2
バトルオブフラワーズ⑦〜おもひでのメロディー

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#キマイラフューチャー
🔒
#戦争
🔒
#バトルオブフラワーズ


0




「ぼくらの~夏は~たいよーとともにー♪」
「あたまいたいよかきごおり~♪」
「ただようかおりは~せーんこうの~けむーりの~なかに~♪」
 陽気に歌を歌いながら多くの住民達の中を、肩で風を切るように闊歩する三人組。それぞれ頭部が向日葵、かき氷、蚊取り線香となっている。真っ二つに割れたキマイラフューチャー、その混乱の中で逃げ惑う人々の群れで、悠然と進む彼らは格好だけではなく明らかに異常だった。そんな三人組が、何組もわらわらと蠢く様はまるで陽気な悪夢だった。
 歌いながら殴り、蹴り、蹂躙する。その狂気的な光景によってまだ人的被害は出ていないが、破壊の限りを尽くされるのも時間の問題だろう。

「皆さん、緊急事態ですね。こんな日が来るとは……そりゃ、いつかは、と思ってはいましたが、それが今とは思っていませんでした」
 レニー・ヴァッサー(赤いグリフォン・f02063)は珍しく笑みを潜めた固い顔で、猟兵達の前に立っていた。彼もキマイラフューチャー出身のキマイラ、故郷の様子が心配なようだ。
「皆さんもご存知の通り、『バトルオブフラワーズ』が始まりました。我々はキマイラフューチャーで、限られた期間の中敵に勝利しなくてはなりません」
 頷く猟兵達。
「そこでここに集まった皆さんには、『ザ・ステージ』の一つ、『ザ・サウンドステージ』の攻略をお願いしたいんです」
 レニーは概要の説明を始める。
「敵は街を蹂躙する怪人『夏の思い出トリオ』。彼らは何故か三人組で行動し、歌いながら街中を行き、破壊を繰り返しています。まだ住人に被害は出ていませんが、それも時間の問題でしょう」
 それだけは絶対に防がなければ。猟兵達もレニーの表情の固さの理由を知り、緊張が走る。
「それぞれに特殊な行動をとる三人ですが、皆さんなら対抗する手段もあるでしょう。彼らの目前に皆さんを転移させることになります。どうか、頑張ってください」
 レニーの指先で揺らめく、碧色に透けるグリモア。その輝きを目にした瞬間、猟兵達の視界は歪んでいた。
「あ、言い忘れてました。この戦いでは『コウハクウタガッセン』という特殊な縛りがあります。猟兵もオブリビオンも歌を歌いながら戦うと戦闘力が上昇し、ダメージを受けても倒れることなく戦い続ける事が出来ますよ。戦いはテレビウムの画面を通してキマイラフューチャー中に中継され、どちらの歌が素晴らしかったか判定されます。気を付けてくださいねー」
 ……一番長くて大事なことを、適当に言うな!


天風あきら
 こんにちは、天風あきらです。
 シナリオコンベンション用にシナリオ用意してたら戦争がー! ……と言う訳で、キマイラフューチャーの『バトルオブフラワーズ』シナリオとなります。
 怪人『夏の思い出トリオ』に勝利し、キマイラフューチャーを救う一翼となってください。
 なお、特殊ルール『コウハクウタガッセン』にご注意を。歌を歌いながら戦わないとかなり不利です。しかも歌合戦に敗れると敗北してしまいます。キマイラフューチャーのキマイラ達は猟兵を応援していますが、判定は自動的に行われ、不正は不可能です。オブリビオンの歌が良かったと思えば、オブリビオンの勝利になります。

 それでは、よろしくお願い致します。
24




第1章 集団戦 『夏の思い出トリオ』

POW   :    ひまわり怪人・ウェポン
【ひまわり兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    かき氷怪人・ジェノサイド
【かき氷攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    蚊取り線香怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【蚊取り線香】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:まめのきなこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鮫島・正義
あの頭でどうやって歌うんだ……いや、キマフュってそういう世界だった。気にしたら負けだな。

