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バトルオブフラワーズ⑨〜その光、神にも悪魔にも

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #エイプモンキー

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 バトルオブフラワーズ――キマイラフューチャーを"二分"する戦争は新局面へ!
 いよいよザ・ステージを越え、猟兵たちはシステム・フラワーズに突入した。
 だが、第一の関門は強大な敵。はたして猟兵は勝てるのか!?
 戦え! イェーガー、戦え!
「……とか、その手の作品だと予告が入りそうであるな」
 グリモア猟兵、ムルヘルベル・アーキロギアは急に素面に戻った。

 咳払いして気を取り直し、少年めいた賢者は予知について語る。
「敵の名は『エイプモンキー』。予兆で目にした者も中には居よう」
 謎の首領"ドン・フリーダム"に従う怪人幹部のひとりだ。
 猿オブザ猿な脱力モノの名前と裏腹に、奴のユーベルコードは強大だという。
「奴の能力は"想像した全てを創造する"というもの。おまけにこいつは……」
 やや逡巡したのち、ムルへルベルはシリアスな顔で言った。
「大のマニアである。具体的にどの分野に、と絞りきれないほどにマニアックなのだ」
 聞けば聞くほどギャグだが、実際その力はシリアスなものだ。
 想像力に担保された能力と広範な知識。相性が良すぎる!
「いつかの銀河帝国攻略戦とは、似ているが原理が異なるのである。
 どんな攻撃も奴は無効化する――それが可能なモノを生み出すことで」
 そして敵の攻撃がこちらを襲う。まさに、無敵の能力と言えよう。

 ……だが、ここで臆していては話が始まらない。賢者はこう語る。
「目には目を、歯には歯を。マニアックにはマニアックを、である!!」
 ややアレな理論だが、ムルへルベルは真面目な表情だ。
「ようは彼奴の想像力をも越えた機転や工夫をオヌシらが見せてやればいい。
 サブカルチャーの定番であろう。圧倒的な敵を機転やアイデアで倒すのは!」
 想像力ある限り全てを創造する力。裏を返せば、想像力こそが限界なのだ。
 容易くないことだが、ムルへルベルは猟兵たちを信じて語っている。

 オブリビオンである以上、エイプモンキーは倒しても復活する。
 だがその復活も限りがある。とにかく倒し続けるしかないのだ。
 もしかすると、それがドン・フリーダムとの決戦に有利に働くかもしれない。
「ユーベルコードは、あらゆる法則から解き放たれた超常そのものである。
 その力を使えば、神にも悪魔にもなれよう。あるいはそれを生み出すことすら……」
 ならば、光のように輝く知恵と勇気で、神をも悪魔をも越えてしまえばいいのだ。
 猟兵たちがその困難と意義を理解したとき、賢者は本を閉じた。
「"創造とは、過去と現在から新たな未来を作り出す行為である"。
 ……とある詩人の言葉だ。けして気を抜くなよ、オヌシらの健闘を祈る」

●一方その頃
 システム・フラワーズ内部。咲き乱れる花々がより集まり、足場を生む。
 そんな幻想的な空間を、エイプモンキーは我が物顔で闊歩する!
「ウッキッキー! ミーの能力は無限! そしてミーのマニアック知識も無限!
 無限に無限を合わせて百倍の無限ッキー! つまりは無敵ということだッキー!」
 天敵何するものぞ、来るならば来い。第一の門番は高らかに哄笑する。
 空間は広大な上、奴はあちこちで復活する。戦いは散発的なものとなろう。
 彼奴が存在している限り、花々の道がこの奥へ続くことはないのだ。
 いざ決戦のとき――戦え! イェーガー、戦え!!


唐揚げ
 というわけで始まりました幹部戦! ラムネです。
 まずは敵戦力などのまとめから。

●まとめ
 目的は怪人幹部『エイプモンキー』を撃破。
 敵は『想像した全てを創造する能力』と、マニアックな知識を持つ(詳細は下記参照)
 撃破したとしても、エイプモンキーは即座に別地点に復活する。
 舞台はシステム・フラワーズ内部(花々が咲き乱れる広大な空間)

 以上です。本シナリオの特殊ルールについては以下の通り。

 エイプモンキーは、猟兵が使用するユーベルコードの設定を元に、そのユーベルコードを無効化する武器や戦術を創造し、回避不能の先制攻撃を行ってきます。
(ユーベルコードで無効化したり相殺した後、強力な通常攻撃を繰り出す形です)
 この攻撃は、ユーベルコードをただ使用するだけでは防ぐことは出来ません。
 この先制攻撃に対抗する為には、プレイングで『エイプモンキーが自分のユーベルコードに対抗して創造した武器や戦術を、マニアックな理論やアイデアで回避して、攻撃を命中させる』工夫が必要となります。
 対抗するためのプレイングは、マニアックな理論であればあるほど、効果が高くなります。

 ……という具合です。つまり、普段より判定が厳しくなります。
 作戦が重要なので、合同プレイング以外の同時採用は少なめになる予定です。
 シナリオが失敗する可能性も十分ありえますので、頑張ってください!

 なお戦争な関係上、普段より不採用が出るかもしれません。ご承知おきください。
 では前置きはこのへんにして。皆さんの光るアイデアをお待ちしてるッキー!
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第1章 ボス戦 『マニアック怪人『エイプモンキー』』

POW   :    マニアックウェポン
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【敵に有効なマニアックな装置】が出現してそれを180秒封じる。
SPD   :    マニアックジェット
【敵のユーベルコードを回避する装置を作り】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    マニアックマシン
対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 システム・フラワーズ! 花々咲き乱れる第一の関門!
「ウキッ!」
 花々が集まり生まれた足場を、エイプモンキーが跳ぶ。
「ウキキッ!」
 走る!
「ウッキッキー!」
 飛ぶ! まさに海陸空を支配する無敵の力そのままに!
「ウキキキッ! さあミーの無限パワーの前にひれ伏すがいいウッキー!
 何人でも来いウッキー! いややっぱり一人でいいウッキー!!」
 ガキーン! 力強くポーズをとったエイプモンキー、強気なのか弱気なのか!

 ……だが侮ってはならない。その力は紛れもなく本物、そして強大だ。
 一撃受ければ戦闘不能は免れまい。イェーガーよ、強敵に挑め!
天御鏡・百々
ふむ。かなりの強敵のようだが、ここで負けるわけには行かぬな
この世界を守るため、貴殿を倒させてもらおう!

我が『合わせ鏡の人形部隊』の弱点は防御力が低いことだ
おそらくはそれを突いた機械を作成するのだろう
つまり威力は低いが広範囲の攻撃をしてくると推測するぞ
なれば、我が神通力(武器)による障壁(オーラ防御51)にて
人形兵を守ることでさらなる対策としようでは無いか
ある程度の人形が残れば、創造された機械を倒し
エイプモンキーへダメージを与えることも可能であろう

また、我の死角を狙ってくるならば
通常の鏡を念動力1で操り死角を見通し対処とする
鏡であるが故、鏡の扱いには長けているのだ

●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ歓迎



●音痴な龍と脳筋子鬼
 次なる猟兵は、ものすごく目つきの悪いお父さんと似ても似つかぬ

●挑戦:天御鏡・百々の場合
 神と崇められ大切に扱われてきた御鏡――それが、百々の本体だ。
 ヤドリガミとして形を得た百々の力は、それゆえに鏡に由来する物が多い。
 ゆえに彼女は"合わせ鏡の人形部隊"と呼ばれるユーベルコードを使い、
 敵の攻撃を数の利と神通力による守りで凌ごうとした。
 たとえ人形たちがやられようと、全てを消し去ることは出来ないはず。
 たった一体でも残ればいい――覚悟なくしては出来ぬ決断と言えよう。

 はたして百々は、彼方から飛来する巨大な怪人の影を捉えた。
 エイプモンキー! その能力に反してなんとふざけた見た目か。
 だが百々は見た目などには騙されない。鏡ゆえに、その力を能く映す。
「かなりの強敵のようだが、ここで負けるわけにはいかぬな。
 この世界を守るため、貴殿を倒させてもらおう――眷属たちよ!」
 オリジナルとなる人形兵の左右で、神聖なる御鏡が輝いた!
「――ウキキッ!」
 その時エイプモンキーの目が邪悪に輝く。閃光が両者の視界を灼いた――!

「……な、に?」
 そして視界が戻ったとき、百々は驚愕した。
 彼女は己の神通力をあらん限りに振り絞り、人形兵を守る障壁を生んでいた。
 だが見よ! 残された人形兵は、手作りのオリジナルとわずか数体のみ!
「これは一体!?」
「キッキッキ!」
 エイプモンキーは哄笑する。奴は悠然と腕組みして語ってみせるのだ!
「鏡に映した鏡像をしもべとして召喚し、物量攻撃を仕掛ける。見事だウキ。
 ミーの死角からの攻撃を想定し、防御を固めていたのも褒めてやるッキ!」
 然り。百々はいかな方角から狙われようとも即座に対応できるよう備えた。
 振り向くことなく背後を見渡せるよう、周囲に鏡を展開していたのだ。
「我の神通力を貫いたというのか? いやしかし、障壁は――」
「キキキキ! ミーはお前の人形を攻撃したわけではないウッキ!」
 そこで百々は気づく。合わせ鏡が――どちらも、砕け散っている!?
 だがいつの間に!? 攻撃があれば当然気づけるはずだ!

 ……それが、"知覚できる速度である"なら。
「――まさか」
「鏡がなぜモノを映すか、知らぬわけではないウッキ」
 そもそも視覚とは、可視光線を感覚器が捉えることで得られるものだ。
 鏡が何かを映すのは、鏡そのものがその可視光を反射しているからである。
「そして合わせ鏡とは光の反射の連続によって生まれる現象ウキ。
 つまり、鏡面が反射を繰り返せば繰り返すほどに光の速度は減衰するッキ!」
 ならば、"光の速度で攻撃するマシン"を生み出せばよい。
 普通なら不可能だ。だが奴はそれを想像した。そして生み出したのだ!
「鏡が像を結ぶより先んじるなどと……!」
「キッキッキ! 合わせ鏡は無限でもなければまったく同時でもないウッキ!
 物理学では思考実験にも用いられる有名な題材ウッキ! キーキッキッキ!」
 だが想像力に担保される以上、完全に無効化出来るわけではない。
 現に、オリジナル以外にも数体の人形兵が召喚されてはいるのだ。
「ならば、一矢報いるまで!」
「キキキーッ!」
 エイプモンキーのマシンが迫りくる人形兵を撃つ! 障壁がそれを防いだ!
 さらなる攻撃が百々自身をも穿つが、人形兵も同時に攻撃を叩き込んでいる!
「ぐう……っ!」
「キキッ!? やるウッキ、ミーにダメージを与えるとは!」
 だが、その傷は浅い。絶対的な数が不足しているからだ。
 百々は噛みしめる。これは想像力の戦い……そして敵の知識は広範だと!
(けれども、我はたしかにそれを越えてみせた……あとは、任せるほかにない)
 続く猟兵たちならば、必ずやヤツを滅ぼしてくれるはずだ。
 意識を喪った百々を、花々が優しく受け止めた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​



 上記リプレイの冒頭に別シナリオのリプレイ下書きが混在してしまいました。
 謹んでお詫び申し上げます。以下、特に気にせずお進めください。
遠呂智・景明
到着と同時に敵の懐に駆け出し
UC【風林火陰山雷 風の如く】だ。
大蛇切を使った神速の一撃。【殺気】を込めて、ガチで殺りに行く。

が、防がれるんだよな。近づけなきゃ意味ねぇしさてどうしたもんか。

……なんてな。
防がれたと同時に【殺気】を放ちもう一振の刀、黒鉄を抜刀。敵の攻撃を【見切り】つつ攻め込むぞ。

悪いな、二刀流なんだよ俺。
大蛇切が封じられようがやりようはあるってな。黒鉄一振で【2回攻撃】による連撃を放ち、攻撃を【見切り】つつ敵に肉薄する。

さて、ここまでして倒せねぇなら仕方ない。
嘘ついたことを謝っとくわ。

懐刀 棗を懐から取り出し、肉薄した猿にぶち込む。

実は3本あるんだわ。受け取れ猿公。



●挑戦:遠呂智・景明の場合
 "風林火陰山雷・風の如く"。
 妖刀とも神刀とも渾名される名剣・大蛇切の化身、景明の絶技である。
 その速まさに神に届き、その鋭さは魔の如く。ヒトならざる身ゆえの奥義。
 だがそれは、わずか一尺(約30cm)という極めて超接近距離でのみ可能なもの。
 近づけないならばどうしようもない。つまり敵は近づけまいとするはず。
「――さあ、一瞬だ」
「キキッ!?」
 到着と同時に、景明は覚悟を胸に疾走した。殺気が迸る。
 己の命をも顧みぬ疾駆は、その身の危険と引き換えに絶無の速度を生んだ。
「キキキーッ!?」
「もらった――!」
 近づけるならば重畳。景明は躊躇なく大上段からの振り下ろしを放つ!
 正中線を断つ剣閃。殺(ト)った! ……確信は即座に怪訝に変わった。
「キキキキキ!」
「――」
 斬れていない。防がれたわけではない、だが"手応えもない"。
(避けられたのか)
 有り得ぬ。だが景明は動揺を殺し、あえて皮肉げに振る舞ってみせた。
「さてどうしたもんか……なんてなッ!」
 感情を裏返すさま、まさに虚実転換の如し。迅雷の如き抜刀!
 空いたもう一方の手に握るは、銘を黒鉄。かつての主が遺してくれた相棒。
 水めいて流れるような淀みない真一文字の剣閃――放った。だが、やはり。
「キッキッキ!」
 敵は哄笑している。二刀を振り抜いた景明を、あざ笑うかのように。

「――五分の見切りというものを知っているウキ?」
 景明は瞠目した。それは剣豪・宮本武蔵の逸話として有名なものだ。
 かの達人は存命の折、自らに米粒を貼り付け相手に剣を振らせたという。
 剣豪はその卓越した心眼により、剣閃を見切り最小限の動きで躱した。
 その動き、わずか五分。米粒のみがまっぷたつに断たれていた、というものだ。
「それが」
「お前の剣技は素晴らしいものウキ! ミーが喰らえばひとたまりもない!
 ――けれど、どんな速く恐ろしい剣も、当たらなければ意味はないウキ」
 剣豪の逸話を知るエイプモンキーは、その見切りを再現する装置を生み出した。
 今の奴は、いかな神速とて完全に見切ってみせるのだ! なんたることか!
「これぞインスタント見切り装置の力ウキ! キッキッキー!」
 勝ち誇るエイプモンキー、しかし景明の目は戦意を喪っていない。
「……そうかよ。なら斃れる前に、俺も一つ謝っとくわ」
「ウキ?」
「"二刀流の振りしてたがよ"」
 エイプモンキーは瞠目した。……三振り目! 懐から現れた小刀!!
「キキ――!?」
「"三本あるんだわ"。受け取れ猿公!!」
 それはまさに、剣士としては決してあらざる不意打ちであった。
 だからこそ、"いかな剣士の絶技をも見切る"エイプモンキーに通じたのだ。
 小刀は奴のボディを抉る。同時に、豪腕が景明を殴り飛ばしていた。
「がはっ!!」
「キ、キキ……なんという執念深さウッキ……!!」
 これが猟兵の力なのか。エイプモンキーの想像力ですら届かぬ存在。
 天敵の執念深さにぞっと肝を冷やしつつ、怪人はその場から姿を消す。
「……大蛇切を、嘗めんじゃねえぞ……!!」
 かろうじて意識を繋いだ剣豪は、呻きながら呟いた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

矢来・夕立
手裏剣の式紙を三枚投げる。牽制です。

【紙技・影止針】は、手裏剣を三つ当てるものです。
一般に想像される手裏剣は「車型」。「当たればとりあえず怪我を負わせられる」から、当たればいいこのユーベルコードとは相性がいいんですね。
しかし「当たらなければどうということはない」ものでもある。弱点はそこでしょうか。

話を変えましょう。手裏剣は白兵戦でも使えます。それには主に「棒手裏剣」を用いる。単に持ちやすく刺しやすいので。

…最初に投げた車型の三枚。UCじゃない。ただのブラフですよ。

投擲と同時に《忍び足》で接近。本命は手の中にある三本の「棒型」。
最初から最後まで《だまし討ち》です。
面倒なので封じさせてもらいます。



●挑戦:矢来・夕立の場合
 シュパパパッ! 突如として飛来する三枚の手裏剣!
「キキッ!」
 それはカートゥーンにもよく描かれる、四方に刃の飛び出たものだ。
 平型、あるいは車型(風車型、とも)と呼ばれるこの形は二つの利点を持つ。
 ひとつ。十字型であるゆえ、命中すなわち負傷につながること。
 ふたつ。形状のため飛行が安定し、誰でも扱いやすいことだ!
「不意打ちなど無駄ッキー!」
 エイプモンキーはこれを容易く弾く。その装甲は頑丈だ!
 先の景明の一撃が、奴の自尊心に大きく傷をつけたことも影響している。
 もはや不意を打たれまいという警戒心が為せる業か!
「キキキキ! 何が飛んでこようと無駄ウキ!」
 奴は即座に磁力発生装置を生成、これによって自身の周囲に反発力を生む。
 いかに不意を打ったところで、もはや手裏剣は当たるまい!
 よしんば磁力を逃れられる材質であっても、大したダメージはなかろう。
 まさに鉄壁。奴は磁力を操作し、飛来した手裏剣を手に運ぶ。
「キキキ! ユーベルコードの産物であろうがただの手裏剣……キ?」
 ただの。手裏剣。
 たしかにそれは星めいた、鉄の手裏剣だ。"何の変哲もない"ただの。
「……………………」
 手裏剣はなんの産物でもない。ではあの不意打ちがユーベルコードだったのか?
 エイプモンキーは沈思黙考する。いや、あれは装置なくとも見切れた。
 ……見切れた、のだ。"ユーベルコードを使わずとも"! 見切れた!!
「キッ!?」
「――お約束なんで言っておきましょうか」
 どこからか声がした。それすらも布石だった。
「"遅いですよ"」
 直後、三つの刃が、エイプモンキーに深々と打ち込まれた。

「キ、ギィイ……ッ!?」
 有り得ぬ。こんなことはありえない!
 エイプモンキーは、己の脇腹に突き立った三つの手裏剣を見る。
 棒手裏剣。なぜ反発力が働いていない!?
「か、紙、ッキ……!?」
 キュウウン――さらに悪いことに、磁力発生装置が停止する。
 ユーベルコードの封印! 戦慄したエイプモンキーにさらなる不意打ち!
「キキィーッ!?」
「あれ、ただのブラフですよ」
 現れたのは黒髪の少年。然り――彼こそが猟兵の夕立。忍者である。
 最初に飛来した車型手裏剣は、エイプモンキーの注意を惹くための罠!
「ずいぶん好き勝手してるみたいですが」
 ぎらりと、赤い瞳が輝いた。
「そのぶんのツケは払ってもらいますよ。――ま、ウソですけど」
「キ、キキーッ!!」
 エイプモンキーはぶんぶんと攻撃を繰り出す。夕立はするりと影めいて避けた。
 一撃は負わせた。これ以上は荷が勝つ――深追いするつもりなどない。
「"これで終わりかはわからない"ですけどね」
 去り際に残した言葉は、嘘か真か。
 どちらであれ、エイプモンキーに屈辱と恐怖を叩き込んだのは間違いない!

成功 🔵​🔵​🔴​

ユエイン・リュンコイス
見た目は巫山戯ているけれど、やっている事は理詰めのソレだね。理論立てて想像を創造し無効化してくる。さて、理屈合戦といこうか。

『絶対昇華の鉄拳』を使用。
昇華とは個体をそのまま気体へ変化させる現象。
それを封じるには気体になった時、体積が爆発的に増えるモノ…個体化した窒素等を盾としてくるのではないかな?
要は爆発反応装甲、敢えて自爆する事により攻撃を防ぐ。

なら攻撃に際し、ボクは戦術のほぼ全てを機人に依存している様に印象付ける。実際そう『だった』からね。
相手が攻撃を無効化後、爆発に紛れてそのまま機人を放棄。
焔刃煉獄を手に、攻撃後の敵へ全力の焔閃を叩き込む。

いわば心理戦だけど…機人との連携は本物だからね?



●挑戦:ユエイン・リュンコイスの場合
 かつて、銀河帝国攻略戦において、ユエインは敵の攻撃に斃れた。
 ただ一度とて攻撃を届かせることもできぬまま、見逃されたのだ。
「――よし」
 傍らに相棒・黒鉄機人を置き、佇むさまはあのときと同じ。
 異なるのはここが花々の咲き誇る空間であること、そして――。
「ふざけた見た目で理詰めのユーベルコード、か。なんともちぐはぐな。
 けどボクはもう恐れない。……さて、理屈合戦といこうか、黒鉄機人」
 ユエインが多くの戦いを経験し、成長したことである。

 そして見よ。彼方から飛来する、傷ついた巨大な敵影を!
「キキッ!? 待ち伏せとは見上げたものだウッキー!」
「そちらこそ、まだ滅んでいないとはたいしたものだ。けどそれもそこまで」
 十の糸を手繰れば、黒鉄の人形がゴウン――と四肢を動かし、構える。
 右拳が赤熱……いやさ白熱し、恐るべき熱量を醸し出した!
「ウッキッキー! 恐ろしい破壊力だと推察するウッキー! けど無駄ッキ!
 ミーの想像による創造を超えることは、不可能だウッキー! キキーッ!!」
 ガシュンガシュンガシュン! エイプモンキーの周囲に装甲が出現した!
 それはまるでロボットアニメの追加パーツめいて、ヤツの全身を覆い、
 ガコンプシュー! と謎の蒸気を吹き上げる。一回りは巨大化したシルエット!
「……っ」
「キキキキ! 名付けてこれこそR.A.A(リアクティブエイプアーマー)ウッキ!
 いくら高熱による衝撃を与えても、相殺してしまえばミーはノーダメージウッキー!」
 爆発反応装甲とも言われるそれは、現代においても軍用されている技術だ。
 装甲の間に爆薬や圧縮した気体を挟み、外部からの衝撃に反応して炸裂。
 爆発によって外部エネルギーを相殺することで、本体を守るのである。
 ユエインと黒鉄機人が用いる"絶対昇華の鉄拳"は、まさに熱による攻撃。
 つまり相性が最悪なのだ! しかもR.A.Aはエイプモンキーの全身を守っている!

