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バトルオブフラワーズ⑪〜全てを食らい、全てを越えろ

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ウインドゼファー

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●風を駆る門番
「ラビット・バニーの撃破、お疲れ様ね。ここまでは、順調に進んで来れたって感じかしら?」
 だが、それでも戦いは、未だ予断を許さないと、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)はグリモアベースに集まった猟兵達の前で、気合いを入れ直す仕草をしつつ話し始める。
 次なる敵は、スピード怪人『ウインドゼファー』。見た目からは分かり難いが、ラビットバニー同様、女性の幹部怪人だ。
「今までの二人と違って、ウインドゼファーは特に変わった能力を持っていないみたいね。要するに、純粋な戦闘になるってわけだけど……それでも、相手が幹部怪人である以上、油断は禁物よ」
 ウインドゼファーは物質創造や無敵バリアのような特殊能力こそ持たないが、風の怪人だけあって、とにかく速い。そのスピードは猟兵達に先手取ることを絶対に許さず、反対に相手の使って来る技に対して、必ず先手で強力なユーベルコードによる先制攻撃を仕掛けて来る。
 なんだよ、やっぱりチートじゃねぇか。どこからか、そんな声が聞こえたような気もするが、それはそれ。相手は幹部怪人なのだから、そのくらい強くて当たり前だ。
「攻撃を防ぐにしても、避けるにしても、とにかく先制攻撃への対策なしに勝てる相手じゃないと思うわ。その後も戦い続けることを考えると、先制攻撃だけなんとかすれば、必ず勝てるってこともないわよね、きっと……」
 敵の攻撃は、直撃を食らえば問答無用でKOされ兼ねない程に強烈だ。何らかの対策を講じても、完全に防げるという保証もない。それでも、先制攻撃の直撃を食らって一発KOされない対策を考えねば、そもそもダメージさえ与えられずに敗北するのが関の山。
「強敵だけど、変な特殊能力使って来ないだけ、サルやウサギよりは戦い易い人もいるかもね」
 先制攻撃さえなんとかすれば、後は純粋な戦闘力勝負。敵のスピードは恐ろしく速いが、それでも戦い方次第では、決して勝てない相手ではない。
 この先に進むためには、門番である彼女を倒す以外に道は無い。そう言って、パトリシアは猟兵達を、ウインドゼファーの待つシステム・フラワーズの内部へと転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺・音弥です。
 いよいよ、3人目の幹部怪人が姿を現しました。
 今回の相手は、怪人軍団の幹部の1人、スピード怪人『ウインドゼファー』です。

●戦争シナリオについて
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「バトルオブフラワーズ」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオです。
 このシナリオの戦場は『⑪スピード怪人『ウインドゼファー』』になります。

●先制攻撃について
 敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。

●ウインドゼファーについて
 青丸が一定数以上溜まればシナリオはクリアになりますが、この戦場の戦力が残っている限り、ウインドゼファーは即座にエリア内の別の場所に復活します。

●判定について
 強敵相手なので、判定はシビアに行います。
 失敗や大失敗での返却になることもありますので、結果としてシナリオが失敗に終わる可能性もあります。
 また、連携を希望される方は、連携を行う仲間が分かるように記載されていない限り、連携プレイングとして扱いませんので、ご了承ください。
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第1章 ボス戦 『スピード怪人『ウインドゼファー』』

POW   :    フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:藤本キシノ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

レクス・マグヌス
【心情】
速い!?
これが幹部怪人の実力……いや、だけど僕だって負けるわけにはいかない!

【戦闘】
ウインドゼファーの速さは武器であり防具だ
だけど、隙は必ず存在するはず

ユーベルコードで召喚した下僕を全力で防御に回し、ウインドゼファーの攻撃を観察する
防御には「生命力吸収」を使用

そして、相手の攻撃が止まったタイミングで、「力溜め」から自身の攻撃を叩き込む
この一撃が致命打にならなくても、ウインドゼファーの動きを鈍らせ、寿命を数秒削れるなら悪くはない

