バトルオブフラワーズ⑩〜エモさのバーリ・トゥード
●……である!!
早口で力説した天霧・白雪(人間のブレイズキャリバー・f02151)の説明に、集まった猟兵たちはぷりーずわんすもあ、と応えた。
「何だって?」
「だから! エモさのバーリ・トゥードなのである!!」
おいキャラ変わってるぞちょっと落ち着け。
白雪は、んん、ん、っん。と何度かわざとらしい咳払いをし、それから資料を見せた。
「みんなにお願いしたいのは、カワイイ怪人『ラビットバニー』の撃破。システム・フラワーズの内部の「咲き乱れる花々の足場」はラビットバニーに集中していて、彼女を倒さないと先に進めないのよ」
あっこれお仕事モードだ。だって明らかにさっきと口調違うし。
「ラビットバニーは同時に一体しか存在しないけど、彼女は『絶対無敵バリア』に覆われており、ありとあらゆる攻撃が一切効かないの。でも、このバリアは、ラビットバニーが「エモい」ものを目撃すると一時的に解除されるわ。それを目撃するとバリアが解除されてしまうそうだから、最強能力なので制限が厳しいのでしょうね、多分」
「エモい」
「イエス!! 故にエモさのバーリ・トゥード!!」
ひとりが反芻した言葉に反応して、ぐっと拳を握りしめて掲げた。キャラが安定していない。
ちなみにバーリ・トゥードとは『何でもあり』の意味で、その名を冠した素手での格闘技イベント、もしくは格闘術を指すことのほうが一般的だ。
「エモさとは!! 己の心のチ……おおっと失礼、まあとにかくなんかズギューンとかドギャァーンとか来ちゃうアレっす!!」
と、グリモアキューブをマイクのように口元にあてると、白雪がすっと息を吸った。
「ハート殺しは不死身!! 死神!! かわいさ!!!」
「エモさはすでに我々が完成している!! 男らしさ!!!」
「組み付きしだい腹をよじりまくってやる!! おもしろさ!!!」
「闘いの歴史がものを言う!! 血だらけで立ち上がる闘志!!!」
「真の萌えを知らしめたい!! 突然のパンチラァ!!!」
「胸キュンなら全階級オレのもの!!イケメンの壁ドン!!!」
「バエ対策は完璧だ!! 水を吐き出すフグ!!!!」
あともうちょっと説明は続いたけどここでは割愛させていただく。
「ちなみに白雪のエモさの基準は?」
「いやーアタシゃ制服に弱いっすわー!! 駅とかでね!! 用もないのに駅員さんとか見ちゃうっす!! あっあとなんつーの? 迷彩服? あれなんかもめっちゃいいっすわ!! 守って!! むしろ攻略して!! アタシのハート!! みたいな!!」
すげぇ力説した。
天霧・白雪、19歳。エモさあふれる年頃である。
まあまずは落ち着け、とぽんぽんと肩を叩かれて、またわざとらしい咳払いをし、詳しくは資料を見てくれとお仕事口調で伝えた。
「さて、他に質問は? ない? 分かった、それじゃあいってらっしゃい!」
鈴木リョウジ
こんにちは、鈴木です。
今回お届けするのは、エモさのガチバトル。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
ラビットバニーは必ず、猟兵に先制して『絶対無敵バリアを展開するユーベルコード(POW、SPD、WIZ)』を使ってきます。
絶対無敵バリアは本当に絶対無敵で、あらゆる攻撃を無効化しますが、「ラビットバニーがエモい物を目撃する」と、精神集中が乱れてバリアが消滅します。
ラビットバニーのエモい基準はかなりユルいので、バリアの解除は比較的容易と思われますが、バリアなしでも彼女は相当の実力者です。
エモさの追求に気をとられ、本来の目的であるラビットバニーの撃破をおろそかにしないよう、ご注意願います。
それでは、よろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『カワイイ怪人『ラビットバニー』』
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POW : 赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : うさちゃんカンフー
【絶対無敵バリア展開後、兎面の目が光る】事で【うさちゃんカンフーモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : おはなハッキング
【絶対無敵バリア展開後、両手の指先】から【システム・フラワーズ制御ビーム】を放ち、【花の足場を自在に操作する事】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:和狸56
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
皆城・白露
(アドリブ歓迎です)
…エモさ?はよくわからんが
叩き潰したいなら本気を見せろ、って事でいいのか?
