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バトルオブフラワーズ③〜巨大ロボVS侍巨兵

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

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●その名は侍巨兵
「出会えや、侍巨兵!!」
 餅巾着の如き頭部を持つ怪人の叫びに応じ、凄まじい地響きと共に大地が割れる。そして、地割れの中から姿を現したのは、着流し姿の侍を模したような巨大なロボットだった。
「臥薪嘗胆の時は終わりを迎え、遂に我が世の春来たれり!! さあ、いざ尋常に勝負なり!!」
 侍巨兵の肩へと飛び上がった餅巾着侍は、口の開いた巾着のような頭部に潜り込んでいく。そして、その頭部の巾着の口が閉じられると同時に、頭部全体がぴかっと輝き、侍巨兵はゆっくりと動き始めたのだった。

●キョダイロボバトル
「巨大ロボットに乗り込んでおいて、尋常に勝負もあったものじゃないと思うのですが」
 エルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)が、頭痛を堪えるように眉間に指を当てる。
「……ああ、すみません、取り乱しました。みなさんがキマイラフューチャーの中枢『システム・フラワーズ』からの救援要請に答え、システムへと続くメンテナンスルートを開放した結果、キマイラフューチャーがまっぷたつに割れたのはもうご存知ですよね」
 自分でも何を言っているのか分からなくなりそうですが、と小声で呟いてから、エルシーは話を続けた。
「……ともかく、その『システム・フラワーズ』を占領しているのが、この世界のオブリビオン・フォーミュラ『ドン・フリーダム』であることが予知されました」
 だが、『システム・フラワーズ』にたどり着くためには、周囲を守る6つの『ザ・ステージ』を全てオブリビオンから取り戻す必要があるのだという。
 ここで気を付けなくてはいけないのは、ザ・ステージにはそれぞれ『特殊な戦闘ルール』があり、たとえ敵を倒しても、敗北条件を満たすと謎の力で追い出され、強制敗北になってしまうということだ。
「今回皆さんに向かっていただきたいのは『ザ・ビルドステージ』になります。そして、このステージの特殊戦闘ルールはずばり、『キョダイロボバトル』になります」
 ザ・ビルドステージはキマイラフューチャーの表面部を再現したような都市となっているが、住民はおらず、なぜか猟兵達がマシンを作れる機材と資材が揃った『基地』が都市の中央にある。
「オブリビオン『餅巾着侍』は、自分自身を巨大化させたようなロボット……『侍巨兵』でみなさんの基地を襲撃してきます。そこでみなさんは、基地施設を利用して自分が乗るマシンを建造し、オブリビオンのロボットを迎撃して基地を守ってください」
 ただ、猟兵一人一人のマシンだけでは、侍巨兵を撃破するのは不可能だという。
「みなさんのマシンの特性をうまく組み合わせて変形合体して『合体ロボ』となることで、ようやく『侍巨兵』を撃破できるようになるのです」
 それが、『ザ・ビルドステージ』のルールなのだとエルシーは告げた。
「中々厄介なルールですが、みなさんなら、無事このステージを攻略してくれると信じています」
 そう言ってエルシーは深々と頭を下げ、猟兵達を送り出したのだった。


J九郎
 こんにちは、J九郎です。
 ついに始まったバトルオブフラワーズ、なかなか面白い展開ですね。

 本編にもある通り、『合体ロボ』でないとオブリビオンを撃破することはできません。
 シナリオの特性上、なるべくプレイングが集まってから執筆に移る予定ですので、もしプレイングが流れてしまった場合はもう一度プレイングを送っていただけると助かります。
 また、敵によって基地が完全に破壊された場合は強制敗北となります。

 では、皆さんの創意溢れるプレイングをお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『餅巾着侍』

POW   :    御澱流・田楽刺し
【長巻を用いた鋭い刺突攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【煮え滾る味噌だれ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    御澱流・チカラモチ
自身の肉体を【つきたての餅めいた形質】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    ちくわと鉄アレイ
【伝説的なニンジャマスター】の霊を召喚する。これは【食べると体力を回復出来るちくわ】や【当たるとダメージを受ける鉄アレイ】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:marou