「そこまでの速さをものにした貴女の欲望は、むしろ尊敬に値する。だけど、僕にはいずれ国を再興する欲望がある。王の願い、そう破れると思うな!」



●欲望を食らう疾風
 システム・フラワーズの中枢へと繋がる花弁の回廊。そこを舞う無数の花弁は、降り立った疾風の化身によって、荒々しくも美しい花吹雪へと様相を変えていた。
「あなたが最初の相手ですか? しかし……門番として、何人たりとも通すわけには行きません」
 多数の刃が付いた車輪剣を手に、ウインド・ゼファーはレクス・マグヌス(嵐をもたらすもの・f07818)の前に立ち塞がる。いざ、目の前に対峙してみると、その存在感と威圧感は圧倒的だった。
(「ウインドゼファーの速さは武器であり防具だ。だけど、隙は必ず存在するはず……」)
 あのスピードに対抗することは不可能でも、せめて動きが止まった一瞬の隙を突いて、一撃を食らわせることができれば勝機はある。覚悟を決め、花の回廊を一歩踏み出そうとしたレクスだったが……しかし、次の瞬間、凄まじい風が巻き起こると同時に、ウインドゼファーは彼の目の前から姿を消していた。
「どうしました? 私はここですよ?」
「……なっ!?」
 後ろから声がしたことで、レクスは思わず振り返る。見れば、いつの間に移動したのか、ウインドゼファーは余裕で彼の後ろを取っていた。
(「速い!? これが幹部怪人の実力……。いや、だけど、僕だって負けるわけにはいかない!」)
 震える拳を握り締め、レクスは改めてウインドゼファーと対峙する。
 先程のは、あくまで力量差を知らしめるための見せ技だろう。だが、ここから先は、相手も遠慮なく本気で仕掛けて来るはず。
「そこまでの速さをものにした貴女の欲望は、むしろ尊敬に値する。だけど、僕にはいずれ国を再興する欲望がある。王の願い、そう破れると思うな!」
「いいでしょう。ならば……その欲望ごと、私は全てを喰らい尽くすまでです!」
 互いに睨みあう両者。もはや、この戦いに言葉は不要。ウインドゼファーの足が花弁の回廊を離れた瞬間、レクスもまた自らの下僕を呼び出すために呪文を紡ぐ。
「災厄を呼べ! その名は……」
「……遅い!」
 だが、レクスが詠唱を終えるよりも早く、全身のタイヤを高速で回転させたウインドゼファーの車輪剣が、凄まじい竜巻を伴いレクスの身体を斬り刻んだ。
「……ぐは……っ……」
 気が付けば、天地が逆転し、レクスはその身を花弁の床へと叩きつけられていた。
 いったい、何が起きたのか。あまりの速さに、頭の回転が追い付かない。腹部に広がる熱い感触。激しく痛む身体を叱咤して手を伸ばせば、彼の指先を生温かい液体が紅く染めた。
「甘いですね。あなたのスピードで、私より先にユーベルコードを使用できると思いましたか?」
 気が付けば、まるで何事もなかったかの様子で、ウインドゼファーがレクスのことを見降ろしていた。
 目の前の敵は隙だらけ。攻めるなら今しかないのだが、しかし身体が動かない。
 ウインドゼファーは、猟兵達がユーベルコードを使うよりも速く、必ず先制攻撃を仕掛けて来る。その先制に対し、ユーベルコードを使って防御しようとすれば、何もできないまま一方的に攻撃を食らうのは当然だ。
 相手の攻撃よりも先に、自分がユーベルコードを使うことはできない。それを失念していたレクスが受けた傷は、思いの他に深かった。
 それでも、自らの身に生命吸収の力を纏うことで反撃になればと考えていたが、ウインドゼファーは全身のタイヤを回転させることで、相手の攻撃も軽減する。その結果、頼みの綱である生命吸収でさえも、ウインドゼファーには蚊が刺した程度の痛みしか与えられていなかった。
「あなたの内に秘めたる王としての欲望。それに免じて、今回のところは見逃してあげましょう。あなたとて、己の悲願も果たさず、このような場所で朽ち果てるつもりはないのでしょう?」
「……くっ……」
 歯噛みしつつ、辛うじて立ち上がるレクス。深手を負った今の身体で、次の攻撃を食らえば本当に命が危うい。
 敵に情けを掛けられることは不本意だったが、それでも彼とて、こんな場所で命を捨てるつもりはなかった。スピード怪人・ウインドゼファー。風を操る門番の力は、想像以上に厚い壁となって、猟兵達の前に立ち塞がっていた。

失敗 🔴​🔴​🔴​

館野・敬輔
【SPD】

とうとうここまで来たか
小細工なしのシンプルな勝負…だがスピード勝負では分が悪いな
最初の一撃は何としてでもしのがないと

初撃はウインドゼファーの挙動をよく観察し
暴風発生の前兆を見逃さないようにした上で
【絶望の福音】+「見切り」で回避を試みる
回避不能なら「オーラ防御、武器受け、激痛耐性」で軽減を

暴風で崩れた足場を「地形の利用」で把握しつつ飛び移りながら「ダッシュ」で接近
「2回攻撃、怪力、生命力吸収、マヒ攻撃、鎧砕き」で黒剣を叩き込む
もし近接攻撃をするようなら「カウンター」で反撃

