バトルオブフラワーズ⑬〜天衣無縫の「だいてんさい」
●欲望に揺れるテレビ頭
「お、オレは……一体どうしたら……」
グリモアへ緊急招集される猟兵達。ついにキマイラフューチャーの危機の根幹であるオブリビオン・フォーミュラがその姿を顕したためだ。
しかし、肝心のグリモア猟兵エクスデス・エクソシズムは頭を抱えて地面に蹲っている。まさか、オブリビオンの演説に感化されているのでは……そんな心配の後に彼は叫ぶ。
「欲望に身を任せればいいんだろ!? あのオブリビオンはぶん殴るかぶっ飛ばすか、どっちにしたらいいんだ!?」
――いつも通りだった。
「つーわけで愛すべき猟兵の皆、ついにキマイラフューチャーを蝕むクソったれのボスが出てきたな。グラマラスで諸々すげー姉ちゃんだが、それでもオブリビオンは討伐対象サ。切り替えていこうぜbrothers&sisters」
既に落ち着いたエクスデスがぱちんと指を弾けば画面に映る、舞い散る花弁をつむじ風で束ねて纏いし巨大な裸身。しかしその顔は、異形の仮面で覆われている。自らを天才にして天才だと語るこの存在こそ、キマイラフューチャーのオブリビオン・フォーミュラ。その名を『ドン・フリーダム』。
「こいつは厄介だぜ――今まで皆が倒してきた幹部の能力をそのままコピーして使ってきやがる。だがそれだけじゃなく、元の実力もヤバい。幹部以上に気を張らなきゃ、最悪お陀仏だ」
ラビットバニーの用いた赤べこキャノンを発射したならば、その体は絶対無敵バリアによって守られる。ウインドゼファーの猛風による足場の破壊をも使い、更にはユーベルコードの死角を狙い反撃を行うマシンも用意している。まさに堅牢、正に無敵、正に「だいてんさい」。そう言って過言ではない。
「だが! 愛すべき猟兵の皆! 皆はこれまでそんなぶっとんだチートまがいな技使う敵に戦って勝利を収めてきたんだぜ、今更同じような技を使ってくるような相手に負けるわけねえよな!」
エクスデスはグリモアを繰り、猟兵達にそう叫ぶ。弩級の難敵に臨もうとする彼らを鼓舞するように。
「欲望こそ正義? 上等じゃねえか。俺ら猟兵の底知れぬ欲望の力、見せてやろうぜ――世界を救うっつー、最高にして最上の欲望と正義ってやつをよ!」
十字架が瞬き、猟兵達は最後の戦いへと踏み出した。星の中心に咲き誇る、美しき花畑に立つ悪意の最奥を目指して。
佐渡
●今回のシナリオに関する注意事項
敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
加えて、ドン・フリーダムは使用する能力値別に違う対処が必要です。これらに対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
POW:絶対無敵バリアを展開します。エモいものを見せれば無効化できます(エモいの基準はラビットバニーと同じ)。
SPD:風で足場を崩してきます。
WIZ:猟兵のユーベルコードの弱点を見抜き、確実に反撃するマシンを作り出してきます。 その反撃マシンに反撃する方法を考えなければいけません。
これらの能力はそれぞれ「ラビットバニー」「ウインドゼファー」「エイプモンキー」と同じですが、ドン・フリーダムは彼ら以上の実力者です。
佐渡です、ついにクライマックス。
今回のシナリオはついに姿を見せたオブリビオン・フォーミュラを打倒する任務です。高難易度の任務となっていますので、プレイングの内容如何によっては少々判定が厳しいものとなる恐れがあります。
猟兵の皆さんの力の全てを振り絞り、戦いを挑んで頂ければと思います。何卒宜しくお願い致します。
●※おねがい※●
迷子を避けるため、ご同行の猟兵の方がいらっしゃる場合には同行者名、あるいはチーム名等目印をお忘れないようにして頂けると幸いです。
またマスタープロフィールに御座います【シナリオ傾向】については是非一度目を通して頂くよう強くお願いいたします。
第1章 ボス戦
『ドン・フリーダム』
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POW : 赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : マニアックマシン
対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:由依あきら
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ヘクター・ラファーガ
欲しいものを欲しいがままに手に入れることができる、か。
もしそれが本当なら、俺は……いや、止めておこう。どうせロクなことにならない。
俺じゃなくても同じだ。ソイツは人類の手に余るものだ。テメェはそれ以上、修理するんじゃねぇ。
【SPD】
『刹那の取捨選択』で俺は加速する!
