バトルオブフラワーズ⑨~想像の先の先を読め!
●全能なる創造主
「さて、いよいよシステム・フラワーズの内部に突入開始ね。皆、準備はいい?」
ここから先は、強力な敵が待ち構える激戦区。今までの戦いとは勝手が違うと、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)はグリモアベースに集まった猟兵達に念を押す。
システム・フラワーズの内部は、無数の花弁が足場を作る不思議な空間だ。そして、その先に待っているのは、今までの敵とは比べ物にならない強力な敵。
「この先にいるのは、マニアック怪人『エイプモンキー』ね。怪人三幹部の一人だけあって、チート級に強いわ」
その能力は、猟兵の使うユーべルコードの対抗策を、その場で創造してしまうこと。無敵のユーべルコードなど存在しないが故、敵はその弱点を先読みして突くことで、一方的にこちらの技を封じて攻撃して来る。
「はっきり言って、何も考えずに戦って勝てる相手じゃないわ。でも、自分の使うユーベルコードなら、その性質や弱点についても、自分が一番よく知ってるはずよね?」
完璧な能力など、この世には存在しない。それは、敵のユーベルコードに対しても言えることだ。即ち、完璧な技がこの世に存在しないのであれば、完璧な対抗策もまた存在しない。
つまり、己の弱点を克服し、時に斜め上の戦法で戦うことができれば、相手に一矢報いることができるかもしれないということだ。もっとも、そのためには敵の繰り出す対抗策をも上回る、マニアックな理論が必要になるのだが。
「あ、それと、複数のユーベルコードを使って戦うのは、あまりお勧めしないわね。敵も馬鹿じゃないし、それぞれのユーベルコードに対してカウンターを仕掛けてくるから、こっちがやられる可能性が高くなるだけかもね」
戦いを有利に運びたいのであれば、あくまで己の知識と理論を総動員して挑むしかない。加えて、エイプモンキーは倒されても瞬時に骸の海から復活する厄介な性質を持っているが、その復活とて無限ではない。
短時間に連続して倒すことができれば、いずれは復活する力を失い完全に消滅する。この先に進み、ドン・フリーダムの下へ辿り着くためにも、ここで撃破するのが望ましい。
「無限とか永遠とか無敵とか……そんなもの、この世界には絶対に存在しないのよ。最強を気取る猿怪人に、キミ達の知恵と知識ってやつを見せてあげて!」
戦いは熾烈を極めるだろうが、勝ち目のない相手ではない。そう言って、パトリシアは猟兵達を、花弁溢れるシステム・フラワーズの内部へと転送した。
雷紋寺音弥
こんにちは、マスターの雷紋寺・音弥です。
いよいよ、システム・フラワーズの内部に突入できました。
今回の相手は、怪人軍団の幹部である、マニアック怪人『エイプモンキー』です。
●戦争シナリオについて
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「バトルオブフラワーズ」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオです。
このシナリオの戦場は『⑨マニアック怪人『エイプモンキー』』になります。
●先制攻撃について
エイプモンキーは、猟兵が使用するユーベルコードの設定を元に、そのユーベルコードを無効化する武器や戦術を創造し、回避不能の先制攻撃を行ってきます。
(ユーベルコードで無効化したり相殺した後、強力な通常攻撃を繰り出す形です)
この攻撃は、ユーベルコードをただ使用するだけでは防ぐことは出来ません。
この先制攻撃に対抗する為には、プレイングで『エイプモンキーが自分のユーベルコードに対抗して創造した武器や戦術を、マニアックな理論やアイデアで回避して、攻撃を命中させる』工夫が必要となります。
対抗するためのプレイングは、マニアックな理論であればあるほど、効果が高くなります。
●エイプモンキーについて
青丸が一定数以上溜まればシナリオはクリアになりますが、この戦場の戦力が残っている限り、エイプモンキーは即座にエリア内の別の場所に復活します。
●判定について
強敵相手なので、判定はシビアに行います。
失敗や大失敗での返却になることもありますので、結果としてシナリオが失敗に終わる可能性もあります。
また、連携を希望される方は、連携を行う仲間が分かるように記載されていない限り、連携プレイングとして扱いませんので、ご了承ください。
第1章 ボス戦
『マニアック怪人『エイプモンキー』』
|
POW : マニアックウェポン
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【敵に有効なマニアックな装置】が出現してそれを180秒封じる。
SPD : マニアックジェット
【敵のユーベルコードを回避する装置を作り】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : マニアックマシン
対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ラッセル・ベイ
カウンター特化とでも言うべきか……
恐ろしい能力だな
●戦闘(POW)
【ハイ・インパクト】を使う
当然カウンターを行うから対策せねば
これの弱点は二つ
・武具がなければ発動不可
・属性耐性を得られると弱体化
従って相手のカウンター行動は、
『武具を奪う』『属性耐性を得る』等が考えられる
前者は相手の攻撃方法による
直接攻撃ならば「D/タービュランス」の高機動力で回避
ドローン等の装置を使う場合は「ジャミング・ルーン」を起動
これから発せられる衝撃波で薙ぎ払えるだろう
耐性については通常の属性攻撃で確かめてみるか
色々な武器で試してみて効果がない様ならば、耐性を破壊する
「剛斧ブロングス」の破壊属性ならば、それが可能だ
●最強のカウンター
(「カウンター特化とでも言うべきか……。恐ろしい能力だな」)
花弁の舞う回廊に足を踏み入れると同時に、ラッセル・ベイ(ドワーフのルーン鍛冶師・f12407)は目の前に立ちはだかる、メカニカルなアーマー姿の猿を見て身構えた。
「ウッキッキ! まずは、お前が相手でウッキー? 見たところ、色々な武器を持っているようでウッキー。でも、それだけじゃ、ミーには絶対に勝てないウッキー!」
多数の武器や防具に特殊なアイテムまで揃えたラッセルの姿を見ても、エイプモンキーは何ら動じる様子はない。想像の範疇内であれば、あらゆるユーべルコードに対してタイムラグゼロで対抗策を編み出せる能力。それがある限り、自分が正攻法では絶対に倒されないと信じているからだ。
