、考えろ僕、次はなんだ? キャベツか? まさか御形!?」
ガチである。こっちはこっちでガチ勢の真顔でメニューを睨んでいた。
……と、そこへ、別の席から何やら騒がしい声が聞こえてきた。
『……バナナ……パフェ……強い……』
「何っ!?」
がたたっ! 勢いよくオーバーリアクションするジョン!
「なんてこった、次に来るのはバナナパフェ!?
こうしちゃいられない、いますぐ買い占めなきゃ!」
「ジョンの旦那は誰と会話してるンでしょうかね」
「俺にはわからん……」
そんなふたりをよそに、おもむろに携帯端末を取り出すジョン。
なんとエクエクは、公式アプリでリアルタイムに市場にアクセス出来るのだ!
NPCに売り出させる商品の入れ替えもできる! すごいぜ!!
「そ、そんな! バナナが……安価なバナナが、独占されている!?」
わなわなと震えるジョン。一体誰がこんなことをしたのか!?
「アタイだぁ!!!!!」
どんっ!! という大文字のオノマトペが似合いそうな勢いで、
やおら大音声と共に颯爽と現れた少女。意外! それはナナコッ!
「いや意外でもなンでもねエなこれ」
「むしろ他に誰がバナナを買い占めるというのか」
バルディートと祷夜の反応はあくまで冷ややかであった。
「まさか、ナナコ! 君が!?」
「そうさ! アタイが買い占めたんだよ、市場のバナナをなぁ!!」
「どうしてそんなことを……!!」
えっそれ聞くの? わざとか? みたいな顔の外野二人。
一方、ジョンはシリアス顔だった。皆目見当つかねえらしい。そんなバナナ。
「……………………………趣味だ!!!!!」
どどんっ!!(ナナコの背後に君臨する大型オノマトペ)
「そして(?)見な! アタイがこさえた、この新作スイーツを!!」
「「「こ、これは……!?」」」
三人は、ナナコが取り出したモノに思わず目を奪われる……!!
「バナナパフェでさアね」
「うむ、どうみてもぱふぇだな」
「しかもお手頃サイズだね」
そして冷ややかだった。なにせナナコが持っているのはバナナの……パフェ!
あからさまにバナナなのだ! ナナコは聞かれてもないのに解説を始める!
「そう、アタイは覚えている……前回(※『我々のエクエク』参照)のイベントで食べた、グレートソーサーパフェバナナVerの感動をッ!!」
「まさか、それを自分で……!?」
わざわざシリアス顔で合いの手を入れてあげるジョン。優しい。
「そうさ! あのときの感動をもう一度! かつ、いつでも手軽に一人用!
だが小さくなっても甘さのレベルは同じ……いやそれ以上に盛り込まれた!
言わば限界突破(リミットブレイク)、名付けて超えるバナナパフェだ!!!」
「超える」
「バナナ」
「ぱふぇ」
くわわっ! ナナコは大きく無意味に目を見開いた!
「さらにこのパフェは、バフステータスが超優秀なんだぜ!
次のエンドコンテンツの主食は、こいつで決まりだぁ!!」
……エクエクの食事は、すべてステータス強化効果を付与するアイテムだ。
なので最先端のボス攻略では、高価な食事をもりもり食べるのが常。
バナナパフェ高騰の出元はここか! おまけにバリバリのガセネタである!
「くっ、ならせめてクリームとか他の材料だけでも!!」
「デマってこうやって生まれンですねエ」
「訴えられたら負けるんではなかろうか」
「……そんな、こっちも根こそぎだと!? くそっ、金の亡者どもめ!!」
思わず携帯端末を地面に叩きつけかけるジョンである。どうしてこうなった。
「しかしそうか、すいーつ……いや、れいどぱふぇはひとりではダメか」
ちらっ。祷夜が対面のバルディートを見やる。
幅広いメニューに気を取られていたバルディートは、やや素の顔で見返した。
「はい? なンですかい?」
「……さすがに野郎二人では、アレだな」
頭を振り、祷夜は意を決して手を挙げる。
「すみませんッ!! ますこっとぷりんをひとつッ!!」
「その力強さはなンなんだか……いやしかし、メニューも豊富でさアねエ」
邪竜の目玉ランチだの真っ青な冷麺だの、劇中ネタもりだくさんである。
「……いやなンで冷麺が青いンだこれ」
それは、水竜神と戦えばわかることである!
「まあさておき……ジョンのダンナはなンで金策してンでさア?」
何の気なしにバルディートに問われ、ジョンはがばっと顔を上げた。
「……僕には負けられない理由があるんだ」
「はあ」
「新エリアのハウス(超大型)を、フレのヒーラーちゃんが欲しがってるんだ――!!」
「おいジョン、アンタそれHimech」
「僕は絶対に諦めないぞ!!!!!!!!」
完全に誰の声も耳に入らない有様のジョン。
色んな意味で生暖かい眼差しを向けていたナナコが、くるっと振り返る。
「そうそう、忘れちゃならねぇことがもうひとつあったぜ!」
彼女は誰に語りかけているのだろうか。
「エクエク新パッケージ、漆黒のブリンガーをいま! 予約すると、なんと!!」
そちらには誰もいないのだが。
「発売日よりちょっと早めに先行アクセスが可能になっちまうんだ!」
なんて巧妙なマーケティングだろうか。
「予約特典で色んなアイテムも手に入る! ピカセンよ、カミセンとなれッ!!!!!」
どどどどんっ!!!(背景に君臨する大型オノマトペ!)
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
夏目・晴夜
無料でスイーツ食べ放題とか正気の沙汰ではないとしか思えませんね
いやあ、生きててよかったです
私はゲーム未プレイ勢なのですが、
この場でそれを明言するとガチ勢の気分を下げてしまうかもなので
適当に知ったかぶって適当にいなしながらスイーツを食べまくります
とりあえずここからここまでのスイーツ全部持ってきてください
どれもファンの心をくすぐる極上の出来揃いなので選べそうにありませんので
あのイベントですか?序盤からワクワクが凄くて一気に駆け抜けてしまいました
あー、アレですか。盛り上がり半端なかったですよね。あれは忘れられないです
アレかあ、とても良かったですよね
アレね、最高
逆にそれどう思いました?あーはい、わかる
アイナ・ラウタヴィーラ
SPD
↨ここは初めてです。↨ ↨よろしくお願いします。↨
念願のエクカフェ初参加、です。
ということで私は折角なのでこのフェニックスケーキを食べます。
貴方は食べきってみせ、ます! この慈愛の食欲でーーー!
あ、赤い部分は飴なの、ね。スポンジの間にバナナが挟まってておいしい
バナナといえば次のパッチではバナナパフェが強いという噂です、ね
バナナは……もう高騰してる。仕方ないです、クリームと他のフルーツを買い占めておきましょ。
許せ、どこかのピカセン。これもLハウスの為、です
あ、新パッケージ『漆黒のブリンガー』発売記念でこれまでのパッケージ全部入りのお得なパッケが60%オフです。今日から貴方もピカセン、です!
パーム・アンテルシオ
ゲーム世界をイメージしたカフェ、かぁ。
ふふふ。この世界らしいかも。
…こうして、のんびりできるのも…
無事、戦争に勝てたから。だよね。
…それじゃあ、祝勝会代わりに。
感情に任せて食べちゃっても、いいよね?ふふふ。
すみませーん。この、レイドパフェっていうのをくださーい。
●SPD
…感情に任せて頼んじゃった結果が、これなんだよね。
うん。やっぱり、計画性は大事だよね。
…現実逃避してないで。どうにかしないと。
誰か、助けてくれそうな人とか…いないかな…なんて。
お残しは、しちゃいけないから…
やり遂げる為に。成し遂げる為に。完食を。
最期の力…ユーベルコード(と書いて制限解除と読む)は、残しておくよ。
【アドリブ歓迎】
●極式・レイドパフェ討滅戦
バトル・オブ・フラワーズは、なんだかんだで大激戦だった。
「でも、私達は勝てた……こうして、のんびりできるのも、そのおかげだよね」
キマイラフューチャーらしい喧騒を見やりながら、パーム・アンテルシオはひとりごちる。
ゲーム世界をイメージした喫茶店……いかにもこの世界らしい風情だ。
しかしそれこそ、猟兵が守り抜いたキマイラ達の"現在"なのであろう。
そう思うと、脳天気な乱痴気騒ぎもどこか微笑ましいものに思えた。
「感情に任せてスイーツを食べますかァ!?
俺達のために戦ってくれた猟兵が、スタッフ手ずからの料理をォ!?」
「ふふっ。そうだね、祝勝会代わりに、いただこっか」
妙なお面を着けたスタッフにくすくすと笑い、頷くパーム。
今日ばかりは、ダイエットとかカロリーという言葉は忘れる日である。
「すみませーん。この、レイドパフェっていうのをくださーい」
……だが、数分後、パームはこの浅はかな注文を後悔するのであった。
時間はやや巻き戻る!
「ふふ、ふ……!」
ででんとテーブルの上に鎮座する、それはそれは立派なケーキ。
どことなくヤンデレな気配を感じさせる不死鳥の飾りがあしらわれている。
エクカフェの新メニューの一つ、『フェニックスケーキ』だ。
「念願のエクカフェ初参加……待ちに待った時が、とうとう……!」
そんなケーキを注文したのは、アイナ・ラウタヴィーラという妖狐の少女だ。
華奢な体躯をしたアイナひとりが食べるには、少々ケーキは大きく見える。
が、彼女はやる気充分である。ふんすと鼻息荒くカトラリーを構えた。
「あなたは食べきってみせ、ます! この、慈愛の食欲で――!」
そして意気揚々とナイフを入れようとした、その時……。
「はぁああああ……」
「……?」
なにやら聞こえてきた盛大な溜息にぴくりと狐耳が揺れた。
そしてアイナは声の方を見やり……まさにここで、時間軸が合流するのだ。
そう、巨大なパフェ容器を前に、しくしくとうなだれるパームの姿に。
「……やっぱり、計画性は大事だよね」
パームは凹んでいた。もっというともうお腹いっぱいであった。
彼女が頼んだ『レイドパフェ~機神アレキサンドリア討伐戦~』は、
実際は大人数の客がシェアするべき超大型のチャレンジメニューである。
パームの顔よりも大きなパフェ容器には、まだ半分以上の中身が残っている。
さすがは機神アレキサンドリア。実装当時猛威を振るったボスなだけはある。
「……現実逃避してないで、どうにかしないと……」
たとえ身から出た錆とはいえ、一度手を付けたものにお残しは許されない。
そういうあたり、パームはなんだかんだで心優しい良い子であった。
……と、そんな彼女の行儀の良さが、お天道様に届いかはさておき。
「あなたを襲った、悲しみが……私に食欲の炎を与えたの、です……」
「えっ?」
謎めいたつぶやきに思わず顔を上げるパーム。そこにはケーキ……ではない、
フェニックスケーキを抱えたアイナが立っていた。にこりと微笑む少女。
「あ、えっと……こ、🔃ここは初めて、です。🔃」
「……??」
「よ、🔃よろしくお願いします。🔃」
「????」
パームは右に、左に、こてんこてんと小首を傾げた。
そんな間におずおずとアイナは対面に座り、ケーキをパフェの隣に置く。
「もしよければ、その。お互いに食べ合うのは、どうかな……と」
「……あ」
そう、アイナはパームを見かねて助け舟を出してくれているのだ。
お腹いっぱいのところにケーキを持ってくるのはどうなんだ、
と思わなくもないが、実際違う味のものが混ざるだけで違うものである。
しかもアイナはまだまだ食欲旺盛で、どうやらケーキは口実に近いらしい。
「……ふふ。ありがとう」
「いえ、いえ。これも美味しいです、よ。この赤い部分が、飴になってて……」
妖狐の少女ふたりが、おずおずとスイーツをシェアしあう。
実に微笑ましい、平和で穏やかな日常の一ページである……。
「あ、すいません。食べ終わったんで次のページのスイーツお願いしていいですか」
「「!?!?」」
そこで聞こえてきた衝撃発言に、思わず固まる二人。
何事かとそちらを見やると……おお、そこには底無しの胃袋がいた!
「はい? このハレルヤになにか御用ですか? 分けませんよ?」
テーブルを埋め尽くさんばかりのスイーツ(と食べ終えた空き容器)に囲まれているのは、夏目・晴夜。
恐るべきことに、彼はこの量のスイーツを一人で食べている……!!
「す、すごいです、ね……!?」
「見てるだけで、胸焼けしそう……」
「いやあとんでもないです。けどもっと褒めてください」
まったく怯まない顔で、自分を讃えることを要求するふてぶてしい人狼。
実は晴夜はエクエクのエの字も知らないニュービー以前の未プレイ勢である。
無料でスイーツ食べ放題。その魅力的なフレーズが彼を呼び寄せたのだ。
そう、このブラックホールじみた食欲魔神を、このカフェに……!!
「それにしてもあなたがた、女の子二人でその量は正気の沙汰ではないのでは?」
「「えっ」」
「なるほど、どうやら助力が必要なようですね。わかりました」
「「えっ」」
ひょいひょいとまだ手を付けていないスイーツを、ふたりの席に運ぶ晴夜。
そして着席し、任せてくださいとばかりに髪をふぁさっとかきあげた。
「ま、まあ、実際助かる、けど……大丈夫、なの?」
「もちろんです。あ、ほらあれですよ」
パームの言葉を妙なほうに受け取った晴夜は、さらりとホラを吹いた。
「どれもファンの心をくすぐる極上の出来揃い。選べそうにないので、
思わず全部頼んじゃってるんですよね。いやー最高ですよねエクエク」
「…………本当に、ピカセンなんです、か?」
「もちろんですよ。あのイベントとか最高ですよね、わかる~」
どう見ても偽者である。アイナの目線はかなり冷ややかだった。
もっとも仮に晴夜が初心者であることをバラしたとしても、
大抵のピカセンは怒るどころか沼に引きずり込もうと寄ってくるだろう。
そういう摩擦を避ける意味では、ある意味晴夜の偽装は功を奏している。
……ともあれ、そんな助けを得たパームは一気にレイド攻略を進めた。
というかほぼほぼアイナと晴夜が食べたのだが、それでも完食は完食だ。
「よかった、なんとか、やり遂げられた……成し遂げた、よ」
「思わず右手を掲げたくなるところですね」
大量の空き容器を片付けながら、口元を拭きつつ晴夜曰く。
「フェニックスケーキも、とっても美味しかった、です。
とくにあのバナナが……あ、バナナといえば」
「あーバナナね、あのイベント最高でしたね」
「いえ、そんなイベントはないです、けど……」
なぜか知ったかぶりを貫き通そうとする晴夜に首を傾げつつ、
アイナは誰に云うともなくぽつぽつと呟いた。
「次のパッチでは、バナナパフェが強い、という噂……です、ね」
「パフェに強いとか弱いとか、あるんだ……」
「さっきのパフェが最強だったのは間違いないと思いますよ」
微妙に噛み合っているんだかずれてるんだかわからない会話である。
このアイナのつぶやきが、バタフライエフェクトめいて、
あっちの方の席で大騒ぎを起こすことになるのだがそれは別の話。
ついでに言うと、『バナナパフェがエクエクで強い』というのもガセである。
犯人は、誰よりもバナナを愛する謎の猟兵なのだ……!!
「……バナナは、もう高騰してる……仕方ないです、ね」
スッスッ。手早く携帯端末で市場の素材を買い占めるアイナ。
彼女がクリームやらその他の果物を買い占めたことで、
あっちの席でどこかのギーグがのたうち回ることになるのだが、
それもまた三人にとっては別の話である。
(許せ、どこかのピカセン。これもLハウスのため、です)
アイナは、見ず知らずのピカセンに思いを馳せて十字を切るのだった。
そんなこんなで食事後の一時。
「まあこのハレルヤにとっては他山の石のようなものなのですが」
言いつつ、晴夜は改めて騒がしい店内を一望する。
「ここまでの熱意を注がれるエクエクとは、それだけ面白いゲームなんですかね」
「うん、私も……気になってきたかも」
頷くパーム。ここでアイナはなぜか明後日の方を見た。
「そんなあなたにお得な情報があります」
なぜ二人の方を見ないのか。そしてどもりはどうしたアイナよ。
「新パッケージ『漆黒のブリンガー』発売記念で、これまでのパッケージ全部入りの、
お得な『エクエクコンプリートパッケージ』が60%オフで販売中です」
「へえー、それはお得ですね。すぐに最新パッケージに追いつけるわけですか」
絶妙に合いの手を入れる晴夜。打ち合わせなどは一切ない。
「私達みたいな初心者にも、最適だね」
うんうんと頷くパーム。三人は一体誰に向けて語っているのか。
「今日からあなたもピカセン、です!」
力強くぐっと拳を握るアイナ。ダ、ダイレクトマーケティング……!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
三咲・織愛
わあぁ、ここが噂のエクカフェなのですね!
ゲームは未プレイなのですけど、
スイーツを作れると聞いてやってきました!
なんというのでしたっけ……ミリ……しら……?
1ミリも知らないのですけど想像で作ってみますね!
漆黒のブリンガーというのが新作?なのですよね?
漆黒というからにはやはり黒。黒いスイーツ……黒ゴマですね!
ブリンガー、ブリンガー……鰤……、
鰤の上に黒ゴマ団子を乗せましょう!
でもこれですと甘みが足りませんね。むむ。
プリンをまぶしましょう!
あとついでにリンゴを潰して果汁を振りかけておきましょうか。
別にリンゴを潰したかった訳ではないんですけれども
ふぅ。とっても素敵なスイーツが出来ました!
久留宮・沙月
これが噂に聞くエクカフェですか
新データのリリースとなれば、盛り上がるのも当然ですね
私もプレイヤーの一人として、この祭典に参加させて頂きましょう
さて、まずはスイーツですね
使用人の知識を使用してお仕事モードで【料理】しますね
そうですね……本型のケーキの中に蜂蜜や生クリームをたっぷり入れて、
『深謀遠慮の本』というのはどうでしょう?
後から甘さたっぷりで回復するかもしれません
スイーツを堪能したらゲームもプレイしなければいけませんね
新クラスのレベル上げでもやってみましょうか
やはり今回もDD(ダークダンジョン)周回になるのでしょうか
前線に追いつくために10時間ほどかかるのでなかなかの苦行なんですよね
神元・眞白
【POW/割と自由に】
食べ放題…?すごく気になるけど、お菓子が作れるなら楽しそう。
作って食べて、食べてもらって。人気が出るお菓子も考えないと。
甘いのとしょっぱいのを交互にしたらすごくいいけど、甘いと辛いを交互にしてみよう。きっと合うはず?…はず。
あんこにジャムと……混ぜられやすいのだと何があるだろう。タバスコ?とうがらし?符雨、実験。
ゲームの世界って考えたらパンと合わせるのが良さそうだけど……おいおいに。
他の人の考えたメニューも面白そう。
食べながらゲームのこともちゃんと調べておかないと。
●えくかふぇの ほうそくが みだれる!(パート2)
「これが噂に聞くエクカフェですか」
転移を終えた久留宮・沙月は、ほんのりと微笑みながらそう呟いた。
店内には何人もキマイラの一般客がおり、猟兵も相当な数がたむろしている。
皆思い思いに、エクカフェでの平和な一時を楽しんでいるようだ。
「新たなデータのリリースとなれば盛り上がるのも当然ですね」
ましてや戦争が終わったばかり。キマイラ達も平和を謳歌しているのだろう。
……いや、この浮かれ具合を見る限り、あまり変わらないのかもしれない。
とはいえ、沙月がそれをとやかくいうことはない。
なにせこの女(神)、実はれっきとしたピカセンなのである。
神すらもプレイするMMORPG、それがエクセレントエクスプローラーズ!
「私もプレイヤーの一人として、この祭典に参加させていただきましょう」
そのためにも、まずはスイーツの考案会とやらを覗いてみることにした沙月。
きっと、ピカセンやスイーツ好きによる創意工夫溢れるデザートの数々が……。
「鰤の上に黒ゴマ団子を乗せましょう!」
「は?」
「あんこにジャムと……タバスコ? とうがらし?」
「は???」
優雅な雰囲気は、秒で砕け散った……!!
……沙月がスイーツ考案会コーナーに訪れるやや前!
「わあぁ……ここが噂のエクカフェなのですね!」
時間軸的には後に聞くことになる、微妙に似た台詞をこぼすエルフの少女。
それが三咲・織愛。このあと大惨事を引き起こす片割れだ。
ふんわり乙女な織愛は、ゲームというものに詳しくない。
なので当然エクエクは未プレイである。ではなぜここにいるのか?
「スイーツ作りも出来るんですよね、それなら私の出番ですっ!」
と、自慢げな様子でぐっと力こぶなどをば作ってみせる。
なにせ特徴に『家庭的』を取っているのだから、さぞかし料理上手なのだろう。
それがどうしてこんなことをしでかすのだろうか。いや未来の話なのだが。
「……あなたも、お菓子を作りに来たの?」
そんな織愛に声をかけてきたのは、ミレナリィドールの神元・眞白だ。
そばにはメイド姿の戦術器、飛威と符雨がさりげなく控えている。
一見すると令嬢めいた見た目だが、彼女も彼女でかなりポンコツである。
……そう、彼女"も"見た目にそぐわずポンコツである。
言うまでもないが織愛もなのだ。ポンコツとポンコツが出会ってしまった!!
「食べ放題もすごく気になるけど。食べてもらうのも、大事」
「ええ、私もそう思います! エクエクのことはわからないんですけど!」
「大丈夫。私もゲームのことは、よくわからない」
まったく大丈夫ではないのだが、残念ながらふたりともツッコミではない。
あからさまにボケなのだ! つまり地獄! ダンテもかつてここにあり!!
「そうです、大丈夫ですよ! たしかこの世界には、えっと……。
そう、あれです。ミリしら? という文化があるはずですから!」
「ミリしら」
「まったく知らなくても、全然問題ないという意味ですよ!」
「なるほど」
何もかもを間違えてしまっているのだが、哀れ運命の歯車は回り始めた。
参加者のキマイラ達は、不穏な気配に皆毛を逆立たせたという。
そしてさっそくキッチンに立つふたり。
運の悪いことにここはキマイラフューチャー。
つまり食材は、だいたいコンコンコンをすることで出てくるやーつだ。
どんなゲテモノも用意できてしまう。どうしてこうなった。
「えーと、たしか漆黒のブリンガー? というのが、新作なのですよね」
「たしかそう。エクエクは、ファンタジーなゲームらしい」
「なるほど……漆黒、つまり黒。黒いスイーツ……」
「黒ゴマ」
「! それですよ眞白さん!!」
まだこのあたりは常識的だ。黒ごまスイーツは割とある。
「あとはブリンガー、ブリンガー……ぶりんがー、ブリ、鰤……」
コンコンコン。床を叩く眞白。出てくる鰤(スズキ目アジ科)。
「わあ、立派な鰤ですね! じゃあこの上に黒ごま団子を乗せましょう!」
「いいと思う」
まったくよくないのだが、哀れ誰も止められないのだ!!
一方眞白はどうしているかというと、もう描写するだけで気が遠のくのだが、
次々にコンコンコンから甘い物と辛い物を交互に取り出していた。
「眞白さんはどんなスイーツを用意するんですか?」
「甘いのとしょっぱいのを交互にしたら、すごくいいでしょう」
「そうですね!」
「だから、甘いのと辛いのを交互にしてみようって」
「……なるほど!!」
なるほどではない。特徴:家庭的とはなんだったのか。
「あんこにジャムと……タバスコ? とうがらし?」
ボウルに次々ぶちまけられる甘い物! 辛い物! 甘! 辛!! 地獄!!
「は?????」
そして、ここでようやく時間軸が結びつくのである。
「…………よいですか。おふたりとも」
数十分後。沙月はやれやれと頭を振って嘆息した。
そんな沙月の隣には、おお、見よ。実に凝ったスイーツが完成している。
エクエクに登場するヒーラークラス『スカラー』が用いる、
魔導書をモチーフとしたケーキに、はちみつや生クリームなどがたっぷりと。
名付けて『深謀遠慮の本』。スカラーのスキル名にかけた見事な命名だ!
甘さたっぷりで活力回復。スキル効果にもしっかり合わさっている!
「おふたりがエクエクをご存知ないのはわかりましたし、
その上でおふたりなりに一生懸命にやったのはわかるのですが……」
ちらり。沙月がみやった先には、なんかやべーのがふたつあった。
鰤! 黒ごま団子! その上にプリン!!
どこぞの変身ヒーローならコンボにできそうな三段重ねである。
「なんで鰤に黒ゴマ団子を?」
「えっと、ブリンガーで漆黒なので……」
「…………プリンは?」
「甘みが足りないかなと!」
ふんわりと可憐な微笑を浮かべる織愛。頭を抱えて嘆息する沙月。
「そちらはなんですか、名状しがたいあの物体は……」
「ゲームの世界を考えたら、パンと合わせるのがいいと思ったのだけれど」
あんこ、ジャム、タバスコ、唐辛子、シシトウ、さらに砂糖その他諸々。
甘味と辛味をごたまぜにした極彩色のペースト状謎物体が、
なぜかこんもりと盛られたライスの上にどろぉ……と乗っかっている。
「……ご飯、噛んでると甘くなるから」
沙月はもはやツッコミを放棄して、ただただ天を仰いだ。
「わかりました」
「あ、りんご潰せるんですよ私! いえ潰したいわけではなくて」
「さりげなく握力をアピールするのは脅迫かなにかですか???」
なんのこっちゃという顔で首をかしげる織愛の天然ぶりに恐怖しつつ、
沙月は話を切り替えることにした。ふたりのことがだいたいわかったからだ。
「スイーツはさておいて、まずエクエクがなんたるかを知りましょう。
手前味噌ながら、私はピカセンの一人。少なからず若葉のお二人に教授できるかと」
「わあ、それは素晴らしいですね!」
「ゲームのことも調べないといけないし」
なんだかんだ乗り気なあたりが、この娘ふたりの恐ろしいところである。
「……なぜでしょう、DD周回のときと同じ疲労感を覚えています」
「「???」」
レベリングのため、ダークダンジョンをひたすら周り続けたあの日々……。
ダークダンジョンとは、エクエクに実装されたランダム生成ダンジョンをひたすら下るコンテンツである。
手軽なことから、低レベルのキャラクターがひたすらレベル上げをするのに向いており、
場合によっては10時間ほどこもることもある修羅の修練場なのだ。
「……新クラスの性能チェックは、先になりそうですね」
沙月は、明後日の方を見てぽつりと呟いたという……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
雁ヶ谷・ロクシー
はい、エクエク新作と聞いて
いやーピカセンやってて食いつくなって方が無理無理
エクカフェで新作試遊とか最高オブ最高
…え、猟兵仕事?
あー、うん、とりあえずエンジョイしてからね
じゃ、感情に任せてガンレダドリンクからお願いしまーす
フードはなんかこう、DPS上がりそうなヤツで
試遊はとりまガンブレイダーからかなー
メイン据えるならDPSなんスけどね、ほら、自分で火力出したいって言うか
ダンサーも楽しそうなんだけどやっぱ男なら竜だな竜
あーしかしレイダー、これはロマンぎっしり
なんたって銃でタンク……それにこの技アレでしょ、エクエク8の
はーーっさすが天下のエクエク、分かってやがるぜ
(名称アウトなものは調整ください)
奇天烈・モクレン
【WIZ】デザインお菓子
ベンチマーク良し!
空き容量よし!
あとはアーリーアクセスを心待ちにしつつ新作スイーツに舌鼓を打つばかり……なのに、邪魔するなんて許せねぇ!
ピカセンの一人として悲劇を食い止めよう
それはそれとして一足先に実機体験!
うおお新しいマップ!新しい敵!
おっスキルが一新されてる
えっ新スキルだと強制ノックバック技で自死する危険を犯さなくてもいいの!?サイコー!
もう柵の無い崖っぷちステージで怯えなくて良いんだ!
この喜びをスイーツに表して、えーと
『魔法剣士の命の祝福』なんてどうかな。ケーキに大胆にレイピアを模した楊枝をぶっ刺してみました!
もうステージから落ちないという決意の表れ……みたいな?
●ピカセンだべりタイム
「ベンチマークよし!」
じゃん! 画面に表示される『非常に快適』の文字!
「空き容量、よし!」
どん! 買い替えたばかりの新型SSD!
「あとはアーリーアクセスを心待ちにしつつ、新作スイーツに舌鼓を打つ……。
……だけなのに、邪魔するとかホント怪人許せねえなあもう!!」
きーっ、と何度目かの怒りを爆発させる奇天烈・モクレン。
ピカセンとして、怒るべき悲劇はなんとしても食い止めねばならない!
「まあそれはそれとして、一足先に実機体験しなくちゃなっと!」
意気揚々と試遊コーナーにやってきたモクレンを、ちらりとひとりの少年が振り返った。
そこはかとなく、夜行性とわかるダウナーな顔つきのエルフの男子だ。
雁ヶ谷・ロクシー。このナリでガチガチのナードという見た目詐欺である。
「あー、自分の隣空いてんすけど使うっす?」
「お、さんきゅー! ピカセンは助け合いだよなあ!」
「それ別の台詞な気がすんだけど、まあいっか。よろでーす」
「よろよろ!」
と、あっという間にふたりは意気投合? してしまった。だがこれも当然だ。
なにせピカセンは、日々レベリングや様々なアイテムのために、
踏破済みのダンジョンや撃破済みのボスを何度となく周回し攻略し続ける。
そのたびにネトゲらしく遠方の誰かとチームを組むことになるのだが、
いちいちかしこまったり互いの距離を測っていては日が暮れてしまう。
ゆえに大抵は『よろ』から始まり、『おつ』で別れる。
これがエクエク名物、よろおつ文化のリアルタイム再現なのだ……!
「ところでさ、あんた猟兵じゃねえの?」
「え? あー、まあお互い様ってことで。いやだって仕方ないでしょ」
モクレンの何気ない言葉に、ロクシーはやや早口で語り始める。
真っ先に実機コーナーに駆け込んだことに、多少後ろめたさもあるのか。
「ピカセンやってて先行体験に食いつくなって方が無理無理」
「まあわかるわ」
「しかもエクカフェでっすよ? 最高オブ最高でしょ」
「語彙力~」
などとチャットさながらに軽口を叩き合いながら、軽やかにキャラを操作。
二人(とどこか別のコーナーでマッチングしたもう二人)が4人チームで挑むのは、
漆黒のブリンガーで実装予定の新しいダンジョンコンテンツである。
「うおおお新しいマップの演出すげー! 敵もいいねえ!」
「あれ、新ジョブ使わないんだ?」
ロクシーの指摘どおり、モクレンは魔法剣士のクラスを選択していた。
レイピアを武器に、回復魔法と破壊魔法を同時に操る遠近両用アタッカーである。
操作難易度が低いことから人気が高いのだが、このクラスには一つ弱点がある。
「そっちこそ初体験でガンレダってけっこう勇気あるよな。タンクメイン?」
「あーいや。メイン据えるならアタッカーなんスけどね。ほら、自分で火力出したいっていうか」
「わかる」
「ダンサーも楽しそうなんだけど……やるならドラゴンナイトかなあ」
「ドラさんなー、あっちもあっちで『落ちやすい』からなー……」
……落ちる!
これこそがエクエクのシステムを示す端的なワードの一つと言えよう。
エクエクの様々なボスの中には、フィールドの端に足場が存在せず、
吹き飛ばされたり足を踏み外すとそのまま落下してしまうものが多い。
一度落下すれば最後、当然死亡しものによっては復帰ができないものもあるのだ。
そしてドラゴンナイトと魔法剣士は、どちらも『落ちやすい』のだ。
……これら二つのクラスには、大幅に移動するスキルが存在するからである!
そんなことを言っている間に、二人の入ったパーティはボスに到達。
いつものようにフィールドが陥落し、端っこが落下区域になる、のだが……!
「お? ……おお!? なにこれすげえ!」
モクレンが快哉を挙げた。
彼の操る魔法剣士は、その場でくるりと軽やかに宙返りしている。
このスキル、本来なら『大幅に後方に移動する』という特性がある。
だが漆黒のブリンガーで、ついに『宙返りするが移動しないスキル』が実装されたのだ……!
「も、もう柵のないステージで怯える必要はないんだ……!!」
「タンクにもノックバック防止スキル汎用化されるっスからねー。
あーガンレダ、これはロマンぎっしり。なんたって銃でタンクだもんなあ」
満足げなロクシー。画面ではガンブレイドを華麗に振り回すキャラクター。
数十秒に一度使用できるスキルが炸裂すると、彼は思わずほくそ笑んだ。
「この技。これなあ、元ネタのあれっしょ?」
「しかも"魔弾"だもんな! マジでわかってるって感じだわ」
「はーっさすが天下のエクエクだ!」
17歳男子、どちらも興奮を隠しきれない様子のボス攻略であった。
やがてダンジョンを無事クリアしたあとでのこと。
ロクシーが適当なスイーツでもつまもうかとフードコーナーにやってくると、
ちょうどそこで新作スイーツの自作を終えたモクレンがやってきた。
「お、いたいた! 席譲ってもらった礼ってことで、これ食わね?」
手に持っているのは、ケーキにレイピア型のカトラリーを突き刺したもの。
「名付けて、"魔法剣士の命の祝福"なんてどう?」
「これレイピアを槍に変えたらドラさんでも作れそうじゃねッスか?」
「確かに!」
少年たちは何がおかしいのか、ケーキを挟んでけらけらと笑い合う。
「んじゃごちそうになろうかな。あ、俺ガンレダドリンクお願いしまーす」
「じゃあこっちは『全権特使の挑発』で!」
「感情に任せて乾杯しますかァ? 無料でもらったドリンクでェ!?」
軽口を叩き合う二人がグラスをぶつけると、軽やかな乾杯の音が響き渡った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リア・ファル
【Dトリガー】
試遊台を確保、二人に粗方のレクチャーを終え、
キャラ作成に入る
おいィ!?…ヴィクティムさん…
このお姉さん味が有頂天のHIMECHANとは… 勇者よ…(胸で十字を切る)
「うん、女の子の方がファッションさせて楽しいしね。わかるよ。
自分の画面の中心で動くんなら、見ていて飽きない様にするべきだよね、わかるよ」
(優しい目をしながら)キャラクリを助言
匡さんには本人風味&姫に合う感じで助言
二人の何気ない会話が別のエモシチュに聞こえる事は確定的に明らか
(ゲンドウポーズ)
ボクは蒼髪で無骨なタンクの青年騎士にする
だがソレが…イイ!
後はコラボドリンクを三人で飲もうか
このダークマターどうするのさ!?
ヴィクティム・ウィンターミュート
【Dトリガー】
はぁ、MMO
対戦ゲーは好きだが
そっちは触ったことはねーなぁ
うっす、じゃあリア先生ご教授お願いしまーす
キャラクリめっちゃ凝れるなこれ!?
ちょっと待って
目元とかこうして…
胸の大きさとか…
おぉ、これが俺の理想(好みの年上系を作る)
えっ、なんすかリアさん…
いいだろ!?MMOくらいこういうキャラクリしたって!
こちとら万年誰かの介護しとんのじゃ!
姫として崇めろ!
いやぁ~ヒーラー楽でいいなぁ
あ、こいつ削れてる
あ、こいつにバフ
(手癖でつい後方支援役の目を使ってしまう)
ハッハッハ、貢ぐ装備は9個でいい
いやぁ、MMOも疲れる
ニューロンにドリンクが沁みる
え?作ってもいいの?
じゃあ全部混ぜよ(クソガキ)
鳴宮・匡
【Dトリガー】
何の因果か……いや多分耀の剣幕に負けたんだろうな俺……
キャラクター……いやなんでもいいな
(デフォルトでそのまま作成しそうなレベル)
……え? もっとこうしろ?
まあいいけど……なんで?
ヴィクティム、お前それ趣味が漏れてね?
別にいいけど……虚しくならないのか?
ええ……ヒロイン願望かよ……
やっぱお前大脳酷使しすぎなんじゃね?
……あ、俺アタッカーでいいの?
ゲームの中でもいつもとやること変わんねーな
俺以上にヴィクティムの方が変わってねーけど
職業病……
……あ、これもう少しこうしたら火力上がりそうだな……
(ひたすら木の人形的なやつを殴り始める)
(多分ダークマター的な何かを渡されても気付かない)
●トリオ・ザ・トリガー
「よーし、じゃあまずは先に操作方法とか教えておくよ!」
「うっす、リア先生ご教授お願いしまーす」
「はあ、まあ、いいけど」
珍しい顔ぶれである。
いや、つるんでいるという意味では珍しくはない。
なにせリア・ファルは鳴宮・匡のビジネスパートナーだし、
ヴィクティム・ウィンターミュートはそんな匡の戦友であり相棒だ。
リアとヴィクティムが戦場で肩を並べたことも一度や二度ではない。
珍しいというのは、そんな三人が、ゲームコミュニティに居るということ。
ようは"日常の場"に、その組み合わせで現れていることが、珍しかったのだ。
これから事件が起こるということを差し引いても、レアな光景である。
で、その三人が何をしているかと言えば、もちろんエクエクだ。
「はい、じゃあレクチャー終了! キャラクリ出来るだからやってみよっか」
と、簡単な操作方法の解説を終えたリアが、手を叩いて二人に言う。
「はぁ、MMOなあ。まあPCゲームは対戦ゲーでやり慣れてるし、好きだけどよ」
MMORPGにはあまり触れたことのないらしいヴィクティムが云う。
ハッカーとして機械いじりに慣れていないはずはないし、彼はティーンだ。
一度教われば、飲み込みは早い。当然まだ、面白さの勘所は掴んでいないが。
「……そもそも俺、なんでこんなとこにいるんだ?」
そしてある意味こんな場所に一番らしからぬ男――匡は、そうひとりごちた。
さしあたって一番脳裏にこびりついていたのは、グリモア猟兵の剣幕である。
割とダース単位で人を殺せそうな殺意であった。あれで動かぬ人はそういない。
とりあえずそういうことにしておいたほうが、色々楽そうである。
さて、MMORPGのウリといえば、やはりキャラクタークリエイトがその一つ。
性別はもちろん多彩な種族、さらに髪型、顔パーツ、その他諸々、
メイクだとか身長をはじめとする体型調整、肌色果ては唇の色なんてのも、
ゲームによって千差万別だが、細かくいじることができるものだ。
アバター(化身)と呼ばれるのは伊達ではない。
MMORPGにおいて、プレイヤーキャラクターはまさに遊び手の『分身』なのだ。
いかにこだわったキャラクターを作るか、そこから勝負(?)は始まっている。
「キャラクターって言ってもな……別になんでもいいな」
……のだが、匡は相変わらずのアレであった。そう、アレだ。
性別はおろか種族にすら変えず、デフォルトの人間男そのままでいこうとする。
人間・そのまま・男。英語で言うとHuman Formal Otokoてな具合である。
「って匡さん、ダメだよそれじゃ!」
「え? なんで?」
咄嗟に待ったをかけたリアの言葉に、匡は不思議そうに返す。
「まあまあ、いいから色々いじってみなって。性別と種族はそのままでいいから」
「だってこれ、別にキャラクターの性能に関係ないんだろ?」
「いいからいいから、ほら、これとか匡さんっぽいんじゃない?」
「別に俺に近づけなくても……まあいいけど」
なぜかニコニコ笑顔のリアに促される形で、改めてキャラをいじくることに。
……で、なぜリアがそんな横入りをしたかというと。
「キャラクリめっちゃ凝れるなこれ!?」
リアを挟んだ一つ隣で感嘆するヴィクティムに理由があった。
最初はあまり興味なさげであったが、いざ触るとデジタル世代の血が疼いたか、
ちょっと待って、などとひとりごちて、あれこれこだわり始めたのだ。
「目元は……こう、ちょっと垂れ目で優しげにして。
おお、マジかよ胸のサイズまでいじくれるのか……いや待てよ。
どうせならもうちょっと女の子っぽい種族がいいな……猫耳のこれにしよ」
ユーザー人気の高い猫耳種族を選び、当然(?)女性キャラをクリエイト。
背丈は少々大きめ、男としては小柄なヴィクティムよりちょっとだけ高い、
それでいて表情は丸みを帯びて優しげで、優しげなお姉さんといった風情だ。
髪型はボブ。尻尾は少々短めで肌色は健康的な色合いという徹底ぶりである。
「おぉ、これが俺の理想……!!」
「おいィ!?」
そこへ、なぜか黄金の鉄の塊みたいな声で割り込むリア。
「えっ、なんすかリアさん」
「このお姉さん味(あじ)が有頂天のHimechanとは……! 勇者よ……」
「ヴィクティム、お前それ趣味が漏れてね?」
さらに一つ隣から、匡の容赦ない追撃。
「いいだろ!? MMOくらいこういうキャラクリしたって!!」
なぜか食って掛かるヴィクティムである。手はさらに動き続けている。
ちなみにエクエクの場合、見た目はもちろん声もいくつかカスタム出来る。
ヴィクティムが選んだのは、優しげで華のある明るいものだ。
「こちとら万年誰かの介護しとんのじゃ! いやそれが楽しいんだけどよ!
Ape-X(エイプ・エックス)じゃライフセイバーずっと使ってるし、
LoR(リーグ・オブ・レガシー)じゃこちとら万年ボトム介護だよ!!」
「いや他のゲームの名前出されても俺よくわかんねえよ」
まあ、ようは常にサポートキャラばかりということらしい。
「あとよぉ、対戦系のPCゲーってなぜか女キャラが大抵目が光り輝いてるんだよ。
むしろ目が光り輝いてて、炎とか吹き出してるのがかっこいいまであるからな」
「だからそんなこと言われてもわかんないって……」
妙な寂寥感を背負い、明後日の方を見て黄昏るヴィクティム。
そこで、リアがなぜかニコニコしながら割って入る。
「うんうん、わかるよ。女の子のほうがファッションさせて楽しいもんね」
「り、リア先生!!」
「自分の画面の中心で動くなら、見ていて飽きないようにすべきだよね」
優しい目であった。何かを期待……もとい、許すような目である。
匡の画面では、着々と匡によく似た黒髪のヒューマン男性が作られている。
ちょっとでも妥協したり外れそうになるとリアの厳しい指摘が入る。
なんとなく、ヴィクティムのと並べるといい感じだ。
「ゆ、許された……おい匡、いやエクエクの民ども! 俺を姫として崇めろ!!」
「えぇ……ヒロイン願望かよ……」
やっぱりこいつ、大脳酷使しすぎなんじゃないだろうか? と思う匡。
そんなふたりを尻目に、リアはなぜか両手で台形を作りながらひとりごちる。
(あざとい見た目をしてHimechanに憧れる粗雑系残念美少女と、
優男風なのにつっけんどんとしてツッコミを入れる世話焼き男子……。
これだ、何気ない会話が別のエモを生み出すこのシチュ! 確定的に明らか!)
完全にバーチャルキャラクターの掌の上であった。
「リア何やってんだ? てか、そっちのキャラは?」
「あ、ボク? ボクはね、もう終わってるの」
画面の中には、エルフめいた尖り耳で、蒼い髪の青年騎士がいた。
他にも色々な装備はあるのに、なぜか地味で武骨な鎖帷子を装備している。
「地味だな」
「イケメンだけど華がないっつーか」
などという匡とヴィクティムに、リアはなぜか爽やかに笑う。
「だがそれが、イイ! ……んだよ」
画面の中で、両手を広げた青年騎士が、ぐっと握り拳を作って頷いていた。
そしてキャラクリを終えたあとは、試遊ということでキャラもカンスト状態。
自由にクラスを選べるということもあり、それぞれロールを分けることとなる。
言わずもがなリアはタンク。匡はアタッカー、ヴィクティムはヒーラーだ。
「ゲームの中でも、いつもとやること変わんねーな」
「まあ試遊だし、初めてやるならアタッカーが一番だからね」
「ヴィクティムのやつ、ヒーラーやってるけど」
「あれはまあ、手癖というかなんというか……見た目的にもあれが、うん」
「俺以上だなあれ、職業病っつーか……」
などという外野をよそに、ヴィクティムはノリノリでヒーラーを遊んでいた。
エクエクのヒーラーは、ヒーラーといっても攻撃も支援もこなす役割だ。
「いやぁ~ヒーラー楽でいいなあ」
つまり全体を俯瞰する必要があるのだが、それこそヴィクティムの得手。
「あ、こいつ削れてる」
ダンジョンに行けば常に全員のHPをマックスに保てるし、
「あ、攻撃来るな。防御バフ入れとこ」
ボス戦となれば先んじてバリアやバフを味方に付与する。
そんな彼が使うのはヒーラークラスの『アストロジアン』。
占星術を元にした魔術で、カードを使い味方を強化するというクラスだ。
難易度は高いが、うまくやると最大の回復効率と火力を担えるのである。
一方、匡は『機巧士』という、銃を使い敵を遠隔から攻撃するクラスのようだ。
「これ、いちいち撃つのに飛んだりする必要ないだろ」
とか台無しなツッコミを入れつつではあるが、火力はピカイチである。
ちなみにエクエクの機巧士は、長年不遇のクラスとして君臨していたのだが、
漆黒のブリンガーでは大きな調整が入ることになった。
銃を撃ち、毒ガスをばらまき、ドリルで敵を貫き、果てはロボを操るのだ。
何を言っているかわからないと思うが、ピカセンはこれに大喜びである。
「へえ、この爆薬をセットしてる間に与えたダメージで攻撃力が上がるのか」
ダンジョンを終えることには、すっかり勘所を掴んでいる有様だ。
「いやあヴィクティムさん、ナイスヒールワークだったよ!」
「ハッハッハ、貢ぐ装備は9個でいい」
「いや貢ぐとかねーから」
ヴィクティムにツッコミを入れつつ、木人形を叩き続ける匡。
ふたりがドリンクで一息入れても、完全にコンボ研究に没頭している。
「いやぁ、にしてもMMOも疲れるぜ」
「そう思って、はいこれ。コラボドリンクなんだってさ」
リアが持ってきたのは、『漆黒のブリンガー』でエクエクがコラボする作品、
『ニア・オートマタ』のコラボドリンク。爽やかなソイカフェオレである。
「うーん、しつこくない甘味がニューロンに冴え渡るぜ……」
「匡さんにも差し入れしてあげなきゃ。せっかくだしなにか作る?」
「え、作っていいの? じゃあ材料全部混ぜよ」
錬成されるダークマター(全部混ぜドリンク)。17歳の若き暴走!!
「ちょっとこれ、どうするのさ!?」
「おい匡~差し入れ持ってきたぜ~」
「ヴィクティムさんー!?」
「サンキュ。……これもう少しこうしたら火力上がりそうだな……」
集中してさっぱり気付かないままダークマタードリンクを受け取る匡。
そこで慌ててリアが止めに入る。朗らかな一時であった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ギド・スプートニク
【バッカス】
実はまだ拡張パッケージの予約をしていないのだ
予約無しでもアーリーコンコンは可能なのか?
スキル調整も入る事だしXHBの整理をしておきたい
ミラプリも仕立て直したいところだ
私は無詠唱のホリスピが楽しみだな
フラッシュが無くなるのは何処と無く寂しい気持ちだが
範囲コンボやヘイトコンボ廃止など操作自体は絞られる調整
その分だけ増えたアクション、魔法コンボと物理コンボの使い分けに腐心できるのは有難い
範囲ホリスピやコンフィテオルも期待が強い
さて、料理か
私からは新ミニオンをモチーフにした『じゃあくハムスターの唐揚げ~ジャークチキン風』を提供しよう
何、試作はスイーツ限定だと…?
すまない、聞いていなかった
クレム・クラウベル
【バッカス】
……是清、何だかんだ言ってガチ勢だよな
とは言え試遊もあるなら自分も用意は抜かりない
普段使いのパッド(+箱コン)は勿論持参
しかしスキルの大幅改修は前の大型アプデで終わりだと思ってたが
今回も派手に変わるな
新ジョブじゃないのに実質新ジョブ扱いとは一体
目押しヒートから解放されるようなのは有り難いが、ロボ……ね
まあ、細かいところは触ってからだな
いや、確かに死霊はすでに死んでいるが
気の所為だろうか
死んでいる筈の鈴丸の顔が更に死んで見えるのは
……周回、終わるといいな。タンク出そうか?
スイーツは、コロロポックルのわらびもちとか夏らしくて良さそうだな
抹茶にミント葉をさせばらしく見えるだろう
紺谷・喜々丸
【バッカス】
それはいかんでギドさん!
予約して月末に備えな!早よ!
うわ、是清さん準備がええな……(ちょっと引く)
ボクはパッド勢やからどこでも安心や
ボクもアプデまでには見た目装備整えときたいなぁ
課金も辞さへん心構えや
そのための労働、そのための給金
あ~~またかっこいい服出てる!(スマホを触る)
実機!触ってみたかってん、嬉しなぁ
確定クリダイは男のロマン
混沌……えっ、混沌やばない?
これ以上火力上がったらどうなんの?DPSでは?
ベリンダさんのドラゴンアイ!?
ほしい!ヘイ、パース!
そやそや、新しいスイーツやったな
ドーム型のルビーチョコの中にチョコミントアイスや
これ、なんやと思う?これね、ボクの原初。
静海・終
【バッカス】
私もしっかり予約済みでございます
早く予約してイヤリングつけてレベリングにでもいきましょう!
よつろ嬢、それは代行になって怒られる奴ではございません?大丈夫です?
むーたんは山から拾ってきましたが
双子と天使との約束を破りを不死鳥を召喚してしまった事に罪悪感など
感じておりますが本編でやらないのが悪いんですよ、ええ!!
双子の目の前で召喚したらひどい顔されそうです、罪ですピカセン
スイーツ、考えねばでしたね
上に赤い鳥の飴細工を乗せたパフェなど華やかではないでしょうか
生クリームやルビーのような苺などを入れ…
一番下には栗など入れてみて…存在感の薄まったジャガイモペットです
ベリンダ・レッドマン
【バッカス】
悲劇を止めるのが我々ピカセンに与えられた責務だよギドくん!
今すぐ予約だ!
ちなみに私はパッド派だ!
リアルではエンジニアで機工でクラフター的なアレだけれども
ゲームではぴょんぴょん跳ぶよ!そうジャンプさ!ジャンプ!!
硬直時間が減るというのは何とも嬉しいニュースさ!
他と同じく跳んで行ったら戻ってこない仕様になってくれるとなお嬉しいのだけれどね!!
そこはなんとかならないかな~ダメかな~
そういえば新技にかの戦いを彷彿とさせるアレがあったね…
あの戦いといえば…
(真っ赤なゼリーで球体を作り上げる)
出来た!ドラゴンアイ(いちご味)!
