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◆ぬるい火痕

真白・葉釼 2020年6月12日

UDCアース、UDC(アンダーグラウンド・ディフェンス・コープ)支部のひとつに、一人の少年の姿がある。
焦げ臭さを漂わせ、血や泥の染みつき破れた服。肌はある程度汚れを拭われていたが、であるがゆえに顔色の悪さがよくよく際立っていた。
唇を一文字に引き結んだまま、待合室じみた――実際待合室に相当する場所なのだが――長椅子に腰掛けて微動だにしない姿をしかし、職員たちは横目に通り過ぎていく。
彼らは知っているのだ。
ここではない別の世界を救う為、強大な敵と戦い、帰還する者たちがいることを。
そしてこの少年もまた、その一人なのであろうと。

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ガイオウガとの戦闘で負傷したのでスレ
帝竜戦役、つまり5月末くらいのこと

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どなたでも
適当に話が落ち着くか医療班の到着まで




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真白・葉釼  2020年6月12日
(焦げ臭い、というのはそろそろ自分でも解っていた。医務室に通されずここに待たされているのも、大方ユーベルコードを使える癒し手を探しに行っているのであろうと予想がついたし、特に不満は無い。――無いが)……。(目前を白衣を着た、或いは着ていない職員たちが足を速めて通り過ぎていくのを眺め続けることは、些か気まずいものがあった)
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雨野・雲珠  2020年6月12日
(戦争真っ只中のA&Wから、各世界の提携医療施設へ。重量無制限のユーベルコヲドで、重傷者のピストン輸送の最中だった。運び終え、また戻ろうとした矢先に、たまたまあなたを見つけたのだ)
(明らかに処置もまだの状態で、じっと耐えているように見えた。なにより焦げ臭いのが気になった。熱傷は耐え難い。指先がほんのすこし焼けただけでも、のたうち回るほど痛いことをよく知っていた)
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雨野・雲珠  2020年6月12日
(数歩を小走りに近寄ると、ちょんと片膝をついてあなたを下から覗き込む。自分の見た目が幼いことはよくわかっていたので、治療の場のために身に着けた、おだやかで冷静な声音でそっと話しかけた)
……こんにちは。お話できますか?ご自分の名前は言えますか?
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真白・葉釼  2020年6月14日
(怪我人にしてはやけに姿勢の良い座り方をしていた。ただ自分の前を通り過ぎていく人をばかり見ていたので、目前で腰を落とされて驚いたように瞬いて口を開き)――――ッ、ア。げほ、(咳を幾つか零す。頬が引き攣り喉もつっかえるが、何より咳の衝撃で身体のそこかしこが軋んだ。眉間に皺を寄せ、呼吸の間を置いてから)すまない。大丈夫……には見えないかも知れないが、ああ、話は出来る。名前は真白・葉釼。きみは、……医師、ではない……?(と思うのだけれども。という調子。首を傾ぐ代わり、その両目を見返して瞬いた)
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雨野・雲珠  2020年6月15日
(思わず支えようと動いた両腕がうろつく。あとで水を持ってこようと思いながら)真白さん。(確かめるように音をなぞった)(まっすぐ見返してくる目の光が強い。意識はしっかりしているみたいだ)
雨野・雲珠です。サクラミラージュの桜の精で、癒し手ですがお医者さまではありません。……ですから、痛みを取る前に確認させてください。特にひどく痛むところはありませんか?特に体の中―――おなかが痛いとか、頭がガンガンするとか。
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真白・葉釼  2020年6月17日
(目が合う。やわい色だ、と思った。呼ばれた名前に応えるよう、瞬きをふたつ程して)あめの、うず。……成る程。(それは了解の意であり、「道理で」という納得でもあった。確かに桜によく似た色をしていたから)
(少し考えるような間を置き)……それが――、(躊躇うような口振りと、ほんの僅か首を捻るような仕草とともに)どこもかしこも痛むので、よく判らないというのが正直なところだ。頭部は唯一守ったので無事だと思う。逆に身体は守っていられなかったので……どこを動かしても、痛む。(座った姿勢で微動にしない理由の最たるものはこれであった。内臓が重要なのは判る。とは言うものの)戦闘中に血は吐いたので、多分どこかはやられていると思うんだが。折れた骨の数をかぞえるのも途中でやめてしまった。すまない。
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雨野・雲珠  2020年6月20日
謝ることなんて!……頑張って、よく耐えておられますね。俺ならとっくに気絶してるか、しくしく泣いてると思います。(おつとめモードの桜は、すこし年上に見える相手にもあやすような声音である。外側も酷いものだった。極端に顔に出にくいか、我慢強いのか。文字通り死ぬほど痛いはずだ)
急な受け入れで、寝台の用意が間に合ってないそうなんです。俺の治癒は眠りを伴うものなので、横になってからがいいんですが……(自分のUC内に誘うことも考え、すぐ打ち消す。高速治療を受けたほうがいい傷だ)
……もしよければ、待つ間せめて痛みを和らげたいのですが。癒しの力がお体に障ったりはしませんか?
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真白・葉釼  2020年6月26日
ああ。(首肯。あまり気にした様子はない)気絶はした方がいい事もあるかも知れないが――(青い視線で僅か周囲を眺めた。行き来しているのは無論殆どがUDCの職員だが、特に走り回っているのは見るからに医療関係と思われる部署の者たちだった。赴いた戦場にもよるだろうが、やはり強大な敵と相対した猟兵には大怪我が多く、様々と不足しているように見える)(視線を戻し)人手も足りないようだから、起きている方がいいのだろうと思って。
(表情にはやはり然したる変化はない。声音にのみ僅か、柔らかくしようとする抑揚とほんの微かな喘鳴の気配がある)治癒が出来るのか。(すごい。と間に短く挟み)……障る、というのはよく判らないが……、痛み止めの所為で無理をしすぎるとかそういう類の話だろうか。大丈夫だと思う。おそらく。
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真白・葉釼  2020年6月26日
君に見張っていてもらうという手もある……が。(支部内は慌ただしい。彼を独り占めしても良いものだろうかと、逡巡の間があった)
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雨野・雲珠  2020年6月29日
(しないでおこうと思ってできるものかしら。という疑問は飲み込んだ。怪我や痛みに対し過剰な恐怖のない彼からは、戦い慣れたひとの気配がする)
あ……いえ。特殊な例を心配しすぎました。

