バトルオブフラワーズ③〜グレートでゴッドでミラクルな~
「さぁ語ろうか。舞台はキマイラフューチャー、絶対的な脅威に力を合わせ戦った偉大なる巨人の英雄の物語を!! あ、必殺技シーンもう一度」
●ヴァリュアブル
キマイラフューチャーは大都市――数多の巨大なビル群が立ち並ぶ、この大都市に。
それを蹂躙する一つの巨大なる戦士が居た。
「貴様に相応しいマスクは決まったぁっ!!」
宙に浮かぶ幾多の仮面の一つを取りて。
仮面から引き出された破壊の光線が、次々とビル群を煙に変えていくのであった。
●男のロマン
「個人個人の力では絶対に敵わない相手に、力を合わせて倒す……男の浪漫だ。そう思わないかね?」
年甲斐もなく、妙にはしゃいだ様子を隠せないグリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは、集まってきた猟兵達に熱を帯びた様子で語った。
「私は女だが、いいじゃないか。こういうの、格好いいじゃないか!!」
顔を真っ赤にしながらロマンスを語る彼女は、大声を出した後にそれを恥じらうように咳払い一つし、改めてグリモアを輝かせた。
「さ、さぁ語ろうか。今回の舞台はキマイラフューチャー、君達にはメンテナンスルートに立ちはだかる一つの障害を打ち払って貰いたい」
キマイラフューチャーにて「システム・フラワーズ」……キマイラ達の生活を支える物資の供給機構が危機に晒されていることは最早広く知れ渡っている。
その中枢へ赴く為には、そこを守る六つのステージを攻略しないといけないことも。
「今回行って貰うステージは『ザ・ビルトステージ』 巨大な敵を同じ巨大な戦力を以て迎え撃つ浪漫の戦場だ」
真っ赤な翼をはためかせ、妙に上機嫌にスフィーエは語りを続ける。
今回相手となる敵には「キョダイロボバトル」なるルールが制定されているらしく、見た目と能力こそ元となるオブリビオンと同質だが、全長50メートルほどの巨大サイズになっているのだという。
「そこで君達には、この基地で同じように巨大ロボを作り迎撃して貰いたい」
グリモアを輝かせながら映し出すのは、キマイラフューチャーの都市によく似てはいるが、住民は一人も居らず、代わりに中央に大きな基地と機材の揃った光景だ。
この基地で機材を利用しながら自分の為の機体を作れ、ということなのだろう。
組み立ては基地内のコンピューターが自動で行ってくれるので、専門的な知識が無くても割と大丈夫だろうとも補足し。
「ただ、一人一人の力ではどう足掻いてもトドメを刺すには至らない。そこでだ! 皆の力を合わせて合体ロボとなってパワーアップする必要がある!!」
赤い翼をバサバサとはためかせ、額に汗を散らしながら熱意を以て彼女は語る。
「整合性とかは気にしちゃダメだ。その場のノリでどうにかなる!! 必要なのは熱意と浪漫、そして友情さ!!」
若干引きかけている猟兵達の様子もお構いなしに、彼女は更に語りを続ける。
「ただし! この基地を破壊されてしまえばジ・エンドだ。一撃、二撃程度では壊れはしないだろうが、攻撃され続ければどうなるか分からない。だから君達が体を張って守る必要があるだろうね」
もちろん文字通りという意味ではなく、攻撃を迎撃したり障壁などで防いだりするという意味だよ、と冗談めかして補足して。
「さて、私からは以上だ。私自身がいけないのが口惜しいが、転送は任せてるといいよ。では、準備ができた者から声を掛けてくれたまえ」
裏山薬草
どうも、裏山薬草です。
オープニングに目を通していただきありがとうございます。
私からも戦争シナリオをお届けしたいと思います。
今回はですね、巨大ロボと化したオブリビオンを、自作のマシンを作った後に合体して撃破するシナリオとなります。
猟兵の皆様には、自分の作るマシンの簡潔な設定や、必殺技などをプレイングに記載して頂きます。
性質上、何名様か纏めての返却になると思いますので、ご了承ください。
合体時の整合性などは、こちらで何とか調整いたしますので、皆様は思い思いに熱くマシンの設定や台詞、必殺技などをプレイングで語っていただけると幸いです。
また基地の防衛について何かしらの対策が無いと失敗する可能性もあります。
合同プレで無ければ、余裕があれば入れておいた方が無難かもしれません。
第1章 ボス戦
『マスクコレクター』
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POW : 僕のターン! 『暗黒ヒーロー』を装着して攻撃!
