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バトルオブフラワーズ⑨〜該博のタリオ

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #エイプモンキー #夕狩こあら

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「皆が頑張ってくれたお陰で、六つの『ザ・ステージ』が全て制圧され、私達は『システム・フラワーズ』内部に進む事が出来たのだけど、このルートは完全に確保できた訳じゃないの」
 六つあるステージの一つでも覆されれば、中枢に至る道は塞がれる――我等が往く道は未だ不安定な状態にある、と懸念を示すはニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)。
 だが猟兵に希望を、可能性を見る彼女は、ルートが見出された今こそ攻勢を掛けるべきと、いつにない強気を見せる。
 丹花の唇は凛然と言を継いで、
「キマイラフューチャーの中枢、『システム・フラワーズ』第一の関門は、怪人幹部のひとり、マニアック怪人『エイプモンキー』が守護しているわ」
 其処は名前の通り、美しい花々が咲き乱れる空間で、「花々が集まって足場になる」仕組みになっている。
 エイプモンキーが存在する限りは、全ての「花の足場」がエイプモンキーに繋がる上、その先に進む道は出現しない。
「だから先ず以てエイプモンキーを倒さなくちゃいけないんだけど、彼はオブリビオンだから、一度やっつけても何度でも蘇るのよね」
 骸の海を潜って何度も受肉する敵に対する攻略はひとつ――短期間に許容値を超える回数を以て倒し、復活を不可能にさせるのだ。
「皆は、花々が咲き乱れる空間に転々蘇るエイプモンキーの元に向かって、戦闘を挑み、撃破していく事になる筈」
 全ての足場が彼に繋がる故に、索敵などは必要なかろう。
 猟兵が最も懸念すべきは、接敵した後の展開――彼との戦い方について。
 エイプモンキーが中々に厄介だとは、詳述するニコリネの固い表情からも読み取れよう、彼女は声を落として、
「エイプモンキーは『自らの想像力が及ぶ限りのあらゆるものを創造できる能力』を持つ強敵。猟兵のユーベルコードを無効化して、一方的に攻撃してくるの」
 エイプモンキーは必ず先制攻撃をする。
 ユーベルコードを使用するだけでは彼の攻撃を防ぐ事は出来ず、弱点を衝くべく創造されたカウンター装置に返り討ちに遭ってしまう。
「カウンターに対するカウンターを用意して挑まないと、彼を攻略する事は出来ないわ」
 逆に言えば、そこまで考え尽くせば必ずや攻略の道が見えるだろう、とニコリネの紫瞳が炯光を湛える。
 全てを言い終えた彼女は、花型のグリモアを召喚し、
「キマイラフューチャーにテレポートします。怪人軍団の大幹部の一体をやっつけに行きましょう!」
 準備はいい? と白磁の繊手を差し伸べた。


夕狩こあら
 オープニングをご覧下さりありがとうございます。
 はじめまして、または、こんにちは。
 夕狩(ユーカリ)こあらと申します。

 こちらは、『バトルオブフラワーズ』における第九の戦場、怪人軍団の幹部のひとり『エイプモンキー』と戦うボス戦シナリオ(第一章のみで完結)となります。

●戦場の情報
 全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』内部。
 その空間は花々が咲き乱れており、集まった花弁が足場を形成しています。
 エイプモンキーより先に進む道はありません。

●敵の情報
 キマイラフューチャーを脅かす怪人軍団の大幹部の一体、マニアック怪人『エイプモンキー』。
 想像した全てを創造する能力を持ち、それらをマニアックな知識で操ることで、相対する敵に応じた無類の戦闘力を発揮します。

 エイプモンキーは、猟兵が使用するユーベルコードの設定を元に、そのユーベルコードを無効化する武器や戦術を創造し、回避不能の先制攻撃を行ってきます。
(ユーベルコードで無効化したり相殺した後、強力な通常攻撃を繰り出す形です)
 この攻撃は、ユーベルコードをただ使用するだけでは防ぐことは出来ません。
 この先制攻撃に対抗する為には、プレイングで『エイプモンキーが自分のユーベルコードに対抗して創造した武器や戦術を、マニアックな理論やアイデアで回避して、攻撃を命中させる』工夫が必要となります。
 対抗するためのプレイングは、マニアックな理論であればあるほど、効果が高くなります。

●リプレイ描写について
 フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や呼び方をお書き下さい。
 グループでのご参加は【グループ名】をご記載願います。
 プレイングが届いた順ではなく、より良いプレイングを優先して採用し、リプレイが完成した方から随時お返し致します。

 以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
 皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
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第1章 ボス戦 『マニアック怪人『エイプモンキー』』

POW   :    マニアックウェポン
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【敵に有効なマニアックな装置】が出現してそれを180秒封じる。
SPD   :    マニアックジェット
【敵のユーベルコードを回避する装置を作り】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    マニアックマシン
対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:柿坂八鹿

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

月夜・玲
私の【高速演算】は衝撃波による遠距離攻撃こそ神髄
それを回避しようとするならば、衝撃波を視覚化若しくは音や圧力の変化で判断しようとするはず…
衝撃波とは結局の所強い圧力の変化の波
爆発から発生したりね
けど放ってしまえば、回避されてしまう
だからこそ、取るべき手段は決まった

●戦術
正面より正々堂々エイプモンキーと対峙
200mくらいの距離を保ち、衝撃波を放つタイミングを探るふりをする!
時期を見定めて煙幕を投下し敵の視界を絶つ
その間に『忍び足』で足音を消しつつ接敵
エイプモンキー本体に直接斬撃!
そう、遠距離用の技を近距離で使う!
零距離剣戟、私自身が衝撃の爆心地になる!
私自身も無事じゃすまないけど、これしかない!



