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バトルオブフラワーズ⑦〜誰もが主役

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #バトルオブフラワーズ⑦ #ムスビ #歌や演奏

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●あらすじと敵の登場
「あーもうっ! 猟兵たちが『システム・フラワーズ』に入っちゃってるじゃない! 恋以外に夢中になる存在なんて世界ごと滅んじゃえって思ったのに、これじゃダメだわ」
 頬をぷうとふくらませ不機嫌にステージへ降り立ったオブリビオンが一人。
「『テレビウム・ロック』さえ成功してたら猟兵たちは簡単に中に来れなかったのに…。けれど大丈夫。恋する乙女は無敵、つまり恋に恋する私は無敵なの♪」
 ふんふーん♪ とマイクを片手に口ずさみながら彼女は炎を舞わせた。
「私の恋のラブソングで猟兵たちの進撃はここで終わりよ!」

●自分の歌をBGMに
「集まってくれて、ありがとうございます!『システム・フラワーズ』からの救援へ向かうみなさんへ、ユーノのお願いです!」
 グリモア猟兵のユーノ・エスメラルダ(f10751)はグリモアベースに集まってくれた猟兵たちへ語りかけた。
 「先日、『システム・フラワーズ』の内部への道が開きました。ですが、その道を開け続けるために各ステージの攻略と維持は欠かせません!」
 両手をぐっと握るユーノ。この有利な状況はなるべく保ちたいところ。
「そこで、この道を維持するための6つのステージのうち、ユーノが予知できた、音に関する『ザ・サウンドステージ』についてみなさんにお伝えをします!」
 ユーノは持ってきたノートへ、手にしたペンでマイクやスピーカーがセットされたステージの絵をぐりぐりと描いていった。
「この『ザ・サウンドステージ』では『パッショネイトソング』というルールが支配しています。そのため『自分自身を奮い立たせる歌』を歌いながらでなければ攻撃が無力化されちゃいます」
 さらにマイクを片手にもつフワッとした髪と尻尾の巫女さんっぽい服の人物を描く。
「ユーノが予知した先で待ち構えているのは『ムスビ』って名前の、縁結びや恋の話が大好きな怪人さんです。お札で二つの存在を赤い糸で結んで爆破したり、恋の炎を操って燃やしてきたり、すごくキラキラした充実した感じになって無敵になったりするよ。あと胸の大きさを気にしてるみたいです」
 今回は歌という特殊ルールがあるので最期の情報は無視して良いかもしれない。
「敵さんは、今回は対峙した猟兵をネタにした妄想のラブソングを歌って気持ちを高めながら攻撃するよ。シチュエーション作りに活かすため『ザ・サウンドステージ』の効果と歌でいろいろ演出を盛ってきます」
 目の前の人物を妄想の恋話のネタをするとは恐ろしい。

「ですが、この演出効果は私たちも利用できます! こちらも歌で何かのシチュエーションを作り、台詞や技名を歌の一部にして攻撃すると戦いやすいかもです! うなれー、てっけん、せいけんづきー、です!」
 ずばーっと拳を突き出すユーノ。つまりは自分の攻撃のかっこよさやかわいさを強調する歌を歌いながらそれをBGMとして戦うことで、特殊ルールの効果でいろいろ見た目が盛られていき威力も上がる様だ。
「そうすることで、より気分がのって『自分自身を奮い立たせる歌』という『パッショネイトソング』の条件を満たしやすくなると思います!」
 転移先の状況について、ユーノは最期にこう情報を付け加えた。
「着いたらすぐにステージで歌い合う形になると思います。ここでは設備への細工や破壊はできないみたい。そして『歌を歌わなければ攻撃は効果を発揮しない』ことに注意です」

●キマイラフューチャーを守るために
「『システム・フラワーズ』をオブリビオンに壊されてしまうと『コンコン』ができなくなってキマイラフューチャーでは食べ物はもちろん、楽しさも失われてしまいます。それを阻止するために『システム・フラワーズ』で戦っている仲間たちがいます」
 ユーノは説明を追えると、集まってくれた猟兵たちに改めて向き直る。
「今の勢いを保つすため、各ステージの制圧はたいせつです。どうか皆さんの力を貸してください」
 そう言いながらユーノは猟兵たちを転移させ、無事の祈りを捧げた。
「ユーノはみなさんを転移させなければならないので同行はできません。みなさまに幸運がありますように……」

