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バトルオブフラワーズ⑪〜その風を捉えろ

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ウインドゼファー


●風を操る者
「よもや、モンキーに続き、バニーまでも倒されるとは」
 花の咲き乱れる空間に、静かな声が響き渡る。
 立つのは、ウインドゼファー。怪人幹部の1人であり、最後に残る幹部だ。
「いいでしょう。ドン・フリーダム様がシステム・フラワーズを取り戻すまで、時間稼ぎをすればいいだけのこと」
 ウインドゼファーの周囲に、圧倒的な気流が立ち昇る。
「来なさい、猟兵。私の役目は門番。貴方達を一歩も通しません」

●その風を打ち破れ
「とうとう3人目の怪人幹部との戦いだね」
 アイン・セラフィナイト(精霊の愛し子・f15171)が、静かに語る。
「相手の名前はウインドゼファー。風を操るユーベルコードを持つ怪人幹部だ。モンキーやバニーみたいに、特殊な立ち回りをする必要はないよ。正真正銘の真っ向勝負だ」
 だけど、とアインが言葉を区切る。
「ウインドゼファーは先制攻撃をしてくるよ。ちゃんと対抗策を練らないと、一方的にやられちゃうから気をつけて」
 風を操り、ドン・フリーダムに迫る猟兵たちを妨害する。純粋なユーベルコードである故に、その力は脅威だ。
 どうすればその風を突破し、ウインドゼファーに迫れるか。猟兵たちの知恵が試される。
「でも、みんなはエイプモンキーを倒して、そしてラビットバニーも倒した。キマイラフューチャーがかつて怪人たちの所有物であったことは間違いないようだけど…『今』を刻むのはキマイラのみんなだ。一方的な略奪なんて認めるわけにはいかない!」
 転移の輝きが猟兵たちを照らし出す。
「この戦いに勝って、システム・フラワーズの中枢に辿り着くために…みんな、頼んだよ!」


夕陽
 初めまして、こんにちは、夕陽と申します。
 とうとう3人目の怪人幹部ウインドゼファーとの戦いです。相手は風を操るユーベルコードを使用し、猟兵たちを打ち倒そうと待ち構えています。
 ウインドゼファーのユーベルコードへの対抗策を考え、必殺の一撃を与えてください。

 敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。

 皆様のプレイングお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『スピード怪人『ウインドゼファー』』

POW   :    フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
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フロッシュ・フェローチェス
お目見えか、ウィンドゼファー。……勝負と行こうか――誰よりも何よりも「速さ」を競う勝負を!

暴風を纏って突っ込んでくるなら、悪いけど利用させて貰おうか。
コッチにも加速式って代物があってさ?加えて最大速度まで至るに時間があるなら突貫でその加速差を埋める。
そして事前に、メカゴーグルで情報収集してた――その暴風の軌道に僅かでも乗る為に博打に挑め。
衝撃波で軌道変更。策はある、先ずは何も考えるな……更に上空へ迎え!
UC発動、防御を捨てる。何よりも速さを求める貪欲さは負けてないんだよ!

ドッグファイト中、火力をキュ劇に引き上げる――その暴風を高熱の気流で僅かでも絡め取る。
その一瞬の隙を付け。早業の火炎蹴りだ!



 戦場へと降り立ったのは、フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)だ。
 現れた猟兵に、ウインドゼファーは落ち着いた所作で身構える。
「現れましたね、猟兵」
「お目見えか、ウインドゼファー。……勝負と行こうか――誰よりも何よりも「速さ」を競う勝負を!」
「なるほど…速さを競うと来ましたか」
 瞬間、ウインドゼファー周辺の空気が、動く。
 轟!とかき乱される大気、ウインドゼファーのユーベルコードがフロッシュに牙を剥く。
「暴風を纏って突っ込んでくるなら――」
「いいえ」
 猟兵の言葉に、ウインドゼファーは『否定』した。
「動く必要などありません」
 なに、とフロッシュは『加速式』を起動させ――
 る、ことはできなかった。フロッシュの立つ場所に巻き起こる突風と迅風。怖ろしいほどの風の刃に、フロッシュの体が微塵に切り刻まれた。
 叫び声をあげることもできずに、フロッシュの体が地面へと横たわる。
「速さ、とは戦闘に移行するための速さと認識しましょう。無駄です、私の風は動かなくとも敵対者に襲いかかる。速さで私に勝つならば、まず私の風を受け切る覚悟を持ちなさい」
 薄れゆく意識と共に聞こえたのは、ウインドゼファーの冷徹な言葉だった。

