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バトルオブフラワーズ⑩〜いとをかしなエモさ

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ラビットバニー

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●エモい兎、現る
「エイプモンキーの撃破、お疲れ様だったわね。これで、あのキーキー煩い笑い声を聞かなくて済むと思うと、ちょっとは気持ちも楽になったわ」
 ただし、これはあくまで戦いの序章。やつは幹部怪人の中でも最弱に過ぎないとか、そういった展開であると、神楽・鈴音(歩く賽銭箱ハンマー・f11259)は集まった猟兵達に、新たなる幹部怪人との戦いについて説明を始めた。
「次に戦う幹部怪人は『カワイイ怪人ラビットバニー』ね。見た目も言動も緩くて、一見強そうには見えないけど……幹部だけあって、こいつも面倒な能力持ってるわ」
 その能力とは、あらゆる攻撃を無効化する絶対無敵バリア。その絶対性は、どんなチート能力でさえも無効化する程に強力なもの。仮に、宇宙をブチ壊し世界を改変するレベルのユーベルコードが使えたとしても、その効果さえ無効化してしまうというのだから、恐ろしい。
「幹部怪人のお約束ってことで、このウサギ女も必ずこっちの先手を取って攻撃して来るわ。しかも、バリアで攻撃を無効化した上で、一方的に攻撃して来るっていう反則じみた方法でね」
 正直なところ、普通に戦っても勝機はない。だが、そんな絶対無敵バリアにも、唯一ともいえる欠点が存在する。
「え~と……なんて言ったらいいのかしら? 『エモい』……ってやつ? ラビットバニーが、そんな何かを感じると隙が生まれて、バリアも解除されるみたいね」
 詳しく説明するのは定義が不確か故に難しいのだが、とにかく『感動』させられることなら何でも良い。鈴音風に言うなら、『いとをかし』の精神。現代風に言うなら、SNSで『いいね!』がたくさん稼げるような内容の事だ。
「まあ、ラビットバニーの『エモい』の基準って、実際は随分と緩いみたいだし、そこまで難しく考えなくても構わないわ。感情が動くことが『感動』なんだから……ショッキングな何かとか、斜め上過ぎて誰も考えそうにない何かでも、驚いてバリアを解除するはずよ」
 恐らく、ラビットバニーは箸が転げてもおかしい年頃なのだろう。だが、バリアを解除するのは容易でも、戦闘に関しては幹部怪人の名に違わぬ実力を持っている。
 バリアを解除した後は、ラビットバニーとの真剣勝負。格上相手に戦うための工夫や、少しでもダメージを与えるための作戦を立てていなければ、力技で押し切られて敗北させられるのが関の山。
 勝負の分かれ目は、一瞬で相手を感動させられるようなインパクトと、その後の戦闘を有利に進めるための作戦だ。
 くれぐれも、どちらか片方に力を入れ過ぎて、もう片方で失敗することのないように。そう言って、鈴音は猟兵達を、新たなる幹部怪人の待つ戦場へと転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺・音弥です。
 エイプモンキーを突破し、次なる幹部怪人との戦いに突入しました。
 今回の相手は、カワイイ怪人『ラビットバニー』です。

●戦争シナリオについて
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「バトルオブフラワーズ」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオです。
 このシナリオの戦場は『⑩カワイイ怪人『ラビットバニー』』になります。

●先制攻撃について
 ラビットバニーは必ず、猟兵に先制して『絶対無敵バリアを展開するユーベルコード(POW、SPD、WIZ)』を使ってきます。
 絶対無敵バリアは本当に絶対無敵で、あらゆる攻撃を無効化しますが、「ラビットバニーがエモい物を目撃する」と、精神集中が乱れてバリアが消滅します。
 ラビットバニーのエモい基準はかなりユルいので、バリアの解除は比較的容易と思われますが、バリアなしでも彼女は相当の実力者です。

●ラビットバニーについて
 青丸が一定数以上溜まればシナリオはクリアになりますが、この戦場の戦力が残っている限り、ラビットバニーは即座にエリア内の別の場所に復活します。

●判定について
 強敵相手なので、判定はシビアに行います。
 失敗や大失敗での返却になることもありますので、結果としてシナリオが失敗に終わる可能性もあります。
 また、連携を希望される方は、連携を行う仲間が分かるように記載されていない限り、連携プレイングとして扱いませんので、ご了承ください。
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第1章 ボス戦 『カワイイ怪人『ラビットバニー』』

POW   :    赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    うさちゃんカンフー
【絶対無敵バリア展開後、兎面の目が光る】事で【うさちゃんカンフーモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    おはなハッキング
【絶対無敵バリア展開後、両手の指先】から【システム・フラワーズ制御ビーム】を放ち、【花の足場を自在に操作する事】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:和狸56

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マーリス・シェルスカナ
サルの次はウサギですガ…n~、なんかエイプモンキーと比べて『らしく』ないネ。頭がMeの知ってるウサギと違うシ、それ以外がウサギっぽくないデス…。

(WIZ系、使用UC:アナライズアンドリプロダクション)
まず、相手のUC・「おはなハッキング」をMeのUCで防御・解析(借用)シ、「情報収集」と「学習力」で使い方を素早く覚えるヨ。
その後、借用したUCの【花の足場を自在に操作する事】で、トランポリンの要領で怪人より高くジャンプ&決めポーズをするヨ。
相手が怯んでバリアが切れたら、怪人の頭上から「カウンター」の【システム・フラワーズ制御ビーム】ネ。
怪人が避ける気ナラ、【花の足場の操作】で止めるヨ。



