バトルオブフラワーズ⑦〜存在の証明
●目立つやつは許せない
「もーっ! 猟兵たちのせいで『テレビウム・ロック』失敗じゃん! せっかくうまくいくと思ったのに!」
メンテナンスルート上で『システム・フラワーズ』の周辺を守る6つの『ザ・ステージ』のうちの一つで、オブリビオンの1人が機材の扱いを確認しながらブツクサと独り言をつぶやく。
「けど、この不利な状況ばっちり防いだらエモくない? アタシは目立てるし、アタシより目立つやつらにも一泡吹かせられてメシウマってやつ?」
目先の自尊心を満たすことだけを考え猟兵たちを待ち受ける彼女。
みんなアタシを構え! アタシを見ろ! アタシを好きになれ!
大丈夫。アタシは魅力的。アタシは有能。だからアタシより目立つやつは許さない!
●自身を奮い立たせる歌と共に戦おう!
「集まってくれて、ありがとうございます!『システム・フラワーズ』からの救援へ向かうみなさんへ、ユーノのお願いです!」
グリモア猟兵のユーノ・エスメラルダ(f10751)はグリモアベースに集まってくれた猟兵たちへ語りかけた。
「2つに割れたキマイラヒューチャーの割れ目はシステム・フラワーズへのメンテナンスルートみたいです」
ユーノは持ってきたノートへ、手にしたペンで真っ二つに分かれた球状のものの絵を描いていった。
「そしてそのの道は途中でそれぞれオブリビオンによって守られていて、どこも『特殊なルール』が支配しているみたい」
続けてその割れた隙間に6つの丸を続けて描いていった。そのうちの一つを示して説明を続けた。
「ユーノが予知できたのはこの内の一つ、音に関する『ザ・サウンドステージ』です! ここでは『パッショネイトソング』というルールが支配していて『自分自身を奮い立たせる歌』を歌いながら攻撃しないと無力化されちゃいます」
続けてマイクやスピーカーがセットされたステージの絵をぐりぐりと描いていく。
「ここでは、とても強い思い……秘めた気持ちや叫ばずに居られないような気持ちを具体的に込めると気持ちの強さに応じて攻撃が強化されるみたい」
そしてメガネをかけたウサギのアクセサリをつけた人型の絵を加える。
「ユーノが予知した先で待ち構えているのは『アヤカ・ウザカワ』って名前の構われたがりさんです。受けた痛みや苦しみを強さに変えたり、音や煙が派手な火器を使ったり、ポーズや笑顔による主張で攻撃の妨害をしてくるよ」
転移先の状況についてユーノはこう情報を付け加えた。
「着いたらすぐにステージで歌い合う形になると思います。ここでは設備への細工や破壊はできないみたい。そして、歌に込められた想いの強さが攻撃を強めることと、歌を歌わなければ攻撃は効果を発揮しないことに注意です」
●メンテナンスルートへ
ユーノは説明を追えると、集まってくれた猟兵たちに改めて向き直った。
「『システム・フラワーズ』をオブリビオンに壊されてしまうと『コンコン』ができなくなり、キマイラフューチャーでは食べ物も含めてモノが手に入らなくなってしまいます。食べ物はもちろん……楽しさも失われます。楽しさは、生きていくための心の糧です。それが失われてしまうことはとても苦しく辛いことだと思います」
そう言いながらユーノは猟兵たちを転移させ、無事の祈りを捧げた。
「ユーノはみなさんを転移させなければならないので同行はできません。みなさまに幸運がありますように……」
●パッショネイトソング
「アタシの時代、キター!!」
現れる猟兵たちを前に興奮状態な『アヤカ・ウザカワ』。彼女はどや顔でマイクを掲げた。
「このシチュエーション♪ アタシの存在、誰も無視できない! ここは『ザ・サウンドステージ』! 歌わなければ攻撃通じず! 器用な出来る子、つまりはアタシの出番なのさ! いえーい!」
マイクを片手にステージでノリノリで調子はずれな即興の歌を歌うウザカワ。
「っつーことで! アタシより派手で楽しそーなのアタシが目立ちにくくてムカつくので、この世界にはいっぺん滅んでもらうかんね。だからここは絶対通さない、覚悟しろよ☆」
ウノ アキラ
はじめましての方は初めまして。そしてこんにちわ。
GWは休息を優先していましたが、ちょっと時間がとれそうなので我慢できずにOPを提出しました。ウノ アキラです。
このオープニングに興味を持っていただき、ありがとうございます。
●
========
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「バトルオブフラワーズ」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
========
現実に存在する楽曲の曲名や歌詞、替え歌等が記載されているプレイングは採用できません。
========
●お得情報
この依頼については『5月3日(金)以降から』書けそうなタイミングで順にリプレイにしていくため、基本的に順番に入れ替わりながら歌いつつ戦う感じになると思います。
他にもマスター紹介のページは一読頂けると文字数を少し節約できるかもしれません。
よろしくお願いいたします。
●依頼について
今回はいつもよりマスタリングや採用が厳しくなる見込みです。一点に集中してより想いを乗せてぶん殴った方が大ダメージみたいな感じになると思います。
私の執筆能力の問題で『採用は最大で12名までが最大になる見込み』です。『書きやすそうな方から採用する』ためプレイングは不採用になる可能性があります。ご了承ください。
敵の心情描写はただの趣味です。意味はありません。
第1章 ボス戦
『アヤカ・ウザカワ』
|
POW : そんなにあたしに関わりたいの?仕方ないなあ♪
全身を【構ってオーラ】で覆い、自身が敵から受けた【痛みや苦しみ】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD : もっとアタシに構えー!
