バトルオブフラワーズ⑩〜ウサギのハートを射抜け!~
「さぁ語ろうか。舞台はキマイラフューチャー、とにかく……そう、一言でいえば、心に来るね。語彙力が死んじゃうね」
●バリアブレイク
「絶対防御の法、というのはだよ諸君。何かしらの弱点があるからこそ映えるものなのさ」
グリモアベースに響く調子のよい語り口。
背の高い黒髪のオラトリオ、スフィーエ・シエルフィートは軽やかに言葉を紡ぎ出す。
「しかし、絶対の防御を熱い心で破るという理屈を超えた何かというのも尊いと思わないかね?」
銀灰色の瞳の片方を瞑り、グリモアの輝きのひとかけらを集まった猟兵達に向けるように微笑むと彼女はいつもの通りの語りを始めた。
「さぁ語ろうか。今回の舞台はキマイラフューチャー、君達には敵の幹部が一人、ラビットバニーを倒しに行って貰いたい」
猟兵達の奮戦によって、キマイラフューチャーを脅かす怪人の幹部が一人、エイプモンキーが倒されたことは記憶に新しい。
しかし次に控えるのもまた幹部級の怪人――それこそは「ラビットバニー」と呼ばれる、ウサギの被り物を被った美女の怪人である。
「このカワイイ怪人ラビットバニーの特殊能力は……絶対無敵のバリアさ。文字通り、展開している間はどんな攻撃だって通さない。おまけにその状態で自由に移動も攻撃も出来るのだから、クレイジーだろう?」
猟兵達の扱うユーベルコードにも、ほぼ無敵の状態になれる技はあるが、それは大抵の場合自由には動けなくなるデメリットがある。
それすら無く如何な攻撃も移動も自在となれば一体どう倒せば良いのだろうか――疑問を浮かべる猟兵達にスフィーエは優雅に微笑み対策を語る。
「だがこのバリアは彼女が……そう、何かしら感情が揺らげば解除される」
感情の揺らぎといっても、単に馬鹿にしたり挑発したりといった行為ではない。
傷つきながらも立ち上がり挑むとか、隙のない者が不意に見せる油断した仕草とか、強面の者が甘い物を食べてほっこりする表情など、そうした心をときめかせるようなものでなくてはならないのだと言う。
「ま、俗っぽくいえば『エモい』って奴だね。そうした感銘を与えてあげれば彼女のバリアを解除できる」
とはいえラビットバニーの基準は緩く、それほど凝ったモノをやらなくても良いだろうとも補足しつつ。
あとは煮るなり焼くなり好きに攻撃を加えてあげればいいと語りながらも、指をびしっと立てて警告する。
「ただし! バリア抜きでも彼女は十分に強敵だ。苦戦は必至だろうから、気を付けてくれたまえ」
そのあたりは曲がりなりにも幹部級の敵だ、ということだろうか。
とはいえ何とかすれば良いのはバリアだけなので、彼女の攻撃自体への対策はこれまでの強敵ほどには考える必要はないだろうと語り。
「さて、私からは以上だ。準備が出来次第送るから声を掛けてくれたまえ」
紅いコートを翻し、グリモアの転送結界を作り上げようとした刹那――スフィーエのポケットからことりと音を立てて落ちたのは、彼女の見た目に似つかわしくない可愛らしい猫のストラップであった。
気まずそうに頬を赤らめながらそれを拾い、何事もなかったかのように咳払い一つしてからゆっくりと転送結界を展開し。
「……うん、まあ、これは気にせず行ってくれたまえ。ささ、早く早く。キマイラフューチャーの未来が掛かっているのだよ」
裏山薬草
●注意!!