足場はいらない。まずは一番乗っかりやすい大剣を蹴り、ドン・フリーダムの背後に飛び移りつつ次にダブルバレルを蹴りつつ刺突剣を投擲、正面に戻ると小銃を蹴ってジャンパーを脱いで徐々に"残像"レベルにまで加速する。
俺の剣の一撃と、刺突剣の板挟み。なにがコンコンコンだ俺はドッスリやるぞ。
暴風を突っ走る鷹の如く。風を切るように。
──もっと速く!
●神速と暴風
配下の幹部三人衆は、既に討たれた。それぞれが強力な力を持つ優秀な存在達だった。だが、『ドン・フリーダム』それを知って、特に何も感じはしない。
――自由こそ至高、欲望のままにある事こそ存在において最上の美徳。同胞の死に柵まれる事も、『ドン・フリーダム』にとっては無意味であり、無駄なのだ。
「そこな猟兵、貴方の望みのものもコンコンコンで手に入るんでありんすよ?」
仮面が見下ろす先に居たのは、モノトーンを纏いて立つ妖狐。ヘクター・ラファーガ(風切りの剣・f10966)、彼ははっとその誘惑を一笑に付した。
欲望のままに、何もかもが手に入る。欲があり、そしてそれを望んで止まない彼だからこそ……眼前の存在の語る理想がどれほど恐ろしいものかを理解する。
「ソイツは――人類、いやキマイラにとっても手に余るものだ」
誰であっても御せるはずがない。歯止めの効かなくなった欲望の向かう先あるのは、破滅だけだ。だからこそ彼は剣を構える。
「テメェはそれ以上、修理すんな……いや、させるかよ」
「残念であるが、これも運命ですわね」
そう言うと、『ドン・フリーダム』が巻き起すは花の嵐。その足元から自身へと繋がる道の尽くを吹き飛ばし、断つ。風を操るウインドゼファーの力を一層強化したかのようなその力は、ただ道を崩すだけではなく風の刃をも生み出し猟兵の身体を引き裂かんと襲い来た。
『最高速で――――突き抜けるッ!』
速さには、速さを。風には、風を。風の刃が肉体を裂くことはなく、ヘクターは宙へと躍り出た――巨大な剣を、踏み台にすることで。
その後も彼は手にしていたものを捨て去りながら『ドン・フリーダム』へと近付いていく。効果が薄いと判断したダブルバレルのショットガンを足蹴に刺突剣を投げる。呪怨の如き殺戮を渇望する狂気を纏うたそれも、しかし肉を貫くことはなく、風に呑まれる。とはいえ吹き飛ばされた剣も貴重な足場、更に踏みしめヘクターは速度を上げた。
――ジャケットさえも脱ぎ棄て、更に速く。もっと速く。どれ程巨大な嵐にも、追いつけない程に速く。ヘクターは今突風を抜き去る光となった。
「てやんでぇしゃらくせぇ、その程度で勝った気になるとは片腹大激痛でございますことよ?」
しっちゃかめっちゃかな言葉を使いながら『ドン・フリーダム』は風向きを変える。足場を破壊するために四方へと散らしていた風を今度は渦の様に自身の周りへと集め、身を守る巨大な竜巻へと変化させたのだ。だがそれでも、ヘクターは止まらない。――その表情は、獰猛な笑みを浮かべていて。
直進するラファーガ。成程確かにそれはすさまじい加速であり素晴らしい速さだ。けれど軌道が単調である以上迎撃も容易い。身を守るための竜巻から産み落とされた無数の風の刃に身を切られながらも、ヘクターは決して足を止めない。無謀、無策、これならば自分に触れる事すら敵うまい。その浅はかな傲慢が、欲望の背を刺した。
「――はぐっ!?」
……巨大な肉体だ。大きさで言えば虫に刺された程度の痛みだろう。だが、まさか背後から、吹き飛ばしたはずの剣が刺さるなどとは思っていない。
一度弾かれ、そのうえで足場にしたその刺突剣が命中したのは幸運か、それとも運命か。はたまた殺人鬼が持ったという謂われを持つこの剣に宿る邪悪な「欲望」が『ドン・フリーダム』の近くという条件下で活性化したのか。真相はわからない。
どちらにせよ、緩んだ嵐の防壁の隙間を縫い、純白の妖狐は突き抜ける。骨を砕く程の風に身を打たれながら、それでも彼の一閃は、確かに悪意の身を斬り裂いた。
すべてを使い果たし、膝を付いたヘクターが最後に見たのは、受けた傷に動揺しながら骸の海へと帰還していく首魁の姿。
