バトルオブフラワーズ⑨〜想像から創造する猿退治
●システム・フラワーズ:咲き乱れる花々の空間
骸の海より、エイプモンキーは蘇る。
合体ロボットの如き頑健な身体の上で不敵に笑うのは、サングラスをかけた、唯一有機的な猿の顔。
「ウッキッキ! ミーは不滅ウキー!」
エイプモンキーが豪快に跳ね飛んだ。何もない空間を踏むと、その足元には花々が集まって足場を形成していく。
転々と花々の足場を残しながら、エイプモンキーの姿は遠くなっていった。
●グリモアベース:ゲネ
「全ザ・ステージ制圧! システム・フラワーズへの道が開かれた! この好機を逃す手はないぞ諸君!」
ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)は気合いを入れてデータをホロモニターに展開し、猟兵たちを呼び招いた。
第一の関門は、怪人幹部のひとり、マニアック怪人『エイプモンキー』が守護している。
システム・フラワーズ内部は「咲き乱れる花々の空間」だ。「花々が集まって足場になる」仕組みになっている。
エイプモンキーが存在する限りは全ての「花の足場」がエイプモンキーに繋がる上、それ以上先に進む道は出現しない。
猟兵が勝利すればエイプモンキーを倒すことはできる。が、何度でも骸の海から蘇ってしまう。
「ただし、短期間に許容値を越える回数倒すことができれば、奴と言えど復活は不可能。まあつまり、「いっぱい倒せ」ってことだな!」
エイプモンキーは『自らの想像力が及ぶ限りのあらゆるものを創造できる能力』を持つ強敵だ。この能力を利用して、猟兵のユーベルコードを無効化して、一方的に攻撃するような戦闘を行ってくる。
「かなり厄介な敵だな……いつもの調子で戦っていたら、確実に敗退は免れないだろう。ただ、相手のカウンターをもっと奇抜な……そう、マニアックな理論とか屁理屈とか、そういうのでさらにカウンターできればきっと勝機はあるはず……!」
ゲネは曇った表情をかき消し、猟兵たちを鼓舞するようにニシシと笑顔を浮かべてみせた。
「とにかくなんでもいい、自分のユーベルコードと相談して、対抗策を練ってみてくれ! 準備ができたら出発だ!」
モニターに展開する転送術式が、猟兵の覚悟を促すように輝いた。
そらばる
バトルオブフラワーズ、幹部戦です。
システム・フラワーズ第一関門は『エイプモンキー』、猿退治!
しかしこの猿、かなり強いのでご注意あれ。
●特殊ルール:先制攻撃
エイプモンキーは、猟兵が使用するユーベルコードの設定を元に、そのユーベルコードを無効化する武器や戦術を創造し、回避不能の先制攻撃を行ってきます。
(ユーベルコードで無効化したり相殺した後、強力な通常攻撃を繰り出す形です)
この攻撃は、ユーベルコードをただ使用するだけでは防ぐことは出来ません。
この先制攻撃に対抗する為には、プレイングで『エイプモンキーが自分のユーベルコードに対抗して創造した武器や戦術を、マニアックな理論やアイデアで回避して、攻撃を命中させる』工夫が必要となります。
対抗するためのプレイングは、マニアックな理論であればあるほど、効果が高くなります。
皆さんの自由な発想で、敵を撃退しましょう!
第1章 ボス戦
『マニアック怪人『エイプモンキー』』
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POW : マニアックウェポン
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【敵に有効なマニアックな装置】が出現してそれを180秒封じる。
SPD : マニアックジェット
【敵のユーベルコードを回避する装置を作り】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : マニアックマシン
対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アストレア・ゼノ
◆SPD
【竜言語・限定竜化】は
あらゆるドラゴンの性質を我が物と出来るUCだ
爪での斬撃や火竜の息等の正統派の物から
バジリスクの邪視等、取れる戦法は多岐に渡る
もしもこのUCの弱点を付くと言うのなら
それは「ドラゴン」である事、それ自体を弱点とするしかないだろう
「竜殺し」
その概念を与えた武器か、
相応しい逸話を持つ戦士の模造か、
そういった物を相手は利用する事だろう
ならばこちらはギリギリまでUCを使わず、
ただの人間として奴の懐に飛び込んでやる
竜槍グウェンを敵へと槍投げすれば、
「竜殺し」の意識はそちらに向かざるをえないはずだ
その瞬間、雷竜の髭に変異させた腕を敵の足へと巻き付けて
強力な電撃をお見舞いしてやろう
●竜殺しをすり抜けて
「ウキキ! ウキキ! ……ウキッ?」
咲き乱れる花々の空間を転々としていたエイプモンキーが、猟兵の気配に振り向いた。
花の足場を悠然と歩み進むアストレア・ゼノ(災厄の子・f01276)の姿に、にやぁ、といやらしい笑みを浮かべる。
「ウッキッキ! ユーベルコードの匂いがプンプンするウッキー! その力……」
アストレアは無言のまま、ユーベルコードの力を全身に漂わせ始めた。その力の質を読み解こうと、サングラスの下でエイプモンキーの目が忙しなく動いているのがわかる。
「……竜の力を得ようとしてるウッキー! 『あらゆるドラゴンの性質を我が物と出来、爪での斬撃や火竜の息等の正統派の物からバジリスクの邪視等、取れる戦法は多岐に渡る』! ならば簡単、竜化した体は竜特攻にてきめんに弱いウッキー! 竜を殺して殺して殺しまくった『竜殺し』の戦士の刃なら、竜の力を得た全ての者を屠るウッキーッ!」
畳みかけるような早口でエイプモンキーが召喚したのは、鎧に外套、身の丈ほどもある鉄の塊の如き巨剣を携えた剣士『竜殺し』。
「ふっ……見事に思った通りの行動だな」
しかしアストレアは小さく笑うと、ユーベルコード解放をとりやめ、ただの人間の姿のままエイプモンキーへと突撃を仕掛けた!