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ハヤト・ヘミングです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エルト・ドーントレス
連携・アドリブ歓迎

POW選択

巨大ロボの変形合体はロマンっていうけどさ
それだけじゃなく戦う相手も重要だと思うんだ
何とかなんないの、あれ

えーと、自分の乗るマシンを決めるんだっけ
じゃあ、「トンネル掘削用巨大ドリルマシン(ロケットブースター装備)」で行ってみよう

合体部位は腕が安定かな
ロケットブースターを格闘戦の補助に使ってのドリルアタックがメインになりそう

あるいはバックパックに装備ってのもありかも
その時はブースターを巨大ロボの補助推進装置に使えそうだし
緊急時には切り離しての特攻兵器に早変わり

…脱出装置必須だなぁ、これ
念には念を入れて、レッキスごと搭乗できるようにしておこう


ルドルフ・エルランゲン
※アドリブましまし、絡み特盛で!

巨大ロボバトルとは面白い!、分離時の変幻自在の戦法と、合体した時の強さを思い知らせてくれましょう!

●九変の計(WIZ)
私自身は基地に陣取って皆さんのロボの補助ジョイントパーツを生産。
戦場をハックして敵味方の挙動を察知、味方猟兵の通信回線も全チャンネルリンクし、戦況実況をUCとして味方を補助、鼓舞する
戦局に応じて補助パーツを射出して猟兵ロボ同士を臨時に合体させて状況に対応を依頼
敵が召喚霊を使って来たら即応できそうな猟兵に声をかけて対処依頼
大詰めはやっぱ全合体でしょ!
出力、武装、装甲、運動性、皆さんのロボの特色を生かした全力で、ドカーンとトドメいっちゃってください!


ティエル・ティエリエル
【太陽の家】で参加、SPDで判定
「合体ロボ!なんだか楽しそうー♪」
合体ロボは男の子の浪漫?いえいえ、好奇心旺盛なお姫様は合体ロボにだって興味津々だよ!

羽とジェットがついたスクランダーな飛行用パーツを作ってもらうね♪
羽で体当たりすればズバって切れるくらい頑丈な羽だよ☆

無事合体したらメインパイロットのところまで移動して耳元で【空中戦】のアドバイスをするね♪
必殺技を使う時は一緒に叫んだりしようかな☆

あと、合体したパーツは切り離してどかーんって体当たりさせる必殺技にも使えるんだよ!
【捨て身の一撃】で御澱流・チカラモチの限界以上に伸ばして引きちぎっちゃうんだから!

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


楠木・美羅
【太陽の家】で参加。判定WIZ
「ロボットを作ればいいんですよねっ!で、でもどういうのがいいんでしょう?」
創意工夫しないといけなそうな感じだし一人では倒せないという事だ
合体ロボっていうと勇者ロボとか、宇宙世紀的なロボットを思い浮かべるので
「変形して武器になる合体ユニットみたいなのにしますっ」
変形すると巨大なエネルギーを発射できる銃に変形できる小型の人型ロボットを作ってみます
ゲロビは浪漫。ちょっと気弱な少女も思い切りよく行きます、ノリノリで
 
必殺必中バスターサンシャーイン!
叫んでみるも。だ、ダメですか?とネーミングセンスには自信がない少女でした

アドリブ歓迎
ギルド太陽の家の人とも絡み希望します


秋月・信子
・SPD行動
【太陽の家】メンバーとの共闘希望

え、えーと…ロボッ…ト?
よく分からないけど…合体すればいいんですよね?
それじゃ…ミフェットちゃんのロボットと合体できる、変形すると上半身になるロボットを作ってみます
背中に背負った十連装のビームキャ…ノ、ン?…は腕になる物で大出力となりそうですから、エンジンの発電出力を上げるだけ上げてみます
合体したら…操作権限はヴィクトリアさんに移して、エンジンの出力調整と各センサー類の確認に務めます
銃パーツになった美羅ちゃんのロボットにエンジンをオーバードライブさせてエネルギーを送る時に、UC【破鎧の魔弾】の力も流して威力を増強してみますね?