火力が上がるよ!どうだい誰かひとつガバっと!(投げつける動作)
伍島・是清
【バッカス】
早く予約しろ
てか今予約しろ
取り敢えず実機体験
大丈夫だ、ちゃんと多ボタンマウスは持ってきた
くそ、元過疎ワールドのくせに人が多いな
人が居すぎてNPCが見えねェ
俺に踊りをさせろ
ふーん、俺のヒーラーは結構シンプルになったからなァ
もう、GCD回ってる間に必死にMP回収する必要もない
俺の範囲dotが道に置き去りなることもない
相方が敵釣ってきてオオオオオイッ!ってなることもない
平和だな、善き哉
…周回…未だ出ぬヒラ胴…
スイーツは…うーん
2色の妖精をピスタチオのムースに並べて
タイトル『あなたは好みはどっちなの?!』
色違いで妖精の味は勿論一緒
…ギドの、美味そうだけどね
紺谷はそれ、解放すんの?
四辻路・よつろ
【バッカス】
呼び出したのは巨躯の男
手に持つのは太刀――ではなくマウス
それもボタンいっぱいのやつ
よろしく、鈴丸
なあに?その顔、文句は言わせないわよ
あなた刀振ってるの好きでしょう?
私最近やれてなかったの、だから代わりに装備を整えといてちょうだい
試遊はその後よ
そうそう、欲しい服があったの
だからドロップするまで周回ね
なぁに?その「それは死ぬ」って言いたげな顔
もう死んでるんだから、これ以上死ぬ事はないわよ
文句言ってないで早くしなさい
死人に口なしって言うでしょう?法的にはグレーゾーンだわ
なんてあれこれ言いながら
甘いスイーツの上にだいぶ多めにリキュールを垂らして一口
酒の攻撃力分、HPが回復するわ
●呪われた負け犬ども、などと書くと格好はいいが
多くのピカセン……一般キマイラ猟兵問わず……で賑わう店内で、
ひときわ異彩を放つ7人の男女がいた。
猟兵の団体の例に漏れず、性別はおろか種族も年格好も何もかもバラバラな、
もっと言えば雰囲気すらも千差万別の奇妙な集団である。
ギド・スプートニク。高貴で超越的な気配を纏うダンピールの貴族。
クレム・クラウベル。首に提げた銀十字"だけ"が聖職者じみた銀髪の男。
紺谷・喜々丸。いささか軽薄そうな顔立ちをした、青い花のオラトリオ。
静海・終。キマイラにしては、妙に他の一般人とは違う雰囲気の人形遣い。
ベリンダ・レッドマン。燃えるような赤橙の瞳を持つ快活な女。
伍島・是清。怜悧でありながら鋭い左目が人を寄せ付けぬ鋼の男。
四辻路・よつろ。どこかしどけない色気と、酒香をたたえた麗人。
不吉な呪いを上から酒の神の名前で無理やり塗り替えた、
うらびれた酒場にたむろする負け犬ども。されど終わりに抗う者ども。
つまりは過去を砕く腕利きの猟兵ども……というといかにも格好いいのだが。
「実はまだ、漆黒のブリンガーの予約をしていないのだ。
予約なしでもアーリーコンコンは可能なのか?」
「それはいかんでギドさん! 予約して発売に備えな! はよ!!」
「悲劇を止めるのが我々ピカセンに与えられた責務だよギドくん!!」
「早く予約しろ。てかいま予約しろ。いま。NOW」
ご覧の通りの有様だよ!!
……まあここはエクカフェで、催しはそもそもピカセンの集いであるからして。
やってきた彼らがピカセンであることに間違いはない。むしろ好ましい。
好ましいが、もうこれ雰囲気ガバガバでわかんねえな。まさに悪酔いの如し。
ギドの台詞にズパッと反応した喜々丸、ベリンダ、そして是清。
是清に至っては、スッ……とシリアスクール顔のまま何かを取り出した。
マウスである。エクエクのプレイに最適化された、多ボタンマウスだ!
「……是清、何だかんだ言ってガチ勢だよな」
などと呆れた様子のクレムだが、彼も彼で愛用のパッドは用意済みだ。
ボタンのすり減り具合がいかにもガチ勢であることを知らせている。
「あら、それ私のと同じやつじゃない」
などというよつろだが、パッドもマウスも持っている様子はない。
それっぽいフィンガースナップ。影からじわりとご登場する巨躯の使用人。
常ならば振るわれる太刀の代わりに持っているのは、言葉通りのマウスである。
めちゃめちゃ物言いたげな死霊――鈴丸のほうをちらりと一瞥し、
「なあに、その顔。文句は言わせないわよ。あなた刀振ってるの好きでしょう?
私最近やれてなかったから、代わりに装備整えといてちょうだい。よろしく」
というご無体ぶりである。そのぐらいは自分でやるべきでは!?
「よつろ嬢、それは代行になって怒られる奴ではございません? 大丈夫です?」
さすがに終が助け舟を出したのだが、鈴丸はすごすごと実機に向かっていた。
試遊コーナーには、持ちキャラのデータを流用して遊ぶスペースもあるのだ。
「スキル調整も入ることだし、私もXホットバーの整理をしておかねば」
などと言いつつ、さっそくスキル配置から見直しを始めるギド。
「お、ギドさんもパッド勢なんやな! ボクもなんやで! どこでも安心や!」
「漆黒のブリンガーではDXホットバー向けの調整も入るそうだから楽しみだね」
是清にちょっとヒいていた喜々丸も、ベリンダも、すっかりウキウキだ。
「スキルの大幅改修は嵐のリベレーター(※一つ前の大型アップデート)で終わりだと思っていたが、今回もかなり派手に変わるみたいだな」
言いつつ、クレムは愛用クラスの機巧士をいじくり始めている。
「そのあたりも気になりますが、ギドはちゃんと予約をおかないと。
いまなら特典でレベリングが楽になるアクセサリもゲットでございます!」
なぜかカメラ目線で言う終である。カメラってなんだ?
そんな一行をよそに、是清はなにやら町中をさまよい歩いて舌打ちしていた。
画面には、マーケットの前にたむろする大量の冒険者が表示されている。
「くそ、元過疎ワールドのくせに人が多いな。キャラがいすぎてNPCが見えねェ。
俺に踊りをさせろ。これ見よがしに踊るな。ポールダンスでもしてろ!」
なにやら画面に向かってブツブツ独り言を呟いていた。
なお、ポールダンス(と呼ばれるドラゴンナイトのスキル)はもうない。
苛立ちのあまり、過去の記憶が蘇ってしまったのだろう。煽りはほどほどに!
ところで、そんなピカセンガチ勢である一行のクラスはどんな具合なのか。
まず、すでにスキルの確認を始めているクレムの画面を見てみよう。
彼が使う機巧士は、色んな意味で大幅な改修がかかることで話題を呼んでいる。
「……新ジョブじゃないのに実質新ジョブ扱いとは一体」
クレムの脳裏によぎる過去。不遇クラス扱いされていた苦い時代。
ダンジョン周回では単体火力にいまいち恵まれず、範囲火力はサモナーに劣る。
かと思えばボス攻略の席はバードに奪われ、武器性能もいまいち……!!
「スキルの目押しから解放されるのもありがたいが、しかしな……ロボ、ね」
画面の中では、機巧士の背後にメカメカしい従者のロボが出現していた。
これが漆黒のブリンガーにおける、機巧士の目玉のひとつである。
それまでは『ターレット』という、
空に浮かんで味方を支援したり攻撃する機械を使役していたのだが、
今回なんとロボを召喚してパンチキックにパイルバンカーが出来るように!
あとはおなじみの火炎放射とともに毒液までばらまけるようになった。
「ある意味原点回帰ではあるが、いやまあいいか」
実際触ってみると、クレムのぼやきもすっかり収まったという。
では、ある意味リアルで機巧士っぽいことをやっているベリンダは?
「おお、これはいいね! ドラゴンブラッドの継続時間が伸びてる!!」
跳んでいた。ぴょんぴょんとジャンプしまくっていた。
そう、エクエクの(ある意味)名物クラス、ドラゴンナイトである。
「硬直時間が減るのは嬉しいニュースだったけど、コンボまで楽になってるとは。
耐性ダウンがオミットされたおかげで、かなり使いやすくなってるじゃないか」
これまでのドラゴンナイトは、大技を放つため"ドラゴンブラッド"というゲージの維持が必須とされた。
さらに火力をアップさせるバフと、敵のデバフも気にする必要があったのだ。
だが漆黒のブリンガーでは、これらはより繋げやすく簡単になっている。
さらに代名詞であるジャンプ攻撃も、さらに派手なアクションに強化される。
「いっそ跳んでいったら戻ってこない仕様になるとなお嬉しいのだけれどね!!」
エクエクのシリーズ他作品における、ドラゴンナイトの勇姿を思い出す。
範囲攻撃は避け放題、たまにそのまま戦闘も終わるアレだ。
さすがにMMOでそれは高望みしすぎである。ジャンプだけに。ジャンプだけに!
だが一番の目玉はやはり、追加スキルの『スターダストダイバー』だろう。
威力が強力なのはもとより、最大のポイントはそのアクションである。
ボタンを押すと、禍々しい魔法陣が着弾点を中心に浮かび上がり、
雄々しく飛び上がったキャラクターが急加速してそこへ突き刺さるのだ。
「邪竜形態の彼そのままじゃないか。いやあ、感慨深いなあ……」
前々拡張パッケージ『蒼碧のスカイワード』を思い出し、感激するベリンダ。
復讐に囚われた哀れな邪竜との戦いは、全ピカセンにとって思い出深いものだ。
そんなふたりと同じように、アタッカークラスをメインとするのが終である。
彼が使用するのはサモナー。名前の通り、召喚獣を使役するソーサラーだ。
嵐のリベレーターでは、その火力から最強クラスと名高かったサモナー。
大抵のMMORPGでは、こういったクラスは極端な弱体化を受けるものだが……。
「……えっ、『エーテリアルフロー』がなくなっているのですが……!?」
触ってすぐ、終は驚愕した。必須とまで言われたスキルがなくなったことに。
非戦闘時もこまめにエーテリアルフローを使い、常に大技のリソースを貯めるのがサモナーの基本ムーブであった。
が、漆黒のブリンガーでは、そもそもこのスキル自体が消滅している。
代わりに特定のスキルを使うことで、大技リソースが一定数付与されるのだ。
さらに長時間の詠唱を必要とした召喚魔法は一切がインスタント化され、
『召喚獣とともに戦う』という、サモナーらしい動きが出来るようになった!
「なるほど、『トランス・ベヒーモス』と『デモ・ベヒーモス』は別枠……。
そして、ああ……ついに召喚出来てしまうんでございますねえ、不死鳥」
高らかな鳴き声とともに変質した召喚獣、それは燃え上がる不死鳥の姿。
ヘビーなピカセンにとっては、この不死鳥は非常に思い出深いものなのだ。
「ムータン(※サモナーの初期召喚獣)を山から拾ってきて幾星霜、
双子よ、申し訳ございません。私、約束を破ってしまいました……」
などと、関連クエストのNPCふたりに独り言で懺悔する終。
だが実際使ってみると、その火力と楽しさに罪悪感は一瞬で吹っ飛んだ。
「パーティ全体に範囲回復! しかも大技スキル名が『レベレーション』……!
いやこんなの、メインクエでやらないのが悪いんでございますよ、ええ!!』
超高難易度コンテンツの神な復活演出を思い出しテンションもアガる。
ピカセンは元々罪深いので大丈夫だ。ベビーモス召喚してる時点で大概だし。
さておき、タンク系クラスをメインとする者もいる。
たとえばギドである。彼のメインクラスはどうやらパラディンのようだ。
パラディンとは、剣と盾で回復魔法も併用するオーソドックスな騎士である。
「ホワイトフラッシュ……貴公と戦いたかった……」
なぜか左胸を指差すポーズで、削除されたスキルに黙祷するギド。
敵のヘイト……つまりターゲットを集めるための必須スキルがなくなったのは、
漆黒のブリンガーにおけるタンククラスの最大の変更点の一つと言えよう。
"味方を守るタンクでありながら火力も出さねばならない"という矛盾を、
エクエクは"防御系スキルを削除し一本化する"という方向で解消したのだ。
「コンボの使い分けも、魔法と物理両方のダメージでのみ考えればよいのだな。
ホリスパのインスタント化も、楽しみにしていたかいがあるというものだ」
ホリスパ……正しくはホーリースパークは、パラディンの重要なダメージ源だ。
魔法攻撃ということで詠唱時間が設定されていたこの攻撃も、
漆黒のブリンガーでは一瞬で発動し、連続攻撃を立て続けに叩き込める。
さらに魔法ラッシュのトドメには、派手派手しい『コンフェッション』が炸裂!
「いやしかし、やはりこれだな……もはやパラディンに隙はない」
画面の中で、盾を構えたパラディンが猛烈なチャージを仕掛ける。
パラディンの弱点の一つ、『突撃技がない』を解消する追加スキルだ!
「どれ、範囲火力の上がり具合も確かめてみるとしよう」
これからのダンジョン攻略を思い、ギドの声も弾んでいるようだ。
「いやーボクもアプデまでには見た目用装備整えときたいなあ!」
喜々丸は名前通りウキウキした様子でキャラの見た目をいじくっている。
エクエクは、装備の見た目を上書きして好きにデコレート出来るのも長所の一つ。
キャラを飾るためなら、課金も辞さないおしゃれガチ勢の喜々丸だ。
「そのための労働、あと、そのための給金? ハイカラ装備めっちゃええよな!
って、あ~今度はヨギリ(※NPC名)のなりきり装備出てるやん!!」
実機をいじりつつ、携帯端末の操作にも余念がない喜々丸である。
そんな彼のメインクラスは、どうやらタンクのウォリアーのようだ。
斧を使い、タンクでありながらアタッカー並の火力を叩き出す前衛タイプだ。
その最大の特徴は、大技が使い放題になる『原始の解放』なのは間違いない。
繰り出す攻撃のダメージすべてがクリティカル確定にもなる強力なスキルだ。
「アタッカースタンスなくなったんはちょい悲しいけど、スキルも増えるしなあ。
えーと、あーこれで『原始の混沌』付与されるわけや。なるほどなあ」
おなじみのスキル『戦士咆哮』を使用すると、バフアイコンが出現した。
さらに大技スキルの見た目が変わり、何気なくボタンを押してみる喜々丸。
すると、ウォリアーが地を抉るようなすさまじい切り上げを放った!
「えっ」
あまりに強烈なダメージに、思わず目が点になる喜々丸。
「えっ混沌……やばない? これ以上火力上がったらどうなんの……?
しかも『原始の直感』も使い勝手、いやこれ『原始の猛り』もあんのか!」
味方を守護し回復させるスキルが追加されたいま、ウォリアーは無敵だ。
けして派手になったわけではないが、攻守ともに盤石になったといえよう!
さて、是清はどうやら、ダンサーの試遊を終えてメインクラスを確認中の様子。
彼が使っているのは……なるほど、ヒーラーの『スカラー』のようだ。
「ふーん、聞いてた通りけっこうシンプルになってるなァ」
是清の脳裏に、かつてのスカラーでの周回風景などがよぎる。
ダンジョン攻略中、ヒーラーでありながらすこすこと攻撃に転じたり、
使いすぎたMPをインスタントスキルで頑張って回収したり、
わざわざいい感じの位置に出したDoT(※継続的にダメージを与えること。ダメージ・オブ・タイムの略)の範囲エリアが置き去りになったり……。
スカラーは強いクラスではあるが、そのせいでやることも多かった。
だがスキルがシンプルにまとめられたいま、その懸念はもはやない。
他のヒーラークラスである『ホワイトメイジ』や『アストロジアン』も触るが、
大まかの調整方向は同じようだ。一番変更が大きいのはアストロジアンか。
「平和だな。善き哉」
ホワイトメイジで背中に羽を生やしつつ、是清はうんうんと頷く。
……が、おかげで、是清は嫌なものを一つ思い出してしまった。
「……未だ出ねェんだよな、胴装備……」
旧来のMMORPGに比べて、エクエクはアイテムのための周回が圧倒的に少なく済む。
そもそも必須とされる装備の殆どがドロップではなく、
特定のポイントやトークンを貯めることで交換できるのが最たるものだが、
見た目にこだわったり、特定レベルでの挑戦を必須とする超高難易度コンテンツとなると話は別。
どうやら、是清のお目当ての装備はそうそう出てくれないようだ。
こればかりはこだわりの領域である。Time to Winの精神で頑張ってほしい。
「この仕事終わったらまた周回行くか……」
楽しい試遊も、溜息混じりになってしまったとか。
……ところで、彼らの中にはもうひとりいたはずだ。
そう、よつろである。だが彼女はもうスイーツに舌鼓を打っていた。
大人らしく、リキュールなどをば垂らしてぱくりと一口。
「やっぱりお酒がないとね。HPも回復するしいいことづくめだわ」
「……試遊はいいのか?」
ギドの言葉に、よつろはふいと実機台を指差す。
そこでは鈴丸(死霊)が、ひたすらダンジョンを周回し続けていた。
「めっちゃ酷使しとるやん!?」
「ほら、あれが欲しいのよ。『水没遺跡・ソコラ』の胴装備。
だからドロップするまで周回させてるの。もちろん全クラスぶんね」
あっさりと答えるよつろに、ドン引きする喜々丸。
「あまりにも容赦がないよね、よつろくんは。ていうか思いきり違法では?」
「これ以上は死ぬ、みたいな顔してやがるが」
「どうせもう死んでるんだから、これ以上死ぬことはないわよ。
それにほら、死人に口なしって言うでしょう? 法的にはグレーゾーンだわ」
ベリンダと是清の言葉にも、よつろはどこ吹く風である。
「いや、たしかに死霊はすでに死んでいるが……顔がさらに死んでいる気がする。
あー、鈴丸。その……周回、終わるといいな。タンク出そうか?」
「そうそう、早くなさい。でないと試遊も出来ないわよ」
助け舟を出すクレムに、追い打ちをかけるよつろであった。
ともあれ一通りプレイを終えた一同は(哀れな鈴丸をさておいて)
よつろとともにスイーツを試作し、楽しむこととした。
「私が作ったのはこれだ」
ことり。ギドがテーブルに置いたのは……唐揚げであった。
皿の上には、なにやら二本牙が特徴的なハムスターの飾りが載っている。
「じゃあくハムスターの唐揚げ~ジャークチキン風~といったところか」
「スイーツじゃないわよね、それ」
「……唐揚げ、美味そうだけどね」
よつろのツッコミにフォローを入れてやる優しい是清である。
実際もちろんスイーツに限定はされない。キマイラはノリ第一なので。
一方そんな是清は、ピスタチオのムースを中心に、
スカラーの使役ペットである妖精の飾りをふたつ並べたもの。
「……"あなたの好みはどっちなの?!"ってとこか。
まァどっち食っても、妖精の味はもちろん一緒だけどな」
「漆黒のブリンガーでは三体目も出てくるし、争いが激化しそうだね」
「是清らしい。ところで、ベリンダ嬢のそれは?」
よくぞ聞いてくれました、という顔で皿を差し出すベリンダ。
猫めいた縦に細まった瞳孔の大きな球体状ゼリーである。
「どうだい、ドラゴンアイゼリー(イチゴ味)だよ!」
「生々しすぎるではないか」
「だろう? 食べれば火力が上がること間違いなしだよ!」
そういうことを言いたいのではない、と言いたげな顔をするギド。
「どうだいひとつ、誰がガバっと!」
「ベリンダさんのドラゴンアイ!? ほしい! ヘイ、パース!!」
「食うのか? というかお前、ウォリアーだろうが」
クレムのツッコミに、喜々丸はチッチッチッと指を振る。
「タンクやからって火力を追求したらあかんってことはないんやで?
てことでボクのスイーツはこれや!」
喜々丸が出したのは、チョコミントアイスを内包したドーム型のルビーチョコ。
「なあに? これ」
「これね、ボクの原始」
「……解放すんの? それ」
呆れた様子のよつろと是清。火力を求める喜々丸はまったくへこたれない。
「皆様、それぞれのクラスになぞらえた見事な品ばかりですねえ。
というわけで私はこちら、パフェなどをばひとつこしらえてみました」
終が披露したパフェには、赤い不死鳥の飴細工が載っている。
容器の中には生クリームをはじめとして、ルビーを思わせる苺の層、
ほかにも鮮やかなメロンの果肉や、一番下にはマロンも入っているようだ。
「存在感の薄まった、ジャガイモ(※召喚獣の俗称)をイメージしてみました」
「まあ召喚することもうなさそうだものねえ」
「俺ももう少し、クラスをイメージしてみたほうがよかったか」
感心するよつろの隣で、クレムが見せたスイーツはわらびもちである。
ちょこんと刺さったミントの葉、さらに黒餡でちまっとした眼を表現している。
「コロロポックルのわらびもち。夏らしくていいだろう?」
「それっぽくていいじゃないか! 早速食べてみようか!」
ベリンダの一声で、思い思いに舌鼓を打つ一同である。
馴染みの顔ぶれかつピカセンともなれば、盛り上がるのは間違いない!
それが、エクカフェのいいところなのだ!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
望月・十慈子
このグルメ探偵望月十慈子がめっっっっちゃウマイスイーツをエクカフェさんのために作ってみましょうとも!
蜂蜜、チョコクリーム、生クリーム、カスタード、こしあん、苺ジャム、バニラアイス……を盛りに盛った大きなパンケーキ。
その甘さは大陸の向こう側まで行っちゃうほどでしょう。
まさに口内に甘味の嵐呼ぶパンケーキ……ストームブレッドと名付けましょうか!
味覚の解放者ですよこいつぁ!
あ、見た目は店員さんで世界観に合わせて整えてください!
ひゃっほぅ!いただきます!
大食いスキルを今こそ発揮しますよぉ!!
(アドリブ可です)
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
あたしゲームってこないだの戦争までほとんどしたことなかったんだけど。
これはいわば「冒険者」になるゲーム、なのねぇ。
こんなふうに単独でイベント組めるくらいに人気あるのは、ちょっとびっくりねぇ。
…まあ、人生賭けるのはそれはそれでどうなのと思わなくもないけど。
あたしはスイーツ作るほうに回ってみようかしらぁ。
モチーフはダンサー…踊り子ねぇ。
パンケーキを舞台に見立てて。
ベリーソースのフラメンコにホイップ&カスタードのワルツ、チョコソースのブレイクダンスにマーマレードのタップダンス。
それぞれでラインを描いて踊らせれば…完成よぉ。
こういうのも、たまにはいいわねぇ。
●迷探偵とぽえぽえバーテンダー
もともとエクカフェではエクエクの新作イベントが催されていたわけで、
猟兵を除けば(一部の猟兵もそうだが)客もスタッフもみなピカセンである。
そんな楽しげで脳天気な風景を、ぽやぽやした笑みで眺める女がひとり。
「"冒険者"になるゲームが、こんなに人気があるなんて、ちょっとびっくりねぇ」
などと激甘ロリボイスでひとりごちるのはティオレンシア・シーディアである。
今回の戦争でほとんど初めて『ゲーム』というものに触れた彼女にとって、
こんな風に単独でイベントが催される風景は、まさに驚きのものなのだろう。
「……まあ、人生賭けるのは、それはそれでどうなのかしらぁ」
何気ない一言が、ピカセンの心を傷つけた……!!
ゲームはほどほどに。リアル大事に。忘れてはいけない合言葉である。
「んん~! それは早とちりというものですぞ~!!」
「あらぁ?」
そんなティオレンシアの言葉に異を唱える事件屋……もとい、迷探偵!
その名は望月・十慈子。一般客の中からも歓声が上がった!
「出た、グルメ探偵!」
「探偵とか言ってるくせに全然推理しない人!」
「スイーツ食いに来ただけだこれ!」
「ふっふっふ、このわたしの名声も広まったですね! さすがわたし!」
残念探偵の耳にはまともに届いちゃいなかった。
「それはさておき! そこのあなた、人生を賭けてこその娯楽なのですよ!!」
ティオレンシアをびしぃ! と指差し、十慈子は云う。
「それがわたし達キマイラで、キマイラフューチャーのあるべき姿なのです!
だからわたしがめちゃウマスイーツを楽しむのも、そう、いわば生き様!!」
「ものすごく強引に着地させたわねぇ、まあいいけどぉ」
ティオレンシアも、キマイラ達のお気楽人生に口を挟むつもりはない。
……キマイラでもないのに好き勝手やってるピカセン猟兵はさておいて、
それがこの世界であり、守り抜いたものであることは確かだからだ。
「ところでぇ、そんなあなたはやっぱりスイーツ作りに来たのかしらぁ?」
「よくぞ聞いてくれました! あ、ということはティオレンシアさんも?」
「ゲームのことはよくわからないしぃ……パンケーキでも焼こうかしらぁ」
「使う素材まで一緒だなんて! もしやわたしの……ファン??」
「それはないわぁ」
などというズッコケ会話をしつつ、さっそく調理に挑む両名。
奇しくも、どちらもパンケーキを土台に採用したスイーツ作りである。
だがその上に乗せるものも、乗せ方も、あまりにも対照的であった。
「たしか、漆黒のブリンガーとやらでは、ダンサーが増えるのよねぇ?
ダンサー……ようは踊り子ねぇ。だからこれを舞台に見立ててぇ……」
手早く焼いたパンケーキの上に、ベリーソースとホイップ&カスタード。
さらにチョコソース、マーマレードを次々に絡めていく。
いずれも、まったく異なる曲調と振り付けを表現するかのように、
曲線を描いていたり矩形波めいた鋭角のラインを描いているというわけだ。
「おお……! まるで踊るような手慣れた飾り付けぶり!!」
「フラメンコ、ワルツ、ブレイクダンス、そしてタップダンス……。
どうかしらぁ? ダンスラインをイメージして描いてみたのよぉ」
四種類のソースが、パンケーキという舞台の上で見事に調和している。
バーマスターの面目躍如、華麗なまでの手際でギャラリーも盛り上がる!
「これは負けていられません! わたしのめっっっっちゃウマスイーツを!!」
などと言いつつ、十慈子はまずバニラアイスをズワっとよそい、
ドカン!! とパンケーキの上に叩きつけた。
そもそも、このパンケーキからして、一人で食べるには大きすぎる上に、
ものすごい高さにまで重ねられている。まるでパンケーキのタワーだ。
「そこへはちみつ! チョコクリーム! 生クリームにカスタード!!」
「あらあらぁ」
「こしあんに苺ジャム、その他まだまだ載せちゃいますよ~!!」
「あらあらあらあらぁ」
大惨事である。出来上がったのは甘味のデパートじみたモニュメントだ。
「食べれば大陸の向こう側までぶっとんで、革命を起こすこと間違いなしです!
口の中に甘味を呼ぶ嵐のパンケーキ……名付けてストームブレッドですね!!」
「漆黒じゃなくて高血糖をブリンガーしそうな料理ねぇ」
ティオレンシアは相変わらずぽやぽや笑顔で驚くばかりだ。
そこへスタッフが駆けつけ、カトラリーを用意する。
エクエクの世界観に即した、使用武器を模したおしゃれなものである。
「さあ! 作ったからには実食ですよティオレンシアさん!!」
「……あたし、さすがにそのサイズは食べられないわよぉ?」
「おまかせを!! グルメ探偵の名前は伊達じゃなぁーい!!」
もしゃもしゃもしゃー! すさまじい勢いでパンケーキを貪る十慈子!
「ひゃっほうウマい! そちらも食べていいですか!?」
「いいわよぉ」
「いただきまーす!!」
もしゃもしゃと大食いしまくる十慈子に、にこにこ笑うティオレンシア。
「こういうのも、たまにはいいわねぇ」
戦い抜いて勝ち得た、平和な団欒とお気楽騒ぎがそこにあった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
天元銀河・こくう
ユーベルコードを使い会場の様子を自チャンネルで配信
配信タイトルは『エクエク初心者がエクカフェに潜入してみた!』
初心者目線でイベントを楽しむぞ!
おおお! エクエクの試遊台!
パノプティコンでは自由にゲームなどできんかったからな!
一度遊んでみたかったのだ!
親近感のあるネコ耳種族を選んで、使うジョブはもちろんダンサーだ
『歌って踊れる黒猫看守』たる、わたしの実力を見せてくれる……!
(操作の上手い下手はダイス判定でどうぞ)
ゲーム内容は実のところ良く知らんのだ
他猟兵が遊んでいるのを見て、学んでみるとしよう
オススメのスイーツがあったら、それも堪能してみようか
ふーむ
この機に、わたしも遊び始めてみるかな……
テイク・ミハイヤー
エクエクカフェって何気に初めて何だよなぁ。うおっ!?例の盾があるじゃん!ネタバレにならない程度にSNSにアップしとこ……。
SPD。見た目って重要だよな、俺が直近でインパクトあったのはやっぱり蛮神ラークシュミー。こいつをイメージした花を基調にして青をワンポイントにするショートケーキ!
うん、青のバルーンキャンディを見てるとムカっ腹が立ってきたぞ。
ええい、試遊だ試遊!タンクロールは任せろ、ガンブレイダー!これやってみたかったんだよな。
ええっと、このクラスどうやってヘイト取るんだ?ピカっと光るやつ的な……え?アップデートで無くなるの?
マジで!?!?!?
アルジャンテ・レラ
耀さんがこの場に来られたら秒で片が付いたと思うんですよね。
あれほどの殺意はなかなか感じられるものではありませんし。
……さて、怪人は。
出待ち中……?
まだ戦えないとは、どうしたものか。
カフェを訪れるのは初めてではありませんが、
此処は独創的な内装ですね。
私にとっては未知の世界だからこそ、いつかのように飛び込んでみましょうか。
冒険心は今も携えていますから。
メニューも様々ですね。
やはり通常のカフェとは趣向が異なるような……。
先輩"ピカセン"におすすめのメニューなど訊いてみます。
熱く語られても、(粗末な私で理解が及ぶのかは別問題として)耳は傾けます。
皆さん、本当にエクエクが好き……なんですね。
●ピカセンは若葉(初心者)にも優しい
テテーン。おなじみのジングルとともに始まった動画配信。
ぐいーんと表示されたのは『こくう's Channel』というチャンネル名だ。
そして画面下から、にゅっと黒髪の少女が生えてきた。
「ようこそ視聴者ども! このわたし、天元銀河・こくうの配信の時間だ!
今日はずばり、『エクエク初心者がエクカフェに潜入してみた』だぞ!」
……現地であるエクカフェ、出入り口!
動画撮影ドローンに向けて語りかけるこくうの姿がそこにある!
バーチャルキャラクターである彼女は、動画配信者でもあるのだ。
どうやら今日は仕事のついでに、エクカフェを取材しようという腹積もりか。
「初心者目線で、噂のエクエクイベントを楽しんでみんとする!
貴様ら、最後までちゃんと見るのだぞ! あとチャンネル登録もよろしくだ!」
ずびしぃ! と画面を(ドローン越しに)指差すこくう。
さっそく店内に入ってみると、ちょうどそこにひとりの少年がいた。
「うおっ!? 例の盾があるじゃん! すっげー本物だ!!」
と、壁にかけられた銀の盾を見てテンションが上がっている。
「ネタバレにならない程度にSNSにアップしとこ……」
彼の呟きを耳にした瞬間、こくうの左目がキラーンと輝いた!
「さっそく第一ピカセン発見だ、コンタクトをとってみよう!」
「えっ、何、俺? もしかしてこれ配信してんの!?」
ここでようやく、少年……テイク・ミハイヤーが振り返る。
「いやー照れちゃうなー、俺もついに動画デビューかー!」
「こらこら、これはわたしの、こくう's Channelだぞ! 勘違いするな!」
偉そうな少女の言葉にテイクは呆気にとられたような顔である。
が、動画配信のテーマを語られると、一転して意気揚々とした表情に。
「なるほどな、つまり若葉(※ビギナーのこと)ってわけか!
オーケイ、ヒーローを守るヒーローこと、この俺様がガイドしてやるよ!」
「そうこなくてはな。しかしせっかくだしもうひとりぐらいゲストが欲しいな……」
言いつつ、店内を見渡したこくうは、ひとりの少年に目を留める。
……その少年、アルジャンテ・レラは複雑そうな面持ちでいた。
この騒ぎが肌に合わない? まあそれもなくはないが、別のことだ。
「耀さんがこの場に来ていれば、とっくにカタがついたと思うのですが……」
思い返すのは、血走った目つきで『ぶっ殺せ』を繰り返すグリモア猟兵の姿。
アルジャンテには馴染みのある少女だが、あの剣幕は初めて見るレベルだ。
「エクエクのヘビーユーザーであることは以前の事件でも把握していましたが、
よもやあれほどとは。あそこまでの殺気はなかなか感じるものではないですね」
しかし、あいにく予知をしたグリモア猟兵は現地に来ることが出来ない。
たとえこれが日常フラグメントでも、これから事件が起こるので無理なのだ!
「怪人もまだのようですし、どうしたものか」
「そこの君!!」
「はい?」
と、ここでこくうが声をかけてきた。アルジャンテは首を傾げる。
後ろについてきたテイクは……サムライエンパイアで見たような、見てないような。
「はあ……なるほど、動画配信、ですか」
こくうからかくかくしかじかで話を聞いたアルジャンテは浮かぬ顔。
聴衆を盛り上げるようなテクニックなど、彼は一つも心得ていない。
「いまいちノリ悪いな。なんでここに来たんだよ? ゲーム興味ないのか?」
というテイクの一言に、アルジャンテはしばし考え込む。
独創的な内装……ゲーム中の酒場を模したカフェ店内……をみやり、一言。
「エクエクは、冒険者になって世界を巡るゲームだそうですね。
そのゲームの世界やコミュニティこそ、私にとっては未知の世界です」
だからこそ、いつか……エクエクのファンイベント襲撃を防いだ時のように、
まったくわからない場所、世界に、あえて勇気を出して飛び込んでみる。
「私はそうして、知らないものを知ることが目的というか、好きというか。
そういう意味では、私も……冒険心を今も携える、猟兵ですからね」
などと、慣れぬながらエクエクになぞらえたコメントを返す。
「なあんだ、てことは若葉だな! よろしく頼むぜ、後輩!」
「こ、後輩?」
「わたしと同期の桜だな、さっそくエクエクの勉強をしようではないか!」
「は、はあ……」
こくうとテイクのテンションには、いまいち引っ張られ気味の人形であった。
そんな三人は、まずスイーツの試作と実食に挑むことにした。
参考としてお出しされた様々な料理やスイーツは、どれもエクエク由来のもの。
「ピザにラーメン、麻婆豆腐にスイーツ、どでかいパフェに握り飯?
すごいな、劇中の料理まで再現しているのか! よく出来ている!」
「ドリンクも様々ですね、通常のカフェとはかなり趣向が異なります」
こくうとアルジャンテ、二名の若葉な猟兵はいいリアクションを返していた。
「だろ? っていってもエクカフェに来るのは俺も初めてなんだけどな!」
「そこは誰しも同じだ。で、ピカセンの貴様はどんなスイーツを作ったのだ?」
そういわれてテイクがお出ししたのは……。
「ショートケーキ、ですか? なにやら花と……これはキャンディですね」
「そう! こいつは『ラークシュミー』って敵キャラをイメージしてみたんだ』
ラークシュミー……エクエクの劇中に登場する、悪しき神の一柱だ。
魂の安楽を謳い、信者を利用して人々を魅了しようとした恐るべき女神である。
「こいつの力で魅了されると、こう、踊りだしちゃうギミックがあるんだよ!」
「わかめみたいな動きだな、それ」
「私からすると、キマイラの皆さんの日常風景と大差ありませんが……」
などというこくうとアルジャンテの言葉に、テイクは頭を振る。
「いやー、こいつが手強いのなんの! ステージから落とされたりもするし!
で、この青いキャンディが、ラークシュミーの魔力が集まった玉ってわけ」
クリアするためにはこの青い玉を取って……と、熱く語るテイク。
こくうもアルジャンテもその全てが理解できるわけではないが、
テイクが相当苦戦したらしいこと、そしてそれだけの熱意を呼ぶぐらい、
エクエクには思い入れがあることはわかった。
「話してたらむかっ腹が立ってきたぞ。ええい、試遊だ試遊!」
「そうだな、スイーツばかりでは画が地味になる!」
「私は見ているだけでとどめておきますね」
ショートケーキを食べつつテイクの長語りを聞いていたふたり。
ずんずんと実機コーナーに歩いていくテイクに続き、こくうも挑戦することに。
「パノプティコンでは、自由にゲームなどできんかったからな!
こういうゲームを、ぜひ一度遊んでみたかったのだ! 胸が高鳴るぞ!」
「こくうさんは、随分苦労していたんですね……」
「まあまあ、そういう話はいいっこなしだって!」
すっかり明るさを取り戻したテイクが選んだのは、ガンブレイダーだ。
「えーとな、エクエクには職業みたいな『クラス』ってのがいくつもあるんだ。
で、そのクラスには、さらに三つの役割が別れてて……」
「たしかタンク・アタッカー・ヒーラーでしたよね」
「そうそう! 詳しいな後輩!」
アルジャンテはなんとも言えない表情で頬をかく。
「初心者にオススメなのはどれなのだ?」
「やっぱアタッカーだな! ダンサーとかやってみたらどうだ?」
「なるほど。では、種族……ふーむ、ここはやはり親近感のある猫耳を……」
スカイダンサーでもあるこくうにとって、ダンサーはまさにぴったり。
「歌って踊れる黒猫看守たる、わたしの実力を見せてくれる……!!」
エクエクのダンサーは、両手に投擲武器を握り踊りながら戦う遠隔アタッカーだ。
リズミカルにボタンを押すことで、指定した仲間に強力な効果を与えられる。
こうした強化効果を、ゲームでは『バフ』と云う。弱体効果は『デバフ』だ。
「ほほう、スキルを順番に使うことでコンボが発動するのだな!」
「そうだぜ! あとは、使用間隔が長めのスキルはなるべく切らさず使うんだ」
「ダンス中は攻撃が出来ないが、味方への強化効果も倍増する。なるほど……」
やってみれば、意外なことにダンサーの難易度はそう高くもなかった。
もともと地金があるためか、こくうはあっさりとテクニックを学んでいく!
「ははっ、楽しいな! ダンスのフィニッシュを決めるのも爽快だ!」
「すっかり板についていますね。向いていたということでしょうか」
観客に回ったアルジャンテは、テイクの方を見てみる。
"魔弾"を使い強力な攻撃を発動するガンブレイダーは、難易度が高めだ。
「えーと、このクラスどうやってヘイト(※敵の狙いを集めるためのステータス)取るんだ?
ピカッと光る的なやつとか、ヘイトコンボ……うえっ、ないのか!?」
こちらはこちらで、ピカセンゆえの違和感に苦戦しているらしい。
「おいテイクよ、このままダンジョンに挑んでみないか?」
「ええっ? でもヒーラーがいないぜ?」
「「…………」」
「えっ」
ふたりから注がれる視線に驚き、嘆息するアルジャンテ。
「……わかりました、付き合いますよ」
こうして、三人はパーティを組みダンジョンに突入するのだった!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アストリーゼ・レギンレイヴ
【妹のセレナ(f16525)と】
キマイラフューチャーでのイベントに、と
妹に誘われてきてみたのはよいのだけれど……
あの、セレナ
貴女の……キャラクター?
見ている方々が驚いている様なのだけれど、気のせいかしら?
気のせい? そう……。
スイーツを分け合いながら
セレナがゲームをしているのを見ているわね
それにしてもいつの間にこんな遊びを覚え……
……ええとセレナ
ごめんなさい、ちょっと何を言っているのかわからないわ……?
知らない一面があるのは当たり前だけれど
なんだか少し寂しいわ
ねえ、あたしも少しだけやってみてもいいかしら?
セレナに操作を習いながら
……少しでも同じ楽しみを共有出来たらなんて
セレナリーゼ・レギンレイヴ
アストお姉ちゃん(f00658)と
実は結構やっていたエクエク
ちょうどイベントに行けるなんて
お姉ちゃんも誘って楽しんできます
メインの職業は次に強化されるようで
光の翼も不死の鳥もとても楽しみです
いえ、鳥の方はずるいですよ本当に……
美味しいスイーツに目を細めて、姉さんと分け合ったりしていると
お菓子素材が値上がり
最近神式素材の売れ行きも良くないですし、買い占めて並べ直しましょう
次へのスタートダッシュですね
試遊台、姉さんもどうですか?
文字は一緒に読みますから、一緒に遊んでみるだけでも
あのっ!!?
何故結社の皆様がこちらに……!?
いえ、違うんです私も始めたばかりでその
あ、だからキャラは見ないでくださ――
●レギンレイヴ姉妹の優雅な一日
アストリーゼ・レギンレイヴは、困惑していた。
元はと言えば、妹であるセレナリーゼ・レギンレイヴの一言がきっかけだ。
『姉さん、キマイラフューチャーのイベントに参加しませんか?』
『イベント? セレナ、あなたがそんなものに参加するなんて珍しいわね』
『そ、それは、えっと……とにかく、さあ! 行きましょう!!』
『ちょ、ちょっとセレナ? なんだかいつもと様子が違くない!?』
……思い返してみるとこのときから妙な感じだったような気がする。
そして蓋を開いてみれば、なんと妹はガチガチのピカセンであった。
ピカセンだのエクエクだの、アストリーゼにはちんぷんかんぷんなのだが、
どうやらセレナリーゼが、相当やりこんでいるプレイヤーらしいことはわかった。
そんなわけでアストリーゼは、スイーツをつつきながら、妹の背中を眺めている。
セレナリーゼが楽しそうにしている、それ自体は別にいい。
むしろ好ましいことだ。好ましいこと、なの、だが……!!
「あの、セレナ?」
「なんですか姉さん」
「あなたの……その、キャラクター? でいいのかしら。画面のそれ。
なんだか見ている方々が驚いているようなのだけれど、気のせいかしら?」
「とんでもないです! 気のせいですよ、気のせい」
そう、と言いつつ、アストリーゼはもう一度ギャラリーを見渡してみる。
『猟兵だ』
『いや猟兵だけどそれ以上にやばいぞあのキャラ!』
『え、称号見ろよ! あれまさか、『ウルトラレジェンド』じゃね!?』
『うわ、しかも持ってる杖、零絶ベヒのじゃん! あっちもクリア済み!?』
『しかもホズママウントまで乗ってる、や、やべえ……』
ざわざわざわざわ。
かわされるワードはアストリーゼにはまったくわからないが、
セレナリーゼのキャラクターが規格外であることはわかる。
……そう、アストリーゼはある意味、理解できなくて幸いであった。
セレナリーゼが、超高難易度コンテンツを総なめにしているうえに、
数十人で挑むこれまた超高難易度ダンジョンをクリア済みだということは……!
「光の翼も不死鳥も、どちらも楽しみですね……」
「セレナ?」
「そもそも不死鳥だなんてずるいですよ本当に。召喚できるとか最高じゃないですか」
「セレナ???」
「零絶の全滅演出神すぎましたもんね、本当に胸熱です、ああでもダークナイトも」
「あの、セレナ?? あなたいつのまにそんな遊び覚えたの???」
妹の……妹の言っていることが、さっぱりわからない!!
アストリーゼの言葉に我に返ったセレナリーゼ。
ごまかすように笑いつつ、一度実機を離れて姉の元へ戻ってくる。
「いけませんでした、スイーツも楽しまないとですね」
「え、ええ」
「……スイーツといえば」
なにやら長方形めいたディッシュにあつらわれた大きなハニトー。
その一面から、黒い怪物のようなモンスターの身体が上半身だけ出ている。
アストリーゼにはわからないが、これは『デビルズウォールのハニトー』という、
エクエクに登場する名物モンスターを模したスイーツである。
「漆黒では新しいレシピも実装されますし、すでに素材の値上がりが始まってますね……」
「セレナ?」
「最近神式素材の売れ行きも良くないですし、買い占めて並べ直さないと……」
「セレナ???」
「スタートダッシュのためには、手を抜いていられません!!!」
「セレナ??? ねえ戻ってきてセレナ?????」
妹の……妹の言っていることが、さっぱりわからない!!
据わった目で携帯端末(これもどこで使い方を覚えたのか)をいじる妹に、
アストリーゼはなにか妙な胸騒ぎを覚えた。
もしや、あの『結社』とかいう連中が、妹に悪い遊びを教えたのでは。
妹の知らない一面を垣間見たようで、アストリーゼは少しだけ寂しさを覚える。
それ以上になんかよからぬオーラもゆらめく。じわり(暗黒が染み出す音)。
『そうです、君はもっと妹さんとコミュニケーションすべきですよ』
「えっ」
いきなりかけられた声に、思わず顔を上げるアストリーゼ。
するとそこには、スタッフ……と思しき、フルプレートの怪人物がいた。
……本当にスタッフか? ともあれその人物は続ける。
『いいですか。ちゃんと妹さんと遊んでください。僕は忠告しましたよ』
「えっと、失礼だけれどあなた」
『でないと怒りますからね! いいですね!!』
「……えさん? 姉さん?」
はっと我に返るアストリーゼ。怪人物は……どこにもいない。
「ごめんなさいセレナ、いま変な人が……」
「それより姉さん、一緒にエクエクを遊びませんか?」
そういわれて、アストリーゼはきょとんとする。
文字も詠めない己だが、妹はそのために力を貸してくれるという。
……そしてやがて、姉はにこりと微笑んだ。
「ええ、そうね。じゃあ一緒に遊ぼうかしら」
「そうしましょう! 姉さんと一緒のエクエク、楽しみですっ」
姉妹の、心の距離は再び縮まることだろう。ゲームを通して。
「……あのっ!? なぜ結社の皆さまがこちらに!?!?」
「おやセレナ。えっ、なんだいそのガチキャラ」
「うわ、こいつウルトラレジェンドじゃねーか」
「……なるほどな」
「いえ、違うんです、私も始めたばかりでその」
「セレナ、ウソはいけないと思うわ」
「姉さん……!?」
などという一幕もあったが。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ビリウット・ヒューテンリヒ
【結社】
ゲームには明るくないのだけど大丈夫かな?
ふむ、プレイしてる者がいそうかな
それなら教えを乞うとしよう
へぇ、自分でキャラクターを作れるんだね
男もできるのかい?面白そうだ
ふんふん、つまりは交流が大事?
任せてくれたまえ!今しがたネットで調べた
こういうチャットをするとフレンドリーに見えやすいらしい
一緒にこの敵倒さない?できれば俺の事回復してサポートして欲しい😄😃優しそうだしお近づきになれたら嬉しいな😆😃(笑)
ところで可愛い服だね😚😃✋お姫様みたいだ(^o^)💕ナンチャッテ
どうだい?事務的な文章がガラっと変わったよ
あぁ、スイーツを作る
ブランデーにアイスをどんと
飾りに柿ピーを
あ、ダメ?
ラグ・ガーベッジ
【結社】
「なんだアダムルス、お前もやんのか」
「ヒーラーならやったことあるけど」
「あんま詳しくないぞ、装備とかはフレがくれたし」
「なんか新エリアでデカい家もくれるって」
「は?姫?誰が?寄越せとも言ってねぇよ向こうが渡してくんだ」
「なんだ、タンクやんのか。俺教えてやれね……」
アダムルスが迷い無くホットバー編集するのを見ている
「ダンジョン入ったらタンクが先に行くけどその前に……」
微動だにせず何かを待ってるタンクを見る
「そこのサナギは先に壊し……」
ダメージの無い範囲魔法で一掃するタンク
「……」
メーグリのデザインが明らかに慈王メグル・メグXII I世
「お前やったことあんだろ」
「上手っ、美味っ、キモッ」
アダムルス・アダマンティン
【結社】
ゲームに製菓、などと。あるいは遊戯神であれば喜んだやもしれぬが
オブリビオンが出るなら、待つのみだ
……ビリウット、やめろ。なんとも言えんが、ただ、やめろ
なんだセレナリーゼもやって……来ていたのか
ラグ、それは姫プ……否、恐喝でもしたのではないか
(適当なルカティン族の黒騎士を作成)
ナンバーズたるもの、電子上の遊戯であっても屈強たるべし。ダンジョン攻略だ
(ダンジョンの入り口で何かのバフを待つように立ち尽くす)
…………いや、なんでもない
プレイ経験?馬鹿なことを言うな。行くぞ
以上を踏まえて製菓に取り組む
柿ピーは論外として
メーグリに似せたアイス像ならば……
プレイ経験?馬鹿なことを言うな。できたぞ
●ナンバーズの休日
そんなわけでセレナリーゼが遭遇した『結社』の面々は三人。
「いやあ、ゲームには明るくないから大丈夫かと不安だったんだけどね。
セレナのプレイを見て学ばせてもらったおかげでもう安心だよ」
などと豪語する、若葉ピカセンことビリウット・ヒューテンリヒ。
「ホントかよ、いまいちアテになんねえな。一応言っとくが俺には聞くなよ。
ヒーラーならやったことあるけどあんま詳しくないんだよ」
ヤドリガミとはいえ若者は若者らしいラグ・ガーベッジ。
「よもやセレナリーゼもやってい……来ていたとは思わなかったが。
ラグ、お前もピカセ……このゲームを遊んだことがあるとはな」
なんか微妙に奥歯に物の挟まったようなアダムルス・アダマンティンだ。
「あいにく私はそういったものに触れる機会がほとんどなかったからね。
御大将もそうだろう? ……なんて、いちいち聞くまでもないかな」
「…………そうだな」
「なんだいまのめちゃくちゃ長い間」
さっきからアダムルスの言葉が妙に歯切れが悪い。気のせいだろうか。
もっともビリウットはあまり気にしていないようだ。彼女も大概アレだ。
「……ゲームに製菓、などと。あるいは遊戯神であれば喜んだやもしれぬが」
アダムルスの脳裏にかつての神の姿が蘇る……。
『ゲームを始めようぜ!(ドン☆)ルールは簡単、この熱した鉄板の上で氷の』
「去っていった神のことを想うべきではないな」
「何一人でぶつぶつ言ってんだアダムルス」
在りし日の遊☆戯☆神のことは心の奥にそっとしまいこみつつ、
アダムルスはおもむろにラグの隣の実機前に立ち、パッドを手に取った。
「なんだ、お前もやんのか」
「オブリビオンが出るなら、待つのみだ」
「さすがは御大将だね。へぇ、自分でキャラクターも作れるんだね」
なお、セレナリーゼは恥ずかしさのあまり顔を覆って姉に慰められていた。
そんなこんなでラグを間に挟む形で始まったナンバーズのエクエク。
必然的に、話題はラグのピカセン歴に触れることになる。
「ラグはこのゲーム、かなりやりこんでいるのかい?」
「いや、そこまででもないな。装備はだいたいフレがくれたし」
へえ、というビリウット。ラグのほうを二度見するアダムルス。
「なんか新エリアでデカい家もくれるって」
「よくわからないけどいい人なんだね」
「まあなんかログインするたびにすぐWis飛んでくるし……なんだよ」
ガン見しているアダムルスに気づいて睨み返すラグ。
「……ラグ、それはHimeプ」
「は?」
「姫? 姫がどうしたのかい?」
「……否、恐喝でもしたのではないか」
ラグとビリウットは顔を見合わせ、それぞれ違う理由で首を傾げた。
ビリウットは『姫ってなんだ?』という意味の疑問であり、ラグは、
「は? 誰がだよ、よこせとも言ってねぇよ向こうが渡してくんだ」
自分の立場がそもそもわかっていなかったやーつである!!
