バトルオブフラワーズ⑫~文明を侵略する者
煌めく星のような水を湛えたグリモアを浮かべ、仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)が一礼する。
システム・フラワーズ内部に猟兵を送り出せる場所を確保したようだ。
ただし、此度の戦場は戦略的には無視しても問題なく、攻略の必要が無い場所。
それでも行く者は居るか、と湛えた水と同じ色の目を向けて問いかけて来る。
煌めく水を展開し、その姿を映す。
対峙する相手は『ドラゴンテイマー』。
紫のガスに包まれ六枚の翼と赤き剣の腕(クリムゾンキャリバー)を持つオブリビオン。
その名に相応しく『黒竜ダイウルゴス』を召喚する能力で戦う。
幾人かが見た予知では『グリモア』を求めているようだという、謎多き者だ。
しかし彼もまたオブリビオン。強力な個体故に同時に一体しか存在し得ずとも、何度も骸の海から蘇る存在。
だがその倒し方は明白だ。短期間に許容値を超える回数倒せば、復活は不可能になる――筈だ。
最後の言葉を濁しつつも、衣吹は続ける。
今までの怪人幹部……エイプモンキー戦やラビットバニー戦のような、先制攻撃以外の特別なルールはない。力対力の純粋なぶつかり合い……強いて言うならウインドゼファー戦に近いと言えるだろう。
だが、間違いなくこれまでの誰よりも強敵だ。
己の持つ全てに問い掛け、格上相手に渾身の一撃を叩き込め。
これは世界を救いえるイェーガーにしか出来ない戦いだ。
武運を祈る。
そう言いたげに目礼をして、衣吹は花の舞い踊る戦場への道を開く。
小風
小風(こかぜ)です。
七作目は三度キマイラフューチャー世界にてボス戦です。
よろしくお願いします。
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敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
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第1章 ボス戦
『ドラゴンテイマー』
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POW : クリムゾンキャリバー
【赤き剣の右腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【黒竜ダイウルゴスの群れ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : ギガンティックダイウルゴス
レベル×1体の、【逆鱗】に1と刻印された戦闘用【大型ダイウルゴス】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : 文明侵略(フロンティア・ライン)
自身からレベルm半径内の無機物を【黒竜ダイウルゴスの群れ】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
イラスト:ハルヨリ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
幻想的とも言えるシステムフラワーズの内部。
色とりどりの花々が足場となり、舞い遊ぶように薄桃色の空間を漂う。
その中にあり、そして中枢から外れた場所に、その者は立っていた。
まるでこの状況を静観するように。
興味が無いのではない、確かに見ているのだ。
この戦いの行く末と、猟兵の動きを。
樫倉・巽
全ては初手を見切れるかどうか
と言うことか
わかりやすい
【蜥蜴剣術無天流】を使い戦う
間合いの差し合い
視線でのフェイント
殺気を込めての牽制などで相手の出方を窺いながら右腕での攻撃の癖を盗もうとする
わざと隙を作って相手の攻撃を誘い太刀筋を見極めたりしながら機を窺い
相手が仕掛けてきたらしっかりと当てることを念頭に左から巻き込むように刀を振るい角度を調整して相手の攻撃を刀で受け、剣を弾き体の正面側に隙ができるように剣を払い飛ばそうとする
相手の攻撃を受けられたらそのまま攻撃に転じる