 ユエインは歯噛みするような表情を見せた。敵は嗤笑する。
 待ち伏せしてこちらの不意を打とうとしたのだろうが逆効果だ。
 エイプモンキーのマニアックな思考は、あらゆる攻撃を想像し対処できる。
 仮にその存在を示さずに不意打ちを仕掛けたとしても、奴は即座にR.A.Aを創造し、
 昇華の右掌を相殺した上で強烈な攻撃をふたりに叩き込んだであろう。
 だが! ユエインはそれがわかっていて、あえて機人とともに飛び込む!
 恐怖を克服しようとするあまりおかしくなったのか? ユエインよ!
 エイプモンキーは猿めいて嘲笑った。あの人形を破壊してやると!
「白き指先、繋がる絹糸。振るわれるのは昇華の鉄拳――!」
 ユエインの脳裏に、スペースシップワールドでの苦い記憶が蘇る。
 立ちはだかる幻影を手のひらが切り裂く。悠然と構える敵の姿が見えた!
「欠片も遺さず、無に還れ――!!」
「キーッキキー!!」
 ……激突! 機人の右拳をエイプモンキーは正面から受ける!
 同時にR.A.Aが炸裂し、すさまじい爆煙がその場を包み込んだ!
 エイプモンキーは、高笑いしながら拳を振るう。機人が打ち据えられた!
「キキーッ! 大事な人形を壊してやったウッキ! さああとはお前――を?」
 ……なぜだ。ユエインがどこにもいない。
 からくり人形を使役していたなら、術者はすぐそばにいるはず。
 いや。糸が……切れている? まさか、"最初からそうしていた"のか!?
「キ……!?」
「――機人がいなければ何も出来ないと、そう思っただろう?」
 爆煙が晴れる。そこに、天をも焦がすような魔剣を構える少女が居た。
「たしかに"そうだった"とも。けど、いまのボクたちはもう違う」
「キキィーッ!?」
「無に還れとは言わない、煉獄の苦しみを味わえッ!!」
 これなる刃、その銘を"煉獄"。七代永海筆頭、八本刀が六に連なる魔剣なり。
 使い手の意志力に応じ、熱量を孕んで刃となす恐るべき剣。異界の武器。
 ユエインは燃えていた。過去の己を乗り越えようという憤然たる戦意に!
「はぁあああっ!」
「キギャアアーッ!!」
 入った! 燃え上がる剣がたしかにヤツの脇腹を切り裂く!
 不意打ちだからではない。敵の行動を予測し、かつ、覚悟を決めたゆえ。
 そして二体の――否、二人の連携が実を結んだのだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

バルディート・ラーガ
フーム。ここはひとつ、試してみてエ事がありやしてねエ。

地獄の炎の腕を変化さしたUC【四つ影の蛇使い】でもって、奴の金属部をアチアチに加熱してやるコトを目論みやす。
コイツの弱点は「炎で出来ている」コト。つまり水やら不燃ガスやら、そういったもんで対抗されると消滅しちまう。
そうして腕が消えっちまった所こそが狙い目。軽くなって速度を上げた【神速の一噛み】でもって、生身の方に噛み付いてやりやしょ。

さあて、更にこの裏の狙いはいつバレっちまいやすかねエ。
あっしが気になってンのはひとつ、ユーベルコードを複数使う戦術は通るのか。
「情報収集」として結果を持ち帰れりゃア、多少は叩きのめされても上々ですぜ。



●挑戦:バルディート・ラーガの場合
 強大なオブリビオンと相対するに際し、もっとも重要なものはなにか。
 覚悟。然り、死を賭した戦いでは必要不可欠と言えよう。
 意気。さもありなん、決意こそが人を勝利へ導くのだから。
 策略。いかにもその通り、機転と工夫なくして打破はありえない。
 だがそれらよりもなお、重要と言えるものがある。
 ――つまりは、情報だ。

 被弾したエイプモンキーを発見したバルディートは、嗤笑した。
 好機に? たしかにその通りではあるが、実際のところ彼は覚悟を決めている。
 つまり、己の一撃でエイプモンキーを倒すことは出来ないと。
 これは"テスト"だ。いや、より正しく言うなら"情報収集"か。
「てなわけで猿の旦那、ちィとお付き合いしてくだせエや!」
「ウッキキーッ!?」
 バルディートは有無を言わさず飛び込む! 吹き上がる地獄の炎!
 これなるユーベルコード、名を"四つ影の蛇使い(フォーヘデッド・アサシン)"と云う。
 名のごとく、生み出されたのは燃え上がる四つ首の蛇であった。
 エイプモンキーの双眸がギラリと燃える。炎。ならば対抗策は単純だ!
「キキキーッ! 消火装置噴射開始! ウッキー!!」
 SPLAAAAAASH!! 勢いよく腹部の噴出孔から放たれる高圧水!
 それはあっというまに、地獄の炎で出来た蛇――正しくは四つの首の蛇に変形した、バルディートの炎の腕――を、消火してしまう!
「キッキキー!!」
「そら、まだ手品は終わりじゃねエですぜ!」
 だが、これはバルディートにとっての読みどおり。
 地獄の炎が消えた瞬間、バルディートは尾をうねらせ爆発的加速を得た!
 狙いはヤツの被弾している脇腹だ。毒牙がギラリと輝く……しかし!
「SSSSSSHHHHHH!!」
「キキッ! その程度無駄だッキー!」
 ガキン! 増加装甲がバルディートの牙を阻んだ!
「お前の噛みつきはすでに予測していたッキ! だから腹部に装置を増設したウッキー!
 トカゲの尻尾切りとはよく言ったものだッキー、覚悟はいいッキーか!?」
 ばきん。牙が砕ける。バルディートは冷や汗を垂らしつつ笑った。
「ヒヒヒ。ええ、どうぞご存分に」
「――キキィーーッ!!」
 SMAAAAAASH!! 豪腕がバルディートを叩き潰した!

 衝撃により意識を刈り取られる刹那、バルディートは確信した。
 敵はこちらのユーベルコードに対し、即座に対抗策を設けてくる。
 つまり二手三手と術式を構えるのは得策ではない。
 その程度の小細工が通用するならば、奴は強敵とは呼ばれないのだ!
(覚悟はしちゃアいやしたが、これはキツいでさあね……ッ)
 敵を打ち破るのに必要なのは、一撃を以て岩をも穿つ信念である。
 敵の不意を打ち籠絡するバルディートにとって、それは至難と言えた。
 ――だからこそやる価値がある。そして、彼の意識は闇に堕ちた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

リア・ファル
エイプモンキー…!
愉快だけど油断できない相手だ、気をつけていこう

UC 【召喚詠唱・流星戦隊】でオールレンジ攻撃!
くっ、当たらない…!
そんな、ボクのイルダーナより速いなんて…!

まだ諦めたわけじゃない

「やるよ、イルダーナ!」
生成した機体も全て縦に連結!

スリップストリームからのオーバーテイクに合わせてブースト!
一機脱落する毎に、速度は倍…!
それにホンモノの一機には、ボクの機動制御を加えてさらに倍…!
オマケにヌァザの空間干渉エネルギーを一時的に推力に使って…万倍だぁー!
これこそが、本人の心意気で事象結果に影響するという、「堅ゆで卵理論(ハードボイルド・セオリー)」さ!



●挑戦:リア・ファルの場合
 エイプで、モンキー。猿なサルとでもいうべき脱力モノの名前だ。
 だがすでに何人もの猟兵が斃れていることからわかるように強大な敵!
 油断は出来ない。リアは覚悟を決め、フルスロットルを入れた!
「ウッキキキ! 今度は宇宙戦闘機のご登場ッキー!」
 迫りくる制宙高速戦闘機『イルダーナ』の飛行編隊を見、エイプモンキーはテンションが上がった!
 だってほら、宇宙戦闘機とかマニアックだし。男のロマンだし!
 "召喚詠唱・流星戦隊(ファンクションコール・メテオレギオンズ)"!
 それが、リアの用意して切り札。計37機の砲口がエイプモンキーを狙う、が!
『なっ! 速い!?』
 見よ! エイプモンキーの背面に装着された大型ウィングを!
「キキキキーッ! お前の機体のスペックは分析完了したッキー!
 いくら数を揃えても所詮は複製品、操縦しているのはお前一人だッキー!」
 然り。あくまで、制御権はリア自身にある……つまり彼女の反応速度に依存する。
 エイプモンキーは、リアの反射神経を凌駕するほどの高機動ユニットを生成し、
 空中を自由自在に飛び回ることでオールレンジ攻撃を回避するのだ!
『そんな、ボクのイルダーナより速いなんて……! このっ!』
 ZAPZAPZAPZAP! 光線がフラワーズ内部を飛び交う、悠々とかいくぐるエイプモンキー!
 一機、また一機と、複製機体がやつに破壊されていく!

 しかし、リアの瞳に諦観はなかった。むしろ強く燃えていた。
『まだ諦めたわけじゃない。やるよ、イルダーナ!』
「キキーッ!?」
 あれは一体!? 戦闘機が次々と縦に連結していく、まるで塔のようだ!
 リアの機体は最後尾! エイプモンキーは真正面からこれを迎え撃つ!
「キキーッ!」
 KRASH! 先頭の機体が爆散! 続く二機目がさらなる加速で突撃する!
「キキーッ!」
 KRASH! 次なる機体も爆散! 続く三機目がさらなる加速で突撃する!
「キキーッ!?」
 KRASH! 三機目機体も爆散! 続く四機目がさらなる加速……これは!
『スリップストリームって知ってるかな、エイプモンキー!
 どれほど速いマシンでも、空気抵抗による減速には抗えないものさ……!』
 だが高速移動するマシンの背後には、言わばエアポケットが生じる。
 これを利用し、空気抵抗を減衰して加速を得るのがスリップストリームだ。
 KRASH! 四機目も爆散、だが五機目が破壊されるより先に、
 スリップストリームを抜け出した六機目がオーバーテイクした!
「キキキーッ!?」
 七! 八! 九! 後続が追い抜くほどに加速は飛躍的に高まる!
 そしてリアのオリジナル! 全演算能力を機動制御に費やし、
 エイプモンキーの攻撃をかいくぐってインメルマンターンを決めた!
「バカなッキー!?」
「多元干渉デバイス『ヌァザ』、空間干渉開始……推力上昇!」
 KBAM! 圧縮された空間が爆ぜ、イルダーナをミサイルめいて打ち出す!
「イルダーナの倍の加速にボクの機動制御を加えてさらに倍、
 そしてヌァザの空間干渉エネルギーで倍! これで通常の万倍の加速だぁ!!」
「キギャギャーッ!?」
 KRAAAAAAAAASH!! イルダーナのチャージがエイプモンキーに激突!
 すさまじい衝撃を受け、奴は地面に落下しバウンドした!
「見たか! これこそ堅ゆで卵理論(ハードボイルド・セオリー)!
 本人の心意気で事象結果に影響を及ぼす、キミの知らない力なのさ!」
 こ、言葉の意味はわからないがとにかくすごい自信だ!
 マニアックであることは間違いない。事実としてダメージを与えたのだから!

成功 🔵​🔵​🔴​

ネグル・ギュネス
【アサルト+1】で参加
アドリブ歓迎

創造力か
で、あるならば
悪いが、私の遊戯にしばし付き合って貰うぞ

私は前に進む
それしか知らぬ故に、私は私の奥底を解き放つ

───MAX code on.
【エクリプス・トリガー】、…技能重ね、【封印を解く】
さァ、【俺】との死ぬ気の我慢比べ、始めようか!

強化した身体能力を持って、【ダッシュ】で詰めながら、【衝撃波】を伴う拳や脚を敵に振るう!
敵の攻撃は【残像】で撹乱し、【武器受け】で弾きながら、ひたすら音を立て、熱を放ち、こう着状態を作る!

嗚呼、俺じゃあてめェにゃ勝てない

だが、何でこんな派手に暴れたと思う?
───網の上、檻の中、気づいた時にはもう遅ェ!

さあ
地獄を楽しみな!


鳴宮・匡
◆アサルト+1
◆アドリブOK

俺の攻撃手段は全て「視ること」が軸だ
相手が対策するならそこだと思うんだよな
姿を消す、こちらの目を潰す程度ならまだ優しいが
知覚機能全般にを撹乱する術を用いる可能性の方が高そうだ

なら、
自分の知覚する「相手」の情報は一切信用せず
「仲間」の動きや声掛けを頼りに狙いを定める
あいつらがどう動くか、何を話してるか、何処を狙ってるか
それだけでお前の位置なんて簡単に判る

何より、一番前に「あいつ」がいるんだ
その声を頼れば、敵は常に近くにいるんだろ
それなら外す道理はない

――どうやってあいつの声を聴き分けてるかって?

声に籠る“熱”が違うだろ
あんな暑苦しいやつの声、聴き間違えるほうが難しいぜ


納・正純
◆アサルト+1
◆アドリブOK

俺の弾道予測を更に予測して回避する訳か、面白いね
そういうことなら―――それよりも上。俺一人だけの弾道を越えてくるなら、あと三つほどファクターを増やそうか?
ネグルが前で体を張り、匡が静かに戦場を泳ぐ。ヴィクティムが虎視眈々と勝ちへの布石を積むンなら、俺はそこに噛ませてもらうさ

前衛の仲間が前で時間を稼ぐ間に拳銃による攻撃を行い、ヴィクティムの死角からくる機械を潰す
場が整い次第味方の強化を受けた狙撃を行い、連携の隙間にねじ込む一撃を放つ


これは『俺の知ってる弾道』じゃねェ。『いつもの三人』+1の、誰も見たことのない……『誰にも予測を確定できない弾道』さ
―――さァ、一発勝負だ


ヴィクティム・ウィンターミュート
【アサルト+1】

さて…お前ら…そんで、正純
鉄火場だ。覚悟はできたな?
あぁ、任せておけよ
『調律』は俺の仕事だぜ?正純の音を、すぐに馴染ませてやる

さぁ野郎ども!用意はいいか?
「俺の指示を聞け!(好き勝手に動け!)」

俺の指示に対する無効化は、恐らく逆張りよろしくカウンターの作戦を当てることだろう
だから、指示はする
だが"無視しろ"
好きに動いて、好きに合わせろ
「俺達ならできる」

さて、口では指示を出しても行動は出鱈目
せっかくのカウンターも無駄だな?
無駄だから、俺の指示はノイズにしかならない
無駄だから、聞く必要がない

そう判断した瞬間!
本命の指示を飛ばす!
正純ィ!
予測は"いらねぇ!"
今!その場で!
──ブッ放せ




 彼らが今のチーム名を名乗り始めたのは、銀河帝国攻略戦に端を発する。
 恐るべき強敵との戦いに、あろうことか彼らはぶっつけ本番で挑んだのだ。
 そして勝利を収めた。彼らは強大な敵を討ち滅ぼしたのだ。

 それから彼らは、自然と三人でつるむようになった。
 三人の名はチーム・アサルト。どんな敵も恐れず駆け抜ける強者たち。
 ……ではそんな彼らに、もうひとり新たな力が加わったらどうなるだろうか?
 それは説明するまでもない。なぜなら――。

「さて、お前ら……そんで、正純。鉄火場だ、覚悟は出来たな?」
「言われるまでもねェよ。ンなもん、最初ッから出来てるさ」
「別に身構える必要なんてない。いつも通りにやればいい」
「ああ。創造力だろうとなんだろうと、私たちを遮ることは出来んよ」
「そうこなくっちゃな! なに、細かいこたこの端役に任せときな。
 "調律"は俺の仕事だ。正純の音を、すぐに俺達に馴染ませてやる」
 男たちは、不敵に笑ってそれぞれの武器を構えた。

●挑戦:チーム・アサルトともうひとりの場合
 ……エイプモンキー! ボロボロになった強敵が彼らのもとへ飛来する!
「ウッキ? 熱源反応感知だッキ! 隠れてないで出てこいウッキー!」
 やかましい猿の声に応じるように、猛々しいエンジン音が木霊した。
 幻影の名を持つマシンを駆るは、ネグル・ギュネス!
「悪いが、私の遊戯にしばし付き合ってもらうぞ」
「キッキッキ! そんなマシンでミーに挑むつもりかッキー?」
 エイプモンキーの嗤笑をよそに、ネグルは……マシンから、降りた!
「私は前に進む。それしか知らぬ――ゆえに、今の私に相棒(マシン)は必要ない」
 ネグルが取り出したのは、なにか禍々しい気配を感じさせる鍵……だ。
「私は私の奥底を解き放つ!」
 ――Acess/Berserk/Eclipse-trigger,MAX-CORDE-ON!
 『鍵』を腕に差し込みイグニッションした瞬間、ネグルに異変が起きた。
 両目が、そして右半身を受け持つ機械部分が、深紅の色を孕み変貌したのだ!
「キキッ!?」
「さァ、"俺"その死ぬ気の我慢比べを始めようかッ!」
 これこそエクリプス・トリガー。ネグルはあえて己の理性を手放す。
 直後、深紅の流星が花々を切り裂き、エイプモンキーめがけ襲いかかった!

「対応されてるな」
 やや後方。ネグルの背中を見届けた三人の男たちのうち、鳴宮・匡が口を開く。
 然り……エイプモンキーは、エクリプス・トリガーの超性能にすら対抗していた。
 彼の知覚力ならそれがわかる。恐るべき反射神経、そして敵の能力!
「てこたァ、俺の弾道予測をさらに予測して回避されちまうってわけだ」
 がしゃりと、物々しいライフルを担ぐ男――納・正純が、ニヤリと笑った。
「"面白いね"。そういうことなら、さてどうするよ?」
「……俺が動きを予測しても、多分同じことだろうな」
 匡は正純の言葉にそう答えて、彼と共にもう一人の少年を見やる。
 すなわち、ヴィクティム・ウィンターミュート。ハッカーもまた不敵に笑う。
「決まってるだろ! さぁ野郎ども、用意はいいか? 俺達も参戦だ」
 戦場を俯瞰し敵味方を己の盤面で操るArseneの目が、ギラリと輝く。
 一体どんな秘策があるというのか? ヴィクティムは高らかに叫んだ!
「――"俺の指示を聞け!"」
 匡、そして正純は彼を見、そして互いを見て頷いた。
 ヴィクティムからの指示は、前線で持ちこたえるネグルの支援だ。
 つまり後方からの狙撃による敵への攻撃……それが合理的、それが最適。
 だが見よ! 匡は、そして正純は! 思考速度でくだされたその命令を!
「んじゃ、始めるか」
「あとは仕掛けを御覧じろ、ってなァ!」
 "ふたり揃って、まっすぐに前線へと飛び出した"!?

 ――KBAMKBAMBKAM! KRA-TOOOOOOOM!!
 直後、匡と正純が一瞬前まで居た場所に、ミサイルが着弾した!
「キキッ!? どういうことだっキー!?」
 驚愕したのはエイプモンキーである。ミサイルを放ったのはこいつに他ならず。
 猟兵たちの能力と目的は見えていた。思考速度での指示伝達と恐るべき狙撃手二名。
 だからこそエイプモンキーは、それを打破するための長距離破壊兵器を創造したのだ!
 にも関わらず、ふたりはヴィクティムの指示のことごとくを無視し、
 こちらへ近づきながら拳銃による猛烈なマズルファイアを放ってきた!
「キッキキー!!」
《――敵の攻撃が来るぜ、あと5秒したら左右に散開しろ》
 カウントダウンは俺がしてやる。5、4、3、2……』
 電脳空間を経由した、ヴィクティムによる音声指示が飛んでいる。
 エイプモンキーはジャミング装置を創造し、これを当然傍受しているのだ。
「キキキ……!」
 ならば散開したところを今度こそ叩く。ミサイルが匡と正純をマウントする!
《――1、0! さあ散開しろ!》
 KBAMKBAM――KRA-TOOOOOM!!
 花々が燃え上がる! 左右に上がる2つの火柱!
「キィイーッ!?」
 だが見よ。やはりだ! 匡と正純は指示を無視しまっすぐ直進!
 射撃直後のエイプモンキーに銃弾が襲いかかる――BRATATATATATA!
『オォオオッ!!』
 さらにネグル! エイプモンキーへ猛烈な打撃攻勢を叩き込む!
 すでにその組成と限界速度をエイプモンキーは分析している。
 エクリプス・トリガーの弱点は"理性を喪うこと"。
 たしかに速度・耐久・攻撃力のすべてが規格外に強化されているが、
 狂戦士じみた攻撃はそれゆえに見切りやすい。そこが弱点なのだ。
「キッ! キキッ!!」
 エイプモンキーはそれを容易く躱し、反撃を的確なタイミングで叩き込む。
 一撃ごとにネグルの装甲はひび割れ、砕け、だが斃れぬ!
(何が起きているッキ、なぜこいつらはこんなバラバラに動いているくせに、
 ミーの攻撃を耐えて避けているッキー!? おかしいウッキー!!)
 混乱と当惑が、ネグルに対するとどめの一撃を妨げてしまう。
 そして一瞬の間隙があれば、すぐさま奴は出力を上げて襲いかかってくるのだ。
 一瞬! 後方の連中を片付け、沈黙させて一瞬を作れればそれでいいのだ!
 にも関わらず! 奴らは一瞬たりとて足を止めない! なぜだ!?

 エイプモンキーは高速思考した。ならばまず"目"を潰す。
 ジャミング装置が即座に進化変形し、不可視波長の妨害電波を匡へ注ぎ込んだ!
「――っ」
 視・聴・触の感覚がかき乱され、視界がぼやけ世界が歪む。
 さあどうだ、たたらを踏んだところを焼き尽くしてやろうではないか。
 エイプモンキーは嗤笑し、ヴィクティムめがけハッキングドローンを放ち、
 匡をマウント――予測移動方向へミサイルを撃ち込む! KBAMKBAM!
「……こっちじゃない、"そっち"か」
 匡は……しかし! 着弾地点の一メートル手前で突然に方向を変え、
 ミサイルの爆煙を回避しながらさらに進む! 加えての精密な射撃!
「キキーッ!? なぜミーの場所がわかるッキー!?」
 わかるはずもあるまい。匡は『エイプモンキーの場所を探って』などいない。
 彼が聴き、視、そして感じているのは、仲間たちの姿。
 心臓の鼓動、呼吸、武器の音やかすかな物音に神経を尖らせているのだ。
 慣れ親しんだものだからこそ、それはまるで深海で反響する超音波ソナーめいて、
 暗闇に包まれた匡に、進むべき光(みち)を指し示す……!
「お前のふざけた声とあいつの暑苦しい声じゃ、間違うわけもないさ」
 目を閉じたまま、匡は銃を構える。BLAMBLAMBLAM! 足を止めずにトリガを引く!

 ではヴィクティムのほうはどうか! 襲いかかるドローンの群れ!
 これを正純が素早く撃ち落とす。それにしても危なっかしいこと……!
 正純の弾丸はヴィクティムの頬や四肢のすれすれをかすっているのだ。
 チュン! 鋼のボディに弾丸が跳ね、死角のドローンにラッキーヒット!
 いや、違う。"それも含めてすべて正純の計算通り"だ。
 彼の力ならそれが出来る。前もって示し合わせたわけでも、
 ヴィクティムの計算結果に合わせたわけでもない。互いのアドリブ!
《敵が上空に逃げるぞ、集合して一斉射撃を叩き込め!》
 エイプモンキーの動きは陽動だ! 匡と正純は指示を当然のように無視!
 空白地点にミサイルが着弾し、火柱を切り裂き銃弾がヤツを襲った!
「グキィイイーッ!!」
『てめェの! 相手は! 俺だァ!!』
 一瞬でも意識を反らせば、ネグルが猛追してくる!
 もはや全身に被弾しているというのに、彼は些かも勢いを落とさない!
 エイプモンキーは考える。なぜだ? なぜ自らの想像力がことごとく裏切られている。
 わからない! 奴らは野放図に動いているのではないのか!?
 統率があるならわかる。プランを分析しそれをカウンターすればいい。
 もし指揮系統が存在しないなら、各個撃破出来るはずなのだ。
 そのための装置を作った。にも関わらず! 一方的にやられている!
「キ……ッ」
『――遅ェよ。いまごろ俺に集中したところで無駄だ。てめェにゃ勝てない』
 ぎらりと。エイプモンキーの視線を、サイボーグが睨み返した。
 ……そこでエイプモンキーは気づいた。この状況、己を待つ運命に。
 上下左右前後、どの方向にも回避不能。匡の"眼"が狙いをつけている。
 ではネグルを叩くか。その思考を裏切るかのように、彼は自分からエイプモンキーの首根っこを掴んだ。
 引き剥がそうとする猛烈なみぞおちへのブロー。内臓ダメージにより吐血!
「は、離せッキー!」
『離さねェ』
 なぜここまで追従したか。なぜひたすらに暴れ続けたか。
 このためだ。この網の上、檻の中にヤツを引きずり込むため!

「お前の動きは、たしかに俺には見切れないさ」
 かちゃり。愛銃を構えた匡はうっそりと呟く。
「だが"あいつらがどう動くか"、"何を思って何を狙うか"ならわかる。
 その先にお前がいる――ああそうさ、お前の狙い、動きなんて」
 BLAM。トリガを引く。指先に感情を乗せはしない。なぜなら。
「何もかも、"どうでもいい"ね」
 かけてやる慈悲など必要ないからだ。

「正純ィ!」
 機は熟した。ヴィクティムは吠える! 電脳魔術を停止!
 必要ない。分析も指示も盤面操作も支配も何も要らない!
 いま必要なのはふたつ。仲間にかけるべき声と、そして……。
「予測は"いらねぇ!" いま! その場で!」
 ……揺るぎなき技術と、信念に対する信頼。
「――ブッ放せ」
 正純は笑う。予測で戦ってきた自分に、"それをするな"とは。
 生きるためになんだってしてきた。誰であろうと照準に収めてきた。
 けどこんなのは、ひょっとすると初めてかもしれない。
 殺意も、憎悪も、餓えも乾きも怒りも何もなく、ただ敵を見据える。
 いや、構えたそこに"敵がいた"というべきか。ならばあとはいつものように。
「これは"俺の知ってる弾道"じゃねェ」
 エイプモンキーは、極度の緊張により鈍化する世界の中でそれを聴いた。
「"いつもの三人"と俺の、誰も視たことのない――"誰にも予測を確定できない弾道"さ」
 ゆえに出たとこ勝負。外せばそれっきりの一撃勝負だ。
 結構だ、なにせこちらのハンドは十分に揃っている。ならば。
「――さァ、一発勝負だ」
 魔弾論理(バレットアーツ)。決着とは必然のもとにやってくるもの。
 戯曲における悪魔のそれがそうであるように、魔弾は獲物を逃さない。
 エイプモンキーは暴れる。その体をネグルが引き止めている。
「さァ、地獄を楽しみな……!」
 囁く声は狂戦士のものではなく――まさに、死神めいていた。
「キ、キキ……キキィーッ!!」
 BLAM! ……KBAM! KBAM! KRA-TOOOOOOOOOOOOM!!
 エイプモンキーのボディにスパークが走り、盛大な爆発!
 炎の中からボロボロのネグルが飛び出し、着地する。変身を解除。
 無傷では得られない勝利だった。だが彼が、彼らがそれを嘆くことはない。
「言っただろ。俺達には最初から、決着(これ)が見えてたんだよ」
 匡の言葉は平易。最初からこの結末はわかっていたゆえに。
 炎に照らされる男たちの表情は、誇らしげで勇壮だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



 ……しかし、エイプモンキーはただのオブリビオンではない!
 奴は崩壊と復活を繰り返し、なおも猟兵たちの前に立ちはだかる。
 ではその戦いを、カットアップして見届けていくとしよう……!
天道・あや
どんな壁だろうと門だろうと!キマフュの為にも!壊してみせる!!勝負!ロボット猿!