●絶対無敵なキャンセラー
 エイプモンキーを撃破して、その奥へと歩を進めた猟兵達。そんな彼らを待ち受けていたのは、コミカルな雰囲気にデフォルメされた、ウサギの被り物を被った女幹部だった。
「サルの次はウサギですガ……n~、なんかエイプモンキーと比べて『らしく』ないネ」
 カワイイ怪人ラビットバニー。新たに現れた幹部怪人を前に、マーリス・シェルスカナ(宇宙(そら)飛ぶマーリンレディ・f15757)はどうにも微妙な表情だった。
 どこからどう見ても猿そのものな怪人がパワードスーツを纏っていたエイプモンキーと違い、ラビットバニーはセクシーなお姉さんがウサギの被り物を被っているようにしか見えない。
 はっきり言って、ウサギ要素は頭だけ。それも、かなりガバガバで緩々な定義に、思わず脱力したくなる。
「ん~? あーたがあーしの最初の相手~? 言っとくけど~、ど~んなユーべルコード使っても、あーしのバリアには通用しないから意味ないよ~」
 諦めるなら、今の内。さっさと帰れば見逃してやると告げるラビットバニーだが、そこまで言われて、おいそれと撤退しては猟兵の名が廃る。
「とりあえず、そっちから来ないなら、あーしから行くよー! ダラダラ待ってるとか、カッタルイじゃーん!」
 問答無用で襲い掛かって来るラビットバニー。しかし、それこそがマーリスの狙いだった。
 彼女の使うユーべルコードは、対象のユーべルコードを防御すれば、それを借用できるというもの。そこで、相手の使って来るユーベルコードを逆利用し、それでエモーショナルなジャンプを見せてやろうと……そう、踏んでいたのだが。
「掛かったネ! 解析開……って、WHY? ERROR? ドウシテ!?」
 ホログラフで再現されたコンソールの画面を、次々と埋め尽くす赤いERRORの文字。マーリス自慢の解析能力は、しかしラビットバニーの絶対無敵バリアによって、完全にシャットアウトされていた。
「あはははっ! あーしのコードをパクろうっての~? エモいことなしで、そんなセコ技、通じるはずないじゃーん!」
 被り物の奥で、にやりと笑うラビットバニー。マーリスが気付いた時には、既に遅し。ラビットバニーの指先から放たれた光線に足元を射抜かれ、その力によって操作された無数の花弁が、一斉にマーリスの身体へと纏わりついて来た。
「No……! これでは……動けな……」
 瞬く間に全身を花弁で覆われ、マーリスはもはや動くことさえ叶わない。それだけでなく、徐々に身体が花弁の床に沈んで行く。これではまるで、花弁の底なし沼に捕まってしまったも同然だ。
「あーしのバリアは絶対無敵だからねー。どんな魔法でもチートでも、エモくないことじゃ何やっても無駄だよー」
 絶対無敵バリアは、文字通り発動中は絶対無敵。直接的な攻撃は勿論、催眠術やユーベルコードの複製、果ては現実を改変するようなチート能力でさえ完全に無効化してしまう。
 そんなユーベルコードを使うラビットバニー相手に、マーリスは2つミスを犯した。
 1つ目は、相手のユーベルコードを防御しなければ、解析することさえできないという点を忘れていたこと。ラビットバニーのバリアとは異なり、彼女のユーベルコードは使用すれば絶対に相手の技を防御できるという保証はない。つまり、防御のための策を考慮していなければ、解析する間もなく倒されてしまうということだ。
 そして、2つ目のミスは、ラビットバニーのユーベルコードを解析した上で、それを使ってエモーショナルな何かを仕掛けようとしていたこと。
 そもそも、絶対無敵バリアによって、ラビットバニーはユーベルコードでの解析さえ防いで来るはずなのだ。つまり、相手の技を解析してコピーしたいのであれば、先にエモーショナルな何かを仕掛けておかねば意味はない。仮に、ラビットバニーの攻撃を防御できたとしても、バリアが解除できていなければ、やはり解析はキャンセルされてしまう。
 ラビットバニーのバリアを破ってダメージを与えるには、『エモーショナルな何かを見せた』上で、続く彼女の攻撃に注意しつつ、『ユーベルコードで攻撃』するのが定石だ。この手順を間違えてしまったら、どれだけ強力なユーベルコードを持っていようと、何もできないまま敗北してしまう。
 前提条件の矛盾に気付けなかったマーリスには、もはや反撃する術は残されていなかった。無数の花弁に包まれて、回廊の床に沈んで行く感覚を味わいながら、彼女の意識はそこで途切れた。

失敗 🔴​🔴​🔴​

胡・翠蘭
エモい…といいますか、感情が揺さぶらるものというのは人それぞれかと思いますが…
ひとまず、わたくしがエモいと感じるものを用意致しましたわ

UCを発動させ、"白鈴"を呼び出しましょう
そして二人で液晶ディスプレイ型のガジェットを敵に向けて見せますわ
映る映像は…ひたすら、仔犬や仔猫がにゃあにゃあ、キャンキャンと鳴いたり、フローリングの床をちょこちょこと走り回ってころころ転がったりする、大変愛らしい動物の癒し動画
わたくし、こういうものをとても…エモく感じますの
貴女は、如何です?
ふわふわで、ちいさくて可愛らしいでしょう?

