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バトルオブフラワーズ⑪〜暴風なりし西風

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ウインドゼファー

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「バトルオブフラワーズの案件です。端的に言いましょう、ラビットバニーの出現が止まりました。皆さんには次なる幹部、ウインドゼファーと戦っていただきたいのです」

 ネオン・エルバイトは少し硬い口調で、猟兵達にそう告げた。

「……ここまで猟兵の方々が戦ってきた幹部とウインドゼファーは少し違います。エイプモンキー、ラビットバニーの双方とも、猟兵に特殊な状況を押し付けその打破が無ければ攻撃が通らないという形でしたが……彼女にはこれまでの幹部のような奇策はありません。
 スペースシップワールドにて銀河帝国との戦いを経験した方であれば覚えがあるかもしれませんね。彼女は"純粋なスペックが高く、それ故に猟兵達の先手を取る"というタイプの敵なのです」

 猟兵のユーベルコードに対するメタを張る技巧のエイプモンキー。
 猟兵の行動を無効とする防御のラビットバニー。
 そして、猟兵よりただ早く、強い。それ故に確実に上回れる攻めのウインドゼファー。
 猟兵達はこの、攻めに対する対抗を持ち込んだ上で彼女を打ち倒すための攻撃を行わなくてはならない。

「幸いにして、敵の先制攻撃は皆さんが持ち込むユーベルコードに対応することがわかっています。そして、ユーベルコードそのものは既に予知され我々猟兵の持つ情報の一つです。敵を知り、そして己を知り、出来そうなことを全力でやる。そのための情報の優位はこちらにあります」

 仲間とともに作戦を立て敵の行動を誘導することも、敢えて隙を見せカウンターを狙う事も……全ては、これから戦う猟兵達の手の内にある。
 無論、強敵だ。相性が悪いなどでうまくいかず苦戦する可能性はある。だが、それを恐れていては世界崩壊の危険を呼び起こす事になる。

「必要なのはきっと、覚悟を決めて飛び込む事です。皆さんの勇気と力を、貸してください!」

 そう言って、ネオンは猟兵達に向けて深く頭を下げた。


碧依
 碧依と申します。よろしくお願いします。
 今回も幹部戦となっております。今回はOPに仕込めなかったのでこちらに必要事項を置きます。

●ご確認お願いします
 敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。


 また、戦争ルールにも追加されていますが幹部戦で必要戦力を上回った成功数は、その半分だけは戦争の撃破目標であるドン・フリーダムの戦力を削りますのでよろしくお願いします。
 ちょっと判定ヒリヒリ目になりますが、皆様のプレイングを思い切ってぶつけてきていただけたら嬉しいです。
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第1章 ボス戦 『スピード怪人『ウインドゼファー』』

POW   :    フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:藤本キシノ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

伊織・あやめ
【ヤド箱】ステラさんと出水宮さんとご一緒に

この戦いはあたしの我儘
「西風の革命」は絶対に阻止してみせる!

WIZ使用
初撃は出水宮さんにかばっていただき耐えしのぐ
自分でも【武器受け】は展開
続く攻撃に入るタイミングを【第六感】で捉えて
隙を見逃さず、ステラさんとともに前に出る
ステラさんの攻撃が当たったタイミングで
【殺気】を放ちながら【捨て身の一撃】でUC【剣術・退紅】
「あなたの好きにはさせない!」
敵のUCを出水宮さんが防げる近接戦に持ち込み
【二回攻撃】で二波も狙う
「この刀で、決めてみせる」

アドリブ歓迎です


出水宮・カガリ
【ヤド箱】ステラと、簪の(あやめ)と

門番に、門が挑むことになろうとは
面白いこともあるものだ

【籠絡の鉄柵】を大きく変形、皆の周囲を囲って先制攻撃に備える
ただの鉄柵ではないよ
【不落の傷跡】【隔絶の錠前】が、竜巻だろうが車輪剣だろうが防いでみせる
初撃を盾受けで受け流した後に、【鉄門扉の盾】を打ち立て【追想城壁】
この城壁の内では、お前の風は凪となろう
追想城壁を展開した後は、鉄柵を解く
攻めの手は二人に任せた
カガリはここで、城壁を維持する役があるのでな、頼んだぞ(鼓舞)
必要ならば、いつなりと壁にしろ
オーラ防御で備えておく
城門とはそういうものだ

門番は、門からちょこまか動くものではないぞ


ステラ・アルゲン
【ヤド箱】あやめ殿、カガリと

3人目の幹部がついに現れましたね
門番だというなら貴女を倒して道を斬り開きましょうか!