右に残っている刀を防御を捨て一撃に賭けそのまま一気に袈裟斬りで振るい相手の頭蓋を割ろうとする
「ただの一撃の勝負、望むところだ」
「全ては初手を見切れるかどうか、と言うことか。わかりやすい」
一番槍。己の得物、砂塵渡りを手に前へ進み出たのは樫倉・巽。
トカゲ人のキマイラだ。
中枢を守る怪人幹部とは違い否応無しに道が繋がっているわけではない。彼を倒すという巽の意思と歩みの下に、花の足場が現れ咲いては散ってゆく。
スッと、剣と一体となった右腕を構えるドラゴンテイマー。出方を見ておきたい、という予知の言葉通り、直接の交戦も望むところなのだろう。
「ただのトカゲだが相手になろう」
『トカゲではドラゴンに勝てん』
蝙蝠と鳥の翼を羽ばたかせ、自信の足場から一気に間合いをつめるテイマー。
振るわれたクリムゾンキャリバーをスレスレで躱す巽。わざと隙を作り、そこへ向かって来た一振り。狙い通りだ。
そして最大の好機だ。
ユーベルコード蜥蜴剣術無天流。
トカゲの為の愚直な剣術。
大振りな腕の剣が返る前に、防御を捨てた一撃がテイマーの胸を鋭く突く。
「ただの一撃の勝負、望むところだ」
『見事』
攻撃を受けたにもかかわらず、不敵な笑みを浮かべるテイマー。
『だが失念してはいないか。――私は竜使いだ』
二の腕の装飾と赤い剣の境目が曲がり、先程とは違う軌道で斬り付けるテイマー。
途端、紫の煙は収束し、黒竜ダイウルゴスの群れとなって襲い掛かる。
至近距離からドラゴンの突進を受け、巽は花も霞む彼方へ弾き飛ばされた。
苦戦
🔵🔴🔴
ヴォルフガング・ディーツェ
【POW】
連携可
解析を試みるだけで脳が、作り上げた演算体が悲鳴を上げるとか反則級だね、キミは…!
ドラゴンテイマーの身体機能、攻撃の軌跡予測を【メカニック】を駆使し持参のヘルメス等で早急に把握
少しでも攻撃し辛い角度を維持しつつ左側から【緋の業苦】を仕掛けよう
【2回攻撃】や眩いばかりに燃え盛る炎の【属性攻撃】、足払い等の牽制を織り交ぜつつ【グラップル】で組み付き、右腕で攻撃し辛い位置取りを維持しながら魔爪で抉り込んでいくよ
間合いを取られたら無理せず回避を優先
やはり先程得た相手の情報を元に、少しでも回避の精度を上げていこう
多量の出血や重大な傷が自他に見られたら、霊薬や【医術】で応急処置を手早く行うよ
「解析を試みるだけで脳が、作り上げた演算体が悲鳴を上げるとか反則級だね、キミは……!」
先人とドラゴンテイマーの闘いをサイバーアイ、ヘルメスの片視鏡で読み込み調べていたヴォルフガング・ディーツェ。
少しでも攻撃され辛い位置取りと、回避精度を上げる試みだ。
濃く紫がかった赤い剣を向けるテイマー。血にも例えられる強烈な色彩のそれを見て苦笑いを浮かべるヴォルフガング。
「血は嫌いなんだ、止まらなくなるから、ね」
指を鳴らし腕輪の魔具、這い穿つ終焉を魔爪に変じると構え、応戦の返事とした。
振るわれる剣を躱し続けるヴォルフガング。相手の技はクリムゾンキャリバー。先の戦闘と同じ手。解析済みだ。
大振りだが腕と一体、それゆえ動きの限られる剣の届き辛い角度を保ち、牽制する。素早い二回攻撃、燃え盛る炎に足払い。どれも本命技ではない。
そしてテイマーが距離を詰める為に幾度目かの羽ばたきを見せた時、ヴォルフガングは背後――背中と翼の間に飛び込み組み付いた。
ユーベルコード緋の業苦(ヘイトレッドカース)。
呪詛を帯びた魔爪がテイマーの脇腹を捕らえた刹那、間髪入れない神速の連撃が容赦なくその腹を切り刻む。
『くっ!!』
急旋回し、ヴォルフガングを振り落とすテイマー。
届いた魔爪の呪いはその黒衣と血肉をこれから、戦いが長引くほどに腐らせるだろう。
成功
🔵🔵🔴
レイ・キャスケット
※ソロ希望
無機物の生物への無制限変換とかどんなチートよ
大規模攻撃は脅威だけどゼファーに比べれば目で追えないほどじゃない
《魔法跳躍》で空気の足場を蹴り反応しきれない時はダメージ覚悟の爆風魔法で体を無理矢理【吹き飛ばし】て回避するよ
実戦でこれ使うの初めてだなぁ
かなりえぐい戦法だけど超強敵にドラゴンの群れとかだし本気で良いよね
巻き込むとヤバイから他の猟兵さんは離れてて欲しいかな?
