バトルオブフラワーズ⑩〜ココロ、ユサブル
●グリモアベースにて
「寄っていってー聞いていってー幹部戦だよー」
キマイラフューチャーの景色を背にしてなんだか投げやりに声をかけているのは、インバネスコートを身に纏った、フルフェイスのカボチャマスクを被ったグリモア猟兵だ。最近なんかよく見る気がする。
「ラビットバニーと戦ってくれる人~」
何か吹っ切れた様子の彼は、自ら猟兵たちに声をかけている。
「エイプモンキーを倒したから、次の相手のところにいけるよー」
カボチャの形のグリモアを浮かせながら、神無月・孔雀(へたれ正義のカボチャマスク・f13104)は告げた。
「敵は、カワイイ怪人『ラビットバニー』だよ~。システム・フラワーズの中にある、咲き乱れる花が足場になってるアレ、今はラビットバニーに集中しているから、倒さないと先に進めないね~」
ラビットバニーは同時に一体しか存在しないが、倒されてもすぐに骸の海から蘇る。だが短時間にたくさん倒されれば、復活することはなくなるだろう。
「ラビットバニーは『絶対無敵バリア』に覆われていて、どんな攻撃でも効かないんだよ~。でもねー、バリアを解除する方法はあるんだー」
このバリアは、ラビットバニーが『エモい』ものを目撃すると一時的に解除されるという。
「彼女の『エモい』基準ってかなりユルユルでね~。かわいかったり男らしかったり面白かったり壁ドンだったり……うーん、あとSNSで流行りそうなやつはだいたい大丈夫みたい?」
バリアの能力は強力だが、解除するのは難しくないということだ。だがラビットバニーは一定以上の力を持つ実力者である。バリアが無くなったからといって、油断していい相手ではないだろう。
「みんななら油断なんてしないだろうけど、頑張ってきてねぇ~」
相変わらず 緊張感のない喋りだが、キマイラフューチャーの危機であることには変わりない。
「ボクは現地に行かずにここから猟兵のみんなを送るから!」
……うん、ここの口調も通常営業だな。
篁みゆ
こんにちは、篁みゆ(たかむら・ー)と申します。
はじめましての方も、すでにお世話になった方も、どうぞよろしくお願いいたします。
このシナリオの最大の目的は、「ラビットバニーの討伐」です。
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ラビットバニーは必ず、猟兵に先制して『絶対無敵バリアを展開するユーベルコード(POW、SPD、WIZ)』を使ってきます。
絶対無敵バリアは本当に絶対無敵で、あらゆる攻撃を無効化しますが、「ラビットバニーがエモい物を目撃する」と、精神集中が乱れてバリアが消滅します。
ラビットバニーのエモい基準はかなりユルいので、バリアの解除は比較的容易と思われますが、バリアなしでも彼女は相当の実力者です。
====================
対ラビットバニーの特殊ルールについては上記の通り。
●難易度について
敵幹部戦ですので、相応の難易度として判定いたします。
●採用について
通常はできる限り採用を心がけておりますが、戦争シナリオであることも鑑みて、状況次第ではプレイングをお返しさせていただく可能性もございます。
●プレイング再送について
プレイングを失効でお返ししてしまう場合は、殆どがこちらのスケジュールの都合です。ご再送は大歓迎でございます(マスターページにも記載がございますので、宜しければご覧くださいませ)
●お願い
単独ではなく一緒に描写をして欲しい相手がいる場合は、お互いにIDやグループ名など識別できるようなものをプレイングの最初にご記入ください(今回に限っては速度重視のため、お相手とプレイング送信時間が大幅にずれた場合、プレイング締切になってしまう場合もあるかもしれません)
また、ご希望されていない方も、他の方と一緒に描写される場合もございます。
皆様のプレイングを楽しみにお待ちしております。
第1章 ボス戦
『カワイイ怪人『ラビットバニー』』
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POW : 赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : うさちゃんカンフー
【絶対無敵バリア展開後、兎面の目が光る】事で【うさちゃんカンフーモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : おはなハッキング
【絶対無敵バリア展開後、両手の指先】から【システム・フラワーズ制御ビーム】を放ち、【花の足場を自在に操作する事】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:和狸56
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
黒暗九老・有麓落羅区
折角花が咲いているようじゃ。それを使ってみるかのう。
刀の下緒を刀から解き、蝶結びする。そこにUC【ゴット・クリエイション】で知性を与える。
その下緒と一緒に花を摘み花束を作る。
ミーはセンスが無いから下緒くんに花束のデザインは任せるのじゃ。
最後にその下緒で花束を飾り完成じゃ♪ 可愛かろう?
