バトルオブフラワーズ⑩~絶対無敵に尊死を
●カワイイ怪人『ラビットバニー』
暗い色合いのピンクと紫の衣装を身にまとったバニーガール姿のオブリビオン。
首元の制服のような襟と黒に白のストライプでデザインされたリボン、差し色にヒョウ柄を添えたロングブーツが艶やかさを引き立てていた。
それとは相反するようなポップさを醸し出すデフォルメされたウサギの被り物とヴァイオレットカラーの赤べこ。
ウェーブのかかった翡翠色の長い髪が魅力的な彼女こそが、カワイイ怪人『ラビットバニー』である。
被り物で声がくぐもるが、その陽気なテンションと共に突き抜けて耳に届く。
「そマ?! モンキーやられてっし! あいつあーしらの中で最強っていうか、誰も勝てる訳ねーって思ってたんですけど!」
同胞の敗北に言葉だけでなく大きな身振り手振りで感情を表す。
エイプモンキーがいれば働かずに楽ができると思っていたらしく、悲しみよりも面倒くさいことになったと落胆していた。
落ち込み垂れた頭がくいっと前を向くとウサギの被り物で見えない顔が輝いているように感じ取れた。
「でもまあ、あーしが全員始末すりゃまるっと解決っしょ!」
同胞を倒した猟兵たちを楽観視できるほど彼女には自信があった。
「あーしには絶対無敵のユーベルコードがあるんだし。それで負ける訳なくない?」
●割とちょろあまなウサギちゃん
「今回の標的には絶対無敵とされるバリアを使用するわ。私たち猟兵の攻撃が届くよりも先にね」
メルティア・クレンセルト(籠から飛ぶ鳥は何を見るか・f02509)は事実を端的に言った。
真っ向から挑もうとしてもバリアは文字通りの絶対無敵。
絡め手を使おうにも猟兵よりも先に行動が完了する。
そんな弱点の見つけようもないバリアをどうすれば破ることができるのか。
「エモいことをしなさい」
多くの猟兵が疑問符を浮かべた。
言葉の意味を理解できてない者もいたようだが、バリアへの対策を練っている最中に耳にするはずのない言葉であった。
「……残念なことに大真面目なの。ラビットバニーはエモい瞬間を目撃するとバリアが薄れるとわかったわ」
エモいとは何か。
『感情が強く揺さぶられる』瞬間や行動を称賛する際に使う若者言葉のようなものである。
見知らぬ相手を感動させる、ましてやオブリビオンという未知の生命体の心を響かせることとなどできるのだろうか。
「ラビットバニーが携帯端末を見ている最中にバリアが解除されることがあると報告があった。内容はどうやらSNSの投稿のようでね」
『階段をなかなか降りられない子猫の動画』
『とあるゲームのファンアート』
『#キュンとくる告白』
バズりそうな内容なら何でもいいようだ。
芸術でも行動でも言葉でもジャンルを問わずいいねが押されていた。
例を述べているメルティアの目が呆れを通り越して曇っていく。
世界の命運をかけた戦いの対策法が自分の理解の遥か上にあったという不甲斐なさよりもキマイラフューチャーの摩訶不思議さに頭が混乱していた。
「こんなことで絶対無敵なバリアが剥がれるような相手だけれど実力は本物よ。バリアがなくなったところで実力は拮抗すらしていないわ」
規格外の強さを持つ強敵との接触は猟兵であれば避けられない。
例え勝てるかもわからない相手だったとしても挑まざる負えない。
困難を超えることができなければ世界の滅亡が待っている。
「それでもあなたたちは行くのね?」
猟兵たちは頭を立てに振り、各々のやれることを模索し始めた。
覚悟が決まった者から戦場へと発つ。
遠くなっていく背中を見つめていると湧いてくる感情があった。
「……はぁ。これもエモいことのひとつなのかしら?」
月ノ環
どうも、月ノ環(つきのわ)です。
最近、某アイドルシリーズのライブ観に行きましたが、エモエモのエモでした。
●特殊ルール
ラビットバニーは必ず、猟兵に先制して『絶対無敵バリアを展開するユーベルコード(POW、SPD、WIZ)』を使ってきます。
絶対無敵バリアは本当に絶対無敵で、あらゆる攻撃を無効化しますが、「ラビットバニーがエモい物を目撃する」と、精神集中が乱れてバリアが消滅します。
ラビットバニーのエモい基準はかなりユルいので、バリアの解除は比較的容易と思われますが、バリアなしでも彼女は相当の実力者です。
●エモさの基準
割と何でもいけます。
行動に限って例を出すなら、個人的には窮地に立たされた時に見せる個性が光っていると食いつきます。
あとは、実力差を理解したうえでの抵抗とか。
完成された強さよりも発展途上の不格好さとかすごく好き。