【音や煙が派手な様々な火器を装備したモード】に変形し、自身の【回避力と移動力】を代償に、自身の【命中と攻撃速度】を強化する。
WIZ : 世界で一番可愛いのはアタシ!
【笑顔】【挑発的なポーズ】【自分を見ろというオーラ】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
イラスト:つかさ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠リサ・ムーンリッド」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ラヴ・フェイタリティ
パッショネイト・ラヴソング 作詞作曲:ラヴ様
『(歌詞カード)ラヴ・フェイタリティ ラヴ・フェイタリティ 運命の恋 恋こそ運命
ラヴ・フェイタリティ ラヴ・フェイタリティ 真実の愛 愛だけが真実 以下オールアドリブ(歌詞カードここまで)』
やっぱ転送されるまでの時間じゃろくに書けねぇなしょうがねぇていうわけでこっから全部オールアドリブだ覚悟しやがれ歌じゃねぇだとバッカ野郎フリースタイルだよフリースタイルリズムにラヴ様が合わせるんじゃねぇラヴ様のハートビートだけがラヴ様のリズムだこれ全部ラヴ様の心からの言葉だつまりこれがソウルソング!ヒロインパワー足りてねぇ小物はラヴ様の歌で吹き飛びなァ!
●刮目せよヒロインパワー
ステージがパァと差し込む光の演出を発した。同時に曲と歌が流れてくる。
♪ラヴ・フェイタリティ
♪ラヴ・フェイタリティ
♪運命の恋
♪恋こそ運命
この場に居るものは一瞬その音と光に目を奪われ空を見上げることだろう。あれは何だ……? 鳥か!? 怪人か!? ――いや、女の子だ!
同じく光を見上げていた『アヤカ・ウザカワ』はこのシチュエーションに合致した言葉を叫ぼうとする。
「アタシこれ知ってる! 親方! 空から――」
しかしその台詞は最期まで言われる事はなかった。何故なら――。
「ラヴ様の参上だ! オラァ!」
歌いながら空から落下してきたラヴ・フェイタリティ(怪奇!地下世界の落ちものメインヒロイン!・f17338)によってキャンセルされたからだ。
ラヴのヒロインパワーと歌に反応したステージが演出を施した結果、相乗効果で高まったヒロインパワーを乗せ落下による捨て身のヒザがウザカワの顔面にクリーンヒットする。そのヒロインパワー、凡そ8万のそれに三倍の高さと二倍の回転が加わり、落ち物メインヒロイン補正でさらに5倍でなんと240倍! 1,920万ヒロインパワー(物理)がウザカワを襲う!
