バトルオブフラワーズ⑫〜システム・フラワーズに佇む者
●佇む者
「『欲望は止められない』……。成る程。ドン・フリーダムの思想は単純明快だ」
キマイラフューチャー・『システム・フラワーズ』の中枢より離れた場所にある地域に、一人のオブリビオンがいた。
彼の体の周りには靄のような力がふわふわと浮かんで蠢いている。
「そして、それは明確に世界を破壊する思想。私が与するに相応しい」
彼の名は『ドラゴンテイマー』。遠くの方角を少し眺めた後、視線を【赤き剣の右腕】に移しながらそう呟いていた。
「故に彼らに、侵略樹アヴェスタを与えた。後は彼ら次第。私の役目は「持ち帰る」のみ」
そう言って、一歩進みだす。
「だが、奴らの出方も見ておきたい」
【赤き剣の右腕】を空に突き刺すように向けると、力を籠める。その力が周囲の空気を歪ませ、彼の周囲の靄が一点に集まってくる。『黒竜ダイウルゴス』は、必ずや彼の呼びかけに応じるだろう。
「さて、私はどうするか……」
彼は自らに問うている様に、呟く。そして、ブン、と【赤き剣の右腕】を振り下ろし、その力を振り払い、拡散させた。力を確かめたのだろう。満足した笑みを口元に携えて、また一歩進む。
「いずれ私が、グリモアを再び手にする時の為に……」
●グリモアベース
「ちょっと、手伝ってくれへんか?」
如月・鬼怒(羅刹のバーバリアン・f04871)が唐突に話を切り出した。
「今キマイラフューチャーで行われている戦いの事は知ってるな?」
鬼怒は腰に紐でつるしている、どぶろくの入った瓢箪を持ち上げて、顔の横で少し振った。そして、そこから反響してくる、ちゃぷりという音を確認して頷く。
「戦況は皆が知ってる通りやけど、簡単に言うとスピード怪人『ウインドゼファー』を制圧し、いよいよオブリビオン・フォーミュラ『ドン・フリーダム』との戦いに挑む」
その事を聞き、猟兵達は「良し!」と声を上げた。
「まあ当然、そこに向かって欲しいのは山々やねんけどな。実はアタシが予知したんはそこやなかったんや」
鬼怒は少し首をかしげながら、猟兵達をみて口を開く。
「『ウインドゼファー』を倒した時に、もう一つの道が開けた。アタシの予知はそっちやった。オブリビオン『ドラゴンテイマー』や。
コイツはどうやら、その中枢の『ドン・フリーダム』をから少し離れた地域にいるらしい。
まあ、戦略としては無視してもええ。全体的に攻略の必要もないしな。
基本的にはオブリビオンやから、同時に1体しか存在せえへんけど、何度でも骸の海から蘇る。そんで他のオブリビオンと同様に何回も倒せば復活はできへんはずや」
ハズ……。ね。どうする?
