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バトルオブフラワーズ⑫〜地獄の彼方より

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ドラゴンテイマー

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「引き続き『バトルオブフラワーズ』についてお伝えします」
 グリモア猟兵、ユージ・スペンサー(f14224)が告げた。

「キマイラフューチャーの中枢『システム・フラワーズ』内部での戦局ですが、3体の幹部怪人を撃破したことにより、いよいよオブリビオン・フォーミュラ『ドン・フリーダム』との戦端が開かれています。他方、謎のオブリビオン『ドラゴンテイマー』との接敵も可能となりました」

 『ドラゴンテイマー』は、怪人軍団に占領技術を提供したとされている。すなわち、今回の戦争の契機をつくったとも言える存在だ。その背景や目的など、すべてが謎に包まれている。『バトルオブフラワーズ』に勝利するうえで、『ドラゴンテイマー』を倒すことは必須ではないが、強大なオブリビオンである以上、滅ぼしておくに越したことはないとも言える。

「そこで、みなさんは、この『ドラゴンテイマー』と戦っていただきたいのです。『ドラゴンテイマー』は強敵ですが、それだけに、この存在を滅ぼしておくことは、キマイラフューチャーの未来をより良いものとするでしょう。大変危険な任務となりますが……みなさんのご健闘を、お祈りしています」



 無数の花びらが舞うきらめく空の下――花の咲き乱れる地平に、ひとりの男が立っている。
 その背に広がる三対の翼、その異形が、男がヒトではないことを示していた。一見、物静かな紳士然としてはいるが、いざ相対すれば内に秘められた力のようなものを感じることができただろう。それは美しくも残酷な堕天使のようでもあった。
「来たか、猟兵たち」
 転移によりあらわれた猟兵たちを一瞥し、ドラゴンテイマーは言うのだった。
「いいだろう。おまえたちの実力を、見極めさせてもらおう」

 花咲く大地を吹き飛ばし……そこに巨大な威容が召喚される。
 黒光りする金属質の外装に覆われたドラゴンが高らかに咆哮すると、空間すべてが畏怖するように震えた。


墜落星
 謎めいたオブリビオン、『ドラゴンテイマー』との戦いです。

 敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。

 みなさんのプレイングをお待ちしております。よろしくお願いします!
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第1章 ボス戦 『ドラゴンテイマー』

POW   :    クリムゾンキャリバー
【赤き剣の右腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【黒竜ダイウルゴスの群れ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ギガンティックダイウルゴス
レベル×1体の、【逆鱗】に1と刻印された戦闘用【大型ダイウルゴス】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    文明侵略(フロンティア・ライン)
自身からレベルm半径内の無機物を【黒竜ダイウルゴスの群れ】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

峰谷・恵
「ドクターオロチの同類みたいな異様さを感じる…放置できる相手じゃないね」

ダークミストシールド発振器の装着を一回攻撃受けたら外れるくらい緩めておく。
空在渾発動可能になるまで、空間戦闘用ベルトの小型ブースターも使ってとにかく敵から距離を取って攻撃を回避。避けきれない場合ダークミストシールド(盾受け)で受け、手から外れたダークミストシールドに敵の追撃が来るよう誘導し避ける。
空在渾を使えるようになったら即発動、蒼き宇宙で神殺しの力を増幅しながら急上昇し敵上空を飛びながら神殺しの力を込めたアームドフォート、MCフォート、熱線銃の一斉射撃(空中戦、一斉発射、2回攻撃、鎧無視攻撃)を浴びせる



 音もなく――、足元の花びらを数枚散らしただけの軽い動きで、ドラゴンテイマーの身体は一足飛びに峰谷・恵(f03180)の眼前にまで迫っていた。

「……っ!」

 素早いバックステップで再び間合いをとった恵でなければ、振るわれた最初の斬撃で首を落とされていただろう。
 ドラゴンテイマーの異形の翼がはばたき、右腕の剣はその色そのままの、血を欲して獲物を追う。
 恵は、豊かな胸と、息とを弾ませながら、絶え間なく繰り出される攻撃を避け続けることを余儀なくされた。

(ドクターオロチの同類みたいな異様さを感じる……。放置できる相手じゃないね)

