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バトルオブフラワーズ⑩〜エッッッモ!!!!

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ラビットバニー

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 バトル・オヴ・フラワーズ!
 北と南に分断されたキマイラフューチャーを舞台にした、怪人との一大決戦。
 第一の関門を乗り越えた猟兵たちは、次なる門番と相対する。
 カワイイ怪人・ラビットバニー。幹部級の強大なオブリビオン。
 しかし奴には意外な弱点が!? 今回はそれをまとめてみました!
「……とか、キュレーションサイトには書いてありそうであるなあ」
 グリモア猟兵、ムルへルベル・アーキロギアは遠い目をして呟いた。

 グリモアベース。少年めいた賢者は、気を取り直して説明する。
「エイプモンキーは無事討滅された。だがまだ首領へは辿り着けぬ。
 システム・フラワーズ内部を守る第二の幹部怪人、ラビットバニーがおるからだ。
 彼奴の能力は……またドストレートなのだが、"絶対無敵バリア"と云う。
 読んで字のごとく無敵。どうあがいてもこれを貫くことは不可能だ」
 言葉と裏腹に緊張感はやや薄い。実はバリアにはとんでもない弱点があるのだ!
 意外な事実に、猟兵たちの目にも涙が……!
「……とか、粗悪濫造動画のサムネイルにありそうよなあ。まあそれはよい」
 咳払い。どうにも幹部怪人相手の戦いは気が緩みがちである。

 改めて賢者がまとめたところによると。
「エモい、という言葉がある。ナウなヤングで流行りのフレーズらしい。
 エモーショナル、まあようは心が揺さぶられるさまを指しておるとか……」
 この"エモい"が重要だ。ラビットバニーは、エモさを感じると心が乱れる。
 心が乱れると、バリアが解除される。……ムルへルベルは咳払いした。
「いいか、もう一度云うぞ。彼奴はエモさを感じると、バリアを解除してしまうのだ。
 ワガハイ真面目であるからなこれでも! ホントのホントなのであるぞ!!」
 なぜか地団駄を踏んで怒り出した。無理も無い。

 しかし問題は、何をしてエモいとするか。
「これがまた割となんでもよさそうなのだ。こう、なんというか……。
 また若者言葉なのだが、"バズりやすいもの"が好まれるようなのだ」
 傷つきながらも困難に挑むさまだとか、仲間同士の熱い友情だとか。
 もちろんラブな意味でのアツさでもいいし、カワイイやコミカルさでもいいらしい。
「壁ドン? であるとか、なんかそういうのでもいいのではないか多分。
 とにかく判断基準が相当緩い。ゆえにバリアの解除そのものは難しくないであろう」

 そこでムルへルベルは表情を引き締め、一同を見渡し頷いた。
「それを差し引いても彼奴は強い。バリアがなくとも苦戦は免れまい。
 いくらふざけた輩だからといって、戦いの手を抜けば大惨事であるぞ」
 仮にも相手は幹部級オブリビオン。相応の覚悟と戦術は必要だ。
「バリアが解除されたらそこからが本番である。決して気を抜くな。
 まあ、エモさとやらの程度によっては戦闘が優位に進むやもしれぬが……」
 だからといって、バリアのことしか考えていないようでは返り討ちに遭うだろう。
 戦闘に入れば相手も本気でかかってくる……はずだ。ふざけてはいられない。

 そして例にもよって、ラビットバニーは倒しても即座に復活する。
「エイプモンキー同様に、ひたすら撃破し続けなければ道は開かれんようだ。
 オヌシらには再び辛い戦いを強いることになるが、どうか手を貸してくれ」
 そこでようやく、ムルへルベルは持っていた本を閉じた。
「"情念は、我々がそれを明確に定めるや否や、たちまち情念でなくなってしまう"。
 とある哲学者の言葉だ……ま、エモいとやらもそういうことなのであろうよ」
 かくして、第二の戦いが始まる。


唐揚げ
 いかがでしたか? ソーセージマルメターノです。
 とりあえずまとめと、いつもの文章いってみましょう。

●まとめ
 目的:敵幹部『カワイイ怪人・ラビットバニー』の撃破。
 ただし、目標は撃破しても即座に別地点に復活する。
 以下はラビットバニー戦における注意事項。

 ラビットバニーは必ず、猟兵に先制して『絶対無敵バリアを展開するユーベルコード(POW、SPD、WIZ)』を使ってきます。
 絶対無敵バリアは本当に絶対無敵で、あらゆる攻撃を無効化しますが、「ラビットバニーがエモい物を目撃する」と、精神集中が乱れてバリアが消滅します。
 ラビットバニーのエモい基準はかなりユルいので、バリアの解除は比較的容易と思われますが、バリアなしでも彼女は相当の実力者です。

 ……以上です。なんだかんだで難易度:難しいではあるということですね。
 作戦が重要なので、合同プレイング以外での同時採用は少なめになります。
 別にOKな方や逆に希望される方などは、それとなくご明記頂ければ善処します。
 また普段より不採用が出ると思われますので、その点ご承知おきください。

 ともあれ前置きはこのへんにして。
 皆さんのエモさ溢れるマジテンアゲなアイデア、お待ちしてるっしょ!
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第1章 ボス戦 『カワイイ怪人『ラビットバニー』』

POW   :    赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    うさちゃんカンフー
【絶対無敵バリア展開後、兎面の目が光る】事で【うさちゃんカンフーモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    おはなハッキング
【絶対無敵バリア展開後、両手の指先】から【システム・フラワーズ制御ビーム】を放ち、【花の足場を自在に操作する事】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:和狸56

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●システム・フラワーズ内部
 花々咲き乱れる空間に、奇妙な風体のカワイイ怪人あり!
「そろそろ猟兵来るんじゃね? まじせわしなさすぎてあーしビビるんですけど」
 転送の気配を感知したか、ラビットバニーは誰に云うともなくひとりごちた。
 愛用の赤べこキャノンを肩に担ぎ、不敵な面持ち(顔は見えないが)で威圧する!
「あーしの『絶対無敵バリア』、破れるもんならまじ破ってみろって感じじゃん!
 ま、そんなんありえないんですけど? あーしが相手になってやんよ、天敵ども!」
 などといまいちふざけた輩だが、その能力と戦闘力は折り紙付きだ。
 エモさは忘れずに、しかし油断することなかれ――猟兵たちよ!
ラビット・ビット
アドリブ歓迎

キャラ被りすぎでは!?
ろくろうさんの背にのって必死に回避しながら言いくるめましょう!
待ってください!話を!聞いて!
ほらこのリボン!凸凹つまりは二人は1つのデザイン!凄くないです!?しかもリボンだから元は同じ!えっヤバ!?

動きが止まったら引き続き言いくるめです
エモ好きでしょう?
大量に浴びたくないです?
今からビットくんが人生をかけて集めたエモの集合場所に連れていくので
中の物がエモいと思ったら一発殴らせてください
細腕だしいいでしょう?

殴るのは角で殴るくんで、ですけど

相手を幸せにできないと思って離れようとする人と君と一緒じゃないと幸せはないって言い切る人のエモなどを大量に摂取してください♡



●ラビット・ビットのエモさ
「キャラ被りすぎでは!?」
「は???」
 開口一番、さっそく意思疎通がすれ違っていた。天敵同士なので仕方ない。
 さておきラビットは真面目である。大真面目なのでなおさらタチが悪い!
「あーしのどこがあんたと似てるって? まじウケるんだけど!」
「待ってください! 話を! 聞いて!!」
 さっそくビーム展開ポーズをとったラビットバニーを慌てて宥めるラビット。
 ……名前が似ているので少々、いやだいぶややこしい。
「いや、あーしがおとなしく話聞く意味とかなくない?」
「いやいやそんなぁ、ほらこのリボン見てくださいよ!」
「んー?」
「凹凸つまりはふたつはひとつのデザイン! すごくないです!?
 しかもリボンだからもとは同じ! えっヤバ!? ありえんよさみが深い!」
 言いくるめてるんだか一人で盛り上がっているんだか少々わからない。
 カワイイ怪人はどちらかというと、ラビットのそのノリに首を傾げていた。
「もしかしてあんたオタク?」
「そうですけど文句ありますか!?!?!?!??!?!」
 地雷だ! ラビットはリボンをちらちら見ながらぷんすこ怒る!
「いやでもビットくんオタクであることに誇り持ってますので!
 伊達にコミュ障やってないんでガチで! だからビットくんをすこれよ!!」
「やっべ意味わかんない! 猟兵おもしろくね?」
 けらけら笑っている。好感触……なの、か?

 ともあれこれもラビットの作戦だ。目的は閉鎖空間への閉じ込めにある。
 カワイイ怪人が割と乗り気らしいことに気を良くし、彼は話を一段階進めた。
「エモ好きでしょう? 大量に浴びたくないです??」
「いや浴びたらあーしのバリア消えちゃうし」
「いまからビットくんが人生をかけて集めたエモの集合場所に連れていくので!
 中の物がエモいと思ったら一発殴らせてください!!」
「えっやば何言ってんのかガチで意味わかんないんだけど! ウケる!」
「ビットくんバカにされてますねこれ!?」
 だが好感触(多分)だ! 相手は少なくとも会話には応じている!
「じゃあはいこちら薄い本の隠し場所になりまーす」
「名前からしてなしなしのなしだけどとりまおっけーじゃん!」
 そんなわけで応答した。ふたりはガジェットの中に吸い込まれていく……!

 ……ここは無限の図書館。と、書いて薄い本の隠し場所である。
 右を見ても! 左を見ても! あるのはどれも同人誌ばかり!
「うっわ」
「いまヒきました!?」
 さておきラビットはさっそく推しサークルの同人誌を持ってきた。
 一次創作の即売会で手に入れた少数製本の宝物だ。自慢の品である!
「えっ待って、え? えっマジ? これ商業じゃないの? ガチで?」
「でしょう!? やばやばのやばですよね! ビットくん十冊買いましたよ!」
「いやそれはあーしヒくわ」
「やっぱりヒいてるんじゃないですか!!!!!!!」
 ぺらぺらぺらり。カワイイ怪人は割と普通にのめり込んでいた!
「えええええ! ちょ、ええーうわまじ? あーやば、尊すぎっしょ……。
 えーこんな絵師さんいるとかまじ初耳なんだけど、やっば、エッッッモ!!」
 ピコンピコーン! どこからともなくなんかファンファーレが聞こえてきた。
 常時展開されていたバリアが……消える! ラビットは計画通りの笑み!
「でしょ!? すこでしょ!?」
「いやこれすこだわ、エッモ!」
「じゃあ一発殴りますね!!」
「(スンッ)あっそれは無理無理の無理」
 ZAAAAAAAAAAAP!! 迸るレーザーの雨! 吹っ飛ぶ薄い本たち!
「ぎゃああああああちょっとぉおおおおおおお!?」
「これはもらってくから! あんたとね! でもまとりま死んどいて!」
 ZAP! ZAP! ZAAAAAAP!! おお、おお、宝が、夢が、何もかも灰に……!!
「あー! ああー!! あああああああ~~~~~~~!!!」
 限界オタクそのものの悲鳴をあげ、レーザーに呑まれたラビットであった。
 エモに極振りした結果がご覧の有様だよ!!

苦戦 🔵​🔴​🔴​

壥・灰色
踏み込み、絶対無敵バリアの上から拳を叩き込む
無駄と識りながら愚直に、幾度も、幾度も
敵の攻撃をギリギリのところで捌き、致命傷だけは避けながら
血を流し、斃れる寸前のところで踏み止まる

右拳を上げる
今まで叩きつけた無駄な攻撃の『撃力』、
敵から受けた攻撃の『衝撃』、
それらを魔術回路により遅延させ、溜め込んでいたのだ
今この瞬間にそれらの力を、一挙に魔力に逆変換
肘から大翼の如く、魔力の奔流が突き出る

全てはたったこの一撃のために。
傷も、無駄に見えた攻撃も、全てはこの瞬間のために!

――おれに出来るのは、ただこの一発。
おれの、最強の一撃(エモ)をおまえに見せることだけだ!

突撃し――捨て身の一撃を叩き込む!



●壥・灰色のエモさ
 あろうことか、青年はバリアを解除する前に一撃を見舞った。
 無謀である。当然のように指先から十条のレーザーが放たれ彼を貫く。
 脅威的な瞬間加速により致命傷をこそ避けているものの、被害は甚大だ。
 腕を貫かれ、腿を灼かれ、しかし無表情は欠片も歪むことはない。
 ……見た目だけは。痛みと屈辱、その他多くの感情がその下にあった。
 だが灰色は止まらない。何度も、何度も何度も、何度も何度も何度も挑む。
「まじイミフなんだけど! 無駄だってわかってんでしょ!」
「――……」
 灰色は応えない。当然のように光条が彼を襲う。

 爆発的な衝撃を吹き出し、肉体の崩壊も厭わずに避ける。力業だ。
 しかしラビットバニーは強敵であり、残念ながら彼が如何に優れた魔剣とて、
 ダメージを0にすることは不可能である。
 一撃を受ければそのぶん体の動きは衰え、さらなる一撃を許す。
 ましてや攻撃は同時に十。加えて足元の制御すら自在なのである。
 灰色は撃力によって己を撃針に叩かれた弾丸のように"放つ"術者だが、
 それゆえにどうしても地に足をつかねばならない瞬間はある。
 仮に灰色がそれを拒んだとしても、"足場が彼に近づいてくる"のだ。
 そして動きが封じられる。そこにレーザーが襲いかかる。
「うっわーボッロボロじゃん、自殺志願者かなんか?」
「――……」
 灰色は、応えない。アイソメトリック緊張によって傷口を無理やり塞ぐ。
 幸運だったのは、レーザーという高熱の光線兵器であるがゆえに、
 ほとんどの傷口が瞬時に焼灼され塞がっていたことだろう。
 もしもこれが物理攻撃による杙創(よくそう)だったならば、
 彼はとっくに血を喪って斃れている。意地を貫こうが意識が途絶えていた。

 はたしてどれほどそうしていたか。灰色の体感ではおよそ一時間。
「はーあだっるー、あーしもう5分もあんたに付き合ってやってんだけど」
 オブリビオンの愚痴は無情であった。そこまで時間が引き伸ばされていたか。
 灰色はやはり、応えない。……異様なプレッシャーを放ち、無言。
 彼は一撃ごとに痛烈なカウンターを受け続けていた。
 けして破れぬバリアへの撃力は彼自身にも作用し、拳や足は裂け砕けていた。
 無惨である。人の形をしたボロボロの血袋と云うべき有様だ。
 ……だが、妙な威圧感がある。まるで凝縮されたレアメタルめいた。
「あーもうまじウザいんだけ、どっ!!」
 SPLASH!! 灰色が回避運動を取った先への先制攻撃。
 今度こそ十条のレーザー全てが彼を穿いた、間違いなく致命傷……。

「…………」
 の、はずである。だが灰色は、やはり立っていた。
 そして見よ。もはや無事である場所がわからぬほどに灼かれ裂けた肘から、
 巨大な翼が生えた。――否、錯視だ。それは超圧縮された魔力である。
「は? なんそれ!」
「――おれに出来ることは」
 とっくに感覚の絶えた、骨も筋組織もすべて断裂した四肢を魔力回路で繋ぎ、
 1mm動かすごとに激痛をもたらす神経を電気の網で繋ぎ、拳を握りしめる。
「ただこの一発。おれの、最強の一撃をおまえに見せることだけだ」
 然り。ついに傷口から吹き出たそれは、彼が溜め込み続けた撃力の証。
 己が不壊の壁を殴り続け、そして光条に貫かれた余剰魔力を体内にあえて留め、
 ひたすらに蓄積し続けた、いわば炸裂寸前の火薬の噴霧であった。
 ……常識はずれの行為だ。彼は言わば体内で衝撃を反芻し続けていたのだ。
 壊れかけた体という殻の中で、衝撃は波となり反響し続けていたのだ。
 まともではない。完全に狂人の諸行、ヒトならざるものの行い。
「……あんたバカでしょ?」
「そうかもな」
 灰色の表情は動かない。だがその下にはたしかに感情の色があった。
 覚悟。苦痛。怒り。決意。殺意。戦意――そして、未来への憧憬。
 すべてはこの一撃のために。たった一撃、ただ一撃のために。
 これで敵を倒せるはずはない。どれほど威力が莫大であれ、
 当の灰色自身が物理的に崩壊寸前なのだ。衝撃は殆どが外部に拡散し、
 ラビットバニーに叩き込める威力は十分の……否、百分の一にも等しいだろう。
「見せてやる」
「――」
 それはヒトならざるものの、狂った行いである。だがそれゆえに人間的。
 刹那に全てを賭ける有り様は、まさしく――!
「……エッッッモ」

 不壊の壁が消えた。灰色はすでに"撃たれて"いる。
 消えるかどうかを確認するまでもない、これが最後だとわかっていたし、
 これで最後にするつもりであった。ゆえに衝撃を解き放った。
 捨て身である。極度緊張による主観時間鈍化のなか、己に襲い来る光条を、
 守る壁を失ったオブリビオンの眼差しを受ける。見据える。見返す!
「壊鍵、起動――これが」
 音は遥か彼方へ。紡ごうとした言葉が思考の速度で彼自身に聞こえた。
「魔剣(おれ)の、性能(ちから)だ」

 ――そして激突。衝撃が、空間を、花々を、大地を空を揺るがした。

 強烈な一撃。ほとんどの、九割九分の衝撃は外部へ拡散してそして消えた。
 灰色らしきボロボロの何かが反発力で弾かれ、地面に突き刺さる。轟音。
 一方、彼方にも何か――つまりラビットバニーが落下し突き刺さる。轟音。
 灰色は何も言わない。口を開くような体力など残っていない。

 だがその意地は、たしかに敵(おんな)の体(こころ)を砕いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



 ……幹部怪人健在! しかしすでにバリアの解除と攻撃の貫通は確認されている!
 敵はなおもやる気だ! 猟兵たちよ、エモさを忘れず強敵へ挑め!
夏目・晴夜
よっしゃ、エモの権化ことニッキーくんカモンです

想像してみて下さい
貴女のような絶世の美女が、大柄で屈強な男性を騎士もしくはダーリンあるいは彼ピッピとして従えている光景
超エモいです

あと少し見た目似てません?運命ですかね
運命的な2人が駆け寄る写真とか激バズ必至、エモの濃縮還元です
いいの撮れたらSNSで送りますから一回撮ってみましょう

ニッキーくんは恋人との再会みたいな感じで敵に駆け寄らせ、その勢いのまま「愛の無知」を装甲の薄そうな腹に【怪力】全力で叩き込み
反応速度等を上げられて回避されないよう不意打つ形で狙います

上手くきまって倒れた際には妖刀で地に【串刺し】にして動きを封じ、セカンド暴力いきましょう



●夏目・晴夜のエモさ
 晴夜のそばに大量殺人鬼がいた。いや、よく見るとホラー映画のキラーだ。
 違う、どちらでもない。あれは晴夜の愛すべきからくり人形!
 その名も優しく可愛いニッキーくん……で、ある!
「うわっ」
 ラビットバニーはそれを見た瞬間妙な声を出していた。
 当然だろう。なにせ背丈2メートルを超える上に、手足は丸太めいて太く、
 オーバーオールの下にははちきれんばかりの筋肉。そして頭部は歪な兎めいて。
 悪趣味である。やっぱこれシリアルキラーなのでは?
「どうです。これがエモの権化ことニッキーくんですよ」
 晴夜はものすごく偉そうに、尊大な様子で言い張ってみせた。

 ラビットバニーが何か言うより先に、よく回る口がハッタリを仕掛ける。
「想像してみてください。
 あなたのような絶世の美女が、大柄で屈強な男性を騎士もしくはダーリン、
 あるいは彼ピッピとして従えている光景……超・エモいです」
「…………」
「あと少し見た目似てません? 運命ですかね……」
 沈黙を貫くラビットバニー。真顔ですらすらと台詞を紡ぎ出す晴夜。殺人鬼。
 いやニッキーくんだ。そこはかとなく、照れたような動作をしている。
「運命的な二人が駆け寄る写真とかエモの濃縮還元では? 激バズ必至ですね。
 いいの撮れたらSNSで送りますから、一回撮ってみませんか。撮りましょう」
 プロの詐欺師もかくやの、立て板に水を流すような名口上だったという。
 ともあれラビットバニーはその言葉に、いよいよ閉ざしていた口を開いた!

「えっやばたんでしょそれ! 激エモじゃん!!」
「でしょう?」
「てか写真撮ってくれるとかまじ? あーし感動しちゃうんですけど!」
「いえいえ、もっと神を崇めるようにこのハレルヤを褒めてください」
 めちゃくちゃ刺さっていた。これでいいのかオブリビオン!
 ともあれ一瞬でバリアが解除される。晴夜はニッキーくんに目配せした。
「さあニッキーくん、あのカワイイファンと写真を撮ってあげてください」
 ごうーん。ニッキーくんがクラウチングスタート姿勢を取る!
「あーだいじょぶ? あーし今日メイク(?)微妙なんだよねー」
「とんでもありません、綺麗ですよ。このハレルヤの万分の一ぐらいには」
「まじ? よかったーあーし安心したわー!」
 ラビットバニーには警戒のけの字もなかった。ニッキーくんが構えを取る!
「それでは撮りますよ」
 携帯端末のカメラ機能……と、妖刀"悪食"を持った晴夜がカメラを向ける。
 斜め45度のなんとか映えしそうな顔角度でカメラ目線になるラビットバニー!
 どぉん! と地を蹴って走り出すニッキーくん! 縄めいた筋肉が隆起する!
「はいチーズ」
「可愛く撮ってねグワーッ!?」
 SMAAAAAAASH!! 速度と重量を上乗せした全力ラリアットが到達だ!
 ぱしゃり。可愛くはないがバイオレンスな絵面が撮れました。

 ぐおんっ! とニッキーくんの豪腕を軸に720度縦回転するラビットバニー!
 素早く妖刀を突き出す晴夜! ラビットバニーはネックスプリングで回転起立!
「ザッケンナオラー!!」
「チッ」
 がきん! ふとましいレッグスイープによって悪食は弾かれた!
  ニッキーくんのダウン追い打ち! ラビットバニーは回転跳躍回避!
 さらに避けざまの延髄斬り! 晴夜の悪食がこれを防ぎ切り払う!
「いいところまでいけたんですけどね」
「ひどくない!? あーしの純情弄ぶとかひどくない!?!?!?」
 構える両者! ラビットバニーはブチギレている!
 だがダメージは甚大だ。ややふらつく脚がそれを物語る……!

成功 🔵​🔵​🔴​

天御鏡・百々
さて、次の怪人は貴殿か
その能力は脅威ではあるが、攻略手段は示されている
なれば、それを為すのみだ

敵の『おはなハッキング』に関しては
神通力による障壁(オーラ防御51)を足場にすることで対処しよう
本来は防御の技だが、こういう使い方もあるのだ

そして能力の突破だが
我が人形による演舞を見せてやろうでは無いか
我が荒魂静琴で奏でる音楽(楽器演奏5)に合わせ
召喚した人形部隊に演舞をさせつつ敵へと近づかせていく
花の舞台を小さな人形達が整然と舞う様はえもいといえるのでは無いか?
足場の花を薙いで散らし、念動力1で人形を浮かせたりと、演出もいろいろやってみよう

首尾良く能力を解除できれば総攻撃だ
我も真朱神楽で斬りかかるぞ



●天御鏡・百々のエモさ
 和琴が雅やかな旋律を奏でる。それは鎮魂の音、神を鎮めるための楽だ。
 すると一体また一体と、合わせ鏡から人形の兵士たちが現れ出て、
 サムライエンパイアに伝わる優雅な舞いを踊りながら、隊列を組む。
「うわーなにこれエッモ! てかまじかわたんじゃね?」
 あっさりバリアが解除された。百々もやや拍子抜けである。
「本当にザルなのだな……まあよい。これが"えもい"というものなのだろう?」
 百々は若者文化には少々疎いものの、ようは侘び寂びだと思えば腑に落ちた。
 事実、システム・フラワーズに咲き誇る花々のなか、整然と隊列をなし、
 和琴の旋律に乗って一糸乱れぬ舞いを見せる人形兵たちは見事な美しさだ。
 しかも百々は器用にも、ヤドリガミとしての念動力をふんだんに使い、
 舞い散る花びらをうまいこと優雅に散らして、演出までしていた。
(我、もしやすると才能があるのかもしれんな……ふふふ)
 などと、心の裡でちょっとドヤっていたかもしれない。

 しかしいつまでものんびりしてはいられない。人形たちの舞いも布石なのだ。
 敵がエモいエモいと油断した瞬間、琴の旋律は一気に調子を変える!
「そら、油断大敵だ!」
「おわっ、ズルくない!? まああーし強いから避けられるけどぉ!」
 雪崩を打った人形たちの総攻撃を回避し、ラビットバニーが制御ビームを放つ。
 だがその時には、百々はすでに足場を蹴って宙を舞っていた!
 ぐおんぐおんと足場が林立し右往左往するなか、百々は空中にオーラを凝縮、
 以て自らの足場を生成し、これに着地することでひとまずの妨害を避けた。
「やるじゃーん! けどあーしのことなめすぎなんですけど!」
 しかしラビットバニーも見事! 制御ビームそれ自体が攻撃力を持つらしく、
 迫る人形兵たちを十条の光芒でなぎ払いながら、足場を巧みに操り、
 追撃を避けかつ百々による近接攻撃を妨害し続ける。これが幹部級か!

 とはいえ、百々も油断はしていない。そして彼女自身は足場を生成できる。
 つまりお互いにお互いの行動を妨害しきるには至らず、結果として、
 システム・フラワーズの広大な空間を上下左右に飛び交う丁々発止の戦いに至った。
「ええい、ちょこまかと!」
 百々が斬りかかる。ラビットバニーがこれをかわす。
 一瞬だけカンフーモードを起動し瞬時に間合いを詰めるが、人形兵がこれを防ぐ!
「こいつらカワイイけどちょい、てかかーなーり邪魔なんですけど!」
「これぞ我が眷属たる鏡像兵よ、そう簡単にやられはせぬわ!」
 真朱神楽、一閃! 切っ先がラビットバニーの肌を切り裂いた!
「ったぁ! ……チッ、やるじゃん猟兵!」
「その力量、脅威ではあるが我らはけして諦めぬぞ……!」
 実力伯仲の戦いであった。力量差は大きい、しかし百々はそれを技量と機転で補う。
 結果として五分五分の戦いと相成り、やがてラビットバニーの側が退いた。
 つまり敵は追い詰められつつあるということだ。一気呵成の好機来たる!

成功 🔵​🔵​🔴​

シャルロット・クリスティア
……エモさ、と言うのはいまいちよくわかりませんが。
『魅せる』戦い方をすればいいのですか?

……わかりました、やってみましょう。
キャノンで先制してくるのであれば、迫る弾丸を『狙撃して撃ち落とします』。
炎【属性】、威力重視の特製弾の威力と、私の【早業】と【スナイパー】の腕前で有れば、決して不可能ではないはずです。

反撃でナイフを数本【投擲】。まぁこれは弾かれるでしょうが、本番はここから。
弾き飛ばされたナイフ目掛けて射撃、跳弾と直接攻撃を織り交ぜた、多方向からの同時着弾射撃、です。
それも弾かれるようなら、その弾を狙ってさらに跳弾射撃もやってみせましょうか。

全方向からの連続射撃……釘づけにさせて頂きます。



●シャルロット・クリスティアのエモさ
 エモさ、というのが、シャルロットにはいまいちピンとこない。
 そもそも判定がガバガバすぎて、逆にこれというのが絞りきれないのだ。
 まあ、それを差し引いても、そもそも語彙の意味を掴みかねているのだが。

 だが、"魅せる"――ようは心を鷲掴みにする、ということであればわかる。
 ゆえにシャルロットはグリモア猟兵の呼びかけに応じ、転移した。
 システム・フラワーズの花々が、彼女を迎え入れるように舞い散る。
 彼方。猟兵の猛攻から逃れ、安全地帯へ隠れ潜もうとしている敵の姿!
「――私なりに、やってみるとしましょう」
 がしゃりと、ルーンの刻み込まれた超銃が、剣呑な物音を漏らした。

「ってまた猟兵出てきてるし! ゴキブリかっつーの!!」
 かたやラビットバニーの側も、転移したシャルロットの姿を即座に発見する。
 幹部級オブリビオンともなると、気配の察知に関しても超一流。
 並の隠密行動で、彼奴の感知能をかいくぐり不意打ちすることは難しいだろう。
 ゆえに、あえて正面から敵の攻撃を誘わんとしたシャルロットの選択は、
 彼女自身の戦闘スタイルから鑑みても、まさに最適行動と言えた。
「悪いんだけどあーし急いでんだよね、死んどいて!」
 ファンシーな見た目のあかべこキャノンがシャルロットに向けられる。
 ガシャン――開かれた口の奥には、剣呑極まりない砲塔!
「てなわけでバイバーイ!」
 シュオオオオ……砲口にエネルギーが集まる。シャルロットは避けない!
 むしろ応じるかのごとく、彼女もエンハンスライフルを構えた……!