失敗 🔴​🔴​🔴​

信楽・黒鴉
POW
【殺気】を【見切り】、被弾を最小限に抑え【覚悟】を込めた【カウンター】で、自分ごと相手を【串刺し】にして動きを停める。更にUCで奪い取った得物で【傷口をえぐり】、渾身の一撃を叩き込む。

「……こいつは間違いなく僕より強ぇや」
「けどもまぁ、そういう相手を前にすれば逃げようって気は失せる。難儀なモンだ」
「ともあれ一丁お付き合い下さいな。なに、退屈はさせませんって」

「っ、がァッ……!! クッソ痛ェなおいッ……!! だが、これで捕まえた……!」
「速さはアンタの勝ちさ! 好きなだけ勝ち誇れよ! けども三本勝負って言うだろう、なぁ!!」
「もひとつオマケだ、そっちの得物も僕に寄越しなァ!!」

アドリブ歓迎



 次いで転移されてきた猟兵が、眼前に立つ強敵に対して呟く。
「……こいつは間違いなく僕より強ぇや」
 信楽・黒鴉(刀賊鴉・f14026)の言葉に、ウインドゼファーが微かに笑った。
「力量差を知ってなお、私に立ち向かうのですか」
「そういう相手を前にすれば逃げようって気は失せる。まあ……」
「難儀なものですね」
 代弁したウインドゼファーに、黒鴉がにやりと笑った。
「ともあれ一丁お付き合い下さいな。なに―――」
 身構えたと同時。
「退屈はさせませんってッ!!」
 強靭な脚力でウインドゼファーに迫る黒鴉、それに対抗した怪人幹部が、その身に暴風を纏う。
 その身、とは言っても、周囲に与える被害は甚大だ。システム・フラワーズ内の花々が迅風に煽られ、花弁が舞い踊る。
「捨て身に特攻、そんな攻撃で私に致命傷を与えられるなど……!!」
 ウインドゼファーが驚愕に息を呑む。襲いかかる暴風の刃を、既の所で連続回避を行う猟兵。
 ついに、ウインドゼファーの前に立つ。次の瞬間、ウインドゼファーの片腕が『月隠』によって縫い留められる。
 その腕には、もう片方の腕。
「っ、がァッ……!!クッソ痛ェなおいッ……!!だが、これで捕まえた……!」
「…ぐ…ッ!!」
「速さはアンタの勝ちさ!好きなだけ勝ち誇れよ!けども三本勝負って言うだろう、なぁ!!」
「―――ええ、その通りですッ!」
 極近接、ウインドゼファーの目の前。それは、

 絶対的な殺傷圏内だ。

 暴風の中心点にいる黒鴉が迅風の渦に晒された。斬り刻まれ、そして烈風に体が弾かれる。
 花畑に転がる猟兵を睥睨し、ウインドゼファーは片手に突き刺さった刃を引き抜いた。
「三本勝負でも、私の勝ちは揺らぎません。ですが……」
 転移の輝きに包まれ姿の消えた猟兵に、呟く。
「その覚悟、称賛に値します。剣士の猟兵」

苦戦 🔵​🔴​🔴​

メンカル・プルモーサ
…ただの速さでは勝ち目が無い、か
…飛行式箒【リンドブルム】での空中戦…三次元的な軌道で「嗤う竜巻」を回避、時には防御術式でのオーラ防御で凌ぐ…
…そうして時間を稼いでいる間に遅発連動術式【クロノス】を用い
足場となる葉のや花の裏側すぐ、
…もしくは空中のそこかしこに発動待機状態の【空より振りたる静謐の魔剣】を設置、罠として用いる…

花や葉の裏側ならば踏み込んで『沈み込んだ』瞬間に蒼の剣が実体化して刺さるように
…空中であれば時間を稼いでいるうちに動きのタイミングや癖の情報を掴んで…
ゼファーの動きを先読みすることで蒼の剣にゼファーが突っ込む形を取らせる…
そうして凍り付かせて動きが鈍ったら一斉射…仕留める…