先手必勝!【サウンドウェポン】(ギター)で【サンダー!ミュージック!】を食らわそうとする!……でもきっと死角からの攻撃であたしは【サウンドウェポン】を手放して攻撃をモロに食らうそしてあたしは多分歌えずにやられて倒れる。……でもそれはやられ演技【パフォーマンス】!本当は敵の攻撃をギリギリで急所の攻撃への【見切り】を見切ってる!そしてあたしの攻撃は
…演奏は何も楽器が無くても出来る!そうあたしの武器は声!【歌唱】だから!敵が倒したと油断した所を今度こそ【サンダー!ミュージック!】

あたしを…猟兵を……未来はあんたなんかに!



●挑戦:天道・あやの場合
 先制攻撃? 何するものぞ、そんなものは関係ない。
 どんな壁だろうと門だろうと、世界のためならば突破するのみ。
 いつだってまっすぐに、あやは己の想いにしたがって飛び込んできたのだ!

 ゆえに、彼女は不意打ちなどと小癪なことは考えなかった!
 愛用のギター――サウンドウェポンである――を片手に、
 システム・フラワーズ内部へ転移すると同時に敵へ襲いかかる!
「はじめましてロボット猿! あたしと勝負しろっ!!」
「ウッキキ!?」
 先手必勝! ピックが弦を爪弾き、雷鳴のような音撃が――KBAM!!
「えっ!?」
 ギターをかき鳴らそうとした瞬間、楽器が爆発した!?
 いや違う。あやの死角から放たれた、マシンによる射撃だ!
「キッキッキ! そうはいかないウッキー!
 音による攻撃なんて、楽器を壊してしまえばどうしようもないウッキー!」
「そんな……っ」
 あやは愕然とした。エイプモンキーの拳が彼女を打ち据える!
 SMAAAASH!! そしてあやは意識を刈り取られ……いや、待て!
 花畑に叩きつけられたあやを見よ! その眼は閉じられていない!
「げほっ! やるね、けどっ!!」
 彼女は致命傷を紙一重で見切り、可能な限りダメージを減衰したのだ。
 そして地を蹴る。レガリアスシューズが圧縮空気を吹き出した!
「キキィッ!?」
「楽器がなくたって、音楽は奏でられるんだから!」
 あやの本来の武器は、楽器などではなく己の歌声!
「心がしびれるようなあたしの想い、聴かせてあげる!!」
 裂帛の気合を込めたシャウトが大気を揺らす。雷鳴めいた反響!
「キキィ……!! 小癪なッキー!!」
「ぎゃうっ!」
 だがそこまでか。エイプモンキーの攻撃は今度こそあやに直撃した。
 それでも一撃は通った。このダメージは必ず後につながっていくはず……。
「あたしの、猟兵の……みんなの、未来は! あんた、なんかに……っ」
 言葉は最後まで続かず、あやは悔しげな表情のまま意識を闇に落とした。
 仲間たちがヤツを滅ぼしてくれること、その未来に思いを賭けて。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ユーリ・ヴォルフ
全てを創造する能力か
それは働かなくても生きていけるという事では?
羨まし…いや!許し難い!そのような堕落しきった人生は!
…いやそうではない
キマFの平和は!私達猟兵が守り抜く!

先制攻撃は風の盾の
『オーラ防御』で緩和し『盾受け』で正面から受ける
ぐっ、流石に重いな…ここからは反撃させて頂くぞ!

この「風の盾」は先の通り通常は防具として使うが
ラウンドシールド…その形状は美しい円だ

だからこそこうやって使う事も出来るのだ!
鎖に繋げて盾を投げ
ヨーヨーのように引っ張り更に投げ
新技【絶影】で超高速移動しその勢いで盾で敵を斬る!
その威力たるや切断器顔負けであろう!
『範囲攻撃』『属性攻撃』風を纏わせ、切り刻め!



●挑戦:ユーリ・ヴォルフの場合
 すべてを創造する能力……まさに全知全能というべきか。
 ユーベルコードは神にも悪魔にもなれる力だとはいえ、これほどとは。
(それはつまり、働かなくても生きていけるということでは……?)
 などという余計な気の迷いを、ユーリは慌てて脳裏から振り払う。
 羨望を抱いている場合ではない。堕落しきった人生など許しがたい!
(いや違う。世界のためだ。そう、キマイラフューチャーの平和のため!」
 ユーリはぐっと気を取り直した。本当に大丈夫なんだろうか。

 そして言わんこっちゃなく、ユーリは苦戦を強いられていた!
「ぐぅうう……なんという重さだ……!!」
 全身を竜の闘気で覆い、自らの意志の力に応じて戦闘力を増強する。
 新たに編み出した術式・"絶影"は、そういったユーベルコードだ。
 だがそれによる強化をして、エイプモンキーの攻撃は防ぎがたい猛攻である!
「キッキキキ! 使用者の意志力に依存した力など他愛もないッキー!
 つまり! お前の戦意をへし折ってしまえば、恐るるに足らないウキ!」
「私の戦意を、折るだと……?」
 ボロボロの有様で風の盾を構えるユーリの、双眸がぎらりと燃えた。
「いいだろう。ならば貴様が、私の心をへし折れるかどうか! 試してみろ!」
「ウッキキー!!」
 ユーリの姿が消えた。音の壁を打ち破るほどの超加速!
 だがエイプモンキーは、この動きをすでに見切っている!
「キキーッ!」
「がはぁっ!!」
 レバーブローが叩き込まれ、ユーリは血の塊を吐き出した。
 砲弾めいて吹き飛ぶ……だが、これは好機でもある!
 風の盾につながった鎖が、じゃらじゃらと音を立て伸びていく。
 殴打による衝撃をも速度に乗せ、ユーリは吹き飛ばされながら鎖を振るった!
 すると見よ! ヨーヨーめいて風の盾がしなり、敵へ襲いかかる!
「風をまとわせ、切り刻め……ッ!!」
 ざんっ!! 大剣じみた風の一撃がエイプモンキーの装甲を切り裂く!
 バチバチと迸るスパーク。致命傷には遠いが、たしかな一撃だ。
「ギキィ、これだから猟兵は油断ならないッキー……!」
 ズズン!! という衝撃とともに、花びらが舞い散る。
 ユーリは気絶していた。追い打ちを試みれば猟兵に好機をもたらしてしまうか。
「たいしたものだウッキー、お前の意志力はミーの想像を越えていたッキー!」
 戦士の豪胆さに舌打ちしながら、エイプモンキーは姿を消す……!

苦戦 🔵​🔴​🔴​

須藤・莉亜
「え、普通にチートじゃんか…。どうしようかねぇ。」
とりあえず、血を吸えるように頑張ろう。

悪魔の切売りのUCで重力操作しても、普通に敵さんも重力操作して来て相殺して来そうなんだよなぁ…。

とりま、敵さんの先制攻撃は【見切り】と【第六感】をフルに使いつつ、悪魔の見えざる手や大鎌で【武器受け】して防いでみようか。

一瞬でも隙ができれば、深紅で拘束からの全力【吸血】。僕の鍛え上げた【吸血】で鎧でも何でも噛み砕いて、敵さんの血を奪ってやる。

UC?囮です。僕の牙はUC並みに頑丈なんだよ、ばかやろー。

「お猿さんでも強いなら絶対美味しい血だよね?」
倒すのは他の人に任せますわー。



●挑戦:須藤・莉亜の場合。
 "悪魔の切売り"。
 どこか禍々しい雰囲気を持つこのユーベルコードは、
 悪魔の使役と召喚を得意とする莉亜だからこそ出来る芸当だ。
 重力を操る異能を持つ悪魔の、ごくごく一部分を召喚し、自らのそれと置き換える。
 たとえ腕一本足一本とて、現界した悪魔の四肢は世界に作用するのだ。
 並の敵ならば、周囲の重力を操作することでどうとでもできるが……。

 ……システム・フラワーズの花々が、宇宙空間めいて宙を舞う!
 かとおもえば突如、磁石に引っ張られたかのごとく一斉に落下した!
「あー、やっぱり対抗してくるかあ。ほんと、チートみたいな能力だなあ」
 悪魔の腕をかざしていた莉亜は、気怠げながら忌々しそうに吐き捨てた。
 対するエイプモンキーもまた、その片腕を禍々しい機械に置換している!
「キッキキキー! お前が操るその悪魔のこともミーは知っているウキ!
 その魔力の原理をコピーすれば、ご覧の通り相殺できちゃうッキー!」
 直後、異常重力が見えない津波めいて莉亜に襲いかかる!
「うわッ」
 身構えていたとはいえ、莉亜の防御は容易く破られてしまった。
 グオン! とその体が地面に叩きつけられ、ミシミシとヒビが走る!
「っく、好き勝手やってくれるなぁ……!」
 ぎちぎちと、ダンピールの証である犬歯が渇きに軋む。
 いっそやつに噛み付いてその精髄を啜ってやろうと、
 莉亜は捨て身で全身に力を迸らせ、重力の檻を脱出しエイプモンキーへ跳躍!

 だが残念なことに、出来るのは"牙で鎧を噛み砕く"ことまでだった。
 装甲の下の生身のボディに突き刺さるあと数ミリというところで、
 莉亜は再び強烈な重力に囚われ、今度こそ花のベッドに叩きつけられる。
「キキィ……噛み付いてくるとはまるで獣だウッキー!」
「いてて……猿が何言ってんの、さ……ッ」
「ミーは文化人だウッキー! 一緒にしないでもらいたいウッキー!!」
 いまいち、エイプモンキーの怒るポイントがわからない。
 首元の装甲にはおびただしいヒビが走り、莉亜の牙と咬合力の恐ろしさを際立たせていた。
 ダメージにはなっただろう。致命傷とはいかないが……。
「あーあ、もう! 倒すのは他の人に任せるしかないか……ぐッ」
 ずしん! 破城槌じみた重力が莉亜の意識を刈り取る。
「……猟兵にしては恐ろしいやつだッキー、ミーは美味しくないウキ!」
 その執念にぞっとしつつ、エイプモンキーは素早く戦線を離脱した。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

シーザー・ゴールドマン
【WIZ】
「来たれ」
《グリゴリの流転》で不可視の悪魔を召喚。
「この悪魔は視認する事は不可能。いかな君と言えど見えない相手にはどうしようもあるまい?」
と自信たっぷりな感じで相対します。
まあ、何らかの方法で相殺されるでしょうから
「莫迦な……」
と驚いて見せた後に
「ところでユーベルコードを使用したばかりの君は私をどう止めるつもりかね?
 まさか不可視の悪魔を相殺する程度のマシンで止められるとでも?」
と敵が次の挙動に移る前に先制攻撃×ダッシュで間合いを詰めてオーラセイバーの斬撃(怪力×2回攻撃×鎧無視攻撃)を見舞います。



●挑戦:シーザー・ゴールドマンの場合
 その男は、気配を隠すこともなく真正面からエイプモンキーに挑んだ。
 まるで散歩でもするかのような、優雅ですらある姿で歩いてきたのである。
「来たれ不可視の悪魔よ――これぞ、"グリゴリの流転(デウス・オクルス)"」
 シーザーの声に応じ、姿なき悪魔が彼の横に出現する。
 姿が見えないのになぜわかるのか?
 ……気配だ。ごまかしようのない強烈な、禍々しい邪悪なプレッシャー。
 それが周囲を張り詰めさせ、エイプモンキーを威圧しているのだ。
「この悪魔は、どんな方法でも視認不可能。いかな君と言えど、
 見えない相手にはどうしようもあるまい? ……どうだね?」
 赤い服を着た紳士は、にこやかな笑みに自信をたたえて言ってみせる。
 エイプモンキーはどうか。こちらもまた嗤笑している!
「キッキッキ! その程度でミーの想像力を越えたつもりウキ?
 たとえ見えなくとも、悪魔は悪魔! つまり……こうすればいいウッキー!」
 ガシャコン! エイプモンキーが生み出したのは十字架型のマシンだ!
 それらは内側から光り輝き、シーザーと悪魔を光線めいて照らし出す!
「何っ!?」
 すると、見えないはずの悪魔が呻き、苦しみながら焼け焦げていく!
 滅んでいくシルエットが光の中に浮かび上がり……そして、消滅した。
「これは……」
「キーキッキッキ! 悪魔には聖なる力が効くものウッキー!
 ミーが生み出した、この退魔マシンの前に魔性が敵うはずないウキー!」
「莫迦な!」
 愕然とするシーザー。そこへ十字架マシンが銛めいて襲いかかる……!

 ……ガキン!
「ウキ?」
「などと、云うとでも思ったかね?」
 即座に感情を裏返し、シーザーは風のような速度で間合いを詰めた!
 十字架マシンを切り払い、オーラセイバーによる斬撃を見舞うために!
 そう、これは陽動。相殺されることなどわかりきっていたのだ。
 自信満々な様子も、エイプモンキーの油断を誘うための演技でしか無い!
「キキーッ! 小癪なやつだウキー!」
 だが敵も、そう簡単に不意を討たせてはくれないようだ。
 シーザーの斬撃を豪腕で撃ち払い、カウンターの打撃を叩き込む!
「ほう、この速度についてくるか! どうやら見誤っていたようだな!」
 シーザーは快哉を上げた。赤黒いオーラが打撃によって砕けていく!
「ミーを嘗めるなッキー!」
「癪に障ったならお詫びしよう、まだまだ付き合ってもらうが……ね!」
 シーザーは冷静に思案する。敵はそもそもの基礎的な能力が規格外なのだ。
 であればこのまま戦ったとして、入れられるのはおそらく一撃がいいところ。
 己も相応の負傷を受けるだろう。だが、それもまた"楽しい"ではないか。
「ぐッ……ふ、ははは!」
 口元から垂れた血を拭い、赤公爵は哄笑する。
 短くも激烈な戦いは、彼の予測どおりに決着することとなった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

フェルト・フィルファーデン
ふふっ、初めて来たけれど、ここはいいところね!とっても平和で、何不自由のない素晴らしい世界だわ!……だから、それを壊そうとするアナタには消えてもらうわ。

【常時使用:激痛耐性】
このUCの特徴は超高速の連続攻撃。弱点は避けられると止められないところ。ええ、とっても分かりやすい弱点よね?
ならば、“最初から狙いを外していたら”どうなるのかしらね。
狙いは敵周囲を狙うことで攻撃を避けようとした敵が自分から攻撃に当たりに来るのを狙う事。
もう一つの狙いはね、その攻撃で足場を崩すことよ!
少しでもいい。ほんの少しでも足を取らせられればその隙を狙いわたしの騎士達の剣がアナタを貫き討ち滅ぼすわ……!



●挑戦:フェルト・フィルファーデンの場合
 キマイラフューチャーという世界は、とても平和で牧歌的だ。
 あの怪人どもが現れさえしなければの話だが。
 フェルトがこの世界へ来たのは今回が初めて……しかしだからこそ、
 彼女はこの世界と、お気楽でのんきなキマイラたちの在り様を好ましく思う。
「とっても平和で、何不自由無い素晴らしい世界! いいところだわ!
 ……だから、それを壊そうとするアナタたちには、消えてもらいましょう」
 妖精王女の靜かな怒りに応じるかのように、騎士人形たちが武器を構える!
「キキ? からくり人形を揃えたところでミーには効かないウキ!」
「さあどうかしらね、わたしの騎士たちを甘く見ないでちょうだい!
 ――フィルファーデンの名に於いて"命ず。我らが敵を、即座に討ち滅ぼせ"!」
 王女の号令が、戦端を切るきっかけとなった。
 命なきからくり人形たちは、操り糸とその意思にただ愚直に従い、
 上下左右からの同時連携攻撃を行う! まさにコンビネーション攻撃だ!
「キキッ!」
 エイプモンキーは当然、この攻撃とコンビネーションの軌道を見切っている。
 おそらくその速度のために、精妙なコントロールを犠牲にしているはず。
 ゆえに高精度スローカメラを備えた分析装置を召喚生成創造し、
 わずかな間隙をかいくぐってフェルトに攻撃を仕掛けようとした……だが!
「ウキッ!?」
 あるはずのない軌道に振り下ろされる槍を、エイプモンキーはまともに食らう!
 何故だ!? 動揺に足を止めた瞬間さらなる連撃が襲いかかってきた!
「そうよ、わたしの騎士たちの連続攻撃も、避けられてしまえば止められないわ!
 ――なら、"最初から狙いを外していたら"どうなるかしらね、お猿さん?」
「ウキキキッ!? お前の狙いはミーではなく――」
「……そう。あなたが"通るであろう場所"よ。そして!」
 KRAAAAASH……足元の花畑に槍が、剣がいくつも突き刺さり、亀裂が走る!
 エイプモンキーがたたらを踏んだ。フェルトのもう一つの狙いはこれだ!
「隙を見せたわね! さあ、アナタが討ち滅ぼされるときよ!」
「ウキキキーッ!!」
 槍衾めいて突き出された剣を、エイプモンキーはあえていくつか自ら喰らい、
 残りを攻撃して吹き飛ばすことで致命傷を避ける。
 だが負傷は甚大だ、よもや"こちらが狙いを読む"ことをそこまで信じていたとは!
 敵の能力を正しく評価しているからこそ取れた搦め手である!
「お、おのれ! ちびごときがミーに傷をつけるとは許せんウキ!」
「ご挨拶ね――なら、その"ちび"の力を教えてあげるわ!」
 フェルトは、そして騎士たちは強敵であろうと一歩も引かない。
 たとえ攻撃を受けようと、その痛みをこらえて食い下がるのみ……!

成功 🔵​🔵​🔴​

神威・くるる
ユーベルコードを相殺なぁ
ほな、うちの技はどう相殺しはるんやろ?

まず、猫ちゃんを召喚します
そして、猫ちゃんを召喚します
そんでもって、猫ちゃんを召喚します
更に、猫ちゃんを召喚します
もう持てる力を全力使うて猫ちゃんを召喚します
なんならこの辺一帯の野良猫ちゃんも【動物使い】の能力で呼び寄せます

観光地ならよおけおるやろ?

この大量の猫ちゃんたち
どないして回避しはるんやろ?

ごはんやマタタビなんて撒こうものなら逆に殺到されてぺしゃんこどす
天敵創造してもこの数の猫ちゃんの群を振り払えるか
ペットボトル?迷信どすえ?

「あのお猿さんが美味しいもんくれるって!」
【動物と話す】技能で【言いくるめ】て【挑発】も忘れずに



●挑戦:神威・くるるの場合
「にゃー」
「「にゃーにゃー」」
「「「にゃーにゃーにゃー」」」
「「「「にゃーにゃーにゃーにゃーにゃー」」」」
「「「「「にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃー」」」」」
「「「「「「にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃー!!」」」」」」」
 おお……猫アレルギーの人が居たら卒倒すること間違いなし!
 下手すると呼吸困難でアレしかねないほどの地獄……いや、天国だ!
「ほらほら猫ちゃん、まだまだ来たってや~!」
「「「「にゃーにゃーにゃーにゃーにゃー!」」」」
 くるるが猫じゃらしを振るえば、どこからともなく来るわ来るわ猫の群れ!
 もはや花々が見えないほどに現れた黒猫の群れである。
 猫好きからしたら、もうここに骨を埋めたくなること請け合いだろう。
「そしてー……猫ちゃんたち、あのお猿さんが美味しいもんくれるって!」
「ウキキーッ!?」
 エイプモンキーは、召喚した装置を即座に起動する!
 人間には聞き取れない高周波の超音波……そう、猫よけの音波攻撃だ!
「「「「「にゃにゃにゃにゃーん!?」」」」」
 エイプモンキーに猫まっしぐらしようとしていた黒猫たちは、
 耳をつんざく超音波に涙目になってあちらこちらへ逃げ去っていく。
 だがそもそもの数が! あまりにも圧倒的なのだ!!
「ほーらほら、みーんなあのお猿さんから美味しいお菓子もらおなー」
「「「「にゃーにゃーにゃー!!」」」」
「ウキキィーッ!? ミーの超音波装置がーッ!?」
 やがて黒猫の群れに群がられ、あちこちをざくざく切り裂かれるエイプモンキー!
 物量は力である。見ようによってはご褒美でしかない光景だが……!

 とはいえ猫たちも、超音波には耐えきれず来た端から逃げていく。
 エイプモンキーは群れを追い払った頃には、くるる自身も姿を消していた。
「な、なんて油断ならないやつウキ……!!」
 あちこち爪痕と毛玉まみれのエイプモンキーは、げっそりした様子で肩を落とした。

成功 🔵​🔵​🔴​

アストリーゼ・レギンレイヴ
傷を受ければ受けるほど強くなる敵を相手として
あたしならばどうするか? ――そうね
屹度、「一撃で勝負を決める」でしょう

初撃の立ち合いが勝負を決める、なんて
剣豪めいているわね

《漆黒の夜》を纏い
殺気を放って、自身の存在を見せつける
「此処にいる」と
打ち込んでくるべきは此処であると示すわ
致命の一撃が振り下ろされる直前
黒剣を、黒鎧を、外套を全て脱ぎ捨て
UCで生み出した闘気ごと残してその場を退くわ

一瞬、一瞬でも相手が判断を迷えばいい
一瞬でも「まだ其処にいる」と思わせられれば

躱すかあるいは、受け流すと同時に踏み込み
提げたもう一太刀――『穿月』の刃で相手を穿つ

はしたない?
――お生憎様、手段など選んでいられないの



●挑戦:アストリーゼ・レギンレイヴの場合
 アストリーゼが纏う"漆黒の夜"と呼ばれる暗黒の闘気は、
 術者であるアストリーゼが受けた負傷に応じて彼女の力を高める。
 傷を負えば負うほどに高まる戦闘力と、生命を収奪する力。
 まるで吸血鬼のようなその夜闇を、アストリーゼは恐れない。
「――あたしは此処よ」
 そしていま。システム・フラワーズの只中で、アストリーゼはひとり。
 全身からすさまじい殺気を放ち、疑似餌めいてエイプモンキーを引きつける。
 見よ。彼方から凄まじい速度で飛来するふざけた見た目の敵……!
「……来たわね」
 じわり、と。アストリーゼの体を、夜闇の如き暗黒が覆い始めた。
 エイプモンキーも、当然その能力と内容を見切っている。
 アストリーゼの双眸が細まる。敵の片腕には凶悪なハンマー……!
(そうね。"一撃で勝負を決める"、それが妥当なところでしょう)
 アストリーゼは闇を恐れない。迫りくる敵の攻撃を恐れることはない。
 彼女はいつも通りに佇み、闇を纏い――そして、敵が"着弾"した!
「打ち砕いてやるウッキー!!」
「――……!!」

 ブオン――SMAAAAAAAASH!!