 傍目には追い込まれたように見えていても、内心で、恵はこの会敵を選んだことが間違いではなかったと感じている。この男はなにか危険で……異質だ。オブリビオン・フォーミュラを仕留めることとは別に、この敵を倒すことの意味は大きい。静かな闘志が、恵の瞳に輝きをもたらす。
 しかし、ドラゴンテイマーの先制攻撃は苛烈さを増すばかりであった。
 鮮血色の剣と化した右腕の刃が、息もつかせぬスピードで恵を狙う。恵は巧みな体捌きで回避を続けているが、果たしていつまでこの死の舞踏を続けられるというのか。
 ドラゴンテイマーの次の一撃は、いっそうの気迫のもとに放たれた。クリムゾンキャリバーの切っ先が描く赤き軌道が、避け切れぬ速度で恵に肉薄する。
 恵は瞬時に、回避ではなくガードへと判断を変え、ダークミストシールドで斬撃を受け止めた。
 手袋に装着された青い菱形の発生装置から生じた黒い霧状のエネルギーからなる盾は、ドラゴンテイマーの赤い刃を見事、真っ向から防いだのだ。
 だが、寸断されることは免れたものの、一撃の重さは恵みを吹き飛ばすに十分だった。
 彼女がシステム・フラワーズの花を散らして倒れるのを見ると、ドラゴンテイマーの暗い瞳に嗜虐の炎が宿った。

「喰らえ、ダイウルゴス! 赤き剣の贄を屠るがいい」

 虚空を喰い破って、黒き竜の群れが一斉に飛び掛かっていった。屍肉にむらがるハゲタカの一団のような獰猛さが恵を呑み込んだ――かに、見えた。

「……なに!」

 はじめて、ドラゴンテイマーのおもてに感情が兆した。
 驚きをもって見上げた空に、高らかに飛ぶ恵がいたのだ。
 ドラゴンテイマーは、クリムゾンキャリバーの一撃を命中させた相手へ、ダイウルゴスの群れを向かわせたはず。だが、恵は、斬撃を受け止めたダークミストシールドの発生装置の装着をゆるめていたのだ。攻撃を受け止めたあと、盾は発生装置ごと外れて落ち、竜の群れはそちらへ誘導された。その隙に、恵は跳躍したのだ。

 ユーベルコード「空在渾(ソラハカミノモノニアラズ)」のオーラが、彼女の身体を包み、白と黒に輝く異形の太陽のように燃え上がらせる。それこそ、彼女が秘めた「神殺し」の力。
 身につけたアームドフォートや熱線銃にその力が流れ込むのを確かめると、恵は一斉にひきがねを引いた。

「……なるほど、猟兵……、あなどっていたのは私か……!」

 圧倒的なエネルギーの奔流が、束となってドラゴンテイマーへ降り注ぎ、周囲の花の足場もろともに包み込んだ。
 それは、猟兵たちがドラゴンテイマーに初めて土をつけた、初撃となったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

八重森・晃
「まあ格上相手だからって、怖がってもいられないしね。怖いけど」

相手の顔を見る。怯懦が足を止めぬように≪祈り≫、二丁のフリントロック拳銃を構えて距離を詰めます。ドラゴンが壁になって攻撃が当たらないのは解っているので。≪オーラ防御≫で防御を固めて≪捨て身攻撃≫になる覚悟を決めます。≪世界知識≫でドラゴンのブレスや噛みつきについての知識を引き出し、有利になりそうな≪属性攻撃≫を行います。距離を詰めるための段階でボロボロになるのは計算の内で、そこまでこぎつければUCコード【不死者】で攻撃力と生命力吸収能力を強化、周りのドラゴンたちから赤い光で体力を吸収しつつ、本丸に切り込みます。完全に捨て身。


煌天宮・サリエス
「さて、無機物産のドラゴンは……美味しいのでしょうか?」

先制攻撃……黒竜の群れの攻撃は【先制攻撃】の知識と【第六感】で察知した攻撃を【武器(盾)受け】と【オーラ防御】で捌き、捌き切れなかった攻撃は【激痛耐性】で耐える。

先制攻撃を耐えたら反撃の時間、敵からの攻撃によって高まった戦闘力と【生命力吸収】能力を活かした素手での殴打や蹴りによる【空中戦】を行う。黒竜との戦闘での負傷や生命力の吸収によって、さらに力を高めながらドラゴンテイマーのもとに飛んでいきます。

