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バトルオブフラワーズ⑨〜貴様の考えはお見通しだウキー!

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #エイプモンキー

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 猟兵たちによる疾風怒涛の進撃によって、6つの『ザ・ステージ』すべてをオブリビオンの手から奪取することができた。これで『システム・フラワーズ』の内部に突入することが可能となる。
 しかし、朗報を伝える田抜・ユウナ(狸っていうな・f05049)の表情は厳しいものだった。
「水を差すようだけど、あえて言うわ。今までのは単なる前座。これからが本当の戦争よ」
 そう言って、プロジェクターを操作して資料を投影する。
「システム・フラワーズの内部は『咲き乱れる花々の空間』で、『花々が集まって足場になる』仕組みになってるんだけど、『足場』の制御を向こうに握られてるみたいなの。どんなルートをたどっても堂々巡りで、第一階層より下に降りることはできない。先へ進むには、階層を守ってるオブリビオンを討伐して足場の制御を奪い取る必要があるわ」
 オブリビオンはすぐに見つけられるだろうが、討伐となると簡単にはいかない。
 関守として配置されたのは、一つのエリアに付き一体。それぞれが、怪人軍団の大幹部だ。世界で五指に入る戦闘力と、たとえ死亡しても復活できるオブリビオンならではの特性を駆使して、攻め入る猟兵たちを返り討ちにしようと待ち構えているのである。
 こちらが取れる作戦は唯一にして単純明快。ひたすら撃破を繰り返し、復活が追い付かない勢いで殺し続けるのだ。
 ユウナ以外にも、多くのグリモア猟兵が討伐作戦を呼び掛けている。敵の命を削り尽くすための準備は整えられつつあった。
「第一階層のエリアボスは、マニアック怪人『エイプモンキー』よ。『自らの想像力が及ぶ限りのあらゆるものを創造する』能力の持ち主で、相手のユーベルコードや戦術を見切り封殺するスタイルを好むわ」
 リモコンを操作して敵の姿絵と使用するユーベルコードの一覧を映し出しながら、ユウナは警戒を呼び掛けた。
「おつむの弱そうな顔をしているけど、絶対に油断しないで。相手は能力・技能・ユーベルコード、その全てにおいて猟兵の最上位を軽々と凌駕するバケモノよ。戦闘におけるイニシアチブは、常に相手が握ることになる」
 対して、猟兵たちの持つアドバンテージと言えば、相手の能力と行動パターンがある程度分かっている、という情報面での優位くらいなもの。
「みんなの実力を疑うわけじゃないけど、今回ばかりは勝てるかどうかも怪しいわ。圧倒的な格上を相手にする、という意味をよくよく考えて臨んでちょうだいね」
 憂慮を隠しもせず、ユウナはくどいほどに重ねて念を押すと、猟兵たちを戦場へ送るためにグリモアを展開するのだった。


黒姫小旅
 どうも、黒姫小旅でございます。
 プレイングによってはひどい目に遭う可能性が高いです。
 手ぐすね引いてお待ちしておりますので、全力で乗り越えていってくださいませ。 

====================
 エイプモンキーは、猟兵が使用するユーベルコードの設定を元に、そのユーベルコードを無効化する武器や戦術を創造し、回避不能の先制攻撃を行ってきます。
(ユーベルコードで無効化したり相殺した後、強力な通常攻撃を繰り出す形です)
 この攻撃は、ユーベルコードをただ使用するだけでは防ぐことは出来ません。
 この先制攻撃に対抗する為には、プレイングで『エイプモンキーが自分のユーベルコードに対抗して創造した武器や戦術を、マニアックな理論やアイデアで回避して、攻撃を命中させる』工夫が必要となります。
 対抗するためのプレイングは、マニアックな理論であればあるほど、効果が高くなります。
====================
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第1章 ボス戦 『マニアック怪人『エイプモンキー』』

POW   :    マニアックウェポン
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【敵に有効なマニアックな装置】が出現してそれを180秒封じる。
SPD   :    マニアックジェット
【敵のユーベルコードを回避する装置を作り】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    マニアックマシン
対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:柿坂八鹿