「…ただの速さでは勝ち目が無い、か」
 飛行式箒【リンドブルム】に乗るメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、眼下に立つウインドゼファーを注意深く観察していた。
「今度は魔女、ですか。私に速さで挑まず、空中で傍観とは」
「…私には私なりのやり方がある」
「であれば、そのやり方とやらを打ち砕くのみッ!」
 ウインドゼファーの車輪剣が唸りを上げる。全タイヤが高速回転し、迅風の暴風を巻き上げた。
 車輪剣から迸るのは『嗤う竜巻』。自らに挑まんとする猟兵たちを嘲笑うかのような甲高い声に似た音を立て―――空中に浮遊する魔女を喰らいつくさんと双嵐が襲いかかった。
「―――!!」
 だが、メンカルは想定済みだ。襲いかかる2対の竜巻の間をリンドブルムに乗りながら縦横無尽に回避していく。
 恐るべき反応速度、そして高度に制御される飛行式箒。メンカルの緻密な操作により、『嗤う竜巻』による被害は最小限に抑えられていた。
「なるほど、素晴らしい。では、これならどうでしょう?」
 『嗤う竜巻』は肥大化する。【リンドブルム】に乗っていたメンカルの飛行先を塞ぐように配置された2つの竜巻が追撃する―――!!
 竜巻に飲み込まれた猟兵に、ウインドゼファーは嘆息した。
「いくら空中戦が得意と言っても、私の竜巻は大気をかき乱す。精密な操作と同時に、流体力学の演算もしなければいけないなど、猟兵であっても不可能です」
 酷く冷え切った声だった。竜巻の中に消えた猟兵に、ウインドゼファーは勝利を確信していた。

 その自負が、隙となる。

 メンカルに向いている竜巻、その周囲に強風が巻き起こってはいるが。
 攻撃に転ずる空間は、『そこ』にある。

「…!!何ッ!!」

 空間が歪み、そこに在るものが顕わになった。空中に点在する氷結の剣、それが全て自分に向けられていると知った瞬間、ウインドゼファーの竜巻は変化した。
「空間全てに配置された剣ですか…ッ!!ですが、私の竜巻の前にこんなもの!!」
 飛来する。
 結集する。
 殺到する。
 遅発連動術式【クロノス】は、正確にその“時”を見極めた。
 空間に点在する魔剣をウインドゼファーが竜巻で撃ち落としていく。だが、それでも御しきれない剣が、彼女の肩口に凶刃を向ける。
「この程度…ッ!!」
 全タイヤが高速に回転している今、無理矢理にでも足の駆動によって回避を行ったウインドゼファーは。
「ぐ…お…!!足元に罠だと…ッ!!」
 ピキリ、と伸びた隠された魔剣に足を貫かれた。
「…これが、私のやり方」
 竜巻に巻き込まれていたメンカルはボロボロになりながらも、口元を微かに綻ばせる。
 風の怪人が、初めて膝を折った瞬間だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ネムネ・ロムネ
風が
吹き荒れてるのです
ネムの交渉の邪魔をするのは誰ですか?

足場を崩す暴風には無理に逆らいません
吹き上げられた花弁に【手を繋ぐ】事で捕まるのですよ
【激痛耐性】で耐えつつ待つのです
ネムの体力が尽きる前
花弁が舞い、視界が色とりどりに埋まるまで

視界は閉ざされたら
それは相手も同じ事ですよね?

ここが分水嶺です
敵の居ると思われる方向に向けて狙撃銃を構えスコープを覗いたままUCを発動するのです

行きましょう
例え激痛がネムの頭を襲って鼻血が止まらなくなったとしても
花弁の隙間を縫って相手が見えた機会は逃しませんです
【スナイパー】で暴風の向きを考慮しつつ偏差射撃を敢行

一つ教えておくのです
説得のコツは忍耐力なのですよ



「風が吹き荒れてるのです」
 どこか天然さの混じった声色。
「ネムの交渉の邪魔をするのは誰ですか?」
 足に突き刺さった剣を風で裁断したウインドゼファーは新たに現れた猟兵、ネムネ・ロムネ(ホワイトワンダラー・f04456)を凝視する。
「交渉、ときましたか。生憎、あなた方の言い分を訊く気はありません。私は門番、貴女も通すわけにはいきませんよ…!」
 大気が掻き乱される。恐るべき暴風と剣のような迅風の渦中。ウインドゼファーの武器から迸った暴風は、花の足場ごとネムネを薙ぎ払う。圧倒的な風はネムネを体ごと押し上げると、上空へと巻き上げた。
 舞い散る花弁、乱れ咲くような花の嵐。
 瞬時に消え去った猟兵に、ウインドゼファーは何も語らなかった。

