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バトルオブフラワーズ⑩〜感動感激ラビットハート

作者：椿初兎

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「みんな、エイプモンキー撃破お疲れ様っ☆　おかげで次の関門への道が開けたよ」
　北千住・ちくわちゃん（巷で人気の美少女魚肉・f17794）が、作戦の概要を説明する。
「次の敵は『カワイイ怪人ラビットバニー』。と～ってもポップでキュートな怪人なんだけど、超強力な能力を持ってるんだよ。その能力とは……なんと！」
　大袈裟にオーバーリアクションしながら、ちくわちゃんが続ける。
「あらゆる攻撃を無効化する、絶対無敵バリア！　派手な大技ユーベルコードも自慢の戦闘術も、ぜーんぶ無効化しちゃうんだよ。ヤバーい！」
　正直ネーミングはどうかと思うが、厄介な能力であることには違いない。
「そんな厄介な能力を突破するスーパー裏ワザ！　それは……ラビットバニーはエモさを感じると隙ができて、絶対無敵バリアが解除されちゃうんだよ☆」
　エモさ、とは。
「んー、改めて説明するのは結構難しいんだけど。とにかくSNSでいいねがいーっぱい稼げそうなことをすればいいんだよ！　パフォーマンスをしたり何かを熱く語ったり、なんか面白いものを持ち込んだり。あなたが『いいね！』って思うことを素直にやればラビットバニーはエモさを感じてくれるはずだよ」
　ぶっちゃけラビットバニーのエモの基準はかなりガバガバだ。きっと箸が転げてもおかしいお年頃なのだろう。
「っと、ここまでの説明だとなんかちょろそうな感じの怪人だけど、戦闘に関してはかなりの実力者みたいだよ。大怪我しないように気を付けて、熱くエモくがんばってきてね☆」
　ちくわちゃんは最後にそう付け足すと、猟兵たちをシステム・フラワーズへと送り出すのだった。

第1章 ボス戦 『カワイイ怪人『ラビットバニー』』

POW   :    赤べこキャノン 【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。 SPD   :    うさちゃんカンフー 【絶対無敵バリア展開後、兎面の目が光る】事で【うさちゃんカンフーモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。 WIZ   :    おはなハッキング 【絶対無敵バリア展開後、両手の指先】から【システム・フラワーズ制御ビーム】を放ち、【花の足場を自在に操作する事】により対象の動きを一時的に封じる。 イラスト：和狸56 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

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「オレが見てきた中でアンタが１番イカした女だ。戦わなきゃいけないのが残念だぜ」
「とか言っちゃってぇ、ホントはみんなに同じこと言ってるんでしょ？」
　ケイ・エルビス（ミッドナイト・ラン・f06706）の挨拶代わりの口説き文句を、ラビットバニーは軽く笑い飛ばした。
　さすがに言葉ひとつではバリアの牙城を崩せなかったか。だがこれも想定内。
「来いアトラス！」
　ケイがトランシーバーへ向かって叫ぶと、どこからともなく無人の輸送機アトラスが現れる。
　トランシーバー越しの合図に応えるように垂らされた縄はしごに捕まり、ケイは輸送機へと飛び乗った。
「俺の気持ち、このパフォーマンスで届けるぜ！」
　軽業のようにアトラスを駆りながらカラースモークを噴射。アクロバティックに空中を駆け巡り、メッセージを刻んでいく。
「ヤバい……飛行機ってこんなコトできんの！？」
「わぁっ、ヒコーキいいなぁ」
　空中に気を取られていたラビットバニーがふと地上に目を戻すと、清楚な白ワンピース姿の七那原・エクル（ダブルキャスト・f07720）が風にスカートを遊ばせるようにくるくると舞っていた。
　飛行機と花畑と、白ワンピ褐色清楚娘。世の中にこれほどまでの絶妙マリアージュが他にあるだろうか。
「こんちゃわーお姉さん、その赤べこキャノンめっさエモいねー。どこで入手したんー？」
　ふわり軽い足取りで、エクルはラビットバニーへと近付き笑いかける。
「え、アンタみたいなカワイイ系の子でもこーゆーの興味あるワケ？」
「え、カワイイかな？　実は普段こんなカッコしないから自信なくって」
　照れたようにはにかむと、次の瞬間には悪戯っぽくスカートの裾を少したくし上げる。
「えへへ、ボクこう見えて男の子なんだよー」
　ラビットバニーを誘うように、上目遣いで少しずつスカートを上げていく。
「え、マジで！？」
「嘘だと思うなら、スカートをめくって確かめていいよ」
　健康的な褐色の太ももが露わになり、そして……。
「……なにソレ。激エモじゃん」
　バリアが解除される音が、戦場に小さく響いた。