「――空から女の子ぶへぁ!?」
キリモミ回転しべシャアと地面に沈むウザカワ。それを後目にラヴは立ち上がった。
「ヒロインパワー足りてねぇ小物はラヴ様の歌で吹き飛びなァ!」
「ヒロインパワーって何!?」
頭からどくどく血を流しつつ意外と元気そうなウザカワが思わず聞き返す。その問いにラヴはニヤリと不敵な笑みで返した。
「こっから全部オールアドリブだ覚悟しやがれ!」
ラヴは音楽プレーヤーの『ラヴミュージック(正式名称:携帯用空間振動式音楽プレーヤー)』で可愛らしい曲を流して、甘いスイーツを食べたいとかラヴ様かわいいとか思い思いに歌いユーベルコード『ラヴジャヴェリン』による100を超える数のメインヒロイン属性の純力場の槍を放っていく。
「あーっ! アタシより目立って歌もちょっとうまくてムカつくー!! っていうかその槍の数、マジ!?」
ウザカワは攻撃から必死に逃げながら相手の隙を作ろうと重箱の隅を突こうとする。
「あとアタシが言うのもアレだけどあんたそれ歌でいいの!?」
しかし――。
♪歌じゃねぇだと バッカ野郎
♪フリースタイルだよ フリースタイル
♪リズムに ラヴ様が合わせるんじゃねぇ
♪ラヴ様の ハートビートだけが
♪ラヴ様の リズム
これが自分の生き方だと主張するラヴの熱い情熱のパッショネイト・ラヴソングは止まらなかった。
成功
🔵🔵🔴
ユキ・コシイ
うん…あなたのほうが可愛いよ。わたしあんまり可愛い系属性じゃないし
でも…歌だけは負けてらんない、これだけは譲れない
わたしの想いが…キマイラフューチャーへの想いが
あなたの笑顔より皆に届くところ…
今ここで、あなたの目の前で見せてあげる
ユーベルコード、【マシーナリー・オーケストラ】
みんな…攻撃をお願い。そして…最高に盛り上げて!
『僕らの世界は ムチャクチャに明るくて
今日まで全部 永遠だと思っていた』
『2つに分かれた 楽園を
繋ぎ止める FUTURE』
『この鼓動を この音楽を
止められなどはしない』
『世界に捧ぐ Love Song
歌い切ると 誓ったのだから―!』
…ここは、まかり通るよ…アヤカ
私達猟兵が―!
●届け楽園を繋ぐ歌
降り注ぐ槍から逃げまとう『アヤカ・ウザカワ』の行く手を音の衝撃が襲う。音の発生源を探り見るとそこに在るのは機械仕掛けのフルオーケストラ。
「アタシの邪魔すんなし!」
先の戦闘による血を拭いながらプンスカと怒るウザカワに立ちふさがるのはユキ・コシイ(失われた時代の歌い手・f00919)。平時は自らは殆ど発言せず手に人形を持ち腹話術を通して会話する彼女……しかし歌のこととなると話は別だった。
「……ここは、まかり通るよ……アヤカ。私達猟兵が――!」
「上等! アタシを甘く見ないでよね!」
先に旋律とともに声を紡いだのはユキ。この世界の命運のためにもこの場は負けるわけにはいかない。ユーベルコード『マシーナリー・オーケストラ』による機械仕掛けのフルオーケストラと指揮者を従えてユキは歌う。
♪僕らの世界は ムチャクチャに明るくて
♪今日まで全部 永遠だと思っていた
♪2つに分かれた 楽園を
♪繋ぎ止める FUTURE
オーケストラによる音とユキの歌が音の衝撃となり、気持ちの強さに応じた強化と共にウザカワへダメージを与えていく。
「うぐぐ……この腹の底までくる感じ苦しい……ああん、けどクセになるかも……」
ダメージの蓄積で再び額に出血をしながらウザカワもマイクを掲げる。
♪世界で一番! 可愛いのはア・タ・シ!
♪イモい ジャージで 隠れたボディ
♪ギャップできっと みーんなイチコロ
ピースを横向きで顔にかぶせ、満面の自信のある笑顔で自分を見ろというオーラを放つウザカワ。
(うん……あなたのほうが可愛いよ。わたしあんまり可愛い系属性じゃないし)
このユーベルコードの妨害の影響を受けてその威力を衰退させられてしまうユキ。しかしユキの瞳の熱は反対に増してく。
(でも……歌だけは負けてらんない、これだけは譲れない)
――まるで自分の存在を確かめるようにユキの瞳に強さがこもっていく。その存在の意味は、歌い手そして良き隣人としてのエンターテイメント提供者として譲れないものなのだろうか。
ユキはユーベルコード『マシーナリー・オーケストラ』を発動し再び機械仕掛けのフルオーケストラを揃えた。
(わたしの想いが……キマイラフューチャーへの想いが……あなたの笑顔より皆に届くところ)
そしてスタンドマイクの『サウンドデバイス・セイレーン』へ己の内から湧き出る想いをのせる。この明るい世界を未来へつなぐために。
(……今ここで、あなたの目の前で見せてあげる)
♪この鼓動を この音楽を
♪止められなどはしない
♪世界に捧ぐ Love Song
♪歌い切ると 誓ったのだから――!