(言うやいなや、白い桜吹雪が音もなくあなたを包む。鎮魂鎮撫の花吹雪。ひらりふわりと舞うそれは、地に落ちることなくあなたの周囲一尺を舞い続ける。体に触れても、雪のように溶けて何も残らない。
それと同時に、あなたを絶えず苛んでいた苦痛がいくらか軽減するだろう。息をしやすく。思考が楽に。痛みにこわばり続けた四肢の力を、すこしばかり抜いても平気なぐらいに)

―――どうでしょうか。今は待つ間の苦痛を軽くしているだけなので。楽になっても、できるだけそのままでいてくださいね。
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雨野・雲珠  2020年6月29日
(そうして背負っていた箱を下ろすと、許可もとらず長椅子にちょんと腰掛けた)
見守るという理由をつけて、すこしだけ休憩させてください。……ガイオウガ?
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真白・葉釼  2020年7月7日
(瞬きを一つ。それから)――ああ。(何事か思い当たったような口振り。ゾンビとかアンデッドの話だな、などと呟いてから、季節に遅い桜を見た)
(青い眸に映る、白、白、白。今年は桜を見たか覚えが無い。ある種茫洋として、宙に舞う花弁たちを追うでなく只、美しいものが手元に落ちてくれば誰もがそうするであろうように、片手を返し、掌でそれを受け止めようとした。触れれば消える柔らかな薄春色の欠片。痛みを初めに忘れたのは、そのちからによってか美しさによってか、判然としない)
……。(ふ、と。漏らした吐息には穏やかさがある。先ほどまで花弁に向けて開かれていた手の平を、確かめるように握って、開いた。それを何度か繰り返しながら)有難う。助かる。(忠告への了解を含めて肯き)それにしても見事だった。綺麗なちからだな。
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真白・葉釼  2020年7月7日
ああ。それは大事な理由だ。何者も休憩なしでは動き続けられない。(咎める者はない。自分より少しばかり小さく見える彼の頭へと視線を遣って)……俺が相手取ったものの話なら、そうだ。鱗ぐらいにしか届かなかったが。(今度漏らした息には、笑いに似たものが載っている)
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雨野・雲珠  2020年7月15日
持って生まれた力ですから……でも、ありがとうございます。(すこしばかり楽になった気配にほっとする。自分の手柄ではないけれど、自分が持つ中でいちばん人にやさしい力だ)
うろこ―――に、届いたんですか!?すごい……(竜を相手に前に出て戦える猟兵と知って、素直に感嘆の息が漏れた)俺はカダスフィアを遠くから見られたくらいで。ガイオウガなんてもう、行ったら折れる予感しかしなくて……(後方支援に回った判断は間違いでなかったと思う。近づける気すらしなかった。あの巨躯の迫力と熱量。古の竜。力の権化)
真白くんは、その……恐ろしくはなかったですか?
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真白・葉釼  2020年7月21日
揮うのは君で、癒してくれたのも君なのに。(おかしな言い方をする、と。然して――元々――動きもしない頬で、僅か笑ったような気配がしていた。齎された余裕の表れでもあると言えよう)
(ぱちり、と海色の双眸を瞬き)届いただけだ。鱗を一枚くらい剥がせていれば、もう少し自慢出来たんだが。カダスフィア……ああ。(思い出すのにやや時間が掛かった。何せ帝竜とやらは何体もいて、少年はその全てを覚えているほど律儀な性質ではない。脳裏にぼんやりと姿を思い描いてから)竜は――……やたらに大きかったからな。ガイオウガも大きかったし……熱かった。(曖昧めいた感想を呟き、問いについて考えるようまた一拍、置いた)(それから)どうだろうな。死が脳裏に無かったと言えば、恐らく嘘なんだが。……どうだろう。(それは、少なくとも誤魔化す色ではない)
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雨野・雲珠  2020年7月25日
(吐息で笑う気配に気を取られて、返事が遅れた)そう……でしょうか。……あ、まだ癒してないです。まだ動いちゃだめですからね。君は重症です!(動いていない相手にしつこく念を押す)
マゴコの代まで自慢になりますよ!火を吹く山が襲ってくるようなものでしょう。大きいし……炎も怖いし。大きいし……(平易な言葉での形容にも、うんうんと頷く。竜を表すにはそのシンプルさがぴったりな気がした。だって彼らは大きくて熱くて怖いのだ)
「死ぬかも」って思いながらも竦まない。考えて動けて、怪我をしても落ち着いて待てる……すごいことです。(言葉を選ぶ間とはぐらかさない返事に、相手の生真面目さや誠実さが垣間見える。気持ちを言葉にすることに慣れていないのかもしれない。代わりにきっと、うんと体が動くのだろう)お怪我は……よくなさるんですか?
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真白・葉釼  2020年7月30日