ラビットバニーは必ず、猟兵に先制して『絶対無敵バリアを展開するユーベルコード(POW、SPD、WIZ)』を使ってきます。
絶対無敵バリアは本当に絶対無敵で、あらゆる攻撃を無効化しますが、「ラビットバニーがエモい物を目撃する」と、精神集中が乱れてバリアが消滅します。
ラビットバニーのエモい基準はかなりユルいので、バリアの解除は比較的容易と思われますが、バリアなしでも彼女は相当の実力者です。
どうも、裏山薬草です。
皆さんは何かエモいと感じる時はありますか?
さて、今回はカワイイ怪人ラビットバニーとの戦争シナリオをお送りします。
敵は皆さんの使用するユーベルコードに対して、先んじてそれを無効化する絶対無敵のバリアを展開します。
これは文字通り絶対無敵ですので、ユーベルコードの効果や単純な攻撃で破ることは絶対にできません。
しかし、ラビットバニーに対して何かしら「エモい」と思わせる何かを行えばバリアが解除されます。
そうした「エモい」と思わせる何かしらの行動がとられてない場合、問答無用で「失敗」となりますのでご注意ください。
またラビットバニーは強敵なので相応の判定はさせていただきます。
普段よりプレイングボーナスの発生はしづらいとお考えください。
それでは皆様のエモいプレイングをお待ちしております。
裏山薬草でした。
第1章 ボス戦
『カワイイ怪人『ラビットバニー』』
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POW : 赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : うさちゃんカンフー
【絶対無敵バリア展開後、兎面の目が光る】事で【うさちゃんカンフーモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : おはなハッキング
【絶対無敵バリア展開後、両手の指先】から【システム・フラワーズ制御ビーム】を放ち、【花の足場を自在に操作する事】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:和狸56
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
胡・翠蘭
…ああ、なるほど…
これが所謂『エモい』という感情なのでしょうか…(フィエ様とストラップを見て、納得)
…とはいえ、相手にその感情を抱かせるというのは…難しいですわね…
一先ずギャップを魅せる作戦と申しましょうか
まず…誘惑するように挑発しつつ、爆発属性でガジェットで攻撃
「ふふ、素敵な召し物のお嬢様ですのね…そのお顔も、拝見してみたいですわ」
おそらく防がれ、逆に私が爆煙と爆風で吹き飛ばされてしまうでしょう
…その時に衣服を乱した状態で一度倒れ、起き上がった時に
「!きゃっ…ぁ、み、見ないでくださいまし…」
と、肌を見られ恥ずかしがるウブな娘の仕草をとってみましょう
…もし解除されたなら、UCで攻撃致しましょう
●一文字違い
鮮やかな花々の中に飛び出すは一羽の兎――物々しい赤べこを背負い兎の被り物をした美女ラビットバニーであった。
戦場にそれが現れるや否や、ガジェットを構えた胡・翠蘭(鏡花水月・f00676)はラビットバニーを引き付けるように甘く語り掛ける。
「初めまして。ふふ、素敵な召し物のお嬢様ですのね……そのお顔も、拝見してみたいですわ」
ただし――被り物を壊す、という手段で以て。
ガジェットから放たれた爆発が一瞬でラビットバニーを包み込む――並の相手ならばこれだけで致命傷だろうが。
「ちょっ! だからっていきなしコレ!? ひどいわー、バリア無かったらお陀仏だわー」
当然の如く展開していた障壁のお陰か無傷で背負う赤べこに仕込まれた大砲が火を噴く。
舌打ちしながらも直撃は避けるが流石の火力か、爆風が
(ああ、そういえば……)
思い出すのは出発前のギャップを魅せられた光景。
ならばと爆風に転がりながら、ゆったりとした着物を密やかに崩し白い肌と魅惑の狭間を見せるように。
そうして立ち上がりながら、ここでその有様に気付いたように、頬を赤らめ顔を逸らし自らの身体を抱けば。
「! きゃっ……ぁ、み、見ないでくださいまし……っ」
「はぅあっ!!」
――予測通り、彼女の纏う障壁にヒビが入り込む。
「何? この男慣れしてますーな感じしてて? こんなっ……ヤバイって! あーしそっちのケ無いのに、もっーカワイイなちくしょう!!」
地団駄を踏むラビットバニーは、如何にもな翠蘭の見せる恥じらいのギャップに心を動かされ、被り物から鼻血らしき何かを零しながら纏う障壁は自然に消え去り。
「それでは……今度は、一文字違いを味わっていただけませんこと?」
即座に一転、恥じらいの仮面から本性の残虐な性の捕食者に立ち代り。
指先を躍らせながら嗾ける触手が、次々と、ラビットバニーの隙間に入り込み――
「あ、ちょ、やめてって! それエモじゃなくてエ……あひぃぃんっ♪」
成功
🔵🔵🔴
黒城・魅夜
ついにこの時が来てしまいましたか。
仲間さえ知らない私の秘密を公開する時が。
私は。
――下着を着けていません。
はしたない趣味があるわけではなく体質的な問題で、恥ずかしくて泣きそうなのですけど!
