呼び起こしてはならぬモノ
「さぁ語ろうか。舞台はアックス&ウィザーズ、古の宝に封じられし災厄を討つ英雄の物語を……」
●邪教儀式
――うにゃにゃん、うにゃにゃん、にゃん、にゃん、にゃん。
美しい巨大な宝石の周りを、猫がはしゃいで回る。
その光景だけを見れば非常に可愛らしいのかもしれないが。
だが……宝石と、猫達の周囲から放たれるのは、如何なモノも圧倒する邪悪な気配。
「帝竜様、帝竜様……」
猫達の信奉する存在を崇める祝詞の中、宝石の中に黒い靄と禍々しく輝く金色の眼が一瞬だけ浮かんだ。
この近隣が文字通り何もない虚無と化すのは、それから遠くない未来のことである。
●トレジャーハント
「秘められた昔の宝……良いよね。これもまた一つのロマンスさ」
グリモアベースの椅子に腰かけ、長い脚を組みながら宝探しの漫画を読み耽るオラトリオの声が響いた。
「探し求めていた日々が一番の宝、というモノもあるが……仕事だよ諸君」
グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは漫画を閉じると、集まってきた猟兵達を軽く見回すとゆっくりと口を開いた。
「さぁ語ろうか。舞台はアックス&ウィザーズ、剣と魔法と幻想に満ち溢れた世界だ。君達には荒野に眠る宝を探しに行って貰いたい」
かつて凶悪な魔獣の闊歩する荒野を縄張りとした、伝説の義賊団である「カガニテ盗賊団」が遺した宝があるという。
そのカガニテ盗賊団は弱気を助け強きをくじいていた義賊であり、当時の民衆からはその実力もあって大層な人気を博していたそうだ。
だがある時、一夜にして団員は謎の失踪――噂によるとその直前に手に入れた、とある宝のせいなのだそうだ。
それは両腕で抱えるのがやっとの大きさを誇る、見事な美しい宝石なのだそうで。
「それだけなら一つのロマンスだがね……予想はしていたと思うが、災厄が閉じ込められているってオチさ」
その災厄こそ強大なオブリビオンであり、一刻も早く宝を見つけ出して何とかして欲しいのだと語る。
「宝が眠るのはこの荒野。今は“カガニテ荒野”と呼ばれている。その盗賊団にちなんでの名だね」
グリモアを輝かせると、幾つかの岩山と洞窟があるだだっ広い荒野を映し出す。
碌な草木も生えず、今もなお魔獣の闊歩する危険地帯だ。
「恐らくは、この幾つかある洞窟のどこかにあるのだろうが……残念ながら、具体的な場所までは分からなかった」
新たに住み着いた盗賊団を探し、締め上げて情報を探るか。
近くの村にある酒場で情報を収集するか。
あるいは荒野に住む獣や精霊に問い掛けて見るか――とにかく、場所を突き止めて宝石を見つけて欲しいのだと語った。
「だがうかうかしても居られない。既にオブリビオンが宝石を見つけて、封じ込められている災厄を解放しようとしている」
そう言ってグリモアで映し出すのは、どこかケットシーにも似た猫のような可愛らしい魔術師達の姿であった。
一見すると可愛らしいが、かつて「帝竜」にも仕えたという邪悪な魔術師の集団だ。
「儀式が相成れば災厄は完全な力で復活し、甚大な被害を齎すだろう。そうなる前にこの邪悪な猫ちゃん達を倒してくれたまえ」
気は進まないだろうがね、と苦笑しつつ語り。
「然る後、宝石に封じ込められた災厄も打倒して欲しい」
宝石を砕けばそれは解き放たれるし、儀式で復活するのとは違って不完全なモノにはなるだろうから、十分太刀打ちできるだろうと語りつつ。
とはいえ、それでも十分に強力なオブリビオンだから注意して欲しいとも語る。
そうして一頻り語り終えた後、炭酸水を一気飲みして一息入れて。
グリモアの転送結界をゆっくりと紡ぎ始めると、最後に一言こういった。
「さて、長々と語ってしまったが古の災厄をどうか片付けてやって欲しい。他の誰かが、宝のつもりが災厄を見つけてしまった、なんてことが無きようにね」
裏山薬草
どうも裏山薬草です。
オープニングに目を通していただきありがとうございます。
皆様には閉じ込めておきたいモノはありますか?
今回は荒野で宝探しをして貰います!
情報を集めて宝探し、RPGの王道ですよね。
第一章は冒険パートとなります。
古の盗賊団が遺した宝の情報を探ってください。
第二章は集団戦です。
宝の眠る場所で待ち受けるオブリビオンを撃破し、儀式を止めて貰います。
尚、宝を破壊しようとすると手痛い反撃を喰らうのでやらない方が良いです。
第三章でボス戦となります。
宝の封じていた災厄との決着をつけて頂きます。
敵は強敵ですので心して掛かってください。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
裏山薬草でした。
第1章 冒険
『風の墓標』
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POW : 荒野を踏破し探索、或いは盗賊団を圧倒して情報を得る
SPD : 町や酒場で情報を得たり、地図や痕跡から推測する
WIZ : 魔力で探査したり、荒野の獣や精霊に助力を求める
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フレミア・レイブラッド
盗賊か酒場で情報を仕入れるのが良さそうかしらね…。
…ついでに盗賊達を壊滅させれば周辺の平和にもなるし、盗賊に接触しましょうか♪
という事で、ギルドから事前に盗賊と今件に関して情報を収集。盗賊の出没地点や目撃場所で自らを囮に盗賊団を【誘惑】で誘き出し、逆に魔槍【怪力、早業、残像】で叩きのめす。またはアジトの場所が判れば乗り込んで叩きのめすわ。
その後、【魅了の魔眼・快】【催眠術】魅惑のフェロモンで盗賊団を魅了して虜にし、情報を得るか、情報が無ければ総動員で探させるわ。
最後は…過去の悪事次第でカガニテ盗賊団の様な義賊を目指す様に命令するわ(殺人等の前科が多い場合はギルドにつき出す)。
※アドリブ等歓迎
幻武・極
盗賊のお宝のありかは同じ盗賊に聞くのが一番だよね。
ということで、この辺りを縄張りにしている盗賊に聞いてみるとするかな。
とりあえず、念の為にトリニティ・エンハンスは用意しておくよ。
まあ、盗賊がお宝の情報を素直に教えてくれるとは限らないけど、何も情報がないよりはましかな。
・・・あ、このお宝は盗賊が持っているんじゃなくて、オブリビオンが儀式に使っていたんだっけ、まあ、何か情報は手に入るでしょ。
●魅惑と探究の業火、極まる
のちに関係者の一人である彼はこう語る。
「いやあ驚きましたよ。だって、ねぇ? こーんな可愛い娘さんらが、あっという間に俺ら圧しちゃうんですもん。でもまぁ……ありゃ命があっただけでも儲けもんでしたわ」
――荒野の洞窟の中、粗野な男達の住まう中に小さな少女が二人。
それだけならば無謀と見るか、或いは男達の趣味を疑うかのどちらかかもしれないが、この光景を見ればそんな考えも吹っ飛ぶだろう。
何しろ、片や真紅の剛槍を振るいながら男の一人を踏みつける少女。
片や全身に炎と水と風の魔力を纏いながら別の男を締め上げる少女。
槍を構えているフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)と、魔力を纏っている幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)は、盗賊団のことは盗賊団に当たるのが一番と踏み、ギルドから荒野で暮らしている中で適当な盗賊団を聞き赴いていた。
盗賊団の根城の中に若い娘が二人、軽くからかってやろうとしたが彼等の運の尽き――歴戦の猟兵たる彼女達にあっさりと蹴散らされる始末。