●拗ねらせた縁結び
「むっ、あのヒトとあのヒト、立ってる位置が他よりわずかに近いわね……デキてるのかしら? あっでも昔の想い人を忘れられず今でも独り身で思い続けてるのも良い……」
 現れる猟兵たちを前にさっそく気持ちを高めていく『ムスビ』。マイクを片手にいつでもスタンバイOKといった様子だ。
「この世に恋以外の素敵なものなんて要らないの、だからこの世界は滅ぶのよ。縁結びのプロとして私がそれを教えてあげる!」


ウノ アキラ
 はじめましての方は初めまして。そしてこんにちわ。
 希望と共に挿入歌が入るシチュエーション、熱いですよね。ウノ アキラです。
 このオープニングに興味を持っていただき、ありがとうございます。


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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「バトルオブフラワーズ」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 現実に存在する楽曲の曲名や歌詞、替え歌等が記載されているプレイングは採用できません。
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●お得情報
 この依頼については書けそうなタイミングで順にリプレイにしていくため、特に連携の指定が無ければ順番に入れ替わりながら一人ずつ戦う感じになると思います。
 他にもマスター紹介のページは一読頂けると文字数を少し節約できるかもしれません。
 よろしくお願いいたします。

●依頼について
 戦争シナリオはいつもよりマスタリングや採用が厳しくなる見込みです。

 執筆能力の都合上、『採用は最大で12名までになる見込み』です。『書きやすそうな方から採用する』ためプレイングは不採用になる可能性があります。ご了承ください。
 敵の心情描写はただの趣味です。意味はありません。
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第1章 ボス戦 『ムスビ』

POW   :    かみさまの縁結び(物理)
【指名札】が命中した対象を爆破し、更に互いを【運命の赤い糸】で繋ぐ。
SPD   :    燃え上がる恋の炎(物理)
レベル×1個の【恋】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
WIZ   :    恋する乙女は無敵(物理)
全身を【リア充モード】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。

イラスト:華月拓

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠カスミ・アナスタシアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

花咲・桜華
SPD アドリブ共演◎

アイドルならこの勝負、負けられないね!
恋は大事だけど、他にも大切なものはあるよ
友達や仲間、食事や睡眠、モニターの向こうにある夢

だから、ボクは一人じゃない
君と出会ったのも縁
歌があるから歌うんだ!

【パフォーマンス】【歌唱】【Hot Blood】
白い軍服衣装を纏って謳う


『蒼想月華』
身体を突き抜けた 想いが溢れていく
作り物の感情なんて 必要ない

いつか 想い伝える
願い 叶えるために
鮮やかな世界を 今 ここに

信じて 感じて 焦がれて
刹那の運命を 永遠に
始まり 繋がり 終わり
認めたくない 終焉を
いつも なにも だれも
失わないため 守るんだ
短い夢だとしても 覚めないで



●鮮やかな世界
「わ~~~お~~~~ん♪」
 エレクトリックベースが低い音域を軽快に響かせる。ベースギターを操るのは白い軍服の衣装を着た花咲・桜華(桃色ワーウルフは深淵を覗いてやってきた・f04874)。
 明るい赤みのかかったピンクの髪と白い服に調和した、紺色のベースギターがほんのりダークさを纏い桜華の無邪気さのある笑みを際立たせている。
 アイドルとして活動している桜華にとってこのステージには挑む理由がある。アイドル――それはすべての人々の永遠の憧れ。そこに加わるからには歌で負けてはいられない。

 ベースギターを懸命に弾き気持ちをあげていく桜華に対し『ムスビ』もまた歌へ向けて気持ちを昂らせていった。
「一見すると無邪気だけと芯はしっかりしてて決めるときは決めつつ普段は天然っぽいほんわか男子! どんな恋が似合うかしら? どれも捨てがたいけどここは幼馴染のお姉さんが引っ越して遠くにいってしまったことで当たり前の存在が遠くなるなか小さな恋心に気がついて数年後に戻ってきたお姉さんに対する数年越しの恋に翻弄され焦れて焦れて悩む純情な元少年とかそういう感じよね! もちろん最期は彼の勇気を振り絞った告白で結ばれるの!」
 早口で恋のシチュエーションをまくしたてる『ムスビ』。