僕程度の力ではおそらく露払いにしかならないだろう
だが、これで後続に繋げられれば、それでいい



●思いを乗せた切っ先
 スピード怪人・ウインドゼファー。彼女の武器とする凄まじいスピードは、確かにエイプモンキーやラビットバニーの特殊能力と比べても、随分と単純で地味なものと言わざるを得なかった。
 だが、単純だからこそ、それ故に強力無比な能力でもある。どう足掻いても先手を取られてしまう以上、彼女がこちらに仕掛けるよりも先に、攻撃を相殺したり罠を仕掛けたりすることが、ほぼ不可能な状況だからだ。
「とうとうここまで来たか。小細工なしのシンプルな勝負……。だが、スピード勝負では分が悪いな」
 ウインドゼファーを前にした館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)も、それは十分に理解していた。自分の速度では、どうやっても彼女に敵わない。ならば、せめて一撃でも食らわせることで、少しでも後続に繋げられれば悔いは無い。
 狙うは、敵の身体から風が放たれる一瞬だ。そこを見切って、確実に反撃を叩き込めれば勝機はあると……そう、思っていた敬輔だったが、甘かった。
(「……っ!? 避けられない!!」)
 絶望の福音。それは、時に未来さえも見透かしたかのような挙動で、対象の攻撃を察知して避ける技。
 だが、それでもユーベルコードである以上、ウインドゼファーの攻撃よりも先に、発動させることは不可能だ。福音が未来を見せた瞬間、防風はウインドゼファーを中心に花弁の足場を吹き飛ばしつつ、一瞬にして敬輔の目と鼻の先まで迫っていた。
「ぼ、防御を……っ!」
 慌てて身構え、持てる全ての技術を駆使して暴風の衝撃に耐える敬輔だったが、しかし先にユーベルコードの使用を試みた結果、ほんの僅かだが反応が遅れた。その結果、急所への直撃こそ免れたものの、彼の身体も少なくないダメージを受けていた。
(「くそっ……まだだ……! まだ、こんなところで……!!」)
 崩壊する花弁の床と共に落下しながら、それでも敬輔は懸命に歯を食いしばり、痛みに耐える。この程度で、一撃も入れられないまま終わるつもりはない。その意思が、決意が、彼に最後の力を振り絞らせ。
「……今度は……こちらの番だ……!」
 空中で身体を捻って受け身を取ると、周囲に散らばる花弁を足場に、一気呵成にウインドゼファーの待つ回廊へと駆け上る。そのまま、あらゆる技能を乗せた黒剣を振り上げ、敬輔は真正面から振り下ろした。
「……その程度ですか?」
 だが、そんな渾身の一撃さえも、ウインドゼファーは軽々と避けてみせた。ならば、もう一撃だとばかりに返す刀で斬り上げる敬輔だったが、それさえもウインドゼファーは容易に避けてみせ。
「どれだけ力を上乗せした攻撃でも、私の速度に追い付けなければ意味はありませんよ。……さあ、お逝きなさい」
 再び全身から防風を放ち、敬輔のことを吹き飛ばす。さすがに、二発目を耐えることはできず、敬輔は健闘虚しくシステム・フラワーズの回廊から弾き出されてしまった。
「猟兵……どれ程の者達かと思えば、この程度ですか。やはり、私のスピードに追い付ける者など、誰も……っ!?」
 そこまで言って、ウインドゼファーは思わず言葉を切った。違和感を覚え、仮面に手をやると、仮面の一部が欠けていたのだ。
 彼女は防御に手を抜くことはしていない。それにも関わらず、仮面の一部が欠けていたということは、即ち敬輔の黒剣の切っ先が、僅かながらもウインドゼファーの身体を捉えていたということに他ならず。
「なるほど……これが猟兵の力ですか。先程、言おうとしていた言葉は、訂正しましょう」
 仮面の奥で苦笑しつつ、ウインドゼファーは頬の傷を撫でながら呟いた。
 己の意思を強く持つことで、時に限界以上の力を発揮する戦士達。その強さに改めて敬意を払いつつも、しかし自らもまた決して退かぬという姿勢を貫いて、ウインドゼファーは次なる猟兵を待ち受ける。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

トルメンタ・アンゲルス
※アドリブ歓迎。『』内はベルトの音声

速さ。
実に良い物です。
速さは何物にも勝る。
どんなに硬いものでも速さを一点に集中させれば砕け散る。

でも、貴女の速さでそれが出来ますかね?


相手が暴風を放つと同時にその規模を第六感で見切り、残像を残すほどの早業ダッシュとジャンプで回避しますよ。
空中でも、スマッシュ・エアで自在に駆けますとも。

回避しながらArmsExtend発動!
『Buildup――Thorhammer』
右足を「蹴り」に特化した強化装甲へと変異。

そして、俺の全力の速さをお見せしましょうか!
HyperDrive!
『Full Throttle――』

光速で移動しながら、無数の飛び蹴りを叩き込みます!



●光を越えて
 速さ。それは単純ながらも、しかし同時に最強の武器でもある。
 ウインドゼファーの強さは、その圧倒的なスピードから来るものだ。どれほど強力な技を持っていようと、先に仕留められてしまっては意味がない。アドバンテージは、常に先手を制する者が握っている。だが、それを知っているからこそ、トルメンタ・アンゲルス(流星ライダー・f02253)はウインドゼファーに勝てるという自信があった。
「速さ……実に良い物です。速さは何物にも勝る」
「あなたは、分かっているようですね。では、大人しく退き下がりなさい。命を無駄に散らす必要もないでしょう?」
 道理を弁えているなら、勝機が無いこともまた知っているはずだろう。今ならば無傷で見逃してやると告げるウインドゼファーだったが、しかしトルメンタに撤退の二文字はない。
「どんなに硬いものでも速さを一点に集中させれば砕け散る。でも、貴女の速さでそれが出来ますかね?」
「……それは、私への挑戦と受け取ってよろしいですね?」
 言うが早いか、ウインドゼファーは全身から凄まじい威力の風を放って来た。それは花弁の床をも巻き上げ、まるで古びたタイルかコンクリートを剥がすように、強烈な衝撃を伴いトルメンタへと襲い掛かる。
(「……避けられないっ!?」)
 咄嗟に上空へ飛翔したトルメンタだったが、それでも風は、空に逃げた彼女の身体さえも巻き上げ、激しく揺さぶり振り回す。ウインドゼファーの放つ風は、彼女を中心とした特定の半径内を、情け容赦なく吹き飛ばすものだ。当然、空中とて例外ではなく、そのスピード故に走って飛ぶだけでは全てを避けることなど不可能だ。
 しかし、それでも空は、トルメンタの得意とするフィールドでもあった。身体を強引に捻り、体勢を整えたところで、彼女は空を駆け反撃に入る。
『Buildup――Thorhammer』
 右足を蹴りに特化した強化装甲で覆い、そのままブチ抜くつもりだろうか。いや、それだけでは、超絶的なスピードと反応速度を誇る、ウインドゼファーを捕まえられない。
「俺の全力の速さをお見せしましょうか! HyperDrive!」
 敵の速さに対抗するには、自分も命を懸ける必要がある。それを知っていたからこそ、トルメンタはコアマシンのリミッターを躊躇うことなく解除した。
『Full Throttle――』
 輝く流星と化した彼女の身体は、もはや何者をも追い付けぬ境地へと達する。風の速さは、せいぜい音を越える程度。だが、今の彼女が越えるのは、音の速さの更に先の先にある場所だ。
「……消え……っ!?」
 ウインドゼファーが瞬きをした瞬間、彼女の身体を強烈な衝撃が襲った。それは四方八方から何度も続けて彼女の身体を打ち据えたが、しかしウインドゼファーがそれらを複数回の攻撃と理解することはできなかった。
 トルメンタが到達したのは、光の速さ。その境地に達すれば、もはや時間の流れさえも通常のものとは異なって来る。
 視認どころか、存在を認知することさえできない状態。ウインドゼファーからすれば、時を止められた上で攻撃を食らったようにも感じたことだろう。
「……がはっ!!」
 あらゆる方向から叩き込まれた蹴り技の衝撃を纏めて受け、さすがのウインドゼファーも膝を突いた。だが、装甲がひび割れ、かなりのダメージを負っているにも関わらず、それでも彼女は倒れなかった。
「……なるほど。私は風……しかし、あなたは光……。それでは、あなたの方が速いのは道理ですね……」
 光の尾を引きながら着地したトルメンタに、ウインドゼファーは仮面の奥で苦笑しつつ言った。見れば、さすがに肉体への負担が大きかったのか、トルメンタもまた肩で息をしている状態だった。
「ですが、二度目はありません。あなたが次に加速するよりも先に……私の風が、今度こそあなたを吹き飛ばします」
 その消耗した身体では、二発目の防風に抗うことは不可能だろう。果たして、ウインドゼファーの読みは正しく、トルメンタにもまた仕掛けるだけの余裕はなかった。
 もっとも、今はそれで構わない。装飾が崩壊し、胸の装甲に亀裂の走ったウインドゼファーの姿は、トルメンタの攻撃が少なくないダメージを与えたという、なによりの証拠と言えるものだったから。