ラビットバニー殿にプレゼントするのじゃ。
花束をラビットバニーの頭上に投げ、良いタイミングで知能を与えた下緒に花の結び目を解いてもらい、色とりどりの花がフラワーシャワーの様に彼女に降り注ぐ様に演出。
もしこれをエモいと思って貰えたなら「目立たない」で近づき「なぎ払い」で攻撃。
(絡みアドリブ等歓迎です)
「おーし、あーしの最初の相手はあんたかー。いくぞー!」
黒暗九老・有麓落羅区(戦闘狂の神・f16406)の姿を見るやいなや、ラビットバニーは絶対無敵バリアを展開した。そして両手の指先を踊らせて放ったビームに呼応するのは、システム・フラワーズの構築する花の足場。シュッと伸びた葉や茎が、有麓落羅区の足元から上へとどんどん絡みついていく。完全に下半身は拘束されてしまった。
「折角花が咲いているようじゃ。それを使ってみるかのう」
有麓落羅区が手にしたのは己の刀。それを抜くのかと思えば、手を触れるのは下緒であった。ほどいた下緒を器用に蝶結びにしたのちにそれに与えるのは、生命と知性。
はたはたはた、はたはたはた。羽ばたく下緒の蝶。有麓落羅区の下半身は拘束されたままだが、屈めばなんとか足元の花に手は届く。
「下緒くん、花を選んでもらえるじゃろうか?」
自分にはセンスが無いから……そう呟いて告げれば、蝶ははたはたと羽ばたいては花に留まり。蝶の示したその花を有麓落羅区が摘み取ってゆく。気がつけば有麓落羅区の手元の花は、ピンクと白のと黄色の花が綺麗に散りばめられた花束のようになっていた。
「さぁて」
その花束をきゅっと下緒で結べば、真に花束の出来上がりだ。
「この可愛い花束は、ラビットバニー殿にプレゼントするのじゃ」
告げて放り投げた花束は、ふわりとラビットバニーの頭上へと飛んで――そして。
――はらりっ……。
花束がそのまま彼女の頭上に落ちる前に下緒に命じれば、結び目がほどかれて、三色の花がシャワーのように降り注ぐ。
「なにこれ! フラワーシャワー!? ちょーエモいんすけど!?」
その美しい光景と演出に、彼女の絶対無敵バリアが解けた。だが、有麓落羅区が当初の計画通りにラビットバニーに近づくには、下半身を拘束している植物をどうにかしなくてはならない。抜いた刀で己を縛る植物を斬ってゆく有麓落羅区であるが……。
「エモさは半端なかったけど、あーしって舐められてる?」
いつの間にか、ラビットバニーの方が有麓落羅区の傍へと寄ってきていた。植物を斬っていた刀を、今度は彼女を薙ぎ払うために振るうが。
「甘すぎっしょ!」
ドッ……彼女の赤べこキャノンの砲身が、有麓落羅区の腹部を強く打った。砲撃ではなく物理による打撃だが、それもまた非常に強力である。その打撃と勢いの強さに、有麓落羅区の身体は後方へと傾いてゆく。
彼女はエモさに弱いが相応の実力者である。絶対無敵バリアを破ることだけに注力していては、勝てぬ相手だろう。
苦戦
🔵🔴🔴
幻武・極
次はウサギの怪人か、サルには痛み分けしたから今度は負けないよ。
ふと、気になったんだけど、よくバリアなんて張って大砲が撃てるよね。
ということで、そのユーベルコードの弱点はバリアの中から外を攻撃なんてできない。もしくは、バリアから砲身を出して撃つ場合はその砲身を攻撃すれば中に攻撃できる。
という表向きの弱点を言いつつ、裏の弱点はボクのユーベルコードが成立しなければ、数多の女子や男子を魅了したモフィンクスが召喚できないだね。
キミもモフィンクスをモフモフしたいじゃないのかな?