グリモアがなんだかよくわかりませんが、世界の安寧のため沈んでください。



 花びらが集まって足場を形成してゆく。そのうえに、ドラゴンテイマーが、再び立ち上がった。そしてゆっくりと振り返る。
 それは憎悪か、瞋恚か。はかり知れぬ深淵の暗さをたたえた眼差しに射られて、八重森・晃(f10929)は思わず足を止めた。
「格上相手だからって、怖がってもいられないしね」
 でも怖いけど――、本音は呑み込み、晃は祈るように自身を振るい立たせる。
 その傍らに、ふわりと舞い降りた銀の髪のオラトリオは煌天宮・サリエス(f00836)だ。そう、猟兵はひとりではない。ふたりは慎重に、ドラゴンテイマーとの間合いを探る。

「わたしを恐れるか。骸の海より還ったわたしを。オブリビオンとは――過去を捨てたのは貴様たちだぞ」

 ドラゴンテイマーの声には、嘲りの色彩が混じる。
 どちらからともなく、かれらは動いた。第二ラウンドのゴングが鳴ったのだ。

「地獄よ、ここに在れ」
 ドラゴンテイマーのまとう紫色のガスが、足元から周囲へと急激に拡散する。
 システム・フラワーズの花びらの大地が、一瞬にしてその姿を変え、やわらかな花の色は暗く硬質な鈍色になったかと思えば、竜の姿をかたちづくってゆく。
 黒竜の群れは、晃とサリエスへと一斉に襲い掛かった。
 ふたりはともに、周囲にオーラ防御を巡らすことで、先制攻撃をしのいだ。
 晃はフリントロック式二丁拳銃――ルクバト&アスケラを手に、黒竜の攻撃に耐えている。反撃はおろか回避もままならず、容赦ない攻撃に傷ついてゆくが、それでもギリギリのところで致命傷から逃れ続けている。
 彼女の紫の瞳は、飛び交う竜の群れのただなかにあって、ドラゴンテイマーを見据え、追っていた。この竜の嵐を通しては射撃は難しい。しかし、勝機はあるのだ。それを信じればこそ、耐えられる。
 サリエスもまた、時天使の秘盾によって攻撃を受け、防御に徹していた。このオーラ防御に適した光の盾をもってしても、受けきれない攻撃が苦痛をもたらす。
 オブリビオンは今を喰らい、世界を破滅に導くという。
 それはすなわち、絶望の体現と言えたかもしれない。猟兵たちは、しかしそれに抗う。ならばその意志こそ、希望と呼ばれるにふさわしいだろう。
 そう――、猟兵は待っていたのだ。
「さて、無機物産のドラゴンは……美味しいのでしょうか?」
 サリエスは、竜の群れによる攻撃の嵐が、ほんのわずか、その勢いが減じた瞬間を見逃さなかった。
 その身に、黒く穢れた花が咲いてゆき、それまでの、天使のような聖性を感じさせる清浄な気配が、一転して禍々しいものへと変じていった。
 同時に、晃の全身も紅い光に覆われ、あやしい魔性の力を顕現させていた。
 サリエスの「反転:救いの光花(サンダツノハナ)」。
 晃の「不死者(イモータル)」。
 奇しくも、ふたりのユーベルコードはいずれも、敵から受けたダメージに応じておのれの力を高めるものだった。熾烈な先制攻撃に晒され、避けきれないことを見越しての、それがかれらの戦略だったのだ。