 ♪いつからか あたりまえだった
 ♪遠くなって気づく その気持ち

 自分の世界に没入しながら妄想上の恋を歌にする『ムスビ』、妄想上の縁を結ばせるべく歌に熱を入れた。同時に展開されるのは『燃え上がる恋の炎(物理)』。

 対する桜華もまた攻撃を活かすために歌い始める。歌の魅力で攻撃をするユーベルコード『Hot Blood』を用いるため歌うことそのものが武器だ。ならばやることは一つのみ。
(歌があるから歌うんだ!)
 桜華は自身を焼こうと迫る炎を前に、これがボクの戦いだと言わんばかりに歌う。

 ♪いつか 想い伝える
 ♪願い 叶えるために
 ♪鮮やかな世界を 今 ここに

 込められる想いは憧れ。見たその先にあるだろう失わないものや終わらないもの。そんな大切なものへの焦がれ――例えばそれは友達や仲間、食事や睡眠、そしてモニターの向こうにある夢。
 かつて過酷な環境にあった桜華は、かつて求め焦がれて今はこの手にあるそれらを大切にしたいと願う。
(だから、ボクは一人じゃない)

 ♪信じて 感じて 焦がれて
 ♪刹那の運命を 永遠に
 ♪始まり 繋がり 終わり
 ♪認めたくない 終焉を

 ステージはその演出効果で闇夜となり青みのかかった月が桜華の背に浮かんだ。歌に込められる想いは『Hot Blood』の効果を増量さて魅力による攻撃が『ムスビ』の恋の炎を打ち消していく。
「恋が一番に決まってるでしょ!」
 炎を打ち消され魅力で心を打ちのめされていく『ムスビ』はさらに妄想の恋の歌で抵抗した。

 ♪数年ぶりのあのヒトは
 ♪とてもきれいになっていて

 しかし焦りからか『ムスビ』の歌には少し余裕がない。魅力の攻撃からくるダメージにより精神的にかなり摩耗している様だ。
 対する桜華は、尻尾をゆるりと振ってリズムを刻み歌う。その瞳は彼にしては珍しく真剣で明確に守るための戦う意志が宿っている様に見えた。
(キマイラフューチャーは見るもの全部が凄かった! ボクのいた所は暗い所だったし、キラキラしていてテンションもあがるんだ)

 ♪いつも なにも だれも
 ♪失わないため 守るんだ

 桜華の身体を突き抜けた想いがいま、溢れていく。その瞳はキラキラと輝き、真剣な眼差しの口もとには笑顔が浮かぶ。
 かつて焦がれた憧れと、今手元にある大切なものたちを守りたい。そして大切なものたちと共にこの鮮やかな世界を生きたい。そのために桜華は想い、歌った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルドルフ・エルランゲン
歌は世につれ、世は歌につれ…恋愛ソングは古今東西の廃れる事無き永遠のテーマですよね。
恋は世界があるから生まれるのです。恋が世界をより輝かせるのです。
即ちムスビさんの発想は間違っている!

って事で、とりあえず敵の歌を軽く一番分聞いてみましょう
恋愛至上主義で世界も要らない?…そこをひっくり返せすべきサビですね。
歌詞、曲調、リズムを解析したところでスチャっとマイク構え、敵曲の裏拍に調和するようデュエットで入り込み……まず馴染ませて…
サビでアツい感じに曲を乗っ取る!
(なんかそんなカンジで歌詞の方向性とかオマカセ)

●エレクトロレギオン(wiz)
私は気持ちよく歌うんで、レギオンは攻撃ガンバレ♪



●白梟はしたたかに微笑む
「な……なかなかやるじゃない!」
 疲弊の色を顔ににじませながら『ムスビ』は笑みを浮かべ強がってみせる。
「でもまだ負けない! だって私には恋の歌があるんだから!」

 豪語する『ムスビ』に一つの拍手が送られる。その音の先には貴族を思わせる立派な白の礼服を着た切れ長の目の男がいた。
「歌は世につれ、世は歌につれ……恋愛ソングは古今東西の廃れる事無き永遠のテーマですよね」
 涼やかに微笑をたたえ拍手を響かせながらルドルフ・エルランゲン(黄昏に抗う白梟・f03898)は『ムスビ』の主張に同意する。
「でしょう、あなた分かってるわね♪ あらやだ知的なクールイケメン、見た目が貴族っぽいわ! ここは偶然出会った運命の人と親が決めた婚約者との間で揺れ悩みつつ全てを捨てて恋に生きるのが映えそう、立場上から婚約者も無碍にできずかといって自分の気持にも嘘もつけず悩みながら過ごすの。そんな中でも逢瀬には胸が踊ってしまうのよね。きっと最期は自分の想いに正直になって家も世界も全てを捨て愛に生きるんだわ」
 ルドルフは眼鏡の位置をクイッと直しつつニコニコと話を聞いていた。作戦としてまずは敵の歌を軽く一番分聞いてみようとの考えから今は特に『ムスビ』を否定しない。