 幾千幾万の花が咲き乱れる『システム・フラワーズ』中枢――多くの猟兵が落英繽紛を潜り往く中で、其の先に威容の魁偉が待つと逸早く気付いたのは、月夜・玲(頂の探究者・f01605)だった。
 既に模造神器I.S.Tを起動し、視認し得る1,444m圏内に敵影を捕捉した彼女は、【高速演算】――不敵な笑みを浮かべるマニアック怪人『エイプモンキー』の指先が動くより早く、斬撃による衝撃波を仕掛ける。
 無論、彼女ほどの視認性は持たぬものの、空間に舞う花片がドクンと波打つ異様に気付いたエイプモンキーは、歯を剥いて嗤笑し、
『遠距離から襲い掛かる衝撃波は、不可視故に回避が難しいウッキー! だがミーは、ユーの攻撃を可視化する装置を創造してみせるウッキー!』
 破天荒解ッ、【マニアックジェット】発動――ッ!
 言うや邪猿は、己が躯体を中心に水を巡らせ、之を検波板で円形に取り囲む――造波装置の様なものをゼロタイムラグで創り上げる。
『蓄積したエネルギーが瞬間的爆発的に解放され、流体中を伝播し、不連続的な圧力増加を伴うのが衝撃波なら、その波動を可視化する装置を作れば回避できるウッキー!』
 波は時に大きなうねりを叩き付けるが、波に乗り、操ることも出来る――。
 そう蘊蓄を垂れたエイプモンキーは、波立つ水面に衝撃波の到来を視認すると、サーフィンして回避、そして開いた両手を突き出すや『マニアック回転式多銃身機関砲』を撃ち出した。
「ッ、!」
 無数の鉄鉛が花弁を撃ち抜き、玲の白皙にも創痍が疾走る。
 瞬刻、鋭く旋回した炎弾が肩を貫き、その衝撃に弾かれた繊躯が大きく仰け反るが、蓋し彼女は斃れず――玲は花の海に血滴を落としつつ、堂々、鉄の魁偉と正対した。
「――衝撃波を視覚化して回避される事は予想の範疇」
『ウキーッ、負け惜しみは聞きたくないウッキー!』
 かんらから、と手を叩いて笑うエイプモンキー。
 玲は然しその嗤笑を置き去り、距離にして200mを保ちながら衝撃波を放つタイミングを図る様に疾走し、その影を鉄弾の嵐が追い掛ける。
『ウッキッキーッ! いつ衝撃波が来ても分かっちゃうッキー!』
 水面が波立てば、その波型から到達時間と威力を割り出せば良いのだ。
 どのタイミングでもカウンターが可能だと慢心した邪猿は、その視界が漸う狭く――サングラスで陽光をカットしただけでない昏きに覆われているとは気付いたろうか。
 いや、気付いた時には玲の影も跫も見失っていたろう。
『ウキ?』
 鉄鉛に追われる間に煙幕を投下して敵の視界を絶った彼女は、漸近接敵、模造神器の機鋒を零距離で突き付ける――!
「取るべき手段はひとつ、零距離剣戟、私自身が衝撃の爆心地になる!」
『――ッ、遠距離技を近距離で使うッキー!? 自殺行為ウッキー!!』
「私自身も無事じゃすまないけど、これしかない!」
 足元を揺るがす衝撃が両者を中心に爆ぜ、水面は正直にその波動を映す。
 放射状に突き抜ける衝撃波、その発生源を見れば、流血淋漓する玲と、胸部のデザイン装甲を破壊されたエイプモンキーが睨み合っており、
『ッッ、ナメた真似をしてくれる奴ウッキー!』
「――ッはは、お互い様!」
 好戦的な笑みが交わった。

成功 🔵​🔵​🔴​

御形・菘
ロボが超カッコ良いのう!
足場も上々、最高のロケであるな!

ということで指を鳴らしスクリーン! カモン!
妾が凄いパワーで呼び出したスクリーンが潰せるか?

とまあ、お主の頭脳であればこれはどうかできるのであろうな


根本的に、この技は激励による思い込みの元気ブーストよ
スクリーンが無くとも、皆の声が届かずとも、意味が無いわけがない!
いいや確かに聞こえるぞ! 妾の耳には、モニタの前で見守る視聴者の喝采が!

そして仮に生配信の手段を潰され、リアルタイムでなかろうと関係ない!
この動画を後から見るであろう皆のドキドキワクワクすらも、今の妾を強くする!
それが邪神たる妾の真の強さよ!
さあ妾の拳にボッコボコにされるがよい!