うん。(反射的に返事をし、そうか、と息を吐いた)確かに。ならもう一度言い直すと……痛みを取ってくれたのは、君だ。(助かる。と、普段なら首肯をしたが、念を押されたので緩い瞬きにとどめて)
(マゴコ。“孫子”というやつか、と頭の中で漢字変換がされた。それは、何故だかあまり想像の及ばないことである気がする。それに、)……やはり、鱗の一枚くらい剥がしておかないと、武勇伝としては弱くないか?(首を捻ろうとして、やめる。視線だけをやや上に向けながら)具体的な戦果としては、挙げ難い。雲珠、君はきっと竜を目の当たりにした一人だから、そう……そんな風に、……随分褒めるんだな……。(声に僅か、照れ臭さのようなものが滲む)死ねる覚悟は褒められるようなことでないと、俺の保護者は言う。……こういう怪我は、稀だ。だから……治して帰りたい。(音を潜め「怒られる」と唸るように言った。反省したいたずら坊主のような調子で)
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雨野・雲珠  2020年8月5日
いえ……こちらこそ。(ああこれは謝意だ、素直にそのまま受け取ればよかったと今更ながら思って、それからちょっと照れた。言葉少なな直球は、曲解のしようがない)
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雨野・雲珠  2020年8月5日
む。確かに戦利品があれば武勇伝の信憑性は増しますが……そこは盛りましょう。(悪びれもせずけろりと言って、竜に近づけもしなかった桜は面白がる声で提案する)嗅いだ匂いとか、炎の熱さとか、竜がどんな風に動いていたかとか。そういうところの生々しさがあれば大丈夫です、ばれません!
(単身で竜に立ち向かったのだろう彼が、不意に年相応のひとの子の顔をする。諭し、怪我を叱ってくれる保護者と帰る場所があるらしいと知って、他人事なのになんだかほっとした)ああそれは……良い方が近くにいてくださるんですね。ならなおさら綺麗に治して帰らなければ。
ひょっとして、お迎えに来てくださったり?
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真白・葉釼  2020年8月9日
痛くない箇所を動かさないというの、案外難しいな。(再度「うん」と応じながら、首を捻る代わりに視線を他所へ遣った。それから)盛る……盛るのか……話を。(その発想はなかったとばかりの声音。成る程と口にしてから暫し、間があった。話を盛ろうと考える間である。どのように戦果を挙げたことにするのか)……。……。……。竜の具体的な話は出来るが……戦果は……難しいな……、鱗を……砕いたとか……。(両手が動けばろくろを回していそうな気配がする)
(保護者については、あの人は善い人だ。と、顎の微かに動く首肯が返り)……いや、俺は一人で帰れないような子どもではないし、それに――(再度声を潜め)……迎えに来られてはバレてしまう。治してもらって、普通に仕事が出来ましたという顔をして帰らなければならないんだ。(ぐゥ、と喉の奥で唸る音。既に叱られた後の犬に似ていたし、真剣でもあった)なのでここに居座っている。
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雨野・雲珠  2020年8月12日
真白くんは謙虚ですねえ。ウロコ一枚と言わず、首を……首は盛りすぎでしょうか……でもガイオウガは首がいっぱいあるそうですし……一本くらい、真白くんが落としたことにしちゃってもいいのでは?(生真面目なあなたとは対照的に、ひとさまの武勇伝だからと桜は勝手を言ってくすくす笑っている)
(大量の緊急搬送で慌ただしかった周囲は、トリアージが終わって人が各所へと捌けたせいか、やや落ち着きを取り戻したように見える。ちゃんと彼の番が来るだろうか?呼吸や顔色がおかしくなったら、すぐ大声を上げなければ)
お気持ち、とてもわかります。大事にして頂いてる身だからこそ、余計な心配をかけたくないというか……意地もあると言うか。見せられない部分もあると言いますか……(うんうん頷く。実感のこもった同意であった)
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真白・葉釼  2020年8月25日
……尾とか……脚とか……。(どうやら首は気が引ける。何せ首級と言うくらいであるから、やっぱりそれは盛り過ぎなのでは? という心境が駄々洩れであった。難し気に眉間に皺を寄せながら考えていたが)……雲珠、君、面白がっていないか?(ちら、と片目だけで彼の横顔、頬を見た。痛みがないゆえだろう、酷い怪我の人間とは思えない程度には元気がある。やたらに姿勢が良い所為もあるかもしれない)(ぱたぱたと、職員たちの足音が聞こえている)
大事に、……。そうか。(はたと、一寸ばかり意外そうな色を映した。それは彼もまた自身と同様に保護者のある身なのだということへなのか、自身が大事にされているということへなのか。彼の首肯を見ながらに)まあ、確かに。心配を掛けるのは、本意でない。怪我をしていると格好悪いし。君にもそういう時があるんだな。
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雨野・雲珠  2020年9月2日