(「私のユーベルコードの弱点は、武器を奪われると発動できないことと、属性態勢を得られると弱いことか。ならば……」)
鎧の力で得た俊敏な動きを使い、武器を奪われる前に叩き付ける。その上で、どのような属性に耐性を持っているか、通常の攻撃で調べようというのがラッセルの作戦だったのだが。
「甘いでウッキー! どれだけ速く動いても、ユーべルコードでない以上、ミーにも普通に戦って反撃するチャンスはあるでウッキー!」
攻撃が当たると同時に、エイプモンキーの繰り出した凄まじく強烈な拳の一撃が、ラッセルの身体を吹き飛ばした。
「……なんと! このパワーは……」
炎や氷の属性を纏った剣であっても、エイプモンキーに大ダメージを与えるには、ユーべルコードなしでは力不足。おまけに、どれだけ素早く動いたところで、攻撃を当てる瞬間は、回避に割いているリソースはない。
「ウッキッキ! 殴り合いではパワーが上の方が勝つんでウッキー! 今のままでは、お前には万に一つも勝ち目はないでウッキー!」
「……確かに、そうだな。ならば……この攻撃には耐えられるか?」
剣を納め、ラッセルは背中に背負っていた巨大な斧を取り出し構える。剛斧ブロングス。破壊の名を冠するだけあり、その斧が持つ属性もまた『破壊』に特化したものだ。
「パワーにはパワーで対抗するつもりでウッキー? しかぁし! お前のユーべルコードは、既に見切っているでウッキー!」
そう言うが早いか、エイプモンキーはアーマーの上に、更なる強固なアーマーを身に纏った。
「防御力を上げて耐えるつもりか? だが、無駄だ!」
それにも構わず、ラッセルは真正面から剛斧ブロングスを叩き付ける。今度は紛うことなきユーべルコード。あらゆる存在を『破壊』する斧の一撃であれば、いかなる属性耐性を得ようと、それさえも破壊できるだろうと。だが……。
「吹き飛べッ!」
「残念! 吹き飛ぶのは、お前の方でウッキー!」
剛斧の一撃がエイプモンキーの胸部装甲に炸裂した瞬間、装甲が凄まじい炸裂音と共に弾け飛んだ。ブロンクスの一撃によるものではない。破壊の属性がエイプモンキーの本体に届くよりも先に、エイプモンキーは装甲の一部を内部からの爆破で射出することにより、ダメージを極限まで軽減したのだ。
「……リアクティブ・アーマーだと!?」
剛斧で破壊されたアーマーの破片が、散弾の如くラッセルの身体に降り注ぐ。なるほど、これは確かに恐ろしい反撃方法だ。攻撃を防ぐだけでなく、その攻撃の効果を生かし、自動でカウンターを食らわせるところまで考えられている。
「お前のユーべルコードは、手にした武器の属性によって効果が変わるものだウッキー。それなら、お前が武器を手に取った瞬間、その属性に合わせたカウンターはいくらでも考えられるでウッキー!」
勝ち誇った様子で、エイプモンキーは言い放った。あらゆる存在を『破壊』する属性というのは厄介だが、その攻撃が届く前に、何らかの方法で本体まで『破壊』が届かないようにすれば良いのだと。
「くっ……だ、だが、今の一撃で、増加装甲は失われたはずだ。ならば……っ!?」
今度こそ、別の武器でユーべルコードを食らわせてやろう。そう思い、痛む身体に鞭を打って立ち上がったところで、ラッセルは唖然とした表情で言葉を失う他になかった。
「おや、今度は雷属性の鐘を使うつもりだウッキー? それならミーは、絶縁体で身体を覆うだけだウッキー」
エイプモンキーの纏うアーマーは、既にラッセルが次に繰り出すであろうユーベルコードの属性に対応したものになっていた。
「お前の攻撃がユーべルコードである限り、ミーはそれが発動する瞬間、その属性に合わせた防御策を編み出せるんだウッキー。前の攻撃に合わせたアーマーを、いつまでも纏っているほどアホじゃないでウッキー!」
雷の次は、炎か? 氷か? どんな属性で来ようとも、それが正面からの攻撃である限り、全て無意味だと言い切るエイプモンキー。
「単に属性を乗せた攻撃を当てるだけじゃ、ミーは倒せないでウッキー。その属性の持つ特性をマニアックな理論で応用できない限り、どれだけ多彩な属性を持っていても、器用貧乏にしか過ぎないんだウッキー!」
そういうわけで、個々からはガチの殴り合いだ。にやりと笑い、エイプモンキーは強烈な打撃を正面からラッセルへ叩き込む。
「……ぐっ!? グラウンドの防御力を以てしても、この衝撃とは……!?」
自慢の地盾で咄嗟に防いだラッセルだったが、それでも完全に衝撃を殺すことはできず、彼の身体は花弁の道の、遥か遠くまで吹き飛ばされて行った。
苦戦
🔵🔴🔴
リサ・ムーンリッド
こういう投擲系は投げ返されたり空中で迎撃されるとつらい。なのでそれをあらかじめ読み対策をしておこう。
●
こんな事もあろうかと折りたたみ式の巨大紙バケツを懐に忍ばせておいたのさ。
迎撃されたなら下に駆け込んで受け止め、投げ返されたなら駆け寄りながら受け止める。どちらにせよ投げながら駆け寄るのが良いか。
そしてそのまま酸を展開した紙バケツで受け止めそぉい!とぶっかけてやろう。
紙は酸を受け止めることを考慮し酸性紙を使う。そして手足は酸に強い耐性のあるフッ素ゴムによる手袋タイツで保護だ。
これでどうだろうか
●完全中和方程式
マニアック怪人・エイプモンキー。生ける雑学書の如きマニアックな知識と、それを元にしたあらゆるものを創造できるという、チートに等しい能力を持った強力な敵だ。
「ウッキッキー! お前がミーの相手だウッキー? 言っておくが、小手先の技ではミーには絶対に勝てないッキー!」
あらゆるユーベルコードに先手を打って対抗策を編み出せるエイプモンキーは、まだまだ余裕があるようだ。しかし、それはリサ・ムーンリッド(知の探求者・エルフの錬金術師・f09977)とて百も承知。自分のユーベルコードが投擲タイプであるが故の弱点を理解した上で、懐には紙のバケツを忍ばせて。
(「こういう投擲系は、投げ返されたり空中で迎撃されたりするとつらい。ならば……」)
それら全てを再び相手に返してやればどうだろうか。そのための手段は既に用意してあると、駆け出しつつもユーベルコードを発動させた。
「さあ、この酸の雨から逃れられるかな?」
間合いを詰めつつ、彼女が投げ付けたのは、強力な酸の入ったガラス試験管。当たれば大ダメージ故に、対空時間の長さを弱点と見て迎撃して来ると踏んだリナだったが……果たしてエイプモンキーは微動だにもせず、いつの間にか鈍い銀白色をした、金属製のアーマーで全身を纏っていた。