「てかお前もうキャラクリ終わったのか」
なにか物言いたげなアダムルスをよそに、ラグが画面を覗き込む。
画面の中には、精悍な顔つきのルカティン族……筋肉質な男性が立っていた。
あくまで試遊なので、クリエイト後は即座に装備と経験値が付与される。
「ナンバーズたるもの、電子上の遊戯であっても屈強たるべし、だ」
「なんでもいいけどタンクでもやんのか。俺教えてやれね」
フィールドに降り立つなり、速攻でスキル配置をいじくるアダムルス。
それどころかマクロまで組んでいる。画面配置も相当な凝りようだ。
「…………」
じっと無言で見つめるラグ。隣のビリウットは悪戦苦闘中だ。
「これどうやって移動すればいいんだい? あとスキルがよくわからないな」
「…………(装備の見た目を変更するアダムルスをガン見)」
「ラグ? 悪いけど教えてくれないかな、ねえラグ?」
「ん、ああ。そうだな、それが普通だよな」
ラグの視線にもアダムルスは不動。画面の中には立派なダークナイトが!!
ひとしきり自由行動し、ビリウットが操作方法を覚えた頃。
「準備は済んだな? ダンジョン攻略だ」
というアダムルスの鶴の一声で、三人はダンジョンに挑むことに。
しかしダンジョンを攻略するには、最低でも四人のメンバーが必要だ。
「俺がヒーラー、んでビリウッドがアタッカーでアダムルスがタンクだろ」
「アタッカーが一人足りぬか。ソーサラーだとよいのだが」
「…………」
説明してない細かいクラス分けを口にしたアダムルスをガン見するラグ。
なお、ビリウットの使用キャラは、いかにもチャラそうな猫耳種族の男性だ。
「じゃあ誰か声をかけないとダメなのかな?」
「いや、その心配はない。自動でマッチングされる」
「……………………」
エクエクの特徴的マッチングシステムを理解済みアダムルス、ガン見するラグ。
ビリウットはへえ~なるほどねなどと呑気に感心している。
そしてダンジョン突入を申請すると、すぐさまシャキーン! というSE。
一行はダンジョン内部に転移し、四人目のメンバーと顔合わせした。
「これ、挨拶はしたほうがいいんだよね?」
「無論だ。コミュニケーションは重要だ」
ビリウットの疑問に、真面目くさった顔で頷くアダムルス。
「いや、別に『よろー』とかでいいだろ」
「それは味気なさすぎるんじゃないかな? なに、私もちゃんと調査済みなのさ」
と、ここでビリウットが、ラグの言葉にふふんとドヤ顔をする。
「交流なら任せてくれたまえ! 今しがたネットで調べたお得情報があるんだ。
こういうチャットをすると、フレンドリーに見えやすいというのがあるんだよ」
「不安しかねえ」
ラグの予感は的中した。ビリウットが自信満々に打ち込んだのはこんな文章だ。
『一緒にこの敵倒さない?できれば俺の事回復してサポートして欲しい😄😃
優しそうだしお近づきになれたら嬉しいな😆😃(笑)
ところで可愛い服だね😚😃✋お姫様みたいだ(^o^)💕ナンチャッテ』
「どうだい? 事務的な文章がガラッと」
「「やめろ」」
アダムルスとラグは一切のズレなく同時に制止した!
「え? いやでもこうしたほうがいいってヤッホー知恵袋に」
「……やめろ。ビリウット。なんとも言えんが、ただ、やめろ」
「もう打ち込んじゃったよ御大将」
「お前なんでこういうときだけ思い切りいいんだよ!!」
ラグは慌てて四人目にフォローのチャットを送ろうとした。
しかし四人目……小人種族の女性キャラは、くすくすと笑うエモートをし、
『とってもユニークな挨拶ですねw よろしくお願いします!』
と、朗らかに反応していたのである(お辞儀エモートつき)
「聖人かこいつ???」
むしろこっちのほうが慣れていて怖い。ラグはそう思った。
……そしていざダンジョン攻略!
「じゃあさっそく進もうじゃないか!」
「待て、ビリウット」
駆け出しそうになったビリウットのキャラを、アダムルスが留める。
そしてアダムルスの騎士がチラッとラグのキャラの方を見た。
「? どうしたんだい御大将」
「いや」
「……」
「…………」
無言でにらみ合うラグとアダムルス(プレイヤーもキャラも)。
すると四人目の例の小人女性が何かをひらめいたエモートのあと、
『そういえば漆黒のブリンガーでは、"プロテク"がなくなるんですよ!』
という一言を打ち込んだ。
「なんだいプロテクって」
「必須呪文みたいな奴だよ。防御力が上がるんだ」
ビリウットの疑問に丁寧に解説してやるラグ。そしてアダムルスをガン見。
「まずこれかけてからタンクが先導して進むのがセオリーなんだよな」
「…………」
「な?」
「……プレイ経験などと馬鹿なことを言うな、行くぞ」
「俺何も言ってねえけど???」
道中のアダムルスの動きも、完璧なタンクぶりであったという。
具体的に言うと、
「おや、あそこになにか卵みたいなものがあるね」
「バカお前それは近づかないで魔法で(アダムルスが破壊)…………」
「ここは強力な敵が出る。毒攻撃に備えておけ」
だの、
「なんだか敵が大量に出てきたよ!? どうすればいいのかな!?」
「いやここはお前のクラスだと効率悪いからこのままボスを」
「限界突破が使用できるぞ、それを使えビリウット」
「…………(アダムルスをガン見)」
「おお! 彼女(四人目の人)が一気に焼き払ってくれたよ!
感謝の挨拶をしなきゃね。『ありがとう☺君の華麗な活躍に思わずドキッ😍と』」
「「やめろ」」
といった具合である。
そして無事、ダンジョン攻略が済んだあとのこと。
「なあアダムルス、お前さあ」
「…………」
「お前エクエクやったことあんだろ」
「………………出来たぞ」
「絶対やったことあるだろお前???」
ラグの疑念はもはや確信となった。
なにせアダムルスが作ったスイーツは、バニラアイスをメインにした、
エクエクのマスコット『メーグリ』を模した無駄に精巧なものだからだ!
「さすが御大将、スイーツ作りも一流だね」
「なあビリウットお前今日いつにもましてポンコツじゃねえ?
しかもなんだよそれ、ブランデーにアイス乗せただけじゃねえか!」
「いやいや、飾りに柿ピーを乗せて」
「何も変わんねーよ!!」
はあー、と珍しく沈痛な面持ちで溜息をつくラグ。
見れば見るほど精巧なメーグリアイス。忌々しいレイドボスを思い出す。
「プレイ経験などと馬鹿なことを言うな、さあ食え」
「いやもういいけどよ……美味っ!!」
メーグリアイスとアダムルスを二度見するラグ。
「上手いし美味いとかなんだよ! キモっ!!」
「ラグ、私のスイーツもどうだい?」
「食えねーよ! 食わねーよ!!」
などと騒がしいナンバーズふたりをよそに、アダムルスは思う。
最初から最後まで丁寧だった上、プレイも完璧だったあの四人目の小人女性。
難易度の高い暗黒魔導士を、まるで手足のように扱っていたあのキャラクター。
(…………不思議なこともあるものだ)
ジャラジャラゴツゴツと音を鳴らして散歩するプレイヤーの姿を思い浮かべ、
アダムルスはしばし無表情のまま明後日の方を見て感慨に耽ったという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
戒道・蔵乃祐
月夜さん(f01605)と参加です
◆
ガンブレイダー!?気になるね!いや僕のキャラはバトルモンクだから新武器の調達に苦労しそうだけどAGI型なら互換も可能なんじゃないかな。防具もバトルスーツでしょこれ?
あっ、ごめん、話が逸れたかな!?
◆新メニュー
僕が考えたのはこれ!期間限定レイドバトルイベントから着想を得た滅びの山崩落はにと~だよ
メープルシロップ掛け厚切りバタートーストにいちごバニラチョコソフトクリームが3つ乗ってるんだ。ギリギリを攻めてみました!
とろけて時間切れになったらレイド失敗だよ!まあそれはそれで美味しいかもしれない
あとでエクエク試遊もやろうね!
キマフュー戦勝もお疲れ様!ジュースで乾杯!
月夜・玲
●f09466 戒道さんと参加
新要素はワクワクするよね
ガンブレイダー!カッコいい武器だー!
確かにAGI型だから結構相性良いのかな?
まあ関係なく、カッコいいメカニック系の武器は使いたくなっちゃう
まずはお試しで使ってみないとね!
●スイーツ
出来れば…!出来れば貪る側で参加を!
色気より…食い気!
下手に素人に考えさせてみろ…火傷するぜ…!
あ、戒道さんの凄そうだよね…カロリーが
その辺りもギリギリだなあ
でもまあ普段の倍以上運動して猟兵活動すればイケる…?
とりあえずいただきまーす!
今日は無礼講だー
思うままに貪ってくれるわー!
戦争お疲れ様ー。
やっぱなかなかハードだよね…
とりあえず乾杯!
後で新クラスの性能見よう!
●キマイラフューチャー戦勝お疲れ様会!
「「乾杯!!」」
かっちーん、とグラスの打ち合う小気味いい音が響き渡った。
猟兵ふたりの間には、数多くのエクカフェスイーツが並んでいる。
どれもこれも、ゲーム中に登場する料理を実際に再現したものや、
NPCや名物モンスターをモチーフにした見た目も鮮やかなものばかり。
こうした料理は、ゲームやアニメなどサブカル由来のカフェではありがちだ。
しかしエクカフェの特徴は、どれもそこそこにボリュームがあり、
割とガッツリ食べるのにも適していることにある。
大人数で挑戦する『極式アレキサンドリア討滅パフェ』だとか、
『極式・リットアテン完食戦』といったフードコースが最たるものである。
だがひときわ異彩を放つのは、中央に置かれたバタートーストである。
いわゆるハニトーというやつだ。ただし熱量が半端なさそうな見た目だ。
厚切りのバタートーストにはこれでもかとメープルシロップがかけられ、
さらにいちご・バニラ・チョコの三種のソフトクリームが載せられている。
「これ凄そうだよね……カロリーが」
「名付けて滅びの山崩落はにと~だよ! ギリギリを攻めてみました!!」
「色んな意味でギリギリだなあ! でもまあ、普段の倍以上運動して、
猟兵活動すればイケる……? うん、とりあえずいただきまーす!」
「うんうん、食べて食べて。僕もどれから手を付けよっかなあ!」
「今日は無礼講だからね、思うままに貪ってくれるわー!」
「いや本当、バトル・オブ・フラワーズお疲れ様だよー!」
実に朗らかで、平和なふたりのささやかな打ち上げである。
……そう、声音は朗らかだ。めちゃくちゃスイーツを貪っている女、
すなわちスペースノイドの月夜・玲の見た目は可憐だ。食いっぷりはさておき。
その対面でごくごくとジュースを美味しそうに飲む男性も楽しそうだ!
楽しそうなんだが、恐ろしく図体のでかいガチムチ筋肉破戒僧なのだ!!
「いやー喉乾いてたからおいし……ん???」
破戒僧……戒道・蔵乃祐はきょろきょろと辺りを見渡す。
周囲のキマイラ達が『マジかよ』みたいな顔で彼を見ていた。
「え? 何? 僕なんかしちゃいました???」
俗世にまみれた破戒僧は、恐ろしい見た目で恐ろしくフレンドリーだった。
猟兵は見た目であれこれトラブルを起こさない? それはそれこれはこれ!
しかしまあここはキマイラフューチャー。そしてふたりは猟兵。
一瞬恐ろしいギャップを醸し出したものの、すぐにふたりも周囲に溶け込む。
なにせここにやってきたピカセン達は、エクエクに夢中だからだ。
「いやーやっぱ、スイーツは食べる側でナンボだよねー」
「月夜さんもなにか作ればよかったのに」
何気ない蔵乃祐の言葉が、玲の心を傷つけた……!!
「私は色気より食い気なの。そもそもヘタに素人に考えさせてみなよ」
「は、はい」
「……火傷するぜ……!!」
傷ついていなかった。むしろ開き直っているふしもあった。
火傷しないように努力するとか、そういう気配もない"圧"があった。
「ま、まあもともとメニューあるしね! それにほら、エクエクもあるから!」
蔵乃祐の言葉に、玲は食べる手を止めないままそうそうと頷いた。
「とくにあのガンブレイダー! いやーカッコいいよねガンブレイド!」
「僕のキャラはバトルモンクだからなー、乗り換えは苦労しそう」
どうやらふたりもピカセンであるようだ。
たしかに、アタッカーであるバトルモンクはガンブレイダーと大きく異なる。
それぞれのクラスでやれることを発揮して協力して勝利を掴むからこそ、
エクエクのバトルは楽しいものなのだ。役割分担は大事だ。
「なにせメカニック系の武器だからね、使いたくなっちゃうのは仕方ないよ」
「これ食べたら試遊しようか、ダンサーも使ってみたいしね!」
ああでもない、こうでもないと話に花を咲かせながら二人は甘味を味わう。
このあと怪人が襲撃を仕掛けてくるとは思えない……いや、
だからこその団欒。それが、ふたりをはじめ猟兵が守り抜いたものなのだから。
「さすがにあんなハードな幹部戦はもうヤだなあ」
「いまのうちに腹ごしらえして、備えておくとしようか!」
しかしふたりの摂取したカロリーは、白熱するエクエクプレイでほとんど消費されるのであった。
エクエクは遊びではない。人生だ。なので遊んでいるだけでカロリーも燃焼する。
だからいまは食べてもいい。問題ない。……ほんとかな!?
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルベル・ノウフィル
wiz
ここがナントカダさんにたまに会えるお店ですか
いえ、ダクセ育ちの僕はゲームをしたことないのですけども
お菓子を考える会?
サソリとか使います?僕ね、偶然異世界でサソリ捕まえたのですよ
え、こんなの使えない?サソリくん可哀想…ここまで一生懸命生きてきたのに
ゲームも遊んでみましょうね
僕は初心者です
ゲームの中では猫耳女子
ふらふらしてたら寒そうなとこに来ましたな
おや?初心者仲間らしき弓手殿が
貴方も迷われたのです?
もうログアウトなさる?半袖が恥ずかしい?
僕と死にませんか?初期位置に戻れるかもです
おや、離れたところにストーカーのような集団が…
貴方達は何者です?
リアル息子とその仲間達?ふむ、不思議な体験…
●ピカピカなお父さん
ゲーム? エクセレントエクスプローラーズ?
ないない、やったことない。なにせダークセイヴァー育ちなので。
暗澹たる黄昏の世界で生まれ育ったシリアスな人狼であるからして、
そんなよくわからない胡乱なゲームなんてプレイ経験が一切ない。
「ここがナントカダさんにたまに会える店ですか……」
ないない。ルベル・ノウフィルはエクエクやったことなんてまったくない。
ダクセ育ちなので。シリアスアンドゴシックな世界の出身なので。
「ホニャララケンさんやムロナントカさんもたまに来るとか……」
ない。ないです! ありません!
「あっ、あれが噂のグレートソーサーハニトーですね!」
お前のような未プレイ勢がいるか!!!!!!
さておき。
そんなわけで、あくまで猟兵の仕事としてやってきたルベル。
めちゃめちゃ慣れた手付きで注文したりスイーツを撮影してたのは忘れよう。
そんな彼はおもむろに、スイーツ試作コーナーへとやってきた。
「あ、猟兵さん! 猟兵さんもスイーツの試作に参加されますか?」
「サソリ要ります?」
「は?」
スタッフは笑顔のままで凍りついた。
「僕ね、偶然異世界でサソリ捕まえたのですよ。ほら」
「ッッッキャーーーーーーーー!?!?!??!?」
「……え、こんなの使えない? そもそも生きてる虫持ち込むな?
いやいや、サソリくんが可哀想でございます。ここまで一生懸命……アッハイ」
「いや、営業妨害とかそういうのじゃないんでございますよ。
ただね、僕はよかれと思ってね。ほらここにムカデも居(没収)あああー」
「え、はい。はい……はい。え? いやいや僕は猟兵ですよ猟兵!
怪人じゃありません! サソリ怪人でもムカデ怪人でもないですから!!」
「…………はい。はい、すいません、はい…………」
およそ一時間後。
「なんで僕あんなに説教されたんですかねえ」
さっぱり懲りちゃいねえルベルは試遊コーナーにやってきた。
というかフードコーナーを追い出された。仕方なくエクエクをやってみる。
「若葉なのであんまりわからないんですけれども」
言いつつ、凄まじいスピードでキャラクリを終えたしホットバーもいじった。
選んだのは猫耳の女性キャラ。あざとさナンバーワンのホワイトメイジだ。
開始地点の都市を何も考えずに飛び出し、ふらふら彷徨うルベルのキャラ。
「おや、なんだかここは寒そうなところですな」
気がつくと、周囲には雪が降り注ぐ寒々しい景色になっていた。
街に入ってみると、なにやらイイ筋肉をした青髪の騎士が部下を労っている。
だがルベルが興味を惹かれたのは、それを見ている別のキャラクターだ。
「僕と同じ若葉でしょうか……」
アーチャーと思しきその髭の生えた男性キャラは、
ルベル(のキャラ)の視線に気づくとこちらに近づいてきて、
なぜかその場に跪くエモートをした。しかも何度も繰り返している。
「チャット出来ないんでしょうかね。どうして半袖なんですか……っと」
なぜかひざまずくを連発する男性キャラはこうチャットを返した。
『恥ずかしいです』
「いやそんなことを僕に言われても」
相変わらずひざまずくを連発する謎のアーチャー。
「……おや?」
そこでふと、ルベルは遠くからアーチャーを見守るキャラ群に気づいた。
彼のキャラと同じ、金髪の猫耳モンクを先頭にした集団だ。
そんなこんなの間に、ひざまずいたままアーチャーはログアウトしてしまう。
『すみません、実はあの人は僕のお父さんでして』
という金髪モンクのチャットに、ルベルは考え込む仕草をした。
『ここで会ったのも何かの縁プム。アイスあげる~』
なぜか妙にフレンドリーな小人女性からアイスを渡されるルベル。
「変な人たちですね。しかしリアル息子とその仲間たち、ですか……」
エクエクは幅広い層に愛されるゲームだ。そういうこともあるのだろう。
「ピカピカな戦士のお父さん、ピカピカなお父さん、いやピカリの……」
などと、しばしブツブツ呟く少年であった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『模倣怪人ノッペロイド』
|
POW : 倒錯のマスク
自身の【なりきっている役柄にふさわしい振る舞い】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : 対策のマスク
いま戦っている対象に有効な【役になりきれる絵柄の仮面】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : 贋作のマスク
対象のユーベルコードを防御すると、それを【使い手の猟兵の顔が描かれた仮面に変換して】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
イラスト:傘魚
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●業務連絡
プレイング受付は【6/10 8:30~】です。
それ以前にお送りいただいたプレイングはお返しする可能性が高くなります。
●追記
締切は【6/12 ~08:30】予定です。
●出待ちしていた怪人さんのご登場です
「うわー怪人だー!!」
「うわっまだ生き残りいたの!?」
「しかもなんかエクエクのキャラみたいな格好してるぞ!!」
予想されていた事態が発生し、キマイラ客達が騒ぎを起こし逃げ惑う!
『すみませんヒラさんもっと火力出してもらえませんか^^;』
はた迷惑なプレイヤーになりきる怪人!
『エンタープライス号、発進!!』
脈絡もなくエクエクのキャラになりきる怪人!
『ヤーイヤーイジュピー!』
……なんかよくわからないものになりきっている怪人!!
模倣怪人ノッペロイドはエクエク関連やネトゲあるあるなやーつになりきるようだ!
別に特にそんなことのないやつもいるが、そのへんは運次第ということにしておこう!
「「「猟兵ー助けてー!!」」」
スマホを構えながら猟兵コールをするキマイラ達。鬱陶しい!!
……とりあえず、エクカフェをめちゃくちゃにされたら敵わないので、やっつけよっか。
●特殊ルール
プレイングで『相手の怪人はこんなキャラ(あるいはこんなプレイヤーなど)になりきっている』と指定を頂ければ、可能な範囲でリプレイに描写いたします。
自分のピカセンキャラと戦うことになるとかそういうのでも面白いかもしれません。
エクエク以外のゲームのキャラ!? いるかもしれませんね!?
(色々マスタリングする可能性もあるのでそのへんはご注意を!)
オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と
雑魚だって情報は忘れてないんだから
よほど油断しなければなんとかなるよ!
そう、なんとか……
!!
そ、その立ち振る舞いにその台詞……まさかっ!?
ついさっき語ったばかりのNPCそのもので
思わず槍の構えを解いてしまう
少なからずヨハンに似通ったキャラだもの、
槍を向けるのすら気が引けちゃうのも無理もないよ
そんな理由は黙ったまま
振り向いて救いを求める
ごめんなさい、ヨハネス
こんなところで槍が折れちゃうなんて私、ピカセン失格だね……
せめて君への攻撃は防いでみせるから
悪に堕ちた彼を君の手で救い出してあげて
お願い……!
と、すごく真面目に懇願する
行動は【武器受け】のみ
大丈夫、ヨハネスを信じてる!
ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と
まぁ、グリモア猟兵からのお墨付きですからね
雑魚であると
……あの、オルハさん?
何か嫌な予感がするぞ
いやなんで槍を下ろしているんですかね
俺には何が何やらさっぱり……いや、
見た目はまったく知らなかったがなんとなく分かる
これがさっき話していたNPCなのか?
あの、オルハさん?(二回目)
何故そんな顔で俺を見る
……は?俺か?俺に言っていたのか今のは
ピカセン失格かどうかは知りませんけど猟兵失格じゃないですか
いや、戦え。戦えよ
どうしてこんなことに(何度目かの)
【蠢く混沌】でとにかく蹴散らす
沈め、沈め、いいから沈め
信じてもらわなくていいから手伝って欲しい
とは、言わないが。言わないがな!
●こんな理由でUC指定外す方初めて見た
どたどたと騒がしくなってきたエクカフェ。最初に立ち上がったのは、
おなじみ(?)オルハ・オランシュとヨハン・グレインである。
なんで最初に反応できたかって?
んなもんおめえいつもみたいにオルハがヨハン引きずり回してたからだ! ですよ!!!
「さあ、そろそろはしゃぐ時間は終わりですよオルハさん」
「う、うん! エクカフェを守らないとね!」
ぐっと力を込めながらウェイカトリアイナを構えるオルハ。
チラッチラッ。実機コーナーの方に目線が行っている。
「オルハさん。ちゃんと戦わないと」
「う、うん! でもほら、雑魚って言ってたからね」
「そうですね。まぁ、グリモア猟兵からのお墨付きですからね。
さっさと片付けて次に出てくる怪人を斃しましょうオルハさん」
「……」
「……あの、オルハさん?」
黙りこくるオルハ。ヨハンは強烈に嫌な予感を覚えた。
ところで余談だが、ピカセンはゲーム中で『超えるパワー』などと呼ばれる不思議な特殊能力を持っている、という設定がある。
その力で色々過去を垣間見たり、なんかこうバリアとか出すのだ。
これも一種の超えるパワー、やはりヨハンはピカセンだった……???
邪推はさておき、オルハが見つめるのは一体の怪人である。
『クリスタルブレイバーの設立を、今ここに宣言する!!』
ぐっ! と、なんか完全勝利しそうな感じで右手を掲げる怪人。
なんかマスクを付け替えており、エルフっぽい尖り耳になっていた。
「そんな……!! その立ち振舞にそのセリフ、まさか!!」
『エンタープライス号、発進!!』
ざっ! 今度はなんか偉そうに右手を広げる怪人。
オルハは愕然とした表情で、槍を……お、おろした!?
「いやなんで槍を下ろしているんですかね」
「無理だよ」
「いや何が無理なんですか。え、何、何が?」
割と素になりながら、ヨハンはオルハと怪人を交互に見る。
『こんなところで、王国の影に怯えている場合ではないぞ!』
なんかセリフがいちいち偉そうな怪人。だがちょっと生真面目っぽく見える。
いやほんとか? こいつただ単に権力傘に着たお坊ちゃまじゃねえか?
(……見た目は全く知らなかったが、いや、おそらく……多分、きっと……)
これがさっき話していたNPC(になりきる怪人)……らしい。
ヨハンはオルハを見る。オルハはしわくちゃの電気ネズミみたいな顔でヨハンを見ていた。
「何故そんな顔で俺を見る。っていうかどうやってるんですかその顔」
「ごめんなさい、ヨハネス」
「はっ?」
オルハは……ドラゴンナイト・オルハスは、頭を振った。
もう戦えない。今の気分はもうあれだ。あの、あれだ。あれぐらいだ。
「私、もう戦えない……戦勝会を終えたあとぐらい戦えない……」
「え、戦勝会? は? 何の話ですか?」
「ネタバレになるから言えないよ……」
もはやオルハはエクエクと現実がごっちゃになっていた。フィクションの悪影響だ!
ともかくどうやら、オルハはもう戦意喪失してしまったらしい。
「私、ピカセン失格だね……」
「いやピカセン失格かどうかは識りませんが猟兵失格じゃないですか。
というか普通にもう俺のことヨハネスって呼んでますよね反応しちゃいましたけど」
「ヨハネスはヨハネスだもん……」
「もうそこ取り繕う余裕すらないんですか……」
どんだけだよ。ヨハンは心の中で三回ぐらいツッコミを入れた。
「でも、せめてキミへの攻撃は防いでみせるから!」
「いや戦いましょうよ」
「悪に落ちた彼を、君の手で救い出してあげて」
「だから戦えよ(素)」
「お願い……!」
「そこで急にいつもどおりの表情になるのやめてもらえませんか」
どうしてこんなことになった。なんで? エクエクのせいか?
なんか危ないアレ使ってるのではないか彼女は。ジャムってそういう……?
……しかし悩んでいても仕方がない。
なにせオルハは武器を下ろしてしまった上に、戦うつもりがないのだ。
どのぐらい戦うつもりがないかと言うと、まずユーベルコードを指定してない。
そして技能は武器受けだけ。えっ武器受けだけ!? 早業とかは!?
「大丈夫、ヨハネスを信じてるから!」
「(ものすごく何かをいいたいがこらえている表情のヨハン)」
もうなんもかんもぐずぐずのちぐはぐであった。
『薪拾いなら私に任せてくれ!!』
「よくわからないのでもう沈め」
『アーッ!?』
「沈め。沈め、いいから沈め」
『エンタープライズ号発進!!』
『クリスタルブレイバーの設立を』
「沈め!!!!!!!!」
ぞろぞろ出てきたNPCなりきり怪人どもを沈めてはちぎり沈めてはちぎり。
やがて変なNPCの格好をしたノッペロイドは視界から消えたとさ。とっぴんぱらりのぷう。
「さすがだよヨハネス、私がかばう必要もなかったなんて……!
これはもう、一人前のピカセンだね! NIPあげたいぐらいだよ!」
「俺は少し休みます」
眉間を揉みながら、ヨハンは心底どんよりした声で答えたという。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
フルール・トゥインクル
ネグル・ギュネス(f00099)さんと一緒に
うぅ……なかなかすごい味のお料理だったのです(精霊の力を借りて蘇生&復活)
もしかしてネグルさんってお料理苦手……?
ってそんなことより荒らされる前に怪人退治ですね
せっかくですし私もなりきってしまうのです、ネージュ!
今日の私はヒーラーではなくDPS
炎は扱えないですけど氷だけでも十分火力を出せるところをお見せするのです
ユーベルコードを用いた雪玉から単体、範囲、設置の氷魔法
迷惑なプレイヤーさんになりきっていただけるなら、画面越しのうっ憤をここで晴らさせていただくのですよ!
……って、デートなのですか!?(今更自覚しました)
デート……はわわ、早く取り戻さないと!
ネグル・ギュネス
フルール(f06876)と参加
アドリブ大歓迎
何故かさっきまでの記憶ががない…
何があったっけ?
ともあれ、迷惑怪人はキッチリ締め上げてやらねば
ガンブレイダーとしてキッチリ役目を果たそう
タンクは慣れているのでね
敵の攻撃を引き寄せ、ヘイトが集まった瞬間に、リフレk…もとい【ガーディアン・トリガー】起動
悪いが、その攻撃全て弾き返させて貰う
好き放題結構
されどネチケを守れぬ先にあるのは、空虚な闇だぞ
ネットに晒され、嘲笑われ、攻撃される日々───いやあ人の悪意は無限大だな
怯んだら、その隙に斬りつけ、トリガーを引いて爆殺!
悪いね、大事なデートの邪魔をされたくなかったんだ
その為なら、心理だろうがどんな手も使うさ。
●YOU BAN
ピカー。精霊達が力を合わせてフルール・トゥインクルを蘇生する。
不死鳥の尾っぽいエフェクトが舞い散る中、フワーと蘇るフルール。
「うぅ、なかなかすごい味のお料理だったのです……」
対面には、顔からテーブルに突っ伏しているネグル・ギュネス。
「もしかしてネグルさんって、お料理苦手……?」
「はっ!!」
そんなことを言っていたら、当人ががばっと目を覚ました。
「ね、ネグルさん! 大丈夫なのです?」
「フルール……? どうしたんだそんな顔をして何かあったのか?」
訝しげな顔をするネグル。フルールは一瞬きょとんとしたあと唖然とした。
……わ、忘れている。自分が作ったゲテモノのショックで記憶が飛んだのか!
「え、えーと……」
「はっ! そんなことよりもフルール、怪人が現れているぞ!」
コメントに困っているフルールをよそに、ネグルはキリッとした顔に。
エクカフェになだれ込んで来た怪人を倒すため、彼は立ち上がった!
「迷惑な怪人どもを締め上げてやるとしよう、さあ行こう!」
「……は、はいなのです……」
もしかするとこの人は、自分が思っている以上にポンコツなのかもしれない。
フルールは、悟りを得たような表情で明後日の方を見ていた。
『初見未予習ですが出荷お願いします><』
『すみませんがもう少し火力出してもらえませんか^^;』
『ここ俺達の狩場なんで別んとこ行ってもらえる?』
そして見よ! ネトゲあるある迷惑プレイヤーになりきる怪人達を!
フルール、そしてネグルは、怪人どもの勝手な理屈に怒りを燃やす!
「そこまでだ怪人達よ! ガンブレイダーである私が相手になろう!」
何気にコスチュームはそのままで戦場にエントリーしたネグル。
ガンブレイド(を模した武器)を自慢の膂力で縦横無尽に振り回し、
身体能力が強化された迷惑怪人どもを一気に薙ぎ払う!
『『『グワーッ!?』』』
「さあ、その程度か? 口ほどにもないな!」
『人の狩場を横殴りすんじゃねー!!』
『そのアイテム欲しいんで僕にください^^』
『どこ住み? SNSやってる? いまから会えない??』
口々に迷惑プレイヤーの代名詞を騒ぎ立てながら襲いかかる怪人ども!
だがその瞬間、ネグルの姿が蒼き鋼の反射装甲に覆われた! ガーディアントリガー!
『『『グワーッ!?』』』
「悪いが、貴様らのような下賤な輩に、私を傷つけることなど出来んさ!」
敵のヘイトを集め強烈なカウンターを返す……まさにタンクの理想的ムーブだ!
一方フルール!
「せっかくですし、今日は私もなりきってしまうのです――ネージュ!」
氷の精霊が彼女に力を貸し、その姿は魔女めいた装いに。
エクエクのソーサラークラス、暗黒魔導士のコスチュームだ!
「炎は扱えないですけど、氷だけでも十分火力は出せるのですっ!」
雪玉を放り投げると、着弾点を中心にしんしんと雪が積もっていく。
その冷気を操り、エクエクさながらの氷魔法を怪人どもへお見舞いするのだ!
『『『グワーッ!?』』』
「どうです? これがアタッカーの面目躍如なのですよっ!」
ドヤ顔のフルール。だがそこに新たな怪人が!
『すみません黒さんじゃ攻略無理なんでパーティ抜けてもらえますか?』
「うぐっ!?」
『サモナーのほうがシナジーあるんで着替えてもらえませんかね^^;
ていうか暗黒魔導士で攻略とかやる意味なくないですか???^^;』
「う、うぐ、うぐぐぐ……」
なんたることか。怪人による精神攻撃だ……!
ダメージが大きい代わりに魔法詠唱によって動けなくなりがちな暗黒魔導士は、
言われもない中傷を受けがちなクラスなのである!
フルールは、わなわなと拳を震わせ……。
「ふざけるな、なのですーっ!!」
『『『グワーッ!?』』』
当たり一面に隕石を落とし(というイメージの魔法攻撃)、敵を撃沈!
「ふっふっふ、画面越しの鬱憤をここで晴らすのです……!」
だいぶ怖い笑顔をしていた。フルールさん? フルールさん!?
だが力に酔いしれるフルールを、死角から怪人が狙う!
そこへ、ネグルのガンブレイドが振り下ろされ怪人を一刀両断した!
「好き放題言ってくれるな。まあそれはいい、結構なことだ。
だがネチケットを守れぬ先にあるのは――空虚な闇だぞ」
ぎらり。なぜか実感の有りそうな鋭い瞳が怪人を睨みつける。
「ネットに晒され、嘲笑われ、攻撃される日々……」
「ね、ネグルさん? 一体どうしたのです???」
「いやあ、人の悪意は無限大だなあ!」
「どうしてそんな怖い笑顔をしているのです!?」
ネグルもまた煮えたぎるものがあるらしい。
襲いかかってきた怪人を切り裂き、トリガーON! 派手な爆発!
「わあ、流石なのですネグルさんっ!」
『お、おのれリア充ーッ!!』
「なんとでも言うがいい。あいにくこちらは大事なデートの最中なんだ」
キリッ。倒れゆく怪人を流し目で見送るネグル。
「そのためならば、たとえ万の敵でも薙ぎ払ってくれよう」
「で、でででデート……!?」
ぼわっ! というオノマトペが似合いそうなほどに責任するフルール。
「デート……はわわ、はやく取り戻さないと……!」
魔力が高まる。フルールも別方面でやる気充分だ!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
リア・ファル
【Dトリガー】
アドリブ歓迎
相手:自分たちが創ったピカセンのキャラ
おお! Himechan! ちょっと匡さん似の機巧士!
いけない、撃退に集中だ
ボクがヌァザで青年騎士の相手をする
「フッ、キミと相まみえるなんて存外の歓びだね」
ボクが突撃役だ、かの剣豪ほどじゃないけど役割は果たすよ
好機とみたら、UC【凪の潮騒】でヒーラーの動きを止めようとする…!
が、青年騎士がキラリと笑った!
ゲーム屈指のイベントみたいに庇われちゃったか、なら致し方なし、
「とてもイイ…勇姿だったよ…!」
UC【銀閃・次元斬】で決める!
「ステイシス! 斬ーっ!!」
二人はどうだったか…な…
すげえ漢(と書いてオトコ)泣きの慟哭が聞えるんだけど…
ヴィクティム・ウィンターミュート
【Dトリガー】
あ!畜生怪人テメエ!俺がせっかく姫を楽しんでいた時に…!
許せねえ、叩き潰して──WTF
お、お前は俺が作った理想のキャラ…!!
ナナリー・ロルルエッジ!
28歳女、家事万能で性格は穏やか
少し天然気味なところがあるが
自身の豊満な肢体を無自覚に見せつけてくる困った面もある
人を甘やかすのが好きで抱き着く癖がある…
そんなお前を倒せと言うのか!?
畜生俺にはできねえ!そんな残酷なk(ターン)
は????
匡??何してんの?
え?死んだが
オイ オイ
これが
こ゛れ゛が゛人゛間゛の゛す゛る゛こ゛と゛か゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ゛!゛!゛
俺は怒りの戦士
ユーベルコードォ!武器出せェ!
全員殲滅ジャコラァ!!
鳴宮・匡
【Dトリガー】
◆相手:さっき作ったキャラクター3体
とりあえず目の前に出てきたやつを撃つ
勿論ヒーラーからだぜ、補給線を潰すのは定石だからな
(ヴィクティムの妄言は聞き流している)
……なんか攻撃が騎士の方に吸われてね?
ええ……役になり切るってそのレベルかよ
タンクから落とさないとダメじゃん
まあいいや、殺す順番が変わるだけだ
リアの立ち回りを援護しつつ
騎士が倒れたら即座にヒーラーへの攻撃にシフト
面倒だから頭狙うのでいいか?
おいヴィクティム、何叫んでんだよ
え? 何って敵を殺しただけだけど
慈悲? あるわけないだろ
状況からしてどう考えても敵なんだから
……やっとやる気になったか
ほら、残りもさっさと片付けようぜ
●Dトリガー、アセンブル!
三人の前に現れたのは、まさに今しがた作成したピカセン達であった。
怪人がどうやってそれを察知したのかって? そこは言わぬが花である。
多分ユーベルコードの力だ、奇跡の力だからなんでもあり。すごいね!
「おおっ、ヴィクティムさんのHimechanに、匡さん似の機巧士だ!」
などと嬉しそうに言う黒幕……もとい先輩ピカセンのリア・ファル。
そんな彼女の前には、実はエクエクのNPCをモチーフにしたキャラがいた。
あの騎士と戦えるということも、彼女のテンション向上の一翼を担っている。
「……WTF」
一方、ヴィクティム・ウィンターミュートは呆然としている。
せっかくのHimechanプレイを妨害された怒りに燃えていたはずが、
いざ持ちキャラを前にしてみるとこの有様。どうしたカウボーイよ!
「お、お前は――ナナリー・ロルルエッジ!!」
「……はい???」
思わず真顔でヴィクティムの方を見るリア。
「28歳女、家事万能で性格は穏やか。少し天然気味なところがあるが、
自身の豊満な肢体を無自覚に見せつけてくる困った面もある小悪魔系!
おまけに人を甘やかすのが好きで男女問わず抱きつき癖があり、
無意識のボディタッチが多いことから知り合いの男性を一度は勘違いさせ、
けれど間延びした声と甘々ボイスそして持ち前の器量の良さで愛されており、
なんだかんだ多くの友達に恵まれ毎日楽しく過ごしている癒し系冒険者!!
好きな食べ物は心が籠もったものならなんでも、最近のマイブームはタピオカ!
嘘をつくのがヘタで必ず目を逸らしてしまう癖があり隠し事が出来ない……!!」
どこまで詳細に作り込んだんだという設定を超早口で羅列するヴィクティム。
リアは思った。もしかしてとんでもないことを教えてしまったのではないかと。
いやでも、ここからごろごろ沼に転がり落ちてもそれはそれで面白い。
とか考えてしまうあたり、リアも大概であった。
「そんなお前を……俺のこの手で倒せというのか!?」
一方ヴィクティムは、息切れ一つせずにがっくりと膝を突く。
マジである。お前幹部戦でもそこまでの絶望はしてないだろというレベルの、
本気で戦うのをためらう男の顔であった。そんなにか。どんだけだよ。
「畜生、俺にはできねぇ! そんな残酷なこ」
ターン。消音された拳銃のひそやかな発砲音が響いた。
ゆるふわ年上系Himechanキャラ――になりきる怪人の額には穴が一つ。
あざといポーズのままどさりと仰向けに倒れるHime……怪人。
誰がやった? 言うまでもない、傍らに立つ鳴宮・匡である。
ヴィクティムの設定羅列という名の妄言は全力スルーしていた。
「は……???」
「なんだよ。ヒーラーなんだから補給線から潰すのは定石だろ」
そもそもこれは戦闘である。躊躇する理由がない。躊躇する人間でもない。
「匡、お前……お前何してんの???」
「何って、戦闘だけど」
BLAMBLAM。自分に似た怪人だろうが容赦なく撃ちまくる匡。
だが、弾丸がアタッカーである匡似の機巧士に当たることはない。
なぜならば、イイ顔つきをした騎士がさっそうと盾でカバーするからだ!
「役になりきるってそのレベルかよ。タンクから落とさないとダメじゃん」
「匡さん相変わらず容赦ないね!? そして割とエクエク学んでるね!?」
「そんな難しくないからな。まぁいいや、殺す順番が変わるだけだ」
リロードする匡、ヴィクティムの方をちらちら見るリア。
ヴィクティムは、倒れたナナリー・ロルルエッジ(28)の成れの果てを、
呆然と眺めている。完全にFX取引とかで全財産スッた人の顔だ。
「オイ」
「リア、悪いけど前衛頼んでいい?」
「あ、うん匡さん。それはいいんだけど」
「……オイ」
「いや、俺が前に出たほうがいいならそうするけど」
「えっとそうじゃなくて……」
ちらちら。うつむくヴィクティムを心配そうに見るリア。
「…………これが」
そのヴィクティムが顔を上げた。両目からは……おお、血の涙……!!
「こ゛れ゛が゛人゛間゛の゛す゛る゛こ゛と゛か゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ゛!゛!゛」
「うひぃっ!?」
「おいヴィクティムが、何叫んでんだよ」
なんか太陽の子っぽい叫びをあげたヴィクティムを、煩わしげに見やる匡。
BLAMBLAMBLAM。イイ騎士の守りは完璧だ! 盾は決して砕けない!
ビビリ気味のリアもヌァザを振るい攻撃……しつつ、ヴィクティムをチラチラ。
「俺は……俺は怒りの戦士!! バイオ! ヴィクティムッ!!」
血涙を流しながら妙なポーズを取るヴィクティム。狂っちゃった!!
「か、完全におかしくなってる」
「よくわかんないけど、まあやる気が出たならいいことだろ」
別に敵に慈悲とかかけるタイプでない匡は相変わらずの顔であった。
彼がそう云うならこれ以上は言うまい、リアは意識を戦闘に切り替える!
「フッ、けどなんだかんだキミと相まみえるのは存外の歓びだよ!」
ヌァザと一角獣を飾る盾がぶつかり合う! 衝撃! 反発!!
「なんかリアも妙だな……まあいいけど」
剣を振り上げたイイ騎士の心臓を、匡は容赦なく貫いた!
「ああっ! なんてことを!!」
「いやだからなんで敵殺してるのに非難されるんだよ」
匡のツッコミをよそに、リアは倒れ伏すイイ騎士に慌てて駆け寄る。
口から血を流す騎士は、そんなリアを見上げて言った。
『……猟兵に、涙は似合わぬぞ……』
「ううっ、イイ戦いっぷりだったよ、君は……!!」
涙を拭いリアは立ち上がる。片手には多元干渉デバイスヌァザ!
「ボクが送ってあげよう――ステイシス! 斬ーっ!!」
銀色の閃光が、イイ騎士を送る弔いの輝きとなった――。
「……だから敵相手になにやってんだよ」
「敵じゃねぇええええ!!」
くわわっ。ユーベルコードで製造した武器を手にヴィクティムは叫んだ!
ナナリー・ロルルエッジ(28)が愛用している杖っぽい武器である!
「殲滅対象だ……一体残らず駆逐してやらァ!!」
「なんで泣いてんだ……?」
訝しむ匡。そこを狙いアクロバティックな射撃ポーズをする機巧士怪人!
ターン。匡は至極自然な動作で、額を撃ち抜いて抹殺した。
「……だから、いちいち銃撃つのに跳ぶ必要ないだろ」
無双を始めたヴィクティムと感慨にふけるリアを見つつ、匡は呟いた。
彼は、どこまでもセメントな男であった――!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
荒・烏鵠
引き続き弟(f14324)と。
え?ナニ?聞こえない。火力?あー火力ね!オッケオッケ!
はい【暴レじ……ベヘーモスどーん!!!おお、空を舞う仮面の群れよ永遠なれ!どーよこの火力。馬力が違いますよ。イノシシだけに。
え?ナニ?ステ一点振りとかありえないので抜けますね??オマエソレうちの物理担当の前で言えんの?
いーちゃん!いーちゃーん!このマスクマンがオマエのコト「脳みそまで筋肉で恥ずかしくないんですか?マトモに役目できると思えませんね」だってよォ!
あーァ、アイツら死んだわ。けけ、まあウチの奴らはみーんな偏ってっからなー、オレ含め。でもソレをとやかく言われる筋合いはねーのよ。
久々にイラッとしたワ。ケッ!
イリーツァ・ウーツェ
烏鵠(f14500)と行動。
【POW】
やっと来たか。待っていたぞ。殺す。
仮面が怪しいな。杖で砕く。
拾おうとするなら腕を折る。逃げようとするなら足を折る。
必ず頭を潰して止めを刺す。
なんだ、貴様は少し硬いな。タンク?
車には見えないな。中に何か入っているのか?
まあいい。邪魔だ。UCで殴る。
どうした、烏鵠。大声を出して……。
…………は?
私が、役立たずだと。
そう言いたいのか、貴様は?
良かろう。ならば止めてみせろ。
役立たずの拳だ、有用な貴様には容易だろう?
――塵も残さん。
(UC+怪力+殺気+全力魔法+鎧砕き)
●狐と龍の尾を踏むとこうなる
ゴカッ!! 被ろうとした仮面もろとも頭部を粉砕されるノッペロイド。
思わず動揺して仮面を取り落とした二体目は、腕をベキッと砕かれた。
たまらず逃げようとした三体目は、足をへし折られてお陀仏である。
『えっ怖っ!! エクカフェになんでこんなガチな猟兵いるのグワーッ!?』
呑気こいてた四体目は、杖の薙ぎ払いにより半身が消し飛び死んだ。コワイ!
「やっと来たかと思えばこのざまか。所詮は一山いくらの雑魚だな」
イリーツァ・ウーツェは、容赦とかコミカル成分とか心の隙間とか、
なんかノッペロイドが利用できそうなものが塵ほどもないマジ顔で吐き捨てる。
怪人達は恐怖した。なりきるとかそういうレベルの問題ではなかった。
なんやかや怪人は怪人でエクエクを嗜むピカセン揃いかつ怪人であるからして、
この殺意1000%もうやりきるしかない感じのイリーツァにはドン引きであった。
ところで、そんなイリーツァの"兄"である荒・烏鵠はというと。
「え? ナニ? 聞こえない。モッペン言ってみモッペン』
迷惑プレイヤーになりきる怪人の前でわざとらしく耳を傾ける。
『だからヒラさん、もっと火力出してくれないとクリアできませ』
「火力? あー火力ねオッケオッケはい暴レ猪(ルビ:ベヘーモス)どーーーーーーん!!」
ドガァ!! 召喚された装甲つき巨大猪が怪人ごとすべてを薙ぎ払った!
完全に衝突事故である。いや事件だ。だって本人やる気満々であるし。
暴レ猪当人(当猪?)も、フンフン鼻を鳴らして気合十分であった。
「どーよこの火力、馬力が違ェだろ? イノシシだけに!」
ドヤァ……と腕組みして言い放つ烏鵠。轢殺された怪人。舞い飛ぶ仮面。
「おお、空を舞う仮面の群れよ永遠なれ! ってなァ。壮観壮観」
エクカフェの内装? まあ多分計算して手加減してる。角度とか。
そこに命知らずな新手の迷惑怪人が現れた!
『うわステ極振りとかありえなくね? ビルド雑魚すぎでしょwwww』
「……なンだァ? テメェ」
笑顔のまま怪人の方に振り返る烏鵠。コワイ!
『えっ』
「オマエ、ソレうちの物理担当の前で言えんの?」
『えっ』
「おいいーちゃん! いーちゃーん!!」
烏鵠は笑顔のまま死刑執行中殺戮進行中のイリーツァを呼び出した。
遠くでは、暴レ猪が目についた怪人を轢殺蹂躙しまくっている。地獄絵図!!
さて、35体目の怪人を撲殺中のイリーツァは、烏鵠の呼びかけに気づいた。
アイアンクローしていた怪人の頭部を無造作に握り潰し、そちらへ向かう。
「どうした、烏鵠。大声を出して」
「いやさァ、このマスクマンが? オマエのコト噂しててさァ」
じろり。龍に睨まれてびくっと一歩たじろぐピカセン姿のノッペロイド。
「噂だと?」
「エートなンだっけなァ……」
わざとらしく思案する烏鵠。笑顔のままである。怖い。
「"脳味噌まで筋肉で恥ずかしくないんですか? マトモに盾役出来るとは思えませんね"……だったっけかなァ!」
『えっそこまでは言ってな』
「…………」
『ひぃいい!!』
凝視していた。イリーツァは目を見開いて怪人を凝視していた。
「……………………は?」
「盾の龍とか言っても大したコトねーなとか言ってたっけなーァー!」
『だからそこまでは……ひいい!!』
なんかオーラ的なものを立ち上らせるイリーツァ。マジギレ顔であった。
「私が」
『は、はい!!』
「……役立たずだと」
『えっ』
「そう言いたいのか、貴様は?」
怪人は心底ビビっていた。いくら天敵相手であろうがオブリビオンだろうが、
恐怖という感情がないわけではない。そして目の前のこの龍は……。
「答えろ。私を役立たずというのか、貴様は」
戦わずしてわかるほど、圧倒的な暴威を持つ強者であり、狩猟者であった。
怪人は思った。あかんこのままでは患者っていうか自分が死ぬ、と。
『で、デアエー! デアエー!!』
ぞろぞろぞろ。駆けつけるノッペロイドの皆さん!
仮面を付け替えると、奴らは一様にフルプレート重装備のタンク姿に変わる!