先制攻撃はカガリに防いでもらうが
念を入れて【オーラ防御】で強化した氷【属性攻撃】の氷の盾にて【かばう】

隙を見てあやめ殿と共に前へ
あやめ殿より先に【ダッシュ】し【存在感】を出してこちらに目を向かせる

氷への対策はできているか?

【高速詠唱】【全力魔法】で【凍星の剣】を発動し斬って凍結させる
あのタイヤ自体を狙うのは良くない
だから狙うのは軸だ
凍結せずとも氷の【マヒ攻撃】が動きを阻害するはず

敵のUCはカガリが封じてくれる
敵を範囲外に出さないように気をつけよう
攻撃は【武器受け】【オーラ防御】で防ぐ



 システム・フラワーズ。キマイラフューチャーの要であるそこに侵入したオブリビオン達の、大いなるボスを護る最後の門番。
 花で出来た道の上を見据えるウインドゼファーは、その意識を強く持ち自身に繋がる道に何が現れてもすぐ対応できるように身構えていた。

「来ましたか」

 猟兵3名の存在を確認した彼女は、途端にその身のタイヤ全てを高速回転させる!静かな声とは反対にマフラーから大きく熱と空気を吐き出しながら、奇怪な哄笑めいた音を立てる竜巻とともに猟兵達へと高速接近を開始した!
 竜巻が猟兵達におそいかかるその寸前、彼らの周囲を出水宮・カガリの使用する可変式の鉄柵が囲って保護!さらに、一歩前に踏み出すことでカガリの本体でもある鉄門扉の盾がウインドゼファーの振う高速回転タイヤ剣を受け取める!
 散る火花!激しい金属と金属がぶつかる音!それらをモロに感じながらもカガリは焦らず身につける物の力を解放し、振るわれたタイヤ剣を受け流さんとする!

「頼むぞ、カガリ」
「出水宮さん、頑張って……!」

 カガリの背に守られるステラ・アルゲンと伊織・あやめ。彼女たち二人も、それぞれが防御を固めながら、攻撃に転じる機を待つ。
 無論、彼女たちは防御に全てを振り、万全を尽くすカガリが倒れるとは思っていない……それでも、攻撃を続けんとする敵と、その攻撃を一身に受けるカガリを案じぬわけではないのだ。

「門番に、門が挑むことになろうとは。面白いこともあるものだ。さて――都は無く、人は亡く。儚き栄華は荒城と成り果てた」

 鉄門扉の盾でタイヤ剣の力を流しながら、カガリはユーベルコード発動の準備を整える。詠唱の続きを口の中にとどめ、鉄門扉を引き裂かんとするタイヤの勢いに耐え、その背に守る攻め手となる二人を守るため踏みとどまり続ける!
 そして、攻め方を変えようとウインドゼファーがタイヤ剣を振り上げた瞬間をカガリは突いた!

「っ――されど、亡都の扉は此処に在り!  ステラ、あやめ。気を付けて、行って来い」

 カガリは己の頭上をめがけ、強い回転を保持したまま振り下ろされる二振りのタイヤ剣を無視!己がやるべきことだけを見据え、鉄門扉の門を花の道に打ちたてる!
 鉄門扉の盾を中心に城壁の幻影がカガリを中心に放たれ、形成される!さらに、城壁内では猟兵達を刻まんとしていた竜巻とウインドゼファーのタイヤの回転が打ち消されていくではないか!

「なっ……!!」

 猟兵の術中にはまったことに気づくウインドゼファー!
 振り下ろしたタイヤ剣もオーラに阻まれた挙句、畳み掛けるように開放された鉄柵の中からステラとあやめが突撃を開始した!