「ただでは、死なない」
 晃は、竜の群れのなかを、攻撃を受け続けながらも、まっすぐに歩き、つき切っていった。
 立っているのが不思議なくらいに、傷ついたその姿は、しかし、内からあふれる無尽の生命力によって足取りも確かで、力強い。なおも襲い掛かってくるドラゴンは、彼女の身を覆う紅の光に触れると、逆にその力を吸収されていき、竜はその数をどんどん減らしてゆく結果になっていた。
「バカな」
 気づけば、晃はドラゴンテイマーの眼前にまで迫っていた。
 たん、と地を蹴り、最後の間合いを一息に詰める。
 ドラゴンテイマーは剣の腕で応戦する。その切っ先は、たしかに晃をとらえはしたが、片口に刺さったに過ぎなかった。それさえ、今の晃にしてみれば照準が易くなっただけのこと。
 至近距離からの銃撃を受けて、ドラゴンテイマーは血を吐き、後方によろめく。
 すぐに、竜の群れが晃を押し流したが、捨て身ともいえる彼女の攻撃は十分すぎる成果をもぎとっていた。
 憎しみを込めて、見上げるドラゴンテイマーの目には、ドラゴンとの空中戦を演じているサエリスが映る。
 素手での殴打や蹴りで、竜と戦っている。殴るたびに、蹴るたびに、サリエスはドラゴンの生命力を吸収し、自身の力と変えている。そうして力を高めながら彼もまたドラゴンテイマーに近づき、そのときは待っていた。
 急降下!
「世界の安寧のため沈んでください」
 ドラゴンテイマーが殴り飛ばされると同時に、文明侵略(フロンティア・ライン)によって出現していた竜の群れは、花びらい戻り、きらめく花吹雪がすべてを覆い隠していくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

カイ・オー
ほっとくとヤバい奴だって勘が言ってやがる。何とかしてみるか。

装備〈レインフォースメント〉〈超感覚的知覚〉で身体能力と感知能力を限界まで高め、【見切り】【ダッシュ】で全力疾走し龍達の攻撃をかわし続ける。数が多い分、同士討ちしない様攻撃に隙間が出来るかもしれない。【戦闘知識】で隙を見つける。かわしきれない攻撃は〈サイコバリア〉で【オーラ防御】【盾受け】し軽減。

何時までも凌げるもんじゃない。限界は来る。その瞬間が敵の油断を突く唯一の好機と見た。
UC【瞬間移動能力】でテイマーの死角にテレポートし刀での全力攻撃で奇襲を仕掛ける。この一太刀に全てを込める。
俺にはこれが限界だ。再度テレポートで離脱するよ。



 墜ちてゆくドラゴンテイマーを受け止めたのは、むろんシステム・フラワーズの花の足場である。
 花の舞う広大な空間に、花弁でできた足場は無数に存在している。それがこのキマイラフューチャーの中枢の光景だ。
 ドラゴンテイマーは、花に埋もれながら、休息が許されないのを知った。駆けてくる猟兵を見たからだ。

 カイ・オー(f13806)は、銀鎖で飾った黒革のジャケットに身を包み、俊敏な動きで戦場へと到達する。
 ドラゴンテイマーは、ここまでの戦いで蓄積したダメージを押して立ち上がると、自身を鼓舞するがごとくに異形の翼を広げた。
 彼を取り囲むように、何体もの竜が召喚され、金属質の咆哮をあげる。
 竜の一体が、魚雷のように宙を奔った。
 カイが闘牛士のように身をかわす。サイキックエナジーを全身にみなぎらせて得た、常人をはるかに凌駕する超感覚的知覚と、レインフォースメントによる身体能力の強化があれば、超高速の攻撃をそれ以上の反射神経で回避することが可能だった。
 そのため、すぐさま飛来した次なる竜の攻撃も、そのまた次の襲撃も、カイは避け続けることができた。だが相手は意志ある存在だ。一度避けても、再び攻撃される。数に勝る竜たちはたちまちカイを包囲した。彼はサイコバリアで身体を包み込むことで、避けきれない攻撃の衝撃をやわらげ、なんとか猛攻をしのぐという状態に追い込まれる。
 防戦一方であるが、このまましのぎ続けられるとはカイ自身も考えては、いない。
 攻撃に耐えながら、勝機を探しているのだ。
 チャンスが先か、限界が先か。