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ユーン・オルタンシア
アドリブ・連携歓迎

長いといえば長く短いといえば短い人生で得た知識
どこまでお役に立つものでしょう
己を信じて進むのみ
他猟兵の攻撃に合わせ敵の死角から放つなど一応工夫しつつコードを敵に
敵は「全知全能を検索可能な機械」など出し解決すると考え
コード発動の引き金、敵への問は「円周率の数値を最後の一桁まで正確に口頭で答えて下さい」
ええ勿論、答は明快
ですが…円周率の正確な数値は限りがない
現在31兆4000億桁まで計算が進んでいますが
口で言い切るにはこの段階でも33万2千年以上かかるそうです
永遠に答え続けるか傷を負って頂くか
いずれにしても同じ問いでコードを放ち続けますが
それより有用と思えば【援護射撃】を行います




 咲き乱れる花々が造りだすアーチ橋を、ユーン・オルタンシア(森の声を聴く・f09146)は音もなく駆けた。
 細長い耳が機械の駆動音を拾い、射手の眼光が敵の姿を捉える。
 ――見つけた。
 オモチャのようなロボットアーマーを着込んだ猿、マニアック怪人エイプモンキーだ。
 視認と同時に、ユーンは手を打った。
 【賢者の影】!
 足元で並走していた薄い影法師が、いきなり自我を得たかのようにうねったかと思うと、怪人に向かって一直線に伸びていき……
『見え見えだッキー!』
 背を向けていたはずのエイプモンキーが唐突に振り返った。その手中では、神速で動く十本の指がヘルメットのような機械を組み立てている。
『そのユーベルコードは、質問に対して正しい答えを返せばノーダメージ。すなわち、この〈絶対正解ケンサクくん13号〉の出番ウキー!』
 ……センスはさておき、ネーミングから機械の性能を悟ってユーンはほくそ笑む。
 ここまでは、想定内だ。
「では、問いましょう。――円周率の数値を最後の一桁まで正確に口頭で答えて下さい」
『ウキ!?』
 エイプモンキーは瞠目した。
 質問に対する答えは明確で、頭に乗せたヘルメットは即座に正解をはじき出す。しかし、口頭で答えられるものではなかった。
 円周率の数値は無限に続く。たとえ最後の審判が下される日まで暗唱を続けようと、『最後の一桁』には行き着かないのだ。
 果てのない回答を行うか、答えを拒否して傷を負うか。二者択一を迫られたエイプモンキーは、即決した。
『ウッキー。3. 141592……』
 早口に数字を唱え始める猿。
 終らぬことを承知で、回答することを選んだのである。
「ならば、永遠にそうしていてもらいましょう!」
 ユーンは胸の内で喝采を上げる。
 トントン拍子、想定したままに事は進んだ。起こったこと全てが読み通りで――

 ――――……故にこそ悔やまれる。

 気付いた時には、宙を舞っていた。
「っ!?」
 ワンテンポ遅れて、全身がバラバラになるような激痛を知覚する。
 ……何が起こった!?
 必死に視線を巡らすと、右拳を振り抜いた姿勢のエイプモンキーが目に入った。やけにゆっくりと流れる時間の中で、怪人のアーマーに絡みついていた【賢者の影】が剥がれていくのが見える。
『――――53594081……お、もう終わりかウッキー?』
 ユーベルコードが解けたことを感じ取り、エイプモンキーは暗唱を中断する。もちろん、ダメージが入ることはない。
『ウッキキ! 答えながら殴ったらいけない、なんてルールはないウッキー』
 嘲笑う猿顔を最後に、ユーンの記憶は途切れている。

失敗 🔴​🔴​🔴​

バーン・マーディ
残念だ
貴様ほどの猛者であれば我が組織…デュランダルの筆頭としても在りえただろう

対抗
我が英霊召喚は複数を召喚する技だ
故に…貴様はそう選ぶと信じていたぞ

デュランダル騎士達はバーン含めた密集陣形による防御陣形
対殲滅範囲攻撃は密集陣形による防御で威力を減衰させる!
当然だ
殲滅攻撃はどうあろうと攻撃を分散させねばならないからだ