「……貴様らの中に、少々硬い奴らがいたな。タンク、だったか」
杖を投げ捨てたイリーツァはごきりと指の骨を鳴らしながら淡々と云う。
「車には見えないが……まあ、そういうものなのだろう。それは別に構わん」
ざしゃり。にじり寄るイリーツァに防御陣形を取るタンク怪人達。
「よかろう。ならば、せいぜい自慢のその硬さで止めてみせろ」
ごきり。イリーツァは本気で殴る時、杖を使わない。そもそも武器は枷である。
彼の膂力は、徒手空拳でこそ最大効果を発揮する。そして今の彼は。
「役立たずの拳だ。有用な貴様らにはさぞかし容易いだろう?」
本気で、キレていた。
「――塵も遺さん」
踏み込み、握りしめた拳を振る。イリーツァがやったのはただそれだけだ。
ただそれだけ。それだけで、数十体のノッペロイドが"消えた"。
あまりにも破滅的な拳の威力が、言葉通り塵も遺さずすべて吹き飛ばしたのだ。
遅れて真空と化した空間に大気が入り込み、すさまじい轟音を撒き散らす。
え? エクカフェの内装? ちゃんと守られてる。角度とか計算されてるので。
「あーァ、死ぬよりヒデェことになってやンの」
けしかけた張本人である烏鵠は、そんな様子を楽しげに見やる。
多少誇張はしたとはいえ、そもそも怪人から喧嘩をふっかけたのは事実。
それぞれ一芸に特化した彼ら兄弟にとって、それを愚弄することは禁句である。
「雑魚如きにソレをとやかく言われる筋合いはねーワケよ。ゲーム以前にナ!
ったく、久々にイラッとしたワ。煽りスキルの高さだけは褒めてやンぜ?」
ケッ、と吐き捨てつつ、一言。古狐にも古狐なりのプライドがある。
さらなる蹂躙に踏み出した弟を見つつ、烏鵠は呑気に紫煙をくゆらせるのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
戒道・蔵乃祐
月夜さん(f01605)と参加
◆
怪人も転売ヤーとか攻略サイト巡りとかするのかな…
ん!?
その不自然でマクロな動き
小刻みなアイテム転移のランダム座標移動から
横殴りを厭わない攻撃速度上昇バフ→連打ローテ!!
貴様それは…!ゆるさんぞこの野郎!!
◆戦闘
かばうで月夜さんの盾に。バトルモンクのスキル:気功障壁発動!
金剛身のオーラ防御で武器受けして20秒間の絶対回避状態を得る!
ぐっ、しかしCT中は移動速度低下+行動不能のデメリットが…
無い!
此処はエクエク内世界ではないから
ぬぅうううんん灰燼煉獄衝!!
不用意に近付いた憎いあん畜生に怪力と鎧砕きの先制攻撃
不正なアカウントはB・A・N対象だ
グッドゲーム!((屈伸))
月夜・玲
●f09466 戒道さんと参加
とりあえず食べたカロリー分くらいは動かないと
どれくらいかなー……うわ、食べ過ぎじゃない私……
むう……このはた迷惑な感のある動きは……
古に封印されたbot的なアレ!
これはいけない、本当にいけない!
というよりエクエクじゃあり得ない動きだ!
お前だけ別ゲーのキャラだろう!
しかもちょっと古めのやつの!
●戦闘
戒道さんが盾になってくれるなら有難いけど甘えちゃおう
敵の攻撃は盾に任せて遠距離から【高速演算】を使用!
ほらほらほら!
いやータゲが戒道さんに行ってるから、遠距離からの攻撃が楽でいいねー
あ、いけない楽し過ぎたらカロリーが……
こっちにもタゲ頂戴!
もっと動き回らないと!
●規約違反、ダメゼッタイ
突然だが、RMTというのをご存知だろうか。
Real Money Trade……つまりはゲーム内通貨やアイテム、
果てはアカウントそのものを、現実の通貨で売買するという行為を指す。
当然、ほぼすべてのMMORPG……いやさオンラインゲームにおいて、
RMT行為は規約違反に当たる。一度行えば処罰は免れない。
しかしこの手の行為は売る側も買う側も、
言わずもがなそれを斡旋する業者含め完全な根絶が難しいものだ。
需要あるところに供給あり。ネトゲの闇の最たる部分と言えよう……。
「ん!?」
何かに気づいた戒道・蔵乃祐は、ただでさえ厳しい面をさらに顰めさせた。
「え、何?」
そんな彼の隣で携帯端末を使い、カロリー計算をしていた月夜・玲は、
突然のことにきょとんとした。完全に計算結果に気がいっていたらしい。
「何、もしかして私のこれ(計算結果)見た? 見ちゃった?
我ながらヤバいよね私、明らかに食べすぎ。これどんだけ動けば」
「いやそうではないです」
蔵乃祐はふっつーに玲のボケをいなした。
「そうではなく、あれ見てください、あれ!」
「いま私めちゃくちゃ冷たくされたんだけど……むう?」
手でひさしを作り、怪人の群れの中を藪睨みする玲。そこには……。
やけにちょこちょこと移動しては完全に規則的なリズムでスキルを使用し、
かと思えばちょっと遠くのほうにテレポートして同じことをする。
よく見ると全く同じ装備の怪人が数体おり、動きも完全に統率されていた。
人間がやっているには(怪人だが)あまりにも効率的すぎるその動き!
「あ、あのはた迷惑な感のある動きは!」
「横殴りを厭わない攻撃速度特化ビルド、間違いありません……!!」
「「古に封印されたBOT的なアレ!!」」
……ここで突然だが、RMTがどのように行われるかを説明したい。
売り物となるゲーム内資産(通貨・アイテム・高レベルのキャラなど)がなければ、そもそも業者も商売にならない。
つまり、RMT業者はこの売り物をせこせこと稼がねばならないわけだ。
レベリング・フィールド上での狩り・あるいは金策……。
他のユーザーと同じようにのんびり遊んでいたのでは埒が明かない。
そこで業者は、BOT……つまりスクリプトや専用のプログラムによる、
非人間的な効率的ルーチンでのレベリングや金策を行うのである。
言わずもがな、外部ツールの使用もまた、大抵はゲーム内規約違反である。
ユーザーコミュニティでは、こうしたBOTは蛇蝎のごとく嫌われる。
マーケット相場の破壊! レアアイテムの横取り! Mobの横殴り!!
許してはならないのだ。BOT……忌まわしき悪魔の力……!!
そしてあの怪人達は、まさにそのBOTキャラになりきっていた!
BOTになりきるってなんだ!? ある意味で破滅願望としか思えない!
「お前……そこのお前! お前だけ別ゲーのキャラだろう!」
なぜか釣りっぽい動作を連打している怪人を指差す玲。
ちょっと古めの某ゲームでの悪夢じみた記憶が蘇る……。
「貴様ら、それは……それは許さんぞこの野郎!!」
くわっ! 蔵乃祐も思い切り目を見開き、悪党どもを一喝する!
カカカカッ! 効率最重視の同じ見た目をしたコピー怪人どもがこちらを見る。
そしてキモいぐらいのスキルスピードで一斉に魔法を唱えた!
ダンジョン周回最大効率、暗黒魔導士の群れ! 明らかにBOTなのだ!
「月夜さん、僕が盾になります!」
「っと。了解、戒道さん。タンクよろしくね!」
玲は蔵乃祐の言葉に甘え、すばやくバックステップを踏む。
システムI.S.T起動。識別名"Blue Bird"。模造神器は刃の形で顕現する。
蒼碧の斬撃衝撃波が、魔力の波もろとも怪人を切り裂いた!
「ほらほらほら! BOT風情にこれは避けられないでしょ!」
敵は当然、玲を叩こうとする。それを遮るのが蔵乃祐だ。
「ぬううん……気功障壁、発動ッ!」
蔵乃祐の周囲の大気が陽炎めいて揺らぎ、ゼラチンのように凝る。
いわゆる回避壁である! オーラによる防御はいかなる攻撃も通さない!
「ぐっ、しまった……! このスキルには移動速度低下と行動不能デバフが……!!」
それひょっとして無敵城塞って言いませんか? 言わない? そう……。
だが蔵乃祐は、くわわっと目を見開く!
「デバフが……ない! なぜならここは現実!!」
そう! エクエクはゲームである! フィクションの悪影響だ!!
「吽ッ!!」
蔵乃祐は大地を踏みしめながら、強烈な発勁により敵を薙ぎ払った!
『『『グワワワワワーッ!』』』
「あ、やば。私ももっと動き回らないと……ごめん、タゲ頂戴!」
「えっ!?」
「いやほらカロリー消費しないと!」
「それは後にしたほうがいいのでは!?」
などと軽口を叩き合いながら戦場を縦横無尽に駆け抜けるふたり。
やがて怪人がすべて倒れた時、互いに健闘を称え合ったとか。
合言葉は、GGWP!!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アストリーゼ・レギンレイヴ
【妹のセレナ(f16525)と】
目の前に立つのは、色黒の男
どうしてか見ているだけで怒りが湧き上がるような……
……え、セレナ?
どうしたの一体、貴女がそんなに云うなんて
……(男の言い分を聞いている)
…………(イラッ)
………………(じわり)(暗黒的なものが滲み出す音)
いえ、いいのよセレナ
皆まで云わなくていいわ
この男があたしにとって最も唾棄すべき相手であることなど
このほんの僅かの邂逅だけでも解る
加減をする必要はなさそうね
ただ、こう……何かしら
本物ではなく「それを模ったもの」なのであれば
何かしら、内なる暗黒的なものの力で一撃で殺せそうな気がするわ
流石に竜になったりとかはしないわよね?
……しても殺すけれど
セレナリーゼ・レギンレイヴ
アストお姉ちゃん(f00658)と
変幻自在の相手
っていくら何でもふざけすぎでは、と
アスト姉さん、いけません
これは生かしておけません
積年の恨み……ここでぶつけましょう
陛下を殺したのが貴方なのはよく知ってますし
仲間を売らない、裏切らないと言った舌の根も乾かぬうちに仲間を生贄にして
祖国で戦っている仲間を捨て置いた貴方を直接討つことができなかったのは心残りだったんです
後、置き土産とそのせいで起動したあれがほんと強くて……
さぁ、懺悔しなさい
初手より奥義でまいりましょう――
い、いえ
すみません、少し熱くなってしまいましてその……
え、同じ、気持ちですか?
……よかった、です
一緒に討ち取りましょう、今度はこの手で
●鉄仮面の男
「アスト姉さん……いけません」
「えっ?」
妹のセレナリーゼ・レギンレイヴのやけにシリアスな声に、
姉であるアストリーゼ・レギンレイヴはきょとんとした。
「これは……あの怪人は、生かしておけません」
「せ、セレナ?」
「積年の怨み、ここでぶつけましょう……!」
「セレナ、待って。あたしにもわかるように説明して???」
いきなり殺意と怒りがトップギアであった。脳細胞もキマってる感じだ。
そんな彼女が睨みつけるのは……目の前に立つ、鉄仮面を着けた怪人である。
ノッペロイド。仮面を被ることであらゆる役柄になりきる怪人。
だがやつは……なぜか鉄仮面を取った! その下には別の仮面が!?
「どうして仮面をわざわざ二枚重ねにしてるのかしら……」
「どこまでもあの時を再現するというわけですね、忌々しい……!」
「えっ、いまのでもっと怒るの? なぜなのセレナ?」
妹が……妹のことがちょっとずつわからなくなっていく!
……だが鉄仮面あらため、色黒の肌をした筋肉質な男の姿をした怪人が口を開くと、
困惑しているばかりだったアストリーゼにも変化が現れ始めた。
『我が祖国の民は惰眠を貪りすぎた。どれほど祖国奪還を謳おうと白い目を向けられる……』
「あ、そういう設定のキャラなのね……?」
『奪還を成し遂げるには、あえて部下や仲間を犠牲にしなければならないのだ』
「は?」
『全ては祖国奪還のため……俺は『鬼』にでもなってみせよう……!』
「は???」
そう。この男……正しくは怪人がなりきっているキャラ……は、
エクエクのメインストーリーに登場するあるNPCなのである。
奪われた祖国を奪還するため、仲間をも義性にして世界を動かした……、
と言うと聞こえはいいが、実際にやったのは小賢しい猿芝居と無茶苦茶な作戦。
おかげで大量の無関係な人間や、正しい目的の下に戦う仲間まで死んだ。
その中には、ピカセンがかつて救い改心したはずの人々までいたのだ……!
「待ってセレナ、あの男は本当にあんなことをしでかしたの?」
「それどころか(ひそひそ)や、(こそこそ)なことまでしたんですよ姉さん」
「…………なぜそれほどのことをしておきながら被害者ぶってるのあいつは」
『終わりの始まりだ……私の絶望もくれてやる!』
「何を悲劇の主人公ぶってるのかしらあいつは……」
ピカセンでないアストリーゼにすら吐き気を催す邪悪だとわかるクズ野郎!
なにやら両目に、なんかの眼らしき物体を持ってイキるなりきり怪人。
「仲間を売らない、裏切らないと言った舌の根も乾かぬうちに仲間を……、
ええ、それもあんな若者を生贄にして、肝心の祖国の仲間を捨て置いて……」
ぎりぎり。セレナリーゼはかつてないほどに怒っていた。
そんな彼女の怒りの火に油を注ぐ増援がふたり。彼女は目を見開く。
「あなた達は!!」
怪人の後ろに登場したのは、青い隊服を着たノッペロイド二体である。
片方はなんだかうらなり野郎って感じの槍を背負った男であり、
もう片方はなんか異様に声がゲスっぽくて守銭奴そうなチビであった。
「あいつらは一体なんなのセレナ」
「アスト姉さん、あいつらはですね、あの男と一緒に……(かくかくしかじか)」
「……………………(じわり)」
アストリーゼさん、漏れてます! ユーベルコード漏れてる!
「わかったわセレナ。この男が……いいえ、この男達がいかに下衆なのか。
ピカセンでないあたしにとって、もっとも唾棄すべき相手だと、はっきりと」
己の暴走した正義……正義とも呼べぬ私利私欲のために、他者を犠牲にする。
誰かを守り、そのために剣を振るうアストリーゼにとって、最悪の敵。
もはや、レギンレイヴ姉妹はキレていた。怪人達は邪悪に笑う! コロセー!!
「――行くわ」
武器を構える怪人達に対し、アストリーゼはいつものように踏み出した。
振るうは黒剣。暗黒の如き闇の闘気が、アストリーゼの全身を覆う。
「それにですね、あなた達が置き土産にしたあれが本当に強くて……」
「セレナ?」
「初見で流されましたし、極式はけっこう苦労しましたし、鳥は出ないし。
起動したほうのあれはなおさら強くて何度も右と左を間違えたんですよ……!」
「セレナ???」
ちょっとなんか別方面の怨みもじわっと出ているセレナリーゼである。
「とにかく懺悔しなさい。初手より奥義で参ります――ミトロンの書よ……!」
刻器神撃。長針のⅥがナンバーズの祈りを受けて光の魔力を……、
えっマジ? こんな敵にそこまで祈るの? ガチか??? みたいな間があったが、
とにかくミトロンの書はいつものように応えてくれた。天から光が降る!
『甘く見るなよ!』
『王国に従わなきゃ生きていけないんだぁー!』
『あいにくこちらの立場の方が儲かるものでしてね』
「特に槍のあなた! クエストが冗長すぎるんです!!」
「セレナ?????」
姉をよそに炸裂する怒り! 具体的に言うと光剣と天からの光芒!
ゲームでいまいち消化不良だったピカセンの怒りがここでどかーんだ!
『『『グワワワワーッ!?』』』
蹈鞴を踏む怪人。すると鉄仮面だった男が、なにやら両手の眼を掲げる!
『ウオオオオ! 死に至る絶望で新たな神をーッ!!』
「なんだかわからないけど、それをさせるとものすごく面倒なのがわかるわ」
アストリーゼが動いた。立ちはだかる槍使いと守銭奴を一撃で両断し、
眼を掲げた男に迫る。増幅される暗黒の闘気……まさにダークなアーツだ!
「所詮本物でない紛い物、加減はしない……消えなさい」
グオン――縦回転を経た上での、全体重をかけた容赦なき打ち下ろし!
あわれ、全ピカセンからクズ扱いされる鉄仮面だった男(のなりきり怪人)は、
正中線から真っ二つになり、ウニっぽくなった暗黒闘気に貫かれ消滅!
「よし。やってやりましたよ、姉さん!」
ぐっとガッツポーズしてから、顔を赤らめて我に返るセレナリーゼ。
「す、すみません。少し熱くなってしまいまして、その」
「おおのよセレナ」
そんな妹のはしゃぎぶりに、にこりと微笑むアストリーゼ。
「あたしも同じ気持ちだったもの。なぜかわからないけど、
この暗黒の闘気が、いつになく敵を討てと騒いでいたような気がするわ」
「そう、なんですか? ……なら、よかったです」
スッキリした姉妹は、離れた心の距離を取り戻しともにはにかんだ。
悪は去り、神なる龍的ななんかも消滅した……HAPPY END...!!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ラグ・ガーベッジ
【結社】
ガチ凹みしているアダムルスをゴミを見る目で見つつ
鬱陶しいので再起させようと声を掛ける
「いや……あのイベント確かに胸糞悪かったけどよ……」
「お前ダークナイト使ってんだったら青天クリアしてんだしどうなるか知って(ry」
「左腕切り落としてやろうか」
「後やっぱ既プレイじゃねぇかテメェ」
そんなこんなで立ち直らせると
そこにはウジャウジャとヒゲの生えた金持ちそうな小人族の群れが
「うっわ……キメェ……」
「あ?お前自前の武器……わぁったよ変身してやるよ!だから詰めよんな!」
刻器転身により呪剣コラーダへと変化する
「うわっ……テケテケみてぇ」
敵が真っ二つにされる様子を見ながらあらゆる意味でドン引きしている
アダムルス・アダマンティン
【結社】
ニャニャモ陛下ァ……ッ!!
敵のなりきりを理解してしまった瞬間、その場に崩れ落ちてしまう
すまん、ラグ……俺は不壊隊の一人として、陛下へ手を挙げること叶わん……!
知ってはいる――だがそれとこれとは話が別なのだ
生きているから良いというものではない……!
――ラグ、剣だ。片手半剣になれ。俺が奴らを殺る
呪剣コラーダとなったラグを握り締め、襲い掛かる
陛下の御為、死ぬが良い! 刻器、神撃――!!
ウオォ――! アルダハを! アルダハとウラミゴを焼け!! 焼き尽くせ!!(錯乱)
ビリウット・ヒューテンリヒ
【結社】
むむ、姿を変える敵とは厄介だ
まあでも、我々の敵ではない
だろう?ラグ、おんたいsy……holy shit
え?な、なんでこんなに感極まってるの?
炎火がやらかした時もこんなに感情動いてなかったよ!?
一体ニャニャモ陛下とやらになにが…(初心者困惑)
ま、まぁいい
私の敵は…!こ、これは!
あの伝説の因果歪曲じゃんけんゲーム!「じゃん剣PON」のグランドマスター!
ケイスケ・ホンマ!?
じゃ、じゃんけんぽん(ブウウウウYOU LOSE)
あぁ!「俺の勝利!何で負けたか明日まで考えといてくれよな!」まで再現を!?
くっ、じゃんけんで彼には勝てな──
いやそもそも何でじゃんけんやらなきゃいけないんだろ(たーん)
●ナンバーズのっていうかアダムルスの憤怒
なにやらあちこちで悲嘆していたり喜んでいたりブチ切れている猟兵たち。
どうやらその原因は、この模倣怪人ノッペロイドであるらしい。
「むむ、姿を変える敵とは厄介だね……」
ビリウット・ヒューテンリヒは、阿鼻叫喚(?)を観察して呟いた。
しかしこんな時、長であるアダムルス・アダマンティンならこう云うだろう。
『いかなる時、いかなる敵であれ臆する必要はない。ナンバーズに敵はないからだ』
さすがは結社の長、長針のⅠ! ビリウットは脳内アダムルスの貫禄に震えた。
ここはいっちょ本物にさらにかっこよくキメてもらおう!
あとラグ・ガーベッジも多分いつもどおり不敵な台詞で暴れてくれるはずだ!
「まあでも、我々の敵ではない。そうだろう? ラグ、御大――Holy shit」
振り返った彼女は愕然としてそう呟いた。一体彼女は何を見たのか!?
まさかアダムルスが、ラグが……あんな敵を恐れているとでも!?
「ニャニャモ陛下ァ……ッ!!」
崩れ落ちていた。膝を突き、四つん這いになって慟哭していた。
アダムルスが。御大将が。結社の長、長針のⅠが! 頭を振っているのだ!!
「ウッソでしょ」
ビリウットはだいぶ素の声を出した。隣のラグはゴミを見るような目である。
一体何がアダムルスをそこまでさせたのか?
まさかこのキマイラフューチャーに、かつての彼の同胞の成れの果てが!?
『わらわはもっと立派な女王になりたいのじゃ!』
……アダムルスの前には、なんかちみっこい女の子の怪人がいた。
どうやらお姫様らしい。それはビリウットにも格好とあと台詞でわかる。
「えっ……えっ? あの、ラグ。御大将あれどうしたんだい」
「ああ、あのキャラな。ニャニャモ・ウルル・ニャモっつーんだけどよ」
ラグ曰く。ニャニャモ……ニャニャモ陛下とは、エクエクのNPC。
ピカセンが冒険を開始して最初に降り立つことになる都市のひとつ、
"アルダハ"を統治する女王らしい。こう見えて実は20歳超えである。
「ふむふむなるほど、アルダハの国政はほとんど豪商に支配されている……。
で、そのニャニャモ陛下は、傀儡君主の立場で出来ることを模索してるわけだ」
「お前理解早いな」
「魔術師だからね」
よく理屈がわからないが、ビリウットは完全に理解した。
自由の利かない傀儡の女王として、苦難に見舞われる民を救おうとする賢君。
いいキャラである。見た目も可愛いのでピカセン人気がすこぶる高い。
『ピカセンよ……わらわなきあと、ダウバーンを支えてやってくれぬか……?』
「うおおおおお……!!」
「えっ御大将嗚咽し始めたよ」
「ああ……いやなんつーかあのキャラ絡みでデカいイベントがあってよ……」
めちゃくちゃ鬱陶しそうに、養豚場の豚を見るような目のラグ。
困惑するビリウット。なにせ彼女が知る限りここまでの取り乱しようは初めてだ。
あのPOW特化爆走フェアリーがやらかした時(だいたい一週間に一度ある)も、
ここまで感情は動いていなかった。そのアダムルスが慟哭している。
「いやでもお前ダークナイトやってんなら蒼碧クリアしてんだろ。
たしかにあれ胸糞悪かったけどよ、そのあとどうなるか知ってんじゃ」
「…………………ラグ、ビリウット」
「「えっ」」
ラグの言葉をよそに、スンッと沈静化したアダムルスが立ち上がる。
男の瞳は澄んでいた。尊敬と子を見守る親のような表情であったという。
「すまん」
「「は?」」
「俺は不壊隊のひとりとして、陛下へ手を挙げることなど叶わん……!」
「「は???」」
何いってんだこいつって顔のラグとビリウットを置いてけぼりにする神。
「たしかに俺はあのイベントのあと、ニャニャモ陛下がどうなるか知っている。
いや、それどころか怨敵ララリトに立派に正々堂々立ち向かうこともだ……!」
「お前嵐のリベレーターもクリアしてんじゃねえか」
「だが、それとこれとは――話が別なのだ」
ラグのツッコミも聞いちゃいなかった。
「生きていればいいというものでは、ない……!!」
はっきりと言い切る神(身長190cm、外見年齢38歳。職業:結社長)
「あのラグ、不壊隊っていうのは」
「アルダハの軍隊だよ。ピカセンはどの都市の軍に所属するか選ぶんだ」
「なるほど……いやそれ御大将ガチガチのガチってことじゃないかい???」
「もう隠すつもりもねえけどバリバリ既プレイだなアイツ超絶キメェ」
いっそこの場で、左腕をスパーッと切り落としてやろうかとラグは思った。
そんなアダムルスに、ニャニャモ陛下はにこりと微笑んだ。
「おお、ニャニャモ陛下……!!」
アダムルスは恭しく片膝を突き、ニャニャモ陛下を肩の上に載せた!
「ええ、いや御大将それオブリビオン……」
「キメェ。キモすぎて雲海の底に叩き落としたいくらいキメェ」
当の神(外見年齢38歳)は、満足げかつ誇らしげな顔であったという。
「……はっ!?」
困惑していた初心者ピカセンのビリウット、何かに気づいた!
彼女の前に立ちはだかったのは、スポーツマンという感じのスーツの男!
「こ、これは……!!」
『俺にじゃん剣で勝てたら、このドリンクを差し上げます』
なぜか突然シュワシュワする炭酸飲料を手にじゃんけん勝負を挑む謎の男。
「あの伝説の因果歪曲じゃんけんゲーム"じゃん剣PON"のグランドマスター……ケイスケ・ホンマ!?」
「いやお前もなんでそんなゲーム知ってんだよ」
「結局私は、256戦0勝256敗を喫してしまったけどね……!」
「全敗してんじゃねぇか」
立ちはだかる強敵。ビリウットの脳裏に敗北の記憶が蘇る。
「じゃ、じゃんけんぽん!」
ビリウットはチョキ! ケイスケ・ホンマは……グーである!!
周囲の怪人達、あとキマイラ一般客が何故か猛烈なブーイング!
「いやなんだこいつら」
「くっ、また負けてしまった……!!」
「お前もそこまでショック受けることじゃねぇだろ」
するとケイスケ・ホンマが、ニヤリと笑う。
『俺の勝利! なんで負けたか、明日までに考えておいてくれよな!』
「うわなんだコイツめちゃくちゃムカつくな」
関係ないラグですらイラッとくるドヤ顔であったという。
「くそっ、もう一度だ! じゃんけんぽん!」
「「「BOOOO!!」」」
『たかがじゃんけん、そう思ってない? それだったら次も俺が勝つよ!』
「いやいちいち台詞ムカつくなコイツ!!」
青筋を浮かべたラグを制し、頭を振るビリウット。
「ダメだ、じゃんけんで彼に勝てる者は誰も存在しないのだから。
あまりに勝率が低すぎるせいで、クレーム殺到で回収された曰く付きのゲームだからね!」
「クソゲーじゃねぇか!!」
ごもっともである。
「一体、一体どうやって勝てばいいんだ!」
ビリウットは口惜しんだ。こんなところでナンバーズたる己が負けるとは。
「……別に撃てばよくね?」
ラグの台詞。沈黙。
間。
「それもそうだね」
魔銃バロウズどーん。引き金ターン。ドヤ顔のまま仰向けに倒れて爆発する男。
「そもそもなんでじゃんけん勝負に応えたんだ私は……?」
眉間を揉みながら目についた怪人を殲滅し始めるビリウットであった。
悪い夢だ。さっさと全部消し飛ばして忘れよう。
ともあれビリウットは順調に怪人をぶっ殺し始めた。
その頃のアダムルスは、ニャニャモ陛下に完全に臣従を誓っていた!
「いやお前まだやってんのかよ!」
「云うなラグ、俺はナンバーズである前に不壊隊のひとりなのだ」
マジ顔のアダムルス。だがそんな彼がすさまじい表情になった。
睨みつける先には、チビなくせに髭が生えた妙な小人種族の男ども。
いずれも大富豪めいたけばけばしい中東系衣装に身を包んでいる!
「……………………ラグ」
「うっわキメェ……あ? なんだよ」
「剣だ。片手半剣になれ。俺が奴らを"殺る"」
「いやお前自分の神器」
「呪剣コラーダだ。お前ならば成れるはずだ」
「マジ顔すぎてキメェ……!」
ずい。ずずいっ。シリアス顔のまま詰め寄る190cm(外見年齢38歳)
完全に事案である。ラグはなんかもう嫌になってきた。
「わぁったよ変身してやるよ! だから詰めよんな! あぁクソ、刻器転身――!」
いまだかつて、こんなふざけた理由の刻器転身があっただろうか。
瞬時に呪剣コラーダ――ニャニャモ陛下の配下である、英雄ダウバーンの愛剣――に変じたラグを、むんずと掴むアダムルス。
そして恭しく、ニャニャモ陛下をそっと床におろした。
「しばしお待ち下さい、陛下」
『うむ! 頼むぞ! 待っておるのじゃ!』
「戦争は疾さが分かちますゆえ……!!」
「お前どんだけだよ……」
ぎらり。ブチギレ神の眼光が大富豪小人どもを睨みつける!
その先頭に立つのはバイザーをつけたヒゲと小賢しそうなヒゲだ!
「陛下の御為、死ぬがいい! 刻器、神撃――!!」
ざんっ!! 暴風のような斬撃が小人怪人どもを真っ二つ!
「うわっテケテケみてぇ」
ノッペとロイドに分かれた方々を見てドン引きするラグ。
暴れ狂うアダムルス。ちょっと鋒を操作してさりげなーくニャニャモ陛下も抹殺するラグ。
「陛下ー!?!?!??」
「いやそこまでかよオブリビオンだろこいつも!!」
「ウオォーッ!! アルダハを! アルダハとウラミゴを焼け!! 焼き尽くせ!!」
「ビリウットマジでなんとかしてくれ!!」
「じゃんけん必勝法思いついたんだけどどうかな? まず最初はぐーでパーを出して」
「こいつもダメだ!!!!!!」
地獄絵図であったという。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
高岩・凛
【共闘アドリブ歓迎】
変なプレイヤーになりきれるのはお前だけじゃないんだが?
まずは周囲から変な目で見られるのを無視し、許されたという【覚悟】で迷惑なPCになりきる!これで奴のアドバンテージを無くすっていう!
【ジャンプ】を駆使してido kariで翻弄!
強さを求めるなら【怪力】!
【ハッキング】で粘着保護プログラムを発動!
と一通り暴れ回ったところでUC発動!【武器改造】をフル稼働して義手から名刀ソボロ助広を生成!するけど刀を投げ捨て「急用ができたので帰りますね」とその場を離れる!
敵は刀を取り逃げしに来るはず!そのガラ空きの背中にトドメのはああああ!タックル!ノッペロイドよ、天に帰る時が来たようだな!
久留宮・沙月
※アドリブ連携歓迎
ふぅ……想定外の事態により、新クラスのレベリングに出遅れることになるとは
後ろ髪を引かれる思いですが、まずは怪人を倒さなくては
さて、敵はどのような技を……え?
刀使いは支援技の無い支援泥棒で火力芸人?
近距離クラスは竜戦士とシノビ以外必要ないですって?
……いいでしょう、刀使いの恐ろしさを教えてあげます
納刀した状態から放つ剣刃一閃、閃き雪月花
刀技の中でも高い威力を持つこの技ですが、新たに会得した燕返しという技を使う事によってもう一度続けて放つ事が出来るのです
隙を生じぬ二段構えによる、最高の瞬間火力をお見せしましょう
これに懲りたら、仲間募集で刀使いを省いてはいけませんよ
祇条・結月
なるほど、だいたいわかった(わかってない)
リアルファイトが迷惑なのはどこだって一緒
あんまり迷惑だししっかり追い払おう
やっぱりこういうのだと、煽ってきたり勝手に採点してくるプレイヤーとかいるのかな
いるか、いるよね
ゆづきは激怒した。ゆづきは若葉だ。ゆづきはえくえくがわからぬ。
けれども煽り行為に対しては人一倍敏感であった(【聞き耳】で店内のキマイラを煽ってる怪人を見つけましたの意味)
ゲームは、ぎすぎすやるもんじゃなくて楽しむものだから、ってことで
マナーの悪いプレイヤーは≪銀の雨≫を降らせて撃退
必要そうなら他の猟兵に【援護射撃】も飛ばしていくね
アドリブ歓迎、好きに動かして
●煽り行為、ダメゼッタイ
「ふぅ……あまりにも想定外の事態で手間取ってしまいましたね」
スイーツコーナーから出てきた久留宮・沙月が、額の汗を拭う。
とんでもないゲテモノスイーツの後始末やらなんやらで時間を食ってしまった。
が、これでようやく、新クラスのレベリングが出来るというものだ。
「まずはガンブレイダーから……おや?」
そこで沙月は気づいた。もう怪人の襲撃が始まっている!
そこかしこで戦闘中だ! 我ながらなんたる後手後手か……!
「くっ。後ろ髪を引かれる思いですが、まずは怪人を斃さなくては……!」
なんやかや生真面目な沙月は、実機コーナーへ行きそうな足をなんとか敵陣へ。
すると目の前に現れた怪人どもが、沙月の愛刀を指さしてあざ笑う!
『刀使いwwwwww産廃アタッカー乙wwwww』
「え?」
『シナジースキルのひとつもないシナジー泥棒とかないわ』
「は?」
『騙し討ちのあるシノビと連祷持ちのドラゴンナイトでメレーは決まり!』
「…………」
おお、奴らは迷惑プレイヤーになりきるノッペロイドども!
一体何を言っているのか? ピカセンである沙月にははっきりとわかる!
……刀使い。またの名をサムライとも呼ばれるエクエクのアタッカーだ。
素早い攻撃速度と、他の追随を許さない強烈な『閃き雪月花』が特徴のクラス。
だが単体でのDPS……ダメージ・パー・セコンド、一秒ごとのダメージ平均値……が高い代わりに、サムライはシナジーが存在しない。
シナジーというのは、ようは他のクラスの火力を高めるスキルのことだ。
怪人どもの云う『シノビ』の『騙し討ち』は、敵に被ダメージを増加させるデバフを与える。
一方『ドラゴンナイト』の『戦士の連祷』は、パーティ全員のクリティカル確率を上昇させるのである。
それによってパーティ全体の火力が高まる、これがシナジーである。
だがサムライにそれはない。そのぶん個人としての火力がずば抜けているからだ。
ゆえに心無いユーザーからは、サムライはシナジースキルの恩恵だけを受ける泥棒呼ばわりされたり、
火力を出す以外に能のないアタッカー芸人呼ばわりされているのである!
この手の一部クラスに対するレッテルは、まさにネトゲあるあるだ!
「…………いいでしょう」
ちゃきり。愛刀の鯉口を切りながら、沙月はぎらりと怪人どもを睨みつけた。
「サムライの恐ろしさ、教えてあげます……!」
「おっと待ちな! 迷惑プレイヤーはそいつらだけじゃないぜぇ!!」
「は???」
その時! さっそうと現れたのは、一人のサイボーグの女!
なにやら無駄にアクロバティックにジャンプしつつ、高岩・凛のエントリーだ!
「え、あの」
仲間であるはずの猟兵がいきなり迷惑プレイヤーを名乗ったことに、
さすがの沙月も呆気にとられた様子で困惑していた。
「あ、皆まで言わないでくださいっす。これ自分の作戦なんで!」
実は初対面の相手には割と平身低頭な凛、一瞬素に戻って沙月に断りを入れる。
「うおおお! 移動狩りで翻弄してやるぅー!!」
かと思えばサイボーグとしての身体能力をフルに活かし再びジャンプ!
一切足を止めることなく、目についた怪人どもを次々に攻撃する!
英語で言うとido kariだ! ほんとか!?
『なんだこいつ!』
『邪魔くせーよあっちいけ!』
『ここ俺らの狩場なんで横殴りやめてもらえますか^^;』
「うるせ~~~! しらね~~~!! オラオラバフ重ねがけだぁ!
もちろんアイテムドロップしたら俺のもの! 鑑定代をよこしやがれぇ!!」
あ、悪辣! 狩場を自分のものとしか思っていない悪質プレイヤーだ!
さしものノッペロイドどもですら、凛のフリーダムぶりにはたじたじである!
「なんなんですかあれ」
沙月はぽかんとしていた。しかし一応効果は出ていたのだから驚きだ。
「さあ仕上げだ……見よ! これが名刀ソボロ助広だ!」
義手から展開される刀! どうやらレアドロップアイテムらしい!
そこで凛は……えっ、なぜ刀を投げ捨てるんですか?
「急用が出来たので帰りますね」
「えっ!?」
『『『えっ!?!?』』』
沙月は驚いた。ノッペロイド達も呆気にとられていた。
が、放置されたままの刀にチラッチラッと目が行く怪人達。迷惑だからだ。
凛が見ていない隙に、一体の怪人が名刀を拾おうとする……!
「(くるっ)実は大した用事じゃありませんでしたタックルー!!」
『グワーッ!?』
だ、騙し討ちだ! 猛烈な体当たりで怪人は彼方へ吹っ飛ぶ!
「ふっ、これでまずはキルカウント1ってとこか」
「……いや演技ではなく本当に迷惑プレイヤーなのでは?」
「えっ!?」
沙月のツッコミはごもっともであった。
それはさておき! 生き残りの怪人どもは我に返って二人を取り囲む!
『刀使いはシナジー泥棒! パーティに組んな!』
『木人形叩いて火力芸人してろ!!』
「好き放題言ってくれますね……!」
「あれっ何気に俺も囲まれてる!?」
身構える沙月。困惑する凛。だが、そこにもうひとりの助っ人が現れた!
「――なるほど、話はだいたいわかった」
『『『誰だっ!?』』』
カカッ! エクカフェの照明を背に立つひとりの少年……祇条・結月!
「悪いんだけど、こんな店の中でリアルファイトとか迷惑なんだよね。
僕はエクエクのことあんまりわかんないけどさ、それでもわかることがあるよ」
くいっ、とアンダーリムの眼鏡を掛け直しながら、彼は云う。
「他のユーザーにあれこれ自分勝手な理屈を並べてバカにして煽ってさ。
どうせ君達、言うほど自分はプレイヤースキルないんじゃないの?」
『『『う、うう……っ!!』』』
然り。結月はたしかに若葉ピカセンだが、真実を言い当てている。
この手のありきたりなクラス叩きや他人への煽り行為を行うプレイヤーは、
大抵そこまでPSがない。中途半端に上手い中級者止まりが多いのだ。
動画配信でプロプレイヤーのコメントにケチをつける名人様の類である……!
「火力どうこう言うなら、君達それ以上の火力出せるの?」
『そ、それは』
「シナジーだっけ? 他のメンバーのために常に動けてるんだ?」
『う、ううう……』
「高難易度コンテンツとかあるんでしょ? もちろんクリアしてるんだよね?」
『あ、明日には本気出す……!!』
やれやれ。奴らの言い訳に、結月は嘆息して頭を振った。
無論、説教で済ませてやるつもりはない。彼は――怒っているのだ!
『『『う、うおおおーっ!!』』』
「やらせると思う? マナーの悪いプレイヤーには、こうするだけだ」
片手が鞭めいてしなった瞬間、無数の苦無が擲たれた! 狙いはいずれも顔!
怪人の頭部を仮面もろともピンめいて串刺しにし、一撃で絶命せしめる!
「ゲームってのはさ、ギスギスやるもんじゃなくて楽しむものだから」
そう。それが、ゲームの一番大事なポイントである!
「うおーすげー! すごいっすねアンタ!!」
「えっ? い、いやぁ、それほどでも……あはは」
凛の褒め言葉に、照れた様子で頭をかく結月。
「いえ、見事ですよ。思わず私も頭に血が上りかけましたが、助かりました」
沙月はにこりと穏やかに微笑んで礼を言い、新手の怪人どもを振り返る。
「ですがここはひとつ、私もサムライたる所以をお見せしましょう」
おもむろに敵の群れに近づく沙月。刀は抜いていない、納めた状態だ。
『『『死ねーッ!!』』』
だが怪人どもが飛びかかった瞬間! 神速の居合が放たれた!
「は、疾っ!?」
驚愕する凛の目には、白々とした『雪』の文字が視えたように思えた。
抜けば玉散る氷の刃、まさに冴え渡る白刃である! だがさらに二刀!
「まるで三日月みたいだ……!」
結月の目には、たしかに浮かび上がる『月』の文字が視えた。
それほどの見事な地摺り斬月。そして沙月の斬撃は決めに入る!
「これぞ、閃き雪月花――!」
三刀目が敵を切り裂くと、血しぶきめいて櫻の華が舞う!
だがそこへ新たな怪人! 沙月は――再び神速の斬撃を三度放った!
「……そしてこれが、漆黒のブリンガーで追加される"燕返し"です。
所詮迷惑行為を働くプレイヤーでは、新データにはついていけないようですね」
一切のタイムラグなく、強烈な斬撃を再び放つことの出来る新たなスキル。
歴戦のサムライ使いである沙月は、すでにそれを再現するコツを学んでいたのだ。
「これに懲りたら、パーティ募集でサムライを省いてはいけませんよ――」
「仲間はずれとかよくねえもんな! ゲームは楽しくだぜ!!」
「なんでちょっと含蓄のある感じで決着ついたんだろう……?」
教育アニメっぽくジャンプする凛。隣で首を傾げる結月であった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ルベル・ノウフィル
僕を現実に引き戻したのは貴方でございますか
僕今ヒラさんが抜けちゃってフィジクで召喚ヒーラーしてたのに
……CFで他鯖勢だから言い訳すらできないんですな
ふええ、許しませんぞ
そのお姿はサンk…リディルなゆーきゃん殿ですか?
マーリンを一日でアレした伝説のピカセン殿でございますな
いや、僕ダクセ出身なので詳しくないのですが
東京エンなんとかはよく拝見しており
戦闘?
ええ、僕の怒りのハナビを受けるとよいでしょう
これね、僕の知人の幼女殿が(語り)ファイヤーァ
あっ、CF復帰できましたぞ
待っててくださったのです?なんて温かい一期一会なPTでしょう
僕、頑張りま…毒まみれは厳しいですぞ
僕のフィジクそんなに回復しないですぞ
雁ヶ谷・ロクシー
うわー働きたくない。働きたくないけど…
ピカセン憩いのエクエクカフェが掛かってるとなれば仕方ない
後でフードサービスしてもらうっスよ!
はっ、お前は…ちゃっかり漆黒でタンク転職しやがった癖になんか半端にシノビスキル使いやがるヨンクレッド!!!
くそっ、これだからシノビは…さすがシノビ汚い
そもそもズルイんっスよ、おれだって許されるなら双刃でやりたいですしー??
なんでジョブになったらシノビなの
そこローグとかアサシンでしょ
双刃好きだけどシノビは違う、属性が違うんだ分かってくれ
まあその分リアルでぶん回しますけど!!双刃ぶん回しますけどー!!
はーいだましの音~! 被ダメアーップ!!
全力バーストくらいやがれ!!!
●ピカセンガチ勢、あるいは一番影の薄いNPC
「はぁー……」
ルベル・ノウフィルはがっくりと肩を落としていた。
なにせ彼はつい先ほどまで、実機コーナーでエクエクを楽しんでいたのである。
シャキりにくいサモナーでせっかくダンジョンに行けたのにこの騒ぎだ。
……最初からそのためにここに来ていたんだぞ、とか言ってはいけない。
「ヒラさんが抜けちゃって頑張って回復魔法使って疑似ヒーラーしてたのに……。
パーティの方々全員他鯖勢だったから戻っても言い訳できないんですが……」
つまり、残されたパーティメンバーからすると、ルベルは勝手にログアウトし、
自分達を放置して消えた迷惑プレイヤーである。なんたる濡れ衣か!
「このままじゃ僕晒されてハゲルカ祭りですぞ、ふええ……許しませんぞ!」
きっ! と怪人どもを睨みつけるルベル。間違った方向だが戦意は十分だ。
するとそこにいたのは……なにやらイケメンフェイスの怪人であった。
「おや、そのお姿はもしや……」
「あーっ!!」
そこで横合いから、怪人を指さしつつ大きな声を出した少年がひとり。
雁ヶ谷・ロクシーである。ピカセンである彼には当然見覚えがあるのだ。
「お、お前は! それまでシノビとして活躍してたくせに、
漆黒のブリンガーで急にガンブレイダーになりやがったヨンクレッド!!」
「詳しいんですな」
「ピカセンッスからね!!」
ルベルにドヤ顔をするロクシー。メインストーリーにも関わるキャラなので、
知っていて当然の知識ではある。が、ルベルは覚えていなかったようだ。
「いやあ、僕どうにも印象が薄くて忘れておりました」
「まあ、序盤だと出てきたと思ったらいつのまにかいなくなってたからな……」
突然謎のイケメンとして登場→急に戦線離脱→なぜか敵に回っていた、
という印象に残るにはちょっと難がある立ち回りをするヨンクレッド。
もちろん敵になっていたのにも色々ストーリー的な理由があるのだが、
そのへんのイメージから影が薄い扱いされるNPCでもある。
「あ、でも僕、ヨンクレッド役の声優さんには詳しいですぞ」
「あの廃人ゲーマーか……やべーやつッスよねあの人」
「別のゲームだと女王の話をしたがる魔術師を一日でアレしておりましたな。
いや、僕ダクセ出身なので全然詳しくないんですが。全然、これっぽっちも」
「どっちっスか!?」
と、さっそくヨンクレッド(になりきる怪人)をスルーする二人。
ここでも影が薄いというのかヨンクレッド! せっかく新クラスになったのに!
『俺を無視するな!!』
キャラのなりきり度合いも割と低い。見た目だけのガバガバ怪人だ。
ガンブレイドを構え……かと思えば、煙に包まれふたりの背後に瞬間移動した!
「あー! お前タンクだろ! なんでシノビのスキル使ってんスか!!」
「自分だけ瞬間移動してギミック回避するとかNPCの越権行為ですな!」
汚いなやはりシノビ汚い。
「そもそもさぁ、おれだって許されるなら双刃士のまま進めたいですしー?
急に東洋系になるの納得いかねーんすよね、ローグとかアサシンとかさぁ!」
「僕よくわかりませんが、そこらへん二刀流使いだとこだわりあるのですかな」
愚痴るロクシー、ツッコミを入れるルベル。また話がそれ始めた。
『だから俺を無視するなよ!!』
「相手をしたほうがいいのですか? ではブッ殺すとしますぞ」
『えっ』
ぱちぱちと火花を散らす、剣呑な火精霊がルベルの周囲に顕現する。
「これね、僕の知人の幼女殿がくださったユーベルコードでして」
「幼女、だと……!?」
「しかもエルフでお寝坊さんなのですぞ」
「属性過多すぎないッスか!?」
まただ! また漫才で話がそれる! 怪人が地団駄を踏んだ!
『なんでもいいから攻撃するならさっさとしてこい! 俺のタンクスキルで』
「はいファイヤーァ」
『グワーッ!?』
すさまじい火炎がヨンクレッド(になりきる怪人)に着火してファイアー!
まるでトーチである。なんだかんだルベルの怒りは有頂天なのだ!
「そしたらおれもリアルでぶんまわしますかぁ! はいDoT更新からのー!」
『グワーッ!?』
「騙し討ちいれてェー!」
『アババーッ!?』
「怒りのリミットをブレイクしたので特大の火炎をプレゼントですぞ」
『アバババババーッ!?』
ガというよりはジャという感じの火炎が盛大の炸裂! そこへ双剣!
ズタズタ&メラメラにされたイケメンなりきり怪人は爆発四散した!
「見たか、アタッカー同士のバースト炸裂ッスよ!」
「アタッカー……あっそうだ、早くパーティに戻らないとですぞ」
「えっ掃討とかしないの!?」
そそくさと実機コーナーに戻るルベルを、ぽかんと見送るロクシー。
だが周囲をキョロキョロ見てから、
「あっおれも! 自分ヒラやるんで! 混ぜてくださいッス!!」
さりげなーく職務放棄するのであった。猟兵としての仕事をしよう!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
須藤・莉亜
「人が折角楽しんでるのに…。ぶっ殺してやる。」
…おっと、ちと荒ぶっちゃった。
で、僕の敵さんは…真っ黒な人型…?
これあれじゃない?ダークナイトのあれじゃない?
テンション上がってきたー。
とりま、暴食蝙蝠のUCで囲んで全力【吸血】での【生命力吸収】。
…いや、だってどんな味か気になるじゃん。
霧で覆って逃げ場をなくして、余すとこなく吸いつくそう。
「闇で僕に勝とうなんて100年くらい早いわー。」
ダンジョンボスくらい連れて来いやー。
テイク・ミハイヤー
出たな、なりきり怪人!いやぁ、コスプレ会場みたいでテンション上がるなぁ!
どうにもエキサイティングなコンテンツになりそうだぜ。
こ、こいつは……!騎士クエストを経験したピカセンを困惑させた髭の騎士団長じゃないか!
いやぁ、今なら笑えるけど最初ははた迷惑な奴だったよな。
怪人がエクエクを模倣するってんなら、俺だってエクエクから助っ人を呼び出せるはずだ!
来い、最強の剣士・黒蓮仮面!え、何で先代騎士団長じゃないかって?
いやほら、この髭って先代絡むと面倒臭いじゃん……。
ってなことで、俺と黒蓮の連携攻撃だ!カバーは任せたぜ、色男!
●いやパラディンのクエストも面白いですよマジでマジで
「……ぶっ殺してやる」
コワイ! 真の姿に覚醒しそうなレベルの殺気を垂れ流す須藤・莉亜!
せっかくダンサー装備がいい感じに集まりそうだったのに最悪のタイミングだ。
思わず荒ぶりかけた心をタバコ追加でごまかしつつ、気を取り直す。
「まあさっさと蹴散らしちゃいますかっとー」
大鎌"血飲み子"を担いで参戦しようとした莉亜、そこで何かに気づく。
彼の目線の先では、なにやら苦戦する少年がいた。
「おいおい! これちょっとエキサイティングすぎるんじゃね!?」
その少年とはテイク・ミハイヤーのことだ。赤いマフラーがたなびく。
彼が相対している怪人は、なにやら髪を後ろに撫で付けた髭の凛々しい騎士だ。
盾を手に白銀の鎧を纏うさまは、まさにエクエクのパラディンである!
『貴公は聖剣に相応しくない! ここで成敗してくれる!』
「クエストバトルより悪化してないかぁ!? 強さ的な意味でも!!」
……この髭の騎士、その名を『ジェンキンス』と云う。
ゲーム内においては、歴史深き王立国家『アルダハ』の名誉ある騎士団長だ。
王権が廃れて久しいアルダハでは、国王直下の騎士団はお飾り状態。
そんな現状に折れることなく、騎士道を模索する理想的紳士……なの、だが。
『おのれ、悪しき裏切り者め……!』
と怪人がうそぶいている通り、ジェンキンスは少々真面目すぎた。
パラディンのクラスクエストでは、最初こそピカセンを指導していた彼が、
やがて過去の経緯から誤解を暴走させピカセンに襲いかかるという展開になる。
パラディンを育てたピカセンの間では、ジェンキンスは色んな意味で名物キャラなのだ。
「それにこっちの黒いやつ、こいつは……!!」
だがテイクが苦戦していたのは、ジェンキンス(になりきる怪人)の腕前だけではない。
彼と並んで襲いかかる、影そのものが形を得たかのような存在だ。
テイクはこれをよく知っている。大剣を振るうこの相手をよく知っている。
ジェンキンスだけが相手ならばともかく、二対一では……!!
ガキン!! 振り下ろされようとした大剣に白き大鎌が噛み合った!