「次はウサギの怪人か、サルには痛み分けしたから今度は負けないよ」
花の足場の上に立つラビットバニーを見据えて意気込むのは、幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)だ。
「もう次きてっし!」
ラビットバニーは慌てた様子を見せつつも、絶対無敵バリアを展開する。そして赤べこキャノンを構えると、そこから放つのは複数の弾。
「っ……」
それを受けた極は、片足を一歩後ろに下げて踏みとどまりつつ、バニーに向けて口を開いた。
「ふと、気になったんだけど、よくバリアなんて張って大砲が撃てるよね」
「は?」
「ということで、そのユーベルコードの弱点はバリアの中から外を攻撃なんてできない。もしくは、バリアから砲身を出して撃つ場合はその砲身を攻撃すれば中に攻撃できる」
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証して見せることで発動する『モフィンクスの謎かけ』を使用した極。実証すべくバニーに接敵して砲身目掛けてルーンソードを振るう――が。
ガッ。
「!?」
極の刀身は、キャノンに到達する前に『何か』によって阻まれてしまった。
「もしかしてあーしの絶対無敵バリア、壁みたいなカンジで発動すると思った? だーれもそんなこと言ってねーし、あーしの攻撃だけは通過するバリアかもしんねーじゃん?」
バニーは横に振り上げた長い脚で、極の身体を横から蹴りつけた。見た目以上に重いその蹴撃に、極の身体は飛ばされて花畑へと倒れ落ちる。
絶対無敵バリアの詳細はわからぬが、極が縛られていた固定観念、またはこのユーベルコードを完全に発動するために設定した『弱点』は当てはまらなかった、または実証できなかった。つまり、本来の目的であった召喚が行えない状態だ。
(「どうしようか、ね」)
一瞬考えたのち、極は体勢を整えつつ口を開く。
「キミは数多の女子や男子を魅了したモフィンクスをモフモフしたくはないのかな?」
そう、このユーベルコードが成立すると出現するのは、モフィンクスなのだ。アルダワ魔法学園の地下迷宮に出没するというあの、ゆるいアレである。
「モフィンクス? んなのしらねーし!」
だが、キマイラフューチャーのラビットバニーはその存在を知らないようだ。ならばっ。
「これだよ、これ!」
諦めずに極が取り出したのは、もふぐるみ。モフィンクスの等身大ぬいぐるみだ。なぜ戦場に持ってきているのかとかは触れてはいけない。
「なにこれ! 超新しい! ゆるカワエモい!!」
絶対無敵バリアが解けた。その隙に極はバニーへと剣を振る――だが。
「だから甘いっしょ」
ガギン、と剣は赤べこキャノンによって受け止められてしまい。
「うっ……!」
バニーの厚底ヒールが、極の身体の中心を思い切り蹴り飛ばした。
苦戦
🔵🔴🔴
ハニー・ジンジャー
ふふ、エモを我らはリカイしましたので。
きゃーってなれば、よいのですよね?