《三魔一体の法》で『オロチウイルス』を『成長促進』で効果速度と濃度を【全力魔法】で高め『大嵐』の【属性攻撃】にのせてドラゴン絶滅狙い
生半可な毒よりやばいよこれ、実体験だから間違いない
拡散性は抑えてあるから二次被害はご心配なく
「無機物の生物への無制限変換とかどんなチートよ」
舞い飛ぶ花弁の色を集めたかのような、彩鮮やかな羽衣を纏うレイ・キャスケット。
此度の戦いで怪人幹部三名を相手にして来た強者だ。
「大規模攻撃は脅威だけどゼファーに比べれば目で追えないほどじゃない――いくよ!」
ブランクソードに魔力を流し刃を生成すると、咲き誇る花の足場を蹴って走り出す。
先制攻撃を放つドラゴンテイマー。
放たれるのは無機物より作られたダイウルゴス群……ではない! テイマーのレベル分の100体弱、戦闘用大型ダイウルゴスの群れだ!
「えっ!?」
『本命技の前に一つ、使おうとしただろう。ならばこちらも二撃だ。見逃さん』
続けざまに放たれるのは予想通り無機物より作られるダイウルゴス群。塵のようになり静かに消えゆく花弁がその姿を変じた。その範囲、見渡す限り。先程の戦闘用ドラゴンよりは小型ながら、竜らしく充分大きい。
大型と巨大な大量のドラゴンで溢れるシステムフラワーズ内。最早花の色を残すはレイのみ。一面の黒竜の群れで世界は塗り替えられた。
「うわぁーーー!!!?」
すぐさまユーベルコード魔法跳躍(エレメントステッパー)を展開するレイ。
この空間で小回りが利く僅かな人間だ。
自分を喰らおうと迫り来るドラゴンの大きな口と牙を下へ跳んで躱す。切り裂き叩きつけようと振るわれる爪と尻尾は竜同士の僅かな体の隙間を抜けて避ける。
ダイウルゴス同士も予想以上に密集し、小さな人間を追う為に苦心しているようだ。
「実戦でこれ使うの初めてだなぁ」
ステップが終わる前に、連携を取られる前に、レイは次の技を練る。
「かなりえぐい戦法だけど超強敵にドラゴンの群れとかだし本気で良いよね」
ユーベルコード・三魔一体の法(トリニティ・オブ・フェノメナ)。
宇宙世界を滅ぼさんとしたオロチウィルスを魔力で高めて放つ大嵐が、密集したダイウルゴスの群れの中を所狭しと暴れまわる。
響くドラゴンの悲鳴と咆哮。暴風に煽られ竜同士が衝突し、それを逃れたものも強烈な感染により、次々と力なくその巨体を落としてゆく黒竜。
見渡す限りいた黒竜が、景色から剥がされるように崩れ落ちる。
しかし分厚く巨大な竜の壁に守られた結果か、テイマーは無傷だ。
風が止み、その制御を終えたレイもまた、システムフラワーズの中を落ちていった。
失敗
🔴🔴🔴
天津・麻羅
他の猟兵達が攻撃を受けてピンチになっておる所に颯爽と現れ相手の注意を引くのじゃ。それで相手がユーベルコードを使うまで堂々しておく!それで黒竜ダイウルゴスの群れを出してきたら逃げ回る!!周りにどのくらい無機物があるかわからんが、それを一人で操作しようとすればそこに隙きが出来るはずじゃ。そのチャンスが来るまで攻撃せずに逃げに徹するのじゃ。それで追い詰められたら窮鼠猫を噛む的な勢いで攻撃すると見せかけて、生まれながらの光でさっきまで攻撃を受けておった猟兵達を回復するのじゃ。光が何らかの攻撃じゃと思うてくれれば良し。わしの冒険はここまでじゃ…人の身であるもの達に未来を委ねる……(ガク
力尽きた猟兵を追ってトドメを刺すか。しかしもっと気になる者がいた。
位置的に自分の視界に入っているのは分かっているだろう。しかしそれでも堂々と仁王立ちを続けるのは天津・麻羅。
「おっすわし神!」
神だそうだ。
しばし考えるドラゴンテイマー。より彼らの出方を見られる方が後の為になるだろう。
シスタムフラワーの中を漂う消えゆく花弁、僅かな塵に文明侵略を施すとドラゴンと化し、神を名乗る六歳児に向けて容赦なく放った。