 ZAAAAAAAP!! キャノンが極大のエネルギーを放出する。抜群の破壊力だ!
 いまさら回避行動を取ったところで逃れようはない。どうする!?
「――……見えました」
 少女は逃げも避けもしなかった。ただ、そのエネルギーを撃ち貫いた。
 トリガを引く。撃針が特製の銃弾を叩き、火薬が爆ぜてライフリングを刻む。
 魔術強化された銃身から加速と加護を得て、必滅の術式を孕んだ弾頭が翔ぶ。
 銃弾同士がかち合う――爆発。エネルギーは雲散霧消した!
「は?」
「ふっ!」
 シャルロットは鋭い呼気を漏らし、射撃反動をこらえてナイフを擲った。
 当然これはバリアに弾かれる――シャルロットとしては想定済みの結果だ。
「ここからが本番です!」
 ジャキッ! と照準を合わせたライフルの引き金が再び引かれる!
 ひとつ、ふたつ、みっつ。弾丸はやはりバリアに――否! 狙いは敵ではない!
「お、お、お?」
 ギャギギギギギギッ! 弾頭と鋼とが打ち合う悲鳴じみた金属音!
 すなわち、狙いは四散したナイフの刃。跳弾による全方位射撃!
「何するかと思ったらそういうこと? 無駄無駄、あーしのバリアは」
「ええ、無敵でしょうね」
 然り。いくら背後を狙おうが頭上や足元から狙おうが結果は同じ。
 無敵のバリアはその名のとおりに銃弾を弾く。シャルロットは引き金を引く。
「ですが私には、"こういうこと"もできます」
 BLAMBLAMBLAM! ……ギャギギギギギッ!
 なんたることか。弾かれた弾頭を用いての跳弾である!
「うっわ。なにそれすごくね? エッッッモ!」
 言ってから、ラビットバニーはしまったと思った。だがもう遅い!
「乱れましたね、心が――このまま釘付けにさせていただきます!」
「あ、あああ、やっべ! てかガチでやばくねこれ!? ぎゃー!!」
 BLAMBLAMBLAM! もはや逃れようのない銃弾の檻である!
 バリア解除によりラビットバニーは被弾。咄嗟にキャノン砲を放った!
「くっ……!」
 KRA-TOOOOM……地面を爆ぜさせたエネルギーが噴煙の守りを生む。
 追撃は成らず。だがシャルロットの動体視力はたしかに見切っていた。
 敵は深手を負っている。あとすこしだ!
「たとえあなたがどれほど強大でも……私たちはずっと努力してきました。
 鍛え上げた基礎能力と、私たちの力で! 必ずあなたを滅ぼしてみせますっ!」
 煙の向こう、姿なき強敵への言葉は、死刑宣告めいて痛烈であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

雨乃森・依音
リル(f10762)と

今日も一人歌っていればふと耳につく歌声
聴いたこともない
硝子のように繊細な歌
なんだ、人魚ってのは皆そんなすげー歌、歌うのかよ
俺とは正反対の音楽と歌
けれど俺だって負けてらんねぇよな!
合わせるようにギターを掻き鳴らして歌って
懐かしい
こうして音楽に楽しみを見出す感覚は
――なあ
俺は依音、お前名前は?
へぇ、リルな
覚えた、絶対忘れない

――そういえば、ここは戦場だったな
ソテル!出番だ!
お前にはいつも暗い歌ばっかり聞かせちまってるからな
今日は、それなりに明るい歌が歌える気がする
リルと俺の歌を力に、行って来い
ビームは最悪俺が受ければ攻撃する隙くらいあるだろ!
俺が倒れてもリルの歌がある
大丈夫だ


リル・ルリ
■依音/f00642
アドリブ歓迎

歌は僕自身だ

これしかないのだから歌うしかない
いつもの様に歌っていれば歌声に弦楽の音
僕にはない力強いスコールの様な歌声が重なる

硝子を強く打ちつけ響く雨の歌

嗚呼
面白い
高鳴る鼓動
見遣れば白猫の君

僕は魚
君は猫
僕を食べてしまう?
なら食われないよう
精一杯に聲を張りあげる

僕?僕はリル
そう
依音
僕も忘れない
こんな心に響く歌を歌うのだから

嗚呼
歌で戦場を駆ける
「凱旋の歌」を歌おうか
ふふ、やっぱり歌(僕)を食べるんだ?
いいよ、たんとお食べ
食べて大きな嵐に育つといい
攻撃はオーラ防御で防ぎ守る
君はこんな所じゃ終わらないだろ?
君の背中は僕が守る


倒れてる場合じゃない
渾身の歌を叩き込んでやろうぜ



●雨乃森・依音とリル・ルリのエモさ
 歌う。――それはひどく無力で、祈りにも似た、戦うとは程遠い行為。
 歌声が誰かを害し、退け、ついには打ち倒すことなどありえない。
 なぜなら歌声は武器ではない。火を噴くことも雷を落とすことも出来ない。
 ましてや、降り注ぐ火や雷から、己を守ることも出来はしない。
 ゆえに歌では誰も倒せない。それは祈りのように、無力で無益な悪あがき。

 そんなことはわかっている。わかっていて依音は歌う。
「いい声してっけどさぁ、あーし相手に歌ってどうにかなるわけないじゃん!?」
「わかってんだよそんなことは! けどな!」
 ああそうとも、歌うしかないのだ。歌いたいと体が、心が叫ぶのだから。
 苛立ちをぶつけるかのようにギターをかき鳴らし、依音は歌う。
 ひとりきり。ソテルの他には、敵しかいない――まあ、それもいつも通り。
 眼の前には敵。ラビットバニー。勝ち目のない強敵がいた。
「そっか、んじゃ悪いけど死んでもらおうじゃん!」
「それでも、俺は。歌うことは、やめねえ!!」
 だから歌う。雨を降らせるように、ギターをかき鳴らす。

 ――するとどうしたことか、依音のものでない歌声が響いてきた。
 いままさに制御ビームを放とうとしていたラビットバニーも手を止めた。
 まるで硝子のように繊細で、けれどしなやかで、抱きしめるような歌。
 ふたりがそちらを見る。――人魚が、そこにいた。キマイラが。
「――……君の、その音。その歌」
 一方の人魚……リルは、ラビットバニーなど目もくれず依音に云う。
 彼もまた聴いたのだ。スコールのように烈(はげ)しい、力強い音楽を。
 だから来た。だから歌った。するとそこに彼がいた。依音が。
「白猫の君。君のその歌は、雨みたいだね。面白いや」
 とくんと鼓動が高鳴った。いかにもその表情は戦場に似つかわしくない。
 もしかしたら食べられてしまうかも、だなんて人魚は思っていたけれど……。

「なんだ、お前。そんなすげー歌唄うくせに、"面白い"ってさ」
 依音のそれとは正反対の歌だった。彼もリルの歌声に聞き惚れていた。
 そして負けたくないと思った。つまり二人は同じことを思っていたのだ。
「負けたくねえな!」
「負けたくないね」
「君/お前にも、敵(あいつ)にも!」
 ともに声を張り上げた。そして歌と旋律が、ふたつのそれがひとつになった。
「って何勝手に意気投合してんの? あーし完全に蚊帳の外なんだけど!」
 怪人としてはこれは面白くない。我に返ったラビットバニーは猛攻を仕掛ける!
 光条を放ってその身を焼こうと、花散らす地を自在に操り封じようとする。
 だが歌声は封じられない。なぜなら唄うことはあまりにも無力だが、
 それゆえに足場をどうこうした程度で防げるようなものではないからだ。
("懐かしい")
 ふたつの歌声をひとつの旋律に束ねながら、依音は思った。
 こうして、音を楽しむのは。――"音楽をする"のは、誰かとするのは、久々だ。
 だから自然と言葉が漏れた。歌声の合間に問いかけた。
「なあ」
「何?」
「俺は依音。お前、名前は?」
 精一杯声を張り上げていた人魚は、きょと、と歌の合間に瞳を見返し。
「――リル。僕はリル」
「リルか。覚えた、絶対忘れない」
 依音の言葉には頷いて、
「僕も忘れない。こんなに心に響く歌を唄うんだから――」
 ふたりの心も、つかの間歌を通してひとつになった。

「……エッッッモ!」
 ここで素っ頓狂な声を上げたのは、ご存知ラビットバニーである。
 情動とはどうしようもない。いくら心を固めて守ってもするりとやってくる。
 歌は無力で誰も傷つけられないが、しかしそれゆえに防げもしない。
 だからあっけなくバリアは消えて、つまり好機がやってきた。
「――ソテル、出番だ!」
 異形が応えた。歌声を喰らい、力を増すこの世ならざる怪物が。
「お前にはいつも、暗い歌ばっか聞かせちまってるからな。けど」
 クイン、とエレキギターが拍子を変える。
「今日は、それなりに明るい歌が歌える気がする」
「歌えるよ。だって歌は僕だもの。――だから」
「ああ、だから」
「「俺/僕たちの歌を力に、行って来い!」」
 ひとつになった歌が怪物を動かす。歌声には誰も傷つけることは出来ない。
 それは祈りに似た無力な悪あがき。だが、祈りは……誰かに届けられる。
 受け取った誰かを揺り動かすことは出来る。敵の心すら。怪物の体すら。
「え、マジ? ……嘘でしょ、ありえなくない!?」
「ありえない、なんてありえねえんだよ」
「僕らはなんだって、どんなことだって歌えるんだ」
 旋律を、歌を貪り、怪物が――神が蹂躙する。怪人には抗いようもない。
 凱歌が響く。雨のような弦楽が響く。勝利の音、敵を送る葬送の音。
「やっば――」
 ラビットバニーは己の最期を痛感して零した。負けたことが? 否、それもある。
 だがそれ以上に。
「――あーし、まじエモ感じすぎじゃん。あーあ」
 敵の歌にすら聞き惚れてしまう、己のどうしようもなさに苦笑したのだった。

 そして強敵は倒れる。歌声がその滅びを見送る。
 たとえすぐに戻るとも――ここに、歌がひとつの勝利を掴んだのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



 ――だが怪人は蘇る。骸の海から再び、即座に、何度でも!
 ゆえに戦いは続く。ここからは、その戦いの軌跡を、時間の一面を視ていこう。
須藤・莉亜
「エモいって言葉にもうついていけないんだけど…。」
若者言葉はむつかしいねぇ。

足場の操作は、周囲に浮かぶ悪魔の見えざる手に僕を運んでもらうことで回避してみよう。
猫みたいにぷらーんと運ばれてやる。
その間は【見切り】【第六感】で敵さんの攻撃を気にしながら【武器受け】で防御。
最悪悪魔の見えざる手に僕を敵さんの方へぶん投げてもらおう。

敵さんの近くまで行けたら、周囲を霧で覆い無数の蝙蝠に変化、蝙蝠でハートの形を作りながら敵さんへ突っ込んでみよう。霧の中から現れる、ハートの形を作ってる蝙蝠の群れって可愛くない?

バリアを破れたら全力で【吸血】。
「バリアを僕のハートで撃ち抜いてあげる。」
お代は血で良いよ。



●須藤・莉亜のエモさ
「エモいって言葉の時点でもうついていけないんだけどなあ」
 はあ、と気怠げに嘆息。まあ、莉亜がだるそうにしているのはいつものことだ。
 にしても若者言葉って難しい。アラサーダンピールは心からそう思った。
 そんな彼は、まるで移動すらも気怠いかのようにぷらーんと宙に浮いている。
「え、なにそれ! 猫みたいでかわいいんですけど!」
 ラビットバニーはさっそく食いついていた。が、攻撃は苛烈である!
 無敵バリアを展開し、ビームと足場の操作によって莉亜を封じようとする。
 しかしこのための、悪魔の見えざる手による空中浮遊であった。
 合間合間に降り注ぐレーザー攻撃は、大鎌によって切り払いかいくぐる。
 とはいえ、相手は強敵、このままではやがて押し切られるが……?

「このままじゃ埒が明かないなあ。仕方ないか」
 すると突如、莉亜の体がわっとほどけ、彼の周囲を濃い霧が包み込んだ。
 濃霧の中に浮かび上がるいくつもの目……コウモリの瞳! 吸血鬼だ!
「わお!」
『これやると、血も肉も全部平らげたくなっちゃうんだよね!!』
 霧の奥から、この世ならざる声音がした。莉亜のものだ。
 吸血衝動が彼の喉に強烈な飢餓感をもたらす。血が、赤い甘露が啜りたい!
 コウモリたちはキイキイと鳴きながら、霧を切り裂き襲いかかる……が!
「そのくらいあーしには通用しな――ん?」
 ラビットバニーは訝しんだ。こちらにとんでくるコウモリたちの隊列が妙だ。
 ……ハートである。コウモリたちは空中にハート模様を描きながら飛んでいる!
「えっ、なにそれめっちゃカワイイんですけど!!」
『でしょ? エモいんじゃないかなあ?』
「エッッッモ!!」
 そんなわけでバリアが解除された。いくらなんでもザルすぎる!
 が、この光景、写真を撮ったらソーシャルサイトでバズりそうなのは確かだ。
 バリアが解けた。つまり好機! 莉亜は――コウモリの群れは一気に突っ込む!
『君のハートを撃ち抜いてあげる。お代は――君の、血でいいよ?』
「えっ、わー!! ちょ、あーしまずいんですけどぉ!!」
 コウモリが群がり、ラビットバニーの血を吸血する。大きなダメージだ。
 すぐさまレーザーの雨が霧をコウモリを払うが……牙はたしかにその身に食い込んだ!
「もっと分けてくれてもいいのになあ」
 人間の姿を取り戻した莉亜は、口元を滴る血をなめつつそう呟いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

神酒坂・恭二郎
さて、猿の旦那には不覚を取った。
驕りはそこで捨てた。

花弁の中を着流し姿で前へ。
風がそよぐ中、兎の姐さんと正対する。
エモさなる物は分らない故、真っ直ぐに行く。

【オーラ防御、ロープワーク、見切り】
フォースを纏った手拭いを駆使し、砲撃を捌きながら前へ。
心のままに言の葉を紡ぐ。

「花園に
 舞うは花弁
 謎は佳人(ひと)」

決して無傷では済まない。
ただ近づかなければ刃が届かないだけの話だ。
言の葉は続く。

「一目と焦がる
 我が愚かさよ」
 
詩の本質は己の今を曝け出す【覚悟】だ。
一目その仮面の下を見たい。
その愚かさも隠さない。

「いざ!」
ただ剣刃一閃を仕掛ける。
この刃が通るか否か、それは彼女の心が決める事だ。 



●神酒坂・恭二郎のエモさ
 エイプモンキーとの戦いは、まさに死闘と相成った。
 恭二郎はけして不覚を取ったとは言い難い健闘を見せたが、彼自身がどう思うかは別だ。
 そしてスペース剣豪を自ら名乗る男は、不羈奔放で己に厳しい性質である。

 ゆえに彼は一切の驕慢を捨て、第二の戦場に立った。
 ざんざんと花弁が吹き荒れる只中に、着流しの男がひとり。
「えっ、やば……これ映えしそうじゃね?」
 なんかもう若干バリアが解除されそうな気配があった。
 ――つまりそれだけ、恭二郎の出で立ちと佇まいは風雅なものということ。
 一方で剣豪本人は、腰を落として敵の動きを待つ。
 いかにもそれが正しい。なにせ相手は強敵、絶対先制を約束された敵。
 ラビットバニーはふざけたことを言いつつも、殺意満面で砲口を構えた!
「全部ふっとばしたらもっとエモエモじゃーん、はいどーん!!」
「疾ッ!」
 ドウ、ドドウ! 降り注ぐ砲撃を、恭二郎は次々に捌く!
 刀か? 剣か? 否、彼が用いているのは手拭いである。
 風桜子(ふぉーす)を流し込むことにより、それは鋼じみた硬度を得る。
 そして達人の手さばきが加わればまさに無双、矛にして盾の出来上がりだ!

 砲声と爆音が響き渡るなか、恭二郎は無心で攻撃を捌き、進む。
 前へ。さらに前へ。敵に我が一撃を届かせるために足を止めるべからず!
 ひたむきなまでの踏み込みは、鉄火場にあってその心を澄み渡らせる。
 ……この男、剣豪でありながら風流を愛でる文化人の一面もある。
 傷が生まれる。生と死の狭間だからこそ、そこに彼は美を見出した。
 そして心が揺れ動いた時、思いは言の葉となって口から溢れるのだ。
「花園に/舞うは花弁/謎は佳人(ひと)」
 爆音の合間に、寂々とした詠み声はしっかりとラビットバニーに届いていた。
 しかし俳句ではない。傷を負いながらも、恭二郎は独り言めいて謳う。
「―― 一目と焦がる/我が愚かさよ」
 一撃だけでも、届かせる。愚かしいまでのひたむきな思い。
 まるで美しい人のかんばせを一目見たいと思う、恋い焦がれた心めいた。
「……エッッッモ」
 それを向けられれば、当然ゆるいその心は揺れ動いてしまうもので。
 仮面がぽっと赤らみ、同時に無敵のバリアも雲散霧消した!

 好機。恭二郎はにたりと笑うこともなく、間隙を縫って飛び込む。
 そして両者の間合いが縮んだ。かたや重傷、かたや傷はまだ浅いふたり。
 だが意気は男のが上。鷹めいた双眸が大きく見開かれる!
「――いざ!!」
 剣刃一閃ここにあり。抜き放った一撃はたしかに敵を裂いた。
「げ……っ!!」
 届いた。彼方と此方は敵同士なれば、語るは歌ではなく刃にて。
 じんわりと響いた手応えに、剣豪はようやく凄絶に笑ってみせた……!

成功 🔵​🔵​🔴​

チコル・フワッフル
★アドリブ歓迎!

絶対無敵バリア……なんて強力な技なの!
よぉし、私のとっておきで勝負だ!

ラビットバニーから見える場所にちょこんと座り込み、両手をぐーにして兎耳を丁寧に毛繕い。
くしくし、くしくし。
(自分でやってて、何だか気持ちよくなってきちゃった……うとうと)
耳が終わったら尻尾も毛繕い!
くしくし、もふもふ。
熱中するあまり、ころんと転がってしまう。
そのまま……すやぁ。

バリアが解除されたら即座に上着を脱ぎ捨て、ダガーの【投擲】で【先制攻撃】!
当たらなくてもいい、気をそらすことができれば……!
敵の攻撃は【野生の勘】で【見切り】、隙を見て【ダッシュ】で接近し【シーブズ・ギャンビット】で攻撃!
当たれぇぇ!!



●チコル・フワッフルのエモさ
 ラビットバニーは逃げていた。誰から? 猟兵どもからだ。
 散発的な攻撃は却って彼女の余裕と戦力を、徐々に徐々に削っていく。
 多人数で襲いかかってくれば、あるいは彼女にもやりようはある。
 連携の合間を穿ち、大人数であるがゆえの大打撃を与えられる。
 それだけの能力がある――だからこそ、この波状攻撃は"効く"のだ。
「あーもうウッザい、てかあーしもちょっとガバすぎんなまじで……」
 だからといってどうにかなるもんでもないのが歯がゆいところ。
「しかしどーすっかな、どっかで迎え撃ち……ん?」
 そのときラビットバニーは、何かを見つけた。見つけなきゃいいのに。

「くしくし、くしくし……」
 綺麗な花畑に、ちょこんと兎が座り込んで毛づくろいをしている。
 赤茶の毛並みがとてもふわふわとしていて可愛らしい、だいぶ大きな兎だ。
 いや、実際のところは猟兵である。そもそも兎ではなくキマイラだ。
 チコルである! 彼女は完全に兎になったつもりで毛づくろいをしていた!
「くしくし、もふもふ……ふぁ~あ」
 耳のあとは尻尾をもふっと抱きしめて丁寧にブラッシングし、
 気持ちよさそうに身震いするとくぁ、と大あくび。ぽかぽか陽気である。
「すやぁ……」
 かと思えばそのまま丸まってころんと寝転がり、寝息を立ててしまった。
 リラックスしすぎだ。演技の面もあるがわりとガチでリラックスしていた。

「…………」
 ラビットバニーにはわかっていた。ありゃ兎ではなくキマイラだ。
 つまり猟兵である。明らかに、罠……罠なのだ。わかっている。わかっているが!!
「かーーーわーーーいーーーいーーー!!!!!!」
 カワイイ怪人が、その可愛らしさに抗えるわけもないのだ!
 黄色い悲鳴を上げながらひょいっと飛び降りチコルに駆け寄る。
 のんきに寝ながら時折ひくっと寝返りらしき何かをするのがまた犯罪的にカワイイ。
「ええやば、つら……まじ尊すぎてエモみがしんどい」
 音速で携帯端末を取り出して撮影していた。即座にSNSにアップする。
 この手のほんわか動物動画とか写真はめちゃくちゃバズる。バズりまくりだ。
「はーエッモ……エッッッモ!!!!」
 なのでバリアは解けた。ほんとこれでいいのか幹部怪人。

 その時である! チコルの両目がギラリと輝いた! コワイ!
「ふぁっ!!」
 あくびキャンセルしながら跳ね起き、振り向きざまのダガー投擲!
「おわっ危なっ!?」
「当たれぇえっ!!」
 ラビットバニーの意識がそれた瞬間、裂帛の気合とともに不意打ちを叩き込む!
 決まった! 剣閃は彼奴に大きなダメージを刻み込む! 蹈鞴を踏む怪人!
「いったぁ……! や、やるじゃん! わかってたけど!?」
「さすがオブリビオン、けどダメージは入ったよ!」
「えツッコミなし? やば、その可愛さで天然とかやばたんじゃん……」
 バリアはしばらく貼られなさそうだった。つまり、チャンスだ!
「まだまだ、ここからなんだからっ!」
「ああもう、ウサギらしさ見せてやんよぉ!!」
 ラビットバニーの両目が赤く輝く! ここからが本番だ……!

成功 🔵​🔵​🔴​

ユーリ・ヴォルフ
『属性攻撃』炎で炎のように現れ
実態が炎の化身であるかの如く自身そのものを燃え盛る炎で包み宣言

このキマFという世界は、密かに想いを寄せる相手の故郷だ
ならば私が守護すべき世界も同然!
仇為す敵があるならば!私は一歩も!退きはしない!

【炎の加護】に身を包み、自身の生命力を乗せ
赤ベコキャノンは『見きり』ながら
「風の盾」を翳し『盾受け』『怪力』で弾く

盾をも跳ね飛ばされるが計算のうち
傷を作りながらも不敵に笑う
血の飛沫をも華と変えよう
駆け出し敵の懐に接近し
瞬間両の手を広げれば
一方の手に炎、もう一方には風の奔流(『属性攻撃』風)

二つを合わせ強大な炎の渦を生み出し叩き込む
灼熱の決意を今ここに!(『恐怖を与える』)



●ユーリ・ヴォルフのエモさ
 突然だが、かのドラゴニアンの竜騎士は恋をしている。
 言わずもがな、本人にはその想いを秘めた、淡い片思いである。
 なぜなら彼には、旅立つために心に決めた使命がある。探す相手がいる。
 だがそれはそれとして――あの子への思いは捨てようがないのだ!

 ところでそんなチコルが、ラビットバニーに追い詰められ大ピンチだ!
「そうはさせるか……!!」
「ユーリ!? きゃあっ!」
 燃え上がる姿を晒したユーリが、ふたりのウサギの間に割って入る。
 うさちゃんカンフーによる首を狩るような蹴り足が槍に弾かれた!
「すまないチコル! あとは私に任せてくれ!」
 怪我をしたチコルをすばやく安全圏へ押し出し、ユーリは振り向く。
「ったたぁ……邪魔立てとはやってくれるじゃーん、あーしそういうの……。
 ……いや嫌いでもねーな。むしろ割とすこかも。あーダメダメやばいやばい」
 なんかぶつくさ言いながら怪人が頭を振った。バリア展開!
「悪いが、これ以上彼女を傷つけさせはしない」
「へえ? どうして?」
「……この世界はチコルの故郷だ。ならば私が守護すべきも同然!
 世界に仇なす敵がいるならば! 私は! 一歩も退きはしない!!」
 ごう! 決意と覚悟に竜の炎が猛々しく、勇壮的に燃え上がる!

 ――だが、彼我の戦力差は、タイマンではいかんともしがたい。
 ユーリの攻撃はことごとくを防がれ、キャノン砲が彼の身を灼いた。
 風の盾をかざして真正面から受けようとしたが、これすらも弾かれる。
「く……っ!!」
「そんなガラクタであーしの攻撃耐えられるかよぉ!」
 ZAAAAAP!! キャノン砲が燃え上がるユーリの体を穿いた!
 しかし。男は傷を受けても不敵に笑い、なおも槍を構えるのだ。
「……ずいぶん勇ましいじゃん。なんだってそこまですんのさ」
「理由は言った通りだ。そのうえで何故、と問うならば答えよう」
 腰を落とし、一気呵成のチャージに備えて力をひねり出す。
「それは、私が――お前たち邪悪と戦う、守護者だからだっ!!」
 裂帛の鬨の声、炎がユーリの体に、力と速度と大いなる活力をもたらす!
「ああもう、ほんとエモいなあんたら! そういうの弱いんだけどあーし!」
 忌々しいまでの前のめりなさまは、ラビットバニーの心を打った。
 もはやバリアはない。ユーリは被弾を覚悟で飛び込み、両手に魔力を集める!

 右手は炎。左手は風。互いを生み出し合う相生の力。ふたつの属性!
「灼熱の決意を、今此処に!!」
 かくて強大なる炎の渦が敵を包み込む! 悲鳴と炎が逆巻いた!
「私は決して退かない、誰が相手であろうと……!!」
 斃れかかる体を槍で支え、炎の奥の敵を睨みつけユーリは云う。
 もはやその気配は遠くへ……若干の安堵、そして口惜しさ。
「……いかんな、私もまだ未熟だ」
 頭を振って振り払い、少女のもとへ――戦いはまだ、続くのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

春日・釉乃
紅葉(f08859)と連携しながら出撃!

赤べこキャノン!?紅葉、危ないっ―

大切なトモダチを守るために、まずは[一斉発射]した[早業]の[盾受け]『シールドスレイヴ』を展開して、更には【ラプラスの瞳】のUCを発動
半径5m以内に侵入した相手の砲撃の軌道を改変して、逸らしていく

UCを限界以上に使用すれば左眼からは血涙が流れるほどに強い反動が、あたしを襲いくるけど……絶対に膝を着かないよ
だって……紅葉はあたしが困ってる時にいつも助けてくれたから!こういう時しか返せないかもしれないけど、せめて紅葉を守ることくらいはやってみせるんだからね

相手の攻撃を凌ぎきったら、あとは紅葉に任せるよ
信じてるから、あたし!


才堂・紅葉
春日さん(f00006)と連携します。

【礼儀作法】で一礼し【パフォーマンス】を行います。
柔術で培った体幹を活かした日本舞踊に、アルダワの舞踏の要素を加えた独創の舞です。
回転を重視し、束ねた髪で円弧を描きます。
大事なのは目線に宿る真剣さと【気合い】。

その間にも攻撃されるでしょうが目もくれません。
春日さんが護ってくれます。

舞いの仕上げに髪の毛を解くと、紅葉の色に髪と眼が染まり。
夜闇の色のドレスに早着替え。
背の紋章は青く輝き、重力で花弁が舞います。

「よくも、私の友達を傷つけてくれましたね」

掲げた手を下し、力場を広げて超重力の鉄槌を振り下ろす。

【属性攻撃、封印を解く、範囲攻撃】



●春日・釉乃と才堂・紅葉のエモさ
 ふたりが遭遇したラビットバニーは、もはや重傷の有様だった。
 それだけの戦闘を経てきたのだ。釉乃と紅葉に、驚愕や慢心はない。
 なぜならば彼女らは、その一翼を担ったスペース剣豪をよく知っているから。
「それでもまだ敵わなそう……勝てるの? あたしたち」
「勝ちましょう。――大丈夫、私たちならやれますよ」
 春蘭秋菊の絆を結んだふたりの親友は、互いに見合って頷きあった。
 勝てる。勝たねばならない。この先へ進むためにも……!

「ラビットバニーさんですね? ごきげんよう」
 そして射程圏内に現れた怪人に、まず紅葉が一歩近づき一礼する。
 瀟洒なカーテシー。敵からしてみればうざったいことこの上なかろう。
「あぁ!? あーしのことバカにしてんの!?」
「まさか。戦う相手同士でも、然るべき礼儀作法は重要でしょう?」
 余裕を失ったラビットバニーは、舌打ちして赤べこキャノンを構えた!
「紅葉、危ないっ!!」
 ここで釉乃が割って入る。シールドスレイヴを即座に射出・展開!
 同時にラプラスの瞳――釉乃の目に宿る超自然的な因果律操作魔眼が起動し、
 降り注ぐ剣呑な火砲を因果操作によって捻じ曲げ、周囲に着弾させる。
 ZAPZAPZAP!! なんたる攻勢! 釉乃の片目から血の涙が溢れた!
「くっ……あたしのトモダチは、やらせない!」
「熱い友情見せつけてくれるじゃん、まとめて消し飛ばすんですけど!」
 バリアは……わずかに揺らいだが、未だ顕在か……!!

 では、守られる紅葉はどうしているのか? ――舞いである。
 日本舞踊にアルダワ魔法学園の文化を織り交ぜた、独創的な舞いであった。
 この状況で何を? と、疑問に思う者もいるかもしれない。
 しかしラビットバニーはエモによって心を乱し、それが攻撃の緒になるのだ。
 ゆえに紅葉は舞う。この状況だからこそ、その真摯さは敵の胸すら打つ。
「ちっくしょ……エモいなあ、もう!」
 ラビットバニーは、敵の意図がわかっていても感銘せざるを得ない。
 それもまた、ある意味ではオブリビオンという過去の化身ゆえか。
「ごめんなさい、私も卑怯ではないかとは少々思います。ですが」
 ふわり。ステップを踏むと共に、解き放たれた髪の毛が花弁と共に広がる。
 それは根本から紅葉めいた朱へと染まり、双眸もまた同様に。
 一瞬にして装いは夜闇めいたドレスへと変わり、背中に青い紋章が輝いた。
 広がった花びらが、紅葉色の髪が、重力にしたがって一気に地に伏せる!
「これはあなたへの手向けの舞いでもあります。――ここが墓場です」
「そんなの御免なんですけどっ!!」
 ZAPZAPZAP!! キャノン砲が、いよいよラプラスの瞳の負荷を超越する!
「ああぁっ!!」
 釉乃は片目を抑えて膝を突いた。すさまじい量の血が流れる……!

 だが凌いだ。そしてバリアはすでにない――紅葉は眦を決する!
「よくも、私の友達を傷つけてくれましたね」
 燃え上がる戦意は煌々と。選ばれし姫の紋章がさらに青い輝きを増した!
「コード:ハイペリア承認――あなたに"鉄槌"をくだします!」
「このぉおおおおっ!!」
 ラビットバニーは紅葉を撃とうとした。だが、火砲は届かない。
「……諦めない」
 釉乃だ。滂沱の流血をしながらも、なおも力場を維持している!
「あたしはトモダチを信じてる。だから、絶対に諦めない!!」
「この……ッ!!」
 勝負あった。ラビットバニーにとってそれは致命の一瞬だった。
 直後、超重力が、ハンマーじみてその身を地面へ叩き伏せる!!
「……言ったでしょう、ここがあなたの墓場だと」
 断末魔すらなく、割れ砕けた地面に呑まれて怪人は滅んだ。
 易くはない勝利である。だが友情のコンビネーションが、たしかに勝機を掴んだのだ……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



 ――戦いはなおも続く。
柊・明日真
【アドリブ歓迎】
俺のとっておきを見せる時が来たな…
エモエモで憤死させてやるぜ!

まずは上着をひっぺがして上半身を見せびらかす!見ろ、この俺の筋肉!(【怪力】でポージング)そんじょそこらの野郎には負けないぜ!

からの!《トリニティ・エンハンス》!!さらに肉体強化!
どうだ!これぞ筋肉と魔術のコラボレーション!
肉体と精神の完全なる融合!!

身体中を魔力が駆け抜ける様はまさに芸術!これが究極のエモい姿!そして全力でぶん殴る!!