巨大な欲望の権化に傷を与えた事実は、敵がいかに骸の海へと戻ったところで消えはしない。……次に欲望へと切り込むのは、誰か。
成功
🔵🔵🔴
ソフィア・リューカン
……欲望はあると成長を促すかもしれないけど、あり過ぎると身を滅ぼすだけよ。
両掌に電流を蓄えて準備をするわ。と、同時に相手が私の能力を封じる機械を出してくるだったわね。私の場合、この電流を機械に吸収や無効化されてしまうあたりかしら?
それなら、まず人形たちの星縫いを敵に向かって投擲するわ。当たっても当たらなくても大丈夫、星縫い自体が避雷針のようになってくれる……かもしれないし。
相手が星縫いに気を取られているうちに電流は人形たちの内部にある仕掛けに封じ込めて、どこかにあるはずの機械に吸収されないように対策しておくわ。
そのまま人形自体を相手にぶつけるようにしてマヒ攻撃を仕掛けるわ。
※アドリブ・絡み歓迎
●縫い針とガトリング砲
続いて現れたのは小さな人形を携え眼前の巨躯に臆す事無く向き合う少女。花を巻き上げる風に揺れる大きなリボンと銀の長髪、ソフィア・リューカン(ダメダメ見習い人形遣い・f09410)は敵の先制攻撃に対しての対策を講じていた。
雷撃による感電、それにより肉体をマヒさせる攻撃を目的に、彼女は掌を帯電させる。基礎的なユーベルコードの一つではあるが、彼女はそれを命中させるべく人形たちと、そして人形たちの操る針を以てある策を打ち出したのである。
『ドン・フリーダム』はソフィアのユーベルコード発動の前に先制を仕掛けてくる。恐らくそれがユーベルコードを無効化してくるはずだ。針を投擲する事で雷撃を散らし、同時に集中をそちらに裂かせる。最後に、隙を突いて人形たちの突撃と、人形の内へ宿した雷撃を当てる――自分囮にした上で放つ攻撃も囮、二重の囮作戦だ。
「あまいですわ」
しかし――彼女の予想は、大きく裏切られる。
「え……?」
自分に向けられる百を超える機銃。そしてそこから放たれる――ゴム製弾丸。四方八方から彼女を打ち据える柔い球状の塊は、小さな針を吹き飛ばし、電撃をも無効化する。
「わっちの技は無効化ではなく隙を狙った攻撃ですわぞ、その対策は不正解と言わざるを得ないですわ」
べしべしと打ち付けられる嵐のような痛みに、ソフィアは膝を付く。振り払えど絶え間ない集中砲火は避ける事すら難しい。そんな無慈悲な攻撃が――どれだけ続いただろうか。
「にしても解せませんわね。欲望のまま生きる事がそんなにいやですのかしら?」
はあとため息をついて『ドン・フリーダム』は呟く。オール・フォー・フリーダム。自由こそが、この世の全てだと嘯くこの大いなるてんさいは、これ程までに抗う猟兵達に疑念を抱かざるを得なかった。人の根幹にあるであろう欲望を認めない、受け入れようとしない。理解に苦しむ存在。
――だからこそ、彼女は見落とした。痛みに耐え、全身を痛め付けられてなお戦意を失わない少女の眼差しを。
欲望は、時に成長を促す。際限ないそれは理想と形を変え、未来への道を作り出す何かとなりえる。それでも。
「あり過ぎれば、身を滅ぼすだけよ」
今の、お前の様に。そう言うように、彼女の指から放たれるサイキックエナジーが、二人の人形を繰り『ドン・フリーダム』の肉体へ電撃を帯びた針の一撃を与える。規模こそ少なく、効力は十全とは言い難い。それでもなお、彼女の忍耐は一矢では足りぬ程の一撃を叩き付けた。グリモアによって転送される最中、彼女は胸の中に戦い抜いた人形を抱きしめながらそっと目を瞑る――家族に貰った一張羅が、彼女の心を守ってくれたと、そう感じながら。
苛烈なる攻撃を耐え忍び、そして戦い抜いた者が居る。人の願いは、欲望をも凌駕する。……次に欲望へと切り込むのは、誰か。
苦戦
🔵🔴🔴
リダン・ムグルエギ
アタシの目標
それは彼女に自作の服を着て満足してもらう事
正直ね
コンコンには感謝しかないわ
例えこれが攻撃の一端だとしても
少し恩返しをしてもいいでしょ?
