バトルオブフラワーズ⑨〜キミだけの冴えたやり方~
●花畑の猿
システム・フラワーズに至る道を塞いでいた6つのステージは、猟兵たちの奮闘により無事制圧された。これでようやく、メンテナンスルートを通ってシステム・フラワーズの中枢へと乗り込むことができる。オブリビオンたちは隙あらばステージを取り返そうとしてくるため油断大敵だが……攻め込める瞬間を逃すこともない。
そう意気込んでシステム中枢へと踏み込んだ猟兵たちを迎えるのは――サル目(霊長類)ヒト上科の猿を名乗るエイプモンキーというオブリビオンであった。
●ユーベルコード論争
グリモアベースにて。ニコラの背後には咲き乱れる花を足場とするシステム・フラワーズの内部空間と、その足場の上を跋扈する1人――もしくは「匹」――のオブリビオンの姿が映し出されていた。
「システム中枢に至る第一関門、幹部級オブリビオンのマニアック怪人。それがエイプモンキーよ」
クローズアップされるオブリビオンの姿。マッシブなマシンボディに猿の頭が据えられたその姿は見方によればファンキーでチャーミングかもしれない。しかし、そのオブリビオンを倒さなければシステムのより奥へ至るための道は開かず、花の足場は常にエイプモンキーの元へと繋がり続ける。いわば、門番だ。
「エイプモンキーの持つ能力は、あふれる想像力とそれを具現化するユーベルコード……その上、非常にマニアックな知識を持っているから生半可な攻撃はほとんどが迎撃されてしまうわ」
げぇ、と猟兵たちが顔をしかめる。ニコラの説明は猟兵側の放つ攻撃はほとんど無効化され、その上で一方的に殴られるというのと同義だからだ。
「――とはいえ、突破する道がないわけでもないわ」
そうでなければ猟兵たちを招集するわけもない、とニコラは言葉を区切る。
「……エイプモンキーの想像力を上回りなさい」
いったいどんな解決策が提示されるのか、とかたずを呑んだ猟兵たちは揃って首を傾げた。
「補足するわね? ……いくら想像力豊かで、それに基づいた理論であなたたちのユーベルコードを無効にする装備を作ってくるとはいえ――」
――ある特定のユーベルコードに最も詳しいのは、そのユーベルコードを扱う猟兵自身である。
「特に、独自のユーベルコードを扱う方なら判ってくれるかしら? このオタクメガネザルの言う論理は、所詮妄想で描かれたこじつけの反撃よ。だったら、そんな『間違いだらけ』で『穴だらけ』の迎撃なんて、あなたたちの情熱とユーベルコードへの理解でぶちのめしてあげなさい!」
ぐっ、と拳を握り熱弁を振るうニコラ。
そう、彼女の言う通り、ユーベルコードとは「各個人の能力が昇華された独自性の強い技」である。エイプモンキーの想像力がいかにたくましいとはいえ……それが「実際にユーベルコードを使って得た知識やフィードバック」でない以上、付け入る隙はいくらでもある。
「けれど――相手の迎撃をくぐり抜けて、ようやく勝負の土台に乗れるかどうか、というところよ」
システム中枢を守る関門だけあって、ユーベルコードを用いない通常攻撃も十分に強力。相手のウンチクによる迎撃を乗り越えることは戦うための第一歩でしかない。
「……オブリビオンは花の足場を転々と移動しているわ。捕捉した地点に直接ゲートを開くから――あなたたちの渾身を披露してきなさい!」
袖布を鳴らしながら拳を突き上げるニコラ。いつもの笑顔ではなく、戦場に向かえない自分の分まで熱意をもってオブリビオンを叩いてきてくれと気炎を上げて猟兵たちを送り出すのだった。
Reyo
はじめましての方ははじめまして、そうでないかたはいつもありがとうございます。Reyoです。ついにシステムフラワーズへの第一歩が開かれましたね。
さて、本シナリオでは以下の特殊ルールがあります。
====================
エイプモンキーは、猟兵が使用するユーベルコードの設定を元に、そのユーベルコードを無効化する武器や戦術を創造し、回避不能の先制攻撃を行ってきます。
(ユーベルコードで無効化したり相殺した後、強力な通常攻撃を繰り出す形です)
この攻撃は、ユーベルコードをただ使用するだけでは防ぐことは出来ません。
この先制攻撃に対抗する為には、プレイングで『エイプモンキーが自分のユーベルコードに対抗して創造した武器や戦術を、マニアックな理論やアイデアで回避して、攻撃を命中させる』工夫が必要となります。
対抗するためのプレイングは、マニアックな理論であればあるほど、効果が高くなります。
====================
以上のルールがあるため、使用するユーベルコードを絞り、プレイングにはコードの設定を書き散らす勢いで語っていただけるとエイプモンキーと渡り合えることでしょう。しかし「え~それ本当でござるかぁ?」な部分があるとエイプモンキーは容赦なくそこを突いてきますのでご了承ください。
