バトルオブフラワーズ⑧~ヌリヌリ!闇の帆布に色彩を!
●闇のような黒色
黒とは無彩色。
色相、彩度は無く、最も明度の低い色。
全ての光を完全に吸収して生まれる色だが、完全な黒は存在しないと言われる。
では闇は。
色相も、彩度も、明度すらなく、光と相対するもの。
"何も無い"と言われるもの。
その中に、怪人はあった。
「完璧だ……ワタシのステージに相応しい。嫉妬、悲しみ、怨念、恨み、全てを飲み込んで"ここにある"。全ての憎悪よ、ここに集え! 愛、喜び、祝福、賛歌、ワタシが微塵に砕いて破壊しつくしてくれよう!!」
ひび割れた心臓の頭部を持ち、どす黒いオーラをその身から吹き出す怪人が、ただひとりその空間で演説していた。
盛り上がってるけれど、なんだかちょっと寂しいね。
●ヌリツブシバトル
「ほー、珍しく苦戦中かい? 猟兵さん方よ」
吊るした軍刀の柄頭に手を乗せたグリモア猟兵、仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)が声を掛ける。
目下バトルオブフラワーズの6つの戦場のひとつザ・ペイントステージのみが、他に遅れること二日に渡って制圧されていないことを指しての言葉だろう。
6つのステージ全てを制圧した状態でないと深層のシステム・フラワーズへ進むことが出来ない。今回の戦争における特殊条件の一つだ。
「朗報だ。その邪魔なザ・ステージの一つが新しく察知できた。こんなところで足止め食らってちゃイェーガーの名折れだろ。さっさとブッ飛ばしにいくぞ!」
血気盛んだが、彼は予知した当人なのでテレポート維持の為に戦闘は出来ない。代わりに頑張って来て下さい、という意味である。
「ボスは『ハートブレイク・チョコレート怪人』っていうナンカのなれのはてだ。コイツをブッ飛ばしゃいいんだが……ムカつくことに特殊戦闘ルールがあって、オレらのユーベルコードじゃ攻撃できない。一方的にボコられて終わりだ」
そんな敵とどうやって戦えと? という猟兵の視線を受け、衣吹はリゾート都市の一角の地図を映し出す。
「このステージは街並みの一角を模してつくられた特殊空間だ。今はオブリビオンの力で"闇のような黒色"に塗りつぶされている。コレがオレらのユーベルコードを封じている原因だ。コレを塗りつぶせ『ヌリツブシバトル』だ」
猟兵は攻撃が出来ない代わりに、ユーベルコード或いは直接武器で床や壁を攻撃することで"闇のような黒色"を任意の色に塗り潰すことが出来るようになっている。
一定以上の範囲を塗り潰すことに成功すると一度だけ、本来のユーベルコードでオブリビオンを攻撃することが可能になる。
また攻撃をしない代わりにより広範囲を一気に塗り潰す、スーパー塗りつぶし攻撃を行うことも出来る。
「なんで塗りつぶしを続けるかだって? 本来のユーベルコード攻撃、続けて使いたきゃまた一定範囲を塗りに戻らなきゃいけないんだが、ここでもう一つのルールだ。……街並みマップの3分の2以上を猟兵の色で塗りつぶせば、あとは本来のユーベルコード攻撃が無制限で出来るようになる。チマチマ戦うのが嫌なら一発逆転の回り道ってことだ」
一度塗り潰してしまえば、再び"闇のような黒色"で塗り替えされることは無い。
しかしボスの攻撃は通常通り猟兵に届くので、立ち回りには注意が必要だ。
「塗りつぶしを繰り返してボスに攻撃するなら、塗り専念する奴を狙う隙か、煽って囮になりながら引き離すか足止め。まず大量塗りを狙うなら、マップの隅や隠れながら、ボス他猟兵から離れた位置から。とれる戦略、戦術はいくらでもあるだろう。……あ~なんでオレが戦えないんだよ」
精一杯の情報を託して、剣の鞘を叩きながら、衣吹はテレポートゲートを広げる。
「それじゃ! 気合いれて仕留めてこいよ!!」
小風
小風(こかぜ)です。
六作目は再びのキマイラフューチャー世界にて戦争です。
よろしくお願いします。
塗り潰しの色は指定可能です。
第1章 ボス戦
『ハートブレイク・チョコレート怪人』
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POW : ジェラシックフレイム