と、一人の猟兵が仲間であろう猟兵に確認している声が聞こえてきた。
「まあ、今分かってるんは、かなりの強敵やってことや。能力は『黒竜ダイウルゴス』を召喚する力で攻撃してくる。そんで、絶対に敵の攻撃のほうが早い。せやから、この攻撃に対する対策が必須になる。気をつけや」
鬼怒はそう言って、猟兵達の様子を見た。戦争は終盤。『ドン・フリーダム』を倒せば完了である。その事に対して話あっている姿や、やる気に満ち溢れ、オブリビオンを葬るために、既に作戦を練る者など様々だ。
「まあ、どうするかは任せる。せやけど、半端な覚悟やったら行かんほうがマシかもしれん。ただ、オブリビオンや。倒しとくに越したことは無いっちゅうのも一つの意見やろ。アタシに出来るんは、みんなを『ドン・フリーダム』の元に送ることや。
ま、終わったら酒でも一杯やろう」
鬼怒はそう言って、彼女のグリモアである酒の入った瓢箪の蓋をキュッと開けたのだった。
沙羅衝
皆さん。如何お過ごしでしょうか。沙羅衝です。
『バトルオブフラワーズ』もいよいよ最終局面ですね。
ただ、今回の敵は、終盤の中枢から少し離れた場所にいる、謎のオブリビオン『ドラゴンテイマー』との戦いを描かせていただきます。
詳細や雰囲気などは、オープニングを参考にしてくださいね。
鬼怒ちゃんの話の通り、強いです。頑張ってくださいね。
●注意事項
敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
●作戦の概要
『システム・フラワーズ』の中枢より離れた場所にある地域に居る『ドラゴンテイマー』を倒すこと。
それでは、プレイングをお願いします。
第1章 ボス戦
『ドラゴンテイマー』
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POW : クリムゾンキャリバー
【赤き剣の右腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【黒竜ダイウルゴスの群れ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : ギガンティックダイウルゴス
レベル×1体の、【逆鱗】に1と刻印された戦闘用【大型ダイウルゴス】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : 文明侵略(フロンティア・ライン)
自身からレベルm半径内の無機物を【黒竜ダイウルゴスの群れ】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
イラスト:ハルヨリ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●集結した者たち
猟兵達は、鬼怒のグリモアにより『システム・フラワーズ』の中枢より少し離れた場所に降り立った。
中枢ではドン・フリーダムと猟兵達の激しい戦いが行われているのであるが、この場所はそんなユーベルコードの影響は微塵も感じられない程、穏やかだった。
猟兵達が降り立ったのは、草原だった。サイバーパンクなキマイラフューチャーでは珍しいが、暫くすると此処も住民によって住み良い環境になっていくのであろう。
くるぶし程までの雑草を踏みしめた猟兵達。穏やかな風が吹き、肌を心地よく撫でていく。一見のどかではあるのだが、ある一点に明らかに異様な空気が存在した。
その一角に佇む者は猟兵達に気がつき、【赤き剣の右腕】の切っ先を中心にして空間を歪ませる力を増幅させて行ったのだった。
如月・源
くっくっく、肌がビリビリくるねぇ。お主、強ぇじゃろ。この感覚は久方ぶりじゃのぅ……。
気を付けるべきはあ奴の右腕。当たれば終わり、というので有れば――先に当ててしまえば良い。
155枚の障壁のうち、80枚を四方八方から【視力】【見切り】【第六感】を駆使し、その右腕に向けて叩きこむ。無論突破されることも想定に入れ、5枚を背に隠し突破してきた所に【早業】で右腕に叩き込みつつ足を踏み込み【念動力】【破壊工作】で地面を吹き飛ばす。【フェイント】【残像】で前に進むと見せかけてムーンウォークのように後ろに下がりつつ、賢者の杖を【怪力】【念動力】で力を増しながら斬る。同時に残った障壁も叩きこもうかのぅ。
●初手『如月・源』
「くっくっく、肌がビリビリくるねぇ。お主、強ぇじゃろ。この感覚は久方ぶりじゃのぅ……」
そう言ってまず一歩踏み出したのは、如月・源(銀河を駆ける流浪人・f14361)だった。言葉通り、目の前の者の震えるような威圧感を感じ、思わず身に奮えが走る。
「成る程……、此方に来るか?」
声の主『ドラゴンテイマー』はゆっくりとした声で言う。猟兵達の存在を軽々しく感じているような雰囲気が感じられる。
「情報じゃと、あの右腕は『当たれば終わり』らしいのぅ……」
源は、ならばと念動力を展開しようと、集中を開始した。
『旧帝国の遺産、篤とご覧あれってなぁ!!ファランクス!!!』
こうして、彼の声ともに戦いは始まる。
展開した念動力が自らの周囲に形成されるのを感じながら、にやりと笑みを浮かべる源。
(「当たれば終わり、というので有れば――先に当ててしまえば良い」)
だがその時、源は違和感に気がついた。
「!?」
先程まで確かに感じていた威圧感を、目の前に感じないのだ。そして、1秒も経たないうちに、自らの腹から背中にかけてそれが突き刺さっている事を認識する。
「ぐ……お……!!」
そして今度は、数刻遅れて強烈な『痛み』を認識する。突き刺さったモノは【赤き剣の右腕】だった。その剣に自らの血が伝って滴り落ちている。
即座にその剣を無理矢理引き抜き、そのままムーンウォークのように滑らかに移動する。
源はこの後に何が来るかを知っている。
「やべぇ……」
そして、その『知識』が正しかった事が目の前で具現化し始めた。
「うおおおおお!!!」
痛みという情報に耐えつつ、次の行動を即座に決める。気合の声と共に生み出されたのは、源のユーベルコードである可視化できない念道力による障壁。
その数、155枚。そのうち80枚を自らの周囲に張り巡らせる。それぞれの障壁の位置は、その具現化し始めた黒い竜『ダイウルゴス』が向かってくる先を予測して配置した。
ゴッ!