先手取られるのは仕方のないのです。
夜色の帳を間におろして、我らの姿を隠してみましょう。
よけやすくなると良いのですが。
我ら、UDCに行ったことあるのです。
アイドルさんの言葉できゃーってなってる女の子、見た事あります。
「あいしてるよ」「可愛いね、ぼくのおひめさま」
そんな感じのこと、彼らは言ってた気がします。
あっ、あと投げキッス!ですね!
バニーさんはかわいい女の子?ですので、アイドルさんの真似っこしてみようかと思いますっ。
まあもっとも、我らにはきゃーってなる理由、理解出来ないのですが。
バリア解けたら、ハグするフリして刺しますね。
(「ふふ、エモを我らはリカイしましたので。きゃーってなれば、よいのですよね?」)
完全正解でもなければ間違っているとも言い難い理解の仕方ではあるが、エモい基準のガバガバであるラビットバニーに対しては、その理解でもいけるだろう。
「おーし!」
ハニー・ジンジャー(どろり・f14738)の姿を見るやいなや、バニーは絶対無敵バリアを展開した。ほぼ同時に兎面の瞳が光ったかと思うと、バニーはもう、ハニーの眼前にいて。濃い色を展開して、自身を隠す余裕など与えられなかった。
「がはっ……!」
蹴撃と掌底と手刀のような動きが一気に叩き込まれる。内蔵を抉るような素早い攻撃に、ハニーの身体は吹き飛ばされた。
(「先手取られるのは仕方のないのです」)
そう、それはわかっていたこと。素早く体勢を整えつつハニーがおろす濃い夜色は、帳となって彼らの姿を隠す。
「あ? アイツの姿、見えなくなったし!」
バニーの攻撃を避けやすくなればと思いおろした帳。その中で考えるのは。
(「アイドルさんの言葉できゃーってなってる女の子、見た事あります」)
UDCアースに行った時に見たアイドルの様子と、黄色い声をあげる女の子の姿だ。
(「バニーさんはかわいい女の子? ですので」)
確かに、バニーはかわいい女の子(?)であるからして、ハニーがその夜色の中から紡ぐ言葉は……。
『あいしてるよ』
『可愛いね、ぼくのおひめさま』
『……チュッ』
アイドル及び乙女ゲームのキャラクターのような甘い台詞。最後のは投げキッスの音であるが、帳のせいで残念ながら見えなかった……しかし。
「きゅんっ」
バニーの心には響いたようである。絶対無敵バリアが消えていく。
「お、お姫様なんてガラじゃねーしっ……でも、姿が見えないからよけーに妄想掻き立てられるっ! 年上? タメ? 年下? 声からして年下? リアルでお姫様なんていうやついねーし!(※ラビットバニーの主観です)だからこそ、エモいわー!」
そしてその暗い中を、ハニーはそろりと動いてゆく。
(「まあもっとも、我らにはきゃーってなる理由、理解出来ないのですが」)
「ぼくのおひめさま、だきしめさせてよ」
告げてバニーへと近づき、ハグをしようとしたハニー。だが、抱きしめようとした腕――否、ハグするふりをして刺そうとしていたダガーはひらりと躱されてしまった。
「武術の達人って、視界封じられても気配や空気の動き、よめるし?」
そうだ、今のバニーは『うさちゃんカンフーモード』だ。
「ぶっちゃけ、目が慣れてきたし?」
そう言ってバニーは素早くハニーの後方へと回り込んで。
「そもそもアイドルは二次元みたいなもんっしょ。画面の向こうや遠くのステージを見て憧れて妄想してキャーキャーいうのが楽しいんだし。最近は握手会とかもあるらしいけどー、基本的にリアルな接触を求めんのは一部のヤツだけっしょ。二次元キャラも二次元だからイイんだし。行っても2.5次元までっしょー?」
どうやらハグまでくると現実に引き戻される、と言いたいようである。
いうだけ言って、バニーは回し蹴りで容赦なくハニーの身体を吹き飛ばした。
苦戦
🔵🔴🔴
城島・冬青
【アヤネさん(f00432)と行動】
アヤネさんに壁ドンされてお姉様❤️なエモい姉妹愛を見せつけます
おおー、宝塚の男役みたいで決まってますね
格好いい!ってアレ…?
