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バトルオブフラワーズ⑤〜モンスターをハントしようぜ!!

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

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「唐突に始まりました『バトルオブフラワーズ』についてお伝えします」
 グリモア猟兵、ユージ・スペンサー(f14224)が告げた。
「キマイラフューチャーの中枢『システム・フラワーズ』が、オブリビオンにより侵略されています。これを防ぐべくわれわれも『システム・フラワーズ』に到達しなければなりませんが、そのために、6つある『ザ・ステージ』を攻略する必要があります。みなさんには『ザ・ゲームステージ』の攻略に赴いていただきます」

 このステージでは、あたかもゲームの世界に入り込んだように、ゲームの世界観とシステムにもとづいた行動をとる必要がある。
 どのようなゲームかは、エリアによって異なるようだが、今回、ユージが猟兵を転送する先は、「ハンティング・アクション・ゲーム」だ。
 ハンティング――すなわち、狩り。
 雄大な大自然のなかに、さまざまなモンスターが息づく世界。プレイヤーは狩人となって、モンスターを狩猟する。
 野や森を駆け抜け、武器を研ぎ、肉を焼き、素材を採取しながら、協力して標的であるモンスターに挑むというゲームだ。
 つまり、猟兵たちの目的も、ゲームの世界でモンスターを狩ることである。

「ただし、『システム・フラワーズ』に侵入した怪人――むろんオブリビオンです――の一部が、みなさんを妨害しにあらわれます。かれらの妨害を避ける、怪人軍団を撃退する、といったことも必要になるでしょう。ですが、目的はあくまでも『ゲームのクリア』であることをお忘れなく。ゲームオーバーになってしまっては元も子もありません。……よろしいですか? それでは、ゲームスタートといきましょう」



 バン!と音を立てて、掲示板に依頼書が貼られた。

 狩猟クエスト「炎噴く竜を狩れ」

(クエストレベル:★★★★★★★★★★)
(メインターゲット:炎翼竜ギャレビウス1頭の狩猟)
(報奨金:10000)
(サブターゲット:ギャレビウスの尻尾切断)
(目的地:密林島)
(制限時間:50分)
(依頼主:ギルドの長老)

 翼竜種ギャレビウスが密林島に舞い降りた!
 やつは竜種の中でも特に凶暴で強大なモンスター。
 このままでは生態系が破壊されてしまう。
 誰か、あの竜を狩ってはくれぬか……?

 その依頼書に触れると、空間に「クエスト受注!」の文字があらわれ、風景が変化してゆく。

 高い空を、鳥の群れが渡っていった。
 目に染みるほどの濃い緑。むせかえるような湿気と、土の匂い。遠くから聞こえてくる、なにかの動物の声――。
 そこは密林を切り拓いてつくられたキャンプ地だった。
 無造作に置かれた箱のなかには、支給された装備品が入っているようである。
 必要な品を手に取ったら、出かけるといいだろう。
 狩りはもう、始まっている。


墜落星
 ひと狩り行こうぜ……!!

 ということで、みなさんには、ハンティング・アクションに挑戦していただきます。
 このゲームでは、さまざまな武器を用いてモンスターを狩ります。「仲間と連携して攻撃する」「罠などのアイテムを活用する」「モンスターの弱点となる部位や属性を探る」などなど……どのような立ち回りをすべきか、考えてみてください。

 みなさんがクリアしそうになると、オブリビオン「つよくてかわいいアニマルズ」が、ゲーム内にあらわれて、猟兵たちを邪魔してきます。そのためシナリオは集団戦の形式になっています。しかしシナリオの成功条件は、ゲームクリアですのでご注意ください(特殊戦闘ルール:ゲームキャラクター)。ゲームのなかで、モンスターの狩猟に失敗するとゲームオーバーとなり、シナリオも失敗してしまいます。

 それでは、みなさんのご参加をお待ちしております。よろしくお願いします!
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第1章 集団戦 『つよくてかわいいアニマルズ』

POW   :    丸太クマさん怪人・ウェポン
【丸太兵器 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    鉄球ワンちゃん怪人・ジェノサイド
【鉄球攻撃 】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    ピコハンウサちゃん怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【ピコハン 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:まめのきなこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