…見たいなら見せてやるよ
【群狼の記録】を使用
狼の幻影を纏い、代償として血を流しながら己を強化
…もっと、もっとだ。オレも食い尽くす勢いで来いよ
今は力が必要なんだ、ここでくたばらないなら構わない
あのふざけたウサギに一撃ぶちこめれば、後がどうなろうが知った事か
「命の使い道」ってのは、こういう事だろ
自分の強化と消耗のぎりぎりの点を見極めて、相手の隙を窺い
両手に1本ずつ握った黒剣を禍々しい爪に変化させて攻撃
この一撃に賭ける
【捨て身の一撃】?…まあ、そうかもな
包囲するかのごとく布陣する猟兵たちに、ラビットバニーが豊かな胸を揺らした。
「モンキーを倒したからってイキんなし! あーしがあんたたち全員始末してやるし!」
嘲笑するでもなく、なんの疑いもなくそうだと信じきって『絶対無敵バリア』を展開する。
シンプルかつ効果が想像できる名前のユーベルコードは、その名のとおり絶対無敵。
使用者がその心を乱すことがなければ。
しかも基準が割とガバガバなエモさ判定でなければ。
「……エモさ? はよくわからんが」
気だるげ、というよりはどこか厭世的な目元で、皆城・白露(モノクローム・f00355)は対照的に賑やかな色合いのオブリビオンを射た。
「叩き潰したいなら本気を見せろ、って事でいいのか?」
「はー!? あんたがどんなに本気出したって、あーしに勝てるわけないっしょ! 負け確でも見せたいってんなら見てやってもいいけど!」
たゆんと胸を揺らすと同時に、兎面の目が光る。
スピードと反応速度が爆発的に増大する『うさちゃんカンフーモード』に変身したラビットバニーが、ハイヒールのニーハイブーツで器用に跳躍する勢いは、うさちゃんという語のかわいらしさとは裏腹に凶悪。
その一撃も凶悪であろうが、白露は目を逸らさず逃げることもなく唇を歪めた。
「……見たいなら見せてやるよ」
――許せとは言わない、全部食い尽くせ。
低く請うよう口にした猟兵の周囲に、白、灰、そして黒の狼の幻影が現れた。
白露がその身に宿すのは、彼らの魂か或いは記憶か。それは彼らにしか分からない。
ただ分かるのは、この場に在らずともこの白き猟兵を支えるためにいるということ。
「……もっと、もっとだ。オレも食い尽くす勢いで来いよ」
今は力が必要なんだ、ここでくたばらないなら構わない。
あのふざけたウサギに一撃ぶちこめれば、後がどうなろうが知った事か。
つっ、と、まるで獣の爪で刻まれたかのような裂傷が白露の白い肌に生まれ、血がこぼれた。
「「命の使い道」ってのは、こういう事だろ」
伝う血をぐっと拭い、問わずの問いを吐く。
その姿はまさに猟兵。いや、猟犬とさえ呼べるだろう。或いは。
「ぎゃわー!! エッモ!! ガチエッモ!! まじヤバいんですけど!! 尊み秀吉が天下統一しちゃうんですけど!?」
血に濡れながら敵を見据える白露の姿に、ラビットバニーのハートはズギューン!! されていた。
同時に、ご自慢の『絶対無敵バリア』も盛大に解けていた。
あっでも分かる。儚げイケメンが血まみれで命を削りながら戦うのってめっちゃエモい。しかも格上相手にだよ? ヤバいエモ死する。
「ま、それだけじゃあーしを倒せないけど!」
『絶対無敵バリア』を使えるほどでなくともズギューンから復活したラビットバニーは、彼を上回る自己強化で己の命を削りながら、瞬速の攻撃を繰り出す。
一発でも食らえば無事では済まない攻撃を白露はかろうじて防ぎかわしながら、自分の強化と消耗のぎりぎりの点を見極めて、相手の隙を窺い、両手に1本ずつ握った黒剣を禍々しい爪に変化させて攻撃を放つ。
もちろんそう易々とは当たらない。が、だからこそオブリビオンが余裕から来る隙をわずかに見せた。
―――この一撃に賭ける。
ず、ぁっ!!
