バトルオブフラワーズ⑩〜生き様の在り方
●エモさの定義
「『エモい、【emotional】を由来とした感情が動かされた状態、感情が高まって強く訴えかける心の動きなどを意味する形容詞。気持ちをストレートに表現できないときなどに用いられる。』……だそうです!」
グリモア猟兵のユーノ・エスメラルダ(f10751)は電脳ゴーグルを用いた情報検索の結果を、グリモアベースに集まってくれた猟兵たちへ伝えた。どことなく得意げなのは気のせいか。
「みなさん、集まってくれてありがとうございます。そして、エイプモンキーの討伐お疲れさまでした!」
目の前の猟兵たちへぺこりと頭を下げた。まずはこの成果を喜ぼう。――しかし猟兵たちにまだ安息は訪れない。
「続けて、敵の幹部の『カワイイ怪人『ラビットバニー』への道が開いています! ここでユーノからのお願いです。このまま敵を追い詰めていくため、ラビットバニーの討伐もお願いできますでしょうか!」
ユーノは持ってきたノートへ、手にしたペンで絵をぐりぐりと描いてく。描かれるのはウサギのきぐるみっぽい頭部の派手な見た目の怪人。
「この幹部の怪人さんは『絶対無敵バリア』というものに覆われています。ありとあらゆる攻撃が一切効きません! ですが、手はあります!」
つまりこの幹部も一筋縄ではいかない相手ということだ。しかしてその手段とは……。
「『エモさ』です!」
ここで冒頭の謎の知識の披露に繋がった。
「ラビットバニーさんのエモさの基準はゆるめ、だとかそうでないとか。とにかく、バリアは先手で必ず先に貼られます。なのでなにか感激や感心に繋がるようなことを交えながら攻撃をする必要があります!」
バニーの絵の周囲を丸でかこみバリアを表現するユーノ。
「エモさの基準はゆるいみたいですが、ラビットバニー本体の戦闘能力は高いのでそこにも注意が必要です! もしかするとですが、譲れないものや大切なものを見せつけながらだと上手く行きやすいかもしれません」
●要は燃えとか萌えとか尊いとかそういう
ユーノは説明を追えると、集まってくれた猟兵たちに改めて向き直る。
「このキマイラフューチャーに生きるみんなのためにも、この戦いは負けられません……。どうか、みなさんの力を貸してください」
そう言いながらユーノは猟兵たちを転移させ、無事の祈りを捧げた。
「ユーノはみなさんを転移させなければならないので同行はできません。みなさまに幸運がありますように……」
ウノ アキラ
はじめましての方は初めまして。そしてこんにちわ。
スケジュールやタイミング的に書けそうなのでOPを出させて頂きます。ウノ アキラです。
このオープニングに興味を持っていただき、ありがとうございます。
●
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ラビットバニーは必ず、猟兵に先制して『絶対無敵バリアを展開するユーベルコード(POW、SPD、WIZ)』を使ってきます。
絶対無敵バリアは本当に絶対無敵で、あらゆる攻撃を無効化しますが、「ラビットバニーがエモい物を目撃する」と、精神集中が乱れてバリアが消滅します。
ラビットバニーのエモい基準はかなりユルいので、バリアの解除は比較的容易と思われますが、バリアなしでも彼女は相当の実力者です。
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●お得情報
この依頼については書けそうなタイミングで順にリプレイにしていくため、特に連携の指定が無ければ順番に入れ替わりながら一人ずつ戦う感じになると思います。
他にもマスター紹介のページは一読頂けると文字数を少し節約できるかもしれません。
よろしくお願いいたします。
●依頼について
私の執筆能力の問題で『採用は最大で12名までが最大になる見込み』です。『書きやすそうな方から採用する』ためプレイングは不採用になる可能性があります。ご了承ください。
第1章 ボス戦
『カワイイ怪人『ラビットバニー』』
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POW : 赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : うさちゃんカンフー
【絶対無敵バリア展開後、兎面の目が光る】事で【うさちゃんカンフーモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : おはなハッキング
【絶対無敵バリア展開後、両手の指先】から【システム・フラワーズ制御ビーム】を放ち、【花の足場を自在に操作する事】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:和狸56
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
仁上・獅郎
えもとは難題ですねえ。
まあ、僕なりにやってみましょう。
会敵前に飛空する蛇を召喚、それに乗って空中から挑みます。
丁度よい所で、ラビットバニーさんの目の前に飛び降りましょう。
蛇に繋いだフック付きワイヤーを使い、ふわり、ふわりと。
コートを靡かせ、片膝をついて花畑に降り立ちます。
ゆっくりと立ち上がり、優しく見つめ。
胸に手を当て、[礼儀作法]に則り、優雅に一礼し、そして一言。
貴女に逢える時を心待ちにしておりました。
お迎えに上がりましたよ、麗しきお嬢様。
……案内人は先に召喚した蛇ですがね?