天海空・奏楽
炎属性の竜かな? 【火炎耐性】でのりきるぜ!(主に気合い)
光剣片手に【重力忘却】でジャンプ!
竜の真上から翼の付け根を狙って急降下、
翼を切り落とす!
ってところが狙いなんだぜ!
移動を封じたい意図もあるんで、背中に乗っかって攻撃行動してる。
足場の安定はUCで確保。
怪人ズが来たら武器を持ち替えて、竜を含む範囲攻撃に切り替え。
自分の装備武器以外でも支給品として使えるんなら、弓を持つかな!
【2回攻撃】もあるし連撃ちだー!
竜が倒れるまで持てばいいんで、
深追いして持ち場を離れることは避けたい。
サブタゲは他の猟兵におまかかせします!(キリッ)
制限時間には注意し、
時間が差し迫ったら竜の背から剣で心臓を貫きに行く。


刑部・詠喜
これはそれがしにぴったりな任務なのではござらんか?
ぴったりもぴったりすぎてぴったりかんかん鳴っちゃうのでは?
何せそれがし、皆を応援するの大・大・大得意でござる!
オオオオッ! それがしの太鼓を聞いて力溢れぬ者はおらんのでござるぅうッ!!

あっ敵!!
ええいピッコンピッコンうるっさいでござる!! マナー違反であるぞ!!
衝撃波! 衝撃波!! 力溜め太鼓アタック!! 衝撃波!!

うむ! 成敗!!


龍ヶ崎・紅音
アドリブ・絡み歓迎

【POW】

よーし、戦争のことは気になるけど、とにかく一狩りいこう!!

ギャレビウスの攻撃を【気合い】で回避、特に空からの攻撃と【火炎耐性】があるとはいえ火のブレス攻撃には警戒しとくよ
攻撃するときは、他の猟兵から切断に弱いを教えてもらい、そこを斧で中心的に攻撃するよ
飛び立とうとしたときに、キャンプ地から持ってきた「閃光玉」を目の前で炸裂するように投げるよ
もし、その閃光で落ちてきたり事前に仕掛けってあった落とし穴にかかったりで隙ができたときは、尻尾を【力溜め】【鎧砕き】の『グラウンドクラッシャー』で切断するよ

あと、怪人たちに対してはホムラに焔【属性攻撃】の息吹などで撃破してもらうよ


リア・ファル
共闘アドリブ歓迎
【イ・ラプセル】
じゃあ一狩り行こうか!

相手への「ハッキング」「情報収集」スキャニングで、
弱点や効果的な行動を探っていく
「マッピングも完了。追跡可能だよ」

判明したら「時間稼ぎ」し、
『コードライブラリ・デッキ』から精製して
ペイント弾、音爆弾、閃光弾、催眠弾あたりを撃つ

・捕獲不可なら
「了解、クロエさんソッチは任せた!」
オブビリオンの相手はボクさ
セブンカラーズで麻痺弾射撃
UC【凪の潮騒】も使って、足止めする

・捕獲可能なら
「オブビリオン、ボクたちの勝利条件は「炎翼竜ギャレビウス1頭の狩猟」なのさ」
つまり捕獲でオッケー!
知り得た情報から、捕獲タイミングを計って、捕獲!


クロエ・ウィンタース
【イ・ラプセル】
ゲームとしてもオブリビオンを倒すのと変わらんな
単独でもない、リアのサポートもある。気負わず挑んでみよう

>行動
【SPD】アレンジ、他のハンター?と共闘歓迎
俺は前衛に

ゲームの中の常套は知らんが
依頼書にある通り尻尾は切り落とせるのなら刃が徹るのだろう
尻尾を狙う
切り離せたら次の箇所。頭部、首、目、眉間、翼の付け根などおよそ急所と思しき場所を斬り、突く。
友好部位は周囲に知らせ共有
攻撃は【フェイント】を織り交ぜた【2回攻撃】
敵への攻撃はUC【一寸の見切り】で【見切り】【カウンター】

妨害が来たら知らせよう
「リア!来たぞ!」
背中はリアに任せ龍を削る事に専念
リアが戻ってきたら龍の足止めをするぞ


エルス・クロウディス
どうも、<料理>しにきました!
え、狩猟?
そこに食材になるものがあるでしょう?