「ウッキッキー! その試験管の中身が強酸なのはお見通し! それなら、俺様はこのアーマーで対抗してやるウッキー!」
「金属製の全身アーマー? そんなもの、強酸なら一撃で溶かせるよ」
敢えて攻撃を受けるというのであれば、こちらも小細工を使う必要もない。エイプモンキーの読み間違えにより勝利を確信したと思ったリサだったが……しかし、次の瞬間、強酸を頭から浴びても平然としているエイプモンキーの姿に、思わず驚愕した表情となって足を止めた。
「なっ……ば、馬鹿な!?」
「残念だったッキ~♪ 金属は金属でも、コイツは金をも溶かす王水にさえ耐える、最強の耐酸性を持った『イリジウム』でコーティングしたアーマーだウッキー!」
イリジウム。プラチナ製錬の副産物として入手できる希少金属(レアメタル)であり、その性質は他の金属を圧倒する密度と化学変化に対する耐性。高温でフッ素や塩素と僅かに反応する以外は、酸にもアルカリにも滅法強い。
「まあ、そんなイリジウムでも、さすがに砕かれて表面積を減らされたら、王水にも僅かに溶けてしまウッキー。だから、コイツは駄目押しだウッキー。酸にはアルカリ! 混ぜれば中和! これは当たり前の理論だウッキー!」
そう、エイプモンキーが叫ぶと同時に、アーマーの一部が展開されて、中から現れたファンが謎の霧を撒き散らし始めた。
「コイツは強アルカリ性の霧だウッキー。お前がいくら酸を投げようと、これで全部中和してやるウッキー!」
おまけに、強アルカリは触れただけで肉をも溶かす猛毒だ。アーマーの中にいるため、自分は無傷。しかし、外側から触れたが最後、下手に手を出せば大怪我をするのはそっちだと、勝ち誇った表情でエイプモンキーは言い放った。
「ウッキッキ~! 攻撃を当てることばかり考えて、自分の投げる試験管の中身の性質を考えていなかったのは失敗だウッキー! さあ、今度はこちらの番だッキー。ゆっくり肉を溶かしてやるから、覚悟しろッキー!」
ズシリ、ズシリと音を立てながら、霧とアーマーを纏ったエイプモンキーがリサに迫る。必殺の酸はおろか、近づく術まで奪われた彼女に残された手段は、武器による通常の攻撃しかない。
「どうしたッキー? その程度の攻撃じゃ、ミーは止められないでウッキー!」
多少の銃撃など物ともせず、エイプモンキーは余裕で間合いを詰めて来る。攻撃を続け、イリジウムのアーマーに多数の亀裂を刻むことができれば、まだ勝機はあったかもしれない。だが、それをする前に、エイプモンキーの強烈な打撃により、こちらがKOされるのが先だろう。
(「フッ素ゴムなら、強アルカリ性にも多少は……いや、でも、さすがに水酸化ナトリウム以上の強アルカリが相手では……」)
耐酸仕様として用意したフッ素ゴムの手袋を以てしても、あの強アルカリの霧を前にしては無意味に等しい。濃硫酸にさえ耐えるフッ素ゴムだが、強アルカリには弱く、劣化してしまうからだ。
残念ながら、万策尽きた。銃撃だけではエイプモンキーを止められないリサには、撤退する以外の選択は残されていなかった。
苦戦
🔵🔴🔴
御宮司・幸村
【SPD】
攻撃を予想する装置、ねえ?
エンドブレイカーさんの前では、そんなの何の意味もない
説明書によると―
相手の『エンディング』を見る能力を持ち、『エンディング』に関わる出来事に積極的に関わることで、定められた運命を破壊し、変更することができます
と、ある
つーまーり、あのモンキーの未来は骸の海に帰る未来以外存在しない!
では『詠唱』!
あっ、ちなみにエンドブレイカーさん達は、不幸な『エンディング』を見てしまうと、その結末を叩き潰さずにはいられない気質がある人達だから、逃げ切れると思わないでねー?
●因果と未来の落とし穴
相手の攻撃を予想し、その効果を封じたり回避したりするエイプモンキー。その想像力の幅は底を知らず、故にユーベルコードの応用もまたネタ切れ知らず。まともな戦い方では掠り傷を負わせられれば恩の字といったところなのだが……そんな強敵を前にしても、御宮司・幸村(いいかげんサマナー・f02948)は何故か余裕だった。
「攻撃を予想する装置、ねえ? エンドブレイカーさんの前では、そんなの何の意味もない」
そう言うが早いか、幸村はゲームのルールブックと思しきものを取り出し、そこに書かれた説明の欄を音読し始める。
「説明書によると……【相手の『エンディング』を見る能力を持ち、『エンディング』に関わる出来事に積極的に関わることで、定められた運命を破壊し、変更することができます】と、ある。つーまーり、あのモンキーの未来は骸の海に帰る未来以外存在しない! では『詠唱』!」
敗北の運命を破壊する力があるのなら、自分が負ける未来はないはず。そう、幸村は踏んでいたが、しかしエイプモンキーはにやりと笑い、何やら凄まじくカッコイイフォルムのウイングブースターと、ヒロイックなロボットを思わせるヘルメットを創造した。
「ウッキッキ~! わざわざ、説明感謝でウッキー! それを聞いて、ミーは勝利を確信したでウッキー!」
翼を広げ、エイプモンキーが幸村へと突撃して来る。対する幸村も召喚した歴代勇者達で応戦しようとするが、エイプモンキーは彼らをガン無視して旋回すると、およそ常人では捉えられぬ程の速度で幸村へと肉薄し、彼の喉元を締め上げながら上昇した。
「これぞ、超高速演算により高度の未来予知を可能とする『モンキー・システム・ZERO』! しかも、その演算処理について行けるだけの機動性を付与するブースターのおまけ付きでウッキー!」
「ぐぬぬぬ……。だ、だが、不幸な『エンディング』を見てしまうと、その結末を叩き潰さずにはいられない気質があるエンドブレイカーさん達から、逃げ切れるはずが……」
花弁の舞う世界の中、もはや床さえも見えぬ高度にまで持ち上げられ、それでも幸村は未だ勝てると踏んでいた。しかし、そんな彼の理論を聞いても、エイプモンキーは何ら表情を変えることなく、余裕の笑みを浮かべていた。
「お前は、少し勘違いしているウッキー。『定められた運命を破壊する力』とは、即ち『因果率操作』の一種……。しかぁし! それは所詮、星の数ほどの運命の中から、自分に都合のよい運命を引き当てる確率を上げるだけの能力! つまり、どれだけ因果を紡ごうとも、『絶対に起こるはずのない運命』は、引き当てることができないんだウッキー! 普通に戦ったら勝率ゼロな各上の相手に、工夫なしで勝てるような便利技能でもないウッキー!」