オブリビオンの攻撃をかすめてかわし、一対の刃が閃いた。
「捨て身の一撃? ……まあ、そうかもな」
びっ、と白い頬に赤が散る。
鮮やかな色彩は彼自身のそれでなく。
「勝てるわけない、って言ったな。一撃食らうことも想像できなかったか?」
「っ……の、やるじゃん!」
露出した肌に彼と同じく赤を散らせたオブリビオンは、悲しみへと爪を立て怒りを叫び、理不尽へと爪を立て己が生を叫ぶ、嘆きと復讐者の二振りの刃によって穿たれた一撃に、それでも不敵に笑った。
たかが一撃。たった一撃だ。こちらの一撃よりずっとずっと軽い!
「!」
灰の瞳が気づくより早く、流星のように白いファーの残影を走らせてニーハイブーツの蹴撃が猟兵を襲う。
避けることも受けることも間に合わず、鋭い爪先の直撃を受けた白露の体躯が弾き飛ばされ地面に叩きつけられる寸前、他の猟兵たちに支えられた。
自身のユーベルコードで己の命を削っても、ラビットバニーは意に介さず。
「生きてるだけで命削ってっし! ……はー、でもめっちゃエモかったわ……誰かレコってない? ないよねー……」
エモさあふれる戦いに豊かな胸をきゅんきゅんさせつつ録画とかできていないことを後悔しながら、次は我こそがと身構えた猟兵を睨んだ。
「この程度であーしを倒せるとかマジちょろいし! 全員倒すから覚悟するし!」
成功
🔵🔵🔴
枯井戸・マックス
●エモ対策
防御装甲に秀でた「蟹座の星座鎧」を装着しながら、キャノンに晒された味方を【かばう】事で敢えて被弾。
また【武器改造】で巨大化させたイビルシザースによる【捨て身の一撃・武器受け】で自身へのダメージを抑える事も忘れずに。
最後に枯れたおじ様が血塗れになりながらも余裕の表情を浮かべるシーンを演出。
「撃っていいのは撃たれる覚悟がある奴だけだぜ、レディ?」
●反撃
バリアが剥がれたら鋏を二振りの刃に分解して【2回攻撃・生命力吸収】で攻め立てる。
最後に合体させた鋏で挟み上げて拘束し、キザな言葉でとどめ。
「あまり俺を困らせないでくれないか。もう離したくなくなっちまうだろ」
連携、アレンジ等歓迎です
ヴォルフガング・エアレーザー
「エモい」とやらがどういうものかは知らんが、貴様のようなふざけた輩がのさばるなど言語道断。
安寧を乱す外道よ、我が魂の一撃、思い知れ。
戦闘開始直後、直撃を避けるため「野生の勘」【疾風の青狼】で敵の攻撃を「見切り」避けつつ間合いを詰める。
だが敵は格上。完全回避は叶うまい。
被弾したら「盾受け」でダメージ軽減しつつ「激痛耐性」「気合」「覚悟」で耐える。
俺は騎士だ。
無辜の民を、そして何より愛しき姫の笑顔のために、我が身を盾に、礎に成すと誓った。
この胸の闘志が燃え滾る限り、俺は何度だって立ち上がる。
人々の希望の灯火、絶やさせはせぬ!