あえて今回は……スカートを押さえずに戦います!
スカートを翻しながら戦場に舞い踊ります。
ギリギリのところまでチラチラしているとしても!
バリアが解除されたらSPD勝負。
攻撃を見切り・残像で回避しつつUCを撃ちこみます。
射程内の対象に自動集中するこのUCはあなたの速度に関わらず追撃するでしょう。
さらに、第六感・早業・スナイパーでの軌道予測という技能も併用します。
乙女の恥じらいを引き換えの勝負、受けてごらんなさい!
●No-Pun
息を荒げ脚を痙攣させているラビットバニー目掛けて、金属の音をかき鳴らしながら飛ぶ鎖があった。
「あっぶなー、マジ死ぬかと思ったわー」
「くっ……うっ」
黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)の振るわれる鎖は新たな障壁に阻まれ届くことなく、逆に兎の跳躍力を活かした蹴りによる反撃が来るも、彼女はそれを受け止めて。
続くラビットバニーの、機関銃が如き拳と蹴りの暴風雨――魅夜は必死でそれを躱すも、その顔の紅潮は激しい動きに依るものだけでなく。
ここでラビットバニーの蹴り上げによってできた風に舞い上げられたスカートのその中身は――
「はぁ!? ちょ、なに……痴女!? 痴女なん!?」
――はいてない。
衝撃的な光景に一旦攻撃を止めるラビットバニーに、顔を更に真っ赤にしながら魅夜は叫ぶ。
「違います!! でも……」
下着をつけないのは痴女ではなく、一種の体質的な物。
しかし――スカートを抑えない理由は。
「貴女は紛れもなく強敵! 恥じらいを引き換えにしなければ、活路を見いだせない相手と見込んでいるのですっ!!」
「え、何、乙女の恥じらいとか、そーゆーの捨ててまであーしに勝ちたいって思ってくれたってこと……うぉおぅ!?」
大いなるブラフで突き出した指と、なぜか出てきた裁判所らしき光景をバックに発生した突風がラビットバニーの障壁をあっさりと吹き飛ばす。
冷静に考えればおかしいかもしれないが、乙女の恥じらいを捨ててまで力を振り絞って挑むと言われて――来ない筈もなく。
「もー、なんでよ! だからあーしそっちのケ無いんだってば! あー、キュンキュン来るわ。あーしが男だったらマジ襲ってるわー」
「それでは……この恥じらいと引き換えに! 受けてください!!」
障壁を捨てて殴り掛かる好敵手を相手に。
投げ放たれた百八の鎖は、兎の跳躍と敏捷をモノともせずに追いすがり――回避の先にも潜り込む勢いで、毒蛇の如く食らいついていくのであった。
成功
🔵🔵🔴
鵜飼・章
敵の攻撃が始まったら可能な限り【早業】で
魔導書からエモみ溢れる動物を呼び僕の周囲に動物の壁を展開
多少の攻撃は【見切り/激痛耐性】で耐えられる筈
ウーパールーパー、エリマキトカゲ、パンダ、コアラ、アザラシ、レッサーパンダ、チワワ、北海道犬、トイプードル、シベリアンハスキー、チベットスナギツネ等々
全て旧人類の間で爆発的にバズった動物だ
この手の女子は絶対に動物に弱い
