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バトルオブフラワーズ⑩〜絶対無敵VS絶対フラグ

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ラビットバニー

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●絶対無敵VS絶対フラグ
「エイプモンキー戦、お疲れ様でした! 今度はウサギさん……カワイイ怪人『ラビットバニー』です!!」
 ルル・ミール(賢者の卵・f06050)はペコッと下げた頭をぐわっと上げ、握り拳。
 現場の状況はエイプモンキーと同じだ。システム・フラワーズ内部の『咲き乱れる花々の足場』がラビットバニーに集中している為、彼女を倒さない限り先には進めない。
 そしてラビットバニーは『絶対無敵バリア』というものに覆われていて絶対無敵な為、ありとあらゆる攻撃が一切効かない――のだが、弱点があった。
「なんと、『エモいもの』を見ると絶対無敵バリアが一時的に解除されるんです!」
 しかもエモいかどうかの基準はかなりのガバ判定。
 可愛い、カッコイイ、面白い、お色気、口から水を吐き出すフグ等々。平たくいうと、SNSでバズるものはラビットバニーの『エモい』に該当する、と思っていい。
「絶対無敵とは、って検索したくなるガバ判定です……うーん、最強能力だから制限が厳しいんでしょうか?」
 不思議そうに首を傾げたルルが、でもこれはものすご~くチャンスです! と両目をぴかぴかさせた。
 SNSでバズるもの、つまりラビットバニーが「エモ~~!!」となりそうなものは多々あるが、その中にはいにしえより親しまれてきたものも含まれている。それは。
「戦いにおける生存フラグ、死亡フラグです!」

 ――この戦いが終わったらプロポーズするんだ。
 ――実は、もうすぐ子供が生まれるんだ。
 ――ここは俺がやる、あの場所で落ち合おうぜ!
 ――あんただけにいい格好させると思う? 最後まで付き合うよ!

 生き残るという意志。帰るという決意。負けないという気概。そういったフラグを口にした人物の魂の輝きは増し、見ている者の心を震わす魔法のエッセンスになる。
 フラグ満載の台詞に『負けられない理由』『帰りたい場所、存在』を更に加えれば、それはもうエモエモのエモ。わんこそばならぬ、わんこエモ。ラビットバニー大喜び間違いなしだ。
 キマイラフューチャーの未来がかかっているので、大事な人や故郷といったものをでっちあげても全く問題ない。ラビットバニーには確認出来ないし。
「ということで、皆さんのエモをガンガンぶつけて、ラビットバニーを倒してください!」


東間
 閲覧ありがとうございます。
 モンキーの次はバニー。可愛い。

●プレイングについて
 オープニング公開時より受け付けております。
 キャパシティを超えるまでは頑張りますが、超えた場合、プレイングをお返しする可能性がございます。あらかじめご了承くださいませ。

●リプレイについて
 ラビットバニーのいる所に到着済み。
 ラビットバニー1体との戦いです。
 自らフラグを立てて、立ち向かいましょう。
 ポイントはオープニングにある通り。
 絶対無敵バリアが一時解除されれば、攻撃は通るようになります。

●お願い
 同行者様がいる方は迷子防止の為にお相手の名前(ニックネーム可)とIDを。
 団体参加(4名まで)の場合はグループ名の明記をお願い致します。
 失効日がバラバラですと、納品に間に合わず一度流さざるをえない可能性がある為、プレイング送信日は統一していただけると助かります。

●特殊ルール
 ラビットバニーは必ず、猟兵に先制して『絶対無敵バリアを展開するユーベルコード(POW、SPD、WIZ)』を使ってきます。
 絶対無敵バリアは本当に絶対無敵で、あらゆる攻撃を無効化しますが、「ラビットバニーがエモい物を目撃する」と、精神集中が乱れてバリアが消滅します。
 ラビットバニーのエモい基準はかなりユルいので、バリアの解除は比較的容易と思われますが、バリアなしでも彼女は相当の実力者です。

 以上です。
 皆様のご参加、お待ちしております。
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第1章 ボス戦 『カワイイ怪人『ラビットバニー』』

POW   :    赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    うさちゃんカンフー
【絶対無敵バリア展開後、兎面の目が光る】事で【うさちゃんカンフーモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    おはなハッキング
【絶対無敵バリア展開後、両手の指先】から【システム・フラワーズ制御ビーム】を放ち、【花の足場を自在に操作する事】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:和狸56

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

セツナ・クラルス
別人格ゼロを召喚
一人称はオレ
瞳の色は金
目つきや口が悪いこと以外は彼とほぼ同じ外見

死亡フラグというのがどんなものか分からないが
普段通り戦えばどうってことないだろう
それに今の私はすこぶる調子がいい
ふふふ、これなら私一人でもいいところまで善戦できるんじゃないかな
ゼロは特等席で私の勇姿を見てていてくれるかい?
自信たっぷりにフラグ増し増しのセリフで挑発
それからもせっせとフラグを立て続ける