 速度を乗算した強烈なハンマーパンチが周囲の地形を薙ぎ払う!
 当然ながら、暗黒の闘気による守りも……否! 噴煙の中をよく見よ!
「ウキッ!? 猟兵はどこへいったウキ!?」
 いない! 遺されているのは鎧と黒剣、そして外套のみ!
 それをまとっていたアストリーゼはどこに?
 まさか、あまりの威力に跡形もなく吹き飛んだというのか!?
「あたしは、此処よ」
 うっそりとした声。そして風切り音……!
 これなる剣、銘を"穿月"。永海・鋭春作、魔を断つ鉄で鍛えられた打刀。
 二尺四寸の刀身は、あらゆるものを断ち切るべしという意のままに!
「ウキィッ!!」
 入った。だが……浅い! 敵の装甲の強靭さゆえか!?
「はしたないかしら」
 だがその手応えに動揺することもなく、アストリーゼは敵を睨めつける。
 反撃など最初から覚悟している。傷を恐れたことなど一度もない。
「お生憎様ね、手段を選んでなんていられないの」
 全ては、一秒でも疾く、一撃でも少なく、確実に敵を滅ぼすために。
 エイプモンキーの拳が唸るのが見えた。
 アストリーゼは退くことなく、柄を握りさらに踏み込む。

 それは、女騎士の覚悟の一撃だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルバート・クィリスハール
【万嶺殿】
僕はSPD担当。つまり避けられるってことだね。
封じるのではなく。

使うのは【忌避せし黒雨の凶鳥】
羽根型魔力弾の高速射出だけど、多分重力いじったりして避けられる。
自分の周囲の重力を歪めるとかそういうのだね。
弾が猿野郎を避けるような形になるんじゃないかな。
効きませんよーって自慢してくるだろうしね、あの手合いは。
まあ無視して撃ちますけど。
高速移動で敵の攻撃を避けながらね。

実は攻撃より避ける事に全力を裂いてる。
攻撃に全力尽くすのは狐の策がなってからだ。
食らえ猿まね野郎、勝つのは僕らだ!


古叶・日見花
【万嶺殿】WIZ
どうやらUCを使わせてはくれるみたいだねえ。
ならご厚意に甘えて。
【封環落暉】で90個のユーベルコード封じの枷を放つ。
相手は自慢屋だ、ただ防ぐのではなく破壊してくるだろう。
見せつけるようにね。
まず枷を壊し、説明し、何も出来なかったあたしを狙う。
そんな感じだろう。

だがね、私も意識だけは失わない。神の意地さね。
奴はおそらく、壊した枷の数を律儀に数えはしまいよ。私も堂々と放つしね。
そこが狙い目さ。


荒・烏鵠
【万嶺殿】
@WIZ
オレが使うのは【猿回シ】だ。流石に肩は危ねーかンな、シナトは杖の状態で札貼って懐にしまってあるぜ。
位置交換で怪鳥状態のあっちゃんを、お手持ちの重力発生装置と交換。ハイ手品一丁!隣に来た装置を呪詛で壊す!で、多分ここでオレも死角反撃でやられる!

ところで説明文からはわからんと思うが、宮司が一度に一つしか位置交換できないとは言ってねーぜ。
師匠の枷を一つだけ札と交換してる。シナトに貼ってあった札をな。
敵があっちゃんに集中してる隙にシナトの封印解除、二尾の大狐に戻して攻撃……に見せかけて枷を嵌める!
18秒ユベコが封じれりゃァ、アルバートの勝ちだ。




 なるほど、想像出来る限りあらゆるものを創造する能力。実に結構。
 だが、策とはこうして貼るものなのだ。それを教えてやるとしよう……!

●挑戦:万嶺殿の三人の場合
 被弾したエイプモンキーめがけ、突如として無数の羽根が降り注いだ。
 いや、正しくはそれは、羽根の形をした魔力の弾丸である。 その速度たるや!
「オラトリオとは思えない醜さだろう? けどこういうことも出来るのさ!」
 あえてその身に流れる魔力を暴走させることにより、
 禍々しい黒き鳥の怪物めいた外殻を纏うアルバート・クィリスハール。
 羽根弾を放ったのは彼であり、アルバート自身の速度もすさまじいものだ。
 重力から開放されたかのようにシステム・フラワーズの宙空を飛び、
 超音速の弾丸を放つ。放つ。放つ! ……だが!
「ウッキキィー! たしかに恐ろしい攻撃だウキ、けどミーは無敵ウキー!」
 羽根型魔力弾は、エイプモンキーに着弾することなく明後日の方向へ!
 まるでエイプモンキーを中心に見えないボール型の壁が存在しているかのように、
 まっすぐな魔力弾の弾道が捻じ曲げられ、避けられているのだ!
「へえ、見たとこ重力操作とかそういう感じのヤツ?」
「なかなか見る目があるウッキ! その通りだウキ、キキキーッ!」
 腕組みし勝ち誇るエイプモンキー、アルバートは羽根弾の射出を緩めない。
 エイプモンキーからすれば、それは悪あがきにしか見えないだろう。
 だが、アルバートがそんな無駄な行動に時間を費やすことなどありえない!
 奴はマニアックな知識を持つ。だが猟兵の恐ろしさを真に理解したわけではないのだ!
「ウキキキ! ちょこまかと鬱陶しいやつウキー!!」
 エイプモンキーはアルバートを捉えようと攻撃を放つが、やはり届かない!
 とはいえ、アルバートも無傷ではいられない。あくまで"斃れない"というだけだ。
 羽根型魔力弾の弾幕によりエイプモンキーの攻撃の手が妨げられているからこそ、
 アルバートは直撃を避けてダメージを最小限に抑えることが出来ている。
「くそっ、そっちこそ鬱陶しいんだよこのエテ公!」
「ウキキーッ!? ミーをそこらの猿と一緒にするなウキー!!」
 ふざけたやつだが攻撃は強烈、一撃でもまともに喰らえばそれで終わりだ!
 掠めた攻撃の余波は、外殻を削り徐々にアルバートを追い詰める……!

 だがアルバートはひとりではない。彼は布石である!
「随分楽しそうじゃないか、私とも遊んでくれないかねぇ」
 余裕綽々と言った様子の声。はたしていつからそこにいたのか。
 花々の間に立ち、アルバートとドッグファイトを繰り広げるエイプモンキーを、
 見目麗しい顔立ちの美女が、あるかなしかの笑みをたたえて見上げていた。
 されど、その見た目に騙されてはならない。彼女は只人ではない。
 その名を古叶・日見花。アルバート――"たち"――の住処の正統な主であり、
 人ならぬ力を持つ神の一柱! 不可視のプレッシャーが周囲を威圧する!
「ウキッ!?」
「ご自慢の想像力と創造力を私に見せておくれよ。そら――」
 日見花がふわりと虚空をなぞるように片手をかざせば、周囲に光の玉が生まれた。
 やがて光が失せ姿を現す――あらゆる超常を封じる、神の枷という姿を!
 "封環落暉(ほうかんらっき)"。日見花が得意とする封印術式だ!
 まるで日が上りそして沈んでいくかのごとく、魔力で操作された枷が、
 上下から同時にエイプモンキーを絡め取ろうとする。その数、ざっと90!
「キッキキー! こんなものは喰らいさえしなければ問題ないウキー!」
 然り。エイプモンキーの指摘は、実際事実である。
 いくら数を揃えてユーベルコードを封じるとはいえ、枷は枷。
 絡め取られる前に、それ以上の弾幕で撃ち落とせばいい……ちょうどこのように!
 BRATATATATATA! エイプモンキーの両肩に生まれた重機関砲が枷を撃墜!
「おやまぁ」
「ウキキキキ! 追いかけっこをしてる隙を狙うつもりだったウキ?
 ミーの無限の想像力には、お前たちの考えなど見え透いているウキー!」
 アルバートの攻撃を重力操作で歪めながら、エイプモンキーは勝ち誇る。
 日見花は『ふうん?』と意味深に鼻を鳴らし、片眉を釣り上げるのみ。
 なぜだ日見花よ、その余裕は強がりか? であれば危険だ!
 アルバートのような高速移動は出来ないはず。敵の狙いはこちらへ来るぞ!
「身の程を知るウキッ、キキキキィーッ!」
 悠然と佇む日見花めがけ、エイプモンキーが急降下を仕掛ける!
 その時、羽根弾を撃ち続けていたアルバートもまた、地面へ急降下!
 ただしエイプモンキーを追うのではなく明後日の方向へ! 何故!?

 ――その答えは、アルバートの行き先に立ちはだかる男にある。
 赤茶色の肌に金の瞳、赤髪はまるでチャラけた若者のようではある。
 だがこの男……つまり荒・烏鵠、底の知れない性悪妖狐なのだ。
 師たる女のピンチにも、いつものように軽薄な笑みを浮かべたまま!
「よォしあっちゃん、コッチだァ!」
 アルバートが目の前に着地した瞬間、烏鵠は即座に祝詞を詠唱する。
 ――煌神に帰依し奉る。契約に基づき、我に宮司を貸し給え。
 すると彼の隣に、烏帽子を被ったコビトガラゴがふわりと現れたではないか。
 これぞ十三術式"猿回し"。彼方と此方の位置を入れ替える順逆自在の霊である!
「ウキ!?」
「ハイ手品一丁! こちらのあっちゃんとォ、ご自慢のマシンをォ!」
 パチン! と指を鳴らせば、不可思議! アルバートの姿が消えた!
 いや違う。エイプモンキーが装着した、重力発生装置と"入れ替わった"のだ!
 日見花に襲いかかろうとしていたエイプモンキーの眼前にアルバートが現れ、
 妖狐の眼前に装置が鎮座する。そして呪詛が、これを呪い腐らせ破壊した!
「ウキキッ!? ミーのマシンを壊すなんて許せんウキー!!」
「まァそーだよなァ、オレを叩きに来るだろ!」
 それも織り込み済みである。"位置を入れ替えられればそれでいい"のだ。
 アルバートがひたすら攻撃を続け、敵の気を惹き続けたのはこのためである!
「シナト! オレの代わりに――いやそれもダメかァ!?」
 BRATATATATA! 枷の撃墜に使用した重機関砲と、密かに放ったマシンによる死角からの攻撃。
 烏鵠はこれを防ぐのに行動を割かれ、それ以上の反撃とは相成らなかった。
 招来したコビトガラゴの宮司も、この猛攻の前に雲散霧消してしまう!

「……で、あなた。さっき"いくつ破壊したかちゃんと数えてある"のかねぇ?」
「ウキッ!?」
 エイプモンキーは振り返り……その四肢を、破壊したはずの枷が捉えた!?
 なぜだ! 飛来した枷はすべてたしかに撃墜したはず……!
「ま、そりゃそうだろう。いちいち律儀に数えたりなんてしないもんさね」
 ……封環落暉。実のところ、生み出せる枷の総数は90を遥かに超えている。
 つまりエイプモンキーを捉えたのは、あえて隠されていたその"余り"なのだ。
「ミ、ミーを油断させるために、あんな堂々と……!?」
「そりゃまあ、私も神のはしくれだ。意地ってものがある」
 たった18秒。されど18秒。いまこの瞬間、エイプモンキーに力はない。
 そしていまや、エイプモンキーに逃れようもないほど肉薄した男がいる……!
「性格悪いだろ? あの狐。敵ながらちょっと同情するよ」
 さっぱり同情していない声音で、アルバートが言った。
 周囲に滞空する無数の羽根。その切っ先はすべて敵を狙っている。
「あれやこれやと散々勝ち誇ってくれたけど――勝つのは僕らだ」
 オブリビオンを見逃すことはない。敵は全て滅ぼす。それが彼の挟持だ。
「喰らえ猿真似野郎! 滅びるまでたっぷりとね!」
「キキキィーッ!?」
 魔力弾が突き刺さる……突き刺さる! 突き刺さる!
 抗いようのない殺意の雨に穿たれ滅びていくエイプモンキーを見、
 この策を立案した妖狐は、ぱっぱと花びらを払いながら嫌味ったらしく笑った。
「猿にゃやっぱり猿回しが似合いだァな!」
 いかな想像力とて、及びつかないものがあるのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

トルメンタ・アンゲルス
本当、この手の連中は面倒ですねぇ。
……その辺は、全世界共通なんですかねぇ。

さぁ、始めましょうか相棒!
変身!アクセルユニゾン!


といっても、これは装着プロセスを妨害されたらそれっきりなんですよね。
特に、相棒に強烈なジャムをかけて俺を認識させなければ変身は中断。
そして俺は生身のままになってしまいますね。


ですが、「変身しなければ遅くて弱い訳ではない」んですよ。
何より、邪魔されるのが分かってますからね。


不意を突かれたように装い、相手を誘いましょう。
突っ込んできた所を見切り、残像を残すほどの早業で回避。
鎧を無視し、砕くほどの攻撃力を込め、奮撃のブリッツガストで先制攻撃!
奴の反撃は、咄嗟の一撃で蹴り砕く!



●挑戦:トルメンタ・アンゲルスの場合
 相棒にして愛機たる"NoChaser"が、分解変形しトルメンタの全身を鎧う。
 一心同体、サイボーグであるトルメンタだからこそ出来る人機一体……しかし!
「変身! アクセルユニゾ……ッ!?」
 一秒にも満たない装着プロセスが、突如として妨害された!
 トルメンタのサイバーアイは、不可視波長のジャミングを検知している!
「相棒ッ!」
「ウキキキキ! ヒーローも変身できなければ形無しウッキー!
 ミーは怪人だけどそういうお約束なんて知らないウキー、ざまーみろッキー!」
 がしゃん、と力なく地面を転がる愛機の残骸。なんたることか!
 勝ち誇るエイプモンキー……よもや変身そのものを妨害してくるとは。
「あの銀河帝国でも、そんな手を仕掛けてくるやつはいませんでしたよ」
「キーキキキ! ミーの無限の想像力と創造力があればこそウッキー!」
「想像力? ――ああ、まだわかってないんですか」
 ぎらりと。サングラスの下の双眸が、勝ち誇るエテ公を睨めつける。
 たしかに愛機は無力化された。もはや鎧うことはできまい。
「"変身しなきゃ遅くて弱い"なんて、そんなわけないでしょう?」
「ウキ……? よくわからんがここまでウッキー!!」
 悄然とするトルメンタにとどめを刺そうと襲いかかるエイプモンキー!
 ハンマーめいた豪腕が、周囲の地形もろとも彼女を打ち砕こうと振り下ろされる!
 だが直後! トルメンタは超スピードでこれを回避していた!
「ウキッ!?」
「たとえ相棒を纏っていなかったとしてもッ!」
 見よ! 稲妻じみたジグザグ軌道で虚空を走るトルメンタの軌跡を!
 まさに流星のごとく、その速度は光にも迫るか……!?
「俺はいつだって、誰より速いッ! さあ受けてみろ、これが俺の力です!
 雷撃のォ――ブリッツガストォオオオオオッ!!」
 ギュオンッ! 超スピードを乗せた猛然たる蹴撃が襲いかかる!
 そして炸裂――KRAAAAAAAASH!! 決着やいかに!?

「ウキ、キキキ……! なんてスピードウキ……!」
「チッ、これに対抗してきますか……!」
 痛み分けだ。両者がともにダメージを負っている!
「お前のスピードは見上げたものウッキ。けど打撃はあくまで打撃ウキ!
 ミーにめがけて飛び込んでくるのがわかっているならば――ウキキ!」
 見よ。エイプモンキーの周囲に浮かぶ無数の機雷を!
「速度が乗っているぶん、お前も無傷ではいられないウキ!」
「……ええ、そうみたいですね。ですが!」
 おびただしい負傷を受けながらもトルメンタは立ち上がる。
 そうとも、どんな状況であれ、もはや彼女が足を止めることはない。
 斃れるまで戦い、倒れるとしても前のめりに……誰よりも疾く駆け抜けるのだ!

苦戦 🔵​🔴​🔴​

雷陣・通
『雷刃』
これを破って来るとはとんでもねえ奴だ
でも、俺はコイツでいく!
ウルトラサンダーボルト雷神丸!

行くぜライトニングエーッジ!!

……そして防がれるのは分かっているんだ!

刀は離し、突進!
カウンターの先制攻撃で後の先を奪い、殺気を込めた残像をフェイントに鎧無視攻撃の二回攻撃
「正中線二段突き!(ライトニングダブルストライク!)」

みたか!
どんなにユーベルコードを封じようが武術には基礎があり、空手には積み重ねた伝統がある
お前が空手を知っていても空手は出来るか!?
出来ても通信教育、動画レベルだ!
筋肉への神経伝達の道を太く速くする事が稽古!
そしてコレがそれに裏打ちされた正拳突きだ!
文句は正拳百回やって言え!



●挑戦:雷陣・通の場合
 ある人は言った、"筋肉は己を裏切らない"。
 ……至言である。正直格言とかそう言うのにはまったく疎いが、
 これほどパーフェクトな名言があるのか、と通は割と本気で思っている。
「……ウルトラサンダーボルト雷神丸! 俺はコイツで行く!!」
 されど少年が抜き放ったのは、拳でなく背負ったサムライブレイドである!
 なぜだ、通よ! お前の技はたしかに鋭く烈しい、だが敵はそれを見切ってくるのだ!

「どんな攻撃も破る、か……俺の"雷刃"も、破られちまうんだろうな」
「ほほーう、それがわかっているのにミーの前に立つウッキか?」
「ああそうさ! 俺は逃げたりしねぇ! 行くぜ!!」
 バチバチと、刀身が激しく紫雷を纏う。一触即発の気配……!
「ならばミーも慈悲を見せてやるウッキー! お前のその攻撃の弱点を!」
「……何ぃ?」
「刀による攻撃は直線的にならざるを得ないウッキー、それが弱点ウッキ!
 たとえどれだけ疾く鋭く鍛えたとしても、たかが剣では限界があるッキー!」
 通はその言葉に、ぎりりと奥歯を噛み締めてエイプモンキーを睨めつけた。
「ふざけんじゃねえ! 俺がそうじゃねえって証明してやるぜ!
 行くぜ――ライトニング・エーッジ!!」
 少年の姿が消えた。あとに残されるのは一陣の電光のみ!
 残像を刻みながらまっすぐに敵へと疾走し、ごうと逆袈裟の一撃を放つ!
「ウキッキキー! 避雷針シールド展開ウッキー!!」
 ガシャン! エイプモンキーが生み出したのは巨大な盾だ!
 なめらかな曲線を描くそれは、直線的な刀の攻撃を受け流してしまう。
 さらに表面は絶縁体で加工され、電撃を通さない……なんたる無敵の防具か!

 しかし通は、それを見切っていた。だからすでに刀を手放していた。
「ウキッ!?」
「こいつが本命だ! 正中線二段突き(ライトニングダブルストライク)!」
 SMASH! SMASH!! 電光じみた速度の二段突きがみぞおちに叩き込まれた!
「キキィーッ!!」
「ぐは……ッ!?」
 だが通も無傷ではない。シールドスマイトが全身を叩きのめしている。
 双方ともに痛み分け。地面を転がり、しかし通は立ち上がった!
「この程度なんともねえ、なんでかわかるか?
 俺は空手をやっていて、お前は空手をやってないからだ! それが全てだ!!」
 鍛えた筋肉は裏切らない。身につけた技術は己をけっして裏切らない。
 たとえ打ちのめされようが、堅き信念を持ち立ち上がる。それが空手だ!
「キキィ……! たいした根性ウッキ!」
「待てコラァ! まだまだ戦えるぞ俺は!!」
 逃走するエイプモンキーに、血まみれで罵詈雑言を叫ぶ通であった。
 致命傷ならず。だが少年の意地は怪人をも戦かせたか!

苦戦 🔵​🔴​🔴​

フェイ・リバティベル
アリシアお嬢様(f01607)と

あれと戦闘でございますか、お嬢様との契約はあくまで家事の代こ……報酬
話を伺いましょう。手当マシマシ、ボーナスあり……なるほど畏まりました
不肖このフェイ・リバティベル、報酬のため全力を尽くさせていただきます

踊りは大得意というわけではありませんが、侍女として舞踊の心得もございます
深い知識がなくとも踊れる基本的なステップですが、基本だからこそ隙なく優れているのです

お嬢様の死角を補うよう視線を巡らせつつ、手癖の悪さを生かして硬貨の指弾で敵の機先を潰したる
使うんはA&Wやアルダワのコイン。如何にマニアックでも異世界までは知らへんやろ。レアもんくれたるさかい躱すんやないで


アリシア・マクリントック
フェイ(f13033)と同行
フェイさん、私と一緒にあの猿?と戦ってください。もちろん、報酬はお支払いいたします。危険手当もマシマシです。そしてさらに……倒すことができればボーナスも出しますよ!私は知っています。フェイさんが対価に応える誠実な方だと。そして、信頼しています!

それから……フェイさん、私と一緒に踊ってくださいな。剣舞は斬り結ぶ相手がパートナーですが、社交ダンスは共に踊る相手がパートナー。そして競技としては周りと戦うもの。戦う踊りであることは変わりません。そして、パートナーがいるからこそ死角は死角でなくなります。剣と刀を腰に佩いてフェイさんと一緒に踊る合間合間に斬りつけていきましょう。



●挑戦:フェイ・リバティベルとアリシア・マクリントックの場合
「ウキキ?」
 エイプモンキーは首を傾げた。現れた新手の猟兵は、ふたり。
 わざわざ正面から、それもうら若い乙女がふたり肩を並べて、である。
 決然と眦を決したご令嬢――アリシアと、一見しとやかな三つ編みのメイド。
 しかし隠しようもない野卑な気配が、フェイの表情からは醸し出されていた。
「エイプモンキー、私たちの相手をしていただきます!」
「ウキッキ! 正面から来るとはなかなか見上げたものウッキー!
 けどミーの無敵の想像力と創造力を、お前たちに越えられるッキー?」
 嘲るような言葉に対し、アリシアは二刀を鞘走らせることで答えとした。
 一方のフェイはどうか。取り出したのは大きな旅行鞄である。
「エテ公風情と話す舌など本来は持っておりませぬが、まあようございます。
 その驕慢、せいぜい誇示なさってくださいませ――ブチ砕いてさしあげますので」
 ぎらり。ギザギザの歯を見せる、鮫のような笑みが怪人を睨めつける!

 ――ここで、時間軸は少々巻き戻る。
「フェイさん、お願いがあります。私と一緒に、あの猿……と、戦ってください」
 出撃直前の折、アリシアはフェイの眼をまっすぐと見ながら言った。
 しかしフェイのほうは首を縦に振る様子はない。なぜだろうか?
「あのトンチキ怪人と戦闘、でございますか。……申し訳ございません。
 お嬢様との契約は、あくまで家事の代行のみ。戦闘行為までは契約範囲が」
「もちろん報酬はお支払いいたします。危険手当もマシマシです」
「話を伺いましょう」
 キリッ。フェイは秒で己の発言を撤回した。
 ……そう。この一見出来たメイドの姿をした女、実は金の亡者である。
 なにせスロットマシンのヤドリガミ! ギャンブル狂いのダメ人間なのだ。
「確認いたしますが、危険手当も支給されるのでございますね?」
「ええ。そしてさらに……倒すことができればボーナスも出しますよ!」
「ボーナス……!」
 なんと胸躍るフレーズか。フェイは眼をキラキラさせた。
 そしてはっと我に返ると、メイドっぽい顔に戻ってお辞儀する。
「かしこまりました。不肖このフェイ・リバティベル、全力を尽くさせていただきます」
「ええ。フェイさんは対価に応えてくださる誠実な方だと、私は知っています。
 そして信頼しています。あなたの技量と経験、傭兵としての能力を!」
「光栄でございます」
 しずしず一礼するフェイだが、頭の中は金の使いみちで一杯だ。
「……それはさておき、如何にして攻撃を届かせるのですか?」
「そのことですが、私にひとつプランがあって……。…………」
 こそこそとアリシアに耳打ちされ、ふんふんと頷くフェイ。
 だがやがてその顔が訝しげに顰められ、首を傾げた。
「なるほど……? たしかに私、侍女として多少の心得もございますが」
「ええ。それでいいのです! なぜなら、私たちが互いを見ることで――」

 ……時間軸は現在に戻る!
「ウッキキー!?」
「はあっ!」
 アリシアとフェイの秘策とはなにか? それは彼女らの振る舞いにある!
 ……踊りだ。ふたりは手を重ね、ステップを踏んで踊っている!
「ちょこまかと邪魔くさいッキー! ウキキーッ!」
 エイプモンキーはふたりの死角を探ろうとする。……死角が、ない!
 ならば飽和攻撃で無理やりこのステップを止めようとするべきか。
 そうはさせないのがフェイだ。的確なタイミングで放たれる謎の弾丸!
「こ、これはーッ!?」
「いくらマニアック云うても、異世界のモンまでは知らんやろ!」
 コインである。各世界に流通している硬貨を指で弾いているのだ!
 この指弾が、ダンスを無理やり遮ろうとするエイプモンキーを妨害している。
「キイーッ! おいお前、いますぐミーの味方になるウッキー!
 お前がお金に目がないのはわかってるウッキー、ミーならお金は作り放題ッキー!」
 ぴくりと、怪人の誘惑にフェイの眉が揺れた。
 アリシアは彼女の顔を見つめる……だがメイドが見せたのは獰猛な笑み!
「エテ公の従者なんざ死んでも御免やな! ウチはたっぷり報酬もらうさかい!」
「フェイさん!」
「ほなさっさと決めるでお嬢様! 一、二の三や!」
 もはや妨害不可能! リズミカルな剣戟と指弾がエイプモンキーを追い詰め、
 息を合わせた同時攻撃が、ヤツの体を貫通し滅びをもたらした!
「キ、ギギィ……ッ」
「ダンスは淑女のたしなみですもの、このくらいは当然です!」
 勝ち誇るアリシア。その隣でフェイはニヤニヤとエイプモンキーを見下ろす。
「たしかに私はお金が大好きでございますが……挟持というものが、ございますので」
 手向けとばかりに異世界のコインを弾く。それが決着となった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ラビット・ビット
アドリブ歓迎
弱点:エモが発生するような二人組を見せなければいい

凄く真っ当な弱点過ぎてビットくんも驚きです!
しかーし!
コミュ力の低いオタクをなめないでもらいましょうか!
仲良くなる友達は何故かCP違い逆CP推し違いジャンル違い
さらにはうっかりナマモノにハマリ語れる相手も見つからず!
長年ろくろうさんに話しかけ続けた一人上手の実力を!
そう!目を閉じていたってこのビットくんアイには!想像の中に作り上げた推しCPが!見える!っていうか!無機物×無機物だって概念×概念だってビットくんにはご飯です!
さあいきますよろくろうさん!
あー!朝×夜おいしー!始まりと終わりが巡りあうエモ最高!
全力の属性攻撃で殴ります!!