僕自身は先のワイヤーでカンフーを阻害しつつ、
【翼蛇召喚】、上空から存分に喰い散らかせ。
……これがエモなのでしょうか?
●花の園へ小夜啼鳥は降り立つ
転送が終わるや否や、仁上・獅郎(片青眼の小夜啼鳥・f03866)は鉤爪を持つ巨大な蛇を召喚しその背に乗った。
眼下には先制して『絶対無敵バリア』を展開し、兎面の目を光らせる『カワイイ怪人『ラビットバニー』』の姿。ラビットバニーは『うさちゃんカンフーモード』となり地上から獅郎を迎え討たんと待ち構える。
のんびりしているとそのまま空中まで飛び掛かられそうだ。そんな中、獅郎はさてと考える。
(えもとは難題ですねえ。まあ、僕なりにやってみましょう)
えも、と聞き思い浮かぶのは最近の仲間たちとのやりとり。なにやら自分にいろいろ着せようとしたり、天井から吊って歌わせようとしたり。なにやらあいどる、というものにしようとしているとか。
(ふむ……)
自分に向けられる評価と見聞きしたことのある知識を重ね合わせる。するとおのずと自分なりに『やってみる』ことが浮かんできた。
「こーら猟兵、降りてきなー! いきなり空にいくとかあーし、まじテンサゲなんですけど! そっちが来ないならこっちから……」
跳躍しようと力をこめる『ラビットバニー』。その時にとつぜん目の前にロープがするりと降りてきた。そのロープを伝いスルリと地上に降りた獅郎。片眼鏡となびくコートはどことなくちょい悪な怪盗を思わせる。
臨戦状態の敵前へ無防備に降りてくる大胆さに警戒し一度距離を離す『ラビットバニー』に対して、舞い降りた獅郎は姿勢よく静かに立ち上がると胸に手を当て、優雅に一礼して『ラビットバニー』を見つめる。温厚で真面目そうな、どことなく平凡さのある柔らかい顔に左右の違う色の瞳が輝いていた。その微笑にほのかな狂気を感じるのは瞳のせいかそれとも怪盗のような恰好のためか。
この優しさと危険さが混ざり合う雰囲気に『ラビットバニー』は揺らいだ。
「この優男……エモくね……?」
この揺らぎへ獅郎はさらなる一押しを加える。
「貴女に逢える時を心待ちにしておりました。お迎えに上がりましたよ、麗しきお嬢様」
ニコリと笑う獅郎。表情はよくわからないがいくらか効いてはいるようで『ラビットバニー』はその動きをとめ硬直する。
「……案内人は先に召喚した蛇ですがね?」
そう言いうと獅郎は上空に待機させていた翼蛇をけしかけた。その鉤爪は『ラビットバニー』を傷つける。しかし……。
「……っ、あっぶねー! ちょっとときめいちゃったんですけど! でもいくらあーしでも、このくらい耐えられるし!」
再び展開される『絶対無敵バリア』。エモさで動揺させ一撃を加えることはできたがエモさの効果が短く、有効なダメージを与えるには至らなかった。
苦戦
🔵🔴🔴
アンノット・リアルハート
&&
エモいっていうかはわからないけど、思い出話を一つ
ユーベルコードで私の記憶から幻想を作成、宿敵であるアンマリス・リアルハートとの戦いを再演します
最初はまだ国が残っていて、二人で歌の練習をしていたころの記憶を
次にオブリビオンと猟兵、お互い同じ道を歩めない存在として再会した記憶
そして妹は憎悪を、私は伝えられなかった言葉を歌にしてぶつかりあった戦いの記憶を
花の足場の上で幻想が戦いを再演をして【時間稼ぎ】をしている間に、気づかれないようにラビットバニーに接近
戦いの最後、死の間際のアンマリスと共に行ったデュエットをバックにラビットバニーを槍で貫きます
あの子が歌った最期の歌よ、じっくり胸に刻み付けなさい
●夢の行方
「エモいっていうかはわからないけど」