アヤネさんがどんどん真っ赤に
ど・どうしよう…
私までドキドキしてきちゃう><
・無敵解除後
おっと!照れてる場合じゃない
アヤネさんサポートお願いします
【血統覚醒】を使用し
バニーと応戦
接近戦で此方に注意を向ける
損傷の蓄積を避けたいのでバニーの攻撃は【残像】と【ダッシュ】を駆使して避ける
避けるのが厳しい場合は【武器受け】で凌ぎ
死角からの攻撃は【第六感】で事前に察知できるよう努める
バニーがアヤネさんに向かったら【衝撃波】で邪魔に入る
その人に触るな!
アヤネ・ラグランジェ
【ソヨゴ(f00669)と一緒】
壁ドンでエモくするって?
演技だからやるしかない
壁に押し付けて
ソヨゴかわいいな
片手で頬に触れ
顔を寄せ
あ、これ以上はヤバい
止まって私!
あわててソヨゴから離れる
ゴメン、ソヨゴ、僕は...
耳まで真っ赤になっているのが自分でもわかる
こんなの初めてだ
うう、だいぶ予定外だけどなんとかなっただろうか
モヤッとした感情のまま戦闘に
UC展開
対UDCライフルを照準固定
重いからネ
ソヨゴが前でがんばってくれているので後方から撃つよ
喰らえ!
えーい、なんだかわかんないけどおまえのせいだー!!
敵のおはなハッキングはUCで対抗して力押しと【気合い】で乗り切る
「今度は二人連れだし!」
絶対無敵バリアを展開したラビットバニーは、再びシステム・フラワーズをハッキングし始める。足元の花の葉や茎が伸びてゆく。
「なっ……」
城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)とアヤネ・ラグランジェ(颱風・f00432)の足先から絡みついて登っていく植物。どうしよう、とお互い向き合ったまでは良かった。が、それ以上は動けないように足を封じられてしまった。
そして問題は、もう一つあった。
「アヤネさん、ここ、壁ないみたいだよ!?」
冬青が辺りを見回す。確かに花々が咲き乱れるこの空間の壁は何処だと問われれば、ずっと向こうに行けばあるかもしれないと答えるしか無いだろう。
「エモさを示すための覚悟はしてきたけど……」
アヤネも辺りを見回すが、確かに近くに壁らしきものはない。この空間を歩いてゆけばどこかで壁を見つけられる可能性は無いわけではない。だが、バニーの前で『それ』をしなければ意味がないのだ。
「壁ドン、どうしようか……」
そう、二人が用意してきたエモさを示す手段は『壁ドン』なのである。
「どうしようかね……」
冬青の言葉に困ったようにもう一度周囲を見渡すアヤネ――。
「っわっ……!?」
の身体が傾ぐ。足の中途半端なところまで草に拘束されている状態なので、バランスを崩したのだろう。
「えっ、わぁっ!?」
向かい合うように立っていた二人である。アヤネの身体が傾いで、冬青の身体を押し倒すようにしながら二人は花の足場へと倒れてゆく。
「っ……!」
冬青を押しつぶしてしまわないようにと、アヤネは咄嗟に両腕を出し、花の床につくことで自身の身体を支える。なんとか押しつぶさずに済んだ――そう思い、冬青の様子を確認すべく彼女を見れば。