基本戦法は歌いながら『トレーナーの最終手段』で無理矢理隙を作って接近、敵の歌が途切れたら零距離ヘッドショットで確実に片付けていく方向で行くぜ。

歌唱には自信があるが、中継されるなら……拡声器で歌ってるMVどっかで見たことがあるし、真似してみるか。カッコイイよなあれ、よく分からんがロックって感じで。

歌詞の合間にUCに使う言葉を盛り込める歌を選ぼう。
敵の攻撃を鑑みるに「止まれ」「外せ」「動くな」辺りが無難だろうな。

攻撃の時も見られてるのを意識してキメてやるぜ。恥ずかしさは置いとこう。



「あの頭でどうやって歌うんだ……」
 口の見当たらない怪人達を一目見て、鮫島・正義(がおーと啼く勇気・f146299)は額を押さえた。
「いや、キマフュってそういう世界だった。気にしたら負けだな」
 頭を振って余計な想像を追い払う。今は連中を何とかするのが先だ。
 取り出したのは、鮫の模様の拡声器。これで歌っているMVを過去に見たので真似しようというのもあったが、何より正義のユーベルコードの発動条件でもあるからだ。
「Hey、俺はイエーガー! お前達に怯みはしない、そこに救け求める者がいる限り♪」
 拡声器から張りのある歌声が流れ始める。それを聞きつけた夏の思い出トリオの一組が、正義に向かう。
「おま~えこそ~なつのあつさにーやられてしまえ♪」
「ぼくたちは~まけない♪ せみのこえにも♪」
「かのむれにも~かゆさにもーめげないぞ~♪」
 早速歌で対抗するトリオ。……どこか子供っぽいのは何故だろう。彼らもオブリビオンになる前はキマイラフューチャーの夏を謳歌していたのだろうか。
 正義は三人に立ち向かう。
「止まれ、お前達の悪行もここまでだ♪ 外せ、そんな攻撃に当たりはしない♪ 動くな、大人しく骸の海に帰れ!」
 歌詞に織り込まれた言霊が、強制力を持ってトリオの動きを縛る。
「ぐっ……何だ!?」
「動けない!」
「僕達に歌で挑むだと!?」
 思わず歌うのも忘れるトリオ。その様子を観ているキマイラフューチャーの観衆のテンションもだだ下がりだ。正義のユーベルコードの力と、キマイラフューチャーの住民達の判定によりトリオの動きが鈍る。
 その隙に正義は彼らの目前まで接近し、大口径リボルバー『グスタフソン50』の銃口をひまわり怪人の額に突き付ける。
「お前ら、ここで最期だ♪ 正義の弾丸を喰らえ!」
「ひ……!」
 零距離ヘッドショット。弾丸がひまわりを撃ち貫く。未成熟の種を散らしながら、倒れるひまわり怪人。
「ひ、ひまわりー!」
「おのれ、よくも……!」
 かき氷怪人と蚊取り線香怪人が正義をぎっと睨む(?)が、その時既に正義はかき氷怪人の額に銃口を向けていた。
「まだ終わらないぜ♪」
 引かれる引き金。がん、と銃弾はかき氷の硝子の器を粉々に砕いた。きめ細かな氷が周囲にきらきらと散る。
「かき氷ー!」
「お前で最後だ♪」
 片手に拡声器、片手に銃を構えながら、尚も歌い続ける正義。その姿はCoolの一言に尽きる。
「そうはーさせるか♪」
 思い出したかのように再び歌い始める蚊取り線香怪人。蚊取り線香の煙で正義のユーベルコードに対抗しようとするが、時既に遅し。
「俺の歌声、お前独りで掻き消せはしない♪」
 拡声器の歌声が、煙を霧散させる。そして。
 弾丸が蚊取り線香を打ち砕き、その熱であっという間に焼き尽くした。正義のスタイリッシュな戦いぶりに、観客の熱気も上がる。
「さて、まだまだ行くぜ♪」
 尚も拡声器から歌いながら、正義は次のトリオの元へ向かった。

成功 🔵​🔵​🔴​

高柳・零
WIZ
歌…ですか。
やはり、キマイラフューチャーならヒーローの歌とか受けそうですね。
ノリも良いですし。
それでは行ってみよう!