●難易度について
バリア解除は容易ですが、オブリビオンは強敵です。
メルティアが言った通り、バリアがなくても五分に至りません。
戦闘を軽視すれば重傷を負ってもおかしくはありません。
万全の状態で挑んだとしても失敗や大失敗での返却になることもありますのでご了承ください。
シビアな判定とダイス神のきまぐれをかいくぐって最高のエモーションを見せてくれる皆様のプレイングお待ちしております。
第1章 ボス戦
『カワイイ怪人『ラビットバニー』』
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POW : 赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : うさちゃんカンフー
【絶対無敵バリア展開後、兎面の目が光る】事で【うさちゃんカンフーモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : おはなハッキング
【絶対無敵バリア展開後、両手の指先】から【システム・フラワーズ制御ビーム】を放ち、【花の足場を自在に操作する事】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:和狸56
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アレク・アドレーヌ
そもそもエモいってなんだよ…?という疑問はさておいて。
対策取れよーっていってもやれることは限られるからな…まぁいつも通りUC使って各方面にフォームチェンジして特化したうえで殴るだけなんだが。
で、対策考えてもどれがエモいかわからんからパワーシフト・スピードシフト・テクニックシフトの三つ全部を順に使いながらバリア殴ってみると同時に目まぐるしく姿を変えてみつつ反応を見るのが一番かもしれない
これでバリアが解ければいいけどある意味個人的には猿よりめんどくさいぞこいつ…(猿が最強とは言うけどUCの効果的に戦いやすかったのもある)
(アドリブ歓迎・共闘歓迎
「対策を取れよーって言われてもな……」
アレク・アドレーヌ(出来損ない・f17347)はピンとこない言葉に頭を掻く。
そもそも『エモい』ってなんだよ、とため息を吐きながら気だるげに考えた。
考えを巡らせても解を得ない末に導かれた答えはこうだった。
「いつも通りにやるのが一番だな」
自分の戦い方にたまたまエモいことがあることに賭けて自らの身体を変体させていく。
胴体より二本の腕が生え、四腕二脚の姿となる。
「アンタ、あーしとやるつもり? やめといた方がいいと思うけど」
「生憎、ヒーローは退けない性分なんだ」
バリアを展開したラビットバニーの兎面の目が赤く光り尾を引く。
片足を上げ大げさに構えを取って挑発する彼女の体感にブレはない。
アレクは無謀とわかりつつもバリアをまとった敵へと目にも止まらぬ速さで拳を撃つ。
しかし、拳は届かない。
まるで水に流されるようにするりするりと軌道がそらされる。
テクニックシフトで太刀打ちできないのなら次はこれだ、と姿を変える。
腕は元に戻り全身の筋肉が縛り上げられるように引き締められ極端なまでにシャープなシルエットとなる。
「消え……?!」
アレクはスピードシフトでラビットバニーの意識から外れ、打撃を加えるも絶対無敵のバリアでダメージは与えられなかった。
「目で追えない速さなんて滾るじゃん?」
「くっ……」
余裕の表情を見せる彼女にアレクは焦った。
手数は対応され、速さは勝れど絶対無敵。
ならば、せめてバリアをも砕けるこの一手に。
「この一撃に賭ける」
「ぇ、なになに? 必殺技見せてくれんの?」
バリアを形成する光が揺らぐ。
彼女は自身が優勢だと揺るぎない事実を覆せる奥の手があると期待して心がざわついていた。
アレクは一度距離を取り、ロケットスタートの構えを取る。
踏み出せば一足飛びで最高速に至った。
真っ向から突っ込み、残された最後の姿へシフトする。
「力こそパワー!」
三倍以上にも隆起した怪腕は乗せたスピードと相まってジェット機のような破壊力になり彼女へ迫る。
パリン、と音を立てて割れるバリア。
「はあぁ~、エモいじゃん!」
ラビットバニーのお気に召すもアレクの攻撃は届かず。
勢いを利用されカウンターの発勁を受けることとなった。
苦戦
🔵🔴🔴
アドルファス・エーレンフリート
ワーオ、キュートなフェイスにダイナマイツなボディーのギャップがたまらないネ!