※アドリブ大歓迎です


ミフェット・マザーグース
ミフェットのマシンはブラックホライズン!
おっきい車型のマシン
ぐいーんって直立してキングソレイユの足になるよ!

『太陽の家』のみんなと一緒に!

「メカニック」の知識はあるし、大きなものも「怪力」で動かせるから、みんなのお手伝いをしてどんどんマシンを作って、完成したら「操縦」して脚部に変形!
ぜんぶ合体したら巨大ロボキングソレイユになるよ!

UC【嵐に挑んだ騎士の歌】
戦いになったら「歌唱」でみんなを「鼓舞」するね
ロボットは、歌が流れてると勝ってる感じになるんだよ!


ゴーゴー 合言葉は 日輪の光

平和をねらう巨大な影
襲いくるのは悪のロボット

正義を胸に降り立つものはー
おおわれらのー
太陽の王者ー キングソレイユー♪


七那原・エクル
七那原・望と一緒に出撃するよ。複座式の重機マシン、大きなブースターを装備したパワードーザーマシンにユーベルコードで召喚したヒメと一緒に搭乗するよ。

ボクは機体の操縦、火器管制はヒメにまかせるよ。この無骨なフォルムに力強いパワー、まさに陸の王者にふさわしいのだー。合体時はロボットの手足を構成するパーツに変形するよ。ブースターは分離して合体ロボの背中にくっついて飛行能力のサポートに、変形したパワードーザーマシンは元々装備されていたバゲットアームを展開して敵を挟み込んだりバゲット本体で殴打したりといった打撃攻撃に利用

パワードーザーマシン本体には実弾系の装備を多数搭載、力自慢のマシンだ


七那原・望
えくるん(f07720)と参戦です。

ロボットはよくわからないので、えくるんに手伝ってもらいながら作るのです。
巨大な機械の掌のマシンに乗るのです。
まずはえくるんのマシンの腕と合体なのです。
この掌はわたしの装備、機掌・プレストを元に作った物で、ガトリングとか付いてるのです。
更に切り札のユーベルコード【アベンジ・オブ・アークライト】の装甲を纏っていて、合体した時には更にロボットの全身の色んな所に広がるのです。
ピンチになったって、その分強くなれるのです。
拙い【操縦】だけど、【援護射撃】したり【怪力】発揮させたり頑張るのですー。

それにしても、えくるんなんだか楽しそうなのー。
楽しい戦いもありかも、ねー。


ヴィクトリア・アイニッヒ
【太陽の家】で参加

「ロボット…え、合体…?」

南と北で真っ二つな現状やら、戦場の特殊性やら、驚きすぎて逆に冷静になりながら行動。
…キマイラフューチャー世界は、本当に自由ですね…

単独行動時は航空機型、合体時は頭部パーツとなるロボットを担当。
主な機能は合体時の機体制御とエンジンの補助。信子さんと連携し、その辺りは上手い事やってみせましょう。
ほら、私のユーベルコード、戦闘力向上も出来ますから。それをこう、上手く使えばエンジン出力に武器の威力も、ね?