ヒーローなんだろ いざ戦えよ
心の強さを 見せつけろ!
自分がやらなきゃ誰がやる 光の力で未来へ駆けてこう「

正義とは力の源 勇気とは力の糧
悪いヤツらをぶっとばせ!
テレビウムのパラディンここに参上!
(ここまで歌詞です)

歌いながら、ジャッジメントクルセイドを連発します。
指は10本あるので、10本の光が落ち続けます。

アドリブ歓迎です。



「歌……ですか。やはり、キマイラフューチャーならヒーローの歌とか受けそうですね。ノリも良いですし」
 高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)は顔の画面に笑顔を映し出し、スピーカーの音量を大きくして怪人トリオに向かった。
「それでは行ってみよう!」
「むう、なにものだ~♪」
「りょーへいかー♪」
「ぼくらさんにんの~とりぷるさまーあたーっく、くらえ~♪」
 歌いながら迎え撃つトリオ。
「ヒーローなんだろ、いざ戦えよ♪ 心の強さを、見せつけろ!」
 零の歌声が、三人の歌を掻き消す。それは勇ましい、正義のヒーローの賛歌。
「自分がやらなきゃ誰がやる♪ 光の力で未来へ駆けてこう♪」
「くう、さすがてれびうむ~♪」
「でもまけない~♪ ぼくらのずじょうにーなつが~かがやくーかぎり♪」
「なつは~むてき♪ すてき♪ ぼくら~ぜっこうちょう~♪」
 凄まじい歌の応酬。方向性は多少違うが、どちらも歌に籠もった熱さは観衆にも伝播していく。
「正義とは力の源♪ 勇気とは力の糧♪」
 歌いながら高まるパッションに背を押されながら、零の両の手の指先に光が集い始める。
「悪いヤツらをぶっとばせ! テレビウムのパラディンここに参上!」
 歌が最高潮に達した時、光が解放された。指は十指、即ち光も十本。それらが一斉にトリオに向かって降り注ぐ。
「うわぁぁぁ!」
「たすけてー!」
「だれかー!」
 トリオは歌も忘れて逃げ惑うが、光の筋は彼らをどこまでも追い続け、結局光に撃ち抜かれる。
「正義は勝つ、闇を払い光を灯す♪」
 トリオを中心に巻き起こる爆発。それを背後に、零はポーズを決める。もちろん、観衆に向かってのカメラ目線だ。ノリノリキマイラフューチャーのテンションも天井知らずに上がっていく。
 しかしまだまだ敵は残っている。
「悪を断ち、正義を世界に♪ 我ら猟兵、いざ参る!」
 零は次のトリオに向かうため、小さな足を動かした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アマータ・プリムス
歌う戦場ですかこれはノっていきましょう
イーリスを持ったまま戦場へ赴き
敵を視認した所から【楽器演奏】を開始して
【歌唱】も始めます
アルジェントムも【武器改造】してアンプへ変形させて接続
大音量で流していきましょう

「戦争の開始にはこれですよね」
歌うのは猟兵たちを鼓舞する行進曲
他の方も見ているのでしょう?存分にノっていきましょう

歌いながらUCを発動し歌声の【衝撃波】による【範囲攻撃】で怪人たちを攻撃
歌いながら攻撃すれば一石二鳥でしょう
「対バンに負けるつもりはありませんよ。こちらも全力です」