一斉に土下座し降伏の意を訴えかける彼等を一瞥すると、念のためにと魅了の力を秘めた眼差しで完全に抵抗力を奪いつつ。
自分と極の言うことを聞くように命令すれば、こくこくと頷く――心なしか、フレミアに踏みつけられていた一人は妙に熱っぽい目線を向けていたりもするが、それはそれ。
「じゃあカガニテ盗賊団の遺した宝について、何か知らないかな?」
早速、極が問えば彼等は語り出す――カガニテ盗賊団の歴史から、一夜にして壊滅した経緯、秘宝についての噂などを。
カガニテ盗賊団は100年ほど前に活躍した義賊団。
実力も確かで勇者にも協力した噂があり、貧しく清く正しい者からは決して盗みを行わなかったこと。
その中でかつて邪教団から一つの宝石を盗んだ後、団長含む主要メンバー全員が謎の失踪を遂げ、残されたのは下っ端の中の下っ端数名程度であったこと。
壊滅後、宝物庫の財宝は残らず接収されたがその宝石だけは見つかっていないこと。
自分達の根城はその宝物庫の一つで、くまなく探してもその宝石のようなものは見当たらなかったこと。
そして北西の方角にある、枯れた大木の近くにある洞穴がかつてのカガニテ盗賊団のアジトらしい場所だと語る。
一頻りの情報をメモしながら、極はフレミアに彼等の処遇をどうするか問うた。
「で? こいつらどうする?」
「そうね……ちょっとそこのアナタ。ついでに今までの罪状全部吐きなさい。さもないと……」
「いえ、大それたことはやっておりません! 精々、冒険者から弁当少しくすねただけです!!」
まっすぐに血のように赤い眼で見据えれば鼻息荒く自白する――それで事前に話を聞いたギルド職員も苦笑いしていたのか。
何ともしょうもないが嘘を言っているようには見えないし、そもそも正直にモノを言うように催眠も掛けた。
この荒野では生活がやっとだったのだろう――とりあえず一つだけの警告はしておくとして。
「じゃあね。もう悪いことはしちゃだめよ。やるならやるで義賊になんなさいよ」
「ちゃんとお弁当盗っちゃった人に謝ってねーっ」
フレミアと極の声に何ともしょうもない盗賊団は一斉に頷き、それを見送りながら極は改めて秘宝についての確認を取る。
とりあえずはアジトらしき洞窟に行ってみようと提案してみれば、フレミアも同意するように首を縦に振った。
「さて、と……オブリビオンが儀式に使ってるんだよね」
「ええ」
「じゃあ一刻も早く突き止めないと……!」
得られた情報を元に、彼女達はかつてカガニテ盗賊団のアジトと思われる洞穴まで急ぐのであった。
……そして彼こと、盗賊団の元首領はこう語る。
「今ですか? 見りゃあ分かるでしょう。冒険者向けの弁当屋ですよ」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
風薙・澪
こんな荒野でリアル宝探しやることになるとは
まあ、あることがわかっているので埋蔵金探すよりマシね
どんなところにも精霊はいる。だからこそ私達はその力を借りて魔術を行使できるのだ
というのは師匠の受け売りだけど、まあ確かにいないってことはないでしょうし、風の精霊達に聞いてみましょう
そのものずばりを聞いてもわからなさそうだし、精霊力や、魔力の変調、異常といった感覚的に異質異常なところがないか聞いてみるわ
いくつかピックアップされるようなら後は自身の感覚で、猫魔術師の出入りしそうなところを中心に探してみるわ
●風の声に零れる
荒野の中の乾いた風を浴びながら一人の少女は目の前に広がる荒れた大地を眺めた。
「埋蔵金探すより宛てはあるってもんだけど」
あるかどうか分からないモノより、あると確実に分かっている以上はまだ探しようはある――尤も、この広い荒野を掘り返しても居られない。
少女――風薙・澪(ウィザードウォーリア・f17869)は身体に淡い燐光を帯びると、吹き荒ぶ風の中のとある存在を探る。
彼女の師匠曰く、
『どんなところにも精霊はいる。だからこそ私達はその力を借りて魔術を行使できるのだ』
本当にどこにでもいるかどうかはともかくとして、この善く吹く風の中に於いてそれがいない筈もないだろう――ゆっくりと、語り掛けるように問うは荒野に住まう風の精霊。
気まぐれながらも比較的友好的な存在に接触できれば、澪はこの辺りに精霊力や魔力の異常などは無かったかと問う。
(直接的に聞いたってわかんないだろうしね)
――そういえば最近、一瞬だけ凄く恐ろしい気配があった。
彼女と話す風の精霊が思い出したかのように言葉を紡げば。
「それは何時……ううん、何処で?」
――枯れた大きな木の近く。普段は何もないのに。
曰く、枯れた大きな木の近くにある洞窟には何もなかったはずだが、或る雨の日、猫のような姿の魔術師達が入っていったこと。
そこで一瞬だけ凄まじく恐ろしい気配がしたと思えば、その魔術師達の気配も一瞬で消えてしまったこと。
以来、そこから何も出てこないことを精霊は語った。
恐らくはそれが件の猫の魔術師なのだろうと思いつつ質問を重ねる。
「その洞窟、何かあったの?」
――昔、強くて優しい盗人が居た。
(カガニテ盗賊団ね)
事前に聞いた盗賊団の、そのアジトだったのだろう。
ともあれ、ここで猫の魔術師が消息を絶ったことには間違いなさそうだ――後は現地で。
澪は風の精霊にありがとうと述べると、かつての盗賊団のアジトへと足を進めるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
モース・レフレクソン
チーム【鉄の人形】
【目的】
宝の在処を突き止める
【行動】
なるほど宝探しか…面白そうだな。アイリスと一緒に探索するか…あいつこういうの好きは知らんがな…。
ウォーロードヘッドフォンを使って周囲の地形を把握しておく。その中で怪しそうな場所をピックアップして重点的に調べあげるとしよう。
調べる時はサイバーアイも使ってヒントとなるものを探索していくぞ…。
多分アイリスは乗り気ではないのだろう…だが、無理やり連れていくぞ。宝探しだし楽しそうじゃないか…必ず見つけるには協力者が必要だ。
あと嫌がる顔も面白いからという理由とある。
ふっ……楽しい探索になりそうだな
アイリス・クラウディア
【鉄の人形】アドリブ歓迎 口調プレ
モースと傭兵時代からの相棒。普段は犬と猿のような仲。言い切りの女の子口調。言葉を慎重に選ぶので無口で途切れやすい。
■心情
トレジャーハント。こんなに広い荒野で、宝探し。
なんで私がモースに付き合わなきゃならないのか…。
はぁ、理解に苦しむ。仕方ない、これも仕事。今回は特別、宝探しに付き合ってあげる。
■行動
私はモースが指示したいくつかのポイントを重点的に探索。
サイバーアイを駆使して周辺を分析。怪しいところがあれば調べる。....にしても、邪竜が封じ込められてる宝石?そんなものがこんな所にあるとは思えない、けど。
春霞・遙
昔の盗賊の宝探しなんてほんとロマンですね。近くの町の老人に話を聞いたり伝承を集めて関係する場所を地図にプロットしてみたり、古い地図を見つけたり、偽物の宝箱に騙されてみたり。そんな小説のような冒険してみたいですけど、今回はそうのんびりしてもいられない、でしょうか。
力を秘めた古い宝を探すのならダウジングでもしてみましょう。
Y字の枝を手に持って反応する方向を探っていくだけの単純で地味なものですけど昔から使われている「失せ物探し」の方法です。
地図に対して使用しても良し、他の方の集めた情報を元に実際に詳細な場所を探しに行っても良し。
さて、宝物のところでは何が待っているんでしょうね?
