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バトルオブフラワーズ⑪〜阻む西風、機は東風らに在り~

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ウインドゼファー

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「さぁ語ろうか。時はバトルオブフラワーズ、舞台はキマイラフューチャー。阻みの西風を攻めるた風の話を……」

●偏西風
「さて、バトルオブフラワーズも佳境に差し掛かってきたところだ。これから向かう敵もまた等しく強敵だが……うん、覚悟ができているようで何よりだ」
 普段の妙な前置きもなく、グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは集まってきた猟兵達の頼もしい顔つきを満足そうに眺めてから頷いた。
 そうして手帳を開き、淡い金色の羽根ペンを象ったグリモアを輝かせると朗々と語り始めた。

「さぁ語ろうか。舞台はキマイラフューチャー、君達には最後の三幹部を撃破し、敵の大ボスへの道を開いて貰いたい」

「敵はスピード怪人『ウインドゼファー』 三幹部の最後の一人さ」
 グリモアを輝かせて映し出すのは、赤いマスクを被り二つの車輪のような剣を二刀流で構えた怪人。
 ブーツの踵にもどこか車輪めいたモノが存在し、その姿はどこか大型の二輪車を思わせる――言うなればバイクを擬人化したような姿だった。
「彼女……ああ、少々分かりにくいが女だよ。それはさておき、彼女の能力はシンプルだ。『風を操る』 それだけさ」
 だがシンプルであればあるほど、それが強力であればあるほど脅威となるのはお約束。
 単なる風と舐めてかかれば、文字通り吹き飛ばされてしまうだろう。

「そして風を操るイメージに違わずとても素早い。まず先制攻撃が飛んでくるだろうね……要は、銀河帝国のアンヘル辺りと同様と思ってくれたまえ」
 つまり、先んじてユーベルコードで先制攻撃を叩きこんでくるということ。
 この手の強敵に漏れず、単純なユーベルコード自体での対応や、複数のユーベルコードでの対応はその分だけ先んじて潰されてしまうだろう。
「だから君達には、まず彼女の攻撃を凌いで貰いたい」
 力強さなどを売りにする者には、暴風を纏い超スピードで飛翔突撃してくること。
 敏捷性などに秀でた者には、風で花弁の足場を崩し動きを封じてくること。
 そして魔力などに優れている者には、体のタイヤを高速回転させて攻撃を軽減し、竜巻を放つ双剣で攻撃してくるのだと語った。

「ただし、先制攻撃を凌いだとしても彼女は十分すぎるほどに強敵だ。マトモに戦っても苦戦は必至だろうね」
 彼女の先制攻撃を凌いだとしても、それでも十分に彼女は強敵。
 曲がりなりにも敵の幹部なのだから、攻撃を凌いで漸くスタートラインに立てる――それすらもハードルの高いことだとも語り。
「それに……幹部の最後の一人ということで、士気も尋常じゃない。油断はしないことは大前提で、その上でそれ以上の強き意志を通して欲しい」
 神妙な顔でグリモアを輝かせ、ゆっくりと転送結界を作り上げる。
 警告こそしていても、それでも唇の緩んでいる辺りはスフィーエなりに猟兵への信頼を示しているのだろうが。

「君達なら心配はいらないと思うがね。さて私からは以上だ。転送周りのことは任せておいてくれたまえ。行く手を阻む西風、されどこの戦の流れは東風(こち)らに在り……なんてね」
 ……お後がよろしいようで。


裏山薬草
●注意!!
 敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。

 どうも、裏山薬草です。
 戦争も佳境ですね。
 今回も張り切っていきましょう。

 今回は幹部級はスピード怪人『ウインドゼファー』との戦いになります。
 最初に先制攻撃への対策を書かなければ問答無用で「失敗」となりますのでご注意を。
 また単純なユーベルコードでの効果での対抗、或いは複数のユーべルコードでの対応も「苦戦」は免れませんのでご注意ください。

 また、先制攻撃を潜り抜けたとしてもウインドゼファーは強敵です。
 相応の判定は致しますのでご注意ください。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
 裏山薬草でした。