殺気を隠さず、
火の魔法を込めた鎌を全力で振り切る
あ…れ…?
…わ、私の力はこの程度じゃ…
態勢を立て直そうとするも
空振りに動揺を抑えられない

と、セツナが一人芸をしている間に
こっそり敵の背後に回ったゼロが騙し討ちをしかける



「え、めちゃクリソツじゃん! ウケるー!」
 並ぶセツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)と、もう一人のセツナ――ゼロを見たラビットバニーが楽しげに跳ね、足元覆う花々が舞った。
 こちらが動いた瞬間、ラビットバニーは絶対無敵バリアを展開し攻撃してくるだろう。ならば。
「おいセツナ、死亡フラグが何かちゃんとわかってんのか」
 隣のゼロ――もう一人の自分に、セツナはにこり。
 死亡フラグがどのようなものかは分からないが、普段通り戦えばどうという事はないだろう。穏やかな声にゼロが大きな溜息をつくが、セツナはラビットバニーを見据えてまた笑う。
「それに今の私はすこぶる調子がいい。ふふふ、これなら私一人でもいいところまで善戦できるんじゃないかな。ゼロは特等席で私の勇姿を見てていてくれるかい?」
「うっそマジ? あーしをナメてっとアンタ、ションボリ丸になっからね? マジマジのマジで!」
 そう、セツナの自信たっぷりの挑発はフラグ乱立台詞でぎゅうぎゅうだ。
 対するラビットバニーも自信たっぷり。絶対的パワーがラビットバニーを覆った――そう感じた瞬間、兎面の両目がビカァン! と輝いて。
「モンキーやられてっからね、あーしがここでアンタらボコればマジ卍っしょ!」
 地を蹴ったラビットバニーの姿が一瞬で迫る。砲弾の如く叩き込まれた一撃にセツナの顔が歪むが、それでも笑んで――そして殺気を隠さぬまま、手にした鎌を火で染め上げ力の限り振り切った。
「あ……れ……? ……わ、私の力はこの程度じゃ……」
 ラビットバニーの絶対無敵バリアによって阻まれ、届かずに終わった一撃。動揺を抑えられないセツナ――という一人芸の間に、ラビットバニーの背後に跳んだゼロの一撃が閃いて。
「っくそ……!」
 再び攻撃を無効化されたゼロに、そしてセツナにラビットバニーの顔、もとい兎面が向く。
「負けフラグ立てまくりだした時はまぁビビったけど? でもあーしの心を乱すには、ちょーっとばかしエモさ足りなくね? 的な?」
 フラグとしてはバッチシだったけどね!
 花々舞うそこに悠然と立つラビットバニーの全身からは、尚も強者の空気が溢れている。しかし、絶対無敵のガバ判定を知る猟兵が他にもいると知るセツナの笑みは、崩れない。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

エリス・ガーデナー
「アタシ、仲間と一緒に海に行く約束をしているの…」
ここで倒れたら、約束を守れなくなる
「アンタも、骸の海より夏の海が似合う女になれば……一緒に……!」
情念籠めた身振り手振りとパフォーマンス!
…彼女の種族が人間らしいのは気になるところ
一緒に行くことはなくとも、この花畑をビキニで暴れてやるわ!

バリアを破れたら『王女蜂の針仕事』。
敵のUCで足場が動いて狙いがつけ難いなら意表を突く!
まず敵と上空に向けて鉄杭を発射!
直接狙いの杭は囮。アタシは上空の杭を追いかけジャンプ!
ピラーで杭を薙ぎ払い、敵に打ち込む!
更にピラーを槍投げしての2回攻撃狙い。念動力で向き調整。
「これなら浜辺のスイカ割りもアタシの優勝ね!」



「次はアタシがアンタの相手をしてあげるわ!」
 双眸に強い意志を浮かべた少女、エリス・ガーデナー(不器用なニンギョウ・f01337)の声にラビットバニーが振り返る。兎面を被っているので相変わらず表情は判らないが、エリスはラビットバニーが笑ったように思えた。
「りょ。とりま、最初はコレね!!」
 ラビットバニーの全身が絶対無敵バリアに覆われ、ネイルで彩られた両手の指先から迸ったビームがエリスの足元を指す。ビームが足元の花々を射抜いた瞬間、そこは大波に揺られる葉のようにぐらぐらし始め、とてもじゃないが動ける状況ではない。
「っ……!」
 移動を封じられたエリスはバランスを崩しかける。しかし、淡色の花々に満ちた空間に立つラビットバニーをしっかりと見つめ、
「アタシ、仲間と一緒に海に行く約束をしているの……」
 ぴく。
 ラビットバニーの肩が跳ねた。顔、もとい兎面の『視線』がうろうろし始める。
「ア……あー、うん、アンタ水着似合いそー。てかあーしと体型似てっし、ぜってー色々似合うよね?」
 熱い砂浜。輝く海。仲間と凄く、眩しいひととき。そこに至るには、今という困難を超えなければならない。ここで倒れたら、仲間との約束を守れなくなる。ぐらつぶ花々を踏み締めるエリスの声や手には、力が――心が籠もっていって。
「アンタも、骸の海より夏の海が似合う女になれば……一緒に……!」
「っ……!?」
 情念籠めた身振り手振り。真っ直ぐに向ける紫の双眸は熱い意志で輝き、それらを正面からぶつけられたラビットバニーの指先は震えていた。
「ア、アンタ……海行くダチいんのに、あーしにそんなコト言うとか……」