●余人立ち入り難き場所を知り
何で私がこんなことに付き合わなければならないのだろう。
荒野の中、一人の少女は己と対照的に盛り上がっているように見える男をちらりと見ながら密かに溜息を吐いた。
僅かなそれにも耳聡い男は、その様子に気付くとどこか勝ち誇ったような笑みを浮かべている――間違いない、あの男、この状況を楽しんでいる。
少女――サイボーグのアイリス・クラウディア(戦場に咲き誇る小さな花・f09353)は相棒の男モース・レフレクソン(サイボーグの戦場傭兵・f06734)に連れられて、サイボーグ二人【鉄の人形】たる彼等は荒野を探していた。
「理解に苦しむ」
「まぁそういうな。楽しそうじゃないか……」
そう言いながらも、これも仕事と割り切りつつ、モースの指示する地点を超科学の目で探っていく。
既に他の猟兵からこの辺りにかつての盗賊団のアジトらしき洞窟があるとは聞いたが、念のため周囲にも似たような何かが無いかと、地形を把握しに勤めていた。
とはいえ、或る程度絞れてはいるものの、このだだっ広い荒野の中、探せといったところで。
「こんな広い荒野で?」
「だからこそだ。協力者も必要だろう?」
ヘッドフォンから地道に周囲の地形の情報や、生命反応――自分達の他に見られるのは、先にアジトと思われる洞窟に赴いた他の猟兵達。
引っ掛かる窪地らしきモノを確かめるようにアイリスに指示しつつ、肩を竦めながら彼はアイリスの反応を楽しむ。
「やはり、連れてきた甲斐があったというものだ」
軽口一つ落とせば、冷ややかな相棒の目線――肩をまた竦めながら、彼は改めて元アジトの洞窟の中へ行こうと彼女を連れだした。
既に到着していた他の猟兵達との挨拶もそこそこに、【鉄の人形】の二人は改めて探索を続ける。
モースのヘッドフォンが探知する生命反応といえばその猟兵達かアイリスぐらいのもの――そして流石というか、元盗賊団のアジト、お決まりの。
「隠し通路の一つや二つはある。でも、どれも探索済み」
指示されてサイバーアイで探るアイリスの慎重かつ正しい指摘。
財宝は殆ど没収されたと聞いている以上、それも致し方ない――そうした探索済みの嘆きもまた宝探しの醍醐味といえば、醍醐味だろう。
「ふっ……楽しい探索になりそうだな」
「……意味分からない」
徒労の何が楽しいのか。
だがまぁ今回は特別……溜息交じりに、モースの戯れに付き合うことに決めながら、これも無駄に終わると内心感じつつ――超科学の眼が、一つの違和感を覚える。
(邪悪? の宝石がここにあるとは思えないけど……)
罠の類は見当たらない――それでも、慎重に探りを入れていきながら、隠し部屋の扉を開けば、そこには小箱と。
「これは……手記?」
「良いの見つけたか……?」
5/1――お頭はすげぇや!
あーんなでっかい宝石盗んじまうんだから!
これであの邪教団もちったぁ懲りるだろう。ざまぁ見やがれ。
5/25――あっしだけが生きてたってしょうがねぇ。
けど自分で死ぬ勇気もねぇ……どうすりゃいいんだ。
6/4――宝石が見つからないって聞いちゃじっとしちゃいられねえ。
あの宝石にマジで悪魔がいるってんなら……やるしかねえ。
探してやる。
7/9――お頭の封印がいつまで持つか全くわかんねえ。
でもお頭の奴一体どこに封印したんだ……?
そういえばお前達にも教えてない隠し通路があるって言ってたな。
散々探しても見つからねえってことは……魔法か何かで隠してんのか?
飛ばし飛ばしに読んだが、これはカガニテ盗賊団の生き残りらしき者の遺した日記なのだろう。
そこには盗賊団壊滅後、この洞窟に張り込み行方不明の宝石と、封じられた災厄への張り込みを続けていた様子が書かれていた。
結局最後は見つけること敵わず逃げだしてしまったようだが――どうやら、ここに件の宝石があることは間違いないのかもしれない。後は具体的な場所だけであるが……。
「これは……!」
「成程……こんなことがあったのですね」
彼等の見つけた手記を、横からのぞき込んでいた女が溜息交じりで感嘆し。
女は気付いた場の猟兵達に軽く頭を下げて挨拶を交わしたのであった。
●宝探しの醍醐味
現れたのは一人の女――春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)だった。
既に【鉄の人形】の他に幾人かの猟兵も、この洞窟に集っていた中に最後に現れた女であった。
見ればその手にはY字形の棒を持つ――彼女が選んだのは、いわゆるダウジング、というある種古典的な方法。といっても、この地を流れる魔力めいたモノを探れる以上、よく言えば鉄の人形の彼等と上手く棲み分けできる、といったところか。
もちろん、他の猟兵の探索方法とも被らないのも有難くあるが。
(楽しむ余裕はないと思っていましたが)
宝探しというモノにまつわる一種のロマン――小説のように、地道に行い、時に無駄足に終わるような冒険。
願わくば楽しみたかったが、こうして偶々出会った味方と互いの長所を生かして協力し合うのも一つのロマンか。
「……それに」
先ほど見つかったかつての盗賊団の手記。
偶然に生き延びた者の記録と想い――先人の想いを知るも又ロマンスなのかもしれないが。
それはそれとして手記の内容、これまでの猟兵の情報から察するにカガニテ盗賊団は邪教から盗んだ宝石のせいで壊滅したこと。
そして宝石は今も見つかっておらず、猫の魔術師達は最近ここに来て姿を消したこと――ここに何かしらの秘密があることに代わりはなさそうだが。
ここでふと魔力の流れに違和感を覚える――同時に【鉄の人形】の二人も変化に気付いたのか。
他の猟兵からも今までにこんな反応は無かったと聞いたが――ハシバミの導くままに、洞窟の深くへと歩を進めれば。
そこには魔力で偽装されていたのだろうか、一種の階段らしきモノが現れており――ハシバミの枝も、絶え間なく震えている。
恐らくこれが手記にあった誰にも伝えられてなかった隠し通路なのだろう――恐らく封印のせいで最後の最後まで隠匿されていたのだろうか。
(そういえばオブリビオンが封じられているのでしたっけ……)
何年も経って封印も弱まり、封じられた悪魔が同じオブリビオンか或いは猟兵を誘き寄せようとしても不思議ではない。
奇しくもここに数多の猟兵が集った結果、開かれた扉といったところか――鍵は既に自分達自身が持っていた。
「さて、宝物のところでは何が待っているんでしょうね?」
――それは、如何な災厄か……猟兵達は、開かれた階段を下っていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『にゃんこ魔道師』
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POW : 消失魔法~インヴィジブル~
自身と自身の装備、【幻蝶の群れが包み込む魔法攻撃を受けた】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
SPD : 混乱魔法~パニック・パウダー~
【幻覚を見せ互いを攻撃させる幻蝶の鱗粉】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 相殺魔法~キャンセル・コード~
対象のユーベルコードに対し【反属性の盾となる幻蝶の群れ】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:熊木
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●カガニテ盗賊団下っ端Aの日記より
5/22――カガニテ盗賊団が壊滅したって嘘だと思った。
たまたまお頭からのお使いでアジトを外していたあっしだけが生き残っちまった。
夢であって欲しかったけど、まさか本当だった。
でもおかしいな。何でお頭の死体だけが無いんだろう?