成功 🔵​🔵​🔴​

煌燥・瑠菜
今度は風使いですか……精霊術士として、風を使えるのはあなただけではないと教えてあげましょう!

先制攻撃はちょこまかと逃げ足で動き回りフェイントをかけ時間稼ぎし
見切り、第六感、野生の勘でギリギリで回避!場合によっては武器受け!痛いのは気合いで耐えます!

その後、敵が逃げ回る私に痺れを切らしてきたら
杖と魔導書を手に攻勢に出るため超強そうな術を唱える……フリをします。
相手からしたら詠唱中なんて隙だらけですからね、術発動前に接近戦でトドメを刺しに来るでしょう。……そこが最大のチャンス!
私の残像を切り裂いた瞬間、早業、力溜め、怪力を乗せた渾身の蹴りを食らわせてやります!

私、実は力技も得意なんですよっ!



●風雷、激突す
 猟兵達との死闘を経て、ウインドゼファーにも徐々にダメージが蓄積し始めていた。
 この機を逃せば、再び彼女へ付け入る隙を与えてしまう。ならば、それをさせぬためにも一気呵成に攻め立てねばと、続けて挑んだのは煌燥・瑠菜(続き綴る御噺の欠片・f02583)。
「今度は風使いですか……。精霊術士として、風を使えるのはあなただけではないと教えてあげましょう!」
「ほう……そちらも風を使うというのですか? ならば……同じ風でも、私の方が一枚も二枚も上手であると、その身を以て教えてあげねばなりませんね」
 力の源が同じであれば、その量と質が上回る方が勝つのは道理。二振りの車輪剣を高速で回転させつつ、ウインドゼファーは瑠菜へと斬り込んで来る。
「……っ! 速……」
 いきなり間合いを詰められて、瑠菜は思わず飛び退いた。後少し反応が遅れていたら、今頃は致命傷を負わされていたはず。
「まだ、終わりませんよ。どこにも逃げ場などないのです!」
 続くウインドゼファーの攻撃は、車輪剣より放たれる凄まじい竜巻。それは、まるで瑠菜のことを嘲笑うかのような音を立て、彼女の足元や肩先を抉る。
(「竜巻では、さすがに武器でも受けられませんね。ですが、このままでは……」)
 逃げ回るにしても、広範囲を纏めて吹き飛ばせる竜巻を使われては、完全に避けることは難しい。だが、下手に間合いを詰めてしまえば、自分が反撃するよりも先に、相手の剣が情け容赦なく肉を抉ることだろう。
 なんとかして、間合いを詰めた上で相手の隙を誘わねば。それには、自分から距離を詰めるよりも、相手から距離を詰めてもらった方が良い。
「どうしたのですか? 同じ風使いとして、私と勝負するはずでは?」
「ええ、そうですよ。今から、私の究極の奥義を見せてあげましょう」
 本当の勝負は、ここからだ。杖と魔導書を手に、瑠菜はあたかも呪文を唱えるような仕草をして見せた。
「させませんよ!」
 魔法攻撃の欠点は、詠唱中は隙だらけになること。当然、ウインドゼファーもそこを突いて来たのだが、しかしそれこそが瑠菜の狙い。
「……なにっ!?」
 車輪剣が振り下ろされると同時に、瑠菜の姿が霞の如く消えた。いや、霞ではなく、それは風の精霊が見せた残像だ。
「さあ、お返しですよっ!」
 続け様に放たれる瑠菜の蹴り。その爪先が纏うは、風ではなく雷。持てる全ての力を込めた強烈な一撃は、タイヤを高速回転させて身を守るウインドゼファーの身体でさえも、凄まじい衝撃と共に吹き飛ばしてみせた。
「私、実は力技も得意なんですよっ!」
 こちらの技が、魔法だけとは言っていない。相手の先入観を利用した、まさしく理想的なカウンターだ。
「……なるほど、これは油断していましたね」
 未だ身体に纏わり付く稲妻を振り払うようにして、ウインドゼファーが立ち上がる。当面の間、彼女は満足に動くこともできないはず。確かに、普通のオブリビオンであれば、そうだろう。
「ですが……私を倒すには、少しばかり浅かったようですよ」
 左手に握られた車輪剣を杖代わりにして、ウインドゼファーは早くも調子を取り戻しつつあった。作戦だけなら瑠菜の戦い方は完璧と言って良いものだったが、幹部怪人としての高い力量で、ウインドゼファーは瑠菜の蹴りに耐えてみせたのだ。
「同じ手は……さすがに、二度は通用しませんよね?」
 苦笑しつつも、瑠菜は退き時だとばかりに後退する。こちらの手の内を晒してしまった以上、敵も次は黙って蹴りを食らってはくれないだろう。
 ここから先は、次なる猟兵に任せよう。ウインドゼファーが未だ完全に動きを取り戻していないことを幸いに、瑠菜は花弁の回廊から撤退した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミニョン・エルシェ
欲望を失えば停滞。しかし、欲望に呑まれれば滅び。
…匙加減とは、難しいものです。