「おー、この真っ黒な人影……ていうか影の人? 影の身? まあいっか。
これさあ、あれだよね? ダークナイトのクエストの……あれだよねえ?」
そう、横合いからインタラプトをかけたのは莉亜である。
「うわー怪人ってなんでもなりきるんだね、テンション上がるなーこれ」
「ええっ? あ、うん、まあたしかにテンションは上がるけどさ!」
いきなりの援護にやや当惑していたテイクも、戸惑いがちに頷く。
ダークナイトのクラスクエストに、非常に深く関わるこの影の人物。
それゆえの強敵。ピカセン同士ならば、肩を並べぬ理由はない!
「相手どっちもタンクだけど、バランス悪くないのずるいよね」
「ほんとだよな! 硬いせいで攻撃も通じねえし……待てよ、いいこと考えた!」
ぱちんと指を鳴らしたテイク、莉亜に意味ありげな笑みを浮かべる。
「相手がエクエクのキャラを模倣するってんなら、俺らにも同じことは出来るはずだろ!」
「あー、似たようなユーベルコード、僕見たことあるかも」
「マジ!? ならやっぱりイケるってことだな!」
莉亜の言う似たユーベルコードの使い手……赤毛のワンダーギークは、
別の戦場で戦っている。ここはテイクの力が必要な局面だ。
「髭の騎士には最強の剣士だ! 来い、黒蓮仮面ッ!」
「……あれ? パラディンなら先代の騎士団長とかでよくない?」
莉亜のツッコミに、テイクはあー、とうめいたあと頭を振った。
「あの髭、あいつが絡むとめんどくさいじゃん……」
「あ、うん。そうだね……ものすごく重くなるからね……」
気を取り直してテイク2! ヒーローを守るヒーローは高らかに指を鳴らす!
"英雄再起(ヒーローズ・カムバック)"。現れたのはフルフェイスの仮面騎士だ!
「これで3対2、数の上では僕らが有利だね」
「4人いたらパーティなんだけどな! んじゃタンクは任せたぜ、黒蓮仮面!」
仮面騎士が怪人に斬りかかる。ふたりはそれぞれに武器を構えた!
まずテイク! 愛用のスチームモンキーでジェンキンスを強烈殴打だ!
「へっ、黒蓮仮面が相手じゃこっちに手を出す余裕もないだろ? ざまあみろ!」
「じゃ、僕はこっちだねぇ。おいで、蝙蝠達」
莉亜の体がばさばさと無数の蝙蝠に代わり、影の怪人に襲いかかる。
「うおっ、吸血鬼!? てかそれ、吸血できんのか!?」
『うーん、さすがに影だから味がないなあ、なんか霧の龍を思い出す……』
などと言いつつ、莉亜は容赦なく牙によって影をそぎ取る。
オリジナルのNPCはダークナイトのピカセンなら誰でも思い出深い人物。
だが所詮は模倣品。その技も、オリジナルには到底及ばない!
『おのれ、卑怯だぞ……!』
「だからその真面目な騎士道なんとかしろよ! そもそもお前怪人だろ!!」
ごもっともな台詞! テイクのトドメの一撃が髭騎士をノックアウトだ!
「はーお腹いっぱい。どうせならIDのボスぐらい連れてきてほしいよねー」
「いや、それじゃ俺ら困るし店台無しだって!」
あっさりと敵を片付けたふたりは、そんな風に軽口を叩き合う。
いくらタンクを模倣しようが、怪人では所詮こんなものである!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
メルノ・ネッケル
助けて言われちゃ助けん訳にはいかへんな!よぉ撮っときやキマイラpeople!
さぁて、うちの相手は……試遊ん時のガンブレイダーそっくりさんか!
……改めて見ると、やっぱ格好良えな……。
ちょっと遊んだだけやけど、もう愛着が……。
あっ今の動き『ビートクロウ』に『ブラストストライク』!!
せやな、リアルやから魔弾無しでもモーションは出来るもんな……。
……はっ、見とれとる場合やない!!
こいつら倒さなカフェは滅茶苦茶、うちも帰ってエクエク出来へん!
名残惜しいがさよならや、警告表示無しの円形範囲攻撃!
そんなナリでもアンタはタンク、真のガンブレなら受け切ってみせろ!
【先制攻撃】や、『狐の嫁入り』行くでぇ!
天元銀河・こくう
現れたなオブリビオンめ!
こちとら、ダンジョンにも潜ってダンサーの動きは予習済みだ!
若葉だからと舐めないでいただこうか!
武器防具に迷彩効果を施しダンサー装備に変身
円盤状のチャクラムを両手に
試遊時に見た動きを完全再現して戦闘
「サウンド・オブ・パワー」での猟兵支援を中心に行動する
初手は範囲支援バフ
試遊時に習った通り、長時間スキルは継続させコンボを狙う
支援の合間に力を貯めていき
タイミングを見計らって大技でわたしも攻撃するぞ!
回避はダンスステップ、ジャンプ、スライディング等
引き続き、自チャンネルでの配信も続けているのでな!
優雅&華麗に舞って見せ、視聴者たちのイイね!を狙うぞ!
※共闘、アレンジ大歓迎
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
あー、うん、そうよねぇ。
コレがキマフュー世界なのよねぇ。
…戦争中はわりかしマシだったから忘れてたわぁ…
…で。なぁにあれぇ。
なんかゲラッゲラ笑いながら機関銃ぶっ放しまくってるんだけど。
あー、とりあえずトリガーひきっぱで弾幕張るの楽しー、とかそーゆーアレかしらぁ?
…なんか敵同士でも流れ弾でふっ飛びまくってるけど。
正直コレほっといても勝手に自滅すんじゃないかしらぁ?
けど、なんていうか…美しくないわねぇ。
機銃射撃の隙間を縫って●鏖殺で撃ち抜くわぁ。
そっちのそれはただ弾をバラまいてるだけ。
相手の手筋・可動範囲を削り、思考を誘導する。
弾幕ってのは、こう張るのよぉ?
●こくう's Channel ON AIR!
ぞろぞろと雪崩れ込んできて本気かどうかわからない暴れ方をする怪人ども。
それをそこそこ怯えつつ、猟兵のかっこいい姿は携帯端末で撮影するキマイラ達。
つまり、祭りであった。いやこれ一応戦いなんですけどね……。
「あー、うん、そうよねぇ……コレがキマイラフューチャーなのよねぇ」
ティオレンシア・シーディアは、呆れたような感服したような溜息をついた。
戦争中はわりかし(雰囲気が)マシだったからどうにも忘れていたが、
これがこの世界のデフォであった。お気楽極楽フェスティバルである。
いい意味でも悪い意味でも緊張感のない戦場。しかも敵もピカセン揃い。
エクエクのエの字もわからないティオレンシアとしては、
もしかするとわからん殺しを食らいそうでいまいち戦線に飛び込みづらかった。
……するとその時!
「現れたなオブリビオンめ! 待っていたぞ!」
ざんっ! と、カメラワークを意識したポジショニングで現れた眼帯少女!
天元銀河・こくうは、撮影用ドローンを傍らに浮かべながらポーズをキメる。
「だが安心してほしい……わたしはすでに、実機コーナーで予習済みだ!
聞けばピカセンというものは、何につけても予習するものらしいのでな!」
「……また元気な猟兵ねぇ、いやあれ生主ってやつかしらぁ……」
「そこの猟兵よ! 貴様に決めた!!」
「え、あたしかしらぁ?」
こくうはそうだ! と力強く頷きながらティオレンシアのもとへ。
「今語っていたとおり、わたしはダンサーとしての動きは予習済みなのだがな。
敵の注意を惹きつけるタンクが欲しい! 貴様に頼めないだろうか?」
「タンクぅ? ……ようは前衛ってことかしらぁ、ごめんなさいねぇ」
ティオレンシアは、愛用のリボルバーをガンスピンしてみせた。
「あなたがダンサーならぁ、あたしはガンナー……機巧士ってとこかしらねぇ」
「むむ。まずいぞ、これではロールが足りない!」
すっかりエクエク脳になったこくうはドシリアスに悩んでいた。
だがそこで、『うちに任しや!』と、力強くエントリーしてきた妖狐あり!
「いくら相手がオトボケでエクエク中でも、『助けて』言われちゃ助けんわけにはいかへんな!
キマイラ・ピーポー、そしてそのドローン! うちの勇姿、よぉ撮っときや!」
キラーン、と爽やかスマイルを右斜め45度のベスト角度でキメるメルノ・ネッケル。
「おお、貴様は近接戦闘が得意なのか!?」
「…………いやまぁうちブラスターガンナーなんやけど」
「完全に役割が被ってるわねぇ」
おほん。勢いで出てきたメルノは、咳払いして気を取り直す。誤魔化すとも云う。
「そ、それでもうちもピカセンとして予習はたっぷりしたんや!
つまり、相手の前衛の動きをつぶさに感じ取れる……ど、どや?」
「うーむ……まあ、それもそれでいいだろう! 撮れ高もありそうだ!」
「その悩みは猟兵の仕事に関係ない気がするんだけどぉ」
などと言っている間に、三人の前に怪人の群れが現れた……!
なんやかや遠距離タイプの猟兵三人に対し、敵はバランスの取れた編成である。
「あっ! あれはガンブレイダーやないか!!」
とメルノが声を上げたとおり、前衛を務めるのはガンブレイドを持つ怪人。
コスチュームも、ガンブレイダーの専用装備をバッチリ模倣している。
「ふむ、後ろにいる奴らはアタッカーだな? 武器は様々なようだが……」
刀、両手or片手剣、あるいは杖、弓、はたまた双剣やレイピア……。
どれもこれもエクエクで使われる武器ばかり。いわば徒党というところだ。
ただしダンサーはいなかった。おそらく怪人もまだプレイしてないのだろう。
「……それで最後のは、なぁにあれぇ」
ティオレンシアはけったいなものでも見たような声を出した。
そこにいたのは、なぜか巨大なガトリング砲を構える怪人である!
『猟兵……天敵……殺ス……!!』
カタコト口調でフシュルルルと獣じみた吐息を漏らしたかと思えば、
突然ケタケタ笑い始めてガトリング弾をばらまいた! コワイ!
「なんやえらい唐突やなぁ!? うわっととと!」
「むうっ、弾幕射撃をされても動画的には画が地味なんだが!」
などと言いながら、メルノとこくうは弾丸を避けるように左右に飛び退く。
ではティオレンシアは? 神速の抜き撃ちで自分に命中しそうな弾丸を撃ち落としたのだ!
かちあい弾がキリンキリンと足元を転がり、キマイラ達から歓声が巻き起こる。
「トリガーひきっぱで弾幕張るの楽しー、とかそーゆーアレかしらぁ?」
「トリガーハッピーっちゅうやつやな!」
「しかも敵同士で共倒れしているぞ、見境ないな!」
放っておいてもよさそうではある。が、ティオレンシアは短く嘆息した。
「……ああいうの、なんていうか――美しくないわねぇ」
射手(アーチャー)としてのプライドが疼いたか、ティオレンシアは笑った。
それはつまり、彼女が彼女なりのスタイルで"やる"ことを決めた意思表示。
「こうなったらうちもやったるで! ……け、けど改めて見ると格好ええなぁ」
「見とれている場合ではないぞ! さあ、フィーバータイムといこうか!」
メルノ、そしてこくうもまた武器を構える。戦いが始まった!
BRATATATATAT!! トリガーハッピー怪人による弾幕が敵味方問わずばらまかれる!
それを切り払いながら、ガンブレイダー怪人がティオレンシアへと!
「その動き、『ビートクロウ』やな! 見切ってるで!」
ZAP! 赤いラインの入った漆黒の熱線銃R&Bで、メルノは敵を狙い撃ちだ!
さらにそこからブラストストライク――読めている。予習の成果だ!
「ってあかん、タンクが前に出とるってことは後ろが攻撃してくるで!」
「任せておけ、そこでダンサーであるわたしの出番だッ!」
チャクラムを振るうこくうが、敵陣を踊るように駆け抜けた!
はためく布地は、まさにエクエクのダンサー装備そのまま!
「どうだ? 撮れ高が盛り沢山だろう! フィーバーはまだまだここからだ!」
「ノッてるわねぇ、あたしも盛り上がってきちゃうわぁ」
BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!! ティオレンシアのファニングが戦場を切り裂く!
アトランダムに放たれる無節操なガトリング弾と、一見それは同じだ。
だがティオレンシアは、凄まじい速度でファニングを繰り出しながらも、
神業的な動体視力と反射神経、そして傭兵としての勘で狙いを定めている!
「相手の手筋・可動範囲を削り、思考を誘導する。弾幕ってのは、こう張るのよぉ?」
「くっそー、かっこええなぁ! あっちもこっちも、あっち魔弾出しよるし!」
歯噛みしつつもメルノはタンクを己の射撃で釘付けにする。
ガンブレイダーを放置すれば、こちらの射線を遮られ後衛を守られてしまう。
こくうを自由自在に踊らせるためにも、タンクをマークする誰かが必要なのだ。
「ふふふ、こうしているとまるでピカセンになったような気分だ!」
敵を切り裂きあるいはチャクラムを投げはなって遠距離の敵を斃しながら、
こくうは楽しげに笑う。試遊で習ったテクニックをそのままに活かし、
リズミカルに……敵も味方も、こくうのリズムに乗るように、徐々に!
横回転ステップ。チャクラム斬撃、さらに身を小さくかがめての切り上げ!
まるで花が開くように、怪人どもは放射状に吹き飛ばされ隙を晒した!
「ようし、ここでキメるぞ! わたしに合わせろ!」
「仕方ないわねぇ」
「ええで! 狐の嫁入り――ド派手な"土砂降り"降らせたるわ!」
しゃりん! と、ポーズをとったこくうから鈴めいた軽やかな音が響いた。
ティオレンシア! ビートを刻むかのようにファニング横射で敵をひるませる!
跳躍したメルノ――ガンブレイダー怪人と視線が交錯する。
「なりきりやないほんまのタンクやってんなら、受けきって仲間を守ってみせろ!
銃弾熱線雨あられ、引き出モン代わりにたんまり取っときやぁッ!!」
ZZZZZZZAAAAAAAPPPPPP!! 驚異的クイックドロウによる一斉射撃だ!
戦場すべてを蹂躙する範囲攻撃、ピカセンでない奴らに避けられるはずもなし!
弾丸が通り過ぎて静寂が一瞬訪れた後――響いたのは、どさどさという矢継ぎ早の倒れる音。
倒れたのは怪人。立っているのは……そう、猟兵の三人だ!
「これがわたし達のコンビネーションだ! まさにパーティプレイだな!」
「すごいええこと言うてるけど、カメラ目線で言うんやもんなぁ……」
「いいね稼ぎに余念がないわねぇ、商魂たくましいのはいいことよぉ?」
肩をすくめるメルノとティオレンシア、こくうはにやりと笑ってみせる。
そして――遅れて、キマイラ達の万雷の拍手が降り注いだ!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
神元・眞白
【SPD/割と自由に】
これまでのキマイラフューチャー、エクカフェ。
飛威、分かりやすい様に起こった事を3つに分けて説明を。
大体分かればいいから。状況の確認をしないと。
白鐘さんは弱いって言ってたけ…ど……なにこれ。
なんだか同じような相手がいっぱいいる。うじゃうじゃいる。
かわいいけど…これで1体分?なんだかエクエクって大変みたい。
数には数って思うけど、そうだ。さっき作ったお菓子の処理をしないと。
せっかく作ったものだし粗末にしたら怒られるから丁度いいかも。
いっぱいいるみたいだし、これなら全部食べ切ってもらえそう。
三咲さんのブリ団子プリンもこの機会に渡しておく?
三咲・織愛
……よくわかりませんけど……
よくわかりませんけど! 敵ですね!
なんだかいらっとしたので殴ります!
ロットとかNeedなんて言われてもなんのことかさっぱりです!
私ピカセンではありませんので!!
無言抜けってなんですか?
取り逃げというのもよくわかりませんね
迷惑なことは迷惑なんですからしてはいけないんですよ!
その顔文字で喋るのをやめなさい!!(顔面パンチ)
何かのNPCさんなのかもしれませんが、
なんの思い入れもありませんので
重点的に顔をぼこぼこにしていきましょう
あ、もし私ゲームをするのでしたらヒーラーさんというのをやってみたいんですよね
生まれながらの光できらきら癒して戦線を支えたりします
●怪人が美味しくいただきました
三咲・織愛は猟兵である。織愛にはエクエクがよくわからぬ。
しかし人々の団欒を壊すオブリビオンの悪意には人一倍敏感であったし、
そもそもノッペロイドどもは大挙して押し寄せてきていた。
「エクエクのことはよくわかりませんけど……」
織愛は激怒した。キマイラ達を苦しめる邪智暴虐のオブリビオン……、
というにはちょっとお気楽すぎる気がするし、そこらじゅうでやられてるし、
もっと言えばキマイラ達も困っているというより実況配信したりしてるが、
とにかくオブリビオンどもをアレせねばならぬと思った。それが今回の仕事だし。
「よくわかりませんけど! 敵ですね! いらっとしたので殴ります!!」
そんな大義名分すら自分から投げ捨てる織愛であった。イラッとしたからて。
『すみません私この装備欲しいんでロット譲ってもらっていいでグワーッ!』
「ロットってなんですか! 私ネトゲのことわかりません!!」
『これ他のクラスで使いたい装備だからNEEDやめてもらっていいでグワーッ!』
「NEEDってなんですか! GREED? アイテム取得権利? 識りません!!」
愛用のナックルダスターを嵌め込みボコっては投げボコっては投げる織愛。
ピカセンでないのでネタがわからない。なので殴る。わかっても殴るが。
『このパーティこのボス倒せそうにないんで抜けますねグワーッ!!』
「無言ギブってなんですか! 途中抜けとか全然わからないです!!
アイテムの取り逃げだのなんだの! 専門用語はさっぱりわかりませんが!」
くわわっエルフの少女が大きく目を見開いた。
「迷惑なことは! 迷惑なんですから、してはいけないんですよっ!!」
『『『グワワワワーッ!!』』』
『迷惑なんだからってなんですかよくわからないです^^;』
「その顔文字でしゃべるのをやめなさい!!」
『アバーッ!?』
顔面を砕くエルフ! 地獄絵図だ!!
「……なるほど。怪人の襲来、エクエクのキャラに変身、そして戦闘……」
一方、彼女とつい先程スイーツコーナーに地獄を現出させた神元・眞白は、
お付きの戦術器・飛威が作成したお手軽解説図を見てわかったような顔で頷いた。
状況確認がしたいというより、この洋物ドラマっぽい関係図を作らせたいだけであることがモロバレだ。
だが飛威はきちんと仕事をする。戦術器はみんなポンコツなのかもしれない。
「それにしても、白鐘さんは弱いって言ってたけ、ど……」
居るわ居るわ、店内に雪崩込んでくるノッペロイドの山・山・山。
人気百貨店の歳末バーゲンセールオープン直後みたいな勢いである。
エクエクがそれだけ人気なんだから、仕方ないよね!
「いっぱいいる、うじゃうじゃいる……」
その表現は虫っぽいからやめておいたほうがいいのではないだろうか。
いくら滅ぼしても次から次に出てくるという意味では虫に似ているが。
「なんだかエクエクって大変みたい、遊びじゃないってそういうこと?」
などと、妙な方向の理解を深めていた。訂正する人は誰もいない。
さて、それはさておき戦闘である。つまりこいつらをどうにかしないとならない。
手っ取り早くスペアの戦術器たちを召喚……しようとしたところで、
眞白はぽんと手を叩いた。飛威と符雨は嫌な予感に顔を顰める。
「さっき作ったお菓子の処理をしないと」
えっ、自分で食べないの!? なぜ処理させようとする!?
そんなツッコミを入れる人はいない。いたところでスルーされるだろう。
なぜならば……それが、眞白という女なのだから……!!
せっかく作ったので粗末にはしたくない。が、食べる選択肢はない。
となると……あっいるじゃ~ん! 食べてくれそうな方々がたくさん~!
……死んでも別に困らないどころか、むしろ好都合な奴らがたくさん~!!
てなわけで。
「三咲さん」
「えっ眞白さん!?(ボカッ) なんです!?(ドグシャア)」
「三咲さんの作った、ブリ団子プリン……あの怪人達に食べてもらう?」
きょとん。怪人どもを殴り殺していた織愛は固まった。
えっ嘘マジで、冗談だろ。怪人どももゲテモノを見て固まった。
沈黙……そして、ぽむと嬉しそうに手を叩く織愛!
「それは名案ですね!!」
『『『ハラスメントだぞテメッコラー!!』』』
「まあまあ、そう言わず」
「そうですそうです、遠慮なく食べてください!」
『『『アバババババーッ!?』』』
次々に口にゲテモノを押し込まれて撃沈する怪人達!
食事を拒む連中はナックルダスターで制裁だ! コワイ!!
「せっかくの食べ物を食べようとしないなんて、いけませんよ!」
「うん。そう。これは厚意なんだから、受け取ったほうがいい」
ノッペロイドはオブリビオンである。ノッペロイドにボケはわからぬ。
だが猟兵の殺意と悪意には人一倍敏感であった敵だし。
『『『アバババババーッ!?』』』
だが敏感だからといって逃れられるものではない。
仮にダメージを与えたところで、織愛が生まれながらの光で回復させる。
日常終了、地獄開始!! 怪人どもの悲鳴がこだました。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ギド・スプートニク
【バッカス】
済まないモクレン
実はリンクシェルだけではなく、Discordまで共有している
何ならTwitterまで
Goshimaは放っておけ
やらないやらないと言いながら、どうせまた零式に挑むのだろう
私は敵のタゲを取り仲間に背面を向ける
銀剣の騎士?
何か我々を庇って死んだ奴の話か
済まないが私はグラカン演説以降のストーリーは大体スキップしているのだ
蒼天も気づけば仲間が敵に回っていた
故に殺す事に何の躊躇もない
敵はオブリビオンだぞ
見た目に惑わされるとは何たる体たらく
Goshima以下の無様
(妖精の姿になった敵)
くっ……攻撃できん
違う、見た目の問題ではない
5.0では妖精は攻撃されぬのだぞ
そんな事も知らぬのか
ベリンダ・レッドマン
【バッカス】
戦闘になると分かってるのにCF申請する豪胆さよ…!
しかし何でモクレンくんだけ入っていなかったのだろうね
(怪人と対敵)
ウワーッ!!そ、その姿は!!
双龍党党首にしてグラバニアの最高指導者!!
そして三十の幻術皇の一人!!カヌ・レ・メンマ様じゃないか!!
わあわあよく出来てるねぇその衣装!杖に角から髪型まで完ぺ
ってバカー!!!(召喚したガジェットのハンマーで強く殴る)
カヌ・レ様がそんなはしたない真似をする訳がないだろう!
まったくキミはロールプレイってものが全然わかっちゃいないね!
グラバニアスタートで2.0から勉強し直してくるといい!
ちょうど今度強くてニューゲームも実装されることだし!
奇天烈・モクレン
【バッカス】
【敵はピカセンの盟友、銀剣の騎士】
実機体験楽しかっ……
え……なんで皆がここに居るんだ?
ま、まさか皆ピカセンだったの!?
だって酒場でそんな話一言も……俺達が帰った後に大人だけで!?
あー!!俺達抜きでワールドリンクチャットまで組んでやがる!んもぉー言ってくれよ!
後ろ二人はなんかレベレ行ってるし!
あっ初見さん居るんだ、ならいいや
ちゃんと優しく先導してあげてな
ええい、敵はどいつだ!
……あ、あんたは前々拡張パッケージ『蒼碧のスカイワード』で……
また会えて嬉しいよ。だめだ俺達に盟友は斬れな……おいギド!?ギドさん!?
血も涙も躊躇もないな!?
嘘だろスキップしてんの!?
やれ!新生から!やりなおせ!
伍島・是清
【バッカス】(Goshimaは♀ララ)
奇天烈、知らなかったのか…
”シャキーン”
あ、シャキった
《Goshima:よろしくお願いします》
《初見です》
《Goshima:“応援”のエモート》
あァ? オブビリオン出た?
悪い、俺、今レベレ中
出荷よろしく頼む
初見さんいるから目が離せな、あ、逆走、待て待て
《Goshima:こっちですよー(ジャンプ)》
零式は本当にやらねェし…やらねェ…
てかこの待ち時間なんだ、初見のムービーねェよな
あ、Tuituiのお色直し待ち?
御前、ボス戦毎にお色直ししてない?
あー、よし、終わった
模倣怪人どうなった?
全部倒した、あ、そう
《Goshima:お疲れ様でした!“喜ぶ”エモート》
四辻路・よつろ
【バッカス】
そういえばアプリでも...いえ、何でもないわ
忘れてちょうだい、モクレン
ほんの些細なすれ違い、そうでしょう?
眼前に現れたのは見知った顔ぶれ
共に戦い、あるいは旅の途中で散った者達
どれも懐かしい――が
一部苛立ちが生じるのはきっと散々お使いをしたせいだ
許せない
――シャーキン!
何しているの鈴丸
誰が手を離していいと言ったのかしら
今は敵の出現を口実に刀を抜く事ではなく、即クリックして突入する事
たかだか100周程度で泣いてるんじゃないわよ
誰かさんみたいにスキップなんてしてないけれど
残念ながら感傷に浸るタイプでもなくってね
大人しく斬られてなさい
また今度、NEW GAME+で逢いに行くから
クレム・クラウベル
【バッカス】
リアル討滅戦もシャキってるわけなんだが
いや、もう突入したらなら好きにしてくれ……
シャキってからの放置は迷惑行為になりかねない、仕方ない
是清と終は鏡面世界に行ってしまった(ということにもうこの際しておく)
已む無い、怪人共は動けるメンツで処理しよう
振り向いた先に見える特徴的な牛角兜に見上げるような巨体は
まさか……貴様、漆黒でも立ちはだかるのか
忘れもしないラババーン討滅戦
この時代のネトゲで列をなして順番待ちなど……それも大型拡張直後に
許されない
悲劇を止めなければならない
例え展開を塗り替える事になろうとも
……え、そういうバトルじゃなかっただろ?
そもそもアレも怪人だし細かいことは置いておけ
静海・終
【バッカス】(猫耳女子)
あっ!?シャキりました!?
待ってくださいまだ衣装が整って、あーっ!
くっ、冴えないローブで来てしまいました、himeに有るまじき行為!!
《Tuitui:よろしくお願いします~☆》
あ、是清、次中央に寄って…流石です、初見さんは…無理ですか
《Tuitui:きゃ~っ あぶな~い!》
死んで覚えるのもまたピカセンでございますね
…後ろが騒がしいですねえ
私hiem業で忙しいのですから静かにしてくださいませ!
リキャストの間に振り向き
オブリビオン目掛けて槍を投げつけ画面に目線を戻す
ふう、終わりましたねえ…いろいろと
まあ、ここはきちんと挨拶を
《Tuitui:お疲れ様でしたっ》
MIP貰いました
紺谷・喜々丸
【バッカス】
なんや、モクレンくんもピカセンやったんか!
ええ子の時間に帰るもんやから、全然知らんかったわ
是清さ……いや、Goshimaさん!Tuituiくん!
2人とも、今から戦闘やで何やってんの!
あぁもうでもシャキッてしもたんならしゃあない
しっかり初見さんフォローするんやで!
ていうかTuituiくん、hime業やっとったんか……
はっ、小さくて愛らしい、あの丸太のような姿は……!
くっ、ボクにはできひん!
あの種族だけは、何があっても攻撃できひんのや……!
あ、お写真撮っていい?
エモートは……あっそれいい!最高~~!
ああ~~ぴょんぴょんしとってかわええなぁ!
ありがとうエクセレント・エクスプローラーズ……
●酔っぱらいどもは集団戦の最中だろうが好き勝手に騒ぎ立てる
「いやー、実機体験楽しかったなー」
と、満足げな様子で実機コーナーからやってきた奇天烈・モクレン。
漆黒のブリンガー、素晴らしい。調整内容も新ジョブもどれも……イイ!
とりあえず帰ったらキャラの装備の見た目とか変えよう。闇っぽく。
「……あれ?」
そんなホクホク顔のモクレンは、見知った顔がいくつも居ることに気づいた。
いやその前に大立ち回りが始まっていることに気づくべきだというか、
そもそもグリモア猟兵のお話にもありましたよね! 忘れないで!!
でも仕方ないね、エクエクはそれだけ楽しいんだから! 残念!!
「…………なんで、バッカスの皆がここにいるんだ?」
そんなモクレンの言葉に、思い思いに過ごしていた一同は顔を上げた。
あるいは振り向いた。主にエクエクプレイ中のメンバーが。
「なんや、モクレンくんもピカセンやったんか!」
と、陽気に声を上げたのは紺谷・喜々丸である。
「いつもええ子の時間に帰るもんやから、全然知らんかったわ」
「むしろお前のほうが知らなかったのか、奇天烈……」
伍島・是清は、目線を画面の方に戻しながらややぞんざいに言った。
いまはクラフトの真っ最中なのだ。戦闘? なんですかそれは?
「まあ俺は今手が離せねェ、文句ならギドに言ってくれ」
愕然とした表情のモクレンの視線が、ギド・スプートニクに注がれる。
彼は一応真面目な猟兵なので戦闘には参加しつつ、なぜか深刻そうに頭を振った。
「すまない、モクレン。実はピカセン同士であるどころか、
すでにエクエクの中でチームシェルも作っていてな」
チームシェルとは、ユーザー同士で設立可能なチャットサービスのことだ。
気の合う仲間同士や目的を同じくする狩り仲間などで集まることができる。
「もっと言えば、ディーコード(チャットソフト)も共有済みだ。
いや、それどころか他のSNSサービスも……フォロー済みだ……」
「……よく考えると、なんでモクレンくんだけ入ってなかったのだろうね?」
ベリンダ・レッドマンは、やや苦笑気味にフォローを入れた。
真実を明かされたモクレンが顎が外れそうな顔をしているためだ。
「いやハブってたわけじゃないんだよ!? ただほら、閉店後の語らいとかさ!
やっぱり酒場だし、大人同士のほうが話が盛り上がるっていうか、そういう」
「……あら、そういえば、エクエクコンパニオンでもモクレンだけ……」
などと、最悪のタイミングでこれ見よがしに四辻路・よつろが言った。
エクエクコンパニオンとは、携帯端末専用のエクエクアプリのことだ。
ログインしていなくてもマーケットの相場を確認したり、
それどころかアイテムを購入したり逆に売却することすらできる。
さらに、アプリ使用者同士でチャットも可能なのだ! すごいぜ!!
「いえ、なんでもないわ。忘れてちょうだいモクレン。
こういうのはほんの些細なすれ違い……そうでしょう? そうね、そうなのよ」
忘れられるわけがない。あからさまなハブりなのだ!!
「えっなに? モクレンいるんでございますか? あちゃあ~」
是清の隣でエクエクをやりながら、静海・終がちらちらそちらを見る。
彼の方はバトルコンテンツの真っ最中であった。……戦闘は!?
「よしクリアですね! さてルレの前に衣装を整えねば……」
「…………お前ら、戦うつもり一切ないんだな」
クレム・クラウベルは呆れた様子で頭を振った。
「まあモクレン、そんなわけで奇遇だな。ここで会えて何よりだ」
そしてこれまでの流れを完全スルーしての挨拶である。ある意味大人物……!
「く、くそう! 俺達が帰ったあとに楽しくエクエク話してたとか、
しかもサーバー越えてチームシェル繋いでるとか……んもぉ言ってくれよ!!」
しかしそこはモクレン少年、ハブりの疑惑とか水に流して地団駄を踏んだ。
それだけ彼らは仲がいいということなのだろう。いやいま戦闘中なんですが。
「っつーかさ、あっちのふたりはまだエクエクやってんの!?」
「おまけに堂々とコンテンツ参加申請をしているね、なんて豪胆さなんだ……!」
是清と終がプレイをやめる様子がないのを見ていっそ驚愕するベリンダ。
「せやでGoshima(※是清のキャラクター名。小人種族。女)さん! 戦闘やで!
それにTuitui(※終のキャラクター名。猫耳種族。女)くんも!!」
喜々丸のツッコミもさもありなんというところである。が、やめる気配はない。
その時\シャキーン!/というキレのいいSEが響き渡った。
コンテンツ参加申請をしたピカセン同士で、パーティがマッチングした音だ。
「てなわけで悪い、俺らいまシャキったわ」
「あっちょ、まだ見た目の調整が終わって……ああーっ!!」
せっかく用意したオシャレ装備の見た目をチェックする前にダンジョンへ。
終、正確には終の使用キャラであるTuituiは冴えないローブ姿のままだ。
「……リアル討伐戦もシャキってるどころかもう始まっているんだが。
いや、もう言うまい。突入してしまったなら好きにしてくれ……」
クレムは頭を振った。あの二人は隕石が落ちても動かなさそうなので。
それに、せっかくマッチングしたパーティで放置プレイをするのは迷惑行為だ。
いや迷惑行為の前に怪人倒すほうがよほど大事ではないだろうか。
「Goshima達は放っておけ。どうせ、あの調子で極式にも挑むのだろう。
毎度毎度やらないやらないと言いながら、まったく変わらん奴らだ」
と、ギドも嘆息する。だが呆れているポイントが激烈にズレている。
ゲーム内の話ではない。リアルですよ、リアル! オブリビオンいるから!!
ちなみに、マッチングしたパーティでは早速ダンジョン攻略が始まっている。
礼儀正しく丁寧に挨拶するGoshima、応援エモートを送る先は若葉のピカセンだ。
その隣では、Tuituiがエモートつきのめっちゃあざとい挨拶をしている。
……そう、彼はいわゆるHimechanプレイを楽しんでいるのだ……!!
「死んで覚えるのもまたピカセンの道だわ、あっちはそっとしておきましょう」
よつろの台詞に異議を唱えるものはいなかった。
そんなわけで終と是清はしばしカメラから外れることとなる。
……そして戦場! 六人はそれぞれ異なる怪人と相対する!
いずれもエクエクのNPCになりきった、ピカセン特効の恐るべき敵だ!
「はっ、あ、あの小さくて愛らしい、丸太のような姿は……!!」
喜々丸は愕然とした。そこには1mにも満たない小人種族の女キャラがいたのだ。
ちなみにエクエクの小人種族は、他のキャラクターより頭がやや大きい。
これには色々と複雑な事情があるのだ。倫理的なアレとかそういう。
寸胴体型な小人種族は、大根だのジャガイモだの好き放題言われがちなのである!
反面、色んな意味で熱烈な愛好者を抱えていることでもおなじみだが……。
「くっ、ボクにはできひん! あの種族だけは、あの種族だけは……!!
たとえ怪人だとわかっていても、ボクには攻撃できひんのや……!!」
いましたねここに。熱烈な愛好者、なんらかのコンプレックスが。
そんなわけで喜々丸は、にっこにこ顔で怪人に近寄る。
「あ、あの、お写真撮っていい?」
『キャーイキャーイジュピー!!』
「うわっあの声や! 完璧~!! あっじゃあエモートな、
あれお願いしたいねんけど。こう、手を挙げて……そう、それ!!」
『キャーイ!』
鳴き声? に反応して集まってくる他の怪人(小人種族)たち。
一斉にぴょんぴょん飛び跳ねたり、死んだふりをしたり、暴れまくりである。
「ああ~~~~ぴょんぴょんしとってみんなかわええなぁ!
ありがとうエクセレントエクスプローラーズ、ありがとう怪人……!!」
「……いや、攻撃しろよ」
クレムのツッコミは一言一句ご尤もであった。
完全に撮影会モードに入った喜々丸には届いていないが。
溜息をつきつつ、クレムは振り返る。そして……彼もまた、目を見開いた。
「貴様は……!!」
そこにいたのは、長身の彼をして見上げるほどの巨漢である。
筋骨たくましい肌色は浅黒く、剣闘士めいた傷があちこちに刻まれていた。
そして頭部に戴くは、特徴的な牛の角を模した兜……こ、これは!
「アルダハの英雄、ダウバーン……!!」
エクエクのメインストーリーで登場する著名なNPCの名前である。
だがクレムを驚かせたのは、相手がダウバーンであること自体ではない。
「まさか……まさか、漆黒でも立ちはだかるというのか、ダウバーン……!!」
……現行パック『嵐のリベレーター』開始当時、一つの事件があった。
それが『極式・ダウバーン討伐戦』というものである。
いや、ダウバーンと本当に戦うわけではない。それは比喩だ。
具体的に言うと、ダウバーンがクエスト受注NPCになったある地点で、
サーバー側の問題によりそのクエストを受注することができなくなってしまったのだ。
しかも、新たなストーリーの最序盤。始めてすぐのことである。
おかげで多くのピカセン達が、クエストを始めさせてくれないダウバーンの前で足踏みを余儀なくされた。
ついには、『負荷が原因なんだから列を作ってひとりずつ受注しよう』という声がどこかから出て、
ダウバーンの前に長蛇の列が出来るという不思議な現象まで起きたのだ。
「忘れもしないぞ……お詫びのアイテムは配布されたがそういう問題ではない。
だがエクエクユーザー数はさらに拡大、漆黒でまた起きないとも限らない……」
そうなればまた、あの素っ頓狂な行列が繰り返されてしまう。
暇を持て余したピカセン達がせっかくの休みを台無しにしてしまう!
「……悲劇を止めなければならない。
たとえ、ストーリー展開を塗り替えることになろうとも……!!」
ぎらり。慣れ親しんだNPCを抹殺する覚悟を決めたクレムが銃を構えた。
にらみ合う両名! あれっ、そういうバトルでしたっけこれ!?
そしてこちらはベリンダのほうだ。彼女が戦っているのは!?
「その姿、その聖魔法、そして特徴的な角とほら貝っぽい杖……!!
間違いない……君は、いや、あなたは! ウワーッ!!」
何合か打ち合ったのち、ベリンダは愕然とした様子で絶叫した。
なぜ? 彼女の前に立つのは、穏やかな笑みをたたえた純白の乙女である!
……このNPC(を模した怪人)の名は、『カヌ・レ・メンマ』。
アルダハ同様、ピカセンが最初に降り立つ都市の一つ、グリディニアの長。
同時に、グリディニアの軍隊である双龍党の盟主でもある女傑なのだ。
またの名を"三十の幻術皇"。回復と破邪呪文を得意とする賢者でもある。
何を隠そうベリンダは双龍党所属! ショックを受けないわけがない!
しかしそれ以上に彼女を驚かせたのは……怪人のなりきりの、質の高さ!!
「わあわあ、よく出来てるねぇその衣装!」
友達かな? みたいな気安さでてこてこ近づいてあちこちを眺めるベリンダ。
カヌ・レのトレードマークとも言えるこめかみの角はもちろん、
彼女専用の杖である『グラウストルム』も本物と寸分の違いもない。
「髪型も完璧だし、顔は言わずもがな。ねえ、もしかして声もそのままなのかな?」
言外になんか喋ってみろという無茶ぶりであった。
が、身も心もカヌ・レになりきっている怪人はにこやかに頷く。
『もちろんですピカセンよ。私はあなたの御心のままに応えましょう。
なんとなれば、あなたが望むならば、この衣装の下も明らかにして……』
「ってバカー!!!!!!」
『グワーッ!?』
強烈! 即ガジェットショータイムからのハンマー殴打である!
あまりにもノーモーションなので防御のしようもなかった!
「カヌ・レ様がそんなはしたないことを言い出すわけないだろう!!
まったくキミはロールプレイってものが全然わかっちゃいないね!!」
『お、おのれ猟』
「だからそういう台詞がダメだっていうんだよスマーッシュ!!」
『アバーッ!?』
ゴッ! ドチャッ! ゴカッ! 叩いて潰される哀れな怪人。
返り血まみれのベリンダは、額の汗を拭いつつ頭を振った。
「ちょうど漆黒のブリンガーでは『強いままニューゲーム』も実装されるし、
グリディニアスタートで最初からストーリーを勉強してくるといい、ふん!」
ぷりぷりと怒る23歳乙女。仕草は可愛らしいが周りは血の海。大惨事だ。
一方、ギドとモクレン!
ふたりは協力し、近づいてくる怪人を次々に斃していた!
おもにギドが敵の狙い……ターゲットを集め、背中をモクレンに向ける。
エクエクのバトルにおけるタンクの基本ムーブだ。彼のメインクラスらしい。
エクエクのタンクはみな剣士や斧使いだが、ここは現実。魔法使いでもタンクが出来る!
「次から次へと……ええい、次の敵はどいつだ!」
「慌てるなモクレン。所詮、相手は一山いくらの徒党だ」
言いながらふたりは、新たにエントリーした怪人に身構える。
……が、その時、モクレンは思わず構えを解いてしまうほどに動揺した。
「あ、あんたは……!!」
そこにいたのは、地味な鎖帷子を纏う銀髪の美丈夫である。
手には銀の剣と一角獣の盾。浮かべる笑顔は……とても、イイものだ。
彼の名はアルシュフォン。『蒼碧のスカイワード』メインストーリーで、
とても重要な……そう、とても重要な鍵を握る、NPCである。
「また会えて嬉しいよ……くっ、微妙に泣きそうだ」
モクレンは感極まった様子で目頭を押さえた。無理もない。
アルシュフォンの活躍は多くのピカセンの心を掴んで今も離さない。
盾を模したシルバーアクセサリなど、様々なグッズも展開している人気の、
「在るべき塵芥の海に還れ、残痕(ズバーッ)」
「ってギド……ギドさん!? 何やってんのぉ!?」
は? みたいな顔で振り返るギド。剣杖でばっさり切られたイイ騎士。
「何を言っている。敵はオブリビオンだぞ。
見た目に惑わされるとはなんという体たらく。Goshima以下の無様だ」
「いやそれもそれで容赦ないなっていうか! だって! 盟友だぜ!?」
「盟友? ……ああ、どこかで見たことがあると思ったらあの男……」
ペラペラペラ(メインストーリーネタバレを口走るギド)
「……した男か。すまないが、私はメインストーリーは大体スキップしているのだ」
「はああああ!? 血も涙も躊躇もないと思ったらそういうことかよ!?」
「そうだが」
「バカ! スゴイバカ!! やれ! 最初からやり直せ!!」
ものすごい勢いで痛罵するモクレン。ギドは首を傾げる。
だが無理もない。エクエクのストーリーは……面白いのだ!!
「そんなことはいい。とにかく敵を……な、何っ」
だがそんなギドも、新たな怪人を見て手が止まった。
立ち上がるイイ騎士を回復する、光る妖精を見たことで……!
「いやギドさん今度はどうしたんだよ」
「攻撃できん」
「えっ!? ギドさんあんなフェアリーがいいの!?」
「違う、見た目の問題ではない。……漆黒のブリンガーでは、
あのスカラーが召喚する妖精は攻撃されなくなるのだぞ。そんなことも知らぬのか」
「なんで盟友相手に手加減しねえのにそこは気にすんのかわかんねえ!!」
しっちゃかめっちゃかであった。
ところで、六人目の猟兵ことよつろは何をしているのだろうか。
彼女は……おお、駆けつけた亡者の執事を……ば、罵倒している。正座させて!
「鈴丸、あんた一体何をしているの? 誰が手を離していいと言ったかしら?」
正座させられている鈴丸は、傍らに抜き身の刀を置いていた。
戦闘ということで、命ぜられた周回プレイを投げ捨てて駆けつけた、のだが。
「いまのあなたの仕事は、敵の出現を口実に刃を抜くことではないわ。
とにかく即クリックして、私のために装備を取ってくることでしょう」
り、理不尽! 周囲を取り囲む怪人達も割とドン引きしている!
「たかだか100周程度で音を上げているんじゃないわよ。
あなたの考えていることなんて丸わかりよ。あと900周はしてきなさい」
ご無体な! だが鈴丸は云うとおりにすごすご実機コーナーへ!
ピカセンたるもの、いかにエクエクが周回を要するコンテンツが少ないとはいえ、
その気になれば100周1000周なんのその。ガチ勢はやってみせるものだ。
アレクサンドリア終身刑と仇名される超絶周回必須コンテンツなど、
ネトゲ業界にはそういった負の逸話が数限りなく存在する。
「こうなったら、装備の次はマウント周回をさせないとだめね……」
あまりにも暴虐! よつろには血も涙もないのだろうか!
……血も涙もないといえば、彼女は怪人を見てもたじろいでいない。
これまでメインストーリーに登場したNPCが勢揃いしていると云うのにだ。
なかには、ドラマチックにピカセンと共に戦い、倒れた者もいる。
そう、エクエクはNPCですら容赦なく死ぬ、サツバツなMMORPGなのだ……!!
「懐かしいわね――けれど」
よつろは容赦しない。むしろだいぶイラッときていた。
なぜ? なぜってそりゃあ、クエストでお使いさせられたし。
エクエクにもお使い要素は多いのである。むしろメインと言ってもいい。
「特にそこの商人と、あと槍使いと、美食家と……ああ、もういいわ」
ぎらりと女の眼光が鋭くなった。
「残念ながら、私は感傷に浸るタイプでもなくってね。大人しく斬られなさい」
仕込み杖を抜き放つ。骨の刃が剣呑な鈍い光を放った。
そもそもこいつらは偽者。本物はいまもエクエクの世界に、思い出に居る。
強いままニューゲームで、いつでも会いに行けるのだから……!
……そんな一方、実機コーナーの是清と終はというと。
なんと初見の若葉ピカセンを、きちんとエスコートしてあげていた!
《Tuitui:きゃ~っ、あぶな~い!》
「……お前さ、ボスごとにお色直ししてチャットでまであざといアピールとかさ」
「バッカ是清、これがHimechanプレイの大事なとこなんですよ!
神は細部に宿るとも言うでしょ。それにほら、若葉さん逆走してる」
「あークソ、待て待て」
《Goshima:そっちじゃなくてこっちですよー(ぴょんぴょん跳ぶ)》
……という具合である。だから戦闘はどうしたお前ら。
そんなふたりの後ろで、繰り広げられる六人と怪人の激闘……!
「……なんだか後ろが騒がしいですねえ」
「そりゃ戦ってんだから当たり前だろ。お前なんとかしろ」
「仕方ないですね。こっちも忙しいのですから静かにしてくださいませ!」
操作の合間に振り向いた終がおもむろに槍を投擲する!
グサーッ! 貫かれた小人種族が召喚ドラゴンで全滅!
「ああーっ!? ボクの楽園がー!?」
グサーッ! トドメに盾を貫かれてイイ騎士と妖精も消滅!
「盟友ー!!」
「莫迦な、妖精に攻撃が通るだと!?」
他のところは自前で蹴散らしていたようである。
「あ、終わった? んじゃ3ボス始めるか」
「MIPのために、最後までやらせていただきますよ!」
腕まくりをして気合を入れる両名。後ろの阿鼻叫喚と勝利の歓声。
ピカセンたるもの、エクエクは遊びではなく人生ということなのだろうか。
……いやそういう問題ではない気がする。まあ敵は倒れたので些細なことだろう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
難駄芭院・ナナコ
キャーイキャーイwwwwジュピーwwww
はっ!前世(?)の記憶が
今もちみっこだって?うるせーーー!知らねーーー!
さぁて相手の怪人は…!
あの武器を構えまくってさながら歩く武器庫みたいな風貌は…!
間違いねぇ!武器マニアのギルちゃんだ!隣にムキムキのニワトリ頭の怪人もいるし!
(バトルBGM:ラージブリッヂの死闘)
POW
アタイのこの武器が欲しいってか!
その勝負受けて立つぜ!アタイも黄金果実の情熱でバナナの情熱なら負けねぇ!
あっ、やべ獲物取られちまった…!
「伝説の剣じゃなかったのかだって?かかったなアホめが!それはエクスカリバナナーだ!」
油断したところをバナナでどーーん!勝った!漆黒のブリンガー完!
バルディート・ラーガ
ム。アレがウワサの怪人とやら。
パッと見はキマイラさん方と仲良くお喋りしてるようですが……ン。
や、あの雰囲気に挙動は間違いねエ。有り金騙し取ろうと目論む類の輩…
エクエクよりも遥かな昔ッから伝わる、聴牌的なアレです。
話にずずいと割り込んで「かばい」つつ、舌フル回転で「言いくるめ」。
カフェーで調達したグッズに勝手な由来を上乗せして、何かしらの交換でも提案しやしょうかねエ。ただし「毒使い」時限式の毒煙を仕込みつつ。
トレード成立を確認したらUCでログアウト、もとい一目散に逃げ。
妙に手慣れてる?やだなア、あっしの遊び方は誓って清廉潔白でございやすよう。
こーいうコトすンのはゲームの外だけで……イエ何でも。
●次元の狭間からこんにちは
のっしのっしのっし。無数の武器を背負った巨漢が戦場を練り歩く。
なにやら歌舞伎役者めいた、派手派手しい赤い隈取も特徴的だ。
「げえっ!! あの武蔵坊弁慶みたいな格好は……ま、間違いねぇ!」
小人種族になりきった怪人どもを一蹴し、前世(?)の記憶に浸っていた、
難駄芭院・ナナコも思わず声を上げた。今も小人みたいなちみっこのナナコが。
「間違いねぇ! おいアンタ、武器マニアのガルちゃんだろう!?」
『俺の名を知ってるたぁ、さぞや名のある武人と見たぜ!』
ででん! 歌舞伎っぽい見得と共にノリよく反応した武器背負い怪人!
やつの名は……正しくはやつがなりきっているエクエクのNPCの名……は、
ガルギメッシュ。さらに隣にいるのはその相棒、アンキドゥである。
このいまいち憎めない感じの小悪党、見ての通りの武器を集める盗賊なのだ。
が、どうにもやることなすことコミカルそのもの。
しかも登場するのが色んな意味で評判の高い『事件屋ハルディブレンド』クエストなため、完全にコメディリリーフ扱いされている。
どこからか、ガルギメッシュの代名詞である『ラージブリッジの死闘』のBGMも流れてくる……!
どこからかというか、店内スピーカーから流れている。
エクカフェのスタッフが気を利かせて流せてくれたのだ。どんな気遣いだ。
そんなキャラになりきっているだけあり、怪人の目線はナナコの武器へ。
黄金色のカトラリーセット、デリシャスバナナブレイカー!!
『お前……いい武器を持ってやがるな!』
『コケーッ!』
「ふっ、さすがはガルちゃん。アタイのこの武器がほしいってか……?
その勝負受けて立つぜ! バナナへの愛情ならアタイも負けねぇからな!」
構え合う両名。一触即発の緊張感があたりに漂う……!