…そして殺気や気迫も混ざってとんでもないナァ
楽死い戦いになりそうだネ
先手はどうしても取られちゃうネ、悲しいナァ
初手撃沈はカッコ悪いから何が何でも避けるヨ
武器受け・生命力吸収・衝撃波、使えるものは何でも使おうカ
服がボロボロになるのは辛いナァ、仕方ないネ
凌げたなラ、今度は我輩の手番だネ
「食らった」傷で血が活性化すル…血が燃えて傷を焼き潰す
髪を整えて、第二ラウンドだヨ
(エモポイント:流血されど意気軒昂、乱れた髪をかきあげて啖呵を切る)
更に増血剤を服用し、失血のリスクを減らし、燃料を補給
竜炎を纏い、撒き散らし、爆ぜ暴れる
「ワーオ、キュートなフェイスにダイナマイツなボディーのギャップがたまらないネ! こんな状況でもなければお茶に誘いたいものだがネ」
「ナンパする暇があるならおじさんも攻撃しなよー。あーしは尽くすタイプだけど一方的なのつまんないしぃ」
バリアを張り直したラビットバニーはエネルギー弾が撃ち出される度に首を揺らす赤べこキャノンを携え、初老の竜人に照準を合わせる。
恰好だけを見れば模範的な紳士だ……と言いたいところだが、いかがわしい雰囲気と持ち前の悪人顔は隠しきれない。
さらに加えて本音の見えない怪しい口調となれば、彼女もキャノンの攻撃回数を増やし出方を探ることに徹した。
アドルファス・エーレンフリート(立てば胡乱げ 座れば不審 歩く姿は白々しい・f07048)は少しずつだが確実に被弾回数が増えてきている。
アドルファスを囲むように放たれたキャノンの爆風で一瞬身体が浮く。
その隙を見逃さないラビットバニーはひと際威力を高めた一撃を直撃させた。
「そろそろ本気出さないとおじさん死んじゃうよ?」
「あぁ、服がボロボロだナァ。お気に入りなのだがネ」
煙の中に佇む影は凛としていた。
落胆するもその口元はニタリと笑っている。
灼けた襟を正し、流血をワックス代わりに髪を整える。
「第二ラウンドは我輩の本気を見せようカ」
彼女はあわわ、と右の手で口元を覆い身を震わせる。
「ぁ、おじ様めっちゃエモいじゃん……」
絶対無敵のバリアは剥がれ落ちた。
対してアドルファスは血を流していた傷口が塞がっていく。
受けたダメージが生命力を活発にさせ自己再生を行う彼のユーベルコード、リヴァイブ・セル。
「お嬢さん、円舞曲はいかがかナ?」
竜炎のタキシードを身にまとい、見惚れていたラビットバニーの手を取ると自身をも巻き込む爆炎を撒き散らし熾烈なダンスに興じたのだった。
苦戦
🔵🔴🔴
「ぶっちゃけ、あーしのこと大好きっしょ? みーんなそうに決まってるし。一心不乱にあーし目掛けて熱烈なおもてなししてくれるわけだし!」
カワイイ怪人『ラビットバニー』は依然として力の衰えが見えない。
戦闘で乱れた髪をくしでとかし、剥がれたネイルを塗り直していく。
常にかわいい自分を維持するためにこの戦いに敗れるのはナンセンス。
猟兵の牙はひらりひらりと軽やかに舞う蝶の如く躱される。
見た目だけではない美の体現は今もここに君臨する。
「どうせあーしらには勝てないんだからアンタらも好きなことに時間を使うのが良くない? 欲望に素直なのが一番じゃん」
堕落への誘いは魅惑的なもの。
一度落ちてしまえばその誘惑からは逃れきれない。
だが、猟兵は破滅の運命に抗う者。
ここで諦めて世界を手放す選択肢などあり得ない。
「……ふーん、面白いじゃん。気が済むまであーしが相手してア・ゲ・ル」
宮落・ライア
全力で撃て。
此処で宣言しよう。
決して避けない。だから必中でも数でもなく威力に賭けろ。
正面からそれを切り開いて見せる。
相手の先制攻撃あかべこキャノンを
【気合い・覚悟・力溜め・怪力・捨て身の一撃・薙ぎ払い
・剣刃一閃】で迎え撃つ。
痛みは【激痛耐性】で耐え抜く。
キャノンを切り裂くことに成功したなら、土煙の晴れたそこに立つのは真の姿【透き通る大剣を携えた姿】
攻撃を切り裂く際に大剣から放出された星の光が周囲に舞い
それはそれは綺麗だろうな!