 エッッッ(略)ッッッモ……。

 敵対関係にある相手へ向ける真っ直ぐな情。戦場だからこそ輝く関係と言葉。
 力いっぱい感情籠めた呟きがぼろっと零れた瞬間、絶対無敵バリアがシャボン玉のようにあっけなく解除された。
 直後に連続で響いた発射音。弾かれるように顔を上げたラビットバニーが見たのは、自分と上空それぞれに向かって宙を飛ぶ鉄杭――と、上空の杭、その後ろについたエリスの姿。
 ピラーで薙ぎ払った杭は、ぽかん顔のラビットバニー目がけ爆発的な勢いで翔け――。
「あっ、ちょ、アンタなんッ――アー!!?」
 悲鳴を上げたラビットバニーの容姿は人間種のようで、エリスとしてはそこが気になるところ。しかしラビットバニーはオブリビオン。一緒に海へ、は出来ずとも今は――今だけは、この花畑をビキニで暴れるのみ!
「これもつけてあげるわ!!」
 力籠めて投げたピラーも豪速でプレゼント。向き調整は念動力で完璧に。
「鬼イタイんだけど!? ひどくね!? ひとのエモツボ突いて痛めつけるとかひどくね!? 確かにあーしの基準ガバいけど!」
「これなら浜辺のスイカ割りもアタシの優勝ね!」
「は!? あーしの頭こうだけど、あーしだってスイカくらいヨユーで割れっし!? てか、あーしまだ動けっからあーしのが有利っしょ!!」
 どーよ! と胸を張るラビットバニーは、本人の言葉通り確かにまだ動けるようだが、エリスもくすっと余裕の笑み。エモい波の第三波は、すぐそこまで来ている。

成功 🔵​🔵​🔴​

コノハ・ライゼ
たぬちゃん(f03797)と

はぁ、ナルホド
こりゃ演じ甲斐ありそうだコト、とは胸の内
相方をちらと見、内緒のポーズ

無敵だかナンだか知らないケド
コッチにも退けない訳ってのがあんの
バリアつっても触れぬ訳じゃねぇでしょ
オレが仕掛けて隙を作る間に頼んだヨ、さつま!

言葉通り猛攻仕掛けるフリで距離詰めて
当たりもしないナイフを振る
ついでにこっそり肌斬って血を吸わせトコ

怯むンじゃナイよ
守ってきたあの場所にはまだ
アンタの手を必要とするヒトが待ってンだから

一瞬でも解除されたら『高速詠唱』で【紅牙】発動
牙で相手を抑え込み相方に合わせ『傷口をえぐる』

なあんて、と内心舌出しつつ相方にウインクひとつ
まあ強ち嘘でもナイかもね?