「…今度こそ油断などしません。絶対に」


(その暴風には無理に逆らいません)
 花弁を纏いながらネムネは眼下、はるか遠方に見えるウインドゼファーを捉えようとしていた。
 舞い散る花弁によって死角となっている今、反撃のチャンスはここにある。
 そもそも、ウインドゼファーは勘違いしていた。普通の猟兵から切り出される『交渉』なら、言葉通りの意味だろう。
 だが、ネムネの言う『交渉』とは。
 『交渉道具』を取り出したネムネは、高倍率スコープを覗き込む。見るのは敵対者。自分の真下、そこに悠然と立つオブリビオン。
「…ここが分水嶺ですよ」
 ネムネの脳がブーストする。加速する。思考も、演算も、あらゆる能力は人の限界を超えて引き出される。
 花弁の色が眩しい。渦巻く風の流れさえも予測しようと脳が処理を開始する。もちろん、そんなもの耐えられるはずはない。
 しかし、やる。やらなければ。
 激痛に意識が遠のく。
 ―――この一瞬だけは。
 花弁の舞。その隙間。ウインドゼファーが『いる』。

「終わりです」

 狙撃銃の発砲音。それは暴風の音に掻き消された。飛来する直線状の光の線。偏差さえも考えられた必中必殺の一撃。
「な―――」
 ウインドゼファーの声は出なかった。肩口に空いた『風穴』が、彼女のユーベルコードを文字通り『穿った』のだ。
 ネムネの周囲に転移の煌めきが集う。
「一つ教えておくのです。説得のコツは…」
 口元に流れた血を吹きながら、ニコリと微笑んだ。
「忍耐力なのですよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

燈夜・偽葉
吹き荒れる風の中に刀を浸して
情報収集と学習力で風を感じ読み取る

強敵ですが、挑まないという選択肢は有り得ません
押し通らせていただきます
と覚悟

「剣よ、心を統べて」を使用します
視力、見切り、第六感、戦闘知識で敵の攻撃を予測感知
最小限の動きで回避
回避できずとも、激痛耐性、気合いで一瞬だけ耐えて
その稼いだ時間で、早業、カウンター、咄嗟の一撃、鎧無視攻撃で斬り返します

足の速さでは追いつけないのは分かっています
私の求める境地はそこではないから
ええ、足の速さは譲りましょう
ですが、あなたの速さに剣速だけは追いついてみせます
それに、風は読み切りました
後は風の流れに乗せて剣を走らせれば斬れます