「んんっ!? 力を使わないウキ!? いやしかし奴の槍は竜由来のものだウッキー! 『竜殺し』、出番だウッキー!」
「そうか、ならば……とってこい!」
アストレアは全身全霊の力で竜槍グウェンをエイプモンキーに向けて投擲した。しかし『竜殺し』が瞬時にその軌道に回り込み、巨剣で槍を弾き飛ばす。
だが、それもアストレアの目論見のうち。
「<古き皮を捨てよ>」
アストレアは敵の隙を逃さず、発動停止したユーベルコードを今度こそ解放した。雷竜の髭に変異させた腕がエイプモンキーのロボ足に巻き付いていく――
「ウキッ!?」
「竜の雷、たっぷり喰らうといい」
視界を白く焼く強烈な雷撃が、エイプモンキーの全身を打ち据えた――!
「ウキャァァァ――!! し、しびれるウッキー……でもこの程度屁でもない、ウッキー……」
存分に雷に踊らされたエイプモンキーは、強がりつつも、若干の疲弊感を漂わせて肩で息をつくのだった。
成功
🔵🔵🔴
大神・零児
敵行動予測
【自身からレベルm半径を覆う自分の意識】意識範囲拡大を封じる
【それを用いた対象全員の意識に触れる感覚】自身の意識を隠すかダミーを掴ませる
【その感覚により敵意を可視化し回避する意識】敵意を隠す
だが、敵意以外の意識すら創造物や所持していたありとあらゆる物に乗り移るし無機物にも存在を保つための意識はある
システム・フラワーズの花も
UC全開
俺の意識拡大を封じるなら俺の意識に触れなければならない
ならば封じようとしている意識に俺の意識を這わし、敵の意識がつながっている創造物やエイプモンキーが乗り込んでいるメカ、又はシステム・フラワーズの花の意識にも俺の意識を這わせ、それらの意識の波を読み回避と攻撃
●意識の戦い
「では、お手並み拝見といこうか」
敵前へと歩み出た大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)は予備動作も迷いもなく、速やかにユーベルコードを励起した。
エイプモンキーはまたしてもにやぁと笑う。
「ウッキッキ! その力は……『自分の意識の拡大と、それによる周囲の事物の意識への接触、敵意の可視化によって、こちらの攻撃力を下げる』攻撃ウッキー! ……なんかややこしいウッキーが、ミーの創造力に不可能はないウッキー!」
発動前の零児のユーベルコードを看破し、エイプモンキーは即座に理論を組み立てる。
「すなわち! ユーの意識の範囲拡大を封じ! ミーの意識を隠し! ミーの敵意を掴めぬよう隠してしまえば良いウッキー! いでよ『高性能意識攪乱装置』ッ!」
たちまちその場に召喚されたのは、ピコピコと懐かしい電子音がしそうなポップな見た目のマシンの塊。古き良き光線銃の銃口に似たアンテナから、同心円状の光の環が次々と照射され、辺りに妨害電波をまき散らしていく――!
零児は敵の手腕を称賛する。
「……確かに、的確な対処だな。だが、ありとあらゆる物体には持ち主の意識が乗り移るし、無機物にも存在を保つための意識はある。……システム・フラワーズの花にも」
「ウキッ?」
「俺の意識拡大を封じるには、俺の意識に触れなければならない。そうだろう?」
零児は構わずユーベルコードを全開にした。
妨害電波に触れる感触。そこには確かに、残滓の如き意識がある。創造主である、エイプモンキーの微かな意識が。
零児はありどころも定かならざるその意識に、迷わず己の意識を這わせた。電波という形で周辺を満たす意識を逆侵食していくように、己の意識を徐々に広げていく。
電波を遡り、マシンの本体に到達する零児の意識。さらにそこから、エイプモンキーの意識と繋がる他の物体の意識を探る。エイプモンキーが乗り込んでいるメカ。エイプモンキーが踏みつけにしているシステム・フラワーズの花々……
「なっ何をしてるウッキー!? よ、よくわからないけどそれ以上はさせないウッキーッ!」
エイプモンキーは目に見えないところで進行する事態に狼狽しつつも、大きく跳躍し、握り締めた両拳を零児へ振り下ろす――!