「カードは揃った。『アトラス』、ショータイムだぜ！」
　バリアが消えた瞬間を逃さぬように、ケイの爆撃がラビットバニーへと叩き込まれる。
「何それ、あーし騙されたってワケ！？　もうマジギレなんですけどー！」
　赤べこキャノンの砲身を盾に爆撃を防ぎながら、バニーが足場の花を操りケイを捕えようと蔓を伸ばす。
「くっ……後は任せた！」
「任されました！」
　ケイの言葉に『ヒメ』の顔で応えたエクルが、脚に力を込める。
「堕ち穿て、紅き禍星よ!」
　ドラゴンの力を一点に集めた鋭い蹴りが、バニーの脇腹を襲う。
「痛ぁい！　あんたらマジ消えろし！」
　後ずさりながら赤べこキャノンを構えたバニーが、雨のような弾丸を乱射する。
　弾幕に一瞬目を閉じた二人の隙をつき、バニーは再びバリアを展開した。

　これ以上の追撃は望めないものの、確実に勝利へ繋がる打撃を入れることに成功した。
　激励とともに後続の仲間へ後を託し、二人は戦場を離脱したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

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「なんとまあ……派手にやっていらしたのですね」
　プラシオライト・エターナルバド（かわらないもの・f15252）は、相棒ケイとバトンタッチするように戦場へ降り立った。
　そのままふわりと宙に浮き上がったかと思えば、急速落下しぽよんと跳ねる。
「何なに？　トランポリン？？」
　ラビットバニーが地面へと目を落とすと、そこには紫と緑に塗り分けられた美しいスライムが広がっていたのだ。
「ご一緒にいかがですか？」
「マジで？　やるやるー！」
　ぽよーんぽよーんと跳ねるプラシオライトに誘われるように、バニーはスライムトランポリンへ飛び込んだ。

「せっかくですから、この様子を動画に撮っておきましょう」
「いーねいーね！　ついでにハッシュタグ『#スライムトランポリンで兎と跳ねてみた』でSNSに送っちゃう？」
　トランポリンが楽しいのか、テンションが上がるバニー。それを盛り上げるように、プラシオライトも同じペースで飛び跳ねていた。
「エモいのが好きな子はだーれ」
「ラビットバニー！　って、アンタも笑えし！」
「……勘弁して下さい、笑顔を作るのは苦手なのです」
　なんて会話をしながら、最後に写真もパシャリ。
（なんかこーゆーの……エモいな）
　バニーがそう思った瞬間。
「お楽しみいただけましたか？それでは」
　突如として足元のスライムが触手のようにバニーへと伸び、両手両足を拘束した。
「げっ、何これー！？」
「不意打ち、ご容赦を」
　謝るように一瞬目を伏せた後、精霊銃から眩い光の弾丸をバニーめがけて撃ち込む。
「この楽しい世界を、キマイラフューチャーを守りたいのです」
「は！？　知らねーし！　お花さん、あいつ止めて！」
　動きを阻もうとする花の蔓が届くまでの間、プラシオライトは光の弾をバニーへ次々と撃ち込むのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

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　バリアを張り直したラビットバニーの元へ、新たな挑戦者が現れる。
　だぼっとした服にボーイッシュなウィッグで少年に変装した清川・シャル（ピュアアイビー・f01440）であった。
「へー。まだあーしに挑戦するワケ？　言っとくけど、あーしの絶対無敵バリア、マジ硬いかんね？」
　バニーの挑発に無言の流し目で応え、シャルはスピーカーを召喚した。