「いつまでも、そうしてはおれんぞ」
 冷徹に、ドラゴンテイマーは言い放った。
 竜の一体が、傍にいた別の竜と合体するのを、カイは見る。無数の群れとの多対一の戦闘は、数では不利だが、相手が集団であるがゆえに、同士討ちなどの問題がある。それが敵の隙になるとカイは読んでいた。しかし。
 竜は次々に合体を繰り返す。
 そのたびに、逆鱗に記された数字が合計されてゆき、その姿も力も大きくなってゆくではないか。
 見る間に超巨大な一体となった黒竜は、圧倒的な質量でカイをなぎはらった。
「……っ!」
 まるで嵐の前の木の葉だ。サイコバリアを超えてなお、衝撃はカイに深刻なダメージを与え、システム・フラワーズの花舞う虚空へと、その身を放り出す。
 合体したことで残忍ささえ増したかのように、巨大竜は素早く回り込むと、カイに第二撃を加える。それは猛獣が獲物をなぶり殺すさまそのままであった。
 傷ついた身体が、花の足場に転がる。どしん、と黒光りする金属の爪が、その上に降り、超重量でカイを踏みにじる。
 限界だった。ドラゴンテイマーの召喚した竜の群れが合体して強大な一体になりうるという点が、カイの策の範疇にはなかったのだ。

「……へっ」

 しかし。
 カイが頬をゆるめたのに、ドラゴンテイマーは気づかなかった。気づいたとしても、死を前におかしくなったとしか思わなかったかもしれない。だがその不敵な笑みこそ、確かな好機の到来を、カイが見据えた瞬間だったのだ。
 それはドラゴンテイマーが勝利を確信し、油断した瞬間。
 巨大竜にカイが踏みつぶされるのをただ見下ろし、彼にはそこから抜け出し、反撃に出るすべなどないと信じ切っていることがわかった瞬間だった。

 COMMAND:TELEPORTATION:ENTER――。

「!?」
 ドラゴンテイマーが目を瞠った。
 カイの姿が、竜の足の下から忽然と消えたからだ。
 気づいたときにはもう、死角へと瞬間移動していたカイが、ドラゴンテイマーに斬撃を浴びせていた。
 無銘の刀が、あざやかに異形の翼のひとつを斬り落とす。
 苦痛と怒りの叫びとともに、ドラゴンテイマーが突き出した反撃の剣は、カイを貫くことなく虚空を刺していた。
「何とかなった――、みたいだな」
 再び瞬間移動で離脱したカイの、勝気な青い瞳の残像が、最後まで諦めることのなかった信念のもたらした一太刀の重さを物語っていた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

荒谷・つかさ
先制攻撃は真っ向から「武器受け・盾受け・オーラ防御」を活用して受け止める
この時敵のUC自体は発動するよう、最低限の負傷は受けておく
何故かって?
竜を出してくれないと「焼肉」が作れないじゃない

竜の群れが出てきたら「烈火包丁」と「零式・改三」に加え「属性攻撃」で出した炎を活用して奴らを「なぎ払い」つつ「料理」するわよ
固い部位は「鎧砕き・怪力」で粉砕し「残像・早業」の速度で解体しながら竜の肉を焼き、喰らい続けるわ(大食い)
勿論敵本体にも警戒しつつね

適当に喰らい尽くしたら本体も「料理」してやろうかしら
強化された能力でゴリ押していくわよ
また竜を呼んだらそいつらも焼肉にして喰らうわ

竜肉って美味しいのよね



 鮮血が、花の足場に零れ落ち、赤く赤く染め上げてゆく。
 ドラゴンテイマーの翼のひとつが、猟兵により斬り落とされたのだ。
「驚かせてくれるな、猟兵!」

 間髪入れず、傷ついたドラゴンテイマーを狙った剣を、右腕の赤き刃――クリムゾンキャリバーが受け止めた。
 交錯するふたつの刃を挟んで、ドラゴンテイマーと、荒谷・つかさ(f02032)の瞳が火花を散らす。
 翼のひとつを失ってなお、ドラゴンテイマーの戦意は萎えていない。だが負傷と疲労とが重なっているのも事実。対して、新たに参戦したつかさは闘志と鋭気に満ち満ちていた。
 ドラゴンテイマーの剣圧が勝り、つかさの小柄な身体を圧し飛ばした。繰り出される赤き剣――その切っ先を、つかさは剣で受け流したが、ぎりぎりのところで刃がその身をかすめ、二の腕を浅く切り裂かれる。
 血飛沫に、ドラゴンテイマーは陰惨な愉悦の笑みを見せた。
「喰らえ、ダイウルゴス!」