それでは、皆様の熱意がこもった渾身の一撃をお待ちしております。
第1章 ボス戦
『マニアック怪人『エイプモンキー』』
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POW : マニアックウェポン
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【敵に有効なマニアックな装置】が出現してそれを180秒封じる。
SPD : マニアックジェット
【敵のユーベルコードを回避する装置を作り】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : マニアックマシン
対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
リュシール・ミラー
ついに首謀者一座とのご対面だ。さて、気を引き絞っていかなければね。
行く前に道化くんに催眠術を施しておこう。小瓶に入れた真水を恭しく取り出して「これはとても特別な薬だ。飲むとその身はとても強靭となり、四肢をもがれようと頭部を削がれようと心臓をえぐられようと生きられる。また、どこぞの神話のようにどんなに体が破壊されても一日寝て保管してある槌で叩けば元通りだ。さあ、飲み給え。復活の効果が出れば薬の効果は切れるが、大丈夫」と飲ませる。元々道化くんは死んでるし、動くと思っている限り動くことができる。再召喚すれば元通りさ。彼自分の得になることはすぐ信じるしね。さあ、攻撃を受け、身を削がれても暴れてくれよ?
●死なずの道化
転移ゲートを抜けたとき、リュシール・ミラー(ダンスマカブル・f14809)は既にユーベルコードを発動させていた。コード名は「滑稽なる乱入者」――死を自覚していない道化を呼び出し使役する、いわば召喚型のコードである。
「早速、来たウッキー!」
花の足場が蠢きミラーを迎え入れるのを見てエイプモンキーもまた猟兵の存在を悟り――オブリビオンとしての本能からどちらが猟兵かを見抜くと即座に背についたウィングを掴んだ。
「ええ、来ましたとも、愛しのオブリビオン……!」
「芝居がかった口調ッキね! ――お前のユーベルコードは召喚型と見るッキ! ならば定石があるウッキー!」
ぶん、と投擲されたエイプモンキーの翼が複雑な軌道を描きミラーへと迫る。なるほど、エイプモンキーの想像力によって能力を付加されたソレは、相手の死角へと飛び急襲を仕掛ける刃と化しているらしい。道化ごとミラーを引き裂こうとするその刃を道化が身を挺して受け止めた。
ぶちりぶちりと道化の足が千切れ、なんとか軌道を逸らすことに成功。一見すれば、召喚した霊を犠牲にしてエイプモンキーの先制攻撃を防いだように見えた。
「召喚型のコードを使うイェーガーはだいたい本人は攻撃能力を持たないッキ! これでお前は俎板の上の鯉……!」
「果たして、どうでしょうかね?」
もはや戦闘能力もないように見える道化を一瞥し、ミラーは意味ありげに肩を竦める。戻ってきたウィング・ブーメランをキャッチして背負いながら、やけに自信満々なミラーの様子にエイプモンキーは考え込むそぶりを見せ――
『旦那様あァアァァァァァ! 今の私は不死身ですねぇえェ!』
調子っぱずれた奇声を上げながらサーベルを振りかぶった道化の姿を見て唇を尖らせた。
「――ご理解いただけましたか? 愛しのオブリビオン」
「小癪ッキー! 不死身の使い魔ならば、それはそれでやり方があるッキ!」
今度はウィング・ブーメランを投げるのではなく手に持ったまま道化と斬り合うエイプモンキー。さすがは幹部級オブリビオンといったところか、その戦闘能力には目を見張るものがあり――数合も斬り合えば道化は首から上だけを残してズタズタにされた。
「いかな不死身とは言え、動かせる手足がなければ無駄ッキ! さぁ、イェーガー、今度はお前がこうなる番ウッキー!」
「――なるほど、暴れることが出来ないくらいに削がれてしまうとは」
この結果を予測していなかったわけではない。しかしミラーの予想をはるかに上回る速度で道化は戦闘能力を失った――今は素直に退くべきと判断し、ミラーは道化に火を吹かせるとソレを煙幕替わりにして撤退するのであった。
苦戦
🔵🔴🔴
セレヴィス・デュラクシード
■POW戦
「にゃー!もうコレしか方法が思い浮かばないんだよーっ!」
基本殴る蹴るな戦法のボクが搦め手を取れるとしたら【一生添うとは狐の習い】でお猿さんを誘惑するしか方法が思い浮かばないんだよ(自棄
ボクの魅力の弱点‥‥どうせ胸が小さいとか言われるに決まってるんだよ
指摘して貰おうじゃないのさ!