仮に、何もしないでもエンドブレイカー達にとって都合の良い展開になるのであれば、それはもはや因果率操作ではなく天地創造レベルの『現実改変』だ。しかし、『積極的に関わる』ことでしか運命を破壊できないとなれば、元から関わらなければ運命は変わらない。こちらが何もしなくても、敵対した相手がラッキーだけで自滅してくれるような能力とも似て異なる。
エイプモンキーが高速演算装置とブースターを創造した理由が、これだった。人知を超えた演算速度で『エンドブレイカーと積極的に関わらない未来』を選び出し、『エンドブレイカーが関われない』場所へと幸村を連れ出した上で、ボコボコにすれば良いと判断したのだ。
「エンドブレイカーとやらの能力が、『自分が関わった相手との因果率を操作して運命を変える能力』なら、因果率操作の弱点を突けば良いだけの話だウッキー。所詮は数百万通りの可能性の中から、自分に都合の良い可能性を引き当て易くするだけの能力……。引き当て易くするための努力をしなければ、結果は何もしない時と大して変わらないんだウッキー!」
万が一、以前にそれで勝てたことがあったとしても、それはたまたまラッキーが起きただけの話。そのラッキーを発動し易くするのが因果率操作なのだが、対象と『関わらなければ』因果を紡げない以上、確率ゼロ%を無条件で100%に塗り替えることなどできはしない。
「さあ、お喋りはここまでだウッキー。ユーの言うことが正しければ……ユーの瞳を見たエンドブレイカーが、『高所から落下して重傷を負う未来』を破壊してくれるかもしれないでウッキーね!」
まあ、そのためには、下で何もできずに歯噛みしている勇者達に、そのエンディングを見てもらう必要があるのだが。運が良ければ、それで助かるだろうと言いながら笑みを浮かべ、エイプモンキーは幸村のことを、遥か彼方に見える花弁の床目掛けて放り投げた。
失敗
🔴🔴🔴
マリアンネ・アーベントロート
『想像した全てを創造する能力』……うーん、強敵だねぇ。
私の催眠術も、単純に相手に向かって使うだけだと『催眠術自体を無効化する機会』とかで対策されちゃいそうだから、ここはちょっと別の方向性で行ってみよっか。
『催眠・万象の掌握』は世界に催眠をかけて物理法則を改変するユーベルコード。
普段はそれで重力とかを弄って敵に直接攻撃してるけど、今回物理法則を改変するのは私自身のもの。
私自身の『加速度』をすっごく高くしちゃって相手に体当たりすれば、催眠術なのに高速の物理攻撃! って感じで裏をかけないかな?
私自身の近接戦闘技量の問題もあるし、体当たりしたらすぐに逆方向に逃げるヒットアンドアウェイな感じでどうかな!
●リアリティさえも塗り替えろ!
次々と現れる猟兵達を返り討ちにし、エイプモンキーは随分と調子に乗っていた。
「ウッキャッキャ~! 猟兵というのは、この程度でウッキ~? もっと骨のあるやつはいないのかウッキー!!」
どんなユーベルコードであってもカウンターできる以上、自分は無敵の存在だ。完全に舞い上がっているエイプモンキーだったが、しかし次に現れたマリアンネ・アーベントロート(ゼーブスタスの催眠術師・f00623)を見た瞬間、思わず高笑いを止めてシリアスな表情になった。
「想像した全てを創造する能力……。うーん、強敵だねぇ」
(「ウキャッ!? こ、こいつの能力は……!!」)
今にも指先から光線を発射しそうになっているマリアンネの様子から、エイプモンキーは瞬時に彼女のユーベルコードの特性を見切り、理解する。そして、理解してしまったからこそ、マリアンネが今まで戦って来た猟兵達と比べても、危険な存在だということも分かってしまった。
(「世界に催眠をかけ物理法則を改変する光線……。さっきのやつは穴だらけの因果率操作だったウッキーが、こいつのはガチの『現実改変』だウッキー!!」)
現実改変。それは因果率操作と似て異なる力。一度でも発動すれば、その力は無生物を生物に変え、物理の法則さえ容易く歪める。やろうと思えば、敵対者の心臓を手に触れずに止めたり、肉体を問答無用で消滅させたりすることさえ容易いというチート能力! 因果云々に関係なく、『絶対に起こらないこと』であっても『強引に起こす』こともできる。一度でも食らってしまったら最後、それを食い止める術は殆ど存在しない!
「ぐぬぬぬ……。しかぁし! いくら現実改変といえど、ユーのユーベルコードには決定的な弱点があるでウッキー! 『催眠をかけて』法則を歪めるという性質上、催眠が効かなければ問題ないでウッキー!」
そういうわけで、自分は耐催眠用の装備で対抗しよう。そう言って、エイプモンキーは催眠術に対して耐性を持つ、フルフェイスのマスクを装着した。
「ウッキッキ! これでユーの催眠は、ミーには絶対届かないでウッキー! さあ、もはや打つ手なしでウッキー! 覚悟しろで……」
「うん、知ってたよ、そんなのは!」
だが、ユーベルコードを完封されたと思しき状況になっても、マリアンネは笑顔で返すだけだった。
無敵に近い現実改変とはいえ、それを発動するためのトリガーは必ず必要だ。マリアンネの場合、それは催眠。ならば、催眠に対して耐性を付けて来るだろうと踏んで
……彼女は光線を放つ対象を、エイプモンキーではなく自分自身にしたのである。
「なっ……!? こいつ、自分で自分に催眠を……!!」
エイプモンキーが、マリアンネの思惑に気付いた時には既に遅し。催眠による現実改変で『物理法則を無視した速度』を得たマリアンネは、エイプモンキーの反応速度を上回るスピードで肉薄し、そのまま強烈な打撃を叩き込んだ。
「ウキャッ! こ、これはヤバいでウッキー! は、早く、やつの催眠を解除する方法を……」
慌ててマリアンネ自身に掛かった催眠を解く方法を模索するエイプモンキーだが、しかし他者の催眠を解除する装置を作ったとして、超高速で動く彼女を捉えて使用するのは至難の技。ならば、こちらも速度で対抗しようと目論むものの、ユーベルコードの効果そのものでない以上、完全に彼女の高速移動を避けるためのマニアックマシンを作ることは不可能だ。
(「や、やはり、現実改変は恐ろしい能力だウッキー! ここは一先ず、生き延びることを優先するでウッキー!」)
このまま戦っては危ないと判断し、エイプモンキーは瞬間移動装置を想像すると、瞬時に別の場所へと逃げ去った。だが、止めこそ刺し損ねてしまったものの、マリアンネの策は見事に決まり、エイプモンキーにかなりのダメージを与えることに成功していた。
大成功
🔵🔵🔵
霧枯・デスチーム
【2m半のガジェットブラザーに乗り込み行動。アドリブ歓迎】
『想像した全てを創造する能力』果たして奇跡は想像できるかナ?