予め【攻撃時に装着する仮面を公開しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD : 残念、その攻撃はトップメタだ! 対策済みだよ!
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【その防御に最適な仮面】が出現してそれを180秒封じる。
WIZ : フィールドの全仮面を生贄にして、この仮面を装着!
【なんかすごいフィニッシャー形態】に変形し、自身の【公開してある全ての仮面】を代償に、自身の【放つ『とどめの一撃』】を強化する。
イラスト:天和
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠グァンデ・アォ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ヴェルタール・バトラー
巨大ロボット、ですか。
鋼の体と魂が熱くなりますね。
強化合体に必要なのは、飛行能力。(超断言)
という訳で私が建造するのは、鳥型の機体『グランウイング』です。
背には一対の大出力ビームキャノンを装備。
合体するとカラーリングが合体相手に対応したものに変わり、リミッターを解放することで必殺の砲撃、『グランマキシマム』を発動可能です。
さて、ロボが建造、合体を行う時間は、私が稼ぎ出しましょう。
【フルバースト・マキシマム】。敵の攻撃は1ミリたりとも通しませんよ。
ただ、私の力では、マスクを自在に扱う敵を長く抑える事はできないかもしれません。
ですが、降臨した合体ロボが必ずや敵を討ち果たしてくれるでしょう。
仁科・恭介
【携帯食料】を噛みながら脳細胞を強化
【学習力】も使ってこの場合に最も効率の良い形状を考える
ドリルはロマンだが…人気があるだろう
じゃ、脚部分を考えるか
二足歩行は安定性が無いと思うんだよね
この場合は多分…四足歩行かな
巨大なバッファロー型で合体するとケンタウロス型になるのは…ありそうでなかった気がする
無駄に【ダッシュ】性能をつけて…必殺技は角部分で突き刺す「ライジングホーンデリバリー」かな
視認されると命中率下がりそうだから【目立たない】ように光学迷彩をつけよう
「音だけが迫ってくるだと?」とかね
POW
さて、設定は作ったけど…あいつら邪魔だねぇ
作成者たちのテンションを借りて…【ダッシュ】を乗せて殴るかな
月凪・ハルマ
←(この世界ツッコミどころしかなくてどうしようって顔)
……けど、そんな世界でも無くなると困る人達がいる
ならそれを守るのも、俺達の役目か
攻めは他の皆が頑張ってくれるだろうし、
俺は基地を守る為の防衛能力に長けたロボを作ろう
まず、敵の攻撃に耐えられる堅牢な装甲が必要だろう
単純な衝撃だけでなく、炎や冷気、ビーム等にも強くしておきたい
あー、一時的にでもバリアとか張れたりするのもいいかも
その分、重量が増えて動きは遅くなるだろうから
武装はミサイルやライフル等の遠距離中心に選択
後は基地の前に陣取り、敵の攻撃を防ぎながら
遠距離武装で応戦していく
―そう易々と、墜とせると思うなよ
※(メカニック+武器改造+防具改造)
アリス・レヴェリー
デナイル(f03357)と連携
まずは設計ね。コアと一部武装は受け持つわ。【選択UC】による【雷】属性の【結晶化】。作り出した超高純度の結晶をコアにしましょう。
これを動力兼、必殺技の荷電粒子砲のエネルギー源にするわ。撃ったら少しの間出力低下するから、気をつけないとね。
そして、巨大な杭型に結晶化させた物を、パイルバンカーに使うわ。一発限りの使い捨てだけどその分威力はお墨付きよ。
他には相手に刺す事でハッキングの足がかりに出来るコードの触腕ね。
最終形は触腕をたなびかせた、口部から粒子砲を放つ二足歩行の竜型よ!腕部にはパイルバンカー!
デナイルさん、攻撃とかは任せたわね!わたしは基本的な操縦に集中するわ!
デナイル・ヒステリカル
アリス(f02153)と連携
まずは設計です
では僕は武装を運用できる頑強なフレームを担当しますよ
二足歩行の竜型、背には自在に動かせる幾つもの長く伸びた触腕、前腕部に杭打ち機構、口腔内部に荷電粒子砲
完成!惚れ惚れします!
