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バトルオブフラワーズ⑩〜エモーション・センセーション

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ラビットバニー

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●Bunny Funny
 グリモアベース内で展開されるホログラムに映し出されるは、カワイイ怪人『ラビットバニー』。
 着ぐるみの頭部にも似たうさぎを被りながらも、褐色のグラマラスな肢体を惜しげもなく晒した奇抜な格好の女。
 女は笑う。女は謳う。
 どんな攻撃も、バリアを放てば効くことはない。
 何故か? 『絶対無敵』であるからだ。
 されど、決定的な弱点が一つだけ存在した。
 それは――――。

●Attention!!
「お猿さんの次は……うさぎさん? しかも中々のないすばでーだし……って、おっと! それよりも!」
 キマイラフューチャーの危機に呑気している訳にはいかない。
 ラビットバニーにうっかり見惚れてた虜・ジョンドゥ(お気に召すまま・f05137)は、集結した猟兵達の存在に気づくと8bitサングラスをかけて取り繕う。
「や、やあ、みんな! みんなの活躍のおかげで、バトルオブフラワーズは順調に進軍できてるよ。あのエイプモンキーまで早々に制圧できるなんて、すごいよ! お疲れ様、と言いたいところだけれど――それと同時に、第二の関門が拓かれたのさ」
 ジョンドゥはそう肩を竦めながらも、ホログラムに映る『ラビットバニー』を指し示す。
「カワイイ怪人『ラビットバニー』、怪人軍団の幹部のひとりだね。システム・フラワーズの花々の足場は彼女に集中してるから、コイツを倒さなきゃ次には進めないってワケ。
 しかも、ラビットバニーは『絶対無敵バリア』っていうチートめいたモノに覆われてるんだ。どんな攻撃も一切効かない。キミたちのユーベルコードもね。けれど……」
 ぴ、と人差し指を立てて、「ここが重要」と示すように猟兵達を見渡す。

「一つだけ、バリアを打ち破る方法がある。
 ――それは、ラビットバニーに『エモい』を魅せることさ!」

 沈黙。ぽかん、と口を開く者も居れば、首を傾げる者もいる。
 猟兵たちの反応は多種多様。
 慌てた様子でぶんぶん両手を振りながら、ジョンドゥは補足する。
「ま、待って待って、重要なんだってばー! ラビットバニーの心を揺さぶることで、バリアは一時的に解除されるんだ。何が『エモい』か……って言えば、判断基準は幅広いよ。可愛かったり、カッコよかったり、面白かったり……あとはちょっとしたお色気とか、少女漫画めいたときめきとか」
 指折り数えて説明するも、どれもこれもジャンルが違いすぎる。要するに「なんでもアリ」ということか。
「まー、とにかくSNSでバズるようなのはだいたい『エモい』の基準でいいと思うよ!」
 さむずあっぷ! もはや猟兵に丸投げだ!!
「ただ、ひとつボクからアドバイスをするなら……バニーにも『イイ! エモい!』が伝わるような熱量、こだわりは惜しみなく出すといいと思うよ。『エモ』の語源はEmotional、心や感情の揺れ動き――つまりは、『魂を揺さぶる』ってコトさ」
 ゲームコントローラーのグリモアを輝かせながら、ジョンドゥは語る。
 つまりは、ぶつければいいのだ。
 己の感じる、エモいと思ったEmotionalを!

 ――――ゲームを始めますか?
『YES』

 ピロンっ。軽やかな音が鳴り響き、猟兵達はシステム・フラワーズ内部へといざなわれてゆく――。

「頼んだよ、みんな! キミの感じるとっておきを、バニーにぶつけちゃえ!」


夢前アンナ
 エモれ、エモれば、エモるとき!
 夢前アンナです。あなたの想う『エモみ』をぶつけてください!!
 全力で応えます。「あなたの個性が活かせるジャンル」であれば、なんでもオッケーです。
 だいたいはフィーリングですが、えっち過ぎるものはマスタリング対象とさせて頂きます。
 ちなみに、夢前アンナの好みもとい、シナリオ傾向は『心情』『芝居がかった系統』なので、そういったジャンルは若干エモが伝わりやすいかもです。あくまで若干です。

====================
 ラビットバニーは必ず、猟兵に先制して『絶対無敵バリアを展開するユーベルコード(POW、SPD、WIZ)』を使ってきます。
 絶対無敵バリアは本当に絶対無敵で、あらゆる攻撃を無効化しますが、「ラビットバニーがエモい物を目撃する」と、精神集中が乱れてバリアが消滅します。
 ラビットバニーのエモい基準はかなりユルいので、バリアの解除は比較的容易と思われますが、バリアなしでも彼女は相当の実力者です。
====================

 リプレイ開始からそのまま、猟兵の皆さんは『システム・フラワーズ内部』へと到着します。
 そのままラビットバニーと対決することになりますが、必ず先制攻撃を繰り出すのでご注意くださいませ。

 心も魂も! 揺さぶる勢いでのエモみを! お待ちしております!!
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第1章 ボス戦 『カワイイ怪人『ラビットバニー』』

POW   :    赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    うさちゃんカンフー
【絶対無敵バリア展開後、兎面の目が光る】事で【うさちゃんカンフーモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    おはなハッキング
【絶対無敵バリア展開後、両手の指先】から【システム・フラワーズ制御ビーム】を放ち、【花の足場を自在に操作する事】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:和狸56

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Emotional!!