「アヤネさん、演技、演技して!」
アヤネのついた両の掌の丁度真ん中に顔のある冬青が、小声で囁くものだから、アヤネはここに来るまでに考えてきた壁ドンの台詞を記憶から引っ張り出した。
「ソヨゴ、かわいいな」
告げて片手で頬を撫でる。体重を支えるもう一方の腕が震えてしまいそうだが、なんとかこらえて。
(「おおー、宝塚の男役みたいで決まってますね」)
下を向いているがゆえに、さらりと零れる長い黒髪。アヤネの顔、緑色の瞳を見つめながら、この状況を堪能している冬青。そのまま近づいてくる顔。格好いい! と目を輝かせる冬青だが。
(「あ、これ以上はヤバイ、止まって私!」)
強く自分に命じたアヤネは、慌てて体重を横に傾ける。ぐるん、と回転して冬青の隣に寝転んだアヤネは耳まで真っ赤で。
「ゴメン、ソヨゴ、僕は……」
(「アヤネさんがどんどん真っ赤に……!」)
顔を両手で覆っていても、アヤネが耳まで真っ赤なのはわかる。
(「こんなの初めてだ」)
(「ど、どうしよう……私までドキドキしてきちゃう><」)
戸惑いと羞恥でまだ冬青の顔を見ることの出来ないアヤネ。そんな彼女の様子を上半身を起こして見つめる冬青の頬も、何故か熱を帯びて――。
「エモい! 床ドンだけでも十分エモいけどっ、その後の正気に戻ってお互い意識して照れるカンジ、ちょーエモいっしょ!!」
そうだった。これ、そういう趣旨だった。絶対無敵バリアは無事に解くことが出来たようだ。
「おっと! 照れてる場合じゃない!」
冬青は琥珀の瞳を真紅に変える。変身と同時に得た爆発的に増加した戦闘力で、足を拘束する草を引きちぎって。
「アヤネさんサポートお願いします」
「わ、わかったよ」
(「うう、だいぶ予定外だけどなんとかなったみたいだ」)
モヤっとした感情をいだいたまま、アヤネが自分の影から喚び出したのは、複数の蛇に似た異界の触手。それを使って『対UDCライフル「Silver Bullet」』を固定してゆく。重さ10キロを超える大型ライフルだ。しっかり固定せねば本領を発揮できない。
「喰らえ! えーい、なんだかわかんないけどおまえのせいだー!!」
バニーとの距離を詰める冬青を追い越したアヤネの銃弾。彼女が前で頑張ってくれる。だからアヤネは後ろから援護するのだ。これならば、足元を拘束されていても支障はない。
「おっと、あぶなーっ!」
銃弾を躱したバニー。だがそのタイミングでバニーを間合いに捉えたのは、『花髑髏』を手にした冬青だ。振り下ろした刀が、バニーの肌に血の筋を作る。
「へぇー。やるじゃん? じゃー、あーしもいこっかなー!」
構えられた赤べこキャノン。それが狙っているのは自分だ、と冬青は思った。だが、微かに覚えた違和感。弾が発射されたその時、冬青はその違和感の正体に気がついた。
砲口は『冬青の肩越しにアヤネを狙って』いたのだ。
「その人に、触るな!」
振り下ろした刀から発せられる衝撃波。それが放たれた弾とバニーに襲いかかった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アウレリア・ウィスタリア
エモ……?