もしバリアが破れたなら、白鈴と共にガジェットと鋼糸を使って攻撃致しましょうか



●エモいわれぬエモさ
 舞い踊る無数の花弁を背に、ラビットバニーは赤べこキャノンを担ぎつつ、余裕で鼻歌を歌っていた。
 絶対無敵バリアに先制攻撃。これらがある以上、彼女にはまだまだ猟兵達を迎え撃つための余力が残っている。そんなラビットバニーの前に、新たに現れたのは胡・翠蘭(鏡花水月・f00676)だ。
「ん~、あーたがあーしの次の相手~? きれーなおねーさんだね~」
 もっとも、どんな相手でも手加減はしないと、ラビットバニーはやる気満々。今にも襲い掛かって来そうな勢いだったが、翠蘭は憶することなく自らの肉体に宿したUDCを召喚した。
「"白鈴"――手伝って頂けますか?」
「うおっ!? なんか増えたし!? 分裂したし!? おねーさん、もしかして双子とかだったり?」
 突然、目の前に出現した翠蘭に瓜二つのUDCを見て、ラビットバニーに一瞬だけ動揺が走る。が、この程度の動揺では彼女をエモいと思わせるには、まだ少しだけ決め手が足りない。
 無論、それは翠蘭も承知の上だった。バリアを展開するラビットバニーを他所に、翠蘭は自ら呼び出したUDCと共に、液晶ディスプレイ型のガジェットを敵に向けて見せた。
「わたくし、こういうものをとても……エモく感じますの。貴女は、如何です? ふわふわで、ちいさくて可愛らしいでしょう?」
 そこに映し出されていたのは、ひたすら戯れ続ける仔犬や仔猫の姿。癒し系の動物動画というやつだ。
 仔犬や仔猫達の行動には、はっきり言って何の意味もない。しかし、その愛くるしい外見と仕草を眺めているだけで、人々の心の奥底に染み付いた、深い心の闇でさえも浄化してしまうという最強にして最高のヒーリーング動画!
「ちょっ……わんこに、にゃんことか、反則だし! これ見てエモく思わねーとか、絶対無理っしょ!」
 液晶ディスプレイに迫っていたラビットバニーの拳が一瞬だけ止まる。同時にバリアも解除され、その隙を逃さず翠蘭はカウンターで攻撃を叩き込んだ。
「……るぶっ!? ヤ、ヤバッ……!!」
 顔面に直撃をもらったラビットバニーだったが、しかし続けて翠蘭のUDCが繰り出した攻撃は、ぎりぎりのところで回避した。
 ラビットバニーは相手の使用するユーベルコードをバリアで防ぎつつ、それに対応した反撃も行って来るのだ。翠蘭のユーベルコードに合わせ、うさちゃんカンフーモードになったラビットバニーのスピードは、何の対策もなしに反応できるほど甘くない。
「まさか、これほどのスピードとは……。少々、迂闊でしたね」
「バリア解除しただけて勝てると思った~? そんな甘々な戦い方じゃ、あーしは捕まえられないよ~♪」
 絶対無敵バリアがなくなっても、自分にはこのスピードがある。どんな攻撃も、当たらなければ意味がないのは同じこと。バリアを解除した後の戦い方まで詰めていなかった翠蘭には、惜しくも撤退するという選択しか残されていなかった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

フェルト・ユメノアール
いつもお客さんに見せる『パフォーマンス』みたいにバニーを感動させればいいんだね!

レディースエーンジェントルメン!
ボクは手札からスペシャルゲストをご招待!
カモン!【SPアクロバット】!
そして『トリックスター』を頭上に連続で『投擲』
『動物使い』でアクロバットを操り華麗なキャッチングを披露するよ!
でも、本番はここからさ!
バニーに地上と空中から連携攻撃を仕掛ける!
彼女、バリアの解除もそうだけど冷静沈着なタイプじゃない
隙を作れば勝機もあるはず
勝負は一瞬、彼女が接近したその時『ハートロッド』を鳩の姿に変化させ
視界を塞ぐと共に
アクロバットの効果発動!
手札を全て捨て、加速した一撃で彼女の反応速度を超えるよ!