 システム・フラワーズ内部に咲き乱れるは、満開の花々。
 そんな花の足場を踏むのは、ニーハイブーツに包まれたすらりと長い脚。
「あーあ、まさかあーしがこうしてバトることになるとか、マジでバビるって!」
 若者言葉をちりばめてゆるーく独りごちるは、カワイイ怪人『ラビットバニー』。
 背負った赤べこキャノンを撫でながら、猟兵達を待ち構える様は何処か退屈げ。
「でも、あーしには『絶対無敵バリア』があるかんね! どんなユーベルコードも効かないってわけ。
 まあ、あーしのエモ基準がかなりガバいのは否定できないけど……。
 そんでも、アゲてくしかないっしょ!」
 ぐっと両腕をあげ、伸びをひとつ。
 ラビットバニーにとってこの戦いへの意気込みは、かなり緩いものであるようだ。
 女は笑う。女は佇む。
 この戦い、敗戦を懸念するほどでもないのだと。

 ――嗚呼、けれど。この女は知らない、未だ知る由もない。
 猟兵という存在そのものが、どれほどエモの塊であるかなど――!!
シエル・アインストール
はーい皆、超絶美少女電脳ばーちゃるあーてぃすとのシエルよ!
キマイラフューチャーが大変な今こそそう、私の出番!

なぁーにが”カワイイ怪人『ラビットバニー』”よ!
そんなにエモいのが欲しいのね?

なら目に焼きつけなさい!
この、今日という日のために用意された、苺のショートケーキを彷彿とさせるエモい衣装!
ふふん、視聴者の皆も釘付けに……あ痛!?(自分で設置したドローンに脚を引っ掛けて転び中身のイチゴ柄なショート(意味深)が見える!
これはいいお色気ドジっ娘エモ展開! 視聴数もうなぎのぼり間違いなし!)

って何見てんのよ、こ、こっこの私の……許さない!
アンタたち全員(視聴者含む)熱線銃で焼き尽くしてやるんだから!



「はーい、皆! 超絶美少女電脳ばーちゃるあーてぃすとのシエルよ!」
 キラッと、星が飛び出すようなはじける笑顔。
 シエル・アインストール(ばーちゃるあーてぃすとシエル・f03731)は撮影用ドローンを連れ、システム・フラワーズ内部へと足を踏み入れた。
 緊急事態とはいえど、シエルは明るい調子で視聴者に振る舞い続ける。
「キマイラフューチャーが大変な今こそ――そう、私の出番! えーっと、あの目の前に居るのが(私より本当にカワイイかどうかは分かんないけど一応)カワイイ怪人、ラビットバニー……?」
「ちょっとー! そのカギカッコいらないんだけど!?」
「えぇー? だって、”カワイイ怪人『ラビットバニー』”よ?
 自分で『カワイイ』って名乗るの恥ずかしくないの?」
「あんただって自分のこと『超絶美少女』って名乗ってたしー! アンタにエモいのなんて披露できんの?」
 バチバチバチっ!
 両者の眼差しがぶつかり、火花が散る。
 直後、ラビットバニーは両手の指先から制御ビームを放つ。
 シエルの行く手を阻むように、花の足場は寄せ合っていった。
「そう、私を侮ってるってわけね……なら、目に焼きつけなさい!」
 そう高らかに宣したシエルは、くるりと軽やかにターン!
 彼女の此度の衣装は『苺のショートケーキ』をイメージした、こだわり溢れるデザインだ。
「ふ、ふーん、自分をスイーツに見立てたワケ? たしかにデコり具合とかアシメとか、超オシャレじゃん……!」
 ラビットバニーは、ぐぬぬと悔しげながらもシエルのエモい衣装をじっくり眺めて興味津々。
 その反応に手応えを感じたシエルはフフン! と無い胸を張る。
「ふふん、視聴者の皆も釘付けに……あ痛!?」
 それは不意の事故か、或いは視聴者の望みが叶ったのか。
 ドローンに脚を引っ掛けたシエルは盛大に転んでしまう。
 その際、ひらりと翻るスカートから覗いたのは――ヒミツのイチゴ柄なショート(意味深)。
「あっっっっココでお色気チラ見せしちゃう感じ? エモ、激エモだわヤバいって。――――あっ」
 エモを感じた途端、ラビットバニーを覆う絶対無敵バリアが瞬く間に消滅してゆく。
「――って何見てんのよ、こ、こっこの私の……許さない!」
 シエルはゆらりと身を起こした。羞恥に染まる顔もまた愛らしい。
「アンタたち全員(視聴者含む)、熱線銃で焼き尽くしてやるんだから!」
「ちょっ、エモかったんだからそんな怒らなくっても……って、ぎゃーーーー!!?」
 否応なしに、シエルは熱線銃を乱れ打ち! 撮影用ドローンのレンズまでもれなくパリーンと破壊される!!