ボクにはよくわかりませんけど
目につくような印象深いことをすれば良いのでしょうか
では、ボクは舞い踊りましょう
【空想音盤:追憶】で花弁を舞い上がらせ
花の足場の上で花の嵐となって舞い踊りましょう
花の美しさも歌い上げ儚げに花と歌の舞を奏でましょう
舞の最後には仮面を上に放り投げ
花の嵐で大きな花を打ち上げましょう
バリアが解かれたのなら
そのまま花の嵐で攻撃しましょう
花の足場を駆け抜け宙へ舞い上がり
花の嵐の弾丸となって一気に攻め滅ぼしましょう
花の嵐を一点に集めれば
それは攻撃を防ぐ盾であり敵を貫く槍となる
一つ一つは小さく脆弱であっても
力を合わせれば、それは無敵の矛となります
アドリブ歓迎
「あー……あーしの玉のお肌が台無しっしょ!」
ぶつくさ言いつつも次に姿を見せた猟兵、アウレリア・ウィスタリア(憂愛ラピス・ラズリ・f00068)の姿を見て、絶対無敵バリアを展開するラビットバニー。
(「エモ……? ボクにはよくわかりませんけど、目につくような印象深いことをすれば良いのでしょうか」)
黒猫の仮面の下、琥珀の瞳でバニーの動きを見つめるアウレリア。
バニーは指先からのビームによるハッキングで花の足場を操る。
「絡みつかせて拘束だけの一つ覚えじゃねーんだけどー、アンタ、羽根あるしなー」
冷静に分析しつつバニーが操り作り上げたのは、花で編み上げた巨大な鳥籠。中に閉じ込められる形となったアウレリアは、まさに籠の鳥。だが普通の籠と違うのは、全面を花の壁で囲うことでアウレリアを完全に閉じ込めてしまったことだ。通常の鳥籠にあるような、柵と柵の隙間すら無い。
(「問題ありません」)
それでもアウレリアは冷静だ。
「ここにはない記録を追憶し、空想で奏でる……。遠い世界の絆の証、愛するもの全て護る勇気の象徴」
呟くように告げ、自身の武器をネモフィラの花びらへと変えると、その花びらを鳥籠の天井へとぶつけた。
一度では無理だった。ならば二度、三度――ぶつけた花びらたちがこじ開けた穴から羽ばたきいでると、アウレリアは鳥籠の上に立って。
「わっ、出てこれたんだー?」
兎面のせいで表情が窺えぬバニー。だがそれでもアウレリアのすることは揺らがない。
大きく息を吸い、紡ぎ始めるのは優しく美しい歌声。ネモフィラの花びらを舞い踊らせながら、自身も花の鳥籠の上で舞い踊る。この鳥籠の上が、アウレリアの舞台だ。
花の美しさと儚さを情感たっぷりに歌い上げ、ひらりひらりと柔らかな裾を揺らして舞い踊るさまは、無限とも思える広さの花の足場も相まって、非常に幻想的で。
締めとして放り投げられた黒猫の仮面。同時に花の嵐が大きく打ち上がった。
「……ヤバイ。すっげーエモいじゃん……」
呟くように告げたバニー。エモすぎてその面の下の瞳から涙を流しているかどうかはわからないが、絶対無敵バリアが解けたのは確実だ。
「それでは行きましょう」
トンッ……と裸足で花の鳥籠を蹴ったアウレリアは、羽ばたいてバニーとの距離を詰める。数多のネモフィラの花びらは、アウレリアと共に、あるいは追うように飛んでゆく。
「さあ、皆で行きましょう」
バニーの手前の上空で滞空しているアウレリアの声に、ネモフィラの花びらたちが集まる。その花の嵐は、一点に集まりバニー目掛けて――。
「ヤバッ!?」
バニーはその攻撃を防ぐべく、赤べこキャノンを掲げた。だが。
一点に集めた花びらたちは、攻撃を防ぐ盾であり、敵を貫く槍となる。
「ひとつひとつは小さく脆弱であっても、力を合わせれば、それは無敵の矛となります」
「ちょっ、やめっ……!?」
盾とされた赤べこキャノンに防がれそうになった花の矛は、赤べこキャノンに触れてわずかに軌道を変え、それを掲げるラビットバニーへと襲いかかった。
成功
🔵🔵🔴
月雪・千沙子
エモい…という言葉、世間で流行っているの…?
まだそういうことに疎いのだけれど…
とにかく心を揺るがすことができたら良いというのは理解したので
ラビットバニーとの戦いに参戦する
バニーと対峙し、呼吸を整えた後、巫覡載霊の舞を発動
神体化でバニーの攻撃を軽減しつつ、なぎなたを振るう
バリアで弾かれ、その反動でなぎなたを握る手と腕に痺れがきても
バニーから目を逸らさず、私の全力をぶつけていく
無駄と言われても怯まず、何度でも…!