 虚空より召喚された黒竜の群れが咆える。ドラゴンテイマー自身は、バックステップで離脱し、攻撃の主役をおのれが呼びだしたドラゴンに任せた。
「待っていたわ」
 つかさは、狼狽えなかった。
 オーラによる防御で負傷は最小限にとどまっている。そして最小限にとどめながらも、負傷しておくことは彼女の意図通りだったのだ。ドラゴンテイマーがクリムゾンキャリバーで傷つけた相手を標的として竜の群れを差し向けることはわかっている。その竜の群れこそが、彼女の待っていたものだったのである。
 すらり、と抜き放たれた白刃は、その銘を「零式・改三」。濡れたような輝きと優雅な刃文とが、その恐ろしいほどの切れ味を物語る。
 もう一方の手に構えたのは、鉄塊のごとき大きさの肉斬り包丁「烈火包丁」。その刃は常に熱を持ち、陽炎がゆらめいて見える。
 竜の群れが、彼女に襲い掛かったかに見えたとき、つかさの周囲に炎が散った。
 つかさは両手の刃を巧みに操り、襲い来る竜たちを次々に薙ぎ払い、斬り伏せていった。
 烈火包丁の熱と、炎によって、斬られた肉は焼かれてゆく。
 そう……彼女が行っているのは戦いであると同時に「料理」でもあった。
 システム・フラワーズの空間に、時ならぬ良い匂いが立ち込める。
 金属質の外装は怪力で粉砕し、その下の肉の部分を、鋭く切り取り、早業で調理してゆく。出来上がるのは竜の焼肉だ。その焼肉をどうするか?……もちろん、喰らうのである……!

 これぞ、ユーベルコード「焼肉担当の本気(ヤキニク・パーティー)」。

「竜肉って美味しいのよね。……ご馳走さま――!」
 食した肉はカロリーとして蓄積され、つかさの全力を引き出す原資となる。
 よもやドラゴンテイマーとて、召喚した竜を喰われるとは思ってもみなかっただろう。予測を超えたつかさの動きに、反応が遅れた。

「喰らわれたのは竜のほうだったわね。お前も焼き肉にしてやろうか……!」
 最後の一言がどの程度本気なのかは、あえて突き詰めぬほうがよいかもしれない。
 つかさの斬撃を避け切れず、ドラゴンテイマーが深手を負ったことで、戦果としては十分だったのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

七篠・コガネ
先制攻撃対策
躱すのは…無理!
ならば受けましょう!この左腕と『Heartless Left』で【武器受け】
問題はその後。あの黒竜の群れですね
地に落ちた左腕部パーツは囮です。だから犠牲にしたのです
黒竜の群れが狙うのは腕だったパーツ。僕じゃない

見たところ奴の攻撃範囲はそう広くはなさそうです
なるだけ奴を疲れさせましょうか。そして…僕の動きを覚えさせましょう
距離を取りながら『code-Nobody』で射撃応戦です
イタタタタ…腕の犠牲はやっぱり重いです…

でも…それもここまで…。【エナイレーション・トリガー】発動!
動きを覚えたの、すべて無駄になりまスネ
ここカらは僕モ僕が…分カラナイデスから…!

殲滅…開始…



 すでに、ドラゴンテイマーは満身創痍と言えた。
 それでも彼はいまだ立つ。かつて一度は朽ち、骸の海より復活したその生命を惜しむように、あるいは誇るように立つ。
 見よ。そは地獄の彼方より、出でしもの……。