敵の攻撃が当たらぬように戦場を【ダンス】のごとく駆け回りながら歌い続けましょう
パフォーマンスも重要ですので



「歌う戦場ですか。これはノっていきましょう」
 蒸気機関式ギター型マイク『イーリス・カントゥス』を携えて、アマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)はヴィクトリアンメイド服の裾を翻し戦場に降り立った。『アルジェントム・エクス・アールカ』も予め改造によりアンプとなり、『イーリス』と接続。これで大音量の発声が可能となった。
「戦争の開始にはこれですよね」
 すう、と息を吸い込むアマータに気付き、トリオの一組が向かってくる。
「おまえも~なつにーとびこめ~♪」
「プール、うみ、かわのなかで~およぐーのも~なつのとっけん♪」
「そしてかやのーなかで~ねむるのさー♪」
 歌いながら迫り来るトリオ。そんな彼らに、アマータも歌で応戦する。
「おお、猟兵よ♪ 平和取り戻すため、いざ行かん♪」
 それは猟兵達を鼓舞する行進曲。ロックな見た目に反して王道のクラシックに歌詞を乗せていたが、原曲をアレンジし不思議な一体感を生み出している。
「民衆も我らを見ている♪ 存分にノっていきましょう♪」
 歌声に合わせてユーベルコードが発動される。歌声の衝撃波による範囲攻撃。それは正にこの状況で一石二鳥と言える技だ。
「正義は我らの手に♪ 輝きをもって進め♪」
「くっ……ぼくらまけない♪ このよにーなつがあるかぎり~♪」
「りょーへいなんて~ねっちゅーしょーの~え~じ~き~だ~♪」
「ぎんぎらたいよー♪ ぼくらの~ずじょうにーかがやーくーのさ~♪」
 かき氷怪人が頭部のかき氷を降り注がせる。吹雪のように吹き付ける様は、歌の内容には沿ってはいないが。
 だがその攻撃は、歌いながらダンスのように戦場を駆け回るアマータには当たらない。ステップで躱し、ターンですぐにその場から離れ、スピンで攻撃を弾き返す。パフォーマンスにも重点を置いたアマータの戦いはキマイラフューチャーの住人達の心を鷲掴みにした。
「猟兵達は世界を渡る♪ いつか全てに安寧齎す為♪」
 観衆の声援を受けた歌が、怪人達を吹き飛ばす。悲鳴を上げながら建物の壁に激突し、爆発した。
「なつは~ばくはつだー♪」
「ぼくーら~なつに~なるのさ~♪」
「あつくなれ~♪ えいえんのーなつ~に~ばんざいー♪」
 断末魔すら夏を讃える歌。彼らに背を向け、アマータは走り出す。その先には、次の対戦相手達。
「対バンに負けるつもりはありませんよ。こちらも全力です」

大成功 🔵​🔵​🔵​

木元・祭莉
アンちゃん(f16565)と!

夏の思い出選手権ー!(ヒマワリ着ぐるみで登場!)
そいえば、夏なのにコウハクなの? コレ、運動会なの??

ハイ!
ハクの三番、きもとまつり!
夏を歌いまっす!

勝負だーっ!(花狼咆哮のスイッチをちょんと入れ)

(口伴奏でイントロ)
夏といえばー♪(夏といえばー♪)(いえーい♪)

臨海学校 水着コンテスト 花火大会ー♪

なびく黒髪 小さな女の子 声が震えてるー♪
(アンちゃん引っ張り出して隣で飛び跳ね)

バーベキューのお供に 父ちゃんの怪音波ー♪
(ヒマワリ怪人に手を差し出しダンスを踊り)

母ちゃんあきらめ顔 でも楽しかった夏の日ー♪
(そのまま灰燼拳で爆破、次の相手へ)

ねね、どーだったー!?


木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と一緒に

キマイラフューチャーのきれいで楽しい景色
ここの人たち
守る

まつりんと息を合わせてパートナーソング
ハーモニーがお互いの個性を引き立たせるの
わたしは『夏の思い出とあした』(自作)

ひまわり畑見ながら食べたかき氷は
少しきーんとして
おかあさんが笑ってる
わたしの大好きなひまわり笑顔
ぶたさん蚊取り線香
なつかしいな
今はまつりんと一緒に
色んな世界の色んな人たちと
今年の夏を待ってるの
みんなで楽しい作っていこうね

音が外れたらまつりんにカバーしてもらって
楽しみな気持ち、いっぱい詰めこむ!

高速回転は【絶望の福音】と見切りで回避
うさみみメイドさん(人形)、殴って?