【戦闘】
兎に角、先ずは相手を観察し、最初の一撃を凌ぐこと。
【第六感】【野生の勘】を使用し、相手の纏う風の流れから、
相手の攻撃が来る方向を予測。
【武器受け】で防御姿勢を取りつつ、相手が触れた瞬間に【逃げ足】【空中戦】で自ら跳び、衝撃を出来る限り抑える事を狙います。

そして、【カウンター】として、【捨て身の一撃】で「木菟ノ凶爪」を起動。
相手の攻撃が当たった一瞬だけは、確実に、この素早い強敵を視界に収められますから。
鎗の一撃、そして渾身の二撃目を加えます。

貴方の「速さ」の世界も魅力的なのでしょう。
だけど、私の世界も譲れない。



●譲れない世界
 圧倒的なスピードを武器に、ウインドゼファーは猟兵達を次々と退ける。
 これまでの戦いで、彼女の身体にも少なくないダメージが蓄積していた。だが、それでも彼女のスピードが衰えることはない。もっと速く。誰よりも速く。そう願う心だけで、彼女は風も音も越え、弾丸よりも速く走ることが可能なのだから。
「欲望を失えば停滞。しかし、欲望に呑まれれば滅び。……匙加減とは、難しいものです」
 そんなウインドゼファーを前にして、しかしミニョン・エルシェ(木菟の城普請・f03471)は驚くほどに冷静だった。
 かつて、この世界の人間達は無限の欲望に突き動かされ、それを制御することなく怪人として世界を破滅させてしまった。だが、彼らの築き上げたシステムがなければ、今のキマイラ・フューチャー世界が存在しないのも、また事実。それを知っているからこそ、怪人達の言う『欲望』を、前面から否定する気にはなれなかった。
「匙加減……確かに、あなたの言う通りなのかもしれませんね。ですが、今はもう、そんなことはどうでも良いのです」
 ドン・フリーダムがシステム・フラワーズを取り戻せば、全ては終わる。そして、その時こそが、怪人達が全てを手に入れる時なのだと、ウインドゼファーは確固たる自信を以てミニョンに告げた。
「話は終わりです。さあ……私のスピードを、捉えることができますか?」
 全身に凄まじい防風を纏い、ウインドゼファーが花弁の床を蹴る。瞬間、彼女の姿はミニョンの視界から消え去ったが、しかし殺気までは消えていない。
(「兎に角、先ずは最初の一撃を凌がなければなりません……」)
 全身の感覚を総動員して、ミニョンは敵が仕掛けて来る方向を探った。風の流れだけではない。ほんの些細な空気の流れ、花弁の舞い散る音の変化さえも見逃さないように。
「……っ! 上から!?」
 しかし、よりにもよってウインドゼファーは、真上からミニョンに斬り掛かってきた。完全に裏を欠かれ、逃げ場を封じられた状態だ。
「遅いっ!!」
「……くぅ……」
 咄嗟に槍で受け止めるミニョンだったが、それでも敵の繰り出す車輪剣は二振りもある。一撃目は辛うじて弾き、急所への直撃を防いだものの、続く二撃目は避けられず、大きく肩口を斬り裂かれてしまった。
 迸る鮮血が、床を形作る花弁を赤く染めて行く。しかし、こんなところで退くわけにはいかない。これ以上は攻撃を食らうわけにいかないと、ミニョンは咄嗟に距離を取る。
「逃がしませんよ! どこにも……っ!?」
 間髪入れず、追撃に入るウインドゼファー。ところが、そんな彼女の身体は、しかしまるで何かに固められたかのように、一瞬だけだが完全に動きを止めてしまった。
「戦略も何も有ったものではありませんが。『勝つ事が本にて候』、負ける訳にはいかないのです」
 肩の痛みを堪えつつ、ミニョンは一転して距離を詰めた。
 彼女は、このチャンスを待っていたのだ。ユーベルコード、邪視起動・木菟ノ凶爪(ツクノマガツツメ)。それは、視認した対象の時を止めた上で連続攻撃を仕掛けるという、必殺必中なミニョンの奥義。
 ユーベルコードを正確に発動させるには、敵の姿を一瞬だけでも視界に捉える必要があった。だからこそ、確実に敵を視界へ納められるよう、敢えて自分を囮とすることで、敵の攻撃を誘ったのだ。
「貴方の『速さ』の世界も魅力的なのでしょう。だけど、私の世界も譲れない」
 動きを止めたウインドゼファーへ、ミニョンは槍による鋭い一撃を繰り出した。肩の傷が深く、力こそ十分に入らなかったが、それでも初撃は当てるだけで構わない。
 本当の本命は、続く二撃目。右手に持った馬手差で、敵の纏った暴風諸共に斬り捨てる。ユーベルコードの効果さえ問答無用で切断するという、文字通り必殺の一撃を。
「……これは!?」
 再び時が動き出したことで、ウインドゼファーも、ようやく自分が反撃を食らったことを理解したようだ。思った以上にダメージが深かったのか、仮面の奥で感心した表情を浮かべていたが。
「やりますね……。しかし、その傷付いた身体で、同じ手を二度も使えますか?」
 次に仕掛ける時は、本当に腕を切断させてもらう。否、そこまでせずとも、ひたすら加速することで発生する、ソニックブームで巻き上げるだけで十分だと、ウインドゼファーはミニョンに告げた。
「……どうやら、ここまでのようですね。しかし、覚えておきなさい」
 引き際を察し、ミニョンもまた槍を構えつつ、最後にウインドゼファーへと宣言する。
「互いに譲れない世界があるのなら……最後に勝つのは、想いが強い方なのですよ」
 この世界を護るという想いの強さであれば、猟兵の想いも決して怪人の欲望に負けはしない。去り際に告げられたミニョンの言葉は、しばらくの間、ウインドゼファーの頭の中で、繰り返し反芻されていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