更に貧弱で虚無的な僕が思わず動物を庇う意外な【優しさ】でも見せれば敵は怯んで手を緩め
隙ができると予想しすかさず【無神論】を発動
聴力自慢の兎は僕の笛が聴こえたらお終いだ
素早くても動けなければ意味は無い
エモい動物の総攻撃で
いいねの海に溺れて沈め
●ワンニャン物語
「くぅぅ……なんであーしのバリアが……」
障壁の弱点を何故か知られていることに疑問を浮かべている中、次に展開されたのは――数多の動物達だった。
鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)の図鑑から呼び出された犬や爬虫類、大型動物の数々は可愛らしくラビットバニーを取り囲むも。
「いやカワイイけど、あーし、そんな安い女じゃないもんねー」
「残念だ。旧人類で流行った動物達なのだけど……僕もまだまだ見通しが甘かったかな」
「そゆことー、そんじゃっ」
どこか虚無的に、感情が籠っているのか分からない語調で語る章にラビットバニーは跳躍すると鋭い蹴りを放つ。
咄嗟にそれを横転しながら躱すも、次に襲うは踵落とし――それも、彼が呼び出した犬の一匹に。
「!! 危ないっ……ぐっ……」
だがそこにロケットの如く翔けて、無防備なその背で強力無比な踵落としを受け血を吐きながら犬を庇っていた。
それが予想外だったラビットバニーは、慌てて足を引き明らかに狼狽しながら問う――見れば障壁にヒビが入ってもいて。
「ちょ、何っ……おにーさん、何で庇っちゃうの!?」
「何でかな。つい……ふふ、大丈夫だよ。このぐらい」
心配そうに見上げる犬の顎を優しい眼で見つめながら撫でれば。
「ぐっはぁぁ!!」
地団駄を踏みながら彼女の纏う障壁は崩れ去り、ラビットバニーは被り物を抱え悶える。
その様子を虚無的でありながら、何処か興味深げに章は見つめ、密かに笛を取り出し。
「何!? こんな優男ちゃんが咄嗟に動物庇うとか!? しかも何、ワンちゃんの心配そうなキューンって!? うっわ、反則だわー、あーしチョー弱いの、もーダメェ!?」
「では――」
響き渡るは死神の笛の音か。
兎の最大の武器である耳に音波の毒がしみ込めば、その敏捷を発揮すること敵わず。
「エモい動物達の海、そのいいねの波で溺れるといい」
後悔の声も許さぬ、猛獣の爪牙が次々に無力な兎を狩りに行く。
成功
🔵🔵🔴
仁科・恭介
※アドリブ、連携歓迎
POW
先制攻撃で放たれる赤べこキャノンを大量の【軍隊蟻】で受ける
この際直接受けるのではなく、【学習力】を駆使して蟻で幾重もの層をつくりショックをできるだけ吸収するように展開する
「こんな使い方はしたくなかった…お前達本当にすまない、すまない」
吹き飛んだ蟻達に涙を流し、更に湧き出す蟻達に【携帯食料】を投下
「私の子達を良くもやってくれたな」
これじゃ足りないと手首を斬り、自分の血を分け与える
「お前達も悔しいだろう?」
ふらつく体のまま瞳を真紅に変えバニーを見つめ、飛翔能力の速度を乗せた【鎧無視攻撃】で刺突し、逃げるバニーを捕まえ蟻を直接展開する
「さて、今度はお前が悶える時間だ」
●アリえねー!