再びユキから放たれた歌の衝撃を受けてウザカワは思わず膝をつく。歌に宿る熱は強さを増し、譲れないものへの思いに応じて強化されていく。
成功
🔵🔵🔴
セシィ・ソルビー
動画撮影開始!
セシィちゃん、オンステージ☆
元気に世界を救っちゃおう!
◆応援歌を歌ってみた
【歌唱】【鼓舞】で大好きなキマイラフューチャーへの応援歌だ!
楽しくいくよ☆
♪just say yes こんな事態は楽しんじゃおう!怖くはないよ☆
♪just say yes この舞台は私達のもの☆
♪just say yes 皆んながアーティスト!思うまま舞台を染め上げよう☆
♪just say yes 皆んながヒーロー!怖がらないで、思うままに楽しもう☆
盛り上がってきたら【ダンス】【パフォーマンス】で動きながらUC【エレクトロレギオン】でリズムに合わせて攻撃しちゃおう☆
やっぱり、この世界は楽しくなくちゃね☆
●楽しいと大好き
カメラを装備した一つの機械兵器がふわりと浮かぶ。そのレンズの先に映るのは『超バーチャルアイドル』セシィ・ソルビー(超バーチャルアイドル・f17547)。
セシィはカメラの前でくるりと回転し衣装の具合を確かめると、カメラに向かい衣装の魅力を強調するポーズをキメてみせる。
「おっけー! 動画撮影開始!」
自分の理想とするアイドルの姿を改めてイメージすると、セシィはぴっとカメラの配信をONにした。
「セシィちゃん、オンステージ☆ 元気に世界を救っちゃおう!」
前奏とともに、ユーベルコード『エレクトロレギオン』で召喚されたチューリップを思わせる花のような機械兵器が多数展開され音楽に合わせ空中を舞い踊る。
このセシィのパフォーマンスに『アヤカ・ウザカワ』は抗議の声を上げた。
「なにそれずるい! アタシより目立ってるじゃん!」
歌わせまいとウザカワはマイクを取り歌いながら銃で攻撃を仕掛けていく。
♪アタシのこと 誰も無視できない
♪みんなが羨む この多彩な魅力
雑な主張を曲にはめ込みながら放つ銃弾は、しかしセシィの機械兵器たちによって防がれてしまった。
セシィを守るように舞い踊る機械じかけの花々。その中心で体を揺らしリズムを刻んでバーチャルアイドルは声を紡いでいく。
♪just say yes
♪こんな事態は楽しんじゃおう! 怖くはないよ☆
♪just say yes
♪この舞台は私達のもの☆
それは大好きなキマイラフューチャーの世界を応援するための歌。そしてなんとなく、この応援歌には願いも込められているように聴こえる。
この世界はあらゆるものを『yes』とだけ言い受け入れてくれる楽しい世界。だからこの危機すらも楽しんで乗り越えて、そのままの姿で在り続けて欲しい。……そんな願いがこもっているように聴こえた。
意外と野心家なところがあり見栄っ張り。普段の言動は演じた姿。そんな彼女だけれどこの歌に込められた想いに、偽りは無いのかもしれない。
(やっぱり、この世界は楽しくなくちゃね☆)
楽しく、もっと楽しく。それが『大好きなキマイラフューチャー』だから。
歌が進むにつれセシィは気持ちが高揚していった。ダンスもキレが増していく。配信している動画もきっと視聴者数が増えている。
♪just say yes
♪皆んながアーティスト!
♪思うまま舞台を染め上げよう☆
♪just say yes
♪皆んながヒーロー!