――しかし拳の着地点から、零児は紙一重で退いた。
「ば、馬鹿な!?」
「意識の扱いは、俺の方が上だったようだな」
零児は低く沈んだエイプモンキーの頭上から、渾身の一撃を振り下ろした!
「あだぁ! や、やりやがったウッキーね……!」
獣の頭を抑えて悔しがるエイプモンキーに、零児は獣人の口許を皮肉げに持ち上げた。
成功
🔵🔵🔴
甲斐・ツカサ
想像したものを創造するなんて、すごいよエイプモンキー!
想像力は冒険の原動力、オレも負けてられないね!
だから、オレが体験した、そしてオレが夢見る冒険譚と勝負だ!
心底エイプモンキーを尊敬し、目をキラキラさせながらまずは色んな世界の知識とマニアック知識で語り合おう!
その後で冒険譚を話し始めるけど、コレに共感すればエイプモンキーだって強くなれるよね。それでもオレの邪魔、しちゃう?
邪魔するなら仕方ないね!
オレの死角でもエイプモンキーからは見えてるだろうから、カッコ良く光ってるそのボディにマシンを映して避けよう!
それだけカッコ良いんだから当然ボディはピカピカだよね!
あわよくばマシンを奪ってそれで攻撃だ!
アサノ・ゲッフェンルーク
・他の猟兵との連携を希望
「うーん…水鞠さん、今日はちょっとだけ我慢してね?」
『泡沫ノ長杖』の気ままな水精霊の『水鞠さん』に声をかけて
魔術で隠している『朱守鴇月丸』を握って連携できそうな猟兵を探すよ。
ユーベルコードは使用しない。
相手がUCに対して有効な先制攻撃をしてくるの?
ならUCを使わない場合はどうなるのかな。
【残像6】【戦闘知識8】を駆使して接敵し【鎧無視攻撃6】の鴇月丸の刃で切り込んでみるかな。
「想像妄想大いに結構だけど、シンプルに考えてみようよおサルさん?」
「戦場では先に殴った方が、マウントを取りやすいらしいよ」
作ってる暇があったら殴れ、とへたくそだけど煽ってみようかな。
アドリブ大歓迎。
御宮司・幸村
【SPD】
攻撃を予想する装置、ねえ?
エンドブレイカーさんの前では、そんなの何の意味もない
説明書によると―
相手の『エンディング』を見る能力を持ち、『エンディング』に関わる出来事に積極的に関わることで、定められた運命を破壊し、変更することができます
と、ある
つーまーり、あのモンキーの未来は骸の海に帰る未来以外存在しない!
では『詠唱』!
あっ、ちなみにエンドブレイカーさん達は、不幸な『エンディング』を見てしまうと、その結末を叩き潰さずにはいられない気質がある人達だから、逃げ切れると思わないでねー?
●小賢しき猿
花々の足場を駆け抜けながら、アサノ・ゲッフェンルーク(白耀の魔筆士・f00499)は思案を巡らせる。
「うーん……水鞠さん、今日はちょっとだけ我慢してね?」
『泡沫ノ長杖』の気ままな水精霊の『水鞠さん』に一声かけると、アサノは魔術で隠している『朱守鴇月丸』を握りしめた。
見上げる視線の先には、すでに複数の猟兵たちが敵と相対している姿。
「想像したものを創造するなんて、すごいよエイプモンキー! 想像力は冒険の原動力、オレも負けてられないね!」
敵の創造物を目の当たりにした甲斐・ツカサ(宵空翔ける冒険家・f04788)は、目をキラキラと輝かせて心底エイプモンキーを褒め称えた。
虚をつかれ、エイプモンキーはでれでれと頭を掻いた。
「そ、そうッキーか? ミーの凄さがわかるとは、ユーはなかなか見所があるウッキーね!」
「オレも知識は大好きだからね! いろんな世界を回っていろんな経験をしてきたのさ! だから、オレが体験した、そしてオレが夢見る冒険譚と勝負だ!」
ツカサは堰を切ったように、様々な世界でのこれまでの体験談やマニアックな知識を披露し始めた。エイプモンキーは戦いも忘れて、興味深そうに相槌を打ち、あるいは負けじと話を奪う勢いで口を挟んで、存分に語り合う。
「それじゃ、こういうのはどうだい? これは昔々に始まって、そして今日も続いている、明日へと続く夢と希望に満ちた冒険の話さ!」
「――待つウッキー!」
自然な流れで冒険譚を語り出そうとしたツカサを、エイプモンキーは鋭く遮った。
「ミーは騙されないウッキー! その冒険譚は『共感した対象全ての戦闘力を増強する』ユーベルコードだウッキー!」
「その通り! コレに共感すればエイプモンキーだって強くなれるよね。それでもオレの邪魔、しちゃう?」
「ぐぬ……!?」
一瞬のまれかけるエイプモンキー。
しかしこの猿、見た目以上に賢い。
「いやいやいや、この場にいる全員の力が強化されたら意味ないウッキー! あと、ミーが共感できる保証もないウッキーしな! ……ちょっと興味はあるけど」
ぼそっと未練を吐き出しつつも、エイプモンキーは非情な決断を下してマシンを召喚する!