有言実行はえもいとおもうな!
「全力で撃て。決して避けない」
乱射された赤べこキャノンを武骨な巨大な大剣で軽くあしらった宮落・ライア(ノゾム者・f05053)は高らかに宣言する。
ラビットバニーは突拍子もない発言に首を傾げる。
「アンタ、マゾなの?」
「茶化すな! わたしは本気だ。お前の最大威力のキャノンを切り開いて見せよう」
「ふーん、言ってくれるじゃん。面白そうだし付き合ってあげる。エモそうだし」
宣言に沿うように赤べこキャノンに力を溜めていく。
凝縮されるエネルギーは先程まで放たれていた白い光から青白いものへと色を変えていく。
興味はあれど慈悲はない。
ラビットバニーなりの誠意としてチャージしきった砲門をライアに向けて宣言する。
「これがあーし最大火力だし」
発射された勢いを赤べこキャノン自体が物語る。
今までは、からころと揺れていただけの赤べこの首が可動限界に達しガタガタと端まで動いては衝撃で反対側へとはじき返されていた。
目前まで迫る破滅の光に反逆の牙を突き立てる。
上段から振り下ろすように振るった大剣と青いエネルギー弾が鍔迫り合い、通常ではあり得ない金属を削るような高い音が耳をつんざく。
膝が笑う。
それに釣られるようにライアも苦笑いをこぼした。
「……こ、こんなものっ!!」
大剣に力をより一層込めると眩い光と共に土煙が吹き上がる。
「へぇ、ロマンチックでエモいじゃん」
「うるさいよ……。有言実行をエモいと思うな!」
晴れていく土煙の中からキラキラと星のように輝く光が散り、少女の姿を照らし出す。
大剣を地面に突き刺し杖代わりにすることでどうにか体勢を維持していたが、たまらず膝をつく。
宣言通りに切り裂いたライアではあったが、真の姿の解放には至らなかった。
まだ準備は整っていなかったのだ。
しかし、これだけの逆境に追い込まれればその力は解放することができるだろう。
ノゾム者よ。
もし、その先にノゾムものがあるのならもう一度立ち上がれ。
セイギノミカタは負けられない。
意志を継ぐ者たちよ。
彼女の勇姿を称えるなら今こそ立ち上がれ。
戦士の牙は決して折れることはない。
苦戦
🔵🔴🔴
音羽・浄雲
※アドリブ、絡み歓迎です。
「無敵ですか」
素早く印を結ぶとその身が蒼炎に包まれる。音羽忍法【鬼火】、己が生命を薪とくべ怨嗟を纏う術だ。
「此度の戦は世界の命運を握るもの、いつかはわたくしも直面しなければならない戦にございましょう」
無敵バリアには通用しないと知りつつも蒼炎と脇差【謀り長慶】を繰り出してしていく。
「いつか仇を討つその日の為に・・・・・・例え劣っていようとも、例えこの牙が届かぬとしてもこの身命投げうたぬ道理はない!」
付け狙う仇は恐らくはオブリビオンフォーミュラ。浄雲にとってその同類の配下とあらば今の己の力を試すには相応しい場面。
今ここで燃え果てんと言わんばかりに復讐鬼が燃える。
「無敵ですか」
厄介ですね、と音羽・浄雲(怨讐の忍狐・f02651)は添えるように呟き、流れるように素早く印を結ぶとその身が蒼炎に包まれる。
一時、名を馳せた傭兵集団『音羽衆』が操る音羽忍法【鬼火】をその身に纏う。
己の生命を薪とくべ怨嗟を背負い力と為す術である。
「此度の戦は世界の命運を握るもの、いつかはわたくしも直面しなければならない戦にございましょう」
「まるであーしは通過点に過ぎないって言い方じゃん? 超ムカつくんですけど」
目の前の強敵を視認しながらも浄雲はさらに先のいつかを見据えている。
これまで向かい合った猟兵たちは形は違えどラビットバニー自身を対象に相対してきた。
それ故に浄雲の眼差しが気に入らなかった。