アンノット・リアルハート(忘国虚肯のお姫さま・f00851)は『カワイイ怪人『ラビットバニー』』に対峙するとユーベルコードを発動させようとする。『絶対無敵バリア』を展開し先に攻撃を仕掛けようとした『ラビットバニー』はしかし、アンノットが行おうとしたことに気づき動きをとめた。
「えっ、ちょ、まじ!? 自分に!? だってそれ――」
命中した対象の攻撃力を減らし、全て命中するとユーベルコードを封じる。そのユーベルコードを自分へと放ったアンノット。
「これは彼方の夢、捨てられた幻想、されど――」
アンノットの脳裏に浮かぶのは遠い世界にある既に滅びた国のこと。そして、そこにかつて居た『オリジナル』のこと。『継承のリボン』を手に『星形のペンダント』へ触れ、しっかりと自身の内と向き合っていく。
「――されど『貴方』の持っていた確かな記憶」
リボンとペンダントに触れる手が僅かに強張った。願いが形になった複製体の自分が、この記憶を再演することに対して複雑な思いが過る。それでも――。
(もう、どの世界も滅ぼさせはしない)
アンノットは決意と共に自分の中に宿る記憶から幻想を作り出した。
生み出された幻想は走馬灯のように巡る。
そこは平和な光景だった。歌の練習をする二人の高貴な雰囲気の姉妹は互いに笑いあっていた。
そこは戸惑いの光景だった。かつて笑い合っていた二人は互いに立場が変わってしまい、和解の道は無かった。
そこは悲しみと戦いの光景だった。かつて妹だった敵が黒いドレスを纏いアンノットへ襲い掛かっていた。幻想の中のアンノットは伝えられなかった言葉を歌にして歌うが、しかしその言葉は直ぐには伝わらず戦いとなる。
「えぐっ……えぐっ……」
この光景を前に嗚咽が響く。『ラビットバニー』は泣いていた。
「なにこの超大作、まじ全キマフュが泣いた的なやつじゃん……」
幻想の戦いは死別へと進んだ。幻想の中で黒いドレスの少女は致命傷を負い、最後の力を振り絞り歌おうとする。その映像へ思わず見入る『ラビットバニー』は、突如として槍に貫かれた。
「あの子が歌った最期の歌よ、じっくり胸に刻み付けなさい」
槍を突き出したのは幻想ではなく現実のアンノット。
「くっ……油断したし……!」
突き刺さる槍を掴むと強引に引き抜いて『ラビットバニー』は反撃の蹴りを行った。その蹴りを受けアンノットはよろめいて後退をする。しかし『ラビットバニー』へ与えたダメージはそれなりに大きいものを与えることができた。
だが『ラビットバニー』は知らない。この目の前のアンノットがあの幻想に登場したアンノット本人ではないということに。願いが形になった複製体が代理人として、滅んだ人々の望みを背負って生きているということに。そして何より本人が自分が夢の存在だと自覚していることに。
それでも彼女は今を生きる――全力で。
大成功
🔵🔵🔵
数宮・多喜
&&&
仁上センセが頑張ったんだ、アタシも気張っていこうじゃねぇの!
まずご挨拶とばかりにカブに乗りつつバニーへ突っ込みながら
【人機一体】を発動!まあバリアに弾かれるだろうからね!
弾かれながらもばらけたカブのパーツを纏って着地し、
『グラップル』と『操縦』を駆使して
カンフーの高速戦闘に付き合おうじゃないのさ!
……あ、もちろん防戦主体な。まだエモくないだろうし。
どんどん攻防の…というか防御のペースを上げていって、
更に加速する。
最高速に至った瞬間、そこが勝負時さ!
一気にフィニッシュ形態に二段変身して、
【黄昏砕く脚】をぶち込みにかかる!
見惚れてくれるかどうか、博打だけどさ。
スタイリッシュに決めたいね!