「そんな冒険譚は潰してやるウッキー! 夢見がちな物語なぞ子供の心を蝕む害悪、うちの子の出来が悪いのはアニメや漫画のせい、健全でないコンテンツ(独断と偏見)は押しの強さと声の大きさで潰してやるのだ! いでよ『モンペ軍団』!」
たちまち辺りに現れたのは、いかにも教育熱心そうで神経質そうな男女の集団。現れるや否や口々に「不健全!」「うちの子が!」「教育に悪い!」などなど文句を大合唱し始める。
「召喚をやめさせるにはもう一押しだったかな……邪魔するなら仕方ないね! ――って問答無用で潰してくるのか……!」
ツカサはマシンを避けてやろうと身構えるが、「声の大きさ」という避けようのないカウンターに怯んでしまう。これでは冒険譚を口にしても聞き取りにくいし話に集中できない……!
「攻撃を予想する装置、ねえ? エンドブレイカーさんの前では、そんなの何の意味もない」
続いて得意げな笑みを浮かべつつ敵前に歩み出たのは、御宮司・幸村(いいかげんサマナー・f02948)。
「えーと説明書によると――『相手の『エンディング』を見る能力を持ち、『エンディング』に関わる出来事に積極的に関わることで、定められた運命を破壊し、変更することができます』と、ある」
「ああん?」
おっさんのゆるい語り口に、エイプモンキーは胡乱に視線を流した。……いやむしろ、モンペ軍団の大声のせいであまり聞こえていないっぽい。
「つーまーり、あのモンキーの未来は骸の海に帰る未来以外存在しない! では『詠唱』!」
しかし幸村はお構いなしにユーベルコードを発動させる。
「似て非なる世界で生きし異世界の者よ、今こそ並列世界の門を開け、我が呼び声に応え顕現し理不尽な終焉を破壊せよ。終焉を終焉させる者!」
敵前に、三十体以上の、左頬に1と刻印された戦闘用の歴代勇者たちが出現していく……!
「あっ、ちなみにエンドブレイカーさん達は、不幸な『エンディング』を見てしまうと、その結末を叩き潰さずにはいられない気質がある人達だから、逃げ切れると思わないでねー?」
「いまいちよく聞こえなかったウッキーが……それはつまり『戦闘用の戦士だか勇者だかを多数召喚する』術ウッキーね? ならもう単純ウッキー! エンディングがどうのこうのは知らんウッキーが、要はそれに関わらせる前にどっかにやっちまえばいいウッキー! 勇者がダンジョンの罠にかからない理屈はなし! というわけで、召喚! 『いっぱい乗ったら抜ける床』!」
たちまちエンドブレイカーたちの立つ花々の足場が脆い床材に置き換わり、すぐさまバキンッ!と不吉な音を鳴り響かせてあっけなく崩壊した。エンドブレイカーたちは抗うすべなく底の見えない奈落へと姿を消していく……
「エ、エンドブレイカーさあああああ――ん!!」
「ウッキッキ! ミーは甘くないウッキー! ユーたちのユーベルコードの弱点なんかお見通しだウッキー!」
「くっ……! 自分のユーベルコードの弱点を自分で考えて対処しないと駄目ってことか……!」
「……なら、ユーベルコードを使わない場合はどうなるのかな?」
唐突に割り込んだ呟きと共に、アサノが戦線へと躍り出た!
「想像妄想大いに結構だけど、シンプルに考えてみようよおサルさん?」
「なぬ!?」
「戦場では先に殴った方が、マウントを取りやすいらしいよ。人の揚げ足とるようなものを作ってる暇があったら、殴ってきなよ」
残像を描きながら、戦闘知識から導き出した最適解の身のこなしで敵の懐へと疾駆するアサノ。敵に一切の手出しを許さぬまま肉薄し、鴇月丸の刃を閃かせ、防護を無視した一撃で斬り込む……!