「……いーじゃん、やってやるし」
ラビットバニーは静かに構えると兎面の目に赤く揺らめいた灯が宿る。
先手を打つのは浄雲。
右手を払うように蒼炎を撒くと散り散りに火花が舞いウサギを襲う。
ラビットバニーその牽制を発勁で掻き消し距離を詰める。
バリアを張っている状態の相手に一太刀浴びせることはできないとわかっている浄雲は妖刀【謀り長慶】で攻撃を威力を外へといなす。
「生意気な目ぇしてる割にたいしたことないしぃ」
ラビットバニーの打撃は加速する。
いなしきれない攻撃が一撃、二撃と左肩と右腹部へと入った。
「……訳わかんないし」
攻撃をしていたはずのウサギの掌が蒼く燃えている。
「独りでは敵うはずもないでしょう。わたくしでは力不足だと身体の痛みが告げています」
しかし、彼女はひとりではない。
「無念を抱えて死んだ同郷の仲間たちの力を背負っている。いつか仇を討つその日の為に・・・・・・例え劣っていようとも」
小さな火種だと思っていた眼前の猟兵が抱えた闇にウサギの纏う光が揺らいだ。
認めたくなどない。
しかし、これはきっとそうだ。
「例えこの牙が届かぬとしても、この身命投げうたぬ道理はない!」
復讐鬼は今ここで燃え果てんとその身に宿した怨讐の炎を滾らせた。
(……ッ!? ダメ、エモくて……)
光は花が散るように、儚くひらひらと。
訪れた好機に浴びせる一太刀。
舞う光の花弁ごと燃やし尽くさんと傷跡から蒼炎は噴き出した。
ラビットバニーの苦悶の声など炎に宿った怨嗟の音に掻き消されてしまっていた。
大成功
🔵🔵🔵
声にならない音を漏らしながらウサギは燃える。
消えない蒼炎がまとわりついたまま離れない。
バリアで一時的に痛みから逃れることはできても絶え間なく追撃をする猟兵たちの攻撃とエモいシーンを見せつけられることによって着実にダメージは蓄積されていく。
「訳わかんないし。どれだけ来たってこの絶対無敵のバリアがあるあーしが負けるはずないし。なのに……」
心がざわついて落ち着かない。
エモさを感じて揺らいでいるだけではないことをラビットバニーは理解していた。
負けるはずがない、そう告げたのだ。
自身が押され始めている事実に気付き、焦りが生じている。
相手がひとりなら、彼女は圧勝していた。
しかし猟兵とは、ひとりであり群れである。
踏み出したものがいれば後に続く者がいる。
例え一から始まるとしても、了を迎える頃には力は集い強力なものとなる。
個で完成されたオブリビオンの強さを象徴する彼女の『絶対無敵のバリア』は決して侮るものではない。
だが、猟兵の強さも侮れないものだと理解できただろう。
「最高にエモくてうらやましいじゃん」
花咲く道の先でカワイイ怪人『ラビットバニー』は凛と立つ。
「次にあーしにヤられたいのは誰だしぃ?」
シュガー・ラビット
アドリブ歓迎!
彼女には親近感と好奇心と嫉妬心(主に胸)を抱いています。
(宣戦布告!!)
バニーちゃん。どちらが真のラビットにふさわしいか、ここで決着つけよう。覚悟してよねっ!
■行動
私は【キャロット☆ストライカー】に乗って軽快に登場っ☆
ラビットの誇りをかけてウサギらしく魂震えるくらい“可愛らしい”攻撃でバニーちゃんと真っ向勝負するよ!ラビットたるもの、にんじん推しであれ!
ということで追尾型の【にんじん☆ミサイル】(一斉発射)や【キャロット☆ストライカー】(吹き飛ばし、捨て身の一撃)を遠隔操作して攻撃したり
兎キマイラ自慢の身体能力(メルティ☆キャラメルで強化)と自慢の翼をうまく活かして戦うよ!
ふわもこ優しさたっぷりのバニラの香り。
風を切ってキャロっと登場!