●エモーショナル・パフォーマンス
 次々と現れる猟兵達を退けて、ラビットバニーは御満悦。このまま行けば自分の勝ちは揺るがないと、完全に調子に乗っている。
「やっぱ、あーしのバリアって絶対無敵でサイキョーじゃね? 誰が来ても、これなら余裕で楽勝っしょ!」
 だが、そんな彼女の余裕は、フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)の姿を前にして、一瞬にして打ち破られた。
 その外見から判断するに、フェルトは決して強そうには見えない少女だ。しかし、全身から漂うオーラは、今までの猟兵達とは異なる楽しげなもの。
 それは言うなれば、相手をとことん楽しませることに命を懸けた、エンターテイナーとしての魂だ。さながら、エモさの化身とも呼べる存在。エモいものを見てバリアが解除されてしまうラビットバニーにとって、天敵とも言える相手である。
「いつもお客さんに見せる『パフォーマンス』みたいに、バニーを感動させればいいんだね! よ~し……」
「……っ! させねーし!」
 フェルトが何かを仕掛けようとしていると察し、ラビットバニーは即座にバリアで自分の身体を覆った。が、それでも何ら動ぜずに、フェルトは自分の手に持ったカードから一枚を取り出し、引っ繰り返して絵柄を見せた。
「ボクは手札からスペシャルゲストをご招待! カモン! SPアクロバット!」
 瞬間、カードから呼び出されたのは、色鮮やかなメイクを施された、なんとも可愛らしい蝙蝠だった。しかも、どこかデフォルメされたような姿をしており、見ているだけで愛らしい。
 そんな蝙蝠を呼び出して、しかしフェルトは攻撃の指示を出すこともなく、代わりに手にしたナイフを空中高く放り投げる。そして、高々と投げ上げられた多数の刃を、次々に蝙蝠を使ってキャッチさせてみせた。
「すごっ! 曲芸飛行ってやつ!? ゆるかわな見た目なのに、アゲアゲじゃ……って、ヤバッ!?」
 思わず見惚れてしまうラビットバニー。その途端、バリアが消滅したことに気が付くが、もう遅い! 高速で急降下する蝙蝠に、咥えたダガーで斬り付けられて、バニーの被り物に刃の跡が刻み込まれる。
「ちょっ……こんなスピード出せるなんて、あーし聞いてねーんですけど! でも、速さだったら、あーしも負けてねーし!」
 蝙蝠相手に戦うのは面倒だと思ったのか、ラビットバニーは蝙蝠を操るフェルトに狙いを定めて花弁の床を蹴った。さすがは、うさちゃんカンフーモード。一瞬にして間合いを詰められてしまうフェルトだったが、それも彼女は計算していた。
「まだまだ、こんなものじゃ終わらないよ! ショーは、ここからが本番だからね!」
 ラビットバニーが接近した瞬間を狙い、フェルトは持っていた『ハートロッド』を鳩の姿に変化させ、視界を塞ぐようにして羽ばたかせた。マジシャンと言えば、鳩は定番。シルクハットからだけでなくても、呼び出す方法はいくらでもある。
「そんな鳩程度じゃ、もう驚かねーし……って、あれ?」
 邪魔な鳩諸共、フェルトのことを蹴り飛ばそうとしたラビットバニーだったが、彼女の脚は鳩を払っただけで虚しく宙を切った。
 戦闘に長けた者は、戦闘時に戦闘行為と無関係なものを見ると、どう反応して良いか身体が判断できず、一瞬だけ動きが止まってしまうという。ましてや、反応速度を限界まで引き上げたラビットバニーともなれば、唐突に現れた鳩を無視するというのもまた不可能であり。
「そして……ここで、アクロバットの効果発動! 手札を全て捨て、加速した一撃で彼女の反応速度を超えるよ!」
 その隙は、正に刹那に等しい瞬間だった。それでも、フェルトは辛うじてラビットバニーの攻撃を避け、カードの追加効果を発動させた。
「ちょっ……マジで!? あーしのスピードに追い付いて来るとか、ありえなくない!?」
 残る手札の全てを捨てることで、更に加速する蝙蝠。そのスピードは、うさちゃんカンフーモードのラビットバニーとて、おいそれと回避できるものでもない。
 一撃離脱を繰り返され、ラビットバニーは思わぬ苦戦にウサギマスクの中で顔を顰める。力量の差でなんとか蝙蝠を撃破したものの、フェルトが不利を悟って撤退するまで、かなりの体力を削られてしまった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

吉備・狐珀
絶対無敵バリアとは厄介な能力を…。

絶対無敵バリアの際の攻撃は【武器受け】で防ぐ。が、ボスの攻撃を完全に防げるとは思えない。傷を受けるのは覚悟の上。
項垂れた状態で【百鬼夜行】使用。ただし当てるのではなく行進させるのみ。演出でUC【青蓮蛍雪】で狐火を出すが此方も当てずに漂うだけ。
血で染った女が呼び出す魑魅魍魎と狐火。
可愛いとはかけ離れていますがなかなか、見れるものではありませんし、話題独占間違いと思いますよ?
バリアがとけたらUCを一斉にぶつける。先ず狐火で凍結させ動きを封じ、間髪入れずに魍魎で攻める。