なら料理だ。

「骸装――じゃないんだなぁ」
支給品だしね。
だがUC、ウェポン・オーバードライブ。
選択した双剣をー、包丁に改造します。
回復は……森羅点穴あるし、他の人に渡そう。
皆ー、罠の準備は良いかー、まずはハメるぞー。
念のために臭い付ける例のあの玉をぶつけて、尻尾中心にざしゅざしゅ。
切れるタイミングで罠設置を忘れず。
尻尾切れたら次は足、とにかくこかせの精神。
逆手持ちとの切り替えはこまめに、隙ついて回転斬り飛び込み、ステップ離脱の繰り返し。
こけたら頭に乗り込めー。

あ、モブさんちっす。
お前らも、料理だっ。

アドリブ・連携歓迎



 支給品箱から、猟兵――いや狩人と呼ぼう――たちが思い思いに品物を取り出す。
 リア・ファル(f04685)が手に取ったのは地図であった。
「マッピングも完了。追跡可能だよ」
 情報収集なら彼女の領分だ。
 ここはいわばゲームのなかの世界。キマイラフューチャーの基幹システムであるシステム・フラワーズの支配下にあるため、すべてが自由になるわけではないが、必要な情報をハッキングして取り出すことくらいはリアには可能だった。
 かくして、狩人たちは空中に浮かんだマップを見て、目指すべきエリアを確認、移動を開始するのだった。

 狩りのフィールドは、密林と岩山からなる孤島のようだった。
 浜辺に近いキャンプ地から、渓流をさかのぼるようにして進む。やがて、峻険な岩山の頂へと続く斜面に出る。樹々は途切れ、視界が開けた……と見えたそのときだ。

 狩人たちの頭上が、ふいに陰った。
 吹き付けてくる突風に、思わず風をそむけた。それは、舞い降りてこようとしてくる巨大な竜のはばたきだった!
 炎翼竜ギャレビウス……朱色の鱗に覆われた、翼竜型のモンスターが、狩人たちを獲物とみとめて、急降下してこようとしてくる。くわっと顎を開き、天地を揺るがすような咆哮が迸った。
 狩猟の始まり。
 最初に動いたのは、リアだった。予測していたとでもいうのか、咆哮による威嚇をかわして、彼女が手に取ったのは複製魔術符『コードライブラリ・デッキ』だ。手の中で、魔術符はボールのようなものに形を変える。リアはそれを竜に投げつけた。ピンク色の染料と、刺激臭が飛び散ってモンスターに付着する。これは万一、逃走されたときもその行方を見失わずにすむ、追跡用のペイントであった。

「ここはそれがしの出番でござるな!」
 高らかに声をあげたのは、刑部・詠喜(f17587)であった。
 今回の任務内容を聞いたときから、自分にぴったりだと思っていた詠喜である。
「聞くがよいでござる、それがし渾身の――……応援を!」
 応援か!と思ったものがいたかもしれないが、詠喜が武奏太鼓《雷獅子》を叩き始めると、そのリズムが不思議な高揚感をもたらすことにすぐ気づいたことだろう。
 ユーベルコード「刑部行進曲(オサカベコウシンキョク)」。
 詠喜の太鼓はそれを聞く狩人たちの鼓動を昂らせ、内なる力を引き出させる。事実、狩人のなかには、不思議な楽器の演奏で仲間を強化することを生業とするものがいたという。詠喜の役割はまさにそれであった。
「オオオオッ! それがしの太鼓を聞いて力溢れぬ者はおらんのでござるぅうッ!!」
 熱い太鼓のリズムを背後に、狩人たちは竜へと挑みかかった。

 一方、竜のほうのまた、獰猛さを剥き出しに、狩人たちへと迫る。はばたきで滞空しながら、鋭い爪を持つ後ろ足を素早く繰り出し、つかみかかろうとしたが、その標的となった龍ヶ崎・紅音(f08944)は気合でこれを回避する。
 あの素早い攻撃を避けられたのは見事なものだ。詠喜の太鼓の効果も影響しているのだろう。
 竜が、大きく息を吸う。
「ブレスだ、気をつけて!」
 紅音が警告を発した。竜が火炎を吐くであろうことを彼女は警戒していた。
 予測のとおり、凄まじい勢いで火炎ブレスが吐き出される。狩人たちは散り散りにこれを回避したが、その中にあえて立ち向かったものがいた。
 天海空・奏楽(f13546)だ。
 灼熱の炎の奔流を、正面突破する奏楽。火炎耐性により、その身は傷ついていない。そして、彼の足が大地を蹴った。
 ユーベルコード「重力忘却(オモキチカラヲワスレル)」の効果により、文字通り空中を駆けあがってゆく。たちまち、ブレスで狩人たちを攻撃すべく低空に留まっていた竜の頭を超える高さまで飛び上がると、奏楽はその背へと飛び乗ったのだ。
 まさか背後をとられるとは思ってもおらず、竜は驚いて身をよじった。しかし奏楽が背中にしがみつく。暴れるモンスターへの乗り状態だ。彼の手の中に光の剣が出現した。なんとか奏楽を振り落とそうとする竜の背に乗りながら、機をとらえては剣を振るう。
「元気がいいな……! だが、こいつはどうだ!」
 翼の付け根を狙って、奏楽が光剣を突き立てた。
 苦痛の咆え声をあげながら、竜の巨体が地上へと落下する。
 その衝撃で奏楽は投げ出されてしまったが、まぎれもない好機の到来だった。
 翼に大きなダメージを受け、地に落ちてもがくモンスターへ、狩人たちが一斉に躍りかかった。