 猿が鋼を着込む姿は、或いは純然たるキマイラには無粋にも滑稽にも見えたろう。
 だが彼を、マニアック怪人『エイプモンキー』を好敵手と認めた御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は、その威容に先ずは好感を示す。
「ロボが超カッコ良いのう! 足場も上々、最高のロケであるな!」
 敵を讃じるか――否。
 鉄塊に包まれた巨魁も、百花繚乱の様相を呈す戦場も、「動画として映える」。
 ライブ配信するに相応しい局面と、凄艶の脣を小気味良く持ち上げた菘は、幾千の花弁が乱舞する空間に『八元八凱門』を刻む右腕を掲げる。
「スクリーン! カモン!」
 音吐朗々、弾指が召喚(よ)ぶは【喝采よ、妾に降り注げ】(エール・スクリーンズ)――無数のディスプレイに映された生配信視聴者が、現下、超強敵と相対する菘にコメントを送った。
 ――邪神さんボス戦おつ。
 ――またお前か。
 ――サルをボコるんかロボをボコるんかどっちよ。
『ふうぅぅん……ギャラリーが居るとアガるなら、ウキャキャ、そのギャラリーを消してしまえば強化を阻止できるウッキー』
 画面を流れるテキストの洪水をサングラス越しに見たエイプモンキーは、直ぐにも強化系の技と見破ると、ニヤリ、歯を剥き出す。
 流石に弾幕の向こう側に居る者達を排除する事は出来ないが、邪猿は彼等と菘を繋ぐ通信回線――データの双方向通信を可能とする仮想伝送路に介入し、プロトコルを改竄してしまえば、折角の応援も届くまいと悪知恵を働かせる。
『ミーはユーとフォロワーの仲を裂く装置を創造してみせるウッキー!』
 破天荒解ッ、【マニアックジェット】発動――ッ!
 すると花舞う宙からオベリスクの如き方尖柱が墜下し、一機、二機……と足場に刺さるや妨害電波を発信、ディスプレイにノイズを走らせる。
『通信が途切れた間に配信者が倒される――面白い結末を届けられるウッキー!』
 五機目、最後に墜ちる巨楔が狙うは菘本人。
 蓋し我が身に影を差す尖柱を仰いだ菘は幾許にも冷静で、彼女はその切先を両腕に掴むと、力いっぱい抱き締めて落下衝撃と角逐する。
「ッッ、ッ――とまあ、お主の頭脳であれば、これ位の事はできたであろう、っ……」
 予測の範疇か、いや其は覚悟の上であったか。
 エイプモンキーがペダンチックに語れば、彼女もまた膂力を振り絞りながら機知を衒って、
「識っておるか。根本的に、この技は激励による思い込みの元気ブーストよ」
『ウキー?』
「スクリーンが無くとも、皆の声が届かずとも、意味が無いわけがない!」
 然う。
 今も菘の耳には、モニタの前で見守る視聴者の喝采が聢と聞えている、届いている!
「リアルタイムで配信出来ずとも構わぬ! この動画を後から見るであろう皆のドキドキワクワクすらも、今の妾を強くする!」
 其が邪神たる真の強さとは、間もなく尖柱に疾走ったヒビが証明しよう。
 爪をメリ込ませた菘は遂にジャミング装置を破壊し、
「さあ、妾の拳にボッコボコにされるがよい!」
 熾烈な衝撃と摩擦で灼けた玉臂で、堂々、手招いてみせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

荒谷・つかさ
マニアックだか何だか知らないけれど。
そのウキウキした面、私の爪で引き裂いてあげるわ。

と、両手の「爪」をアピールしつつ、
真っ直ぐ正面から、無策のように見せかけて突撃を仕掛ける。
……けど、こうすれば多分「引っ掻きや手刀攻撃を見切る」なり「瞬時に爪を切る」なり「指先に外れないカバーをする」なりで防がれるでしょうね。
でもそれはこっちも想定内、次は「蹴りながら足の爪で【爪先断】を発動させる」わ。
手の方に気を取られていれば、足袋に包まれた足への注意はおざなりになるはず。
それも読まれて対応されたら。
こんなこともあろうかと切り貯めておいた、「今までに切った爪」を投げつけて発動よ。

能ある鷹は爪を隠す、なんてね。



『万物を創造する自由な想像力、其を支えるマニアックな知識こそミーの武器ウッキー!』
 知は創造を扶く。
 猟兵が繰り出すユーベルコードの弱点を衝き、次々とカウンター装置を創造するマニアック怪人『エイプモンキー』は、己が知能は神に等しい、と歯を剥いて嗤う。
 その高慢と対峙した荒谷・つかさ(風剣と炎拳の羅刹巫女・f02032)は対称的に無表情で、花唇を擦り抜ける佳声も冷静――いや多分に冷徹であったとは言に示されよう。
「マニアックだか何だか知らないけれど。そのウキウキした面、私の爪で引き裂いてあげるわ」
 と、ぶわり溢流する鏖殺の気を集めるは手刀。
 つかさの【爪先断】(ツマサキダチ)は鋼鉄の躯体だろうと無形の炎だろうと、命中を得たものを切断する鬼神の業。
 須臾に爪先を弾いた彼女は単刀直入、真っ直ぐ正面から突貫し、敵の鋼鉄の拳と角逐せんとした。
 蓋し一足で懐へと侵入したつかさを迎えたのは、忌々しい嗤笑。
『ウッキッキ、単純明快な技に弱点はないように見えて……実は弱点も単純明快ウッキー!』
 畢竟、爪が当たらなければ良い。
 それには爪を「別の何か」に変えてしまえば、武術を極めた神仙でも己を倒す事は出来まいと――そうしてゼロタイムラグで創造した【マニアックウェポン】が、フカフカのミトン。
「これは――!」
『自分から嵌めに来るとは、手間が省けて楽ウッキー♪』
「ッッ、外れない……!!」
 迫る貫手にスッポリと被せられたカバーは、初夏には暑くて敵わない毛ミトンで、更に我が体毛を使ったと聞けば、不快度レベルは振り切って天を抜く。
 斯くして手刀を塞がれたつかさは、突貫した勢いはその儘、カウンターに鋼の拳を脇腹に喰らって、ぐらり、繊躯を折り曲げた。
「っ、っ――!」
 佳人は花の海に蹈鞴を踏んで、膝折るか――否。
 その踏み留まった足にこそ切り札は隠されており、
「反撃を喰らうのはこっちも想定内。でも『爪』は他にもある」
『ウキー?』
「足袋に包まれた足の爪にまでは注意がいかなかった様ね」
 二撃目の【爪先断】は蹴撃――!
 手の方にばかり気を取られていたエイプモンキーは、想定外の角度から飛び込む爪撃は防ぎきれず、胴へと沈んだ爪は見事、邪猿お気に入りの黄金ベルトを貫穿した。
『ウキャアアアアッ!!』
 常に嗤笑を浮かべていたエイプモンキーの顔が吃驚とショックに顰められる。
 蓋しつかさは変わらぬ無表情の儘、花の海に沈むベルトを瞳に敷いて、
「能ある鷹は爪を隠す、なんてね」
 珍しく冗談を言って邪猿の失策を嗤った。

成功 🔵​🔵​🔴​

塩崎・曲人
【睨撃粒子砲】の質問は「お前の弱点は何だ?」だ
マトモに入ればジ・エンド

この技はメンチ切って質問する所までセット
なら対策は簡単『耳を塞ぐ装置を出せば良い』
伝承の三猿に擬えて聞か猿モードってか
質問がお前の脳まで届かなければ確かに、睨撃粒子砲は成立しない……

とでも思ったか?
三猿の伝承はなぁ、元は体の中に居てお天道様にそいつの行いを報告する「三尸虫」に悪い報告をさせないために「目と耳と口を慎んで、厄難を避ける」教えだ

意味が判るか?
一見質問をシャットアウトすれば災いを避けられると思うだろうが
『お前が自分の耳をふさごうとも、体内の三尸虫と天のお天道様は質問を聞いている』んだよ!
沈黙ペナルティで吹き飛びな!