 傷を受けてなお、ウインドゼファーは立ち上がる。
「…また、剣士の猟兵ですか」
 目の前に現れたのは、燈夜・偽葉(黄昏は偽らない・f01006)だ。自分よりも小さな存在に、ウインドゼファーは呆れたような声をあげた。
「問うのも馬鹿馬鹿しいですが…格上である私に、なぜ貴女は挑むのですか」
「挑まないという選択肢は有り得ませんよ。キマイラフューチャーの今を生きるのはキマイラの皆さんです。略奪者である貴方たちに、この世界を譲るわけにはいきません!」
「略奪者、ときましたか」
「勝負です、ウインドゼファー。―――押し通らせていただきます」
「いいでしょう、私の風を受けなさいッ!」
 覚悟を露わにした猟兵の言葉に、ウインドゼファーは荒れ狂う暴風を身に纏う。その機動は音速を超える、超速の怪人と為った。
 周囲に拡散する体を裂く迅風を、偽葉は視ていた。
 風の流れ、風の動き、相対するのは無数の剣を持つ敵と想定する。それが自分に襲いかかってくると思えば良い、と。
 目に見えない鎌鼬が、まるで見えているかのように回避を行う偽葉に、ウインドゼファーは感嘆の声を漏らした。
「猟兵は見た目では判断できないですね…良いでしょう、ならば…!!」
 ぐっ、とウインドゼファーは地面を蹴る。次いで加速する足の車輪。それは一瞬の風、全てを薙ぎ倒す一筋の旋風となり、偽葉へ肉薄する―――!!
(足の速さでは追いつけないのは分かっています)
 それは、想定済みだ。
(私の求める境地はそこではないから)
 己の得意分野は何だ。
(ええ、足の速さは譲りましょう)
 己は。
(ですが…)
 偽葉の両眼に輝きが灯る。それは、剣の極致に到達した者が視る境。小さき剣豪は此処に今、『剣聖』と為った。
(あなたの速さに『剣速』だけは追いついてみせます―――!!)
 コンマ1秒。ウインドゼファーと偽葉がすれ違うその一瞬、瞬きをすれば、その一瞬を捉えることは出来なかっただろう。
 偽葉の服を迅風が裂き、全身から血が迸る。
「私の速さに、勝てるはずなど…―――ッ!!」
 すれ違いざまに、勝利を告げようとしたウインドゼファーの胴体に、袈裟斬りの痕が刻まれた。
 驚きのままよろめいたオブリビオンに、偽葉はその身を切り裂かれながらも、口元を綻ばせた。
「“誰よりも早くなりたい”…その到達点は人だけです。“何よりも速くなりたい”ならば、私に勝機はありませんでしたよ」
 ウインドゼファーから溢れた言葉を偽葉は烈風の領域の中微かに聞いた。

 見事だ、と。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒河内・柊夜
秀でた猛き風よ、我が闇で捉えてみせよう!
とはいえ勝負は刹那の運命、引き締めて挑むとするか。

自身が速き風、という事はその軌道は曲がる事は無かろう。そして直ぐに停止する事も出来まい。顔や身体の向きで軌道を予測すれば未熟な我が身でも避ける事は可能の筈。

『闇へ誘う黒き毒』を用い黒針を飛ばす。正面からでは無論その風に阻まれるであろう。だが阻む風は同時に追う風にも成りうる。
無意味だと思うだろう。その油断に付入り虚空にて針を返し、その身に纏う風に乗せるよう操る。針が地へ落ちなければ初撃の内だからな。

当たりさえすれば刹那であろうと風は消えよう。そこに我が黒剣を叩き込む。

意思なぞ関係無い、闇で塗りつぶすのみよ。



●黒き闇
「秀でた猛き風よ、我が闇で捉えてみせよう!」
 ビシィ!とウインドゼファーに指先を向ける黒河内・柊夜(中途半端にこじらせた・f16288)。一瞬、風が沈静化。
「秀でた猛き…ああ、私のことを言っているのですか」
「とはいえ勝負は刹那の運命、引き締めて挑むとするか」
「は、い?貴方が何を言っているかは分かりませんが…私は門番、猟兵を通すわけにはいきません!」
 困惑気味のウインドゼファーであったが、気を取り直したのか全身を荒れ狂う暴風で包み込む。
 その刹那、ウインドゼファーが突進の構えに入る。
 一瞬の早業。一直線に突進したウインドゼファーを見切るように、柊夜はその身を捻らせて既の所で回避した。
「…私の突進を回避しましたか」
「自身が速き風、という事はその軌道は曲がる事は無かろう。そして直ぐに停止する事も出来まい。顔や身体の向きで軌道を予測すれば未熟な我が身でも避ける事は可能だ」
「なるほど…珍妙な発言が目立ちますがやはり猟兵、油断なりません…!」
 再び、ウインドゼファーが突進の構えに入る。過ぎ去った暴風は、柊夜の服を斬り裂いている。二撃目は回避できるだろうか―――。
「追え、我が闇。誘え、それは汝と世界を切り離す物なり!」
 詠唱と共に発現したのは無数の黒い毒針。
「毒針による攻撃…でも忘れてはいませんか?私の周囲には暴風が渦巻いています、この風の中、針など羽虫の一つに過ぎません!」
 ぼっ、と加速するウインドゼファーの体。もう一度回避を行った柊夜に舌打ちをしたウインドゼファーは。
「!!これは…!」
 体に走る痺れ。それが、自身の体に針が命中したことを告げていた。
「この針は、我が意志で操作することができる。お前の風に乗せるようにな!」
「―――!!」
 風は霧散し、一瞬の静寂が訪れた。その隙を柊夜は見逃さなかった。
「食らえ、我が一撃―――!!」
 黒剣が振りかざされる。到来する必殺の一撃。