【チョコレートの頭部から噴き出す嫉妬の炎 】が命中した対象を燃やす。放たれた【嫉妬の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : センチメンタル・ギリチョコワールド
戦闘中に食べた【義理チョコ 】の量と質に応じて【過去の悲しみを糧として】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ : ジェラシック・ラブイーター
【嫉妬 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【とろけるチョコの塊】から、高命中力の【愛を食らう触手】を飛ばす。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠滝舘・穂刈」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
マヤ・ウェストウッド
「DYE or DIE(染めるか、死か)ってね、ガハハ」
・グリモア猟兵に現場の上空100フィートにゲート形成を要請。ヒーロー着地の要領で地面を殴りつけて、自分の色を誇示。
・マヤの色は、淡くて暗い赤色。何も加えない、混じり気のない紅茶めいた赤色
・効率良くヌリツブシを行うため、英国式輪入道を遣わせる
・敢えて派手に見得を切ることで、敵を挑発して惹きつける
・敵の攻撃は、組みついて[怪力]でホールドしつつ[大食い]らしく頭部を喰らって攻撃力を削ぎ落とさんとする
・組み付けない場合はパンジャンドラムスを差し向けて盾にする
「往来を落書きしまくって褒められるなんて滅多にないチャンスじゃあないか!」
キマイラフューチャーの街並を模した一角。その遥か上空から、何が落ちて来る。鳥か、飛行機か、隕石か? いや、あれはマヤ・ウェストウッドだ!
落下速を乗せた強烈な一撃を放ち、特殊空間に大きな地響きが轟く。
激しいヒーロー着地を決めたマヤを中心に、波立ち広がる猟兵色の波紋。
その色は淡くて暗い赤。混じり気のない紅茶の色だ。
「往来を落書きしまくって褒められるなんて滅多にないチャンスじゃあないか!」
鋭い眼光で笑い、ユーベルコード英国式輪入道(パンジャンドラムス)を展開するマヤ。
AI搭載ボビン型の陸上爆雷175機が車輪のロケットから火花を放ち、縦横無尽に進んだ後爆発。真っ黒な闇の世界の四方八方を、紅茶色に染め上げてゆく。
そしてその光景の向こう側には、騒ぎを聞きつけて猛ダッシュして来るハートブレイク・チョコレート怪人の姿があった。
『キサマー! ワタシのパーフェクトダークなステージになんてことをーー!! 洒落たティータイムカラーなんぞ微塵も要らぬわーーー!!!』
「DYE or DIE(染めるか、死か)ってね、ガハハ」
向かって来た怪人の一撃を難なく躱し、組みつくマヤ。
そしてケルト模様のマフラーが、風も無いのに大きくなびき出した。
一定範囲の塗り潰し完了。本来の戦闘力の解放だ。
「そんじゃあここは大食いらしく――喰らえ!!」
『ギャーーーー!!!?』
文字、そして宣言通りに、マヤはチョコレート怪人のひび割れたハート型頭部に喰らい付いた!
鋭い噛み跡を残し食い千切られる怪人の後頭部。
その味は、チョコレートとは思えぬほど滅茶滅茶苦いし粉っぽい。どうやら超ビター。カカオ99%タイプのようだ。
成功
🔵🔵🔴
アヴィル・ガスフェルト
あーあー可哀想に、振られた悲しみでSNSの画像真っ黒にしちゃうタイプのあれだ
俺はチョコレート貰えなかったことないけど(無意識に挑発)
モテテク教えてあげようか?と
壁に勢いよく手を突いてそこから魔力を流す。UC
鉄砲玉のように形状を変化させ壁中から無差別散弾、辺りをとことん塗っていく
[コミュ力・言いくるめ]、恋愛指南の流れでさらっとテンポよくコトを運ぶつもりだけど攻撃されそうになったら触れてる壁や床を複雑な形に変形させて防壁、目くらましに
基本塗りに集中するけど攻撃できそうなら近くのオブジェクトを変形させ刃のように腕に纏わせて切り伏せる。
「あーあー可哀想に、振られた悲しみでSNSの画像真っ黒にしちゃうタイプのあれだ」