【狐の威を借る狐】で指摘された部分を修正したパーフェクトな分身を出して二人掛りで誘惑してやるんだから
つまりボクの魅力の弱点を実証させなければいいんだよね?
最終的にはボク無しには生きて行けない位メロメロにしてやるんだからっ!(自暴自棄
※
にゃはは~と笑い、歩く際は腕大振り、靴からポップな効果音が出そうな快活ボクっ子
●猿をつまむ狐
撤退した死霊使いと入れ替わるようにして、狐の面を帯びた少女が転移ゲートから飛び降りる。
「嘘、もうひとりやられちゃったの!?」
「入れ替わり立ち替わりッキね! 今度はえらく胸の平らなイェーガーだッキ?」
「う、うるさーい!?」
セレヴィス・デュラクシード(複製サレシ幻想ノ狐姫・f04842)の心中は「これから取ろうとしている戦法」が他の猟兵に見られずに済みそうで安心半分、果たして己の数少ない搦め手がエイプモンキーに通じるかの不安も半分であった。
「見てなさいよオブリビオン! ボクの胸がちっちゃいって言ったこと、後悔させてあげるんだから!」
「やれるもんならやってみウッキー!」
エイプモンキーが構える。セレヴィスは両手を狐の形に構え、コンと一吠え。
「一人でダメなら、理想のもう一人のボクで……!」
発動するはユーベルコード「狐の威を借る狐」であり――それと重ねるようにしてセレヴィスの搦め手である「一生添うとは狐の習い」が発動する。その効果は即ち、思い描いた姿の分身の召喚とそれによる誘惑攻撃。
「「さぁ、オブリビオン! ボク無しでは生きていけないくらい、メロメロにしてあげる!」」
セレヴィスは顔を真っ赤にしながらそう宣言。現れた分身は、セレヴィスの思い描く最高に色気ある肉付きの体の持ち主。さらには分身、本体の双方が「水着でももうちょっと露出度が低い」ほどに布面積の少ない衣装へと変じているのもユーベルコードの効果の一端。露出した肌から匂い立つフェロモンは、オブリビオンであっても容赦なく誘惑する絶対無敵のフェロモンである。
が――。
「……ミーの好みはもっと猿顔ッキねー」
エイプモンキーが創造したのは、フェロモンをカットするための空調機らしい。ヘルメット付近に増設されたそのダクトを経由させることによりセレヴィスの誘惑フェロモンを無毒化。そのうえで、ツルペタもダイナマイトボディも関係なく、純粋に「種の違いがあるから好みではない」とぶった切った。
「そ、そんな……!? なら猿顔――に変身するのはさすがにボクでも嫌ァ!」
「あと、ついでに言うなら、ミーのような類人猿は胸ではなくて尻でセックスアピールするウッキー」
追撃の一言をぶつけられ、精神的にオーバーキルされたセレヴィスは花の足場に突っ伏すのであった。
苦戦
🔵🔴🔴
アーサー・ツヴァイク
※改変絡みピンチ可、🔵過多なら不採用可
まずはお前からだ…エイプモンキー!