●全力の撃走
ぶぉんとエンジンを唸らせ『カワイイ怪人『ラビットバニー』』へ強襲をかける影がひとつ。
「不意打ち? つーか、そんなのであーしを倒せるわけないんですけど!」
体当たりをするように突っ込んできた影はしかし、ラビットバニーの『絶対無敵バリア』に弾かれ自分自身の運動エネルギーで宙を舞った。
「よっ、元気してるかい?」
衝突のインパクトの瞬間に自ら飛んだ数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は空中で『ラビットバニー』へ声をかける。同時に衝突で宙を舞った相棒の『宇宙カブJD-1725』が変形を始めパワードアーマーのパーツへとその姿を変えた。
そのパーツは多喜のサイキックちからで引き寄せられ、空中で腕、足、胴と装着され最期に頭部へ装着。その身を包む鎧となる。
「空中合体……いいや、空中変身! やっべエモい!」
パワードアーマーを纏った多喜はそのまま地面へ着地する。
「ん、え! 今ので良いの!?」
あっさり出たエモ判定に驚く多喜。
「一瞬だし! 変身の一瞬がエモかっただけだし!」
少し心が乱れ『絶対無敵バリア』は解除されたが、『ラビットバニー』は再び落ち着きを取り戻してバリアを再展開していた。本人の言う通り確かに気持ちが動いたのは短い間だった様だ。
「つーか、それで終わりなわけなくない? なら先にこっちからいかせてもらうし!」
兎面の目が光り『うさちゃんカンフーモード』となった『ラビットバニー』は爆発的に増大したスピードと反応速度で多喜へ襲いかかる。その速度はようやく目視できるかというもの。
同様に高速移動が可能になっている多喜は咄嗟に防御行動をするが『ラビットバニー』は繰り出す掌底の軌道をその反応速度を以て変えガードの隙間に打撃を入れた。
「かはっ……」
「どういうつもりか知んないけど、あーしと正面からやり合おうなんて無謀ってか、あーしも舐められたもんだし!」
続けて素早い散打で揺さぶられ生じた隙へ蹴りがヒット。防戦に入る多喜に着実にダメージが蓄積していく。
(くっ……、カンフーの高速戦闘に付き合おうとは思ったけど、思ったよりキツい……!けど、まだだ。まだエモくない……!)
徐々に目は慣れてくるが相手の速度に追いつけずこの猛攻は防ぎきれない。多喜は守りに徹したがパワードアーマーの下には痣が出来、額や口内からは血が出ている。
「見るからに膝に来てっし、そろそろ限界っしょ! 終わらせたげる!」
そう言い『ラビットバニー』はトドメを刺そうと力を溜め始めた。
「ここだぁ!」
多喜は吠え、飛んだ。すこし予定と違ったが敵の攻撃を受けて防戦主体になることで『エモさの勝負時』を探っていたのだ。やるなら恐らくここしか無い。
(博打だけどさ。スタイリッシュに決めたいね!)
咆哮とともに流れる血を振り切り、歯を食いしばって気力の高ぶるうちに跳ぶ。足りない速度は高さで稼ぐ。
「そんなボロっちいナリで悪あがき!? 何をしたって無駄……」
多喜を見上げる『ラビットバニー』は、何かに気付いて息を飲んだ。
(まじ……?もしかしてこれって……)
気付いてしまったのだ。初手の強襲からここまで続いた、無謀と紙一重の数々の行動に。『己の命をチップにしたエモさのための博打』に。念動力で調整を加えながら落下を始めた多喜は『ラビットバニー』と目が合うと、ニヤリと笑ってみせた。
(見惚れてくれるかい?)
「エンジン、サイキック、全開……超・変・身! てぇいやぁぁぁぁぁ!」
「――っ!!」
熱と電撃を纏う、一度限りのエモい蹴りが『ラビットバニー』へ降り注いだ。
成功
🔵🔵🔴
マーリス・シェルスカナ
エモい、デスか。要するに怪人にGood!と言わせてOneChanceを作るのネ?
Meは【エレクトロレギオン】を発動、まずは攻撃じゃなく
レギオン達を使って、組体操的な空中アートを創ってみるヨ。
怪人の顔に星にと、思いつくもの色々、怪人のリクエストも受け付けるネ。
デ、怪人が楽しんで来たナラ、集めて躍動ある蛇竜を形作ッテ
もっと近くで見てヨと誘い、怪人とレギオンの距離が十分縮まったラ、レギオンを怪人に接触&一斉自爆でアタックを決めるデス!