●柊・明日真のエモさ
 突然のことであった。あまりの突然さにラビットバニーもびびった。
「えっ」
 と、素っ頓狂な腑抜けた呆れ声を出すほかなかったほどである。
 そう、突然――明日真は、突然上半身を露わにしたのだ!
「えっ?」
「見ろ!!」
 ぎゅわぁっ!! 橙色の双眸が力強く見開かれる! へ、変態だ!!
「えっちょっガチであーしビビってんだけど、そういう趣味?」
「よくわからんが俺が言いたいのは! この俺の!! 筋肉だ!!!!!」
 ギャキィン!! 力強いフロントバイセップス!!
「ええ……」
「どうだこのバルク! カッティング!! エモいだろう!?」
 背中を向けての雄々しいバックダブルバイセップ! 背筋が隆起する!
「ええええ……」
「そんじょそこらの野郎には負けないぜ! さあどうだ!!」
 どうもこうも、ラビットバニーは困り果てていた。

 足りないか。いやしんぼめ。明日真はふっと鼻で笑った。
 ならばこうしてくれよう。今こそ魅せるは刻印魔術の秘奥なり!
「ぬうううん……!!」
 炎・水・風の魔力が明日真を包み込む。吹き出す汗! 隆起する筋肉!
 ぴくぴくと大胸筋が震える。汗が……汗が! 肌を滴る!
「どうだ! これぞ筋肉と魔術のコラボレーション!! 肉体と精神の完全なる融合!!」
「…………」
「人類の無意識が……筋肉の意思が!! エモを求めているのだ!!」
 ぎゃきぃ! カッコいいだろう! とでも言いたげなドヤ顔である!
「……エッッッモ」
 言ってからラビットバニーは嘘だろ自分と愕然とした。だがバリアは解けた。
「うおおおおお俺の体を魔力が駆け巡る! まさに芸術的だぁ!!」
「えっやっキモいんだけど!!」
 ZAP!! 赤べこキャノンが明日真にクリーンヒットだ!
「グワーッ!?」
 だが筋肉は死なない。汗臭い一撃がラビットバニーに命中!
「ぎゃああーーーーーーー!!」
 ガチ悲鳴を上げて逃げていく幹部! 血まみれで倒れる明日真! 地獄だ!!
「見せてやったぜ、俺のとっておき……!」
 明日真は満足げだった。誰かこいつをなんとかしろ。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

レトロ・ブラウン
キコキコキコキコキコ(三輪車で襲来)
やぁやぁ。レトロです。
キコキコキコキコキコキコキコ
身長37cmのせいでバイクに乗りたいけど自転車すら乗れないレトロです。
キコキコキコキコキコキコキコキコキコ
99歳でも三輪車なレトロです。
キコキコキコキコキコキ コテッ アァッ!
何故か三輪車でもちょくちょくコケるレトロです。

……何見てルんでスか!何故心が乱レテいるノですカ!かワいい系おジいチャんを見ル目で見ナイでくだサい!
カンフー?なンぼのモノですか!テレビウム神拳(非存在)の真髄を見せてやります!
【ダッシュ】ハ速くスマートに!【踏みつけ】ハ短く敵ノ足の甲ニ!【ジャンプ】は鋭ク高く!
『サマーソルトキック』でス!



●レトロ・ブラウンのエモさ
 キコキコキコキコキコキコ。
「は?」
 キコキコキコキコキコキコ。
「やぁやぁ。レトロです」
 キコキコキコキコキコキコ。
「えっ、いや誰だし? てかなんで三輪車?」
 キコキコキコキコキコキコ(ここで三輪車を漕ぐ音だと判明する。Mystery……)
「身長37cmでスから。バイクに乗りたイんでスけどね。
 ご覧ノ通り、自転車にスラ乗れないんデスよ。どうモ、レトロでス」
 キコキコキコキコキコキコ(三輪車はカスタムされている)
「99歳でも三輪車な、レトロです」
「ええ……」
 キコキコキコキコキコキ コテッ(ころんだ音)
「えっ転んだ!?」
「あぁっ!」
 …………キコキコキコキコキコ(何事もなかったように漕ぎ出す音)
「何故カこけるンですヨね、なんデですかネ」
 キコキコキコキコキコキコ。
 キコキコキコキコキコキコ。

 ……名状しがたい光景であった。
 ニコニコ笑顔のテレビウムが、なぜかラビットバニーの周りを走る。
 三輪車で。時々転ぶ。そのたびによっせと起き上がる。名状しがたい。
 キコキコキコキコキコキコ。
 キコキコキコキコキコキコ…………。
「エッッッモ」
「ちょっと! 何心が乱れテいるノですカ! ちょっと!!」
 ラビットバニーの眼差しは生暖かった。
 完全に、ボケとかでちょっとカワイイムーブをする老人を見る目だった。
「でもそれはそれとして死ね!!」
「カンフーなどなンぼのモノですか!!」
 とうっ! 三輪車から力強く跳躍するレトロ――ああっ! だが!
「あっ!」
 こけっ。ハンドルに脚をひっかけて転んだ。
「ええええなにそれあざとっ!」
「と見せかけての攻撃でスヨ!!」
「ギャーッ!?」
 こんなのでもダメージは入る! バリアが解けてるからだ!
「ふざけんなこのカワイイけど敵ーっ!!」
「ギャーッ!?」
 そしてカンフーでふっとばされた。世は無情だ。
 あとには、転んだ三輪車がキイキイタイヤを鳴らしていた……。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ララドランカ・アルトリング
さて…アノ仮面の中ってどうなってるんだろうね…まさか、仮面の下にも仮面が⁉(思考が暴走)スタイルや髪を見るに相当な美人と見た!(目を見開き)

ナイスバディ―なお姉さん、仮面を外してみたりしてくれない?

ー - ー - ー
エモい…エモい…何か面白いものを見せれば良いのかな?えーっとそれじゃあ【殺】を使用して赤べこキャノンを流体の身体で受けて斬れば良いかな?ウケるかな?私としてはソコソコ自身が…

バリアがなければそこそこ【殺】で如何にかなると思うんだけど…

行ってみようか…



●ララドランカ・アルトリングのエモさ
 ブラックタールの性別というのは、見た目ではいかんせん分かりづらい。
 なにせ人型どころかモノらしい形をなしていないモノまでいるからだ。
 その点から言えば、ララドランカはいかにもわかりやすいといえるだろう。
 だがそんな女の赤い瞳は、ぱちくりとラビットバニーの頭部に集中していた。
「戦う前に一つ聞きたいことがあるんだ!」
「……何? 聞くだけ聞いとくけど」
 ラビットバニーは物分りが良かった。
「その仮面(?)の下……一体どうなっているの? まさか……!
 仮面の下にも仮面が? いや実はやっぱり見た目通りの美女の素顔が!?」
 くわわっ! 赤い瞳が暴走した思考のままに見開かれる!
 然り、ラビットバニーはナイスバディだ。もうたゆんたゆん揺れている。
 ララドランカはちょっとずれた思考をするタイプのブラックタールだった!
「そんなわけでナイスバディーなお姉さん……仮面を、外してみたりは」
「しねーよ!!」
「いやそこをなんとか」
「だから! しないんですけど!!」
 取り付く島もなかったという。

 ラビットバニーは怒っていた。真面目に聞いたおかげでバカを見たからだ。
「あーもういいや、赤べこキャノンでふっとばしてあげんよ!」
 ジャキン! せり出した砲口がさらに広がり超威力を予感させる!
 当然ながら展開されるバリア。いかにするかララドランカ!
「いいだろう、ならばそのキャノン砲を、この私の体で受けてみせよう!」
「へえ、あーしの攻撃を受けきれるっての?」
「そしてそのバリアを消し去ってみせよう。きっとウケるはずだからね!」
「そういうことじゃねえーから!!」
 ZAAAAAAP!! 大口径キャノンが火を噴いた! ララドランカの体がゆがむ!
「あいにく私としてはそこそこ自信があるのさ! ギャグにも腕前にもね!」
 SLASH!! ……おお、見よ! たしかに鋭いボディがキャノン砲を切り裂いた!
「えっマジで!?」
 意外な驚きである。心が揺れ動き、バリアがつかの間解除された!
「ほらね、ウケただろう!」
「だからそういうことじゃ……やば!」
 ララドランカは好機を逃さぬ。ぬるぬると近づいての再度の一閃!
「ったぁ! あーもうマジ猟兵とか手強すぎなんですけど!」
「おっと……!」
 ZAAAAP! ZAP! ZAPZAPZAP!!
 今度は面制圧の砲火がララドランカを襲う。避けようもなく被弾!
「さすがにここまでか……! 二番煎じはウケないからね!」
「だから! そういうことじゃ! ねえーからー!!」
 一撃は入った。ギャグはウケなかった。まあ成果と言えば成果である。
 重傷を押してララドランカは地面を流体状態で這い進み、かろうじて砲火を逃れる……。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

遠千坊・仲道
【WIZ】
エモい話なら俺に任せろ。
あー、まずこれは俺が異世界各地で見て聞いてハックして集めに集めた猟兵たちの活躍をまとめ収めたスクラップブックと写真集、映像集だ。最新ではバトルオブフラワーズ戦での活躍から、古くは伝説として各地に残っているものまでを集めてあるわけだが、今回はその中でもキマイラフューチャーの初心者向けに相応しい、特にエモい話を厳選した本を作ってきた。一応、映像と解説付きだぜ。俺の画面と音声じゃ伝えきれねえのが残念だけどな。
(猟兵ファンの熱意を込めた手作り本を渡してエモい話を丁寧な解説付きでじっくりした直後にUC発動)

実感はねえけど、俺も猟兵だからな。足止めくらいはさせてもらうぜ。



●遠千坊・仲道のエモさ
 キマイラフューチャーの住人は、ほぼ例外なく猟兵が大好きだ。
 であるからして、もともとテレビウムである仲道も猟兵が大好きだ。
 自分自身が猟兵となってからも、それは変わらない。推しは推しである。
「というわけで、これをやろう!!」
「……なんこれ」
 突然現れたテレビウムが、自信満々に掲げたもの。
 それは、いくつかの本とROMが収められたと思しきケース媒体であった。
「俺が世界各地……この世界の外側でまで見て聞いて、さらにはハッキングしてまで集めに集めた猟兵たちの活躍!!
 ……を、まとめたスクラップブックと写真集、そして映像集だッ!!」
「ええええ……」
 あまりの邪気のなさに仕方なく応じたラビットバニーだが、若干後悔した。
 しかしそんな幹部怪人のドン引きをよそに仲道はなおも語る!
「ああ安心しろ、今回集めてきたのはあんたのような初心者向けのものだ。
 もちろん俺はこのバトルオヴフラワーズも含め、あらゆる猟兵の伝説すら蒐集し編纂しているが、それはそれとしてニュービーへのリスペクトも大事!!
 その中でも特にエモい話を厳選して製本してきた。どうだ、エモいだろう?」
「…………」
「ああ待てみなまで言うな! もちろん、映像には解説をつけてある」
「そういうことじゃねーんだけど……」
 だがすさまじい熱意であった。仲道はそのぐらいのガチ勢なのだ。
 それでいて初心者への配慮も欠かさない。理想的ファンと言えよう!

「いやてかさ、あーしオブリビオンじゃん」
「そうだな」
「そのあーしが猟兵のことエモいと思うわけなくね?」
「だがあんた、被弾しているじゃないか」
「…………それはそれ!! これはこれ!!!!」
 否定のしようがなかった。そしてラビットバニーはちょっと揺れていた!
 なにせ熱っぽく語る仲道があまりにもピュアなものだから、こう、ちょっと。
「くっそぉあーしまじガバすぎんだろぉ!!」
 バリアが解けた! 仲道は攻撃……いやさらに語っている!
「えっ攻撃しないの!?」
「しまった忘れていた! すまんな実感がねえんだ!」
 我に返った仲道、制御ビームを画面に映し逆にハッキングし返す!
「あんたの好きにはさせねえぜ!」
「もう十分好き放題してんだろーがよあんたのほうが!!」
 ごもっともである! 仲道に降り注ぐビームの雨と乱舞する足場!
「くっ、けど俺だって猟兵なんだ、足止めくらいはさせてもらうぜ……!」
 ガチ勢ゆえの根気と意地、それこそがこの場においての勝算となる。
 引くことはない。ここで退いてはヒーローたちと肩を並べるかいがないのだ!

苦戦 🔵​🔴​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変大歓迎】

エモく、バズりそうな感じ?
アタシはカワイイ系はまぁ無理だろうし……
こう行くかな。

アタシはいつものライダースーツ、カブは『変装』して
そこそこイイ感じのカウルバイクにしておく。
エンジンを挑発的に吹かして、バニーのカンフー突撃を誘って
こっちも突っ込むよ!
まあ衝突の衝撃でバラける……ように見せかけて、
接触の瞬間を『見切り』、アタシはバック宙。
カブをパーツ単位に分離させ、空中で【人機一体】を発動!
アーマーを纏って着地し、不敵にニヤリと微笑んでやろうじゃないのさ!

その後は高速戦闘の開始だね!
加速状態での『グラップル』と演出込みのメーザーで
派手ハデに戦ってやろうじゃないか!


花狩・アシエト
いやぁエモいってわかんねーんだけど
大丈夫かなぁ

「ボロボロになりながらも立ち上がり、口から溢れる血をぬぐい仲間たちにニヤリと笑い突撃していく」
これだ!
なんかわざとダメージっぽくしてく。攻撃あんまり食らいたくないし
ラビットバニーの攻撃をわざと食らい、ボロボロになる
「まだまだ俺はやれる」
手の甲で血をぬぐう
仲間を振り返り
「あとは頼んだぜ──」
うおおおおって突撃する
吹っ飛ばされても立ち上がるぜー!

ほんとに危ない攻撃は武器受けする

隙ができたら、全力魔法の紅椿で攻撃だ
近づかれて攻撃されたら武器受けでガードしつつ、反撃

アドリブ、共闘歓迎


ミルヒ・フェアトラーク
アドリブも絡みも大歓迎♡

エモくてバズるようなのがいいんですよねっ!?
ならミルヒはこれを紹介しちゃいま~っす!

可愛くって美味しくって女の子の夢の塊!
パステルピンクにパステルブルーにパステルブルー
それからミルクふんわりたっぷりなゆめかわいいパフェ
飾りもベリーがたっぷりゴロゴロでクッキーも可愛いうさぎに
リボンとお星様
でも甘さ控えめで女の子に優しいカロリー
コレ食べたくないですか~?冷たくとろけて美味しいですよ~
バリアとかないと食べられませんよ~?

ようこそ♡
もしミルヒが動けなくても【機械兵器】が頑張ってくれちゃいます
パフェにメロメロの間に攻撃あるのみ!
あぶなーい!動いたら折角のクリーム零れちゃいますよ?


月宮・ユイ
戦争でもこのノリ……グリモア猟兵も大変そうですね
それでも戦力は十分以上油断せずいきましょう

”催眠術”で自己暗示、役になりきる
[コスモス]ローブ、杖、帽子と奇術師めいた衣装:飛行能力有
”殺気”無く”礼儀作法”で所作も美しく”誘惑”お誘いを
「お嬢さん、一つ私からの贈り物をご覧あれ」
”念動力”言葉と共に[ステラ]製の玉を頭上へ放る
光と共に炸裂、中にいた[メルクリウス]を霧とし広がらせる
<静寂雪原>
玉の欠片を氷に変え、周囲の熱エネルギー吸収
霧よりダイヤモンドダストとフロストフラワーを作り一面に降らせる
見惚れさせれば最良
十分に降った所で”早業で生命力吸収の呪詛”も宿す氷槍に変え”一斉斉射”

連携アドリブ◎


神元・眞白
【SPD/割と自由に】
話を聞いてるとすごく大変そうな相手。…えもい、エモい?
んー……ちょっと飛威、いつもの様に符雨と絡んでみて。
私なら今日は見てるだけで混ざらなくていいから。…引っ張らないで。
外の目も少しあるからあんまりやり過ぎないぐらいでね。
……もちろん冗談。そんな目で見ない様に(視線逸らし)

速いならこっちは人海戦術。…と思ったけど、追いつけない気もする。
私が狙われるのは分かるし、多角的に攻める様に見せて反射を狙おう。
マカブルの排出を時間差に。それも一か所からだけじゃなくて私も含めた
3人からの排出を。
面白い見た目だけど、違う機会に会えてたらよかったかも。



●偶然共闘することになった方々の、それぞれのエモさ
 数宮・多喜は思っていた。愛機に跨がりながら心の底から思っていた。
「アタシにゃあれは無理だね、やっぱ……」
 "あれ"。ため息混じりに見やる先では、別の猟兵がラビットバニーに挑んでいる。
 ミルヒ・フェアトラーク。バーチャルキャラクターの少女だ。
 ではそんなミルヒは何をしているのか? 多喜に無理と言わせることとは!?
「今日ご紹介しちゃうのは~、こちらですっ!
 可愛くって美味しくって女の子の夢の塊☆パステルパフェでーす♡」
 ようは宣伝であった。いや正しくはめちゃくちゃぶりっこしたカワイイムーブだ。
 そんなミルヒが手に持つのは、これまた奇想天外なスイーツである。
 ピンク、ブルー、そしてまたブルー。パステル三色のケミカルカラー!
 そこにふんわりミルクをこれでもかとばかりにカロリー度外視にぶっかけ、
 キュートな飾りや瑞々しいベリーをゴロゴロと惜しみなく振りまき、
 仕上げにウサギの形をした特製のクッキー載せのスペシャルメニューである!
「えーなにこれ! やばたんカワイイんですけど!!」
「でしょう~? エモいうえにバズ必至! 映えまくりのスイーツですよ~!」
 何を隠そう、ミルヒは企業採用を夢見て日々修行するバーチャルキャラクター。
 であるからして、この手の宣材を売り込む作業は大得意なのである!
「ほらほら~、リボンにお星様までついてて~」
「えっこれ撮っていい? アゲていい?」
「どうぞ~? それでいて甘さ控えめ、カロリーも女の子に優しいんですよ!」
 きゃっきゃと騒ぐラビットバニーとミルヒ、完全に術中である。
「いやあ、アタシやっぱありゃ無理だわ……」
 多喜は再び思った。あんなカワイイムーブは自分には無理だと。

 そしてミルヒもまた、ニヤリと若干腹黒い笑みを浮かべる!
「コレ食べたくないですか~? 冷たくとろけて美味しいですよ~」
「え~食べたい食べたいめっちゃ食べた~い!!」
「バリアとかあると食べられませんよ~? あげられないから~」
「え~じゃあ仕方ないなあバリア解……ハッ!!」
 そこでラビットバニーは我に返った! 完全に敵の策だと悟ったのだ!
 色々遅い。だがパフェにはちらちら目を向けている!
「あーし名案思いついたんですけど!!」
「ええ~? なんですかぁ~?」
「あんたぶっ殺してパフェだけ頂けばいいじゃーん!!」
 なんたるバイオレンス思考! ミルヒめがけ無数のレーザーを……!

「おっとそうはいかないぜ!」
 ここでふたりの間に、颯爽と割って入る男がいた。花狩・アシエト!
 アシエトは我が身を呈して、ミルヒへの攻撃をかばうのだ。灼ける背中!
「きゃああっ!? て、だ、大丈夫ですかっ!?」
「へへっ、この程度わけないぜ……!」
 血を一筋吐きながらもアシエトは笑う。待機していた多喜もエンジンを蒸かす!
「まだ生きてんだ、ならこいつで――」
「そこまでだ! ここからはアタシが相手になろうじゃないかっ!」
 ウォルルルルルッ!! カウルバイクが唸りを上げチャージを仕掛けた!
 ラビットバニーは多喜による妨害を舌打ちして躱し、攻撃方法を変更。
 両目がギラリと赤く輝き、高速カンフーモードで多喜を迎え撃つ!
「……あれ、やっぱりすごく大変そう」
 ドッグファイトめいて空中を交錯する両者を見上げ、神元・眞白が呟いた。
 ミレナリィドールにエモはいまいちよくわからない。ピンとこない。
 そんなわけで従者たるからくり人形二体を百合な感じで絡ませてたのだが、
 事態は待ったなしのようだ。飛威と符雨はため息をついて頭を振った。
「サポートしなきゃ。飛威、符雨、行こう」
 猛烈な攻勢に追い詰められる多喜を支援するため、三体の人形が空へ飛ぶ!

 一方、ラビットバニーはこの猟兵たちのコンビネーションに歯噛みしていた。
 ミルヒのセールストークに思わず我を忘れかけたのも屈辱である。
 だがここはもはや逃さない。まず多喜を血祭りにあげ、次はアシエトだ。
 ギラリと赤い瞳が輝く。……と、そこへふわりと現れたのは眞白……いや!
「おやおやお嬢さん、そんなに慌ててどうしたんだい」
「は!? 今取り込み中なんですけど!」
 しかし妙に無視できぬ声に振り向けば、そこには魔法使いがひとり。
 ……正しくは、ローブや杖でそれっぽく変装した月宮・ユイである。
「あまり危ないことをしてはいけないよ、ほら落ち着いて」
「な、なんなのいきなり……」
 だが目をそらせない……ユイには一切の邪念や殺気が感じられなかったからだ。
 自己暗示をかけてまでの演技は、それほど見事だったのである!
「そんなお嬢さんに、ひとつ私から贈り物をあげようか。さあご覧あれ」
「ん……」
 ついと視線が、ユイの投げた宝玉へ移る。これだから隙が多いのだ!
「かかったわね」
「ん? おわあっ!?」
 宝玉が炸裂! 光とともにちらちらと輝くスライムの分裂体が散った!
 さらに破裂した宝玉の残骸は、そのまま周囲を覆う一種の領域となる!
 静寂雪原(コキュートス)。生命を簒奪し味方を強化する結界の完成だ!
「ちっ! けど不意打ちなんて効かないんだけど!」
「それはどうかしら?」
 ちらちらと粉雪めいて、宝玉の欠片が舞い散る領域。
 その只中にあってラビットバニーは無傷。バリアは健在なのだから。
 ……だが、健在なのは猟兵も同じである。つまり!

「誰も彼も芸達者だなあ! 俺、ひょっとして役不足だった?」
「とんでもないです! た、助けてもらっちゃって、ええと」
 あせあせと慌てるミルヒに、血を拭ったアシエトがウィンクする。
「大丈夫大丈夫、まだまだ俺はやれるってね! さあ行こうか!」
「いい根性してるじゃないか、気に入ったよ!」
 カンフー攻撃を逃れた多喜は、そんなアシエトのタフネスにニヤリと笑う。
 さらに眞白と人形――戦術器たちが参着。守りは盤石か!
 そんな多喜の周囲にはバラバラとマシンのパーツが散らばり、
 ラビットバニーを睨みつけると共に彼女を包むアーマーとなったではないか!
「変身したぁ!?」
「これぞ"人機一体"ってね、さあこっから反撃と行こうか!」
 驚愕するラビットバニー! その視線は例にもよってチラチラパフェに!
「ダメです、悪い怪人さんにはあげませんよ~!」
「くうっ、カワイイムーブするじゃん……あーもー、あぁーもぉー!!」
 絶体絶命のピンチが来ると分かっていながらエモさを感じずにはいられない。
 バリアが解除される――それが、猟兵たちの一斉攻撃の合図となった!

 すぐさま領域から逃れようとするラビットバニーを、まず多喜が襲う!
「そうはいかないよ!」
「って疾っ!?」
 静寂雪原による強化が多喜に作用しているためだ。格闘による足止め!
「近づくのは危ないから、あとはみんなにお任せですっ!」
 パフェを片手に持つミルヒが指させば、エレクトロレギオンが応じる。
 機械兵器が一気に猛攻を仕掛け、ラビットバニーの防御を削り取る!
「贈り物、まだあるのよ。さあ、存分に受け取りなさい――!」
 ユイもまた氷霧を氷の槍に変え、氷柱めいた切っ先を一斉発射!
 弾かれたものを眞白と人形たちが受け取り、これを時間差で射出する!
「んなぁっ!?」
「攻めは多角的に。これ、戦術の基本」
 オペラツォオン・マカブルを利用した、危険な……だが強力な追撃だ。
 追い詰められたラビットバニーを見上げ、アシエトは血唾を吐き捨てる。
「落ちろ落ちろ、くびよ落ちろってな――悪いが、おいしいとこは頂きだっ!」
 雪の中に椿の花びらが舞う。アシエトが跳躍、その只中へ!
 そして間合いを詰めた瞬間、花びらは収束し二振りの刃に……!
「綺麗な女の子たちが見てるんだ、カッコつけさせてくれよっ!!」
「こいつ――」
 断末魔はない。剣閃がラビットバニーの首を刎ねたからだ。
 くるくると回転しながらアシエトが着地。ぶわっ、と花びらが舞った。
「――なるほど。これがエモいってやつなのかね?」
「その一言がなきゃもっとカッコいいんだけどねえ」
 呆れた様子の多喜の言葉に、ミルヒたちも思わず吹き出したという。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



 そんなこんなで、戦いはなおも続く。
アルバート・クィリスハール
弟分(f17587)と。SPDです。
エロ本やらエモやら賢者さんも大変だね……。
で、何? エモ? エモねぇ……
――って詠おまえコラァーッ!?
やめなさい! 思った事ノータイムで口から出すのやめなさい!!
ごめんなさい弟分が本当ごめんなさい!(詠の口を押さえつつ)
くそっ、オブリに謝るとか屈辱だ……。
ほら戦闘だよ、意識切り替えなさい!

今回、僕は詠を守ることに全力を注ぐよ。
普段よりたくさん攻撃食らうけど、ならそれを前提として動けばいい。
弟は守る。君は倒す。
両方やらないと行けないのが兄貴分の辛い所ってね。
血の一滴も無駄にはしない。四肢が飛ぼうが詠の邪魔はさせない。
この姿にエモを感じてくれれば重畳だね!


刑部・詠喜
兄上(f14129)と!
うわあーっ!!(全力の驚愕)
お胸が! 大きい!! 零れ落ちそう!!(顔を赤くしつつ指の隙間からのぞき見つつ)
兄上!! お胸が!! むぐぐーっ!!(口を押さえられてあばば)

はーい!(よい子のお返事)

今回、それがしの役割はシンプル。攻撃を当てること!
絶対無敵バリアの解除まで兄上が頑張ってくださる手筈でござるが、
うう、目の前で兄上がズタボロになっていくのは辛いでござる……!
だが我慢! ここで突貫しては兄上の傷が無駄になってしまう!

バリアが解けた瞬間に、全力で太鼓を叩き付けるでござるよ!!
食らえ!!これが我ら兄弟のコンビプレーでござるッ!!



●刑部・詠喜とアルバート・クィリスハールのエモさ
「うわぁあーっ!!」
 システム・フラワーズ内部。骸の海から復活を果たしたラビットバニー。
 そんな彼女を出迎えたのは、素っ頓狂な少年の驚きに満ちた叫び声だった。
「んん? 何、あーし相手に声出すとかいい度胸じゃん」
 強大なる幹部級オブリビオンは威圧的に周囲を睥睨した。
 そこに詠喜あり。こちらを指さして唖然とした顔をしている!
 ラビットバニーはちょっといい気になった。強敵扱いされてこその怪人だ。
「ふん、別にあーしはおだてられても絆されないけどさぁ」
「お胸が! 大きい!! 零れ落ちそう!!!」
「…………」
 詠喜は思い出したように両手で顔を覆い……つつ、指の間から怪人を見る。
 その通り、ラビットバニーは豊満なのである。その胸はたゆんたゆんしていた。
 健康的な小麦色の肌! 世俗慣れしていない鬼には目に毒だ!
「って詠おまえコラァーッ!?」
 やや遅れて転送されてきたアルバートが青い顔をした!
 目の前に敵おるやんけ! 弟を見る! ……敵を見る! おるやんけ!!

「兄上!! 兄上、御覧ください! あの! あのお胸が!!」
「やめなさい! 思った事ノータイムで口から出すのやめなさい!!」
「でも兄上! 見てほしいでござる! お胸がものすごい……兄上!!!」
「だからこら! やめなさいってば! 詠!!」
「けど兄上お胸がむぐぐーっ!!」
 しまいには詠喜の口を無理やり両手で塞ぐアルバート。
 無言で立ち尽くすラビットバニーのほうにぺこぺこと頭を下げる。
「ごめんなさい弟分が本当ごめんなさい!」
「…………いやまーわかっちゃうかぁー! あーしカワイイからなー!!」
「謝って損したわ!!!!!!」
 がばっと詠喜の口から手を離しつつ、アルバートは逆ギレした。
 ラビットバニーはいい気になっていた。超いい気になっていた。
「くそっ、オブリビオンに謝る上にドヤ顔されるとか屈辱だ……!」
「兄上、やっぱりすごいでござるねあのお胸……(小声)」
「ほら戦闘だよ、意識切り替えなさい!」
「はーい!!」
 詠喜はなんだかんだでいい子だった。いや本当にいい子か?

 そんな素っ頓狂なエンゲージから始まった戦闘、これ自体は当然苛烈だ。
「いい男は好きだけど、まああーしも仕事があるんで! 悪いね!」
 ラビットバニーは即座にカンフーモードに突入し、姿を消す。
 それほどの高速移動! ふたりの眼前に現れたラビットバニーが、
 一度に五の猛烈なるカンフー攻撃を繰り出す! アルバートが詠喜をかばう!
「ぐっ!!」
「兄上!」
 詠喜は思わず声を上げた。だが、突っ込みそうになる己をこらえる。
「やるじゃないか、けどこのぐらいじゃ倒れるわけにはいかないね……!」
「タフガイ気取っちゃってカワイイとこあんじゃん!」
 うさちゃんカンフーなどと名前はふざけたユーベルコードだが、
 そのスピードそして威力は痛烈。一撃一撃が並のオブリビオンの全力を超える。
 いかなアルバートとて、これを喰らい続けるのは非常に危険だ!
 肉を抉られ骨が折れ、そこかしこの傷口からしとどに鮮血が溢れ出す……!
「弟は守る。君は倒す――両方やらないといけないのが、兄貴分の辛いとこってね」
 不敵に笑うアルバートのみぞおちに、激烈な拳が叩き込まれた。
 内臓破裂級のダメージ。アルバートはゾッとする量の血を吐き出す……!