 ――映像が乱れております。復旧までしばらくお待ち下さい。――

成功 🔵​🔵​🔴​

天御鏡・百々


えもい・・・・・・とな。つまりは感情を揺さぶれば良いわけだな

なれば、我が神楽舞を見るが良い
『巫覡載霊の舞』を使用して光を纏い、神楽舞を披露しよう
輝く後光に、なびく華やかな衣装
神を慰撫するこの舞は、相手が怪人であろうともその心に届くのでは無いか?

単にこれで通じれば良いが、うまくいかぬ場合は
あえて裾を踏んで転んでしまうとするか
童女が転んでも必死に舞おうとする様はどうだろうか?

バリアを解除できれば攻撃だな
敵の防御の隙間を縫って、真朱神楽でなぎ払う(なぎ払い20、防御無視攻撃5)

敵が足場を操るならば、オーラ防御51による障壁を足場にして敵へと迫るとしよう
本来は防御用だが、こういう使い方もできるのだ



「えもい……とな。つまりは感情を揺さぶれば良いわけだな」
 口元を袖で隠し、天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)はきょとんと目をまあるくさせる。
 “えもい”――聞き慣れない言葉ではあれど、状況は解した。
 されど、ラビットバニーはこれ以上の猟兵の侵入を阻むべく、絶対無敵バリアを広げてゆく。
「なれば、我が神楽舞を見るが良い」
「カグラ……マイ……? なんそれ、初耳」
 退屈させないでよ、とでも言うようにふんぞり返るラビットバニー。
 対する百々は、すっと目を伏せたかと思うと――その瞬間、その身体から煌々と光が放たれたのだ。
「ひゃ!? ま、まぶしっ――!」
 その存在感は嫌でも目に焼き付くことだろう。
 そして、百々は舞を始める。
 踊るたびに羽衣はふわりと揺蕩い、身にまとう装束は鮮やかな花の如く様々な彩りを魅せる。
 神を慰撫する百々の舞は、システム・フラワーズの花々すらも霞むほど神々しい。
 彼女の背から差す後光に眩しそうにしながらも――ラビットバニーは、終始その演舞から目を離すことはなかった。
「やっば……これがカグラマイっての? こんだけ洗練された舞をちっちゃい女の子が見せてくれるって……はぁぁぁ、まさにエモ。エモいじゃん……」
 感嘆の溜息と共に、はじけ飛ぶ絶対無敵バリア。
 しまった、とばかりにラビットバニーは制御ビームを放つ。
 花の足場が自在に操られ、奴の地点まで直接向かうことは困難だ。
 ――しかし、
「成程。しかし、既に策は講じてある――」
 百々はそう静かに呟きながら、羽衣の裾と袖をひらりと翻した。
 瞬間、彼女の足元に次々と顕現されるは、淡い光を放つオーラの障壁。
 持ち前のオーラ防御の技能を応用し、足場を形成したのだ。
「なっ――!?」
「本来は防御用だが、こういう使い方もできるのだ。……もしや、これも“えもい”に繋がるのか?」
 飛び石を踏み鳴らすように肉薄し、くるりと舞いながら――百々は薙刀『真朱神楽』を振るう。
 横薙ぎ、一閃。
「きゃあああああ!! そ、その機転も、エモいってマジ……!!!」
 一撃をモロに受けたラビットバニーは、悲鳴に似た歓声をあげてうずくまった。
「――はて。これほどまでに容易にえもいを伝えることができるとは」
 少しばかり不思議そうに首を傾げる百々。
 薙刀の一閃で切り裂かれたシステム・フラワーズの花弁が、ふわりひらりと風に運ばれていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花狩・アシエト
エモい…か…
俺自信ないんだけど大丈夫かな

片思いをしてるねえちゃんへ

紙に書いてきた
「ねえちゃんへ」(初恋の相手)
今どこで何してるんだろうな?
ねえちゃんがいなくなって12年経ちました
俺、やっぱ寂しいよ
どんなに美人で可愛いひと見かけても、ねえちゃんみたいにときめかないんだ
ああきっとこれが、ねえちゃんが運命の人なんだなって思う
でもいいんだ
ねえちゃんが幸せに生きててくれれば、俺が幸せだからさ
孤児院は相棒とうまくやってくから、心配しないで

大好きなねえちゃんへ

…エモいかこれ?
ていうかはっずかし

隙ができたら紅椿で攻撃だおりゃー!