火狸・さつま
コノf03130と


コノへ、にこっと笑顔だけを返して


二人で組めば、何とか、なる
今までも、そう、してきたんだから
今回だって…!
そんな感じで適当に合わせつつ
コノに続いて雷火で攻撃

っ!!
効かない、みたい、だ、よ…!
…ねぇ、コノ?
俺、この戦いに勝って…そんで無事帰えれたら……
伝えたい事、あったんだ…
だから、一緒に。帰らなきゃ。

あ!待って…駄目、だよ、あんま、突っ込んだら…!
バッ!とコノを『かばう』
うん、だって、本当に必要とされてるのは……
だから…後、頼んだよ


コノが相手を抑え込んだところへ
雷火撃ち込みつつ距離を詰め
彩霞の雷属性攻撃纏わせた2回攻撃【粉砕】


見切りにて攻撃ギリ躱し
オーラ防御で防ぎ
激痛耐性で凌ぐ



 くるっと自分達のほうを振り返ったラビートバニーを見て、コノハ・ライゼ(空々・f03130)はその口にゆっくり弧を描いた。
 ナルホド、こりゃ演じ甲斐がありそうだコト。
 相方をちらり。内緒のポーズに、ぱちり目の合った火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)の返事はにこっと笑顔。
「ま、イケメンが相手でもあーしの絶対無敵バリアは絶対無敵だかんね」
「無敵だかナンだか知らないケド、コッチにも退けない訳ってのがあんの」
「二人で組めば、何とか、なる。今までも、そう、してきたんだから、今回だって……!」
「え、アンタらニコイチ? そーゆうのあーし嫌いじゃないよ! むしろ好きってゆーか?」
 ラビットバニーは心底楽しげに声を弾ませ、後背の赤べこキャノンをぐるんっと前へ。絶対無敵バリアが一瞬でラビットバニーを覆った瞬間、ぺこぺこ揺れる赤べこの砲口がドウン! と火を噴いた。花々を蹴って迫るコノハを呑んだ一撃が、花片と煙を激しく踊らせる。
「っ……バリアつっても触れぬ訳じゃねぇでしょ。オレが仕掛けて隙を作る間に頼んだヨ、さつま!」
 舞う花片を超えてラビットバニーへと揮ったナイフは、絶対無敵を謳うバリアに触れるだけ。花々の地を駆け抜けたコノハも尾全体に拡げた文様から黒雷を落とすが、結果は同じ。
「っ!! 効かない、みたい、だ、よ……!」
「だぁーから言ったっしょー? あーしの『コレ』は絶対無敵なんだって。てことでもう一発! ウェーイ!!」
 花火を打ち上げるような軽快さで赤べこキャノンが再びドウン!!
 しかしこの二人、そんな事は百も承知なわけで。
 そしてあの絶対無敵の対処法も、ちゃあんと心得ているわけで。
「怯むンじゃナイよ。守ってきたあの場所にはまだ、アンタの手を必要とするヒトが待ってンだから」
 ハッ――! と息を呑む音がした。
 パッションピンクな兎面がガタッと揺れていた。
「……ねぇ、コノ?」
「ン、何」
「俺、この戦いに勝って……そんで無事帰れたら……伝えたい事、あったんだ……」
 上る煙と花片から顔を上げたさつまの呟きに、え、とかすかな驚きを漏らしたのは先程ガタッと揺れた兎面から。さつまはソワソワし始めたラビットバニーを見据えたまま、ふ、と笑う。
「だから、一緒に。帰らなきゃ」
「……そりゃ楽しみ。じゃ、さっさと帰ンないとね!」
「あ! 待って……駄目、だよ、あんま、突っ込んだら……!」
 花々の地面を蹴って飛び出したコノハを勢いよく庇ったせいで、淡色の花片が払われたように舞った。だって――だって、本当に必要とされてるのは。さつまは後ろに庇ったコノハを見て、笑う。
「だから……後、頼んだよ」
「ぢょっど待っで無理!!!!!!!!!」
 ラビットバニーが物凄い声量で叫んで赤べこキャノンをぼとっと落とし、赤べこキャノンにしがみついて「エモエモのエモじゃ~~~~ん!!」とジタバタし始めた。
 絶対無敵バリアを前にして、それでも退けぬと、帰るのだと語り合う二人。それは守ってきた場所の為。自分を必要とする誰かの為。そして――伝えたい事の為に、尚も戦うのだと、そう訴える二人の姿が絶対無敵バリアの一時解除にガッチリ繋がっていた。
「あーしの中のエモダムが鬼速度で満タンに……ヤバ!! これ溢れる! エモが溢れ――ああああ痛い痛いマジ痛い!!」
 真新しい真紅で溝を濡らしたコノハの刃が獰猛な『牙』を剥き、ラビットバニーを抑え込むその間に、黒雷を烈しく見舞ったさつまの想いで『彩霞』がバチリと雷を纏う。それに合わせて牙は柔肌を抉り、突き立てた攻撃が周りの花ごとラビットバニーを貫いた。
 色々言って、演じたケド。
(「なあんて」)
 コノハは内心舌を出しながら相方にウインクをひとつ。
 さつまはパチリと目を丸くした後、ニコッと返事をした。
 強ち嘘でもない――かも。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

泉宮・瑠碧
エモ、という言葉もあるのか…
つまり好みやら興味と捉えれば良い、のか?
フラグは意味は分かるが…
例えでも嘘は極力つきたくはないので
意志や決意などをそのまま言葉にすれば良いだろうか…

僕は風鳥飛行で
まず鳥の円らな瞳でバニーを見詰めよう
くりっと首を傾げて見たり
翼を広げて頑張って威嚇や
飛ぶ前にてちてち歩いてみたり…
良い子だね、と撫でればうっとり誇らしげな風鳥