そう言えば、このロボットの制御ってどなたが…え、私?
いえ、あの。私こういった運転は経験が…それに名前も?
えぇ…ど、どうしたものでしょう…

※アドリブ歓迎です



●ビルドマシン、出撃!
「巨大ロボバトルとは面白い! 分離時の変幻自在の戦法と、合体した時の強さを思い知らせてくれましょう!」
 基地内にある作戦司令室に一人残っていたルドルフ・エルランゲン(黄昏に抗う白梟・f03898)は、フッと笑みを浮かべた。既に他の猟兵達は、自らが建造したマシンへの搭乗を済ませている。
「さあ、全機発進です! オブリビオンに私達の力、思い知らせて上げましょう!」
 バッと手を前方に向け、ルドルフが高らかに戦闘開始を告げた。
「りょーかいっ! ブラックホライズン発進!!」
 真っ先に出撃したのは、ミフェット・マザーグース(沼の歌声・f09867)の駆る巨大な車型マシン『ブラックホライズン』だ。
「ロボットを作ればいいって言われても、どういうのがいいのかよく分からなかったんですけど、こんなのでよかったんでしょうか?」
 続けて、ミフェットと同じ旅団『太陽の家』所属の楠木・美羅(人間の聖者・f11798)が乗る小型人型ロボットが出撃した。美羅の中では合体ロボというとUDCアースで放映されているアニメに出てくるようなロボットのイメージだ。それ故なのか、美羅が作ったのは銃に変形できる小型ロボットだった。
「え、えーと……ロボッ……ト? よく分からないけど……合体すればいいんですよね?」
 一方、ミッション系の女子校に通っていた秋月・信子(魔弾の射手・f00732)にとって、巨大ロボットというのは縁遠い存在だ。それでも『太陽の家』の仲間達に協力してもらいながら彼女が作り上げたのは、背中に十連装のビームキャノンを背負った、火力重視のロボットだった。ビームキャノンの出力を確保するために、エンジンの発電出力は上げられるだけ上げている。
「ロボット……え、合体……?」
 アックス&ウィザーズ世界出身で『太陽の家』の旅団長でもあるヴィクトリア・アイニッヒ(陽光の信徒・f00408)も、戸惑いを隠しきれていない。だが、それは巨大ロボットというものへの戸惑いというよりも、
「南と北で真っ二つな現状やら、戦場の特殊性やら、……キマイラフューチャー世界は、本当に自由ですね……」
 この世界そのものへの戸惑いだったようだ。そして、驚き過ぎて逆に冷静になったヴィクトリアが乗り込んだのは、どこか彼女の信仰する太陽をシンボライズしたような航空機型のマシンだ。
「合体ロボ! なんだか楽しそうー♪」
 『太陽の家』メンバーの中で最後に出撃したのは、ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)だった。ティエルが乗り込んだのは、大きなジェットエンジンに鋭い刃のような翼のついた、飛行機のようなロケットのようなマシンだ。
「合体ロボは男の子の浪漫? いえいえ、好奇心旺盛なお姫様は合体ロボにだって興味津々だよ!」
 天真爛漫なティエルの性格を反映したように、ジェットマシンは自由に空を駆け回る。
 一方で、地を削るようにキャタピラで突き進んでいるのは、七那原・エクル(ダブルキャスト・f07720)の乗り込む、大きなブースターを装備したパワードーザーマシンだった。
「この無骨なフォルムに力強いパワー、まさに陸の王者にふさわしいのだー」
 ガジェッティアであるエクルにとって、マシンの開発などお手の物だ。さらにこの重機型のマシンは複座式になっており、もう一つの席には【オルタナティブ・ダブル】で呼び出したもう一人のエクル――いや、彼のもう一つの人格である『ヒメ』が搭乗していた。
「よろしくね、ヒメ。ボクは機体の操縦を担当するよ」
「分かりました、エクル。ならばワタシは火器管制を担当しましょう」
 そして、エクルのパワードーザーの上空に浮かぶのは、七那原・望(封印されし果実・f04836)の操る巨大な掌型マシンだ。
「えくるんに手伝ってもらいながら作ったこのマシンで、頑張るのです」
 この機械の掌型マシンは、望自身の装備である『機掌・プレスト』を模したもの。扱いはお手の物だ。
「来たか猟兵共。しかしどれだけ数を揃えようとも、この侍巨兵の敵には非ず!」
 勢ぞろいした猟兵側のマシンが出撃し終えたのを確認すると、侍巨兵が腰に差した長巻を抜き放ち、基地へと目掛け駆け出した。その姿を見て溜息をついたのは、エルト・ドーントレス(灰色猟兵・f14009)だ。
「巨大ロボの変形合体はロマンっていうけどさ、それだけじゃなく戦う相手も重要だと思うんだ。何とかなんないの、あれ」
 そんなエルトが操るのは、ロケットブースターを装備したトンネル掘削用巨大ドリルマシン。
 総勢8体のマシンが、迫りくる侍巨兵から基地を守るべく、出撃していったのだった。