俺が使う技は【プロミネンス・インパクト】、この技は聖痕に力を溜め、超高熱になった拳でぶん殴るだけなんで近づかないと意味がねえ。
足を止められたらこの技は終わりだ、向こうはまず俺の足を止めに来るだろう。
バイクのライドランに【騎乗】して相手の拘束から逃れるように近づきたい。ライドランをやられても【ダッシュ】で限界まで近づく! が、向こうも近づけさせないように無理矢理こっちの足を止めに来るはず。
だが俺の拳は飛ぶ。俺の右腕は【ブーストアーム】と言う武器になっててな。UCなしでも射出できるんだぜ?
離れてれば余裕とか考えてねぇよな!?
荒谷・つかさ
◎
私の【鬼神剛腕砲】は、ただ投げるだけのシンプルな技。
「砲」って名前からしても、武器を投射する技なのは読まれるはず。
なら、最初はその通りにしてやりましょうか。
武器として大量の「丸太」を束にして見えるように持ち込む
まずはそれらを全力で投擲
適当な所で仕込んでおいたブースター「誉」に着火&解放、丸太を「吹き飛ばし」滅茶苦茶に飛び回らせつつ他の所持武器、剣やハンマーもぶん投げる
ひたすらに「武器の投擲」を繰り返せば「そういう技」と思い込む筈
迎撃されてもいい
それら全ては盾で囮
本命の「砲弾」は、お前自身よ!
暴れ飛び回る武器を目くらましに接近、エイプモンキーを掴み【鬼神剛腕砲】を「投げ技」として発動させるわ。
●想像以上の力技
ブン、という音を立ててエイプモンキーのすぐ近くを丸太がカッ飛ぶ。いたいけな少女猟兵を精神的にノックダウンさせた直後の奇襲に、さすがのエイプモンキーも僅かに反応が遅れた。
「鬼神剛腕砲――1発でも当たれば、お前程度の装甲ならばへしゃげること間違いなしよ」
「投擲技ッキ? ……とはいえ、タダの丸太が当たるわけもないウッキー」
初弾の至近弾を除き、エイプモンキーは荒谷・つかさ(風剣と炎拳の羅刹巫女・f02032)の投げる丸太をひょいひょいと軽い動作でかわしていく。もとより想像力たくましいエイプモンキーにとって、丸太の軌道予測などお手のもの。
「ウッキッキー、その手の投擲技は投げる物が無くなったら意味がないッキね。弾切れまで待つもよし、ミーのマシンで全部跳ね返してやるのも面白いッキ!」
「そう簡単に行くと思うなよ、オブリビオン!」
「ウキ?」
つかさの座す足場とはまた別の方向。エンジンの唸り声も高らかに、花の絨毯を爆走するバイクが1台。先の声はどうやらそこから放たれたものらしく、エイプモンキーは丸太の弾幕を避けながらそちらにも気を配る。
「テメェが想像しやすいように先に説明しておいてやる――俺は、今から、全力でぶん殴りに行くってなぁ!」
バイク――愛機ライドランを片手で操りつつ、アーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)は過熱して赤く揺らめく片腕を掲げてそう宣言した。
「ついにイェーガーも数で攻めて来たッキ――コードの発動条件かどうかしらないッキが、さすがにそうやって宣言するのはミーをナメすぎウッキー!」
間断なく投擲されていたつかさの丸太に、ついにエイプモンキーが回避以外の反応を示す……間近を通り過ぎたソレをマッシブな腕でつかみ取り、アーサー目掛けて投擲したのだ。
「投擲技の弱点にはこういうのもあるッキ――ミーがしたみたいに、投げたものを再利用されるウッキー! それに近接戦相手なら足を止めてしばえば問題ないっキ……仲間が持ち込んだ丸太でバイクをぶっ壊されて泣かないようにするウッキィー!」
「おっと――!?」
ライドラン目掛けてぶっ飛んできた丸太を済んでのところで回避――冴えわたるハンドルテクニックでなんとか被撃墜は避けるものの、つかさの持ち込んだ丸太を再利用してのエイプモンキーの丸太弾幕にアーサーの道行が怪しくなる。