 ♪決められた関係は捨てて
 ♪世界を壊すと決めたから

 ノリノリで歌っていく『ムスビ』。『恋する乙女は無敵(物理)』な状態となり立場と恋の間で悩み決意をする青年という妄想の中の恋を結ばせようと歌を歌っていく。
(なるほど、曲調やリズムは分かってきました。歌詞はその場の思いつきの様ですね……ならば曲調はそう変化しないでしょう)
 およその解析を終えたルドルフのメガネが輝く。ルドルフはおもむろにスチャっとマイク構える『ムスビ』の歌への介入を始めた。
(恋愛至上主義で世界も要らないというような内容……そこをひっくり返すべきですね)

 ♪あの出会いから 胸が高まる
 ♪けれど 傷つけたくなくて悩む

 ルドルフの介入に戸惑いながらもとりあえず今のところ妄想の恋話の筋書きから逸れては居ないため歌は続ける『ムスビ』。しかし歌を続けることですでにルドルフの術中に陥っていた。

 ♪この気持ちに嘘は つけないから
 ♪ボクは捨てて壊そう

 ♪けれど もし何もかも壊したとして
 ♪何が残るのだろう

 次第にルドルフによる歌の乗っ取りが進み徐々に歌の方向が『全てを捨てて壊してでも愛に生きる』というものから『あの人が生きる世界を守りたい』という内容へと変わっていった。
「ちょっと! 勝手に私の考えた恋を変えないでくれる!?」
 歌の世界観そのものの変更に気がついた『ムスビ』は拳を振り上げ抗議をするが時既に遅し。ルドルフを妨害しようと動いたことで『恋する乙女は無敵(物理)』のリア充モーモも解除されてしまった。
 この攻撃のチャンスに密かに展開されていたルドルフの『エレクトロレギオン』による機械兵器たちが集まり『ムスビ』への攻撃を開始する。ルドルフも歌い続けているため効果はばつぐんだ。

 ♪君が生きてるこの世界
 ♪守りたくて そのためなら剣を取ろう
 ♪君と出会い君が生きるのは
 ♪この世界だから

 相手の歌を完全に乗っ取ったルドルフは楽しそうに熱唱する。ステージの演出効果でルドルフの姿は世界を守る騎士のような姿になり、周囲もいつの間にか星空が浮かぶ空間になっていた。その演出の空間を小型の戦闘用機械兵器が縦横無尽に動き回り『ムスビ』をボコボコにしていく。
「つまり恋は世界があるから生まれるのです。恋が世界をより輝かせるのです」
 歌を乗っ取り、そのまま気持ちよく歌いきったルドルフは爽やかに締め括った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

化野・那由他
なんて面白そうなの!
此処は私の十八番『蓮台野迷歌(デンデラノマヨイウタ)』を歌いましょう。
……いえ、全部即興なのだけれど。

蓮台の野を彷徨う儘の
空ろな命に手を触れた
誓い契りし其の身さえ
浮世の定めは無常の露と

野辺に送るは愛しきあなた
空蝉を只嘆いてみても
命の桎梏此の身を縛り
遠い彼岸に手を伸ばすだけ
(マイクをきつく握り情感を込めまくって)

あーあーーーーでんっでらのーまよいーうたぁあぁあぁあーー♪(ぐっと拳を握り締め、滅茶苦茶にビブラートを効かせる


ふう。『叢原火』を報われぬ恋の炎よろしく燃え上がらせ【属性攻撃】。恋は時に苦しいもの。リア充モードでも何でも歌で圧倒し機を見て攻撃します。

アドリブ大歓迎です!