「全知全能神の素早さ、とくと見るがよい!」
花の足場の中を飛んで跳ねて、黒竜ダイウルゴスの群れの中を逃げ回る麻羅。その狙いはドラゴンを倒すことではない。窺っているのはテイマーの動きだ。たった一人で多くの竜を操ろうとすれば、そこに隙が出来るはず。チャンスは一瞬だろう。それまでは一切反撃もせずに逃げに徹するのだ。
広大な空間でたった一人の子供を延々追うのもしんどいのだろう。動きを変えようと指揮のようにテイマーが左腕を上げる。
「そこじゃ!!」
竜が動きを変え、鋭く滑降するように飛び麻羅を襲う。
その間を抜け、時に蹴り、時に影に隠れながらテイマーへ迫る。
一瞬、その姿が消えた。
いや、居る。
迫り来る黒竜の足に飛び乗って、一気にテイマーの頭上へ!
「とりゃあ!」
『!!』
光輝く麻羅がテイマーの肩に乗り、再度の仁王立ちを披露する。
その光は眩い軌跡を描いて――戦闘不能に陥り、遥か下方の花の中で倒れる猟兵を癒した。これなら救出前にうっかり流れ弾に当たっても大丈夫だろう。
『…………なるほど、こんなことをする者もいるのだな』
絶好の攻撃の機会を仲間の回復に使った奇特な猟兵は、頭上を飛んで来た黒竜に咥えられると、群れの中へ飛び去っていった。
「わしの冒険はここまでじゃ……人の身であるもの達に未来を委ねる…………」
神は花の舞い散る幻想的な空間の中、星となった。
苦戦
🔵🔴🔴
水心子・静柄
黒竜ダイウルゴス…ね。懐かしがる人がいるみたいだけど、私はもう隠居してたのかしらね(謎)
まずはその右腕の赤い剣をどうにかしないといけないわね。どうするかって単純に避けるしかないけど。ならその赤い剣の一撃を受けたら終わりって覚悟で望むわ。
まずは周りの地形を利用して攻撃方法絞る。胴へ突きが一撃避け辛いけど、剣を振り回せ難い所に誘導して、あえて突きに狙いを絞るわ。ここまでのレベルの相手に通用する見切りじゃないけど、そこは歴戦の勘(第六感と野生の勘)で何とかする!無事に初撃を避けれたら、あとはカウンターで居合ね。どうしても初撃を避けれないと思ったらダメ元で咄嗟に捨て身の居合を放つわ。
何故か懐かしがる人がいる黒竜ダイウルゴス。
私はもう隠居してたのかしらね、と呟くのは水心子・静柄。
ドラゴンテイマーへ挑む前に、システムフラワー内部の地形を確認する。舞う花弁以外は何も無いように見えて、足を下ろせば一定の場所で花が咲いて乗れる。寝転べば花は咲かず、最下部まで落ちてゆくようだ。上へはごく緩やかな坂になっているような感覚がある。おそらく、中心部へ向かう道だろう。空中は手で払っても足で蹴っても花は咲かなかった。
「…………」
地形を利用しようとしたが、申し分ないくらい、障害物がない。
「ま、受けたら終わりって覚悟で望めばいいわね」
目の前に降り立ったテイマーへ、静柄は歩み出た。
『……妙な者が続く』
テイマーが構えたクリムゾンキャリバーの切っ先。
その先を避けるどころか自分の体を合わせるように、静柄が動き対峙したのだ。
「侮らない方が良いんじゃない?」
言うが早いか、静柄は花の足場を踏み込んだ。花弁を舞い上げ疾風のように迫る。しかし、テイマーの方が早い。わざわざ大振りな斬撃はしない。僅かに腰を落とし、大剣とは思えないほどの速さで突きを繰り出した。
「ハッ!」
一撃目を避ける、続く二撃、三撃も。静柄の狙いはテイマーの剣戟を"突き"に絞る事。勘と見切りで避け易くする為だ。
その剣が戻る前に内側へ潜り込むと、もうそこはもう脇差のヤドリガミ静柄の間合い。
捨て身覚悟の超高速、刀身さえ見えない抜刀が、テイマーの胴を斬る。
『くはっ!!』
間合いから一足飛びで離れ、血振りをすると素早く納刀する静柄。
その刀身がどんな色形をしているのか、知るのは彼女のみである。
成功
🔵🔵🔴
香神乃・饗
数が多すぎるっすまともに相手したら持たないっす!