【オーラ防御・武器受け】そしてデュランダル騎士達の護衛も含めた防衛から
【カウンター】で切り裂き【生命力吸収・吸血】と共にデュランダル騎士による猛攻による斬撃斬撃斬撃

縦横無尽に斬撃を繰り返し切り裂き続ける

それはエイプの反撃で倒れるまで繰り返し
貴様は強者だ
故に…我が身崩れるまで続けよう




「……残念だ」
 バーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)は、そう思わずにいられなかった。
「貴様ほどの猛者であれば、我が組織デュランダルの筆頭としても在りえただろう」
『キキッ! ミーは猟兵ごときが率いる組織に納まるような小物じゃないッキー! むしろ侮辱だウッキー!』
 エイプモンキーは怒りに顔を歪ませ、しかし手の動きは迅速にして適切。バーンのユーベルコード【デュランダル騎士団招来】が”発動する前”に、すでに対策用の【マニアックマシン】を造り上げていた。
『大勢の亡霊を召喚するユーベルコード。数を増やせば単体の戦闘力が下がるのが道理だッキー。それなら……』
「殲滅範囲攻撃。……そう選ぶと信じていたぞ」
 現れたマシン――バーンが呼び出す英霊騎士と同数の矢を載せた巨大な魔改造ボウガンを見て、自身の読みが当たったことを悟った。
 ……召喚術が完成する。
 骸の海より馳せ参じたデュランダル騎士団は、すでに陣形を固めていた。
 制圧射撃を念頭に置いた、密集防御の陣。
「手数を増やせば、一撃の威力は下がるのが道理。貴様が言ったことだ!」
『ウキ……な、めるなァ!』
 わずかにひるんだのを誤魔化すように、エイプモンキーは怒鳴ってボウガンを乱射した。放たれた無数の太矢には操縦機構でもついているのか、それぞれが狂ったコウモリのように無茶苦茶な軌道で飛翔し、英霊騎士の死角に回り込んでは一体ずつ射抜いていく。
 一射一殺。ボウガンの威力はエイプモンキーの望み通りだったが、それが仇となった。
 ……一殺では、とても足りない!
 一カ所に密集した騎士たちには突くべき死角が少ない。仲間のカバーが利かない外縁の騎士が矢を受けて倒れていくが全体としての被弾率は低いもので、彼らの歩みは決して止まらなかった。
「かかれ!」
『『『応ッ!』』』
 仲間の屍を超えてついに敵の元へとたどり着いた英霊たちは、リーダーの号令を受けて鬨の声を上げた。
 混沌の槍や、騎士団の名でもある不滅の魔剣を手に、ロボットアーマーを貫き斬り裂いていく。
『虫けらがァ! 散れッキー!』
 エイプモンキーはボウガンを振り回し、英霊騎士を殴り飛ばして消滅させていくが、そのアーマーからは少なからぬ煙や異常音が立ち上った。

成功 🔵​🔵​🔴​

アシェラ・ヘリオース
戦闘用に加え広範囲に索敵の能力を持った黒騎ユニットを展開する。
相互に視界を補う事でおよそ死角と言うものが無いようにカバーする。
これが布陣と言うものだ。
【戦場知識、撮影】

「そんな甘い相手ではあるまい?」

正面にエイプを見据え、おもむろに足元から分厚く【オーラ防御】、更に地中に赤い光剣を【くし刺し】にする。
上空地上全ての死角を部下達で潰した以上、残る死角は足元だけだ。
タイミングは対峙するエイプの呼吸から洞察した。【情報収集、失せ物探し】
まぁ【祈り】に近い部分もあるので結果は分らない。