 だがその実、この血こそがアルバートの攻撃方法なのである。
 吐き出されたそれらは赤白黒の三色の花弁に変身し、周囲を舞い散る。
「鬼哭啾々の花宴(はなのえん)……この痛み、おすそ分けしてあげるよ!」
「ああもううざったい、エッッッモいし!」
 なんと不敵、そして不撓不屈たる男か。ラビットバニーの心は揺れた。
 バリアが消える。百合の花弁が――否、これはカンフーで切り裂き無効化。
 だがここだ。詠喜の辛抱が報われるときが来たのである!
「もらったでござる! これが我ら兄弟のコンビプレー!!」
 武奏太鼓《雷獅子》――と、それを叩く陰陽それぞれの理の宝杖を振るう!
 詠喜が辛抱していなければ、この攻撃は決して届かなかっただろう。
 たとえどれほど時間差攻撃を仕掛けようと、ラビットバニーは強敵。
 ユーベルコードには即座に反応し絶対先制を行うのだから。
 しかし傷つきながら耐える兄貴分の背中を、じっと見つめ続けたその姿!
 そのいじらしさ、ラビットバニーはエモらざるを得なかった!!
「どれだけお胸が大きくてもムダでござるっ!!」
「まだそこにこだわ……あぐっ!」
 入った! 直後、大音声が太鼓から雷鳴めいて響き渡る!
 叩き込まれた衝撃がラビットバニーの体内で反芻炸裂。甚大なダメージだ……!
 ラビットバニーは血を吐き、舌打ちして戦線離脱。
 その胸は、最後まで豊満だった――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

バルディート・ラーガ
高慢ちきのトリ女(f13881)と。
……チッ、どうやら今回は相当な強敵と見えやすが。精々足引っ張ンなよ。

ッ!先制攻撃が!危ねエ!
と、赤べこキャノンに対して「激痛耐性」を頼りに「かばう」。
トリ女の代わりに弾を受け、ズタボロになってやりやしょ。
ヒヒッ、なンだよその顔。目の前で死なれちゃア寝覚めが悪い、そンだけさ……

と、ここでネタばらし。
あっしのUCは受けた負傷に応じてコッチが強くなるってなシロモノ。
このクソトリ女を庇って「コミュ力」の演技をブチ込んだのも
ひとえにバリアを突破して喉元に一撃を叩き込むための策ってなワケよ。

……にしても、ホントに奴はコレで『エモ』とやらを感じるンで?
よく分かんねエなア。


マキアヴォクス・アルダ
ガサツで野蛮な爬虫類(f06338)と。
ハア、ホントにやなヤツ。ホントにこのコンビで戦えるのかしら。
まあいいわ。まずはアタシのUCを……ッ!

えっ……やだ。なにしてるの。
アンタがやられちゃダメじゃない!このバカトカゲ!
いつもみたいにアタシなんてほっとけばいいのに、どうして……

フフ、いいわよね。普段仲の悪い男女が、ピンチのときに協力しあう展開。
ドラマなんかで観るのはだいすきよ。自分の事となるとゾッとしちゃうけれど。
でもまあ、これが一番有効なんじゃないかな。アタシ達って腹芸が得意だもの。

この辺りのお花ちゃんは最初のUCでなぎ払って、少なくとも初動は止まらない。
二人がかりのだまし討ちはいかがかしら。



●バルディート・ラーガとマキアヴォクス・アルダのエモさ
 歳経ればそれだけ人の繋がりは増えるもの。中にはよからぬものもある。
 だのに妙にタイミングが噛み合って顔ばかり合わせることになる――。
 いわゆる"腐れ縁"というやつだ。二人の関係は、まさにその一語に尽きた。
「チッ」
 転移が終わった直後、バルディートはこれみよがしに舌打ちした。
 ぎろり、と彼にしてはずいぶん剣呑な目つきで、隣の妖艶な女を睨む。
「どうやら今回は相当な強敵みてェだ。せいぜい足引っ張ンなよ」
 そんなバルディートの刺々しい台詞に、マキアヴォクスもため息をつく。
「ホントにヤなヤツ。こないだは仕方ないから手を組んであげたけど、
 またやるの? 何もかもこっちの台詞よ、腰抜けトカゲ坊や?」
 ふふん、と勝ち誇った笑み。バルディートが二度目の舌打ちをした。
「なァにが坊やだ、この高慢ちきのトリ女が」
「はぁ? そっちこそガサツで野蛮な爬虫類のくせに」
 バチバチとふたりの間に火花が散る。オブリビオン相手どころではない。
 しかしその時、ふたりは弾かれたように彼方を見た。……近づく気配!

 それこそは、誰であろうラビットバニーである。あちこちに負傷。
 おそらくは別の猟兵と交戦し逃げ延びたか。ここが押し込み時だ!
「っとぉ、また新手ぇ? めんどー。まあいっか、おけまる水産!」
 気を取り直し赤べこキャノンを構える。天敵どもも気づいたようだ。
 だが遅い。あまりにも遅い――ラビットバニーはにやりと笑う!
「まとめて吹っ飛んじゃえ、ってねっ!!」
 ZAAAAAAP!! 大口径モードのキャノン砲が虚空を灼きながら走る!
「って何あれ!?」
 マキアヴォクスが呆気にとられた。バルディートは三度目の舌打ち!
「先制攻撃に決まってんだろうが、危ねエ!!」
 バルディートは、とっさに駆け出し、あろうことか腐れ縁の女をかばった。
 なぜそうしたのか? ……緊急事態だから、とおそらく無事なら言うだろう。
 だがそうはならない。仮にも幹部級オブリビオンのユーベルコードなのだ。
 KRA-TOOOOOOM!! 爆炎がシステム・フラワーズを包み込んだ!
 ……そしてそれが晴れた頃、爆心地には焼け焦げた男が倒れ伏している。

「……やだ。なにしてるの」
 マキアヴォクスはわずかに呆然とし、すぐに我に返り駆け寄る。
 そしてかがみ込む。ひと目見て致命に等しいダメージだとわかった。
「ちょっと! アンタがやられちゃダメじゃない、このバカトカゲ!!」
 ……ラビットバニーは即座に追撃を仕掛けるつもりでいたが、やめていた。
 必要ないというのもあるが……マキアヴォクスの声音に感じるものがあったのだ。
「ヒヒッ、なンだよその顔」
 バルディートは、いつものように皮肉げに笑みを浮かべてみせる。
 マキアヴォクスは彼のそんな笑顔が大嫌いだった。人を食ったような笑みが。
「何笑ってんのよ……いつもみたいにアタシなんかほっとけばいいのに!」
「……目の前で死なれちゃア、寝覚めが悪い。そンだけさ……」
「この……バカトカゲ……カッコつけんじゃないわよ……っ」
 マキアヴォクスの言葉は最後まで続かず、彼女は顔を覆って肩を震わせた。
 バルディートはそんな女のざまを見届けて、靜かに目を閉じたのだ……。
「…………エッッッモ!!!!!」
 ラビットバニーがこの光景にエモを感じないはずはなし!
 赤べこキャノンの発射前に展開したバリアが、あっさりと解除されてしまう!

 するとその瞬間、ラビットバニーの足元から燃え上がる炎が立ち上がった!
「おわぁっ!?」
 慌ててバリアを再展開し、足場を制御してこれをかわすラビットバニー!
「ちぇ。おとなしく食らっときゃいいモンを、めざてエなア」
「アンタがヘマこいてんでしょうがバカトカゲ、そんなだからダメなのよ」
 見よ! ボロボロのバルディートが立ち上がっているではないか!
 炎は彼の血そのもの。燃え上がる地獄の蛇なのである! これは一体!?
「あれっなんで生きてんの!?」
「死ンでたまるかよォ、このトリ女かばってなンざそれこそ死ンでも御免でさア」
「いちいち一言多いんだけど? 割と本気で痛がってたくせに」
 驚愕するラビットバニー。いつも通り罵り合うふたり。
 つまりこうだ。バルディートはマキアヴォクスへの攻撃を予期していた。
 その上で自ら体を張ってダメージを遮り、一芝居打ったというわけだ!
 無論ダメージはすさまじいものだが、かろうじて致命には届いていない!
「ドラマなんかで見るのは大好きだけど、自分のこととなるとゾッとするわねえ」
「そりゃこっちの台詞だぜ。だいたい効いてねエじゃねエか」
「だから、それはアンタがヘマこいたから」
「いちいちコッチのせいにすンなよトリ女!」
 飄々と減らず口を叩き合う。ラビットバニーはその隙を突いて……!
「え、なにそれやばたんじゃね? エモみでしんどい」
 ……また、バリアが解けてしまった。ふたりが即座に動く!

「あっやば!」
「残念だけど遅いわね! ふたりがかりの騙し討ちパート2よっ!!」
 マキアヴォクス、孔雀の尾羽根を振るいバリア再々展開に先んじて一閃!
 たたらを踏んだラビットバニーに黒炎の蛇が襲いかかり、肌を灼き焦がす!
「こっからが地獄の本領発揮ってなモンだぜェ、遊ぼうじゃねエか!」
「ぐううっ!! そのコンビネーションずるくない!?」
「「誰がコンビだっての(ンだ)よ!!」」
 ふたりは腐れ縁。それゆえに息はぴったりだ! 猛攻がラビットバニーを苛む!
 もはや、バリアが展開できるはずもなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
アドリブ歓迎
リコリス(f02296)と共に

噛み砕けば、感動させろという事らしい
思案中に出会ったので、提案に乗ってダンスに挑戦
独学なので幾許か不安はあるが、彼女は慣れ親しんだものの様子

遅れないように歯切れよいステップとターン
実はかなり激しい動きなのでしっかりついて行こう

エモを感じてもらうために真剣に踊ろう
リコリスも楽しいほうがより良いだろうし

踊りつつ魔力を溜めた体内に破天の魔弾を生成・装填しておく
最後は広がったついでに、リコリスと入れ替わる流れで、そのまま魔弾を乗せた拳の一撃
華やかに終われると良いな


リコリス・ミトライユ
アドリブ歓迎・アルトリウスさん(f01410)と一緒に行きますね。

エモ……って言ってもよくわかりませんけど。
要は感動させればいいんですよね。

だったら、あたしがリードして、ダンスを踊っていただきましょう。
踊るのは、チャチャチャ。これなら、相手が初心者でも入りやすいですし、
あたしのほうがリードして、踊れますから。

音楽は後ろのポッケに入れたスマホから。
歯切れよく、ステップ&ターン!
チャチャチャは激しいダンスですから、しっかりついてきてくださいね。

エモを感じていただけたなら、そのままファンポジションに広がったついでに、
ダンスに合わせてくるりと回し蹴りを叩きこんで、くるりとアルトリウスさんと位置交代!



●アルトリウス・セレスタイトとリコリス・ミトライユのエモさ
 ……ラビットバニーは憔悴していた。全身ボロボロの有様だ。
 猟兵たちによる攻撃はものの見事にバリアを解除し、彼女を襲った。
 もはや滅びも遠くあるまい。怪人はぎりぎりと歯噛みする。
「っくしょー、あーしまじガバすぎんでしょ、悔しいなあ……」
 また復活できるとは言え、はたしてこれは何度目の窮地なのだ?
 そして自分は何度目の敗北を味わう? 当然、覚えてなどいない。
「全員始末すんべ、まじ気合入れなきゃダメっしょ……あん?」
 そんなラビットバニーが目撃したのは、ふたりの男女の舞踏会であった。

 ……とは言っても、アルトリウスはあまりダンスを嗜んでいるわけではない。
 そもそも趣味だとかレジャーの類に興じるほど、青年に人間らしさはない。
 ヒトの形をした、まるで機関のようにただ駆動する残骸――それが、彼。
 そう思っていた……そうであるはずだった。だが、しかし。
「こうか」
「そうそう、いい感じですよアルトリウスさん!」
 歯切れはいいがどこか無機質なアルトリウスのダンスをサポートするのは、
 そもそもこの作戦を提案したリコリスである。彼女はスカイダンサーだ。
 ゆえにアルトリウスへの教授もうまく、青年もあっという間にコツを掴んだ。
 ふたりが踊るのはチャチャチャ。ラテン音楽系のオーソドックスなダンス。
 UDCアースなどでは、半世紀以上前に流行ったとか。つまり古典である。
「そうです、そこでステップして、ターン!」
 くるくるとアルトリウスがひとつ、ふたつと回転。リコリスははにかむ。
 そしてアルトリウスが握りあった手をあげれば、今度はリコリスが回る番だ。
「けっこう激しいですよね? ついてこれてますか?」
「問題ない」
 アルトリウスの返答は端的、ダンスも鋭いが情感がこもっていない。
 ……ように、見えるが。それでもリコリスは嬉しそうに笑っていた。
 スカイダンサーであるからこそ、彼女はその端々から感情の片鱗を掴んでいる。
 アルトリウスは、けしてヒトの形をした残骸などではない。
 そう言いたげに、無機質な表情の青年とともに舞っているのだ。

 そんな風景を見たラビットバニーには、とっくにバリアなど消えていた。
 怪人は長く長く大きく重く息を吐き出して、だん!! と床を踏みしめる。
 花びらが舞い散った。とっくに天敵どもは遭遇に気づいている。
「あ~~~~~エッッッモ!! まじ! あーし!! ガバいなぁ!!」
 ぎらりと両目が赤く輝く! そして残像を生みながらの高速接近!
「アルトリウスさん、来ますよ!」
「ああ」
 同時に、携帯端末から流れていた音楽がテンポを増す。
 カンフー攻撃! ふたりはこれをダンスしながらステップで回避!
「いつまで踊ってんだっつーの!!」
「お前のバリアを解除できればそれでよかった。が――」
 アルトリウスの藍色の瞳がかすかに光を放つ。それは魔力の残光。
「リコリスは楽しんでいるようだ。ならば、長く続くほうがいい」
 破天! 存在の根源を打ち砕く魔弾の弾幕が雨のように降り注ぐ!
 ラビットバニーはこれを制御ビームと足場の急制動によってかろうじて防いだ!
 ……だが、これは牽制である。ラビットバニーにもわかっている。
(あーあ、あーしってホント――)
「ダンスがお嫌なら、フィニッシュムーブをあなたにさしあげましょうっ!」
 リコリスがくるりとターンしてからの、鋭い回し蹴りを叩き込む。
 命中。体勢を崩したラビットバニー、リコリスはアルトリウスと位置を交換。
 青年は魔弾のエネルギーを拳に集めていた。いきおいざまのボディブロー。
(……ガバくて雑魚いなあ、エモ感じながら滅びちゃうんだから)
 藍色の瞳と赤く染まった仮面の瞳が交錯した。そこに慈悲はなかった。

 かくてオブリビオンは滅ぶ。魔力が爆ぜ、花びらが散る。
「やれましたね!」
「ああ」
 舞い散る花びらを、アルトリウスはつかの間見上げた。
 そしてリコリスの方を見て、ぽつりと言った。
「――華やかに終われて、よかったよ」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



 かくて、戦いはなおも続く。
黒城・魅夜
53枚の死神札を「早業」・「投擲」・「スナイパー」で投げ打ちます。
もちろんあなたの無敵バリアには通じませんよね。
しかし、ごらんなさい。バリアが弾き返した札を。
背後に舞うシステム・フラワーズの花びらを縫い付け、「エモい」の文字を作り出しています!
そう、色々計算したのです、角度とか。

では、ここからが本番です。
うさちゃんカンフーを「第六感」・「見切り」・「残像」でできる限り回避。
しかし攻撃は受けるでしょう。
ですが、その傷口こそがこちらの突破口。
「覚悟」と「激痛耐性」と共に、噴き出す鮮血を真紅の霧に変え、あなたの行動を阻害するとともにUCを発動します。
さあ――喰らい尽くせ、汚濁の魂!



●黒城・魅夜のエモさ
 カカカカカカッ!
「誰だし!?」
 突然投げ放たれたのは、あわせて53枚のトランプである。
 絵柄はすべてジョーカー……すなわち、死神のカード。すべてに宿る怨念。
 しかしユーベルコードですらない投擲が、ましてやバリア健在で功を奏するはずもなく、それらはばらばらと散って彼方へ飛んだ。
「……ええ、もちろん。あなたに効くことがないのは把握済みです」
 颯爽と現れた魅夜は、ラビットバニーに先んじて淡々と言う。
「しかし、ごらんなさい。あなたのバリアが弾き返した札を!」
「はあ? ……はっ、こ、これは!?」
 振り返ったラビットバニーは、思わず驚愕した!

 ……『エ』、『モ』、『い』!
 エモい! 文字である。カードは花びらを縫い付け文字を描いていたのだ!
「そう。色々計算したのです――角度とか」
「やばたんじゃん! なにこれ超バズりそう!!」
 そんなわけであっけなくバリアは解除された。そんな馬鹿な。
 しかしここまでは茶番である。本番はここからなのだ!
「おけまる水産! いいもん見せてくれたからぶっ殺してあげる!」
「さて、そうはいくでしょうか?」
 ぎらりと赤く瞳が輝き、ラビットバニーの姿が消えた。魅夜は即座に跳躍。
 一瞬あと、ざうっ!! と死神の鎌じみた回し蹴りが虚空を切り裂く!
「……っ」
 直撃は避けた。だが衝撃破が魅夜の柔肌をたやすく切り裂く。
 攻撃はそれにとどまらない。拳撃、蹴り上げ、コンパクトな掌打……!
 緩急をつけためくるめくような連撃が、魅夜を追い詰めるのだ!
 肌が裂かれ肉が割れて骨が砕けるたび、鮮やかな血が花びらを汚す!

 ……しかし、これもまた魅夜の計算のうちであった。
「およ?」
 舞い散った血は、さらに粒子状に散り、やがて赤く濃い真紅の霧となる。
 ラビットバニーは悟った。誘い込まれている。ここは霧の只中……!
「――やるじゃん!」
 然り。五感を鈍らせる濃霧はそれ自体が行動阻害の結界である。
 全方位から突き刺すような殺意。真紅の影が像を結び女の姿を見せた!
「血に霞みし世界に(ミスティック)――」
 汚濁の魂が、敵を引き裂く鋼の鎖となりて霧の中を舞う!
「祝福を捧げよ、硝子の心臓(ミスティーク)!!」
「やっば!!」
 ラビットバニーは乱舞する鎖の猛攻を負傷しながらもくぐり抜ける!
 魅夜にとっても著しい負担を強いる絶技である。だが一筋でも多く、傷を!
「まだです、その魂を喰らい尽くすまで!」
 魅夜は諦めない。その点にかけては、どんな者よりも長けていた。
 全身の血が霧に変じて倒れるまで、魅夜は戦い続けるのだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

アストリーゼ・レギンレイヴ
《漆黒の夜》を纏いて戦いへ
足場が制限されるならば下手に動かず
敵を見据え、防御を固めて
迫りくる攻撃を受け止めましょう
武器で受け、受け切れなければ闘気で軽減
なお足りなければこの身で受け止める

傷など厭わない、血を流すことなど恐れない
喪ったものたちの「想い」をつれて
あたしは今、ここに立っているのだから

……この程度で膝を折ると思っているならば見当違いよ
大切なものが傷つくことに比べれば
その笑顔が曇ることに比べれば
この程度、なんということもないわ

ギリギリまで攻撃を受け続け
相手の防御が緩んだ瞬間を見て取れば
身体でその一撃を受け止め、返す一太刀でその身体を穿つ
ただの一撃で構わないわ
その一撃に――全てを乗せるから



●アストリーゼ・レギンレイヴのエモさ
 闇が凝(こご)る。その中央に佇むのは怜悧なる女騎士。
 見据える先には敵が在る――光条が、大地を自在に操り隆起させた。
「ぼっ立ちでなんとかなると思ってんなら大間違いなんですけど!」
「別に、そんな呑気なことを考えているわけではないわ」
 アストリーゼの声音はあくまで冷静。それがラビットバニーの気に障った。
 グオン――ハッキングを受けた大地の一部がえぐれ、頭上に振り上げられる。
「んじゃ潰れて死んじゃえ!」
「――」
 アストリーゼは……降り注ぐ岩塊を無言で見上げる。
 黒剣を構え……おお、騎士よ! 避けずに防いでみせるというのか!?
 闇が凝る。鋼を振り上げ……盾もなく、アストリーゼは質量とぶつかりあった!

 ……轟音。そして破砕、噴煙が周囲に立ち込める。
 ラビットバニーは舌打ち。その奥にじわりと闇が見えたからだ。
 ならばこれはどうだ。指先から放つ制御ビームの攻撃的応用。光線の猛撃!
 圧倒的熱量を備えたそれらが、闇を切り裂き黒剣に無理やり捻じ曲げられる。
 だが、全てではない。およそ四条がアストリーゼの四肢を貫いている。
 ……しかし。
「これで斃れないとか、ちょっとしぶとすぎじゃね?」
「……"この程度"で膝を折ると思っているならば、見当違いよ」
 アストリーゼの声はあくまで冷静。しかし双眸に滾る戦意は色濃く。
「大切なものが傷つくことに比べれば、その笑顔が曇ることに比べれば――」
 瞼の裏に思い返すは、愛する妹をはじめとする人々の姿。
 彼女が守りたいと願うもの。守ると誓ったもの。守り続けるもの。
「こんな攻撃、なんということもないわ」
「この……ッ!!」
 ラビットバニーは歯噛みした。遠隔攻撃では埒が明かないか!
 アストリーゼが佇む足元を急激に隆起させ、強制的に構えを崩す。
 その瞬間にラビットバニーは地を蹴り、アストリーゼへ肉薄した!
「だったらその首落としたらさぁ、まだ吠え面かけんのかなぁ!?」
 とどめをこの手で刺してやろう。猛烈な殺意に仮面の両目が燃え上がる。
 ――だがすなわち、それはラビットバニーの心が揺らいだ証拠。
 もはやその身を護る障壁はない。すなわちアストリーゼにとっては……好機!
「カウンター狙ってんでしょ? 無駄なんですけど!」
「ええ、一度しか出来ないでしょうね」
 そして間合いが詰まる。ラビットバニーの手刀が大気を灼き、走る。
 アストリーゼはあえて踏み出す。脇腹を手刀が穿いた!
「な」
「――その一撃に、全てを乗せる。それが」

 ざん……!! 暗黒が剣に収束し、全てを切り裂いた。
 袈裟懸け。ラビットバニーの肌を抉る強烈な剣戟である!
「それが、あたしが歩むと決めた路なのよ」
 全身傷だらけの凄まじい有様で、しかし暗黒の騎士はなおも立つ。
 妄執に等しいその覚悟と決意を、漆黒の闇夜だけがただ支え、共に立っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

フィン・クランケット
エモとかバエとか、まーたそういう流行りに飛びつくんですから!!ぷんぷん!!
という訳で、私だってエモのひとつやふたつやみっつ!
可愛かったり、おいしいものを出せば良いんですよね?ソーセージ丸めたやつとか…え?女子力が足りない??
またそうやって謎の値で人を定義付けして!!(ぷんすかアホ毛みょみょん!)
わかりました、わかりましたよぅ!!
じゃあ、これでどうです?‪(ポシェットから箱を取り出し)
かわいい動物さんシュークリーム(ぱかっ)
えへん、可愛いでしょー?

相手のUCで足場が動いているので、バリア解除と同時にこちらもUC発動
姿を消して、動かす足場を分からなくさせます
後はダッシュで近づいて薙ぎ払い!



●フィン・クランケットのエモさ
 エモいだの、なんとか映えだの、バズだのなんだの。
 所詮は一過性の流行物。いわば人心を惑わす病のたぐいである。
「そういう流行りに飛びつくの、よくないと思うんですけど!!」
 てなわけで、フィンはなぜかぷんぷんと怒っていた。
 むしろ旅商人たるもの、市場のトレンドは切っても切れぬ商売道具ではなかろうか。
「おかげで私は商売上がったりなんですからね、も~っ!」
 逆だった。つながりが深いからこそ辟易しているらしい。
「いきなり出てきてわけわかんねーこと言うなっつーの!」
「なんですかその反応! 私だってエモのひとつやふたつやみっつ!
 ようはかわいかったり、おいしいものを出せばいいんでしょう!」
 ふんすと胸を張るフィンに、ラビットバニーは辟易した。
 やや話を聞いていない感がある。そもそもズレている。
「いや、バズはともかくエモいってのはそういうんじゃなくね?」
「えっ、違うんですか!?」
「てかなんか、あんた女子力足んない気がするし」
「ががーん!!」
 大げさにリアクションして、かと思えばアホ毛をみょんみょんさせる。
「じょ、じょしりょくとか! またそうやって謎の値で人を定義付けして!!」
「うっわババくさ……てかあんた歳いくつ?」
「と、歳の話は関係ないじゃないですかっ!!」
 なぜかフィンは顔を真っ赤にしながら怒り出した。エルフは謎が多い!

 ともあれそんなこんなでなぜか言い争いをしているオブリビオンと猟兵。
 やがてこほんと咳払いして、気を取り直したフィンが何かを取り出す。
「じゃあこれでどうです?」
「んんー? ……んん!? なにこれ!」
 かぱり。箱の中から出てきたのは、可愛らしい動物の形をしたシュークリーム!
「えへん! かわいいでしょー?」
「えっやば、これどこで売ってんの? てか撮っていい?」
「仕方ないですねえ、いいですよ! さあどうぞどうぞ」
 美味しそうなふわふわシュークリーム。バズは間違いあるまい!
 パシャッと撮影するラビットバニー、バリアの消失に気づいていない!
 チャンスだ! フィンはシュークリームを大事そうにしまいつつ、
「妖精さん妖精さん、不思議な薄布くださいなっ!」
「あ、こらちょっと待てっし!!」
 しかしラビットバニーの言葉を無視し、ユーベルコードで姿を消す!
 Peilin esto(ヒモカガミ)。いまやフィンは不可視の存在だ。
 ラビットバニーは何やら罵詈雑言を叩きながら制御ビームをばらまく!
 それ自体が攻撃力を持つゆえ、フィンの体を焼くが……いかんせん見えない!
「スキありですよーっ!!」
「おわぁっ!?」
 愛用の薙刀、開刀『幻世』による足払いが決まった!
 体勢を崩したラビットバニーへ追撃の切り上げ! そこでフィンの姿が露わに!
「騙し討ちとかヒキョーじゃん!!」
「問答無用ですっ、まだまだいきますよっ!」
 はたしてフィンは、戦闘不能に陥るまでにどこまで不意を打てるか……。
 だが強敵に与えたダメージは、決して浅くない。勝利への一歩だ!

成功 🔵​🔵​🔴​

ナーシャ・シャワーズ
オーケィ、兎ちゃん。
私もぴょんぴょん跳ね回るのは得意でね。
少しばかり相手をしてもらおうか。

私はナーシャ。
かつて海賊アナスタシアとも呼ばれた
左手にソウル・ガンを持つ不死身の……
いや、「復活した女」を名乗らせてもらおうか!
ふふ、ま、何度でも復活してくるんだがね。

さてはて、それじゃあここからは楽しい鬼ごっこといこうか!
そっちはカンフーで来るようだが
こっちはソウル・ガンを始めとした装備をフル活用で相手させてもらおう!

この弾は魂を追い続ける……
こっちも追いつかれたらたまらんのでな、お相子って事で。
ワイヤーガンでの立体起動や空中戦は多少の心得があるんだ。
先にへばるのはどっちか、勝負といこうじゃないか!



●ナーシャ・シャワーズのエモさ
 左腕はこの世にふたつとなき幻のエネルギー銃、ソウル・ガン。
 右手には見た目だけの煙管を持ち、宇宙を駆ける名うての宇宙海賊!
「それが私、海賊アナスタシアさ。ご存知かな? 兎ちゃん」
 ふふん、と、あえてラビットバニーの正面に現れたナーシャは、
 自信たっぷりの飄々とした声音でそう名乗ってみせた。
 まるで伊達男めいたキザっぽい言い回し。しかし彼女は女海賊なのだ!
「私は不死身の海賊――いいや、ここは"復活した女"と言わせてもらおうか」
「へーえ? だったらここで今度こそ死んじゃえばいいんじゃね?」
「そうはいかないさ。何度でも復活してみせるとも!」
 不敵である。ラビットバニーの両目が戦意に赤く輝いた!
 そして残像すら描くほどのスピードで、ナーシャめがけ襲いかかる!

 疾い。これほどまでの強敵は、ナーシャの人生でもそう多くはなかった。
 ゆえに彼女がソウル・ガンを構えるより先に、敵は懐に入り込んでいた。
「やるじゃないか……ッ!!」
 SMASH!! 痛烈なニーが腹部に突き刺さり、ナーシャは苦悶をこらえる!
 吹き飛ぶ女海賊を追って、さらに拳打! 合間に挟まるトラースキック!
「おっと、やられっぱなしは御免だね!」
「あっ、待てこらー!」
 ナーシャの体が斜め上に急上昇した。ワイヤーガンによる立体機動だ!
 追いすがるラビットバニーの猛攻を変幻自在の空中戦でかいくぐる。
 当然ながらダメージは蓄積し、ナーシャの体に負傷をもたらすのだが、
 それでも女海賊は不敵な笑みとキザな台詞を忘れはしなかった。

 どこまでも不敵。煙管の煙を引きながら海賊は健在である。
「なにそのしぶとさ! ゴキブリかなんか!?」
「ああ、同じ病院で生まれた仲だよ。ハイスクールも一緒だった」
 などとタフなジョークを返しながら、抉るようなミドルキックを躱す。
「先にへばるのはどっちかな? さあ鬼ごっこの続きといこう!」
「余裕見せてんじゃねーし……!」
 ラビットバニーは歯痒さを味わう。そして同時に、その不敵さ、
 自信満々の様子は、口笛を吹きたくなるほどに軽妙洒脱でもある!
「――隙を見せたね、バニーガール。油断大敵さ」
 ソウル・ガンが獲物を捉えた。トリガを引く必要はない。
 このエネルギー銃は心で撃つもの。念じたときにはすでに終わっている!
「くっ!?」
 光の速度に達した魂の弾丸が、一瞬の間にラビットバニーと捉えていた!
 バリアはない。タフにシニカルにあり続けたナーシャの強がりの勝ちだ!
「これでも自宅には賞状が山程飾ってあるんだ。皆勤賞のだがね!」
 傷の痛みも押し殺して海賊はなおもしぶとく笑う。それこそが生き様だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

テイク・ミハイヤー
エモさでバリアが破れるってんならこっちにもやりようがあるってもんだ。
とは言え、前振りは必要だよな?ええい、やってやるよ!絶対無敵バリアがどれだけ絶対無敵か、この身で味合わなきゃエモさも出ないってもんだ!

UC英雄再起。た、確かに絶対無敵を語るに然る強度だぜ……。
だけどな、ヒーローってのは何度壁にぶち当たったって必ず立ち上がるんだ!
そうだろ?キマイラフューチャーの配信者達!実験?料理?釣り?玩具レビュー?
社会の役に立たない?本人が楽しいだけ?それの何が悪いってんだ!
俺達の心は1つだ!叩かれたって、炎上したって、それでもイイネをくれる人がいる限り、諦めないぞ!!