「……ただの無策で、突っ込んでくるとでも思っているのかしら?」
「ミーの想像力の範疇と言ってるッキね!」
つかさが投擲した丸太を、またもやエイプモンキーが掴みにかかる――が、その腕は宙を掴んだ。
「ウキィ?」
丸太の軌道が急激に変わったのだ。仕込みは、普段は別の武器に装着している加速ブースターを丸太に取り付けたこと――つかさの意志ひとつで着火したソレにより、丸太はエイプモンキーの想像とは異なる射線を往った。
「それと――さっきから弱点を実証しているはずなのに私の攻めが止まらなくて、不思議に思わなかった?」
「どうせ、強がりッキ!」
ブースターで軌道を変えられた丸太が、これまで投擲されていた丸太へとぶつかり跳ねまわる。次いでつかさの手元から投擲されたのは剣やハンマーといった武器の類であり……これもまた、ブースターによる変幻自在の加速でエイプモンキーの想像とは異なる軌跡を描き続ける。
「そっちばっかり見てると――俺の拳が届くぜ!」
「小癪、小癪小癪ウキィ!」
初期に投擲された丸太を掴み、アーサーへの妨害――しかし、思った通りに行かないつかさへの対処が、その精度を著しく下げる。
「ええい――マニアック・ウェポン! このイェーガーどもを止めるッキー!」
エイプモンキーがこの場で想像し創造したのは、極低温による足場崩し――周囲へ伝播した冷気が、つかさが投擲を行うための足場やアーサーが走り抜ける道行となっていた足場を氷漬けにした。バキバキと音を立てて花の足場が崩れ――それを契機としてつかさとアーサーが動いた。
「――これは投擲だけの技じゃないのよ」
「ウキッ!?」
これまでに投擲していた丸太や武器類を足場につかさが跳躍――エイプモンキーへと接近し、そのまま頭部を鷲掴みにする。
「――次の弾は、アンタよ」
「ウキャーッ!?」
ぶんっ、と。合気の要領でエイプモンキーの巨体が小柄なつかさの手で軽々と放り投げられ――
「ナイスだぜ――食らいなぁ!」
それを迎え撃つようにしてアーサーの赤熱した腕が飛んだ。ユーベルコードではなくブーストアームという機構による一撃は、アーサーのライドランによる走力を一気に打ち消すほどの反動を持ち――メゴッ、という派手な音と共にエイプモンキーを殴り飛ばしたのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ルーナ・セリオン
ワタシのユーベルコードは脚部ガジェットによるローラーダッシュ、魔力ブースト等全機能を用いた文字通り全速力を以っての飛び蹴り。
一般的な飛び蹴りの弱点は軌道が分かりやすいことだ。
あのサルも如何に超高速だろうと真正面から受け止めつつ打撃したり死角から反撃してしまえば自分は無傷、こちらは速度が仇となり大ダメージ……
そう思っている事だろう。
だとすれば単純明快。
補助魔力ブースターによる軌道修正で迎撃を避けて放物線でも描きながら叩き込むまでのことだ。
まぁ、超高速のロケットを補助推進力で無理矢理ズラしていくようなものだ。
身体への負担は非常に大きいし腕あたり外れるかもしれないけど終わった後メンテすればいいさ。
ジニア・ドグダラ
なるほど、此方の弱点は知られているのですね……ですが、付け入る隙は、あると。
でしたら、私は巨大な骸骨を召喚しましょう。
このUCの弱点は簡単に言えば、術者である私が無防備であることでしょうね。なので骸骨に素早く【高速詠唱】で【怨嗟の声】を叫ばせます。
【怨嗟の声】には死霊達の【呪詛】が多量にある声です、敵の作成した機械も呪詛に塗れて動作不良を起こすことでしょう。
それに、オブリビオンが作成し、過去の残骸たる死霊達の呪詛に塗れた機械なのです、その機械自体もオブリビオンになるかもでしょう?