敵のバリア解除後、傷口から【ブレイズフレイム】のカウンターを叩き込む
「で? 次はそっち?」
かんとん、と華やかに広がる花のなかでニーハイブーツのかかとを鳴らし、ラビットバニーは豊かな胸を揺らした。
対峙するのは蒼狼。だが、牙を剥き爪を掲げる野生の獣ではない。
「「エモい」とやらがどういうものかは知らんが、貴様のようなふざけた輩がのさばるなど言語道断」
ヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)が、静かに断罪する。
「安寧を乱す外道よ、我が魂の一撃、思い知れ」
「やれるもんならやってみればいいっしょ!」
再度『絶対無敵バリア』を展開したオブリビオンに、猟兵はきりと唇を引き結んだ。
「我は狼、我は風! 何人たりとも我が行く手を阻むことは敵わん!」
朗と吼えて地を蹴るヴォルフガング目掛け、ラビットバニーの赤べこキャノンの砲口が火を吹いた。
どこか気の抜ける顔をしているくせに強大な威力を想像させる轟音とともに砲撃が猟兵たちへと繰り出され、容易には近付けさせない。
戦士としての経験と、野生の狼の闘争本能、背中合わせの術で攻撃を見切り避けつつ間合いを詰める。
(「だが敵は格上。完全回避は叶うまい」)
ヴォルフガングの予想通り、かろうじて、という表現がこれほど似合う回避もなかった。
戦士となる前からの野性の勘も用いて神経を研ぎ澄ませているのに、一見勢い任せと思える砲撃が彼をじりじりと追い詰めていく。
避けきれないと判断して左手を掲げたその時、英字の『I』に似たルーンがその手の甲に浮かんだ。
イスのルーンは『氷』を意味し、転じて『停止』を意味する。だがイスの徴をもってダメージを軽減しても、激痛への耐性を得ているとはいえその身に感じる痛みは無ではない。
それでも顔をしかめることもせず、騎士としての覚悟と戦場に立つ以上倒れぬという気合いで耐える。
しかし長くは続かない。ぐっと強く踏み込んだ次の瞬間、不覚にも姿勢を崩した。
「は! エラそうなこと言ったくせに大したことないし! あーしとやろうってんなら、もっとイケてる相手はいないの!?」
居丈高に哄笑し、赤べこキャノンが猟兵をまっすぐに狙う。
その時だ!
「ここにいるぜ!」
「誰!?」
不意に聞こえた声のほうに顔を向けながら、ラビットバニーはヴォルフガングへ向けてキャノンを撃ち込んだ。
枯井戸・マックス(強欲な喫茶店主・f03382)が、づぁっとヴォルフガングとキャノンの攻撃の間に滑り込む。
彼、いや彼の依代が鎧うのは、防御装甲に秀でた「蟹座の星座鎧」。
キャノンに晒された味方をかばうことで敢えて被弾してみせ、その姿は自身が傷つくこともかまわず仲間を守るイケオジのそれだ。
「ちょっ……イケオジすぎてうまく狙えねーし!」
「どうした? 俺じゃ役者不足かい?」
巨大化させた巨大鋏で攻撃を受けながらニヤリと笑う。だが、そんな彼も決して無傷では済まない。
普段少々胡散臭い男は、今は飄々とした顔に血をしたたらせ、しかしサングラスによってその真の表情をうかがわせない。
「撃っていいのは撃たれる覚悟がある奴だけだぜ、レディ?」
枯れたおじ様が血塗れになりながらも余裕の表情を浮かべるシーンを演出するマックスに、しかし。
「……あー……」
ラビットバニーの反応はやや鈍い。
なんだなんだと周囲の猟兵たちも様子をうかがう。
「……どうした?」
「や、うーんと……ちょっとアレなー……いや、いいんだけどぉ……もうちょっと、ほら、アレじゃん?」
アレアレ。
両者戦闘態勢のまま、オブリビオンがエモさ判定を下す。
「おじ様っぽい雰囲気はOKかなとは思うんだけど、いやでもさー枯れたおじ様ってもうちょい歳上って感じじゃん? 50代とか60代とかさー」
だからエモさ的にはちょっと微妙かなって。
つまり?
「枯れアピールなくてもエモさひゃくぱーOK! 絶体絶命なのに余裕のおじ様とかマジエモすぎっしょ!!」
おおっと、結局エモ判定はOKだった!
なんかぱりーんとかいい感じの音を立てて『絶対無敵バリア』が破られる。
実に、ふざけている。
「俺は騎士だ」
ぐ、とヴォルフガングは拳に力を込めた。
「無辜の民を、そして何より愛しき姫の笑顔のために、我が身を盾に、礎に成すと誓った」
握りしめた拳を強く打ちつけたその胸に、英字の『F』に似たルーンが浮かぶ。
フェオのルーンは『家畜』を意味し、転じて『財産』、すなわち『護るべきもの』を表す。
「この胸の闘志が燃え滾る限り、俺は何度だって立ち上がる。人々の希望の灯火、絶やさせはせぬ!」
キュウウウウウウウウウン!!