1体のダイウルゴスが源の障壁によって弾き飛ばされる。
ゴゴッ!!
次に2体のダイウルゴスは、突進してきた方向を、障壁が変えた。
だが……、
「多いのぅ……」
その余りに多い黒い竜の数に、汗が噴き出す。
ドゴゴゴゴゴゴ!!!
源の80枚の障壁と竜がぶつかり合う音が響き渡り、衝撃が他の猟兵達にも拡散して伝播された。
ドッ……!
そしてついに、その護りの障壁が尽きた時、ダイウルゴスは源を弾き飛ばしたのだった。
「……」
源が地面に叩きつけられ、ダイウルゴスが追撃していく様子を、ドラゴンテイマーは涼しげな表情で見送り、踵を返そうと半歩片足を後ろに下げた。
がつっ!!
その時だった、ドラゴンテイマーが何かの攻撃を顔に受け、衝撃で頭が少し弾かれた。
「くく……。最後っぺってやつじゃ……」
その攻撃は、最後の最後に取っておいた5枚の障壁のうち、なんとか放つことが出来た1枚だった。
「後は……頼んだぜぇ……」
そして、源はその攻撃を最後に、笑いながら意識を失ったのだった。
苦戦
🔵🔴🔴
アストレア・ゼノ
◆SPD/アドリブ歓迎
どんなに強い生き物だって、図体が大きければ死角も増える
【竜言語・嵐の化身】で得た超速度で
敵が召喚した巨竜の群れを掻い潜って
ドラゴンテイマーに一撃をくれてやろうじゃないか
黒竜達が向かって来たら、
纏う【嵐の力】で起こした風で周囲の花びらを巻き上げて
敵の目を晦ませながらの【ダッシュ】で駆け抜ける
経験による【見切り】と【野生の勘】での先読みで
黒竜達の猛攻の合間を【ジャンプ】も交えて潜り抜け
ドラゴンテイマーの元へと辿り着いたら
【雷撃】による閃光に紛れ込みながらの
【勇気】と【覚悟】で挑む、槍での【捨て身の一撃】で
【串刺し】にしてやろう
カイム・クローバー
一応俺も猟兵なんでね。避けて通る訳にはいかねぇな。
【SPD】
大型竜を召喚。ならこいつらを二丁銃で撃ち抜いていくぜ。【二回攻撃】【一斉発射】【なぎ払い】【属性攻撃】幸い範囲攻撃は得意分野だ。全部掃討って訳にはいかねぇと思うし、複数体は残すだろうがそれでも合体して大きくなる個体を多少なりとも小さくできる。見た所、遠距離攻撃は完全に竜任せの様子。こっちは銃に徹するぜ。攻撃には【見切り】【残像】で対処。んで、こっから。【挑発】で馬鹿にしつつ、突っ込ませる、タイミングは【第六感】で予知。俺が銃使いだと見せかけて【フェイント】。技能フルに使用して本命の剣による一撃。狙うは胴。致命の一撃になりゃいいが。
●突破口
「成る程……。これは一筋縄ではいかんな……」
アストレア・ゼノ(災厄の子・f01276)は、己の相棒である【竜槍グウェン】に語りかけた。【竜槍グウェン】はぎゃうっと鳴き声で応え、いつでも大丈夫だという表情をアストレアに向けた。
「そうだな。ドラゴンテイマーに一撃をくれてやろうじゃないか」
このままでは、ジリジリと消耗させられるのみ。突破口が必要だ。そしてその力は己が一番長けていると考えた彼女は、よし、と腹に力を入れ、【竜槍グウェン】は、槍へと姿を変えて彼女の背中にぴったりと収まった。
「行くのかい? ならば、援護しよう」
アストレアの様子を見ながら、そう声をかけたのはカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)だった。