●追記・運営シナリオ数について
 運営シナリオ数に制限はありません。戦場の戦力「40」をゼロにできれば制圧成功ですが、それ以上の成功数があった場合、上回った成功数の半分だけ、「⑬『ドン・フリーダム』」の戦力を減らせます。
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第1章 ボス戦 『スピード怪人『ウインドゼファー』』

POW   :    フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:藤本キシノ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

胡・翠蘭
まぁ…なんとも荒々しい風…
暴力的な方は好みではありせんが…致し方ありませんわね
【SPD】
足場を崩すほどの風とは…折角の花畑が惜しいですわね
…ですが、そうですわね
まずは敵からの初撃に対して、
防具改造と激痛耐性を活性
第六感と野生の勘、見切りで出来るだけ風を避けながら…
甘露を口にし、UCを発動させ
わたくしから崩れた足場に向けて触手を嗾け、崩れた箇所を埋めて…安定させられないでしょうか?
わたくしのUCはわたくしが動かずとも…視界に捉えれば良いもの
視界を遮る花弁や土埃ごと触手で蹴散らし、風操る敵へと攻撃致しましょう
マヒや呪詛など毒を添えて
一矢酬いることが出来れば良いのですけれど…

※アドリブ歓迎



●風の中に「花」咲く
 見えること無き風すらも、舞う花弁が風の形を見せてくれる――それだけならば、何と美しき光景か。
「まぁ……なんとも荒々しい風……」
 戦場に舞う花々の微かな揺らぎ。
 そして言葉にはできない超感覚が、不可視の暴風を何とか見られる形となし、ゆったりとした着物に風を受け流す加工を施した女――胡・翠蘭(鏡花水月・f00676)はぽつりと呟いた。
 万一受けても戦を続行できるように耐える強さをも持ち、指先に付着する花蜜をしゃぶりながら荒れ狂う暴風を躱す姿は、花々の中で舞う胡蝶の如く。
 その様子を見るウインドゼファーは、荒れ狂う暴風を続けながら一言だけ述べた。
「一つ忠告しておきます。足場には気を付けることです」
 暴力的だがこれも致し方ない――そう思っていた刹那、翠蘭の身体がぐらりと揺らぐ。
 西風の女が放つ暴風は、花弁によって作られた足場をも崩す――だが、翠蘭に秘策あり――舞の中、指先を舐り得た甘露が生み出す快楽で、己が内に潜む古の怪物の力を花開かせ。
 蠢く触手を代わりの足場としていた――余裕の笑みを浮かべ、そこに降り立つ翠蘭にウインドゼファーは驚愕しつつ。
「これ以上は、させないッ! 門番として、絶対にッ!!」
 その叫びは最後に残った者として矜持なのか。
 与えられた役割を果たさんと放つ暴風――単純にして強力、故に何よりもの脅威となりて立ちはだかる。
「――成程、破れぬ門は確かに心強いですこと」
 舞う花弁と埃すらも、暴風に乗った勢いは銃弾のように襲う。
 しかしそれを呼びつけた怪物の触手が力強く、しなやかな一薙ぎで――時に一部を弾けさせようと。
 ヘテロクロミアに嗜虐的な輝きを帯び、触手には海月の如き媚毒と呪詛を宿しつつ、ウインドゼファーを締め上げて。
 骨の軋む音色と注がれる毒と呪詛に悶える響きを耳に収めながら、翠蘭はそっと囁いた。
「ですが……破る価値なし、と言われるよりはずっと……良いのではなくて?」

成功 🔵​🔵​🔴​

セルマ・エンフィールド
風自体は見えませんが足場を吹き飛ばすほどの無差別の暴風、ということはすなわち巻き上がる花弁で効果範囲は視力を活かせば見切りやすい。
あとは第六感を駆使、時には激痛に耐えながら風の中を突っ切ることも考慮に入れて足場がなくなり追い込まれることのない立ち回りを。