「門番だというなら、貴女を倒して道を斬り開きましょう!参ります!!」

 あやめよりも前に出ようとダッシュし、構えた盾と声で己の存在を主張するステラ!

「わかっている攻撃など、通しません」

 そのように言うウインドゼファーの思考に真っ向から勝負するかのように、ステラは詠唱すらも内包した力強い一息とともに全力の魔力を乗せて斬りかかる!
 全力の魔法、全てが凍てつく冷気。その一撃を右腕と一体化したタイヤ剣で受けようとしたウインドゼファーだが、ステラはその一撃をタイヤそのものではなくその軸へと向けていた!
 氷結するタイヤ剣!軸が氷により急激に止まり、そして回転が強引に止めたことでウインドゼファーの全身にタイヤ剣を回すはずのエネルギーが逆流!斬撃と別種の衝撃が彼女の脳を混乱に陥れた!

「ひふみよ」

 防御が効かず、攻撃されたという事実の認識すらまだきちんとできていないウインドゼファーの眼前。
 ステラは今いる場所を譲るようにその身を横にずらしていた。
 そしてステラの譲った場所に入れ替わるように……あやめと、彼女の刀の切っ先が前に出る。

「いむなや」

 あやめは、殺気と共に歩みを進める。その刃の先に己の命を乗せた、静かな捨て身の歩み。カガリとステラの作った隙を、するりと一歩一歩進めてゆく。
 切っ先と赤い仮面が、少女の歩みの度に寸を刻むように近づく。

「こともちろらね――あなたの好きには、させない」

 赤い仮面と刀が小さな金属音で交わった。
 刹那、呪術による衝撃波がウインドゼファーを喰らわんばかりに激しく、鋭く放たれる!内から食い破るような呪いと衝撃が、ウインドゼファーの存在を大きく蝕んだ!

「ぐっ?!うあああああっ??!!」

 大きな一撃を喰らった痛みで、ウインドゼファーはようやく正気を取り戻す!
 ユーベルコードで高速化していたはずのタイヤが止まっていることも不味いと見たのか踵を返そうとする彼女に対し、ステラが回り込んだ!

「氷への対策は不全だったようですね。……騎士として、貴女を逃がしません!」
「ならば、排すまで!」

 ウインドゼファーはタイヤ剣をステラに向けて薙ぐ!回転せずとも、強力な腕の振りによって叩きつけられるそれは十分な攻撃となる……が、それが届くより前に城壁の主であったカガリの鉄門扉がそれを阻み、軌道と勢いを殺す!十全な物ではなくなった攻撃を、ステラのオーラを纏った剣が受け流した!

「あたしも、逃がす気はないです!言いましたよね、あなたの好きにはさせないって!」

 ウインドゼファーの死角。
 最も大きな一撃を与えた少女の声が聞こえ、ウインドゼファーは思わずそちらを振り向いた。

「この刀で、決めてみせる!!」

 飛び込み、斬りかかりながらの素早い呪文。あやめの二回目の衝撃波と、それに重ねた斬りつけが、ウインドゼファーに襲い掛かった!

「う、ぐうぅぅぅっ……!!」

 刀傷とその身を犯す呪いに苦しみながらも、ウインドゼファーは全力での離脱を選択!

「待てっ……!!」

 再度追おうとするステラだったが、先に一歩を踏み出してしまえばスピード怪人の名は伊達ではなかった。
 ステラの振った剣の冷気からすら逃れ、氷で止められた以外のタイヤを回して高速を出すウインドゼファー。彼女は、大きく攻撃を喰らったにもかかわらず、カガリの張った城壁の向こうへとあまりにあっけなく姿を消した。

「……門番は、門からちょこまか動くものではないぞ」
「どうする、あやめ殿。追いましょうか?」

 呆れたように言うカガリと、あやめに問うステラ。
 ウインドゼファーの去った方向を厳しい目で見ていたあやめだったが、ふっと力を抜いて笑みを見せた。

「ううん、大丈夫です」
「しかし、あやめは戦いたいのだろう?」

 カガリに言われて、あやめは少し困ったように笑う。
 この戦場に向かうと発案した者はあやめであった。彼女の奥に何があるかはわからないが、カガリとステラはそれを汲んで共に戦ったのだ。