第六感も使い
多少でもバリアが崩れたら弓でスナイパーも使って射かける
相手の攻撃には見切りやオーラ防御で

僕は、必ず故郷へ帰らなくては
滅亡跡で、皆の魂にそう約束したのだから
まだ、皆の所へは行けないと…
…大切なあの子達(故郷の木々)だって、きっと待っているから



「うーーーっわ! 鬼デカじゃん! あっ待って、これ映え映えじゃね?」
 巨大な鳥――泉宮・瑠碧(月白・f04280)の願いに応えた『風』と、それに乗った瑠碧。互いの命をひとつとしたその姿は、システム・フラワーズに通じるこの場所をより幻想的に見せる。
 しかしラビットバニーの兎面、その両目は怪しい光を放った後。絶対無敵バリアを得ているラビットバニーは円を描くように瑠碧と風鳥の周りを素早く跳ね、様子を窺って――と、風鳥が円らな瞳でラビットバニーを見詰めた。
「うわ神目線やばたん!」
 くりっと首を傾げれば、「鬼デカなのに仕草カワイイとか最強じゃん?」。翼広げ頑張って威嚇すれば「あーしとやんの?」と身構えたが、てちてち歩く姿に今度は拍手と楽しく忙しい様子。
「良い子だね」
 瑠碧に撫でられた風鳥はうっとり誇らしげ。それを見ていたラビットバニーがうんうん頷き、首を傾げた。
「で、それ、アニマルセラピー的な何か? 終わりならさあ、あーしのうさちゃんカンフーでぶっ倒れなよ! したらあーしテンアゲだし!!」
(「来る……!」)
 瑠碧は全身に走った直感に従い風鳥にしっかりしがみつく。生命を共有した風鳥が翼をはばたかせると、ラビットバニーが跳躍ひとつで目の前へ。
「っく……!」
 守りのオーラで身を包んでいてもラビットバニーの蹴りは凄まじい。瑠碧はすかさず番えた矢を放つが、バリアは未だ健在。ならば、エモ、というものを刺激するしかないが、瑠碧にとって『エモ』『エモい』は初めて触れた言葉だ。それでも、
(「彼女の好みや興味を刺激すれば良いようだが……」)
 フラグは分かる。しかし、例えでも嘘は極力つきたくはないから――。
「僕は、必ず故郷へ帰らなくては。滅亡跡で、皆の魂にそう約束したのだから」
 風鳥に距離を取らせ呟いた言葉に、ラビットバニーがハッ、と肩を跳ねさせた。
 故郷へ帰る。その後に入った『滅亡』という単語。ラビットバニーのエモレーダーに瑠碧の言葉はピコーンピコーンと引っかかっている様子。
 まだ、皆の所へは行けない。
 囁きもラビットバニーのエモイヤー(聴覚)は拾っただろう。瑠碧に向けられた人差し指の震えがその証拠。
 意志と決意をそのまま『音』という形にして、瑠碧はトドメの言葉を紡いだ。
「……大切なあの子達だって、きっと待っているから」
 あの子達。それを聞いたラビットバニーは瑠碧より幼い子供達を思い浮かべただろう。しかし『あの子達(故郷の木々)』だと知らないラビットバニーは両手でバッ! と兎面の両目を覆った。
「誰もいない故郷とか待ってヤバすぎっしょ、ハートフルボッコワードっしょ! だってアンタ、ちょ、しかも皆の所へは行けないって、あーーーーだめだめ! エモエモのエモ!」
(「あ、崩れた」)
 絶対無敵バリアが絶対無敵でなくなった瞬間、瑠碧は矢を射った。
「あイッタァーーーーーー!?」
 その一矢は、エモに浸っていたラビットバニーを現実(リアル)へ戻すのに十分過ぎた一矢。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニュイ・ミヴ
・作戦
先行者さんをかばい、千切れてから演技開始。※激痛耐性とオーラ防御で動ける程度は保つ
千切れた体の一部を【ワフマニ・ミヴ】で縁者と見立て物陰から這ってこさせて
ニュイを守るため体当たり特攻→バリアで無駄死に感→覚醒!!


ふるふる…
こんなうささん勝てっこないふる…

あっあなたは…
生き別れの兄さん!?「ニュイお前にこいつは無理だ」
そしてあなたは従姉の…!「下がってなさいおチビちゃん」
(特攻させる
そんな…
かぞくの仇…ニュイは…
――負けられません!!

【バウンドボディ】『第六感』で狙いかき乱す跳ね飛び高速体当たり、一気に詰め
【ンヌネノ・ミヴ】『串刺し』攻撃
ニュイもさいごに輝けたでしょうか…がくっ

※諸々歓迎



「さっきからエモの波がちょー来てっけどあーしやられてるコト多くない!? 欲望マックスでガチんの大歓迎だけど、あーしがしょんぼり丸とかテンサゲじゃん!」
 不満の声をばら撒くラビットバニーの体は絶対無敵バリアに包まれて、決して取れない落ちない外れない、な兎面は両目をピカピカびかびか。その周りには、ニュイ・ミヴ(新約・f02077)の一部がジャム瓶を弾けさせたように散らばっていて――。
「ふるふる……こんなうささん勝てっこないふる……」
 ニュイ本人は声を震わせながらボディ全体をくたりとさせ、ふるふるぷるぷる、悲しみの絶望モード。それに機嫌を良くしたラビットバニーがダブルピースを決めてウェーイ! と、はしゃいでいた――が。
 かさっ。
 足元を覆う花々の下で、何か。
「ん?」
「あっあなたは……」
 ふるふるしていたニュイもそれに気付いて顔(?)を上げ、花片の影から這い出てきた煌めく漆黒に、ふるると体を震わせた。あれは、あれは間違いない――!
「生き別れの兄さん!?」
「うっそアンタのアニキ!? クリソツじゃん! てかちっさくね!?」
「ニュイお前にこいつは無理だ」
 むにむに動いた漆黒は、力強い、そして何だか知っている気がする声を発した。
「そしてあなたは従姉の……!」
「えっこっちのクリソツもアンタの親戚!?」
「下がってなさいおチビちゃん」
 ふるっと揺れた漆黒はどこか凛とした雰囲気だが、この声もどこかで。
 一体何ミヴさんなんだ。その疑問が生まれるより早く、突如駆け付けたミヴファミリーが一斉にラビットバニーへ突撃し――ラビットバニーと絶対無敵バリアの前に儚く散っていく。
「そんな……」
「え、なんかあーしが全部悪いカンジ? いや確かにやったのあーしだけど」
 いや。それよりも。
 これは。このシチュエーションは。
「かぞくの仇……ニュイは……」
 ごくり。ラビットバニーが唾を飲む。
「――負けられません!!」
「あっ、あっ、これアレ、ひとりぼっちになってからの覚醒シチュとか激エモなアレ」
 ラビットバニーが胸を押さえてハアハアしている間に、ニュイは全身をフルに使ってラビットバニーに迫った。周りの花片は飛沫のように踊り、「あっヤバッ」と気付いたラビットバニーが赤べこキャノンをぐるんぐるんと揮う。ニュイはそれを『感じた』ままに躱し、時に足場にして跳ね飛んでと翻弄し――。
「これが! ニュイ達かぞくの力です!!」
 絶対無敵バリアが解除されている今、一瞬で迸ったボディはラビットバニーに容易く食らい付いた。
「イタタタやばいやばいマジやばいって! っそぉい!!」
「あっ」
 ラビットバニーが腕をぶんっ。砲丸投げ選手レベルの勢いで振り払われたニュイが、べちんっと春色に満ちた地面へ落ちていき。
「ニュイもさいごに輝けたでしょうか……がくっ」
 静寂。ラビットバニーは動かなくなったニュイと周りをキョロキョロ見て。
「……え、えっと。あ、あーしの勝ち~! みたいな?」
 でもこれ、ゲームに勝ったけど勝負では負けた的なやつじゃね? と、考えるラビットバニーの背後。きらきらを抱えた漆黒ボディが、そろりそろ~り、離れていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