「一応俺も猟兵なんでね。避けて通る訳にはいかねぇしな」
カイムは、アストレアがどういった攻撃をしようとしたのかを判断したのだろう。ガチャリと『双魔銃 オルトロス』を両手に構えて、笑みを浮かべる。するとアストレアは頷き。体をドラゴンテイマーに向けて前傾姿勢をとる。
「準備は?」
「いつでも」
「じゃあ、……行こうか!」
彼女は勢い良く飛び出した。そしてその速さは、次の詠唱により加速される。
『<荒ぶ風に轟く雷、それらは嵐の従者なり>』
彼女に纏わりついた風が、更に背中を後押しする。
「……同じことだ」
するとドラゴンテイマーは、数え切れない程のダイウルゴスを召喚する。その中心には【逆鱗】に位置した『1』という数値を持つ1体だ。
「こっちだ!」
アストレアはそう叫びながら、雑草や花を自ら引き起こした風の力で巻き上げる。
「ギャアアアアア!!!」
アストレアに襲い掛かるダイウルゴス。
ドン!
その時、超速のアストレアに今にも噛み付こうとしていた1体のダイウルゴスの首が弾かれる。
『弾代はツケとくぜ!特注品だから味は保証してやる!』
カイムの銃弾が、1体を打ち抜く。
「まだまだ、弾数はあるんだぜ」
そして、右手に持った銃口から煙が上がったかと思うと、今度は左手の銃口から銃弾が矢継ぎ早に放たれる。
「さあ、来いよ」
カイムは敢えて派手に動いた。勿論それは目的があるからだ。複数体がカイムに向かい、飛び込んでいくが、距離とタイミングを計ったカイムは、その攻撃をギリギリ交わし、残像を残したスピードでいなしていく。そしてまた、1体を撃ち抜くのだ。
すると、その様子を確認したドラゴンテイマーはダイウルゴスに一つの命令を下した。『1』と刻印された1体に次々と他のダイウルゴスが合体し、巨大な1体の竜となっていくのだった。
『ギャアアアアア!!!』
そして、カイムに突っ込む巨竜。
「そう来ると思ったぜ」
素早く銃をホルスターにしまい、黒と銀の大剣を『Marchocias』を引き抜くと、ゆらりと切っ先を揺らす。
ドゴ!!
そこへ巨竜が口を開けて、噛み付く。だが、その口に目的の感触は無い。
「残念。こっちだぜ……」
巨竜が噛み付いたのは、カイムの残像であったのだ。
そして、ズブリと巨竜の胴を切り裂いたのだった。
「……ほう」
その様子にドラゴンテイマーは感心した表情を作る。
「ずいぶん余裕だね。そうだ、私の事を忘れてないかい?」
ドラゴンテイマーは、その声の主が上からやってくる事を知り、顔を天に向けた。
バリッ!!
青空のキマイラフューチャーの空に、雷光が出現する。
バリバリバリッ!!
激しい閃光を放つ雷光は、アストレアが放ったものだった。彼女は持ち前の野生の勘が働いたのであろう。得意な空中からの攻撃に、活路があると分かったのだ。だが、それだけでは敵に攻撃を与える事は出来ないだろう。
カイムが巨竜の相手をしていてくれる今がチャンスだ。彼女はそのチャンスに胸に灯した『勇気』と『覚悟』で飛び込んだ。
「うおおおおおお!!!」
背中に背負った【竜槍グウェン】を頭の上から抜き去り、脇に構え突進した。
空中で更なる加速を行い、次は無いと覚悟を決めた一撃。
ドッ!