 赤いマフラーをたなびかせ、七篠・コガネ(f01385)が降り立つ。
 ドラゴンテイマーはウォーマシンに向き直った。
「ここまでわたしを追い詰めるとはな」
 相当のダメージを受けてはいるが、決して自棄にはなっていない。オブリビオンとして、何度でも甦ることができる、そのことに慢心する様子さえなかった。だがコガネも、この強敵を前に何の油断もしていないのだ。
 コガネが動いた。
 通常なら、初撃は彼のものだったろう。
 しかし、ドラゴンテイマーは迅い。
 クリムゾンキャリバーが赤い疾風の残像となって弧を描く。システム・フラワーズの空に、甲高い金属音が響き渡った。
「……クッ」
 コガネが小さく呻いた。
 斬撃を左腕のパイルバンカー「Heartless Left」で受け止めたものの、赤い刃はその外装にめり込み、衝撃は彼の全身を震えのように侵していた。
「地獄を見るがいい」
 黒竜の群れが召喚される。
 鋭い歯列の並んだ顎が、コガネをとらえるかに見えたそのとき、重い音を立てて、コガネの左腕が肩口から外れて落ちた。
 斬撃のダメージで、腕が破損したのか――、いや、そうではない。あえてパージしたのだ。クリムゾンキャリバーの初撃が命中したものを標的とする黒竜ダイウルゴスが、落ちた腕パーツへ殺到するなか、コガネ自身は上方へ跳躍することで竜の群れから逃れる。
「同じ手を……!」
 ドラゴンテイマーも、しかし、跳んでいた。
 尋常ならざる反応速度でコガネを追っていたのだ。
 クリムゾンキャリバーを囮に命中させるという戦法は、先に相対した猟兵によりすでに行われていた方法だ。たしかに有効ではあったが、ドラゴンテイマーも心得ている。
 すぐさま放たれる二の太刀を、かろうじて回避したコガネは、背中のアームドフォート「code-Nobody」を展開。銃撃をバラまきながら距離をとる。
 ドラゴンテイマーが指揮するように刃を振れば、囮に群がっていた竜たちが一斉にコガネを狙う。その名は伊達ではない、まさしく竜を統率するものなのだ。
 コガネは銃撃で竜たちを寄せ付けまいとする。
 ドラゴンテイマーが、負傷を重ねて消耗していなければ巻き返されていただろう。ここまでの、猟兵たちの積み重ねが、コガネを生かした。
 花吹雪のなかを、黒き竜たちが舞う。
 そのなかを、ドラゴンテイマーとコガネ、ふたつの彗星が、追っては逃げられ、逃げては追われ、互いの距離を測りながら、銃撃と斬撃を繰り返す。
 コガネはドラゴンテイマーが遠距離に有効な攻撃方法を持たないと見て、距離をとり、時間を稼ぐことで消耗させる戦法に出た。
 だが見え見えの策にはまるドラゴンテイマーではなく、竜を差し向けることでコガネを削ろうとする。事実、飛び回るうちにも竜の攻撃を受け続け、その外装の破損は増えるばかりだ。左腕を欠いたことによるバランスの崩れと攻撃力不足も追い討ちをかけた。
「イタタタタ……腕の犠牲はやっぱり重いです……」
 結果、消耗度合いでいえば、両者に大差ない状況になってしまう。
「ここまでだな、猟兵。貴様も骸の海に沈めてくれる」
 ドラゴンテイマーが攻勢に出た。
 回避を試みる。だが。
「甘い。貴様の動きはすでに覚えた」
「そウ……デスカ。では、それハここまでデス」
 コガネの金の瞳が、その色合いを変えたような錯覚があった。
 実際は変化していない。だが、たしかの彼のなかで、なにかのスイッチが入ったのだ。

 エナイレーション・トリガー、発動……!

「なに!」
 それまでとはまったく違う、獣のような動きで、コガネがドラゴンテイマーに向かってきた。
 獰猛に、掴みかかってくる。思わず、ドラゴンテイマーは後退する。なおも追うコガネに、黒竜が襲い掛かるが、その首根っこを脚で挟み込んで抑え込むと、右腕だけで外装を毟るように剥がしていくではないか。
(ここカらは僕モ僕が……分カラナイ)
 自我抑制の殲滅モードに移行したコガネは、またたく間に竜の一体を屠ると、逃げるドラゴンテイマーを追った。
「バ、バカな……!」
 今のコガネはそれまでのコガネではない。まったく動きが読めない。コガネの手が、異形の翼を掴んだ。
「この、わたしが……また骸の海へ……地獄の彼方へ追い返されるというのか……!」
 その問いに言葉で答えるものはいない。
 だが意味はイエスだ。
 コガネが躊躇なく、翼を引き裂く。絶叫とともに噴き出す血を浴びてなお、理性なきウォーマシンは殲滅の手をゆるめることはなく、ドラゴンテイマーの胸板へと、右腕を沈め、貫通させるのだった。

 花舞う空間を、男は墜ちてゆく。
 企みとともにあらわれた黒衣の男は、その秘めたる野心を胸に抱いたまま、はるかな骸の海へと下ってゆくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月26日


挿絵イラスト