後頭部を齧られた怪人を見て憐みの言葉を投げるのはアヴィル・ガスフェルト。
自他共に認めるイケメン大学生である。
『うるさいわ! キサマにワタシの崇高な闇が分かってたまるか!!』
「モテテク教えてあげようか?」
壁ドンよろしく、寄り掛かっていた建物に勢いよく手を突き魔力を流し込むアヴィル。
彼のユーベルコード再創造(アーティファクト)。
壁は煌びやかな金色に染まりながら変形し、全面が大口径の銃で埋め尽くされた。
「有り物で済ますってこういうこと」
ド派手な黄金のショットガンからの一斉射撃。
無数の砲撃音と共に輝く散弾が街を埋め尽くし、周囲を金色に染めてゆく。
建物、地面、街灯やベンチまでもが満遍なく塗り上げられ、リゾート都市は一瞬で黄金郷へと姿を変えた。
『おのれー! ワタシの世界に何てことを!? ここはホストクラブではないぞー!!』
義理チョコをバリバリ貪り食いながら、猛スピードでアヴィルを追う怪人。
「俺はチョコレート貰えなかったことないけど?」
無意識の挑発を繰り返しながら逃げるアヴィル。漆黒の壁や床に触れて怪人との間に壁や目くらましを作りながら、塗り潰しと妨害することも忘れない。
そして訪れたその時。
周囲の金色の防壁が一斉に燐光を放ち出す。本来の戦闘力の解放だ。
防壁に身を隠したアヴィルは即座にターン。
鉄柵を金色の刃に変えて腕に纏わせると怪人の背後へ回り、即座に切り伏せた。
飛び散るハートブレイク・チョコレート怪人とその義理チョコ。
なお義理チョコでは数が足りずに、自分で買ったチョコも食べていたようである。
「ん? 自分で買ったのに義理チョコ? 貰られた物のように装った品があってことか? …………おぉ」
怪人の色は闇のような黒色である。
成功
🔵🔵🔴
天津・麻羅
神・降・臨
黒一面の世界であってもわしの神々しさは変わらないんじゃぜ!
嫉妬、悲しみ、怨念、恨み、そしてひび割れたハート型のチョコレート…うむ、アレか?彼女いない歴=年齢、バレンタインデーでは義理すら貰った事がないくちかえ?まぁ、それなら全てを憎みたくなるよのう。そんなおぬしに神からのプレゼント(5円チョコ)じゃ。これで強く生きるのじゃよ。
とまあ、相手を煽り囮になりつつスーパー塗りつぶし攻撃で一気に塗りつぶすんじゃぜ。神であるわしが本気で攻撃したら、この世界なんて木っ端微塵になってしまうからのう、ハッハッハ!あっと色は赤かのう。
「神・降・臨!」
黒、紅茶色、金色の特殊空間に降り立ったのは天津・麻羅。
その齢六年の天目一箇神である。
飛び散った義理チョコの中に沈むハートブレイク・チョコレート怪人へと声を掛ける。
「嫉妬、悲しみ、怨念、恨み、そしてひび割れたハート型のチョコレート……うむ、アレか? 彼女いない歴=年齢、バレンタインデーでは義理すら貰った事がないくちかえ?」
『なっ! 何だキサマ! バカにする気か!? 義理チョコぐらい貰ったことあるわ!! ……ママからだけど』
肉親以外からの好意も抱かれたいものである。
ばら撒かれた義理チョコを拾う怪人の肩を叩き、麻羅は続ける。
「まぁ、それなら全てを憎みたくなるよのう。そんなおぬしに神からのプレゼント(5円チョコ)じゃ。これで強く生きるのじゃよ」
おぉ! なんと怪人に、季節外れのバレンタインが訪れた!!
今やそのチョコは名前とは裏腹に価格が上がって6円相当のお値段! 高級品だね!!
しかも神からの"ご縁"と掛かっているので、何だか御利益がありそうだぞ!?
『バッ……バカか! 敵からのチョコなんて……う……うれし…………だぁーもー!!! ありがとうございますっ!!』
本物の硬貨より大きくも小振りで薄いチョコレートを、両手で恭しく受け取る怪人。
胸いっぱいで今更センチメンタル・ギリチョコワールドなんて技使えないね!
そんな怪人を見てうなずく麻羅。
そして唱える、神の言葉。
「黒一面の世界であってもわしの神々しさは変わらないんじゃぜ! ――世界よ! わしの色に染まれ!」
その言霊の届く範囲、つまり建物に囲まれたその一角が一斉に赤色に染まり出した!
ユーベルコード全知全能の神。
技能レベル210の言いくるめは怪人との会話もスムーズにするし、喋るだけで世界を塗り潰す事だって出来るのだ!