「しゅがーちゃんだよ!」
「何そのエモい乗り物?!」
ぱりーん。
シュガー・ラビット(白くて小さなふわふわ☘️・f02321)はかわいくデフォルメされたニンジン型の宇宙バイク、キャロット☆ストライカーで颯爽と登場した。
ラビットバニーもウサギの性からは逃れられず目に映るふぁんたじーましーんに興味津々である。
「バニーちゃん。どちらが真のラビットにふさわしいか勝負だよ!」
シュガーはラビットバニーをある一点を見つめて宣言する。
(同じラビットなのにあのお胸は……ぐぬぬ)
親近感と好奇心と少しのコンプレックスを添えて、にんじん☆ミサイルを発射する。
先手を打ったと思っていたシュガーだったが、背後に迫る気配にキャロット☆ストライカーのエンジンをフルスロットルにする。
「あー、惜しい。アンタを捕まえてそのエモいニンジンに乗ろうと思ってのに」
システム・フラワーズを指先から出るビームでハッキングし、足場のお花を自在に操り捕らえようとしたのだ。
追尾が追い付かない花の様子を確認し、キャロット☆ストライカーを遠隔操作に切り替えて攻撃へと転用する。
天使のような自慢の腰翼があれば追撃を避けるには十分と判断したからだ。
カートゥーン調のスモークをもくもくと噴き出しながらミサイルとストライカーがバニーを襲う。
「あーしにも乗せてくれるの? 優し……ぅぐっ、なかなかの暴れ馬じゃん」
バニーはキャロット☆ストライカーを身で受け止めることによって手をかける隙を作り、勢いに振り回されているだけだが乗ることに成功していた。
「バニーちゃんが乗ってるとえっちぃ感じになるのズルいよぉ!!」
腕をぶんぶんと振り回してぷんぷんとした気持ちを表す。
ただ跨っているだけで絵になるのはセクシーラビットであるからこその親和性なのだろうか。
花を引き連れて飛ぶシュガーは魔法の小包から力がみなぎるひとくちの勇気を口にした。
ふたりのラビットがちぐはぐなお供を連れて面と向かった。
「くらえーっ! にくきゅうぱーんち!」
「あーしに従いな、システム・フラワーズ!」
ひとりのラビットが宙に舞う。
カートゥーンの煙に巻かれたのはラビットバニー。
「まだ成長期だもん! 負けないからね、バニーちゃん!!」
成功
🔵🔵🔴
アサノ・ゲッフェンルーク
「エモい……エモさかぁ、私はいつでも、たぶんエモさは感じるんだけど。ね、水鞠さん?」
『泡沫ノ長杖』の気まぐれな水精霊『水鞠さん』に声をかけながら挑んでみようかな。
先制攻撃の対処は、戦闘知識と第六感をフル稼働させる。
残像を見せれるくらいの速さを出す。
そういえば敵は格上ならば洗練されたその動きは
芸術(アート)の域のはず。
戦闘とアートは違う?誰がそんなこと決めたのかな!
「どんなことだって楽しめばいい!!
私は水鞠さんと戦場にいるのがとっても…楽しい!」
UCを発動して水鞠さんに朱守鴇月丸を
私はナイフを使って不格好な剣舞…にもならないけど
楽しむように2回攻撃と属性攻撃を行うよ。
戦争でも楽しむ心は忘れない!
フィロメーラ・アステール
(支援技ゆえ連携不可なら不採用OK)
「ラッキータイム到着!」
みんなの願いを受けて飛んできた! たぶん!
足場が操作されてもなんのその! 飛ぶ!
ただ飛ぶだけじゃない! 【空中戦】技術もあるぜ!
足場をぶつける攻撃とかでも避けられるぞ!
【第六感】と【残像】を駆使すれば!
見なくても「見える!」ってシュバって避けられる、かも!
さらに【ダンス】【パフォーマンス】で魅せる!
【オーラ防御】の輝くバリアを衣状に展開して豪華に!
【生まれいずる光へ】発動でキラキラ度アップ!
振り撒く粒子で仲間に【気合い】を入れて【鼓舞】するぞ!
「本当の絶対無敵の力を見せてやれー!」
一連の演出とか立ち向かう仲間の姿はきっとエモいはずだ!