次に彼女が地に降り立った時、ドラゴンテイマーの腹部に竜槍が突き刺さったのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
落浜・語
津雲さん(f07917)と
何となくだがこいつは倒しとかないと不味い気がする。
大丈夫。やられる時は一人でやられるさ
ベストの内側に鏡状態の津雲さんを隠して、一人で相手の前へ。単独であると思わせ、怪しまれるなら全力で騙る【言いくるめ】【パフォーマンス】
向こうは大量に召喚してくるだろうが、小回りが利くのは俺の方なんでね。合体される前に少しでも数を減らす。
『怪談語り』を使い、奏剣で【フェイント】を混ぜつつ【咄嗟の一撃】や【捨て身の一撃】
後の人に繋ぐ為にも、負ける訳にゃいかねぇんだよ…!
少しでも津雲さんの攻撃が通りやすいようにできる限り距離を詰める。
津雲さんが姿を現した後はそちらに向かうのを捌き【かばう】
勘解由小路・津雲
落浜・語(f03558)と。
【出発前】
単体でも大型か、合体されては手がつけられないな。そして本体も強いとくる。かなわんなぁ。……語、この作戦、お前が致命傷を食らえば、おれも一蓮托生だ、しっかり避けろよ?
【作戦】
器物の「鏡」の姿で語のふところへ。ひたすら「そのとき」を待つ。語が危なくても、ここで手を出したらおしまいだ……。射程に入るまで、倒れるなよ、語!
(射程に入ったら)不意をつけるよう、語の陰に姿を隠しつつあらわれ、同時に【氷術・絶対零度】を使用。「この一撃にすべてを!」
●勝機
「津雲さん……」
落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)は左手を懐に置き、そう呟いた。
(「そうだな……今しかない」)
その小さな声を聞き取った語は頷いて、ゆっくりとドラゴンテイマーに歩いて行く。手には『奏剣』と呼ばれる柄に笛を拵えた短剣を握り締めている。
彼の隣では、カイムとの戦闘で傷ついたダイウルゴスがゆっくりと起き上がろうとしていた。
「……何か、企んでいるな?」
ドラゴンテイマーは、止まる事無く歩いてくる語を見て言う。
「これはこれは、『ドラゴンテイマー』さんとおっしゃったかな?」
ドラゴンテイマーに問われた答えを、どうはぐらかすか考えながらも、普段と変わらぬ噺を始めるように軽快な身振りと口調で語り始めた。だが、
「俺はこの通り、しがない一人の『人間』でございまさぁ……」
彼は『人間』ではない。高座扇子と呼ばれる落語の時に使用される大事な小道具に宿った者だ。
「……」
語の語りが通じているのかは分からない。その代わりに、巨大化したダイウルゴスが鎌首をもたげて、語を睨む。
だがやはり、語は歩みを止めない。
「ギャアアアアア!!!」
これ以上は覚悟がいる距離になった時、ダイウルゴスが咆哮を上げて語に襲い掛かった。
(「大丈夫。やられる時は一人でやられるさ」)
語は奏剣をちゃきりとダイウルゴスに向け、その牙を受け流そうという動きを見せた。
「ギャアアアアア!!!」
そして、もう一度ダイウルゴスが咆え、語に首ごと突っ込んだ。
ギン……。
奏剣と牙がふれあい、物静かな金属音が辺りに響いた。
(「全ては、受け切れない程の強さだな……」)
語はそう思いながらも、表情は崩さない。噺家が芝居を忘れたら、興ざめするじゃないか。そんな思いがあるのかもしれない。
牙の圧倒的な力を何とか受け流し、次の牙が来る前にと、語はドラゴンテイマーの元へと進む。
「愚かな……」
ドラゴンテイマーはすっと首を動かし、ダイウルゴスへと命令を下した。
(「殺せ、という事なのだろうな。ならば……!」)
「ギャアアアアア!!!」
ゴッ!!