仁上・獅郎
疾い。
動きを見切る事は敵わない、か。

ならば目を凝らしましょう
躱すためでなく、攻撃を受けるその瞬間を逃さぬために
剣とは根元では斬れず、竜巻の中心に吹き荒れる風はない
攻撃と同時に敵の目前に一歩踏み出す
それで思うようには斬れず、勢いが仇となって逃げられない
どうあがいても硬直か衝突です

その隙を逃しはしません
剣や竜巻の傷の痛みを[激痛耐性]で堪え、
鋼糸の[早業]により自分と彼女を縛り上げて固定しましょう
僕の攻撃から逃がさぬために
……場は整った

[高速詠唱]、術式起動、【降神・最極空虚】
邪神の力で以て対象の時を加速させ、風化させ、塵に還す技
速いのがお好きならばお見せしましょう。
加速した先にある、時の果てを。



●時を駆け抜け虚無へと還れ
 圧倒的なスピードを誇るウインドゼファーではあるが、そんな彼女とて、多くの猟兵を相手にして、いつまでも戦い続けられるものではない。
 未だ致命傷こそ受けてはいなかったが、それでも肉体に刻まれたダメージにより、彼女は徐々に追い込まれていた。そして、今までに挑んだ猟兵達の戦い方から、少しずつ彼女の速度に対抗するための術もまた明らかになっていた。
(「……疾い。動きを見切る事は敵わない、か」)
 まともに戦っても敵の影さえ捉えられぬと、仁上・獅郎(片青眼の小夜啼鳥・f03866)は改めて気を引き締め直す。
 こういう時は、慌てた方が負けだ。そして、どれだけ速い相手であろうと、それを視界に捉えるための術は存在する。
 先に仕掛けたミニョンが見せたように、狙うは敵が自分を攻撃する際の一瞬だ。敢えてそれを誘い、一撃で倒されないよう耐えることができれば、お返しの一発を食らわせることはできるはず。
(「そう……一発でいいのです。一発でも入れられれば、後は……」)
 剣による攻撃も、何らかの呪詛を与えることも、一発であることに変わりはない。力でも速さでも敵わないというのであれば、使う技の特性と質で勝負するまでだ。
「……あなたが次の相手ですか? 見たところ、私の速さに追従できそうな者ではありませんね」
 速度では圧倒的に勝っていると判断し、ウインドゼファーは全身の車輪を回転させながら、一気に獅郎へと距離を詰めて来た。
 荒れ狂う竜巻が、嘲笑うかのような音を立てて、全てを吹き飛ばさんと獅郎に迫る。その中心にあるのは、激しく回転する二振りの車輪剣。それらの動きを凝視した時、獅郎は自分の甘さを呪うことになった。
(「剣とは根元では斬れず、竜巻の中心に吹き荒れる風はない。確かに、その通りですが……!!」)
 理屈だけなら、彼の考えは正しかった。無論、それはウインドゼファーが使っている剣が、単なる長剣や槍であればの話である。
 彼女の振るう剣は、言わば巨大な回転鋸だ。その周囲にある竜巻を避けるために中へと踏み出せば回転鋸に斬り裂かれ、しかし刃を避けるために距離を取れば、今度は竜巻に吹き飛ばされる。
 武器の死角は、残念ながら殺されていた。だが、ここで風に吹き飛ばされてしまっては、自分が仕掛ける機会もまた失われてしまう。
「……っ!!」
 敢えて一歩を踏み出すことで、獅郎は自らの腕で刃を受けた。間合いを崩すことで深手を避け、痛みには強引に抗って見せたが、このままでは腕が斬り落とされてしまいそうだった。
「己の腕を犠牲に、私の攻撃を防いだつもりですか? そのような真似をしても、所詮は悪足掻き……」
「さて、どうでしょうか?」
 剣を更に押し込まんとするウインドゼファーに、獅郎はにやりと笑ってみせる。そのまま、目にも止まらぬ早業で、無傷な方の手に握られた鋼糸を用い、自分諸共にウインドゼファーを縛り上げた。
「な、何をするつもりですか!? そんなことをしたところで、私の攻撃からは……」
「ええ、逃げられないことは、解っています。ですから、僕も逃げるつもりはありません」
 元より、無傷で勝てるとは思っていない。ならば、敢えてその身を犠牲にした上で、絶対に避けられぬ一撃を加えるまで。
「速いのがお好きならば、お見せしましょう。加速した先にある、時の果てを」
「なっ……時の果て!?」
 高速詠唱による術式の起動。それは、獅郎自身の寿命を犠牲に、彼の身体を邪神の化身へと転じる禁忌の技。
「御身は全にして一、一にして全。全てに繋がり、何処へも繋がらぬ狭間に追放されし窮極の原型。御身に我が身を差し出し、御身を借り受けん……」
 おぞましき邪神の姿を模した形へと身体を変貌させた獅郎は、今や時の流れさえも操る術を得た。その力は、時空を捩り、宇宙の法則さえも超越し、あらゆる存在を虚無に還すことさえも可能とする。
「くっ……このままでは……!!」
 自分の身体が淡い粒子となって消滅仕掛けているのを察し、ウインドゼファーは車輪剣を強引に回転させると、そこから放った竜巻によって、鋼糸を切断して脱出した。だが、それでも獅郎によって操られた時を戻すことはできず、彼女の身体からは排気筒や肩の車輪、それに衣服と仮面の一部が塵となって消滅していた。
(「恐ろしい技ですね。車輪で威力を殺していなければ、今頃は私の肉体が完全に消滅していました……」)
 いかに超スピードを誇るウインドゼファーであっても、光の速さは越えられず、時の流れには逆らえない。獅郎の肉体が限界を迎え、彼が撤退を余儀なくされるまで、彼女の身体と装備は加速する時に耐えられず、次々と霧散して行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