「肉質をスキャンしたよ。斬属性の武器の場合、尻尾か頭、次に腹が弱点になるね」
「よし、尻尾を狙え!」
 リアの情報提供を受けて、クロエ・ウィンタース(f15418)の声音が凛と響く。
「承知。料理といこう」
 エルス・クロウディス(f11252)がすらりと抜き放ったのは、支給された双剣である。ユーベルコード「ウェポン・オーバードライブ」により、両の剣は姿を変え、包丁と呼んで差し支えない形状になる。ぎらりと反射した光が、その切れ味を物語っていた。
 エルスとクロエは、もがく竜の尻尾を挟み込むような場所に立って、武器を振るった。
 クロエの脇差は硬い鱗ごと尾の骨に刃があたるまで深く切り裂き、エルスは容赦のない斬撃で鱗を抉り飛ばすようにして肉を刻んでいく。急所の尾を傷めつけられて、竜は叫んだ。
 それでも、モンスターの肉体は強靭であった。傷つきながらも、尾を振るい、エルスとクロエを攻撃する。ふたりとも、寸前のバックステップで難を逃れたが、尾の先に並んだ棘からは毒液が迸り、あたっていれば危険だっただろう。
 その隙に、竜は、後ろ足の爪を地面にひっかけ、倒れていたその身を起こした。傷ついた翼であるが、まだ飛べることがはばたきの力強さから明白だった。風圧とともに、竜は再び空へと舞い上がり――

「今だっ!」
 紅音だった。このときを待っていた。
 キャンプの支給品箱の底から見つけて持ってきていたもの……そのアイテムを放り投げたのだ。
 それは空中で白い閃光を炸裂させる――!
 閃光玉に目が眩み、飛び上がった竜は、すぐにまた地に落ちることとなった。
 むろん、この機を逃す紅音ではない、巨大な戦斧「ロックブレイカー」を掲げた姿は、まさに狩人。渾身の力を込めたユーベルコード「グラウンドクラッシャー」の一撃が、竜の尾めがけて振り下ろされた。
 すでにダメージの蓄積があった竜の尻尾は、この攻撃にひとたまりもなく、骨の砕ける破壊音とともに、中ほどで切断され、勢いあまってその下の地面にまでクレーター状の穴が穿たれるのだった。
「いただき!」
 紅音の頭上に「サブターゲットを達成しました」というメッセージがあらわれ、ファンファーレめいた音楽が鳴り響いた。

「頭はもらった」
 エルスが走った。
 竜巻のようにその身を回転させて双剣――いや包丁で斬り込む。そして反撃がくれば、すみやかなステップで離脱する。ヒットアウェイの見本のような着実な立ち回りでありながら、太刀筋には鬼人のような気迫がこもっていた。
 クロエは腹のやわらかな部分を狙って攻撃を繰り出す。
 足による反撃を受けやすい位置どりとなるが、ユーベルコード「一寸の見切り(イッスンノミキリ)」により、重い蹴りは避けながら、鋭い突きを入れていく。
 モンスターのタフな生命力も、立て続けの狩人の攻撃により、削られて行っていることは明らかだった。
「……!」
 クロエの青い瞳に、光が宿った。
「リア! 来たぞ!」
「了解、クロエさんソッチは任せた!」
 モンスターが狩られつつあることを察知して、グリモア猟兵の予知通り、怪人たちがあらわれたのだ。
 引き続き竜を相手取る狩人を残し、あとのものたちは猟兵としてオブリビオンに対峙する。