コックピットへと乗り込み、基本操作をアリスさんへ
任されました!そして任せましたよ!
コアに使用されている雷属性の結晶によってブーストしたUCで敵の足を止め、雷を纏い登場
背から伸びた触椀を直接突き刺してハッキングし、動きを阻害して前腕の杭打ち機を叩き込みます!
攻撃は最大の防御!
敵が拠点を狙う攻撃に対し、遮るように立ち塞がり、コアを最大まで稼働させ荷電粒子砲での真っ向勝負を仕掛けます…!
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
うんうん、こういうのロマンだよね!
ボクのマシンはサメを象った大型バイク「オーバーバイト」
合体前は猛スピードで地上を駆け巡り、バルカン砲とミサイルで敵を攻撃
必殺技は機体そのものをバリヤーに包んで体当たりする「シャークエクストリーム」!
マシン建造中に敵の襲撃を受けたら愛銃を手に【クイックドロウ】で迎え撃つ
ここはボクに任せて!
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
敵は50メートル級の巨大ロボ。
だとしたら合体前の状態で敵を消耗させながら弱点を探す感じになるのかな。
(ブツブツ呟きながらマシンを設計)
マシン:小型ロボ『ファイヤフォージャー』
能力:素早い動きと背中に背負った大振りの青龍刀による斬撃
必殺技:刀に炎を纏わせ、猛スピードで突進し斬りつける『クリムゾンクルセイド』
基地が攻撃を受けたら防衛システムを作動させ障壁で基地を守る。
戦闘時はパルクールの要領で周りのビルを足場に敵の周りを飛び回り攪乱しながら斬りつけ、ダメージを与えると共に「敵の死角」や「攻撃手段」「弱点」などの情報を可能な限り引き出す。
そして合体後にそれらの情報を元に短期決戦を狙う。
●男達の浪漫
ビルドステージは一画、前進的なデザインの高層ビルが所狭しと並び、それでいて巨人が暴れまわるには程よく足の踏み場もあり――その中央に否応なしに目立つ、決して落とされてはならない巨大な基地。
その基地の中で、三人の男達が肩を寄せ合い相談を行っていた。
「鋼の体と魂が熱くなりますね。浪漫です。浪漫ですよ」
三人の中でも一際目立ち、ともすれば寧ろ建造される側にも見えるウォーマシン、ヴェルタール・バトラー(ウォーマシンの鎧装騎兵・f05099)は基地内の向上で組み立てられていく鳥形の機体を眺めながら二メートル半にも及ぶ巨体を沸かせていた。
「……うーん、じゃ、それなら脚にしようか」
その隣で干し肉を齧りながら、脳細胞を熱く沸き立たせ思案を張り巡らせるのはダンピールの仁科・恭介(観察する人・f14065)だ。
まず思いついたのはドリルであるが人気は在りそう――ならば、合体後も想定して脚となりうる存在を作るべきではないか?
そう考えた彼は齧る干し肉から、とある力の象徴を組み立てており。
「……ま、俺たちの役目だな」
その中で最も年少であり、この世界のギミックに色々な突っ込みどころを隠せなくも。
守らなければならない思いは同じ――故に、ヤドリガミである月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)はその守りを重点的に考えた機動兵器を作ろうとしていた。
作る機体も望む思いも三者三様――目的はされど皆同じ。
『エマージェンシー、エマージェンシー、敵個体接近中! 至急迎撃の用意をお願いします! 繰り返します……』
オートフォーメーションの組み立てる音が響く中、不意に基地内に警告音が鳴り響く。
どうやら敵が進軍を開始してきたらしいが――
「どうやらお二方はまだ建造に時間が掛かる様子。ここは私にお任せ頂ければ」
三人の中で一番の巨体を前に出し、一番早く完成した大理石カラーの機体を眺めながら言ったのはヴェルタールだった。
恭介とハルマの心配する声に無理はしないと一言約束し完成した機体に乗る姿は操縦というより、別のユニットを装着したようにも見えたかもしれない。
「さて、これが今回の基地か……よし、こいつに相応しい仮面は、決まったぁっ!!」
基地の前に現れたのは全長50メートル――仮面を纏った少年のようでありながら、周囲にバリエーション豊かな幾つもの仮面を浮かべている姿が特徴的だ。
基地の破壊に相応しい仮面を取り出すと、その力を引き出さんとした瞬間――怪人ロボの目の前を高速で横切った、巨大な鳥の如き姿があった。
「さて、時間は私が稼いで差し上げましょう」
その大理石カラーの大型の鳥を象るロボットこそはヴェルタールの造りしグランウイング――背には一対の大火力のキャノンを備えていた。
(やはり強化合体といえば飛行能力……!!)