で、あるならば、死霊術士たる私に扱えない筈がないです。巨大な骸骨と機械共々を一斉操縦し、攻撃していきましょう。
●死霊と人形
「いっちっち……さすがにちょっと堪えたッキ」
凹んだ装甲をいたわるように撫でるエイプモンキー。絶対零度領域の展開で道を断ち、どうにか2人の猟兵から逃れたようだが――転移ゲートは即座にエイプモンキーを捕捉し新たな猟兵を送り込む。
「まだ来るッキ? ――次はさっきみたいにはならないッキ!」
「ええ、まだ参りますとも、オブリビオン」
転移ゲートから姿を現したのは、巨大な骸骨の肩に乗ったジニア・ドグダラ(朝焼けの背を追う者・f01191)――エイプモンキーは巨大な骸骨をすぐさまユーベルコードにより召喚されたものと見抜き、最初の死霊使いにしたようにウィング・ブーメランで骸骨を狙う。
「――術者への攻撃や骸骨を狙ってくることは、想定できています」
悪、とジニアの召喚した骸骨が素早く吠える。術者であるジニアが高速詠唱した呪詛術式を、骸骨をスピーカー代わりに拡大した方式だ。
「ふふん、そんなやり方で――」
「……ええ、あなたが直接操作していては無理でしょうが」
ぐんっ、と。ウィング・ブーメランの軌道が変化する……まるで誰かがそうなるよう命じたかのように。
「な、なにをしたッキ!?」
「私は死霊術士――オブリビオンが作り出し、私の唱えた呪詛にまみれた機械……即ちそれは死霊であるオブリビオンと近似した存在。扱えない筈がないでしょう?」
勢いを緩やかにしたウィング・ブーメランをジニアの骸骨がキャッチ――そのまま構え、エイプモンキーと対峙する。敵のユーベルコードを利用しての反撃……そんな対処法はもとよりエイプモンキーの想定外であった。
「ウキャー! そのウィングはミーのウキー……であれば、使い方や弱点だってミーが良く知ってるッキ!」
「ええ、そうでしょうね……ですが、壊して良いのですか?」
「……!」
エイプモンキーの動きが止まる。ジニアの言う通り、ジニアの手に渡ったウィング・ブーメランはもともとエイプモンキーの武器。弱点なども知り尽くしているが――下手に破壊するように動いてはエイプモンキーの損となる。エイプモンキーにとって攻め辛い状況を作り出され、戦線は僅かに膠着した。
「――隙ありィ!」
「ウキャ!?」
その一瞬を見逃さず、エイプモンキーの顔面目掛けて突っ込む猟兵の姿があった。転移ゲートから花の道へと飛び降り、そのまま全速全開で突撃をかけたのはルーナ・セリオン(機械仕掛けの探求存在・f13441)――ジニアから事前にエイプモンキーの攻略方法を聞き、先の膠着を狙い澄ましていたのだ。
「真正面から突っ込んでくるなんて、さすがにバカのすることッキ!」
己の武器を手にしたジニアに注意を払いつつも、エイプモンキーは即座に巨大なシールドを作り出す。ユーベルコードにより生成されたそれは、ルーナの突撃ルートを塞ぐように展開されて超速力による突撃をそのままルーナ本人へと跳ね返すよう設置される。
「そうすると思っていたよ、キミならねぇ!」
脚部ガジェットを用いてのローラーダッシュ――ルーナは花の道を征くそのベクトルを、腰に展開した補助ブースターで無理やり捻じ曲げる。
「もう速度が乗っているから、強引な軌道変更はできない――そう思うだろうってね!」
「――それに、ひとつお忘れですよ。少しでもあなたの制御を離れた装置は、私がコントロールを奪わせてもらいます!」
「ウキッ!? ブーメランに続いてシールドまで奪う気ウキっ!?」
ほんの僅かにシールドから手を離した瞬間をジニアに突かれ、ルーナへとぶつかる筈だった盾の面がルーナの滑走路として再展開される。
「無茶な機動をした分は、あとでメンテナンスをする――どうだ、エイプモンキー! こういうミレナリィドールの戦い方や猟兵同士の連携は、さすがに想像できないだろう!」
十分な加速とジニアの援護による滑走路の形成で勢いの乗ったルーナの回し蹴りがエイプモンキーのヘルメットを無残に打ち砕き吹き飛ばした。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
イリーツァ・ウーツェ
【POW】
このUCは原理こそ単純で、要は炎で相手を焼く物。
当然、相手は水で攻撃してくるだろう。
火は水で消えるものと、実証しようとするだろう。
そうだな、炎自体は実際そうだ。水がかかれば消える。
だが、この炎は『障壁を貫通』し『対象だけ』を燃やす。
多量の水も『障壁』である以上、炎弾は影響を受けず貫通する。
その鎧も貫通し、貴様を焼くぞ。
あとは通常攻撃を重ねる。
敵が用意してくれた水を操り、押し固めてぶつけ、杖や尾で殴る。
(全力魔法+怪力+鎧砕き)
銃も全弾撃つ。
図体がデカいようだから、杖が当たる位置なら狙わずとも当たるだろう。
狙うならば、比較的装甲の薄そうな関節を。
(鎧砕き)
丸焼きになるがいい。
デナイル・ヒステリカル
雷電を纏って高速移動と雷撃を可能にするUCに対し、回避をする装置という条件では候補が無数にあり対策は絞りきれません。
しかし相手がマニアックな知識を披露することに固執する、という前提ならば手筋も読めます
雷撃に対する対策……つまりアース線です。
地面に刺した金属棒へと電流を流し、攻撃を回避すると予想しました。
ならば僕はこのUCの本質を活用します。
このUCにおいて雷は副次的な効果でしかありません。
『僕の体を構成する質量をエネルギーに変換』する!