♪怖がらないで、思うままに楽しもう☆
歌がBメロからサビへ入り盛り上がりが最高潮へと差し掛かってきたところで、セシィは高揚した気分のままに『エレクトロレギオン』の機動兵器へ攻撃の指示を出した。
ここまで幾度かウザカワによる歌いながらの攻撃で数は減らされていたものの、セシィの気持ちの昂りとこの世界への思いを乗せた歌で、機械じかけの花々は大きく強化されている。
ステージ上の一輪の花を守る小さな花々は風に舞う吹雪のように、自由にしかし激しく踊り敵を追い込む。その力に込められしは、ありったけの『楽しい』と『大好き』。その想いはきっと、この世界を救う力になる。
大成功
🔵🔵🔵
●構われたがりへ巡る因果の応報
歌いながら戦う――それを非常に困難なことだと捉えていた『アヤカ・ウザカワ』は猟兵たちを舐めていた。しかし、現実はどうだ。挑んできた猟兵たちは皆がウザカワよりうまくやれている。
「信じらんない信じらんない信じらんない! チョームカつく!」
目立てるハズだった。活躍してちやほやされるハズだった。猟兵たちを足止めできるハズだった――。目先の自尊心を満たすために力量を見誤った彼女はもはやボロボロだ。
頭をかきむしり髪型もボサボサになってしまった。こんなイケてないアタシはありえない。因果応報など知ったことか。自分をこうなるように追い込んだ猟兵たち――そして世界が――大嫌いだ。
雫石・凛香
思いの強さが力になるなら、わたしが示す思いなんて、一つだけだよ
●
(唐突に会場内のサウンドがデスメタル系のBGMに代わる)
『
知ったことじゃないね、お前の事情
知ったことじゃないね、お前の望み
知ったことじゃないね、お前の目的
お前が泣こうが喚こうが歌おうが、わたしはお前を滅ぼす
でもいいよ。それがお望みなら付き合ってあげる
その上で――殺す
』
『殺す! 殺すッ!! 殺すッッ!!!』
技量よりも声量勝負
ギターに化していた魔剣をステージに叩きつけて破壊するパフォーマンスを挟みつつ、観客がいたら思わず有無を言わさずヘドバンしそうな殺意と共ににじり寄り、いつの間にか再生していたギター(という名の魔剣)で相手を殴り殺す
●たった一人の大切な存在
ステージのサウンドが激しくけたたましいものへと切り替わった。その音は心の底から激情を絞り出すかのように『怒り』を表す。
「わたしが示す思いなんて、一つだけだよ」
怒りの主である雫石・凛香(鞘の少女・f02364)が『魔剣【鞘】』を抜き放つとその魔剣は持ち主の望む形状――ギターとなる。その魔剣の形はデスメタル系の曲ととても良く似合っていた。
♪知ったことじゃないね お前の事情
♪知ったことじゃないね お前の望み
♪知ったことじゃないね お前の目的
ユーベルコード『妖剣解放』により魔剣を通じて怨念をまとった凛香は『怒り』と共にそのギターをステージに叩き付けた。このパフォーマンスに飲み込まれて呆然と見ていた『アヤカ・ウザカワ』へ凛香は殺意と共ににじり寄る。この怒りと殺意に当てられたウザカワは怯んだ。
「――ヒッ」
凛香が示す思い、それは一人の大切な双子の姉を脅かす全てへの怒り。それはあらゆる全ての『敵』への怒り。
♪お前が泣こうが喚こうが歌おうが
♪わたしはお前を滅ぼす
♪でもいいよ。それがお望みなら
♪付き合ってあげる
このくだらない自尊心のための仕掛けに付き合い、その上で――。
♪その上で――殺す
幼き身を焦がす激情が今、この『ザ・サウンドステージ』の効果により魔剣を通じてカタチを成す。凛香のほとばしる怒りは殺気をともないながら力へ変換され膨れ上がった。
「殺す! 殺すッ!! 殺すッッ!!!」
激しい音のリズムに合わせ、叫びともつかない歌を吐きながら凛香はウザカワを手にした魔剣のギターで殴打していった。
大切な姉が苦しむことが許せないから。大切な姉が夜も眠れない状況が許せないから。大切な姉を脅かす全てが許せないから。だから凛香は、たった一人の大切な姉を想ってその怒りを『敵』へぶつける。
大成功
🔵🔵🔵
宙夢・拓未
&
▼心情
(アヤカを見て)……こういう苦しそうな姿を見るのは辛いな
けど、人々を護るために、やらなきゃな……
▼歌
熱いロック調のヒーローソング
前に進む『勇気』を奮い立たせる歌
▼歌詞
この身は――砕けぬ鋼
(間奏)
熱い血潮を燃やせと人は言う
けれどこの体に血は流れていない
でも、それがなんだ?
振り向かず前に進め
この魂は燃え続けるのだから!
走れ! 護れ! 叫べ!
斬れ! 撃て! 倒せ!