5/30――カガニテ盗賊団の集めたお宝は全部没収されたって聞いた。
でも今更取り返そうなんて、増してカガニテ盗賊団を復興しようなんて思わない。
お頭がいなけりゃ、どうでもいい……。
6/3――何だって!? あの馬鹿でけぇ宝石が見つからなかったって!?
見落としとかあり得ねぇ。
そういえばあの宝石を持ってた邪教団の奴ら、悪魔が眠ってるとかなんとか言ってたな。
まさかみんないなくなっちまったのって、あの悪魔が……!?
6/5――久々にアジトに行ったら急にぞくっとしやがる。
あっしは確信したね。まだこのアジトに悪魔が眠ってやがるって。
いいぜ、お頭とみんなの敵討ちだ。出てくるまで張り込んでやる……!
●猫の魔術師達
猟兵達が気づいた時には、周りは不思議な光景だった――周りに光源代わりの水晶が幾つも立ち並び、周囲には嫌な魔力のようなものが満たされている。
何処かの地下深くなのだろうか、それとも――疑問を浮かべる猟兵達の耳に届くのは、可愛らしい鳴き声だった。
――うにゃにゃん、うにゃにゃん、にゃん、にゃん、にゃん。
鳴き声の先には、水晶立ち並ぶ中に異様な輝きを放つ宝石がそこにあった。
一抱えもある宝石の周りを、猫達が踊っている光景は何と可愛らしく。
しかし湧き上がる邪悪な気配が、見た目通りのものではないことは明白だ。
妖しい儀式のような踊りを続けている猫達が猟兵の存在に気付くと、彼等は一斉に敵意を向ける。
「むっ、おみゃーら何者にゃ!?」
……ここで、宝石の中に一瞬だけ影が浮かべば、猫達の眼がどこか正気を失ったような濁った光を帯びた。
「さては帝竜様の復活を邪魔しにきたにゃ!? そうはさせんにゃ、おみゃー達、やっちまうにゃ!!」
――ニャアアアアア!!!
猫の一匹が激を飛ばせば周りの猫達も一斉に雄叫びを挙げて猟兵達に戦意を向けて。
正気を失い濁った眼で魔力を迸らせる姿を、宝石の中に潜む影が大きく裂けた口を歪ませて見つめていた。
モース・レフレクソン
チーム【鉄の人形】
※アイリスとは犬猿の仲
なんだ…あの蝶……は……(幻惑にかかる)
とにかくてこを倒さねば…(仲間であるアイリスに銃を向ける)
ん?アレ敵か?的か?(アイリスの方を見つつ)
まぁいいか…(棒)先ずは【蒼炎放射】で相手を炙る…蒼炎放射であたりを火の海にする。幻惑を食らっても全部燃やせば答えはあるだろう…(適当)
あとはサイバーアイであたりを索敵しつつ、ベイリルを見える敵に対して乱射していくだけだ。
今回アイリスに誤射するかもしれないな(笑)
ごめんな(笑
アイリス・クラウディア
【鉄の人形】アドリブ歓迎
モースとは犬と猿のような仲
■目的
「幻惑に乗じてモースを討つ×」
「幻惑で隠されてしまったモースを戦いながら見つけ出す◎」
■行動
私は近接銃撃戦用UCに切り替えて、戦う。
あれが説明にあった怪しい猫?
可愛い見た目の割には、なかなか野蛮。そっちがその気ならこちらも容赦はしない。…最初からそのつもりは無い、けど
……モース?
突然いなくなってしまった相棒(モース)をサイバーアイを駆使して捜索
…ダメだ、見つからない(笑)
…っ!やけにムカつく猫が、邪魔。始末、する!!(モースに応戦しながら周りの猫を蹴散らします)
ふっ、そんな所にいた、の…?
可愛らしい子猫にしか見えなくて、気づかなかった。
●犬と猿、そして猫
見た目に反し、この猫の魔術師達は中々に獰猛――獅子も虎も猫の仲間であるのだから、無理からぬことかもしれないが。
「フギャアアアアアアーーー!!」
「帝竜様復活の邪魔はさせないにゃ!!」
可愛らしい猫が威嚇する、というよりは最早蛮族が勝鬨を挙げるに等しい光景を前に、アイリスは眼を2,3度瞬かせた。
(あれが説明にあった怪しい猫?)
可愛らしい見た目の割には中々に野蛮ではあるが。
「そっちがその気ならこちらも容赦はしない」
最初から容赦するつもりはないけれど――猫達もまたアイリスとモースに眼を向けると、杖を振るい煌びやかな蝶を生み出し舞わせていく。
可愛い猫が光る蝶を生み出す光景は中々に幻想的な光景であるのかもしれないが、それが人を惑わす邪悪な魔術であるのだから何とも言えないだろう。
「なんだ……あの蝶……は……」
「……モース?」
煌びやかな蝶の見せる幻覚が、二人の姿を覆い隠し周囲の光景に溶け込ませる。
まるで突如としてこの場から消え去ってしまったかのような光景に、二人は互いの姿を探し合う。
――超科学の眼を以てしても見抜けない、分からないと宣ってはいるが、それが本音かどうか。
ただ確かなのは――幻影に乗じて犬猿の仲の相方を討つことにあらず。
幻覚を乗り越え敵を討ち、探すこと……の筈だ。
モースは冷静に銃を構える……が、その先はよりにもよってアイリスであるが、彼はどこかその事実から眼を逸らすように訝しみ。
(ん? アレ敵か? 的か?)
「まあどうでもいいか。纏めて燃やせば……」
サイバーアイを駆使しても正体不明――どこか感情の籠らない語調で呟けば、彼は内蔵している兵器から放つ蒼い炎が一面を火で包んでいく。
分からないなら纏めて焼却――間違ってはいない対処であり、漏らした相手は超科学の眼が見切る、物音と体温目掛けて――火の海から飛び出た猫を、一つ一つ確実に蜂の巣にしていく。
「……っ!」
……まあ、モースの向けた眼の先にはアイリスも存在しており、ギリギリで蒼い炎を逃れているのは彼女自身もまた同じなわけで。
そしてなぜだか分からない(ということにしておこう)が、猫の魔術師にはそぐわない近代的な火器めいた何かが襲ってくる。
それを横転しながら躱していけば、ヤケに楽しそうな猫(多分)が見えたような気がしたのか、突撃銃を構えて容赦なく弾丸を撃ちこんでいく。
「やけにムカつく猫が、邪魔。始末、する!!」
「ふぎゃあああっ!?」
巻き添えを喰らう猫にとっては堪ったものではないのだろうが、突撃銃の弾と火炎放射に貫かれ焼き尽くされたとしても、元来敵同士、同情の余地もなく。
反動に身体を震わせながら、威力と連射を両立させたライフルの銃弾がアイリスの肩を強かに打ち抜けば。
漸くそこで相方の存在に気付いたのかモースが軽く頭を下げた。
「……誤射だ。ごめんな」
明らかに口元がにやけているように見える辺り、もしかすれば誤用の意味での確信犯であるのかもしれないが。
ともあれどう見ても本気で謝罪の意を示しているようには見られないモースに、アイリスもまた皮肉を込めて唇を歪めた。
「……ふっ、そんな所にいた、の……?」
ああ、いた――モースの返答が、唇を開けて放たれるその前に。
アイリスの早業がモースの耳へと突き刺さり、彼のこめかみに僅かな痙攣を引き起こした。
「可愛らしい猫にしか見えなくて、気付かなかった」
「……良いサイバーアイの修理屋、いるか?」
――互いに互いのサイバーアイを以て交わされる目線の、その中点が業火を躍らせるようにも見えて。
ただ――横槍を入れるような無粋な猫は、きっちりとヘッド・ショットを決め、焼却処分をしている辺り、油断はしていない、ということなのだろう。
犬猿の仲、横槍を入れる猫は悉く弾きだされていくのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
春霞・遙
幻蝶を操るこの猫達自身が操られている、なんてこともあるんでしょうか?