「うん……でも、今追いかけてるのはこっちがきつそうな気がする」
「深追いは、こちらの痛手を招くということですね?」
「そう、それです!……なにより、逃げたってことはちゃんと痛手を与えたって事でしょう?だから」

 言葉を切って、あやめは別の方向を見やる。つられて、そちらに視線を向けるカガリとステラ。
 そこにいたのは、一人の猟兵。戦場に現れたばかりの新たな猟兵と、ヤドリガミの箱庭に属する面々が視線を交わした。

「次の方に交代しましょう。 頼みますね」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

狗飼・マリア
見るからに無鉄砲なオブリビオンには、スピードを殺す方向で攻めてみましょうか。

相手が先手を取るのであれば、POWが偶然補助技なので、
私は【UC:無敵城塞】を【メイド大砲】の大砲の穴の中で使用。

あらかじめ「医術」で【メイドワクチン】を服用しつつ、【メイ毒ポーション】をしみこませた【メイド投網】を体に巻きつけ、

「コミュ力」で相手を挑発しますわ。

「速いのはチーターでも速いですわよ!」
「飛べるのであれば空中でカチ合って勝負を決めようじゃありませんか!」
「自信がないのでしょうか?」

あとはメイド大砲で相手めがけて射出。
「空中戦」「マヒ攻撃」「毒使い」で相手に向かってぶつかります。


アドリブ歓迎ですわ



「ええ、出来る限りのことをしてきますわ」

 帰還する者達を見送りながら、左手にもつ小瓶から怪しげな薬品を飲み、右手で己の身体を網でぐるぐる巻きにしている女性。
 彼女の名は、狗飼・マリア。猟兵であり、これらの行為は明確な作戦行動だ。

 一方、城壁の向こうに新たな猟兵の存在を察知したウインドゼファーは一度息を整える。
 そして、その身に荒れ狂う風を纏い、スピードに向けた欲望を己の中で強く掻き立てながらの急速前進!
 城壁の幻影を散らし、花の道を旋風めいて巻き上げながら先制攻撃!固い衝撃が互いの間に幾度も走る!!
 が、猟兵はユーベルコードにより無傷!……という事を理解したあたりで、ウインドゼファーの動きが止まる。

「……なんですか、あなた」
「ふふふ、見ての通り猟兵ですわ」

 オブリビオンであれば猟兵かどうかは見ればわかる。
 それはそれとしてマリアが……人間大砲に詰まって頭部だけを露出しているメイドが、奇怪なことに変わりはない。

「ところで怪人さん?速いのはチーターでも速いのですけれど、その風はエフェクト専用でしょうか?」

 奇怪な相手から受けた不意の挑発が、不可思議なまでにウインドゼファーの癇に障った。

「風を操るのに走ってきて殴るばかり……折角ですし、飛べるのであれば空中でカチ合って勝負を決めようじゃありませんか!」

 マリアはコミュ力を逆用する。ウインドゼファーの心を挑発で、空中戦での直接戦闘へと向かわせる。

「本当に速ければ、空中で相手を叩き落せるはず……ここまで説明しても納得しない?もしや、自信がないのでしょうか?」
「いいでしょう、5秒後に、空中で叩き落としてあげます!」

 言うや否や、ものすごい勢いでウインドゼファーは距離を取る!
 マリアも、頃合いを見計らいメイド大砲を起動し砲身から己を射出!!……だが、それは万全の威力を発揮しなかった。
 先の攻撃の最中、マリアはユーベルコードにて己を護っていたがメイド大砲は違う。そう、メイド大砲に入れられた衝撃がここに来て影響を及ぼしたのだ!