「やれ」

上手くいけば、部下達に命じて周囲を囲んで二重三重に波状の十字射撃。
私も軍刀を抜き、連携して奴を仕留めに行こう。




「――こい」
 アシェラ・ヘリオース(ダークフォースナイト・f13819)の呼び声一つで、135体にも及ぶ騎士ユニットが召喚された。それぞれが戦闘能力と広域偵察能力を備えた、アシェラの頼れる部下たちである。
「……やつらの軽薄さまで込みで再現したAIだがな」
 皮肉げに唇を歪めて、アシェラは黒鋼の騎士たちを配置。それぞれが視界を補い合うようにして、戦場全体に索敵能力を行き渡らせる。
『なかなかやるなウッキー。これでは、さすがのミーもどこから攻撃したらいいのかさっぱりウッキー』
 死角の一つもない完璧な布陣に、さしものエイプモンキーも感心するが、言葉の裏に白々しいものを見て取り、アシェラは鼻を鳴らして……
「やれ」
 やはり一言。
 その合図で、百を超える騎士ユニットが一斉に動いた。
 赤い光剣を展開して地中へ深々と突き立てると、足場を構成する花々の隙間で何かが爆砕した。
「あなたのユーベルコードは死角からの反撃が前提。黒騎ユニットで上空と地上を完全に掌握した以上、残されているのは地中だけだ」
『ぐ、ぬぬ……ミーの不意打ちを読んでいたとは』
 奇襲にも失敗し、エイプモンキーは悔しそうに唸って……
『……なぁんてウッキー!』
 ニタァ、とイヤらしい嗤いを浮かべた。
 BaBaBaBang!!
 突如、地表の花々が爆ぜた。
 こんどはアシェラの意思と関係なく、勝手に地面が爆発しては小さな破片が飛び散って周囲の騎士たちを粉砕していった。
「な、なんだ!?」
『ウッキャキャキャ!!』
 想定外の事態に戸惑うアシェラに、エイプモンキーは呵々大笑する。
『説明しよウッキー! これはミー特製マシン〈百裂行進自爆隊〉だッキー』
 ……名前読みづらい。
『つまり、敵の足元に這い寄って、自爆して、たくさんの破片を撒き散らして攻撃する小型メカの群れだッキー。威力は度外視で、ただ攻撃範囲と大量生産だけを念頭に置いてるッキー。ユーの召喚した騎士ユニットは、数こそ多いけど耐久力はぺらっぺら。しょぼい小型メカでも、自爆ひとつで範囲内を一網打尽にできるウッキー!』
「くそっ、甘く見ていたつもりはなかったが……」
 ユーベルコードの性能を見切る眼力と、的確に弱点をついてくる発想力。『死角から反撃してくる』という点にばかり気を取られて、その他の対策を失念していたのは痛恨だった。
 初手の布陣が効いていたので全滅こそ免れたが、予想以上に数を減らされた騎士ユニットでは攻勢に出る余裕などどこにもない。
 やむなく、アシェラは騎士たちに牽制射撃を命じながら撤退を決断したのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

大神・零児
敵行動予測
【自身からレベルm半径を覆う自分の意識】意識範囲拡大を封じる
【それを用いた対象全員の意識に触れる感覚】自身の意識を隠すかダミーを掴ませる
【その感覚により敵意を可視化し回避する意識】敵意を隠す

だが、敵意以外の意識すら創造物や所持していたありとあらゆる物に乗り移るし無機物にも存在を保つための意識はある
システム・フラワーズの花も

UC全開
俺の意識拡大を封じるなら俺の意識に触れなければならない
ならば封じようとしている意識に俺の意識を這わし、敵の意識がつながっている創造物やエイプモンキーが乗り込んでいるメカ、又はシステム・フラワーズの花の意識にも俺の意識を這わせ、それらの意識の波を読み回避と攻撃