アドリブ、共闘歓迎


マルコ・トリガー
フーン、エモい? なにそれ
わかんないけど、とにかく戦うしかないみたいだね

絶対無敵バリアを消滅させる方法はまだボクにはわからない
先制攻撃は兎面の目から目を離さず、【フェイント】【第六感】でとにかく避ける事だけを考えよう

もしかすると避けきれないかもしれない
でも、ボクには帰らなきゃいけない場所があるから
あいつ(唯一の友達である猫)が待ってる…いや、あいつは気まぐれだから待ってないかも…
あいつはボクの事を友達だと思ってないかもしれないけど…血反吐を吐いてでも帰らなきゃいけない、帰りたいんだ
スピードと反応速度が上がった敵に当たるかわからないけど、一矢でも報いたい
【クイックドロウ】、どうか当たってくれ




戒道・蔵乃祐
◆バリア無効化
貴女方が世界の未来を憂いている心境も理解は出来る

貴女の瞳には
欲望の高まりを失った次世代種族達が、惰性で馴れ合う醜い姿に映るのかもしれない

ですが
度を過ぎた競争社会を捨てて
楽しみや喜びに共感し、分かち合う事で安穏と平穏を享受する人々こそが
時代に則した進化の形ではないでしょうか?

独善的な価値観で現在を否定するのならば
僕は今を守るために貴女を討つ!

◆戦闘
カンフーの自己強化に対抗
闘法黄金律を発動

拳の武器受けで顎を守り、バニーの一挙手一投足を見切り、ダッシュでクロスレンジまで接近して殴り合う
激痛耐性で意識を保ちながら勝機を窺い、隙有らばスナイパーで相手のガードを掻い潜る黄金の右を撃ち放ちます



「エモい……か……」
 ぽつり、独りごちる花狩・アシエト(アジ・ダハーカ・f16490)の声は、今にも花弁に紛れて飛んでいきそうなほどか細い。
 俺、自信ないんだけど大丈夫かな。そう独りごちる彼へ、ようやく身を起こしたラビットバニーが狙いを定める。
「なにー? 自信無いのにココに来たとかシャバくない? 自信持ちなよ、なーんてさ!」
 ヘラヘラ、調子に乗っておだててみせるラビットバニー。
 その間にも、アシエトは或る一通の手紙を広げてみせた。
 手紙を読み上げるなど勇気がいる――けれど自信が無いなりに、精一杯に、アシエトは想いを紡ぎ始めた。
「今から読み上げるのは――――片思いをしてるねえちゃんへ」
「……へ? ねえちゃん?」
 宛先の名を聞いて、ラビットバニーは思わず手を止める。おそらく、エモのかほりを感じたからだろう。
「『ねえちゃんへ』
 今どこで何してるんだろうな?
 ねえちゃんがいなくなって12年経ちました
 俺、やっぱ寂しいよ
 どんなに美人で可愛いひと見かけても、ねえちゃんみたいにときめかないんだ
 ああきっとこれが、ねえちゃんが運命の人なんだなって思う」
「――――嗚呼っ……」
 さっそくラビットバニーは口元を両手でおさえはじめた。
 されどアシエトは、朗読を止めることはない。
「でもいいんだ
 ねえちゃんが幸せに生きててくれれば、俺が幸せだからさ
 孤児院は相棒とうまくやってくから、心配しないで」

 ――――大好きなねえちゃんへ。

 〆の宛名まで囁いたと同時、アシエトが前を向いたなら――、
 倒すべき相手であるラビットバニーは、両手を組んで祈りのポーズをとっていた。
「うっうっ……12年も逢えない“ねえちゃん”に対しての手紙とかそれだけで感動モノなのに、中身をよく聴いてみればこれ尊み溢れるラブレターじゃん! しかも“ねえちゃん”の無事と幸せを祈るってゆーさー!」
 しかもアシエトは孤児院出身であり、姉と呼べる相手はたった一人であることが伺える。
 故に離れ離れでもなお想い続けるクソデカ感情に尊さを憶え、次第にバニーは崇めざるを得なかったのだ。
 もはやみなまで言うことはない。ラビットバニーの身体を覆うバリアは、この瞬間に解除されたのだから。
「……エモいかこれ? ていうかはっずかし」
「そーやって本音を吐露した上で恥ずかしがるのもエモだから!! あーっあああーーーーっ!!!」
「なんかよくわかんねーけど……こりゃあ隙だな? おりゃー!」
 勝手に発狂するラビットバニー目掛けて、アシエトは得物を花弁へと変える。
 桜は散る、梅は溢れる、椿は――――落ちる。
 その不吉にも聞こえる花の散り際に合うように、兎の女は花に魅せられ、崩れ落ちた。