蓮条・凪紗
全く、面白い顔とけしからん乳しおってからに。
その会津名産品で何が出来るんや。
と挑発しまくって。

まぁぶっ放して来るやろ。真正面から食らって吹っ飛びましょか。
「チョーまじウケる! 大勝利なんですけど!」とお前は言うんやろ?
倒れたまま台詞先取りして、ハッ!?とか言わせる。
身を起こしつつ、額から流れる血を舐め取りながら、魂喰の衝動発動。

勝利を確信した悪役には死亡フラグが立つ。
即ち、此方には生存フラグが立つと言う理論。
フラグ建立さすのもエエやん。

※以降台詞は標準語

悪いが、お前ら過去の存在にこの未来(フューチャー)を壊される訳にはいかねぇんだよ老害が。
その命、喰らい貰い受ける。
(両手の爪で切り刻み攻撃)



「全く、面白い顔とけしからん乳しおってからに」
「! 今あーしのコト褒めたの誰!?」
 勢いよく振り返ったラビットバニーの後ろで、赤べこキャノンの頭がぺこぺこ揺れた。それを見た蓮条・凪紗(魂喰の翡翠・f12887)は、「はぁ~……」とたっぷり溜息。
「その会津名産品で何が出来るんや」
 挑発オブ挑発なそれに、ラビットバニーがニーハイブーツの爪先でタンタンッと足元を叩く。ぐるんっと赤べこキャノンの砲口を前に向け、
「何ができっかって? そんなん、ぶっ飛ばされればわかるっしょ!」
 ドウン! 空気が大きく震え、花片がド派手に舞う。
 端から見れば無謀ともいえる挑発だ。それを証明するかのように、赤べこキャノンの一発を真正面から食らった凪紗の体は面白いくらいに吹っ飛び、花だらけの地面をゴロゴロ転がっていく。めちゃくちゃに弾け飛んだ花片が凪紗の上に降り積もった。
「チョーまじウケる! だ――」
「『大勝利なんですけど!』とお前は言うんやろ?」
「ハッ!?」
 凪紗は倒れたまま。しかし今の声は間違いなく彼のものだ。
 台詞を先取りされたラビットバニーが凝視する中、ゆっくり身を起こした凪紗の額からは血が伝い落ちていく。それを舐め取った瞬間、両手の指先に眠る魔術翡翠に、どくん、と力が流れ込んだ。
「勝利を確信した悪役には死亡フラグが立つ。即ち、此方には生存フラグが立つと言う理論。フラグ建立さすのもエエやん」
 ――なぁ?
 立ち上がり、笑う凪紗の両手から伸びていく鋭い爪は翡翠色。
「あ、アンタまさか……」
 変わっていく空気。立てられていくフラグ。その両方が合わさった『今』という状況が、ラビットバニーの足を一歩退がらせていく。そして。
「悪いが、お前ら過去の存在にこの未来(フューチャー)を壊される訳にはいかねぇんだよ老害が。その命、喰らい貰い受ける」
「――!」

 いとエモしじゃん――……。

 ラビットバニーがぽつり零す、その一瞬前。絶対無敵バリアは凪紗がオラオラと立てたフラグ、方言から標準語、標準語で告げた意志と宣言によって霧散した。
 一時とはいえ、それは大きな好機。
 一気に駆け出した凪紗の後を、遅れて花片が鮮やかに舞い――。
「あっ!」
 ヤバ、と気付いたラビットバニーを翡翠の両爪が切り刻む。

大成功 🔵​🔵​🔵​

揺歌語・なびき
ここで負ける訳にはいかない
おれには待ってる子が居るんだ
大切なあの子の、結婚式が…!(想いの丈を込め

妹のように、娘のように大切に育ててきたかわいい子が
おれとバージンロードを歩きたいって笑ったんだ
その約束を破ったりしない!