「ラッキータイム到着!」
光の軌跡の後を追えば小さな小さなきらきらのモトを見つけることができた。
フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)は運命の風に誘われてシステム・フラワーズまでやってきた。
きょろきょろと見回すと何人もの人影を確認することができた。
「うーん、どこだろ。……ぁ、あの子だ!」
お目当ての相手を見つけたようだ。
「待っててね、ラッキーガール……って、うわぁ?!」
行く手を阻むように花の柱が湧き立つ。
「これ以上、好き勝手やらせる訳にいかないし」
幸せを運ぶ妖精に試練が訪れた。
「エモい……エモさかぁ、私はいつでも、たぶんエモさは感じるんだけど。ね、水鞠さん?」
『泡沫ノ長杖』の気まぐれな水精霊『水鞠さん』にアサノ・ゲッフェンルーク(白耀の魔筆士・f00499)は話しかけた。
これまでのラビットバニーの戦いを見る限り、彼女自身もエモい戦い方をしていた。
特別な何かを付加するのではなく、ただ洗練され無駄のない動き。
それは芸術(アート)の域にあるとアサノは感じていた。
「それにあのウサギさん、戦っている時もずっと楽しそう。私たちもできるかな?」
波と泡を模した長杖は人に似た形に変わり、アサノの手を取った。
「この戦場も水鞠さんと一緒ならとっても楽しいね」
水の精霊、水鞠さんに朱守鴇月丸を。
自分はナイフを空いた手に持ち、剣舞を始める。
刃が触れ合い、キンッと音を鳴らす。
水鞠さんにリードしてもらいながら伴奏のないダンスを続けた。
きっと不格好で芸術には程遠いのかもしれない。
それでも私たちはこんなにも幸せな想いでいられるんだ。
ひらりはらりと花弁が紙ふぶきのように舞い降りる。
「お待たせ、ラッキーガールちゃん。あたしがその願いを昇華するぞ」
ふたりの世界に没頭した彼女たちには声は届かないが、確かな奇跡を流れ星の精は届けに来た。
剣舞を行っている上空にて空舞う花畑に囲まれてフィロメーラはブレイクダンスを踊る。
ハッキングされた花たちをダンスバトルで解放していく様は救世主の如く。
「あーしを忘れて踊りに呆けるなんて……」
ラビットバニーは目の前の光景に目を奪われた。
フィロメーラが解放した花たちは束縛を失いひらひらと花のカーテンを作る。
そのカーテンの先にはフィロメーラが踊る度に舞い散らせている光の粒子が閉じ込められていた。
その光の中で剣舞をするアサノと水鞠さんはさながら天国で舞う使者のよう。
「……はぁ、尊い」
思わず漏らしたため息はエモいを超えたひとつの境地へと達していた。
フィロメーラのユーベルコード、アースライトテイルに照らされた天使たちは剣舞の拙さが緩和され、身体が自然とそう在るべき動きを見極めていた。
「一寸先の闇を払うおとぎ話みたい、ってなー!」
「水鞠さん、フィニッシュしないと」
作り上げられたダンスホールは一層強い光を放って祝福する。
幻想的な世界に心を奪われて呆けた顔のラビットバニーに今こそ宿命の一撃を。
螺鈿細工のされた美しき太刀、朱守鴇月丸に清浄なる水の属性を携え、アサノのナイフにはありったけの聖なる光が集う。
一太刀浴びせて翻す勢いに乗せて二の太刀、太刀の大振りの合間を埋め尽くすようにナイフの傷跡が切り刻まれていく。
攻撃を受けて大量の赤が吹き上がるがウサギは不動。
しかし、それは強者故ではなかった。
我ここに在らず、といった表情を浮かべ痛覚の認識が未だ脳に届いていなかった。
●
ラビットバニーは花の道に横たわっていた。
「……これじゃあ、葬式みたいじゃん。あーし負けちゃったの?」
その姿を見届ける者たちの表情を見て察しがついた。
しかし、オブリビオンはたった一度の死では消滅しない不死にもっとも近い存在である。
「次は負けないし。この道の先で待ってるから早く追い付いてこないとダメだし」
この道の先、それは悪態かそれとも……。
花の道はラビットバニーの支配下を離れ、元の道筋を示す。
天の使いに導かれた彼女は静かに息を引き取り光となって霧散した。
カワイイ怪人『ラビットバニー』を倒した。
この先で待つのはラビットバニーかそれとも新たなる刺客か。
猟兵たちだけが知ることのできる未来の出来事を確かめるために進め。
未来の命運は君たちだけが守ることができるのだから。
成功
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