 ユーベルコード【無双の意識】。
 氣のコントロールを極めた大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)だからこそ到達した、第六感を超えた先にある領域。
 その性質を、エイプモンキーは即座に看破した。
『見切ったウキー! ユーの技は大きく分けて三段階あるッキーが、完封してやるウキー! 』
 ロボットアーマーの太い指が信じられないほど繊細かつ俊敏に動き、瞬く間にマシンを造り上げた。
『名付けて〈意識なんてなかったクン初号機〉。さっそくポチっとな!』
 三つのラッパを組み合わせた、スクラップビルドのような外見のマシンから、三種類の音色が流れ出る。
「……くっ!?」
 零児は呻いた。
 ユーベルコードによって周囲に広げた意識が、音の結解に圧迫されて押し戻されるのを感じる。ジャミング音波によってエイプモンキーの声が脳内で反響し、意識を読むどころではない。轟音で気が遠くなり、相手の敵意を可視化させるどころか感知することもままならなかった。
 ……このままでは、押し切られて潰されてしまうだろう。
 歯を食いしばって耐えながら、零児は必死でユーベルコードの維持に集中した。
「こ、この程度の対策は、想定内だ!」
 意識を封じ、掻き乱してくる邪音を努めて無視し、意識を下に向ける。
 足場を構成する無数の花々。聞けば、これらの制御権はオブリビオンたちが握っているそうではないか。
 浅からぬ繋がりを持つ花々には、主であるエイプモンキーの意識が乗り移っている。
 ジャミングを受けながら、しかも花々を経由して意識を読むのは困難を極めたが、零児の類まれなる集中力が、ついに”それ”を捉えた。
 ……攻撃が、来る!
 真正面からの攻撃意思を感知して、零児は手中の妖刀を構えた。
 ロボットアーマーの鉄拳と、魂を喰らうという妖刀の刃が交錯し――……
 ガギィィィイィンン!!
 凄まじい衝突音の後、吹っ飛んだのは零児の方だった。
「ぐ、アアッ!?」
 ……速い!
 花弁を散らして転がりながら零児は驚愕し、そして歯噛みした。
 今の打ち合い、わずかに初動が遅れた。理由は明白、ユーベルコードへの対抗に頓着しすぎて、その後の行動についてほどんど考えていなかった。土壇場でそのことに気付いて、ほんの一瞬だが太刀筋に迷いが生じたのだ。
 エイプモンキーのマシンを回避し、こちらの攻撃を命中させる。どちらが欠けていても、勝利には届かない。
「これが、世界で五指に入る実力者か……グフッ!?」
 呻き声とともに、零児の口から血反吐がこぼれた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アイ・エイド
攻撃が飛んできたら
出来るだけ持ち前の俊敏さで避けたり毒で溶かしながらガードをとるぜ!

隙あらば
土に還れェ!ってオブリビオン用の痺れ毒入り瓶投げつける!外れても敵へ悪態吐きながら隙みてまた投げつける!

確かにこの技は初撃が当たんねェと意味ねェが…なァサル
毒舌って言葉を知ってっか?
明確な殺意は精神を傷付ける毒だ!
手前ェはずっと攻撃を食らってたんだぜ?
悪態の対象はオブリビオンしかいねェから、味方にゃ効かねェ。
だから高威力で効果倍増の精神毒を霧状に発生させて広げる!カモフラージュ用の痺れ毒も全く意味がねェ訳じゃねェさ
散らばった毒
空中にも存在する毒
全部避けきれるとでも?
その想像力、ブッ壊してやる!!




「土に還れェ!」
 アイ・エイド(腐れ人狼・f10621)が威勢よく投擲した小瓶が、エイプモンキーのロボットアーマーに命中し、中の液体を撒き散らした。
 しかし、自慢の対オブリビオン用痺れ毒は何の効果もなく、無為に超合金ボディを濡らすだけだ。
『ウッキャキャ! 毒攻撃が命中すると、それを何倍にも強めた毒で追撃するユーベルコード。そんなものは、この<一吠え解毒ドッグくんMK-Ⅲ>で万事解決ウッキー!』
「ネーミングくそかよ、死ねくそ猿!」
 口汚く罵るアイだが、その表情は苦々しい。
 先程から毒入りの瓶をいくつも投げているが、まったく効いている様子がない。すべては、敵が召喚した犬型メカの仕業だ。
『<解毒ドッグくん>は高感度の臭いセンサーでユーが持ってる毒物を解析し、特殊な音波を乗せた吠え声でもって毒素を分解するウッキー。ユーが投げた毒物は、命中するころには毒ではなくなっているから、追撃も発生しないってワケだッキー!』
 自慢げに講釈を垂れて、エイプモンキーは凶悪に嗤った。
『……そして、お遊びはここまでだッキー』
 直後、アーマー脚部が駆動した。
 機構が唸りを上げて、花々が造る足場を蹴って猛進――したと思ったときには、すでにアイの鼻先まで迫っていた。
 恐るべきスピード。俊敏さに自信のあったアイだったが、逃げる暇もなく首根っこを押さえつけられる。
「くあっ!? ……ンの、不細工なツラ近づけてんじゃねェよ、放しやがれ!」
『キキッ、元気だけは一丁前ウッキー。その毒舌がいつまで持つか楽しみ……ん、”毒”舌?』
「……へっ、察しがいいじゃねェか」
 今度は、アイが笑う番だ。
「そうとも。手前ェは調子こいてた間もずっと、毒を”聞いてた”のさ!」
 悪意のこもった言葉というものは確かに精神を傷つける、毒と呼んで差し支えないものである。
「しかも、言葉ってのはニオイもしないし化学的に分解できる物質でもない。手前ェのワン公じゃ防げねェ!」
『そ、その発想はなかったウキー!?』
 愕然とするエイプモンキーだが、驚いている暇はない。毒の”口撃“を受けていたということは、すでにユーベルコードの条件は満たされているのだ。
「効果倍増の精神毒を喰らいやがれ!」
 アイの罵倒程度は刺さりもしない微毒。しかし、本命の次撃は違う。面の皮の千枚張りを貫通して大穴を開ける猛毒だ。
『ウ、ウギャ!?』
 猿の顔が苦悶に歪み、押さえつけていた手の力が緩んだ一瞬の隙を突いて、アイは拘束から脱した。
 掴まれていた部位は痛むが、まだ動ける。敵にもそれなりのダメージを与えられたし、結果は上々だ。
「ぎ、ギリギリだったが、狙い通りにハマったな。ざまあみやがれ」