カンフーモードに銃で応戦
バリアがある以上苦戦は承知
第六感と野生の勘で避け続け、此方がダメージを受けても攻撃を続ける

ここで、諦めてたまるか
あの子の花嫁姿をこの目に焼きつけるんだ!
(敵の目を見てはっきりと宣言、踏みとどまり急接近

バリア解除で即UC
素手と棘鞭の猛攻に最後まで付き合ってもらうよ

は?いやうちの子に結婚なんてさせないから
どこぞの馬の骨にとられてたまるか(素



 花々舞う空間で次に響き始めたのは拳撃と蹴撃、そして銃声。
 一撃、一発が響く度、花片が激しく舞い散った。
「ガチヤバ展開から盛り返し! さすが幹部なあーし!」
「っ……!」
 絶対無敵バリアとカンフーモード。二つを駆使するラビットバニーに、揺歌語・なびき(春怨・f02050)は持てる感覚全てと小型銃で応戦していた。
 ラビットバニー本人の実力に加え、絶対無敵バリアという強固な壁。苦戦は当然。しかし、それでもなびきは攻撃し続けた。すんでの所で体を捻って拳を躱し、余裕の雰囲気で構え直すラビットバニーへと銃口を向ける。
「ここで負ける訳にはいかない……おれには待ってる子が居るんだ。大切なあの子の、結婚式が……!」
「えっ!?」
 想いの丈が籠もった言葉にラビットバニーの胸はトゥンク。兎面のほっぺも、なぜか赤くなった。しかし人生の節目、そのひとつを向かえようとする大切なあの子を待たせているなびきには、ラビットバニーのリアクションなど関係なし。
「行くぞラビットバニー……!」
「ちょちょちょちょ! あの子について詳しく! そしてあーしは距離を取る、パーペキ!」
 華麗なバク転をキメた後、「喋れ」とジェスチャーするラビットバニーに、なびきは銃口をぴたりと向けたままハッキリと口にした。
「あの子……妹のように、娘のように大切に育ててきたかわいい子のことか」
「うっ」
 ラビットバニーが胸を押さえた。なびきは更に続ける。
「おれとバージンロードを歩きたいって笑ったんだ。その約束を破ったりしない!」
 その瞬間、ラビットバニーは想像した。愛し、慈しんできた『あの子』が運命を共にする誰かと出逢い、結ばれる――その瞬間に向かう『あの子』と、『あの子』と腕を組んでバージンロードを歩くなびき。
「ここで、諦めてたまるか。あの子の花嫁姿をこの目に焼きつけるんだ!」
 なんて尊い。
 なんてエモい。
 きらっ、と光る雫が兎面の下から零れ落ちた。
 あとついでに絶対無敵バリアが絶対無敵じゃなくなったのだが、エモのトルネード略してエモネードに身を任せているラビットバニーは気付いていなかった。
 自分の目を見て、ハッキリと宣言したなびきの桜色から目が離せぬまま、急接近を許し――烈しく乱れ舞う棘鞭に全身を裂かれていく。
 猛攻にラビットバニーがガクッと膝を突いた。しかし、兎面の下からはアドレナリンを感じる荒い息遣いがハアハアとだだ漏れていて。
「っくぅー! 義理の家族だけどマジの家族とか、そんな二人がいる結婚式とかさーあー! あーしのハートが震えに震えるっつーか! マジでッベーし!」
「は? いやうちの子に結婚なんてさせないから」
 ――は?
 ラビットバニーが固まった。
「え、何いってんのアンタ、だってさっきあんな」
「そっちこそ何言ってるんだ」
 どこぞの馬の骨にうちの子をとられてたまるか。

成功 🔵​🔵​🔴​

ステラ・アルゲン
カガリ(f04556)と

この先に進むにはあの兎を倒さなくてはならないんだな?

相手に近付こうとすればキャノンが放たれるはず
それを受けてボロボロになり派手に転がる

これしきの傷大丈夫だ。お前こそ大丈夫か?
…お前と一緒ならどんな敵でも倒せる気がする
なぁ、これが終わったらキスの一つくらいしてくれよ
じょ、冗談だったのに…

とにかくバリアが壊れたら無理やり立ち上がり【激痛耐性】
壊れたその隙を突くように【ダッシュ】で近付こう
攻撃は【武器受け】で流す
兎は逃さないように壁際に追い詰めて壁ドンしようか

…私達は先に進まねばならない。悪いがお前を斬らせてもらう
キャノンを斬って攻撃を封じてから、兎を斬ろうか


出水宮・カガリ
ステラ(f04503)と

避けては通れない相手だが、絶対無敵バリアとは
カガリも壁だからなぁ、防壁の重要さはわかっているつもりだが

あのキャノン、まさか分裂はしまい(フラグ)
ステラと別方向から仕掛けよう
見るからに防御重視のカガリよりは、ステラを狙う…気がする

倒れたステラに駆け寄り抱き上げ
冗談で求められたキスには、その場で応えよう
……キスをしたのだから。この戦いは必ず終わる。我らの勝利でな。

ちゃんと、見ていたか?(怪人に視線投げ)

人型を保っていられるぎりぎりまでステラを支えながら、この身は黄金城壁へ(【泉門変生】)
ステラと怪人を壁に囲うが、ステラはカガリの鍵だから出てこれる
お前は、逃がさないがな