戦いながら近づき、短時間でも拘束して胸部コックピットからおいらが銃剣パイルバンカーを叩き込んでやる。零距離なら避けられねーだろ。
先制攻撃されてもおいらのUCには関係ねーしナ。
相手が対策して透明になるなら道具のセンサーとアンカーガンを使う。
拘束してくるようなら自傷してでもUCを発動させる。
ブラザーがぶっ壊れても、瀕死になっても、奇跡を起こしてでも、どんな手を使ってでも手傷を負わせてやる。
「へ、へ…マニアック知識ー。猫に、九生あり。後八回は…奇跡を起こしてやるぜぇ」
●眠りという名の安らぎ
現実改変によるチート攻撃から辛くも逃げ延びたエイプモンキー。だが、それでも猟兵達は追撃の手を休めることなく、彼を探して追い詰める。最初に彼を見つけたのは、巨大なガジェットに騎乗した霧枯・デスチーム(100万回殺しても殺せない猫・f13845)だった。
「『想像した全てを創造する能力』か……。果たして奇跡は想像できるかナ?」
「ウッキィィィッ! さっきはちょっと油断しただけだウッキー! しかぁし! もう、油断はしないでウッキー! 奇跡でもなんでも、ミーはあらゆるものを創造し、ユー達に絶望を味わわせてやるでウッキー!」
体勢を整えたことで、エイプモンキーは再び余裕を取り戻していた。いかにデスチームが強力なガジェットを持っていようと、単純な殴り合いなら自分に分があると判断してのことだ。
「やるならやれよ。先制攻撃されても、おいらのUCには関係ねーしナ」
だが、対するデスチームも慌てることなく、エイプモンキーへと肉薄して掴みかかる。そのままコックピットから飛び出すと、銃剣のパイルバンカーを至近距離からキャノピー目掛けて叩き込むが。
「……さすがにやるでウッキー。しかぁし! それで焦って、反撃するとでも思ったでウッキー?」
キャノピーに亀裂が走り、あわや脳天を撃ち抜かれそうになっているにも関わらず、エイプモンキーは微動だにしない。そればかりか、いつの間にか周囲に謎のアンテナが多数装着された装置を展開しており、軽く指を鳴らすことで、それを一斉に起動させた。
「……ッ!? こ、こいつは……」
「ユーのユーベルコードの発動条件が、ユーが『戦闘で瀕死になる』ことだっていうのはお見通しだウッキー! だから、ミーは『瀕死』にさせない形で、ユーを戦闘不能にさせてもらウッキー!」
敵を無力化するだけならば、破壊や死を伴わずとも可能である。そう言って勝ち誇るエイプモンキーの前に、デスチームの意識は徐々にだが確実に薄れて行く。
「ウッキッキ! 名付けて、『催眠ドリームマシン』だウッキー! 指向性の催眠波を食らったら最後、後は痛みも苦しみも忘れて、ぐっすり眠って動けなくなるだけだウッキー!」
命の危険が伴うレベルまで負傷しなければ瀕死とは言わず、瀕死にならなければデスチームのユーベルコードは発動しない。瀕死が発動条件になるユーベルコードは起死回生のチャンスを生む切り札だが、それ故に『瀕死にならず敗北する』可能性そのものが、大きな弱点にもなっている。
効果時間は3分程度だが、それだけあれば十分だ。その間、デスチームはユーベルコードの発動はおろか、満足に動くこともできなくなるのだから。
「他にも相手を即死させるなんて方法もあるウッキー。まあ、失敗する可能性が高いから、今回は使わなかっただけだッキー」
せめて、初手から玉砕覚悟で自爆でもしていれば違っただろうが、その場合は呼び出された存在に対してのカウンターを考えれば良いだけの話。
そんなエイプモンキーの言葉は、しかし深い眠りに陥ってしまったデスチームには、もはや聞こえることは決して無かった。
苦戦
🔵🔴🔴
胡・翠蘭
さぁ…敵の裏をかいて攪乱させてあげましょう
わたくしのUCは姿を透明化させて視認性を阻害するもの
暗殺や不意打ちに向いているモノですが…ふふ
わたくしが使用するなら、「物音と体温」を隠し完全に存在を周囲に同化させてバレないよう行動いたしますわ
忍び足で音を、そして防具改造して属性攻撃の炎と氷を応用し周囲と身体の温度を合わせて存在を希薄化させ、敵の死角から攻撃致しましょう
逆に、敵がこのUCを使うなら…敵の気配、音、そして熱を注意して観察し、足元の花畑の動きなども注意深く観察して居場所を特定し、攻撃を見切り防御・回避をしつつカウンターいたしますわ
自分の使うUCですもの、デメリットは常に意識しなくては…ね?