バリアが消えなくても
バリアごと衝撃波で薙ぎ払う勢いでなぎなたを振るい続ける
虫ケラ扱いされても、諦めない…!
バリアが消えたら、反撃に気をつけながらも迷いのない攻撃をぶつけたい
※アドリブ歓迎
(「エモい……という言葉、世間で流行っているの……?」)
月雪・千沙子(ヤドリガミの陰陽師・f15751)はまだそのような世間の流行には疎いが、とにかく心を揺るがすことができたら良いというのは理解して花の足場をゆく。
「あっぶねー。さすがのあーしもアレ以上は危なかったっしょ……」
最初に姿を現した時より格段に肌や服が損傷しているラビットバニーは、千沙子の姿を視界におさめるなりちゃちゃっと絶対無敵バリアを展開した。そして素早く指を動かし花の足場をハッキング。
「……!」
気がつけば、千沙子とバニーの間の花の足場が、無くなっていた。
そう、まるでふたりの間に谷でもあるかのように、向かい合うふたりの間を繋ぐものはない。多少右や左に移動して回り込む、というのも無理そうだ。
「これで近づけないっしょー」
バニーは自分の接近を封じるのが目的だったようだ。それを知った千沙子は、深呼吸をし、そして呼吸を整える。
千沙子の身体が変じたことに恐らくバニーは気がついただろう。だが神霊体へと変じた千沙子が手にしているのは薙刀である。今ふたりを隔てる距離では、いくら薙刀とはいえ届かない。
だが。
「はぁっ!!」
千沙子が薙刀を振るうと、そこから生じたのは衝撃波だ。衝撃波には足場はいらぬ。そのままバニー目掛けてぶつかり――バリアに弾かれる。
「無駄だし。あーしのバリア、知ってるっしょ?」
バニーはその場から動かず、余裕の表情で嗤う。
「やぁっ!」
「とうっ!」
「せいっ!」
それでも千沙子は薙刀を振るうのをやめない。バニーを見据えた銀の瞳をそらすこと無く、衝撃波をぶつけ続ける。
バリアに弾かれても、弾かれても、弾かれても、それでも。
「……うざいんですけどっ!!」
足場の花を操って、バニーは蕾を弾丸のようにして放った。それは見た目は蕾でも、弾丸に比類する硬度を持っていて、雨のように千沙子へと降り注ぐ。
「つぅっ……」
痛い、痛い、痛い。ヤドリガミとて肉体が傷つけば痛みを感じる。痛みが強すぎて、薙刀を取り落としそうになる。額に当たった蕾のせいで、片目の視界が赤みがかって見える。けれども、千沙子は立ち続ける。そして、薙刀をふるい続ける。
(「無駄と言われても、何度でも……!」)
怯まず、臆さず、バリアが消えなくとも、蕾の飛礫を受けても、どれほど血が流れようとも諦めず、バリアごと衝撃波で薙ぎ払う勢いで薙刀を振り続ける。
何度、それを続けただろうか。
「くあっ……!?」
バニーが声を上げ、その肢体が揺れた。
「っ……くっそエモい。その、傷を負っても無駄とわかっていても諦めない姿勢、くっそエモいわ……。でもあーしも負けるわけにはいかねーんで」
バニーの周りに浮かぶ蕾の飛礫。
薙刀を構える千沙子。
飛礫と衝撃波、相手に向かって飛んだのはほぼ同時。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
普段は冷静でおとなしめの千沙子からは想像できぬ気合の入った大声。迷いのない心で繰り出した衝撃波。
はたして相手に届いたのは――千沙子の衝撃波の方だった。
「きゃぁぁぁぁぁぁっ!?」
広い空間にこだまするバニーの悲鳴。それがおさまる頃にはバニーの姿はもうなく、消えた足場は元に戻っていた。
成功
🔵🔵🔴