それが本来の使用方法です!
表皮、細胞組織、血液、文字通りギリギリまで身を削り、
完璧な対策を打ち立てたと思い込んでいる猿に物理的なキツい一撃を叩き込んでやります。
レイ・キャスケット
死角からの攻撃は脅威ではあるけど「死角から攻撃が来る」ってわかってればどこから攻撃が来るかわかってるみたいなもんでしょ
それに今回のボクのUCは特別性だよ
普段はただ光を反射する役割しかもたない氷の鏡片を相殺しきれないレベルで【全力魔法】で乱発
壁や床、天井に乱雑に当たってるように【フェイント】
光線の攻撃を無効化してドヤるのはちょっと早いんじゃない?
攻撃がどこから来るかは『見えてる』んだから
散らした氷は全周囲を可視化する鏡の領域
視覚情報を身体魔法で強化して整理し把握
後ろにも目がついてるように死角をカバーして敵の攻撃を回避
最後は風の魔法で氷片を敵周囲に纏めて【高速詠唱】で無効化し尽くせるか手数勝負!
●トリニティ・イェーガー
砕けたヘルメットの中から、ヘルメットの破片だらけになったエイプモンキーの頭がのぞいている。想定以上に組み上げられていた猟兵の連携攻撃によって吹っ飛ばされたエイプモンキーは、ここにきてようやく「猟兵という存在そのもの」が自分の想像力をはるかに凌駕する存在であることを自覚する。ユーベルコードひとつを無効化したところで、こちらに他の攻撃手段があるように猟兵にも他の手段があるのだ――先の連携のような。
「ミーの、想像力に、磨きがかかるッキィ」
故に――エイプモンキーは笑う。想像の範疇に居る相手だと判れば、次はより逞しく妄想を迸らせて猟兵たちを討ち取ってみせると。
「笑ってる暇なんてあるのかな?」
戦況は既に不利――現にレイ・キャスケット(一家に一台便利なレイちゃん・f09183)の放ったリフレクトレーザーがエイプモンキーを掠る。それだけでなく、レイと合わせて三方向から包囲するように駆ける猟兵の姿が2つ……ポールウェポンを構えたイリーツァ・ウーツェ(盾の竜・f14324)と雷纏うデナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)が攻撃の瞬間を見計らっていた。
「暇があるから笑うんじゃないッキ――イェーガー、貴様らとの闘いが楽しいから笑ってるウキ!」
「ほう、バトルジャンキーだったか。てっきり、そういうのは一番嫌いかと思っていたが――」
「想像通りに行き過ぎるのも考え物ッキ!」
レイに言葉を投げた一瞬の隙を突いて、イリーツァが拳から炎を放つ。エイプモンキーへの直撃ルートを征く2条の炎弾――エイプモンキーはそれに応じるべく、持ち前の創造力で即席の耐火防壁……つまりは水でできた球をその場へと射出した。
「――それはよかった、この炎も特別製だからな!」
「ウキッ!?」
エイプモンキーの想像では、最良の結果が水球による炎弾の鎮火。最悪でも相殺して威力を弱められる筈。しかし――イリーツァの炎は、まるで「最初から水玉など存在しない」ように消失するどころか威力の減衰すら起こさずエイプモンキーに直撃した。
BOMB、という炎弾が直撃・燃焼したことによる小規模爆発が2連続。既に高機動用の翼を猟兵に奪われ、それの再製もできていないエイプモンキーには無視できない衝撃。
「その隙は――見逃さない!」
揺れたエイプモンキーの身体目掛け、デナイルが疾走――雷とほぼ等速まで加速したその一撃は、言葉を言い終えるころには既にエイプモンキーの胴を強かに捉えていた。爆圧の反動を殺す方向からデナイルの蹴りが突き刺さり、装甲に守られているとはいえエイプモンキーの顔が苦悶に歪む。見て、想像し、創造する――普段であれば行える反撃が、猟兵に攻め続けられた疲労とデナイルの超スピードにより行えなかった。