…Oh、Sorry。『手が滑りましタ』。
攻撃の成否かかわらず、怒られる前に直ぐ退散ネ!
ビームと花攻撃は、スーツの【激痛耐性】【第六感】で
躱し耐えながらByeByeヨ~!
●フリーダムウィッチ
「エモい、デスか。要するに怪人にGood! と言わせてOneChanceを作るのネ?」
そう呟いたマーリス・シェルスカナ(宇宙(そら)飛ぶマーリンレディ・f15757)はユーベルコード『エレクトロレギオン』による小型の戦闘用機械兵器を召喚した。
対する『カワイイ怪人『ラビットバニー』』は『絶対無敵バリア』を展開済みだ。
「つーかこの絶対無敵バリアは破れねーし! こっからいくよ」
攻撃を仕掛けようとする『ラビットバニー』。その目の前で機械兵器たちがふわりと翻り隊列を組んで星や猫や犬などのカタチを作りだした。
「すげー! エモくね!?」
攻撃のため駆け出していた足をとめ曲芸アートを見る『ラビットバニー』。
(効果あり、デスね)
放浪船をでてからの旅で広めた見聞を元に、マーリスは次々と様々な動物やお菓子などを空中に描いていった。機械兵器たちを操り複雑な絵を最適化されたデフォルメで描く魔法のような手腕はまさに宇宙の魔女。
今この瞬間『絶対無敵バリア』は解除され攻撃のチャンスが生まれた……しかし。
「もっと近くで見てヨ、リクエストも受け付けるネ」
躍動感のある蛇竜を形作りながらマーリスはさらに誘おうとする。
「いやそんなにはっきり誘われたら流石に簡単には近づかねーし!? 確かにあーしエモさに夢中になるトコはあるけど!」
ストレートに近づくよう促したことで警戒をした『ラビットバニー』は、再度『絶対無敵バリア』を展開する。横目でちらちら機械兵器たちのアートを気にしているので興味が無いわけではない様だが……。
「さーてそんじゃ次はあーしの番」
そう言いながら『ラビットバニー』は『おはなハッキング』でこの『システム・フラワーズ』内部の唯一の床と言える足場の花を自在に操作していく。
床がなければ歩くも避けるもできない。マーリスも例外ではなく立つのがやっとという状態にされ動きを封じられてしまう。そのままマーリスへ近づいた『ラビットバニー』は攻撃のため蹴りの構えに入った。
この追い詰められた状況でマーリスは持てる知識を総動員して様々な策を考え、第六感で最適なものを選び出す。召喚されていた機械兵器たちはマーリスの指示を受け激しく動くと、宙に創出されしはウサギの被り物。
「うわああああああ! これ、あーしの顔? すげー! すげー!」
攻撃の構えを止めてはしゃぐ様子を横目に、マーリスはするりと『ラビットバニー』の横を通り抜けた。そして『ラビットバニー』が浮かれているうちに機械兵器たちを敵にぶつけ自爆させる。
「ぎゃー!?」
「……Oh、Sorry。『手が滑りましタ』」
白々しく呟いたマーリスはイタズラを楽しむ子供のように微笑むと、飄々とした仕草を交えながら、捉えどころのない風のようにぴゅうと逃げていった。
成功
🔵🔵🔴
ユキ・コシイ
&&
…心を揺さぶればいいのね?
それならば…すれ違った二人を歌う【The Purple】はうってつけ
自在に襲い来る花の足場を、装備の飛行能力で
空中戦を展開することで回避しながら…歌います
『「ただ君に会いたかっただけ」
あなたの言葉だけが、虚しくて―』
…最初はしっとりと
サビは強く熱く…盛り上げましょう
『好きだったのに』
どこまでも切なく
『あんなに、大好きだったのに…!』
見て、聞いて、感じた…ありったけの人の感情を…歌に叩き込む!
『―あなたには、もう…逢えない』
……特別ライブ…少しは…満足した?