誘宵・カレン
相対して直ぐにUCを発動。
対策として考えられるのは、疑問を抱かないか耳を塞いでしまうかですね。
でも流石に不意討ちで一言くらいなら言えますよ?

「どうして猟兵は貴方のUCを知っているのでしょう?」

―――はい、これで詰みです。

お猿さん、皮肉過程理論とシロクマ実験は知っていますかねー?
『何かを考えないように努力すればするほど逆にその事が頭から離れなくなる』という現象を説明する理論です。詳しくは省略しますよ。
"貴方のUCを猟兵が知っている"事が貴方の敗因なのです。
その敗因を突き付けられて全く疑問を抱かないほどお猿さんはおバカさんではないですよね?

考えまいと努力しても貴方の頭脳の聡明さがそれを許しませんよ



 普く叡智と深き造詣を以て、想像を具現化する『エイプモンキー』。
 彼がエイプ(類人猿)なのかモンキー(猿)なのか、鋼に包まれている限りは知る由もないが、その能力――あらゆるユーベルコードの弱点を見つけ、反撃装置を創造する力は、先ず以て相手の攻撃を「見る」動作が必要だという事に目をつけた者が居た。
 塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)と誘宵・カレン(cruel queen・f17601)である。
 双璧を成すように邪猿に正対した二人は、曲人はチンピラの様な鋭い目つきでメンチを切り、カレンは吸血鬼の血脈を想わせる淡いルベライトの瞳を真っ直ぐ、語尾は揃って疑問符に持ち上げる。
「お前の弱点は何だ?」
 曲人の【睨撃粒子砲】は、炯眼より射られる殺気が命中した対象が真実を言わぬ限りダメージを、
「どうして猟兵は貴方のユーベルコードを知っているのでしょう?」
 カレンの【謎を喰らう触手の群れ】は、『疑問』の感情を与える事に成功した対象に触手を絡める必殺技である。
 形姿は対照的な二人だが、問いを投げかけられたエイプモンキーは、両者の攻撃を回避するべく、直ぐにも弱点を暴いた。
『ウッキッキ! どちらも質問でミーを縛ろうとしているウッキー。でもそれは相手に届かなきゃダメージを与えられないウッキー!』
 耳を塞げば良いのだ、とゼロタイムラグで創造するはヘッドフォン。
 彼好みのゴキゲンな音楽を再生した発音装置は、我が耳に届く音声を全てシャットアウトし、付け入る隙を与えない。
 刻下、音楽にノッたエイプモンキーは軽快に『マニアック回転式多銃身機関砲』を撃ち出して、
『YESかNOで答えられる単純な問いならまだしも、WHATやWHYに答えるほどミーは優しくないウッキー! 質問は受け付けないウッキー!』
 回避不能の鉄弾の嵐に、曲人の革ジャンが裂け、カレンの柔肌に創痍が疾る。
「ッ、ッッ!」
「――っっ!」
 足場を覆う花に血汐が繁吹き、激痛に膝を折る精鋭。
 然れば今度は硝煙弾雨に代わってエイプモンキーの笑声が降るが、凄惨なる戦場にあって変わらず窈窕と揺れる花より覗く二人は、意外にも――咲みを浮かべていた。
「……遅ェよ」
「はい、私達の攻撃はもう届いています」
 既に術中にあるとは、小気味良く口角を持ち上げた曲人が先ず語ろう、
「偉そうに聞か猿モードをキメてる様だが、声を遮ればダメージは喰らわないとでも思ったか?」
 甘い、と犀利を増した双眸がエイプモンキーを射る。
 彼は血塗れた頬を手の甲に拭いながら立ち上がり、
「お前がしてみせた聞か猿――三猿の伝承はなぁ、元は体の中に居てお天道様にそいつの行いを報告する『三尸虫』に悪い報告をさせない為に、『目と耳と口を慎んで、厄難を避ける』教えだ」
『ウキー! こんな大音量でも、蘊蓄にはグイグイ引き寄せられてしまうッキー!!』
 マニアック知識を誇る相手に、マニアック知識を語る効果は絶大だろう。
 曲人はエイプモンキーが攻撃を回避するに持ち出した理論に勝る理論を突き付け、彼を追い詰めていく。
「質問をシャットアウトすれば、災いを避けられると思ったろうが――『お前が自分の耳をふさごうとも、体内の三尸虫と天のお天道様は質問を聞いている』んだよ!」
『な、な……ヘッドフォンをしていれば絶対に完全に回避できるウッキー……!!』
 ゾクリ、悪寒を走らせたエイプモンキーに追い打ちを掛けるカレンも妙々。
 彼女もまた邪猿が食いつきそうな、それでいて敗北感に沈みそうなマニアック知識を披露し、
「お猿さん、皮肉過程理論とシロクマ実験は知っていますかねー? 『何かを考えないように努力すればするほど逆にその事が頭から離れなくなる』という現象を説明する理論です」
 詳細までは言いません、とは聡い敵のプライドを推し量ってのこと。
 然し眼前の敵がサングラス越しにも動揺を見せたとは、常に洞察の眼を注いでいたカレンには瞭然。
 既に外套は撃ち抜かれ、芙蓉の顔(かんばせ)は戦塵に塗れるが、瞳は光を失わぬ儘――覆らぬ優勢を示して見せた。
「そう、全ては『貴方のユーベルコードを猟兵が知っている』事が貴方の敗因なのです」
『ッ、ミーのユーベルコードを……まさかカウンターに更にカウンターする方法を考えて……そんな筈ないウッキー!!』
「その敗因を突き付けられて全く疑問を抱かないほど、お猿さんはおバカさんではないですよね?」
 鋼の指先が僅かに震えるのを見た二人は、発動条件を満たしたとばかり声を揃え、
「考えまいと努力しても貴方の頭脳の聡明さがそれを許しませんよ」
「沈黙ペナルティで吹き飛びな!」
 現下、鋼鉄の鎧に紫色の触手が絡みつき、謎を喰らわんと大口を開けると同時、肩口から後方へ弾き飛ばすような鋭い衝撃が鉄塊を仰け反らせる。
『ウゥゥゥキィィヤァァァッッ!!』
 花咲き乱れる精彩の空間に、禍々しい絶叫が響いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ナミル・タグイール
何でも出せるなんて最強にゃずるいにゃ!金ぴか出せにゃ!