●テイク・ミハイヤーのエモさ
 ヒーローを守るヒーロー……を自称する少年は、猟兵になってまだ日が浅い。
 ゆえに踏んだ場数に於いては先達に勝てず、技量や知識もまた同様。
 ではそんな彼が、これまでどうやって多くのヴィランと戦ってきたのか?
 言わずもがな、それはけして諦めず折れることなき根性と信念である――。

 ヤベえ。
 転移を終えた瞬間、テイクは心の底からそう思わざるを得なかった。
 ふざけた相手だ。油断が無かったと言えば嘘になる。
 しかし、しかしだ――オブリビオンとは、こんなにも強大なものなのか!?
「マジかよ……!」
 ラビットバニー。敵はすでにかなりの負傷を受けている。
 だがそれをして、テイクの小細工の数々が一切通用していない!
「あーん? 何、出し物もう終わり?」
「ぜ、絶対無敵バリアってよ、マジで絶対無敵なのかよ!?」
「当たり前じゃん! あーしのこと、ナメてたら痛い目見んぜー?」
 ラビットバニーは――負傷している相手にこう表現するのも語弊があるが――無傷。
 見えない障壁が、テイクの攻撃の全てを退けてしまったのだ。
 そしてテイクは皮膚感覚で感じている……彼我の、圧倒的な戦力差を。
(……俺、これ死ぬんじゃねえか?)
 少年にそう思わせるほどに、幹部級オブリビオンは強大だった。

「がはっ!!」
 がごぉんっ!! と、システム・フラワーズの地面が砕け散る。
 花びらが勢いに煽られて空に舞い、ボロボロのテイクに降り掛かった。
 悠然とそれを見上げるのは、両目を赤く発光させたラビットバニーである。
「へーえ、まだ生きてんだ?」
「げほっ、なんだこれ、チートだろ……!」
 あらゆるユーベルコードを防ぎ、絶対先制を約束された強敵。
 グリモア猟兵の警告を、テイクはようやくその身で噛み締めた。
 バリアを解除することは前提。そこからいかにして戦略を詰めるか、
 そして常に最大、全力で動き続けるか。必要なファクターはいくつもある。
「あーし子供ってキライじゃないけどさあ、まあ敵は敵だし?
 そろそろ始末しなきゃ別の猟兵来そうだから、ま、終わりにしとくか!」
 トドメが来る。テイクは底冷えする殺意に震えながらも、立ち上がった。
 がらがらと土塊を払いながら、埃と血を拭い去り、己を強いて笑う。
「……何がおかしいの?」
「へっ、こういうときは笑うのが、ヒーローってもんなんだよ……」
 絶対無敵。絶対先制。基礎的なスペックから己を凌駕した強敵。
 これがオブリビオン。これが打ち倒さねばならぬ敵。だがそれでも。だからこそ。
「ヒーローってのは、何度斃れても、何度壁にぶち当たっても!
 必ず立ち上がるんだ……立ち上がって、悪いやつをやっつけるのさ!」
 テイクの周囲にいくつもの立体映像ウィンドウが表示される!
『猟兵、頑張れ!』
『負けるな、ヒーロー!』
『この世界を救ってくれー!!』
 この戦いに希望を賭けるキマイラたちの声援が届く。
 この世界だけではない。テイクの故郷であるヒーローズアースで、
 共に戦い、あるいは救われた――そして救った――人々が彼にはいる。
「……くっだらない。欲望マックスでガチるのが人類っしょ」
「くだらない? それの何が悪いってんだ!」
 ヒーローを呼ぶ人々がいる。共に戦った仲間たちとの思い出と絆が在る!
「叩かれたって、炎上したって、それでもイイネをくれる人が居る限り!
 ……俺達(ヒーロー)を呼ぶ声がある限り、俺は! 絶対に、諦めないぞ!!」
 テイクはその時たしかに聞いた。障壁が解き放たれる音を!
「うおおおおおおおおっ!!」
「キライじゃないよ、そのひたむきさはさ!」
 一撃。一撃でいい――たとえその身が斃れても、一撃だけは!

 ……テイクの意識はそこで闇に落ちた。
 捨て身の攻撃と同時に、みぞおちにすさまじい一撃が叩き込まれ、
 彼の意識を強制的に刈り取ったのだ。生きているだけでも僥倖だ。
「……敵ながらあっぱれ的な? エッッッモいんだよなあ、あーしガバいわまじで」
 とどめを思案したラビットバニーは、しかし舌打ちして姿を消す。
 彼奴の腕に刻まれたスチームモンキーの一撃。それは少年の意地の証だ。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ヌル・リリファ
◆アドリブ、連携歓迎です

わたしのUCは、武器の形状はきめられるから。【属性攻撃】で強化されたそれを、繊細でうつくしく実用性もきにしたかたちにする。

どう?綺麗でしょ?

……綺麗って。素敵っておもってくれれば。感情がふれるとおもう。

そこからは、全力で。一切油断はせず。

シールドを展開しつつ、【見切り】とかで被害は最小限におさえる。でも攻撃重視。
人形はうでやあしがとばされてもひるまない。……まえにいわれたからできるだけむりはしないけど。マスターの造ったわたしの性能がわるいとはおもわれたくないもの。
【戦闘知識】をもとに、洗練されたうごきでせめる。

……あなたをたおすためのうつくしさだよ。あじわってね?



●ヌル・リリファのエモさ
 人形であることを、辛いとか悲しいと思ったことはない。
 むしろ誇らしさがある。背負った責務と使命の重さを心地よく思う。
 ただそれは、その在り方は――ヒトから見ると、何か違うらしい。
(それでも、わたしは人形だから)
 ヌルは戦う。強敵に挑み、己の性能を示してみせる。
(マスターの技術と、わたしが造られた意味を果たすために)
 それはひたむきな……純粋すぎる、人形の想いだ。

 そしてラビットバニーと相対した時、ヌルの周囲には光があった。
 星星のようなきらめき。それらはひとつひとつが、剣呑なサイキックの刃。
 だが不思議なことに、すべての光はまるで硝子細工めいた形状をしていた。
 細くしなやかなレイピア。波打つような剛槍。華美な儀礼的戦斧……。
「どう? 綺麗でしょ?」
「……それで、あーしにエモくさせたいわけ?」
 ヌルは首を傾げた。質問に質問を返されたことに対して、ではない。
 よもや、敵から逆に問いかけられるとは思っていなかったからである。
「綺麗じゃない?」
「あーしの質問そこじゃねーなー。いやま、綺麗だけどさ?」
 星々めいてきらめく、絶望を払う無数の輝きたち。それはたしかに美しい。
「"あんたはどう思う"のか聞いてみたいんですけど?」
「――……」
 想定外に次ぐ想定外。ヌルはしばし、答えに窮した。
 ……本来なら、問答など無視してさっさと仕留めるべきであろう。
 ヌルがそうするなら、ラビットバニーも即座に先制攻撃を叩き込む。
 それが出来る。だがしない。つまり問いかけは不意打ちではないということだ。
「綺麗だよ。――だって、マスターの造ったわたしが、うんだんだから」
「ふーん」
 それがすべてだ。マスターが己を作り、その性能を己は発揮した。
 であれば、結果は当然120%のものとなる。当然の計算だ。……だが。
(あれ?)
 ヌルはふと疑問に思った。何を疑問に思ったのかわからないほど些細な違和感。
 人形である自分にふさわしい返答が、しかしなぜか妙に不思議で。
(……ううん。それでいい。わたしは人形で、マスターの被造物で……)
 だから、これでいい。もう十分だ、余計な思考はノイズである。
「……あんたさぁ。なんか空っぽだね」
 ラビットバニーのバリアは消えていた。
 だが溢れた言葉は、不思議とヌルの裡に残り、反響した。

 残響を振り払うように、光条と化した刃が降り注ぐ。
 敵が制御ビームによって足場を操作する。同時に光線を攻撃に転用する。
 シールドを展開し、致命的攻撃をかろうじて防ぎながらヌルは進む。
 腕が貫かれる。脚が灼ける。止まらない。止まれば動きを封じられる。
(むりは、しないようにしなきゃ)
 言われたことを思い出して戦闘プランを再編成、特攻を断念。
 合理的に考えればマイナスである。ここでボディの損傷を気にせず進めば、
 もうすでにラビットバニーは殺せていた。不合理極まりない判断だ。
(できるだけ。わたしの性能が、わるいとおもわれないように)
 だから不合理とわかっていて、あえて己の体を(多少)かばいながら、
 それでもやはり捨て身で、被弾を厭わず突っ込む。光を降らす。
「あーあ、また負けか――」
 無事でないのはラビットバニーも同じ。光が四肢を切り裂き穿いていた。
 落ちてきた最後の光を掴み取り、ヌルは斃れた敵を見下ろす。
「――綺麗でしょ? あなたをたおすための、うつくしさだよ」
「綺麗だけどさあ……や、まーいいか。どうせ復活するし!」
 最期を受け入れたか。ヌルはただ怪人を見下ろす。
 空っぽ、とはなんだろう。オブリビオンが己に何を云うのだ?
 所詮戯言だ、反芻する必要などない。しかし。けれど。
「…………さよなら」
 ヌルはただ、いつもどおりに刃を振り下ろした。それで戦いは終わった。

 戦いは、終わった。光は消えた。"綺麗"はもう空にない。
「――どうしてだろう。こんなにくらかった、かな」
 ヌルが見上げた天井は、なぜか妙に闇に包まれていたように思えた。

成功 🔵​🔵​🔴​



 やはり、戦いは続く。
秋山・軍犬
戦闘は事前の準備から始まっている…

転移前に食事を済ませ
限界突破のフルコースゴールデン発動。

転移後、敵を確認次第
音速で赤べこキャノンを回避しながら
突っ込み圧力拳をバリアに叩きつけ…ると見せかけ
怪人が立つ周辺地形(バリアの展開範囲外)に
全力全開で叩きつけ怪人の足元を崩壊させる

さあ、バリアごと自分と泥沼ならぬ花の沼に沈もうか
ちょっとエモいもの見ただけで解除されるバリアー
この状況で維持できると良いっすね?

作戦が成功したら、花の沼に沈んだまま
怪人に音速で突っ込み、自身の体を拳に見立てた
【圧力拳】(要は体当たり)

あんたは強い…が無敵バリアを解除された
精神的動揺、自分の一撃を喰らうまでに
立て直せるっすかね!



●秋山・軍犬のエモさ
 グリモアによる転移は一瞬だ。通り抜ければそこは戦場。
 そしてシステム・フラワーズの内部に、敵は即座に復活する。つまり――。
「敵確認っす!」
「さっそくお出ましとは景気が良いじゃん!」
 天敵同士の戦いは、まったく出し抜けに始まるということだ。

 軍犬は躊躇せずに動いた。その速度は音の壁をたやすく超える。
 なぜなら彼は転移前に食事を済ませ、ユーベルコードを起動していたからだ。
 "フードスペシャリテ・フルコースゴールデン"。
 フードファイターとしての挟持を燃やす、最速最強の術式である。
 ゆえに赤べこキャノンが砲声をあげながらエネルギー弾を放ったが、
 軍犬はこれをすさまじいスピードで回避する。背後で大地が炸裂した。
「絶対無敵バリアなんざ、ぶち抜いてやるっすよ――!!」
 強気な言葉、これもあくまで布石。振り上げた拳が向かうのは足元。
 圧力拳(プレッシャークッカー)による衝撃が大地を打ち砕き、
 ラビットバニーと軍犬は、ふたりして崩落した大地の底に沈んだ。
 花びらが舞い散る。まるでそれは花弁で覆われた沼のよう。
「さあ、この状態でそのガバいバリアー、維持できるといいっすね?」
「エッモ……あ、やば!」
 あっさりとバリアは解除された。好機到来だ。

 軍犬は躊躇せず、崩落し落ちていく土の塊を足場として蹴った。
 再び黄金のオーラが軍犬を包む。音速に落下速度と重力を掛け合わせ、
 さらに圧力拳によるパンチ――否、自分自身を拳に見立てたチャージ!
「あんたは強いっすよ、けどバリアがそのざまじゃあどうしようもないっすね!」
 避けられるわけはない。そのために足場を砕いたのだから。
 ――だが、ラビットバニーはたしかに笑っていた。
 ……激突! 軍犬はラビットバニーの体を叩き砕いて……いない!?
「なッ」
「あれこれ布石打ちすぎっしょ! 残念っしたぁ~!」
 バリアが展開されている! そして砲口が、軍犬を! 狙っている!!
 ZAAAAAAAP!! エネルギー弾が直撃! だが軍犬は!
「まだまだ、っすよぉ!!」
「まだ死なないの!? やば、エモ……!」
 バリアが再解除。今度こそ圧力拳を……叩きつける! だが浅いか!?
 一撃は入った。しかし接近距離での赤べこキャノンが火を噴く。ZAP!!

 爆音と衝撃波が花びらを撒き散らし、軍犬が穴から飛び出した。
 彼は準備を重ね布石を打った。だがそれが彼を重傷に導いてしまった。
 ラビットバニーは強敵。一撃に込める意思こそがその存在を穿つのだ。
 二手三手を見据えた術式は、却って敵の手数を呼び込む枷となる……!
(けど、やってやったっすよ……)
 薄れゆく意識の中で軍犬は思う。一撃は入った、軽くないダメージのはずだ。
 それが次に繋がることを祈り、彼は意識を手放した。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アポロダスト・ディラマティウス
【アドリブ歓迎】


オー!カワイイというよりセクシーって感じのバニーちゃんデース。
でもセクシーさならワタシも負けてられまセーン!!
ワタシのエモーショナルダンス!とくと見るがいいデース!!


【WIZ】

エモい行動ということならやっぱりダンスデース!!
ワタシの素晴らしいダンスを見ればバニーちゃんだってイチコロのはずデース!!

というわけでカモーン!!『星召喚舞踊(サモンダンス)』!!

バックダンサーと一緒にダンスショーのスタートデース!!
ダンスによる活躍でワタシのパワーがアップします!!

そのまま戦闘になだれ込みマース!!
苦戦してもバックダンサーの応援ダンスがあれば踏ん張れマース!!



●アポロダスト・ディラマティウスのエモさ
「デッッッカ!!!!!!」
 ラビットバニーは気圧された! 具体的に何に、かはわからないが!
 とにかくアポロダストを目視した瞬間、奴は圧倒されたのだ! 何に!?
「オー! カワイイ? ノー、セクシーなバニーちゃんデスねー?」
 ゆっさゆっさと(アフロを)揺らしつつ、エモーショナルというよりはソウルフルって感じの見た目のアポロダストが不敵に笑う。
「でも、セクシーさならワタシも負けてられまセーン!」
「いやーさすがにあーしでもそっち方面では勝てないわ。エモくはないけど!」
 ラビットバニーはごくりとプレッシャーに息を飲んだ。何の威圧感だ。
「オーケイ! それならワタシのエモーショナルなダンス!
 アナタにお見せしまショー、とくとご覧になるがいいデース!」
「えっ踊るの!? まじで!? ヤバくない!?」
 ラビットバニーは戦慄した! 一体何を恐れてるのかはわからない!

 そしてアポロダストがパチン! と指を鳴らした瞬間!
 突如としてシステム・フラワーズ全体が暗くなり、スポットライトが彼女を照らし出す。
 いや正しくは、アポロダストと……26名のバックダンサーを!
「イッツショーターイム! カモンミュージック!」
 ズッチャッチャズチャッチャッズンタッダタンダンダン!
 どこからかはわからないが、非常にソウルフルなBGMが流れ始めた!
 アポロダスト率いるバックダンサーたちは、思い思いにパッション重点のダンスを踊る。ゆっさゆっさと(アフロが)揺れる!!
 これぞ星召喚舞踊(サモンダンス)。ダンスの女神のパワーだ!
「やべえあーし普通に見とれてた! 死ねーっ!!」
 見とれてたということは当然バリアが解除されていたということであり、
 それはそれとしてラビットバニーによる攻撃がアポロダストwithダンサーズを襲う!
 降り注ぐレーザー! グオングオン上下する足場! 踊るダンサーたち!
 まるで地獄のような光景だ。ひとりまたひとりとダンサーが消えていく!

「オウラーイ! バニーちゃん、ワタシはまだ健在デース!」
「ウッソ、マッジで!?」
 アポロダストは生きていた。ボロボロだが数名のダンサーと共に!
 そして踊る。踊りながらラビットバニーににじり寄る。エモいというか怖い。
 ズンタッタズチャッチャズッタンタン! ブンブンバスバスブブンブン!
「エンジョーイッ!!」
「グワーッ!?」
 ダンス神拳炸裂! ラビットバニーに強烈な回し蹴りが叩き込まれた!
 なんと美しいメイアルーア・ジ・コンパッソであろうか……!
「めちゃめちゃ調子狂うんですけど! 死ねーッ!!」
「ダンスソウルは不滅デース!!」
 KRA-TOOOOOM!! 爆発! ダンサーとともに吹き飛ぶアポロダスト!
 しかし彼女は笑顔……そう、ダンスの情熱は不滅だからだ!
 ラビットバニーは気が狂いそうになったので泣きながら逃げ帰った。

成功 🔵​🔵​🔴​

モリ・ダニー
【(∪^ω^)ペロペロ】
エモい、と言うものが少し分からないが要はこの女のテンション↑↑でマジ卍にすればいいんだな?
ならば話は簡単だ、ダニー!
俺達の新ユーベルコードをあいつに食らわせてやるぞ!
(∪`ω´)オン!



(∪・ω・)ペロペロ
(∪^ω^)ペロペロペロ
ペロペロペロペロ(^ω^∪)

見よ!この極限まで磨かれたダニーのキューティクルを!(∪^ω^)ペロペロ
直接、触って見たくなっただろう? ペロペロ(^ω^∪)
良いんだぞ?撫でたり、一緒に撮影してSNSに上げても良いんだぞ?(∪^ω^)ニコニコ
さあ、バリアを解除してこっちへ来るんだ……古き猟犬の血筋であるサモエドの近くに……(∪`ω´)ぺろぺろ



●モリ・ダニーのエモさ
 モリ・ダニーは正しくは二体でひとりの猟兵である。
 ゴーグル型ヒーローマスクのモリと、勇気あるサモエド犬のダニーだ。
 ふたりの絆は誰よりも強く、そして気高い……コンビなのだ!
 おけまる水産なラビットバニーをエモさでテンションアゲアゲマジ卍。
 それが今回の作戦の要である。何を言っているのかはよくわからない。

 ではエモさがいまいちピンとこないふたりのとった戦法とは!?
「ペロペロ……ペロペロペロ……ペロペロペロペロ……」
「……えっなにあれ?」
 宇宙的ダンサー(神)から正気度を護るために逃れてきたラビットバニーは、
 続いて出くわした猟兵の有り様に言葉を失った。
 毛づくろいである……白いサモエド犬が、毛づくろいをしているのだ!
「いいぞダニー、丁寧な毛づくろいが大事だからな!」
「オン!」
 なにやらゴーグルが喋っている。あれがヒーローマスク? マジで?
「マスクじゃねーじゃん!」
「細かいことは気にするな!!!!」
 グオンッとゴーグルが持ち上がった。ダニーは毛づくろいをしている。
 だが……ラビットバニーは攻撃できない。なぜか……?

 ふわふわなのだ。
 一心不乱に毛づくろいをするダニーは……ふわっふわの毛並みなのだ!
「ええ~てかやばたんカワイイじゃね? サモエド最高じゃね?」
「そうだろう! 見よ、この極限まで磨かれたダニーのキューティクル!」
 ペロペロ……ペロペロ……。
「直接触ってみたくはないか? 触ってみたいだろう?」
「えっいいの!? まじ? ガチで? ガチでお触りおk?」
「いいんだぞ? それどころか撫でたりもふったり、一緒に撮影してSNSにあげてもいいのだ!」
「オン!(ニコニコしながら尻尾を振りつつ、毛づくろいするダニー)」
 ラビットバニーは揺れた。身体的にどうこうではなく心が揺れた。
 とっくにバリアは解除されている。サモエドのカワイイに抗える者がいるか!?
 いやいない。ラビットバニーが抗えないのも無理はない……!
「さぁ、そのままバリアを解除してコッチへ来るんだ……」
「ご、ごくり……」
「そして存分にもふるがいい! さあ!!」
「おっしゃーもふりまくるっしょー!!」
 ビカーッ!!(ラビットバニーの両目が真っ赤に光る音)
「あっ」
「オン?」
 ギュン! カンフーモードのラビットバニーが超スピードで近づく!
 そして! モフる! モフって撫でて撮影してまたもふるのだ!
「うひょおおおおおおおもふもふじゃ~~~~~ん!!」
 超スピードのカンフー(モフモフ)である! モリとダニーは混乱した!
「いかんダニー、このままではお触りペースが止められグワーッ!?」
 邪魔なのでほっぽりだされるモリ! もふられるダニー!
 その時ダニーの両目がギラリと輝いた。相棒のピンチに反応したのだ!
「アオオーンッ!」
「あふんっ」
 摩擦抵抗をゼロにしたことによって瞬時にもふりからすりぬけ、
 もっふもふの尻尾による顔面ビンタ! ラビットバニーは悶絶した!
 投げ捨てられたモリをキャッチし、ダニーは器用に再装着する!
「よくやったダニー! これが怪人のモフり欲、恐ろしいな……!」
「オンッ!」
「まだまだもふらせるっしょー!!」
「に、逃げるぞダニー!」
「オン!」
 しばし、死の鬼ごっこが続いたという。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ラヴ・フェイタリティ
(ペタペタと自分の胸元を触り目測で比較)
…よし、殺るか!
絶対バリアとか関係ねぇぜ!てめぇの死を通じて精神的にも肉体的にも成長してやらァ!

とはいえ策も無しに突っ込むのは得策じゃねぇ。花とか操るらしいしな。今ラヴ様を縛ってる荊とかめっちゃ頑丈だしな。うおぉ離せウサ子ー!
ファストフードな手軽さでピンチに陥ったラヴ様だが、さすが圧巻のメインヒロインよ。ラヴ様は突如一発逆転のアイデアが閃いた。武器も何もねぇこの状況だが…服はある!
キマフュ産の特殊炭素繊維服を生け贄に捧げ、UCを発動!服を脱いで勝てるなら…ラヴ様は服を脱ぐ!!
花を引きちぎり竜巻に乗ってウサ子に突貫!てめぇが最後に見るエモはこのラヴ様だ!



●ラヴ・フェイタリティのエモさ
 ぺたぺた。ラヴは何も言わずに、おもむろに自らの胸元を触った。
 ぺたぺた。ぺたぺたぺたぺた。何度触ろうが寄せてあげようが現実は不動だ。
 そう、動かない。ラヴは強大な強化人間であるからして、
 戦闘に必要がないものは持っていないのだ。だから、アクションしても動かない。
 逆立ちしようが前かがみになろうが、脇周りから脂肪を持ってこようが、
 ついでに言うとどんだけ両腕をクロスさせようが、現実は変わらないのだ。
「あんさー、世の中大きさだけじゃないし気ぃ落とさないほうがいいよ?」
「よし殺す!!!!!!!」
 ラビットバニーの一言がラヴの怒りの導火線に火をつけた!
 ただでさえ燃えやすいところにガソリンぶっかけて爆破したレベルである。
 ラヴは敵を睨みつけた……敵の、顔面やや下……体の一部……自分には存在しないとても豊かな曲線……ラヴにはない膨らみ……を、睨みつけた!!
「絶対無敵バリアとか関係ねぇぜ! てめぇの死を通じて、
 精神的にも肉体的にも成長してやらァ!!」
「いやー精神的はともかく肉体的にはもう余地ないんじゃね?」
「ブッ殺す!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 燃え盛る火災現場にニトログリセリンが投げ込まれたという。

 しかしラヴは強化人間である。つまり戦闘に特化した猟兵ということだ。
 策もなしに突っ込めば、早晩敵のユーベルコードに絡め取られお陀仏だろう。
 そう、けっして無策に飛び込んではならない。怒りに任せて飛び込んでも、
 残念ながらラヴに衝撃を吸収できるような身体的特徴は一切ないのだから!
 ラヴは思い出す。プールで飛び込みとかしたときのあの胸の痛みを。
 物理的な意味での胸の痛み! あと男子にフラれたときの精神的胸の痛みを!
「胸は関係ねえだろうがテメッコラー!!」
 ラヴは叫んでから我に返った。いまのは走馬灯では!?
 そして思い出す。そういえば無策で突っ込んで死にかけてたわ今!
「うぉお離せウサ子! オレはラヴ様だぞー!!」
「いや勝手に飛び込んで来といて捕まってるのあんただし?」
 然りだった。まるでファストフードめいたお手軽ピンチクッキングである。
 怒りに任せたチャージはあっさり見切られ、いまのラヴは拘束状態だ!
 花の足場を自在に操るのだから、植物を急成長させることもできるのだ。
「グワーッ縛り付け! 縛り付けグワーッ!!」
 ぎりぎりと茨の拘束がラヴを締め付ける! ……締め、付ける。
 締め付けるが、特に身体的に凹凸は生まれなかった。なめらかなので。
 ラビットバニーが締め付けられる側ならさぞかし見栄えがよかっただろう。
 アルダワ学園とかUDCでたびたび起こる触手オブリビオン災害みたいな感じで。

 このまま平坦な体を締め付けられてお陀仏してしまうのか? いや待て!
 ラヴの目を見よ。怒りと嫉妬と悲しみに燃えるその目はまだ死んでいない!
 こういうところから一発逆転してこそのメインヒロインなのだから……。
 なお、何をしてのメインなのかはよくわからない。ラヴは少々イカれている。
「よぉラビットバニー……てめぇはひとつ見落としをしているぜ!」
「は? あーしが見落とし? あーよくやるよくやる。あーし足元があんま見え」
「てめぇのその発言は命を以て償わせるとしてそうじゃねえ!!!!!」
 ラヴはギラリと敵を睨みつけ……正しくは敵の顔やや下の身体部を睨みつけ……ながら、ニヤリと笑う!
「ラヴ様のユーベルコードは"クライシスゾーン"!
 近くにある無機物を超次元の竜巻に変換し、操作するってワケよ……!」
 無機物? そんなものはどこにもない……いやまさか!
「やめとけって! さすがにそれはガチでやめといたほうがいいんじゃね!?」
「くくく、関係ねぇ! ラヴ様はとっくにブチギレ金剛なんだよ!!」
「いやだってあんたが脱いでも撮れ高あんまないっつーか」
「お前はまじでぶっ殺す!!!!!!!!!」
 キマイラフューチャー原産特殊炭素繊維服が……解けていく!
 ラヴ子のターン! 服と恥とヒロイン力を生贄に捧げ、超次元竜巻を召喚!
「服を脱いで勝てるなら、ラヴ様は服を脱ぐ!!」
 くわわっ! あられもない姿をさらけ出すラヴ! なんたる覚悟か!
 見よ、茨を引きちぎり竜巻とともに現れたラヴの、15歳少女らしい……少女らしい? 少女……実は性別間違って登録したのでは?
「あーあ……」
「何残念なもの見る声出してんだてめぇ! うおおおおおおーーーっ!!」
 なんたるひたむきさか。バリアは解除されていたがどちらかというと同情だった。
 迫りくる竜巻! 激突! はたして勝敗は……!?

 すたっ。着地した人影の顔やや下で質量がたゆんと揺れた。
 ラヴか!? いやそんなはずはない! 揺れる質量が彼女にはないのだ!
「グワーッ!!」
 KRAAAAASH!! その彼方でうつ伏せに落下激突するラヴ!
 全身に激痛が走る! 彼女の体にクッションになるものは何もないからだ!
「あんたの底力……あーしが受け取っておいてやるよ。
 おまけに竜巻のおかげで埃とれたし。お前気配りの達人じゃね?」
「お、おのれ身体的ブルジョアジー……がくり」
 ラヴの執念はラビットバニーにそこそこのダメージを与えたが、
 それはそれとしてラヴは斃れた。なぜなら、衝撃吸収部位が、ないから……!

苦戦 🔵​🔴​🔴​

オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と

意味はだいだい合ってるけど……
なんで耳を塞がなきゃいけないの?
でも作戦のためなら仕方ないか

あ、えっと……お疲れ様!
ここからは私も頑張るね

足場を操作されても私には翼がある
バリアが消滅した瞬間に飛行で一気に距離を詰め
まず【鎧砕き】で防御力を削ぐ
相当強そう
スピード勝負でも敵うかどうか……
敢えて攻撃を受けて【カウンター】を狙う
その隙に足止めの時間を彼に与えたら
【2回攻撃】で勝負に出る

顔赤くないよね
声ひっくり返ってないよね
本当は所々うっすら聞こえてて……
でも、きっと聞き間違い
あのヨハンがあんなこと言うはずないもの
うう……平常心、平常心っ!


ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と

エモい……とは
心が揺さぶられた出来事を語っておけばいいのでしょうか

……オルハさんは耳を塞いでいてくださいね

(こほん)
だいぶ前の話ですが
彼女が不貞腐れていた時
そんな顔をしていたら可愛くないですよ、と俺が言ったら
普段の私は可愛いってこと?と、揶揄おうとしてきたんですよ
なので、可愛い、と返したら
急に耳を垂らして照れはじめて
まぁ大変可愛らしかったんですけど

これはエモいのでは?

バリアを解く事が出来たらいつもの布陣、
俺は後ろへ

蠢闇黒の闇を影と編み足場を作り上げる
一撃でもいい、彼女が動きを止めてくれれば
【蠢く混沌】で足を貫きその場に縫い付ける
足止めに全力を傾け、後は託す



●オルハ・オランシュとヨハン・グレインのエモさ
「エモってこういうことじゃなくね!?」
 ダンサー(神)。
 サモエド(ヒーローマスク)。
 平坦(強化人間)。
 エモさ、エモさってなんだ。ラビットバニーはちょっとよくわからなくなっていた。
 なので彼女は飢えていた。エモさ感じられるなら死んでもいいかなというぐらいには。
「あーしだって、エモさ感じてから滅びたぃょ……!」
 屈辱と飢餓のあまりなんか妙な言語になるラビットバニー。
 そんなカワイイ怪人の前に現れたのは……ふたりの若者である。

「いいですかオルハさん。必ず、耳を塞いでくださいね」
「う、うん。わかってるけど、でもなんで……?」
「なんでもです。絶対にですよ」
「うん……」
 そんな会話をしている二人の前に、ラビットバニーが現れた!
「あーしいまかなりエモに飢えてるんですけど! 変なことやったらぶっ殺す!!」
 なんかもうエモさを味わってから戦うのがセオリーになりつつあった。
 そんなわけで、ラビットバニーはおとなしく話を聞く体制だ。
(もしかしたらこいつらなら、エモさ味わわせてくれるかもだし!)
 そういう期待もあった。目的が変わっているが気にしてはいけない。
 ヨハンの目配せにオルハが頷き、耳を塞ぐ……!