●音なく、影なく、姿なく
己の想像できるものであれば、あらゆる存在を創造できるエイプモンキー。その底なしの想像力を前に、猟兵達は再び苦戦を強いられていた。
「ウッキッキ! やっぱり、ミーは最強でウッキー! この能力がある限り、どんなやつが来ても、負けることなんてないでウッキー!」
どんな能力であれ、正面から来るのであれば問題ない。再び調子を取り戻したエイプモンキーではあったが、そんな彼の前に現れた次なる猟兵は、なんとも言えぬ幻惑的なオーラを纏った胡・翠蘭(鏡花水月・f00676)だった。
「ウキャッ!? な、なんか、ヤバそうな雰囲気のやつでウッキー! こういうやつは、色々と下衆な作戦を考えていることが多いでウッキー……」
脳筋のバトルジャンキーとは明らかに対極的な翠蘭の雰囲気に、エイプモンキーは思わず身構える。そして、そんな彼の予想は、果たして正しい。翠蘭が得意とする戦い方は暗殺。正面突破の正攻法ではなく、搦め手を用いた奇襲ことが彼女の真髄なのだから。
「さぁ……敵の裏をかいて攪乱させてあげましょう。わたくしのUCは姿を透明化させて視認性を阻害するもの。暗殺や不意打ちに向いているモノですが……ふふ」
敢えて敵の前で解説する翠蘭。ならば、とエイプモンキーはあらゆる機能を兼ね備えた『耐ステルスレーダー』を創造し、それにより死角から攻撃しようとしたのだが……それを待っていたとばかりに、翠蘭は自らの鎧から炎と氷を噴出させた。
「……ウキャッ!?」
相反する属性を衝突させることで温度を調整し、翠蘭は自らの体温さえも、周囲に同化させて隠してしまったのだ。おまけに、忍び足で動くことによって、動く際の物音さえも消してしまった。
(「赤外線レーダーは無効……電波吸収塗料の類でないウッキーから、耐ステルス用の装備も効果が無いでウッキー!!」)
ユーベルコードの効果は、あくまで視覚的な透明化。しかし、そこに複数のジャミングを重ねられたことで、欠点を全て潰されてしまった。さすがに、こうなってしまっては、容易に場所を特定することもできない。
(「……特大の墨汁爆弾で、死角から攻撃すれば姿も……いや、それじゃダメだウッキー! 身体の汚れとか装備も消えている以上、墨汁をぶっかけても墨汁ごと透明化されるだけだウッキー!?」)
SFなどではよくある展開だが、しかし翠蘭のユーベルコードは装備も纏めて透明化できる。おまけに、『触れている対象1体』までも透明化できるので、その対象に『墨汁』を選ばれてしまえば意味がない。
(「こ、こうなったら、音波レーダーの感度を上げて、やつの呼吸音や鼓動を……って、これもダメだウッキー! そこまで感度を上げまくったら、ミーの心音や周りの花弁が舞う音にまで反応して、余計に敵の場所が分からなくなってしまウッキー!?」)
策士、策に溺れるとは、正にこのことである。光学迷彩のあらゆる弱点。それを指摘し、カウンターで対抗しようとしたエイプモンキーだったが、翠蘭はそれらのあらゆる弱点を理解した上で、完全に姿を消すことに成功したのだ。
死角から攻撃しようにも、そもそも相手の姿が見えていないのであれば、死角などあってないようなもの。そうこうしている内に、エイプモンキーのキャノピーが砕け散り、首筋に強烈な痛みが走った。
「ウッキャァァァァッ!!」
「あら、残念ですわ。少し、暗器の刺さりが甘かったようですわね」
いつの間にか後ろに回っていた翠蘭が、先程と同様に妖艶な笑みを浮かべていた。
「こ、このクソアマァァァッ! ぶっ殺してやるでウッキィィィッ!!」
怒りに任せて拳を振るうエイプモンキーだったが、その攻撃は虚しく宙を切る。これ以上は、さすがに不利だと判断し、翠蘭は再び姿を消して。
「自分の使うUCですもの、デメリットは常に意識しなくては……ね?」
その言葉と、先の攻撃による強烈なダメージを置き土産に、花弁の舞う回廊から撤退した。
大成功
🔵🔵🔵
落浜・ゆかり
アニさん(f03558)と
なんかね、すごく殴りたいよね。
今からすんだけど。
さぁ、どこまで通用するかな?
最初は手拭いの状態でアニさんの懐に。
アニさんが適当しゃべって「一人増えたら驚くのか?」を合図に、体を構築して飛び出す。そのまま薙刀で攻撃。猿の視界にアニさんが入るように。あくまであたいは囮だけど、一撃はいれば御の字ってね。
最初の時点であたいの事がばれてたなら、『剣刃一閃』使ってサムライブレイドで攻撃。
防がれたり反撃された時点で、投げつけつつ、体を消す。手拭いはアニさんの懐なんで、その場からは逃げて再度薙刀で【なぎはらう】
落浜・語
ゆかり(f11398)と
まぁ、どの程度まで通用するかね。
やれるだけやってみるか。
最初は懐に手拭い状態のゆかりをいれたまま一人で対峙。おだてつつ手の内を先に開示。
一番手を任されるんだ、相当ボスから信頼されてるんだろうな。
そんな相手に挑むなんて正直気が重い。
どうせばれるんだ。使うコードは『白雪姫の贈り物』意識を向けた相手に焼けた靴を履かせる。つまり、意識を向けなきゃ良いわけだ。
意識を向けなくなったら、一人増えたら驚くのか?の一言を。
ゆかりが飛び出して意識を向ければ儲けもの。踊ってもらいましょ?
最初からゆかりの事がばれてれば、まぁ、俺は大人しく痛い思いするさ。懐の扇子と手拭いは何がなんでも守るがな。
●意識と無意識の境界
エイプモンキーは焦っていた。余裕で倒せるとばかり思っていた猟兵達。確かに、彼らの多くはエイプモンキーの想像力を超えることなく敗退していったが、それでも中には巧みな理論で己の弱点をカバーして、裏の裏まで突いて来た者がいるのもまた事実。
(「こ、このまま、あんなやつらが大挙して現れたらヤバいでウッキー! そうなる前に、一人でも多く、この回廊から放り出してやるでウッキー!」)
次に現れた猟兵が猛者だった場合、さすがに自分もヤバいかもしれない。途中、休憩でも挟むことができれば傷を治す余裕もあっただろうが、そんな余裕など与えることもなく、猟兵達は次から次へとエイプモンキーの前へ転送されて来る。
そんなエイプモンキーの前に転送されて来たのは、落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)と落浜・ゆかり(ヤドリガミの戦巫女・f11398)の二人だった。もっとも、ゆかりは器物状態のまま語の懐に入っていたので、エイプモンキーには語が一人だけで挑んで来たようにしか見えなかったが。
「今度はお前が相手でウッキーか。懲りない猟兵どもでウッキー!」
どんな技でも、正面から来る限りは問題ない。来るなら来いと挑発するエイプモンキー。それに対し、語は敢えて小細工なしで、最初から手の内を曝け出したかのようにコードを発動させた。
「どうせばれるんだ。思い切って、最初からコードを使わせてもらうさ」