【堕獣の腕輪】を使って最初からフルパワー突撃にゃ!
理性を失って大暴れにゃ!
多分早く動く猫じゃらしとかを出されてやり過ごされちゃうにゃ。
でも弱点を実証されたってことはUC封じられるからきっと理性も戻るにゃ!
理性戻ってもしばらくは理性失ってにゃんにゃん追いかけてるふりをして油断を誘うにゃ。
相手が攻撃してきたら捨て身のカウンターで爪でザックリしてやるマスにゃ!
思考を蝕む呪いの爪にゃ!金ぴかのことだけ考えて金ぴかいっぱい出せデスにゃー!



 あらゆるユーベルコードの弱点を見出し、回避・反撃する装置を創造する『エイプモンキー』。
 本人曰く『マニアック知識』がその能力を倍加乗算させている様だが、向い来る猟兵に次々とカウンターを合わせる猿邪に、ナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)は唇を尖らせて詰った。
「何でも出せるなんて最強にゃずるいにゃ! それなら金ぴか出せにゃ!」
 末尾に金目好きの本心が滲んだ様だが、『想像した全てを創造する力』は慥かにずるい。
 宝石の如きオッドアイで睨める凄艶に、エイプモンキーはクッと口角を持ち上げ、
『金ピカ装置を創造しなきゃ躱せない技なら、ミーも出してあげたウッキー?』
「!! 上から目線にゃ!」
 ムッと花顔を顰めたナミルは、黄金の腕輪に秘めた魔獣化の呪いを解放すると、【堕獣の腕輪】(タグイール)――ふかふかもふもふ、呪われた魔獣と姿を変える。
「最初からフルパワー突撃にゃ!」
『ウッキッキ。理性を代償に超攻撃力と超耐久力を得る変身系ユーベルコードと見たウッキー』
「金ピカ出さないならやっつけるだけにゃ!」
 疾駆するに矢の如く、跳躍するに鞠の如く。
 エイプモンキーを獲物と捉えた双眸は炯々煌々と、肉薄するや『黄金の爪』を振りかぶった。
『速く動く物を無差別攻撃し続ける――ネコちゃんを戯らすに良い装置があるウッキー!』
 破天荒解ッ、【マニアックジェット】発動――ッ!
 言うやエイプモンキーは、電動式ネズミをゼロタイムラグで創造し、スイッチオン――己より高速で動き回るネズミに攻撃を引き付けることで鋭爪を躱す。
「にゃにゃっ!」
『金目のモノに目がなさそうだから、金のネズミにしておいたウッキー!』
 欲の儘に暴れる呪獣はネズミに釘付けになり、花の海を駆け回る。
 標的が移ればエイプモンキーは力を溜めた攻撃も叶おう、彼は両手を突き出すや『マニアック式下腕分離砲』を撃ち、ちょうどネズミを捕えたナミルの横腹を強襲した。
『ウッキッキ! レッツ、ランチャー!!』
「にゃにゃっ!!」
 鋼の拳がナミルを花叢に転がす。
 爪に掛けたネズミごと転がった彼女は、もふもふでダメージを軽減させたか――壊れてしまったネズミをツンツンと遊んでいる様だった。
『ウッキッキ……玩具から目を離せない子猫になってしまったウッキー』
 理性を手放し、本能に従えばこんなものだと嗤う猿邪。
 然しこの時、痛撃とネズミの故障がナミルの呪獣化を解き、理性を取り戻した彼女が「理性失ってにゃんにゃん遊んでるフリ」をしていたとは思わなかったろう。
『そのネズミは冥途の土産としてプレゼントするウッキー!』
 時は須臾。
 トドメの一撃に弾いたロケットパンチを僅かな被弾でやり過ごしたナミルは、踊る鮮血を視界の端に送ると、思考を蝕む呪いの爪をカウンターに叩き込む。
『カッ、カウンター……ッ!!』
 カウンターを得意とする敵にカウンターでやり返すとは妙々。
「金ぴかのことだけ考えて金ぴかいっぱい出せデスにゃー!」
『ウキャー!』
 ありったけの呪詛を塗り込めた爪は思考に干渉を及ぼし、以降、エイプモンキーが創造する装置は全て金色になった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ピオニー・アルムガルト
「喰らえ!我がユーベルコード『ダイナミックボンバー』!!」という適当なネーミングを叫びながらアルムガルトのペンダントをぶん投げるわ!まず私の第一投をユーベルコードだと敵に勘違いさせる事ね。
ペンダントにはエレメンタルロッドの精霊を付け、死角に転がった所で遠隔で精霊から武器化⇒芍薬の息吹で攻撃。不意を突いた所で真正面からぶん殴ってゼロ距離芍薬の息吹!の【2回攻撃】をお見舞いしてやるわ!