●墓地の篝火
 ステージにふわりと黒髪が舞う。その黒髪は艷やかに明かりを反射して清らかな輝きを宿していた。髪の持ち主、化野・那由他(書物のヤドリガミ・f01201)はステージに登るとそこからの景色をくるりと一望し一声。 
「なんて面白そうなの!」
 現在、ステージの上に居るのは那由他と『ムスビ』のみ。
「ぐぬぬ……こんなはずでは……」
 ここまで受けた攻撃でよろめく『ムスビ』だが、しかしまだその戦意は衰えていない。彼女はステージに上がった那由他に気がつくと、さっそく拗らせた恋の思考回路をギュンギュン回転させていく。
「むっ、黒髪清楚系お姉さん! 大事に育てられたため色恋に疎くて異性から向けられる好意に鈍感なんだけど近所の昔なじみの年下の男の子がある日オトコらしさを見せて庇ってくれた時から原因不明の動悸に悩むようになるのね! もちろん恋と言う名の不治の病よ!」

 ♪不思議な 不思議な この鼓動
 ♪あの日から 離れないの

 シチュエーションを妄想しさっそく歌い始める『ムスビ』。対する那由他はステージの設備や自身が歌う内容を考えることに夢中で妄想話に気付いていなかった。
「さっそく歌が……盛り上がっていますね」
 と、相手の言動を『盛り上がっている』の一言で流すと自身もマイクを手にした。天然強し。
「では私も。即興ですが、此処は私の十八番『蓮台野迷歌(デンデラノマヨイウタ)』を歌いましょう」
 即興なのに十八番とはこれいかに。那由他はその赤い瞳を楽しげに輝かせ、どことなくしっとりと、しかし迷いなく歌う。

 ♪蓮台の野を彷徨う儘の
 ♪空ろな命に手を触れた

 歌うは報われぬ恋の歌。そこに込められるのは大事な人を失い墓地を彷徨う哀しみだろうか。苦しみと切なさを感じる。そして――。

 ♪命の桎梏此の身を縛り
 ♪遠い彼岸に手を伸ばすだけ

 失ったものを再び求めたいという切望だろうか。恐らくそれは愛しさと寂しさからのモノ。
 どことなく、寿命の違いによる想い人との別れを思わせる歌に那由他の気持ちが入り込んでいく。その歌への思い入れに呼応するようにステージが演出効果を描き出した。
 描き出されたのは夕暮れの丘の上にある和風の墓地。そこには彼岸花が咲き乱れ夕日に照らされた多数の墓石たちが枯れ木に留まるカラスと共に淋しげに静かに佇む。

 自身の妄想に夢中になっていた『ムスビ』はこのステージの変化に気がついた。
「え、なにこれ、もしかして私、演出負けしてる……!?」
 彼岸花が咲き乱れる墓地の中央で那由他は風に黒髪をなびかせ、歌いながら空を仰ぐ。赤い瞳が夕闇にひときわ輝く星を見つめていた。日が沈んでいき暗くなるのと比例して、ぽつり、ぽつり、と鬼火――ユーベルコード『叢原火』――が現れ淡い光を灯していく。
 息を継ぐと、那由他は拳を握りしめ歌を続けた。同時に周囲に展開された無数の鬼火たちが動き出す。
「あ〜あ〜〜でんっでらの〜〜まよい〜うたぁあぁあぁあ〜〜♪」
 那由他はぐっと拳を握り締めると演歌のごとくコブシを効かせた。先程までの儚い雰囲気が消し飛ぶほどの変化に呼応する様に鬼火はその火力を増して『ムスビ』へと襲いかかっていく。その炎は相手を焼き焦がして苦しめる――報われぬ恋の炎の様に。
 墓地で燃え上がる炎は野辺送りの後の別れの炎の様であり、別れの悲しみに囚われ迷う者を導く篝火の様でもあった。
 
「ふう。……恋は時に苦しいもの。報われぬ恋の炎の熱はどうでしたか?」
 即興の歌にこめられた想いは、果たして失った記憶から出たものか、それとも確かな記憶から出たものか。……それは、那由他本人にしか判らない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

モッチ・モチ
「オリジナルソング、いっきマスヨー!」
持参マイク片手に餅の事を歌った歌を即興で歌いマス

♪雲のように白く、柔らかく繊細な舌触り、口に入れれば歯を跳ね返すような弾力が、心揺さぶるムーブマイハート♪

♪ライスケークは裏切らない、たとえ恋に敗れようとも、口に入れた瞬間(とき)の幸せは、誤魔化す事なきリアルヘブン♪

敵の攻撃を歌いながらユーベルコードを使用して避け、カウンターで投擲ナイフ→接近して大型ナイフと繋げマス!