これ以上やられる訳にはいかない――反撃に放たれたのは、ラビットバニーが背負う赤べこ(というには紫色に近いが)に仕込まれた火砲だった。
その砲弾が向かう先は――仁科・恭介(観察する人・f14065)だった。
だが彼は動じず身体から幾重もの軍隊蟻の群れを作り出し――幾つかの層に分け、中空が衝撃を緩和するように蟻を障壁のように展開し。
大火力の砲撃を防ぎはしたが、当然盾にされた蟻は焼け落ち。
「こんな使い方はしたくなかった……お前達本当にすまない、すまない」
「ちょ、何泣いてんの?」
涙を流しながら、散っていった尊い犠牲を悼む声に明らかにラビットバニーは動揺しており。
尚も沸く蟻達に食料を与えながら、流れる涙に真紅を混じらせラビットバニーを強く睨む。
「私の子達を良くもやってくれたな」
「いやアンタが盾にしたんでしょーがっ!!」
至極真っ当な突っ込みを聞き流しながら、透明を真紅に変えて。
僅かに抜いた刀で手首を切り裂けば、流れ落ちる血液を湧き出す蟻達に与えていく――怒りを、糧にさせる如く。
「お前達も悔しいだろう?」
「え、ちょ、マジ泣き? 血とか、うっわ、怖っ……けど、なんてーか」
――あまりの気迫に気圧されたか。
絶対無敵の障壁がガラスのようにひび割れていき。
「来るわっ……! 怖いけど、来るわっ……!!」
大砲を向ける暇もなく、体を自ら抱き総毛を震わせて。
ホラー映画に震えるような、それでいて麻薬のように緩和する興奮に悶えるように感想を口にしていく。
「どー見たって悪役っぽいけど……こーいうのも、こーいうので来るっ! 悪の狂気っての? うわぁ、ビンッビンッ来るわぁ……しびれるぅ……」
「さて――今度はお前が悶える時間だ」
砕かれた障壁を再び広げさせる間をも与えずに一瞬で迫り、刀を足の甲へ縫い付けるように貫けば。
散っていった同胞の、尊き犠牲を犬死にさせぬ為に――万騎当京の軍隊蟻が、一匹の猛獣を喰らう。
成功
🔵🔵🔴
ウィーリィ・チゥシャン
「エモい」って何だ?
相手に感銘を与えるとか言われても料理しか作れないし。俺。
だから、料理を作る。
「俺が何を作るか、当ててみな?」
と言っても作るのはかき氷だけど。
ただし複数の味のソースを混ぜ、表面にイタリアンメレンゲをたっぷり塗って層を作り、バーナーで焼き色を付ける。
この辺りで怪人も「?」ってなるだろうけど、そこへ火のついたラム酒をかけ、青い炎に包まれた「焼き氷」の完成だ。
「よかったら食べてくれよな!」(仲間の猟兵に)
残念だけど、怪人の分はない。
代わりと言っちゃアレだけど、『神火の竈』+『属性攻撃』の強火の業火をお見舞いする。
生まれ変わって、世界を脅かす怪人じゃなくなったらご馳走してやるからな。
●炎の中でもがき苦しむ姿が見えるでっ!
ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)は今一そのエモさというものが分からない様子であった。
(相手に感銘を与えるとか言われても料理しか作れないし。俺)
だから彼は作るのだ。
料理を――取り出した氷を削り出した音に気付いたのか、ラビットバニーが背負う大砲をウィーリィに向け。
「おおっと! やるのは、出来てからでも遅くはないぜ?」
並べられた器と食材。
器に盛りつけられた淡雪の氷山――色とりどりのソース。
いわゆる「バエ」そうな何かが来そう――生唾を飲み、大砲を下げる彼女に口角を挙げて。
「――俺が何を作るか、当ててみな?」
ただのかき氷と見せかけて振りかけるはメレンゲ――そこにすかさずラム酒をふりかけ炎を躍らせれば。
青き炎が揺らめきメレンゲを焼き焦がす甘い匂いが漂いつつも、その光景にラビットバニーは驚き。
「えっかき氷でしょ!? 火ぃ着けちゃうの? 溶けるよ!?」
「それはどうかな? ……さぁ、よかったら食べてってくれ」
――戦の手を止めていた猟兵達がそれを恐る恐る口に運べば。
美味い! メレンゲの温もりと氷のコントラスト! ミックスソースのフラクタル!……などという歓声が漏れ。
その様子に耐え切れなくなったのか、ラビットバニーは障壁にヒビを入れながら一歩前へ出るが。
「あ、あーしも一口……」
「悪いな。このかき氷は猟兵用なんだ」
「ここまで引っ張っといてあーしには無いってか!? チクショウめー! あーた料理だけじゃなくて芸も出来るか!? 一本取られたわっ!!」
上げて堕とすは、まさに炎と氷の対比が如く。
芸人としては美味しいッ!