んふふ。それはもう!竜に挑み、生きて戻ってこれた方が、一体どれほどおられるでしょう?例えばこれが俺の話なら、「竜の首をとった」なんて言ったって誰にも信じてはもらえないでしょうけど。(しかも心折れることもなく、背をぴんと伸ばして、だ。思えば、最初から彼の目は負けていなかった。彼の爪牙はトドメにこそ到らずとも、共に参加した群れとしてはやり遂げたのだろう)
はい!おかげさまで喜び多く、生きているだけで毎日ちょっと幸せで……、(ここでそっと口横に立てた片手をあてて、声をひそめて)―――ここだけの話なんですけど。言えないこともどんどん増えてます。いつまでもちいさな子供だと思っておられるので。
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真白・葉釼  2020年9月19日
(『面白い』にも、様々と意味合いがある。そうして傍らの彼を見ながら、どうやらこれはそう悪くないものであるように思われた。桜散る空に似た彼の眸を、些か横目気味ではあるがじいと見詰め)君は――……自分には、とても無理だと考えているかも知れないが。(緩く、瞼を上下させ)多分、そのうち出来るようになる。無論、首を獲るだの鱗を剥がすだのとなったら難儀だが、俺くらいのことは。(微か。そう、面白がる気配をさせている。その時には、俺の方が君の武勇伝を面白がって作るかも知れない)
(彼の方に少しばかり、ようく聞こえるように、身体ごと傾きながら)……成る程。それを健やかと呼ぶのだろう。(毎日幸せに。保護者に言えないことを増やしていくことも。全て。自身も同様かもしれなかったが)……。(ふと)……雲珠、君、歳は幾つだ?(見目は自分より下に思えたが、どうにも断言は出来ずに)
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雨野・雲珠  2020年9月26日
俺が。(目を丸くする)ザリガニにも勝てない俺に、そんな日が来るでしょうか……いえ。大きくなって、野武士のようになったらあるいは……?(疑わしげに自分の手首を矯めつ眇めつ)(貧弱)
年はですね、十七です!(いちど言い切って)―――と言っても俺、桜の精ですので。長く眠っていた時期もあったりして……あくまで登録上ですが。(猟兵ならこの曖昧さも通じるだろうと付け足した。喉で転がすように笑う声は子どものそれだ)
真白くんはおいくつですか?立ったら背が高そう。(長椅子に腰掛けた足が、しなやかに伸びて余っている。でもまだ全体的に細い感じがするし、体の厚みもなかった。顔立ちも声も、話している印象も……だからなんとなく同じ年頃だと思っていたけれど、)
……あれっ?今更ですけど、人間……ですよね?種族。
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真白・葉釼  2020年10月15日
ザリガニ。(釣れないのだろうか。否、釣ったザリガニに鼻とか指を挟まれたのかも知れない。神妙な面持ちになりつつ)――兎角、こういうものは腕力だけではない。無論、君が腕力が欲しいのであれば、それはそれで仕方がない、新たに修めなければならないものもあるだろうが……。例えば、君は俺の『痛み』をこうして取ってみせたが、俺にそういう芸当は出来ない、ということだな。(得意分野でやればいい)(膝の上に載せていた手を少し動かし、返して己の掌を眺めてから)
十七。(瞬く。己の表情が豊かでないことに感謝したのは今日だけではない)……成る程。俺は君と同い年だ、雲珠。君の言う通り人間なので、生まれてからきっかり、十七年と数ヶ月。(しっかりと首肯をする代わり、僅かな頷きとはっきりした瞬きで返して)人間以外の種族にも、色々と不便なことがあるようだな……。(長く眠る、というのが、冬眠のようなそれであるのかは判らないが)
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雨野・雲珠  2020年11月3日
ザリガニはですね。速いです。(馬鹿にしないきみに、こちらも生真面目に頷く。腕力も欲しいのだ。今の大きさでは、介添えするにも苦労する。病人を抱き起こして支えられるぐらいには欲しかった。けれど、荒事には向いてない自信もあるので)……なるほど。いつか竜をも癒やし、手懐けられる桜に……(なれるかな?という言葉は飲み込んだ。そのあたりは神のみぞ知る、というやつである)
同い年。うわぁ!(同じ年頃だろうとは思っていたけれど。実際そうだと知るとすこし衝撃を受ける)……そうかぁ……十七って、もうこんなに立派なんですね……。
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雨野・雲珠  2020年11月3日
―――あ。(ファイル片手の看護師が、まっすぐこちらに向かってきた。しっかり向けられた視線から、きみが対象なのは明確で)
良かった……君の番みたいですよ。(きみのまえに屈み、立てますか?と気遣い伺う看護師の横から、ユーベルコヲドで痛み止めを施していること、重症なのでできれば動かさず高速治療を施してほしいことを伝えた。猟兵が集う場所のせいか、枝を生やした子供の言葉でも疑われることなく、頷いた看護師はインカムでその旨を伝えたようだった。ほどなく治癒の使い手が来るだろう……)