浪漫を乗せた音速をも超えた速度の突撃が怪人を吹き飛ばし、続けざまに放たれる二門のビームキャノンのまばゆい閃光が怪人を追い詰める。
ウォーマシンのユニットから痛覚以外の神経を共有し、飛翔しながら何度も放つキャノンが怪人の反撃を許さず後退させていく。
とはいえ、そう長続きする相手でないのは承知――けれど、自分が少しでも時を稼げば仲間が来てくれる。
信じた思いは裏切られることはなく――
「待たせた」
「がはっ!!?」
グランウイングのビームを撃った後のチャージ時間……その隙を突かんと速攻性に秀でたマスクを装着し叩き落とさんとした刹那。
見るからにロマンスの漂う大角を振りかざした猛牛の突進が、それを大きく空へ舞い上げる。
コックピットの中で干し肉を噛み切りつつ、新人類の如き感覚に精神を研ぎ澄ませながら猛牛型のロボを操る恭介――その機体こそは、力の雄牛『ハウリング・バッファロー』!!
相手が牛ならばと、怪人は闘牛士のマスクを掲げ宣言し、装着するとマスクから取り出したマントをはためかせ煽らんとするが。
「何っ……見えないだと!?」
いつの間にか姿を消していたHバッファロー――そう、必殺の一撃をより確実に決めるために備えたのは光学迷彩。
姿を消したまま、その必殺の突進で角を突き刺す、その必殺技は……ライジングホーンデリバリー!!
闘牛士のマスクの力を犠牲に角の一撃に吹き飛ばされながらも怪人は決める。
「ふっ……だが、貴様に相応しいマスクは、決まったぁっ!!」
怪人が取り出したのはコウモリのマスク……音波の認知に優れ、空を翔けるそれこそは火砲を備えた大鳥と姿消す雄牛の相手に相応しい。
猛牛の突進と、大鳥の乱舞をひらひらと躱しながら、基地目掛けてその牙を突き立てに――!!
「――そう易々と、墜とせると思うなよ」
「あ、あがががっ……」
コウモリの牙を堅牢なる装甲で防いでいた青き巨人――その身体に数多の火砲を備え、圧倒的な威容を誇る堅牢なる戦士。
それこそは守るという意志を体現したかのようにハルマの建造した守護の機体『マイティガードナー』
堅牢なるその装甲には、炎熱・寒冷・耐電、果ては光学やBC兵器……考えうるありとあらゆる攻撃に耐性を持ち。
備えた火砲の類の攻撃は強力無比、唯一の欠点はそれ故に動きは鈍いことだが――こと、拠点防衛に於いては最強の存在だろう。
怪人もまた動きの鈍さを突こうと、機動力に優れたジャガーのマスクを装着し動き回るが、一面を埋め尽くす大火力は逃げることを許さずに。
動き回る怪人の身体を容易く捕え、大きくその進軍に待ったを掛けた。
勇気の大鳥、力の雄牛、そして守護の巨人――初手の熱き三体が、まずは見事に基地を守り抜くのだった。
●More Strong!
所変わって基地内の別工場エリア――そこでも嬉々として巨大兵器を組み立てている一組の男女が居た。
「基本的な部分は僕に」
設計図のモニターを前にずり落ちる眼鏡のブリッジを押し上げるバーチャルキャラクター、デナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)は入念に機体の基礎を組み立てている。
「じゃあ動力と、一部の武装は任せてね」
その一方で、隣にて、ともすれば場違いにも聞こえるかもしれない――有名な童話の少女が如き姿をしたミレナリィドール、アリス・レヴェリー(真鍮の詩・f02153)は一つの詩を謳っていた。
尤もそれは遊びではなく――機体が組み立てられていく中、淡く、されど眩く輝く結晶がさざれ石が集まり大きな巌となるように作り上げられていく。
そこそはアリスの作り出す、機体の動力炉となり得る結晶体――見た目は美しい宝石のように見えても、内部には触れるモノ全てを蒸気に帰すであろう雷の力が秘められていた。
その横には巨大な杭打ち機が如き結晶――使い捨ての武装だが、強力無比――更に作るのはいくつかの触腕。
「――よし! それじゃあ組み立てよう」
全てのパーツが出そろったことを確認し、デナイルが何処かスタイリッシュにエンターキーを押せば。
電脳の住民が持つ知識とロマンの込められた頑強なフレームに、莫大な雷の力を宿す核晶が心臓のように取り付けられ。
肉付けとなる装甲が次々とそれを覆っていき、最後に右腕に結晶の杭打ち機を取り付け、背中に数多の触腕を取り付け――
「完成! 惚れ惚れします!!」
「凄い!!」
恍惚とするデナイルに手を叩いて讃えるアリス――彼等の目に映る姿は、背中に翼の如き触腕を靡かせ、右腕には巨大な杭打ち機――そして、特徴的なその顎からは。
何者をも消し去る破壊光線を解き放てるであろう幻獣――そう、それは、二足歩行の龍であった。
圧倒的な幻獣の姿に惚れ惚れしながらも、彼等はコックピットに搭乗する――浸ってばかりもいられないのだ。
「デナイルさん、攻撃とかは任せたわね! わたしは基本的な操縦に集中するわ!」
「任されました! そして任せましたよ!!」
各々の担当を改めて確認し――基本的な操縦を担うアリスがレバーを引けば。
基地から力強く飛び立った竜――何者をも砕く輝きを宿すその竜王、名は『クラッシャー・ブライト・ドラゴン』
産声の如き咆哮を挙げ、進軍を続ける怪人の前に立ちはだかるや否や、顎を大きく開き。
「「荷電粒子砲、発射!!」」
大火力の砲撃を突き抜ける極太の光線を放つ怪人に、口から放たれた雷を凝縮した光線がぶつかり合い相殺――否。
逆に相手の光線を飲み込み喰らい、爆発を引き起こし怪人を吹き飛ばしながら――
「対象を穿て!!」
レバーのボタンを押せば、核晶に増幅されたデナイル自身の雷の力が――騒がしき雷雨の名の如く。
電子の精霊で作られた槍は、核晶の加護を上乗せした激しい雷を迸らせながら次々と怪人に突き刺さっていく。
「くっ……だが雷なら! 相応しい仮面は決まっ……!?」
――マスク・チェンジを行う瞬間に突き刺さる触腕が、怪人の動きを完全に止める。
その力は――そう、ハッキング。
電子の住人と、莫大な雷の加護の為すハッキング能力が怪人の動きを完全に止めていた。
尤も、絶縁体のガードを行おうとしていてもそれは無意味、何故ならば……
「「いっけぇぇぇっ!!」」
核晶の持つ出力にも劣らない雷を宿す、右腕の杭打機が、怪人の胸を正確に差し穿ち雷を身体に流し込んでいたのだから。
●空を切り裂くマシンは常に
「うんうん、いいよねぇーっ」
高度なオートフォーメーションによって組み立てられていくマシン。
その組み立てられていく行程だけでも、ロマンスを感じる者はロマンスを感じるのだろうか。
窓に身体をくっつけて少女シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)は、完成に近づいていくマシンを心底楽しそうに眺めながら、両手を打ち合わせて頬を紅潮させた。
「こういうのロマンだよね! ねっ、ウィーリィくん!!」
「ん、ああ……そうだな」
声を掛けられた少年ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)はシャーリーの言葉に同意を示しながらも、組み上げられていく機体を眺めつつ考えを巡らせていた。
(敵は50メートル級の巨大ロボ。合体前に消耗ながら弱点を探して……)
隣ではしゃぐ声を、どこか心地よい音楽のように流しながらこれからの戦略を考えつつ――ウィーリィはタッチパネルを指で叩く。
思い描く機体に必要な武器は――これがいい。
金属の叩かれ、高熱による加工が行われる光景が暫くの間流れつつ、モニターには先に建造を終えて防衛についている猟兵の奮戦が映し出されている。
しかし焦りは禁物、鮫はここぞという時に口を挙げて食らい掛かり、豚の丸焼きは弱火でじっくりと火を通さなければ美味しくないのだから。
マシンへの機体と戦場への焦りが交々とする中――電子音が漸くに機体の完成を告げれば。
鮫は喜び勇んで、基地から飛び出す――エンジンの駆動音が混乱を極める戦場に、楽士の激励が如く響き渡り。
杭打ちから逃れ、形振り構わずに基地に向かおうとしていた怪人の身体を盛大に撥ね飛ばした。
「宇宙の海はボクの海ッ! 宇宙海賊シャークトルネード、華麗に参上ッ!!」
コックピットの中で、バイクのスロットルを吹かしつつ決めるのはシャーリー。
彼女の作り出した機体は凶暴な鮫をそのまま巨大なバイクにしたかのような風貌――ガトリングとミサイルランチャーをも備え、地を荒々しく翔けるモノ。
彼女自身のバイクをユニットに繋げ操縦するその名は――『オーバーバイト』!!
「ぐっ……鮫ならば、貴様に相応しい仮面はぁーっ……」
シャークバイトに撥ねられ、宙に舞い上げられる怪人は、展開した仮面から一つ選ぶ――それは鮫をも仕留めた漁師の仮面。
鮫殺しの力を得て抵抗せんとするも、彼は気付いていない――このエリアのビルを飛び石の如く駆け抜けて迫るもう一体の存在を。
「付け替えの瞬間が、狙い時って訳だな!!」
低いビルから中ごろ、高いビルの屋上を足掛かりにしつつ飛翔し。
その身に不釣り合いな大振りの青龍刀を振り回し――取らんとした鮫殺しの仮面を、真ん中から叩き割り、ついでに振り向き様に怪人を斬りつける。
「ウィーリィくん!!」
「フカヒレにゃさせねぇぜ!!」
オーバーバイトの上に着地し、片足立ちで青龍刀を構えるその姿はウィーリィの造り挙げた機体。
何処か彼自身を彷彿とさせる、今まで作り上げられたマシンと比較しても小柄の人型――その名は『ファイヤフォージャー』!!
そして斬りつけられよろめく怪人に――迫るのはシャークバイト。
全身に障壁を纏いフルスロットルの勢いを乗せた突撃は正に名は体を表すが如く――怪人の脇腹を食い千切り。
急ブレーキによって跳ね上げられたファイヤフォージャーが空中で青龍刀を構え――神火の如く燃え盛る刃を、急降下で脳天に打ち下ろす!!
――彼自身の仮面がヒビの入る音が鳴ったのは、戦況が終末に近づいている証左なのか。
●超絶合体
戦いの終末は近く、幾度となく猟兵の攻撃を受けて少なくない損傷を負った怪人は切り札を出した。
「貴様に相応しい仮面は……もう、これしかない!! 全ての仮面を代償に……いでよ!!」
浮かべた二十三の仮面を犠牲にして生み出される一つの仮面――これまでのそれとは比較にならない力を秘めた気配。
「チェンジさせちゃダメだ!!」
ウィーリィの号令からの攻撃による妨害も空しく――圧倒的な仮面のオーラによって猟兵達の攻撃は弾かれ、マスクチェンジを許す。
取り付けられた仮面は――魔神。
全てを圧倒する魔神の仮面を取り付けた姿に慄きつつも、コックピットの中で干し肉を齧り――戦場に飛び散ったありとあらゆるテンションを取り込んだ恭介が通信で語り掛ける。
「……今こそ、じゃないかな。猟兵(イェーガー)?」
「……、やっぱやるしかないよな。うん」
悉く突っ込みどころの多い世界だ――しかし、それでも必要とする者がいるのだから。
守らねばならないというハルマの声に――猟兵達は一斉に頷いた。
「いっくよーっ!!」
開戦の花火が如く、取り付けられたガトリングとミサイルランチャーの全てを解き放ち魔神と化した怪人を牽制しつつ。
スロットルを全開にして回し、鮫型バイクことオーバーバイトは鮫の頭部が如きカウルを切り離し。
続いて力強く翔ける雄牛のHバッファローが嘶けば、角の誂えられた頭部を外す。
残ったオーバーバイトが展開し、Hバッファローの背に甲羅の如く取りつき――続いて上下を分離した守護巨人マイティガードナーの上半身が飛来し。
重量級の装甲は合体の相乗で強化された力の前では軽量級も同じ――されど、装甲の力は一切衰えず。
鮫の肌を得た雄牛の脚に取り付き、その剛脚を支える。
「青龍刀とドラゴン、そして炎と雷……これです!」
続いて熱く浪漫を語りデナイルとアリスの操る龍ことCBドラゴンが、小型ロボであるファイヤフォージャーと熱く固い握手を交わせば。
CBドラゴンの身体が分解しつつ展開され、ファイヤフォージャーに宛ら竜鱗の鎧が如く纏われて。