彼女専用に作ったカラフルで独創的な服を渡そうとするわ
貴女だけのために新作衣装を用意したの!
服ごと切る刃やビーム等を想定
自分の服に仕込んだ錯視を引き起こす催眠模様(アート催眠術防具改造)で距離感を狂わせ回避を試みる
作品である服が破壊された場合次手よ
システムフラワーズの照明関係をハッキングし
服の立体画像を彼女の体の上に生み出すの
キマフュ背景のゼファーの立体広告の応用、新時代の服(レイヤー)よ
どちらの服にしろ、着て満足してもらえたら写真の一つも撮りたいわね
●ドレスと断ちハサミ
ただ戦い打ち倒すこと以外に、かのオブリビオン・フォーミュラを止める方法を志向する者……いや、止めようとさえしていないのかもしれない猟兵もいる。
「やはり、部外者の猟兵より現地の人々に意見を聞きたいものですわね」
そう言って、『ドン・フリーダム』はすっと視線を落とす。そこに立っていたのは青い髪を持つ山羊のキマイラ。蝕まれつつあるこの世界を故郷とする猟兵、リダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)。
「正直ね、コンコンには感謝しかないわ」
彼女は繕うことなく素直に本音と紫煙を吐く。コンコンが、人々の生活に根付き、そして感謝されているそのことはどうしようもなく事実。けれど、だからといって……世界を、終わらせるわけにはいかない。
「だから、貴女だけのために新作衣装を用意したのよ!」
どこからともなく広げられる巨大な布。それは、服だ。デザイナーである彼女の持てるすべてで作り上げた渾身の一張羅。神が纏うとも負けないような、そんな服。
だが……自由のままに、欲望のままにあれと望む『ドン・フリーダム』は自らを柵むものの全てを余分だと判断する。それは部下、それは執着、それは衣服。だからこそ、その肢体には何も身に着けない。用意されたそれを、しかし容赦なく召喚された断ち切りハサミに似たマシンが切り刻みにかかる。
それも、リダンにとっては想像通りだった。細緻な刺繍や特殊な縫い目、それらが齎す視覚的迷彩によって、自分だけでなく衣装にさえ傷をつけないように。
「そこ、ですわな!」
――『ドン・フリーダム』は巨大だった。ゆえにリダンの作った衣装も巨大だった。如何に迷彩を用いても、足場の少ないこの花畑を身の丈を超える布を交わしながら攻撃から守るのは至難の業。作り上げた服の袖が片方、ばっさりと切り裂かれる。計算され尽くされたバランスが乱れ、作品が不完全となってしまった以上……これを他者に渡すことはできない。それは職人としての、プライド故に。
「けれどあちきにプライドなんてないでやんすからねえ」
心さえ自由、欲望のままある『ドン・フリーダム』にとってプライドも捨てた余剰物。毛皮と命を刈り取らんと迫るハサミ。けれど――彼女は、既に次の手を打っていた。
ばんと大きな音と共に、一斉に向けられる光に思わず顔を手で隠す『ドン・フリーダム』。だが次の瞬間、その裸身を覆い隠す神々しい衣装。それは、自ら切り裂いたものと遜色ない出来栄えの衣服。
だのに……着心地が軽い。いや、ないのだ。それもそのはず、今リダンが着せたのは逃げ回りながらハッキングによって投影した立体映像。着心地はなく、しかししっかりと纏ったように見せかけるその着想は……キマイラフューチャーのシンボルの一つ、『ウインドゼファー』の立体映像看板からきている。
「こ、これがわっち……?」
……曲がりなりにも『ドン・フリーダム』はてんさい。天災であれど天才なのだ。このハッキングもそう長い時間は持つまい。だが確かに彼女は自分の欲望を貫き、そのうえでコンコンの母であるその過去に別れを告げる。