今度は語の鳩尾に、巨竜の全体重を乗せたぶちかまし。
「ぐふっ!」
語はそれを受け止めようとするが、その力は強大で、吹き飛ばされる。宙に浮いていた時間は、それ程長くはない。だが、その時間が究極に永く感じるほど、強烈な攻撃だった。
どっ……!
ドラゴンテイマーの傍まで吹き飛ばされた語は、無造作に投げ捨てられた芥のように地面に転がった。
……カラン。
その勢いだろうか、彼の懐から一つの丸いモノがはじき出される。
「気は済んだか?」
少し哀れむような目で語を見るドラゴンテイマー。
「おっと、まだまだ……。御噺はこれからでございますよ!」
すっと立ち上がり、そのままドラゴンテイマーに全体重を乗せた奏剣による決死の飛び込みを敢行する。
『許されるかね……』
語は一人の亡霊のをその身に宿す。すると、その亡霊は重い調子で、
『許されないだろうなあ……』
と、応える。その力は強大であるが、語の息が急速に苦しくなっていっている事が分かった。だが語は構わない。懐に構えた奏剣を、目一杯突き出した。
ガッ……!
しかし無常にも、語の動きはそこで止まり、彼の肩から足にかけて血が滴り落ちた。ダイウルゴスの牙が語の肩に食い込み、それ以上の行動を阻害したのだ。
「どうやら、その続きは聞けそうにない。残念だが……」
ドラゴンテイマーは、哀れみの表情を作って最期の一撃の準備を行おうとした。
『氷帝招来、破っ!』
その時、ドラゴンテイマーの体を吹雪のような激しい冷気と、氷の刃が渦巻き、激しく傷つけて行く。
「この一撃にすべてを!」
それは、勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)が放ったものだった。突如現れた猟兵に、驚きを隠せないドラゴンテイマー。
「先程の……」
そう、津雲は先程語の落とした丸い鏡だった。
「……語、大丈夫か!?」
「危なかったけどな。生きてはいる。負ける訳にゃいかねぇんだよ……!」
そして語は、己に宿った亡霊の力を感じながら、ドラゴンテイマーに刃を届かせたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ミリィ・ライジング
ビリー・ライジング(f05930)と共に行動
一目見ただけで理解出来る。この人、ただ者じゃない。
何を考えてるか知らないけど、私達がそんな事、許さない。
対先制:
攻撃に対して、五行の護符を投擲した後、
高速詠唱した破魔の力で防御できないか確かめてみる。
「大丈夫。お兄ちゃんと一緒なら、怖いものなんて無いから」
攻撃:
かなり強力なユーベルコードなのは理解した。
五行の属性攻撃、高速詠唱、投擲を合わせた手裏剣と護符の乱れ撃ち。
その乱れ撃ちの中に、七星七縛符を紛れ込ませて、捕縛とユーベルコードを封じさせる。
「今は形振り構ってられないでしょ!お兄ちゃん!」
ビリー・ライジング
ミリィ・ライジング(f05963)と共に行動。
どう見てもこのキマイラフューチャーにいるべき存在じゃないな。
……まさか、別世界の訪問者じゃないだろうな……?