心に響けば動きが止まる、響かなければ…突破口は無い。文字通り一発勝負
成功したら…全武装の一斉発射を撃ち込むよ
●届かなかった歌
どこか切ない雰囲気の歌が響いている。歌の主はユキ・コシイ(失われた時代の歌い手・f00919)だ。
(……心を揺さぶればいいのね?それならば…すれ違った二人を歌う『The Purple』はうってつけ)
そう考えてユーベルコードによる歌を歌っていたのだが、しかし重大な見落としがそこにはあった。
ユーベルコード『ポップス「The Purple 」』は『【サウンドデバイスや歌い手】から【すれ違ってしまった二者の心情を込めた歌】を放ち、【聞いたものの心を奪うこと】により対象の動きを一時的に封じる』という効果だ。
つまり『歌そのもの』が『対象に効果を及ぼす攻撃』となってしまう。ということは……ユキの歌声は『絶対無敵バリア』によって完全に遮断されてしまい『カワイイ怪人『ラビットバニー』』には届かなかった。
「聞こえねーし、もしかして歌の攻撃? 『絶対無敵バリア』で防げてるし、たぶんそういうことっしょ?」
ユキはアウターコートの『スワン・メイデン』で発生させた斥力で浮き空中へ行くことで『ラビットバニー』のおはなハッキングによる移動の阻害を回避してはいたものの、初手から目論見が外れて動揺していた。
(私の歌が、聞こえてない……? 効かないではなくて、届いてない……!)
自分の生まれた意味の一つとしての歌。そして誰にも負けたくない歌。――それが、目の前の相手に、全く届かない。それは自分の存在そのものの否定のようにさえ感じた。
歌のことになると思わず熱くなってしまうからこそ、短い時間とはいえユキは平静さを失い思考が真っ白になる。敵が反撃を行うにはこの短い時間でも十分だった。
「そろそろ仕掛けさせてもらうっしょ!」
自在に操る花の足場を階段状に並べ空中への道をつくった『ラビットバニー』は勢いよく駆け上がる。文字通り一発勝負に賭けていたユキは無防備となっており、動揺の不意の間に一気に接近した『ラビットバニー』の攻撃――拳と、続けて放たれる踵落とし――をその華奢な体躯でまともに受けて地面に叩き付けられた。
強い衝撃と痛みで我に返ると、視界はうっすらと赤く全身が砕けたように痛い。
日頃から苦楽を共にする二体の腹話術人形がユキの側に転がっていた。ユキは心を埋めるように手を伸ばし、抱き寄せる。
「【どう……したんだい。まだ寝るには、早いよナノ山さん】『そう、だね……けれど体に、力が入らないんだ、テレ…彦くん』」
傷は深くは無いが、踵の強打と地面への激突で流血し意識が朦朧としている。
「【……歌おう】『そうだね、歌おう……』」
朦朧として思考がまとまらない中、ユキは欲求のままに歌う。自分自身を抱き寄せるように。自分自身を確かめるように。
♪ただ君に会いたかっただけ
♪あなたの言葉だけが――
ときおり咳き込みながらか細く歌は続く。歌を紡ぎながらおぼろげな意識でその寂しげな瞳が動くのは、失われた時代の光景が映っていたのだろうか。
やがて歌い手は気を失い、歌は途切れた。
失敗
🔴🔴🔴
黒夜・天
テメエ、何にでもエモいとか言う雑食らしいな
オレもそうなんだ。雑食なんだよ
ああいや、どっちかと言うと偏食か?
オレはオレの、そして場の幸福を、健康を、財産を、愛をひたすらに喰うぜ
そしてオレは不幸になるのさ
見た目だけなら美少女だぜ? かなり不健康そうだけどな
そんな少女が不幸な目にあって、それでも立ってる姿に、エモとやらを感じてくれるか?
それで一瞬でもバリアを解いてくれたなら、オレの時間だ
テメエにも不幸になってもらうぜ
そしてオレは、テメエがバリアを展開していた時間だけ、イイモノを喰ってパワーアップしてる
テメエがバリアを解いたなら、即近づいて近接戦よ
テメエのイイモノも喰ってやる
共倒れと行こうぜハニー!