「……っ!」
――硬い手応えが柄を持つ手の骨を揺るがし、アサノは目を見開いて背後に退いた。
エイプモンキーはなんの痛痒も感じていない様子で、にしゃあ、といやらしく嗤う。
「ウッキッキ! じゃ、お言葉に甘えて殴りにいくウッキー! ――全員まとめてな、ウッキー!」
エイプモンキーのロボの腕が、凄まじい勢いでパンチのラッシュを仕掛けてきた! 隙なく仕掛けられる拳の雨に咄嗟に回避することもできず、三人は大きく後方に吹き飛ばされる。
「――っ、ユーベルコードがないと、とてもじゃないけど火力が足りないみたいだね……」
痛みをこらえてアサノは呟いた。
巌の如く立ちはだかるエイプモンキーは、傷ついた三人の姿を見下して、愉悦の笑みを浮かべていた……。
苦戦
🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
禍神塚・鏡吾
技能:言いくるめ、だまし討ち、礼儀作法
照魔鏡の攻略法は2つ
光を躱される事と、質問に正解される事です
これらを避けるには……
エイプモンキーの知恵を讃えつつ登場
自己紹介して、真っ向勝負を申込みます
UCの特徴をあえて開示し、
「私のマニアックな知識に基づく問題に正解すれば貴方の勝ち、間違えれば負けです」
と結びます
手品で言うミスディレクションです
フェアプレーを装って、光を回避する事から目を逸らし、問題に答える事に意識を向けさせます
どんな問題にも答えられる装置を創造して迎撃してくるでしょうから、彼にとって正解したら拙い事を聞きます
「大首領『ドン・フリーダム』の弱点は何ですか?」
●鏡が照らし出すは真実のみ
――戦場には不釣り合いな拍手が、緊迫した空気の中に響いた。
「これは素晴らしい。エイプモンキーくんの叡智には感服しました」
禍神塚・鏡吾(魔法の鏡・f04789)は紳士然とした立ち居振る舞いで、エイプモンキーを嫌味なく讃えながら悠然と参戦した。
エイプモンキーはにんまり笑う。
「ウッキッキ! ユーも見る目があるウッキー!」
「ありがとうございます。申し遅れました、ワタシは禍神塚・鏡吾」
礼儀作法にのっとり自己紹介をしながら、鏡吾は手元に鏡を現出させた。エイプモンキーがピクリと反応するが、鏡吾は至って穏やかに微笑み返す。
「その慧眼の前に隠し立ては無意味でしょう。ワタシのユーベルコードは照魔鏡。『質問と共に鏡から目映い光を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外の答えにはダメージ。簡単な質問であるほど威力が上昇』……となっております」
このユーベルコードの攻略法はシンプルに二つ。光を躱してしまうことと、質問に正解することだ。特に前者は、あまりに実現性が高い。
それをさせぬためには……
「すなわち、ワタシのマニアックな知識に基づく問題に正解すれば貴方の勝ち、間違えれば負けです」
「……ほほーん」
『マニアック』という単語に、予想通り、エイプモンキーは前のめりに食いついてきた。
「つまり、ミーに正解してみろ、ということウッキーね! 大した自信だウッキー! マニアック勝負なら負けないウッキーよ!」
(「……かかった」)
人畜無害の笑顔の下で、鏡吾は勝利を確信する。
これは手品でいうところのミスディレクション。フェアプレーを装って、『光を回避する』選択肢から目を逸らさせ、『問題に正解する』ことに意識を向けさせたのだ。
「クイズ勝負なら負けるいわれはないウッキー! ミーのマニアック知識の粋を集めた装置がコレだウッキー! 答え尽くせ、『クイズ王』!」
装置はまたしても人の形となって出現した。お笑い芸人っぽい燕尾服姿に、色物の眼鏡と妙に堅そうな材質のシルクハットをかぶった、知的かつ神経質そうな男だ。
「どんな問題も僕の敵ではない……」
「そうですか。では、問題です」
『クイズ王』の寒々しく気取った態度をさらりと流し、鏡吾は鏡から目映い光を放射しながら本題を問いかけた。
「大首領『ドン・フリーダム』の弱点は何ですか?」
「ウキィッ!?」
エイプモンキーが驚愕するのと、ピンポンッ!と軽快な電子音を立てて『クイズ王』のシルクハットからはてなマークが立ち上がったのは、ほぼ同時。
「『ドン・フリーダム』の弱点は――」
「ウッキャアアアアアアア――ッ!!」
エイプモンキーは突如発狂したように、自分で創りあげた『クイズ王』ことマニアックマシンをガツガツ殴り始めた! あっという間にスクラップになっていく『クイズ王』。
「今のなし! 今のなしウッキー! ――はっ!」
「……真実を、答えられませんでしたね?」
照魔鏡の輝きは、『クイズ王』を殴りつけるエイプモンキーを照らし出している。
「――アッヂィィィィィッ!!」
目映い光に全身を焼かれ、エイプモンキーはこれまでにない絶叫を上げた。
大成功
🔵🔵🔵
黒暗九老・有麓落羅区