嫌、考えるのは後だ。今はこいつを倒すことが先決だ。
対先制:
先制攻撃の基本行動は見切りによる回避行動。
回避出来ないと判断した時は、武器受けで防御する。
「ミリィ、無事か?」
攻撃:
目には目を、大群には大群だ。
炎の属性攻撃、全力魔法、鎧無視攻撃を合わせたウィザード・ミサイルを、
ミリィの護符と手裏剣の乱れ撃ちのタイミングに合わせて放つ。
ウィザード・ミサイルには直撃した際、敵の身体に串刺しになる様、細工もしておこう。
「ミリィ、お前まさか!?」
チャド・アランデル
【心情】
こいつを逃したら、後々不味い気がするよねー。
今回の異変も元凶はこの人みたいだし、痛い目見てもらわないとねー。
【戦闘】
【チャドの薬瓶】を薬として使用、口に含み振り掛けながら回復を行う。
【チャドの結界石】を範囲を自分に指定して発動【身代わりの木】でダメージを【かばう】という防御策。
ダイウルゴスの攻撃を【野生の勘】で【見切り】【激痛耐性】で耐えながら【逃げ足】を生かし時には【武器受け】したり【敵を盾にする】事により回避に専念。
機を見て選択UCによる【範囲攻撃】、ダイウルゴスへの対処を【フェイント】とし【目立たない】よう【動物使い】で蛇を使役しドラゴンテイマーへ【暗殺】を仕掛ける。
●戦いの果てに
「ね、お兄ちゃん。やっぱりこの人、ただ者じゃない」
「そうだな。少し此方に部があるのは、皆の力、作戦がうまく行っているからだし、気は抜けないぞ」
ミリィ・ライジング(煌めく白銀・f05963)の言葉に、双子の兄であるビリー・ライジング(輝く黄金・f05930)が頷きながら返した。
彼等は双子ではあるが二卵性であり、瓜二つという事は無いが、お互いに信頼しあっているのは良く分かる程だ。
「どう見てもこのキマイラフューチャーにいるべき存在じゃないな。……まさか、別世界の訪問者じゃないだろうな……?」
ビリーがそう言うと、その二人の間からひょっこりと一人のキマイラが顔を出した。
「そうだよねー。やっぱりそう思うよねー。こいつを逃したら、後々不味い気がするよねー。」
チャド・アランデル(キマイラのシーフ・f12935)だ。
「それに、今回の異変も元凶はこの人みたいだし、痛い目見てもらわないとねー」
彼がそう話したのは、持ち前の積極性もあるのだが、敵の強さを勘で感じ取ったからだ。兄妹が少し吃驚したような表情を作りながら、チャドの思考を読み解こうと眺めるが、それを理解する前にチャドのほうから提案をする。
「協力しようか。僕はこいつを逃がしたくないし、確実に行きたい。僕が先行するから続いて欲しいかなー」
「だが、それは危険だな……」
ビリーはそう言って、戦いに急く青年を少し止めようとする。すると、今度はチャドが、なんで? と言った表情を作る。
「でも、君たちも一緒だよねー。元々危険なお仕事だしー。特に、そっちの子もただならない雰囲気だしー」
「え!?」
「お兄ちゃん。その人の言う通りだよ。私はもう覚悟を決めているよ。大丈夫。お兄ちゃんと一緒なら、怖いものなんて無いから」
ミリィはそうチャドに頷く。するとチャドはにっと笑い、ドラゴンテイマーに向いた。
「僕はチャド。宜しくねー」
チャドはそう言うと、薬瓶を取り出し、口に含みながら結界石を取り出した。
対峙するチャドとドラゴンテイマー。
ドラゴンテイマーは他の猟兵達の攻撃で、思いもよらないダメージを受けているはずだ。
今を逃すと、次は無いかもしれない。
その事は、ここにいる猟兵全員理解していた。
「嫌、考えるのは後だ。今はこいつを倒すことが先決だ」
ビリーは様々な思惑が飛び交う頭の中を振り払い、一つの結論に達する。
「……邪魔だな」
ドラゴンテイマーはチャドに向かい、既にダメージを受けている巨竜と化したダイウルゴスを無理矢理たたき起こす。
「グァ……アアアアア!!!」
その咆哮は既に、当初ほどの威圧感は無かった。そして、チャドが動いた。
チャドの作戦は防御である。敵の攻撃が最初に来るのならば、その行動をどう受けきるかがポイントである。その為の結界石だ。
ドゴ!