『何ぃ!!? だましたのか!!』
「神であるわしが本気で攻撃したら、この世界なんて木っ端微塵になってしまうからのう、ハッハッハ!」
残念ながらスーパー塗りつぶしには至らなかったが、囮の役目を十分に果たした麻羅。
上げて落とされて心がクタクタの怪人を残し、悠々と別のエリアへ走り去って行った。
成功
🔵🔵🔴
黒天・夜久
色はラピスラズリみたいな金粉の星が散る瑠璃色です。夜空みたい。
この真っ黒な街並み、オブリビオンのドス黒い感情で塗りつぶされたようにも見えますね。
ビルを足掛かりにナハトヘクセの【空中戦】も使ってビルの屋上あたりの高さに立ち、ミーティアの銃撃をばら撒きながら人形を操って薙刀を大きな筆のようにビルの側面やミーティアの銃撃の届かない所を塗ってもらいます。
敵が接近してきたらその都度移動。なるべく下には下りない方針で。
ユーベルコードも塗ることに使用しますが、通常火力での一撃が叩き込めるようになったら残りの全弾をオブリビオンに向けて放ちます。
チョコはチョコらしく溶けてくださいな。
赤星・緋色
ほむほむ、街並みを攻撃して塗り替えていけばいいんだね
ふははははー、私に任せろー
地形が街並みを模してるなら、高い建物のとかもあるよね
まずは怪人から遠い位置の高めの建物に移動
スカイステッパーやダッシュ、ジャンプ、クライミング、ロープワークとかの技能を使って建物の上を移動しながら逃げ回りながら、ガトリングの範囲攻撃で塗り替えていくよ
普通の移動では追いつけない様に移動していけば、飛べない相手なら逃げ切れそうかな
追いつかれなければそれだけ塗りつぶしに使える時間も増えるしね!
怪人に追いつかれたら仕方なく戦闘かな
「ついでに怪人も真っ赤に染めてやるのだー」
攻撃が外れてもいいし、流れ弾で地形の色を変えてもいいね
平良・荒野
塗りつぶし、ですか… こう見えても僕、碁には興味がありまして。
生憎、やったことはありませんが。
2/3を塗りつぶすまでは、塗りつぶしに努めます。既に別の猟兵が塗りにかかっているようです。
その方とは離れた区画から、オブリビオンに気づかれないように塗りつぶします。
羅刹旋風は通用するのか… 試しに使ってみて、塗り力を高めてからこつこつと隅を埋めるように白く塗っていきます。
オブリビオンに気づかれれば、全速力で逃げにかかって別所をまた塗ります。
はかどらないかもしれませんが、それはそれ。他の方に気が向かないように、囮にもなりますし。
塗る必要がなくなれば、マップの代わりに怪人の体をバンバン行きたいと思います。
「塗りつぶし、ですか……こう見えても僕、碁には興味がありまして。生憎、やったことはありませんが」
特殊空間、怪人と猟兵の衝突が激しい区画からは大分離れた世界の端。
気付かれないよう隠匿に努め、コツコツと白色を塗り広げているのは平良・荒野。
武器を振り回しながら戦闘力を高める羅刹旋風による塗り潰しを狙う。しかし染める勢いは強くなったが、思ったほど有利な効果は感じられなかった。
「あくまで色塗りに有効なのは範囲、ということですか……しかし、無駄にはならないでしょう」
絶えず建物の壁や地面を振り回した武器で切り付け進む羅刹の修験者。涼やかな錫杖の音が路地を進んでゆく。
キマイラフューチャーの街並みを模した特殊空間。
その戦場は今、空へと移ろうとしていた。
「この真っ黒な街並み、オブリビオンのドス黒い感情で塗りつぶされたようにも見えますね」
靴型デバイスのナハトヘクセによりビル上空から街並みを見下ろす黒天・夜久。
「ほむほむ、街並みを攻撃して塗り替えていけばいいんだね」
その隣のビルには技能を駆使して着実に登り、汗を拭きながらビルに立つ赤星・緋色。
攻撃に転じながらも塗り範囲が広いユーベルコードの持ち主が多く、黒いキャンバスを三つの猟兵色が侵食。じわじわと都市に彩を与えて行っている様子が見て取れる。もう少しでマップの半分に届くかといった様子である。
怪人からも遠くまだどの猟兵の色にも染まっていないビル群の上を、二人は駆け回る。
喪服姿の女性型人形ブラックウィドウが踊る。
夜久のガトリングガン、ミーティアの流星の中を、黒一色の薙刀を大きな筆のように振るいながら。
闇のような黒を染めるは金粉の星が散る瑠璃色。夜空のように、ラピスラズリの宝石のように、リゾート都市を幻想的に塗り潰してゆく。
『だ! か! ら! ワタシの世界にそんなファンタジックな色は不要だと言ってるんだーーーー!!!』
怒り心頭、気合一発。ハートブレイク・チョコレート怪人が埒外の力でビルを垂直に駆け上り、即座にジェラシック・ラブイーターの触手を放つ。
六本腕の蜘蛛を模した喪服姿がそれを迎え撃つ。そもそも相手が人形では嫉妬の感情を抱くことすらできない。
迫る触手を最小限の威力に抑えて薙ぎ払い続けたところで、塗り潰した瑠璃色から金色の星が舞い上がる。チャージ完了。戦闘力の解放だ。
「チョコはチョコらしく溶けてくださいな」
放たれるは流れ星よりもなお明るい115本のウィザード・ミサイル。
それを惜し気もなく怪人へ向かって全て放つ!