香神写しで武器を複製し俺自身も攻めると同時に反対側にいる竜の影に苦無をむかわせ逆鱗を撃ち他の方向にも俺の仲間がいるというフェイントをかけ混乱させ隙をついて駆け抜けドラゴンテイマーの暗殺を狙うっす!
混乱してもしなくとも駆け抜ける時に敵を盾にしたり残りの苦無で逆鱗をうち同士討を起こし混乱させるっす!
敵の動きを情報分析し素早く突っ切るっす
無傷で抜けられるとは思ってないっす討つためにぶっこむ覚悟を決めて駆けるっす
テイマーに肉薄できたら剛糸で絞め、苦無で斬る、残りの苦無で撃つ、どれかをフェイントにして暗殺を狙うっす!
何も持って帰らせないっす!その命すら
色彩豊かに咲く花の足場を蹴るのは、紅色と梅花を纏った香神乃・饗。
苦無を手にドラゴンテイマーの前に躍り出る。
ゆらりと体勢を戻したテイマーが、その紫のガスを一層濃く広げる。
『次の猟兵か……見せてもらおう、その動きを』
ガスが無数の渦を描くように回転し、その輪を破るようにダイウルゴスが出現する。逆鱗に刻印を持つ大型の戦闘用ドラゴンだ。テイマーの姿が埋もれるほどの大きさと頭数を以って、饗を食らおうと飛来する。
「数が多すぎるっす! まともに相手したら持たないっす!」
大型竜の陰に隠れ、発動するユーベルコードは香神写し。
梅の枝が彫刻された愛用の苦無を三十八振り複製すると、自身と共に向かうものと反対側の竜へ向かうもの、二手に分かれて飛ばした。
テイマーを挟んだ二方向から、大きな戦闘音が聞こえる。
一方は饗自身と宙を飛ぶ苦無群による戦い。
もう一方は苦無のみで猟兵の姿はない。
当初は饗の居る側を優先、後者はダイウルゴスも後回し状態だった。が、まるでそこに猟兵仲間がもう一人いるかのように錯覚を起こす饗の巧みな念力捌きのお陰で、竜は二方向を同等の勢力を以って対処することとなった。
否応なく自分の姿を隠す大型竜の群れに囲まれ、饗は分析していた。ダイウルゴスの動きの規則性を。
そしてテイマーの背中を竜の群れの隙間から確認した瞬間、一気に跳躍する。
迫り来るドラゴンの逆鱗を操る苦無の一撃で貫き、その走りを邪魔させない。
竜の咆哮が全ての音をかき消し、迫る暗殺者の助けとなる。
『!!』
テイマーが気付いたのは自分の首に剛糸が巻き付いた瞬間からだった。
「何も持って帰らせないっす! その命すら!」
透明なもう一人を演出していた残りの苦無が空を切って回り込み、テイマーの蝙蝠と鳥の羽の付け根を穿つ。
大きく羽ばたき饗を振り落としたテイマーだが、その飛行に開戦当初の鋭い力強さは見られなくなっていた。
成功
🔵🔵🔴
シール・スカッドウィル
久しいな。
俺はあの戦争の時はいなかったが、まぁ――冒険者、と言えば伝わることもあるか?