【妖剣解放】を使用。このワザの弱点は、避けられたら自身の寿命を削るだけになる事じゃ。
故に敵は厄介な高速移動を封じる攻撃をかけてくるはずじゃ。
だからわざと「おびき寄せ」を使いこちらに向かって来させる。
速く動けぬミーは、衝撃波を撃っても簡単に避けられてしまうだろう。しかしそれは予想済みじゃ。
真の目的はその衝撃波を敵にあてると見せかけ、近くの地面にぶつけ
その衝撃で舞った花によって自らの姿を隠す事じゃ。念の為「目立たない」も使用するかのう。
敵が花によって目標を見失う一瞬の隙をつき攻撃。
「第六感」を使い敵の位置を特定し剣を投げつけ「串刺し」じゃ。
●花弁に紛れて神は笑う
「疲弊してきたようじゃのう、ユー」
「ウッキ?」
近親感を覚えずにはいられない二人称で声を掛けられ、エイプモンキーは思わず勢いよく振り向いた。
視線の先に佇むのは、黒々とした、不気味で不吉な見目をした神。
「ならばミーが引導を渡してやろう」
黒暗九老・有麓落羅区(戦闘狂の神・f16406)は妖剣を解放した。
その身が妖刀の怨念を纏い始めたのを見て、エイプモンキーは素早くそのユーベルコードの特性を読み取っていく。
「ふむふむ、『高速移動と斬撃による衝撃波の放射を可能とする』ワザウッキーね!」
「寿命を削られるのが難点じゃがのう」
「そりゃミーの知ったこっちゃないウッキー! どう見てもキモは高速移動! なら動けなくしちゃるウッキー! 巻きつけ『重力の鎖』!」
エイプモンキーの声に呼応して、あたかも重力そのものを可視化したような黒々とした鎖が有麓落羅区の全身に巻き付きのしかかった!
「……っ、たいした重さじゃ。これでは身動きままならぬのう」
「ウッキッキ! あっけないもんッキー! 速攻で沈めてやるウッキー!」
意気揚々と有麓落羅区へ突進するエイプモンキー。……それが、すべて有麓落羅区の企みだとも知らずに。
「想定内、といったところじゃの」
有麓落羅区は重い体でなんとか踏み込み、妖刀をエイプモンキーめがけて横薙ぎに払い、衝撃波を放った!
しかしエイプモンキーは余裕しゃくしゃくで衝撃波を回避し――
「そんなもん当たらんウッキー! ――ウキッ!?」
――衝撃波の着弾点はエイプモンキーの目測を外れ、花々の足場に突き刺さった! 色とりどりの花弁が盛大に舞い上がり、今まさに有麓落羅区に襲い掛からんとしていたエイプモンキーの視界を瞬く間に奪う……!
「ま、前が見えないウッキー! ヤツはどこにいるウッキー!?」
虚をつかれ、完全に目標を見失ったエイプモンキーを、しかし花びらのヴェールに身を隠し息を殺す有麓落羅区の直感は見失わない。花びらの幕の向こうへと剣を投げつける!
「ウギァッ!?」
命中を報せる、エイプモンキーの悲鳴。
花弁が退いたそこには、ロボ腕を剣に貫かれた姿が露わになる。
「隠れ遊びはミーの勝ちじゃのう」
身体に絡みついた鎖を落としながら、有麓落羅区は満足げに笑った。
成功
🔵🔵🔴
雷田・龍子
【SPD】UCを発動
「なにが出るかな?」
龍子は胸元に手を深く突っ込みガジェットを探る
「このUCの弱点は召喚されたガジェットの使い方を理解できるかどうかだ」
龍子はエイプモンキーに宣言する
相手は必ず先制攻撃をしてくる
つまりこちらは必ず後出しジャンケンになる
要するに後出しジャンケンで勝てば良い
いま戦っている対象に有効な“こちらの攻撃を予想し回避”をさせないガジェットに期待
「運命の女神はどちらに微笑むかチート対チートのダイス勝負だ!」
相手の攻撃は【見切り】や相手の装置を盾に回避したいが
例え無理でもアイテム【ドラゴンコイル】で受けたダメージを攻撃力に変換
相手の装置を破壊したり相手に攻撃を当てようと試みる
●運を使いこなす知恵
「なにが出るかな?」
雷田・龍子(人派ドラゴニアンの剣豪・f14251)は豊満な胸元に手を深く突っ込んだ。
エイプモンキーは傷ついた腕を庇いつつ、鋭く目を光らせる。
「ムムッ、それは『いま戦ってる対象に有効なガジェットを召喚』しようとしているウッキー!」
「そう。このユーベルコードの弱点は召喚されたガジェットの使い方を理解できるかどうかだ」
龍子は堂々とエイプモンキーに宣言した。
「ウッキッキ! 自分で弱点をバラすなんてたいした自信ウッキーね! ならミーが先手ウッキー! ガジェットを理解できなくさせちまうッキー!」
途端に怪しい緑色の光が降り注ぐが、龍子はそれを無視した。
敵はこちらのユーベルコードを無効化したり相殺する形で、先制攻撃してくる。ならば、敵に先に手を出させて、後出しジャンケンに勝てばいい。
ガジェットは使い方を理解ができれば強いが、理解できなくてもまあ使えないこともないから、この光線の効力が残っていたとしてもいける。あとはこの敵に有効な“こちらの攻撃を予想し回避”をさせないガジェットさえ出てくれれば……!