……それじゃあ、そろそろ俺は輸送班に戻ります。お大事に。次は、元気な時にお会いしたいです。
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真白・葉釼  2020年11月12日
成る程……ザリガニ釣りとかいうものもあるから容易だと思っていたが……。(あちらも必死だろうから、そのようなこともあろう。としみじみザリガニを思い浮かべる。両手のはさみを掲げたザリガニの姿を)手懐けるというのもそうだが、……そう、癒すこともだが、搦め手が向いているのだろうと思う。(それは単純に傷を癒すでなく“痛みを取る”ものであったからというのも、推察の材料だった。おそらく。俺はそう思う。そのように付け加えながら)
立派……。(些か面映ゆい単語ではあった。座り直すにも気を付け、ただ視線を移動させてから)そうだな、背はよく伸びた。というか――君だって立派だろう。(自分の相手を十二分にした――そう言っている間に、彼の言葉通り先ず足音が耳に届く。自身の正面に屈む看護師の姿を正面から見た)(頭もなるべく動かさないように気を付けている所為だが)
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真白・葉釼  2020年11月12日
うん、立てないこともないが……。(止した方がいいのだと彼が言うのであれば、そうなのであろう。という風情だった。例えばそのまま放っておかれていたとしても、そう、彼がいなければ立とうと試みていたような調子だったけれども)
――ああ。(短く応え、座っていた彼の立ち上がるだろう間、その分だけ少し考えた末、顔をそちらに向けた。言いつけを少しばかり破って)

有難う、雲珠。また。
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真白・葉釼  2020年11月12日
(遠くアナウンスが職員を呼び出している。そろそろ戦いに僅かな区切りがつき、次の戦いまでのいつまで続くか判らない束の間、この支部にも平穏が訪れるだろう。別世界で数多の竜が平らげられるまで。断続的に続く忙殺を、しかし職員たちは皆、慣れた手つきでこなしていく)
(世界を守ると決めた意志の前に、竜の炎はあまりにぬるい)
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真白・葉釼  2020年11月12日
〆.
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