仮にそうだったとしても竜帝を信仰しているのは変わりなくて、放っておけば厄災が解放されてしまう以上倒すよりほかないですよね。
【葬送花】の花吹雪を運ぶ風で蝶や鱗粉を吹き払って同士討ちや不可視の魔法に対応しようと思います。その花吹雪での本体への攻撃は相殺されてしまうと予想して花吹雪に隠れて接近して杖での殴打で「だまし討ち」、そのまま【葬送花】で攻撃されてくれるならばそれで良し、です。
アドリブ共闘大歓迎です
風薙・澪
やり辛い外見ね、という人は言うのでしょうけど、私は気にしないわ
これ以上厄介ごとを増やさないで頂戴
ぼやきながら散弾銃のフォアエンドを前後させて初弾を装填する
宝石の方が気になるけどまずは猫の排除を行う
UC鋭氷矢と、銃撃で仕掛けつつ、敵の相殺魔法UCを仕掛けてくるのを待つ
仕掛けられて、こちらのUCが無効化されたら、驚いたふりをしつつ本命の長剣での攻撃に切り替える
剣撃は、敵の方が背が小さそうなので、下段からの切り上げを中心に攻撃
他の人との連携希望
アドリブの追加は可
フレミア・レイブラッド
このコ達は宝石に操られてるだけなのかしら…?
でも、昔から帝竜に仕えてたって話も聞いたし、判断に困る所ね…。
混乱魔法の鱗粉を吸い込まない様に自身や他の猟兵を【念動力】で覆って防御。
更に対抗して【魅了の魔眼・快】で魅了し、互いに混乱魔法を使う様に指示して逆に同士討ちを誘うわ。
消失魔法に対しては【サイコキネシス】で空間に念動力の糸を張り巡らせて、動いて糸に触れた瞬間を狙って捕縛。
捕縛した後は…とりあえず一旦【吸血】して力を得ておいて、操られてるだけなら魅了して眷属にとも思うけど…根っから帝竜の僕なら、残念だけどここで始末するしかないかしらね…。
せめて苦しまずに始末してあげるわ
※アドリブ等歓迎
幻武・極
さて、階段を下りている間に羅刹旋風のパワーチャージでもしておくかな。
ボス戦前に回復やチャージはゲームの鉄則だしね。
あれはにゃんこ魔道師、あいつら苦手なんだよな。
幻覚とかって武術家の天敵のようなものだしね。
とりあえず、オーラ防御で全方位をカバーして流れ弾にも注意しておくよ。
そして、インヴィジブルでボクが透明になったら、逆にこれはチャンスかもしれないね。羅刹旋風のデメリットの見切られやすさをカバーしてくれているよ。
ということで、にゃんこ達を次から次へと倒していくよ。
●見た目は子供達と引率の先生
混戦を極める戦場に、猫の魔術師達が嗾ける幻の蝶から、幻想的に光り輝く鱗粉めいた何かが舞った。
それは幻術使いである彼等の得意手である、同士討ちを誘うオーソドックスな戦法であった。
「ボクこいつら苦手なんだよなー……」
「見た目的な意味で?」
「ううん、幻覚がやだ。武術家の天敵みたいなものだし」
全身のオーラを張り巡らせ鱗粉を防御する極の呟きに対して、私は気にしないけど――澪の言葉が続くその前に。
肩を竦めながら、極は苦手とする理由を語る――見た目は可愛い猫であっても、邪悪なオブリビオン、倒すことに躊躇いは無いが。
ただ――取る戦法と相性が悪い、ということは如何ともし難く。
だが心配はいらない。
短所を補い合うのが、パーティを組むRPGの基本というもの――ボス前の準備以上に鉄則なのだ。
「させないわ」
その鉄則――吸血姫フレミアの放つ念力の壁が、その鱗粉が猟兵達の鼻腔から脳を惑わせるその前に、彼女達の周囲で動きを強制的に止めさせていた。
だが、初撃への対応はこれで終わりではなく――医師の遥が持つ、嘗て病人に触れることなく診察を行うための、木の杖が掲げられれば。
「風に舞う薄紅の嬰児よ惑う命の導きと成れ」
先端から発せられる激しくも優しき光が猫の魔術師達に照り付ければ、彼女を中心に発生する旋風と、それに乗せて放たれる数多の薄桃色の花吹雪が、留められた鱗粉を絡めとり、逆に旋風に乗せて鱗粉を乗せた花弁が猫達に炸裂すれば。
「ふぎゃああっ!!」
「うにゃぁぁおっ!」
「ふしゃーっ!」
哀れ、自分の術を以て逆に混乱の渦に巻き込まれる――その上、鱗粉が返されるその瞬間、フレミアの真紅の瞳から放たれる魔眼の波動が混乱を加速させているのだから、猶更というものだろう。
混戦を極める猫達が、更に混乱してお互いに爪で引っ掻き回る――それはそれで、猫同士の喧嘩を思わせる微笑ましい光景なのかもしれないが。
「これ以上厄介ごとを増やさないで頂戴」
ぼやきながら猫達の姿を眺めつつ、散弾銃を前後させ初撃の為の弾を込めながら。
美しい詠唱が紡がれていけば、彼女の周囲が時間を止めたかのように冷たい空気が立ち込めていく。
「終末を待ちて微睡む魔狼に率いられし、凍れる白き雪の乙女よ。其の力、鋭き矢と成し、敵を貫け」
虚空より生成される、極低温の矢が宛ら流星群のように解き放たれて次々と猫の魔術師達の脚を貫いていく。
奇しくも花吹雪舞わす風に乗せられ、その勢いはより強められ狩人神の矢にも匹敵する威力となって猫達を貫いていくのだ。
そして先ほどポンプ・アクションを起こした散弾銃を構えれば。
解き放たれた散弾が、次々と猫の魔術師達に膝をつかせていくのだが――
「おみゃーら何やってるニャ!! 帝竜様に恥ずかしいと思わないかニャ!?」
リーダー格らしき個体がドン、と杖の柄で床を叩き。
彼(?)の杖から舞い散る光の蝶が次々と――そう、花弁に対して舞う蝶とあらばそれは美麗。
しかし蜜を吸い尽くし枯らす魔蝶のように、ひらりひらりとはためかせる光の翅が幻惑の影響下で混乱していた猫達を正気に戻し、氷の矢すらも一瞬で溶かし消し去っていく。
「なっ……!!」
「なんと……」
せっかくの術を無力化され、遥と澪は口を開き驚く。
その様子に猫達は満足そうに、されど邪悪に顔を歪めると杖を振るい必殺の魔術を繰り出さんとするが。
「騙し討ち失礼」
「なんて、ね……」
それはフェイク――彼女達にとっては、その無力化すらも想定済みのことで。
魔力を集中する僅かな隙を狙い、遥の杖が後頭部を強かに打ち据え、よろめいた先に待ち構えていた澪が下段から深く、そして強く猫を切り上げた。
その様子に慄く猫達へ、更に遥からの追撃の花吹雪が舞えば、猫達は吹き飛ばされ次々と澪の待ち構える剣に切り伏せられていく。
「うにゃあ……き、消えろニャア!!」
いよいよもって危険と判断したのか、猫の一体は再び杖を振るい猟兵達を光の蝶で包み込む。
すれば一瞬で猟兵が消え去ってしまったかのよう――それは彼等の得意とする消失魔術。
今の内に、その混乱に乗じて体勢を立て直す――と思いきや。
「頂くわ」
「ふぎゃあ!?」
この事態に備え、念動力の糸を周囲に張り巡らせていたフレミアの罠に引っ掛かり猫達が次々に絡め捕られていく。
その一体につかつかと歩み寄り、首筋に歯を突き立てて血と彼の魔力と生命力を吸い上げていきつつ、口を離して彼等の真意を伺う。
「離せー! 離すニャー!! さもなくば帝竜様がおみゃーらをフルボッコにゃあ!!」