●大好きなもの、元気の源
 持参したマイクを片手にステージへぴょいと飛び乗る女性がひとり。その短い青髪をふわりと浮かせ着地とともにくるりと観客側を向くと明るい笑顔を見せるモッチ・モチ(ボス専門バスター・f09023)。
 快活な印象のモッチに対して、あちこち焦げつつズタボロな『ムスビ』はへろへろだ。
「次の猟兵ね……相手になるわよ!」
 攻撃のための歌のため、何より縁結びのため、『ムスビ』は気持ちを昂らせ恋のシチュエーションを創り出す。
「無邪気な元気系なのに、あちこちモチモチしてそうな感じのお姉さん! 幼馴染系が似合うと見たわ! 成長とともに仲が良かった幼馴染の男子と少し疎遠になってくるの、けどそれは幼馴染がこちらを異性として意識しはじめて、恥ずかしさから避けるようになったから……。数年ぶりに再開した幼馴染はすこし大人びていて、少し遅れてドキドキしちゃうのよね! 昔のように接することができないもどかしさと戸惑い……これね!」

 ♪昔のように 話せなくて
 ♪数年ぶりのあなたは 大人びていた

 さっそく歌いながら恋の炎を展開していく『ムスビ』。その臨戦態勢を見るやモッチも負けずとマイクを構えて歌う。
「コチラも負けられまセンネ。オリジナルソング、いっきマスヨー!」

 ♪雲のように白く 柔らかく繊細な舌触り
 ♪口に入れれば歯を跳ね返すような弾力が
 ♪心揺さぶる ムーブマイハート♪

 モッチはライスケーキ――餅に対する愛の歌を歌う。歯ごたえ、舌触り、ほんのりした甘み。口に入れた瞬間の幸せを想って好きを表現していく。

 しっとりした『ムスビ』の妄想の歌ともっちり弾むモッチの歌が激突する。
 繰り出される恋の炎がモッチへと襲いかかり、対するモッチはその炎を歌の振り付けで踊りながら回避――可能性という枝から有益な択を選び取り、回避するユーベルコード『rackからぼたライスケーキ』――を行っていた。
 状況は一見すると拮抗しているように見える。しかし……回避の合間にモッチが腰のホルスターから取り出して繰り出す食器ナイフの投擲が『ムスビ』を傷つけていく。
「もう! 私の縁結びを邪魔しないで!」
 業を煮やした『ムスビ』がさらに攻勢を強めようとしたが歌が疎かになり雑になった。モッチはこの隙を逃さず利用する。

 ♪ライスケークは裏切らない
 ♪たとえ恋に敗れようとも
 ♪口に入れた瞬間(とき)の幸せは
 ♪誤魔化す事なきリアルヘブン♪

 和菓子セットから、きな粉、うぐいす餡、海苔でそれぞれ包まれた餅のお菓子を交互に取り出してアピール。美味しそうなライスケーキ菓子とそれに込められる愛情も加えて、モッチ自身の気持ちも奮い立つことでステージ演出の拮抗が崩れた。
 周囲は白くもちもちフワフワなオブジェに満たされた空間に変化する。あたりはやわらかな甘さがある香りに包まれ、空中には様々なお餅を用いたお菓子のマスコットが浮かんで楽しそうにニコニコ微笑み、遠い背景の向こうでは巨大な臼と杵がぺったんぺったんと餅をつく。描き出されたのはまさにお餅をテーマにした天国のような世界。
「あーっ! 私の考えた恋の世界がー!」
 演出の変化に絶叫する『ムスビ』。作り出した攻撃のチャンスを逃すまいとモッチは歌いながら『大型ナイフ』を手に『ムスビ』へさらなる攻撃をしかけた。
 弾力のある餅の地面をばねに飛び弾力を力とする。この一閃はオブリビオンを貫き、その活動を停止させた。戦いは猟兵側の勝利で終わったのだ。

 演出で生み出されたライスケーキの楽園が消えていく。名残惜しそうな表情を見せながらもモッチは、持参していた和菓子セットの餅が硬くなる前にと食べた。
 心地よい弾力とともに、蒸されてよくつかれた餅米のうまみや甘みが口の中に優しく広がり戦闘や歌唱による疲れを癒していく。
「やはり、ライスケークは素敵デスネ。食は力なり。糧は心なり。感謝を持って、続けて二つ目もいただきまーす♪」
 モッチは餅を愛おしそうに噛み締める。その顔には幸せが溢れていた。


 このステージを守るオブリビオンは倒れ過去へと還った。しかし『システム・フラワーズ』の戦いはまだ残っている。
 このキマイラフューチャーにオブリビオンがいる限り、猟兵たちの戦いもまた続く。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月26日


挿絵イラスト