久留米・圓太郎
【WIZ】
聴いてねぇぞ、こんな速さ、と驚いてる間は、俺にはないか。
それならば、止めりゃいいんだな。これで解決だぜ!
(裏付けの無い自信)

("Page of Amulet"発動)
しかし、もっと良い止め方もあるだろうに、俺は未熟だぜ。
(寿命縮める手法は、出来たら選択はしたくない)

命中しても、俺はこれで徒手空拳。せいぜいウィンドゼファーのメットを(猫足で)蹴り飛ばすのが関の山だ。
仲間に攻撃を即すしか出来ないのが、残念だが、俺は足止めに専念させて貰うぜ。

頼んだぜ!

※連携は大歓迎(というか、しないことには動けません)
※アドリブ歓迎


ラヴ・フェイタリティ
【グルクトゥラ(f07586)と連携】
キマフュ産のくせにガチな雰囲気漂わせやがって…。ちょいとシリアスにならねぇとまずいか。ってわけで船の中ブラついてたちっさいヒゲおっさんを連れてきた。作戦は大体ヒゲに任せた。

先ずはヒゲに合わせて「ラヴポミ」起爆、調整で閃光手榴弾みてぇになってるからな。風女は驚くはずだ。ラヴ様も驚いた。耳超痛ぇんですけど!!
怒る暇もなく移動してUC起動!いつもはその場で描くが、今日はヒゲ持ち込みの画用紙に転送前に描いておいた。便利だなヒゲ。
あとは流れで射撃支援を受けたプチラヴどもに攻撃させ、隙をついてラヴ様が「ラヴジェット」で突貫!メインヒロインの花道じゃァ!諸共に爆ぜろァ!


グルクトゥラ・ウォータンク
【ラヴ(f17338)と連携】
さて、出落ち娘に捕まり意図せずしてキマフュ初上陸となったわけじゃが。
作戦全部わし任せかい。まあよい、経緯はともあれ戦争じゃ。楽しませてもらおう。

転送前の時間で予め【メカニック】【武器改造】で各武装を出落ちの分含めて調整。相対したなら【罠使い】【先制攻撃】で「チープトイ」の起爆、殺傷能力はないが爆音と閃光で怯ませる。
機先を制したなら移動しながらUC発動。一蹴されぬようボールズ達は散開陣形で弾幕形成。竜巻は自爆して相殺、被害を減らす。妖精は上空で戦場の俯瞰と奇襲狙い。地道に【時間稼ぎ】しつつ相手の体力を削り、頃合いを見計らい一斉起爆!最後は任せたぞい、出落ち娘!