 こほん。無愛想な目つきの少年は咳払いをした。
 そしてオルハがちゃんと耳を塞いでいるかこまめにチェックしつつ、語る。
「だいぶ前の話ですが」
「うん」
「彼女……オルハさんが不貞腐れていた時にですね」
「うんうん」
「"そんな顔をしていたらかわいくないですよ"と俺が言ったら」
「は?」
「えっ」
「いやいいから。続けて。続けろ!!(赤べこキャノン構える)」
「は、はい。……とにかく、俺がそう言ったらですね。
 "普段の私は可愛いってこと?"と、からかおうとしてきたんですよ」
「は~~~~~~~~~~~~~~」
「えっ」
「いやいいから。続けて。続けろ!!(目がカンフーモードになる)」
「は、はい。……まあ、なので、ええと」
「(仮面の目の赤みが増す)」
「"可愛い"と返したんです。そしたら急に耳を垂らして照れ始めて……」
「は??????????」
「えっ」
「それでどうなったんだよ!!!!」
「いや、ええと。……まぁ、大変可愛らしかったんですけど。
 これは……エモいのではないかと。そう思うわけです、どうですか」
 …………沈黙。ヨハンはいたたまれなくなった。オルハは耳を塞いでいる。
 耳を塞いでいるが、時々ぴくっと肩が震えてなかったか。気のせいか?
 ヨハンが訝しんだ、そのとき!

「はぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!」
 ものすっごい大声でラビットバニーが息をついた。ヨハンもビビった。
「はぁ~~~~~! はぁ~~~~~!! まじ! まっじまじ!! まじ卍!!」
「あの」
「最高か~~~~~~~~~~????」
 バリア? そんなものはとっくに解除されている。
「ええーなにそれまじなんだよあんたもカワイイしその子もカワイイじゃん……。
 え~やばあーしまじやみそうはーつら、まじエモみが尊すぎてしんどい」
「…………オルハさん、もう耳を塞がなくても」
「えってかあんたら恋人同士???」
「まだ塞いでてください(0.05秒)」
 ヨハンはしばし力説した。ふたりの関係性とか、なんか、そういうのを。
 ラビットバニーはなんかもうしんどみではぁーつらとか言い続けていた。
「つっら……」
「…………オルハさん、もう大丈夫です」
「う、うん。あ、えっと……お、お疲れ様!」
 ヨハンは頷き、オルハから一歩二歩後ろへ。
「あとはいつものように、やりましょう」
「うん! 私が前で、ヨハンが後ろだね!」
「は~~~~~~~~~~~?????」
「あれは気にしないでください。さあ」
「わかった! よし、ここからは私もっ!!」

 そんなわけで戦闘が始まったのだが、これがすこぶるスムーズに終わった。
 ラビットバニーがなんか余計なことを言いそうになるたびにヨハンがぶっ刺し、
 オルハはヨハンの戦意にちょっと驚きながら奮闘したからだ。
 そう、オルハはひたすら戦闘に集中した。ガチで集中した。
 いくら耳を塞いだからと言ってやっぱり聞こえるもんは聞こえるのであり、
 聞き間違いじゃないかと思いつつ、それでもやっぱり心は浮ついていて、
 顔は赤いし声はひっくり返り気味だし、平常心ではいられなかったからだ。
 それを見てラビットバニーはなんかしんどいとかつらいとか言っていた。
 バリアを解除するだけじゃなくて弱点なのかもしれない。オルハはそう思った。

「あんたたちさぁ!!」
 そして決着の間際、ラビットバニーは叫んだ!
「――幸せになりなよ」
「沈め!!!!!!!!」
 ヨハンのダイレクトアタック! ラビットバニーが黒闇に消えていく!
 なぜかサムズアップしながら滅んでいった怪人に、オルハは困惑した。
「……やはりオブリビオンの云うことはよくわかりませんね」
「そうだね! いやー、強敵だったなぁ!」
 最後までふたりは目線を合わせなかったという。なぜか!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



 ……戦いは続く。
出水宮・カガリ
【特攻】まること、せりおすと、あれす(アレクシス)と
アドリブ可

先の猿とはまた違った方向で、キマイラフューチャーらしい…
あ、せり…まるこも!

……城門の前で烏と銃が突出とは。見くびられたものではないか。

あれすが更に追い詰められる前に、【死都之塞】で怪人を見つめ一時行動を止める
こちらへ攻撃してくるなら盾を【隔絶の錠前】で予め施錠し、
【不落の傷跡】【拒絶の隔壁】で強化して受け流す
せりおすが再び突出するのは阻止
そろそろ、城門に仕事をさせてほしいものだが?

まること共に【錬成カミヤドリ】を展開
いかなる速さも、それが壁の外の脅威であるならば
カガリは拒絶し、隔絶する
この身は城門のヤドリガミであるゆえに!


セリオス・アリス
【特攻】
アドリブ◎
正直エモとかわかんねえ
【青星の盟約】を歌い2回攻撃
青くて綺麗とかなんねえか?
ダメでも抜いた剣は止められず
…ッ!せめても直撃を交わそうとする所を庇われる
マルコ…!って、もう一撃ってかッ

わりぃアレス、助かった
っと…そっちの
カガリもありがとな
戦いの最中でも
喋る元気のあるマルコに安堵
はは、マルコは頼りになるけど
やっぱガキなんだな…ってぇな!?
マルコとアレスの抗議を受ける

よっしゃそんじゃもう一回
出撃を止められ
怪我が治ったマルコをチラ見
あーわかったよ
たまにはちゃんと
シンフォニアらしい事すりゃいいんだろ
赤星の盟約を歌い上げ後方支援
時々シンフォニック・キュアで助け
出れねぇならせめてこれくらい


マルコ・トリガー
【特攻】
アドリブ◎

エモって何?
わからないけど、やるしか無いね
って、セリオス前に出過ぎ!
【竜飛鳳舞】で飛びついて庇う
気が付いたら身体が動いてた…
まあ、ボク、器物さえ傷つかなきゃ平気だから、さ…

……無茶したのは謝るよ、助けてくれた事には感謝してる
って、子ども扱いしないでよ
特にセリオス、脳筋の君には言われたくないな
ボクも猟兵、守られるだけの存在じゃないから
君たちも大人だとか言って無茶しないでよね

だから、セリオス!
前に出るなって
戦いは前に出るだけじゃないよ
【錬成カミヤドリ】で銃を増やしてカガリさんの隙間から、こうやって2回攻撃でアレクシスさんを援護射撃だ

力を合わせて戦うのも…まあ悪くないよね


アレクシス・ミラ
【特攻】
アドリブ◎

心を揺さぶれるかは分からないが
本気で行こうーーおい、セリオス!?
マルコくん…っ騎士でありながら出遅れるとは…!
ーーっ我が身、輩を護りし城塞なり!!
二人を庇うように前に出ると盾を構えて【無敵城塞】を発動
守れても僕自身が動けないのがな…!

カガリ殿が敵の動きを止めたら一時後退
すまない、マルコくん
友を救ってくれてありがとう
カガリ殿も助かった
怪我は僕が【生まれながらの光】で治療しよう

子供だなと笑うセリオスの頭を拳で軽く小突く
君も人の事言えないだろう

再び出ようとするセリオスを止め
騎士にも仕事をさせてくれ
守る戦いをお見せしよう
光属性の広範囲衝撃波でヤドリガミ二人を援護
この剣は…皆の為に!



●幼馴染とヤドリガミふたりのエモさ
 セリオス・アリスにエモみというのはよくわからない。
 だが心を動かせばいいというなら、わかる。彼はよく慣れている。
 なぜなら彼はかつて、悪辣な吸血鬼に囚われ手慰みに虐げられていたからだ。
 オブリビオンならば理屈は同じ。ただいつもどおりに戦えばいい!
「星に願い、鳥は囀ずる。いと輝ける星よ、その煌めきを我が元に――。
 さあ歌声に応えろ、力を貸せ!」
 青星の盟約(オース・オブ・ディーヴァ)の輝きがセリオスに力を与え、
 同じ青星の剣を振るいてセリオスは翔ぶ。なんと優美なる輝きであろうか。
 しかしこれでは足りぬ。いくらガバいラビットバニーのエモ指標とはいえ、
 復活直後に全力で飛びかかってくる猟兵相手に油断するわけはないのだ!
「そんなんであーしのバリア、破れるわけねーじゃん!」
「マジかよ……っ!」
 がぎんっ!! 絶対無敵バリアが青星の剣をたやすく弾く!
 反発力で空中で無防備な姿勢を晒してしまうセリオス――危険だ!
 当然ラビットバニーは容赦しない、赤べこキャノンが火を噴くか……!?

「セリオス、前に出すぎっ!」
 そこへマルコ・トリガーが咄嗟に飛び出し、セリオスをかばった。
 KRA-TOOOOOM!! 着弾したエネルギー弾がマルコの体を爆炎で包む!
「マルコ!?」
 ZZZZZMMMMM……マルコが致命傷を避けられたのは"竜飛鳳舞"による機動力がゆえ。
 だが爆煙を切り裂き、カンフーモードを起動したラビットバニーが彼を襲う!
「隙だらけじゃんよぉ、もらいっ!」
「させるか! 我が身、輩を守りし城塞なり!!」
 アレクシス・ミラが動いた! 無敵城塞によりふたりをカバーする!
 この咄嗟の行動によりカンフー攻撃がふたりを襲うことはなかったものの、
 アレクシスは代償として身動きが取れない状態。なすがままなのだ!
「いつまで耐えられっかねぇ~? カ・ブーム!」
 嗤笑するラビットバニー、赤べこキャノンが――KA-BOOOOOOM!!
 キャノン砲による連撃! アレクシスの守りが、徐々に……圧されていく!
「ぐっ、この程度、では……!」
 もはや見ていられない。最後のひとり、出水宮・カガリが動いた。
 敵の絶対無敵バリアは健在。つまり"死都之塞"による封印は不可能だ。
 ゆえにカガリは攻撃によるカウンターを諦め、神秘の呪具"隔絶の錠前"を使用。
 一瞬だけ彼方と此方を別世界として切り離すことで、わずかコンマ数秒の猶予を獲得。
「城門の前で烏と銃が突出とは。見くびられたものではないか?」
 にこやかなままのカガリが吐いた皮肉に、三人は口答えせずおとなしく従う。
 KBAM! KBAM!! 追撃のキャノン砲が、その時にはかろうじて距離をとれていた。

「わりぃアレス、それとそっちの……カガリも、ありがとな」
 申し訳なさそうに詫びるセリオスに視線だけ向け、幼馴染であるアレクシスは、
 マルコとカガリの方を向いて簡潔に礼を述べた。
「すまない、マルコくん。そしてカガリ殿。友を救ってくれてありがとう」
「いや、気がついたら身体が動いてたっていうか……」
 一方のマルコは、ばつが悪そうに頭をかく。
「ボクはヤドリガミだから、本体の器物さえ傷つかなきゃ平気だから……」
「ほう。ではこの城門の仕事は不要ということかな?」
 カガリ――彼はその言葉のとおり、古びた城門を本体とするヤドリガミだ――の再度の皮肉に、マルコはう、と呻きを漏らして目線をそらした。
「……無茶したのは謝るよ。助けてくれたことには感謝してる」
 そんな様子を見て、最初に突出した当人であるセリオスはくすくす笑った。
「はは、マルコは頼りになるけどやっぱガキなんだな」
 ごつんっ! セリオスの頭をこづくアレクシスの鉄拳!
「ってぇな!?」
「子供というなら、君も人のことは言えないだろう。無茶をしすぎだ」
 アレクシスの双眸に浮かんだ感情を見、セリオスは目線を落とす。
 一手間違えば死んでいたかもしれないのだ。彼が憤るのも無理はない。
「わったよ、んじゃ今度こそ俺が」
「待て。僕にも、騎士としての仕事をさせてくれ。……無論、カガリ殿にもな」
 アレクシスの目線を受け、カガリは肩をすくめて微笑んでみせた。
 バリアの堅牢さは立証済み。力押しでは敵は倒せないのだ!

「へぇー、まだ生きてんだ? やるじゃん!」
 そして噴煙を吹き払い、ラビットバニーが四人の前に現れた。
 もはや逃れることは出来まい。此処で仕留めるか、あるいは撃退せねば。
「ボクも猟兵なんだ、守られるだけの存在なんかじゃない。
 あまり嘗めないでほしいな――大人ぶってる君たちもだよ?」
 勇ましいマルコの言葉に苦笑しつつ、アレクシスとカガリが前に出る。
 そしてマルコとカガリが、ヤドリガミたる己の証左――すなわち、
 ユーベルコード:錬成ヤドリガミを使用。本体たる器物を出現させる!
 かたや古びた短銃、かたやこの世界とは別の場所に在りし城門のヤドリガミ。
 無数の砲口と堅牢な守りを前に、しかしラビットバニーは余裕の笑みである。
「あーしのバリアとあんたらの守り、どっちが上か試そうってわけ?」
「たしかに性能では、そのバリアよりも堅き守りは存在しないだろう」
 一歩前に出たアレクシスが、決然と敵を見据えて朗々と云う。
「しかし"護る"とは、ただ堅牢であればいいわけではない。
 性能だけが決定差ではない。騎士の……いや。我々の戦いをお見せしよう!」
 そんな幼馴染……アレクシスの戦意高揚に、一歩退いたセリオスは笑う。
「しょうがねえな、だったらたまにはちゃんと、シンフォニアらしいことするか!」
 そしてセリオスが謳うは、失われた故郷に伝わる忘れられた旋律。
 赤星の盟約(オース・オブ・ナイト)。かの歌声が仲間たちを鼓舞するのだ!
「みんなで戦うってのも、悪くないね」
「ああ。まるこ、せりおす、あれす。そしてこのカガリが揃えば敵はない」
 四人の堅き絆。ラビットバニーの心を揺るがすには余りある!

「だったら打ち砕いてやんよっ!!」
 カンフーモードを起動したラビットバニーの姿がブレる!
 BRATATATATATATA! マルコの本体複製物が騎兵隊めいて一斉砲火を放つ!
 だが敵も疾い。一気に城門を蹴り上げ――そうはさせじとアレクシス!
「この剣は皆のために!」
 光り輝く剣戟が敵の攻撃を弾いた。バリアがないいまなら届くのだ!
「っくぅ!」
「その害意、力、いかなる速さであろうとカガリは拒絶し、隔絶する。
 この身は城門のヤドリガミ。もはや仲間を傷つけることは出来ないと知れ」
 然り。体勢を整えた今、どれほどラビットバニーが攻め込もうと同じである。
 四人は連携をもって敵の猛攻を退け、マルコの援護を得たアレクシスが、
 反撃を受けながらも退くことなく……光の刃を叩き込む。切り裂く!
「こ、のっ……!」
 ラビットバニーは歯噛みした。
 四人の連携は手堅く、そしてそのコンビネーションがバリアをかき消す。
 ゆえに続けば続くだけ、ラビットバニーがじりじりと削られていくのだ。
 敵を前にして退かねばならぬ屈辱。幹部級怪人にとっては余りある!
「逃さんッ!」
 アレクシスが勇んだ。友の歌声が彼の腕に乗り、剣を振るわせるのだ。
 そしてマルコの弾雨! もはや待ったなし、ラビットバニーは舌打ちし、
 これ以上の負傷を拒むかのように背中を向けて逃走した!
「へっ、ざまあみろってんだ!」
「ってセリオス、また調子に乗ってる。もう」
「仕留めきれなかったのは惜しいが……全員無事だな。よかった」
 微笑んだアレクシスに、ともに守りを固めたカガリが頷く。
「当然だとも。城門と騎士のいる場所で、誰かを死なせたりはしないさ」
 強敵と相対し、その身を無事のまま敵を退かせたこと。
 それこそが、まさに彼らにとっての歴然たる勝利なのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

バレーナ・クレールドリュンヌ
■エリシャ(f02565)と。

【恍惚】
……エリシャ!?どうして!?何で庇ったりしたの!?
自分が傷つく覚悟なら、もう決めていたはずなのに。

……あぁ、そうか……。
エリシャも同じ、もしも自分が倒れても、わたしがいるから信じられるのね。

えぇ、なら……わたしは彼女の信じたわたしになるだけ。

【抗い】
UCを発動31の星の火を展開して、敵と相対して、全方位からの攻撃を。
たとえ、全てを迎撃されてもそれは全て計算ずく。
問題はわたしが歌を歌える事と、最後の1つを星の在り処を悟られない事。
歌い続ける覚悟はある、あとは……声が続く限り。

最後の1つの星の役割はエリシャの束縛を解く事。
それを完遂するまでは、歌を続けるわ。


千桜・エリシャ
バレーナさん(f06626)と

気付いたら体が動いていた
彼女を庇うようにビームを受ければ起き上がることが出来ず
嗚呼、不甲斐ない
けれど、私が倒れてもバレーナさんならば――
そう、信じて動けないながらも戦況を見守り

……彼女の声が、歌が、聴こえる
もどかしい、歯痒い
けれど私を信じて歌ってくださるのならば
――応えない訳にはいかないでしょう

立ち上がれば、今度こそ刃を抜き放ち
敵に向かっていきましょう
その攻撃は見切りました
バレーナさんへ攻撃の手が向くならば花時雨を開いて守って
こちらも彼岸花腕で動きを封じさせていただきますわ

さあ、兎さん
その首を、私にくださいな
大丈夫、可愛らしいショーケースに飾って差し上げますから



●千桜・エリシャとバレーナ・クレールドリュンヌのエモさ
 先の四人との戦いは、ラビットバニーにとって大きな屈辱を与えた。
 ゆえに怪人は、次に猟兵と遭遇することあれば必ず抹殺すると決めていたのだ。
「見つけたァ!」
 故にエリシャとバレーナに対し、敵は最初から全力で襲いかかった。

「バレーナさんっ!」
 先に敵の接近、そして不意打ちに気づいたのはエリシャである。
 ラビットバニーはすぐさまふたりの頭上を取り、両手を延ばして向けた。
 合わせて十本の指先から迸る制御ビーム。それ自体が熱量を持つ光学兵器だ!
「エリシャ!?」
 バレーナは愕然とした。敵に不意を撃たれたから……ではない。
 己めがけ放たれた光条が、誰であろうエリシャを貫いていたからだ……!
「エリシャ! どうして!?」
 倒れるエリシャを受け止め、バレーナが叫ぶ。何故なのか、と。
 どうして自分をかばったりしたのか。そんな必要はないのに。
 たしかに不意打ちは避けられなかっただろう。だが自分はこの通り、
 色彩のない醜き白魚。どうせ倒れるならば、彼女より自分のほうが!
「……気付いたら、身体が動いてまして……」
 ふっ、と自嘲めいた笑みを浮かべ、エリシャが手を伸ばす。
 なんと不甲斐なきことか。バレーナの頬を撫でようとした指先は、しかし、
 糸が切れたようにふっと力を失い、だらりと垂れ落ちた。

「やーりぃ、まずワンキルゲット~!」
 ラビットバニーは快哉を上げる。猟兵はすべて始末するのが彼女の仕事なのだ。
 あいにく本来の狙いであるあの人魚は仕留めそこねたが、まあいい。
 ……鼻歌でも歌いそうな気分のラビットバニーを、バレーナは睨みつける。
「……"よくも"なんて台詞は吐かないわ」
 バレーナにはわかっていた。エリシャがなぜ自分をかばったのか。
 それはバレーナ自身が、"もしも自分が斃れても"と思っていたからこそ、
 エリシャもまたそう考えていてくれたのだと、信じていたからだとわかったのだ。
「わたしは、彼女が信じたわたしになるだけ。そして、あなたを倒す……!」
「健気な台詞吐くねぇ? エモエモじゃん!」
 バリアが霧消する。だが敵の戦意は十分、攻撃も多彩かつ危険だ!
 だからどうした。エリシャは謳う――幻想の調べを以て星の炎を喚ばう!
「煌々と輝く星はかはたれに、幻想に彩られた星の名は――!」
 ぽつり、ぽつりと生まれた明星の輝き、あわせて三十と二つ。
 されど敵に襲いかかるのは三十と一つ。ラビットバニーは訝しんだ。
 だがその余裕はない。星の炎は上下左右前後から同時に襲ってくるからだ!
「こんなの見え見えなんだよっ!」
 十条の光芒を放ち、星の炎をかき消す。そして花々と大地が侵される。
 茨の戒めがバレーナを、斃れたままのエリシャを戒め封じようとする。
 バレーナは空を泳いでこれを拒み、光芒が己を灼こうとなおも歌い続けた!
「どうしたの? わたしはまだ無事よ。それとも歌声は止められないのかしら?」
「挑発なんてナメたことしてくれんじゃん、ぶっ殺してやんよ!」
 バレーナの覚悟と根気は見事と言っていい。だが力量差は絶対的だ。
 敵の攻撃はバレーナのそれをたやすく凌ぎ、星の炎は一つまた一つ消えていく。
 光芒は白皙の身体を灼き、歌声をかき消そうと勢いを増す。
 ――だがバレーナは歌い続ける。そうすると決めたからだ。
 そして、彼女の本当の企みは、たしかに功を奏していた!

 ――歌が、聞こえる。
 まどろみに似た暗黒のなか、エリシャは歯痒さともどかしさに囚われていた。
 もはや力が入らない。……入らない? 何を言っている。
 彼女は歌い続けている。それを知っていて、それを前にして、
 斃れているなど誰が出来ようか。立ち上がらねばならない、だが力が!
「……これは」
 しかしエリシャは光を感じた。星の炎が、彼女の戒めを解いていた。
 炎はそのまま燃え尽きて、不思議なことにエリシャの体に活力をもたらしたのだ。
 死闘が見える。自らを信じて歌い続ける人魚の背中が見えた。
 だがしかし、ついにバレーナめがけ、岩塊が頭上から振り落とされ――!

「……そのユーベルコード、すでに見切りました」
 かちん。花時雨が鍔鳴りの音を漏らす。降ってきた岩の塊、
 すなわちハッキングによってえぐり取られた地面の一部そのものは、
 音もなき神速の抜刀によって真っ二つに切り裂かれていた!
「エリシャ!」
「ありがとうバレーナさん。もう大丈夫ですわ」
 女将は艶やかに微笑み、そして笑ったまま頭上の敵を睨む。
「直撃食らって立ち上がるとか、思ったよりタフじゃん!」
「ええ、あいにくしぶとさは折り紙付きですの。
 そして私、大好きなものがひとつあるんですのよ」
 桜色の瞳が細まる。地面から沸き立つは花びら――否。死霊の黒き手。
「さあ、兎さん。その首を、私にくださいな」
 ラビットバニーは光を放とうとした。死霊の手が、無数の腕がそれを拒む!
 怪人がその違和感に目を見開いた時にはもう遅い。桜の花びらと胡蝶が舞い、
 あとに引いた女は地を蹴って彼奴の眼前に。刃はすでに鞘走っている。
「大丈夫」
 色っぽい声が囁いた。
「可愛らしいショーケースに、飾って差し上げますから――」

 一閃。悲鳴も断末魔もなく、斬首の応報がもたらされた。
 桜とともにゆらりと地に立つ姿を、バレーナは魅入られたように見つめる。
 返り血に染まりし修羅の姿は、恐ろしくも幻想的だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



 だがまだまだ、戦いは続く。
フランチェスカ・ヴァレンタイン
エモいかどうかはわかりかねますが…
空中戦闘機動は”魅せる”モノもありますし、ね?

バリア展開と同時にスラスターの全力噴射で上空へ
キャノンの連続砲撃を多彩なマニューバで見切りながら、空中に複雑な光の軌跡を描きます(☆

仕掛ける際は遠距離からの傾斜降下で突撃と参りましょうか
正面からの砲撃をバレルロール機動やガントレットで弾いて凌ぐものの、全ては捌ききれずに装甲やスーツが弾け飛び(☆
中破な有り様ながらもUCで裂帛の一閃を(☆

「イグニッション……イディアス――ブレイザァーッッ!」
擦れ違いざまに光刃を揮って空間ごと両断します

土煙を上げての着地で振り向き
「…お粗末さまでした、と」

☆エモそう
※アドリブ・絡み歓迎



●フランチェスカ・ヴァレンタインのエモさ
 復活直後のラビットバニーが聞いたのは、猛烈なバーニア音。
 見よ。広大なるシステム・フラワーズの空を切り裂く一条の流星!
 その名はフランチェスカ。翼と炎を以て空舞う鎧装騎兵である!
「わたしなりの"魅せる"戦い方を、ご覧に入れてさしあげましょう!」
「でかい口叩くじゃん、あーし相手にんなこと出来んの!?」
 赤べこキャノンが砲口を開いた! 火力よりも命中率に重きをおいたホーミング形態だ!
 無敵バリアの展開を確認したフランチェスカは、即座にスラスターを機動。
 全力噴射ではるか上空へと垂直に飛び、追ってくるキャノン砲を回避する。
 ZAP! ZAPZAPZAPZAPZAP!! フランチェスカを追尾するエネルギー弾の群れ!
「さすがは幹部級オブリビオンですか……っ!」
 いかにフランチェスカが一流の鎧装騎兵であるとはいえ、
 ラビットバニーは強敵である。少なからぬ砲撃がその身を捉える。
 しかして回避軌道は、空に光の軌跡を描いてラビットバニーを魅了した!

 絶対無敵バリアが解けている。フランチェスカはそれを確認するとともに、
 上空百メートルから一気に反転、傾斜降下で真正面から敵へ挑みかかる。
「もはや守りはありませんね、頂きますッ!」
「真正面から来る? 度胸あんねぇ!」
 ZAPZAPZAP!! 執拗なキャノン砲が命中するたび、装備が次々と爆散!
 肌を灼き体力を削り取る強烈な砲撃、致命的な命中こそは回避するものの、
 フランチェスカの有り様はもはや中破……大破に等しい有り様である。
 だが凌いだ。重力を味方につけたフランチェスカのスラスターが最大戦速!
「ブレイザー・イグニッション――その"存在"の一切、両断いたしますっ!」
 九天遍く、裂き断つもの(ヴァルフレイア・イディアスブレイザー)!
 裂帛の気合とともに放たれた一閃が、ラビットバニーを捉え――交錯!

「ったぁ!」
「く……!」
 結果は痛み分け。フランチェスカの光刃は強敵を仕留めるには至らなかった。
 しかして輝ける刃は、ラビットバニーの体に痛烈な一撃を見舞ったのだ。
 一方のフランチェスカも無傷ではない。ゼロ距離砲撃が重傷を与えている。
 あちこちがスパークし、これ以上の戦闘継続が不可能なことを知らせるエラーメッセージが、彼女の周囲にいくつも浮かび上がった。
「やるじゃん、これ以上はやばたんでしょ!」
 ラビットバニーはフランチェスカの抹殺を諦め、戦線撤退。
「待ちなさい! ……仕留め、きれませんでしたか。しかし……!」
 片膝を突きながらフランチェスカは敵の背中を睨む。
 あとは続く猟兵に託すほかなし――!

成功 🔵​🔵​🔴​

橙樹・千織
アドリブ歓迎

戦闘開始直後からユーベルコード使用し、藍焔華のみを花弁として散らす
そのまま攻撃には移らず、花弁となった藍焔華を演出として藍雷鳥を使って舞い、歌唱する
歌い、踊るはおっとりした見た目とは真逆、恋い焦がれる想い人へ向けた和ロック調の曲

さぁ、聴いていただきましょうか

ビームは野生の勘を活用し踊りながら極力回避
足場が無ければ地形の利用、空中戦を活用して踊ります

バリア解除後
歌唱を続けたまま攻撃行動へ移行
演出として使用していた花弁をラビットバニーへも向かわせる
藍雷鳥ではなぎ払い、マヒ攻撃を交えて舞い踊る

多少の傷は気にしていられません
迷いは捨てて、真っ直ぐに…その身を斬り刻みましょう!!



●橙樹・千織のエモさ
 八重桜と山吹の花びらが舞い散るなか、女が踊っていた。
 優雅な舞である。ラビットバニーですら攻撃を忘れてしまうほどに。
 しかしてどこからともなく流れる曲調と、千織が歌うのは、
 おっとりとした彼女には似つかわしからぬ、いわゆる和ロック調であった。
「うえ、え? 何? ライブ!?」
「ええその通り。あなたに送る出し物ですよ」
 黒鉄の刀身を持つ薙刀を縦横無尽に用いるたび、花弁が揺れた。
 肝心の歌の内容はといえば、これまたエモーショナルな恋歌である。
 しかし一体、いつどのようにしてこの曲を録音したのだろうか。
 流通しているものなのか? 千織の選曲にはやや謎が残るが、細かい話だ!
「やば、エッッッモ!」
 恋に恋する乙女の歌となれば、女の心を揺らさぬはずはなし。
 ラビットバニーはそういう初々しい感じのやーつが大好きでもあった。
 バリアが解除される。千織はにこやかながら、その好機を見逃さぬ!