思わず逃げ出すフォーミュラに、確かにダメージは与えられた事だろう。捉えた写真は彼女の戦果と、想いの詰まったものだ。
欲望は人を強くする。同時にそれを御す想いがあってこそ、全てを凌駕するインスピレーションとクリエイティビティが生まれる。それを目に見える形で示して見せたのは、この世界で生まれた宇宙山羊だった。さあ……次に欲望へと切り込むのは、誰か。
成功
🔵🔵🔴
シュデラ・テノーフォン
ご機嫌ようレディ
俺の相手もしてくれるかい?
SPDで行こうか
足場無しは飛べるから…暴風か。なら
幾ら風は荒れようと風向きが台風みたいに一定方向じゃないと打ち消しあうんじゃないかな
場で大量に舞ってる花弁の流れで風の動きを予測
風の精霊弾で逆の流れをぶつけ威力を弱める
一丁じゃ足りないなら精霊銃を複製するまでさ
後は飛び回りながら打ち消し易い風の流れも誘導する
それでも来る風は弱まってるだろうから指輪の盾で受け止める
防戦一方だって?ちゃんと、嵐を掻い潜って射程距離には来てるんだよ
複製銃の銃口を集め、一瞬でもいい
敵の嵐に文字通りの風穴を開けマスケット銃をクイックドロウし狙い撃つ
じゃあね、自由は骸の海で謳歌しな!
●狙撃と花嵐
「ご機嫌ようレディ、俺の相手もしてくれるかい?」
花散る細道に、一人の男が立っていた。艶やかな雪色の髪の下爛々と輝く白銀と金色は、狩人の如くに獰猛だ。台詞回しはキザに、けれどシュデラ・テノーフォン(天狼パラフォニア・f13408)の身からは闘気が滲み出る。
「ふふふ、果たして私の相手がつとまるかですわ?」
相変わらずの微妙に間違っていそうな語尾とは違い、繰り出す猛風は一部の狂いなくシュデラの周囲を支える花を切り崩す。だが、彼は羽搏き宙を舞い……同時に銃を乱れ撃つ。『灰被り』が輝き放つ風の精霊を込めた硝子の弾は、強風に当たるや砕けてそこから真逆の風を吹き付ける。西風に東風を、北風に南風で迎え撃つ。
目には目を、歯には歯を、風には風を。シンプルで、それでいて精密な見極めと卓越した技術を要するこの千日手のような戦い。膠着した状況に先に痺れを切らしたのは、『ドン・フリーダム』だった。
「ええい、まだるっこしいですわ!」
作り出すのは巨大な風の塊、渦巻く風は嵐となり、優雅に空を舞う狼を地に叩き付けんと迫り来る。
『綺麗な雨を、観せようか』
しかし決して逃げる事はない。手の中で煌めく『灰被り』にそう唱えれば、空気が凍り付く様にして形作られる、透き通る拳銃の隊列。二丁拳銃と、三十六丁の銃が同時に放つ精霊を封じる硝子の銃弾は、力を弱めこそすれ決して相殺するまでに至らない。
抵抗も空しく――白狼は竜巻に呑まれ姿を消す。これでようやく決着……そう思った『ドン・フリーダム』は、歪にひん曲がった笑顔の面にぴきりと小さく罅が入っていることに遅れて気付いた。
……驚愕と共にその部分へ触れれば、確かに突き刺さる硬質な薔薇の棘を模す、硝子細工の鋭い弾丸。はたと見れば、竜巻の中に残るのは純白の羽の一枚のみ。
長丁場になればしびれを切らす、一撃で勝負を決めようとしたその一瞬に、彼は嵐の目を穿つ一射を放っていたのだ。既に彼はこの場から帰還している、追撃することはできない。
まんまと食わされた。『ドン・フリーダム』はその計略に舌を巻きつつも、一層の警戒を行う。それはつまり――自身の底が見え始めた証でもある。さあ……次に欲望へと切り込むのは、誰か。
成功
🔵🔵🔴
仁科・恭介
※アドリブ、連携歓迎
【学習力】で地形とドン、自分の位置を把握
何を取るか思案して、何故かゼファーを思い出す
「風…か」
UC範囲内の空気を全て、酸素と窒素に分けて2本のナイフに変える
ドンを窒息させると見せ掛けて、気圧が無くなった部分に流れ込む風圧と【ダッシュ】の勢いで刺突を狙う
暫く真空になるが【覚悟】しよう
傷が出来たら【投擲】でナイフを投げ込み解除
高純度の酸素は急激な酸化力
固体から気体に膨張する力も使おう
「正直な所、貴女の技術が欲しいよ。私の世界には特にね」
「だけど、満ち足りた世界は自由じゃない。飽きて命を弄ぶ。その悪い例がうちの吸血鬼だ。私から見ると貴女も同じだね」
「甘えて話しすぎた。止めるよ」
●理想と欲望
花の嵐の只中で、仁科・恭介(観察する人・f14065)はそっと手を伸ばし手を握る。偶然掴んだ小さな桃色の花びらに微笑みを浮かべ、再び離して……巨躯の敵へとこう口にした。
「正直な所、貴女の技術が欲しいよ。私の世界には特にね」
思い出される乾き、苛酷が溢れ、そして何より飢え切った世界。その世界に彼女が生み出したコンコンコンを持っていければ……どれ程に救われる人が居るだろう。どれ程世界が明るくなることだろう。初めて自身の行為に賛同する猟兵が現れ鼻高々の『ドン・フリーダム』だったが、それも長くは続かない。
「だけど――満ち足りた世界は自由じゃない」
全てを手に入れた不死者たちは、嬉々として命を弄ぶことを道楽にする。思い出すだけで胸が怒りに焦げ付ようだ――しかし、恭介は首を振って平静へと自分を落ち着ける。
「だから止めるよ、貴方を」
風が薙ぐ、地面が吹き飛ばされる。だのに彼は墜落することはない。それは自身もまた突風を操り地面から離れたためだ。
……エネルギーを馬鹿食いする力を操って、彼はその手にナイフを次々に生成していく。その素材は――空気。窒素と酸素に切り離して生成したその武器を次々に放る。更に空気を消費して武具を生み出せば、副産物として気圧の変化が起こる。一点に低気圧を作り引き寄せるように生まれる突風に乗り、彼は『ドン・フリーダム』の喉元へと迫ってゆく。
「その程度では届かないですわね!」
ならばと対抗し風によって見えない壁を生み出す『ドン・フリーダム』。投擲してもナイフは届かず、遠距離から真空にしようとしたとしても換気の要領ですぐさま新鮮な空気が送り届けられる。
だが、「真空」というのはデコイに過ぎない。
激しい炸裂音と共に風の壁に空く大穴。僅かな水素を練り固めて作っておいた隠し玉。防壁を突き抜け――恭介は叫ぶ。
これまで移動の為に生み出す真空に幾度となく突っ込み、単体で吸えば猛毒となるガス成分を飲まぬように息を止め、脳に血が回らなくなりそうな中でも、彼の決意は鈍らなかった。その一刀を、確かに敵へと届かせるために。
「う、ぉ、おぉおおおおおおお!」
――刹那の交差。限界を超えた能力使用と風によって受けた鎌鼬で全身を傷で埋め尽くした恭介はグリモアによって帰還し、『ドン・フリーダム』もまた刺された酸素のナイフが起こす爆発による大きな傷に呻きながら骸の海へと帰還する。戦いは、ついに佳境。……次に欲望へと切り込むのは、誰か。
成功
🔵🔵🔴
マックス・アーキボルト
最初は彼女に超動揺したけど、今は一つの思いが上回る。
バニーの能力は【戦闘知識、学習力、見切り】で既に織り込み済み。【ダッシュ、スライディング、ジャンプ】で避けてみる。
フラワーズは今生きる人達のもの、そう思ってた…貴女が出るまで
正しいよ。欲望は止めなくていいって
でも皆が持つ欲望は、何かを創作し、新たな欲を生む種なんだ…全てを費やしていく破滅じゃない!