知識と想像だけではまだまだよ!実戦経験が足りないんじゃないかしら?

『システム・フラワーズ』。こんなに花々が綺麗に咲き乱れている所なら私としては気兼ねなく観光気分で来たかったわね!



 必ず先手を打って此方を楔打つとはいえ、「想像」するにも「創造」するにも、相手のユーベルコードを先ず見ねば発揮できる能力でないと、会敵劈頭から洞察の瞳を光らせていたピオニー・アルムガルト(ランブリング・f07501)は、ある試みに出る。
 黒炎と赫炎を宿した鎧ドレス『Alice In Chains』を纏った凄艶は、凛冽たる闘志を溢流させ、
「こんなに花々が綺麗に咲き乱れている所なら、私としては気兼ねなく観光気分で来たかったところだけど――!」
 眼前に掲げるは一族の紋章を刻んだペンダント――彼女の魔力に反応したか、黄金の耀きが主の佳顔を照らした。
 サングラス越しにも眼を細めたエイプモンキーは、五感を鋭くして発動の瞬間を捉えたろう。
「喰らえ! 我がユーベルコード『ダイナミックボンバー』!!」
『ファッ!? ダ、ダイナミック、ボン……』
 瞬刻、視界に迫る燦然に弱点を見出さんとするが、其はどう見てもペンダント。
 純金の塊に魔力は気取られるものの、猟兵が持つ『過去の鎖を断ち切る力』は感じられない。
『ユーが放ったのはユーベルコードじゃないウッキー!』
「あっ分かる?」
『見れば分かるッキー!!』
 無論、ユーベルコードでなくとも弱点は見つかろう。
 猿邪は操作可能なものでないと見破ると、光が描く軌跡に放物線を見出し、鋼の怪腕に振り払う。
 軌道を変えられたペンダントはその儘、花叢へと落ちたが、それこそ彼女が狙った場所――エイプモンキーの注意が失せた其処からひょっこりと現れた精霊が、『エレメンタルロッド』と変じ、主の手を離れた遠隔から【芍薬の息吹】(ピオニー・アーテム)を発動した。
「知識と想像だけではまだまだよ! 実戦経験が足りないんじゃないかしら?」
『ウキッ?』
 虚を衝くは戦術。第一手を必ず必殺技で挑む義理はない。
 ピオニーの言は芍薬の花弁が代ろうか、其は花咲き乱れる空間に一体となりながらエイプモンキーに肉薄した。
『ッッこっちがユーベルコ-ド! 第一投でも第二投でも、見切ってやるウッキー!!』
 破天荒解ッ、【マニアックウェポン】発動――ッ!
 言うや猿邪がゼロタイムラグで創造したのは黄金の「巨大バキューム」。
 轟音と共に駆動した掃除機は、周囲に舞う花も芍薬の花弁も悉く吸引し、更に真正面からぶん殴ろうと接近したピオニーをピッタリとくっつけた。
『その狡猾、進化には重要不可欠……不安要素は今のうちに取り除いておくウッキー!』
「きゃああぁぁっ!!」
 ニヤリ、不敵な笑みを浮かべたエイプモンキーは、そのまま彼女を吸い込むと、既に花畑となった強化ガラス製のタンクに閉じ込め、時間にして180秒――賢哲を封じた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

戒道・蔵乃祐
想像力が戦闘力に直結した幹部
その能力でキマイラフューチャーの繁栄に多大な貢献をしたのでしょうが
欲望こそが世界を発展させるとしても、それは進化への一面的な見解でしかない

この世界がその実証に於いて、今の形になったのだとしても
今を生きる者達がオブリビオンに滅ぼされる謂れは無い!