戦い続ける俺のこの身は――砕けぬ鋼
▼戦闘
【車輪魔術】で『2回攻撃』
一撃目で火器を撃ち抜き
二撃目は『全力魔法』、アヤカの胸を光の矢で貫く
▼戦闘後
おやすみ、アヤカ
俺はお前みたいなやつ、そんなに嫌いじゃないぜ
(遺体の目を閉じさせる)
●我思う、故に我あり
琥珀色の瞳がこの場における今を見渡していた。視覚の情報を分析する高度演算デバイス『アンバーアイズ』が宙夢・拓未(未知の運び手・f03032)へ情報を伝える。
その琥珀色の両目が捉える敵――『アヤカ・ウザカワ』の姿はもはやボロ雑巾のような様相を呈していた。
(……こういう苦しそうな姿を見るのは辛いな)
かつて比較的平和な世界で普通に過ごしていた彼には、既に弱っている相手へ追い打ちをかけることには気持ちに抵抗感がある。
(けど、人々を護るために、やらなきゃな……)
それでも、彼は戦う。世界を、人々を護るために。
赤い車体の宇宙バイク『Crimson-Blast』の傍らで拓未はエレキギターをかき鳴らす。その指から奏でられるのはテンポが早く力強さのあるメロディ。その音に気付いたウザカワはよろめきながらも立とうとする。
「猟兵……アンタたちのせいだ、こうなったのも、全部……!」
その逆恨みに近い怨嗟の瞳を拓未は正面から受け止め見つめ返した。
「決着をつけようぜ、アヤカ」
♪この身は――砕けぬ鋼
敵は立つのもやっとな状態だ。そのまま畳み掛けることもできるだろう。それでも拓未はそうしなかった。
エレキギターによる間奏の間に相手はマイクを拾い立ち上がると即興で歌らしきものを歌う。その瞳には一矢報いてやろうという意思が見て取れる。
♪自分っ何 自分はアタシ ここにいる
♪ちゃんと見て 認めてほしい
その様子を見た拓未は間奏を終わらせて熱いロック調のヒーローソングを歌っていく。それは、どことなく拓未自身のことを歌っているようにも聴こえた。
♪熱い血潮を 燃やせと人は言う
♪けれどこの体に 血は流れていない
♪でも、それがなんだ?
♪振り向かず 前に進め
二人の歌がステージに同時に響く。それはいずれも自分を奮い立たせる歌。
ウザカワは何処から取り出したのか全身に火器を装備して拓未へと銃口を向けた。
♪もっともっと アタシに構え!
♪アタシは今 ここにいる!
歌いながらの攻撃。それに対し拓未は歌う。――心から叫ぶように!
♪この『魂』は 燃え続けるのだから!
拓未の歌に呼応するように拓未の宇宙バイク『Crimson-Blast』がうなりをあげた。そこに組み込まれた魔導蒸気機械がうなりと共に蒸気を吐くと、前輪が高速で回転してそこに記されるルーンへ力が集積されていく。
その力は矢――ユーベルコード『車輪魔術』――となり放たれた。
火器による銃弾を何発か受けた拓未は、その損傷と引き換えにルーンの矢を二本放った。一つは拓未を狙う火器の銃口を、そしてもう一つはオブリビオンの胸を撃ち抜く。蒸気を切り裂き放たれたルーンの矢は、ボロボロになり消えかけていた灯火を貫きその鼓動を途絶えさせた。
拓未は消え始めたアヤカ・ウザカワの遺体の目をそっと閉じさせる。
(おやすみ、アヤカ……俺はお前みたいなやつ、そんなに嫌いじゃないぜ)
拓未はこの敵を嫌いになりきれず、正面から向き合い戦った。それは、この敵の欲求がどことなく拓未の境遇――かつて意識を機械の体に移された――に突き刺さったからだろうか?
拓未はさきほど銃弾を受けた傷口を見る。深いその傷から血は一滴も流れず、見えるのは金属の鈍い光と電気の火花のみ。
自分は自分なのだと証明したい、自分という存在を認めたい。そんな自尊心――自己肯定の欲求――の噴出が、自分は本当に自分なのか?もいう不安と一部重なったのかもしれない。
それでも当人が『俺は俺だぜ』と語るように『今ここで考えている自分自身』だけは疑いようがないと思われる。
戦い続ける砕けぬ鋼は、これからも奮い立たせた勇気をその『魂』に宿し前へと進むのだろう。――人々を護るという魂と共に。
●
このステージを守るオブリビオンは倒れ過去へと還った。しかし戦いはまだ終わりではない。猟兵たちは『システム・フラワーズ』へたどり着かなければならない。
このキマイラフューチャーを守るのだ。
成功
🔵🔵🔴