成功 🔵​🔵​🔴​

ナミル・タグイール
何でも作れるって最強にゃ!?金ぴか作り放題にゃずるいにゃ!?
ナミルのために金ぴか作り続けろにゃ!

戦法は欲望のまま突撃にゃ!金ぴかだせにゃ!よこせにゃ!
相手が金ぴか作り出せるってのを知った上で【満たされぬ欲望】発動
敵が金ぴか出して満足させようとしても想像を超える強欲さで満足してあげないにゃ!
もっとにゃ!もっと出せにゃ!!
金ぴか出してくれないなくても満足しないにゃ!出させるにゃ!
他の何かでUC封印されても【呪詛】はそのままにゃ!
捨て身で突撃して呪いの斧でざっくりにゃ。
致命傷だけは野生の勘で回避したいにゃ。
強欲の呪いで自己強化と思考を妨害する呪いをじわじわ与えるにゃ。
消えるまで金ぴか出し続けろにゃ!


テラ・ウィンディア
対策と戦術を展開させるか
それは…おれが求めてやまない物だ!

事前
此処までの戦闘記録を徹底的に確認
【戦闘知識】も踏まえ
特に見取り図さえ使い攻防の記録を徹底把握

対策
ああ、そうだ
この技は過去の斬撃を再現させる
ならば…させなければいい
論理的だ

おれも考えた

恐らくおれの動きを封じる為の兵器を使うだろう
【見切り・第六感・残像】を駆使して回避を試み
避けれなくても
激しい闘いのあった位置に捕


だが…黒騎士アンヘルの絶技は…この程度で…破れて良い訳がないだろう!

エイプモンキーの此処までの戦闘での攻防におけるバーン(主に激しい猛攻が繰り広げられたと予想)や他の猟兵やエイプ自身の攻撃全てを刃として再現!

斬斬斬斬斬斬斬斬!!




 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)のユーベルコードは、とある騎士の模倣である。
 確定した過去を操る能力を持つ銀河帝国一のフォースナイト。彼が用いた技のひとつで、『空間に刻まれた斬撃』を出現させるというものだ。
『そのためには、まずは空間に斬撃を刻んでおかなきゃいけないウッキー! 行け、〈ふわもこコーディネーターくん零式〉!』
 エイプモンキーはテラが戦場に現れたとほぼ同時に彼女の技を見切り、目にも留まらぬ早業でくみ上げた人型マシンをけしかけた。
『ンふ、いいワ。かわイクしたげチャう☆』
 もこもこセーターを着た髭男の形をしたマシンがトランク片手に飛びかかり、一陣の風が吹いたと思ったら、すでに作業は終えている。
「な、なんだこれ!?」
 思わずテラは叫んだ。全身がフワッフワのモッコモコになっているではないか。
 ポニーテールに纏めた黒髪も、細長いエルフ耳も、胴体から指先爪先、装備品の一つにいたるまで、ファーとかフリルとかポンポンとかで飾り付けられている。
 かわいいけど、暑苦しいし動きづらい。
『ウッキッキー! ユーが身に付けてる物すべてをモコモコにしてやったウッキー! どんな武器を持ってきたところで、ファンシーふわもこアイテムになるから、『斬撃』を行なえない。つまり、ユーベルコードを発動するための準備行動ができないんだッキー!』
「ふざけてるようで、これはなかなか……」
 実際に刀を抜いてみても、すぐに刃がリボンだらけにされてしまった。これでは、豆腐だって斬ることはできない。
 テラはなすすべもなく、ふわもこに飲み込まれていく……