●挑戦:ラビット・ビットの場合
「ウキィ……」
 エイプモンキーはげんなりしていた。
 もう猟兵を倒すとかいいので、割とこの場から逃げ出したかった。
 なんでかってそりゃお前、相手が相手だからだよ!
「あれあれどうしました!? ビットくんに恐れをなしちゃいました!?」
 正反対のハイテンションで、ラビットがああじゃこうじゃと喚き散らす。
 エイプモンキーはまたげんなりした。割と帰りたくなった。
「お前のユーベルコード、どうなってるウキィ……?」
「聞きます!? そこ聞いちゃいますかエイプモンキーさん!!」
「あ、いいウッキー。さすがのミーも聞きたくないウキ」
 エイプモンキーはマニアック怪人である。
 だがそのエテ公をして! ラビットの妄想はついていけなかった!
 そう、ラビットは……オタクである。更に言うと腐っていた!
 いやBLでもGLでも人がふたりいたらもうそれで勝手に盛り上がるのだが、
 いまの気分的にはBLがかなりキていた。推しが尊くてエモくてしんどい。
 そのしんどさこそがラビットの力なのだ!
「聞きます!? ビットくんの推しCPの話聞いちゃいます!?」
「これを見るウキィー!!」
 ババン! 虚空に生み出されたのは……映写機? だろうか。
「エモから力を手に入れるお前のユーベルコードには弱点があるッキー!
 それは! 推しCPが破局したら妄想を守るとこじゃないって点ウッキー!」
「ええええええ!?!??!」
 虚空に投影される、ラビットの推しCPのオリジナル二次創作!
 だが! ALAS! 物語はどんどん不穏でギスギスした方向へ!
 挙句の果てに、推しCPは仲違いして破局してしまうという結末なのだ!
「ウッキッキー! これでエモも何も」
「エモーーーーーーーーい!!」
「は?」
 ラビットは最初からそんなもん見ちゃいなかった。明後日の方を見ていた。
 じゃあ見ないで無効化したのかと言うとそんなことは全然なく、
 ラビットはたしかに見ている……脳内で生み出した推しCPの妄想を!!
「ウキィーッ!?」
「コミュ力低いオタクをなめないでもらいましょうか!
 長年ろくろうさんに話しかけ続けたひとり上手の実力! この妄想力!
 そんな出来損ないの二次創作ごときでビットくんを曇らせることは出来ません!!」
 2m規模のからくり人形がうんざりした顔でラビットに続き、
 愕然としているエイプモンキーに強烈な一撃を決めた! SMAAAAASH!!
「グワーッ!?」
「あー! 朝×夜おいしー! なんだったら逆カプでもおk!」
 エイプモンキーはもはや逃げたかった。なんだこいつは! 怖い!!
 マニアックで凌駕された時、奴は心の底からの恐怖を知ったのだ……!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

マーシャ・ドラクロフ
★アドリブ大歓迎!

モンキー!カッコいい能力だね!すごーい!

■ユーベルコード
【G.U.N.R.A.M:ガンラム】
ダンボールで既視感のある不出来なロボットを作成して肉弾戦を挑む。

■開幕
相手も既視感のあるロボットを繰り出してもらえるようにガンラムファイトを申し込む。

■対策
マニアゆえにオリジナルで何かを1から造ることは不得手であると見て、より完成度の高い既視感のあるロボットを作らせる。

「版権大丈夫?それって完璧に○○の機体だよね?怒られない?」


■版権パワーには参ったな!
抗えぬ権利の力でモンキーの能力を封じる。

「完璧ゆえに身を滅ぼしたね!」



●挑戦:マーシャ・ドラクロフの場合
 グレート・ウルトラ・ニコニコ・ラピット・アーマー・マーシャ。
 頭文字をとって略称G.U.N.R.A.M……名付けて、そう!
「ガンラム、起動ッ!!」
 ビコーン、とツインアイが男の子の心をくすぐる感じに光り輝く。
 ただしボディはダンボール製だ。おまけにマーシャのお手製である。
 なのであちこちガムテープやセロハンで無理やりくっつけられているし、
 一部の関節からは着込んでいるマーシャの姿が丸見えであった。
「……えっそれユーベルコードウキッ!?」
「そのとおりだよエイプモンキー! キミならわかるはずだ!!」
「ウキッ?」
「ガンラムとガンラムの正々堂々たる戦い、ガンラムファイトを!!」
 なんだそれは。エイプモンキーはぽかーんとしていた。
 マーシャが早口で語るところによると、ガンラムとかいうロボットには、
 頭部を破壊されたら失格とかそういうルールのガンラムファイトがあるらしい。
「そういうわけで! さあ! モンキーもロボットを作るといい!」
 キラキラ。マーシャの瞳はどんなマシンが出てくるのか光り輝いていた。
 さぞかし完成度の高い、マニアックなロボットを作り出してくれるはず!
 そしてその完成度に漬け込んで、版権とかをちらつかせて脅す。
 マニアなら絶対に動揺するはずだ。版権元にコラッされると怖いからね!
「そんなこと知ったこっちゃないウッキー!!」
 だがエイプモンキーはキレた! なんだよガンラムって!
 そんなわけで奴は火炎放射器を生成し、ダンボールもろともマーシャを火だるまにしようとする!
「ええっ、まさか知らないの? ガンラム!」
「ウキッ!?」
「ええ~マニアック怪人なのに、知らないんだぁ~」
 ビキビキビキ。エイプモンキーはあちこちに青筋を立てて震えている!
「ミーのマニアックを莫迦にするなウキィーッ!!」
「はいそこにガンラムパンチドーン!」
「グワーッ!?」
 ウカツ! ガンラムファイトはルール無用の殺し合いなのだ!
 ダンボールとは思えないパンチ力を喰らい、エイプモンキーは地面を転がる!
「マ、マニアックというかこれはもはや狂人ウッキー……!!」
 猟兵は時々理屈が通用しない。エイプモンキーはちょっとびびった。

成功 🔵​🔵​🔴​

錬金天使・サバティエル
「厄介な真似をしてくれる物だな、エテ公め」

本体である賢者の石の力を封じられてしまえば、ユーベルコードだけではなく錬金術も殆ど封じられてしまう。厄介極まりない。
だが、それも長くは続かないはず。奴の装置の効果が切れるまで全力で粘らせてもらうよ。

"泥の霊"で攻撃を受ける、"月の道"ワイヤーで妨害、"アクティブデコイ"の立体映像で偽の私を作るなどして時間を稼げるだけ稼いでやる。
装置の効果が切れたら賢者の石の力で反撃開始だ。覚悟してもらうぞエテ公め。


日和見・カナタ
ようやく突入できましたね!
エイプモンキー……強敵ではありますが、全力を尽くして頑張りましょう!

私の【ロケットパンチ】の弱点は攻撃が読みやすいことです!
僅かですが溜め時間もありますし、幹部ともなれば攻撃の軌道を予測する程度は簡単なんじゃないかと思います。

ですので、ロケットパンチ自体を当てるのは諦めます!
発射する拳に【ゾネ・ゲベトの翳りの魔剣】を握らせて、エイプモンキーが拳を回避した瞬間に影の刃を炸裂させましょう!
相手の攻撃は撒いた【機械蜂】からの情報で初動を読んで回避を試みますね!

【アドリブ歓迎】


庚・鞠緒
ウチのUC「Touch of red」の弱点は敵からダメージを受けないと何にもならねェって事だ
逆に言えば負傷さえ受けりゃァいいわけだが…敵も対策してくるわな
ひとまず真っ直ぐ【ダッシュ】で敵に突っ込む
攻撃を受けたらUCを発動させるつもり

毒ならウチに流れる血のせいで【毒耐性】に自信がある
悠長に毒撒いてる間はむしろ攻撃のチャンスだ

あるいは一撃で葬るか?【第六感】で攻撃を読んで【見切り】致命傷を避け【激痛耐性】で耐える
耐えちまえば増加した戦闘力と【生命力吸収】能力で強引にいくぞ
【2回攻撃】と【鎧無視攻撃】で装甲の隙間から切りまくる
マニアックとかわかんねェよ、そいつはこういうゴリ押しの暴力に勝てンのか!


黒城・魅夜
私のこのUCは、範囲内に多くの対象がいればその威力は分散してしまいます。
多くのダミーを作り出されたら、一体ごとの攻撃力は百分の一以下になるでしょう。

……では、範囲内に誰もいなかったら?

『後方に向かって』すべての鎖を射出。
対象を失った鎖は襲いかかるでしょう――私自身に。

薄紙のように容易く私を貫いた鎖は、その余力を駆り、
まっしぐらに一本の槍となってあなたへ向かいます!
私という対象を既に攻撃済みである以上、もう分散はしません。

そして我が血で動くこの鎖、今しも吸った大量の血でさらに威力を増し
ダミーによる並列防御など無意味。

あなたは賢者、私は愚者。
故に私はこう叫ぶのです。

『愚か者の骸を糧に咲き誇れ!』


才堂・紅葉
「加減はなしですね」
後ろ手に髪の毛を解いて赤の髪を靡かせる。
紋章を通して重力を操る異界の姫。
その手を振り下ろせば、まとった超重力の力場が拡大して区画ごと圧壊させる。
だが弱点がある。底無しに強力な反面、命に係わる反動があり生身が持たない。その制御を乱す装置に弱いのだ。
敵にその弱点を突かれると危うい。

「反動を抑える方法はあるのよね」

力を使わぬ柔術由来の無拍子で踏み込み、膝を踏み台に飛び膝でかち上げ。
空中で相手の両肩、腰、背骨、首の骨を同時にへし折る複合関節技で超重力ロック。
有りっ丈の殺意で相手に反動を押しつけ、破壊しに行く。
【忍び足、吹き飛ばし、グラップル、マヒ攻撃、気合い、属性攻撃、空中戦】


レトロ・ブラウン
ユーベルコードを予想しテ回避!ナんトも難敵が出てキタものデす。
デはボクは『ユーベルコードを使わナい』事にシましょウ!
【ダッシュ】で接敵!【ジャンプ】で跳ビ!【踏みつけ】まス!
……ハい、嘘デす。コレこそがユーベルコード【サンサーラ・ステップ】。
直接攻撃はセず、技能だけヲ強化スるユーベルコードです。
イクらでモ回避しテくだサイ?何度でモ【踏みつけ】に行キます。
イくラデも反撃シテくダさい?何度デも【ジャンプ】で避けテやりマス。
いクらでも逃走してクダさイ?何度でモ【ダッシュ】で追いカケまス。
食事中でモ、トイレ中デも、イツでもドこでモでス!覚悟!




 時として、ちぐはぐな連携こそが予測もつかない結果をもたらすことがある。
 このケースの場合、彼らの凸凹っぷりが勝利の決め手となった。

●挑戦:芋煮挺の面々の場合
「トうっ!」
「ウキッ!」
「えイっ!」
「キキィ!」
「やァっ!」
「キキィー! 鬱陶しいッキー!!」
 何が起きているのか? それはまるで鬼ごっこめいていた!
 追うのは猟兵、テレビウムのレトロ・ブラウンである。
 彼は脅威的な跳躍力とダッシュ速度で、逃げ惑うエイプモンキーに近づき、
 頭上アドバンテージを取るなり上から思い切りストンプをかけるのだ。
 ただそれだけ。しかしこれがレトロのユーベルコードである。
 名付けて末法輪廻謳歌脚(サンサーラ・ステップ)!!
「ちょこまかミーを追ってくるんじゃないウッキー!」
「イクらでモ回避しテくだサイ! 何度でモ踏みつけに行キます!
 食事中でモ、トイレ中デも、イツでもドこでモでス! 覚悟!!」
 なんたるいやらしいまでの執念と追跡か。レトロは怒っているのだ!
 故郷であるキマイラフューチャーを、これ以上隙にさせてなるものか!
「キキィ……! ならその足を止めてやるウッキー!!」
 業を煮やしたエイプモンキーは、エアバッグめいた衝撃吸収装置を創造!
 落ちてきたレトロのストンプをボヨンと受け止め態勢を崩させた!
「オわッ!?」
「たかが落ちてくるだけの攻撃なんてただ受け止めればいいだけウキ!」
 単に対処するのが面倒なだけだったらしい。万事休すか!?

 だがその時、空中でもがくレトロの腕に、鋼の鎖がじゃらりと絡みついた。
 釣り竿めいて力強く引かれたその行き先には……黒城・魅夜の姿がある!
「ア、ありがトウございマす!」
「キキィーッ!? ミーの邪魔をするなッキー!」
「無限の想像力を持つと豪語する割に、狭量なものですね」
 レトロを受け止め立たせた魅夜は、表情を変えぬまま皮肉を口にする。
 彼女の武器はこの鎖。併せて百と八本の鋼鎖による範囲攻撃が本懐である。
 鎖はそれぞれ、獲物の数に反比例して敵を追い詰め襲いかかる習性がある。
 裏を返せば、身代わりのダミーを用意されれば狙いが分散してしまうのだ。
「ここからは私が相手になりましょう」
「いい度胸だッキー! ダミーバルーン装置射出ウキー!!」
 装置から射出された風船が空中でバシッと膨らみ浮遊する!
 見た目にはエイプモンキーとは見分けがつかない! どうする魅夜!?
「――……」
 なんたることか、彼女は鋼鎖を手にしたままエイプモンキーめがけ突っ込む!
 このままでは鎖は狙いをそれ、がら空きの魅夜がエイプモンキーに攻撃されるだろう。
 ダミーの群れのどこかから、本体が愚かな女を見下ろして嗤笑する。
 女は構わない。緋色の弔花を咲き誇らせることを躊躇しないのだ!
 そして魔力に従い、鋼鎖の群れが花開くかのように展開した――!
 ……そう、魅夜の"背後"に。
「ウキッ!?」
 鎖はじゃらりと鎌首をもたげ、魅夜自身に襲いかかる!
 当然のごとく、柔肌を切り裂き、正面から突き出すのだ。凄絶……!
「ま、まさか!?」
 そこでエイプモンキーは気づいた。ダミーが無効化されたことに!
 そう、鎖は魅夜自身を狙って反応した。いまはもうただの鋼鎖だ。
 魅夜という焦点に依り集められた、鏃めいた形状を結ぶ鋼の塊"でしかない"!
「キキィーッ!?」
「あなたは賢者、私は愚者。ゆえに私はこう叫ぶのです。
 ――"愚か者の骸を糧に、咲き誇れ!"」
 血を吸った冷たき鋼が、再び女の腹部を根本として花開く。
 ダミーもろとも、エイプモンキー本体を貫き切り裂く鋼の花弁が!
「ギャギィイイーッ!!」
 強烈なダメージを受け、大きくひるむエイプモンキー!

 ……その有様を、やや遠くから観察している人影がある。
「あれでまだ斃れませんか……やはり強敵ですね、エイプモンキー!」
 眉を顰めながらも戦意をあらわにする日和見・カナタ。
「となれば加減はなしですね。やりようはいくらでもあります」
 真の姿を解き放った才堂・紅葉が、その言葉に宇奈月魔力を展開する。
「ならまずウチが突っ込んで隙を作らァ。"そのほうが向いてる"からな」
 病的な白い肌に紫の瞳をぎらつかせ、庚・鞠緒が有無を言わさぬ口調で言った。
 傷を負うことで力を増すユーベルコードは、こういうときに都合がいい。
「時間稼ぎならば私も手伝うよ。さあ行こう!」
 錬金天使・サバティエルの号令のもと、四人が同時に動いた!

 宣言通り、まず最初にエイプモンキーに肉薄したのは鞠緒である!
「よォエテ公、逃げてねェでウチとも遊べよ! かかってきな!」
 じわじわとその身を血の霧が包む。エイプモンキーはその術理を見て取る。
 あからさまな挑発。乗ってやるような義理はやつにはない!
「ウキキキッ! 苦しめるだけならやり方は色々あるウッキー!
 ミーのマニアックな知識があれば、毒薬も想いのままウキー!」
 ブシュウ! と、毒ガスマシンから毒々しい緑色の気体が噴霧された!
「……チッ……!!」
 鞠緒はその血ゆえに、毒物への耐性には自信があった。
 だが想像以上の毒性……意識が朦朧とし、視界がぼやけて揺らぐ!
「マニアックとかわかんねェよ! こちとらゴリ押し一筋だコラァ!!」
 弱まっていく己の体に活を入れ、鞠緒はあえて毒霧のなかを突き進む!
 倒れるまで何発入れられる。一か? 二か? 敵を惹きつけられればそれでよし!
「ならその生意気な口もろともねじ伏せてやるウッキー!」
 エイプモンキーもやる気だ! ……だが、相手はひとりではない!
「組み手ですか? それなら私もお相手願いたいですね」
 背後! 音もなく忍び寄っていた紅葉が、超重力力場を纏い肉薄する!
「ウキキッ! その力、お前自身に向けられたらどうなるウキ!?」
 BOOOOOM……不可視波長の超音波が、紅葉めがけ津波めいて放射される。
 術者自身をも害するほどの超重力ならば、意識を刈り取ってしまえばいい!
「反動を抑える方法は、あるのよねっ!」
 こちらもこちらで朦朧としかかった意識に鞭を打ち、紅葉はさらに接近。
 たしかに迂闊な打撃や身動きは、却って紅葉自身の体に害を及ぼすだろう。
 ならば"動かなければいい"! つまりは……そう! 関節技だ!
「ウキキィーッ!?」
「こちとら柔術修めてんのよ、なめないでもらえるかしら……ッ!?」
 ぎちぎちと関節を決めにかかる紅葉。意識を喪うのが先か、
 押し付けられた反動でエイプモンキーが押し潰れるのが先か!?
「キ、ギギィ……離れろウキーッ!!」
 だがエイプモンキーの膂力が、紅葉のそれを競り勝った!
 喰らえば一撃で戦闘不能に陥るパワーだからこその、強引な解決手段である。
 絡みついた紅葉を振り払い、目の前に来た鞠緒にとどめの一撃を……!

「そこです! あなたの相手はまだいるんですよっ!」
 ここでカナタが動く。構えるのは自慢の両腕ガジェットである!
「蒸気充填、加圧完了! 吹き飛べえっ!」
 ゴシュウ――! とすさまじいスチーム音を放ち、拳が飛翔した!
 ロケットパンチである。シンプル、それゆえにh回力は甚大だ!
「キキィ! そんな飛来物なんて軌道は予測できるウッキー!」
「でしょうね! けどこれならどうですか!?」
 ロケットパンチは、空中で3つに分裂した!? いや、立体映像だ!
 サバティエルの援護である。ヤドリガミだからこそできる支援か!
「この程度は所詮時間稼ぎにしかならないだろうけどね……っ!」
「小細工をするなウキィーッ!!」
 紅葉に向けられていたジャミング電波がサバティエルを襲う!
 本体である賢者の石のちからを引き出すには、あまりにも時間が足らないのだ。
 彼女ひとりならばここで斃れていただろう。
 だがあえてカナタの攻撃を支援したことにこそ、意味がある!
「ゾネ・ゲベトの翳りの魔剣よ! いまこそ輝くときです!」
「ウキッ!?」
 ロケットパンチそのものは回避した――だが、手はさらにあった。
 ガジェットが握りしめた魔剣が光を放ち、魔法の刃を敵めがけ射出する!
 見事命中! エイプモンキーは、回避しようとした空中で体勢を崩す……!
「言ったよなァ」
 落下地点。毒霧を耐え抜いた不良娘が、ボキボキと拳の骨を鳴らした。
「見せてやるよ、ゴリ押しの暴力ってやつをなッ!!」
「キ、キキィー――!!」
 ……SMAAAAAAASH!! 打ち上げるようなアッパーカットが炸裂した!
 拳の衝突点からビシビシとヒビが走り、そして……エイプモンキーが砕け散る!
 ほぼ全員が無傷ではいれらなかった、苦い勝利である。
 だがそれでも、彼女らの連携は見事にエイプモンキーを倒したのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ツーユウ・ナン
現実離れし過ぎて、もはや禅問答の境地になってきたのう。
「諸行無常」という言葉を知っておるか?
あらゆるものは常に変化流動するものであり、「現在」とは一瞬の合間に生まれては死んで過去になっていく、刹那の連続体に過ぎないという考え方じゃ。

戦場はまさに「諸行無常」
磨き鍛えたわしの武で、おぬしの思考を超えてみせよう!

●敵UC対策
・鍛え抜いた反応反射【見切り】【野生の勘】で次々と動きを変化させ迫る
・攻撃には氣を纏って【オーラ防御】化勁で捌き受流す
・【激痛耐性】で粘り強く戦う

●UC
・氣を練って【力溜め】接近
・一瞬の【カウンター】『UC』
⇒踏込み突き(読ませて反撃を誘い)変化させ頂肘【鎧無視攻撃】
「哈ハ!」



挑戦:ツーユウ・ナンの場合
「現実離れしすぎて、もはや禅問答の境地になってきたのう」
 復活を果たしたエイプモンキーの前に、ひとりの女がいた。
 鍛え抜いた腹筋を惜しみなくさらけ出す、鬼めいた風貌の女傑だ。
「キキキッ! ミーの無敵の能力に挑むつもりウッキー!?」
「想像力とやらが思い描く限りはなんでも創造する能力、か……ふむ。
 おぬし、"諸行無常"という言葉を知っておるか?」
「ウキ……?」
 無論、エイプモンキーのようなマニアックな怪人が知らぬはずはない。
 あらゆるものは常に変化流動し、"現在"あるいは"今"というものは、
 一瞬の合間に生まれては死に絶え、"過去"となって消えていく……。
 全てはその"現在"という一瞬が途切れることなく繋がる、刹那の連続体である。
 ……という、仏教に伝わる法印の一つだ。
「戦場はまさに"諸行無常"よ。おぬしが無限の想像力を持つのなら、
 わしはこの磨き鍛えた"武"で、それを越えてみせようではないか!」
「大した自信ウッキー!」
 ツーユウは薄く笑ったまま、無造作に間合いを詰める。
 刹那に活路を見出すツーユウの"刹那生滅"は、いわば見切りの技である。
 武術に於いては交叉法とも呼ばれる、『かわす』のでも『返す』のでもなく、
 一瞬の攻めに対して攻撃を『合わせる』技法――それが技の真髄だ。
「ならミーはこうしてやるッキー!!」
 ゴシュウ――エイプモンキーの体が、浮いた!?
「ほう」
 バーニアだ。奴が生み出したのは強力な噴射装置である!
 それで加速をかけ、けっしてツーユウを間合いに踏み込ませまいということか!
「取ったり! ッキィー!!」
 頭上アドバンテージを得たエイプモンキーが拳を打ち下ろす!
 ツーユウはこれを鍛え抜いた反射神経で見切り、受け流し防いでいくが……!
「なんとまあ次から次に搦め手を出してくるものよ!」
 互いに互いを幻惑するような動きで、攻めては捌き退いては踏み込む。
 前後左右に加え上下移動をも可能としたエイプモンキーのほうが機動力は上!
「――哈(ハ)ッ!!」
 ツーユウは覚悟を決め、被弾を覚悟でフェイントからの頂肘を打ち込んだ。
 強烈なレバーブローが腹筋に突き刺さる! 両者がともに吹き飛ぶ!
「グワーッ!?」
「ぬう……!!」
 痛み分け……いや、ダメージについてはツーユウのほうが上か。
 立ち上がりかけてよろめき、口の端から血が一筋垂れた。
 だが。
「わしを倒すことまでは、出来まいな……!」
「……忌々しい猟兵だウッキー!」
 然り。ツーユウはまだ立っている。それこそが意地の見せどころだ。
 一撃は届いた。それが後々、勝負を決める嚆矢となるか……!?