●本能と欲望
「テメエ、何にでもエモいとか言う雑食らしいな。オレもそうなんだ。雑食なんだよ」
花の足場で満たされた華やかな『システム・フラワーズ』で、その声の主は存在がすこし浮いていた。黒夜・天(有害無益の神・f18279)はボロボロの布を纏った貧相な少女の姿で『カワイイ怪人『ラビットバニー』』の前に佇む。
「んー、つーか、もっと欲望マックスでガチめに自分飾ったりしねーの? 街に戻ればコンコンって何でも手に入るんだから好きなだけ欲しいもん手に入るじゃん?」
満たされた上でなお満足できず、自身を掻きむしってでも満たすものを求め、今すら捨てていく――欲望は満たされてからが本番――そのような欲望の極限からは、この少女の存在は遠いように見えた。
この『ラビットバニー』の問いに、天は疑問を返す。
「それはオレを満たしてくれるのか?」
天の長い髪の隙間から鋭い眼光が覗く。何か仕掛ける気配を察知し『ラビットバニー』は『絶対無敵バリア』を展開し『赤べこキャノン』で先手を仕掛けた。
「何するつもりか知らねーけど! させねーし! つーかあーしの『絶対無敵バリア』は破れねーし!」
得体のしれない相手へまずは様子見と命中を重視したキャノンを放つ『ラビットバニー』。天は特に防御も回避もする様子もなくそれを受けた。
命中重視で威力が抑えられていたとはいえ幹部の攻撃をまともに受けた天はダメージにより片膝をついた。そして自身のユーベルコード『悪食・不幸祭』を自身に向け、幸い・健康・財産・愛を食べる。しかし元からほとんど持たないそれを食べたところで戦闘力が増加はほとんど発揮されない。
「もっともっともっともっと!! 喉が渇くんだよォ!!」
種族としての神……それはヒーローアースの世界では生命を創造した存在であり、年齢は外見を表す仮初のものに過ぎないとされる。人間はこの神に似せて作られたとも言われる。その性質は精霊より創造主としてのソレに近いだろう。
ならば、不幸も『創造された』からこの世に在るのだろうか? もしもそうだとするならば、不幸とされる多数のそれを担当する神とはいかなる存在なのか。
自身の持つ微かな健康を喰らい青ざめた様を通り越して白くなっていく天の行動を『ラビットバニー』は理解できずにいた。
「ちょ、よくわかんねーけど! 街に戻りゃいいじゃん!? そこならなんでもあるし」
「オレは疫病神で貧乏神だ、だからメシは幸福や健康だ。オレが喰いてェのはテメーだ! けど腹が減ったのは今だ!!」
そこにあるのは不幸を司る神としての本能だった。常に飢えており本能でモノを食べてしまう彼女。やがてそれが楽しいことだと強がるようになってしまった彼女。彼女は自身の本能からくる欲望をうまく制御する術を、まだ知らない。
「なら喰えるものがありゃ……自分だろうが喰うだろうがよォ! オレはオレの、そして場の幸福を、健康を、財産を、愛をひたすらに喰うぜ」
「――!?」
自身を傷つける目の前の少女は、ただただ自身の欲望と本能のままに振る舞っていた――存在そのものが不幸に繋がる神として。人間が創造される際の模倣元として。
「ヒトのあるべき姿じゃん……欲望マックスでガチってるじゃん……!!」
ありのままに振る舞うことで天は『少女が不幸な目にあうこと』へのエモさを狙おうとしたようだが、しかしその姿は本能と欲望を体現し、少女の姿がそれを行うアンバランスさにより別のエモさを醸し出していた。
自分の在り様のままにひたすらに自分を喰っていた天は、『絶対無敵バリア』の解除を本能で察知すると飢えからくる衝動のまま『ラビットバニー』へ襲いかかる。すでに血の気の感じられない蝋のように白く生気のない肌とやつれ痩けた顔から想像ができないギラつく眼光で俊敏に『食料』に飛びつこうとした。恐らくは最期の力を振り絞った動きだろう。
「テメエのイイモノも喰ってやる! 喰わせロォォォ!」
神の欲望――災厄――が『ラビットバニー』へ襲いかかった。
苦戦
🔵🔴🔴
ユキ・コシイ
&&
…リベンジに来た。
…ああ…見て分かんない?絶好調よ…!
世界が真っ二つになっているってのに
放送事故やらかした上…転がってるなんて、出来る訳無いでしょう
もっとも…満身創痍なのも事実
それなら守って貰えばいい
UCで呼ぶは…宇宙艦船。これなら…この「特設ステージ」なら
フルを歌い終わるまでぐらいは、攻撃を凌ぐ…盾に出来る筈
痛覚なんて遮断、血の代わりに声を吐け
今度こそ…見て、聞いて
魂を燃やす…全身全霊の歌を、わたしのロックを
どこまでも青臭くて、泥臭い、飾らない言葉で
このキマイラフューチャーに捧げる、ラブソングを―!