「フーン、エモい? なにそれ」
 エモ。それが奴を倒す重要な要素であると云うが、マルコ・トリガー(古い短銃のヤドリガミ・f04649)は解することができなかった。
 絶対無敵バリアを解除する術も、自分には分からない。故に、先制の直後に『エモい行動』なるものを取ることは出来ない、けれど――。
「あっ、なにー? ボク、エモってそのものが分かんないの? ならラクショー、超ヌルゲーってやつだわ」
 と、ラビットバニー本人は赤べこキャノンを置いて身軽な状態に。
 バリアが展開された直後、兎面の目が光り輝く。カンフーモードへと変身した女は、真っ直ぐにマルコへと突撃し、拳を繰り出してゆく――!
「――っ」
 それを間一髪のところで回避し、マルコは受け身を取る。
 これも彼の持ち前のフェイントと第六感が働いたおかげだろう。そのまま構えを取りながら、次の攻撃に備える。
「あーしに殺されるのがヤなワケ? 此処に来るくらいの覚悟があるってのに、戦う理由があるってゆーの?」
 ラビットバニーの挑発に、マルコは真っ直ぐな眼差しを向ける。
「ああ……ボクには帰らなきゃいけない場所があるから」
「……帰らなきゃいけない、場所?」
「あいつが待ってる……いや、あいつは気まぐれだから待ってないかも……」
 そうして、マルコが語るは友たる愛猫のこと。
 旅の途中、出会ったあの黒猫は自分の唯一の理解者だ。
「へー、自信がないならそのままサヨナラもいーんじゃね!」
「――ッ」
 そう吐き捨てたラビットバニーは、カンフーモードのままマルコの懐へと拳を鋭く叩き込む。
 その小柄な身体には相当の負荷が掛かったであろう。口から吐き出される血は、紛れもない赤。
 ――銃たる自分でもこんなに鮮やかな血が溢れるのか、なんて。感傷に浸る間もない。
 マルコは、崩れ伏すことなく、立ち上がったままだ。
 “あいつ”はボクの事を友達だと思ってないかもしれないけど――それでも。
「……血反吐を吐いてでも帰らなきゃいけない、帰りたいんだ」
 そう宣しながら、マルコは口元の血を拭ってみせた。
 彼の覚悟、挟持。それらを目の当たりにしたラビットバニーは、思わず声を漏らす。
「……エッモ」
 ――――その一言と同時、バリアがはじけ飛んでゆく。その瞬間を、マルコは見逃さない。
 構えるは、熱線銃。彼自身の本体である、古びた短銃を模した得物だ。

「――どうか、当たってくれ」

 このまま無事に帰って、“あいつ”にただいまを伝える為にも。
 放たれた一撃は、女の身体を確実に穿っていった。


「っはー……やっぱモンキーが言ってた通り、今の生命体に進化は望めない感じ?
 まじテンサゲ。欲もないヒトなんてシャバすぎね?」
 あーあ、と退屈げに、ラビットバニーは赤べこキャノンをもてあそぶ。

「――貴女方が世界の未来を憂いている心境も理解は出来る」

 そんな女の独白に対して声をあげたのは、戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)。
 大柄な体躯に、鋭い眼光。その堂々たる姿に、思わずラビットバニーも「エモ」の言葉を飲み込みながら見つめ返す。
「な、なにアンタ。あーし達の目的まで汲もうとするワケ?」
「……そうですね。貴女の瞳には、欲望の高まりを失った次世代種族達が、惰性で馴れ合う醜い姿に映るのかもしれない」
「……!」
 蔵乃祐はその筋骨隆々とした見目とは相反し、冷静な語り口でラビットバニーと対話し続ける。
 そのギャップもまた「エモ」の範疇だ。されどバニーは口を挟むことなく、彼の言い分を聞き続けた。
「――ですが、度を過ぎた競争社会を捨てて、楽しみや喜びに共感し、分かち合う事で安穏と平穏を享受する人々こそが時代に則した進化の形ではないでしょうか?」
「で、でも! やっぱヒトが生きる上で欲望は欠かせないじゃん! 安穏? 平穏? ヌルすぎ、シャバすぎ!」
 あーしは認めないかんね! との意思表示を向けるように、ラビットバニーは新たにバリアを展開。
 赤べこキャノンを傍らに置いて、カンフー・ポーズを決めた。
 その様子に、蔵乃祐は何処か諦めがちに目を細める。
「そう、それが貴女の思想。されどそれは独善でしかない。その価値観で現在を否定するのならば――僕は今を守るために貴女を討つ!」
 カンフーの強化に対抗すべく、蔵乃祐は闘法黄金律を発動させる。
 ――疾きこと風の如く。 そして蝶のように舞い、蜂のように刺す!
 己の持ちうる技能を、最大限に向上させる技だ。
「……あ、あーしを討つって? はっ、まじばくわら!」
 それでも、言葉に反してバリアは脆く破壊される。
 しかしヘラリ、と被り物の中で笑いながら、ラビットバニーは花々の足場を飛び越えて肉薄していった。
 その突撃を待ち構え、蔵乃祐は顔の前で構えを取って顎を守る。
「ッ!」
 阻害に成功。相手そのものが此方へ接近したなら好都合。
 クロスレンジの距離感を保ち、連ねるようにして拳を振りかぶる!
「ちょっ、まっ、強すぎだって――!」
「……貴女の思想は、こんなもので根をあげる程度のものですか?」
 バニーが弱りかけたのを見計らい、振りかぶるは黄金の右!
 力強く撃ち放たれたなら、ラビットバニーの身体は軽々と投げ出され、花々の中へと掻き消えていった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリス・イングランギニョル