灰燼煉獄衝で灰燼拳を命中させるために接近しますが、
UCで脚部に履帯を装着。ローラーダッシュの高速移動で接近を回避する筈

悪路を選ぶ様に見切りで進路を予想、残像を帯びた殺気をフェイントに使用
気合いの続く限りダッシュとジャンプで追跡

機械に頼るのであれば、連続使用による異常過熱で部品が故障する
その瞬間に怪力を込めた一撃を打ち込みます



 大首領ドン・フリーダムの麾下に据わる怪人軍団の大幹部が一体、マニアック怪人『エイプモンキー』。
 その『想像した全てを創造する』能力は、普く叡智と深き造詣を地力に、相対する敵に応じた無類の戦闘力を発揮し、猟兵を苦しめていた。
『ウッキッキ! 欲望なき生命に繁栄なし! 常に進化するミーに淘汰されろウッキー!』
 皓歯を見せて精強を誇る猿邪に漸う損耗は見えつつ、未だ嗤笑は消えず。
「――想像力が戦闘力に直結した幹部」
 百花繚乱の足場に戦友(とも)の血斑が染む――美しくも儚き花叢を踏み分けて進み出た戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は、蓋し鋼の躯体に聢と刻まれる反抗の証を見つつ言った。
「その能力でキマイラフューチャーの繁栄に多大な貢献をしたのでしょうが、欲望こそが世界を発展させるとしても、それは進化への一面的な見解でしかない」
 之にエイプモンキーは弾かれた様に唇を剥き、
『一面的? 答えはノー、欲望なくして進化は全面的にッ有り得ないウッキー!』
 普く生物は欲望なるエネルギーに種を刺激し、進化を経てきた。
 愚かな生命体は淘汰され、賢しき者のみが生を許されるとは、足元に揺れる花とて同じと、エイプモンキーは地面を指差す。
 次いで開いた手は精彩の空間に掲げられ、
『周囲を見れば理解るウッキー! この世界が証明しているウッキー!』
 与えられた環境に満足し、欲望を失った世界は滅ぶ運命にある。
 其が「今」だと大声疾呼したエイプモンキーは、瞋恚か闘志か、陽炎の如くオーラを迸らせる蔵乃祐に炯眼を絞った。
「この世界がその実証に於いて、今の形になったのだとしても――今を生きる者達がオブリビオンに滅ぼされる謂れは無い!」
 断じて否、と鼻緒を蹴った荒法師は、【灰燼煉獄衝】(エクステンド・オーバードライブ)――灰燼拳を叩き込むべく接近する。
『超高速かつ大威力の拳撃……でも30cmも離れれば届かない超近接技ウッキー!』
 弱点、見破ったり――とサングラスを光らせた猿邪がゼロタイムラグで創造するは、黄金の『履帯』(クローラー)。鋼の脚部に装着した無限軌道が、その30cmを背進して凌ぐ。
『ローラーダッシュの高速移動で接近を回避すれば、難ないウッキー!』
 其がドローイング・バックとは、直ぐにも火を噴く『マニアック回転式多銃身機関砲』が告げよう。刻下、鉄鉛の嵐が蔵乃祐の全身に浴びせられ、六尺三寸の精悍が轟音と爆風に包まれた。
「ッ、ッッ――!」
 激痛の程を除いては想定内。
 咥内に染む鉄の味を噛み締めた蔵乃祐は、距離を取って鉄弾に沈めようとする敵を追って、千紫万紅の空間を疾駆する。
『ウッキッキー! 悪路も走れるミーを、その草履で捉えるのは無理ウッキー!』
 かんらから、と嗤笑と鉛を置いて遁れるエイプモンキー。
 然し悪路を選ぶと見定めていた蔵乃祐は進路を予測し、更に頼みとする履帯が過酷な連続使用によって異常過熱するまで――流血に耐えた。
 高笑いが止まった瞬間が、その時であったろう。
『んンッ!? 花が巻き込まれて動きが鈍く……あっ部品が取れ――熱ウッキー!!』
「機械に頼ればいずれ摩耗は訪れる」
『ッッ、ッ!!』
 鋭い声に咄嗟に反応したエイプモンキーが『マニアック式下腕分離砲』を撃ち出すが、鉄拳が捉えたのは殺気を帯びた残像。
 蔵乃祐本人は足半を踏み込んで躍し、花弁舞う宙より怪力を込めた一撃を撃ち落とす――!
『ウゥゥゥッキャァァァアアアーッッッ!!』
 凄まじい波動が花筏を衝き上げ、ザッと花が身を揺らす。
 見ればエイプモンキーの頭部を覆う『マニアック式耐圧性ポリカーボネード』は破壊粉砕され、激痛に顰む顔が猟兵の目に曝された。

成功 🔵​🔵​🔴​

雷陣・通
なるほど!
相手は俺の空手を読んでくる……ならば!
ウルトラサンダーボルト雷神丸!
(日本刀を抜き、雷属性を刃に付与して構えれば)

「さあ、行くぜ! 俺のけんを受けてみろ!」

刀を持った手で正拳!(フェイント)
「知ってるか! 手に何かを握れば拳の威力はアップする。そしてお前は俺が刀を構えたことで武器を使うと考えた! だがな!」
正中線に正拳連打
「その隙を突けば、あとは稽古によって培った筋力とそれをつなぐ神経の伝達速度! そして無駄のないフォームが速度を生み、お前のメタ張りを上回るスピードで拳を叩きつける。 しかも一発じゃない五発だ!」
『正中線五段突き!』
「まずはボクシングゲームからやり直せ!」



 猟兵の攻撃を次々と相殺・回避し、同時にカウンターを仕掛けてくる敵の幹部『エイプモンキー』にも、漸う損耗が見えてきたとは、瞋恚の滲む言で判明る。
『ムッキー! 何が何でも、こっから先は通さないウッキー!』
 胸部の意匠は歪に、黄金のベルトは貫穿され、ヘルメットは粉砕され。
 何より皓歯を剥き出して嗤う余裕は無くなったのだろう、今やエイプモンキーの歯は苛立ちに噛み締められていた。
 ――然し、油断は出来ない。
 ここに至るまでに多くの猟兵が膝折ったと知る雷陣・通(ライトニングキッド・f03680)は、紫電を宿す翠瞳に真っ直ぐ猿邪を射抜いて正対した。
(「相手は俺の空手を読んでくる……ならば!」)
「ウルトラサンダーボルト雷神丸!」
 義気凛然、自ら名付けた名を大きな声で叫ぶ。
 袈裟懸けに背負った冴刀を抜き、水平に構えた刀身に己が雷電を分ければ、蒼白い光を帯びた刀が主の顔を白ませる。
「さあ、行くぜ! 俺のけんを受けてみろ!」
 母趾を強く踏み締め、ボロボロのスニーカーを蹴り出す通。
 彼が叫んだ「けん」を「剣」と聴いたエイプモンキーは、その刃鋩が懐を侵すより早く、叡智と造詣の泉より攻略の術を掬い上げる。
『ウッキッキー! 先ずはその電気を奪って唯の刀にしてやるッキー!』
 破天荒解ッ、【マニアックジェット】発動――ッ!
 言うや猿邪がゼロタイムラグで創造するは、剣の形をした避雷針。
『ミーが握る避雷針にユーの紫電を呼び込み、柄から垂らしたアース経由で地面へと電流を逃がすウッキー! 雷を呼び寄せるという意味では、「導雷針」とも言って良いウッキー!』
 己が魁偉を鋼に覆うからか、或いは彼も獣だからだろうか。
 とまれ電気を嫌って避雷針型の剣を構えたエイプモンキーは、間もなく刃の角逐が訪れると思ったが――柄に打ち込まれたのは「剣」ではなく「拳」。
「知ってるか! 手に何かを握れば拳の威力はアップする。そしてお前は俺が刀を構えたことで武器を使うと考えた! だがな!」
『刀を持った手で、正拳突き――ッ!? 刃撃はフェイントだッキー!』
 炯眼を射る通には、サングラス越しにも敵の吃驚が見えたろう。
 少年は猿邪が再びマニアック知識を巡らせる須臾の間を衝き、
「稽古によって培った筋力と、それをつなぐ神経の伝達速度! そして無駄のないフォームが速度を生み、お前がカウンター装置を想像して創造する時間を上回るスピードで拳を叩きつける!」
『、ッッ!』
 しかも一発でなく――五発!
 通の【正中線五段突き】(ライトニング・ファイブポイント・ストライク)は今こそ紫電と閃き、正中線上に並ぶ急所に正拳突きの五連打を放つ――!
『ッ、ッッ……間に合わないと思ったのが甘いウッキー!!!』
 刻下、エイプモンキーが哮る。
 既に避雷針型の剣を創造していた猿邪は、その剣を正中線状に構えて盾とし、神速の五連打を受け止める。
 衝撃に耐えるべく引き結んだ脣は、今度はクッと口角を持ち上げて好戦的に、
『手に何かを握れば拳の威力はアップする――今がその時ウッキー!!』
「――っ、っっ!」
 雷電を逃して唯の鉄芯となった剣が、少年を薙ぎ払い――時にして180秒を奪った。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ユーリ・ヴォルフ
キマFの良さをこの戦争を通じて知った
だからこそ…守る!