ラビットバニーの胸を、蒼い稲妻が貫いた。
「オゥフ……エモい……これはエモい……クールイケメンなのに熱血漢……しかもみんなのためとか言いながら愛しいお姫さまの笑顔が本音とか超ヤバいっすわ……良い直弼っすわ……」
彼女の脳内妄想では、流浪の人狼騎士がなんやかんやあってお姫さまに出逢い恋に落ちでも身分違いの恋だから自分から身を引きつつみんなを愛するお姫さまのためにみんなを守ると言いながらも本当はお姫さまの笑顔を守るために戦う、全6シーズン200話くらい(鋭意続編制作中)の壮大なラブストーリーがマッハで展開されていた。
豊かな胸に手を当て、あまりのエモさにぷるぷると震える。『絶対無敵バリア』はとっくに消えていた。
その隙を突いて、マックスは巨大な鋏を二振りの刃に分解し、素早く攻撃を繰り出し反撃を与える余裕を与えぬよう攻め立てる。
「やっべ……!」
慌ててラビットバニーも攻撃を返すが不意をつかれたためにテンポが乱れ、マックスに呼応したヴォルフガングの攻撃にも勢いを崩される。
ずぉと繰り出す強撃を紙一重にかわしたヴォルフガングの傷口から炎が激しく燃え上がり、オブリビオンを焼灼せんと猛った。
「やらせないし!」
「っぐ!」
炎熱に触れるよりも速く、ラビットバニーが長躯を打って攻撃を阻んだ。
死角を衝いて、その背後から合体させた鋏で挟み上げて拘束し、マックスがキザな言葉でとどめを差す。
「あまり俺を困らせないでくれないか。もう離したくなくなっちまうだろ」
キュウウウウン……!!
もう『絶対無敵バリア』はないのに、別のバリアが破られそうだ。
何のバリアかって? そりゃあ乙女(?)のハートをキザなセリフで射抜こうとするワルいおじ様から守るバリアさ。割とあっさり破られまくってる気もするけど。
「って、いい加減放すし! 武器使って女子捕まえるとかありえないんですけど!」
「うおっ!?」
赤べこキャノン自体で殴りつけられ、砲撃は予想していたが本体での攻撃は予想していなかったマックスは、拘束を解いてしまった。
普通の女子は砲撃したりカンフーしたりしないと思うが、その辺は棚上げである。
マジありえなくない!? とか叫んでいるオブリビオンは、しかし確実にダメージを受けている。
ありえなくはない。
勝機は、ある。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
鎹・たから
かわいいものはおすきですか
たからはふわふわのものがすきです
ウサギもすきですよ
ということで、ウサギです(ふわふわの白い耳と尻尾
ぴょんぴょん跳ね回ってバニーの周りを踊りましょう
長い連珠を操りきらきら光るように
花畑で遊ぶ雪ウサギです、ご一緒にいかがですか
カンフーをオーラで受け流し飛び跳ねて避けていきましょう
ウサギはぴょんぴょん跳ねますからね
あなたも跳ねるのでしょう?