「ニャッハー!」
 代わって飛び出したるは、毛長の黒ネコ。ナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)である。
『ユーが使おうとしてるのは、巨大化してパワーアップするユーベルコードだッキー! そのエネルギー源となるのは「黄金への渇望」。だったら、黄金をプレゼントしまくって満足させてやれば無力化するはずウッキー! 喰らえ、〈無限宝箱くん8代目〉!』
「……にゃ?」
 投げつけられた宝箱を反射的にキャッチして、ナミルはパチクリと瞬いた。
 蓋を開いてみると、中からは大判小判がざっくざく。
「わーい金ぴかにゃー! わっ、わっ、いくらでも出てくるにゃ!!」
 ナミルは大喜び。宝箱からは黄金があふれ出て、いくら取り出しても決して底が見えてこない。たちまちのうちに、周囲には金銀財宝の小山ができた。
『ウッキキ、たわいもないヤツだッキー』
 もはや、彼女は脅威たりえない。エイプモンキーはそう判断して背を向け……
「もっと寄越せにゃー!」
『ウキッ!?』
 その背にナミルが襲いかかった。
『そ、その宝箱からは黄金が無限に出てくるウッキー! 何が不満だウッキー!?』
「なんでもいいから、もっと出せにゃ!」
『会話しろッキー!?』
 オッドアイをぎらつかせる巨大猫に、エイプモンキーは焦りながらも意外に俊敏な動きで妖しく光る大斧を回避しながら、第二第三の宝箱を作成した。
『〈9代目〉〈10代目〉! これで満足だろッキー!?』
「ニャッハー!!」
 新しい宝箱を手に入れたナミル。さっそく中から無限に溢れる宝物を積み上げて悦に浸り……
「もっと寄越せにゃー!!」
『無限ルゥゥゥゥゥプ!?』
 渇望とはすなわち、飽くことなく欲しい欲しいばかりの感情。いつまで経っても満たされることはない。まるでザルに水を貯めようとするようなもので、どれだけ注いでも空っぽのままなのだ。
『だからこそ、仏教においては十悪のひとつ「貪欲」として強く戒められてるッキーが、ちょっと異常じゃないかウキ?』
「ちなみにナミル、ブースト付きで強欲の呪いが掛かってるにゃ」
『そのせいかウキー!?』
 謎が解けた時にはもう遅い。
 財宝を与えられてもナミルの欲望は尽きるどころか増すばかり。もっともっとと欲しがって、その感情に比例して身体サイズもどんどん大きくなっていく。
 元のサイズの三倍はあろうか。黄金に目がくらみ、渇望のままに暴れまわる恐ろしくも悲しい怪物だ。敵キャラみたいとか言ったらいけない。
「金ぴか出せにゃー!!」
 ナミルは咆哮しながら、大斧を振り回した。
 漆黒の体躯が躍り、剛刃が風を断つ。黒と金の嵐と化したナミルは、まさに破壊の権化。
 しかし、敵もさるもの猿そのもの。とんぼを切って横薙ぎの一太刀をかわし、返しの逆袈裟も軽やかなステップで回避する。
『ここまでパワーアップされたら、流石のミーでも耐えられないッキー。しかァし、そんな単純な太刀筋じゃ当たらないウッキー!』
 ユーベルコード打消しには失敗しても、エイプモンキーはいまだ余裕の表情でナミルの猛攻を避け続け……
「――――……そうか、耐えられないか」
『ウキ?』
 不意に声が割り込んで、
 ――断!
 何の前触れもなく出現した『斬撃』が、ロボットアーマーの右腕をぶった斬った。
『な、なんだウッキー!?』
 落ちた右腕を左手で掴んで、ガシャ! と傷口に当てがい高速で溶接しながら、エイプモンキーは困惑し、そして気付いた。
 虚空から斬撃だけを出現させるユーベルコードと、その使い手――テラ・ウィンディアの存在に。
『ま、まさか!?』
 テラの存在をすっかり忘れていたエイプモンキーが驚愕と共に顔を向けると、動きを封じられていた少女が会心の笑みを浮かべているのが目に入った。
『うふン、とってもかわイクなったわ☆』
 隣では猿特製マシン〈ふわもこコーディネーターくん零式〉が、もっとイイ笑顔でサムズアップしてる。
 テラは全身をモコモコで覆い尽くされて、ポニーテールだった髪は両サイドでドーナツ状に巻かれていた。なんだか、巻き角の羊みたいである。
『馬鹿な!? ユーの技は事前に斬撃を仕込んでおかないと意味がないはず。その格好で、いったいどうやって!?』
「確かに、おれは見ての通り完全に動きを封じられた。だけど、刃を振るうのはなにも、おれ自身である必要はない!」
 もこもこセーターの髭オヤジにされるがまま、ファンシーな羊さんに変えられていく間も、テラは戦場を観察し続けていた。
 ナミルがぶん回す大斧の軌道を見切り、記憶に焼き付け、そうして斬撃が刻まれた空間にエイプモンキーの体が重なった瞬間にユーベルコードを発動したのである。
「我が悔恨、我が無念……銀河帝国巨頭、黒騎士アンヘルの絶技だ。猿知恵ていどで破れると思うな!」
 次々と虚空から出現する斬撃は、エイプモンキー自身が耐えられないと白状する必殺の斧刃が生み出したものだ。
 一斬とて受けられないと慎重に回避行動を取るが、そこへ斧の主たる巨大猫が迫る。
「ざっくりニャッハー!」
 大上段からの真っ向唐竹割り。
 落雷のごとき縦一閃から逃れようと、エイプモンキーは体を捌こうとして……腰に殺気。
 ほんの十数秒ほど前。ナミルが放った横薙ぎが、すぐそこにあった。テラが猛禽のように目を細め、わずかでも触れようものなら瞬時に過去の斬撃を出現させようと待ち構える。
 逃げられな……――――
 ギャァイイィィィィィィィンンッ!!!
 悪魔のような斬断音が響き渡り、超合金のオモチャのようなロボットアーマーが十文字に斬割された。