「と、待った待った。その話、ちょいとあっしも噛ませてくれやせンかねエ」
『何ぃ?』
『コケーッ?』
「お? なんだよ、邪魔するつもりか!?」
そこに横入りしてきたのは、敵……ではなく猟兵のバルディート・ラーガ。
「いやアほれ、そこな御仁は武器をお探しってンでしょ? ならねエ、
あっしは誰も持ってない超貴重な武器の在り処を知ってやすぜ?」
『「な、なんだってー!?」』
『コケーッ!?』
「いやなンでナナコのお嬢まで驚くンでやすか。あとなんだこの緑のニワトリ」
バルディートはコケコケうるさいニワトリ……相棒アンキドゥにビビりつつ、
さりげなーくナナコのほうに近寄ってヒソヒソと己の狙いを耳打ちする。
(もちろん嘘でございやすよ嘘。こいつ武器を集めンでしょう?)
(……はっ、そうか! うまくだまくらかして隙を突くわけだな!?)
(そういうことでさア。あっしはこの手のハナシにゃ慣れておりやすからねエ)
(アンタ、まさかエクエクでもそんなテンパイ的なあれこれを……)
(やだなア、あっしの遊び方は誓って精錬潔白でございやすよう)
などと高速でやりとりを終えた両名、再び猿芝居に戻る。
『おい蛇野郎、そいつはマジなんだろうな?』
「もちろんでさア。そら、こちらがその超貴重な武器ですぜエ!」
言いながら、バルディートはカフェのグッズコーナーで仕入れた、
DXキングヨシダー(光る! 鳴る! 回る!!)を怪人に放り投げた!
その時! ガルギメッシュの目がギラリと不穏に輝き……おお、見よ!
「げえっ!?」
『コケケーッ!』
「あっ」
一瞬のうちに、アンキドゥがナナコの武器を盗み出していたのだ!
『ダーッハッハッハ! コイツはもらうがそっちの武器もいただきだぜェ!』
「おいおいマジかよ、ナナコのお嬢、大丈夫で……と?」
そこでバルディートはなにかに気づいた。ナナコが不敵に笑っていることに!
『コイツを喰らえ! キングヨシダーッ!!』
そして跳躍したガルギメッシュは、右手におもちゃの剣、
左手にデリシャスバナナブレイカー連結形態を握りしめ、叩きつける!
回避不能の超絶攻撃! ……を、繰り出すはずだったのだが。
『ってなんだこりゃ!? おもちゃの剣じゃねえかグワーッ!?』
ブシュー! バルディートが渡した剣から猛烈な毒ガスが吹き出した!
「ヒヒヒ、ンなわけねエでございやしょう? そーらよっと!」
『グワーッ!?』
さらに影に変じたバルディートによる追い打ちである!
ナナコはなにか策がある。そう考えて賭けに乗ることにしたのだ!
『くそっ、ならこいつで……ってこっちもこっちでなんだこりゃ!?』
そして! デリシャスバナナブレイカーがへにゃへにゃに曲がっている!
『伝説の武器じゃないのかぁ!?』
「バカめ! そいつはアタイ特製のエクスカリバナナーだ!」
「エクスカリバナナーってなンでございやす!?」
「兎にも角にも隙あり喰らえーッ!!」
『『グワーッ(コケーッ)!?!?』』
バナナパッションを載せたナナコの一撃が怪人を貫いた!
なぜか土下座しながら消えていくガルギメッシュ……スピーカーから勝利のファンファーレ!
「へっへーん! 勝った! 漆黒のブリンガー、完!」
「いや終わっちゃあかんのじゃねエですかい!?」
鋭いバルディートのツッコミが入ったので、これがオチということでいいだろう!!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アイナ・ラウタヴィーラ
ようやく来ました、ね。
待ちくだびれて、ケーキを食べすぎてしまうところ、です。
さあさくっと片づけて試遊台へ……えっ、金色の、ナマズ……!
逃しませんよ断じて。いでよもう一人の私、次のパッチでの闇騎士の如く!
こら、待ちなさい! 出来るだけ速やかに革袋にしてあげますから逃げないで……逃げるな!!
おとなしくLハウス資金になるの、です!
ふぅ、手こずらせましたね。
あらぁ? まだ居るじゃないですか、ナマズが……
今日は稼ぎ時です、ね!
あらゆる手段と技能でナマズを狩ります、よ!
……探したら10万円ゾウさんもいない、かしら?
ピリカ・コルテット
ぴこーん☆
みんなでエクエクを沢山楽しんだ途端に、出て来ましたねっ変な怪人さん!
私が一番に思い描くエクエクのキャラクターって言ったらそれは勿論……。
広大な草原の辺境に佇む祭囃子賑やかな集落の、ぬるっとうぺぺなあの子達!
ずんぐりした体躯にのほほんとした呑気な表情がとーってもキュートなんだよねっ♪
溢れる知性が顔付きに出ちゃった、文明開化で光風霽月なお方は特に大好き!
もし出会えたら、みんなでわっしょいわっしょいお祭り楽しんじゃおう☆
一通り満足したら『わたしですよ』でまとめてKOです!荷袋には詰めません!
白目を向いてばたばた倒れてる光景も、またカワイイんだよねっ……♪
アドリブ・絡み・何でも大歓迎☆
●うぺぺぺ!
ピリカ・コルテットはエクエクが大好きなピカセンである。
エクエクのことならなんでも聞いてくれと胸を張って言うような女だ。
ピカセンは皆若葉=初心者のお世話が大好きだが、彼女は人一倍好きだ。
そもそも世話焼きなところがあるからかもしれない。まあさておき。
そんなピリカが、エクエクと聞いて一番に思い描くキャラクターとは……!
『うぺぺぺぺ! お祭りやるっぺよ!』
『うぺぺぺ! 今日も大忙しだっぺな!』
『うぺぺ……お茶飲みすぎて酔っ払ったっぺよ……』
「わああ……☆」
ナマズ。……そう、二足歩行してしゃべるナマズが大量にいた。
正確には二足歩行してしゃべるナマズになりきった怪人の群れである。
あるものはねじり鉢巻にハッピというもう世界観ガバガバな格好で、
またあるものは首に鈴を着けた金太郎めいた赤布姿である。
しかし驚くなかれ! この奇妙なナマズどもは実はエクエクの大人気キャラ!
その名も、喋るナマズの『オナマズ族』という亜人種なのだ……!!
「すごーい♪ 何もかもゲームそのままだね! ひょっとしたらあの子も……」
きょろきょろ。辺りを見渡すピリカは何かを探している。
そんな彼女の目線は、やけにアホみたいな面をしたオナマズどもの中で、
いやにキリッとして理知的な風貌をしたオナマズに留まったのである。
『おい貴様たち! もっと誇りあるオナマズ族として規範ある態度を取りたまえ!』
「ああっ、やっぱりいた☆ 風光院セイゲツさんだーっ♪」
……ナマズにしてはずいぶんご立派なお名前である。
お気楽極楽なオナマズ族の中で、知性に目覚めた理知的な学者肌のナマズ。
それが、風光院セイゲツというNPCなのだ。クエストNPCとして人気が高い。
ちなみにオナマズの一部がお祭り衣装を着ているのは、
彼らがメインとなるとあるサイドストーリークエストに由来する。
なぜかお祭りを始めるオナマズ族に手を貸してあげるというコメディシナリオなのだ。
『うぺぺぺ! ピカセンさん! 一緒にお祭りするっぺよ!』
『こらお前達、だからこの祭りの作法はだな、この本に書いてあるとおり……』
「うんうん、私も一緒に楽しむよ☆ せーの!」
『『「わーっしょい! わーっしょい!」』』
完全に怪人達に混ざっているピリカ。戦闘はどうした!?
……それにしても、このナマズが本当にキュートに見えているのだろうか。
割とピカセン人気も高いのが、なんとも不思議な種族である。
だがそんな一時の幸せも、あっけなく終わることとなる。
それは、遅まきながら食事コーナーから帰ってきた妖狐の少女……、
戦場傭兵であるアイナ・ラウタヴィーラがもたらした終焉であった。
「オ、オナマズの群れ!? ということはまさか……!」
彼女も彼女で、先程まで食べていたスイーツの後味など完全に吹っ飛び、
まさに血眼という勢いで目を皿にしてオナマズの群れを探す。
そして見つけた。ねじり鉢巻でも呑気な鈴つきオナマズでもない……。
全身がギラギラと金色に輝く、ゴージャスな感じのオナマズを!!
「やはりですね、やはりいました! 金色のオナマズ……!!
逃しませんよ断じて。出でよ、もう一人の私! ダークナイトの如く!!」
カッ! アイナの隣に現れる、本人そっくりの姿の地霊!
召霊・真似形。ホントならメチャクチャかっこいい詠唱とかあるのだが、
いまのアイナにはそれすらまだるっこしい。どうしてこうなった。
『うぺぺぺ!? お助けなんだっぺよー!』
「こら、待ちなさい! できるだけ速やかに革袋にしてあげますから……。
逃げないで? 逃げないでくださ……逃げるな! 逃げるなァ!!!」
コワイ! アイナの何が一体ここまでさせるというのか!?
……この金色のオナマズ、実はゲームに登場するモンスターなのだ。
ギャンブル性は高いが当てれば一攫千金を得られるというダンジョン、
『宝物庫ウブネアカネナル』というエリアにのみ登場するレアモンスターなのだ!
時間制限つきで現れるゴールドオナマズを倒すことで、大量の通貨を得る。
ゆえにピカセンは、この黄金オナマズへの殺意満面なのである……!
「おとなしくラージサイズハウスの資金になるの、です……!!」
あまりにも欲求が即物的すぎる! コワイ!!
『うぺぺぺ!?』
『うぺぺ! 敵の襲撃だっぺよー!』
『お助け! お助けだっぺよー!!』
「へあっ?」
オナマズに吹き矢を当てる遊びに夢中だったピリカは騒ぎに我に返る。
こちらへ逃げてくる黄金オナマズ。すさまじい形相で追うアイナ*2!
「わあ♪ まるでウブネアカネナルみたいだね!」
「あっ、そちらへ逃げました! 殺して……捕まえてください!」
「いまものすごい剣呑なこと言ったね!? でもお任せだよ♪」
とても幸せな時間だがもう終わりの時が来たのだ。
ピリカはそこらの現実とフィクションを混同するあんぽんたんとは違う。
たっぷり堪能したら怪人は蹴散らすつもりだった。吹き矢もそのためだ。
……ほんとかな? ただ楽しんでいただけということはないかな?
「はーい、わたしですよーっ♪」
『『『うぺぺぺぺーっ!?』』』
ゴールドオナマズも、お祭りオナマズも、次々に光に照らされバタバタ倒れていく!
中央で笑顔でポーズを取るピリカ。新手の祭りかな? みたいな光景であった。
そしてゴールドオナマズのいた場所に、大量の金貨入り革袋がドロップする。
「あ、ありがとうござい、ます。これで、ハウジングが……!!」
「どういたしまして♪ それにしても……」
アイナに答えつつ、ピリカは周囲を見てにこりと笑った。
「白目を剥いてダウンしてるオナマズも、キュートだよね♪」
「えっ」
「え?」
「えっ」
……ピリカのセンスについてはそっとしておくこととしよう!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
パーム・アンテルシオ
人間が憎い、か…
そんなに恐ろしい怪人には、見えなかったけど。あなた達にも、そういう心があるんだね。
人を苦しめ続ける事が、復讐になる。何があなたを、そこまで駆り立てるのかは…わからないけど。
私はヒトだから。人を守るために…戦うよ。
九ツ不思議…雪女。
全力で使っちゃうと、カフェが台無しだから…
範囲を絞って。怪人だけを狙って、凍らせる。
私は…私たちは、見たくない。人が苦しむ姿は。憎しみに支配される世界は。
少女が雪原のただ中で、凍えるだけの時代は。
私の力だけじゃ、あの子は完全には止まらない。憎しみからは、解放されない。
だから、誰か…お願い。
…そういえば、キャラになりきってるんだったっけ?
【アドリブ歓迎】
ジョン・ブラウン
「あー……趣味悪いなぁ」
「いや僕もね?似たようなことしたこと有るよ?」
「でもこれはさぁ……なんか違うじゃん」
眼の前にはエクエクのNPC達
それもストーリー中でピカセンのために命を落としたり
思いを託して死んでいったキャラばかり
「彼らが僕らに恨み言ぶつけるとかありえないんだよ」
「そう……一言で言うなら、あれだ」
「【解釈違いです】」
「ウィスパー、今日はこっちもちょっとズルだ」
<イリーガル・アクセス起動>
<ログイン履歴を確認、再ログインします>
<全てのログを再検索、検索終了、データを変換します>
「オーライ、こいつで終わらせよう」
不思議な力がジョンのシューズへと集まる
「これが、世界を超える絆の力だ……!」
●偽者と本物
……ジョン・ブラウンは怒っていた。
かつて彼は、このエクエクに関する事件を解決したことがある。
その時、ジョンは世界を超えていくつもの『声』を届けるユーベルコードを使い、
エクエクのNPC達そのものを一時的に召喚することに成功したのだ。
それが本当にゲームの『本物』なのか、それとも仮初のものなのか。
その真実は、使い手であるジョンにしかわからないことである。
それでも……この怪人達とは違う。これは、悪意ある『なりきり』だ。
「だからさぁ、僕もね? キミ達のやりたいことはなんとなくわかるよ。
でもこれは……なんか違うじゃん。……何とは言えないけど、さ」
ジョンが相対する怪人は、どれも『死者』ばかりであった。
ピカセンを未来に送り出し、自らは破滅の炎に消えた老人。
そんな師と同じように、恐るべき敵をその生命を以て封じ込めた術師。
禍々しい強敵を滅ぼす手がかりを遺し、凶刃に倒れた女傑。
あるいは、滅びた世界の魂を鎮めるため、その身と心を世界に捧げた女……。
『お前達のせいで、私達は死んでしまった』
『どうして僕らが死んだのに、世界を救えていないんだ』
『所詮あなたでは、光の意思を遂行することは出来ないのね……』
心なき怪人どもの怨嗟に、ジョンはうんざりした様子で頭を振る。
「違う、違う、違う」
そんな台詞はない。彼らはもう何も言わない――死んだからだ。
ゲームの登場人物と侮るなかれ。死ねば、それで物語では終わりなのだ。
「彼らが、僕らに……ピカセンに恨み言ぶつけるとか、ありえないんだよ」
『そんなのは思い上がりだ』
「いいや、違う。――お前達は、ただそうやって言いたいだけだろ?」
ギークは、心の底から軽蔑と嫌悪を込めた眼差しで怪人を睨む。
「そういうのはさぁ……一言で言うなら、そうだな……」
言いよどむジョンの言葉は途切れた。強烈な槍の一撃が降り注いだからだ!
ジョンは咄嗟にそれを躱す。だが着地点へさらなる槍の一撃が……!!
――ドォン!!
降り注いだ槍型の魔力は、桜吹雪めいた魔力によって遮られた。
ジョンの窮地を救ったのは、やはり櫻のような桃色の髪をした少女である。
「……怖い、ね。他の怪人は、あんなにお気楽なのに。
それだけ戦意が高いのかな。それとも――その憎しみが、原因なの?」
少女……パーム・アンテルシオは、淡々と言った。
見据える先、槍を振り下ろした、竜の翼を背負う赤黒い鎧の槍使いがひとり。
ジョンはそれを見、うんざりしたように大きく溜息をついた。
『我は憎む。貴様ら人間を……人間どもに復讐することこそ我が希望!』
「そんな恐ろしい怪人には、見えなかったけど……そういう心が、あるんだね」
「ああ、そうさ。彼は……いや"彼ら"は、そうやって復讐心に取り憑かれた」
立ち上がったジョンは、振り向いたパームに対してそう言う。
「けどさ、彼らは救われたんだ。ピカセンの戦いによって助かったんだよ。
彼に憑依していた邪竜は滅んでしまったけど、その魂は解き放たれたんだ」
そして邪竜に憑依されていた、竜への復讐心に取り憑かれた依り代……槍使いの騎士もまた、失われるはずだった命を奇跡に救われることになる。
その奇跡を手助けしたものこそ、他ならぬ死者達だった。
……それが、エクエクのストーリーだ。だがいまここに居る怪人は。
『我が救われることなどありえぬ。あるとすればそれはただひとつ。
人間どもを、生かさず殺さず、未来永劫に苦しめ続けた果てにあるのみよ!』
「人を苦しめ続けることが、あなたの復讐……か」
何がそんなに、彼を――元となったキャラクター達を――駆り立てるのか、
ピカセンでないパームにはわからない。わかるはずもない。
だが。かつて、今の人類を滅ぼそうとする敵がいた。
バトルオブフラワーズ。彼女らはその悪意からこの世界を救ったのだ。
「だから、守るよ。――私は、ヒトだから」
パームはジョンを見つめ、頷く。ギークもまた、うなずき返した。
「ああそうだ、思い出した。こういうのはさ――」
《"解釈違い"、というのです》
ジョンの相棒たるAI、ウィスパーがそう言葉を繋いだ。
思い出を穢す偽者を相手に、容赦をする理由などない!
『我らは貴様らの犠牲とさせられたモノ! 貴様らには倒せぬ!』
「そんなことはないよ」
呟いたパームの口元に、ほう、と冬めいた白い吐息が垣間見えた。
然り……彼女の全身は青白い光を纏い、冷気が包み込みつつある。
「"九ツ不思議……雪女"――」
すべてを凍りつかせる冷気。忘却に相対する氷結の幻想。
ともすれば聖女のようにも見えるパームは、天を見上げて言う。
「もう私は、私達は見たくない。欲望にも、憎しみにも、人が苦しめられる世界は。
――少女が雪原の只中で、ただ凍えて死んでしまうような時代は……!」
ぱきぱきと凍りつく……ただしそれは、有象無象の怪人のみだ。
猛る龍の騎士すらも四肢が凍りついていく。だが怪人は悪あがきをやめぬ!
『我は滅びぬ! 貴様らが我らの犠牲を求めた、それがゲームであろう!
貴様らが我らを殺したのだ――ゆえに我らは、決して、滅びぬ……!!』
「もうそこまでにしておけよ」
ジョンは冷たく言い、AIに呼びかけた。
「ウィスパー、今日はこっちもズルだ」
《イリーガル・アクセス起動。ログイン履歴を確認、再ログインします。
全バックログを再検索――検索完了。データを変換します》
これまでの過去。ジョン・ブラウンとしての過去、ピカセンとしての過去。
すなわち歩んできた旅路、関わった人々、それはたとえゲームの中だとしても。
「僕はお前達と違う、本物を知っている。皆を知っている」
「……私はそれを、知らないけどね」
「それでも、キミだってこれから会えるさ。ピカセンになればね」
若葉であるパームのつぶやきに、ギークはにこりと笑って言った。
いまピカセンでないからといって、それが仲間はずれになる理由はない。
今の世界を守ろうとする心と、心に連れてきたものを忘れない思いがあるならば。
「ゲームをやったことがあるかどうかなんて、何も関係ないのさ。
お前達偽者を終わらせるのは、僕らが築いてきた本物の絆の力だ……!!」
ジョンのシューズが不思議な輝きを放つ。それはまさにユーベルコード、奇跡の力!
『滅びぬ! 我らは決して……!!』
あがく怪人を全力で封じ込めるパーム!
「私にできるのは、ここまで――だから、お願い」
「オーケイ、パーティプレイはピカセンの得意技さ!」
たとえゲームでも、ピカセン=プレイヤーが信じるならば世界はそこにある。
世界の壁を越え、絆の力がジョンに集まる。そして光を纏った飛び蹴りが! 敵を!!
「さあ、偽者にはご退場願おうか――!!」
その輝きは、偽りの怪人を打ち砕き、すべてを飲み込んだ。
それは、ゲームを愛するユーザー達の思いの力。
そして、この世界を守りたいと願う、未来への力なのだ!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『『破壊の化身』』
|
POW : 破壊の一撃
単純で重い【剣 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 隼返し
【神速の斬撃 】を向けた対象に、【神速の追撃】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ : 勇帝の制約
自身の【魔法適正ゼロという弱点 】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
イラスト:すねいる
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠八木・裕希子」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●業務連絡
3章プレイング受付~締切期間は以下の通りになります。
【19/06/16 08:30~19/06/18 08:30】
上記期間以外にお送りいただいたプレイングは流れてしまう可能性が高いです。
(いわばロスタイムとお考えください)
●エクセレント・エクスプローラーズ~漆黒のブリンガー
『…………なぜだ』
模倣怪人ノッペロイドが蹴散らされたエクカフェに、最後の敵が現れた。
雄々しい紋章が刻まれた盾と剣。いかにもファンタジーらしい装い。
だがそれはエクエクのキャラではない。エクエクのキャラでは、ないのだ。
しかし同じぐらいの歴史と知名度を感じさせる威圧感があった! なぜだろう!
『なぜなのだ……』
その怪人……"破壊の化身"は、頭を振る。
とあるゲームの主人公によく似た姿を持つ怪人は、おもむろに顔を上げ、言った!
『なぜ――なぜ、俺は! 参戦できなかったのだ!!!!!』
……何を言っているのかわからない。
『なぜ俺の後輩がメインに来て! 俺のご先祖様もバリエーションになったのに!
俺が出るのは必殺技の演出だけなんだ! 俺だって主人公なんだぞ!?』
何を言っているのか全然わからない! なんなんだこいつは!
わからないが、なんだか大乱闘になりそうな気配がするぞ!
『それもこれもすべてエクエクのせいだ……! おのれエクエク、おのれピカセン!
かくなる上はエクエクを、そしてピカセンを、すべて俺が破壊してやる!!』
くわっ。歪んだ憎悪を抱えた怪人は大きく目を見開く!
『たとえ俺が倒れたとしても、第二第三の怪人が現れることになるぞ……!
忌まわしいエクエクめ、俺の起こす破壊の風に飲まれて消えろ!!』
よくわからないがとにかくこいつはなんとかしたほうがよさそうだ!
ちなみに、もしかすると倒れると似たような別の怪人になって復活するかもしれない!
漁師の息子っぽいのとか、魔物使いっぽいのとか……そういうのだ!
須藤・莉亜
「帰れ。」
いや、確かに前コラボしてたけど…。
まずは敵さんを広い所まで誘導しようかな。
敵さんの動きを【見切り】、深紅で拘束。そのまま敵さんを悪魔の見えざる手にぶん投げてもらおうか。
さて、と。周辺の人らに一応注意しておこう。
「デカいの出すんで気をつけてねー。」
世界喰らいのUCを発動。超強化された腐蝕竜さんに敵さんの殲滅をお願いしよう。
「いや、あっちが主人公っぽいから、ボスキャラっぽいので攻撃した方が良いかなって。」
あ、後輩参戦おめでとうございます。
パーム・アンテルシオ
よくわからないけど…あなたも、大変だったんだ、ね…?
…でも、何でかな。あなたの言ってる事は、ただの八つ当たりな気がするよ。
だから、私は…あなたを。あなたの憎しみを、止めるよ。
人のために。エクエクを好きな、皆のために。
…グリモアベースで待ってる、あの子のためにも、かな。
九ツ不思議…座敷童子。
破壊の風っていうのが、どんなのかは…わからないけど。
好きに暴れられたら、困っちゃうからね。
相手の攻撃の予兆が見えたら…素早く結界を張る。
武器は、剣。なら…体の動きは、絶対にあるはず。
私が、皆を。お店を。エクエクを守るよ。
だから皆は…あの子を止めて。
ふふふ。これが、パーティープレイ。
ソロではできない戦い方だよ。
テイク・ミハイヤー
待て待てぇい!お前、色々"違う"じゃん!!
言いたい事は山ほどあるけど……。
魔法やスーパーパワーと無縁なのは俺も同じだ、なら大乱闘のルールで戦ってやるぜ。
UC逆境粉砕。俺のUC特性はピンチになればなるほどバースト力が上がる!二度起こる破壊を風を耐え切った時がチャンスだ!
とは言え俺があの攻撃を耐える手段は、[視力]で致命打を見極めて[気合]で耐えるくらいか?
死ななきゃ安いの精神だ、お前が俺を倒すか、俺が倒れなくてお前を吹っ飛ばすか勝負だ!
あと破壊の風はお前じゃなくて仲間の魔法戦士の方だろ!
●エクエクじゃない
「待て待て待てぇい!!」
勝手なことをのたまう怪人が戦闘モードに入ったところで、
テイク・ミハイヤーがコントのツッコミみたいな調子で待ったをかける。
「お前、違うじゃん! 何がどうとは言えないけど、色々! "違う"じゃん!!」
そう……こいつは、破壊の化身はエクエクのキャラでは、ないのだ。
別のゲームの主人公を模した怪人である。コスプレなのか本物なのか、
まあそのへんはおいといてとにかく"違う"のだ。テイクの言う通りである。
「そうそう、ってわけで場違いだから、帰って。いや帰れ」
状況を静観していた須藤・莉亜も、テイクに同調して帰れコールを入れる。
聴衆のキマイラの皆さんもノッてきたぞ! 帰れコールの大合唱だ!
『おのれエクエクめ、なおも俺を否定するつもりか……!!』
「……だって、ただの八つ当たりな気がするし……ね?」
怪人の逆ギレに、極めてまともな指摘を入れるパーム・アンテルシオ。
よくわからないが、大変だったのはわかる。が、それとこれとは別の話だ。
そもそも相手は怪人であり、こちらは猟兵である。やることは変わらない。
『俺が魔法を使えないのがいけないのかァー!!』
「だからそういう話じゃねーだろ! いや魔法使えないのは俺も同じだけど!」
「見当違いにしてはすさまじい憎しみだ、ね……」
ビシィ! とツッコミを入れるテイクに、呆れた様子で頭を振るパーム。
怒りの怪人は有無を言わさず剣を構え、周囲もろとも猟兵を攻撃しようとした!
「はいはい、エクカフェの中で暴れるのは厳禁だよー」
そこに絡みつく、莉亜の操る紅い鎖。破壊の化身の全身を拘束する!
『な、なに……グワーッ!?』
そのまま悪魔の見えざる手で店外へ放り出されたではないか。
「これでよしと。続きは外でやるとしようか」
「お店に被害が出たら、大変だもん……ね」
「ならこういうときはあれだ! ふたりともわかってるよな?」
テイクがなぜかウキウキした様子で莉亜とパームの方を見る。首を傾げるふたり。
「バカ! 怪人と戦うフィールドを変えるときはお約束があるんだって!
いいか、俺に合わせてジャンプするんだぜ。ただそれだけでおっけーだからな!」
「あー、そういう」
「……何が"そういう"なのか、全然わからないけど……?」
納得した様子の莉亜になおも怪訝なパームである。人の文化は複雑怪奇だ。
「とにかく行くぜ! とうっ!!」
「「とーう」」
テイクに合わせてジャンプするふたり! カメラが天井を映し……!
すたっ。舞台は採石場へ!
「……えっ、どこ、ここ?」
「いやー偶然エクカフェの近くにリゾート採石場があって助かったよね」
「リゾート砕石、場……!?」
莉亜の言葉にパームははてなマークをいくつも浮かべた。
わからない、キマイラフューチャーよくわからない!
なお、キマイラの皆さんは相変わらずついてきて観戦中である。
あと採石場の岩の上にエクカフェもあった。周囲を守る必要はあるのだ。
『くっ、おのれ猟兵め!!』
「それじゃあさくっとやっつけよっか。デカいの出すんで気をつけてねー」
なにやら大規模なユーベルコードの詠唱に入る莉亜。そこで怪人の目がギラリと輝く!
「……させないっ」
パームは敵の動きをすばやく見切り、自らの身体を霊体に変化させた。
そしてフラクタル構造めいた半透明の結界で、破壊の一撃を弾いたのである!
「おおっ、ナイスバリア! なら時間は俺が稼ぐぜ!」
ぐるぐると片腕を回しながら気合十分のテイク、参戦!!
大乱闘の始まりだとばかりに、まっすぐに破壊の化身へ突っ込んだ!
『邪魔だ、俺の剣は二度破壊の風を起こす……!!』
「くっ、なんて疾……グワーッ!?」
あなや! テイクの胸板にすさまじい切れ味の剣閃が二度走り、切り裂いた!
「うわ、やばっ。あれまともに食らったら僕じゃ立てないなあ」
だが莉亜は手を出すことが出来ない。ユーベルコードを詠唱中だからだ。
世界から直接エネルギーを奪い取るがゆえに、その力は甚大なのである。
『なにか大技を使おうとしているな、そうはさせんぞ猟兵め!』
「それはこっちの台詞だぜ……!!」
血を流すテイクが立ち上がり、飛び込み前転で破壊の化身に割って入る。
振り下ろされた剣を、パームの結界がかろうじて押し留めた。
「大丈夫? 私のバリアでも、あの攻撃はそう何度も耐えられなさそう、だけど」
「ありがとな! けど大丈夫だ、ひたすら耐えきってみせるさ!」
その言葉通り、テイクはがむしゃらにまっすぐに敵へ挑み、そのたび反撃を食らう。
致命傷はパームの結界が防ぎ、場外にふっとばされるのを防ぐものの、危険だ。
このままでは、スマッシュされてひんしに陥ってしまう!
『邪魔だ……! 貴様の守りも、もう続きはすまい』
いまだ無傷の破壊の化身が、ぎらりとパームを睨みつける。
「それでも、私は諦めない。人のために、エクエクを好きな、皆のために。
……ここにいない、ここへ来たかったあの子のためにも、ね」
パームの脳裏によぎる、血涙を流さんばかりの勢いでのたうち回るグリモア猟兵の姿。
いやあれを見てなんとかしてあげようと思うあたり、パームはいい子すぎないか?
普通ドン引きするものである。妖狐の優しさは三千世界を貫くほどか……!
「いまの私は、守る者。座敷童子――ただそこにあるだけで、私は意味がある」
『ほざけ!!』
「私にあなたを止められなくても、あなたを止めてくれる人が、ここにいるから。
ふふふ、これが……パーティプレイ。ソロでは出来ない戦い方だよ……!」
「そういうことだ! お前にも魔法戦士と王女様がいればよかったのにな!!」
ボロボロのテイクがなおも愚直に突っ込む! 再びきらめく隼の如き二刀!
テイクはまともに喰らい……しかし倒れない。耐えた! 耐えたのだ!!
『何っ!?』
「ついでに言うとなあ――」
ゴシュウ! スチームモンキーがすさまじい蒸気を吹き出す! タメ攻撃だ!
ダメージ比率が100%を突破したいまのテイクの放つスマッシュたるや!
「破壊の風は、お前じゃなくて王子のほうだろうがぁーっ!!」
『グワーッ!?』
SMAAAAAAAAAAAASH!! 炸裂、逆境粉砕(ピンチ・クラッシュ)!
己のピンチを力に変える一撃が、破壊の化身を空中にふっ飛ばした!
「さあて、それじゃあ僕も最後の切り札、おみまいしよっかな」
ぴしりと莉亜の頭上、空間にヒビが走り、世界の外から何かがやってくる。
ぬうっと首を出したのは、全長が数百メートルはありそうな腐触の龍である!
「お、おっきいね……!?」
「なんだそのデカさ! ステージギミックかよ!」
「いや、あっちのほうが主人公っぽいから、ボスっぽいので攻撃しよっかなって」
驚くパームとテイクに、莉亜はのんきな調子で答える。
「後輩参戦のお祝い、持っていくといいよ」
『それが俺には不服だと言っているのだァー!!』
「じゃあ滅ぶしかないんじゃない? はい、じゃあよろしくー」
龍が咆哮し、すさまじいブレスを吹き出した! 迸る凍てつくほどの波動!
『グワーーーーーーーーーッ!!?』
破壊の彼方に怪人が消えていく……これが、世界を食らうものの力だ!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
荒・烏鵠
役に立つ弟(f14324)と。@WIZ
お、王子!ローなんとかの王子!略してもょもと!実際スゴイ場違い!!
主人公なのにじゅもん使えないからでは?イオナズン使えないと面接受からないらしいっすよ大乱闘。知らんけど。
物理には物理だ、いけっいーちゃん!れんぞくパンチ!
オレは癒しの神龍を呼び出していーちゃんに纏わせる。これで攻撃食らってもすぐ治せっからガチンコインファイト出来ンだろ。
オレは後ろからちまちま属性符や風で攻撃しましょ。そーれ風の傷。ア、コレゲームじゃなくてマンガの技だったワ。
王子王子、乱闘はアレでもツルハシの邪神サマは大歓迎ッつってましたよ!温かみのある手作りダンジョンでお待ちしていますって!
イリーツァ・ウーツェ
烏鵠(f14500)と行動。
【POW】
烏鵠が意味のわからない言葉を大量に使っている。
はしゃいでいるのだろうな。良い事だ。
言っている意味はまるでわからないが。
もよ……? 今の単語は、どう発音したのだ。
あの青いのを殺せばいいのか。
れんぞ……【流撃手】のことか?
大振りな剣は避けやすくて良い。
盾。そんな物で竜の暴威を防げるとでも思ったのか。
良かろう構えておくがいい、盾ごと打ち砕いてやろう。
多少の傷は無視だ。砕けても千切れても烏鵠の術が直す。
真の姿を解放しよう。竜の力を知るがいい。
(怪力+見切り+全力魔法)
●ドラゴンのクエスト(物理)
『ぐ、うう……』
三人の猟兵の連携プレイにより、怪人はもはや死に体であった。
だが破壊の化身はボロボロに成り果ててなお、消滅をよしとしない。
なぜだ? 一体やつを、何がそこまで引き止めるというのか?
……憎悪である。エクエクへの、己を参戦させなかった何かへの憎悪!
それは甚だ筋違いの八つ当たりなのだが、それがオブリビオンというもの。
『おのれ、エクエクめ……貴様らのせいで……!!』
歪んだ論理で世界を破壊するからこそ、奴らは世界の敵なのだ。
「お、王子! ローレ……なんとかの王子!!」
そんな怪人の痛ましい姿に、なぜか荒・烏鵠はテンションアゲアゲである。
隣に立つイリーツァ・ウーツェは、無表情のまま不思議そうに首を傾げていた。
「私にはよくわからないが、烏鵠がはしゃいでいるのはいいことだ」
うむ、と特に感慨なく頷く弟分。狐は物知りだからね、仕方ないね。
「略してもょもと!!」
「待て、ローレなんとかをどうして略するとそんな言葉になる。というかどう発音した」
「え? いーちゃん言えねェの? もょもとって」
「…………」
口に出すとみょもと、とかもよもと、とかになりそうなので黙るイリーツァ。
そもそも彼は口が達者ではない。ロックを歌おうとして吠えるくらいのアレだ。
『猟兵……俺を滅ぼしに来たか……!!』
「イヤそもそもスゴイ場違いじゃンよアンタ! ここエクエクの店だぜ!?」
「怪人にふさわしい居場所など、骸の海以外にあり得んな」
「そォいうハナシでもねぇンだけどナ!」
別の方向に納得したイリーツァはさておき、烏鵠は云う。
「だってさァ、アンタ主人公なのにじゅもん使えないジャン? だからでは?」
『だが俺にはこのフィジカルがある!!』
「ほう、力自慢か。私の前に立った上でそれを誇示するとは面白い」
「ほらー妙なコト言うからいーちゃんに火ィつけちゃったァ!」
けたけた笑う烏鵠。だがこうなれば物理には物理である。もともとそのつもりだったのだ。
相手が魔法を使えない分パワーで力をストレングするというのなら!
決して役立たずではない、いやむしろ役に立つ盾の龍が相手にふさわしい!
「てなわけで、いけっいーちゃん! れんぞくパンチ!」
「…………?」
烏鵠を二度見するイリーツァ。いいからやっちゃえってポーズをする烏鵠。
あれの言っていることはさっぱりわからないが、戦えと云うなら戦うだけだ。
「れんぞ……ようは連続で殴れということか。いいだろう」
魔杖は必要ない。相手は力自慢なのだから"おもいきりやる"のがふさわしい。
「レディー、ファイッ!」
烏鵠のやけに流暢なカウントのもと、両者はぶつかりあった!
初撃は、意気で勝った破壊の化身が仕掛ける! まっすぐな剣の振り下ろしだ!
『死ねェーピカセンめーッ!!』
「あいにくだが」
ガギン!! ……イリーツァは、真正面からその一撃を、破壊を受け止めた。
無傷である。烏鵠が呼ばわった癒やしの踊り龍の力があれば、
たとえ傷を受けたとしてたちどころに癒やされてしまっただろうが……。
『な、何……!?』
「もよ……なんとかとやら。その程度か?」
イリーツァは依然無表情。その堅牢さを誇りも、敵を嘲ることもない。
これが当然、防げて当然……己が勝って当然という面持ちである!
『ヌウーッ!!』
破壊の化身はあえて搦め手を(もともとそんなもん出来ないが)放棄し、
間合いを保ちながらすさまじい速度での斬り込みを立て続けに撃ち込んだ!
周囲の地形を崩壊させるほどの一撃が、十、いや二十……!
さしものイリーツァの体とて、いよいよひび割れ砕け傷を負う! 無理もなし!
『フハハハハ! これが俺の破壊の力だァ!!』
「ホイそこにそーれ風の傷」
『グワーッ!?』
烏鵠の放った、まるで鉄をも砕く牙のごとき衝撃波が破壊の化身を怯ませる!
それは近いのだがだいぶ遠くないだろうか! いや何がどうかはよくわからないが!
会社的な意味で多少近くはある! 何がどうなのかはよくわからないが!!
「大振りな上に単調な攻撃だ。避けるのは容易いが」
一方、イリーツァはあえて剣を受けたと見える。その傷も龍の力により、
即座に癒やされ塞がっていく。堅牢にして不屈たるは、まさにドラゴンそのもの。
「どうやら、ここまでのようだな。化身を謳うには足りん」
『くっ、俺を嘗めているのか!?』
「? なぜお前を嘗めなければならない」
心底不思議そうに首を傾げたイリーツァに、烏鵠は肩をすくめ苦笑する。
「いーちゃんがバカにしてると思ってンだよ、その王子サマはナ!」
「なるほど。よくわからんが、烏鵠が云うならばそうなのだろう」
イリーツァは敵を軽んじても重く見てもいない。ただ『己には勝てない』という、
厳然たる事実を理解し、そのとおりに動いているだけの話だ。
時として、それこそが……正論や現実こそが相手の神経を逆撫でするものだが。
「では私の番といこう」
ミシミシと音を立て、イリーツァのシルエットが揺らぐ。真の姿。
破壊の化身は咄嗟に盾を構える。イリーツァはわずかに沈黙した。
「……そんなもので、龍(わたし)の暴威を防げるとでも思ったのか」
ならば、よかろう。いちいちインタラプトをする必要もない。
「ところで王子王子、消えちまう前にひとつ言っときたいンだけどよ!」
決着の気配を察した烏鵠は、後方から敵に呼びかける。
「大乱闘のほうはアレでも、ツルハシの邪神サマは大歓迎ッつってましたよ!」
『なんだと!? それどこ情報?』
「SNS! 温かみのある手作りダンジョンでお待ちしてますってサ!」
『……………………却下だ!!』
しばし悩んだのちに激高する破壊の化身。こいつの導火線どこにあんだよ。
そもそも烏鵠の話はマジなのだろうか。邪神が使ってるSNSってなんだ。
「そっかァ――ンじゃ仕方ねェな。いーちゃん、かいしんのいちげきだ!」
「連続で殴ればいいのか一撃で済ませればいいのか、一体どちらだ」
などと烏鵠に言いつつ、イリーツァは全身を力で満たす。筋肉の緊張……!
「まあいい。龍の力を知るがいい。歯を食いしばれ――」
瞬間、イリーツァの姿が消えた。盾を掴み、逃れられぬよう拘束!
そして大気が爆ぜた! そうとしか思えない速度で、凄まじい威力のパンチが、
一瞬のうちに80発叩き込まれたのだ! 龍の暴威ここにあり!
『!?!?!?!?』
破壊の化身は驚愕した。断末魔をあげる瞬間すらも彼には許されなかった。
欠片一つ遺さぬ龍の拳が、体を砕き、砕き、最微塵まで叩き潰して消滅させたのだから……!
「こんなところだな」
「お疲れェいーちゃん、こうかはばつぐんだ! ってヤツだナ!」
「……烏鵠の言うことが、いつにも増してよくわからんのだが」
「ワカったら逆にこえーよ! いーちゃんはそれでいンだって」
「そうか」
「そうさ」
兄弟を名乗る男達のやりとりは、どこまでもいつもどおりだったという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オルハ・オランシュ
ヨハン/f05367と
奴隷時代に一生ものの友情を築いたって顔してるよね
私、ふたりの友情大好き
参戦できなかったのは仕方ないよ……
その資格があったのは息子の方だもん……
嫁を選ぶ?何言ってるの?
選ぶもなにも、元気で明るい子一択でしょ!
追加枠は除外として
もうひとりの人は、苦手だな
だってお嬢様だから
……ヨハンの許嫁さんを連想しちゃうから
なんて言いたくても言えない
あの幼少期の冒険は心に響かなかったの?
!!
どうせ髪をおろした女性なら誰でもいいんでしょ!
お嬢様をお嫁にして、その後の幼馴染を見て罪悪感を覚えないなら
人としてどうかと思うんだけど!
なに?王様は口を挟んでこないで!
【早業】UCでかいしんのなんとやら!
ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と
あの人なんだか奴隷っぽい気がしますよ
いや王子か?王子から奴隷に?そんな気配がします
確実に嫁を選べる立場の癖に望み過ぎじゃないですかね
参戦出来なかったくらいで何を言っているのやら
いえ俺はこの人の事など全く知りませんが
何言ってるんですかオルハさん
幼馴染だからと情に流されてませんか?
おとなしそうに見えて芯が強く魔法も強い
俺は彼女推しですね
髪を下ろしているのも好みですし
は?俺の好みにケチつけないでくださいよ
幼少期なら追加要素だが彼女とも出会ってますし
幼馴染だからとそのまま将来までって圧力激しいんですよ
最終決戦前の彼女のセリフは家族の事まで想ってうるさい魔物使いは黙ってろUC
●映画が楽しみですね
……だが滅ぼされてなお、破壊の化身の憎悪はとどまるところを知らない。
むしろ猟兵に打ち砕かれたことで、ヤツの八つ当たりめいた怒りは増したのだ。
そして骸の海から即座に招来した破壊の化身は、再びエクカフェの破壊を目指す。
『もはや遅れは取らん……!!』
ところで、なんでコスチュームが変わっているのだろうか?
ターバンっぽい頭巾になぜかローブ。武器はそのままだが、なぜだ!?
『参戦できたアイツの格好ならば、俺は勝てる!!』
くわわっ。多分に間違った思い切りの良さを発揮した怪人である。
そもそも参戦がどうとかなんとか、こいつの云うことはよくわからない。
「あの格好……!」
そんな破壊の化身テイク2の姿を見たオルハ・オランシュは言葉を失った。
なんだろうか。このコスチュームに思うところでもあるのだろうか。
「……なんだか、奴隷っぽい感じがしますね。なんとなくですが」
そんな彼女にツッコミを入れ……あれっヨハン・グレインもなんか言ってるぞ!?
オルハの奇行に軽くヒきながらツッコミを入れる君はどうしたんだ!?
「やっぱりヨハンもそう思う? 奴隷時代に一生モノの友情を築いたって顔してるよね」
「ええ、しかし王子っぽくも……いや、王子から奴隷に……?」
なんかよくわからないことを言って二人は頷きあっていた。
ヨハンすらもこうなってしまったいま、待っているのはボケにボケをかけた地獄。
数式で言うとボケ^ボケのメイルシュトロームである! おお、神よ!!
『……貴様ら』
「私、ふたりの友情大好きだよ。でも参戦できなかったのは仕方ないかなって」
「そうですね、確実に嫁を選べる立場のくせに望みすぎというものです」
『おい貴様ら』
「そもそも資格があったのは息子の……って待ってヨハン」
「なんですかオルハさん」
『……おい』
「お嫁さんを選ぶ? 何言ってるの、あんなの元気で明るい子一択でしょ!
まあ追加枠は例外として……もうひとりの方はなんか苦手だな、私」
「オルハさんこそ何を、幼馴染だからと情に流されてませんか?
おとなしそうに見えて芯が強く魔法も強い。俺は彼女を推しますよ」
『おい』
「まあ、たしかにそうだけど……でも、お嬢様だし……」
「そこはさておき、髪を下ろしているあたりも俺としては好みです」
『おい!!!!!!!!!!』
完全に自分そっちのけで言い争いをするオルハとヨハンにブチギレる怪人。
だがふたりは話を聞いちゃいない! 完全にヒートアップしている!
「で、でも! 幼馴染の方は幼少期のあの冒険があるじゃない!」
心に響かなかったのか? となぜかやけに食って掛かるオルハ。
「それはそれ、これはこれですよ」
「そんなこと言って、どうせ、髪を下ろした女性なら誰でもいいんでしょ!!」
いやに不機嫌そうなオルハ! なぜかな!?
それは、彼女がヨハンのことを……なんだからね!
でもヨハンには許嫁がいるらしい! つまり彼女はそれを思い出しているんだ!
青春だね! 残念ながらヨハンは何も察してないけどね! この唐変木!!
「は? 俺の好みにケチつけないでくださいよ。誰でもいいというわけではないです。
だいたい追加要素でなら、あちらの彼女とも幼少期には出会っていますし」
「で、でも! お嬢様をお嫁さんにしたらそのあとの幼馴染を見たでしょう?
あれを見て罪悪感を覚えないなんて、人としてどうかと思うんだけど!?」
「それですよ。幼馴染だからとそのまま将来まで、なんて圧力が激しいんです。
そういう重いのはノットフォーミーですね。やはりお嬢様でこそですよ」
徹底抗戦を主張するヨハン、人格攻撃まで始めたオルハ!
なぜだ、息の合った連携をこなすふたりがどうしてここまで喧嘩しているのか!?
……そもそも幼馴染とかお嬢様とか、一体何のことかな? ヨクワカラナイ!
『貴様らァーッ!! 俺を無視するなーッ!!』
「王様は口を挟まないでかいしんのいちげき!!」
「うるさい魔物使いは黙ってろ沈め」
『グワーーーーーッ!?』
同時に放たれたウェイカトリアイナと黒闇の攻撃が破壊の化身をねじ伏せた!
どうしてそこまで息が合っているのに喧嘩をするのだふたりよ!
でも仕方ないんだ、これは永遠の対立であり避けようのない戦い……!
倒れる怪人をよそに、喧々諤々の言い争いを続ける両者である!
「まあでも、追加枠はないよね」
「そこに関しては同意します」
あれっ決着したぞ!? でも追加枠もいいと思うんですが!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルベル・ノウフィル
麻雀したらよかったんじゃないでしょうか
いえ、僕詳しくは知らないのですけれど…
麻雀で人気が出たって死霊が言ってて
そう、死霊がエクエクに詳しいんですよ(言い訳を思い付いたぞ
あとやっぱり蠍とかじゃらあとか
船が傾いて落ちるとか
動き止めないと滑っていくとか
敵の陰に隠れないと全員石化するとか
そういうのが意外とメモリアルで
僕は早業でコスプレしましょう
そうですね、薪を手に持って
エンター(略)発進!
愛と勇気だけがフレンズでございます
墨染を手に
死霊をむーたんと呼び
可愛くないむーたんでございますね
倒した後は緑髪の村滅ぼされてそうな方に
エルフのお人形をそっと捧げましょう
安らかにお休み(無理やりいい話っぽく持っていく
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
…えー、と?あー、その…なに?(←反応に困っている)
大集合のお祭りでチョイ役しかもらえなかった、とかそーゆーアレ?(←ガチでビタイチ知らない)
…………敵みたいだし撃っちゃっていっか。(←理解放棄。雑にめんどくなった)
大剣に大盾に鎧兜…わかりやすいくらい典型的な重装歩兵ねぇ。
んじゃ、防御の通じない攻撃、ってのが定番の対策かしらねぇ。
煙幕・閃光手榴弾の〇投擲による〇目潰しから●射殺での〇暗殺。
あたしも魔法適正は絶無だけどいろいろやりようはあるの。…あなたも知ってるでしょぉ?
なんかよくわかんないまんま撃っちゃったけど。…大丈夫、よねぇ?
…深く考えたら負けだし、いっか。
●考えるな、感じるんだ
「…………えー、と?」
ティオレンシア・シーディアは、まことに珍しいことに困惑していた。
そう、困っていたのだ。どう反応したらいいのかさっぱりわかんねえから!
「ようは、大集合のお祭りでちょい役しかもらえなかった、ってことかしらぁ?」
そもそも怪人が言っていることはようわからんたわごとである。
それにわざわざ付き合ってあげるティオレンシア、かなり優しいと言えよう。
「わけがわからないですよね、僕も全く詳しくないんですよ」
などと、そんな彼女にしたり顔で同調してみせたのはルベル・ノウフィルである。
「あらぁ、そうなのねぇ。……でもあなた、さっきエクエクのことやけに詳しそうだった気がするけどぉ」
ティオレンシアがチラッと見た時ルベルはバリバリエクエクを遊んでいた気がする。
むしろそこらのピカセンよりずっと詳しそうな気配があった。気配が。
「いえ、全然詳しくないですよ。多分ほら、あれですね。あの怪人は……そう。
麻雀……麻雀をしたらよかったんじゃないでしょうか? そう思いますぞ」
「…………なんで麻雀なのかしらぁ?」
「それはもちろんエクエクに麻雀が あっ」
しまったという顔をするルベル。無言のティオレンシア。
「……そう! 死霊! 死霊がエクエクに詳しいんですよ」
えっ!? みたいな顔をする、召喚された死霊(ルベルの背後のすがた)。
「エクエクは麻雀で人気が出たと死霊が言っていたんです」
「なんでダークセイヴァーの死霊がキマイラフューチャーのゲームに詳しいのかしらぁ」
ティオレンシアは訝しんだ。だがもう疑問に思うのもいい加減面倒くさい。
「まあさておきぃ、敵だから撃っちゃっていいわよねぇ」
「そうそう、さっさとぶっ殺すのがいいですぞ!」
『……俺この流れで殺されるのか!? ふざけるな!!!!!!』
怪人の怒りもごもっともだが、銃声がそれをつんざくのだった。
BLAMBLAMBLAM!! 考えることを放棄したティオレンシアの銃撃が敵を襲う!
なんだか空の花嫁を選んだり選ばなかったりしそうなコスチュームのまま、
破壊の化身は慌ててこれを盾で弾いた! フィクサーの確定的殺意、コワイ!
『いきなり何をする! もう少しこうエクエクのことを俺に主張するとか』
BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!!
「全然わかんないのよねぇ」
『なんでここにいるんだ貴様!?』
「そりゃあなたがエクカフェを破壊しにきたからでございますよ」
ごもっともなことを云うルベル……を、ティオレンシアは二度見した。
「……なんでコスチュームが変わってるのかしらぁ?」
「コスプレというやつですな!」
「いえ名称の話をしてるんじゃないのよねぇ」
完全にズレたボケをかますルベル、おもむろに右手をバッとかざす。
「エンタープライス号、発進! ……でございます」
「あっ、エクエクのキャラなのねぇ、それぇ」
ようやく理解したティオレンシア。破壊の化身は顔を真っ赤にして飛び上がる!