スカートがめくれることがあるかもしれませんが
これもかわいいのひとつらしいので(うさぎさんアップリケ綿100%ぱんつ
バリア解除と同時に連珠を拳に巻きつけ飛び掛かり
防御されてもセイバーで更に追撃
相討ち覚悟で全力を叩き込みます(血に塗れる雪兎
ころりと転がるように、鎹・たから(雪氣硝・f01148)がラビットバニーの前へ出た。
「かわいいものはおすきですか」
「へ?」
「たからはふわふわのものがすきです」
ウサギもすきですよ。
と、あくまでも無表情……見ようによってはいたって真剣な表情で告げる。なるほどふわふわウサギへの愛を語ろうと言うのか。
否、そうではない。
「ということで、ウサギです」
雪のように白い少女は、ふわふわの白い耳と尻尾をつけていた。
それほどボリューミィではないが、出るところは出て引き締めるところは引き締まっている少女の細い腰でぽふぽふする白い尻尾。
くすんだ髪をかき分け突き出るスノーフレークオブシディアンの角の存在感の強さと対照的に、夢のような柔らかさの白いウサ耳。
ダイナマイトセクシーなラビットバニーとはまた違う、年頃の少女らしい健康的な色気に添えられたウサギ要素。
どうです、かわいいでしょう。と、彼女が問うまでもない。
「エッモ……ってかエッロ……いかにも未成年お断りなエロさじゃなくて、女子中高生の思春期が意識しないでかもし出す、ピュアで汚してはならない神聖なエロさ……しかしそれは同時にかわいさでもある……これはエモい……」
ラビットバニーが批評家みたいな口調になってる。
実際彼女は今年高校生になったばかりである。なるほど、わざわざ作らなくても素養はあった。
ウサギさんたからはぴょんぴょん跳ね回って、エモさに震えるラビットバニーの周りを踊ってみせる。
長い連珠を操りきらきら光るように踊る彼女は、光を映して色彩を交えるびいどろのいろに一瞬ずつ変わり。
「花畑で遊ぶ雪ウサギです、ご一緒にいかがですか」
ぴょんぴょん、ぴょんぴょん。
うっかわいい。
しかし、エモ死もこれで4度目のラビットバニーはギリギリ『絶対無敵バリア』を維持して立ち直る。
「ウサギだったらあーしのほうが上だし!」
兎面の目が光るとともに、弾丸の勢いで猟兵へと襲いかかる。
速い。が、手負いのオブリビオンの動きは当初の切れが徐々に失われつつあった。
たからは素早く鋭い攻撃を受け流し、或いは飛び跳ねて避けて隙をうかがう。
「ぴょんぴょんぴょんぴょんうっざいし!」
「ウサギはぴょんぴょん跳ねますからね」
風を切り疾る蹴撃を跳躍して避けたたからが応えた言葉に、ぎりとラビットバニーが歯噛みする。
「あなたも跳ねるのでしょう?」
「あんたみたいに無駄に跳ねたりしないんですけど!?」
彼女にその意図はないのだが、挑発気味に受け取ったオブリビオンの鋭い拳が猟兵を狙う。
ウサギというよりは人の手に触れ融けることを恐れる雪のように、はらりと舞い跳ねたその時だ。
――ひらっ……。
拳打の勢いのまま、たからとすれ違ったラビットバニーの視界のなかでスカートが揺れ、そして揺れたスカートは丈の短さも相まって、少女の絶対領域を晒してしまう。
それは左右で丈とデザインの違うタイツのさらに上、女の子の秘密の花園を守る最終防衛圏。
うさぎさんアップリケ綿100%ぱんつ。
「……………………ッッッッ!!!!」
エモすぎて言葉を失ったラビットバニーが、声にならない悲鳴をあげた。
たからが普段からそういうぱんつなのかどうかは分からないが、これもまたラビットバニーをエモ死させるための作戦である。
これもかわいいのひとつらしいので、と体を張ったエモアタックに、『絶対無敵バリア』は木っ端微塵に砕かれた。
「たからのほうがかわいいウサギでしたね」
バリア解除と同時に猟兵は連珠を拳に巻きつけ飛び掛かり、強撃を叩き込む。
一撃を食らわせるが腕を払い退けられ、色とりどりを連ねた連珠から色を映す硝子のつるぎに持ち換え更に追撃を繰り出した。
持てる技を駆使して間隙なくラッシュを放つたからの攻撃を、しかしラビットバニーはすぐにいなして自身を有利に立たせる。だが万全ではない。
「あーしのほうが強いしかわいいに決まってっしょ!」
「そうかもしれないですが、」
ずぁっ!
ラビットバニーの放った殴打を恐れずその懐へと潜り込み、今出せるだけの全力を込めた一撃を、叩き込む。
「相討ち覚悟です」
血に塗れる雪兎は、その瞳で強くオブリビオンを射抜いた。
成功
🔵🔵🔴
リカルド・マスケラス
アドリブ連携歓迎
「まー、なんでもいいから、相手の胸を揺さぶればいいんすよね」紛らわしい言い方
エモいパフォーマンス…相手の感覚にダイレクトに刺激しそうなものってことで美味しそうな【料理】でも作るっすかね
簡易キッチンセットから鉄板を取り出し、ソース焼きそばをつくる。手際よく具材を切って鉄板の上で麺と焼いてって感じで。道具とかは【念動力】で操作
「ソースの焼ける匂いや音ってエモくないっすか?」
戦闘ではキッチンセットを引っ張ってきた戦闘バイクを強化して機動力を上げてカンフーのスピードに対抗。バイクに【騎乗】して体当たりの他、念動で鎖鎌を動かし、敵の動きを妨害する
焼きそばは戦闘後にみんなで食べてもらえれば
張・小龍
なんなんですかねこの敵は…?