 わらわらとあらわれたのは、一見、愛らしい動物の着ぐるみたちだった。
 だがよく見れば、丸太や鉄球などの武器を持っている。
 リアは、リボルバー銃『セブンカラーズ』.357マグナム・ワイルドキャットによる銃撃を浴びせる。命中すればマヒする弾丸だったが、おもちゃのようなピコピコハンマーを携えたうさぎの着ぐるみが進み出て、なんとこれを跳ね返してくるではないか。
 ピコン!ピコン!と可愛らしい音が鳴るも、存外にあなどれない攻撃に、猟兵たちは気を引き締める。
 しかし、怪人にはひとつの誤算があった。
 このピコピコ音である。
「ええいピッコンピッコンうるっさいでござる!! マナー違反であるぞ!!」
 終始、太鼓の演奏で狩人たちを鼓舞し、強化することに専念していた詠喜の逆鱗に触れてしまったのだ。
「力溜め太鼓アタック!」
 今まで応援に向けられていた全力を攻撃にかえて、衝撃波が放たれる。
 ピコハンウサちゃん怪人はこれも相殺せんとピコピコハンマーを振るうが、太鼓に込められた詠喜の熱意が上回ったのか、相殺しきれず、攻撃をくらって吹き飛んでしまう。
「うむ! 成敗!!」
 満足げに頷く詠喜だったが、残る2体の怪人が、仇討ちとばかりに向かってくる。
 奏楽は、弓に矢をつがえた。
 支給品箱に入っていた弓だ。付属のビンのようなものを取り付けて、薬剤で矢を強化できる仕組みのようである。
 奏楽はこの弓を巧みに使いこなし、素早い連射を仕掛けた。無数の矢が雨のように降り注ぎ、向かってくる怪人たちを牽制する。
 丸太を抱えた丸太クマさん怪人は、ゴリ押しの勢いで矢の中を突き進んできたが、別の方向から浴びせられた炎によって火だるまになり、じたばたと地面に転がるはめになる。
 これは紅音の槍焔竜 「ホムラ」による攻撃だった。
 残る鉄球ワンちゃん怪人も、矢の攻撃で近づけず、鉄球を振るうチャンスを与えられぬうちに、今度は命中したリアのマヒ弾により、痺れて無力化されるのだった。

「そろそろ時間だ。間に合うか!?」
 奏楽が仲間たちを振り返った。背後では、いまだ竜との死闘が続いている。怪人たちに邪魔はされなかったが、それでも連中の相手に手をとられたぶん、竜の体力はまだ残っており、そして狩猟には時間制限があるのである。
「大丈夫」
 リアが応えた。
 それぞれに撃退され、それでもなお、立ち上がろうとしている怪人たちへも向けながら、彼女は言う。
「オブビリオン、ボクたちの勝利条件は『炎翼竜ギャレビウス1頭の狩猟』なのさ。時間稼ぎしたつもりかもしれないけど、必ずしも倒さなくてもいいんだからね」
 竜が、足をひきずっているのを、狩人たちを見た。
 弱っている証拠だ。あと一歩。しかし、竜が翼を広げる。ここで飛び立たれ、逃げられてしまってはまずい。
「逃がさんぞー!」
 エルスが飛び込む。回転斬り飛び込みに怯んだ竜があとずさり……そこに仕掛けられていたワナを踏んだ。
「よし、もらったっ!」
 シビレ罠の電撃にしびれる竜に、麻酔玉を投げつけると、弱ったモンスターは意識を失い、どう、と倒れた。
 狩人は、これにより、炎翼竜ギャレビウスを「捕獲」することで狩猟した形になる。

「メインターゲットを達成しました」

 メッセージとともに、狩りの成功を祝う音楽が流れ始めた。
 ゲームクリア。そして、猟兵たちの勝利である。
 がくり、と肩を落とす怪人たちへ、エルスは優越の視線を投げつつ、いまだ切れ味の落ちない包丁を向けたのだった。
「さて、お前らも、料理だっ」

 高い空を、飛空船が飛んでゆく。
 巨大な竜が倒れたことで、身をひそめていた小型のモンスターたちが、フィールドへと自由に駆け出していくなか、狩人たちは狩りが成功したあとの、心地よい疲労感に、深呼吸した。
 かれらの頭上に、クエストクリアの文字が、輝かしく浮かんでいるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月04日


挿絵イラスト