「ああ、あなたへの想いが私の中で膨れ上がる、そしてこの胸を灼き焦がす!」
 なんと千織は、朗々と歌い上げ、踊りながら敵へ間合いを詰めたのだ。
 慌ててラビットバニーが制御ビームを放つが、全命中には程遠い。
 舞い踊るというトリッキーな動き故に、千織の行先が読めないのだ!
「一体私はどうすればよいのでしょう、どうすればこの想いが伝わるのか!」
 足場が操られようと、翼をはためかせて空中を舞うのみだ。
 そして演出用かと思われていた花弁が、一斉にラビットバニーを襲う!
「うええっ!?」
 目くらましとして間合いを詰めた千織、舞いの合間から放つ斬撃!
 当然レーザー攻撃は千織の肌を切り裂き焼くが、この好機を前にしては易い傷。
 痛みを堪え、まっすぐに。そう、歌詞のように迷いを捨てて進むのだ!
「私の身を切り刻むようなこの想い、迷わずあなたのもとへ届かせましょう!」
「ああもうエモいけど厄介な……いったたたたた!」
 ラビットバニーはたじたじである。これ以上は荷が勝つか!
 やがて旋律が終わって千織が舞い終えたとき、敵は自ら撤退を選んでいた。
「……残念ですね、二番もあったのですが……」
 あちこち傷だらけの有様で、ふんわりキマイラはほんわか小首を傾げたという。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳴宮・匡
◆単独
◆アドリブOK

バリアがあるうちは攻勢に移れなさそうだ
相手の動きを注視することに専念
……とはいえ、捉え切るのは難しい速度だろう
被弾は多少、覚悟しておくさ

――泥臭い戦いなんて「らしくない」って?
ああ、わかってるさ、そんなこと
明らかに強いと判ってる相手に真正面から突っ込むなんて正気じゃない

でも、あいつらがそれで「いける」って言ったんだ
ならそれはきっと正しいし、
その信頼に背くような真似は「できない」だろ
あいつが繋いだ戦いを、あいつに繋げる
――悪いが、付き合ってもらうぜ

バリアが解けるまでは防戦
解ければ、後は考えない
それまでに読み取った癖と、これまでに培った戦闘経験で
倒れるまで相手してやるさ



●鳴宮・匡のエモさ
 通常、彼ら三人は強敵との戦いにはチームとして参戦する。
 だが意外にも、ラビットバニーを相手に彼らが選んだプランは――。

 銃声なき弾丸が放たれる。そして虚空の障壁に弾かれ四散した。
 やはりバリアがあるうちは攻勢には移れない。匡は納得しその場から跳躍。
 直後、彼のいた場所をすさまじい速度のチョップが切り裂いた。ラビットバニー!
「ちょこまか逃げてるとウザいんだけど!」
 苛立たしげなラビットバニーの罵声を匡は聞き流す。
 敵の速度は、彼の鋭敏な五感をもってしてたやすく捉えられはしない。
「逃げないわけないだろ、こっちはお前ほど素早くないんだ」
 そう、匡の戦い方からすれば、この立ち回りはなんとも不可解である。
 彼は戦場傭兵であり、射撃を得意とするもの。銃器こそが彼の得手。
 わざわざ敵の前に姿を晒し、真正面から挑むなど正気の沙汰ではない。
 しかしだ。そんな"らしくない"泥臭い戦いこそが、今回のプランなのだ。
 "あいつら"は『それでいける』と言った。仲間たちがそう言った。
 ならば、そうなのだ。だから匡は、らしくないことを全力でやっている。

 ……とはいえ、らしくないということは慣れていないことでもある。
 いくら戦闘のエキスパートである匡だからといって、限界はあろう。
 五感で捉えた動きに現実の彼の肉体が完全に対応できるとも限らない――これがスナイプならば話は別だが、彼は攻撃と同時に回避も行わねばならないからだ。
 ゆえにカンフー攻撃が速度を増すにつれ、匡は徐々に被弾を許していた。
 掌が内臓を揺さぶる。蹴り足が意識を刈り取りかける。
 あちこちに擦過傷と裂傷と殴打と蹴撃を受け、しかし彼は斃れない。
「こんのっ!!」
 ラビットバニーが踵下ろしを見舞った。直撃。
 肩から鈍い音と痛烈な衝撃が走る。鎖骨が砕けたか。匡は冷静に分析。
「……まだ諦めないっての?」
 致命的距離のなか、鍔競り合いめいたにらみ合いのなかラビットバニーが云う。
「ああ」
「どうしてそこまですんのさ」
「あいつらは、俺を信じた。なら――その信頼に背くような真似は"できない"」
 普段の匡なら、いちいち敵と長口上をするはずもない。
 だがあえて、問われれば応える。"それが勝機に繋がるから"だ。
 そしてそれ以上に……彼にとっての本心でもあるゆえに!
「俺はここで倒れるかもな。けど、あいつらに繋ぐことはできる」
 なんたる気迫。互いに単独で戦い、礎にならんとする男たちの絆。
 ラビットバニーの心が揺れた。凪の海はその隙を逃さない!
「――悪いな、まだ付き合ってもらうぜ。あんたの癖はもう"視えた"」
 BLAMBLAMBLAM!! 隙を狙った銃撃がラビットバニーを吹き飛ばす!
 致命には至らない。だが匡はもはや後先考えずに戦うのだ!
「ぶっ倒してやる!」
「ああ、倒れるまで相手してやるよ」
 銃声が叫んだ。それは、いかにも彼らしくない戦い。
 けれども穿たれた弾丸が、勝機を生む兆しとなったのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィクティム・ウィンターミュート
【単独】

さて、エテ公を通じて…もしかしたら知ってるか?アサルトのことをよ
ま、知らなくても知っていてもどっちでもいいさ
今回は『サシ』だぜ?

一人でテメェみたいな強者と戦うなんて、ごめんさ
本来ならアサルトで組むんだが…
俺のニューロンは、分かれて戦う方が強いと判断した
俺は「アイツらが必ず勝つことを信じる」
そして「アイツらも俺が勝つことを信じてる」
だから負けねえ

UC起動
セット、『パラライズ』
麻痺で身体機能を弱体化させるプログラムさ
俺達の「信頼」でバリアを解除
攻撃をあえて受けて0距離【カウンター】で打ち込む

いくら速くても、近接攻撃の瞬間は避けられねえ
悪いな、仕留めるのは俺じゃない
これが俺の「勝ち」だ!



●ヴィクティム・ウィンターミュートのエモさ
 匡が戦闘継続が不可能になったとき、二人目の刺客が現れた。
 それもやはり、彼にとってはいかにも"らしくない"戦い方だった。

「……次はあんた?」
 匡への追い打ちを妨害した電脳魔術を、ラビットバニーは感知している。
 一瞬のことであった。それだけであの傭兵へのとどめを邪魔された。
 不機嫌そうなラビットバニーに対し、電脳魔術士はニヤリと笑う。
「そうさ。どうだ? 知ってるか。俺達(アサルト)のことは」
「モンキーを滅ぼした連中だろ? てことは、あんたが……Arsene」
 コードネームを呼ばれ、ヴィクティムはおどけたように肩をすくめてみせる。
 ラビットバニーは知っている。だからこそ不可解なのだ。
 彼らの本懐は連携行動であるはず。であるならば、なぜこのような?
「安心しろよ。今回は"サシ"だぜ。"俺も"な」
 端役を嘯くハッカーにとって、それは自殺行為と言ってもいい。

 だが、そもそもこのプランを立案したのは他ならぬヴィクティムだった。
 再び高速戦闘モードを起動したラビットバニーと、
 全身のサイバーパーツをオーバークロックして撃ち合いながら、
 ハッカーは脳裏で回想する。彼のニューロンがはじき出した答えを。
 連携でもなく、一斉攻撃でもなく、あえての分かれての戦い。
 戦略的に見れば不合理。だが敵の特性を考えれば合理的である。
 普段ならともに肩を並べる仲間同士が分かれて戦う。
 それはつまり、お互いの力と信念を信じ、命を預け合うということ。
(俺は"アイツらが必ず勝つことを信じる")
 ラビットバニーは猛攻を仕掛ける。だがヴィクティムは見切れている。
 紙一重。紙一重だ。匡が穿った弾丸が、わずかに敵の動きを遅れさせている。
(――そして、"アイツらも俺が勝つことを信じてる")
「だから負けねえのさ、"俺達"はなッ!」
 快哉めいてハッカーは叫んだ。ラビットバニーは怒りを募らせる!

 しかし、その挑発もまたArseneの術中である。
 怒りに任せた掌打が捉えた――それこそヴィクティムの狙い通り。
 すでにラビットバニーのバリアは解けている。
 当然だ。この少年は仲間を信じ、己の命を晒しているのだから。
 覚悟が心を揺り動かした。打撃が鋼の体を貫き、しかしハッカーは笑う。
「が……ッ!?」
「いくら早くても、近接攻撃の瞬間は避けられねえ――ってな」
 ヴィクティムは血を吐く。しかして己を強いて笑う。
 すでにユーベルコードは放たれた。麻痺のプログラムが打ち込まれた。
「あんたさぁ……死ぬのが怖くないのかよ……!!」
「怖いさ」
 少年は云う。
「けど死ぬのはきょうでも、お前の手でもない。"布石は打った"。
 ――これが、俺の"勝ち"だ。残念がれよ、ラビットバニー……!」
 ラビットバニーは振り払うようにハッカーを蹴り飛ばした。
 その打撃すらもぬるい。体の動きが重いのだ!

 ――そして、仕上げに最後のひとりがやってくる。
 殺気が、怪人を鋭く襲った。

成功 🔵​🔵​🔴​

ネグル・ギュネス
【単独で参戦】


敵前に、すたっと忍者の如く着地し、登場

勝負に参じた
いざ、尋常に。



エモだのなんだのはわからん
故に対抗策は、ない
だが、戦う理由ならある
貫く理由もある
故に、我諦めず、我に敗北は非ず

記憶のない私の為に、身を張ってくれた友
住まう場所のない私を拾ってくれた恩人
何より、私を思うてくれる女性(ひと)の為に、私は阿修羅をも凌駕する!


【ダッシュ】で距離を詰めながら、【残像】と【迷彩】で撹乱しながらペネレイトブラスターに装填し、敵射撃しながら突貫!

桜花幻影でバリアを切り払い
脇指『春陽』で、その首、頂く!




強襲、二刀撃

連撃からの、【剣刃一閃】

───斬り捨て、御免。

首には目もくれず、私の居場所に帰ろう



●ネグル・ギュネスのエモさ
 普段の彼からすると、その有り様はやはり"らしくない"。
 幻霊の名を持つ相棒とともに、戦場を疾風めいて駆け抜けるのがネグルの性。
 だが彼はヴィクティムや匡がそうであったかのように、
 敵の前に、隠れることもなく、堂々と――しかし忍者めいて軽やかに着地した。
「勝負に参じた」
 ぎらりと、金色の瞳が敵を見据える。
「いざ、尋常に。……参るッ!」

 ネグルはエモだのなんだの、若者言葉はあまり解さない。
 ゆえに対抗策と呼べるものは、彼自身には存在しない。だが必要ない。
 なぜならば彼が現れた時点で、すでに怪人のバリアは消えていた。
 当然だ。ふたりの相棒たちがそれぞれに命を賭して布石を打ったのだから。
 匡の放った銃弾。ヴィクティムの叩き込んだプログラム。
 これらは以てラビットバニーの動きを冒し、速度と威力を減じさせていた。
 キャノン砲がネグルを照準に捉える――遅い。その時にはすでに風めいて疾走。
 KBAM! KBAM!! キャノン砲のエネルギー弾があらぬほうを穿ち爆発!
 しかし違う。ネグルが速すぎるのだ! 照準を合わせた瞬間には、
 すでに彼は一歩間合いを詰めているのだから!
「こ、い、つ……!!」
「私はけして諦めない。ならば我に敗北は非ず!」
 身を張って布石を打った友と、"ネグル・ギュネス"が今日ここに立つまで、
 手を差し伸べてくれた恩人と、仲間たち――多くの人々を思う。
 ならば退く理由はない。風よりも疾く駆け抜ける証左だけがある!
「吹っ飛べ!」
「遅い」
 精霊銃が火を噴いた。エネルギー弾は着弾前に爆裂!
 爆煙を切り裂き、鞘走るは桜花幻影。切っ先は喉元――否、これは布石!
 ネグルの狙いは刺突ではない。キャノン砲によるゼロ距離射撃を串刺しに。
 赤べこキャノンが爆裂した瞬間、彼が抜き放ったのは脇差である。
 "春陽"。屠霊鉄なる金属で打たれた、わずか一尺五寸の直刀。
 普通ならば長さが足りぬ。だがこの間合ならばあまりにも十分。
 なにより――彼は、"普通の剣客"などではないのだ。

「――我流・強襲、二刀撃」
 ネグルはラビットバニーの背後にいた。両手には桜の刃ふたつ。
 ひとつは敵の砲を串刺しにし、もう一方の直刃はその首をかき切っている。
「斬り捨て、御免」
 風殺、ここに成れり。ネグルは振り返ることなく歩みだす。
 その先には、この勝利のため身を呈した二人の仲間。男は笑う。
「さあ、私の居場所に帰ろう――次の戦いのためにな。そうだろう? 相棒」
 ふたりの男たちがどう答えたか、それはネグルのみぞ知る。

大成功 🔵​🔵​🔵​



 戦いは、いましばらく続く。
叶・都亨
ロゼくん(f01535)と

くっくっく
エモの塊ことエモえ・都亨です
俺が!俺こそが!エモ!!!
…とはさすがの俺も言えないよねー恥ずかしーっ!

ってな訳でここはなんとかやるっきゃねぇ!!
隣のロゼくんをぎらりと睨んでうおおおおお壁ドーン!!!

10歳年上で15cm背の高いロゼくんが年下男子に壁ドンされてるのエモくない?!?!

お願いだからバリア解除して

まずは距離をとって敵を観察、
ロゼくんの動きに合わせて「援護射撃」するよ!
連続で矢を放ちロゼくん達の攻撃の射線に誘導
たっぷり観察したら【流れ星】を叩き込む
狙うのは足元と体の正中線、「スナイパー」で確実に射る
敵がこっちに来たらハルカにガードしてもらいます!


ロゼ・ムカイ
都亨(f01391)と

絶対無敵バリアの上に無限湧きとかやばくね?
仕事サボって来るんじゃなかったぜ…。
なあ都亨、なんかエモい事やってよ。
都亨が何かやるのを横で見てる
って、急に壁ドンされたらビビるじゃん…。

バリアが解けたらオルタナティブ・ダブルを発動だ
それじゃ頼むぜ、相棒!
もう一人の俺は驚くほど無口なのであまりしゃべんねーと思うが
戦闘に関しちゃ俺以上の実力を持ってる
俺は刀振って敵を叩き切り、時にナイフやフォークを投げて敵を足止め。
だまし討ちの技能なんかも使って、俺が敵の気を引いてる隙に相棒が敵の背後から攻撃
そこに畳み掛けるように後方の都亨が援護射撃をしてくれるっつー作戦、どうよこのコンビネーション



●叶・都亨とロゼ・ムカイのエモさ
「くっくっく……俺が! 俺こそが! エモ!!!
 というわけでエモの塊こと、エモえ・都亨でーす。きゃっ恥ずかし!」
「うわー、なんかやってくれるかと思ったらいきなりなんだそれ、漫才かよ」
 といまいち緊張感に欠けたやり取りをしつつ現れた少年と青年二人組。
 ラビットバニーの毒気を抜くには十分すぎた。呆れているとも云う。
「なんなんあんたら……」
「まあまあまあ! ここはね! 俺らのエモを見といてよ!」
 と都亨。しかしロゼのほうはふーんそうみたいな顔で不動である。
「ロゼくんなんかしてくれないの!?」
「いやあ、俺仕事サボってきたし。てか相手ヤバすぎて帰りたいっつーか。
 そもそも言い出したの都亨のほうじゃん。だからなんかエモいことやってよ」
 む、無茶振り! 無茶振りである! ラビットバニーも呆れるはずだ!
「仕方ないなあ!! うおおおおロゼくん!! ……ちょっとしゃがんで!!」
「お、おう」
 微妙に屈伸するロゼ。すると都亨は……おお、見よ。あれは!
「壁ドン……!?」
 ラビットバニーは目を剥いた。そう、壁ドン。壁ドンである!
 都亨はロゼより一回りは小さいためちょっと不格好だが、
 このためにふたりはわざわざシステム・フラワーズの外縁部を選んだのだ!
 ラビットバニーの復活地点がほど近かったのは僥倖と言えるだろう。
「うおっ! 急にカベドンされたら、ビビるじゃねえか……」
「ふふ、ロゼくん……ふふふふ!」
 少年と青年の顔が近い! 身長差も相まってなおアンバランスだ!
 ……無言の間が続く。ふたりがちらっちらラビットバニーの方を見る。
「あの」
「え?」
「いやあの。……お、お願いだからバリア解除して!!」
 都亨は必死だった。恥ずかしさがかなり色々こみ上げてきていた。
 ラビットバニーは可哀想に思ったので、バリアを解除してあげることにした。

 そして戦闘に入る! さきほどまでの流れは三人共忘れることにした!
 ロゼはオルタナティブ・ダブルによって、無口なる別人格を現す。
 並び立つふたりの咎人殺し、獲物は刀! ナイフ! そしてフォーク!
「いきなり来んの!?」
 ラビットバニーはやや驚いた。さっきまでの流れはなかったことになっている感がある。
 まあ男同士で壁ドンともなるとちょっと恥ずかしいだろう。
 その恥じらいが逆にエモさを呼び起こしたが、もうバリアは消えていた。
 そしてロゼの別人格の猛攻たるや! ラビットバニーは即座にカンフーモードを起動、
 瞬時に戦闘のイニシアチブを握り、ロゼと"向井"を圧倒する!
「観察完了! そこだーっ!!」
 ここで後衛の都亨が動く! 相棒・ハルカに守りを任せた上で、
 流星めいた援護射撃! そして勢いを得たロゼたちの近接攻撃!
「ぐっ!」
 入った! 壁ドンをしたかいがある!
 ……ふたりは仕留めることこそ出来なかったが、これは大きなダメージと言えるだろう。
 ラビットバニーに対する、第一撃成功だ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

三咲・織愛
えも……えも……。
やはりここはノクティスを推すしかありませんね!

見てください!この私のノクティス(槍)を!
星空のように煌いていますでしょう。
刃の殺傷能力は申し分ありませんし、石突は硬くて丈夫、
手に馴染む太さで扱いやすさも満点!
最高にエモエモな私の武器なんです!
さらにさらに、こんなに可愛い龍にもなれるんですよっ

バリアが解けたら槍を構え、
敵の攻撃はしっかりと<見切り>ながら
突きと払いを駆使し距離を詰めます
槍を投擲するように持ち替え至近距離から<槍投げ>
僅かで隙を作れたら【打ち砕く拳】を叩き込みますね

最終的に拳で殴る
それも私のエモです!



●三咲・織愛のエモさ
 ラビットバニーと相対する織愛は、なぜかウキウキしていた。
 それもそのはず、彼女がエモとして推すと決めたのは自慢の相棒なのだ!
「見てください、この私のノクティスを!!」
 ラビットバニーが口を開くより先に、目をキラキラさせて槍を突き出す織愛。
 相手はすわ攻撃かと一瞬身構える……が、なんか様子が違う。
「え、ノクティスってそれのこと? 槍じゃね?」
「はい!御覧くださいこの色彩……星空のように煌めいていますでしょう?
 刃の殺傷力は申し分ありませんし、石突は硬くて丈夫。柄は手に馴染む太さ!
 おかげで扱いやすさも満点! 最高にエモエモな私の武器なんです!」
 どこのテレビショッピングかな? というレベルの長口上である。
 立て板に水といったよどみないセールストーク、どこで学んだのやら。

「……いやわかったけどさ、でも武器じゃね?」
「さらにさらに!!」
「うわっ」
 織愛の"圧"に完全に押し切られているラビットバニー。
「実はこのノクティス……槍だけじゃなくて、可愛い龍にもなれるんですよっ」
 言いながら槍に念じると、織愛の手の中でするすると縮んでいき、
 さらに夜の空を凝らしたかのような、藍色の鱗を持つ小龍に変じた。
「へー! なにそれカッワイイじゃん!!」
「でしょう! エモエモじゃないですか?」
「いやこれはエモいわー、エッッッモ!!」
 ガールズトークめいた和気藹々の雰囲気。かき消えるバリア。
 ぎらり。織愛の両目がめちゃめちゃ剣呑に輝いた!
「隙アリです!!!!」
「へ? あっ!!!」
 ノクティス(龍)がええんかほんとにみたいな顔で織愛を見る。
 織愛は満面の笑顔で頷いた。ノクティスはおとなしく槍に戻るのだった。

 織愛が不意を打つ形で始まった戦闘だが、ラビットバニーも伊達ではない。
「ずりーし! あーしだって負けねーし!!」
 赤べこキャノンを構え、破壊力重点大砲形態に変形! トリガを引く!
 KA-BOOOOOM!! エネルギー弾が着弾……噴煙を裂いて現れる織愛の姿!
「ウッソ、効いてないの!?」
「その攻撃は見切りましたっ!」
 やや誇張がある。エネルギー弾をノクティスで切り裂いたのは事実だが、
 エネルギーそのものを完全に相殺できたわけではない。負傷がその証拠だ。
 とはいえ織愛の突進の勢いが落ちていないことは確かである。好機!
「えぇーい、やぁっ!!」
「うえっ!?」
 ラビットバニーは驚いた! 無理もなかろう!
 織愛はあろうことか、ノクティスを陸上競技めいて投擲したのだ!
 てっきり近距離戦を挑んでくると思っていたラビットバニーは虚を突かれた。
 気がつけば織愛は懐に。彼女が握りしめるのは……拳。素手である!
「そして、そんなノクティスではなく、最後には素手で殴る! これが!!」
「ぎゃーっ!!?」
「私の! エモですっ!!」
 SMAAASH!! 強烈なダイヤモンドじみた拳がラビットバニーに命中だ!
 うげ、とか女キャラらしからぬ呻きを漏らした怪人は彼方へ吹っ飛ぶ!
「ふふ、エモエモって最高ですね!」
 ぱたぱた戻ってきたノクティス(龍)は、ツッコミを全力で我慢した。

成功 🔵​🔵​🔴​

九尾・小鈴
む、胸おおきいのう!うらやまけしからん!い、いや妾だって成長すればあれくらいはあるんじゃからな!とにかく、オブリビオン」滅ぶべし!慈悲はない!

えもい、というのはようは心に響いたかどうかということじゃろう?ならば妾の舞で、えもさを表現してみようぞ!「パフォーマンス」とユーベルコードとを合わせ、妾の仕えていた神社に使う演武を舞おうぞ。うまくいったらそのまま戦闘じゃ、命を削って踊る舞…とくと御覧じろ!
戦闘は、衝撃波による遠距離攻撃を基本に攻めるぞ。右に左に動いて敵の攻撃を回避してみようかの、避け切れない場合は衝撃波で打ち消してみようぞ!足に花などが絡まった場合は長刀で即座に切断したいのう。



●九尾・小鈴のエモさ
 一応ラビットバニーはガチで強敵なのだが、その弱点が妙なせいか、
 はたまた見た目がアレなせいか、いまいち緊張感のない猟兵が多い。
 かと思えば、妙にむき出しの敵対心を燃やす女性もいる。
 そう、女性だ。ラビットバニーに殺意を燃やすのは特定の女子が多い。
「う、うらやまけしからん……!!」
 小鈴はまさにその好例である。握りしめた拳をわなわなと震わせていた。
 何がとはあえて言わないが、小鈴とラビットバニーでは大きな差がある。
 大きさに、大きな差があるのだ。何がとは言わないが、小鈴のほうが小さい。
 いや、平たいというべきか……なだらかなること平野のごとし、である。
「い、いや妾だって成長すればあれぐらいはあるんじゃからな……!!」
 なにやらひとりでブツブツと呟いている。よほど悔しいらしい。
 何がとは具体的には言わないが、サイズ差は絶望的である。
 小鈴の言う通り未来に期待するしかないが、それもはたしてどうなのか。
「え? 何? 何一人でぶつくさ言ってんのあんた(たゆん)」
「オブリビオン滅ぶべし!!! 慈悲はない!!!!」
 小鈴の両目に赤黒い殺意の炎が燃えている! コワイ!

 しかしそのまま飛び込んだところで、相手には絶対無敵バリアがある。
 小鈴は沸き立つ殺意を深呼吸で落ち着かせて、おもむろに薙刀を構えた。
「ふう……平常心じゃ、平常心」
「だから何をわたわたしてんのか全然わかんないんだけど(たゆん)」
「邪念よ去れ、妾は清楚な妖狐なのじゃ、心頭滅却心頭滅却……!!」
 敵の前であえて瞑目し精神統一し、小鈴は滑らかに舞いを踊り始めた。
 深山に建ちし由緒正しき、さる神社に伝わる趣深い演舞である。
(うむ! やはり演舞はよい、心が澄み渡るようじゃ)
 神に奉じ魂を鎮める巫覡載霊の舞。命を削って舞いし玄妙なる演武。
 薙刀を使った威風堂々にして優美なる舞は、実にエモーショナルだ!
「エッッッモ! いやーいいなーあーし踊りとかニガテでさぁ。
 ほら、激しく動くとちょっと胸痛くなっちゃうっつーか? あんたが羨ま」
「キエエエエエーッ!!」
 コワイ! 小鈴がくわっと両目を開いて敵に飛びかかった!
 一体何が彼女の逆鱗に触れたのか、ラビットバニーにもわからない……!!

 しかしラビットバニーはすぐさま両手指からハッキングを行い、
 足場である花畑へ干渉。花々がめきめきと音を立てて急成長する!
「近づかれたらヤバそうだから足止めしちゃおっと!」
「そうはいかぬわっ!」
 巫覡載霊の舞を終えたいま、小鈴には神霊の力が宿っている。
 薙刀を振るうたびに衝撃波が剣風となって吹き荒び、蔦の拘束を拒むのだ!
 だが制御ビームによる熱線攻撃は強烈。小鈴は右に左に舞いながら、
 間合いを読みづらくジグザグ移動で距離を詰めていく。遠距離戦は不利だ!
「うおっと!」
「もらった、そこじゃあ!」
 そして一撃! 薙刀の切っ先がラビットバニーに……届いた!
 なにせラビットバニーは、どこがとは言わないが非常に突き出ている。
 であるからして、平坦な小鈴と違って攻撃が届きやすい弱点があるのだ。
 何とは言わないが。小鈴は目から血の涙を流さん勢いで歯ぎしりしていた。
「このまま滅してくれるわ女狐めぇ!」
「いやあーしウサギなんだけど! 狐そっちじゃね!?」
「問答無用ーっ!!」
 あきらかに私怨ましましの太刀筋だったが、その分強烈だったとか。

成功 🔵​🔵​🔴​

ロク・ザイオン
…またムルヘルベルが怒る…
(解せぬ)

(さておき。
正直「えも」が示すものがよくわからない。
【野生の勘】で躱し【ダッシュ・ジャンプ・早業】で凌ぐが
全力で抗っても、限界は来るだろう)

(本当は、躊躇いがある。けれど)

…キミの手を、貸してくれ
(腕を。刀を、天へ掲げ)
りりーふ、りくえすと、こーる!!!
ジャック!!!
(全力で、キミの名を叫ぶ)

(花舞台を裂き現れる砂嵐、鋼の体。
安堵するような、泣きたいような
背中を預けながら)

大丈夫だよ。
相棒(キミ)が、来たから。
(何度でも立ち上がろう)

…その、姿…
(キミが。
ひとに怖がられないかたちを手に入れたのは、
自分を見ているようで、嬉しい)

いや。
ジャックは、ヒーローだよ。


ジャガーノート・ジャック
◆ロクと

(――救援要請。それを受け、君と敵との間に。鉄鎧は君を守る防壁たるだろう。ただ、損傷は免れまい)

――要請を受理した。
平気か、ロク。

(突如現れた歪な右腕の猟兵に対し、"ヒーロー気取りか"との手厳しい言葉。)

――ヒーロー?否。
怪物でも兵士でもない。
(只、心の侭。友を救う為、己の心に従う。戦場にてそう在る者。即ち)
――僕は、"人間"だ。

《規定条件を達成、進化シーケンスを開始》
《形状の最適化を実行します――Lv.3・Mode:Human》

――右腕が軽い。
成る程、少しは人らしくなれたか?
――ロクがそう呼ぶのなら、今この時は其れらしく戦おう。

さぁ、続きだオブリビオン。
"今までの僕"とは一味違うぞ。



●ロク・ザイオンとジャガーノート・ジャックのエモさ
 森番にはわからないことが多い。"エモさ"とやらはその最たるものだ。
 ゆえにロクは、あろうことか真正面からラビットバニーに挑んだ。
「あ゛ぁあ゛アあァアあああッ!!」
「はい残念でした~」
 SMASH!! しなやかな長脚によるハイキックがロクの頭部にヒットする。
 脳を揺らされてサッカーボールめいて地面を転がる哀れな森番。
 当然、ラビットバニーは無傷。炎も刃も、けしてバリアを超えはしない。
「いや~ボロボロになってまで挑むのってエモいけどさあ。
 ちょっとあんたはザルすぎっつーか? あーし莫迦にしすぎじゃね?」
 嘲笑を浴びながら、もはや全身ボロボロのロクがよろよろと立ち上がる。
 手は尽きた。もう彼女に打つ手はない。
 ――ゆえに、"彼女には打つ手がある"。ただ一つだけ、存在している。

 ロクにとって、それは最後の手段である。いや、勘定にすら入れたくない。
 ためらいがあった。それを使うことは、つまり"彼"に戦いを強いること。
 病を灼いてヒトを守るべき"よき人間"は、そんなことを決してしない。
 だからロクは躊躇った。それでも、もはや、これしかないのだ。
「……ジャック」
 おもむろに、ロクは片手を――烙印の刃の切っ先を天へと掲げた。
「なぁに? 神頼みのつもり? まあ命乞いとか無駄だけどさあ~」
「キミの手を、貸してくれ」
 ロクは怪人の戯言を意に介さない。空へ、空の果ての彼へと呼びかける。
「りりーふ」
 それはけして"よき人"の行いではない。狩人の行いではない。
「りくえすと――」
 だから彼女は嫌だった。奥歯をぎりりと噛み締めて、しかし叫んだ。
 ……たしかに"よき人"の行いではない。だが、それはたしかに。
「こーる! ジャック――!!」
 全力で名を呼ぶ声は、信頼する相棒への当然の呼びかけだった。

 ……KRA-TOOOOOOM!!
 とどめの一撃を見舞わんとしたラビットバニーとロクの間に、
 突如として一陣の稲妻が落ちた。花びらが舞い上がり土煙が昇る。
「あぁん? 目くらましとかウザすぎなんですけどっ!!」
 ラビットバニーは意に介さず蹴り込む――KRASH!! 意外な手応え!
「んおっ!?」
 鋼だ。強固な鋼が、土煙……否、ざりざりという砂嵐の奥にいる。
 ラビットバニーは手応えを頼りに二度三度と攻撃を叩き込み、
 埒が明かないと察してムーンサルトを打ち、距離をとった。嵐が晴れる。
《――救援要請を受諾した。平気か、ロク》
 それは豹めいた、アシンメトリー、左右非対称の歪な鋼だった。
 右腕は大砲めいて肥大化しており、鋼の装甲にはいくつかの裂傷。
 言わずもがな、身を挺してラビットバニーの攻撃を受け止めた傷である。
 そんな鋼の――その裡の"彼"を垣間見て、ロクはくしゃりと表情を歪ませた。
 安堵するような、泣きたいような。そういう顔をしていた。

「なんかカッコよく出てきたけどさぁ、何? ヒーロー気取っちゃってる系?
 いくらあーしが怪人だからって、ちょっとキザすぎじゃね?」
 けらけらとラビットバニーはジャガーノートをあざ笑う。
 かつての鋼ならば、それを一蹴し戦うか、あるいは内側で激昂しただろう。
 だが赤いカメラアイは、しかと怪人を見返して靜かに言った。
《――ヒーロー? 否》
「あん?」
《――怪物(Juggernaut)でも、兵士(JACK)でもない》
 要請があったから来たわけではない。破壊のために来たわけでもない。
 友が助けを求めた。救いたいと思った。己の心のままに駆け出したのだ。
 任務でも義務でもなく、"そうしたいからそうする"者。すなわち。
『――僕は、"人間"だ』
 決然たる言葉。ラビットバニーには嫌に気に障る台詞である。
 当然だろう。彼女もまた、かつて人類であったモノなのだから。
「んな格好しといて、偉そうなこと言ってんじゃねえーよ!!」
 一人増えたところで同じである。ただ無敵の障壁にて圧殺するのみ。
 ラビットバニーの意気通り、それは戦いとも呼べぬものだった。

 しかし。
 無敵の障壁から、一方的に繰り出される拳・掌・脚の打撃を相手に、
 ジャックはロクを守りながらひたすらに戦い続けた。まるで壁のように。
 鋼が砕け、割れ、あちこちから火花を散らしてボロボロの有り様になった。
「ジャック!」
『問題ない。まだやれる。僕が"そう決めた"んだ』
 それを聞いた時のロクの表情を、ジャガーノートは振り返らない。
 見据えるのは敵。友を守り倒すために。……ひたむきな心が彼を立たせる。
 するとどうしたことか。
《規定条件を達成。進化シーケンスを開始》
「ああん?」
 鋼の裡からジャガーノートとは異なるシステム音声が響く。
《形状の最適化を実行します――Lv.3-Mode:Human》
「まだ出し物あんの? 残念だけどあーし飽きたからもう終わりぃっ!!」
 悠然と跳躍し、とどめのハイキックを繰り出すラビットバニーだが!
 ジャガーノートの姿がかき消え、二倍近い速度で攻撃を打ち返した!
「ぐえっ!?」
 たまらず吹き飛ぶラビットバニー。バリアゆえダメージはないが、これは。
「……その、姿……」
 ロクは瞠目した。ざんっ、と風を纏って停止した相棒を目の当たりにして。

 それはハリネズミじみた砲塔の嵐でも、鋼の豹でもない。
 アシンメトリーから生体的な、ボディにフィットした有機的スタイルに。
 腰部にマウントされた砲口、そして全身には真紅のエネルギーラインが輝く!
『――右腕が、軽い』
 変貌はジャガーノートにとっても驚きのものだったか。
 掌を見下ろし、二度、三度と開いては閉じて、ひとりごちる。
『――なるほど、少しは人らしくなれたか?』
「"人らしく"じゃ、ない」
 呆然としていたロクが、一転してはにかみながら頷いた。
「いまのジャックは、"ヒーロー"だよ」
 人に怖がられることのない、人らしい姿。友を救うヒーローの姿。
 圧倒的変貌。ラビットバニーの心は、当然ながら揺れざるを得ない!
《敵性体の障壁消失を確認。攻撃着弾、ダメージ有効》
 システム音声に頷き、赤い眼光がぎらりとラビットバニーを見据えた。
『――相棒(ロク)がそう呼ぶのなら、今この時はそれらしく戦おう。
 さぁ、続きだオブリビオン。……"今までの僕"とは、一味違うぞ』
「おれも、やる。相棒(キミ)と一緒なら、だいじょうぶだから」
 ボロボロのロクが傍らに立つ。身構える両者、後ずさる怪人!
「ありえないんですけど!? ピンチからの変身逆転とかさぁ!」
 ――エモすぎではないか。その言葉すら飲み込むプレッシャー……!