『おのれーッ!! どいつもこいつも俺をコケにするかーッ!!』
「別にそういうわけじゃないんだけれどねぇ……」
ティオレンシアはふうと溜息をついた。真面目じゃないのはあっちのほうだ。
だがそれがオブリビオンであり、もっと言えばそれが怪人なのだ!
「あなたやエクエクのことはよくわかんないけどぉ、あなたの怒りが筋違いなのはわかるわぁ」
「そうでございます。だいたいエクエクだってエモくてメモリアルなんですぞ。
船が傾いて落ちるとか、動き止めないと滑っていくとか、石の影に隠れないと石化するとか」
「やけにデッドリーなのねぇ……ていうかやっぱり詳しいわよねぇ?」
死霊に責任転嫁したいんだかそうでないんだかいまいちわからないルベルである。
「僕のことはさておき、さっさとあいつをやっつけるのでございます!」
『キイーッ!! 邪魔だ猟兵、どけーッ!!』
「まぁそうねぇ。怪人相手に云うこと聞いてやる義理はないわぁ」
おもむろにスタングレネードを放り投げるティオレンシア!
怪人が盾でこれを避けようとするが、それより早く正確なスナイプがグレネードを撃ち抜いた!
カッ! すさまじい閃光があたりを輝かせ、敵はそれを直視してしまう!
『グワーッ!?』
「魔法適性なんてなくても、やりようはあるのよぉ?」
BLAM! 狙いすました射撃が破壊の化身の鎖骨部分を正確に撃ち抜いた!
「確定的でございますな!」
「深く考えたら負けだものぉ」
「ごもっともでございます。では僕もひとつ」
両目を抑えて苦しむ怪人に、なぜか手に持つ薪でビシッと示すルベル。
「さあむーたん、ゴーでございます!」
「…………その死霊のことかしらぁ?」
えっ俺なの!? みたいな顔をしている(ルベルの後ろに浮かぶ)死霊。
ルベルはちらっとそちらを見てから、露骨に舌打ちした。
「かわいくない上に役に立たないむーたんでございますね……。
どうせ僕のフレンズは愛と勇気だけでございます、しからば参りますぞ!」
最後に頼れるのは自分だけだ。ティオレンシアの射撃による隙を狙い、
ルベルの墨染が破壊の化身を切り裂いた! 敵のユーベルコードの力を奪い、
それを魔力として刃にまとわせた斬撃である。ダメージは強烈だ!
『グワーッ!?』
「…………ところであれ、エクエクのキャラなのかしらぁ?」
「いえ、何の関係もない怪人ですぞ」
「ほんとになんでここに殴り込んできたのかさっぱりわからないわねぇ……」
ティオレンシアは溜息をついた。それがキマイラフューチャークオリティ……!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リア・ファル
【Dトリガー】
…。逆恨みだよね?(敵に)
誰一人、主役をガラじゃない、と言うメンバーで
主役足りえる破壊の化身を、終幕に落とす
ヌァザで剣劇の度に、触れた刃から「ハッキング」で「情報収集」
対象の情報をヴィクティムさんへリーク
UC【慧眼発動】で、既に台本は理解した
致命の一撃への輪舞を踊り務めるのみ
治癒反転に乗じて、破壊の化身の隼
…そのハカブサにハックから「呪詛」で呪いも付与
元から呪われてそうだしね、その剣
彼が端役なら、ボクはお助けキャラってね…やれやれ、最後はボクか
ヴィクティムさんのプランにボクの戦術も組み合わせる。
ダブルのトリガー。なかなかデンジャラスでもあったでしょ?
…。逆恨みだよね?(味方に)
ヴィクティム・ウィンターミュート
【Dトリガー】
なんだァ?てめェ……
俺は今虫の居所が悪いんだ
分かるかぁ?
俺のナナリー・ロルルエッジを殺されたんだ
許せねえ、許せねえよ!
大体なんだお前!
出演はできたのにまだ高望みするか!?
櫻衣だって頑張ってんだよ!!
全員バリエーションになるのは難しいんだ!大人の事情なんだ!
つかそれよりマチェット&ブランク参戦まだ!?
ハッ!俺は一体何を…!
ええいもうどうでもいい!
ナナリー・ロルルエッジの仇!(?)
おらっ、その小賢しい隼返しを潰してやる
発動をUCの予知と【見切り】で完璧に把握
ダメージを与える→回復するに反転させてやる
攻撃を潰して治療に変えられた気分はどうだ!
そうだ!この治癒は!
俺のナナリーの力だぁ!!
鳴宮・匡
【Dトリガー】
こいつら(※味方も含む)が何を言ってるのか毛ほどもわかんねーけど
とりあえずこいつを殺せば終わりなんだよな?
さっさとやろうぜ、いい加減疲れたし……
前を務めるリアを射撃で援護する
主に狙うのは剣を持つ腕だな
攻撃の起点はほぼそこ一本だろ
なんか物理攻撃以外のこと全くできなさそうな感じするし
多分魔法とか特技的なのとかなさそうだし……
隼返しの初回はヴィクティムが反転で防ぐだろ
ならこっちは二度目以降を防ごうか
散々腕にぶち込んでやったしな
【抑止の楔】でそのまま封殺するよ
……もうお前主役でいいんじゃね?
最近のゲームとかだと女の主人公とかいるんだろ
よくわかんねーけどそういうことなんで
止めは任すぜ、リア
●主役は誰だ?
『おのれーッ!! どこまでも俺を愚弄するか猟兵ーッ!!』
魔物使いっぽいコスチュームを脱ぎ捨て、激高する破壊の化身。
やれエクエクのせいで参戦できなかったなんだと妙なことを口走っている。
「……逆恨みだよね?」
リア・ファルは、一緒にいるふたりのほうを見ながら言った。
しかしあいにく鳴宮・匡は相手の言い分にいちいち耳を貸すタイプではなく、
「どうでもいいよ、こいつを殺せば終わりなんだろ?」
といつも通りの顔で物騒なことを(事実ではあるが)言っていたし、
「なんだァ? てめェ……」
と、ヴィクティム・ウィンターミュートはキレていた!!
「俺はいま虫の居所が悪いんだよ……てめェにわかるかぁ?」
『なんだと……』
怪訝な顔をする怪人に対し、ヴィクティムはまくしたてた。
「俺の、俺の大事なナナリー・ロルルエッジ(28)を殺されたんだぞ!
許せねえ……許せねえよ! てめえらオブリビオンが許せねえ!!」
「そのオブリビオンがなりきってた怪人の話だよね? しかも殺したの匡さ」
「いや、そのナナリーとかいうのは別に殺してないけど」
「うわっ合ってるけど間違ってる方向に誤解加速させる台詞だそれ!」
別に嘘を言っているわけではないので、匡は心底不思議そうに首を傾げる。
たしかに匡はそのナナリー某(趣味はお菓子作り)は殺してはいない。
というかそもそも、そのキャラはヴィクティムが妄想した自キャラ設定だし、
射殺したのはオブリビオンがなりきった偽者だし、相手は怪人だからそれが正解だ。
「くそっ、やっぱり奴らの策略だったのか! なおさら許せねえ!!」
「よくわかんないけどやる気になってんならさっさとやろうぜ」
憤るヴィクティム、戦闘態勢を整える匡、可哀想に怪人を見るリア。
『おのれおのれおのれーッ!!』
誰一人として主役らしからぬ猟兵達に、出番を欲する怪人はなおキレるのだ!
そしていざ戦闘開始、というところでヴィクティムがビシッと怪人を指差す!
「大体なんだお前! 出演はできたのにまだ高望みするのか!?」
「ヴィクティムさん……?」
「Daichiの櫻衣(※クリエイター名)だって頑張ってんだよ!!」
「ヴィクティムさん?」
「全員バリエ―ションになるのは難しいんだ! 大人の事情なんだ!!
つかそれよりマチェット&ブランク(※ゲームのキャラ名)参戦まだ!?」
「ヴィクティムさん!? でもガンジョーとバズーイは参戦したよね!」
「おう! それはそれで嬉しいぜ!!」
キレていたと思ったら突然意気投合するリアとヴィクティム。
そんなふたりを匡は『なんだこいつらは』みたいな顔で横目に見ている。
「……いや、さっさと殺ろうぜ。いい加減俺、疲れたんだけど」
『何ぃ? 貴様、俺の主張も仲間の主張も全部どうでもいいというのか!!』
「どうでもいいだろ。戦闘に関係ないし、何を言ってるのかもわかんねーし」
『こ、こいつ……!!』
匡のセメントな言葉は、破壊の化身の怒りに油を注いだだけである。
「ハッ!? 俺は一体何を……!?」
一方、まくしたてていたヴィクティムはトランス状態から我に返った。
「俺は正気に戻った! 今度こそ行くぜ、リア、匡! ナナリーの仇だ!!」
「なんでもいいからさっさとやってくれ、援護はする」
(仇はそこにいる匡さんなんだよなぁ……)
ヌァザを構えつつ、戦意に水を差さないよう大事なことは黙っておくリアだった。
『貴様らに俺の怒りを教えてやるーッ!!』
そこへ飛びかかる破壊の化身! すさまじい破壊力を持つ刃が……ガギン!!
振り下ろされたところで、リアの魔剣ヌァザがこれを迎え撃った形である!
「そうはさせないよ! 匡さん、援護よろしくっ!」
「ああ」
抑えめの銃声が戦場をつんざき、弾丸が正確に怪人の肩部や二の腕を狙う。
だが敵もさしたるもの、これを盾あるいは切り払いで防ぎ、攻撃を繰り出す。
さしものリアとて、大地をも砕く剣と隼の如き破壊の風には防戦一方だ!
(……と、相手は思ってるだろうが……それがもうArseneの術中なのさ)
最後方で戦場を俯瞰するヴィクティムは不敵な笑みを浮かべる。
実はリアが前に出ているのは、攻撃を後衛に届かせないようにするだけでなく、
ヌァザで撃ち合うことで敵の情報構造体にハッキングを仕掛けることにあった。
剣が打ち合うたび、ヴィクティムのもとに様々な情報が蓄積されていくのだ。
敵のパワー、スピード、身のこなし、剣筋の癖、視線の動き……。
ひとつひとつ、怪人の化けの皮が剥がされていく。すべてはシナリオ通り!
「ふふん、力任せの攻撃がボクは倒せないよ?」
『ナメた口をきく猟兵だ、ならば俺の破壊の風で吹き飛ばしてやる!』
隼返し! それは神速に等しい斬撃を浴びせ、さらなる追撃による破壊の風!
この時を待っていた。リアの大口は、怪人に対する挑発だったのだ!
「そいつは悪いが見えてるなぁ!」
『何っ!? グワーッ!?』
リアの体を切り裂くと見えた斬撃は、たしかに命中した。
しかし! 不可解にもダメージを受けたのは破壊の化身のほうである!
これそアタック・プログラム"リバース"。すなわち運命を逆転させる妙手。
ヴィクティムのハッキングによる、ユーベルコードの反転事象だ!
『この……』
「悪あがきをしようってんでしょ? ところがそうはいかないんだよね」
『か、体が……鈍い!?』
赤黒の触手めいたモヤが、破壊の化身とその剣の刃を包み阻害している。
呪詛である。リアのハッキングで付与された呪いが、刃から本人に移ったのだ。
もはや神速の斬撃破れたり! なおもあがく怪人に、的確な銃撃が降り注ぐ!
「いい加減終わりにしたいんだ、これ以上動かないでくれよ」
『グワーッ!?』
肩・肘・さらに膝! 関節部を狙った、匡のスナイプめいた射撃である。
"抑止の楔"に穿たれた破壊の化身は、もはや回避すらもままならない……!
『お、おのれーッ!!』
だが怪人にも意地がある。捨て身の攻撃をリアに向けて放つ……が!
ピロリロ。なんだかレトロな回復っぽいSEがどこからか聞こえてきた!
「ワオ! なんだか回復したよ!?」
「言っただろ、もうお前の敗北は覆らねえってな」
喜ぶリアにヴィクティムはきざな笑みを浮かべ、怪人を指差す。
「攻撃を治癒に変えられた気分はどうだ? そう、これがナナリーの力だ!!」
「誰だよナナリーって……もういいから、リア、終わらせてくれよ」
ヴィクティムのボケにうんざりした匡が、ダメ押しの射撃とともに言う。
「最近のゲームだと、女主人公とかもいるんだろ? よくわかんねーけど。
比較的まともなお前が主役ってことでさ、とどめは任すぜ、リア」
「やれやれ、端役とお助けキャラならボクのほうが適任だよね」
頭を振りつつ、リアはヌァザを構える。
『う、うおおおーッ!!』
「そこでカウンター狙いの斬撃。うーん、あいにくこれも『知ってる』んだなぁ」
横斬撃をかいくぐり、電脳少女はニヤリと笑う。
「ヴィクティムさんのプランにボクの戦術、ダブルのトリガーってとこかな?
そんなわけで逆恨みはさておき、そろそろご退場願おうかなっと! せいっ!」
『グワーーーーーーッ!?』
ヌァザに貫かれた怪人の断末魔! そして仰向けに倒れ……大・爆・発!!
「ナナリー、仇は取ったぜ……!」
「……やっぱりそれ、逆恨みだよね?」
「逆恨みも何も、誰だよナナリーって」
三人はというと、相変わらずの調子であったという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メルノ・ネッケル
何言っとるのか分からへんけど……アンタが出れんかったのはアンタら側の問題やろ、エクエクに責任転嫁したって何一つ解決せえへんわ!
腹いせでイベント壊されちゃ堪ったもんやない。
根性叩き治したる、骸の海までぶっ飛ばされろ!
向こうの剣は速い……間合いに頼るだけじゃ危険。
ここぞという時は敢えて踏み込む【勇気】が肝要や!
まずは仕込み、カウントスタート!
1秒ずつ数え、後退しながら牽制射撃!
狙いは甘くてええ、数え終わるまでやられん方が大事や。
……9秒!溜めはバッチリ!
行くで、『九秒の狐』【零距離射撃】バージョン!
地を蹴り、敢えて距離を詰めに行く!
狙撃の技を零距離でぶち込む、威力はお墨付きや……さぁ、吹っ飛べぇ!
久留宮・沙月
ふふ……私にしては珍しく、格好良く決められましたね
さて、最後の相手は……なるほど、別世界の存在という訳ですか
その身に秘めた力は相当なもののようですね
ですが、私も刀剣を扱う者の端くれ
破壊の化身を破壊した者になってみせましょう
先の戦いで身体も温まりましたし、戦神の見識で更にテンションを上げていきましょう
ですが、飛翔能力は使わないでおきます
この相手とは純粋に刀剣の技や体術で戦ってみたいのですよ
敵の一撃はまともに受ければ危険、避けるか刀や鞘で受け流して防ぎましょう
激しい攻防になるでしょうが、一瞬の隙を見逃さずに斬りつけていきます
大きな隙があれば、先の怪人相手に放った二連の居合を撃ちこんであげましょう
バルディート・ラーガ
ムムムッ。なんつーンですかね、あっしのドラゴン的な部分がどうにもソワソワしちまう的な。そんな佇まいの怪人サンじゃアねえの。
あっしはコッチの世界で出会ったスーパーピコピコのゲームにハマッてたモンで、どちらも6辺りが好みですぜ。……何の話ですかいコレ。
ココで狙うは「かばう」で周囲を防御してからの【掏摸の大一番】の発動。
なーンかイケてる武器を持ってそうな予感がしやすし、ひとつパチらせて頂きやしょう。あるいは破壊の……的なナニカからハヤブサ的なナニカを引っこ抜いて使いモンにならなくしちまうとかそういう感じで。
アッ通報はよして下さいよう。全部終わったら消滅しちまうンであっしのログには何もありやせん。
●斬って、撃って、パクる
都合二回滅ぼされたわけだが、その程度で怪人の怒りは収まらない。
……逆恨みもいいところなのにしぶといとは、まさに最悪である。
「なるほど、ピカセンになることも乱闘も出来ないあまりぶち壊しに来た、と。
その身に秘めた力、相当なもののようですが……私も大したものですよ?」
と、久留宮・沙月は得意満面といった様子で怪人に言い放った。
先の集団戦で、本人的には珍しく格好良くキメられたのが嬉しかったらしい。
愛刀をちらつかせ、同じ刀剣使いとして受けて立とうという構えである。
「そもそもや、アンタのその怒りにエクエクもうちらも一切関係ないやろ!
自分の問題を責任転嫁したって何も解決せぇへんで、ようわからへんけど!」
びしぃ! と指差し突っ込みをするメルノ・ネッケル。ごもっともである。
だが正論で納得してすごすご退場するようならオブリビオンじゃないんだなあ!
「……それにしてもなんつーンですかね、こう……」
「なんや、どないしたん?」
なにやら物言いたげな様子のバルディート・ラーガに怪訝な顔をするメルノ。
「いやあ、こう……ムムムっと、あっしのドラゴン的な部分がどうにもソワソワしちまって」
「ドラゴン的な部分」
上から見ても下から見てもリザードでマンなバルディートである。
……ドラゴニアンなんだね彼は。沙月はキマイラだと思いかけた自分を恥じた。
「あの怪人サンの佇まいを見てるとそンな気分になるンですよなア。
ちなみにあっしは6あたりが好みですぜ。どっちも。あっちもこっちも」
「あっちもこっちもわからへんのやけど!?」
「実際人気は高いですよね、どちらも」
「せやからどっちも何もなんの話!?」
なんの6だかわからないメルノと、なにやら納得したらしい沙月。
よくはわからないが、たしかにどっちも6も名作ですよね。オペラとか好き。
……何の話かは、まったくもってよくわからないが!! 引換券!!
「ま、まあとにかくや、腹いせでイベント壊されちゃたまったもんやない!
そのひねくれた根性叩き直したるわ、骸の海までぶっ飛ばされろ!」
「そうですね。ひとつ、破壊の化身を破壊した者になってみせましょう」
銃と刀、それぞれ異なる武器を構えてメルノと沙月はいい感じにキメた!
「あー、けど7もやっぱり悪くな……あっ戦闘始まるンでさ?」
バルディートはなんかよくわからない別の話に夢中であった。
何かはよくわからないが、7もだいぶやりこんだので好きです。興味ないね!!
『黙って聞いていれば猟兵どもが、いい気になるなァーッ!!』
一方、破壊の化身は二度も滅ぼされたことも相まって怒髪天である!
お前そこまでエクエクが嫌なのか! 実は好きなんじゃないのかってレベルの執着!
可愛さ余って憎さ百倍ともいうし、案外ピカセンだったのかもしれない。
なんにせよ、エクカフェを……この世界の平和を乱させはしないのだ!
「9秒や!」
『何?』
メルノの言葉に怪訝な顔をする怪人。
「9秒のカウントで、アンタをぶっ飛ばしたるで!」
『ほざいたな猟兵! ならばお前から血祭りにあげてやる!!』
「と、そうは問屋がおろさないのですよ?」
メルノへ真っ向突き進む破壊の化身の前に、沙月が立ちはだかった。
先のノッペロイドとの戦いが、彼女にとっていいウォーミングアップとなったか。
繰り出された力任せの斬撃を、竹箒の仕込み刀で華麗にいなし、受け流す!
『ぬう……ッ!!』
「これまで見たユーベルコードは、私にとっての力となります。
さあ、あなたの力と技、どうぞ存分に披露なさってくださいませ」
ただならぬ神気……再びの踏み込みを沙月は真っ向から居合で打ち返す!
蹈鞴を踏んだ破壊の化身の懐へ、後退するメルノの射撃が突き刺さるのだ!
「ひとぉーつ!」
『ぐおっ!? おのれぇ!!』
だが後衛への攻撃は、沙月が絶対に通さない。必然、両者は死の舞踏を踊ることになる。
破壊の化身と名乗るだけはあり、怪人のパワーもスピードもすさまじいものだ!
(これは、まともに受ければやはり危険ですね……)
「みぃーっつ!」
BLAMN! メルノのカウントの意図は沙月にもわからないが、何か手があると見た。
おそらくはあれ自体がユーベルコードの詠唱であり発動動作に違いない!
(ならば、私はひたすらこの攻撃を耐え抜くのみ……っ!?)
だが沙月にとって誤算だったのは、破壊の化身のスピードには先があるということ。
『邪魔だと言っている――!!』
隼返し! 神速の斬撃が、一瞬受けに遅れた沙月の脇腹をざくりと裂いた!
「く……!」
そして彼女は瞠目する。すでにその時、相手は二撃目を放っていたからだ!
「いつーつ!(ってあかん、あれやばないか!?)」
カウントと射撃を続けながらメルノは慌てた。だがどうしようもない!
沙月の首元めがけ放たれた刃は、いやにスローに見え――。
「っとそいつァいけねエや!」
割って入ったのは、バルディートである!
彼は自ら沙月をかばい、神速の追撃をその身で受けた! 血が飛沫を上げる!
『貴様、ちょこざいな――はっ!?』
そこで破壊の化身は気づいた。剣が……己の手の中に、ない!
眼の前のトカゲがニヤリと笑う。彼の愛剣は盗人の手の中に……!
「思ったとおりイケてる武器でございやすねエ? あらよっとォ!」
『ぐはっ!?』
そして虚を突いての逆袈裟! 破壊の化身はこれを見ながらもかわせない!
なぜ!? それはバルディートの盗みが、ユーベルコートという超常の力ゆえ。
魔法適性のない破壊の化身では、こんな時咄嗟の搦め手を取れないのだ!
『おのれ……ッ!!』
だが敵も怪人のはしくれ、あえて斬撃を自らの体を鞘として受け止めた。
そのまま力任せに、バルディートの手から剣を引き離す!
「ななーつ!」
BLAMN! メルノの援護射撃がバルディートへの攻撃をインタラプト。
倒れ込むトカゲと入れ替わるようにして、沙月が化身へと挑みかかる!
「へへ……こりゃア一本取られちまったア、通報はよしてくださいよう?」
「助けてくれた相手に、そんなことをするものですか」
すれ違いざまにバルディートと沙月はにやりと笑みを交わす。女の視線は敵へ。
もはや神速の斬撃は放たれない。ならば受け流すに技は十分なり!
「いまの一撃は効きました――お返しに同じものをさしあげます!」
『な――グワーッ!?』
疾い! 隼返しに匹敵するほどの、神速の二連続居合である!
舞い散る血しぶきは桜花、あるいは雪時雨めいた風雅なものだ!
そして前衛のふたりが耐えしのいだことで、いまメルノのカウントも……終わりを告げた!
「タメはバッチリや、おいしいとこもらってくでぇ!」
『貴様、この時をねらって……!?』
「おっとォ、だからそりゃダメでございやすよう!」
地を蹴って接敵せんとしたメルノを、破壊の化身は迎え撃とうとする。
だが倒れるかに思えたバルディートが、捨て身のタックルを仕掛けたのだ!
沙月の斬撃によるダメージも相まって、破壊の化身は態勢を……今度こそ、崩した!
「こいつが"九秒の狐"や、さあ、吹っ飛べぇ!!」
怪人の胸部やや中央、しかと押し付けられた熱線銃!
いまそのトリガーが引かれ――銃声が、エクカフェに鳴り響いた!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アダムルス・アダマンティン
【結社】
~これまでのあらすじ~
激戦の末に心に傷を負ったアダムルスは
敬愛していた陛下を斬ったことを悔いていた
その果てに彼は覚醒した――ブラックスライムへと!
▼アダムルスはダークヴェンジャンスをつかった!
▼漆黒を纏ったアダムルスはスライムのような形になった!
…我が名はブラックスライム。悪いスライムではない
だが我はやはりスライム。貴様とは戦う運命にある
種泥棒も、自己中気分屋女も、メタル狩り拒否野生児も全て屠ってくれようぞ
血わき 肉おどるとは まさに このこと。
さあ 戦おう はかいのけしんよ!
▼アダムルスは存在感を放っている!
▼アダムルスは味方を庇った!
▼激痛耐性が発動!
ビリウット・ヒューテンリヒ
【結社】
御大将…
御乱心めされたか…!
雄々しい姿こそ結社の旗印だというのに…!
大体エクエク関係ないじゃないか!
アレはもう逆恨みというものだよ!?
──だが気持ちは分かるさ
せっかくの参戦だというのに、必殺技演出にしか登場できず
挙句にはカンジョー&バズーイ参戦で話題も掻っ攫われた
だけどしょうがないじゃないか…スタッフだってがんばっ
ん?種泥棒
あっ(蘇る記憶)
ああああああ私の種ェェェェェ!!
あれだけ注ぎ込んだのに!唐突なワガママで抜けて!
代わりの子孫にも引き継がれない!
許せるものか!
バロウズ!アカシックレコードアクセス!
魔力を放出する最強の呪文!
メダンテ!メダンテ!
記憶再現だから消費はしないんだけどね!!
ラグ・ガーベッジ
【結社】
「やべーわ5の主人公でもアレは仲間にしねぇ」
「いや俺カンバズ結社のリビングに置いてあったからプレイしたけど
あれセーブできなくね?毎回ゲームオーバーに……」
「……俺主人公にしか種使わねーしなぁ」
「あの女、言いたいこと代わりに言ってくれるから嫌いじゃないんだけど」
「俺レベリングとかしないでストーリーガンガン進めるから……」
「おい漁師の息子っぽいの完全にキレてんだけど」
「いや種盗まれたからじゃなくてお前らが仲間ディスったから……あっ(水流に流されるスライムを見る)」
「……全体的にやる気出ねぇ…………」
●これまでのあらすじ
ノッペロイド軍団との死闘の最中、敬愛するニャニャモ女王を喪ったアダムルス・アダマンティン。
あろうことか己の呪剣が君主を斬ったという事実は、彼に悔恨の苦痛を遺した。
破壊の化身の来訪にも、もはや折れた神の心は動かないかと思われたその時、
アダムルスは新たな"領域"に覚醒したのである……!
一方、胸部をぶち抜かれて死にかけた怪人はなんか雑にパワーアップしていた。
どうするアダムルス! ついていけるのか結社のふたり!
ラグ・ガーベッジはだいぶ帰りたそうだが戦いは始まるぞ!
ポップコーンを片手にみんなも応援しよう!
●そんなわけで
ビリウット・ヒューテンリヒは愕然としていた。
なにせ結社の長、ナンバーズのⅠたるアダムルスがおかしくなったからだ。
なにやらよくわからんロールプレイに痴れ狂ったかと思いきや、
倒れている怪人を見て割とガチめの慟哭、そして体育座りで放心状態。
心のパズルでも組み上げ直してるのかな? みたいな壊れっぷりだった。
そのアダムルスが……ああ、見よ! 彼の姿を!
「御大将……ご乱心めされたか!!」
「やべーわ魔物使いでもアレは仲間にしねぇ」
ドン引きのビリウット&ラグ。視線の先には……なんか黒いスライムがいた。
よく聞いてほしい。あれがアダムルスなのだ。
長針のⅠ、結社の長にして遺されし最後の神、鍛冶を司りし強壮なるもの。
無骨で無表情でぶっきらぼうな、しかし厳しさの中に仲間意識を秘めた男。
実務面でとても頼りになる鍛冶神は、黒いスライムになっていた。
「……我が名はブラックスライム。悪いスライムではない」
心なしかぷるぷるしつつ、渋い声でアダムルス(スライムのすがた)は言った。
これ何かわかる? これね、ダークヴェンジャンス。
おそらくヒーローズアースでも、漆黒の粘液をこんな使い方した奴はいない。
ヒーローでもヴィランでも、間違いなくいない。どうしてこうなった。
『なんだお前』
破壊の化身の反応はごもっともであった。
なお、やつの胸部中央には、なにやら大きな穴が穿たれている。
先の猟兵との戦闘で与えられた大きなダメージ! 消滅はもはや間近だ!
「なんで消えてねえんだあいつ」
『消えるものか!! エクエクを滅ぼすまではなァ!!』
「なんて気迫なんだ……! 乱心した御大将に比べてプレッシャーがすごい!
ていうかあっちもエクエク関係ないし、こっちはおかしくなったしどうすれば!?」
「俺が聞きてぇ」
アダムルス(キマフューのすがた)を見るラグの視線は、冷たい。
「――だが、気持ちはわかるさ」
「は?」
突然妙なことを言い出したビリウットを絶対零度の視線で睨むラグ。怖い。
「せっかくの参戦だというのに必殺技演出にしか登場できず、
挙げ句ガンジョーとバズーイの参戦で話題もかっさらわれてしまったんだから」
「いやお前何いってんだビリウ」
「だけどしょうがないじゃないか! スタッフだって頑張ってるんだ!!」
だん!! とイマジナリ机を力強く叩くビリウット。ドン引きするラグ。
ガンジョーとバズーイ……ラグの記憶にあるアクションゲームが蘇る。
ジグソーパズルを集めたり、セーブできなかったり、毎回ゲームオーバーになったり……。
いやそもそも何の話だこれは。エクエクの依頼ではなかったのか?
『そのとおり! 俺は決して諦めん! うおおおおおおおっ!!』
なにやら奮起した破壊の化身からすさまじいオーラが迸る!
魔法適性がゼロだという弱点を受け入れたことによる超絶パワーアップだ!
つまりこのオーラ的ななんかも増大した身体能力のプレッシャーなのである!
けっして第四のユーベルコードとかではないのでそこは注意してほしい!
……そして光(身体能力の増大に伴うもの)が晴れた時!
そこにいた破壊の化身のコスチュームは、なぜかだいぶ変わっていた。
「……やはり貴様が立ちはだかるか、漁師の息子……!!」
くわわっ。アダムルス(いじけたすがた)が大きく目を見開いた!
心なしかトカゲとか手の上に載せていそうなコスチュームになっていたからだ!
『俺は戦い続ける……エクエクを滅ぼすために。あくまで俺を阻むというのか?』
「当然だ。我はブラックスライム、されどやはりブラックスライム。
種泥棒も、自己中気分屋女も、メタル狩り拒否野生児も、全て屠ってくれよう」
「いやここにはオブリビオン一体しかいねーよ!!」
そこはかとなく最終決戦オーラを出すアダムルスにツッコミを入れるラグ。
一方、種泥棒というワードを聞いたビリウットは、何かを思い出していた。
「あ、ああああ……あああああ!!」
「こんどはなんだよ……」
「私の種ェェェェエエエエエ!!」
くわわっ! ビリウットも大きく目を見開いた! コワイ!
「あれだけ注ぎ込んだのに、唐突なワガママでパーティから勝手に抜けて!
代わりの子孫にも引き継がれない! おまけにムービーはあのブサイク顔!!」
「いやムービーは関係ねえだろ」
「許せるものか……共に戦おう、御大将!!」
「そもそも俺あいつに種使ってねーしなぁ……」
ラグはさっさと帰りてえなと思ったがふたりはやる気十分だった。
「あと自己中っつーけど、あの女言いたいこと言ってくれるから嫌いじゃないんだけど」
「そういうことではないのだラグよ。それに比べてニャニャモ陛下は立派な……。
……立派な、方だったのだ。それをよくも、オブリビオンめ……よくも!!」
「やべえ全体的にやる気出ねぇ」
ラグはさっさと帰りてえなと思ったが怪人のほうもやる気だった。
漁師の息子……もとい破壊の化身(石版のすがた)がくわわっと目を見開く!
『貴様らァ!! どの口がほざくかーッ!!』
「種泥棒の片割れがキレるんじゃあないッ!」
そこはかとなく奇妙な冒険とかしそうな顔でキレ返すビリウットである。
「* 血わき 肉おどるとは まさに このこと。
さあ 戦おう りょうしのむすこ よ!」
「お前それどうやって発音してんだアダムルス」
『俺は破壊の化身だ!!』
「* よかろう ならば 戦おう はかいのけしん よ!」
「だからお前それどうやって発音してんだって」
アダムルス は そんざいかんを はなっている!
ビリウット は バロウズ を れんしゃしている!
ラグ は だいぶ かえりたそうだ!
はかいのけしん の こうげき! はかいのいちげきがふりおろされる!
『死ねーッ!!』
「それはこっちの台詞だ!! バロウズ!! アカシックレコードアクセス!!」
お前こんなことで刻器神撃すんのかよ、的な気配が魔銃から感じられたが、
それはそれとして魔銃は応えた。すさまじい魔力が周囲に満ちる……!
「メダンテ! メダンテ!!」
ビリウットは バロウズ の すべてのまりょくをときはなった!
かいほうされたまりょくが ぼうそうし ばくはつをひきおこす……!
KA-BOOOOOM!! 破壊の化身を飲み込む強烈な破滅! だが敵はなおも健在!
「くっ、やっぱりMPを全消費しないとダメかな!?」
「いやどう見てもお前らがディスったせいでキレてんだろあいつ!」
破壊の一撃がビリウットを襲うかに見えた、まさにその時!
アダムルス が ビリウットのまえに におうだちした!
『何ーッ!?』
「なかなかやるな はかいのけしん! だが 俺には つうようしない!」
「単に負傷も戦闘能力に変換してるだけだろお前」
「ラグよ いまこそ おまえの ちからをみせるときだ!」
「ええ……俺がやんの……?」
ものすごい嫌そうな顔をする最年少(見た目は)である。
『ひっこんでいろ! 貴様のような役立たずのガキに何が出来る!!』
ぶちり。その一言でラグの何かがキレた!
「なんだァ? てめェ……俺様が役立たずたとコラァ!!」
メキメキとラグの体が無数の武器に変化していく!
「魔法も使えねぇ役立たずがほざきやがって! 刻器身撃だオラァ!!」
『グワワワワーッ!?』
「こうなったらバロウズ、あれだ、ミンナデインを使うしかないよ!」
「われは スライムなので デインは つかえないのだ」
「御大将いつまでそのキャラ続けるの!?」
しっちゃかめっちゃかであったという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アストリーゼ・レギンレイヴ
【妹のセレナ(f16525)と】
よく解らないけれどつまり
あなたは、このエクエクとやらを憎み
破壊しようとしているということね
……ならば
その歩み、此処で止めて貰いましょう
救えるものをもう二度と取りこぼさないと決めた
命だけではなく、心も同じ
人々の笑顔を奪うと云うのなら、見過ごすわけにはいかない
行きましょう、セレナ
貴女の力を、あたしに貸して
《漆黒の夜》を纏いて前へ
黒剣を携え、正面から切り結びましょう
術めいたものを使わぬ分、剣筋は鋭く重いでしょうけれど
食らいついていくわ
人々の想いと共に、あたしは戦っている
伴もなく、仲間もなく、大義もなく
ただ破壊する為だけのものとして此処に在るお前などに
負ける道理はないわ
セレナリーゼ・レギンレイヴ
アストお姉ちゃん(f00658)と
参戦できなかったのは可愛そうですが
逆恨みは許しません
推しがもういるから?
いえ、そのようなことは
はい、笑顔を奪う存在を許すわけにはいきません
ともに参りましょう
まるで私たちが悪役のようですね
さながら魔剣士と邪神官……
いえ、私たちは魔王ではありませんし、世界の半分も渡しませんから
【祈る】のは安寧
貴方たちは十分に旅をしました
その仲間たちは、楽しい記憶は、時にあった悲しい喪失は得難いものだったはずです
あのタイトル回収は本当に燃えたではありませんか
それがただ一人で破壊するだけの存在になるのは、悲しいことですから
その思い出を壊すことなく、どうか安らかに眠ってください
●白と黒の双乙女、あるいは3点セットが完成した妹と徹頭徹尾真面目な姉
『ぐう……まだだ、まだ俺は負けない……!!』
「いい加減に楽になられたほうがいいでしょうに……」
なおもあがく怪人を見下ろし、セレナリーゼ・レギンレイヴは溜息をついた。
オブリビオンの悪あがきが見るに堪えないというのも多分にあるが、
それ以上にあの怪人……破壊の化身の姿が不憫に思えた、というのもある。
「参戦できなかったのはたしかに可哀想ですし、残念ですけれども。
だからといって逆恨みで、エクエクを滅ぼそうなどとは許しませんよ」
「セレナ、あなたエクエクとやらだけじゃなくてあの怪人がなんなのかも……?」
姉であるアストリーゼ・レギンレイヴは、心配そうな顔で妹を見た。
金髪に異色の双眸……ちょうどアストリーゼのそれと対になる金色と。
青い瞳がとても鮮やかなセレナリーゼは、自慢の妹であり聡明な子である。
なぜに突然詳細な外見描写をしたかについては察してほしい。おめでとうございます。
「なんだかあたしが知らない間に、いろんなことを学んでいるのね、セレナは。
誇らしいけれど、少しだけ寂しいわ……なんて、冗談が過ぎるかしらね」
仲睦まじい姉妹愛……白と黒で対になる、画になる乙女たちの図である。
……のだが、相変わらず真面目な姉から、セレナリーゼはなぜか目を逸らしていた。
「セレナ、どうしたの?」
「いえ、その、なんと言いますか……」
「もしかしてあなた、割と不純な動機であれを倒そうとしているの?」
「そ、そんなことはないですよ? 推しがもう参戦済みだからとかそんな」
「推しってなんなのセレナ? こっちを見てセレナ???」
妹が……妹がなんか知らんうちに知らん言葉を使うようになっている!!
まあその件は後で聞こう。だっていまは戦闘中なんだからね!
「……なんにしても、あれの歩みを止めないといけないわね」
「そ、そうです姉さん! 笑顔を奪う存在を許すわけにはいきません!」
「うまく丸め込まれた気がするけど、まあいいわ」
「はい、そんなことはないですからともに参りましょう!」
敵は敵だ。斃して平和を取り戻さなければ姉妹の語らいもクソもない。
あとで妹にはちょっと色々根掘り葉掘り聞こう。お姉ちゃんはそう思った。
しかしてボロボロの破壊の化身と相対してみると、なんだか妙な気分がする。
なぜかこちらが悪役になっているというか、あちらが主人公っぽいというか。
「はっ、いわば私達は魔剣士と邪神官……?」
「セレナ? 何を言っているの?」
「ということは姉さんが進化の秘術をアレしてしまう……!?」
「セレナ? ねえたびたび自分の世界に飛んでいくのはやめて???」
妹が……妹がなんか妄想たくましくなっている! なりすぎている!!
「戦いなのよ。そう、これ以上救えるものを取りこぼすわけにはいかないわ。
命であろうと心であろうと……人々の笑顔を、奪わせはしないのだから」
「さすが姉さんです……! そうですよね、私達は魔王ではないですし、
世界の半分を渡したり、邪神にけちょんけちょんにもされません!」
『破壊神だろうが邪神だろうが、俺は全て破壊してやる……!!』
なんかズレたレギンレイヴ姉妹の台詞に、やはりズレた啖呵を返す破壊の化身。
フレーズひとつひとつを切り抜くと割とかっこいいのがなお始末に負えない。
少なくともアストリーゼは、最初から最後までシリアスな顔をしている!
『俺には魔法を使う力はない、だがこの剣と! 怒りがある!!』
「そう。ならば、あたしがそれを砕いてみせる」
アストリーゼは漆黒のオーラを纏い、真正面から破壊の化身を迎え撃つ。
大地をも砕く強烈な剣戟、そして神速の刃!
それらは破壊の化身の怒りと、魔法が使えないという弱点を受け入れた覚悟により、
一撃一撃が並のオブリビオンを遥かに超えるものと化している。
重く鋭く、さらに疾い。だがアストリーゼは、黒剣を以てこれを凌ぐ!
『な、何ぃ!? 俺の破壊の風を耐えしのぐだと……!?』
「当然よ。あたしはひとりじゃない」
そう、アストリーゼの背中……はるか後ろで、祈る乙女がいる。
「あなたたちは十分に旅をしました、どうかもう安らかに……」
破壊の化身……過去の残が至るオブリビオンの、平穏なる眠りすら願う乙女が。
「あなた達の旅は、楽しく時に悲しい旅路と喪失は、得がたいものだったはず。
それを忘れて、憎悪に染まりきってしまうのは、見るに堪えません……」
『ううっ……!?』
ミトロンの書がほのかに輝き、セレナリーゼの背から光輝が立ち上る。
それらはたちどころに寄り集まり、浄化の光槍となって次々に飛来した!
『こ、この程度!!』
「あたしを忘れないで頂戴」
重い! アストリーゼによる踏み込みながらの強烈な横斬撃!
なんたる重さか……その剣に込められたものは、いわば想いである。
アストリーゼ自身、そして彼女の無事をも願うセレナリーゼの祈り。
この状況を固唾を飲んで見守る、この世界の人々の祈りと思いがある!
……その固唾を飲んで見守っている人達、携帯端末を構えて撮影しているのだが、
そのことはさておこう。キマイラフューチャーでは日常茶飯事だし。
『なぜだ! なぜ俺の剣が破壊できない!?』
「あたしには人々の想いと、ここまで連れてきたこの暗黒の闘気がある。
伴もなく、仲間もなく、大義もないお前などに、負ける道理はないわ……!」
「そうです――それに、それだけではありません」
伏して祈っていたセレナリーゼが、静かに目を開く。
「あのタイトル回収は、本当に燃えたではありませんか」
「セレナ? 何を言っているの?」
「……これは別の作品だったような? いえ、まあいいでしょう。
たしかに最終マップの難易度は筆舌に尽くしがたいですが、それはそれとして」
「セレナ??? 戦闘中なのだけれど????」
妹が……妹が隙を見せるとすぐにボケる!!
『そこだ! 隙ありィーッ!!』
「はっ、姉さん!」
襲いかかる一撃……だがアストリーゼは決して避けない。
その時である! 暗黒の闘気が、一瞬だけ騎士めいたシルエットを形作った!
「……?」
常ならぬ変化に眉根をひそめるアストリーゼ。だが逡巡する暇はない。
いまたしかに、大剣めいた形を取った闘気は、それによって敵の攻撃を防いだ。
ならばここが好機である。黒剣に夜闇の如き暗黒の魔力が収束する!
「行くわ、セレナ。あなたの力を貸して」
「ええ。破壊するだけの悲しい存在を、終わらせるために!」
『お、おのれ……おのれーッ!!』
暗黒が、光槍が、まったく同時に白と黒の魔力螺旋となり敵を討つ!
断末魔は苦悶の絶叫――破壊の化身は、こうして三度破壊されたというわけだ。
だが安らかな眠りはまだ遠い。なぜならまだ猟兵がいるから……!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ベリンダ・レッドマン
【バッカス】
私はフェイスを大いに活用するつもりだよ!
やはり今まで共に戦ってきた彼らとコンテンツに挑めるのはアチアチのアチだからね!
まあ討伐は従来通りさ、タイミングが合えばみんなで行くのもいいだろう!
うん?
…………………………ああ!!
物理が強い人かな!?
私は世代ではないのでぼんやりとしか分からないのだけど!
うーむ、何やら色々あったのだろうなとは察するが
今の私はカンペキにエクエク脳なのだよね!
早く帰って漆黒に備えて地図とかしなければなのだ!早々にご退場いただこう!
聖刃3の方はやる時間があるのかは分からないが
メインはデュラム…ゲビン…
何にせよシャルローテは必須かな…?(真剣)
ギド・スプートニク
【バッカス】
フェイスシステムはなかなか盛り上がりそうだな
しかし初見は身内で行くのも楽しかったりして私としては少し悩ましい
だがストーリーを重視するのであればやはり初見はフェイス一択なのだろう
家具のプレビューやクラフターの調整
ライト勢であまりその辺りに手を出したことは無かったが、色々と初心者にも優しい良調整でありがたい
私も今さっきamazonでDL版の予約を済ませた
アーリーアクセスが待ち遠しいな
(ぼちぼち帰りの支度を始める)
なんだ騒々しい
相手の姿を見て、思い当たる節
そういえばドレクエ11やビルダース2も遊べていないのだ
聖刃伝記3のリメイクも楽しみだが、全て遊ぶには猟兵を辞める必要がありそうだな
紺谷・喜々丸
【バッカス】
終くん、キミには血も涙もないんか!
ウッさよならボクの天使、フォーエバー…
(空に向かって祈るエモート)
悲しんでばかりもおられへん
エクエク世界にはボクを待ってる天使たちがまだおるからな…
ボクもギャザクラなぁ、やろやろと思ってここまできてしもたわ
ううん、装備がめちゃめちゃええんよなぁ
今度こそ頑張るか…(軍用マニュアルを握りしめる)
えっ何!?誰!?どちらさま!?
参戦できんかったんは御愁傷様やけどピカセン関係なくない!?
そもそもボクの乱闘の記憶はゲムキユーブで止まって
…いや、何の話をしとるんやボクは!
とりあえずここは退散してもらおか!
ボクは早よ帰って漆黒用に見た目装備を整えなあかんもんでな!
伍島・是清
【バッカス】
まさか3ボスで三滅するとは思わなかったが無事終わって何よりだ
Tuitui、オシャレし過ぎて全体攻撃の度に瀕死だったな
あァ、ギドも漸く予約したンか、善き哉
俺もギャザクラしようかなァって2か月に1回位言ってる気がするなァ
俺も鈴丸が欲しい
あーあと、帰ったら奇天烈にフレンド申請しねェと……
(帰り支度をしながら)
…………誰?
そっか、俺は全然知らねェンだけど
御前も有名人なンだな
全然知らねェンだけど
辛い想いもしたンだな
全然知らねェンだけど(悪気ゼロ)
本当、聖刃3も愉しみなンだけど時間が…
俺のリース…
イーグルアイは2回攻撃が善いよね
あァ早くリリースされねェかなァ
静海・終
【バッカス】
あの大根愛好家は何処にでもいますねえ…
何でも似合う大根は可愛らしいですがやはりhimeはゆるふわピンク
そしてhimeたる者、完璧ではいけません
ミスや死にかける事によりこの子を守らなきゃ…!
と、思わせるのも大事なのでございますよ!いいですか是清!
などと語っている間に何か来ましたねえ
おやあ!?
貴方は誰かと思えば勇者の父親という役の人も出ているというのに
出ておられない勇者さまでございますか!?
いや~勇者の父親はスピンオフまでされて
ドラマまでしているというのにお可哀想に…
ちなみに私、断然幼馴染派でございます!えいやぁ!!(グサーッ)
私これよりピカリの御父上を見に行くので早々に失礼しますねえ
四辻路・よつろ
【バッカス】
あっ
(欲しい装備があるが、制作のレベルが少し足りない)
(マケボにも売っていない)
(しばし考える)
……仕方ないわ、今回は諦めましょう
鈴丸、やることリストにギャザラーのレベル上げも追加しておくわね
あと一週間ぐらいは暇でしょ、あなた
あら、敵?
忙しないのね、本当
勇者だかなんだか知らないけど、今それどころじゃないの
老兵は死なず、ただ消え去るのみって言うでしょう?
早急にご退場いただくわ
ーーああ、もう!ポコポコと!
次々と姿変えるんじゃないわよ!!大人しくやられてなさい!
面倒くさい男ね、まったく
奇天烈・モクレン
【バッカス】
ギャザクラかあ、伝説の鉱脈タイマー仕掛けてるけど忘れたまま結局ダンジョンいっちゃって……身を入れてやってないな。
そろそろ新パッチに向けて金策していかないと!
……いっけね楽しくエクエク談義してる場合じゃねえ!敵来てる敵!
ありゃ、どこかで見たような御装束で……これ勇者?勇者だよな?
ええい、じゃかあしぃ!DLパッチであそこまでコラボしてくれることにむしろ感謝すべきだよニッテンドーだって頑張ってんだよ!
ああ、そういや聖刃も出るんだっけか。遊びたいモノが目白押しだとワクワクするよな
うおお、仲間で集まるとどうしても盛り上がっちゃう
手っ取り早く片付けよう。
メラゾ……間違えた。ウィザードミサイル!
クレム・クラウベル
【バッカス】
手っ取り早く上げるなら地図が良いぞ、ギャザクラ上げてないなら尚更
大型パッチ後ならドロップ素材売りも捌けが良いからお勧めだ
いや、血も涙も何もアレは怪人だからな喜々丸……
というか本来の目的忘れてるだろ皆
悪い方向のエンジョイ勢になる前に一仕事くらいしてくれ
大乱闘は良いがこれ色々大丈夫か? 主に版権的に
俺も生憎RPGはエクエク派だったからあまり……
最近出た方のならまだ見覚えがあるんだが
まあ何でも良いか。エクエクの邪魔をするなら焼き払うまで
メラ的な何かをモクレンに重ねて
聖刃3か、よもやこの時代になってリメイクされようとはな
初周はイーグルアイだな
主役におかれにくいローグキャラというのが良い
●酔っぱらいどもは最後の戦いだろうがいつもどおりに過ごす
『ウオオオオーッ!! エクエク、滅ぼす! 俺、破壊する!!』
さすがに三回も滅ぼされたとなると、破壊の化身のほうもだいぶ切羽詰まっていた。
なんか森の賢者っぽいカタコト口調でドラミングなどする始末である。
しかしエクカフェ破壊は諦めない。なぜだ。そりゃエクエクを憎むからだ。
それ自体が完全にズレているとわかっていても、そういう話ではない!
なぜなら奴は……そう! 怪人なのだから!! 不条理で当然である!
『さあ猟兵どもよ、恐怖するがいい! そして怯え、嘆き、逃げ惑え!
俺こそは破壊の化身、破壊神すらも破壊したりあと素手で魔物を殴り殺す者……!』
登場してから初めてそれっぽく口上をぶちあげられたことに内心喜ぶ怪人だった。
問題があるとすれば、それを誰も聞いちゃいなかったことなのだが。
そう! そこにいた猟兵達は、8人もいるくせに誰も耳を傾けちゃいなかったのだ!
じゃあ彼らは一体何をしていたのか!? ……エクエク談義である!!