「――想像以上の、速攻にも、対応しないといけないッキィ……!」
「少なくとも、この戦場ではやらせないよ、エイプモンキー!」
オブリビオンらしい剛力でデナイルを吹き飛ばし炎を払ったところに、今度はレイのリフレクトレーザー……ユーベルコードによる乱射が投げ込まれる。
「2度は食らわンキー!」
――が、さすがに今度は迎撃が間に合う。レイの使う氷塊を真似た鏡を放出し、そのままレーザーを反射。お返しとでもいうようにレイの死角からビームを投げ返す。
「それは、ボクの想像通り!」
反撃をしてくるのなら死角から――レイの予想通りの反応を示したエイプモンキーにニヤリと笑みを返し、レイは軽やかにレーザーを回避。その上で自分が展開している氷の鏡にレーザーを反射させエイプモンキーに送り返すおまけつきだ。
「当たれば削る、避けたなら当たるまで反射し続ける――さぁ、手数勝負だよ、エイプモンキー!」
「もちろん、私たちの相手も、忘れないことだな」
「ウッキャァアアアア!!!」
文字通りレーザーの檻と化したレイのリフレクト・リフレクティア。そこにイリーツァのポールアームや尻尾を使った徒手格闘が重なり、エイプモンキーは防御を固めることしかできない。
「――私とレイでエイプモンキーの動きを止め続ける。トドメは任せたぞ、デナイル!」
「任せてください……雷霆、万鈞ッ!」
バチッ、とデナイルの姿が雷と化して消える――エイプモンキーはその「音」に反応してあるものを生成し、防御を捨ててそれらを展開した。
「雷と化すことによる超高速攻撃……なら、雷の性質に従ってこの避雷針目掛けて飛ぶ筈ッキッ!」
轟、という落雷音。眩い閃光が戦場を染め上げる。ホワイトアウトする視界の中、雷の衝撃が己を襲わぬことからエイプモンキーは渾身の一撃をどうにか無効化したとほくそ笑んだが――
「――雷は、あくまでオマケです」
「ウッ、キッ――!?」
一瞬遅れ、エイプモンキーの体験したことのない重撃が彼の体を貫いた。
――エネルギー=質量×光速度の2乗
質量とエネルギーの等価性を語る有名な式である。バーチャルキャラクターとしての寿命でもある情報質量を削り、そのまま運動エネルギーとして叩き込む――純エネルギーへと転化する際のロスが雷であるとはデナイルの談であるが――ユーベルコードの「真の性能」を見せつけた今、デナイルが放った一撃は数百本の雷が一斉に直撃するのと等しい威力を持っていた。
「アース線か、避雷針か――そこまでは読めなかったけど、雷への対策を打ってくるとは思っていたんだ」
「――なるほど、ミーが、一番、イェーガーの想像通りだった、っていう訳ッキ?」
閃光が止んで視界が戻れば、デナイルの一撃を喰らったエイプモンキーはもはや体の半分以上が消し飛んだ姿。それもさらさらと崩れ落ち、今にも骸の海へと一時的な帰還を果たそうとしていた。
「――何もかも想像通り……そう思いあがったのがお前の敗因だ、オブリビオン」
ぐしゃりと、イリーツァのポールアームがエイプモンキーの頭を潰し――今度こそ、かのオブリビオンの姿が消え失せる。
「……これで、ようやく1体だね」
激戦を振り返ってレイがため息をひとつ。たった1度相手にするだけでここまで疲労する幹部級オブリビオン……それをあと何回打倒すればシステム・フラワーズへとたどり着くのか。千里の道も一歩からと自分に言い聞かせ、猟兵たちは疲れた体を引きずって転移ゲートからグリモアベースへと帰還した。
大成功
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