無効化を覚悟し【メギドフレイム】
先制攻撃は炎霆と盾を構え『オーラ防御』『盾受け』

私の武器は属性、その弱点も属性だ
炎に対抗するには水が最も効果的だろう
その水をも「風の盾」で取り込み
『属性攻撃』風で、押し流す
(炎がそのまま帰ってくるなら盾受けしながら『生命力吸収』)

炎霆も水で消え、炎も使えぬまま突進
だが私にはまだ武器がある
それはこれだ!

スパイクシールドではない
ただのラウンドシールド(風の盾)を敢えて武器とし
『怪力』で回転させ投げ『属性攻撃』風を乗せ
サークルカッターのような効果を生み出す
防具も時には武器となるのだ…その鋭利な刃を、深く刻み込め!



 ユーリ・ヴォルフ(叛逆の炎・f07045)がこの惑星の魅力を――キマイラフューチャーの良さを知ったのは、戦争を通じてとは皮肉な運命だが、だからこそ、この戦争によって世界が消える事があってはならないと強く思う。
 戦争を止める、終わらせる――。
 その覚悟は、無効化されると分かった上で繰り出した【メギドフレイム】が証となった。
「この世界の、今を、未来を……守る!」
 内に秘める炎竜の力を解き放ったユーリは、己が周囲に炎の剱を顕現させると、灼熱の鋩をエイプモンキー目掛けて一斉に放つ。
 己が武器は属性、その弱点も属性。
 強みも弱みも等しく知るユーリは、エイプモンキーの言も沈着を崩さず聞いたろう。
『ウッキッキ! 五行に曰く水剋火! 炎に克つは水と相場が決まってるウッキー! ミーが華麗に火を消してやるウッキー!』
 破天荒解ッ、【マニアックウェポン】発動――ッ!
 言うや猿邪がゼロタイムラグで創造するは、ジェット水流がマッサージからお掃除まで、あらゆる作業を万能にこなす「超高圧シャワー」。
『涓滴岩を穿つ――僅かな雫さえ岩を削る、況んや高圧シャワーに於いてをやウッキー!』
 エイプモンキーの背面に壁と立ちはだかった装置は、無数の穴から高水圧の水滴を放出し、あまりの速度に楔型へと変じた雫が「炎の剱」を相殺――更にユーリに襲い掛かる。
「――っ、くっっ!!」
 自身の炎から具現化した魔槍『炎霆』がダメージを代われば、其は精悍の腕で露と消えるが、心に灯る闘志まで消された訳ではない。
 ユーリは尚も叩きつける水の楔に正対して、
「私にはまだ武器がある。――それはこれだ!」
『ウキー?』
 エイプモンキーがサングラス越しに見たのは、スパイクシールドでない、唯のラウンドシールド『風の盾』。
 疾風属性を秘めた大盾は、迫る水弾を取り込むや猛風の渦に押し流すと、重い衝撃を抱えたまま前進を続ける。
 その歩みを支えたのは、多分に勇猛でなく決意であったろう。
 ユーリの怪力で更に回転を加えられた盾は、手を離れるや風を集めてサークルカッターと変じ、間もなく敵懐に飛び込んだ。
『ウッキー! あれだけのダメージを負ってまだこんな力が――ッ!!』
「防具も時には武器となるのだ……その鋭利な刃を、深く刻み込め!」
『ウキャキャーッッ!!』
 斬、と鈍い音が疾走ったのは、鋼の巨躯が両断されたから。
『ッ、ッッ……ッ……――!!』
 あまりの激痛に叫ぶ声も奪われたか――今際の咆哮も上げることなく硬直した猿邪は、最後の衝撃にサングラスを外し、美しくも儚き花叢に沈んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​


 果たしてエイプモンキーのマニアック知識は唯の「猿知恵」だったか――否。
 猿邪は慥かに聡く、然しそれ以上に猟兵が賢しかった。
 それだけの事だ。
「――行こう。許容値を超える回数を倒せば、道が開ける」
 花咲き乱れる道を往けば、再び受肉した「奴」か、或いは次なる幹部が見える筈。
 時を惜しむように再び花叢を駆け出した彼等は、花弁の乱舞を視界の端に送りつつ――先へ、先へと進んだ。

最終結果:成功

完成日:2019年05月11日


挿絵イラスト