全方向から飛んで来る炎の矢。
『あ゛ーーー!? ワタシが黒くなりたいわけじゃなくてーーー!!』
成す術なく、夜空色の中を黒焦げになりながら吹き飛んで行く怪人。
良い子のみんなはチョコレートを溶かしたい時、直火は厳禁だぞ!
「ふははははー、私に任せろー」
同じくガトリングをメインウェポンとしてビル群を塗り潰してゆく緋色。
放つはその名前にも似た赤い色。やや黄色味がかった鮮やかなスカーレットカラーが、街並みを朝焼けのように上から染め上げてゆく。
飛行能力がない怪人に追いつかれぬよう、ビルの屋上を渡り歩いていた緋色だったが。
『ぁああ゛ーーー!!』
吹き飛ばされ危うく夜空の星になるところだったハートブレイク・チョコレート怪人が、手足をばたつかせて舵をとりながら目の前に落ちて来た。
『うおぉぉ!! ワタシのステージには朝焼けも夕暮れも訪れない! 時間の概念を与えるな―!!』
めり込んだコンクリートから這い出すと即座に義理チョコを貪り食いながら迫って来た。どうやら執念の落下飛行だったらしい。
緋色の目と髪が熱く輝き出す。上空から塗り潰しにかかる猟兵は少なかった故、僅かな移動と時間で広範囲の塗り潰しに成功したのだ。
「ついでに怪人も真っ赤に染めてやるのだー」
ユーベルコード、セミオートバースト。
本来の力を取り戻したその技は得物の使い方を変える。
武器を構えピタリと制止した緋色へ一気に間合いをつめる怪人。連射ばかりがガトリングではないのだ。怪人が一撃を決めようと踏み込んだ瞬間。
「ひっさーつ!」
狙い定めた渾身の一発がその腹を捕らえる。属性を纏い破壊力を増したその弾が、怪人をビルから地面へ叩き降ろすように連れて行く。
「ここまで登るのすごく大変だったんだー。もう登って来ちゃだめだよー」
ズシン、と地形の変わる音が響く。
怪人が目の前に落ちて来た。何だか焦げ臭くて満身創痍で。
驚く荒野の目の前で、肩で息をしながらも怪人が立ち上がる。
『キ……キサマはこんな辺鄙な隅で…………真逆の色を選ぶとは……いい度胸……ぅ?』
嫉妬の炎を噴き出し構えたハートブレイク・チョコレート怪人の動きが止まる。
真っ白い世界にただ一人浮かび上がるように立つ黒衣の青年。その羅刹から放たれるオーラが異様なのだ。
ボロボロの裾がはためきその時を知らせる。
彼一人の力では一定範囲を塗るのにもっと時間を要しただろう。しかし集まった仲間達の力によりこのマップ、そしてザ・ペイントステージが猟兵の力を解き放ち告げる。
街並みの3分の2以上の塗り潰しに成功。本来の力で闘い続けることが出来るのだと。
羅刹旋風により高めた戦闘力は塗り潰しには向かなかったが、対オブリビオン戦では別だ。その時を待ち侘びていたように、高みに高まった羅刹の力が荒野の中を駆け巡る。
「……もう塗る必要はないようですね」
『マママ、待ってそんな!! ワタシたち今会ったばかりなのに!!?』
鈴のような音と共に、鋭い錫杖の先による一撃が怪人を貫く。
溢れんばかりの力が怪人の中で暴れ回り、穿たれた穴を中心に怪人の体が爆発し消し飛んで行く。
途端響く明るい電子音のようなファンファーレ。
ステージクリア。猟兵達の勝利が告げられた。
成功
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