　足を踏み鳴らしてポジションをとると、スピーカーから音楽を流し始める。
　少し前に流行った曲をカッコよくリミックスしたナンバーが流れ始めると、シャルはオリジナルのダンスを披露し始めた。
　小柄な身体でダイナミックにカッコよく踊る姿を、バニーはつい目で追ってしまっていた。
「へー、やるじゃん。確かにカッコいいけどさ……っ！？」
　1番が終わり、2番が始まる直前。
　シャルの衣装がひらりと翻り、可愛らしいアイドルコスチュームへと変身した。
「どうです？　エモくないです？」
　曲に合わせ、びしっとバニーを指差すシャル。
「うん、エモい」
　素直に認めた瞬間、バリアがかき消えるように空間にノイズが走った。

「今です！」
　隙を逃さぬようにシャルがスピーカーへ叫ぶと、音楽と共に激しい熱光線がバニーを包んだ。
「熱っつ！？　マジ卑怯だし！？」
　射撃には射撃で対抗とばかりに、バニーが赤べこキャノンから高威力の一撃を放つ。
「そんな攻撃、マトモに食らわなきゃ怖くもなんともないです」
　体勢を低くしてキャノンの砲撃をかわしながらバニーへと近接。仕込み刃で斬りつけるように蹴り込む。
「やだー！　無駄撃ちになったー！」
　嘆くバニーの横っ面に、シャルの飛び蹴りが確実な一撃を与えたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

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　ロラン・ヒュッテンブレナー（人狼の電脳魔術士・f04258）とハロ・シエラ（ソード&ダガー・f13966）は、敢えて幼く愛らしい姿でラビットバニーへと挑む。
「ギャッハ！　アンタたちみたいなガキがあーしに勝てるわけなくね？」
　余裕の表情を見せるバニーへ、幼狼の姿へ変身したロランが迫ろうとする。
「キマイラフューチャーは、好きだから、力になりたいの！」
「はいはいカワイーカワイー。可愛いチビ犬ちゃんはそのへんで大人しくしてまちょうねー」
　明らかに舐めてかかっているような様子で、バニーがロランめがけて花の蔓を伸ばす。
　その花蔓をかき分けながら、狐耳をつけて子供らしさ全開の服を纏ったハロが近づいていた。
「くらえー！　えいえい！」
　拳を握りしめ、素手でぽこぽこと連続パンチ。だが、バリアに阻まれバニーには傷ひとつ与えられない。
「効くまで叩きます！　えーい！」
「ぷっ、バッカじゃね！？　格闘ってのは……こーするもんだし！」
　カンフーの構えをとり、ハロへ殴りかかろうとするバニー。
　しかし、その一撃から守るようにロランがハロに飛びつき、身体を伏せさせた。
「ハロちゃんは、ぼくが守るよ」
「ありがとうございます。劣勢ですが、二人で頑張りましょう！」
　お互いに励まし合いながら、二人はただひたむきにバリアを突破しようと叩き続けた。

（ヤバっ……なんでこいつら、こんな一生懸命なワケ！？）
　余裕綽々の態度とは裏腹に、バニーは内心焦り始めていた。
　無理と分かっていてもバリアを叩き続ける子供たちとか相当エモいし、たいした武器も持たず力を合わせて頑張る姿なんてエモ以外の何だというのだろうか。
「もうやめろし……マジで……」
　バニーがそう呟いた瞬間、バリアが光の破片となり砕け散った。
「今です！」
　守るものが一切なくなったバニーの傍へ、毒蛇神の呪いを纏ったハロが近接する。
「あーもう、こいつジャマ！　お花さん、よろしく！」
　バニーが叫ぶが、足元の花蔓たちはしおれたように動かない。
「ハッキング、成功なの」
　人間の姿に戻ったロランが少し誇らしげに尻尾をふりふりする。実は、捕まりそうになるふりをしながらシステムを解析していたのだ。
「魔術回路装填……」
　今までの幼気な様子から一転。どこか機械的な調子でロランが呪文を詠唱すると、漆黒の雷がバチバチと花畑の色彩を割るようにバニーを取り巻く。
「アンタ、いつの間に……！」
「複合魔術陣、発火」
　答えの代わりにロランが詠唱を終えると、雷は電撃と重力の檻と化した。
「ハロちゃん、あとはお願いなの」
「一滴でも当てて見せます！」
　雷に打たれたように膝をつくバニーめがけてハロが毒刃を放射。牙のように深く刺さった一本から、バニーの体内へ未知のナノマシンが注ぎ込まれていく。
「やばば！　何これマジつらぽよなんですけどー！」
　ふらつくバニーが、やっとの思いでバリアを張り直す。
　トドメを後に託し、二人は戦場を離脱したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

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　シュガー・ラビット（白くて小さなふわふわ☘️・f02321）は、可愛らしいメイド服姿でラビットバニーに微笑みかけた。
「ねえねえ、バニーちゃん。にんじんはお好き？」
「んー、まあ好きだケド……」
「わぁぁ、じゃあ今日のごはんはにんじんたっぷりオムライスで決まりだね！」
　シュガーが応えステッキを振ると、バニーの目の前にふんわりとしたオムライスが現れる。
「わー美味そう。これアンタが作った系？」
「ケチャップでお絵かきするね。何がいいかな？」
　気さくにおしゃべりしながら、シュガーがオムライスにバニーの似顔絵を描く。
　SNS映えしそうな可愛らしいオムライス、漂ってくる美味しそうな匂い。何よりそれを振る舞おうとするシュガーの心遣いに胸打たれ、絶対無敵バリアは既に消失してしまっていた。
　さらにダメ押しとばかりに、シュガーはバニーにある提案をする。
「仕上げに美味しくなるおまじない、一緒に唱えよ？　せーの、美味しくなーれ……」
「萌え萌え……」
「きゅーん！」
　おいしくなぁれのおまじないと共に、バニーめがけてにんじん型のミサイルを放つ。
　直撃したミサイルが派手に炸裂し、カラフル煙とキャンディの雨が花畑を彩った。
「痛ぁぁ！　ちょっ、騙し討ちなんてヒキョーだし！」
　ボロボロになりながら赤べこキャノンを構えようとするバニーは、煙に隠れ近付くもう一人の人影に気付いていなかった。
「兎料理……食べてみたいです」
　アンネリーゼ・ディンドルフ（オブリビオン料理研究所の団長・f15093）が、素早い動きでバニーを食らおうと狙いを定める。
　赤べこキャノンの弾雨をものともせずぐーぐーとお腹を鳴らすその姿は、まるでヒトならざるグールの形相。
「やだ何この人コワイ！　あっちいけー！」
　本能的な恐怖を感じ、バニーはカンフー……というより必死の抵抗といった様子で手足を振り回した。
　その攻撃を何発か受けながらも、アンネリーゼは狩猟本能に突き動かされるようにバニーめがけて矢を連射する。
「スピード勝負なら負けませんよ」
「やだ助けて！　あっでもこれ弾幕シューティングっぽくてエモい！」
　もはや何がエモくて何がエモくないのか判断力を失った無防備なバニーに、何本もの矢が突き刺さる。
　怯んだ一瞬の隙を逃さないように、シュガーの乗るにんじん型宇宙バイクがバニーめがけて突っ込んだ。
「これでトドメだよ！　騙し討ちしちゃってごめんね！」
　シュガーのミサイルとアンネリーゼの矢。二人の射線が2方向からバニーを狙う。
「こんな連携プレー……エモすぎずるい……」
　そう言い残し、ラビットバニーが塵と化したのだった。

「ラビットバニーさん、食べてみたかったです……」
「あはは……オムライス、残り物だけど食べる？」
　ひとときの勝利を喜びながら、猟兵たちは次の戦場へと向かう。
　システム・フラワーズ解放まで、あと一歩――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年05月18日