さーて。はたして、ボクの趣向は彼女に届くかな?

今回の出番はキミたちといこうか、トランプ兵諸君
ここは一つ、彼らでカッコよさを演出してみようか

ボクが呼び出すトランプ兵は合計21体
彼ら1体1体じゃ、あのバニーちゃんには勝てないだろうさ
なら答えは簡単
合体、しかないね
トランプ兵の半数に盾を持たせて、残った半数は合体させて数字を11にしたトランプ兵に変化させるよ
そして当然合体している間のんびり待ってくれるわけはないだろう
合体中のトランプ兵は盾持ちで守らせて、時間を稼ぐよ

強敵打倒のために合体を行う味方を決死で守る兵隊たち
コイツはなかなか少年心をくすぐる燃えるシチュエーションって奴じゃないかな?


ミーユイ・ロッソカステル
エモ……?だかなんだか、知らないけれど。
いつも通りに、やるだけでしょう?

バリアを貼る時点で、こちらのことを敵対者と認識しているのだから……この歌は、有効でしょう?

……おまえが絶対無敵であろうとも。私は、負ける訳にはいかないの。
見逃せば、キマイラフューチャーという世界の根幹が揺らぐことになる。それは……そこに暮らす人々の平穏を奪うということ。
かつての私ならいざ知らず。今の私には……それを見過ごすことはできないの。

そうでしょう? ……お母様。
あなたが望んだ人としての当たり前の営みを汚すものを……私は許さない
だから、まだ戦い続ける。……危険に身を置くことを、許して頂戴ね
そんな想いを込めて歌いましょう



「さーて。はたして、ボクの趣向は彼女に届くかな?」
 茫とした、見透かすような黒き瞳でラビットバニーを見据えるは、アリス・イングランギニョル(グランギニョルの書き手・f03145)。
「な、なに……趣向ってなんなの?」
 そんな彼女の様子にゾクリと、悪寒を覚えながらラビットバニーは問いかけた。
 するとアリスは、常の調子を保ったまま笑みをのせる。
「おや、此度の演目が気になるのかい? ならば今回の出番はキミたちといこうか、トランプ兵諸君」
 そう呼びかけたなら、彼女のポケットから次々とトランプが飛び出し、手足が生えてゆく。
 それはお伽噺で見たことがある――『トランプ兵』と呼ぶに相応しい。
「ここは一つ、彼らでカッコよさを演出してみようか」
 そう指示するアリスは、名前とは裏腹にハートの女王――否、物語を傍観する読み手のようだ。
 1体1体がラビットバニーに群がるものの、対するバニーは次々と蹴散らしてゆく。
「うっわ、ざっこ、雑魚すぎ! こんなの相手にならないって!」
「そう、相手にならないなら――――『合体』しかないね」
 書物で口元を隠しながら、アリスは空いた手を振り上げ、トランプ兵達に指示してゆく。
 兵の半数には盾を持たせて、もう半分は合体し始めていった――。
「今の間に合体しようっての? まじ無駄だって!!」
 と、ラビットバニーはカンフーモードで肉薄し、トランプ兵達を次々に蹴散らそうとしてゆく。
 飛ばされてゆく兵、懸命に守ろうとする兵。小さい存在といえど、戦う様子は様々だ。
 しかし、その間にも――11の字をその身に刻んだ、大きなトランプ兵が完成した。
「――!」
「ようやく完成したね……合体したトランプ兵諸君。彼が完成するまでに戦い抜いたトランプ兵達の犠牲を、無駄にするわけにはいかないね」
 そうアリスは朗々と述べる。強敵打倒のため、合体を行う味方を決死で守る兵隊たち。
 そして傷ついた味方の元へ駆けつける、強大な力を持った兵士!
「……ああ、ああ。成程ね。あーしもエモの演出に利用されたってわけ。はっはー、まじその発想からしてエモいわ」
 バキリ。音を立ててはじける絶対無敵バリア。
 その瞬間、トランプ兵は突撃し、懐めがけて一撃を浴びせてゆく――!!