派手に後方に吹き飛びながら障壁を解除する彼女の放つ砲弾を大包丁で切り伏せ。
「まっ、生まれ変わったらちゃんとご馳走してやるって!」
「約束ね!!」
親指を立てるラビットバニーに、丸焼きにするかの如き業火が襲う。
成功
🔵🔵🔴
水心子・静柄
エモい?よく分からないけど感動させれば良いのよね。それなら私は脇差(本体)を使ったパフォーマンスで魅せるわ。もちろん使うのは錬成カミヤドリで召喚したものね。念力で動かせられるから簡単よね。
さてここに取り出したのは一本の脇差…(何もない所から出す)これをこのようにしたら…(ジャグリングぽい事しながら本数を増やし大道芸のようなパフォーマンスする。最後に一本ずつ空中に留めていき全て空中に浮かせてフィニッシュ)
これで相手のバリアが解けたら、今浮いている脇差全て相手に射出して攻撃よ!
●時には正道に
「けほっ、えほっ……あー、もうバリア外すとか無いわー、マジチョベリバ……って、死語かー」
ラビットバニーは、旧人類の中でも取り分け古い言葉を呟き自分で笑いながら改めて障壁を身体に纏う。
景気づけに大砲を宙にも放ちながら、
「けどあーた等の狙いは分かったもんね! 絶対にエモいとか思ったりしない!!」
ここでキリッ、という擬音が鳴ったかどうかは兎も角として。
その様子を静かに眺めながら、水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)は音もなく彼女の傍に脇差を一振り浮かべた。
「さてここに取り出したのは一本の脇差……」
「おっ、おっ……? 何? あーたもやる? やっちゃう?」
流石にこれまでの戦いで何も学習しないほど愚かではないのか、すぐさまに彼女の狙いに気付き砲撃を向けようとはしたが、悲しいかな、パフォーマンスに飢えているのは逆らえぬ本能か。
曲芸のように宙に投げ放たれる数多の脇差が花々の中、対照的な冷たい金属の輝きを照らしまわり、まわり。
指先で挟むようにして捕えるは常に刃の側――また上へ投げては受け、投げては受けを繰り返しやがては宙に花開かせるように脇差を留めて。
止水の心が如き、静のパフォーマンスに思わず柏手を打ってしまえば纏う障壁は薄れ――その瞬間、くわっと目を見開き放たれる脇差がラビットバニーを襲うが。
「っとぉ!? バリア解除したからって無いっしょー!!」
それを生まれ持った敏捷性でパフォーマンスを返すように受け止めながら、優雅に舞って投げ返し。
一瞬慄く静柄に追い打ちの大砲を解き放てば彼女の身体は炎に包まれる。
「やるわね! でも……私は、二度刺すのよ……っ」
――生み出された脇差は、全て彼女の念力で操れる。
例え精度に劣ろうと、投げ返されたそれを逆に向け返すこと容易く。
砲撃を喰らいながらも、操られた脇差が再び勢いよく射出され――今度こそ、ラビットバニーの身を穿つのであった。
苦戦
🔵🔴🔴
御形・菘
右腕を高く上げ指を鳴らし、スクリーン! カモン!