ダイウルゴスが突進し、チャドを弾き飛ばした。だが、チャドが地面に転がったと思った時、チャドの姿は無く、結界石だけが存在していたのだ。そう、敵の攻撃を身代わりにする為の石であったのだ。
「ほっひほっひー(こっちこっちー)」
口に薬を含みながら、今度は違う位置に現れるチャド。
「ギャアアアアア!!!」
再度牙をむくダイウルゴス。そして、その攻撃を紙一重で交わすと、また別の位置に現れた。
しかし、その動きを見切ったのか、尻尾の太い尻尾がチャドに直撃する。
「んー!!」
チャドはそれでも、痛みに耐えつつ、ダメージを最小限に抑えるように逃げる。そして、その傷ついた箇所に口から薬を振り掛けたのだ。
「今!!」
ミリィがチャドの動きに出来た隙を五行の護符を広げて、ドラゴンテイマーの真正面に躍り出た。
「ミリィ、お前まさか!?」
「今は形振り構ってられないでしょ! お兄ちゃん!」
しかし、ミリィの護符を見た瞬間に、ドラゴンテイマーは反応する。
「……甘いな」
ドラゴンテイマーの左腕より放たれた紫の靄は、じわりと広がって地面に到達すると、その所々にある石が変形し始めた。
「ドラゴン……!」
ビリーが気がついた石の数々は、大きさこそ小さいが、無数のドラゴンに変形して行っていたのだ。
「ギュアアアアア!!!」
甲高い声で、ミリィに喰らいつく無数の黒竜ダイウルゴスの群れ。
「くうっ!!」
「ミリィ!!」
しかし、ミリィは兄の心配の声に対する応えを、視線だけで返した。
大丈夫。私はまだやれる。だから……!
そんな懇願する瞳に見据えられ、ビリーもまた、覚悟を決めた。
ミリィの術式は五行である。五行とは『火・水・木・金・土』に通じる万物に循環が元である。彼女はそれを表す印を素早く結び、護符をそのダイウルゴスの群れに手裏剣を放つように放った。
「キ……ギュア…アア!!!」
その護符たちは、ダイウルゴスに張り付き、ボトリボトリと地面に転がって動きを封じる。七星七縛符と呼ばれる捕縛の力を紛れ込ませている為だ。
「数が……多い……!」
しかし、彼女の護符の枚数より、ダイウルゴスの数のほうが勝る。
ドゴン!
その時、ダイウルゴスに無数の魔法における炎の矢が降り注ぎ、激しい爆音で迎撃する力があった。
「……無茶しやがって」
それはレイピアでダイウルゴスの群れを何とか交わしながらも、ビリーが放った矢だったのだ。
ドドドド!!
一人で不十分ならば、二人でかかれば良い。それが、彼等兄妹の作戦の中枢だった。
「なんとも……美しい事だ」
ドラゴンテイマーは、その様子を見て、口元に笑みを浮かべて言う。
勿論、本当に褒め称えている訳ではない。明らかなる嘲笑である。
「でもね、捨てたもんでも無いと思うなー」
いつの間にかドラゴンテイマーの目の前に現れていたのは、チャドだった。そして、「あ、そうだ……」と続けてドラゴンテイマーに言葉を紡いだ。
『綺麗な蛇には毒があるよー!』
と。
「ぬ……!?」
ドラゴンテイマーは気がついた。己の首元に何かが噛み付いている事を。
それは、色鮮やかな蛇だった。
「大変だったよ。でも、おじさんずいぶんと油断してくれて助かったよー」
チャドはそう言って、その場から離れて行く。
ドラゴンテイマーは首から全身に向けて毒が回って行く事が分かるのか、一瞬空を見上げ、膝をついた。そこに襲い掛かるのは、ビリーの魔法の炎。
ドドドドド!!!
ダイウルゴスの群れを全て叩き落した炎は、最期にドラゴンテイマーへと向かった。
「今回は……此処までだな」
体の自由が利かない状況では、それに対抗する術がない。
ドシュ!!
最期にドラゴンテイマーの体を串刺しにした炎が燃え上がる。
「まあいい……」
それがドラゴンテイマーの最期の言葉だった。やはり口元には笑みを浮かべたまま、彼はその炎を受けるままに燃やし尽くされて行ったのだった。
●終章
こうして、1体のドラゴンテイマーは猟兵達によって葬り去られた。
オブリビオンで在るが故に、何度も蘇る事になるだろう。
だが、猟兵達は確かにその力に対抗することに成功したのだった。
キマイラフューチャーの戦いも、既に最終局面である。
果たして結果はどうなるのか。
そんな事を思いながら、猟兵達はこの地を後にしていったのだった。
大成功
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