(こうなっては打ち負かすことはできませんが、後に繋げるだけ繋げていきましょう)

 空中で、暴風そのものと化した怪人に叩き落されるマリア!しかし彼女は、自身に巻きつけていた網を怪人に絡ませることに成功した!
 それは、以前の戦争の際に得た、オロチウイルスを参考とした毒、メイ毒をしみこませたもの!そして、自身が毒対策に飲んでいた万能薬を、相手は持たない!
 この事が後の猟兵のための布石となることを信じ、花の道に埋まったマリアはシステム・フラワーズを去っていった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ルパート・ブラックスミス
青く燃える鉛の翼を展開。
普段は他の用途にも併用する燃える鉛、今回は全て翼の形成と強化に回す。(【武器改造】)

翼で敵の暴風は熱風【属性攻撃】防御、崩壊する足場から飛翔、【空中戦】を挑む。

暴風の流れを【見切り】、【怪力】込めた大剣を【投擲】。
直接当たらずともこの大剣で奴の暴風を切り裂き、その間隙と死角を縫って、同時に投擲したUC【命を虚ろにせし亡撃】を込めた短剣三本を当てる。(【フェイント】【物を隠す】【誘導弾】)

最低限当てるべきは身体の自由を封じる第一撃ないし思考を封じる第三撃。
どう転ぼうと残るは鋼の五体のみ。【覚悟】決め、敵が自由を取り戻す前に【捨て身の一撃】を叩き込む。

その西風、乗り越える。



 飛翔する怪人は、次なる猟兵の気配を感じ下方を見る。上空の白い旋風を見上げていたのは、黒鎧の猟兵。ルパート・ブラックスミスであった。
 目を表に出さぬ互いの視線が交差することを感じ、それを合図に空気が一対一の戦闘の物へと切り替わる!
 ウインドゼファーは絡まった網を乱雑に引きはがしながら、先ほどまでとは別種のユーベルコードを発動しつつ着地!途端に彼女を台風の目として、それ以外のすべてを巻き込む強風の大渦が発生する!

「無論、そう来ることはわかっていた」

 ルパートは流れ燃える鉛で翼を形成し、己が足下の最後の花弁に力を込めて飛び立つ!
 彼を切り刻まんとする花弁は鉛を溶かす熱で落とし、さらには暴風を炎によって変じさせ、翼で受けとめ味方とする!
 飛び続ける方法を確立し、大剣を見せつけるように構えるルパート!それに対し、ウインドゼファーは大きく声をあげた!

「私の風は収まりません!この風は、この速さは、無限の欲望を飲み込むのだから!!」

 攻撃になど転じさせぬとばかりに、より激しくなる暴風!が、これまでの戦いの疲弊のせいかその暴風にわずかに隙が混じる――その幽かな無風の道筋を、ルパートは見逃さなかった。

「自分達猟兵が、それを止める――我望むは命満ちる未来。されど我示すは命尽きる末路!」

 静かで力強い声と共に、大剣を投擲!
 渾身の怪力によって投げられた大剣は、暴風を切り裂きながらウインドゼファーに迫る!
 届く直前、大ぶりな攻撃でそれを叩き落とすウインドゼファー!――が、それに続くように、彼女に突き刺さる短剣!その数、三つ!!!

「ぐうっ??!!」

 大剣により暴風から守られ、ウインドゼファーの視界から逃れたその三つの短剣こそがルパートの本命。敵の攻撃を封じる、命に作用する呪い――それを、短剣と共にウインドゼファーの内に撃ち込んだのだ!
 全てを封じられたがために解除される怪人のユーベルコード!勢いを落とす暴風!
 強敵故、どこまでその状態が持つかはわからないが、この機に叩き込む全力の覚悟をルパートは既に備えている!

「その西風、乗り越える」

 暴風の残滓を切り裂くようにルパートは封じられた怪人の元に飛び込み……鋼のその身こそを最後の武器とした突撃が、成立する!

「ああぁあぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 ウインドゼファーの悲鳴と、激しい金属音が響く!!大きな痛みと、封じられる苦痛に悶える怪人!!
 一方、ルパートは無事!……だが、命を懸けた一撃の代償が、大きな疲労となって彼に襲い掛かる。後に続くものが居ないのであれば不利を覚悟で続けただろうが……その必要は無い。

 戦場に新たにあらわれた猟兵と、ルパートが視線を交わす。
 小さくうなずきあった後、ルパートはこの戦いを次の者に託した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルク・フッシー
し、死にたく…ない…でも、誰かが傷つくのは、もっと…イヤです!

竜巻と剣は、精一杯の【オーラ防御】と【武器受け】で防ぎます…痛みは…【覚悟】して!突っ切るしかない!
敵の武器とボクの大筆がぶつかったタイミングで、【花宴描画】を発動、酸【属性】の塗料を収束させてぶつけます
普通に撃っても弾かれるだけでしょうけど、近い距離でならその前に当てられます…!
彼女は見た感じ、サイボーグやそれに近い存在、その金属の身体を腐食させる事が狙いです

負けられない…負けられないんです!この世界には…ボクの、友達だって、いるんですから…!



 ルク・フッシーは恐怖を感じながらも、それでも前に進むのだという気概でこの場に来た。
 逃げるつもりは最初からない。しかし、それでも去って行く猟兵との僅かな交流に勇気づけられ、涙目ながらもしっかりと前を見る。
 戦うべき相手が立ち上がり、ルクに声をかけてきた。

「……何もせずにお帰りくださいませんか?死にたくはないでしょう?」

 次第に高速回転に近づいてゆくタイヤと剣を見るに、それは交渉ではなく脅しであるとルクにも明確に理解できた。
 それでも、ルクは武器を構え、拒絶する。

「……し、死にたく……ない……です。……で、でも!誰かが傷つくのは、もっと……イヤです!」

 ルクの言葉の終わりが聞こえたかもあやしいタイミングで、ウインドゼファーが突進を開始! 
 片方の不調のためか竜巻は発生していないが、それでも猟兵への敵意をスピードへと変換し、その速さを威力として向けてくる!!
 ルクも、己の張れる限りの全力でオーラの防御を展開!さらに攻撃を受け止めるべく武器を前へと突きだした!

「喰らええぇぇぇぇーーーーーッ!!!」
「負けられない……負けられないんです!この世界には……ボクの、友達だって、いるんですから……!」

 大きく振るわれる回転の力!痛みは覚悟の上で、狙った通りに受けるため前へと進むルク!
 絵筆とタイヤ剣が激しくぶつかり、激しい音と共に絵筆の軸が揺さぶられ……そこでルクのユーベルコードが発動!
 攻撃を受け止めたはずの巨大絵筆が砕け散るように塗料で出来た花弁――それも、酸属性を付与されたものとなって、ルクとウインドゼファーの間を埋め尽くす!

「…………!!」
「なっ?!」

 遠距離であればウインドゼファーに逃れられるなりしていただろうが、ルクの覚悟により至近距離でのユーベルコード発動が成功!
 無論、花弁から逃れようとするウインドゼファー!しかし、花弁を散らす竜巻を呼び起こそうと回転を強引に強めたことで、右腕の固まった車軸が損壊!故障の衝撃が内部の呪いと毒を呼び起こしウインドゼファーの足を止める!

「逃がし……ませんっ!!」

 収束し、ウインドゼファーにぶつかってゆく花弁!そのうちの少なくない量がヒビから内側へと侵入を果たし、酸属性の花弁はウインドゼファーを内と外の両面から腐食させてゆく!

「ぐっ、うぅぅっ??!!!こんな、こんな事が!!こんな事があっていいわけがあぁぁぁぁぁーーーー!!」

 これまでの戦い全てが実を結び、ルクの覚悟がとどめとなって、ウインドゼファーと世界との繋がりを消してゆく!
 ほどなく色鮮やかな花弁の中で恨みの叫びは断末魔に変化し、それと共にウインドゼファーの姿は世界から拭い去られるように消えていった。

 ――暴風は去った。その事実に安堵の息を吐いて、ルクもその場を去る。
 残されたシステム・フラワーズの花弁たちも、また新たな道を作るべくシステムの中を軽やかに巡っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月23日


挿絵イラスト