   ***

「……やった、のか?」
 ふわもこデコレーションから抜け出して元の装束に戻ったテラは、静寂が訪れた戦場を見渡した。
 豪快に四分割されたロボットアーマーに歩み寄り、エイプモンキーの死亡を確認して、ようやく勝利したという実感がわいてくる。
 ……際どい戦いだったと思う。
 テラだけでは、パワーが足りなかった。ナミル一人では、追い切れなかった。
 二人の能力と戦術が綺麗に噛み合って、互いに実力以上のパフォーマンスを発揮できたからこそ、かの強敵を討ち取ることができたのである。
 少しでも力及ばなければ、取り逃がしていた。
 示し合わせたわけでもないのに、理想的な同行者を得られた幸運をしみじみと噛みしめ……
「ギニャァァァァァ!!?」
 突然、悲鳴が上がった。
 何事かと振り返ると、ナミルが地面に突っ伏している。
「金ぴかが全部なくなっちゃったにゃぁぁぁぁぁぁっ!!?」
 エイプモンキーが作り出した、無尽蔵に黄金を出し続ける宝箱。それが、金貨の一枚も残さず消滅してしまったのだ。
「それは、まあ。ユーベルコード製なんだから、術者が死ねば消えてもおかしくはないだろうが……」
「ヒドイにゃー! あんまりにゃー!」
 おろろ~ん!
 ナミルの慟哭が、システム・フラワーズの内部に響きわたった。
【END】

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月10日


挿絵イラスト