 無敵のバリアがなくなったいま、ラビットバニーの優位は戦闘力のみ。
 そして戦闘力の差"ごとき"は、二人は幾度となく覆し貫いてきた。
 此度もまたいつものように。赤・虹・黒の三つの色ある風が吹きすさぶ!
「あぁああっ!!」
 ざりざりと鑢めいた声音で吠え、ロクが飛びかかる。
 ラビットバニーがこの斬撃を丁寧にいなし、カウンターの膝蹴り。
 ――を繰り出しかけ、中断。前蹴りでロクを吹き飛ばした。
 直後、ほぼ同時に飛びかかるジャガーノート。零距離斉射!
 BRATATATATATATA――! 腰部マウント砲口が雷めいた弾幕を放つ!
「あーもー鬱陶しい!」
 ロクを守り、かつ敵の隙を突く完璧なタイミングの横槍だ。
 ラビットバニーはこれを致命的部位を守る形で仕方なく被弾し、
 ジャガーノートの胸部装甲を砕く鬼神じみたリードパンチを放った!
 KRASH!! 装甲が撃たれひび割れる。だがジャガーノートは怯まない!
「な」
『――隙ありだ』
 SMASH!! 破城槌じみた、スピードを優先した黒拳が敵の鳩尾にヒット!
 くの字に折れ曲がったラビットバニーめがけ、さらに膝! エルボー!
「ぐえっ!?」
『――まだだ!』
 ドドウ、ドウ! 再びの零距離斉射によりラビットバニーを吹き飛ばす。
 彼方にはロク! 腰を落とし、逆手に構えるは燃える烙印の刃!
『――ロク!』
「……病は、灼くっ!!」
 これが最後の一撃だ。もはや体力は残っていない。
 ざわざわと赤い髪がたてがみめいてなびく。横一文字の剣閃――!
(ヤバい)
 ラビットバニーは高速思考した。すぐにでも振り向きロクを迎撃せねば。
 だがジャガーノートが。大口径キャノンを構え己を照準している。
 "相棒には決して当てない"という自信と信頼ゆえの、遠近同時攻撃。
 避けねば。どう避ける? 防がねば。どう防ぐ?
 寸分の狂いなき同時攻撃、刃と砲がズレなくその身を襲い――。
「……ちっくしょ」
 SLASH!! ZAP――KRA-TOOOOOOOM!!
 爆炎! 燃え上がる炎が、刃が、ラビットバニーを滅ぼした……!

「……ジャック」
『――どうした、ロク』
「おれは、キミのことを……キミに、戦いを、させてしまった」
『――そんなことはない。僕は、僕の心に従って、君を助けに来たんだ』
 相棒同士、交わす言葉はけして多くない。必要がないからだ。
 それだけで、彼らはわかりあえるのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



 ……戦いは続いた。
ルエリラ・ルエラ
エモい。つまり私の事だね。
私の存在自体がエモいからそれだけでいけるはず。
という訳でシャークの出番。レッツゴー。

まずサメの着ぐるみを着ていくよ。
そしてバリア展開されて兎さんの目が光る前に、可愛く歩いたりポーズをとってエモさを演出。そしてエモさが極まってきたところで、ダメ押しにどてらバニーに早着替え。不思議。
相手がカンフーモードに返信したら、【私の勘】でホイホイ避けながら『純金のゴボウ』や『私のブーツ』なんかを駆使して接近戦するよ。
接近戦は苦手だけど出来なくはないからね。見切るのは難しいだろうけど、何事も『第六感』で乗り切ろう。
どてらバニーの衣装で切り結ぶのってエモいよね。



●ルエリラ・ルエラのエモさ
 エモいと言えば私。私と言えばエモい。存在自体がエモの塊。
 ルエリラは心からそう思っていた。ひょっとして疲れているのかな?
 それとも何かよくないタイプの粉か葉っぱを吸ったのかもしれない。
 ダメ絶対である。だが彼女は本気でそう思っていたのでシャークモードで飛び出した。

 サメの着ぐるみである。
 サメの着ぐるみを着たエルフが、モンローウォークで歩いている。
 時々前かがみになったり悩ましげなポーズをするが、サメの着ぐるみだ。
 かわいこぶろうがセクシーな感じを演出しようが、サメはサメである。
「なんだこれ」
 ラビットバニーは心の底から思ったことをシンプルに口に出した。
「エモいでしょう?」
 ルエリラは真面目な顔つきである。ラビットバニーはちょっと怖くなった。
 一方のルエリラはどうか。――押している。そう思っていた。
 やっぱり彼女、なんかよくない注射とか打ってしまったのではないか?
 ダメ絶対である。だが彼女は本気なので、おもむろにきぐるみを脱いだ!
「へ、変態か猟兵ーっ!?」
 思わずラビットバニーは叫んだ。だがルエリラは……噫!
 気がつけばその姿は、不思議などてらバニー姿に変わっていたのだ!
「なんだこれ」
「エモいでしょう?」
 ラビットバニーは恐怖した。何が猟兵をこうしてしまったのかと。
 怪人すらも困惑させる狂気……これが猟兵の武器だというのか……!

 ラビットバニーは思った。もうこいつ速く殺そうと。
 エモみというより、その恐怖と動揺がバリアをかき消した。
「隙を見せたね」
 ルエリラは己の直感を信じて、純金のゴボウを構えて近接戦を挑む!
「接近戦はニガテだけど出来なくはn(SMASH!!)」
 その無表情な顔面に刳りこむようなハイキックがぶっ刺さった。
「わけわかんねーから、もう、帰れ!!」
 ラビットバニーの声は悲鳴じみていたという。さらに三連蹴り!
 ルエリラは……ひ、怯まない! コワイ! それはわかっていたみたいな顔だ!
 ゴボウを振り回すドテラバニー! おまわりさんこっちです!
「どてらバニーの衣装で切り結ぶのってエモいだろう!」
「誰かたっけてー!!」
 逃げ腰のラビットバニーに、そこそこ攻撃が通ったという。
 それはそれとして、ルエリラもボコボコにされた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

レン・ランフォード
相手は幹部…油断せず頑張ります!

上を指して指を鳴らすと
私を隠すように壁…巨大な刀が突き立ちます
その柄の上に腕を組み、重量を感じさせないように立つ黒い影

これぞ三界より生まれし過去断つ剣
絡繰覇王・大典太…あっ、参上!

見得を切ると同時に
上を注目させた時に転がした煙幕弾が爆発
煙と桜の花びらが舞い上がり、そのまま私と大典太を隠します

次、持っているオーガスラッシャーを投擲(早業)
更に足元の刀をバニーに向かって蹴り飛ばしジャンプ
上から苦無を投擲しつつ降下、押し潰しを狙います

また大典太の苦無投擲は足の動きを隠すためでもあり
私も煙幕に紛れて接近
大典太が外した時、暗殺を仕掛けます

アドリブ等歓迎



●レン・ランフォードのエモさ
 そんなわけで軽く恐慌状態になりつつ逃げ出したラビットバニー。
「あなたがラビットバニーですね。もう逃しませんよ!」
 そこに立ちはだかるのはレンだ! ラビットバニーは身構える。
「へえ、ひとりであーしのこと止められると思ってんの?」
「いいえ、ひとりではありません」
 レンはおもむろに、はるか頭上の天井を指さした。
 その時である! 突如、なんらかの大質量が轟音とともに降ってきた!
「んなぁっ!?」
 ZZZZZMMMM!! 舞い散る花びら、そして土煙! これは一体!?
 ……レンとラビットバニーの間に立ちはだかる、巨大な壁。
 いや、それは刀だ。壁と見えたのはあくまで刀身に過ぎない!
 見よ。その柄の上、腕組みして立つ重力から解き放たれたような巨影を!
「なんじゃありゃ!」
「これぞ三界より生まれし過去断つ剣――すなわち、絡繰覇王・大典太!」
 レンの身長から見て、絡繰武者のサイズはおよそ五倍はあっただろう。
 がしゃがしゃと金属音を立てながら、絡繰覇王は歌舞伎めいた見得を切る!
「悪を成敗するため、あっただいま参上~!」
 ボン、ボボンボン! 視線誘導の間に投げた煙幕弾が爆裂し、
 どこからともなく舞い散る桜の花びらと相まってその姿を覆い隠す……が!

「そうは行くかってーの!」
 ガシャン! 赤べこキャノンが煙の先のレンと大典太を狙った!
 KRA-TOOOM!! 不意打ちを狙ったオーガスラッシャーとエネルギー弾が相殺!
 KBAM! KBAM!! 擲った苦無も迎撃され、空中にいくつもの火の玉が生まれる!
(勢いに任せて圧殺とは行きませんか……!)
 であれば、この攻撃に紛れたレンの隠密行動も見抜かれる可能性が高いか?
 大典太が巨大な刀を蹴り飛ばすとともにラビットバニーはこれを回避。
 そこでレンは状況判断する。刀を"避けた"、これが意味するところはひとつ!
(このまま攻めきるしかない!)
 ――この判断は正解であった。ラビットバニーのバリアは消失していたのだ。
 大典太によるドラマチックな登場が、ヤツの心を乱したのである!
「デカブツなんて狙い放題だっつーの!」
 KA-BOOOOM!! 大典太が赤べこキャノンの砲撃に撃たれ燃え上がる!
「気をそらしましたね、そこですっ!」
「なぁっ!?」
 化身忍者の面目躍如! レンの不意打ちが……SLASH! 命中した!
「っぐう!」
「もう一撃!」
 クレセントムーンを振るった斬撃が、ラビットバニーに二重の剣閃を残す。
 血を飛沫かせながらしかし、赤べこキャノンがレンを零距離射撃!
「疾い……っ!」
「あんたも大したもんじゃん、見事にやられちゃったけどさ……!」
 レンは三回目の追い打ちを意図していたが、これを放棄し弾丸を切り払い。
 その隙にラビットバニーは戦線を離脱し、負傷を圧して姿を消した。

「仕留め損ないましたか……ですが、深手を負ったはず」
 然り。レンのプランは見事に功を奏したというべきだろう。
 けして絡繰武者の威容に頼り切らぬ二段構えの戦法。まさに忍者らしい。

成功 🔵​🔵​🔴​

フェルト・フィルファーデン
エモい、と言われてもわからないわ?だって初めて聞いたもの。……でもね、だからといって退く理由にはならないのよ。

エモい、が分からずとも戦いようはあるわ。アナタのその技、寿命を削るものでしょう?
……ふふっ、ええ、アナタとわたし、我慢比べと参りましょうか!

UCでわたしと騎士達を強化。第六感、野生の勘で躱し、武器落としで攻撃を逸らし、盾受けで受け流す。
効かずとも攻撃の手は止めない。寿命惜しさに逃げるのなら挑発するわ?所詮その程度なの?ってね。

痛みなんて今更感じない。この程度痛みのうちにも入らない。【激痛耐性】
アナタのような巫山戯た者にわたしは負けない。上に立つ者として、一歩も退くわけにはいかないのよ!



●フェルト・フィルファーデンのエモさ
 エモい。……アックスアンドウィザーズで生まれ育ったフェルトには、
 いまいちキマイラフューチャーの文化というものはピンとこない。
 そもそも彼女がこの世界に足を踏み入れたのは此度の戦争が初めてだし、
 まあそんなわけで対策もあまり立てられていないのが事実だった。

 しかし、だからといってフェルトは戦いを恐れたりはしない。
 彼女には果たすべき願いがあり、そのためにオブリビオンは倒すと決めた。
 ゆえにラビットバニーには、むしろフェルトから挑む形となった。
「アナタのそのユーベルコード、自分の寿命を削るものでしょう?」
「あん?」
 出し抜けなフェルトの言葉に、ラビットバニーが首を傾げる。
「だから何?」
「つまり長時間の戦闘は出来ないということ。違うかしら?」
「…………」
 ラビットバニーは無言。図星なのか、あるいは別の理由があるのか。
「ならわたしも少しリスクを背負いましょう。我慢比べというのはどうかしら!」
 言った途端、フェルトが従える騎士の人形たちが一斉に構えた。
 操り糸を通じて、フェルトに莫大な魔力負荷がかかっているとわかる……!
「ああ、そういうこと」
 ぎらりとラビットバニーの両目が赤く輝く。バリアは消失する。
「面白いじゃん、相手してやんよ!」
「ええ、ええ、アナタとわたしどちらが上か勝負よ!」
 図らずしも、その選択がバリアを消し去る対策となったのだ!

 フェルトはかつて姫であった。民を治め国を守るべき貴族だったのだ。
 ゆえに彼女には、上に立つ者としての……青き血の誇りがある。
 痛みなど物の数ではない。辛酸など嘗め尽くした。
「わたしの騎士たちは最強なのよ! アナタみたいなふざけた者が、
 これ以上好き勝手出来ると思わないで! わたしは絶対に負けないッ!」
 強烈な呪詛による激痛が、その小さな体と魂とをきしませるが、
 フェルトはこれを憤懣と覚悟で塗り固めて耐える。耐え続ける。
 ではラビットバニーはどうか。こちらは笑っていた。けらけらと笑っていた。
「あっははははは!」
「何がおかしいの……!」
「あんたさぁ、エモエモじゃん! けどあーしらのことわかってないねぇ!」
 すさまじい速度の近接攻撃! 騎士たちがこれを懸命に耐え凌ぐ!
 返す刀の剣閃がラビットバニーを襲う。攻防は数の利もあってほぼ互角。
「"寿命ごときで足踏みする"わけねーじゃん! あーしらは怪人だぜぇ!?」
 そう。彼女らはかつて人類だったモノ。欲望によって変異したモノ。
「ほしいモン手に入れるなら命ぐらい捨てんのが怪人なんだよぉ!」
「――」
 これはフェルトの驕りと言えるだろうか。そんなはずはない。
 むしろ敵の罵倒は、彼女の闘争心に火をつけるだけなのだから!
「そのために世界を貪り尽くす? ふざけないで!」
「ふざけてまぁーす、あっははははは!」
「わたしは認めない。アナタたちみたいな奴らを! 絶対に!!」
 オブリビオン。過去の化身。未来の破壊者!
 存在そのものに対する怒りが、フェルトの心身の限界を越えさせるのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

トルメンタ・アンゲルス
俺に出来る事は決まってます。
ただただ最速で突き進む!
行くぞ相棒!
変身!アクセルユニゾン!
『MaximumEngine――Mode:HotHatch』


無駄でも構わない!
覚悟なら、疾うに出来ている!
両の拳の連打!
決して止まらない!
例え砲撃を受けども決して退かない!
何度でも受けて、何度でも立ち続けてやる!

例え腕の一本や二本が吹き飛ぼうと!
装甲やヘルムが砕け、隙間から顔が見えようと!
血が零れようとも!
立ち上がり、突き進む!

それが!それだけが!
隊長や先輩達に生かされた、俺に出来る唯一の事!

腕が無いなら、その分の出力を他に回す!
一瞬でいい。それだけあれば十分!
俺の最速最大!
光速の、捨て身の一撃を叩き込む!



●トルメンタ・アンゲルスのエモさ
 かつて、トルメンタはこの世界とは別の宇宙で暮らしていた。
 厳しいが頼りになる仲間と上官たちに囲まれて、
 決して平和ではないが、満たされた日々を過ごしていたのだ。
 だが奪われた。何もかも、彼女の体とともに失われた。悪意によって。
 その光景を思い出すたび、喪われた体が疼き、彼女に痛みと力をもたらす。
「行くぞ相棒――変身! アクセルユニゾン……ッ!!」
『MaximumEngine――Mode:HotHatch』
 ゆえにトルメンタは鋼を纏う。鋼を纏って、戦場へ赴く。

 とはいえ、そんな彼女の背景を鑑みても、その猛攻は無謀に過ぎた。
『オォオオオオッ!!』
 敵は深手を負っている。これまでの猟兵の戦いがそれをなした。
 だからといって、絶対無敵の障壁がいささかも減じられたわけでもない。
 それをわかっていて、トルメンタはまっすぐに、真正面に挑みかかる。
 砕けぬバリアに超音速の拳を叩き込む。叩き込む、叩き込む!
「あんたバカじゃね? なんでそこまで出来んのさ!」
『俺に出来ることはこれだけだ、ただただ最速で! 突き!! 進むッ!!』
 KRA-TOOOOM!! 赤べこキャノンの弾雨が装甲に着弾、火球が生まれる。
 知らぬ。バックターンからの最速突撃、エネルギー弾幕を受けながらチャージ!
 KRAAASH!! バリアと激突した拳が砕けて血が爆ぜた!
『……ッッ』
 反発力で体幹が揺れた瞬間、追い打ちとばかりの砲撃が五つ!
 KBAM! KBAM!! あちこちが燃えて爆ぜて、ヘルムが砕け散る。
「さっさと諦めろっつーの!」
『まだだ……!!』
 ぎらりと、血まみれの眼光がヘルムの隙間からラビットバニーを睨んだ。
 ラビットバニーは、その眼差しを恐れた。そして嫌悪した。
 それこそはまさしく、未来を守り突き進む、ヒトの活力に満ちていたからだ。

 トルメンタの意志力は劇的だったと言っていい。脅威的ですらある。
 しかし何事も限界がある。いくらあがこうが攻撃はなおも降り注ぐ。
 キャノン砲が直撃したトルメンタは、ついに地面に吹き飛ばされ転がった。
「はあ、はあ、はあ……っ! も、もう終わりっしょ、さすがに」
 これまでの戦闘によるダメージがあるゆえ、ラビットバニーも消耗している。
 トルメンタは……だが! 噫、戦士よ! まだ立つというのか!?
「ウッソでしょ」
『まだだ』
 トルメンタは生かされた。多くの人々の犠牲の上にいまがある。
 過去の化身が世界を覆うならば、己は過去を礎に未来を守ろう。
 そう決めた。ゆえに斃れぬ。もはや腕が動かずとも、鋼がなくとも!
『俺は――光すら、越えてみせるッ!!』
 直後、その姿が消えた。
 知覚できないほどの速度による、捨て身の一撃。まっすぐな飛び蹴り。
 空に向かって挑むかのような、最速最大最強の一撃である!
「が……ッ!?」
 SMAAAAAAAAAASH!! トルメンタという名の矢がラビットバニーを穿いた!
 ZZZZZZZMMMM……! 落下した怪人の衝撃により地面が割れて砕ける……!
『俺に出来る、唯一の、ことは……!』
 噴煙と瓦礫と花々が舞い散る中、意識を手放したトルメンタは呻く。
 闇に堕ちていく。そこには迎えてくれる仲間たちの姿はない。
 ……彼女の戦いは、まだ続くのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

叢雲・源次
【OX】

傷も大して癒えぬ内にエンプモンキーからの連戦でクロウと共に戦いに赴く
稼動に支障はあるがさほど問題ではない

俺はエモいという概念には疎く縁遠い男だ
故に、やる事は変わらん。

多く言葉は交わさず、やるべき事は互いに理解している
クロウから外套(宵闇の歌)を受け取り纏う
「是非も無し。」

初手の『収束眼光』(連続射出モード)
練成されたクロウの鏡に向け射出
射出終了と同時に【ダッシュ】で荒れ狂う蒼い死線の嵐へ、その中心にいるバニーへ突撃していく
狂気の沙汰を躊躇なく実行するのは、クロウへ信頼の証

【二回攻撃】【見切り】【早業】
バリアの先へ、肉薄、零距離、覚悟を灯す真紅の双眸

「…無明抜刀」

全てはこの一太刀の為に。


杜鬼・クロウ
【OX】
アドリブ◎

クソ、もっと万全の調子なら…
敵サンは当然待ってはくれねェか

傷深ェ癖に強がンなや(チッ
ハァ…少し動くなよ(七つ道具から布取り出し源次へ応急処置
気休めだがついでだ、最後まで倒れンじゃねェぞ(外套投げ

ヤるぞ
俺を使え!源次!

バリア破壊へ
玄夜叉を地面へ突き刺す
【錬成カミヤドリ】で神器の鏡を36枚召喚
敵の周りに配置
源次の光線を鏡でじぐざぐに高速乱反射
攻撃通らずとも布石を敷く
反射角を調整して操作
ミスは許されず緊張感で汗が滴る

ンの、突っ込んでいく馬鹿がどこに…!?
(ッ当たる訳、ねェってか?
随分信頼してくれるじゃねェかよオイ)

上等(笑う

ぶちこめや!
(勝利しか見えていない

その一閃が、総てを制す



●杜鬼・クロウと叢雲・源次のエモさ
 ふたりは連戦続きだった。いや、それほどまでに激闘が続いているのだ。
 エイプモンキー。ラビットバニーをして最強といわしめた幹部怪人。
 彼奴との戦いにおいて、源次はほぼ捨て身の戦法をとった。勝つために。
「稼働に支障はあるが、さほど問題ではない」
「傷深ェくせに強がンなや……」
 源次のぶっきらぼうな物言いに、クロウは舌打ちののちため息をつく。
 そしておもむろに七つ道具を取り出すと、
「動くなよ、少しだけでいい」
「…………」
 無言のまま不動を保つ源次に、その場限りの応急処置を施したのだ。
 とはいえ、当のクロウ自身も無傷ではない。手負いなのはどちらも同じ。
「当たり前だが、敵サンは待っちゃくれねェんだ。少しでも万全に整えねェと」
「問題はないと言った」
「それが強がりだっつゥんだよ。……ほれ、終わりだ」
 源次は掌を開き、閉じ、頷く。文字通りの気休めである。だがよほどいい。
 そして彼が今度こそ目線を外そうとしたところに、何かが投げ渡された。
 源次は反射的にそれを受け取る。……クロウの外套だ。"宵闇の歌"。
「ついでだ。最後まで斃れンじゃねェぞ」
 キュイ、とかすかなモータ音とともに、源次の目がクロウを見る。
 クロウもまた、見返す。……ともに、交わす言葉はけして多くない。
 緊張ゆえか? 否である。必要がないのだ。やるべきことは理解している。
 互いの力量も、その覚悟も。……信頼も、すべて。理解している。
「是非も無し」
「ハッ、相変わらずだな」
 源次は頷き、クロウは笑った。それでふたりの言葉は終わった。
 死にかけの獣じみた殺気が、その場を支配したからだ。

 ――然り。ラビットバニーもまた、ボロボロの有り様であった。
 あちこちに裂傷と擦過傷、杙創が刻まれ、美しさは見る影もない。
 ボロボロに煤けた頭部は、まるで廃棄された遊園地の着ぐるみめく。
 どことなく無惨で、物悲しい有り様だった。しかし敵は諦めていない。
「はぁー……っ」
 しゅう、と呼気を吐き出し、よろめきながら大地を歩く。
 然り。怪人とは、人類が欲望のままに変異した過去の化身なのだ。
 どれほど滅びかけようと、彼奴らの抱えた虚が満たされることはない。
「まだ……あーしは、あーしは……戦える、っつーの……!!」
 キャノン砲を構える。両目が赤く輝く――見据える先には手負いの猟兵ふたり。
 殺す。殺し、この場を守る。そして無限の欲望を貪り尽くすのだ!
「来いよ猟兵。あーしを殺してみろよ、絶対死んでやらないけどなァ!」
 怪人は獣じみて吠えた。それはまさしく悪意そのものである。

「ヤるぞ」
「応」
 号令は短く。しかしクロウは、愛剣・玄夜叉を地面に突き刺すなり叫んだ。
「俺を使え、源次ィッ!!」
「――応!」
 直後、クロウの周囲に出現する三十と六の鏡! 神器たる彼の本体!
 それは宙を滑るようにして、陽炎をどよもす敵を包囲する!
「甘いんだよッ!」
 ラビットバニーの姿が霞んだ。高速機動モードによる先制攻撃か!
(そうだ。かかってこい。俺が相手ンなってやるよ)
 クロウは逃げない。突き刺した愛剣の柄を礎めいて強く握りしめ、
 全神経を御鏡の制御に注ぐ。であれば敵は自分を狙って来るはずだ。
 それでいい。そのぶん源次が攻撃に集中できる。嬲り殺されようが超常!
「――っぐぅ!?」
 だが、敵の攻撃はあまりにも決断的、かつクロウの予測を越えていた。
 消えた、と思った次の瞬間、その身はクロウの眼前。鳩尾に突き刺さる爪先。
「がはッ」
 血の混じった唾を吐き出す。両足で大地を踏みしめ、しかし斃れず退かぬ。
 ラビットバニーが舌打ちする気配。鎖骨を砕く手刀が左肩を抉った。
「こいつ、死ねよ!」
「ヤなこった」
 骨が砕け筋組織が断裂する音を聞きながら、血を吐いたクロウが笑う。
 今の二撃で内臓がやられたか。呼吸するたびに血が口に苦味をもたらす。
 知ったことか。布石は揃った――ゆえに彼は叫ぶのだ。
「源次、やれェ!」
 応える声はない。代わりに、赤い熱線がキュンッ! と放たれた。
 "収束眼光"。源次の右目から放たれる光速の熱線。それを複数である。
 彼方へ向けられたそれは、しかり宙を包囲した御鏡によって反射され、
 前後左右同時に襲いかかる――ラビットバニーと、クロウめがけ!
「味方ごとやるっての!?」
「そォだよ、付き合えや」
 クロウは凄絶な笑みを浮かべ、ラビットバニーの襟首を掴んだ。
 手首を殴られ嫌な音が響く。放さぬ。そこへ到来する光の死線――炸裂!
 ZZZZZZAAAAAAAPPPPP!! 地面すらも灼け、煙がふたりを覆った!

 しかし終わりではない。放たれた熱線は数十以上にも昇る。
 複雑に反射するよう配置された鏡のなかを、殺意が荒れ狂っている。
 敵には通じたか。足止めを担ったクロウは無事か。源次は意に介さず走る。
 然り、走った。まだ光芒は着弾するというのに、その只中に! 彼は!
 ――熱線は"反射している"。つまりそれはクロウがまだ健在ということ。
 彼が術者として御鏡を顕現・操作していなければそれはありえないのだ。
 であればこれが好機。バリアが解除されたかどうかを確かめるまでもない。
 双眸が燃える。地獄へ飛び込んだその鋼の体を、己の熱線が貫く。
 知ったことではない。友が役目を果たした。そして今も役目を果たしている。
 ――ふたりの立てた作戦は、すべてこの一刀に至るための布石。
 しかしラビットバニーの予想を超える高速戦闘が、ひとつの誤算を生み出した。
 クロウは、ラビットバニーを足止めしている。その身をもって。
 では彼奴を討つための剣閃が、友を討たぬという保証はあるのか?
 迷わぬ。躊躇えば、クロウが命がけで得た好機が喪われるかもしれない。
 キャノン砲が煙の内側から迸った――着弾。右腕が肩から爆ぜ脱落。
 迷わぬ。ただこの一刀のもと、命を賭して敵を切り裂くのみ。
 双眸に覚悟が灯る。真紅の眼光が煙を見据え――視た。

「離せよてめえ!」
「なンだよ、俺とデートはイヤなのか?」
「狂ってんじゃねえの、あんた!」
「ハ。狂気の沙汰ってか――上等だぜ」
 いた。ふたりとも健在、どちらも熱線に灼かれてすさまじい有り様だ。
 だがクロウは血だらけで、なおもラビットバニーを足止めしている。
 狂乱したラビットバニーは、襲い来る死神を見返した。恐慌した。
「ウソでしょ」
「源次ィ!! ぶちこめや!!」
「――応」
 これなるは異形の剣。片腕のみ、かつ逆手によって放たれる神速抜刀。
 意識の外、尋常ならざる剣理によって放たれる、文字通りの魔剣である。
 影より放たれることから、その業はこう呼ばれる――"無明抜刀"と。
「たやすく見切れると、思うな……!!」
 ラビットバニーは何かを叫んだ。一閃はそれすらも許さぬ。
 斬撃。異形の頸がはね飛ぶ。クロウは――皮一枚裂かれ、しかし無事。
 男と男が視線を交わした。倒れる寸前、ふたりは互いの力を称え合った。
 煙が吹き荒れて消える。鉄火場に、静寂が訪れた。

 ――敵は、意地と信念と、信頼のコンビネーションの前に斃れたのだ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月18日


挿絵イラスト