「エモ……? だかなんだか、知らないけれど」
 ――いつも通りに、やるだけでしょう?
 常の気高い笑みを湛えるは、ミーユイ・ロッソカステル(眠れる紅月の死徒・f00401)だ。
「まーた現れるの、猟兵って! あー、うざいし、めんどいし!」
 悪態をつきながら、ラビットバニーは防御ビームを放ってゆく。
 されどミーユイは、瞳をうっすらと細めながら――奴の性質を、見抜く。
「そう、そうしてバリアを張るのね。……けれど、その時点で、こちらのことを敵対者と認識しているのだから……この歌は、有効でしょう?」
 すぅ、と静かに息を吸う。瞬間、紡ぎ出される歌声は――今までよりも少しばかり柔らかさを帯びていた。

 聴け この叫びを 見よ この光を――……。

 その歌の名は『夜との闘い 第3番』。
 此処で、負けるわけにはいかない。世界の人々の平穏を脅かすことなど――昔の自分ならいざ知らず、今の私なら見過ごすことなどできないのだと。
(「そうでしょう? ……お母様」)
 歌いながら、思い馳せるは今は亡き母の面影。
 されど、あの日。両親と紡ぐことができたあのひとときを、永遠に忘れることはない。
 ――――あなたは望んでくれた。私に、ヒトとしての当たり前の営みを。
 それでも、他者のその営みを穢すものを……私は許せないの。
 す、と開いた瞳は、鮮やかな月にも似た金の彩。
(「だから、まだ戦い続ける。……危険に身を置くことを、許して頂戴ね」)
 そんな彼女の独白を、想いを、ラビットバニーは感じた。伝わってしまった。
 故に破壊されるバリア。そのまま歌に侵され、溺れてゆく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

照崎・舞雪
エモいとかよくわかりませんが、可愛いものを見せればいいわけですね?
ええ、任せてください。得意分野だと自負してます

せぇーの!すっごくかわいいポーズ!
ただのかわいいポーズではありません
すっごくかわいいポーズなのです
お花の足場も相まってもはやとどまることを知らない可愛らしさをお見せしてあげるのです

さぁ、私のかわいいポーズでバリア解除あんど動けなくなったあの無駄乳(ギリッ)ウサギをけっちょんけちょんにしてやるのです!



「エモいとかよくわかりませんが、可愛いものを見せればいいわけですね?」
 きょと、と不思議そうに目を瞬かせる照崎・舞雪(未来照らし舞う雪の明かり・f05079)。
 エモ。
 現代用語であるが故に、舞雪のような異世界出身ならば聞き慣れない言葉であろう。
 それでも瞬時に意味を解し、「ええ、任せてください」とまで言ってのける。これは期待するしかあるまい。
「おっ、なぁーに? いいトコのお嬢さんみたいな子があーしにエモいのを見せつけられるっての?」
 やれるものならやってご覧! と挑発しがちのラビットバニー。
 そんな煽りも気にせず、舞雪はにっこり、愛らしい笑みを向けながら――、

「せぇーの! すっごくかわいいポーズ!」

 宣言と共に、ポーズを決めたのだ!
 しかもただ可愛いポーズではない! 加点要素はまだまだあるのだ! 探せ、探し尽くせ!!
 それは先ずこちら! 猟兵達が戦い抜いたことでひらひらふわり、漂うシステム・フラワーズの花々!!
 そして計算された角度、まあるいおめめ!! 長いまつ毛!!
「……これは」
「すっごくかわいいポーズなのです」
「はぁぁぁぁ、なるほど、理解!! 花々に囲まれてすっごくかわいいポーズしちゃうの、エモ! エモエモのエモ!!」
 なるほど、エモい!!
 まるで開き直るかのように、女はバリアを解除されたのだ。
 何故なら? 舞雪はとてもかわいいからだ!!
 それ以上の理由が必要か? 否、あるわけがない!!
 されど、エモを宣言した直後――
「あっ、うっ……」
 ラビットバニーが心臓をおさえ、動かなくなってしまったのだ。
 おそらくというか、舞雪のユーベルコードが自分の美貌で相手を硬直させてしまうという恐ろしい能力であるからに違いない。
「そ、そんなつもりは無いのですけれど……とにかく、あの無駄乳(ギリッ)ウサギをけっちょんけちょんにしてやるのです!」
 お嬢さん、さっき悔しさで歯ぎしりしませんでしたか?
 ――などと呼び止めるまでもなく、舞雪は祭礼剣ネプトゥナリアを掲げ、さっそく幾度も斬り刻もうとしている。
「ちょ、ま、ま、待ってよ。あーしをここまで痛めつけても、いずれ第二、第三のあーしが……」
「問答無用、なのです!!」
「ああーーーーーっっ!?!」