徐々に初期位置から引き離すように動き、ある程度離れた所で私一人をこんなに追って、門番としての役目は大丈夫なのかと問いかけます。

門番としての役目にこだわりがあるようですし、私は囮でその隙に他の猟兵が、と仄めかせば「まさか」とは思うでしょうが一瞬隙はできるでしょう。

そこを狙って【凍風一陣】、代償をもらった状態では戦えませんし、深追いせず離脱します。



●アイスダンス
 不可視が旨の風に於いて花弁の揺らぎが見せる可視化は、風使いに於いてはやや不利に働く。
 不安定な花弁の足場を崩すことにも繋がっているので良し悪しであるが……銃を抱えながらも揺らぎを元に、時には第六感を活かしながらセルマ・エンフィールド(終わらぬ冬・f06556)は暴風の間を縫う。
 時に真空の歪みが身を刻む羽目になろうと耐えて、崩れる足場にも気を払いつつ、ウインドゼファーを誘う。
 しかし圧倒的な格上――暴風の及ぶ範囲も尋常ではなく、狙いと回避を両立できる距離を心掛け引きはがそうとしても中々に及ばない。
「門番としての役割はよろしいのですかね?」
 痺れを切らしながらも、一応の動きは見せているウインドゼファーに挑発するようにセルマは言葉を掛ける。
「問題ありません。この程度の距離、私には在って無きに等しいこと……」
 実際ウインドゼファーの言う通りだろう――暴風の射程も、増してそれ以上の速度で動ける技も彼女は持ち合わせている。
 なれば、と虎の子の言葉を紡ぐ――暴風の一撃は凌いだ以上、わずかな隙を、後先を考えずに。
「――ですが、貴女以外にはどうでしょうか。貴女と、私以外には、です」
 ……賭けにはギリギリで勝った!
 ないとは思うがもしや……用心深き門番の、セルマの卓越した狙撃技術を以てせねば隙と気付くことも能わぬ僅かな逡巡を突いて。
「――寒いと思う間も与えません」
 引かれた引鉄と、解き放たれた弾丸――身を削る代償に振り絞った暴風をもかき分け突き刺さる身体を凍結させる必殺のバレットを喰らいつつ、凍てつく胸を押さえつつウインドゼファーは讃える。
「成程御美事……」
 ――されど、その力を振り絞った代償に。
 身を縛られ鮮血を全身から吹き上げ、喀血をも始めるセルマに、西風は静かに葬送花の如き花弁を乗せた暴風を嗾けた。
「せめてもの礼に、吹き飛んだと思う間も与えません。何処までも冷たく鋭い凍風の射手よ」

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
(POW)
シャーリーを庇う形で前に出て、奴の先制攻撃を真っ向から迎え撃つ。
「悪ぃ、先に出番もらうぜ」

なんて、カッコいい事言ってるけどノープランだ。

鉄鍋の『盾受け』+『かばう』でシャーリーを守る形で奴の突撃を受け、同時に大包丁での『カウンター』⁺『二回攻撃』⁺『鎧砕き』を繰り出す。
暴風に遮られてどこまでダメージが通るかわからないけど、一太刀でも浴びせられれば上出来だ。
シャーリーなら、そこの傷をピンポイントで狙い撃てる筈。
そして俺は『料理の鉄刃』で奴の操る『風』を切り裂き、彼女の勝利への道筋を拓く!


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
たぶん、怪人はボクよりずっと早くて強い。
でも、『ボクたち』なら勝てる。
勝ってみせるよ。

先に仕掛けたウィーリィくんへの怪人の攻撃を【援護射撃】でフォローし、すかさずカバーリングに回る
「大丈夫?無茶しないで!」
彼女が暴風で足場を崩して来たらウィーリィくんを乗せたまま宇宙バイクで【騎乗】と【空中戦】で暴風に乗る形でジャンプ!
そのまま戦場を駆け巡りながら熱戦銃で攻撃を浴びせ続け、ウィーリィくんがつけた傷痕を狙って【スナイパー】&【クイックドロウ】で集中攻撃!
トドメはバイクでの【吹き飛ばし】!