●エモエモ百鬼夜行
「絶対無敵バリアとは厄介な能力を……」
 花弁の舞い散る回廊にてラビットバニーを眼前に捉えつつ、吉備・狐珀(ヤドリガミの人形遣い・f17210)は大きく溜息を吐いた。
 あらゆる攻撃は元より、チート級の効果を持つユーベルコードさえも防ぐ絶対障壁。バリアという名は付いているものの、実際は自分に向けられたあらゆる行動や能力の効果をキャンセルし、『なかったこと』にしてしまう反則技である。
「そうだよ~♪ あーしのバリアは最強なんだから、敵わないと思うなら、さっさと帰った方がいいんじゃね?」
 狐珀の呟きを聞いていたのか、ラビットバニーは盛大に余裕をブチかましている。ウサギだけに、地獄耳だったのだろうか。まあ、今はそんなことなど、どうでもよい。
「生と死の狭間に彷徨うものよ……我に呼応し集結せよ……」
 まずは小手調べとばかりに、狐珀は深淵より様々な異形を呼び寄せる。妖怪、鬼、正体不明の百鬼夜行。無論、バリアが健在の状態で攻撃させるつもりはなく、あくまで演出として呼び出しただけだったのだが。
「あーしより先に攻撃とかさせねーし! ってか、隙だらけじゃん」
 ラビットバニーの指先から放たれた光線が、狐珀の足元に命中する。瞬間、光の当たった部分の花弁が集結し、巨大な腕の形を成して、狐珀の身体を掴み、締め上げた。
「……っ! しまっ……!?」
 残念ながら、それ以上は言葉を紡ぐことさえ難しかった。
 ラビットバニーは、こちらの使ったユベールコードの元となる力に合わせ、バリアを張りつつ反撃して来る。強力な一撃を警戒して武器を構えていた狐珀だったが、しかし相手の使って来たのは花弁を操る拘束系の技。打撃や砲弾とは異なり、これでは武器で受け止めようにも受け止められない。
(「反撃の技を……読み違えましたね……。で、ですが……」)
 花弁の塊とは思えない力で圧迫されて悶えつつも、狐珀は残された力で新たな呪文を紡いだ。青白く燃え盛りながらも、しかし熱を与えるのではなく奪い取る、この世で最も冷たい狐火を呼ぶために。
「言の葉の……もとに……魂等……出で……候……」
 掠れる声で詠唱の言葉を口にすれば、周囲に現れるのは青白い狐火。先に呼び出していた魑魅魍魎と合わさって、おどろおどろしさが増して行く。
 敵に拘束されながらも、異形の者を呼び出して一矢報いようと試みる大和撫子。狐珀の予定していた形とは少々違ってはいたものの、それでもラビットバニーの心に強烈な印象を植え付けるには十分だった。
「おー、なにこれ? 前世紀の仮装行列とか? なんか、マジでエモいんですけど!」
 ラビットバニーが思わず感嘆の声を上げれば、彼女の身を守っていた絶対無敵バリアもまた消滅した。これは好機だ。呼び出した魑魅魍魎と狐火で一気に攻め立てんとする狐珀だったが……しかし、彼女は肝心なことを忘れていた。
「あー、でもー、やっぱバトルは別だよね~。ってか、そっちが火を出した分の反撃、まだ終わってねーから」
 狐珀が仕掛けるよりも先に、ラビットバニーの指先から再び光線が発射される。それが、狐珀を締め上げていた花弁の塊に命中した瞬間、更に多くの花弁が集結し、締め上げる力がより一層強まった。
「……あぐっ!!」
 限界を超えた拘束力に、思わず狐珀の口から悲鳴が零れた。骨がきしみ、肺が潰れる。肉体が悲鳴を上げ、胃の中から鉄の味がする液体が逆流し、視界が徐々に霞んで行く。
「あーたがユーベルコード使えば、その回数分だけ、あーしも反撃するに決まってんじゃん。あーしの攻撃に5回も6回も耐えられるなら、まー、話は別だけどさ~」
 カウンター能力を持った相手に、複数のユーベルコードの使用は不利を招く。演出に拘り過ぎたが故の失敗。しかし、ここまで来て一糸も報いることなく、倒されるつもりは狐珀にもない。
(「まだ……です……。せめて……意識を手放す……前に……」)
 薄れ行く意識の中、狐珀は最後の力を振り絞り、狐火と魑魅魍魎に指示を出す。細かい操作などしている余裕はなく、ただ突撃させるだけだったが。
「なにこれ、冷たっ! ってか、いつの間にか囲まれてるし! なんかバリアも消えてるし!? いきなりゾンビ映画な展開とか、マジ勘弁なんですけど!!」
 凍れる焔に体温を奪われ、果ては奇怪なる化け物の群れに襲われて、思わず叫ぶラビットバニー。迫り来る魑魅魍魎を次々に討ち倒して行くが、それでも数が多過ぎる上に、身体を冷やされてしまっていては動きも鈍い。
「痛っ! 変なとこ噛み付くなってーの! あぁぁぁ、うっざぁぁぁいっ!!」
 さすがに、全てを捌き切ることはできず、ラビットバニーが魑魅魍魎を懸命に振り払っている声がする。もはや、狐珀の意識は限界だったが、それでも彼女は満足だった。
 厄介なバリアを打ち破り、少なくとも何発かは攻撃を当てることができたのだ。この世に無敵など在り得ない。そう、狐珀が思ったところで、彼女の意識は花弁の海の中に落ちて行った。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ソウジ・ブレィブス
身軽な【パフォーマンス】なら僕向きだね?

UCでストラップ(7cm)をLv分可能な数まで
手元に揃えて一つずつ順番に【スナイパー】の様に【投擲】するよ
速いしバリアあるしで普通に弾かれるんだろうけど

あえていうね
バス停って本来武器じゃないからね!
これがヤドリガミ化したら後が怖いよ(震え)

速さに対抗して蒼を奏でる狼でスカイステッパーしながら
投げた分を回収したいけど
Lv分の7cmなんてよく見えないし
うっかり自分で踏んじゃいそう

思わず悶えるだろうけど
回収分と手元分を一つに纏めて【咄嗟の一撃】するから
一度でだめなら飛び跳ねて回収して何度でも!
な、泣いてなんかないよ…痛くないもん!
七つ道具で布出して涙ぬぐっとこ