 その後、ラビットバニーの悲鳴がしばらくこだまし続けたという。
 なんというか、その、お互いご苦労さまでした!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナイア・アルハズラット
まぁ、つまり魅力よね?
私なら立ってるだけでエモの塊じゃない。
艶のある美しい黒髪、宝石の様な青い瞳、天井の美貌に肉体美、そしてミステリアスな雰囲気……どこをとっても美女よね!
まぁ、でも?私はできる女だから、その上でご希望に答えてあげますとも。

呪文を詠唱しながら、特に意味はないけど槍を取り回し、踊るように地面にそれっぽい魔法陣を描き、最後に槍を地面に突き刺して詠唱を完了。『出でよ我が従僕、ダルダロイス……!』と召喚してあげましょう。
好きでしょう?こういうの。

それに、スピードと反応速度が上がっても統率のとれた集団に囲まれるのはツライでしょう?
消耗が激しいみたいだし、持久戦に持ち込んでやるわ。



「――まぁ、つまり魅力よね? 私なら立ってるだけでエモの塊じゃない」
 自信に満ちた独白と共に、花の足場へ踏み入れるはナイア・アルハズラット(いずれ深淵に至る魔導書・f04959)。
 高く結いた艶めく黒の髪に、ツンと釣り上がった大きな瞳は宝石のごとくきらめく青の彩。
 そして端整なかんばせにすらりとした肉体美――恵まれた美貌ながら、神秘めいた雰囲気を美しく着飾る娘。
 その誇らしげなナイアの佇まいには、流石のラビットバニーもむむぅ、と羨ましげに唸る。そのまま再び、絶対無敵バリアを展開させた。
「っへー、すっごい自信じゃん? 確かにお人形さんみたいだけどさぁ。それだけじゃ、あーしのバリアは壊せないよ!」
「お人形さん? 覚えておきなさい、私は魔女よ。それにとってもできる女なの」
 ナイアはふ、と小さく微笑みながら、得物たる真紅の槍の穂先をラビットバニーへと向ける。宣戦布告だ。
 ラビットバニーはそれに応じるように、カンフーモードにその身を変じ、花の足場を散らしながら突撃してくる――!!

「ンガ・イバウ・ウル・ダルダロイス・ウグナガル・フグダン……」

 瞬間、ナイアは呪文を詠唱しながら、槍をくるりくるりとバトンのように軽やかに廻す。
 舞い散る花弁の中、ステップを踏んでは地面に魔法陣を描いてゆく。
「わっ、なにそれダンス? 槍まわしながら魔法陣描くとかっ……! でも、まだまだぁ!!」
 エモを感じるのをぐっとこらえ、ラビットバニーは拳を振りかぶる!
 しかし、ナイアは真紅の槍でそれをいなし、描き終えた魔法陣の中心に槍を突き刺した。
 手を広げ、魔女は喚ぶ。首輪を繋げた、ンガ・イバウより来たる虚空を駆ける猟犬の名を――。
「出でよ我が従僕、ダルダロイス……!」
「そ、そーゆーキメ台詞まで用意して完璧に召喚の準備終えちゃうとか……エモなの? エモ魔女なの?? あーーっ、悔しーーーーっっ!!」

 絶対無敵バリアが崩れると同時、魔法陣から喚び出されるは揺らめく影で出来た猟犬たち。
 咆哮をあげ、猟犬は次々とラビットバニーへと喰らいつく。まるでうさぎに群がる肉食獣のごとく。
「ああ、ああーっ! 一生分のエモ得られた気がする……もう、もうっ、サイッコー!!」
 ラビットバニーは猟犬たちに貪られながらも、かろうじて親指を立てて――そのまま沈んでいってしまった。
「……なんというか、『また戻ってくる』とでも言うような退場の仕方だったわね」
 ナイアが呆れながら、ぽつりと呟く。
 しかし、オブリビオンであるが故に幾度も蘇るのもまた事実だ。

 カワイイ怪人『ラビットバニー』。
 強敵ではあれど、猟兵たちの繰り出す数々の『エモい』演出に心を揺さぶられ、遂には撃破することができた。
 今後も出現するであろう奴をふたたび撃破し続けたなら、復活を妨げられるだろう。
 この関門を突破したのち、次に待ち受ける怪人軍団の幹部とは――――?

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月17日


挿絵イラスト