●戦闘開始
「侍巨兵、大きいですね……。どう戦えばよいのでしょうか」
 ロボットどころか機械に乗り込んだ経験もほとんどないヴィクトリアが、困ったように呟く。
「心配は要りません。既に勝つための道筋は見えています」
 そんな猟兵達の不安を吹き飛ばすように力強く言い切ったのは、作戦司令室のルドルフだった。
「我が【九変の計】、今こそお見せしましょう。まずは望さん、敵の刀を受け止めてください」
「うまくできるか分からないけど、とにかくやってみるのです」
 望の掌型マシンが、内蔵されたガトリングガンを連射しつつ、侍巨兵の前に立ちはだかる。
「邪魔なり!!」
 侍巨兵の鋭い刺突が掌型マシンに迫るが、その一撃を、掌型マシンは掴み込むようにして受け止めていた。
「なんとぉ!?」
「今なのです! 小さき希望の灯火よ、昇れ!」
 すかさず望は、【アベンジ・オブ・アークライト】を発動。ユーベルコードを反射する超剛性金属装甲が掌型マシンを覆い、侍巨兵のエネルギーを吸収していく。
「よし、読み通り最初の一撃を防げば、侍巨兵は次の攻撃に移れないようですね」
 ルドルフの指摘に、餅巾着侍は舌打ち一つ。
「なれば、ここは【御澱流・チカラモチ】で!」
 次の瞬間、恐らく鋼鉄で出来ているだろう侍巨兵のボディが、まるでつきたての餅のようにたわみ、そして伸びた。その予想外の動きに、掌型マシンも振り切られてしまう。
「鋼鉄があんなに柔らかくなるなんて、どうなっているのか興味あるけど、今は勝負を付ける方が先だよね」
 そんな侍巨兵に攻撃を仕掛けたのはエクルのパワードーザーマシンだ。全身に装備されたミサイルやマシンガンを、侍巨兵に向けて一斉に発射する。
「愚かなり。このチカラモチの体に、そのような銃弾など……む?」
 侍巨兵の異常に気付いた餅巾着侍が、口をつぐむ。見れば、着弾を受けた箇所が次々と固まり始めているではないか。
「特性コンクリート弾だよ。これなら体が柔らかくなっても意味ないよね?」
「おのれ、姑息な真似を! ならば出ませい、ニンジャマスター!!」
 侍巨兵は一旦猟兵達のマシンと距離を置きつつ、大音声で呼ばわる。
 すると、侍巨兵の傍らのビルの屋上から、無数の巨大なちくわや鉄アレイが猟兵達のマシン目掛けて飛んできた。
「わわっ、なにこれ!?」
 錐もみ飛行でちくわと鉄アレイを回避しつつも、ティエルはどこか楽しそうだ。
「把握しました。ビルの屋上に黒装束の人影がいます。その人物の投げたちくわと鉄アレイが、巨大化して襲い掛かっているようです」
 ビルの周囲の監視カメラをハッキングしたルドルフの指示を受け、美羅の人型ロボットが、そのビルの屋上へと飛び上がる。
「どこにいるのか分かりませんけど、屋上全体を攻撃すればいいですか? ならいきます、必殺必中バスターサンシャーイン!!