……どうやら、帝竜の下僕であることは変わりはないようだ。
完全に操られているだけなら、下僕にする道もあったが――
「せめて苦しまずに……」
トドメを刺すように牙を突き立て、生命の維持に必要な血液をも彼女は吸い尽くすのであった。
そして物語のラスト・ピースを飾る存在へと、後は全てを任せよう――軽く手を振り、元気いっぱいの武術少女へと。
「あとは任せて!!」
「にゃあ!?」
飛び込んできたのは極――奇しくも猫の魔術で透明化したのが仇となったか、猫の一体の鳩尾へ突き刺さる彼女の拳。
これまでに一番の威力、見た目からは想像もつかない正拳の一撃に盛大に吹き飛ばされ、壁にめり込む猫。
ボス戦の前に回復や力を整える――パーティの連携の次に大事な鉄則に従い、極は階段を下りる最中、力を蓄えていたのだ。
尤もその力では隙が出来てしまうのもあるが、逆に敵の透明化の魔術の逆用――そして、縛り上げてくれる味方の連携があってこそ。
この力を何よりも活かせる――なんと素晴らしきパーティプレイか。
「これで終わりだよっ!!」
逃げ惑う猫に透明化した身体で次々に強化された拳で殴り飛ばしていきながら。
最後に残されたリーダー格が慌てて魔術を解除しようとしても――それでも、隙だらけが見えたとしても。
縛られた身体では当然逃げることも許されず。
「て、帝竜、さ、まぁ……もうし、わけ……うにゃぁ……」
最後の最後まで彼等の信奉する存在への想いを口に出しながら、猫の魔術師はここに全て倒れ伏したのであった。
「あのコ達、結局操られていたのかしら?」
倒れ伏した猫達の死体と、霧のように消え去っていく姿を見ながらフレミアはぽつりと疑問を浮かべる。
言動から帝竜の復活を完全に信じているように見えたが、さりとて宝石に操られ正気を失っているようにも見える――判断はつかないと唸るフレミアに遥が答える。
「帝竜の信仰に変わりはないと思いますよ。それに……どの道放っておけば厄災が解放されたことでしょう」
「そうね。根っからの下僕には違いないわね……」
信仰自体に嘘はない。
宝石に操られていた部分も、彼等の目的のモノを宝石の災厄だと錯覚させただけなのだろう――尤も、曲がりなりにも幻術使いを惑わす辺り、封じられた災厄の力、推して知るべしなのかもしれないが。
「それより宝石の方が気になるわ」
二人の考察を一旦置いといて、のジェスチャーの後に、澪から掛けられた声に場の猟兵達は宝石に眼を向ける。
未だに禍々しい気配を放ってはいるが、復活儀式の阻止だけは出来ているようだ。
後は、グリモア猟兵が言っていたように破壊して封じられた災厄を倒すだけ。
「いよいよラスボスだね。回復とかは済ませた? セーブ……は出来ないけど」
物事をゲームで例えるような極の言葉に思わず、他の三人は苦笑して。
これはゲームではない現実――しかし、物語のラストボスの前に変わりない。
猟兵達は宝石の破壊を決意するのであった……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『アークデーモン』
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POW : 妖星招来
【宙に描かれた巨大な魔法陣から放たれる隕石】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【が大規模に変動する程の破壊が余派で発生し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : 魔神の軍勢
【無数の生贄を捧げ、悪魔の軍勢を召喚する。】【その上で邪悪な神々に祈りを捧げ、】【悪魔の軍勢にそれぞれ邪神の加護】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ : 攻性魔法・多重発動
レベル分の1秒で【詠唱も動作も無しに、呪縛や破壊の中級魔法】を発射できる。
イラスト:イガラ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「アルル・アークライト」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●カガニテ盗賊団下っ端Aの日記より
6/6――悪魔の奴は一向に現れねぇ。
その代わりに恐ろしい声で囁いてくるんだ、皆殺しだ、根絶やしだって。
日に日にその声は大きくなってくる……! 負けねぇぞ、逆にてめぇを狩ってやる。
7/7――ここで張り込んで一か月近く、ようやくわかったぜお頭。
お頭は、きっと命と引き換えに宝石の中にいる悪魔かなんかを封じ込めてくれたんだろ?
じゃなきゃとっくに現れててもおかしくねぇもんな。
最後に盗んだのが悪魔の野望なんて、洒落が効き過ぎてらぁ……。
もう日付なんて忘れちまった。
けどあの悪魔は今もささやいてくるんだ、あの盗人に連なる者は根絶やしだって。
それが四六時中聞こえてくる……寝る時も用を足してる時も、やべぇよ……!!
いつ封印が解けても良いように見張ってたけど、もう限界だ。俺はもう降りる……臆病と笑うなら笑え。
すまねぇお頭、みんな。ケチな弁当泥棒だった俺を面倒見てくれてありがとう。
そしてこの日記を目にした物好きよ、でけぇ宝石を見つけても手ぇ出すんじゃねえぞ。
さっさと逃げるんだ。盗賊のおじさんとの約束だ、いいな?
●大悪魔
最期の最期まで己の信じる存在を信じ続けた猫の魔術師達――忌むべきは、それすらも利用した邪悪な遺産。
意を決して宝石を破壊すると、辺りが一瞬闇に包まれて――そこに現れたのは。
並の竜ならば容易くねじ伏せてしまいそうな強靭な肉体、人間の魔術師では足元にも及ばない凄まじい魔力。
複数の腕と邪悪な翼を持ち、人間界に災厄を齎すことを無上の喜びとする大悪魔・アークデーモンだった。
アークデーモンは猟兵達を軽く見回すと、悍ましく低く響く声でゆっくりと語り出した。
「あの猫どもは最後まで役に立たなかったか……」
……そういえばあの猫達は正気を失っているようにも見えたが、この悪魔のせいなのだろうか。
もしかしたら彼等を操り、この封印空間まで引き寄せて儀式を行わせていたのかもしれないが、今となっては確かめる術もないだろう。
真相はどうあれ、完全な形での復活は敵わず、その力には衰えが見え――これなら十分に太刀打ちができるだろう。
「まぁ良い。代わりに貴様ら猟兵――寝覚めの食事には丁度良いわ」
そこで漸く猟兵達の戦意に気付いたのか、大悪魔は翼を大きく広げて空間を震わすほどの魔力を漂わせた。
「その後はこの地の民、全てを喰らい尽してくれる。我が時間を奪いし大罪、償わせてくれようぞ!!」
――古の宝と封じ込められた災厄を完全に断つ為に。
最後の戦いが今、始まった!!
フレミア・レイブラッド
悪魔風情が調子に乗らない事ね…。
…まぁ、その実力は本物そうだし、こちらも本気でやらせて貰うわ…!