●追い詰められて裂く、後は好機を
 華美なる戦場に金属の削れる非常に耳障りな音と、熾烈なる火花が散る。
 火花散らす場所を中点に、勢いよく広がる暴風が火花を乗せては戦場に舞い散る花弁を燃やし、彩なる火炎を飾る。
 炎の化身、とも称する料理人の相棒である鉄鍋を以て、ウインドゼファーの突撃と共に繰り出された喧しく回転する刃を受け止めていたウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)は銃を構えるのがやっとであった少女シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)にこう言った。
「悪ぃ、先に出番もらうぜ」
 振り返る余裕などない。
 こうして鍋肌で受け止めているだけでも、腕の筋肉と骨が悲鳴を上げて鉄鍋のひび割れていく嫌な音が響く。
 不安定でも花の足場を踏ん張っていなければ、ウインドゼファーの暴風があっけなく吹き飛ばしにかかるよう――それでも、語調だけは強気に。
 気概で負けて勝てる相手など存在しない――まして圧倒的な格上ならば。
「強がりは止しなさい。受け止めたのは見事ですが、この膠着を破るのに時間は要りませんよ」
「だろうな……だから、先に、俺が破るッ!」
 暴風纏う――否、暴風そのものと化したが如き西風の門番の言葉通りとなる前に。
 暴風の勢いを強めた動きに合わせ、大包丁を突き出す――攻めろ、攻めるんだ。
 研ぎ澄ましたこの刃、少しでも届け――暴風に阻まれ中々通らなくても。
「――無茶しちゃあダメだって。ね? ウィーリィくん」
 膠着がウインドゼファーに破られんとしたその時、彼女の仮面の一部を吹き飛ばす熱線銃の光。
 それこそはウィーリィが身体を張って初撃を防いだ少女シャーリーの援護射撃であり、ダメージには至らなくとも眩しい光が一瞬、目を掠めた影響で暴風の壁を緩めたウインドゼファーに大包丁の重たく鋭い斬撃が刻まれる。
 ウィーリィにとっての渾身の一撃、シャーリーの援護もあって漸く切り込んだにも関わらず装甲を浅く傷つけただけ――咄嗟に風を吹かせ、後方へ飛翔して躱していたのだ。
 確かに一人一人より速く、そして強い。
「でも……」
 ウインドゼファーが体勢を整えると同時、息を荒げているウィーリィを大型の鮫型バイクに乗せてスロットルを吹かし。
 ウインドゼファーもまた、手に携える嗤う刃のスロットルを全開にすると新たな風が巻き起こり花弁を揺らめかす。
「『ボクたち』なら勝てる!!」
 風に乗るは船乗りの基本――吹き付ける暴風を、車体を帆の如く立てて風を受けながら。
 躱せず耐えれぬ風ならば、逆に乗りこなす――宇宙すらも翔けるこのバイク、風の一つや二つ翔けることも容易く。
「我が風を乗りこなす道を選びましたか……」
 これならば崩れる足場すら意味を為さない――出来ることは、風を吹き付けこちらが押し切ることだが。
 それすら乗りこなすことを、心のどこかで期待している己が居る。
 その一方で、このまま吹き飛んで欲しい気持ちもあれど――我が西風の矜持、この門を守ることが優位。
 風を乗りこなす宇宙海賊の船から襲い掛かる無敵艦隊の如き熱線銃の嵐を、ウインドゼファーは暴風で歪ませ、孕む熱量を吹き飛ばす――まるで、蝋燭の火を吹き消すが如く。
 だがその暴風の障壁を切り裂く料理人の魂の刃――バイクを蹴り、研ぎ澄ました料理人の刃は――相棒が風を乗りこなすなら、自分は風すらも調理する!
 切り裂かれた風の障壁を、狙いすました熱線のプラズマが走り――その先は、先に大包丁が刻みつけた活路。
 風の展開も間に合わずプラズマが装甲を破り、体を焼き焦がす熱に装甲の隙間から白煙を噴き上げながら彼女は問う。
「何故、直接切らなかったのです」
「信じていたからさ。……シャーリーなら、必ず撃つ」
「ボクも信じてたよ。ウィーリィくんなら、必ず開けてくれるって」
 信頼の手を打ち合わせる少年と少女に。
 ウインドゼファーは胸を押さえながら立ち上がり、仮面の下の唇を微かに歪めた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

月凪・ハルマ
向こうの先制攻撃を回避するのは無理だろうし、
ダメージを最小限に抑える努力をしてみる

◆SPD

【防具改造】で装備に耐衝撃・耐刃機能を付与
風には無理に逆らわず、場合によっては敢えて身を任せながらも
飛ばされた花や土砂などから風量がより少ない場所を【見切り】、
常に其処へ移動しながら戦う。ダメージは【激痛耐性】で耐える

以降は上記の技能や【武器受け】で敵の攻撃をいなしつつ、
【武器改造】で時限式の爆薬をセットした手裏剣の【投擲】
当らなくても、相手の集中を削げればいい

隙ができないなら手裏剣を地面に放ち爆発させ、それに紛れ
【忍び足】で接近。【覚悟】を決めて【降魔化身法】を使い
破壊錨・天墜での【捨て身の一撃】を放つ



●任意の錨、強制の楔
 逆らわなければ抑えられることもなく、傷つかない――月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)が選んだのは、暴風に身を委ねる道であった。
 尤も、それを甘い幻想――逆らわなければより一層の暴威が襲う――とならぬように、青い羽織に真空の刃と風の重みを弾く改造を施しており。
 尚且つ動くべき時には動き、舞い散る花々の揺らぎと砂塵から一見隙間なく繰り広げられる嵐の僅かな緩みを見出し、手早く身を置いていることで被害を最低限に抑えていたのだ。
「投擲が私に通用するとでも……?」
「ちっ……」
 時折、隙を見て爆薬を仕込んだ手裏剣を投げ放つも風を操るウインドゼファーにとっては弾き返すまでに至らずとも、当たる直前で起動を歪ませ流すことは容易く。
 反撃に放たれる風の刃が――例え衝撃と斬撃を和らげる工夫為しても襲い来る痛みを耐えつつ。
 幾度となく爆薬を仕込んだ手裏剣を再び投げる――ただし、今度はウインドゼファーの足元へ。
 流しの風を広げんとした瞬間――彼女自身は気付いてなかった手裏剣の、時限式の爆破が広げた爆風と熱に咄嗟に己が身を庇う。
 今こそが好機とハルマは翔け出す――恐らく、この一時以外は無い。
(やるしかないか)
 この技は身体に強大な力と共に代償を降ろす――それでも、このリスクを払わずに決定打を打ち込める相手じゃない。
 この爆風の舞い上げる砂塵と花弁の目晦ましが、西風に吹き飛ばされる前に。
 音もなく忍び寄りながらその身体に百鬼夜行の化生を宿す。
 願わくばその身縛られること無く――決意の力がその願いを叶えたか、血を爆ぜさせ毒物の不快が身体を駆け巡ろうと。
 歩む動きは止まらず――ハルマは、その錨<怒り>を振り上げて吼えた。
「ウォォォォォオオ!!」
「ッ!?」
 ――強かに打ち据えられた錨は取り付けられた増幅器の力も相まって。
 西風の守護者に決して抜くこと敵わない、一番の大打撃という楔を打ち込むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
【アドリブ改変大歓迎】
【芋煮艇】のみんなと連携さ。

いつもはアタシが囮役になるんだけど……
たまには美味しい所をもらおうかね!

カブの『空中戦』機能を活用し、
吹き飛ばされてるレンちゃん(f00762)を拾って二人乗り。
振り落とされないように気を付けな!

『騎乗』『操縦』のテクを駆使して暴風の中でも
体勢を崩さないように逃げ回る。
細かい傷は『激痛耐性』で耐えて、
電撃で牽制するよ。

牽制は最小限にとどめ、
イヴちゃん(f13592)とサニードロップさん(f18164)が
ゼファーを引き付けてくれてるうちに安全圏まで退避。

思い切り離れたら本番さ、
【黄泉送る檻】で奴の動きを完全に止める。
後はレンちゃん、やっちまえ!


レン・ランフォード
【芋煮艇】アドリブ等歓迎

三人目…押し通ります…!

暴風に対してはそれを左右に流すように刀を前面にだして「武器受け」
それでも吹き飛ばされると「見切」ったらあえて飛ばされ距離を取ります
ダメージは「激痛耐性」と「気合」で耐えつつ足を負傷したという感じを見せます
これはスピード勝負に持ち込んだのは負傷者をかばうためとも思わせるものです

数宮さんに乗せてもらって手裏剣を「投擲」しつつ「情報収集」
最初の一撃による暴風の半径、速度、自分の技の早やさ…
計算して童子切を起動…戻ってくるゼファーにぶち込みます!
「だまし討ち」で失礼!
躱されても童子切を振り切る前に手首を返し、体ごとかち上げる「二回攻撃」を放ちます


サニードロップ・サンライト
【芋煮艇】
うーん速い…単純に強そー
でも、ここで引くわけにはいかないよね!

スピード勝負なら、そしてチーム戦ならボクも役に立てるはず!
ボクは自分の光を使って【オーラ防御】で体を守りながらアクセサリーに変形すると、イヴさんの手に乗るよ
イヴさんが装備してくれたら、ボクはイヴさんのスピードを強化する!
イヴさんがスピード勝負を始めたら、ボクは太陽の輝きでゼファーを【おびき寄せ】ながら、
更にイヴさんに太陽の力を宿すことで、その速度を光速へと近づける!
速くなることによるイヴさんへの負担はある程度、装備品であるボクが【かばう】よ

さあ、スピード勝負だね!


イヴ・シュプリーム
【芋煮艇】で参加
心情:打って変わって……硬派な人ね……少し意外だわ……。でも……押し通らせてもらうわ……!

戦術:初手の暴風には、<魔法:エネルギー操作>による【全力魔法】【範囲攻撃】で重力及び運動・位置エネルギーを制御することで、味方の落下と飛散を防止します。

「この人数は……少し疲れるわね……」

その後アクセサリー化したサニーさんを身につけ、選択UCを発動。敵にスピード勝負を挑みます。

「まさか……受けない、なんてことはしないわよね……スピード自慢さん?」

しかし、これは囮。敵の攻撃を【おびき寄せ】、更に<魔法:精神感応>による【催眠術】で味方への警戒心を低下させます。

「トドメは……任せたわ……」



●天道、雷、西風を裂いて
 追い詰められて尚、否、追い詰められているからこそなのだろうか。
 ウインドゼファーの巻き起こす暴風は収まるどころか、蝋燭の燃え尽きる最後の強き揺らめきの如く狂って踊る。
 この西風の門番を打ち破るべく、新たに現れた四つの風破り達に襲うそれも、例外なく苛烈な暴力の化身。
 グリモアの結界を通って現れるや否や、ウインドゼファーの放つ風に飲まれながらも、或る者は風力の流れと重力を偏向させることで流し。
 或る者は太陽石の如き輝きを壁にして真っ向から風を受け止めて。
 或る者は正眼に構えた刀で、形なき空気の圧力を右から左へと受け流しつつ……そしてまた或る者は、エンジンの駆動音を響かせ吹き荒ぶ風の中を崩れぬよう逃げ延びていた。
 初撃の致命傷を避けても尚、ウインドゼファーの暴風は四人を容易く吹き飛ばし宙へと舞い上げていくが――落下の追い打ちが決まってしまう前に。
 術に依りて風力と重力を偏向させて凌いでいた者、イヴ・シュプリーム(かつて滅んだ星の希望・f13592)は、自分も含めたメンバー達を叩きつけられる前に、そして飛散し連携が取れなくなる前に風と重力を歪ませていた。
 まるで見えないクッションが置かれたかのように、その悲惨なる飛散を防ぎ切っていた。
「この人数は……少し疲れるわね……」
「でも、ここで引くわけにはいかないよね!」
 単純に速く、そして強い。
 攻撃を凌ぎ切るだけでも上出来だが、ウインドゼファーとの戦いではそれがスタートライン――太陽石の如き輝きを帯びるサニードロップ・サンライト(太陽の宝石・f18164)は風の追撃が来る前に。
 自らを流れ星を象る装飾品に変えると、イヴの掌に引き寄せられるように乗り。
 すればイヴ自身の時間場と神経、ありとあらゆるスピードが高めに高められていく――それは、サニードロップの力。
 自分が代償を払い内部で呪縛を受けようと。
 自分自身が動けなくなろうと、装備してくれる仲間がいる限りそのデメリットは無視できる――宿させる太陽の輝きは、高めるスピードを光の領域にまで加速し。
「さぁ、スピード勝負だね!」
 サニードロップの激励に押され一対二枚の輝く翼を広げたイヴは時空すらも制するが如き速度を得てウインドゼファーに立ち向かう。
「まさか……受けない、なんてことはしないわよね……スピード自慢さん?」
「我が能力は風。スピードなど副次効果に過ぎぬモノですが……来られるというのなら、私は迎え撃ちましょう。それが門番たる我が矜持」
 イヴの挑発を冷静に受け止めるウインドゼファー……スピードを自慢にしている訳ではないが、立ち向かってくるというなら門番として迎え撃つ。
 光を超え、時空すらも制する速度を持ってくるならば、こちらもまた時空すらも歪める勢いの暴風を解き放つ。
 花の足場をも崩すほどの暴風すらも速度を落とすには至らない――しかし、崩される足場は速度に影響はなく。
 翔けるのが速いか或いは足場を完全に崩し終えるのが早いか――いわゆる一つのチキンレースに陥りつつも。
 装飾品と化したサニードロップが太陽の輝きを放ち、一瞬だけ誘き寄せるように目を向けさせれば。
 イヴの放つ全力の術法が見えない波動となってウインドゼファーの脳髄を響かせ、揺さぶる――だが、それも致命打には至らず。
「ごめんイヴちゃん、もう無理っ……」
「トドメは……任せたわ……」
 今まで時空をも制する速度の反動とダメージを庇い続けたサニードロップからの加護が消え失せて、反撃に放たれた風がイヴをも盛大に吹き飛ばすが――問題ない。
 仕込みは、もう終わったのだから。