 人型ロボットが、口に当たる部分からビームを屋上全体に照射した。たちまち屋上全体が灼熱の炎に包まれ、ちくわと鉄アレイの攻撃も止む。やはりゲロビームは浪漫だと、ほっと息をつく美羅。
「ありがとー美羅、助かったよ! でもバスターサンシャインって……」
 ティエルの言葉に、美羅は恐る恐る、
「だ、ダメですか?」
 と聞いてみる。ネーミングセンスにはあまり自信がないのだ。
「いや、全然OKだよ! むしろかっこいい!」
 そんなティエルの返答に、ほっと息をつく美羅。
「さあ、それではみなさん、反撃といきましょう」
 ヴィクトリアの乗る航空機型マシンがまばゆい陽光に包まれ、収束された陽光がレーザーとなって侍巨兵の装甲を焼いていく。
「ええっと、ビームキャ…ノ、ン? は、発射します!!」
 ヴィクトリアの後に続いて、信子も十連装のビームキャノンを一斉に発射した。レーザーとビームの同時攻撃に、侍巨兵の巨体が大きくよろめく。
「おのれ、そのようなもの!」
 それでも驚異的な耐久力で攻撃を耐え凌いだ侍巨兵は、長巻を上段に構えた。そして反転攻勢に移るべく、再び基地目掛けて駆けだす。だが、
「足元がお留守だよ!」
 駆け出した侍巨兵の足元に、ミフェットの車型マシン『ブラックホライズン』が突撃を駆けた。その怪力にバランスを崩した侍巨兵が思わずたたらを踏む。だがその直後、
「やっぱりドリルはロマンだよね」
 地底から飛び出してきたエルトのトンネル掘削用巨大ドリルマシンが侍巨兵の足場を崩し、侍巨兵を完全に転倒させたのだった。

●完成、キングソレイユ!!
「敵が動きを止めている今が最大のチャンスです! やっちゃって下さい!」
 作戦司令室のルドルフからの通信に、エクルが期待を込めて尋ねる。
「やっちゃうって、やっぱりあれ?」
「当然です。大詰めはやっぱ全合体でしょ!!」
 ルドルフが高らかに宣言すると、真っ先に応じたのはミフェットだった。
「了解だよ! いくよブラックホライズン!」
 ミフェットの呼びかけに応じるように、大型車両型マシン『ブラックホライズン』が、ウイーンと音を上げつつ直立していく。そしてその形状が、見る間に大型ロボットの両足へと変形していった。
「ええと……合体ってこうやればいいんですよね?」
 続いて、信子の乗るロボットがガシャンガシャンと上半身に変形し、直立した『ブラックホライズン』と合体する。同時に、ロボットの背負っていた十連装ビームキャノンが変形を開始する。
「合体補助パーツ、射出!!」
 ルドルフの操作で基地から射出された装甲パーツと十連装ビームキャノンが一つになり両腕を形成、上半身パーツの左右に合体した。
「次、飛行用パーツくっつくよー!」
 続いてティエルのジェットマシンが背中に合体し、ブースター兼翼となる。
 さらに、
「頭部、合体します」
 ヴィクトリアの航空機型マシンが頭部に変形し、首の上に収まった。
「まだ完成じゃないですよ」
 人型となった巨大合体ロボットに、美羅の乗る小型人型ロボットが駆け寄っていく。小型人型ロボットは勢い良くジャンプすると空中で銃の形に変形し、合体ロボットの右手に収まった。
「「「「「完成、キングソレイユ!!」」」」」
 旅団『太陽の家』に所属する5人の声がシンクロし、巨大ロボット『キングソレイユ』が勇ましいポーズを決める。
「ふん、何が“きんぐそれいゆ”か! そのようなこけおどし、侍巨兵には通用せぬ!!」
 ようやく立ち上がった侍巨兵が改めて長巻を構え直し、キングソレイユに刺突の姿勢で突っ込んでいった。
「……ところで、このロボットの制御ってどなたが……え、私?」