苦戦 🔵​🔴​🔴​

メイスン・ドットハック
【WIZ】
なるほどのー、想像力の勝負かのー
じゃけど、イマジネーションで上回ればいい話じゃのー!

ユーベルコード「隠れ家への小道」を使用
電脳窓で移動しようが、死角から反撃するマシンでこちらの動きを封じて攻撃をしてくる、または電脳窓自体を無効化するマシンを使ってくると予想
じゃけど知っておったか、エイプモンキー
この能力はワープできることも利点じゃけど、もう一つは電脳空間にモノを置けることにあるんじゃけーのー
そして、この能力を解除した場合、その中のモノはすべて放出される
エイプモンキー近くの電脳窓を解除し、中に保管してあった大量の爆発物・可燃物を放出し、電脳ミサイルで起爆、大爆発を起こしてダメージを狙う



●挑戦:メイスン・ドットハックの場合
 搦め手・策謀・トラップに騙し討ち。
 どれもこれもメイスンにとっては得手も得手、専門と言ってもいい。
「とはいえこそこそ隠しておっても見破られるようじゃけんのー。
 僕のこれは"隠れ家への小道(ホーム・アンド・ウィンドウズ)"というんじゃ」
 あろうことか、メイスンは自ら手の内を明かしてみせた!
 虚空に手を伸ばせば、ヴン、と音を立てて電脳の小窓が立体投影される。
 これこそがこのユーベルコードの鍵であり、メイスンだけが生み出せる出入り口。
「中には僕がこしらえた電脳空間が広がっとる。引きこもり用じゃのー」
「あえてミーに手の内を見せるとは……よほど自信があるウッキー?」
 エイプモンキーは強気な態度を崩さない。
 なぜならば、己のマニアックな知識と想像力、そして創造力にこそ、
 絶対の自信を置いているからだ。まさに無敵の能力なのだ!
「ま、そういうとこじゃのー。たとえばこうして――」
 メイスンはするりと電脳窓に体を滑り込ませ姿を消した。
 ……現れたのはエイプモンキーの背後! 電脳空間を経由したワープだ!
 そして死角から爆薬による不意打ちを――仕掛けようとした。
「ウッキキキ!」
「む」
 だがメイスンが電脳窓から抜け出した瞬間、その体がネットに絡め取られている!
 それもまた電脳魔術によって編み上げられた、非物質的な捕縛ネットだ。
「ミーのハッキングマシンなら、お前のプログラムに介入するなど簡単ウキ!
 出てきた時に動けなくなるよう、罠を仕掛けておいたんだウッキ!」
「僕にハッキングで勝負するとは性格悪いやつじゃのー!」
 じたばたともがくメイスンだが、ネットはけして破けない。
 ならばとハッキングを試みるが、そこで電脳窓が消失してしまった!
「キッキッキ、さあ終わりだウッキー! 覚悟しろウッキー!」
 ……だが、メイスンは己を見下ろすエイプモンキーを無言で見上げる。
「知っておったか、エイプモンキー」
「ウキ?」
「この能力のもうひとつの利点は、"中にモノを置けること"じゃけーのー。
 ……なら、中に置いてあるモノは、能力が解除されたらどうなるじゃろーなー?」
「!!」
 直後! 虚空から無数の爆薬が"降ってきた"!
 これこそがメイスンの狙いだ。能力の強制解除をあえて誘発し、
 あらかじめ空間内に仕込んでおいた爆発物を相手にぶつける!
「お、お前……!!」
「たっぷり味わうといいんじゃよー!」
 KRA-TOOOOOOM!! 爆煙がエイプモンキーを包み込む!
 メイスンの体を縛っていたネットが消失し、やがて敵の気配も消えた。
「イマジネーションで僕を上回るなんて、百年速いかんのー」
 意地の悪い小悪魔ハッカーは、メガネを掛け直しながら勝ち誇る。
 トラップとはこうして仕掛けるものなのだ、とばかりに!

成功 🔵​🔵​🔴​

リル・ルリ
■バレーナ(f06626)
アドリブ歓迎

歌は
届かなければ意味は無い
けれど
バレーナとなら何処までだって響かせられる

真空にされようと音を拒絶されようと
バレーナの歌に重ねるように
『泡沫の歌』歌い全て全て、水の嵐の中に沈めて「振動を伝わせられる」空間をつくる
沸騰して凍ればそれを猿に飛ばして
エコーのように歌う歌
君が守ってくれるなら
僕はバレーナへの攻撃をオーラ防御で防ぎ

歌はお腹から搾り出す振動
彼女の腹部に触れて彼女の想いに僕の想いをのせて歌い響かせるよ

聴こえる声だけが歌じゃない
音波を嵐にして
脳髄まで揺さぶり蕩かして堕とす
決して諦めない
バレーナと一緒に歌い響かせる
一緒に世界を揺さぶってやろう!

それに
歌は、僕だ


バレーナ・クレールドリュンヌ
■リル(f10762)と

【WIZ】

わたしが先にUCを使い対策させましょう。
立ち向かう歌の力を使わせてはくれないでしょうね。

真空にされたのなら、リルのUCで嵐と水で満たしましょう。
そこに振動があれば、わたしがリルを泡沫の夢幻境で守るわ。

喉を封じられれば、リルにわたしのおなかに手を触れさせて、
歌の力を伝える振動を、リルに表現してもらえれば、歌の世界を展開できる。
これがわたしの『歌で立ち向かう意志』よ。

歌の力を取り戻したなら、リルの歌を共に響かせましょう。
歌で立ち向かえる限り、わたし達は負けたりしない。
不可侵領域でリルを護り、リルの歌で世界を揺らし、震える鼓動(ビート)は歌を伝えていくわ。



●挑戦:リル・ルリとバレーナ・クレールドリュンヌの場合
 ふたりの人魚は、ともに妖しの歌を奏でる者たちでもあった。
 しかし音とは、畢竟大気を伝う波。あくまでも物理的な振動に過ぎない。
「お前たちの歌なんかでミーを惑わすことは出来ないウッキー!」
 やりようはいくらでもある、故にエイプモンキーは勝ち誇る。
 だが対峙するバレーナとリルに、怖気づいた様子は一切ない。
「そう。ならやってみなさいな、わたしのこの歌を封じられるなら――」
 バレーナは勝ち気に言ってみせれば、おもむろに一歩ぶん前に出、
 胸元に手を置いてひそやかに、しずかに、優雅な歌声を響かせ始めた。
 泡沫の夢幻郷で歌うセイレーン(ローレライ・トロイメライ)。
 このユーベルコードの本質は、歌声による誘惑や魔力的干渉だけではない。
 バレーナの信念を歌い上げることで、彼女自身を不可侵の領域が覆い、守るのだ。
 泡沫夢幻の領域は、バレーナが傷を負えば負うほどに、
 絶望感や恐怖によって心を抉られ、負の感情を与えられるたびに力を増す。
 生命(いのち)すらも奪う、恐ろしくも美しい、世界に挑む歌。
 それが、バレーナのユーベルコードの本領なのだ。
「これがわたしの歌、わたしがわたしである為に、この世界に歌いましょう!」
「そんなものはミーがけっして認めないッキー!!」
 創造された小型マシーンが、リルとバレーナの周囲に滞空する!
 見えない力場がマシンを結節点として結ばれ、内部を真空に変えてしまうのだ!
「空気がなければ音は伝わらないッキー! いくら歌おうが無駄だウキ!」
 真空はふたりを責め苛むだろう。生命が存在を許されない場所なのだから!

 だが、虚空にぽつりと水の玉が生まれ、じわじわと膨れ上がり渦巻いていく。
 やがて不可視力場のなかには、水の嵐というべき潮流が渦巻いていた!
「ウキキ!?」
「歌は届かなければ意味はない。なら、どこまでだって届かせてみせる」
 "泡沫の歌"。夢幻のように、無から有を生み出すリルの歌声だ。
 エイプモンキーはすぐさまこの水の結界を極低温で凍りつかせようとするが、
 この水の嵐はそれ自体がリルの制御下にある……つまり!
「凍らせたって無駄だよ――僕らの歌はどこまでだって届くんだから」
 パキキキ、とひび割れた水……いや氷のナイフがエイプモンキーへ飛来!
 そうこうしているうちに、水の中を伝わる歌声は、
 やがて力場を越えて大気を満たし、花々を、敵を、世界そのものを揺るがす!
「な、なぜだッキー!? たかが歌なのになぜ!?」
「"たかが"歌だなんてご挨拶ね」
 歌いながら、泡沫のなかでバレーナが敵を見据える。
 リルの手のひらは、バレーナの白く透き通る肌――腹部に当てられて。
 体を震わせる歌は、二人それぞれの声が音叉して世界に響くのだ。
「わたしはあなたたちに、いいえ、世界に――すべてにこの歌で立ち向かう。
 その意志(こころ)を忘れない限り、わたしたちは負けたりしないわ!」
 ピシピシとマシンが、不可視力場がひび割れ……砕けた!
 今度はエイプモンキーが押される側だ。泡沫夢幻の領域と彼らの意思に!
「聞こえる声だけが歌じゃない。蕩かせて堕として、教えてあげるよ」
「キイィイイーッ!?」
 脳髄を揺さぶる音に、エイプモンキーは頭を抱えてうずくまる!
 どんな障害があろうと、リルもバレーナも歌うことを諦めはしない。
 歌そのものはただの物理現象、大気に伝わる波に過ぎない。
 だがそれに込められた思いは何よりも力強いのだ……!
「一緒に世界を揺さぶってやろう」
「ええ、わたしたちは立ち向かうわ」
「「この歌声に思いを込めて!」」
 前に進むということは、過去を否定して未来を求めること。
 それはまさに、猟兵という世界に愛された存在の本質である。
 過去の化身たるオブリビオンが、それを防ぎ抗うことなどできようものか!
 エイプモンキーは悔しげに断末魔をあげ……やがて、うたかたのように夢幻の中に、融けて消えた。

 あとにはただ、咲き誇る花々だけが残される。
 夢のあとのように、歌声のあとには何も残らない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

キャロライン・ブラック
想像を創造する能力……
絵を描く者としては少々、羨ましく存じます
ですが、故にこそ負ける訳には参りませんわ

わたくしの好きな色、公孫樹の黄は
あくまで塗った周囲を護る技
塗料自体を狙われてしまえば脆いのです

ですから、技を放つ際
こっそりとわたくしの靴裏にも塗りますの

防御手段としては心もとないけれど
故にこそ隠し通せる可能性もあるかと

真の狙いは相手の攻撃の瞬間
靴裏の塗料を滑るよう操作することで体勢を崩し
その勢いで回避とカウンターを行うことです

また、狙いを悟らせぬよう
塗料を舞わせ惑わせる体を装いますわ

イチョウの葉は油分が多く滑りやすいそうです
この色は本物ではございませんが
良く再現されているでしょう?



●挑戦:キャロライン・ブラックの場合
 芸術とは、まさに無からの創造行為そのものである。
 であれば、ゴッドペインターのはしくれとして、キャロラインが羨望を抱いたのもむべなるかな。
(ですが、ゆえにこそ――負けるわけには参りませんわ)
 心の中でそう結論づけ、キャロラインは敵を見据える。
 どうやらいましがた蘇ったばかりか、エイプモンキーはほぼ無傷。
「ごきげんよう! お目覚めの気分はいかがでして?」
「キキィ! ミーを相手に挑発とはいい度胸だウッキー!」
「あら、挑発だなんてとんでもない。わたくしはただ――」
 言いながら、キャロラインは虹色の杖をタクトめいて振るう。
 するとどうだ、先端部の宝石から、こぼれるようにして鮮やかな黄色が生まれた。
 イチョウの葉の形をもしたその塗料こそがキャロラインのユーベルコードだ!
「黄色く、眩く、世界を覆う、イチョウの色。
 ひらひら踊る、木の葉のように――舞い散る準備はよろしくて?」
 まるでひそやかにダンスでも踊るかのように、キャロラインは色をふりまく。
 公孫樹の黄色。それがキャロラインの好きな色。彼女の力。
 イチョウで覆われた空間は、以てキャロラインを守る不可侵領域となる。
「なるほど、防御を固めてミーと勝負というわけウッキー?
 ……その程度、ミーの力で塗りつぶしてしまえば問題ないウッキー!」
「まあ!」
 エイプモンキーが生み出したのは巨大なペンキバケツである!
 並々と注がれた真っ黒な塗料を、勢いよく周囲にぶちまける!
「ああっ、わたくしの色が……」
 ひょいと飛び退いて塗料の直撃をかわすキャロラインだが、
 無惨にもイチョウの葉は真っ黒に塗り潰され、領域は無力化されてしまった!

「なら、わたくしはもっともっと描くといたしましょう!」
「そうはさせないウッキー!」
 さらにイチョウの葉を生み出そうとしたキャロラインめがけ、
 バケツを投げ捨てたエイプモンキーが急加速して襲いかかる。
 まともに喰らえば、猟兵ですら戦闘不能を免れない強力な攻撃だ!
「ところで、ご存知ですかしら?」
「ウキッ!?」
「イチョウの葉は、とても油分が多く滑りやすいそうですのよ――」
 訝しみながらもエイプモンキーは豪腕を振るう……と、その時!
 キャロラインは、何もない場所で急につるんっと滑ってしまったのだ!
「ウキィーッ!?」
 予想だにしないアクシデント! エイプモンキーの拳が空を切る!
 だがキャロラインにとっては想定済みのイベントだ。仕込みは靴の裏!
「かかりましたわね!」
 あえて靴裏に"色"を塗ることで、自ら転んで攻撃を回避してみせたのだ。
 いくら想像力を持つ怪人であっても、相手がいきなり転ぶなどと思うだろうか!
「この色は本物ではございませんが、よく再現されているでしょう?」
 にこり。お嬢様の笑顔が向けられた直後、エイプモンキーの腹部にカウンター!
 レインボーワンドから放たれた魔力が、やつに痛烈な一撃を与えたのだ!
「グキィ……!!」
 悔しげに呻き、姿を消すエイプモンキー。
 キャロラインは膝を突いて受け身を取りつつ、その背中を見送る。
「……わたくしの想像力も、負けてはいないでしょう?」
 何かを創る者としての、意地と高揚を笑顔ににじませて。

成功 🔵​🔵​🔴​

杜鬼・クロウ
【OX】
アドリブ連携怪我◎
きょぬーの知識と熱なら負ける気しねェンだが

覚悟?ハ、誰に聞いてヤがンだよ
ココに立ってる時点で察しろや!(外套翻し

【杜の使い魔】召喚
同様に「速さ」を八咫烏へ求む
軌道が変わる程の天変地異や翼を折る為の雷・槍などが降ろうと食らわなければ意味がねェと思ってる
と思わせる(フェイント

UC解除で地上へ降りる

見切る必要はねェってか?
当たろうが容易に防ぐ頑丈さあるいは吸収出来る柔軟さがあれば
それすらも貫く力を持ってンのが俺達猟兵だろうがよ!

属性攻撃・2回攻撃・呪詛・鎧無視攻撃で禍々しい闘魂込めた重い一撃を玄夜叉でぶち込む
花弁の竜巻起こし敵の視界悪くし隙作る
敵の攻撃は咄嗟の一撃・武器受け


叢雲・源次
【OX】

敵将が現れたという事は、ここが俺達の天王山か…
杜鬼・クロウ、『覚悟』はいいか?

奴は俺達のUCに『必ず対応出来る』…ならばその対応策そのものを『弱点』にさせる

是非も無し。

これが俺が放てる最高の「速さ」そして「鋭さ」だ
【早業】『電磁抜刀』

速さと鋭さを防ぎ切るには「硬さ」で対応してくる筈…布石は敷いた
やれ、クロウ

カウンターは必ず来る
来るのが分かっているのならばやりようはある
【激痛耐性】で攻撃を受けながらも前身

【覚悟】というのは痛みに耐える事ではない
ましてや捨て身になる事でもない
背を任せた者に、命を預けるという事だ

【力溜め】をし、クロウの攻撃に合わせて
鉄塊剣で硬さを砕く【鎧砕き】の一撃を放つ



●挑戦:杜鬼・クロウと叢雲・源次の場合
 いよいよ戦争は佳境に到達しようとしている。
 戦況を聞いた時点でわかっていたことだが、ことこの花咲き誇る決戦場に立った時、
 ふたりは否応なしに皮膚感覚で理解させられたのだ。
「ここが俺達の天王山か……杜鬼・クロウ、"覚悟"はいいか?」
 まるで鉄面皮というべき変化のない無表情に、淡々とした声音。
 フォーマルスーツを纏う男……源次は、傍らの偉丈夫に問いかけた。
「覚悟? ――ハ、誰に聞いてヤがンだよ」
 一方のクロウは不敵に笑い、ばさりと外套を翻してみせる。
「ココに立ってる時点で察しろや! なァ?」
「……是非もなし」
 瞑目する源次。男ふたりのやりとりはどこまでも対照的であった。
 互いに互いの力量を認め合う仲だからこその、軽口の叩き合いか。
 そして二人は同時に、弾かれるように彼方を見た。
 近づく威圧感……このプレッシャーは間違いなく強敵の気配!
「俺が先に征く。あとは任せる」
「おう」
 踏み出す源次。ただ頷いて集中し、霊力を高め機を伺うクロウ。
 ――そして、エイプモンキーがふたりに肉薄し、戦いが始まった!

「ウッキキィー! 邪魔をするなッキィー!!」
 被弾したエイプモンキーは、苛立たしげに男たちを罵倒する。
 何が来ようと、この無敵の能力で対処し打ち砕くのみだと!
「…………」
 そして源次の対抗策は? ……居合の構えを取る彼に、その気配はない。
 その通り、源次に搦め手や不意打ちなどといった回りくどいものはない。
 ただ集中し、敵に狙いを定めて最高の速さと鋭さを叩き出すまで。
「キキッ!? ミーのことを見くびっているウッキー!?」
「――……」
 無言。改造人間(サイボーグ)はいちいち敵と語るような舌を持たない。
 エイプモンキーは苛立った。そのまっすぐな眼差しと戦意の忌々しさに!
 ならば真正面から打ち砕きねじ伏せてやろうではないか!
「来るとわかってる攻撃なら、無敵のバリアで防ぎきってやるウッキー!」
 速さ、鋭さがいくらあろうと関係ない。防ぎきってしまえばよい。
 いかなる攻撃にも耐えきる無敵の盾を、想像して創造すればよいのだ!
「――やはりな」
 靜かに、軋むような呼気が男の口から漏れた。
 敵が間合いに踏み込む。ガシュン――これなるは神速の電磁抜刀!
「戴く」
「ウキィイイイイーッ!!」
 ……激突! すさまじい衝撃音がフラワーズ内部をつんざいた!
 エイプモンキーが創造し構えたのは盾! 無骨で強靭なシールドである!
 源次の攻撃は……なんたることか! 防がれ、弾かれてしまっている!
「キッキィー! さあとどめを刺してやるウッキィー!」
 エイプモンキーは嘲笑った。絶望の表情を見下ろし打ち砕こうとした。
 だが……源次の無表情は、たしかにそれを見下していた!
「布石は敷いた」
 防がれることなどわかりきっていた。"それだけの速さを見せた"のだから。
 これは痩せ我慢ではない。前のめりで捨て鉢な特攻などでもない。
「"やれ"、クロウ――」
 背を任せた者に、命を預ける"覚悟"というものだ。

 ……源次に豪腕が叩きつけられた、まさにその瞬間!
「任されたぜェ、源次ッ!」
 クロウが猛烈な速度で、弾丸めいて飛翔する――羽ばたくは八咫烏!
 濡羽色の神の御使いが、後光を背負うかのように雄々しく翼を広げ……!
「キッキキー! そんなデカブツなら撃ち落とすのは簡単だウッキー!
 ミーはその程度のコンビネーションなんてお見通しだウッキッキー!」
 バチバチバチ! 奴が生成したのは高圧電流を生み出す落雷装置だ!
 火花を散らして電光がスパークし、クロウの乗る八咫烏を打ち据えた!
「……ウキ!?」
 打ち据えた。だがエイプモンキーはたしかに目撃していた!
 雷撃が八咫烏を襲うまさに一瞬前、クロウが"術式を解除していた"のを!
「ウキキィーッ!?」
「見切る必要はねェってか? 大した自信じゃねェか!
 だがな――どンな壁も盾も柔軟に受け止め貫く、その力を持ってンのが!」
 八咫烏は囮、撃墜されることなどクロウにとってはお見通しだ。
 ゆえに一瞬! たった一瞬だけ先んじてそれを解除してみせた!
 源次が敵の注意を惹きつけ、あえて盾となったからこそ生まれた間隙。
「――俺達猟兵なんだよォッ!!」
 玄夜叉が吠える! 勢いそのままに背を飛んだクロウの魔剣一閃!
 エイプモンキーは防ごうとした――そして、驚愕した。
「……俺を、忘れてくれるな」
 鋼の如き男が、ボロボロの有様で再起している姿に。
 鉄塊の如き剣が、魔剣と同時に振るわれ――そして、叩き込まれた!

 衝撃音。砕かれ爆ぜて滅びるのは過去の化身。
 男たちとて無傷ではない。何か一つでも間違えば掴めないものだった。だが。
「無茶しやがるなァ、ったく」
「……是非も無し」
 男たちは、しかとやり遂げたのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ソナタ・アーティライエ
たとえ儚い力しか持たずとも、抗う事を諦めたりはしません

わたしのUCは歌や音楽、すなわち『音』
ならば音を遮断するか乱してしまうのが、手っ取り早く汎用性に富んだ対抗策と思われる事でしょう
ならばわたしはこの身体にて、音楽を表現してみせます
指揮者はその動きで楽団を統率し音楽を作り出す
すなわち視覚でも音楽を伝えることは出来るのです

死角からの攻撃を軽やかなステップでかわす動きこそが一つの音楽【幻想葬送曲第153番『汝の魂を翼にゆだねよ』】となるのです
攻撃を当てようと注視すればするほど、その頭の中でリズムが、音楽が再現されるのです

アドリブ歓迎です


雪華・グレイシア
そうポンポンとお宝染みた物を生み出されると盗み甲斐もない

さて、ボクの巨人の弱点はボクの動きをそのままトレースして動くということ
つまり、ボクの身動きさえ封じれば棒立ちになるわけだ
実に分かりやすい

でも、生憎とボクは怪盗
小細工は得意でね
少しでも手足が動けばそこから武器を投擲させるよ
……なんて、これくらいは当然読んでるだろう

彼の武器はボクと同じ
でもボクには手足で振り回さない武器もあるんだぜ
本来の用途とは違うけど……偶にはこういうのも悪くない
シンフォニックギア、それは歌を世界へ届ける拡声器
音を周囲へ拡げるわけだ
彼の咆哮の効果はご存じだろ?

さぁ、世界と共に凍てつけ!!

【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】



●挑戦:ソナタ・アーティライエと雪華・グレイシアの場合
 およそ3メートルをゆうに超える、凍てつく霜の巨人が聳えていた。
 その足元で、怪盗めいたハットで目元を隠すひとりの少年あり。
「やあ怪人幹部どの! 大した能力だ、だがボクとしては少し困るな!」
「……ウキ?」
 訝しげに首をかしげるエイプモンキーに、グレイシアは伊達男めいて笑う。
「そうポンポンとお宝じみたものを生み出されては、盗みがいもないじゃないか。
 だからこれ以上、無益なモノを創造される前に、ひとつ引導を渡すとしよう」
 まるで時代がかった抑揚で、少女めいた姿の"怪盗"グレイシアは云う。
 その姿もその態度も、彼の本当の目的のための隠れ蓑に過ぎない。
 相手が強敵であろうが同じである。拐かし、惑わせ、翻弄するまで!
 あえて正面から挑むように、待ち構えていたのもすべてはそのため。
 霜の巨人が、グレイシアの身振りに合わせて武器を振り上げる……が!