●風は止まらず
 花弁舞い散る回廊の中、ウインドゼファーは未だ門番として、猟兵達の前に立ち塞がり続けていた。
 だが、それでも今までの戦いで負った傷は、彼女の身体に確かな楔として刻まれている。先の戦いで衣服や仮面の一部はおろか、肩の車輪や右腕と一体化した剣も虚無へと還され失った。胸には大きな亀裂が走り、他にも様々な個所に負傷が目立つ。
 未だ、スピードでは猟兵を圧倒できる位置にはいたが、この状態では次に強力な一撃を食らえば、さすがに身体が持たないだろう。
「まさか、ここまで追い込まれるとは思っていませんでしたね。しかし……私は門番。何人たりとも、ここから先へ進ませるわけにはいきません」
 それでも、ウインドゼファーは門番としての務めを果たすべく、新たに送り込まれて来た猟兵へと目をやった。
「なるほど……今度は3人ですか。私の速さに、手数で対抗するつもりですか?」
 その程度の数的不利は何の問題もないと、ウインドゼファーは苦笑する。既に身体は満身創痍だが、それでも3人の猟兵相手に、刺し違えるくらいの覚悟はできていると。
 そんな彼女に相対しているのは、ラヴ・フェイタリティ(怪奇!地下世界の落ちものメインヒロイン!・f17338)とグルクトゥラ・ウォータンク(サイバー×スチーム×ファンタジー・f07586)、そして久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)の3人だった。
 なお、ラヴとグルクトゥラは顔見知りだが、圓太郎は特に二人とは関係ない。だが、共に戦えるような相手も見つからず、一緒に転送してもらったようである。
「さて、出落ち娘に捕まり意図せずしてキマフュ初上陸となったわけじゃが……」
 とりあえず戦争を楽しませてもらおうと、グルクトゥラが拳を叩きつけて気合いを入れ。
「キマフュ産のくせにガチな雰囲気漂わせやがって…。ちょいとシリアスにならねぇとまずいか」
 懐の爆薬に手を忍ばせつつ、ラヴもまたウインドゼファーへ仕掛けるタイミングを計る。
 最初の一撃は、あくまで牽制。怯んだところを、体勢を整えられる前に一気に叩く。それがラヴとグルクトゥラの考えた作戦だったが……彼らが動こうとした瞬間、物凄い風が周囲にある全てを巻き上げると、その場にいた全ての猟兵の身体が天高く舞い上げられていた。
「ちょっ……聴いてねぇぞ、こんな速……っ!?」
 驚く間もなく、圓太郎の身体に凄まじい痛みが走る。天地が回り、滑落感と共に腹部を襲う熱い何か。慌てて手を伸ばし、それが自分の腹を切り裂かれた痛みだと気が付いたのは、圓太郎が花弁の床に叩きつけられた後のことだった。
「う……ぐぐ……。ま、まさか……触れることもできない……なんて……」
 握られていたメダルが、掌から力無く落ちて転がった。手負いにしてなお、圧倒的なスピードを誇るウインドゼファー。その動きを、何の対策もなしにユーベルコードだけで封じようなど、あまりにも甘過ぎる考えだった。
(「やっぱ、俺は未熟だな……。でも、せめて他の二人が勝ってくれれば……」)
 意識を失う寸前、残る二人に希望を託す圓太郎。しかし、次の瞬間、目の前に広がる光景に、絶望のどん底へ叩き落とされた。
「く、くっそぉ……せめて、一発くらいぶっとばさなきゃ……洒落になんねー」
 圓太郎だけでなくラヴもまた、激しく斬り付けられた上で、花弁の床に叩きつけられ倒れていた。
「何をしようとしていたかは知りませんが、慢心は身を滅ぼしますよ? まさかとは思いますが……私より先に、何かを仕掛けられると思っていたのですか?」
 血に染まった画用紙へと手を伸ばすラヴへ、ウインドゼファーが冷ややかな視線を送りながら尋ねた。手負いとはいえ、そのスピードは猟兵達の常に先を行く。それを失念し、避けるも耐えるも考えずに挑めば、好き放題やられてしまうのは当然だ。
「ぬぅ……わしとて、機先を制する動きには……自信があったんじゃがのう……」
 爆薬を片手に、同じくグルクトゥラも倒れていた。
 先手を取ろうとしたところが、逆に何もできず先手を取られたという現実に、どうしても頭が追い付いていかない。が、それさえも当然とばかりに、ウインドゼファーは倒れているグルクトゥラを見降ろすと、覆し難い現実を言って聞かせた。
「確かに、あなたは他の二人とは違い、少しばかり先手を取る術に優れていたようですね。ですが、それも私にとっては些細な差に過ぎません」
 グルクトゥラが他の猟兵よりも5手ほど速く動けるならば、ウインドゼファーはその間に、猟兵よりも100手は速く行動するだろう。満身創痍の身体で本来の速度が出せないとはいえ、それでも圧倒的な速度差がある以上、それが100手先から50手先に減ったところで、敵を屠るのに大差はない。
 ましてや、他の二人に至っては、そもそも先手を取る術さえ用意していないのだ。それにも関わらず、絶対に先制で仕掛けられるウインドゼファーに、同じタイミングで仕掛けられるはずがない。
 グルクトゥラに合わせて行動しようとすれば、ラヴが追い付けずにやられてしまう。反対に、ラヴに合わせて行動しようとすれば、そもそもグルクトゥラの持つ先手を取る術を殺してしまう。
 色々な意味で、悪手が重なり過ぎてしまった。中でも、確実に先制を仕掛けて来るであろう相手に対し、避ける術も耐える術も用意せず、相手の攻撃をユーベルコードで軽減しようとしていたのは致命的だった。
「もはや、勝敗は決しました。これ以上は、あなた方と話すことなどありません」
 こちらが満身創痍とはいえ、あまり舐めてもらっては困る。それだけ言って、ウインドゼファーは再び車輪剣より竜巻を起こし、猟兵達を遥か彼方まで吹き飛ばした。
「手応えのある者もいましたが……それでも、戦いとは、最後に立っていた者の勝ちなのです。どのような者が相手であれ、私は最後まで門番の任を果たすのみ……」
 激戦の末、今回の接戦を制したのはウインドゼファー。しかし、彼女達に挑み、勝利への布石を積み重ねて来た猟兵達の戦いは、決して無駄ではないだろう。
 この戦いを通して、ウインドゼファーも幾度となく窮地へ追い込まれた。その戦いの記憶と記録こそが、次にウインドゼファーと戦うであろう者達の、助けになるかもしれないのだから。

失敗 🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:失敗

完成日:2019年05月21日


挿絵イラスト