はーっはっはっは! 元気かの~皆の衆?
妾は見ての通り、怪人どもの幹部と戦っておるのだが、お願いがある!
此奴にもエールを送ってはくれんか?
さて、どうかのう?
映える足場に降り注ぐ応援、心震える最高のシチュエーションであろう!
さあエモく素晴らしい戦いをしようではないか!
指先の動きを観察してビーム着弾密度が少ない地点を予測、その辺りを選んで突っ込むぞ
接近阻害か攻撃か、いずれにせよ邪魔は左腕と尻尾による力押しで粉砕する!
喝采を浴びより強くなった今の妾に不可能はない! そしてお主もボッコボコよ!
安心せい、そのイケてる頭は狙わずに、ボディにブチ込んでくれるわ!
●Emotion
「はーっはっはっは! 元気かの~皆の衆? 妾は見ての通り、怪人どもの幹部と戦っておるのだが、お願いがある!此奴にもエールを送ってはくれんか?」
戦いの終局が近い中、花々の戦場に映し出されるはスクリーン。
御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)が指を弾いて広げた先に映すのはこの戦場の光景――絶え間なく流れるコメントは様々に。
どっちも負けるな、ラビバたん可愛いなどの流れるラスト・バトルの興奮が菘の身体を滾らせ、蛇体を強かに振るわせて。
「さて、どうかのう? 映える足場に降り注ぐ応援、心震える最高のラスト・バトルであろう!!」
「は、ははっ……こんな分かりやすいって。でもさぁ」
分かりやすい挑発だ。挑発だよ。
けどさ。
「イイッ! マジテンションあがるし!!」
親指を立てて、マスクの間から鼻血などを垂らしたりもしながら良い笑顔(といっても素顔は不明だが)を見せれば障壁がヒビ割れて。
「ふっ……上等よ。さぁ、最高にエモく素晴らしい戦いをしよう!! バリアなど捨てて掛かってくるが良いわ!!」
「えっ」
流石にそれは。
でもバリア有じゃ熱い勝負にならないだろうし、かといって解除したらそれはそれで嫌だしでも――その葛藤も空しく。
「っ……!! あーもうっ! ここでやったらあーしエモくないじゃん!! オッケー、でもバリア無くたってあーし、負けないッ!!」
誘い通りに障壁は捨てて、戦場に舞う花々を操り菘の蛇体を絡めとらんとする。
それを指先の軌道から花弁の密度の少ない道を選びつつ躱しながら、重く鋭い鞭の如き蛇尾が兎の細い体を薙ぎ。
「安心せい」
決まった一撃への喝采が、彼女の力を更に高めに高め――その力の全てを、邪竜の如き左腕に賭けて。
「そのイケてる頭は狙わず、ボディをブチ抜いてくれるわぁっ!!」
世界の命運を一身に宿した必殺の拳がラビットバニーの鳩尾に吸い込まれ――脊椎の次々に折れていく鈍い音が、勝利の歓声の如く響き渡るのであった。
●決着
「えふっ……げほっ……あー……」
あまりの衝撃と、これまで受けたダメージがついに身体に爆発したのか。
血を吐き出しながら頽れるラビットバニーは、油断なく己を見つめる猟兵達を軽く見まわし。
「ダイジョーブ、あーしの負け」
流石にもう助からない。
どさっと花の戦場に身体を預け、仰向けになりながら薄れゆく意識の中、彼女は猟兵達に語る。
「あーた等、マジエモかった……」
震える手で、最後の力を振り絞り親指を立てて。
「……ね……、ライバル、讃えて……死ぬ、って……サイッコーに……エモ……く、ね……?」
最後の最後まで、エモさにこだわりながら。
讃える為のサムズアップが地面に鈍い音を立てて落ちれば、ラビットバニーの身体は花々の中に溶け逝くように消え去っていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