「ここまでヤバくなるとか、あーしの予想外すぎってゆーか何てーか……けどねぇ!」
 ラビットバニーが細い肩に赤べこキャノンを乗せた瞬間、絶対無敵バリアが何度目かの顕現を見せた。あれがある限り、どんな攻撃も意味を為さなくなる。
「あーしの絶対無敵バリアは何べんだって絶対無敵るかんね!」
「……この先に進むにはあの兎を倒さなくてはならないんだな?」
「ああ。だがあのキャノン、まさか分裂はしまい」
 ステラ・アルゲン(流星の騎士・f04503)の隣、さり気なくフラグを立てた出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)は白き鉄門扉の盾を構えながら、凛と流星剣握る恋人に視線のみを向ける。避けては通れない相手との戦いだ、どうしたって激突する事になるが。
(「カガリも壁だからなぁ、防壁の重要さはわかっているつもりだが」)
 ラビットバニーが猟兵を阻む壁であるならば、自分達はこの世界を守る壁だろう。
 だからこそ、ステラは勇ましく駆けた。先手を取られると解っていても、近付く意味がある。
「はン! マッハで来たってヨユーで当てっし!」
 一発。爆ぜる衝撃がステラを派手に転がした次の瞬間、ラビットバニーがステップを踏むようにして反対側――カガリのほうを向いた。
「分裂はしねーけど、アンタらどっちもぶっ飛ばしたげんね!!」
「く……!」
 攻撃力、命中、回数のうち、回数を選んだのだろう。二発見舞ったラビットバニーは赤べこキャノンを後ろ手に持ち、フッフーンと鼻歌を口ずさみながら二人を眺めるばかり。
 絶対無敵バリアと、自身の実力。
 そこから来る余裕の態度。
 だがしかし、ラビットバニーの知らない事が一つある。それが何なのか知らないラビットバニーの視界で、カガリは痛みを無視してボロボロのステラに駆け寄り、抱き上げた。それは一見、麗しの騎士と騎士が支え合うようにも見えるが。
「ステラ」
「これしきの傷大丈夫だ。お前こそ大丈夫か?」
 しっかりと頷いたカガリに、ステラは微笑みを浮かべながらラビットバニーを見る。
「……お前と一緒ならどんな敵でも倒せる気がする。なぁ、これが終わったらキスの一つくらいしてくれよ」
 ん? 今なんて?
 ラビットバニーがそう言う前に、カガリの唇はステラのそこへと重ねられていた。
「じょ、冗談だったのに……」
 白い頬に、かぁ、と朱色差すステラに対し、カガリは涼しげに笑むのみ。
 ちなみにラビットバニーは何ていうか「はわわ」だった。
「……キスをしたのだから。この戦いは必ず終わる。我らの勝利でな。ちゃんと、見ていたか?」
「ひゃわっ? えっ、え、あ、はい…………いやいやいやいや待って待って、アンタらそーゆー関係!? ラブでデスティニーなニコイチ!?」
 何で!
 それを!
 今!
 最高のタイミングで!
「しかもキッス!!!!!」
 と、ラビットバニーが赤べこキャノンを地面にドサッ、からの両手でバンバンバンバン。叩き過ぎて赤べこの頭が物凄い勢いで上下している。虚ろなお目々がガタガタ上下する様を暫し見詰めていたステラとカガリだが、こくり頷き合うと即、駆け出した。
 痛みで顔が歪もうとステラの足は止まらない。それに、支えてくれるカガリがいる。
 言葉は不要。今、というタイミングを捉えた瞬間二人は離れた。
 黄金城壁へと変じたカガリがステラとラビットバニーを囲い、鉄門扉が音を立てて閉じてすぐ、ステラの両腕がラビットバニーをドンッ! と閉じ込める。そうなれば、そこはキラキラ眩しい甘美な世界に早変わり。
「えっ、あ、あーし困るぅ……あ、アンタ猟兵で、あーしオブリビオンじゃん……? …………って違くね!? あーし流されてね!? ちょ、こっから出すっしょ!!」
『ステラはカガリの鍵だから出てこれる。お前は、逃がさないがな』
「なっ……!」
「……私達は先に進まねばならない。悪いがお前を斬らせてもらう」
「残念でしたー! あーしの絶対無敵バリ……あーーーっ!? さっきのエモキッスで一時解除になってるーーー!?」
 気安い空気がキスで甘く爽やかにかき消えた瞬間、ラビットバニーの絶対無敵バリアはその効果をなくしていた。だからこその接近。だからこその城壁内での壁ドン。
 ラビットバニーの指先が動く前にステラの剣が赤べこキャノンを斬首した。
「願いさえ斬り捨てる、我が剣を受けてみよ!」
 閃いた剣の軌跡は、天駆ける一筋の流星が如く。
 清らかに奔った斬撃は、ラビットバニーの天辺から爪先まで一気に駆け抜けて。
「こんな、こんなッ……! エモいの超あったけど、こんなん全然ッ! エモくなーーーーーーーい!!」
 心底悔しそうな声を最後に、ラビットバニーはその姿を散らしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月16日


挿絵イラスト