 いきなりメイン操縦者の役割を振られ、ヴィクトリアが戸惑っている隙に、侍巨兵の刺突がキングソレイユに炸裂した。
「や……やられてます、やられてますよヴィクトリアさん」
 自身はエンジンの出力調整に専念しながら、信子がヴィクトリアに操縦を促す。
「いえ、あの。私こういった運転は経験が……それによく考えたら名前もそれでいいんですか? えぇ……ど、どうしたものでしょう……」
 戸惑いつつも操縦桿を握ったヴィクトリアだったが、その時にはもう侍巨兵は次の攻撃に移っていた。
「これぞ千載一遇の好機! その身に浴びよ、我が必殺の御澱流・田楽刺し!!」
 そうして侍巨兵が放ったのは、鋼鉄をも溶解させる煮え滾る味噌だれだった。
「まずいです! 退避を!!」
「わかった!」
 ルドルフの指示を受け、咄嗟にティエルがブースターを吹かせてジャンプしていなければ、装甲がドロドロに溶けていたことだろう。
「すみません、迷っている場合ではありませんでしたね」
 覚悟を決めたヴィクトリアが、右手の銃口を侍巨兵に向ける。
「ええと、この武器は……」
「必殺必中バスターサンシャインです!」
 美羅の力強い主張に押されるように、
「バ、バスターサンシャイン、発射!!」
 ヴィクトリアが引き金を引き、巨大銃から光線を放った。
「むう!?」
 咄嗟に回避しようとした侍巨兵だがかわしきれず、右腕に大きな損傷を受ける。
「しかしこの程度、損傷の内には入らぬ! ニンジャマスターよ、今一度拙者に力を!!」
 餅巾着侍の呼びかけに応じ、侍巨兵の肩に黒衣の人影が出現。その投じるちくわと鉄アレイが、一斉にキングソレイユに襲い掛かった。
「いたいいたい! 直接はいたくないけど、痛い気がする!」
 ミフェットが悲鳴を上げ、
「こ、このままじゃまずいですよ!?」
 信子が狼狽する。その時、
「隙だらけなのです!」
 巨大な拳が、侍巨兵をぶっ飛ばしていた。それは望の掌型マシンとエクルのパワードーザーマシンが合体した、巨大な腕だけのマシンの放った一撃だ。
「すみません、助かりました」
 ヴィクトリアの謝意に、腕だけのマシンはサムズアップで応じると、
「さあ、そろそろ見せてあげようよ。本当の、全合体を」
 エクルがそう宣言した。
「もちろん、承認しますよ」
 ルドルフが基地から合体補助パーツを射出し、
「全合体、受け入れ準備完了です」
 ヴィクトリアが操縦桿を大きく押し込むと、ブースターを吹かして大きく飛び上がったキングソレイユの左腕が外れ、代わりにエクルと望の合体マシンが左腕として装着される。
「おーい、俺も忘れないでくれよ?」
 続けて右腕が分離し、代わりにエルトのトンネル掘削用巨大ドリルマシンが右腕に変形し合体した。基地から射出された掌パーツがその先端に合体し、美羅の銃型マシンを握り込む。
 分離した元々の両腕は二つの5連装ビームキャノンの姿に戻り、射出された補助パーツと共に両肩に合体した。さらにエクルのパワードーザーマシンから分離したブースターは、背中に装着され元々のブースターと合わせてダブルブースターを形成する。
 最後に、パワードーザーマシンの余剰パーツが両足に装着された時、より力強い姿に生まれ変わったキングソレイユの姿がそこにあった。
「ぐうっ、またもそのようなこけおどしを……!!」
 吹き飛ばされていた侍巨兵が、ビルの谷間から立ち上がり、キングソレイユを睨みつける。
「こけおどしかどうか、その身をもって知りなさい。このキングソレイユ……いいえ、グレートキングソレイユの力を!!」
 ヴィクトリアの凛とした声が、戦場に響き渡った。