●その涙はエモい輝き
「はぁ……はぁ……。ったく、あの妖怪ども、しつこすぎだっつーの……」
 先の戦いで対峙することになった魑魅魍魎を、ようやく退けたラビットバニー。1発、1発のダメージは大したこともなかったが、それでも数が数だけに、駆逐するまで随分と時間を浪費させられてしまった。
 この辺りで、少しばかり休憩させてはくれないか。ふと、そんなことを考えたラビットバニーだったが、それを猟兵達が許すはずもない。
「身軽なパフォーマンスなら、僕向きだね?」
 休憩する暇など与えないとばかりに、続けてラビットバニーの前に現れたのはソウジ・ブレィブス(天鳴空啼狐・f00212)。多数の動物の特性を持ったキマイラの彼は、色々な意味で疲れているラビットバニーにとっては、なんとも戦いたくない相手だろう。
「あー、なんか相手するのダルいんですけどー。ちょっち時間くんね~? ダメ?」
 絶対無敵バリアを張るだけ張って、ラビットバニーは完全にダレている。勿論、休ませてやるつもりもないので、ソウジは遠慮なくユーベルコードを発動させた。
「本来武器じゃなくても、武器のようなものさ……僕からしたらね!」
 まずはバス停の形をしたストラップを召喚し、それらをズラりと手元に揃えた。その数、およそ20本以上。続けて、1本ずつ順番に、狙いを定めて投げ付けるが。
「あえていうね。バス停って本来武器じゃないからね! これがヤドリガミ化したら後が怖……うぐっ!!」
「そんなストラップとか、ただ投げても無駄だよー。ってか、おっせーし!」
 全てを投げ切るよりも早く、ソウジの腹に食い込むラビットバニーの蹴り。ユーベルコードを発動させれば、その瞬間にラビットバニーもまた反撃して来るのは当然のこと。ストラップを投げることに集中し、防御を疎かにした状態で、うさちゃんカンフーモードになったラビットバニーの攻撃を防げるはずもなかった。
 否、本当は、ソウジとて避けようとはしていたのだ。だが、その手段が決定的に拙い。
 彼が考えていたのは、別のユーベルコードを使用することで、敵の速さに対処しようというもの。しかし、うさちゃんカンフーモードを発動させて高速移動が可能となったラビットバニー相手に、複数のユーベルコードをタイムラグなしで重ねて使用することなど不可能である。
「うぐぐ……で、でも、まだ負けてない……負けてないんだよ……」
 腹の痛みに耐えながら、ソウジは懸命に花弁の床を蹴った。そのまま、空中で回転しつつ、投げたストラップを回収する。彼としては、これで少しでも相手にエモさを感じさせられればと思ったのだろうが……残念ながら、全てのストラップを回収するよりも先に、ラビットバニーの痛烈なカウンターが再び飛んで来た。
「……あぐっ!? ちょっ……これ……痛過ぎ……」
 腹だけでなく、今度は胸の急所にまで入った。肉だけでなく骨まで痛み、まともに呼吸することさえ難しい。
「あーた、さっきから何したいわけ~? いきなりストラップ投げまくったり、考えなしにくるくる回ったりさ~」
 呆れた様子で溜息を吐きながら、ラビットバニーがソウジの傍に着地しつつ言った。
 回避のためにユーベルコードを使用すれば、当然のことながら、ラビットバニーもまたそれに対してカウンターで攻撃して来る。加えて、いかに優れたパフォーマーであっても、エモい何かを見せたいのであれば、具体的にエモさのアピールをしなければ意味がない。
 本物のバス停をぶん投げるならともかく、単にストラップを投げたり、ユーベルコードを使ったりする程度では、さすがに手放しでエモさを感じさせることには繋がらなかった。
 これでは、まともに戦うことはおろか、絶対無敵バリアを解除することさえできないはず。もう、終わりにしてしまおうと脚を振り上げるラビットバニーだったが……しかし、ソウジは未だ諦めてなどいなかった。
「な、泣いてなんかないよ……痛くないもん!」
 集めたストラップを束ねつつ、痛みを堪えて涙を拭う。この状況では、どう考えても強がりでしかない光景。もっとも、美男子が悶えながら強がっている様は、なかなかどうして絵になっており。
「……エモッ! 泣きながら強がるイケメンとか、可愛過ぎっしょ!」
 内なる保護欲をそそられたのか、思わず攻撃を中断してしまうラビットバニー。同時に、彼女を守っていたバリアも解除され……その隙を逃さず、ソウジは起死回生の一撃に賭けた!
「……このぉぉぉっ!!」
 それは、ラビットバニーでさえ予期していなかった咄嗟の一撃。可能な限り束ねることで威力を上げたバス停型ストラップが、ラビットバニーの脇腹に突き刺さる。
「痛っ! マ、マジで!? このタイミングで反撃して来るわけ!?」
 勝利を確信していたところに不意打ちを食らい、さすがのラビットバニーも一瞬だけ怯んだ。が、それはあくまで一瞬のこと。同じ手を何度も食らうほど、そして何度も許すほど、ラビットバニーは甘くない。
「最後の最後で、なかなかエモいもの見せてくれんじゃん。でもさー」
 再び振り上げられる美しくも鋭い脚。そこから繰り出される一撃を、今のソウジに避けるだけの余力はなく。
「あーた、ちょっと無防備過ぎだよー。あーしの攻撃、モロに食らうことまで考えてねーのは、さすがにダメっしょー」
 立て続けに急所へ攻撃を食らって満身創痍だったソウジの頭に、強烈な踵落としが炸裂する。
 咄嗟の反撃で確かなダメージを与えることに成功したソウジだったが、しかしそれまでに攻撃を食らい過ぎた。さすがに、3発目を耐えることはできず、ソウジは目の前が真っ暗になった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ルナ・ステラ
エモい...?
感動させることをしたらよいのでしょうか?
わたしにできることで感動させられること...
【楽器演奏】でしょうか?

わたしが得意である星に関係ある曲を演奏しましょう!
ただ、演奏するだけではなくて実際に星を降らせる(UC)演出をすることで、より一層演奏を盛り上げましょう!

バリアが破れたなら、演出に降らせていた星の対象を怪人さんに降らせて攻撃しましょうか。

花弁での攻撃は足元からくるので、箒に跨って回避しておきましょう。それでも、花弁が纏わりつくようであればコメットブースターで【吹き飛ばし】ます!


――演奏、気に入ってくれたでしょうか?
(もし、気に入ってくれたなら)
アンコールはいかがですか?