「そうはさせないッキー!」
「む……!」
 エイプモンキーが投げたゴムボールめいた物体が、強靭な紐と化してグレイシアの全身をぐるぐると戒め、その動きを束縛する。
「キッキッキ! 神話の怪物を封じ込めたグレイプニルの模倣品だウッキー!
 お前が動けなければ、その巨人も身動きは取れまいウッキー?」
「な、る、ほ、ど……っ」
 ぎちぎちと絡みつく"グレイプニル"は、なるほど神話のそれそのもののように、
 グレイシアが手足を動かそうとしてもそれを許さず、身じろぎひとつさせない。
 巨人もまた、武器を振り上げたまま凍りついたように硬直していた!
(少しでも動けば武器を投擲してやるつもりだったけど、これは……っ)
 それすらも許されない強烈な拘束。しかしてグレイシアは不敵に笑う。
「手足が動けなくたって、まだ武器があるんだぜ?」
「ウキィ……?」
「それに知らないのかい! 物語じゃピンチになった怪盗のところには――」
 グレイシアは帽子の下から空を見上げた。そこに少女が居た。
「――天の助けがあるものさ」

 然り。その姿は、まるで天使のように光を纏っていた。
 青い瞳に白い髪、ふわりと舞うさまは人形のように美しく……否。
 事実、彼女は――ソナタは、人形だ。ミレナリィドール。
「あなたのその力からすれば、わたしたちの力は儚いかもしれません」
 ソナタは云う。その声が、身動きが、やがて一定のリズムを得ていく。
「それでもわたしは……いいえ、わたしたちは」
 ちらりと、人形の少女の視線が、戒められた怪盗のほうを向いた。
 同じ猟兵として、そしてこの場に目的を同じくして集まった者として。
 彼の不敵、大胆、そして意地を彼女は守りたいと思った。
 だからこうして現れたのだ。なんのために? ……戦うために!
「抗うことを諦めたりはしません――!」
 そしてソナタは歌い踊る。幻想の葬送曲を。
 エイプモンキーはすぐさま気づいた。歌声が持つ魔力に!
「音なんていくらでも遮ってやるウ、ッキ……!?」
「――はは、これはたいしたものだ」
 帽子の下からソナタを見上げ、グレイシアはぽつりと感嘆した。
 ソナタの奏でる音楽は、歌声だけにとどまらない。
 光を纏って舞い踊るそのさま、身動きひとつひとつが旋律を生み出している。
 ならばエイプモンキーはそれを防ごうと集中すればするほど、
 結果として奴はソナタの奏でる葬送曲に心を囚われざるを得ないのだ!
「いいね! 奇遇ながらボクもそのつもりで待っていたんだ!」
 エイプモンキーは頭を抑えて苦しんでいる。好機!
「グレイプニルを知っているなら、神話における巨人の力もご存知だろう?
 ――すべてを凍てつかせる霜の巨人の咆哮。さあ、世界とともに凍てつけ!」
 たとえ手足を動かせなくとも、武器は初めからそこにある。
 魂を込めた咆哮(うたごえ)。もはやヤツには防ぎようもあるまい。
 巨人そのものが打ち砕かれたならこれは為せなかった。
 だからこそ身を晒した。危険を起こして術者に注意を差し向けさせた!

 そして巨人は高らかに咆哮する。すべてを凍てつかせる歌を。
 ソナタの生み出す旋律と巨人の咆哮とが混じり合い、大気を凍りつかせる。
 すなわち、死という名の停滞! エイプモンキーには抗いようも……否!
「グ、グゥウキキィーッ!!」
 悶え苦しんでいたエイプモンキーは、頭を振って飛翔装置を生成!
 血走った目でソナタとグレイシアを睨み、その場から逃げ去っていくのだ!
「……葬送の鐘を響かせることは、出来ませんでしたね」
「いいや! たしかに弔鐘は鳴らなかったかもしれないけれど」
 うつむくソナタに、グレイシアがにこりと笑いかける。
「君はたしかに響かせたよ。ボクを奮い立たせる、戦いの歌をね」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

月宮・ユイ
能力の自由度が高く厄介ね
それでも負けられない

”学習力”にて常時行動最適化
[ステラ]大型の槍:柄内部に水密封
”生命力吸収の呪詛”宿し”怪力・念動力”で補助
”第六感”含め感覚強化、不意打ちへ備えや敵の”情報収集”
”高速詠唱”用い”早業”で<不死鳥>発動
敵には破壊、自身には癒しと護りの炎として身と武器に纏い突撃

炎を媒介としており、
通常空間と等しく発動速度優先したが故対策していなかった
真空を発生させる装置で燃焼防ぐ概念ぶつけられ無効化
及び真空という生存困難状態でヤドリガミの人型解除

解除時あがく様に穂先を相手に向ける
槍の特殊機能発動、穂先と柄分離
真空内で炎で熱せられていた水がどうなるか見てみなさい



●挑戦:月宮・ユイの場合
 無限の想像力と、それに担保された実質無限の創造力。
 普通であれば勝ち目のない、あまりにも自由度の高い能力――。
「それでも、負けられない」
 然り。この戦いで猟兵が負けることは世界の破滅を意味する。
 カタストロフを防ぐため、ドン・フリーダムを倒すために……。
「……やれるだけのことはやりましょう」
 "秘策"を槍に込め、ユイは逃げ去るエイプモンキーの前に立ちはだかった。

 ユイはヤドリガミである。その本質は恐るべき兵器に由来する。
 ゆえに彼女は戦闘において、本体に由来した数々の兵装を駆使する。
(共鳴・保管庫接続正常/知覚・処理能力強化/無限連環具現化術式起動……)
 此度の戦いにおいて召喚するのは、"不死鳥(フェニックス"と名付けた概念兵装。
(概念制御、効果・対象指定、具現――!)
「キキィ?」
「……舞え!」
 眼前に迫ったエイプモンキーめがけ、浄化と滅殺を併せ持つ炎を放つ!
 その数、実に三十と七つ。上下左右前後からの同時攻撃だ――しかし……!
「キキキキ! どれだけ機能があっても炎は所詮炎ウキ!
 つまり……酸素がなければ燃えることは出来ないウキィー!」
 エイプモンキーが放ったマシンが、三角錐めいた形でユイを取り囲む。
 するとマシン同士の間にエネルギーの線が繋がり、半透明の障壁を形成した!
 途端、内部の気圧が急激に変化していく。これはもしや……!
「私を、真空に閉じ込めるつもり……!」
「ウキキキ! 猟兵にしてはなかなか頭がいいウッキー!」
 見えない壁越しにエイプモンキーはあざ笑う。これが奴の能力か!
 もはや内部の気圧は山脈の頂上付近を越え、人間が生存することのできないレベルにまで変化しつつある。
「く……っ!」
 槍の形状に変化させた星剣の切っ先を振るうユイ。だが障壁は崩せない。
「ウッキッキー! 猟兵も他愛ないウッキー!」
「……!!」
 もはや人型の姿を取っていられない。ヤドリガミとしての限界だ。
 化身がノイズ映像めいたブレるなか、ふとユイはつぶやいた。
『真空にはもうひとつ特性があることを、知っているかしら……?』
「ウキ?」
 ぼぼ、ぼ……と、炎が完全に消滅する。星剣を熱していた炎が。
『低気圧のなかで熱せられていた水が、どうなるか――』
 ……高い山の頂上では、水は100度まで熱さなくても沸騰する。
 つまり沸点が下がるのだ。では真空ならどうなる!?
「ウキッ!?」
『――その身で確かめてごらんなさい』
 SPLASH!! 穂先が分離した瞬間、蒸発し高圧ガス化した水によって、
 星剣の先端部がミサイルめいて射出! エイプモンキーを……穿いた!
「キキィーッ!?」
 もはやユイはヒトの姿を保てない。だが彼女の視覚はたしかに感知した。
 忌々しい怪人に、自らの秘策が一矢報いた瞬間を……!

成功 🔵​🔵​🔴​

三咲・織愛
参ります。

夜星の槍を構え、【覚悟】を胸に
死角からの攻撃には「見切り」で対処
槍の中ほどを持ち体に当て、
梃子の原理を活用しながら槍を速く振り、
身の回りの防御に努めます

考えられるのはこちらの戦意喪失か、
自身の恐怖の克服、でしょうか

生半可な覚悟、していませんから

恐怖に打ち勝つというのは素晴らしいこと
ですが、恐怖とは。その根源とは
不安、心配、恐れ、自身の経験からなる潜在的な未来予測
不安要素を己の勇で祓うならまだしも、
ただ驕るのならば無謀というもの
恐れないということは時に身を危険に晒すのですよ

相打ちになろうと、退きません
ただ、前に
見切り、躱して穿ちます



●挑戦:三咲・織愛の場合
「ウキキィーッ!」
 ふざけた雄叫びとともに、エイプモンキーが連撃を繰り出す。
 織愛は愛槍ノクティスを遺憾なく振るい、これをかろうじて受け流していた。
 だが基礎的な性能が圧倒的に違う。猟兵はユーベルコードの力を持つとはいえ、
 身体的にはそれぞれの種族の基礎的な能力を逸脱しかねるものなのだ。
 ましてや織愛はエルフの少女である。怪人との能力差は圧倒的!
「ウキキキ! 手も足も出ないウキィ? ミーの能力を使うまでもないウキー!」
「それは、どうでしょうかっ!?」
 織愛は牽制のなぎ払いとともにバックステップを打ち、大きく距離をとった。
 両者の只中を、無数の花びらが霧めいて舞い散る。
「たしかに私には、鋼の体や空を飛ぶ翼はありませんけれど――」
 双眸が、ぎらりとエイプモンキーを睨めつけた。
「……それでも、生半可な"覚悟"はしていませんよ」
 織愛の武器は固き信念にこそある。覚悟こそが彼女の超常なのだ……!

「ウキィ!」
 エイプモンキーはつかの間、織愛から放たれる殺気に囚われかけた。
 身も竦むほどの殺気でもって敵を威圧し、恐怖させることで動きを封じる。
 それが織愛のユーベルコードだ。気合だなんだので乗り越えることは出来ない。
「ウキキ……ミーのマシーンは無敵ウッキー!!」
 エイプモンキーが生み出したのは、織愛の意識を強制的に刈り取る電撃マシンだ!
 織愛が死角を取ったマシンを切り払った瞬間、電撃がその身を撃つ!
「……!!」
「ウッキキ! 意識を奪ってしまえば恐るるに足らず……ウキッ!?」
 だが織愛は斃れない! 電撃に撃たれながらもこちらへ進んできている!
 マシンが再び電撃を穿つ! もはや二度目は喰らわないと槍で切り裂いた!
「ウキーッ!?」
「相打ちになろうと、私は絶対に退きませんっ!!」
 なんたる覚悟か。エイプモンキーはこのとき、今度こそ敵を恐れた!
 恐慌のままに振るった拳と槍が交錯し、クロスカウンターを互いに撃ち込む。
 双方痛み分けの形だ。エイプモンキーの装甲はぐさりと穿たれ、
 そして織愛は強烈な攻撃により今度こそ意識を手放した。
 ……一矢報いる。まさに覚悟がもたらした一撃である。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

神酒坂・恭二郎
「俺の刃は何でも斬るぜ」

選択するUCは剣刃一閃。
弱点は刃を当てねばならぬこと。
対策は無数にある。
だがマニアックな対策となれば限られる。

居合いの構えを取る。
本来は不意打ちや暗殺で用いる剣技であり、実は対人には不向きだ。
片手で抜く動作は軌道が限定され、両手の剣には打ち負ける。
居合いより速い技も幾つかある。
マニアックな知識があればご存知だろう。
さて、どんな装置にせよ白兵でこれを潰したい欲求に抗えるかな?
【覚悟、おびき寄せる、力を溜める】

無造作に間合いを詰め。
応じる相手に出足払いで崩しを狙い。
【見切り、カウンター、グラップル】

一閃を放つ。
【早業、クイックドロウ】

「ま、居合いの要諦は剣のみに非ずってね」



●挑戦:神酒坂・恭二郎の場合
「ウキ……?」
 不可解である。エイプモンキーは首を傾げたのも無理はない。
 待ち伏せは想定していた。猟兵は散発的にこちらを襲っているからだ。
 しかし……目の前の男が、すでに居合の構えを取っていたのが不可解なのだ。
「どうした? お前さんの無敵だっていう喧伝は嘘っぱちなのかね?」
 恭二郎は不敵に笑ったまま、目線と口八丁で敵を煽る。
「俺の刃はなんでも斬るぜ。あんたの自慢のマシンとやらもなんでもな」
「たかが居合で、ミーの無敵の能力を超えるというのかッキー!?
 はなもちならないやつだウッキー!」
 マニアック怪人であるところのエイプモンキーとしては業腹である。
 居合――抜刀術としてはフィクションなどでもっとも有名なものだが、
 その実、実戦で用いるには不意打ちを前提とする。
 そもそも、向かい合って座した状態で、相手を一瞬でも疾く斬るための剣だ。
 つまりこうした状況では、よほどの達人でもない限りむしろ不向きである。
 ましてや相手は、強大な力と無敵の能力を持つオブリビオン。
 恭二郎のようにわざわざ構えを晒すのは、下も下というべきだろう。

 ……しかし、それこそが恭二郎の狙いの裡である。
 シンプルな抜刀術、対応策はそれこそ星の数ほどにあろう。
 それを前にして、しかも己の能力を虚仮にされ、ヤツが憤らぬはずはない。
「……いい度胸に免じて、ミーの無敵の力を思い知らせてやるウキ!
 お座敷剣法はしょせん見世物ウキ! ようはより早ければいいウッキー!」
 かかった。エイプモンキーは防御を兼ねた巨大なアームパンチャーを作り出し、
 両腕に装着して構えをとった。しかも大型のブースターまでついている。
 加速力を得たエイプモンキーの攻撃は、居合の一撃をたやすく凌駕するだろう。
 避けて打ったとしても、アームは盾の役割を果たしてしまう。
 詰みである。だが、恭二郎はやはり笑っている。

 前足に体重をかける。エイプモンキーが身構える。
 さらに数十秒……恭二郎は、無造作に一歩踏み込んだ!
「ウッキ……キィッ!?」
 そして見よ! 後ろ足が円弧を描き、がら空きの下半身を払ったではないか!
 途端にエイプモンキーは体勢を崩す……そこへ一閃! 入った!
 ……然り、入った。打撃と斬撃はほぼ同時。ダメージは双方に。
 だがこれまでの猟兵の与えたダメージゆえか、あるいは恭二郎の速度が勝ったか。
 わずかにだが、エイプモンキーのそれのほうが大きい!
「ッ……ま、居合の要諦は剣のみに非ず、ってね」
 血塗れの有様で剣豪は笑う。いかにも凄絶な有様であった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

パーム・アンテルシオ
金竜火。気で炎を作って、呪術で力を力に変換して、ぶつける力。
ユーベルコードでも、炎は炎。原理はそう変わらない。
なら、どう潰すか。
答えは簡単、水をかける、だよね。

準備するものは…サバイバルナイフ。UDCアース産の、鉄製のナイフだよ。
この刀身を…放つ前の金竜火で、思い切り熱する。溶けちゃうほどに。
気を刀身に纏わせて、形は保持して。水が付かないように。
相手の攻撃が来たら。近づいてきたら。
気を解いて…地面に落とす。

高温で溶けた金属を。
水で濡れた地面に。

水蒸気爆発。
そういう現象らしいね。

落とすと同時に離れられるといいけど…
まぁ、そこまで上手くはいかないよね。
ふふ。自爆特攻、そう言われても仕方ない…かな?



●挑戦:パーム・アンテルシオの場合
 中国の五行思想において、世界の要素は五つの元素に分けられる。
 すなわち火・水・木・金・土である。
 これらは相克と相生の関係にあり、どれかがどれかに弱くどれかに強い。
 そして金――文字通り鉄をはじめとした金属のこと――は、火に克され水を生むという。
 パームが選んだアイデアは、まさにその説に則ったかのようなものだった。

 ちろちろと、彼女の周囲に小さな桃色の狐たちが飛び跳ね、踊る。
 だがそれらはよく見れば、正しくは小狐の形をした炎である。
「"金竜火"、って云うんだ。かわいい、でしょ?」
 気と呪術によって生み出した炎の狐たちをはべらせ、少女は笑う。
 一方のエイプモンキーも……また、笑う。猟兵よ浅はかなりと嘲っているのだ。
「ウッキッキ! 何を出してくるかと思えば、ただの炎だウッキー?
 ミーの能力が無敵だとはいえ、いくらなんでもナメてるッキー!」
「……ふふ。そうとも、限らないかもしれないよ?」
 たしかに数は多かれど(パームが召喚・使役した狐火は合計で39体だ)、
 エイプモンキーの云う通り炎は炎だ。それは、パーム自身も理解している。
 だのに彼女が持っているのは、何の変哲もないただのナイフ一振り。
 何が出来るというのか。エイプモンキーは高々と嘲笑する。
「そのよくわからない余裕もぜーんぶ水に流してやるウッキ! ウッキッキー!」
 いつのまにか、パームの背後に放水機めいた大型のマシンが現れていた!
 開口部から吹き出す高圧の冷水! 狐火は回避も出来ずに消火されてしまう!
「水を差す、っていう言葉、知らないのかなっ?」
「それはこちらの台詞だッキー、ウキキィーッ!!」
 パームが高圧噴水を避けたところを見計らい、エイプモンキーが襲いかかる!
 少女はどうしたか――手に持っていたナイフを悪あがきめいて振るったか?
 逆だ。パームは……持っていたサバイバルナイフを、投げ捨てた!
「ウキッ!?」
「水蒸気爆発――そういう現象、らしいね」
 スローモーションじみて、ナイフが地面に……濡れた地面に落下していく。
 狐火でじっくりと熱された、赤く染まるほどに高温を孕んだ鉄が。
 火剋金。相剋の論理は、しかしパームのオーラによって保たれている。
 そして金生水。鉄の表面に空気中の水分が張り付くことから生まれた思想だ。
 金が……ナイフが、水に触れる! 熱が、一気に解き放たれ――!

 KA-BOOOOOOM!!
「ウキャキャーッ!?」
「……っ」
 盛大な水蒸気爆発。エイプモンキーが噴煙の向こうへ消えていく。
 パームとて無傷ではない。あちこちに火傷を負い、地面を転がし擦過傷を負った。
「いた、た……けど、これで」
 自爆じみた特攻。だがそれゆえにダメージは甚大だ。
「無敵の能力……案外、そうでもなかったみたいだね」
 不敵な笑みは、おそらくやつに相当の屈辱を与えたことだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

非在・究子
と、とんでもない、チートキャラだ、な。こ、このゲーム、バランス調整、ど、どうなってるんだ? く、クソゲーすぎる、ぞ。

つ、使うUCは【トライ&エラー】だ。
し、死に覚え、で、相手の攻撃パターンを、学習して、予測、回避する、UCだ。
攻撃、パターンが、毎回、変わられると、いつまで、たっても、攻略、できない。

……や、やられながら、【ハッキング】を、進める、ぞ。
げ、『現実』は、なかなか、セキュリティが、強固な、『ゲーム』、だから、で、出来ることは、少ない。だけど、相手の攻撃パターンを、決める乱数を弄って、見たことのあるパターンに、確定させる、ぐらいだ。
ぎ、ぎひひっ。そ、そのパターンは、さっき、見たぞ!



●挑戦:非在・究子の場合
 それは電脳空間から物理世界へ生み出された新しき生命である。
 仮想存在――つまり、人々の夢と希望が反映されたモノ。
 だからといってバーチャルキャラクターが、みな陽気なわけではない。
 究子はまさにそういう典型的な……ようは陰キャのたぐいであった。
 "現実はクソゲーだ"とは彼女の口癖であるが、
 もともとゲームの世界で生きていた存在にとって、
 それは単に世界に馴染めない輩の愚痴とはまた異なる趣がある。
 決して人目を引く眉目秀麗なわけでも、胸を張れる特別な才能があるわけでもない。
 だが。そんな"クソゲー"をなんとかしようとする根性とやる気に関しては、
 究子はなかなかのものだった。

「ウッキィ……お前、まーた出てきたウッキー? 鬱陶しいッキー!」
 目の前に現れたぽっちゃりとした少女に、エイプモンキーは辟易した。
 覚えている限り、これで49回目だ。なんともしつこい。
「ア、アタシだって、や、やりたくて、リトライしてるわけじゃ、な、ない」
「だったらとっとと消えろウキ! ミーの邪魔をするなッキー!」
 究子はエイプモンキーに挑んでは倒され、挑んでは倒されを繰り返している。
 無論、バーチャルキャラクターとていまでは人間とほぼ同じだ。
 彼女の持つユーベルコード――"トライ&エラー"のおかげである。
 エイプモンキーの怒号にびくびくと身をすくませながらも、
 究子はその場から去ろうとしない。エイプモンキーは舌打ちした。
「どれだけ"死に覚え"しても無駄ウッキー! ミーの創造力は無限ウキー!」
「ほ、ほんと、チートキャラだ、な。ば、バランス調整、どうなってるんだ」
 究子は少しでも時間を稼ごうとする……いじましい努力だ。
「お前、ほんとに邪魔だウッキー」
 心底から見下した声とともに、また究子は死亡(ミス)した。

(……こ、これで、50回、目……)
 システム・フラワーズ内部に密かに設置したセーブポイントで、
 究子は再び再生(リトライ)する。これまでのこともすべて覚えている。
 痛いし、そもそも怖い。なんだあいつ、クソキャラにも程がある。
「で、でも、負けない、ぞ」
 毎度毎度手を変え品を変えやられているせいで、対抗手段は浮かばない。
 クリア不可能のゲームなんてクソ食らえだ。運営仕事しろといいたい。
 ……しかし究子は逃げない。なぜか? 猟兵だからか?
「ア、アタシ、だって……」
「見つけたウキー!!」
「!!」
 エイプモンキー! 奴はついにセーブポイントを発見したか!
「もううんざりだウッキー、お前を今度こそ消し飛ばしてやるウキー!」
 根幹のセーブポイントさえなくなってしまってはどうしようもない。
 奴はハッキング用のマシンを生み出し、究子を消し去ろうとする!

 ……だが!
「ウキ!?」
「ぎ、ぎひひっ」
 なんとも卑屈で少々気持ち悪い、しかし会心の笑みを浮かべる究子。
 当然だ。ハッキングは通用しない! "それはとっくに自分でやっている"!
「お前、まさか!」
「ア、アタシは弱いし、い、陰キャだし、ウ、ウザいかも、だけどな!
 げ、現実(ゲーム)があるなら、ぜ、絶対、クリアして、み、みせるんだ!」
 バトルゲーマーとしての意地。バーチャルキャラクターとしての意地。
 こんな怪人(クソキャラ)の存在を許せない陰キャの意地がある!
「そ、そのパターンは、予測済みだ、ぞ! 乱数調整、せ、成功、だ!」
「ギキィイーッ!!」
 エイプモンキーが怒りの雄叫びを上げる! 究子はすかさずハッキングを仕掛けた!
 現実の位相がほどけ、エイプモンキーの体が、ドット模様めいて分解されていく!
「く、クリアできないゲームなんか、な、ないんだ!
 ア、アタシを……こ、この世界の住人(プレイヤー)を、バ、バカにすんな!」
 断末魔の雄叫び……やがて、エイプモンキーはこの世界から消滅した。
 すぐに復活していることだろう。なにせ現実はクソゲーだ。だが。
「ひゃ、百万回蘇ったって、負けない、ぞ」
 究子は、今日もゲームと戦うのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

富波・壱子
取り出したバナナに拳銃を突きつけて敵に見せつけます
ただのバナナではありません
都心の一流店舗で購入した一本千円以上の最高級品です
私を攻撃するのは構いませんが……弾みでうっかり引金を引いてしまうかもしれませんね
よく考えて下さい

さぁ、このバナナが惜しければ直ちに武装を解除し両手を高く上げなさい

ごねるようであれば躊躇なく引金を引きバナナを粉砕
私は本気です
すかさず二本目を取り出し再度脅迫

これが最後の一本です
跪け
バナナ乞いしなさい
自分はどうなっても構わないからどうかバナナだけは助けて下さいと言うのです
早くしなさい最後の一本も吹き飛ばされたいのですか

無防備になった敵目掛け発砲
バナナは自分で食べます。美味しい



●挑戦:富波・壱子の場合
 なんたることか! 猟兵でありながら壱子は人質を取ったのだ!
 ……人質? いやあまりにもマジな顔をしているので人質としておこう。
 あまりにも卑劣。勝利を得るのは大前提とはいえ、そこまでするのか壱子よ。
 エイプモンキーも、そのあまりのダーティさに戦いていた。
 もしくは、そのあまりの狂ったシリアスさにドン引きしていた。
「これはただのバナナではありません」
 壱子は至極"マジ"な表情で、バナナに拳銃を突きつけている。
 そう、バナナである。別にオブリビオンの仲間だとかではない。
「ウキ……!?」
「わかりませんか。都心の一流店舗で購入した、一本千円以上の最高級品ですよ」
 チャキ。冷たい死神の牙が、無慈悲にバナナを責め苛む……!
「私を攻撃するのは構いませんが……。物事には間違いがつきものです。
 弾みでついうっかり引き金を引いてしまうことも、あるかもしれませんね?」
 おお、なんと空々しい言葉か! 攻撃すればバナナの命はないということだ!
 バナナの命とはなんだろうか?
「よく考えて、慎重に行動してください」
 よく考える必要があるのはどう考えてもそちらのほうである。

 だがエイプモンキーの動きは止まっていた。まさか効果が……あった?
 猿の怪人だからバナナに釣られるなどというあんまりな弱点が!?
「ウ、ウキィ……」
「さぁ、このバナナが惜しければ直ちに武装解除し、両手を高く上げなさい」
「ウキ……」
「……ふう。わかりました、いいでしょう」
 BLAM! 壱子は躊躇なく引き金を引いた! はじけ飛ぶバナナ!
 みずみずしい果実がなんたることに……! しかも彼女は、おお、二本目を!
 スペアがあるなら別に交渉は通用しないのでは、とか言ってはいけない。
「ウキッ!?」
「私は本気です。……そして、これが最後の一本です」
 もはや待ったなしか! 壱子は畳み掛ける!