●クライマックス・バトル
「いよいよクライマックスだね。ロボットは、歌が流れてると勝ってる感じになるんだよ!」
 ミフェットがそう言って勇ましい歌を歌い始めた。

『ゴーゴー 合言葉は 日輪の光

 平和をねらう巨大な影
 襲いくるのは悪のロボット♪』

「そうです。出力、武装、装甲、運動性、皆さんのロボの特色を生かした全力で、ドカーンとトドメいっちゃってください!」
 司令室のルドルフの激励と同時に、グレートキングソレイユの両肩の計10門のビームキャノンと右手の巨大銃が、侍巨兵に向けられた。
「主よ、我らを守り導き給え……! 悪意を祓う祝福を、此処に!!」
 ヴィクトリアの祈りの言葉と共に一斉に放たれた陽光の如き光線が、侍巨兵に殺到する。
「こ、これは……!!」
 咄嗟に後方に大きく跳び、光線の直撃を避ける侍巨兵。だが、光線に込められていた悪意を払う聖なる光は、ザ・ビルドステージ全体を照らし、グレートキングソレイユにさらなる力を付加する。
「まだまだ銃撃は終わりじゃないですよ? 美羅ちゃん、エンジンをオーバードライブさせてエネルギーを送りこみます」
「分かりました、信子さん。必殺必中バスターサンシャイン、照準はお任せしますね?」
 限界寸前までエネルギーを送り込まれた巨大銃が侍巨兵に向けられ、
「いっけーっ! バスターサンシャイーン☆」
 なぜかティエルの叫びと共に放たれたエネルギーの奔流が、侍巨兵の左腕を吹き飛ばした。
「おのれおのれおのれ! こうなれば、白兵戦で決着あるのみ!!」
 残された右腕一本で長巻を構え、駆けよってくる侍巨兵を、グレートキングソレイユは悠然と待ち構える。
 高速で振り下ろされた長巻の刃を受け止めたのは、右腕の巨大な拳だ。ユーベルコードを反射するという超剛性金属装甲は、鋭い刃の一撃すらものともしない。
「さて、じゃあ反撃と行くよ。これぞ合体ロボの醍醐味だよね」
 エクルが宣言すると同時に、元々はパワードーザーマシンに装備されていたバゲットアームが侍巨兵を挟み込み、締め上げ始めた。
「えくるんなんだか楽しそうなのー。楽しい戦いもありかも、ねー」
 そういう望もまた、楽しそうだ。
「不覚! だが拙者もこのままでは終われぬ!! 御澱流・チカラモチ!!」
 餅巾着侍が叫ぶと、侍巨兵の装甲が再びつきたての餅めいた弾力と伸縮性を得た。そして、激しく弾んでバケットアームから脱出する。
「おっと、逃げられると思うなよ」
 そこに、すかさずエルトの放った右腕のドリルアタックが炸裂した。だが、軟体と化した侍巨兵のボディは、ドリルの攻撃すら受け流してしまう。
「……あー、これじゃ無理か。だとすると、やりたくなかったけど、あれやるしかないかなあ。……やっぱり脱出装置必須だったなぁ、これ」
「あ、たぶんキミ、ボクと同じこと考えてるよね☆」
 エルトとティエルは、一瞬でお互いの意図を悟ると、
「じゃ、カウントダウン行くぞ。3,2,1……」
「発射ーッ!!」
 次の瞬間、グレートキングソレイユの右腕と背中のブースターが、本体から分離し一斉に侍巨兵に襲い掛かった。
「!? 何度来ようと、御澱流・チカラモチを破ることなぞ適わぬぞ!?」
「それはどうかな? ブースター全開で限界以上に伸ばして引きちぎっちゃうんだから!」
「同じく、限界以上の回転で大穴を穿ってやる」
 二体のマシンの捨て身の一撃が、侍巨兵を釘付けにする。

『正義を胸に降り立つものはー
 おおわれらのー
 太陽の王者ー キングソレイユー♪』

 ミフェットの応援の歌声が、限界を超える力をエルトとティエルに与え、そして……、
「おぉぉおのれーぇぇぇぇっ!!!」
 遂に、二体のマシンが侍巨兵を引き裂いた。
 だが、それでも侍巨兵は立ち上がろうと足掻く。完全に機能停止にまでは追い込めなかったようだ。
「ぐっ……まだだ、まだ終わりではない」
「ならば、これで終わりにしましょう」
 再度右腕とブースターが合体し、完全な姿になったグレートキングソレイユの巨大銃が、侍巨兵に向けられた。そしてその巨大銃に、合体した8体のマシンの、更にはルドルフのいる基地からのエネルギーが収束していく。
『バスターサンシャイン・マキシマムドライブ!!!』
 全員の声がシンクロすると同時に、放たれた眩いばかりの光が侍巨兵を飲み込んでいった。
 そして光が収まった時、侍巨兵と餅巾着侍の姿は、完全に消滅していた。
 天に輝く太陽が、祝福するかのようにグレートキングソレイユの機体を眩く照らし出す。
 ザ・ビルドステージにおける『キョダイロボバトル』は、こうして猟兵達の勝利に終わったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月03日


挿絵イラスト