「ウッ、さよならボクの天使達、フォーエバー……」
キラキラと光の粒子になって消滅した小人種族(に擬態したノッペロイド)に、
エクエクの祈りエモートで哀悼を捧げる紺谷・喜々丸、ガチで泣いていた。
彼は筋金入りであった。筋金入りの……こう、コンプレックスであった。
いやコンプレックスではない。ただ大根っぽい小人種族が好きなだけなのだ。
「大根愛好家はどこにでもいますねえ……頭のデカい妙な連中だというのに。
たしかにおしゃれはだいたい似合いますし可愛らしい種族ではありますが」
などと、静海・終は呆れているんだか見下しているんだか評価してるんだか、
微妙にわからない言い回しであれこれと持論を並べ始めた。
「やはりHimechanといえばゆるふわピンクコーデこそが基本であり至上。
飛び跳ねてジュピーと叫ぶだけの大根どもでは、Himeたりえないのですよ」
「だからって槍で刺し殺すことはあらへんやろ、キミには血も涙もないんか!!」
などという喜々丸の悲鳴じみた批判は、当然のごとく左から右にスルーだ。
「……お前、そんなこだわり並べる割にゃさっきのIDひどかったよな」
と、終を絶対零度の視線でじろりと睨みつける伍島・是清。
よもや、レベリング用のIDで3回も全滅するハメになるとは彼も思っていなかった。
初見がいたとはいえ、ほとんど倒れていたのは終である。どうしてこうなった。
「そこです! Himeたる者、完璧ではいけません。ミスや瀕死になるのも演技です。
この子を守らなきゃ……! と思わせるのも大事なのでございますよ!!」
「それで時間かけさせられる他のパーティメンバーの身にもなれっつの。
オシャレしすぎて装備貧弱なせいで全体攻撃のたびに死にかけてたじゃねェか」
いわばナメプである。ロールプレイと言えば聞こえはいいがナメプはよくない。
しかし終も引けぬこだわりがあると見えた。是清は呆れた様子で頭を振る。
「……いやそもそもだな、あれはゲームのキャラではなく怪人に過ぎないし、
お前ら二人は最初から最後までエクエクに夢中だっただろうが」
と、クレム・フラウベルが極めて冷静かつご無体なツッコミを入れた。
終のほうはまだ槍とか投げていたが、あの呆れている是清はそれ以前である。
レベリングを理由にオブリビオン退治後回しにする猟兵初めて見たって感じだ。
「皆、本来の目的を忘れてないか? 悪い方のエンジョイ勢になってしまうぞ。
いいか、そもそも俺達がここに来たのはだな。エクエクを遊ぶだけではなく」
「あっ」
そんなクレムの説教を大抵誰も聞いちゃいないのだが、
わけても完全スルーしていたのは四辻路・よつろであった。
なにやら声を上げたかと思えば、その目はエクエクアプリに注がれている。
ちょうど欲しいと思っていた素材がキャラクターレベル的に作れない上に、
折り悪くマーケットにも並んでいないことに、彼女は気づいてしまったようだ。
実際、エクエクとはいえそういうことはある。市場は常に流動するものだ。
カンストする前……特にレベル中盤帯の装備は枯渇することが多い。
かといってダンジョンにいってドロップを狙うには時間が掛かるし本末転倒、
ならばNPCが販売しているものはというと、性能的な意味で心もとない。
やはり装備するならハイクオリティなものがいい。ピカセンなら誰しもそう思う。
てなわけで、よつろは考えに考えた末、こう決めたのだった。
「仕方ないわ、今回は諦めましょう……鈴丸、これはあなたの責任よ。
やることリストに、製作と採集クラスのレベル上げを追加しておくわね」
えっ嘘やろ、みたいな顔でよつろのほうを二度見する鈴丸(依然周回中)
主であるよつろは、は? なんか文句あるんか? みたいな顔で首を傾げた。
「どうせあと一週間ぐらいは暇でしょ、あなた。いえ暇でなくても構わないわ。
私がやれと言ったことはやりなさい。そのための執事であり、あなたよ」
どうやら鈴丸に拒否権はないようだった。女帝か何かかな?
「マジかよ、俺も鈴丸欲しいわ。俺の代わりに製作と採集やってもらいてェ。
2ヶ月にイッペンくれェには、こうやってやる気が出てくンだけどなァ……」
「って何を普通に帰り支度を始めているんだ是清。俺の話聞いて……ないな、うん。
だが手っ取り早くあげるなら、やはり地図がいいぞ。パッチ後は素材の相場も上がる」
是清を止めたいんだかレベリングのアドバイスをしたいんだか、クレムはよくわからない。
頭ではこいつらなんとかしないと、と彼なりに真面目に思っているようなのだが、
エクエクの話となるとついついノッてしまうくせがあるようだ。
でも仕方ない、なぜならエクエクは……そのぐらい、楽しいからである!!
あと、彼がさりげなく非戦闘系クラスガチ勢なのもあるかもしれない。
「バリバリ帰ろうとしてる是清はとりあえず止めるとして……ギャザクラかぁ。
時限素材のタイマーは一応使ってるんだけど、どうにも忘れがちなんだよなぁ」
奇天烈・モクレンの呟きに、一同は『わかる』『それな』と頷きあった。
……どういうことか、念のためピカセンでない方向けに説明しておこう。
エクエクにおける非戦闘系クラスは、おおまか製作と採集の二種類に分けられる。
これらを指してギャザクラと呼ぶのだが、採集クラス=ギャザラーには、
一種のエンドコンテンツとして、ゲーム内で特定の時間にのみ採集が可能な、
貴重な素材があちこちにバラまかれているというわけだ。
これらは大抵の場合、そのパッチごとの最先端装備やおしゃれ装備、
あるいはユニークな見た目をした家具やアイテムに必須となるため、
採集クラスを極めたピカセンはひたすらこの時限素材を取りまくることになる。
そのためのタイマーやアラーム機能もある。エク時間の奴隷には必須アイテムだ。
……が、他のことをやっていると、どうにもタイマーの存在は忘れがちだ。
そしてだんだん、非戦闘系クラスから足が遠のいていくという悪循環……!!
「そろそろ金策もしてかないと、極式の早期攻略できないしなー!
それにほら、新しい専用装備も出るし、見た目用にアレも集めないと」
「あーアレなあ、今回ボクめっちゃいいなと思った見た目の装備あるんよなぁ。
ボクもやろやろ思てここまできてしもうたし、今度こそ頑張ろかな……」
モクレンの言葉に、喜々丸もやる気を刺激されたらしい。
ブラックスミスやアルケミストなど、エクエクは製作クラスも豊富なのだ!
「そういえばさっきの怪人どものなかに、製作クラスのクエストNPCもいたわね。
……メインストーリーで絡むことはないけど、妙にキャラ濃いのよね、あれ」
「ああそうそう、NPCで思い出したよ!」
よつろの呟きに、ベリンダ・レッドマンが興奮した様子でノッてきた。
グリモア猟兵だからといって、彼らをたしなめ戦闘に向かわせる? まさか。
エクエクの話をしたいだけですよ! だってこの手の談義って楽しいからね!!
「例のブレイブシステム、私は大いに有効活用するつもりだよ。
やはり、今まで共に戦ってきた彼らとダンジョンに挑めるのはアチアチのアチだからね!」
……とまくしたてたのは、漆黒のブリンガーでの新たなシステムのこと。
メインストーリー上で関わりの深いNPC達を、様々なコンテンツへ同行させるものだ。
この手のNPC同行システムはネトゲだと珍しくないものなのだが、
ブレイブシステムはキャラごとに個性豊かなAIを採用している上に、
それぞれ台詞や掛け合いまで用意されているというこだわりっぷりなのである!
ところでアチアチのアチってなんだろうか。燃えるってことだろうか?
「たしかに盛り上がりそうだな……しかしなかなかに悩ましい。
やはり初見コンテンツは、身内で行くのも楽しいものだからな」
と、ギド・スプートニクは心底悩ましげな顔で唸っていた。
ダンピールとしての彼を知るものならマジかよとなるレベルの唸りようである。
この男、エクエクとオブリビオン退治が同じぐらいの重要度になっている!!
「いや、だがストーリーを重視するのであればブレイブシステム一択か……。
家具のプレビューに製作スキルの調整と、私もあまり手は出していなかったが、
初心者にも優しい良調整でありがたい。予約を済ませたかいがあるというものだ」
「ってだから帰ろうとしちゃダメだってギド! ギドさん聞いてる!?」
是清に続いて普通に帰り支度を始めたギドを慌てて押し止めるモクレン。
「うん? どうして帰ったらダメなんだい? 討伐なら帰ってから集まれば」
言いかけたベリンダの視線が、ようやくそいつを捉えた。
……八人がわいわいと語り合っている間、放置プレイを食らっていた怪人を……!!
…………重い沈黙があたりを支配した。
これがバツの悪そうな猟兵達の沈黙ならば(怪人にとって)まだいいのだが、
あいにく彼らの沈黙は『え、誰この人? 会場間違えてる?』的なやーつだった。
『貴様ら……』
わなわなと拳を震わせる破壊の化身。
『貴様ら!! 俺を前にして完全スルーでエクエク談義などふざけるな!!
それともまさか、この俺が一体誰だかわかっていないとでも言うのか!!』
「誰?」
是清の一言に、ぴしっと破壊の化身の動きが止まった。
「あら、敵? 忙しないのね本当」
こっちもこっちで、よつろはさっぱり危機感のない声で怪人を見やる。
「…………………ああ! 物理が強い人かな!?」
長い沈黙の果て、ぽん、とベリンダが手を叩いた。ようやく思い出したらしい。
いや思い出したってなんだ? なんかこうわかったんだろう多分。
世代ではないのでぼんやりとだが、わかったらしい。だから何が!?
「おやあ!? 誰かと思えば! 勇者の父親という役の人も出ているのに、
必殺技演出にしか出られないことが確定した勇者さまではございませぬか!」
終の声音はトラウマをほじくるつもり満々だ!
「いや~勇者の父親はスピンオフされてドラマ化までしているのに可哀想に……」
「よくわかンねェけど有名人なンだな。俺、全然知らねェンだけど」
是清の悪意なき(敵意は山盛りである)発言がぐさぐさと怪人の心に突き刺さる。
『お、俺は参戦が出来なくて』
「あぁ!? なんだよじゃかあしぃ!!」
ぎらり! 口を開いた破壊の化身にモクレンが凄む! コワイ!!
「あそこまでコラボしてくれてることにむしろ感謝すべきだろ!
いろんな人が……こう、頑張ってんだよ!! わかれよ!!」
何がであろうか。よくはわからない。
「っちゅーかそれはご愁傷様やけどピカセン関係なくない!?
いやボクもようわからへんけど乱闘の記憶は途中で止まってるからすまん!」
と、本人にもよくわからない理由でなぜか謝罪する喜々丸。
「うーむ、困ったね。今の私はカンペキにエクエク脳なのだよね……!
早く帰って地図とかいろいろしなければいけないので、あまりこう話が……」
「もともとオブリビオンの話に耳を傾けるつもりなど毛頭ないが、そうだな。
俺もエクエク派だったもので、ヤツの話がさっぱり頭に入ってこないらしい」
不憫そうに怪人を見やるベリンダに、クレムがうなずいた。
「勇者だかなんだか知らないけど、私達はご覧の通り今それどころじゃないの。
老兵は死なず、ただ消え去るのみ。早急にご退場いただこうかしらね」
「せやな! はよご退散してもらおか!」
よつろも喜々丸も、なんだかんだでやる気だ。
まあ戦闘をさっさと終わらせたほうが落ち着いてエクエク出来るからね!
「なんだ騒々しい……ん?」
ここでようやく、ギドも破壊の化身を見た。というか意識に捉えた。
しばし藪睨みで相手を見据え……ふと、何かを思い当たったかのように口を開く。
「……そういえばドレクエ11や、ビルダース2もまだ遊べていないのだ。
聖刃伝記3のリメイクも楽しみだが、すべて遊ぶには猟兵活動が邪魔だな……」
「この期に及んでゲームの話を続けるのか、心臓に毛でも生えてるのか???」
さすがのクレムも真顔でギドの胆力というかふてぶてしさを疑わざるを得なかった!
『ふ、ふ、ふ、ふざけるな貴様らーッ!!』
ここでついに怪人がブチギレた! 剣を振り上げゴリラめいた雄叫びを放つ!
ただでさえ魔法適性がないぶんパワフルなヤツのパワーはもはやとどまるところを知らぬ!
振るう剣は大地を砕き、隼返しは海をも切り裂くだろう! つまり無敵である!
『俺 エクエク 滅ぼす!! 破壊する!!』
完全にゴリラ状態で両目から妙な光を放ち、その破壊の力を振りまこうと暴れる!
……暴れようとした!
したのだが、残念! 結論から言うと彼はやっぱり滅びました!
「ちなみに私、断然幼馴染派でございますえいやぁ!!」
『グワーッ!?』
妙なことを口走りながらの終のドラゴニック・エンドがド命中!
腹部を串刺しにされ、ものすごい雑に召喚ドラゴンの攻撃を浴びて吹っ飛んだ!
大地を砕くほどのパワーの持ち主がなぜこれほどまでに簡単に……?
それは簡単だ。敵のパワーアップ以上に、彼らは!
「とっとと骸の海に還るがいいさ!!」
『グワワワーッ!?』
ベリンダがハンマーガジェットで破壊の化身を叩きのめす! SMAAAASH!!
そう、彼らは――。
「手っ取り早く片付けよう、メラゾ……じゃねえ、ウィザードミサイル!!」
「エクエクの邪魔をするなら焼き払うまでだ。灯火よ、ヤツを照らし焼け!」
モクレン、そしてクレムのユーベルコードの炎が破壊の化身を焦がす!
「――ああもう、まだ死なないの? 大人しくさっさと滅びなさい!
人の邪魔をしておいてとことん面倒くさい男ね、まったく!」
よつろの召喚したシャドウチェイサーが破壊の化身の体を切り裂いた!
そう、彼らは……エクエクが早く、いやもっとやりたいのだ!!
「ところで、聖刃3といえばどのキャラを使うつもりだ?」
「あァ、俺はやっぱリィースだなァ。こればっかりは譲れねェよ」
「ってキミらは戦わないんかーーーーーーーい!?」
ゲーム談義を続ける是清とギドに痛烈ツッコミを入れる喜々丸!
『こ、こんなふざけた奴らに、俺がーッ!?』
哀れ! 数の暴力で蹴散らされた怪人の断末魔が虚しく響き渡った!
攻撃したメンバーも、額の汗を拭うとさっさと怪人のことを忘れてしまう。
あまりにも御無体な。でもまあ、それだけ楽しいゲームがあるってのはいいことだよね!
「私のメインはデュラム、いやゲビン……なんにせよシャルローテは必須かな……?」
「俺はイーグルアイだな。脇役にされがちなローグキャラというのがいい」
「あァー、善いよねイーグルアイ」
「遊びたいものが目白押しだとワクワクするよな! 盛り上がってきたぜ!」
「私もこれからピカリの御父上(映画の名前)を見に行かないとですねぇ」
「ボクもはよ帰って見た目装備を整えなあかんやん!」
「鈴丸、私は先に帰るわね。ちゃんと周回を終えておくのよ」
とまあ、ご覧の有様であった。いやまあ怪人は斃しましたけど!?
「ふっ――やはり、エクエクは最高だな」
心の底からそう言ったギドの表情は、驚くほど爽やかな笑顔であったという。
酔っぱらいども、悪酔いとゲームはほどほどにしましょうね……!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アイナ・ラウタヴィーラ
な、なんだかどこかで見たことがある怪人です、ね……。
んと、よくわからない逆恨みでエクエクを狙っているみたい、ですけど、好きにはさせません、よ。
なんだか放置しておくと別の意味でも危険そうですし、早急に倒さなければいけません、ね!
……もっと危険な姿で復活しないと良いです、けど
盾が厄介そうですし、こう一般人の方が多いと銃も使い難いです、ね
たまには刀で打ち合うのも悪くない、かな
主人公なんだかなんだかわかりません、けど、出してもらえるだけありがたいと思わないといけません、よ!
出演さえさせてもらえない人だっているんです、から!(謎の主張)
ローレ(自主規制)に帰りなさい!
神元・眞白
【SPD/割と自由に】
(三咲さん-f01585-とそのままの流れで)
キマイラフューチャー、エクカフェ。前回の3つの出来事。
符雨、分かりやすい様に簡単に説明を。大体分かればいいから。
主人公。あれが“らしい”ってこと。形から入るのはきっと大事。
でもここでどったんばったん大騒ぎしてカフェが潰れるのは大変。
ある程度すっきりするまで付き合ってあげないと。……結構大味。
三咲さんが前に出るみたいだしこっちは支援を主に。連携は大切。
一段落したらエクエクもちゃんとしないと。
ファンタジーで遊ぶなら丁度いい機会かも。勉強にさせてもらおう。
ちゃんとできるかどうかリフレクションで試し打ちも兼ねて。
三咲・織愛
眞白さん(f00949)と
わあぁ、かっこいい!
何故でしょう、棺桶を引くのがとっても似合う気がします
棺桶を二つ引きながら力いっぱい剣を振り下ろす姿が見える気がしますね
何故でしょう……不思議っ
参戦ってなんのことでしょう?眞白さんはご存知ですか?
よくわかりませんけど落ち込んでらっしゃるみたいですね
八つ当たりはいけませんよ!
そうだ!眞白さん、私達で彼を鍛えてあげましょう
強くなればきっと"参戦"出来る筈ですよ!
そんな訳でぼっこぼこに殴ります
怪力でぼっこぼこにします
眞白さんの支援を頼りにしてますね!
はっ、エクエク
今ひとつエクエクに手が伸び兼ねているので、
まーけてぃんぐしていただきたいですね!!(どこかへ)
雁ヶ谷・ロクシー
え? うーん、自分ちょっとエクエク以外はあんまり分かんないっスね~
というか今どき魔法さっぱり脳筋キャラって流行るんスかそれ
あ、レトロな時代の御人で。なるほど?
ほら、まあ、自分見ての通り若造ですんで…あと場が場でしょ
漆黒のブリンガーのことしか今は頭にないんスよねー
そういうわけでサクッと終わらせて
サクッとエクエク試遊に戻りたいでーす
なんせピカセンですので、ので
逃げるのと躱すのは得意な方ってわけで
一撃重視の重いのとやりあうなら相性は良い方でしょ
さて自分はその時代は触っちゃないんだけど
ローグが回避タンクしてた世界もエクエクにはありまして
当たらなければ無敵同然
これぞ不意だま戦法、なんつって
●ピカセンは初心者を見つけると群れてくる習性がある
エクエクカフェinキマイラフューチャー! これまでの三つの出来事は!
ひとつ! ゲテモノを無理やり食わされたノッペロイドは爆発四散!
ふたつ! ボスが登場するけど完全に相手にされずすでに三度死んでいる!
みっつ! そして四回目の復活を果たした破壊の化身が眼の前だ!
「ありがとう、符雨。とってもわかりやすかった」
こくりと頷く神元・眞白。お付きの戦術器(からくり人形のことだ)は一礼し、
そそくさと自作のフリップボードをしまった。いつの間に作ったんだ。
『俺を前にしてやることではないだろうッ!?』
びしぃ! と眞白に剣を突きつける破壊の化身の台詞はごもっともである。
だがその程度でまともになるなら彼女はここまで好き放題してねえんだなあ!
「わあぁ、剣を振るう動作も堂に入ってますね! かっこいい!」
そんな眞白の隣で、三咲・織愛はキラキラと夢見がちに目を輝かせた。
かっこいい? 誰が? 言わずもがな怪人、破壊の化身である。
なぜだかよくわからないが、棺桶を2つ引きずるのがとても良く似合う。
それでいて果敢に1つ目巨人とかに挑んで剣を振るうのが似合いそうだ!
なぜでしょう? なぜだろうね、不思議! 多分怪人のせいじゃないかな!?
「ところで眞白さん、参戦っていったいなんでしょう? ご存知ですか?」
「わからない。あれが主人公"らしい"ということはわかるけど」
「やっぱりですか! 私もよくわからないんです。
でも、なんだか落ち込んで? いらっしゃる? のはわかりますね!」
『怒ってるんだよ!!!!!!!!!!!!!!!』
破壊の化身はついに子供めいて地団駄を踏みながらきーっと叫んだ。
みっともないふるまいである。でもまあ……怪人だからね!
「そ、そんな逆恨みで、エクエクを……エクカフェを好きにはさせません、よ」
ざっ! と、そんなふたりに加勢する形で参戦した妖狐の少女あり!
名をアイナ・ラウタヴィーラという。もちろんガチガチのピカセンだ。
「な、なんだかどこかで見たことがある怪人です、し、放置しても危なさそう、です。
……というか、その姿……い、色々な意味で、まんますぎないです、か!?」
ごもっともである。まんますぎて本当に見た時びっくりしたもんね。
いやなんのことかはよくわからない。怪人にまんまもさんまもないのだ!
だからこの話題はやめておこう! 頭がぼんやりしてくるので!!
「え? うーん、こいつなんかのゲームのキャラなんです?わかんないなぁ。
自分ちょっとエクエク以外はあんまりっていうか、レトロな時代の御仁で?」
と、雁ヶ谷・ロクシーがある意味絶妙なタイミングでちゃちゃ入れした。
『俺を知らないだと……!?』
「ほら、まあ。自分見ての通り若造ですんで。あと場が場でしょ。
こちとら漆黒のブリンガーのことしか、今は頭にないんスよねー」
「そう、です。私達は、エクエクを楽しみにここへ来たのです、から!」
「いやオブリビオン退治も仕事の一つっスけどね!? そこ大事っすよ!?
……まあでも、いまどき魔法さっぱりな脳筋キャラなんて流行るんスかね?」
ロクシーとアイナの勝手な物言いが、怪人の怒りの炎に油を注ぐ!
「わあっ、ここでピカセンさんの参戦ですね! あっ、まさに参戦ですよ!」
「……三咲さんは、どうしてそんなに嬉しそうなのかしら?」
「だってほら、あの方はなにかに参戦したいみたいですし……。
私達はエクエクのことも詳しくない非ピカセンですし、ちょうどいいなと!」
「……それはたしかに。手が増えるのは、実際いいこと」
というわけで、若葉ですらないエクエク未体験少女ふたりはアイナとロクシーにこう云うのだ。
「おふたりとも、そして眞白さん! 皆で彼を鍛えてあげましょう!」
「き、鍛える……です、か? 必要なさそう、ですけど」
織愛の素っ頓狂な提案に、やや当惑しつつ受け答えするアイナ。
「自分サクッと終わらせてサクッとエクエク試遊に戻りたいんスけどねぇ」
一方ロクシーは、今どきの若者らしくだいぶ戦う気力をなくしていた。
視線がチラチラエクエクの試遊台の方を見ている。アイナも同じようになっている。
「でも、ここであれが、エクカフェを破壊するのを見過ごすことは、出来ない」
という眞白の言葉は、彼女にしては珍しいことにまともな指摘だった。
エクエクは楽しみたい。だが怪人を放っておくとカフェが台無しになる。
ちなみにここまで怪人を撃破した猟兵は、だいたい帰ってるか、
もう仕事は終わったとばかりにエクエクを楽しむのに戻っていた。
なんて勝手なのだろう。でもエクエクは……そのぐらい、面白いゲームなんだ!
「仕方ないッスねぇ、んじゃまあ4人でさくっとやっちまいますか」
「あっちはひとりです、し。仲間が増えても3人ですから、ね」
「仲間……? 仲間がいらっしゃったのに、ひとりだけ参戦できないなんて……。
やっぱり徹底的に鍛えてあげないとですね! 私、がんばりますよ!」
むんっと力こぶを作ってやる気十分の織愛である。
彼女の言葉を一般的な語彙に変換すると、ようは死刑宣告に等しい。
「……結構大味だけど、大丈夫かな」
『そもそも俺を無視して話を進めるな貴様らァー!!』
ここに来て何度めかわからないシカト攻撃に破壊の化身はブチギレた!
こうしてキレるのももはや何度目かわからない! ああかわいそうな怪人!
でもまあ何もかも逆恨みなので仕方がない話ではある。
『いい加減に皆殺しだ猟兵どもめーッ!!』
「おっと、あいにく逃げるのと躱すのは得意なほうでして、っと」
神速の隼返しを、ロクシーはひらりと布のように身を翻しあっさり回避。
心なしかニンジャめいたスゴイハヤイな回避タンクぶりだ。汚いなシーフ汚い!
『き、貴様! 俺の隼返しを避けただと……!?』
「当たらなければ無敵同然、そして隙を狙ってちょちょいっとなぁ!」
刃渡り20cm前後のダガーが光のように煌めき、破壊の化身の脇腹を切り裂く。
敵の攻撃はかろやかに躱し、小さいが確実な手傷をカウンターで叩き込む。
まさにシーフの面目躍如。これぞまさしく!
「名付けて不意だま戦法、なんちゃって」
『グワーッ!? お、おのれ……!!』
破壊の化身はたたらを踏みながらもこらえ、破壊の一撃を振り下ろそうとする。
ダメージを重視したパワフルな一撃、これを名刀『狐刀一尾』が阻んだ!
「銃が使えなくても、刀で打ち合うぐらい、私にもできるん、です、よ!」
アイナである! 脇差程度の長さしかない狐刀一尾だが、作りは頑丈。
真っ向から受けた剣のエネルギーを伊那市、斬り上げた上で横斬撃!
『な、グワーッ!?』
盾で防ぐ暇など与えない、そのためのクロースコンバットである!
「主人公なんだかそうじゃないんだかわかりません、けど!
出してもらえるだけありがたいと思わないといけません、よ!」
逆袈裟! 袈裟懸け! 刺突――いや、フェイントからのバツ字剣戟!
『そ、そんなお題目は、グワッ! 俺には通じ、アバーッ!?』
「出演さえさせてもらえない人だっているんです、から!!
自社キャラなのに、プレイアブル化しないワルいのだって、います、よ!」
アイナの謎の主張が、剣に勢いと威力を載せてなおも鞘走らせる!
ところでアイナよ、キミは一体何を言っているのだ!? ナニモワカラナイ!
「ローレ……じゃなくて、骸の海にに、帰りな、さいっ!!」
強烈な一撃! しかし破壊の化身は……なおも、これをこらえる。
そこで意気揚々と、拳をぱきぽき鳴らしながら前に出た織愛……コワイ!
『えっなんだお前』
「魔法が使えないぶん怪力だそうですね!」
ぱきぽき、ごきごき。ゆるふわエルフ少女の両拳にすさまじいパワーが宿る。
逃げようとしたところで、眞白の後方支援が決して逃してはくれないらしい。
「私も力には少し自信があるんですよ! さあ、鍛えましょう!」
『いや待てお前その拳は明らかにヤバ』
「ぼっこぼこにします!!!!!!!」
『アバババババババーッ!?』
ダイヤモンドよりも固くなった拳がラッシュめいて怪人に叩き込まれる!
すさまじい衝撃音! 破砕音! ぐちゃぐちゃになっていく破壊の化身!
「……これ、私の支援、要らない気がする」
「そんなことないですよ眞白さん! 頼りにしてますからね!!」
グチャッ! バキ! ボコッ!! なんともグロテスクな音が怪人からしていた。
織愛はああ言っているが実際眞白まで攻撃が届くことはなかったのである。
まあそれもまたひとつの連携だろう。後ろに誰かが居るおかげで前に出られるとかそういう。
「ぐ、ぐちゃぐちゃになってます、ね」
「ミンチよりひでぇッスね……」
アイナもロクシーもちょっとヒいていた。眞白はしたり顔で頷く。
「……三咲さんは、料理も得意だから」
「「それこの場で云うフォローです、(ッス)か!?」」
バギャアッ!! 破壊の化身だった何かが彼方へふっとばされる!
「とりあえず、一段落……かな。そろそろ私も、エクエクをちゃんとやらないと」
手でひさしを作って破壊の化身を見送りつつ、眞白がぽつりと言った。
「はっ、エクエク! そうですね、いまひとつ手が伸びかねていました!」
その手(血まみれ)を拭きつつ、織愛も同調した。
「ここはひとつ、まーけてぃんぐなどをしていただければなと!!」
ちらっ。意味ありげに織愛がふたりを見る。アイナとロクシーの目が……コワイ! ビカッと不気味に輝いた! コワイ!!
「それは聞き捨てならないです、ね」
「ピカセンにダイマ頼んじゃうッスかぁ~?」
「なんならお世話もします、よ。私のLサイズハウスのため、に!」
「うわっ初心者に金稼ぎさせるつもり満々だこの人!!」
などとさっそく初心者達に食いついたピカセン達。ピカセンにはこういう習性がある。
そんな四人を撮影しながら、名無しのキマイラ達がなにやら会話していた。
「猟兵にもピカセンっているんだな! すげーぜ!」
「そりゃそうさ、なにせエクエクはアクティブユーザー数1600万人を突破!
おまけに登録しなくても35レベルなら無料で楽しめちゃうんだからさ!」
「漆黒のブリンガーが発掘された記念にこれまでのシリーズも安くなってるし!
レベル上げが面倒ならアイテムで一気にジャンプできるのもありがたいよなー!」
「新作ゲーム一本分の大型パッチが定期的に当たるのもすごいし!」
「麻雀にカードゲーム、あとはレースとかシミュレーションのミニゲームまで!?
初心者を支援する先輩ピカセン制度もあって、若葉にも優しいシステムだぜ!」
「「「こいつはピカセンに、なるっきゃなーい!!」」」
なぜかジャンプするキマイラ達。どこかからお金をもらっているのかな???
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ネグル・ギュネス
フルール(f06876)と参加
アドリブ大歓迎
真の姿解放、黒髪になる!
何言ってるんだアレは
八つ当たりなら壁とでも話していろよ
私達に関係ない
それでも邪魔をするなら、行くぞ!
剣勝負でパワーなら勝てまい
されど、【武器受け】で受け流し、【衝撃波】で勢いを封殺しながら、フルールの援護で敵を削る!
そして留めは、矢張り獅子の心たる剣撃乱舞───だけでなく、刃を地面に突き刺し、足場にして跳躍、バク転
からの、フルールに魔法の玉をトスしてもらい、蹴り込む!
エースオブザキック!
綺麗に着地し、やったっス!な勢いでキメよう
さて、終わったらゲームやるか!
やりたかったんだろ?
あと、君の踊り子の姿を見たいな
きっと似合うからさ?
フルール・トゥインクル
ネグル・ギュネス(f00099)さんと一緒に
な、なんだか突然八つ当たりみたいな人が出てきたのですよ
って、ネグルさん?その髪は……いえ、問題ないのです。いきますですよ!
ネグルさんが押さえてくれている間にユーベルコートを用いて雪玉をたくさん投げつけるのです
足元に気を付けてくださいです、なんて声をかけながら自分に有利な陣地も広げたり
最後にはこのために作った雪の上に立って魔力を集約
私の全力の魔法の力をネグルさんに投げ渡して決めてもらうのですよ
ふぅ、これで一安心なのですね
ゲームやるのですよ……ってそういえば先ほど言ってたデートって……
!?踊り子の姿!?
は、破廉恥なのです!!!(真っ赤)
●もうこれわかんねえな
「…………えっ?」
フルール・トゥインクルは、状況が飲み込めずに思わずそう声に出した。
まず最初に、なんか怪人らしきミンチよりひどい物体がどべしゃあと飛んできた。
実際、破壊の化身である。猟兵にボコボコにされた哀れな成れの果てなのだ。
それと同時に、一緒にいたネグル・ギュネスが唐突な変化を起こしたのだ。
なんか黒くなってないか? いや服装ではなく、髪! 白い髪が黒くなってる!
「ネグルさん、あの怪人……ってなんなのですかその髪は!?」
「ふっ、いわゆる真の姿というやつだよフルール」
キラッ。なぜか白い歯を輝かせながらニヒルな笑みで答えるネグル。
だがキッと表情を引き結ぶと、服装も相まって……こう、すごく……アレだ。
何とはいわないが、なにかとてつもなく八でライオンという感じがする!
実にガンブレイダーとしてカンペキな、カンペキ……すぎるあれだ!!
『ぐ、ぐぬぬぬ……はっ! き、貴様はエクエクの!!
おのれ、何もかも貴様らのせいだ、エクエクめ、ピカセンめ……!!』
「なんだかよくわからないけどものすごい八つ当たりをしだしたのです!?」
「何言ってるんだアレは、八つ当たりなら壁とでも話してろよ。私達に関係ない」
『貴様言っていいことと悪いことがあるだろうが!!』
ネグルの辛辣な言葉にさすがの怪人もちょっと、いやだいぶ凹んだ!
だが実際正しいロールプレイだ。いや何のロールプレイなのかはわからないが。
「そんなにエクエクのことが憎いというならば、私と勝負するか?」
「ネグルさん、大丈夫なのです……!?」
心配そうなフルールに、ネグルは任せたまえと微笑んでうなずいた。
身構える怪人に対し、彼が取り出したのは……!!
『……えっ、なんでカード取り出した貴様』
「カードゲーム以上に勝負に最適なものがあるわけないだろう?」
お前こそ何いってんだ? みたいなシリアス顔で一笑に付すネグルである。
フルールは頭を抱えた。コスチュームのせいでネグルが普段以上にダメだ!!
「ね、ネグルさん! ここは普通に戦ったほうがいい気がするのです!
なんとなくですがあの人、そのカードのルールわからなさそうですし……」
『さりげなく俺のことを魔法だけじゃなくINT0みたいな扱いしたな貴様!?』
「そんなことはないのですよ……」
『目を逸らしてちょっと笑いながら云うことかーッ!!』
フルールの別方面の辛辣さに、怪人は何度目かわからないブチギレモードだ!
破壊を撒き散らす剣を振るい、猟兵とエクカフェを破壊しようと迫る!
「カードは厭、八つ当たりもやめない、か。わがままな勇者……いや、怪人め。
ならば相手になってやろう。私達の邪魔をするのはそこまでだ!!」
ネグルはやる気だ! 仕事とかエクカフェというか二人の話になっている!
でもまあ、そういうの大事ですよね。せっかくの二人の時間だもんね!
さあ戦いだ!
敵のパワーは強大。いかにネグルとて、正面戦闘では遅れを取るだろう。
それは彼自身も重々承知。ゆえにネグルは受け流す構えで敵を迎え撃った!
『全て破壊してやる!!』
「たしかに重い一撃だ……だが、それでは私には届かないな」
ガキン!! 桜花幻影がなめらかな曲線に沿うように剣をいなす!
ならばと隼返しの構えに入る破壊の化身だが、これがまずかった。
回避動作からくるくると回転したネグルが、コンパクトな動作で切り返す。
すると刃から放たれた衝撃波が、破壊の化身の胴を打ち怯ませたのである!
『ぐっ!?』
「ネグルさんが抑えている間に……ネージュ、一緒に遊びましょうですよ!」
そこへ後方から、フルールと雪の精霊ネージュによる雪玉の大量投擲だ!
雪玉というといまいちファンシーだが、これもれっきとしたユーベルコード。
ぼすぼすと命中あるいは外れたそれらは、あっという間に周囲を冬のフィールドへと変えてしまう。
それはフルールにとって、そしてネグルにとって有利な陣形なのである。
「足元注意なのですよ? 滑って転んだら大変なのです!」
『こんないたずらごときで、俺をどうにか出来ると思うなァーッ!!』
「ええ、"これだけ"ではあなたは倒せないでしょう! ネグルさんっ!」
「任された!」
と、軽やかに答えるネグル……の髪色とコスチュームがまだ変わっている!
髪は金、コスチュームはなんだかラフな左右非対称カーゴパンツなのだ!
「今度はなんなのですーっ!?」
「剣戟乱舞もいいがこっちも捨てがたいと思ってな! さあ、フルール!」
「は、はいなのですっ!」
集約した魔力を極上の雪玉に変え、フルールがネグルめがけそれを投げた!
桜花幻影を踏み台にしたネグルは、鮮やかにバク転をキメ……トスされた魔法の雪玉を、オーバーヘッドキックで敵めがけ蹴り出したのだ!
『な……グワーッ!? ア、アバババババーッ!?』
強烈! 胸部に叩き込まれた雪玉が高速回転し怪人の体を削り取っていく!
その体が貫かれた瞬間、魔力が爆散し……再び、破壊の化身を滅ぼしたのだ!
「ナイスエース、なのです!」
「やったっス! ……なんてなっ」
爽やかなサムズアップ。何とは言わないが実に十という感じのネグルであった。
八なのか十なのかこれもうわかんねえな!
「ふぅ、これで一安心なのですね……ゲームやるのですよ!」
「ああ、やりたかったんだろう? 一緒に存分に楽しもうじゃないか」
すっかり仕事が終わったモードのふたり。そこでふとフルールは思い返した。
「あのネグルさん、先ほどデートって言って――」
「……あー! 急に君の踊り子姿が見たくなったなあ!」
「ひゅっ!? お、踊り子なのです!?」
「フルールに似合うだろうからなあー! 是非見てみたいなあー!」
「は、は……はは、破廉恥なのですっっ!!」
顔を真っ赤にしてぴゅーんと試遊台の方へ飛んでいってしまうフルール。
そんな後ろ姿をみやりつつ、ネグルは苦笑しながら頭をかくんだった。
「……いかんな、最後の最後で私としたことが。まったく」
どうやら、彼と彼女の仲はもうしばらく予習と攻略が必要らしい。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジョン・ブラウン
「僕はそっちも大好きだよ、レトロゲーマーの端くれだからね」
「だから知ってる。近接戦しか出来ないだろ?」
<警告、”ここ”はまだ危険域です>
「どぉわっ!?あっぶない、そうだった戦士だけど素早いんだったね」
「でもアレに出たいなら魔法は必要じゃない?」
「いやいや、僕がいいたいのはそこじゃないのさ」
「その魔法が使えない弱点を補うためには……」
「素敵な仲間が必要だろう?ってこと」
「そう彼らは。3人揃って初めて、世界最強の英雄達(ヒーローズ)なんだ」
ユーベルコードによって呼び出した
青い服の剣士は重い剣の一撃を止め
緑色の服を着た魔法戦士は二度、破壊の風を巻き起こし
赤い頭巾の魔法使いは敵が使えない魔法を叩き込む
難駄芭院・ナナコ
こ、コイツはやべぇ…!
なんかやべぇ"凄み"を感じる…!
ならばアタイも対抗しよう!バナナ参戦だ!
急成長して仮面を被り、これがアタイの真の姿よ!
「漆黒が来てもシノビ使いは継続!参りますわ!」
「恨み言なんて知らねー!早くぶっ倒れろ!先行アクセスに間に合わねぇだろ!(このエクカフェの平和を乱すものよ!成敗して差し上げますわ!)」
本音と建前が逆になってしまいましたわ、オッホッホ
POW
わたくしも黄金果実の一撃で対抗しますわ
どちらの一撃が勝つか真っ向勝負よ!
「と見せかけて『不意打ち』で直前ダメージアップ!」
汚いシノビですって?誉め言葉ですわ!
「アナタの敗因は…!BP(バナナポイント)が0だったことですわ!」
ピリカ・コルテット
あの特徴的なシルエットはやっぱり……もょもとさん!!
新作の事は残念だけど、あの件とエクエクは特に関係ないよねっ!?
(やっぱり魔法も特技も使えない芸の少なさで選ばれなかったのかな……?
ともかく、エクエクも眩しいピカセン達も絶対に破壊させたりなんてしないっ!
大乱闘を仕掛けてくるなら、こっちも同じ土俵の技で勝負しないとねっ☆
『フォックスファイア』を火の【属性攻撃】と【全力魔法】で強化して……!
無数の狐火を身体に纏いながら、炎の爆発力を乗せて相手へと全力突撃っ!
これが《ファイアフォックス》だよっ!!ふぁいあーっ♪
回避し切れない攻撃は極力、妖刀で【武器受け】して受け流すっ!
アドリブ・絡み・何でも大歓迎☆
●影の反逆者達(シャドウ・ヴィランズ)
これで何度目だろうか――もう五、いや六度目か。
何度も何度も滅ぼされ、けちょんけちょんにされ、しかし破壊の化身は諦めない。
エクエクを破壊する。その象徴であるこのエクカフェを!
そして、エクエクを楽しむピカセンどもを破壊し……楽しいゲームを奪うのだ。
そうすれば自分も……いや、もはやそれはどうでもいい。
とにかく破壊する。この世界で、自分が生き延びたこのキマイラフューチャーで、
中途半端な欲望に耽溺する連中など、何もかも破壊してしまえばいいのだ!
「――って顔してるね」
エクカフェの出入り口前。店内に踏み込もうとした破壊の化身を出迎える少年あり。
「僕は"そっち"も大好きだよ。こう見えて、レトロゲーマーの端くれだからね」
すなわち、ジョン・ブラウンである。
赤毛(ジンジャー)のギークは、演技めかした気取った仕草で肩をすくめる。
「だから知ってる――キミさ、近接戦しか出来」
《警告。"ここ"はまだ危険域です。敵攻撃、来ます》
瞬間、ジョンは己の首が刎ね飛ぶ……否、それどころではない。
体をバラバラに砕かれる光景を幻視した。現実にするために剣が降ってきた!
「そいつは見逃せないぜーっ!!」
「残念だけど、これ以上破壊はさせないよっ☆」
だが見よ! 颯爽たる声とともに、ジョンの眼前に現れたふたつの影を!
すなわち難駄芭院・ナナコと、ピリカ・コルテットのふたりである。
彼女らは互いの武器をクロスさせ、恐るべき破壊の一撃を……受け止め、弾いた!
「どぅわっ!? ……と、あっぶない、そうだった戦士だけど素早いんだったね。
ごめんごめん、ありがとうふたりとも。いやあいきなり助けられちゃったなあ」
「ふっ、それもこれも毎日欠かさぬバナナの賜物よぉ!」
「バナナは大事だもんね♪ けど、やっぱりすごい力……!」
勝ち誇るナナコに対し、ピリカはごくりと緊張した様子で唾を飲んだ。
手には、恐るべき一撃を防いだことによるしびれが、じーんと残っている。
おそらくそれはナナコも同じはず。相手は伊達な怪人ではないのだ。
『……俺の邪魔をするな……』
そして土煙の向こうから、破壊の風を従えた化身がびょう、と現れた。
『エクエクを破壊する、それこそが俺の使命だ……!!』
「"欲望"の間違いだろ?」
冷や汗を拭いつつ、ジョンはなおも挑発した。凝視を真っ向から受ける。
「怪人(おまえら)はそうやって何かを求めて暴走した人類の末路だ。
ゲームは一日一時間って言葉、知らない? いやまあ僕も守っちゃないけどね」
「あいつはゲームが嫌いなんじゃなくて、やりすぎてああなったってことか?」
ナナコの問いかけに、ジョンではなくピリカがうなずいた。
「なんとなくわかる、かも……嫌いって感情は好きの裏返しだもんね☆
怪人になる前は、あんな姿だけど案外エクエクが大好きな人だったのかも♪」
「なるほどなぁ……まあカンケーねぇ! やってくるならぶちのめすだけだ!!」
「シンプルなアンサーだね。それじゃまあ、僕らも一働きするとしようか」
ナナコの言葉に、ジョンも反論なく素直にうなずいた。
相手はオブリビオンであり、こちらは猟兵。過去の残骸と世界の守護者。
それらが相容れることはない――相手に、まったき悪意がある限り!
しかしてなおも食い下がる怪人の執念、凄みたるやすさまじいものである。
完全に筋違いで八つ当たりなのだが、妙に迫真の怒りがひしひし来る。
「コイツはやべぇ、アタイもうかうかしてらんねぇぜ……よし!」
コクリと頷いたナナコは、ジョン、ピリカ、そして怪人をそれぞれ見渡して、
突如として空を見上げびしっとあらぬほうを指さした!
「あーっ!! あれはなんだーっ!!」
「古典的すぎない!?」
「ま、まあだいたい何をするかはわかるし、ノッてあげようよ♪」
『えっ何? UFOかなんかか!?』
呆れつつも載せられてあげるジョンとピリカ、ガチで騙されている破壊の化身。
天然1苦笑2だが、とにかく全員の視界が外れた! いまがチャンスっ!
ナナコの姿がバナナめいた黄金の輝きに包まれ、そして……おお、あの仮面!
「はっ、うわー一体彼女は誰なんだー」
「わーなんだかナナコちゃんとは全然違うねー」
『き、貴様は何者だぁ!?』
「よくぞ聞いてくれたぜ……じゃなくて、聞いてくれましたわ!」
やや棒読みなジョンとピリカはさておき、怪人はマジで驚いている!
そう、いまやナナコの背丈は普段の一回り以上! 装いは真紅のチャイナドレス!
「漆黒が来てもシノビ使いは継続! 怪盗・悟空、ここに緊急バナナ参戦ですわ!」
「バナナ参戦ってなんだろう」
「深く考えたら負けじゃないかな……☆」
彼女のガバガバな変身ぶりに、もう正体も知っているふたりはひたすら苦笑。
だがそれはさておき、悟空となったナナコの力は折り紙つきである!
「うおおお行くぜですわ! お前の恨み言なんて知らねーですわ!
早くぶっ倒れろでございましてよ! エクカフェの平和を乱す者よ!!」
「ナナ……バナナレディちゃん、本音と建前がガバガバだよっ!?」
「心の声と逆になってるとかそういうレベルですらないね!」
などというツッコミすらも後に引き、ナナコもとい怪盗悟空が怪人に挑みかかる!
振るうはデリシャスバナナブレイカー、バナナパワーを込めたパワフル攻撃!
『真っ向勝負とくるか? 面白い!』
破壊の化身はこの挑戦を嘲笑い、全膂力を込めて剣を構える……が!
「はいそこに不意打ちズドーン!!」
『グワーッ!?』
くるっと後ろに回ってからのコンパクトな突き刺し!
体制を崩した破壊の化身めがけ、本命の本命のバナナインパクトが着弾した!
『グワワワワーッ!? おのれ汚いなシノビ汚い!!』
「おーほっほっほ! 褒め言葉ですわ―っ!」
戦場に卑怯もらっきょうもあったものではないのだ! これが……シノビ!
そして破壊の化身が態勢を立て直すより早く、第二手をピリカが担う。
「もょもとさん……もとい、破壊の化身さん! 新作のことは残念だけどっ!
エクエクと特に何の関係もないことで、ゲームやピカセンを破壊させたりしないんだから☆」
『そんな理屈は関係ない! 俺はエクエクを破壊するのだ!!』
「だったらせめて、大乱闘な感じで返り討ちにしてあげる!」
駆けるピリカの周囲に、いくつもの狐火がぽつぽつと灯った。
それらはプラズマめいてピリカの周囲を舞い、やがてその体を包み込み、おお!
『な、なんだその姿は!?』
「これぞフォックスファイアの応用、炎の爆発力を載せた全力突撃……っ!
名付けて《ファイアフォックス》だよ! ふぁいあーっ♪」
KA-BOOOOM!! 爆発が炸裂し、その威力によって加速したピリカは音をも超える!
燃え盛る火の玉と化したピリカの強烈体当たりは、いくら身体能力を強化しようが避けようも防ぎようもないのだ!
『グ……ワーーーーーーッ!?』
SMAAAAAASH!! まともに食らった破壊の化身は場外へと吹き飛び、壁に激突!
KRASH!! がらがらと瓦礫が崩れ、その体を覆い隠していく……!
「てへ♪ カフェは無事に守ったけど、ついつい近くの壁に当てちゃった☆」
「すごい威力の攻撃ですわね! やっぱりお昼ご飯をSNSにアップしたり!?」
「えっ!? いや、別にそんなことはしないけど……???」
ピリカ・ランチ、とかやってみようかな、とかちょっと思ったピリカだという。
「見事な魔法だね。やっぱアレに参戦するには魔法が必要なんじゃない?」
「それかバナナだな!」
「あははは……♪ やっぱりそのへんで弾かれたのかなあ……?」
などと軽口を叩き合う3人、だがその表情が再びこわばった。
もくもくと立ち上る煙の向こうから、再び怪人が這い出してきたからだ……!
「くっ、しぶといですわねあの方……!」
「もう一度かましてもいいけど、埒が明かなそうだね……!」
『何度倒れようが俺は立ち上がる。たとえ魔法が使えなくても、
俺にはこの破壊の力がある。そして貴様らとエクエクへの怒りが……!!』
燃えるような怪人の言葉には、相応のプレッシャーが籠もっていた。
だがジョンは意味深に頭を振る。
『……何が言いたい』
「僕が言いたいのはそこじゃないよ。違うんだ、そうじゃない。
その、魔法が使えないって弱点を補うのに必要なのは、パワーだとか怒りじゃなくて」
ジョンは二人を……ナナコ、そしてピリカをちらりと一瞥する。
「一緒に戦う、素敵な仲間が必要だろう? ってコトさ」
『……!!』
そこでナナコとピリカは気づいた。自分達は三位一体で戦っていることに。
そして……あの破壊の化身、否、その元となったゲームの主人公もまた……。
「ええ、そうですわね! ひとりだけが相手なら負ける気はしませんわ!」
「ゲームは大事な友達が……仲間がいてこそ、楽しいんだもんねっ♪」
ピリカ、そしてナナコが武器を構える。その堅牢さは先の比にならぬ。
破壊の化身は歯噛みし、怒りに任せて叫んだ!
『仲間など必要ない!! この俺さえいればそれでいいのだ!!』
「そうかい? ――なら、仲間の大事さを、その身で味わうといいんじゃないかな」
雄叫びを上げて斬りかかる破壊の化身、その重さ、疾さもまた比にならず!
だがピリカとナナコの側には、ユーベルコードが呼び出したふたつの影が寄り添っていた!
「あなた……いいえ、アンタは!」
ナナコの隣には、緑色の服を着たどこか王子めいた気品ある青年が。
「……これは、願ってもないヒーローの緊急参戦ですねっ☆」
ピリカの隣には、金色の髪を束ねた勇気をたたえた王女が!
『なっ!? き、貴様らは!?』
「なんでいるのか、って顔してるね」
赤毛のギークは――青い服をまとう勇者と共に立つジョンは、誇らしげに笑う。
「そりゃ当然さ。だって彼らは3人揃って初めて、世界最強の英雄達(ヒーローズ)で」
怪人が何かを叫ぶ。振るわれた剣を、緑色の剣士が素早い二回攻撃で防ぐ。
空いた間隙をナナコの一撃が切り裂き、追い打ちの魔法を王女が解き放つ。
その魔力を借り、ピリカはさらなる熱量を伴って怪人を追い詰めた。
悪あがきの一撃! 噛み合うようにこれを防いだのは青い服の勇者!
「――僕らはそんなお前達を打ち倒す、反逆者達(ヴィランズ)なのさ!」
ジョンは風となる! 高速三次元機動からの抉るような飛び蹴り!
「そろそろ骸の海にお帰りなさいませ! ログアウトの時間ですわ!」
ナナコのデリシャスバナナブレイカーが、クロス状態で突き出される!
「私達は何度も世界を守ってきたんだよ! エクエクでも、現実でもねっ♪」
ピリカの炎が、刃を伝い……勇者達の攻撃とともに、叩き込まれた!
『お、俺は――』
何を求めていたのか。何の欲望に刈られていたのか。
それを疑問に思った時、破壊の化身に真の意味での破滅が訪れた。
破壊の風が削り取るのは彼奴であり……響くのは、ピカセン達の歓声。
Duty Complete! つまりは――ピカセン達が、エクエクを守り抜いた勝利者である!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