使用するユーベルコードは『白雪姫の贈り物』。意識を向けた相手に焼けた靴を履かせるというものだ。
「ウッキャッキャ! そんな技は、とっくにお見通しでウッキー!」
間髪入れず、発動するエイプモンキーのカウンター。自身は耳栓で聴覚を遮った上で、全自動で敵を追尾する攻撃用ドローンを作成し、語の死角から攻撃させた。
「……ッ!?」
ビーム砲や回転鋸を装備した凶悪なドローンが、次々と語に襲い掛かってくる。後は余裕で勝てるとばかりに、エイプモンキーはその場にゴロリと横になると、あろうことか鼻歌交じりに昼寝を始めた。
(「『問い掛け』に反応して『意識を向ける』と発動するユーベルコードなら、そもそも問い掛けが聞こえなくなればいいんだウッキー!」)
ユーベルコードの発動条件に『問い掛けへの反応』がある以上、その問い掛け……即ち、外部からの聴覚に対する刺激をシャットアウトされてしまっては、いつまで経っても条件が成立しない。試しに、何事かを問い掛けてみた語だったが、やはりエイプモンキーは何の反応も示さない。
(「なにをしようが、無駄でウッキー! ミーの気を引く質問をしようとも、ミーにはそれがまったく聞こえてな……ウッキャァァァッ!?」)
だが、余裕で昼寝を続けられると思った矢先、尻に凄まじい痛みを感じ、エイプモンキーは思わず飛び起きた。見れば、思い上がった彼の尻を、ゆかりの薙刀が斬り裂いていた。
(「こいつ、どこから現れたでウッキー!?」)
痛む尻を押さえ、エイプモンキーはゆかりを睨む。彼女の攻撃は、単に薙刀を突き立てるという単純なもの。それを以て、語の方へ意識を向けてやろうという作戦だったのだろうが、そもそも語の問いがエイプモンキーに聞こえていない以上、条件を満たしていないのでユーベルコードが発動しない。
器物に姿を変えて油断を誘い、奇襲するという作戦は悪くなかった。だが、それを応用するならば、発動条件が厳しく、かつ対処され易いユーベルコードの使用に繋げるよりも、もっと効果的な手段があったかもしれないのも、また事実。
「ウッキィィィッ! ちょっと油断したけど、もう手加減しないでウッキー! ユーの攻撃は、所詮、『物凄く良く切れる』斬撃に過ぎないウッキー! 次があると思うなら、攻撃してみろでウッキー!」
そう言うが早いか、自らの身体をツルツルとした装甲で包むエイプモンキー。見た目はそこまで頑丈そうに見えないが、しかしこのアーマーの神髄は、触れた物体との摩擦力をゼロにするところにある。
「ウッキッキ! 刃物で何かを切断できるのは、圧力と摩擦の二つによる効果だウッキー。つまり、そのどちらか一方でも封じられれば、誰もミーを斬ることなんてできないんだウッキー!」
これで勝負は振り出しに戻った。奇襲に二度はない以上、ユーベルコードで対抗しようとするゆかりだったが、しかし何も考えずに薙刀を振るったところで、それはエイプモンキーの想像の範疇内ということだ。
「く、悔しい……! せめて、あの耳栓さえなんとかできれば……」
歯噛みしつつも、後ろを振り返るゆかりだったが、そこまで言って思わず言葉を失った。
そこに倒れていたのは、他でもない語。どれだけ問い掛けても反応がなく、ユーベルコードを発動できなかった語は、エイプモンキーの作り出したドローンによって一方的に蹂躙されていた。
「……残念だけど、ここまでだね。無理して死んじゃったら、何もならないよ」
これ以上は限界だと察し、ゆかりは語を引き摺りながら撤退した。エイプモンキーからの追撃があると警戒したが、不思議なことに、敵は撤退時の隙を狙って攻撃するようなことはしなかった。
(「クソッ……! さっきの一撃、思ったより深く刺さったでウッキー。ミーとしたことが、油断したでウッキー」)
ユーベルコードの直撃でなかったので、止めを刺されなかったことだけは幸いだったと、エイプモンキーは胸を撫で下ろす。奇襲までの発想は悪くなかったが、意識を向けるか否かの前に、より根本的な弱点をカバーできなかったことが、後一歩だけ足りなかったようだ。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
劉・涼鈴
むむー、ロボ……ってよりはパワードスーツっぽいのかな、あれ
灰燼拳の弱点は「30cm以内の相手にしか使えない」!
距離を取れば避けられるんだから、ジェット噴射装置とかで瞬間加速して、空振りさせる、とか?
なんにしてもまずは近接しなきゃ!
ダッシュで近寄って殴り合いだ!
【捨て身の一撃】で突っ込んで【グラップル】で組み付いてやる!
ジェット噴射で振り落とそうとしても、掴むトコはいっぱいあるんだから、【怪力】で引っ掴んで絶対離さない!
ガンガンぶん殴ってべっこんぼっこんにしてやる!
私の拳は鎧だろうがマシンだろうがぶち砕くよ!(鎧砕き)
キャノピーみたいなのを割ったら灰燼拳だっ!
ぶっ潰れろー!
●猿知恵の意地
猟兵達との戦いを経て、エイプモンキーは既にボロボロだった。
だが、それでも倒れない辺り、さすがは幹部の意地と言ったところだろうか。そんなエイプモンキーの前に、駄目押しで送り込まれたのは、接近戦を得意とする劉・涼鈴(豪拳猛蹴・f08865)。
「むむー、ロボ……ってよりはパワードスーツっぽいのかな、あれ?」
ただの猿ではないだけに油断はできないと拳を構える涼鈴。彼女の得意技は素手での格闘。故に、その攻撃範囲もまた狭い。
「灰燼拳の弱点は『30cm以内の相手にしか使えない』こと。まずは少しでも距離を詰めて……」
「させないでウッキー!」
涼鈴が走り出すと同時に、エイプモンキーはジェットパックを創造し、彼女の手が絶対に届かない距離まで飛び上がった。これでは、距離を詰めようにも、空を飛べない限りは詰められない。
「こらー! 卑怯だぞ~! 降りて来~い!」
下で叫ぶ涼鈴だったが、もはやエイプモンキーは完全に空の上。どれだけ飛び跳ねたところで、今の彼女には攻撃を届かせる手段がない。
接敵した上で、掴みかかって殴り続ければ良いと思っていたが、甘かった。そもそも、掴める程にまで接敵できているということは、即ちユーベルコードが効果を発揮する間合いに入れたということ。そして、それができたということは、エイプモンキーのカウンター技を、何らかの方法で阻止できていたということだ。
だが、高速で移動するところまで予測していながら、それに対する対策を一切考えていなければ、当然のことながら先手を打って逃げられる。先読みで対策を練ることのできるエイプモンキーが、わざわざ弱点を見逃して、ユーベルコードの効果範囲で掴みかかるのを許してくれるはずもない。
「ユーの技は、接近しなければ意味は無い技だウッキー。だったら、その射程に入らないよう距離を取ってしまえば、後は何もできないはずだウッキー!」
後は上から攻撃すれば、一方的に蹂躙できる。それだけ言って、エイプモンキーは考えられるだけの重火器を創造すると、眼下にいる涼鈴に向かって情け容赦ない一斉射撃をお見舞いした。