「跪け! バナナ乞いをしなさい!」
「ウッキィイイ……!!」
「自分はどうなっても構わないから、どうかバナナだけは助けてください!
 ……と、言うのです。さあどうしました早くしなさい。聞こえてませんか?」
 ぐりぐりと銃口をバナナに押し付ける。瑞々しい果実は弾力もいい!
 エイプモンキーは冷や汗をかく。極限の緊張……!
「早くしなさい最後の一本も吹き飛ばされたいのですか」
「…………」
「……そうですか。残念です。なんと愚かなことでしょう」
 壱子は頭を振った。そのシリアスな顔面に豪腕が叩き込まれた。
 バナナもろとも吹っ飛んでいく美少女! む、無惨!
「猟兵やべーウッキー、話が通じねえウッキー……!!」
 エイプモンキーはぞっと冷や汗をかいた。いきなりバナナで脅迫してきた狂人に!
 おお、これこそまさに狂気、対策とかそういう問題ではない……!!

失敗 🔴​🔴​🔴​

夏目・晴夜
「憑く夜身」は影を操るUC、つまり影が無くては意味のない技です
もし一帯が真っ暗になってしまった場合、影が無くなってしまう上に、
私は暗所が苦手なので操るどころではなくなってしまいますね

なので足場の花々にマッチの火を落として燃やし、一定の明るさを確保します
暗くなるより火事になる方がまだマシなので

それと私は日頃このUCで敵の影を片っ端から操っていますが、
別に操れるのは敵の影だけという訳ではないんですよね

今回操るのは敵の影と、この偉大なるハレルヤ自身の影
敵の影は敵の動きを一時的に封じるために、
自身の影は死角反撃マシンの動きを封じるために操ります
では、お楽しみの妖刀【串刺し】ショータイムの始まりですね!



●挑戦:夏目・晴夜の場合
 しゅぼっ……ぽいっ。ごぉおおおお……。
 しゅぼっ……ぽいっ。ごぉおおおお……!
 花々が。咲き誇る花々が、放り捨てられるマッチで燃えている!
 ご丁寧に灯油までばらまいている。目的が変わってないだろうか。
「ウキッ!? お前いきなり何してるウッキーか!?」
「どうです? 明るくなったでしょう」
 どこの成金かな? みたいな台詞をシラフの真顔で吐く晴夜。
 ヤバい。また話の通じない手合いだ。エイプモンキーはぞっとした!
「まさか影を生み出すためにそこまでするウッキーか!?」
「もちろんです。暗くなるよりは火事のほうがマシでしょう」
「し、システムフラワーズが無事ではなくなるウッキーよ!?」
「まさか自爆行動に出るとは、許しがたいですねオブリビオン……!」
 あっこれ完全に会話不可能なやつだ。満月の夜の悪魔とかそういうやつだ。
 エイプモンキーは戦慄した。己の暗黒装置をも無力化するその機転と、
 マジで無表情でやってのける実行力に! シビれたり憧れたりはしない!

 ともあれめらめら燃え上がる炎により、影が消えて失せることはなくなった。
 エイプモンキーはしかしそれでもマシンによって周囲の明度を下げる!
 帳が落ちたかのように暗くなる戦場、エイプモンキーは晴夜に襲いかかった!
「ウキキィーッ! どうあれミーの影を操ることなど出来ないウキー!」
「あ、そうそう言い忘れてました」
 ……実は晴夜の"憑く夜身"は、敵の影だけが操作できるわけではない。
 彼はエイプモンキーの影と、自分……そう、偉大なる自分自身の影を選んだ!
 死角からその動きを捉えようとしたマシンが糸に絡め取られる!
「ウキッ!?」
 エイプモンキーの動きが、錆びた機械めいてぎこちなく止まった!
 そして晴夜は愛用のえだまめ(白柴人形)から恐るべき抜き身の妖刀を受け取る!
「おやおや、どうしましたかエイプモンキーさん?
 そのアホなモンキー脳では、このハレルヤの叡智は見抜けませんでしたか」
「キキィーッ!?」
 エイプモンキーは恐れた……晴夜がめちゃめちゃノリノリなことに!
 妖刀・悪食が、燃え上がる花々の輝きを浴びてぎらりと鈍く輝く。
 照り返される晴夜の顔! 下からライトアップされてるのでめちゃめちゃ怖い!
「では、お楽しみに串刺しショータイムの始まりですね……!」
「ウ、ウッキキィー!!」
 幸いだったのは、肝心のダメージそのものがそこまで大きくなかったことか。
 それでもエイプモンキーへの精神ダメージは絶大だったようだ。
 猟兵、恐ろしい……!!

成功 🔵​🔵​🔴​

鬼灯・ほのか
困ったお猿さんやねえ。でも、自分の技について考えるにはええ機会やったわ。

そうやねえ、うちのこの技は身体能力の増大やけど、不利な行動をせなあかんから、そこが突かれるやろか。でもこのデメリットのおかげで相手の対策も読みやすい気もするんやけど…どないやろ。
ならうちはお猿さんは、私が酒を飲む前に攻撃する技を繰り出すと予想して、ひょうたんから飲もうとするたびに邪魔されて苦戦しているように見せかけ、隠し持っていた、酒を含ませた脱脂綿を「早業」で口に含み十分強化されたら一気に加速してお猿さんを攻撃しよか。無論それまでは強化されてないように振舞いながらやけど。
…いや、自分でも随分お行儀が悪いとは思うとるんよ?



●挑戦:鬼灯・ほのかの場合
 中毒とかそう言うレベルではない、いわば業である。
 体の一部、半身、忘れ留めてしまった魂の欠片。そういうレベルの話だ。
 ……酒である。ほのかにとって、酒はそのレベルの代物なのだ。
 ゆえに禁酒とかそんなことはそもそも考えることすら出来ないし、
 この状況でもあえて、敵を前にして盃を傾けようという興が疼いた。

 であるからして、ほのかは薄く笑いながら瓢箪に手を付けた。
「ウキッ!? もしかして酔拳というやつウッキ? そうはさせんウキ!」
 ぐおんっ! 強烈な拳がほのかを叩き潰そうと振るわれる!
「せっかくの晩酌邪魔しよなんて、困ったお猿さんやねえ」
 もうすでに酔っていそうな声と足取りで、ほのかがこれを避ける。
 そのたびに瓢箪から酒がこぼれそうになり、羅刹は慌ててこれを抑えた。
 からかうような攻防……いや、じゃれあいというべきか。

 エイプモンキーも最初はこれに付き合っていたが、やがで嫌気がさしたらしい。
「ええいもういいウッキ! その酒そのものを戴くウッキー!」
「あんたはんも呑みたいん?」
「酔いどれは黙ってろウキー!!」
 巨大なマジックアームが召喚生成、早業で瓢箪を奪い取る!
 鬼の剣法破れたり! 酒がなければ剣を振るう甲斐もないであろう!
「キッキッキ! ミーはいちいち相手の強化を待ったりしないウキー!」
「ああん、いけずやね……ま、仕方ないわ」
 そう言ってほのかは――奥歯に噛ませていた脱脂綿を、ぐっと噛み締めた。
 ……そこまでやるか。酒が飲みたいからと言ってそこまで!
 とある世界の雪国の住人たちは、禁止されたアルコールを求めて、
 靴磨き用の薬品を凍らせてまでアルコールを抽出したというが(言わずもがなこれで大量の病人や死人が出たそうだ)、
 ほのかのこだわりはまさにそのレベルであった。まるで動力である。
 ……だがそのこだわりと執着こそがユーベルコードの燃料なのだ!
「ウキッ!?」
「んん……っ」
 味気ないがたしかな甘露ののどごしがほのかの体を火照らせる。
 直後、ほのかの姿がぶんっとかき消えた。……増大された身体能力!
「ウッキ!?」
「自分でもずいぶんお行儀が悪いと――思うとるんやけどなぁ?」
 斬撃! 剣閃がエイプモンキーに傷をつける!
「こ、この酔っぱらいめ、ほとほと呆れるウッキー……!」
「おや、お猿さんに道理を説かれるとは思ってなかったわ」
「ウキキィー!!」
 怒り狂ったエイプモンキーの攻撃が、ほのかを捉える!
 ダメージは痛み分け。だがほのかにはあと二、三度は攻撃を放てるだろう。
 鬼とは自由奔放なもの。そう簡単に縛れるわけではないということか!

成功 🔵​🔵​🔴​

ティオレンシア・シーディア
…あたしのUC、技巧を昇華したものだからこういう相手だとキッツいのよねぇ…
ま、出来るだけの悪あがきはしてみましょうか。

あたしの●封殺は、端的に言えば超速の早撃ち。
大体の相手には先の先取れるんだけど…ま、防がれるわよねぇ。
言っちゃえば所詮は拳銃だもの、ちょっと頑丈な壁にでも当たればそこで止まっちゃうのよねぇ。

…ってことで、防壁をブチ抜く方向で対策取ってみるわぁ。
使うのはルーン。これなら弾丸に刻んでもらえば魔術の素養なんてないあたしでも効果あるのよねぇ。
刻むのは、シゲル・ウル・ティール。
シゲルは太陽、ウルは突破。エネルギー収束させてぶち込むわよぉ。
そしてティールは…「不可能を可能にする」よぉ。



●挑戦:ティオレンシア・シーディアの場合
 マニアックな知識による、無限の想像力と創造力を使った応用。
 この手の対抗策は、ユーベルコードが単純であればあるほどやりづらくなる。
 技巧を超常に昇華させた猟兵とは少なくなく、ティオレンシアもその一人だ。
(だから、こういう相手だとキッツいのよねぇ……)
 では挑まずに去るか。……それはフィクサーとしての挟持が許さない。
「ま、出来るわけの悪あがきはしてみましょうか」
 甘い声を持ち女ガンマンは、そう呟いて転移に身を任せた。
 彼女が参戦したのは、戦線も佳境となったときのことである。

「……あたしの"封殺(シールド)"は、まあ端的に言えば超速の早撃ちなのよぉ」
 そしてエイプモンキーと相対したとき、ティオレンシアは。
 あえて自らの愛銃を見せ、そのシンプルな術理を明かしてみせた。
 もちろんそうせずともエイプモンキーはおおよそのところを見破っていたし、
「大体の相手には先の先取れるんだけど……ま、あなたには無理でしょお?」
「ウキキキィ! 自分の分をわきまえているやつは嫌いじゃないウッキー!」
 ご覧の通り、己の無敵の能力に対する適切な自信を持っていた。
 ティオレンシアも、搦め手で上を行く自信はあまりなかった。
(意外な話かもしれないが、彼女はその手の駆け引きをあまり行わない)
「ミーがいま思いついただけで256通りのプランがあるウッキー!
 けど妙な搦め手でミーの不意を付かれたら厭ウッキー、なので――」
 ……エイプモンキーが生み出したのは、巨大なバリア!
 ティオレンシアは知る由もないが、それはラビットバニーの絶対無敵バリア!
 ……を、限りなく模倣した、絶対無敵にどこまでも近い障壁である。
「これでもお前は形無しウキ! ウッキッキー!」
「ああ、やっぱりそう来るわよねぇ」
 かちゃり。ティオレンシアは弾倉に一発一発銃弾を装填していく。
「……ウキ? 何してるウッキー?」
「見てのとおりよ、リロードしてるのぉ」
 かちゃり。かちゃり。装填している。無敵のバリアを前にして。
「……お前、話を聞いてなかったウッキーか?」
「聞いてたわよぉ」
 かちゃり――六発目が、これみよがしにチャンバーに嵌まった。
「"だからブチ抜く"のよ、それがあたしの流儀(スタイル)なの」
 ガンマンの笑顔は、凄絶である!

 だが、ティオレンシアとてまったくの無策ではない。
「ところでぇ、あなたマニアック怪人ならぁ、ルーンって知ってるわよねぇ?」
「ウキッ?」
 銃を構える。弾丸にひとつひとつには古代のルーンが刻み込まれていた。
 太陽(シゲル)。突破(ウル)。そして!
「――勇気(ティール)、ってね」
 BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!! ティオレンシアは躊躇なくトリガを引く!
 バリアは破れない! 当然だ! そういうものを生み出したのだから!
 だがティオレンシアは! ルーンが示すところを愚直に信じるかのように!
 BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!! 決してトリガから指を離すことはない!
「ウキキキキィ!?」
 そしてバリアが……おお、おお! まがい物の障壁が、破れた!
「ウキキィーッ!!」
「――ほぉら、なんとかなっちゃったぁ」
 ティオレンシアは、迫り来るエイプモンキーに会心の笑みを浮かべてみせた。
 それはたしかにやつにとっては、致命傷となりえない交錯ではあった。
 だがそのさまは。"お前はもう終わりだ"と告げる死神のよう。

 そしてティオレンシアの予言した通り、エイプモンキーにとっての死神が来る。
 戦いが終わるときが、近づいているのだ。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ジャガーノート・ジャック
*ロクと

(ザザッ)
(SPDで挑む。"Summon: Arms"を使用。
これは多岐に渡る兵器だ。機関銃、爆弾、レーザーファンネル、果てはパイルバンカー等も召喚・敵への攻撃を敢行する。)
(――が、如何に種類が多岐な攻撃もシェルターじみた"難攻不落の防壁"の前には上手く通らない。これが弱点といえよう。)

(敵のロクへの死角攻撃は本機が相手どる。【経験予知、即ち"戦闘知識"と"見切り"】でロクの死角を把握、"援護射撃"で敵の付入る隙を潰す。)

(防壁が燃え尽きれば遮る物などない。"一斉射撃"にて穿つのみ。)
(相棒の事ならば一番マニアックに識ってる。無言で連携など容易いとも。)

目標補足、攻撃する。
オーヴァ。


ロク・ザイオン
※ジャックと

(「烙禍」は当たらなければ焼き潰せない。死角なんていくらでも。
単純に、近付けないよう撃ち抜けばいい)

(けれど、おれの相棒はとても目がいいのだ)

(【殺気・恐怖を与える】咆哮で威嚇。更に注意を引きつける。
ジャックは援護射撃で手一杯、だと思うか。
こちらに注意が完全に向いたら瞬時に矛先を変える
「烙禍」を叩きつけるのは、射線を塞ぐ邪魔な壁だ)

(一瞬、無言の連携。
互いにしかわからない究極のマニアックである)

射線クリア。
おーば。


……やっぱり。
おれが何するか。わかるんだな、キミは。




 マニアックとは、多くの者が知らないことを知るということだ。
 より深く、より詳しく、より色濃く知っていることこそマニアックである。
 ――その点について、二人は間違いなく互いのことを知り尽くしていた。

 一方で、彼らは互いの本質がどうしようもなく"違う"ことは、知らなかった。

●挑戦:ジャガーノート・ジャックとロク・ザイオンの場合
 BRATATATATATA! BRATATATATATA!! ……SPAWN! KRA-TOOOOOM!!
 車載重機関砲による、秒間数十発の弾雨。さらに燃焼弾(テルミット)投擲。
 最新鋭の主力戦車すら2秒でスクラップにせしめるであろう砲火の嵐。
 それだけではない。爆煙を切り裂くようにして無線誘導された子機が舞い、
 厚さ1mの鉄板すら貫く、超高熱レーザーによる多面同時照射攻撃を行う!
 ZAAAAAAAP!! ……まだだ。まだ足りない。ザリザリとノイズが走る。
 爆煙を砂嵐が飲み込み、ノイズを穿いて巨大なオベリスクが突き出た。
 耐爆シェルター破砕大型杭打機(パイルバンカー)、人の身では扱えぬ暴威。
 馬鹿げた切っ先が叩き込まれ、炸薬が爆ぜてピストンを撃ち込む。
 KRAAASH!! インパクト衝撃が花々を彼方へ放射状に吹き飛ばした!
《――これでも足りないか》
 鋼の豹は冷静に敵状況を認識した。エイプモンキー、ダメージなし。
 攻撃はすべて命中している。彼奴の創造物がこれを退けたのだ。
「ウキーキキキ! お前の生成した兵装の破壊力はミーにはお見通しウキ!
 この防壁は、耐衝撃・対貫通・対熱線に特化した素材で出来ているウッキー!」
 然り。ジャガーノートは無数の兵装を召喚し猛攻を叩き込んだ。
 エイプモンキーはその性能と限界を知っている。マニアックだからだ。
 破壊する兵器があるなら、それを防ぐ防壁もこの世には存在する。
 性能限界を知っているならば、それを作れる。そういう能力なのだ。

 ではジャガーノートは、無益な攻撃を悪あがきで続けているだけなのか?
 否である。爆煙に紛れ走る、赤い閃光こそがその証左である。
「ぅ、う――」
 ロクは唸る。憎み嫌う喝火(かっこ)の聲に、怒りという薪を焚べる。
 燃えよ。燃えて、響かせ、震わせ、獲物を怯え竦ませよ。
 この聲が獣の証なれば、いまは病(てき)を灼くために利用しよう。
 ロクは唸っていた。これまでの戦いが彼女にそうさせていた。
(病は、灼く。迷わない、迷いたくない、おれは――おれは!)
 三つ編みがたなびく。そして腹の底から魂震わせる咆哮を――。
「キキッ!」
《――そうはさせない》
 BRATATATATATA!! ジャガーノートが突然ロクめがけ機関砲を撃った!
 なぜ!? いや見よ、彼女の背後に隠れていたマシンが撃ち落とされている!
「キキィーッ、鬱陶しいウキィ!!」
 不意打ちを妨げられたエイプモンキーが、怒りの一撃を鋼に叩き込む。
 電脳から現界した装甲がべコリと凹み、あちこちから火花がスパークした。
 巨体がざりざりと花々を滑り、砂嵐に呑まれて姿を消す。牽制の熱線!
《――被弾程度計測完了。戦闘続行可能時間、残り180秒と仮定》
 ジャガーノートはボディのダメージを冷静に計算し結論づけた。
 なんたる一撃か。苛立ち混じりの薙ぐような一撃でもうこのざまか。
 もしも彼奴が本気で打ってきたなら。いかな猟兵とて耐えられまい。

 獣と鋼と怪人は、ドッグファイトじみて互いの位置を入れ替えながら、
 ぶつかり、撃ち合い、交錯し、そして互いの意気を潰すように立ち回る。
 エイプモンキーがロクを不意打ちしようとしたなら、ジャックがこれを潰す。
 ロクが陽動をかけようとしたなら、マシンが猛追しロクを引き離す。
 ふたりの連携を決して許さない苛烈な攻撃。生成された防壁による防御。
 つまり趨勢は圧倒的にあちらの側に傾いていて、敗北は時間の問題だった。
 一瞬。潮流を激変させるには一瞬の兆しがあればそれでいい。
 再びの拳撃がジャガーノートを打つ。鋼のあちこちがひび割れ爆ぜたが、
 その下の姿が明かされることは、決してない。怖れることもない。
《――戦闘継続可能時間、残り30秒……》
 このまま手落ちか。凌がれきって無様を晒すか。
 否。敵のこの猛反撃と鉄壁の防御は、裏を返せば奴なりの死守。
 つまり相手も追い詰められている。一手だ。一手あればそれでいい。

 獣の反射神経と動体視力で状況を俯瞰し無意識に行動を選択しながら、
 ロクは思う。今日ここに至るまでの、歩んできた道のりを反芻する。
 それはまるで、死の間際に人が見る走馬灯のようである。
 極度集中と緊張による、脳内記憶のハレーション。浸るべからざる感傷。
 愉快な旅があった。忘れがたい傷があった。苛烈な戦いがあった。
 雄叫び、悲鳴(うた)に酔いしれ、雨に打たれて刃を振るった。
 病(やまい)を灼いた。病葉(てき)を殺した。すべては役目のため。
 役目のため。ととさまのため。あねごのため。人間であるため――。
 灼いた。焼いた。灼いた/殺した、こどもを。噫。救えなかった。そうだ。
(迷わない)
 言い聞かせる。揺らぎかけた己のエゴを、灼けるような熱で融かす。
 いつかの世界で見た、鉄を打ち鍛える職人のさまを思い出す。
 鍛えよ。打て。後悔は読んで字のごとく、今はその時ではないのだ。
 狩人たれ。獣たれ。喉元に食らいつく牙を届かせよ……!!
「――ぅ」
 ロクは足を止めた。自殺行為だった。マシーンが彼女を襲った。
 ざんばらに荒れた髪と肌をかすめ、死の銃弾がそれを穿った。
 今その時、たしかに彼女は聖者だった。誰にも侵されない気高きひと。
 鋼が穢れを払った。そして好機が生まれ――ロクは、腹の底から吼えた。

「う゛ぁ゛――あぁあアァアアあぁあああァアアッッ!!」

 おぞましい聲。ひび割れ、掠れ、歪んで澱んだ忌々しい聲。人でなしの聲。
 だから獣はそれに惹かれる。怯え、怖れるがゆえにこれを消そうとする。
「ギキィイイーッ!!」
 猿(ましら)が飛んだ。ロクに対してのそれは、まさに自殺行為だった。
 ロクは刃(きば)を構える――獲物の喉元を、穿け。切り裂け。殺せ。
(厭だ)
 己の内なる声に抗う。おれは人だと、己が己に言い聞かせる。
(それは、相棒がやってくれる)
 ゆえに牙(やいば)は、鋼を遮る邪魔な防壁を切り裂いた。
 それはたしかにあらゆる兵器の攻撃を想定し創造された鉄壁だったが、
 ロクの烙禍は獲物を燃やし焦がし、以て脆く崩れさせる呪いの烙印である。
 それはいかにも木々が腐り落ちるかのようで、森の番人には似合わない。
 今このときは、それでいい。それがいい。だから射線(みち)が切り開ける。

《――目標捕捉。攻撃する。オーヴァ》
 兵隊(JACK)が砲塔に殺意を装填(ジャックアウト)する。照準。
 トリガに意思(ゆび)をかける。この一撃は己の心の意のままに。
「キ――」
《――相棒のことならば、本機は誰よりも識っている》
 KRIK.BRATATATATATA! BRATATATATATATATATATATATATATATATATATA!!
 砲火(ファイア)、砲火(ファイア)、砲火(ファイア)!
 泣き叫ぶような機関砲の咆哮が響き渡り、ついに敵を撃ち貫いた。
 装甲被弾率88%、残戦闘継続可能時間5.44sec。紙一重のとどめである。
 そして爆煙が燃え上がった。はたしてこれは彼奴の幾度目の死か。

「はぁ、はァ……ッ」
 どっと吹き出した汗を垂らしながら、ロクがへたりこむ。
 無酸素状態で全力疾走を続けたのだから当然だ。しかし彼女は彼を見た。
 相棒を。鋼を――鋼の下の彼を。見て、見つめて、ぽつりと言った。
「……やっぱり」
 声はひそやかに。
「おれが何するか。わかるんだな、キミは」
 キュイン、と赤いカメラアイが少女を見返した。少年の瞳が。
『――勿論。だって……』
 続けた言葉は花々だけが識っている。そして死闘の熱も消えていく。

 ……エイプモンキー、討滅! かくして次なる番人への門が開く!
 誰一人が欠けても、決してありえぬ勝利だったのは間違いない!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月13日


挿絵イラスト