「運命の女神はどちらに微笑むか、チート対チートのダイス勝負だ!」
光線が収束した瞬間、龍子の胸元から勢いよく飛び出たのは、キューブ状の不可思議なガジェット。敵の厄介さに比例してか一見用途不明の形状をしているが、おそらくエイプモンキーを攻略するに足る力を持っているはずだ!
「あとはこいつを使えば……!」
「――あまいウッキー。ミーのカウンターはまだ有効だウッキー!」
エイプモンキーはにしゃりと笑った。
と同時に、文字通り甘ったるい香りが龍子の鼻腔を刺激した。途端にくらりと眩暈が回る。
気が付けば、花畑を思わせていた足元の花々が、いつの間にか毒々しくも鮮やかな草花へと変質していた。
「な、に……ッ?」
「さっきの光線で『強烈な眠気で思考力を鈍らせる芳香を放つ花』に変化させたウッキー! 眠くて頭が使い物にならなきゃ、使い慣れないガジェットを理解するどころか、まともに扱うのも難しいウッキーな!」
「く……っ!」
「ユーのワザを完全に相殺するにはこれぐらい必要ウッキー! 運に全振りした胆力は買うッキーが、簡単にやられてやるミーじゃないウッキー!」
エイプモンキーの身体が高々と跳躍し、降下の勢いを乗せた強烈な蹴撃で襲ってくる!
「っ、ただで食らうか……!」
龍子は身体に染みついた戦いの本能に任せて重い身体を退かせ、蹴りの衝撃を出来うる限りいなした。殺しきれなかった衝撃を吸ってドラゴンコイルが置換した攻撃力をもってして、反射的に反撃を繰り出す……!
「ウッキ! いい根性してるウッキー!」
即座に退き距離をとるエイプモンキー。確実に消耗を強いることはできたが、トドメには今一歩遠い。
「ユーベルコードの運頼みでは、切り崩せないか……っ」
散漫になる思考をどうにか束ねて、龍子は厳しい眼差しでエイプモンキーを睨み上げた……。
苦戦
🔵🔴🔴
ニレ・スコラスチカ
ご協力に感謝します、グレースさん(f12443)。呼吸を合わせて。
まずは「決して答えられない問題を出します」と【恐怖を与える】。ユーベルコードをちらつかせつつ【捨て身の一撃】で罠の方向に誘導し、敵の大振りな攻撃を誘います。 その攻撃をあえて【激痛耐性】で受けて【怪力】で捕まえ、【審問】を。
【審問】の弱点は真実を言えば解除されること。これはグレースさんの【口外蛭】も同じ。真実を答える機械による反撃が予測できます。ならば、蛭を生体拷問器の中に潜ませ、答えの異なる簡単な質問で同時攻撃。どちらかに答えるためには、どちらかを間違えなければならない。
「あなたはオブリビオンである。○か×か?」
グレース・マクローリン
今回はニレ【f02691】と組むよ! よろしくね!
最初はニレが接近戦でUCをちらつかせながら仕掛けていくから、アタシは逃走経路を【追跡】で予想し【罠使い】で罠を撒いて退路を断った上で拳銃ヴォルフファングの【スナイパー】【二回攻撃】で援護射撃をするよ。
ニレがアイツを追い込んで審問を使ったら、アタシもそれに合わせて同時にUC【口外蛭】を発動、ニレの審問とは答えが対になる「アタシはオブリビオンである。○か×かな?」の質問と同時にニレの生体拷問器の中に仕込んだ蛭を飛び出させて襲わせるよ!
最初に放った罠に地雷なんかを使ってアイツの足を止める事が出来れば、この段階で蛭も喰い付かせやすくなるかもしれないね。
●相反する答え
「ご協力に感謝します、グレースさん。呼吸を合わせて」
「オッケー! ニレ、よろしくね!」
ニレ・スコラスチカ(旧教会の異端審問官・f02691)とグレース・マクローリン(副業海賊・f12443)は入念な戦略を確認しあい、敵前に立ちはだかった。
エイプモンキーは若干げんなりとした様子で、歩み寄るニレの姿を見下ろした。
「まだ来るウッキー? ミーもそろそろ疲れて……」
「――決して答えられない問題を出します」
「ウキィッ!?」
ダレかけていたエイプモンキーの警戒心のギアが一気に限界突破した。先の件があるだけに、もはや恐怖にも近い反応だ。
「お、おおお落ち着くんだウッキー! ヤツの力は『質問と共に伸縮自在の生体拷問器による捕縛攻撃を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ』……つまり当たらなければ良いのだウッキー! さっきのようにはいかないウッキー! 『素早く動けて小回りも利くジェットブーツ』!」
速度を上げて一気に距離を置くエイプモンキー。しかしニレは生体拷問器をちらつかせながら追跡し、さらにグレースからの援護射撃も手伝って、それとなくエイプモンキーの退路の方向を絞っていく。
「ぬぅっ……しつこいウッキーね!」
埒が明かないとばかりに舌打ちすると、エイプモンキーは反転して生体拷問器の捕縛攻撃をするりと回避し、ロボの拳でニレを強かに殴りつけた!
「――ッ」
ニレはその攻撃を避けることなく甘んじて受け止め、激痛を耐えぬいた。少女らしからぬ怪力を宿した手が、ガッチリとロボの拳を掴み取る。
「しま――ウキィ!?」
咄嗟に距離を置こうと一歩背後に下がった瞬間、エイプモンキーの足元で地雷が起爆した! グレースが逃走経路を予測して仕掛けて回った罠の一つを踏み抜いたのだ!
「ダメージは大したことなさそうだけど……」
「十分です」
地雷の衝撃に動きを止めたその致命的な一瞬に、ニレの『伸縮自在の生体拷問器による捕縛攻撃』がエイプモンキーを捉え、拷問器の内部に仕込んでいたグレースの『焦りや動揺などの感情を吸い肥大化するヒル』がエイプモンキーに喰らいついた!
「ウッキャァッ! ……ぐぬぬぬ……このミーが捕まるとは……!」
「ほらほら、アタシのユーベルコードには対抗しなくていいの?」
「いっ言われるまでもないウッキー! ……ユーもソイツと同種のワザだウッキー! 拷問器具がヒルに変わっただけ! 『クイズ番組の正解パネル』さえあればこっちのもんウッキー!」
がんじがらめに捕縛されたまま、エイプモンキーは的確にグレースのユーベルコードを読み解いた。しかし恐怖で思考が鈍ったか、即席で召喚したマシンは、若干手抜き感溢れるありがちなモニターパネルである。
「では、審問を開始します」
と、ニレ。
「アタシたちの簡単な質問に同時に答えてもらうよ」
と、グレース。
「ど、同時……!?」
エイプモンキーは動揺を露わにしたが、二人は構わず問いかけた。
「あなたはオブリビオンである。○か×か?」
「アタシはオブリビオンである。○か×かな?」
双方の答えは、相反している。
……もしもこれが、人型などの言葉を話せる高度なマシンならば、「そっちは〇、あっちは×」というようにうやむやにできた可能性も、なくはない。
が、正解を一問ずつしか表示できないモニターパネルに、その手のアドリブが利くはずもなく……
パネルは〇とも×とも表示できぬまま、表示画面を走る軽いちらつきが瞬く間に全体を侵食する砂嵐となり、カタカタと振動しながら湯気を上げ、しまいにはボボンッ!と内部爆発を起こして完全に沈黙した。オーバーヒートである。
すなわち、『真実を答えられなかった』という事実がそこに残った。
「あ、あ……あ…………ウッキャアアアアアアアアア――ッ!!」
マシンの不始末によって生じたダメージをごっそりと喰らい、エイプモンキーの絶叫がシステム・フラワーズの空間内にこだまするのであった。
●猿は骸の海へ
「ウギギギギ……このミーが敗北するとは……っ」
花々にうずもれるように這いつくばりながら、傷だらけのエイプモンキーは悔しげに花を握りつぶした。
「しかぁしっ! ミーは不滅だウッキー! すぐに骸の海から不死鳥のごとく蘇ってやるウッキー! 首を洗って……待って、いるが、いい…………ゥゥゥウッッッキィィィィィ――――!」
最後にひときわ大きな、絶叫とも高笑いともつかぬ断末魔の一声を残して、エイプモンキーは骸の海へと還っていった。
果たして言葉の通り、エイプモンキーがまた復活してくるかどうかはわからない。
しかし繰り返される不毛なサイクルを終わらせるための、確実な一歩には違いない。
まずは状況を確認するため、猟兵たちは一度帰還するのであった。
成功
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