ま、まあ、なんにしても漫画で読んだシチュエーションの作戦で言ってみましょう!
我が名はシャオロン!いざ尋常に勝負!エモさで!
まずは近付かなければですね
技能の残像とダッシュ、ジャンプを駆使して赤べこキャノンを回避しつつ近付いて行きます
近付けたらそれまでのシリアスな表情から、技能の恥ずかしさ耐性で羞恥心に耐えながら天使の様な笑顔を浮かべます
「おねぇちゃんだーいすき!」
と、ちょっと甘ったるい声も出しつつ抱き着きたいと思います
無敵バリアが解除されていればそのままジャーマンスープレックスで地面に叩き落し、如竜得翼で切り裂きます
心は痛みますが慈悲はありません!滅!
「なんなんですかねこの敵は……?」
ギャグなのかシリアスなのかも分からない展開に、張・小龍(飛竜子・f03926)は溜息をついた。
「ま、まあ、なんにしても漫画で読んだシチュエーションの作戦でいってみましょう!」
きりっと表情を引き締め、ラビットバニーと相対して名乗りをあげる。
「我が名はシャオロン! いざ尋常に勝負! エモさで!」
「うっ……あーし、エモさだけでいいんですけど……」
猟兵たちからの過剰供給で無事死亡しまくってるけど、エモさはエモさだけで補給したいよね。エモ死したあとの余韻を楽しんだりね。
この戦いが推し布教やエモいシチュ縛り古今東西ゲームなどではなく、猟兵対オブリビオンである以上、そんなことは無理なのだが。
(「まずは近付かなければですね」)
小柄な身を躍らせて距離を詰めようとする小龍に、ラビットバニーは赤べこキャノンの砲口を向けた。
「どうやってあーしとエモさ勝負をするかわかんないけど、真面目系チャイナ美少年ってだけじゃ全然エモくないし!」
言い放ったその言葉はわりとエモさを感じているような気もする。
これ以上の(エモ死含む)負傷は致命的になりかねないと判断した攻撃は、一撃の重さを重視したため命中率と攻撃の回数が劣る。
そのため、駆けて飛び轟砲を回避し、或いは素早く動くために影を残して狙いを誤らせる猟兵にうまくダメージを与えることができず、あと少しで自身のリーチの内側へ入ることを許してしまいかねない。
それだけは避けなければとオブリビオンが歯噛みし、猟兵はその機会をうかがったその時。
ふわぁっと鼻先をかすめる何かの匂いと、じゅわぁっと耳を打つ何かの音を、対峙する両者は知覚した。
「なんの匂い? と、音?」
戦闘中なのについ視線を巡らせると。
リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)が焼きそばを焼いていた。。
食べやすく、かつ今こいつを食べているという実感をしっかりと感じられる大きさに手際よく切られた具材を、簡易キッチンセットから取り出した鉄板の上で火が通りすぎない程度のほどよい感じに焼く。
加熱された野菜と肉のプリミティブな匂いに麺を投入。ここからはややおこげを加味して具材を広げ、鉄板の上の音が変わってきたらここぞとばかりにソースを投入!
じゅわぁっと立ち昇る香ばしい匂いと音が、戦場を満たしていく。
うっかり最後まで見てしまった。
「まー、なんでもいいから、相手の胸を揺さぶればいいんすよね」
口にしたリカルドの視界でラビットバニーの豊かな胸がたゆんと揺れる。紛らわしい言い方であるが真意はそちらではない。
「ソースの焼ける匂いや音ってエモくないっすか?」
彼にとってはいたって真面目な発想に、ラビットバニーはいやどうかなーという反応だ。
「確かにソースのにおいってエモいけどさー……やっぱシチュエーションって大切じゃん? 水飲むのだって、普通に飲むのとめっちゃ喉乾いてる時だと全然違うし」
「あー……なるほど」
「あーしも焼きそば好きっちゃ好きだけどさー」
つまりもう一押し、なにかがないと弱い。
(「隙あり、です!」)
小龍が不意をついて距離をつめ、避けようとするラビットバニーに向かって、
「おねぇちゃんだーいすき!」
と、ちょっと甘ったるい声も出しつつ、やや腰の辺りに抱き着いた!