 しかし。

 柊夜の体が、ぐらりと揺らいだ。肩に走った激痛に顔を向けると。
「何…我が闇が…!!」
 肩に刺さっていたのは自分の針だ。
「私は風を操るユーベルコードを持っています。体が動かなくとも、散らばった針の一つを風で操ることなど容易い」
「なん…だと…」
 麻痺毒に侵され倒れ伏した猟兵が転移の輝きに包まれ消え去る。やがて麻痺の解けた体を起き上がらせたウインドゼファーは、片腕が痙攣し始めていることに気が付く。
(…限界が近いようですね)

苦戦 🔵​🔴​🔴​

形代・九十九
SPD

相手の●殺気を読み、ユーベルコードの直撃を身体の部位を切り離して体重を軽くしつつ●激痛耐性で凌ぎ、やられたと偽装してやり過ごす。落下の最中に本体はユーベルコードを発動し、自身の身体を複数コピーし、四方からゼファーに組みつき動きを封じ、本体が手にした妖刀で一撃を加える。

おまえはおれより遥かに強い。だが、おれはおれにできる戦い方でお相手しよう。
おまえたちはとうに過ぎ去ったもの。今を生きる者たちに仇をなす事は許せない。
彼らに継がれた火は、死人の妄執などで絶やしてはならないものだ。

……だからせめて、おまえの中の火も、おれが連れて行く。
おまえという、早く強く美しい女が居たことを、おれは忘れない。



●『火』
 現れた猟兵に、ウインドゼファーは重い体を引きずるように構える。
「凝りませんね、猟兵。私に勝てると思いますか?」
「…確かに、おまえはおれより遥かに強い。だが、おれはおれにできる戦い方でお相手しよう」
 妖刀を構える形代・九十九(絡繰剣士・f18421)に、ウインドゼファーは嘆息した。
「良いでしょう。私もまた、私にできる戦い方で貴方を打ち倒す―――!!」
 ウインドゼファーの武器から迸った暴風が、九十九ごと花の足場を破壊する。圧倒的な暴風に、九十九の片腕が千切れ飛んだ。そのまま、真下へと落下していく。
「本当に…凝りませんね」
 目の前から消えた猟兵に、自身を嘲るような声が混じっていた。

「お前たちはとうに過ぎ去ったもの。今を生きる者たちに仇をなす事は許せない…!!」

 響いた声に、ウインドゼファーがハッとして周囲を見渡した。どこから聞こえる。周囲ににはいない、先程のように上は…?いない。
 そうして周囲を見渡していたウインドゼファーに介入したのは無数の影だ。
 九十九の身体のコピーが、ウインドゼファーの四肢を押さえつける。見かけによらない怪力に、ウインドゼファーが奥歯を噛み締めた。
「彼らに継がれた火は、死人の妄執などで絶やしてはならないものだ」
「馬鹿なことを!彼らの怠慢に満ちた生を見たはずです!今度こそ、私たちは無限大の欲望を喰らい尽くす!貴方たちに邪魔などさせません!!」
 目の前に再び現れた猟兵に、ウインドゼファーは叫んだ。自分たちの正当性を。自分たちな成し得なかったものを。
 今度こそ、と。
「その願望もまた、『無限大の欲望』だろう」
「―――くっ!」
「だからせめて、お前の中の火も、おれが連れて行く」
 掲げられる妖刀。
「おまえという、速く強く美しい女が居たことを、おれは忘れない」

 ウインドゼファーの身体に刻まれる妖刀の斬撃。

 ぴしり、と怪人の仮面が割れ、素顔が露わになった。ふっ、とウインドゼファーが嘲るように嗤う。

「これは…やられましたね」
 身体を霧散させていくオブリビオンに、九十九はただ無表情だった。
「私の負けは揺らがないようです。ですか時間稼ぎはできました…後はドン・フリーダムに任せるのみ」
 そして頭が消え去る寸前。
「さらばです、猟兵…門番としての役目ではありましたが…なかなかに有意義でしたよ」
 ウインドゼファーの薄い笑み。消え去ったオブリビオン。九十九は静かに妖刀を鞘に収めるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月21日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト