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バトルオブフラワーズ⑤〜ファビュラス☆オシャレファイト

作者：烏丸くろえ

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　目の前にどーんと佇むのは、パステル！ビビッド！ポップ！そしてファンタジーな、女の子が夢見るお城のような巨大ゲーム機！
　傍らに積み上がっているのは、キラキラホログラムのカードの山。
　まるで、お砂糖とスパイスと、素敵なものを沢山散りばめて集めたよう。

　その傍らに、少女の姿のオブリビオンが待ち受けている。
　オブリビオンは、ゲーム機の傍らの山から3枚を選びとった。
　頭に着けるリボン、メインとなるワンピース、エナメルの靴。どれもこれもピンク色。
　カワイイコーデのファッションアイテムが描かれた、彼女好みの切り札だ。

　もうおわかりだろうか。
　そう、この戦いは……オシャレファイトだ！

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「アンタ達事件だよ！キマイラフューチャーに飛んでくれ！」
　ミルラ・フラン（蘇芳色・f01082）がヒールを鳴らしてやってくる。今日はUDCアースのギャル風の装い。

「バトルオブフラワーズ、キマイラフューチャーでの一連の騒動は知ってるね？」
　既に出撃して戦果を上げた者もいるだろう。情報収集をして、これからという者も勿論。

「あたしも事件を予知したのさ。敵はティーンの女の子の姿をしたオブリビオン。」
　まずはゲームでバトルして勝敗を決しないと、お互いに殴りあっても通じないんだよ。と続けるミルラ。

「勝負するゲームの内容は、カードゲームのファッションバトル！」
　UDCアースやヒーローズアース出身の猟兵は心当たりがあるだろうか。
　衣装が描かれたカードを選びコーディネート。その組み合わせの見映えや点数コンボで勝敗を着そう、もとい競うアレである。

「私が転送する先、コンピュータールームのような空間には、どでかいゲーム機が置いてあるよ。オブリビオンもそこで待ってる。」

　決戦の地や勝負内容はこうだ。
　いかにも少女趣味、メルヘンなお城めいた巨大ゲーム機。その横には夥しい枚数のカードの山。
　オブリビオンがその中から3枚選んで手札にしているように、猟兵も山から3枚抜き出して手札にする。
　内訳はメインとなる衣装を1枚、サブとして靴、ヘッドアクセを1枚ずつの合計3枚。
　コーディネートした衣装をぶつけ合い華やかさや統一感などを点数化し、勝敗を決する……というもの。
　リアルファッションのセンスがないといけないのでは？という声が猟兵から上がるも、ミルラは頷いて説明する。

「突破口としては……オブリビオンの子は比較的子供っぽく【カワイイ】【ピンク】に寄ったコーディネートばかりやるみたいだね。違う系統……大人っぽく【綺麗】【シック】【カッコイイ】とか、【カワイイ】をぶつけるとしたら、別の色で纏めるのが狙い目かも。」
　方向性次第で、勝率はグッと上がるだろう。
　彼女はずっとカワイイ推しだから、別方向で攻め続けるのが勝利の鍵だろうね。と、ミルラは言葉を続ける。
　ファッションバトルで勝てれば、心理的な揺さぶりもあってその後の戦闘は大いに有利になるに違いない。

「とりあえず、男は度胸で女も度胸さ！皆のセンスと勢いで、オブリビオンを蹴散らしてきな！！」
　ミルラはゲートを開く。その向こうには、ピンク色をした大きなゲーム機が待ち構えていた……！

第1章 ボス戦 『ダークプルティア『ダーク・シュトレン』』

POW   :    集まれ甘き闇の菓子！ダーク・シュトレンレッカー！ 戦闘中に食べた【人々の欲望から作り出した菓子】の量と質に応じて【自身のダークティアパワーを増大させ】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。 SPD   :    甘き闇に溺れちゃえ！シュトレン・ダークフルス！ 【闇に染まった大量のクリーム状特大ビーム】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。 WIZ   :    甘き闇をあげる！ダーク・グーテンアペティート！ 戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自分の菓子を食べさせる事で怪人や戦闘員】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。 イラスト：すねいる 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

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　ゲートを潜り、決戦の地へ乗り込んできた猟兵達。

「ふふん！私に勝てるなら挑んでみなさい！イェーガー！」
　そこには、メルヘンな巨大ゲーム機の前で、ドヤった笑顔のダーク・シュトレンが待ち受けていた！

　先陣を切るはフロース・ウェスペルティリオ（蝙蝠花・f00244）と高柳・零（テレビウムのパラディン・f03921）
、イケメンな雰囲気漂うブラックタールと、ファンシーな表情とは裏腹に、理知的なオーラがあるテレビウムである。

「んー……ファッションセンスという意味ではあまり自信は無いけど、統一感のある服は好きだねぇ。」
　黒と、差し色が映える装いのフロースが言うと中々の説得力。
「ファッション対決……まあ、大昔からあったそうですし、やってみますか。」
　旧人類滅亡前の歴史にも明るい零だが、やはりそこは男の子。ファッションバトルという不馴れな戦いにやや戸惑いは隠せない。

「ふふふ……男の子なんて、しょせんカエルとカタツムリと犬の尻尾ね！」
　最初にやって来た対戦相手がどちらも男性だからか、余裕綽々に見えるダーク・シュトレン。
　それを尻目に、カードの山から手札を選抜するフロースと零。まずゲームで決着しないことには戦いにならないのだ。

「やはり、自分のカラーは【緑】ですから。緑を基調とした【カッコイイ】コーデで挑みましょう！」
　零の配置したカードはメカニカルな【エメラルドメイル】を中心にした構成。同じく緑色の【ジェイドブーツ】と、アンテナの先に赤い旗の付いた【フラッグアンテナ】
「ファッションというのはポイントが必要で、全部が同じ色より、1箇所目を惹く所であった方がいいんですよ。それが、赤い旗です。きっと目立つ筈です！」
　バトルのときにキャラクターに着せてどう見えるかは、ぶっつけ本番。

　フロースは黒を基調にした、スタイリッシュな組み合わせを選択する。
「相手が可愛らしい服なら……ウチは大人っぽい服、かなぁ。あっちがお姫様なら、あえて合わせるように騎士とか。」
　なるほど、騎士を思わせるカードの組み合わせだ。
　煌めかしく、動きやすい衣装。蝙蝠を模した仮面は妖しく目元を隠して、靴は少し踵の高い革のロングブーツ。
　差し色は黒に負けず華のある牡丹色。

　さあ、手札は決まった。

「ふーん、男のセンスのお手並み拝見ね！」
　最初にシュトレンと対戦するのはフロース。大人っぽさと配色のポイントが高く、彼の圧勝。
「は！？私の……カワイイコーデ……。」
　呆然として棒立ちになるシュトレンへ、フロースのダガーの一撃が放たれた！

「ま、まだまだよ！次、そこのちっこい奴！！」
　めげないシュトレンは、零を指差して直々にご指名。
　彼の緑色コーデは……アンテナが脚を引っ張った。クリスマスシーズン以外では、緑と赤はあまりよろしくない色合わせ。
　結果は、大差をつけてシュトレンの勝利。

「いやったぁぁぁ！やっぱり男の子なんてカエルとカタツムリよ！」
　ドヤ顔からの、黒いクリームの特大ビームを放つシュトレン。
　しかし、騎士道を嗜む零も負けてない。
「天に代わって、悪を斬る！あと何ですかその例え！！」
　盾を構え、オーラでの守りを構えた零は、カウンターから強烈な斬撃を放つ！

「っ！！」
　間一髪、直撃を免れたシュトレンだが、ダメージはしっかり入っている。
　さあ、どんどん勝負して、一気に畳み掛けてしまおう！

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

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　アカン、という表情を浮かべてカードを選ぶのは三人目の男子、三上・チモシー（カラフル鉄瓶・f07057）だ。
　しかしその装いはまるで女の子。
　何がアカンのかと言えば、服の好みとピンクが丸被りなこと。
「大人っぽいコーデ、自分にはほぼ未知の世界だけど、やるしかないね！」
「ふん！私のコーデはサイキョーなんだから！」
　初戦の敗北が尾を引いているのか、却って強気になるシュトレン。
　ちなみに、チモシーのことは女の子だと思っている。
　
「よし、これで行こう！」
　チモシーの選びとったカードは、落ち着いたAラインの【クリムゾンワンピース】
　頭には黒いリボンがワンポイントの【ミストグレークローシェ】
　華やかなワンピースと釣り合いを取るよう、靴はシンプルに【ブラックローファー】

　そう、チモシーが繰り出したのはUDCアースやヒーローズアースでいうところの、昭和20年代の古き良きお嬢様コーデ！！
　シックでレトロかわいいこの時代のファッションは、現代においても人気の高いスタイルだ。

「これでどうだ！！」
「ご、合計オシャレ指数が……私の……二倍ーィッ！？」

　ピンクカワイイ一辺倒のシュトレンとのファッションバトルは、チモシーが二倍近い大差をつけての圧勝！

「な……でも、アンタを今からボッコボコにすれば実質私の勝ちね！」
　ダーク・グーテンアペティート、倒したり気絶した者に自分の持つ菓子を食べさせることで操る技を、シュトレンは会得している。
　それを狙ったのか、泡立て器を武器のように振りかぶり、チモシーに襲い掛かるのだが……。

「そんなに甘い物が好きなら、たくさんあげるよ！嫌になるくらいね！」
　チモシーがシュトレンを指差したかと思うと、虚空から雨霰のようにクッキーが降ってきた！！
　シュトレンは咄嗟に逃げようとするものの、クッキーのガトリングは正確に彼女の心と体を穿つ！
　さっきの言葉とは逆に、彼女自身がボッコボコにされてしまったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

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　男子のターンが終わったところで、お次は女子の番。手札に出来るカードの山をあれこれ物色している。

「おっけー。じゃあ、あたしは【カッコイイ】系で攻めてみよっか。」
　本人も中々にカッコイイ、二本木・アロ（ガードカツィナの娘・f02301）はサクッと手札を選び取る。

　マイペースを崩さないエレニア・ファンタージェン（幻想パヴァーヌ・f11289）は、白いドレスのカードを手に取り呟く。
「エリィ、思うの。上品コーデは白こそ至上。清潔感も質感も一番誤魔化せない色だもの。」
　殿方は無垢な誘惑が好きだと誰かが言ってた気がする……多分。

「どんな衣装も自由自在の『げーむ』……なんて素敵なんでしょう！」
　せっかくなのでと、憧れのお嫁さんコーデを選択するのはヘルガ・リープフラウ（雪割草の聖歌姫・f03378）だ。

「うっ……リアルオシャレな上に女子力高そう……。」
　皆、系統は違えど美少女揃いである。それで女子力(物理含め)も高そうとなれば、いよいよ己の身を危ぶまざるを得ない。

　そんなシュトレンにアロが気安そうに話しかける。
「なるほど確かにカワイイよな、ピンク。」
　でしょ？とドヤるシュトレン。
　しかしアロは、でも、と一旦言葉を区切り、続ける。
「あたしは、ゆめかわいい系のピンク一色より、今のあんたのカッコが好きだぜ、ダーク・シュトレンちゃん。」
　その髪色に黒のボディスーツ、イカしてるし。と声をかけられ、なんとなく納得はいかないものの頷くシュトレン。

　まずはヘルガがシュトレンに勝負を仕掛ける。
　主役は純白のウェディングドレス【エンジェリック・ブライド】。ビーズ刺繍が輝き、繊細なレースがあしらわれている。古式ゆかしいエンパイアラインはさながら騎士道物語の貴婦人のよう。
　そして足元は【クリスタルヒール】。童話の姫君のような輝く靴。
　頭には花嫁の証。白く透けるレースに、鈴蘭の花冠に真珠を添わせたベール【ラルム・ドゥ・ノートル・ダーム】
「シックで綺麗……これが私のコーディネート。参ります！」
「うっわ正統派～！？」

　相変わらずピンクコーデで推しのシュトレンは、コーデを変えようとは考えないのだろうか。カードをセットする手が震えている。
　結果は……言うまでもなかった。
　傷心のシュトレンに追い討ちをかけるように、ベールの花と同じ、鈴蘭の嵐が襲いかかってくる！

「それじゃあ、今度はエリィの番ね。」
　目に見えて弱っているシュトレンに休む間も与えず、エレニアはワクワクとしたような表情でカードバトルに臨む。
　彼女もヘルガ同様にホワイトコーデ。しかし、花嫁をイメージしたヘルガと違い、こちらは白鳥を想起させる艶かしい取り合わせ。
　大理石にも似て少し灰色を帯びた白は、クラシカルな趣。

　ドレスはビスチェタイプでチュールのボリュームスカートが華やかな【ブランシュフルール】
　頭を飾るのは、白鳥の羽根が清楚なファシネーター【ホワイトスワン】
　靴は真っ白な裏に潜む赤いソールが意味深な【スノーブラッド】
　赤はエレニアの瞳と同じ色。白一色の中で差し色としてピリリと効いている。

「ふ、ふん！二人連続で白ならこっちが有利だもの！機械の判定は正確だし！！」
　勝率ダダ下がりで切羽詰まったシュトレンに対し、エレニアは自信がありそうな様子。
　ファッションバトルの判定は、白連続のペナルティで幾分下がったものの僅差でエレニアの勝利。
「やっぱりエリィのコーデの方が美しかったでしょ？」
　シュトレンは闇の力の籠ったマシュマロを食べて自己を強化し、すかさず蹴りかかろうとするものの、エレニアの召喚した騎士がそれを弾き飛ばす！
「戦闘スタイルもコーデの内よ。」
「な、な、ゲームだけじゃなくて本人もコーデキメキメって反則ぅ～！」

　地団駄を踏むシュトレンに最後の刺客が立ちはだかる！
　不敵な表情のアロが、スッとカードをセット。
　衣装はハードな黒のボディースーツ風ワンピース【ブラックブレイド】
　髪を飾るのは蛍光色のメッシュチューブの【ルミナスエクステ】
　足元は厚底ラバーソールで膝より上まで丈のあるブーツ【ナイトメアニーハイ】
　黒一色の中に、蛍光色の差し色がビビッドに映える！

「セット！これがあたしのコーデ！」
　アロが怒濤のカッコイイサイバーゴススタイルで殴りかかる！
　白連続の後の黒は実際強い！
　シュトレンご自慢のピンクコーデは、暴力的なまでの点数差に粉砕される！！
　いよっし！とガッツポーズのアロ。真っ白に燃え尽きたようなシュトレン。

「いやぁぁぁぁぁ～！負けたぁぁぁ～！？」
　半ベソかいてクリームの特大ビームを乱射するシュトレン。
　その胸焼けしそうなストロベリーピンクとブラックセサミの放物線を、巧みに掻い潜ってアロが肉薄。
「！？」
灰燼拳が、燃えて唸ってシュトレンに叩きつけられる！！

　ファッションバトルでは2戦目以外全敗、既に心身共々満身創痍の彼女にはもう、耐えきる体力が無かった。
「燃え尽きたわ……真っ白に……。」
　最後まで変えることがなかったピンクコーデのカードが、はらりと床に落ちる。

　ファッションバトルはここに終結した。
　キマイラフューチャーの存亡をかけた戦いは、まだ始まったばかり。
　オシャレも気合いも女子力も男子力も磨いて、戦え！イェーガー！

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年05月08日