「……いくら押されているとはいえ、対策なしで捕まるほど、ミーは落ちぶれていないでウッキー」
爆炎に包まれた花弁の床を見降ろしながら、エイプモンキーは静かに呟く。いかに満身創痍とはいえど、さすがに幹部クラスの怪人を、真正面から殴るだけで倒すことは難しかったようだ。
失敗
🔴🔴🔴
クリューラ・センティファ
私の能力って、SFでは割とメジャーな物が多いんですけど、大丈夫でしょうか。やるだけやってみます。
UC【可変速熱線砲】使用。左腕を砲身に変形させ、射出速度を自由に変えられるプラズマのビームを撃つ能力です。
対抗策はおそらく強磁場のバリアー。プラズマの熱は磁場で完全に断熱される為非常に有効です。。この対策を打ってくる事に賭けます。
敵が磁場を纏ったら、【騎乗】した宇宙バイクをダッシュさせ距離を詰めます。砲身を敵に押し付け【零距離射撃】。弾速を極限まで遅くします。
ゆっくりと進むプラズマの熱は周囲の磁場に押さえられ、敵の体に貯まって焼いていくかと。自身へのダメージは敵の磁場と【激痛耐性】で抑えましょう。
●覚悟を込めた突貫
満身創痍のエイプモンキーを、確実に倒すのに必要な一撃。最後の最後を任されて送り出されたのは、人間に擬態したブラックタールであるクリューラ・センティファ(ブラックタールの鎧装騎兵・f12129)だった。
「私の能力って、SFでは割とメジャーな物が多いんですけど、大丈夫でしょうか。……やるだけやってみます」
そう言うが早いか、クリューラは自らの左腕を砲身に変形させ、エイプモンキーへと狙いを定める。発射するのは鈍りの弾でもなけれ爆薬でもない。あらゆる物体を触れただけで焼き焦がす、数十万度の温度を誇るプラズマだ。
(「プラズマの熱は強磁場で断熱されます。それなら、強磁場のバリアーで防ぐはず……」)
SF小説や映画などには、よくある耐プラズマ兵器用装備である。無論、それにも弱点は存在し、そこを突くことで、クリューラは突破口にしようとしたのだが。
「ウッキッキ~♪ 残念だったウッキ~!」
「……えぇっ! そ、そんな!?」
エイプモンキーがにやりと笑い、クリューラの放ったプラズマ弾が、虚しく空中で霧散して行く。見れば、エイプモンキーの手には、いつの間にか箱状の奇妙な物体が握られていた。
「ユーもプラズマを使う以上、プラズマと磁場の関係については知っているはずだウッキー。そして、プラズマは空気中であろうと真空中であろうと、強力な磁場で押し留めたり収束させたりしておかなければ、直ぐに拡散してしまウッキー」
特に、大気中では空気と接触するだけでエネルギーをロストしてしまうことから、その対策をしなければ砲弾にも成り得ない。それ故に、プラズマ砲弾を作るには磁場を使って砲弾を固定したりビームを収束したりする方法が用いられるのだが、それが即ちプラズマ兵器の真なる弱点でもある。
「ミーの作り出したこの箱は、超高性能の『磁場キャンセラー』でウッキー! 固定化してくれる磁場に正反対の性質を持った磁場をぶつけて消滅させれば、プラズマもミーに届く前に、勝手に消滅してくれるでウッキー!」
勝ち誇った表情で、箱を高らかと上げて見せつけるエイプモンキー。ちなみに、より簡単な構造の磁場キャンセラーであれば、電子顕微鏡などを使用する際に磁場の影響をシャットアウトするため使われている。規模の大小さえ考慮しなければ、UDCアースの一般的な技術力でも作り出せるものだ。
SF作品ではお約束の磁場バリア。しかし、それが有効となる条件は、実弾による攻撃が効果的でないという前提に加え、相手もまたプラズマ兵器を主兵装にしているという前提に基づいたもの。
お互いにプラズマ兵器を使うのであれば、磁場キャンセラーなど用いれば膠着状態になってしまう。敵味方問わず磁場をキャンセルする以上、互いにプラズマ兵器が使えなくなり決め手を欠いてしまうからだ。
だが、当然のことながら、エイプモンキーにはクリューラに合わせてプラズマ兵器で反撃してやる必要などない。相手のユーベルコードさえ封じてしまえば、後は自分の得意な攻撃で、いくらでも自由に攻撃できる。
「さあ、そろそろ止めを刺してやるでウッキー! ミーはまだまだ、こんな場所でくたばる怪人じゃないでウッキー!」
磁場が使えない以上、必殺のプラズマ砲も怖くないと、エイプモンキーはクリューラ目掛けて突っ込んで来る。このままでは、確実に殴られて終わりだ。が、しかし……それでも、クリューラは諦めていなかった。
「……待っていましたよ、それを!」
自分もまた宇宙バイクで疾走し、一気にエイプモンキーとの距離を詰める。当然、強烈な拳の一撃で殴り飛ばされたが、それでも彼女は怯まなかった。
「なっ……! こ、こいつ、そんな至近距離からプラズマ砲を!?」
右腕を吹っ飛ばされても構わず、左腕の砲を押し付けて来るクリューラの姿を見て、エイプモンキーの顔が青ざめる。プラズマを固定化して砲弾にできる以上、今のクリューラの左腕は別の意味での磁場キャンセラー。外界からの磁場を受け付けず、砲塔の中だけで磁場をコントロールできるようにした、特殊な空間になっているはず。
エイプモンキーの作り出した磁場キャンセラーは、磁場に磁場をぶつけて相殺させるという性質の道具だ。
だが、それ故に、磁場をシャットアウトするような素材の内部までには影響を及ぼすことは不可能である。当然、クリューラの左腕が変じた砲塔の内部にある磁場までは相殺できず、プラズマ弾を生成することまでは防げない。
「や、やめるでウッキー! そんな密着した状態でプラズマ弾を放ったら、暴発して……」
「……ファイア」
エイプモンキーの制止も関係なく、クリューラは砲弾を発射する。当初の予定とは違っていたが、しかしそれでも相討ち程度には持って行けるはずだと。
「ヒッ……ウッキャァァァッ!!」
零距離からプラズマ弾を撃ち込まれ、エイプモンキーは纏ったパワードスーツ諸共、木っ端微塵に吹き飛んで行く。無論、殆ど自爆に等しい形でユーベルコードを放ったクリューラも無事では済まない。
「……うぅ……な、なんとか……勝てました、か……」
ドロドロの塊となって飛散してしまった身体を、なんとか人間の形に作り直す。しかし、爆発で随分と体積を失ってしまい、その背丈は普段の3分の2程度まで縮んでしまっていた。
人間であれば、間違いなく重傷。失われた体積を取り戻すには、しばしの休息と体力の回復が必要だ。
辛酸を舐めさせられ続けて、ようやくの一勝。しかし、それでも勝ちは勝ちであり、これから先に待つ戦いの、大いなる一歩に貢献できたはず。
敵はオブリビオンである以上、再び骸の海から復活して来ることだろう。だが、それでも構わない。今回の戦いで得た教訓を生かし、復活する度に叩き潰して行けば、いずれは完全に勝利できるはずだから。
成功
🔵🔵🔴