「ぼくらの~なつー♪ たのしーたのし~なつーやすみ~♪」
「なつーまつり~♪ にぎやかやたい~たくさんまわろ~♪」
「ひがーくれても~あそぼう♪ ともーだちと~いっしょに~♪」
 歌いながら破壊の限りを尽くす怪人達。その前に立ちはだかったのは、木元・祭莉(花咲か遮那王・f16554)と木元・杏(微睡み兎・f16565)の二人だ。
「夏の思い出選手権ー!」
 祭莉は向日葵の着ぐるみで元気いっぱい。
「キマイラフューチャーのきれいで楽しい景色、ここの人たち、守る」
 一方、杏は物静かではあるがその決意は声音からよく感じ取れた。
「そいえば、夏なのにコウハクなの? コレ、運動会なの??」
「まつりん、違うと思う」
 祭莉が可愛らしく首を傾げると、頭の花びらも揺れる。杏がツッこみながら祭莉の着ぐるみの裾を引いた。
「いいから、歌おう」
「ハイ! ハクの三番、きもとまつり! 夏を歌いまっす! 勝負だーっ!」
 祭莉はミニスピーカー『花狼咆哮』のスイッチをちょんと入れた。まず始まったのは口伴奏。杏もハモりで加わる。
「どぅー、どぅわった~♪」
「とぅるるらったー♪」
「夏といえばー♪」
『夏といえばー♪ いえーい♪』
 街中に設置されたカメラのスピーカーから、一緒に歌う声がする。キマイラフューチャーの観衆が祭莉と共に戦っている。
「臨海学校、水着コンテスト、花火大会ー♪」
「るららー♪」
「なびく黒髪、小さな女の子、声が震えてるー♪」
 祭莉は杏を前に引っ張り出して隣で飛び跳ねる。杏も一緒にぴょんぴょん。
「バーベキューのお供に、父ちゃんの怪音波ー♪」
『怪音波ー♪』
 観衆の声が聞こえたと同時に祭莉はひまわり怪人に手を差し出した。思わず自分達も歌うのを忘れ聞き入っていたひまわり怪人だったが、つられてその手を取る。二人はそこでダンスを踊り始めた。くるくる、ステップを刻む。
「母ちゃんあきらめ顔、でも楽しかった夏の日ー♪」
「──ぐはっ!?」
 最後のフレーズと共に、放たれた拳。それは至近距離でしか当たらない代わりに、凄まじい破壊力を持つ祭莉の必殺ユーベルコードだ。それはひまわり怪人を容赦なく爆破し、彼は花びら一片残さず塵と化した。
「ひまわりー!?」
 祭莉と杏、そしてひまわり怪人に見入っていたかき氷怪人と蚊取り線香怪人が悲鳴をあげる。
「ねね、どーだったー!?」
「ちもなみだもないのか!?」
「こどものすがたをしたあくまめ!」
『Boooo!』
 祭莉を責める怪人達に、観客のブーイングが飛んだ。祭莉は完全に観客を味方につけている。
「次、聞いてください。『夏の思い出とあした』」
「るららー♪」
 間髪入れず杏の歌が始まる。今度は祭莉が杏のハーモニーに入った。
「ひまわり畑見ながら食べたかき氷は、少しきーんとして♪」
『きーんとー♪』
「らんららー♪」
 観衆は引き続き杏の味方のようだ。
「おかあさんが笑ってる♪ わたしの大好きなひまわり笑顔♪」
「ららら♪」
「ぶたさん蚊取り線香、なつかしいな♪」
「ぶたさーん♪」
「蚊取り線香!?」
 いつの間にか虜になっている蚊取り線香怪人が応援を始め、かき氷怪人がぎょっと振り返った。
「今はまつりんと一緒に、色んな世界の色んな人たちと♪」
「一緒にー♪」
 ここで杏の音程が少し、外れた。だが祭莉が即座にフォローに入る。それによって誰にも悟られることはなかった。
「今年の夏を待ってるの♪」
『アンちゃーん!』
 楽しい夏を待ち望む気持ちが、たくさん詰まっている。
「みんなで楽しい思い出、作っていこうね♪」
「……ぐは!」
 最後を歌うと同時に、 人形のうさみみメイドさんが蚊取り線香怪人を殴り付けた。観衆の声援の力を乗せた一撃は、彼を軽く吹き飛ばす。遠くの方で爆音と煙が上がった。
「か、蚊取り線香ー!」
 残されたかき氷が絶望の声を発する。
「く、くそー!」
「るーるるー♪」
 かき氷の吹雪を見舞う怪人だったが、歌い続ける杏に軽々と回避され、叩きこまれたのはカウンター気味の祭莉の拳。
「ぐあああ! な、なつよえいえんにー!」
 最早歌う気力すら無くしたかき氷怪人は、その一撃によって沈み爆散した。

「どうだったー? おいら達の歌!」
『Yeahhh!』
「よかった……楽しみな気持ち、伝わった?」
『Foooo!』
 観衆のパッションは最高潮。皆が祭莉と杏、そして猟兵達を讃えている。その歓声はしばらく止むことはなかった。
 ここに、キマイラフューチャーの街を襲った脅威のひとつは去った。しかし戦いはまだ始まったばかり。頑張れ、猟兵。負けるな、イェーガー!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月03日


挿絵イラスト