照らせ、【終幕を照らす光】!【人の未来を守りたい】という僕の欲望を光に変えて、彼女を打ち砕く!
先の戦闘で学んだことはもう一つ
【エモい】って言葉、【相手の思いに感じ入ってくれた】という解釈で合うのなら、
僕は剥き出しの思いを貴女に届かせてみせる!
●想いと欲望
「正しいよ。欲望は止めなくていいって」
現れたのは、少年だった。学生服の上から蒸気仕掛けの鎧をまとい、ただ一点にオブリビオン・フォーミュラたる存在を睨むはマックス・アーキボルト("ブラス・ハート"マクスウェル・f10252)。
健全な青少年の心を持つ彼は、眼前の敵の姿に動揺したりもしたが……今はただ、彼の中に芽生えた一つの想いが、戦いへの原動力として燃え滾る。
「でも皆が持つ欲望は、何かを創作し、新たな欲を生む種なんだ……!」
決して、安易に満たせる事に胡坐をかき、怠惰のままに堕ちる破滅を齎すものなど……欲望ではない。自由でもない。だからこそ、その間違った「修理」を止めねばならないと。
「いいえ、違うですわの」
だが、『ドン・フリーダム』は両手を広げる。その背後から現る少しとぼけた牛の顔、それはラビットバニーの使用していた「赤べこキャノン」――それが十、百と数を増し、一斉にマックスへと向けられる。
「彼の己の欲望のまま、与えられるなら享受する。努力も研鑽も必要ない、これこそ真の理想郷ですわ!」
叫びと共に一斉に放たれる赤べこの形をした砲弾。既に一度見たとはいえ数が多く、マックスは爆撃同然の赤べこの雨に苦戦を強いられる。
――もしここを耐え忍んだとしても、張られた絶対無敵バリアを破らねば勝機はない。状況は劣勢というほかないだろう。勝利を確信しふんぞり返る『ドン・フリーダム』。
攻撃が終わり、もうもうと立ち込める煙。しかしその中で、僅かに光るものがあった。よくよく確認しようと目を凝らした『ドン・フリーダム』が目撃したのは、眩いばかりの光。マックスの心臓から漏れ出す――無限の光。
それは、希望の光。彼の中の魂の光。そして、欲望の光でもある。けれどそれは「欲」というにはあまりにも無垢で素直だ。
「僕は、人の未来を守りたいんだ!」
走る。ただ真っすぐに、未来を閉ざす過去を砕くために。『ドン・フリーダム』は追撃しようと思えばできた。これまでやってきたように風でその道を砕けばよかった。けれど、できない。
「その欲望――実に、ナイスですわね」
眼前に迫る、その拳。防ぐこともなく、ただそう呟く。無敵のバリアはとうに消え去り、凄まじい光で場が満ちる。そして――――。
●花と種
繰り返しダメージを与えられた『ドン・フリーダム』は一度消失した。しかし、その全てを消し尽くしたとは言い難く、まだ時を置けば復活する事だろう。
この場に咲く花は、欲望そのものなのかもしれない。誰もの心の内にある欲望の花。それは美しく、けれど何れは散っていく。満たされてしまえば、その先にはなにもない。
けれど、欲望に際限はない。そしてそれが得難いものであればあるほど……咲く花は大きく、美しい。それを求める人の努力や、決意や、覚悟が、その花を美しくする。そして――次の花の素晴らしい花の為、種を残していくのだ。
猟兵の残した未来への希望を守るという欲望から撒かれたその種が、果たしてどんな花を咲かせるのか。
この世界が守られた暁に、大輪の花が咲くだろう。それはそれは、美しい花が。
大成功
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