幇を使用し、支援効果を起動。
反射性を持った障壁を5枚、重ねて足元に。
<全力魔法>で効果を補強して、
「シフト、レイヤースプリング」
抜く勢いで、両足で飛び込む。
乗算された反射で吹き飛んで、全体を把握。
幇でさらに滞空、および思考加速支援。
数が多くても問題ない。
「お前たちはどれほどの数の敵意を、俺に向けた?」
増幅された【輻射】に貫通属性を乗せ、繋で連射。
加速した思考で<誘導弾>として制御し、近場から次々と撃ち抜く。
<2回攻撃>と言わず、尽きるまで持って行け。
弾丸は腐るほど持ってきた。
よもや<恐怖>など、あるまいな?
ドラゴンテイマーに既視感を覚える猟兵が一人。
冒険者と言えば伝わるかと独り言ちるのはシール・スカッドウィル。
色とりどりの花の足場を咲かせながら近付いてくる黒衣の青年は最後の猟兵か、それとも迎えに来た死神か。
赤い花ばかりが足元に咲くテイマー。不敵に口端を上げると、舞い落ち塵となりゆく花が黒く膨張しダイウルゴスとして蘇り、幻想的なシステムフラワーズの光景に闇を作る。こちらは地獄よりの使者か、それとも堕天した悪魔か。
『見せてもらおうか。猟兵の戦いというものを』
向かって来るは見渡す限りの消えゆく花弁と同じ数だけの黒竜。
シールは青い眼差しで迫り来る竜を見据えたまま、己の手札を落とした。
「シフト、レイヤースプリング」
支援魔法を施されたカード、幇がシールの手を離れ足元で五枚重なる。仄かな反射の魔力光を放つそれを一歩踏み込んで両足で踏みつける。と同時にその体は花の地面を離れ、竜の羽ばたきよりも早く、遥か上空へと吹き飛んで行った。
「全部で80体くらいか……問題ない」
再びカードを空中へ落とすとそれを踏み、飛ぶようなジャンプに加え思考加速支援を繰り返すシール。ドラゴンを集合させるように跳び回り、その光景は黒い龍が体をくねらせ踊るようであった。
そして飛べないはずのシールを捕まえられず、竜とテイマーが苛立ちを募らせたその時、反撃の時は満ちた。
「お前たちはどれほどの数の敵意を、俺に向けた? ――シルエットシフト」
ユーベルコード輻射(ラディエート)。
ライフル型の精霊銃、繋にその魔力を込めるとジャンプを止め、口を開けて待つドラゴンの群れへ真っ直ぐ落ちながら突っ込んでいった。
黒い龍に食われゆくような光景。しかし喰っているのはシールだ。
ダイウルゴスの口からその脳天へ、貫通属性を乗せた拡散砲を次々と連射。
その実誘導弾であるそれは銃口を真っ直ぐ落下地点へ向けたまま、不規則な曲線を描いて迫り来る黒竜から先に撃ち抜いてゆく。
龍の腹を裂きながら降りて来るようだ。
その尾、全てのダイウルゴスを倒し切り花の足場へ戻ったシールが全ての竜のボス、ドラゴンテイマーへとその銃口を向ける。
「弾丸は腐るほど持ってきた。よもや恐怖など、あるまいな?」
残り全ての弾丸をドラゴンテイマーへ向けて一斉連射するシール。
放つほどに威力の増すそれを全て喰らったテイマーは、赤黒く汚れた花の上で――――それでも立っていた。
胸を突かれ、脇腹を腐らせ、胴を切られ、羽も動かず、全身を蜂の巣にされても、それでも立っていた。何という男だ。
すっかり己の血で濡れた花の上で、満身創痍以上の負傷を受けてなお、不敵に微笑む。
『僅かばかり、届かなかったようだな。しかし良いだろう。この戦いの記憶、私が貰ってゆく』
ドラゴンテイマーの赤黒く汚れた花の足場が散る。
そしてもうどこにも、その姿はない。
己の傷を癒す為、彼自身の意思で、屍の海へ帰って行ったのだ。
成功
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