 これで残るは後二人――何かしらの術を受けたような気もするが、さしたるダメージには至っていない。
 もしかすれば何かしらの精神に及んでいるのかもしれないが、その前に倒せば問題ない――吹き荒ぶ風の中を、二人乗りのバイクに乗って滑空する二人へとウインドゼファーは視線を移す。
 内一人は脚を負傷し満足に動けないように見えた。
(成程、彼女を庇った、と……敵ながら天晴れです)
 ――尤も、注意深く見ていれば、その負傷がフェイクであることに気付くのは、容易いことだったのかもしれないが、この時彼女は何も気づいていなかった。

 そのバイクのスロットルを回す女、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は初撃で暴風に吹き飛ばされた刀を以て受け流していた少女レン・ランフォード(近接忍術師・f00762)を、仲間の補助もありすんなりと受け止めタンデムに乗せていた。
 そうして吹き荒れる暴風の中を、チャンスを伺いながら翔け、敢て風をも乗りこなすように滑空し、イヴとサニードロップが引き付けている間に距離を取っていた。
 これならば崩れる足場も心配はいらないし、レンを庇っているとより見せかけることも出来た。
「振り落とされないよう気をつけな!!」
「はい!!」
 多喜の激にハキハキとレンは答え、しっかりと自分の身を支えながら手裏剣をウインドゼファーへと投げつける。
 暴風に阻まれ手裏剣が届かないのは不幸だが、逃げ惑う演出には丁度良いし自分が吹き飛ばされないように専念すればいいのは楽だ。
 そのほかの転倒などは、多喜の巧みな操縦が補ってくれるし真空の刃による痛みも各々が耐える備えは持っている――何も、問題はない。
 そうして多喜の後ろに乗りながら、レンは眼鏡のブリッジを押し上げながら戦況の計算を行う。
 初撃から察するに半径は100メートルを下ることはないし、風の速度は光にも匹敵するかもしれない――能力の絶対値の高さ、実に恐ろしきか。
 自分の速度では決して及びもつかないだろうが、一人じゃないのは皆同じ。
 目の前の多喜にやってくれ、と背中を二回指で叩けば彼女は頷き口角を挙げると、アクロバティックに風に乗りながら後方のウインドゼファー目掛けて向き直り。
 同じく目を向けたウインドゼファーに視線の火花を散らしながら、掌に雷を静かに迸らせて。
(いつも囮役になるのはアタシだけど……でも!)
 ここで華々しく決めてみるのも悪くない。
 西風の門番の風が及ぶ前に――出来得る限り、手早く聖なる祝詞を告げて。
「Ashes To Ashes,Dust To Dust,Past To Past……収束せよ、サイキネティック・プリズン!」
 迸る雷もまた、その速度は光――ウインドゼファーの風が放たれるより一瞬だけ早く、雷撃の監獄が門番を逆に閉じ込める。
 風の射程が100メートルを超えようと、多喜の術が及ぶ効果はそれよりも上――その距離を計算したのはレンであり、また離れるに至るのは時間を稼ぎ警戒を薄れさせたイヴとサニードロップがあってのこと。
 苦痛に苛まれながらも、その暴風を以て雷の監獄を曲げんとするウインドゼファー目掛けてスロットルを全開にしながらレンを運び。
「レンちゃん、やっちまいな!!」
 後は彼女に託す――今までの味方の激励と奮戦、無駄にするは出来ない。
 刀のリミッターを全て外し、超科学の結晶による超・高出力を迸らせながらタンデムから飛び降りて翔ける。
「……ッ! まさか」
「如何にも! 騙し討ちで失礼ッ!!」
 迸る輝きを帯びた刀を以て、西風の門番を断たんとするも――暴風で無理やり雷の監獄を逃れ、間一髪でそれを躱す。
 だがしかし――レンは、読んでいた。
「なっ……!!」
 一瞬で手首を返し、放たれる盛大な斬り上げが花々の舞う戦場に巨大な光の柱を作り上げ。
 莫大な熱量に包まれたウインドゼファーは、声なき叫びを挙げてその苦痛に悶えるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ベスティア・クローヴェル
※アドリブ歓迎