だがただ抱き着くだけではない。それまでのシリアスな表情から、内心では羞恥心に耐えながら浮かべる笑みは照れが見え隠れし、まだ大人の男になる前のあどけない少年の優しい顔立ちと相まって、実に愛らしく天使の様な笑顔であった。
「にょわー!? …………っは!!」
そしてラビットバニーは受信した。
細かい設定はさておき、祭りかなんか。家族か近所の子かもさておき、あーしを『おねぇちゃん』として慕ってくる美少年。嬉し恥ずかし二人連れ。なにか言いたげで、でも言ってこない彼。気付かないあーし。いろいろな屋台がごっちゃになって並ぶ道を、こっちがリード気味に話しながら歩いたり買い物したり。
そこへ偶然通りがかった焼きそば屋。手際よく作られる美味しそうな匂いにつられつつも、お店のイケメンだけどチャラそうなにーちゃんを冷やかしていたら、不意に抱き着いてきた彼からの突然の告白。
嗚呼それは、ただ慕ってなのかそれとも恋心からなのか……。
OK、脳内妄想は完璧です。
「エ”ッ”…………エ”ッ”……」
あまりのエモさの頂点突破に、ラビットバニーはえずく寸前みたいになっていた。『絶対無敵バリア』? そんなものとっくに霧散している。
もちろん、小龍が抱き着いたのはただエモさダメージを与えるためだけではない。
そのままの体勢からジャーマンスープレックスを繰り出し、地面に叩き落とす!
「くぅ……っ!!」
短く呻き、兎面の目を光らせ力任せに振り払ったところへ、リカルドがアルタイルに乗り攻撃を仕掛けた。
機動力を高めたバイクの動きに翻弄されつつも、ラビットバニーはこの飄々とした猟兵に向けて蹴撃を放つが、鈍りゆく攻撃は当たらない。
「こいつはただのバイクじゃないんすよ。パワーや頑丈さに定評がありましてね」
たとえ強敵であっても、こちらが上回っていれば勝てるのだ。
リカルドとの戦いに気を取られる隙を縫って距離を詰める小龍に、瞬速で向き直り手刀を叩き込もうとするオブリビオンへ鎖鎌が投擲され、その動きを拘束する。
はっと気付いた時にはもう遅い。
猟兵との距離は、至近の近だった。
「我が爪牙にて八つに引き裂かん!」
吼えた小龍が、竜化した爪牙による超高速かつ大威力の一撃を放つ。
「心は痛みますが慈悲はありません! 滅!」
直撃を食らったオブリビオンは、したたかに『咲き乱れる花々の足場』に打ち付けられたと同時に、 ざああっ…………! と彼女を隠すように幻に花吹雪が舞い上がった。
システムフラワーズのそれではない。恐らくは……エモさの象徴的なアレで。
ともあれ花吹雪が消えるとともに、ラビットバニーの姿も消え去っていた。逃げる余裕もなかっただろう。
「……勝ちました!」
年頃の少年らしい笑顔で小龍が勝利を宣言する。
これですべての戦いが終わったわけではない。だが、それでも勝利は勝利だ。
さあ、次へ進もう。
と、思った矢先。
「……何をしているんですか?」
いそいそと焼きそばを盛り付けているリカルドに問うと。
「まだ先はあるっちゃあるっすけど、その前の腹ごしらえもいいんじゃないっすかね」
息抜きもかねてどうぞ。と促されて、猟兵たちは焦り逸る気持ちを落ち着かせるためにも、その申し出を快諾する。
それぞれのエモさアピールについて少々賑やかにもなったが、つかの間の休息に猟兵たちは鋭気と意気を養い、次の戦場へと足を向けた。
成功
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