竜の頭部を兜のように被ったその後に、オーバーバイトから分離したカウルが、胸部のアーマーとなって纏われる。
竜の鎧を纏い、鮫の牙を胸に抱く――そんな戦士になりながら下半身を折り畳み。
そして鮫と守護者の甲を得た頭部のない雄牛が駈寄ると――跳び上がった雄牛の身体と合体し、巨大な人馬が如き姿となりて。
そして猛牛の下半身の上面を覆う鮫――それ自体が搭載するガトリングとランチャーに。
守護者がこれでもかといわんばかりに搭載していた大火力の火砲が搭載され、要塞が如き姿となりつつ。
残されたマイティガードナーの下半身が変形し、大盾となりつつ戦士の上半身が左手でそれを受け止めて構えた。
「私からはラスト・ソングを詩うわ。世界を守る楔をこの手に……」
アリスの詩う声が生み出すのは莫大な雷の結晶――使い捨てなれど、今この時のトドメにと。
新たに生み出された雷の杭打機に、分離されたHバッファローの頭部が追加され――猛牛の角を備えた杭打機となって右腕に装着された。
そして。
空を裂き飛来する大鳥――最初の防衛を為したグランウイングが翼を広げ、戦士の背中に装着され。
一対の砲門を陽光に輝かせ、龍の鎧を纏い鮫の牙を胸に抱き、守護者の盾と雄牛の杭打機を備え。
その脚は鮫と守護者の装甲を纏い、数多の火砲が備えられた究極の人馬――魔神を狩る究極の狩人、その名は正に『アルティメットイェーガー』!!
未だかつてこれ以上の気迫と気迫がぶつかり合う光景は無いだろう――まさしく物語のラストバトルに相応しく。
雄叫びを挙げた魔神が必殺の飛び蹴りを突き立てんとすれば、Uイェーガーは盾を翳す――同時に展開される光の障壁が、必殺の一撃を呆気なく弾き返し。
その障壁を展開したまま、力強く脚を踏み出せば音をも上回る速さの突進が魔神の身体を盛大に宙へと舞い上げ。
「アルティメット・グランマキシマム……ファイア!!」
待ってましたと言わんばかりにヴェルタールの宣言と共に。
背負った二門と、搭載した火砲が一斉に激しい光線――竜の心臓部であった核晶から供給される荷電粒子の上乗せを伴って放たれたそれは、光の柱となって魔神を呑み込み蒸気に還した――否!!
魔神は最後の力を振り絞り、離脱用の仮面に全データをバックアップし飛び去ろうとしていたが。
ビルを足掛かりに跳躍し、勇者の翼をはためかせ一瞬で仮面へと追いすがり――背中から伸ばされた触腕が仮面を絡めとる。
そう――それは、バックアップのデータをも完全に破壊する狩人の容赦のない追及。
データにはデータを――仮面の中の仮想空間に、Uイェーガーの全戦闘データをコピーし潜り込み。
仮想空間の中、猛牛の脚で翔けながら仮想空間に座す魔神――バックアッププログラム目掛けて。
「「「消えろぉぉぉっ!!」」」
猛牛の角を携えた杭打機に、プラズマと炎を纏い、一気に突き立てた――!!
そして断末魔を挙げることすらも許されず。
バックアップデータをも完全に消し去られた魔神と、その器である仮面は空中で盛大な爆発を起こして消滅し。
その爆風の中、一切の傷もなくアルティメットイェーガーは宙に浮かびつつ――燦然たる陽光を浴びながら、胸部の鮫が勝利の雄叫びの如く、唸りを挙げるのだった。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年05月05日
宿敵
『マスクコレクター』
を撃破!
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