風は熱によって発生する
であれば、炎であり、熱そのものである私が勝てない道理はない
さぁ、始めようか。風使い

あのスピードを捉えて、追いつくのは無理
であれば、向こうから近付いてきて貰うしかないか

こちらからは何もせず、攻撃タイミングを「見切る」事に集中
突っ込んできた所で、大剣を盾替わりにして「武器受け」で受け止め攻撃の軌道を逸らす
受け止めて相手の機動力が落ちた所でUC【炎巨神の反撃】を発動させて敵を拘束
パイルを構え、「捨て身の一撃」で「串刺し」にしてカウンターを叩き込む

一度鎖で捕らえてしまえばこちらのもの
原型が無くなるまで殴って、燃やして、消し炭にしてあげる



●風焔
「風は熱によって発生する」
 ぼろ屑に等しい状況になりながらも、その身に纏う暴風は触れただけでも原子に還元されてしまいそうなほど荒れ狂う。
 そんな彼女に声を掛けたのは、静かな中に熱き闘志を秘めたベスティア・クローヴェル(諦観の獣・f05323)だった。
「であれば、炎であり、熱そのものである私が勝てない道理はない」
「……その熱を運び、炎を吹き消す風の私に言うのですか」
 人狼が大剣を構え、門番が旋回する刃を構え。
「言う。そして風は炎を盛らせる。……始めよう、風使い」
「……良いでしょう、炎使い」
 言葉は最早不要――纏う暴風と、命を削る勢いでの飛翔突撃をベスティアは大剣の腹でしっかりと受け止める。
 受けることに専念しなければ逆に吹き飛ばされていただろう、腕の痺れを感じながらも伸ばした炎の鎖が西風の手首を捉える。
「捕えた」
「お互い様です」
 文字通り溶け堕ちるが如き熱に襲われ苦痛に顔を歪めながらも。
 チェーンデスマッチの如く、ベスティアが炎を纏う拳で顔面をめり込ませれば、ウインドゼファーの刃が肩を切り裂く。
「原型が無くなるまで殴って、燃やして、消し炭にしてあげる」
「原型が無くなるまで斬り、吹き飛ばし、微塵にしてさしあげましょう」
 互いに互いの台詞を返し合い、好敵手の如き死闘を繰り広げ。
 旋回する刃が嫌な音を立てて骨を削る苦痛に顔を歪めながら、その腕で西風の刃を受け止めつつ、その身を捨てる勢いで杭打ちを最後に彼女の腹部へと打ち込んだ!!
「御美事です炎使い……名は」
「ベスティア・クローヴェル」
 血を吐き出しながらの問答。
 次第に炎に包まれていく門番の身体――もう助かることもなく、待つのは死のみ。
 それでも……最後のこの好敵を讃えるように。
「ベスティア・クローヴェル。次こそは吹き飛ばします」
「ん」
 崩れた仮面の口元に確かな笑みを浮かべ。
 西風の門番は穏やかに炎に包まれながら、その死を受け入れるのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月20日


挿絵イラスト