【吸血姫の覚醒】を発動。更に魔神の軍勢に対抗し、【ブラッド・オブリビオン】で「終焉を呼ぶ黒皇竜」の「黒皇竜ディオバルス」を召喚。
【インフェルノ】や【黒皇竜の一撃】で軍勢を蹴散らして貰うわ。
自身は敵本体狙いで覚醒で得た速度や【残像】、【見切り、第六感】で敵の攻撃を回避しつつ、膂力や【怪力、早業】による魔槍で高速連撃。
最後は(場合によっては黒皇竜の【カタストロフィ・ノヴァ】も合わせて)【力溜め】により全魔力を集中させた【神槍グングニル】で跡形も無く消し去るわ…!
手加減無しの全ての力で大盤振る舞いよ…!
●吸血姫VS大悪魔
伝承の中の魔神、災厄の化身とも呼ばれる存在だけあって相対しているだけでも肌が総毛立ち魂が危険を訴えるような気がしてくる。
それでもフレミアは血の如き紅く美しい瞳を以て大悪魔を睨みつけた。
「悪魔風情が調子に乗らないことね……」
「ふん……“同類”がよく言うものよ」
大悪魔が嗤って見下す先にあるのは、真祖の力を解き放ったフレミア。
大人びた姿に変わり背には似たような悪魔の翼が生え、目の前の大悪魔にも劣らぬ力を備えていることだろう。
互いの圧倒的な魔力と闘気がぶつかり合い暫しの間膠着が続くが。
「行けい、我が配下よ!」
「フレミア・レイブラッドの名の下に、わたしに力を貸しなさい!」
大悪魔が自らの血を代償に下級の魔神の軍勢を呼べばフレミアが呼び出すのは黒き高位の竜。
魔神の軍勢をその力強き尾と発する豪炎を以て蹂躙させながら、フレミアは四枚の翼をはためかせ向かう――その先は、大悪魔。
それに気づいたのか、大悪魔もまた輝く方陣を一瞬で宙に描くと詠唱を紡ぐ。
「永劫なる星よ、太陽を超えし回帰の輝きよ、我が敵を圧し潰せ!」
描いた方陣から呼び出されるは圧倒的な破壊をもたらす隕石だった。
フレミアの呼んだ竜にも比肩する大きさの隕石が哀れ彼女を圧し潰すかと思われたが……違った、彼女は、それを片手で受け止めていたのだ。
高位の竜をも凌ぐ膂力を得た彼女にとってはそれは容易く――受け止めた隕石を投げ返せば、大悪魔に盛大に当たりかの巨体が揺らぎ。
その隙に一瞬で、瞬間移動を以て眼前に迫るとフレミアは神槍を何度も体に突き立ててていく。
「手加減なしの大盤振る舞いよ……! 全ての力で、消し去るわっ……!!」
並の竜ならねじ伏せる膂力も、高位の竜には及ばない――大悪魔の剛腕を捻じ伏せるかのように槍を突き立て、黒竜からの追撃の大火球がその体を飲み込むのであった。
成功
🔵🔵🔴
春霞・遙
日記を残した盗賊、常にこの邪悪に晒されていたなら早々に膝を屈しても仕方がなさそうですけれど、流石は伝説の大盗賊団といったところでしょうか。
コレを封じた頭領と生き延びて記録を残した方の心意気に報いるためにも、恐れてはいられませんね。
敵の攻撃の妨害と味方の補助を主に。
集中させないために魔法陣の描出や祈りを捧げる様子があれば「クイックドロウ」「スナイパー」「援護射撃」で妨害。
他の方への呪縛やダメージは【生まれながらの光】で回復し、自分への攻撃は可能な限り「第六感」で回避を試みます。
風薙・澪
アークデーモン、不完全な状態でもこの威圧感とは・・・
銃、剣、魔術(UC)の攻撃で撹乱しつつ攻撃
距離があるときは、銃と魔法で攻撃し、接近したら剣と銃で攻撃
銃弾の装填の隙は、魔術で補い、魔術の詠唱の隙は銃と剣で補う。
とにかく波状攻撃を仕掛けて、相手に回避と防御にリソースを使わせ、攻撃の機会を減らす
隙を見て顔に向けて魔法と銃撃を集中させ、視界遮り、自身は跳躍、落下の勢いと両手で保持し振り下ろした剣の一撃で、腕を一本切り落とす
予備動作なしの敵の魔法はもう反射神経と運に任せて避けるしかないわ
鉛玉ならたんまりあげるわ、たらふく食べなさい!
(腕斬りの攻撃が成功したら) 腕一本!もらった!
アドリブ可連携可
●医者&魔戦士VS大悪魔
見事な一撃を喰らわされたにも関わらず、大悪魔の纏う覇気のようなものには一切の衰えが見られない。
決して浅くないダメージを負ったとはいえ、生命力にもまだまだ余裕はありそうだ。
「不完全な状態でもこの威圧感とは……」
大きく裂けた口の荒れる息遣い、そこから漏れ出す圧倒的な気配に澪も油断ならぬものを感じる。
そしてそれは遥も同じようであり、あの日誌のことを思い出す。
「一か月近く、常にこの邪悪に晒されていたとしたら……」
寧ろよく耐えて張り込んだものだと敬意を表するばかりだ。
流石は下っ端とはいえ曲がりなりにも伝説と呼ばれた盗賊団の一員といったところか。
或いはその仇討の執念、恐るべきものかもしれないが。
「報いなければなりませんね。あの義賊たちの為にも」
記録を残した彼にも、そして命を懸けて封じた首領の為にも恐れてはいられない。
改めて決意を露わにする彼女たち二人に、大悪魔は義賊たちと聞いて忌々し気に顔を歪めた。
「ッ……思い出すだけでも忌まわしい……!! 人間風情が、二度も我を封じ込めるなど……!!」
「その人間風情に倒されるのよ。今から、ね……」
一度は宝石に封じ込められたとき、二度目は盗賊団に封じ込められた時のことだろう。
何れにせよ人間を見下す以外の感情を持たない大悪魔の頬を、澪が発砲した銃弾が掠める。
これには苛立ちが更に煽られてしまったのか、大悪魔は翼を震わせ金色に輝く三つ目を向けた……が、続け様に一瞬の早業で撃たれた遥の拳銃が彼の集中を乱す。
並の魔術師を圧倒的に凌駕する魔力を持ったこの大悪魔は、中級に類する術法ならば無詠唱かつ動作も必要とせずに何発も放てる――それを警戒し、澪と遥は徹底的に大悪魔の集中を削ぐことにしているようであった。
メインの妨害は単発の威力も高く範囲も広い散弾銃を持った澪が行い、ポンプアクションの一瞬の隙と、リロードの合間は遥の拳銃が補う。
大悪魔にとっては未だ小雨に等しいが、苛立ちは魔術の発動を阻害され、肉体の力で押し切ろうにも先ほど受けた傷から全力を発揮できない。
だが隙を補う遥の弾も有限、再装填の隙こそと狙いを定めても。
「終末を待ちて微睡む魔狼に率いられし、凍れる白き雪の乙女よ! 其の力、鋭き矢と成し、敵を貫け!」
その時には、それを見越していた澪の放つ氷の矢が、大悪魔の翼膜に突き刺さり凍てつきを以て一時的にその翼を封じた。
「オノレ……!!」
流石に大悪魔もこれは効いたのか、鬱陶しい銃弾と魔術の牽制の嵐に腹を括ることにしたようで、銃弾と氷矢の嵐の中を強靭な肉体に物を言わせて突っ切ると、その剛腕を振りかぶり地面に叩き付ける。
竜をも凌ぐ膂力で繰り出されたそれを避けるも、二人は分断され銃撃と魔術を中断する――それを見逃さなかったのか。
「しまっ……」
直感で回避を試みようとしても今一歩間に合わず――氷矢で翼を穿った存在への怒りが強いのか、呪縛の対象は澪となってしまい。
続けて破壊の魔術が彼女の体を粉砕してしまうのだろうか……否、それは違った。
「しっかり!」
降り注ぐ柔らかな癒しの光、それは遥が咄嗟に放った聖なる光であった。
大悪魔もその聖なる輝きは受け付けないものがあるのか、明らかに顔を顰め魔術の行使を中断し。
そしてその一瞬の隙を澪は見逃さない、呪縛から解き放たれるや否や、銃弾と魔力の全てを使う勢いで大悪魔の顔面にそれらを容赦なく打ち込んでいく。
「鉛玉ならたんまりあげるわ、たらふく食べなさい!」
発砲と術の行使による疲労は絶え間なく降り注ぐ遥の光が癒す。
顔面を覆いよろめく大悪魔へと、澪は力強く跳躍し氷狼の牙が仕込まれた魔剣を大きく振りかぶって――
「グガアアアアアアッ!!!」
「腕一本! 貰った!!」
大悪魔の持つ六本の腕の内の一つが、鈍い音を立てて転がった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
幻武・極
へえ、アークデーモンか、なかなかの強敵だね。
でも、盗賊に封印されたりとぬけてるところもあるよね。
上位の悪魔が下位の悪魔を召喚・強化するのに自身で代償を支払ったりとか本末転倒だよね。
それに永いこと封印されていて悪魔の軍勢を召喚するのに必要な生贄なんて用意できるのかな?