サビと同時に…全艦に攻撃を指示
わたしの譲れないものってやつの威力…存分に見せてやる…!
●残響のリフレイン
意識を取り戻したユキ・コシイ(失われた時代の歌い手・f00919)は震える脚を抑えて立ち上がり、よろよろと歩く。
――自身の譲れないモノのために。
気配を感じ『ラビットバニー』が振り返るとそこには先程打ち倒した猟兵がいた。
「しぶといじゃん、あーしにまだなにか様?」
よろめき現れたその姿は、額や頬に乾き始めた血を張り付かせ、その綺麗な服も赤黒く汚し、震える足でようやく立っている。
「……リベンジに来た。世界が真っ二つになっているってのに、放送事故やらかした上……転がってるなんて、出来る訳無いでしょう」
痛覚を遮断し立つのがやっとなユキはすでに満身創痍だ。だが、そこには意地がある。
「惨敗からのリベンジ……! やっべちょっとエモい! けどまた同じことしようとしても無駄だかんね! つーかその体じゃバリアなくてもフツーにトドメいけっし!」
先に『絶対無敵バリア』を展開すると『システム・フラワーズ制御ビーム』で足場の花々を制御してユキの動きを封じていく。
「そんじゃ、これであーしの勝ちっしょ!」
足場の花で囲みユキの逃げ道を防いだ『ラビットバニー』はトドメの一撃を打ち込もうと駆ける……しかしその拳は召喚された宇宙艦船により阻まれた。
「壁!? いやちげーわ、でっか! なにこれ!?」
ユキを守るように現れた戦船が『ラビットバニー』の攻撃を防ぎそのまま機関砲の銃身を向けて射撃をした。しかしそれはいくつかは外れ、命中したそれも『絶対無敵バリア』により届かない。しかし、この召喚は攻撃のためだけではない。
「この戦艦なら……この『特設ステージ』なら……しばらく攻撃を凌ぐ、盾に出来る筈」
攻撃のためではなく、歌うために召喚をしたのだ。ユキの足元からさらに地形と見紛うような巨大艦が現れるとユキを上に乗せたまま上空へと浮かんでいく。それはまさに宇宙艦船をステージに見立てた特設ステージ。
ユキはマイクを手にとった。――歌いたい、そして歌を届かせたい――気持ちが強くおもむくままに声を吐く。
今度は対策されるユーベルコードではなくてただの歌を届けよう。今度は感動させてやろうという歌ではなく、魂を燃やした自分自身の内から出てくる歌を。
♪『ただ君に会いたかっただけ』
♪あなたの言葉だけが 虚しくて
歌詞は同じだがそこにこもる熱が違う。そしてなにより――。
♪好きだったのに
♪あんなに 大好きだったのに……!
♪けれど この未練はホンモノだから
――何より、結末が違った。ユキは歌う、どこまでも青臭くて、泥臭い、飾らない言葉で捧げられるラブソングを。
♪忘れられない だから もう一度
♪会って絶対 絶対 伝えるんだ
♪『今も好き』だって
自身の流した血がこびりつく服を纏い怪我を負ったまま立つ満身創痍の歌姫は、ただ自分のために歌った。歌姫を守るのは巨大な宇宙艦船。その上で歌姫は歌う。再び開く傷の痛みを受けながら血の代わりに声を吐く。
どんな時も失われずに自身に残る、譲れない歌への思いが、再び心に繰り返し響く。
(今度こそ……見て、聞いて。私の歌を!)
その姿に『ラビットバニー』は打ちのめされていた。
「リベンジってだけでもちょっとエモいのに、対策たててまでやるのが自分のために歌うだけって、超エモいじゃん……」
歌がサビの盛り上がりに入ると華を添えるように宇宙艦船がリズミカルな砲撃を放ち始つ。砲撃の旋律が狙うのはエモさでバリアが失われた『ラビットバニー』。
砲撃の旋律と歌姫の魂による熱いセッションは、その敵性の目標を焼き尽くしていく。――ユキの歌は今度こそ届いた。
大成功
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