●花と星と、時々たらい
 猟兵達とラビットバニーの戦いは、正に佳境へと突入していた。
 次々と現れる猟兵達の相手をして、さすがのラビットバニーも疲弊の色を隠せない。しかし、それでも現状はラビットバニーの方が少しばかり優勢だ。この先、一度でも苦戦を強いられたら最後、この戦いでの勝利は諦めて、猟兵達は一時撤退を余儀なくされてしまう。
 正に、殺るか殺られるか。しかし、そんな限界ギリギリの戦いに挑むのは、殺伐とは程遠い雰囲気のルナ・ステラ(星と月の魔女っ子・f05304)。
「は~、また猟兵~? あーたみたいな弱そうなの、あーしに勝てるわけなくない?」
 絶対無敵バリアの前には、何をやっても無駄な努力。どうせ勝てないなら、さっさと帰ってくれないかと手を振るラビットバニーだったが、そこで退き下がるルナでもなく。
「エモい……? 感動させることをしたらよいのでしょうか?」
 自分にできることといえば、ズバリ楽器の演奏だ。何やら閃いたのか、ルナは愛用の箒、コメットブースターに跨って飛翔する。そして、獣奏器で星々の瞬きを思わせる不思議な音色を奏でつつ、ユーベルコードを発動させた。
「お星さんたちわたしに力を! 悪しきものに降り注げ! シューティングスター☆」
 瞬間、輝く星が花弁の回廊に現れて、辺り一面に降り注いで行く。美しい音色を奏でつつ、星空を駆ける魔法使い。そんな幻想的な光景を前にしては、ラビットバニーも感動せずにはいられない。
「へぇ~、随分エモいことできんじゃん。だったら、あーしはこれでお返しだよ~」
 絶対無敵バリアが消滅したことも気にせず、ラビットバニーが花弁の床に光線を放つ。それを受けた花弁は、まるで自らの意思を持った塊の如く、蠢きながらルナを引きずり降ろさんと迫って来る。
 もっとも、その反撃さえも、ルナは予め読んでいた。箒で空中に移動したのは、足元から来るであろう花弁によるカウンターを避けるため。それでも、無数の花弁がルナを捕まえんと襲い掛かって来るが、ルナとてここで捕まるつもりもない。
「……演奏の邪魔はさせませんよ! コメットブースター、スピード全開!」
 全速力で花弁から逃げ、追い付かれそうになったところで、纏めて一気に吹き飛ばす。さすがに、全てを振り切ることはできなかったのか、最後は箒諸共に捕まってしまったが、彼女の攻撃もまた終わっておらず。
「ま、まだです! 残りのお星様を、まとめて全部、プレゼントします!」
 演出に使わなかった星を、一気にラビットバニーへと降り注がせる。絶対無敵バリアを失った今、ラビットバニーに、これを無効化する術はない。
「ちょっ……なんかバリアが消えてるし!? こうなったら全部避け……って、無理! こんな数、避けられるわけねーじゃん! 絶対無理だし!!」
 合計にして100個近い星の雨を防ぐのは、さすがのラビットバニーでも不可能だった。四方八方から降り注ぐ星に、ボコボコにされて行くラビットバニー。辛うじて、気合と根性で立ち上がるも、ルナもまた未だ健在だ。
「――演奏、気に入ってくれたでしょうか? アンコールはいかがですか?」
 どうせなら、もう一発だけ星の雨を食らってみないか。花弁に飲み込まれそうになりながらも、ルナは平然とした表情でラビットバニーに問い掛ける。
「あーがとね。でも、そうそう何度も、同じ手でやられるあーしじゃ……っ!?」
 残念ながら、ラビットバニーの最後の言葉は、花弁の回廊に響く鈍い金属音で遮られた。
「か……金たらい……? こんなのでやられるとか……マジ卍……」
 脳天に直撃した金たらいによる衝撃で、被り物の奥で両目から星を散らし、バッタリと倒れるラビットバニー。止めこそ刺し切れなかったものの、ルナの一撃は精神的にも肉体的にも、かなりのダメージを与えていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

龍ヶ崎・紅音
アドリブ・絡み歓迎

【POW】

まず、ホムラで【槍投げ】で【串刺し】にするけど、弾かれてもそのまま刺しておくよ
そして、あえてバリアが貼られている状態で挑む!!
強烈な一撃を食らっても【勇気】と【気合い】で持ち直すよ
「もし、私たちがここで倒れたらこの世界の人たちを助けることができない。…だから、私たちは負けるわけにはいかないのよ!!」
「……まぁ、私自身このままやられっぱなしはいやなのもあるけどね(不敵に笑う)」

バリアが解けたら、ホムラを焔竜形態に一時的に変身させて、奇襲を仕掛けさせる
でもこっちも囮、本命である【力溜め】と【怪力】による、焔【属性攻撃】の【捨て身の一撃】『煉獄黒焔斬』に全てを賭ける!!