ボクは幻武之極でアークデーモンを狙い打ちするよ。衝撃波やなぎはらいで範囲攻撃にして悪魔の軍勢を巻き込んでおくよ。
●武術家VS大悪魔
追い詰められるほど、その力を爆発的に増大させ攻撃もまた激しくなっていく――これもまた、一種のお約束というものなのだろうか。
腕を落とされた大悪魔は、人間の魔術師では決して及ぶこともかなわない圧倒的な魔力にモノを言わせ、詠唱も動作も不要な破壊魔術を何発も、何発も繰り出し周囲を破壊していく。
触れれば爆発を引き起こす光の弾、怒りでコントロールを失っているそれを軽々と躱し爆発の余波までも受け流していきながら極はその実力に感嘆する。
「へえ、アークデーモンか……なかなかの強敵だね」
しかし強敵であればあるほど、最高の武術を追い求める身としては燃え上がるものだ。
自分より強い相手に会いにいく……というわけでもないが。
それはさておき、大悪魔も小柄な少女がひょいひょいと術を躱す姿を見て苛立っているのか、切り落とされた腕から流れる血を救うと、それを代償に下級の悪魔の軍勢を呼びつける。
百鬼夜行とはこのことだろうが、ふと極は大悪魔の所作を見て疑問を呈した。
「上位の悪魔が下位の悪魔を召喚・強化するのに自身で代償を支払ったりとか本末転倒だよね?」
封じられて贄も用意できない、ならば自分の血、それに流れる生命力を代償にしているのだから何とも。
尤もな指摘に激怒したのか、大悪魔はより一層の流血を厭わずに呼び出した軍勢を強化する。
しかしだ。
極に負ける気は一切ない――鍛えぬいたこの武術、古の悪魔に何ぞ劣るものか。
虚実入り混じる必殺の剛拳が流星の如く大悪魔の強靭な体を打ち据え、発生する衝撃が悪魔の軍勢を次々に薙ぎ払い。
そうして鍵型の端末に、先ほど記録した破壊魔術の嵐を開放し大悪魔に逆に突き返した後に、赤外線で繋いだ身体を更に爆散させ。
炎と、水と、土を拳に宿した更なる拳の乱打が大悪魔の体を容赦なく削ってく。
習得した武術の全てを解き放つ、超・必殺奥義であった。
「これが幻武流の究極の奥義だ!!」
成功
🔵🔵🔴
火土金水・明
「ウィザードとしては、大悪魔と戦うチャンスは逃したくないですね。」
【WIZ】で攻撃です。
【先制攻撃】で【高速詠唱】した【属性攻撃】の【全力魔法】の【破魔】属性の【サンダーボルト】で『アークデーモン』を【フェイント】を掛けつつ【範囲攻撃】でどこに動いても狙えるようにして【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「あなたの野望はカガニテ盗賊団と出会った時から、終わっていたのですよ。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
●魔術師VS大悪魔
全身を焼かれ、腕を一本落とされ、なおかつ更に全身に殴打を受けても大悪魔の威容は一切劣ることはない。
今こうして相対している長身の、如何にも魔術師といった風貌の彼女、火土金水・明(人間のウィザード・f01561)にもその圧倒的な魔力は分かった。
しかし。
「ウィザードとしては、大悪魔と戦うチャンスは逃したくないですからね」
「人間の魔術師風情が我に敵うとでも……?」
息を荒げながら、大悪魔は禍々しい金色の瞳で真っ直ぐに明の黒い瞳を見つめる。
その上で人間を見下す意思は崩さぬまま、圧倒的な魔力を高め始めていく。
「受けよ、天からの贈り物!」
大悪魔が無詠唱で破壊魔術を行使する前に、悪魔が魔力を練り上げるその前に彼女は指先を向けて雷を落とす。
無論それは単なる雷ではない――悪魔祓いの破魔の力を秘めた聖なる雷が強靭な肉体を一気に貫いていたのだ。
堪らずにボロボロの翼をはためかせ距離を取らんとする大悪魔を、掲げた杖から広がらせた雷があっけなく捕えその肉体を打ち据えていく。
洞穴を照らす閃光が止み、雷が消え去ればそこには白煙を噴き上げ膝をついた大悪魔が居た。
「よもや、人間風情に潰されるか……猟兵め……!!」
強靭な体が粒子となって消えていく最中、大悪魔は忌々しそうに場の猟兵達を眺める。まさか人間如き――オブリビオンとして猟兵という存在だと分かっていても、人間風情が高等生物を倒す事実に信じられぬようであった。
「いいえ」
だがその憤怒を冷静に明は否定する。
「あなたの野望はカガニテ盗賊団と出会った時から、終わっていたのですよ」
邪教の悪用から図らずとも盗み出し、命を賭けて封じ、恐怖を制し記録を残し。
だからこそ、猟兵達は集まりそしてこの大悪魔を倒すことができたのだ。
「おの、れ……!!」
最期の最期まで往生際悪く腕を伸ばす大悪魔の体を、明の放つ裁きの雷が今度こそ完全に滅するのであった。
●呼び起こしてはならないモノ
古の災厄とそれを封じた宝玉の物語は終わった。
蘇りし災厄は猟兵達の手で片付けられ、大悪魔の野望も露と消えた。
――今もなお、この洞窟はロマンスを閉じ込め続けるのだろう。
それに封じられた災厄もロマンスもとうに砕かれていることは、誰も知る由はない。
だがそれで良いのだろう――命あっての物種、ロマンスまで砕く必要はない。
これから先も、この洞窟は宝玉を求めてやってきた者に何も答えずただ存在していくのだろう。
やがて来る自然の崩落なり何なりが来るその時まで。
人知れず封じた災厄と宝玉から始まった物語ならば、それを断ったのもまた人知れぬ活躍。
一つの英雄譚を終えた猟兵達は、洞窟を後にし広がる青空の下、各々の居場所に帰っていくのだった。
大成功
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