●バイバイ、バニー
 一進一退の攻防を続ける、猟兵達とラビットバニー。勢いを取り戻しつつある猟兵達ではあったが、しかしそれでも未だ首の皮一枚で戦況を維持しているのが現状だ。
 このまま普通に戦ってラビットバニーにダメージを与えても、喧嘩に勝って勝負に負けたことになってしまう。ラビットバニーを撃破するには、単に一矢報いるだけでは少しばかり足りない。
 必要なのは、相手に特大のダメージを、確実に叩き込んで勝つことだ。そのためには、手段など選んではいられない。それこそ、己の身を犠牲にしてでも、絶対に完全なる勝利をもぎ取らなければならない。
「さあ、次は私が相手よ。勝負しなさい、ラビットバニー!」
 竜槍の先を突き付け、龍ヶ崎・紅音(天真爛漫竜娘・f08944)が叫ぶ。彼女の心に宿るのは揺るがぬ闘志。そして、絶対に退かぬという強い意志。
「え~、なんかちょっち暑苦しいの来たんですけど~。気合だけで、あーしのバリアを破れるわけねーじゃん」
 もっとも、対するラビットバニーの方は、なんというかやる気がない。絶対無敵バリアの存在に加え、悪くても引き分け程度に持ち込めば、確実にこの戦いを制することができると知っているからだろうか。
「暑苦しくて悪かったわね! 破れないかどうか、確かめてみるといいわ!」
「だから、無駄だっての! さっさと死んでくんね?」
 紅音の投げつけた竜槍を軽く弾き飛ばし、ラビットバニーはお返しとばかりに、赤べこキャノンを発射してきた。弾かれた槍が花弁の床に突き刺さると同時に、発射されたキャノンの砲弾もまた、轟音と共に紅音の身体に直撃し。
「あ~、これで終わりかな~。マジ、楽勝って感じ?」
 爆風と共に散る花びらを見て、勝利を確信するラビットバニー。今の攻撃はまともに入った。もはや、立っていることさえできないだろうと……そう、思っていたのだが。
「ま……まだよ……まだ……」
 爆風が晴れると共に、現れたのは未だ倒れぬ紅音の姿。
 漆黒の焔を纏った剣を杖代わりに、紅音は気合だけで立っていた。ダメージは深く、後一撃入れることができれば御の字といった状態。しかし、それでも紅音は諦めてなどいない。痛む身体に喝を入れ、果敢に剣を構えて対峙する。
「もし、私たちがここで倒れたら、この世界の人たちを助けることができない。……だから、私たちは負けるわけにはいかないのよ!!」
 自分の背には。この世界に住む人々の未来が掛かっている。自分の後ろには、共に戦った仲間達が築いて来た道がある。
 だから、絶対に負けられない。この身が砕け散り、命が燃え尽き果てようとも、お前だけは必ず倒す。その勇気、そして信念は、さながら世界を暗黒で覆う魔王へと挑んだ英雄の如く。
「エモッ! 死に掛けで立ち上がるとか、マジもんの勇者じゃん!」
 漫画や小説のクライマックスさながらの展開に、ラビットバニーの心が思わず動いた。そして、その瞬間を見逃す紅音ではない。
「……まぁ、私自身、このままやられっぱなしはいやなのもあるけどね」
 先程までの熱い様子から一変し、不敵な笑みを浮かべる紅音。その途端、斜め後ろから凄まじい殺気を感じ、ラビットバニーは思わず振り返った。
「……ッ! ヤバッ!?」
 見れば、どこから現れたのか白銀の竜が、雄叫びを上げながらラビットバニーに迫っているではないか。
 先程、紅音が無駄と知りながら槍を投げた理由が、これだった。槍焔竜「ホムラ」とは、槍へ変化する力を持った竜である。つまり、今の白銀の竜こそが、「ホムラ」の持つもうひとつの戦闘形態。敢えて槍を手放し、油断させることで、紅音は「ホムラ」による背後からの奇襲を狙っていた。
「……させねーし!」
 だが、それでもラビットバニーとて、腐っても怪人軍団の幹部である。
 後ろから迫り来る白銀の竜に向け、振り向き様に赤べこキャノンを炸裂させた。威力こそ、先程よりも低めに調整しているが、その分、命中にリソースを割いた一撃だ。
 相殺するなら、これで十分。案の定、「ホムラ」はキャノンの砲弾にやられて小竜の姿に戻ってしまったが、それもまた紅音にとっては想定済み。
「あ、あぶねー。もうちょっとで、やられるとこだったし……って、えぇぇぇぇっ!?」
 「ホムラ」の攻撃を相殺し、ほっと一息吐きながら振り返ったラビットバニーの眼前には、漆黒の焔を溢れんばかりに噴き出す巨大な剣を構え、それを振り下ろさんとしている紅音の姿が。
「な、なんでぇっ!? ……ハッ! ま、まさか……」
 ここに来て、ラビットバニーもようやく紅音の真の狙いに気付いてしまった。
 初手で槍を捨て、更には攻撃を食らうことで、相手の油断を誘いつつエモい行動を見せてバリアを解除する。その上で、捨てたと思わせた槍を竜に変えて背後から攻撃させ、同時に自分も正面からユーベルコードで攻撃を仕掛ける。
 それはまさしく、脳筋で熱血バカな行いとは正反対な無駄のない作戦。後ろの攻撃に反応すれば、紅音の斬撃を避けることはできない。反対に、紅音を正面から迎え撃てば、後ろから銀竜に変じた槍に致命的な不意打ちを食らうことになる。
 銀竜に反応すれば、そちらは囮で紅音が本命。紅音を迎え撃てば、今度は彼女が囮で銀竜が本命。 
 エモい行動を見せるために赤べこキャノンの直撃を受けねばならない以上、2回目の反撃を食らって耐えられないことは、紅音も十分に理解していた。だからこそ、どちらに転んでも必ず勝てる策を考え、それに賭けて仕掛けたのだ。
「この呪われた焔の斬撃を受けられるかな!!」
 赤べこキャノンが次弾を装填するよりも早く、紅音の振り下ろした漆黒の大剣が、その身に纏った焔と共に、ラビットバニーを斬り裂き、そして焼き尽くす。真正面から両断され、果ては燃え盛る火炎で焼き尽くされ、ラビットバニーの身体が焔の中へと消えて行く。
「……最後の最後で……エモいもん、見せてくれんじゃん……。そっか……あーし……あーたの槍を弾いた時点で……負けてたんだ……」
 だが、消滅する間際、ラビットバニーはどこか満足そうだった。
 肉を切らせて骨を断つ。その戦い方の先に紅音が見せたのは、相手が勝利を確信した瞬間、その相手は既に敗北しているという二重の罠。
 それら全てを成功させて、格上の相手から勝ちをもぎ取る。これ以上にエモい勝ち方が、果たして他にあるだろうか。
「……はぁ……はぁ……。や、やった……の……?」
 焔の収束して行く大剣を降ろし、紅音は静かに顔を上げる。
 正に、崖っぷち限界の勝利だった。少しでも歯車が噛み合わねば、仮に攻撃の一発や二発を当てたところで、奮闘空しく撤退させられていたはずだ。
 それでも、首の皮一枚で繋がっていた勝利への希望を、紅音はなんとか掴み取った。この勝利でラビットバニーが消滅するかどうかは分からないが、それでも彼女の撃破に向けて、確かな一歩を紡ぐことができたはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月16日


挿絵イラスト