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テレビウム・ロック!~気を引く為には先手必勝Winkを

#キマイラフューチャー #テレビウム・ロック! #テレビウム #システム・フラワーズ

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 キマイラフューチャー。
 どんどんがちゃがちゃと騒がしい町並みから少し離れた静かな通り。
「今日のおやつは~、チョコレートどーなっつー」
 おかしな調子の歌を歌いながらテレビウムが歩いている。
 ジ……ザザ、ザザ……。
「ん、ん?」
 特に意識をしたわけでもないのに、テレビに何かが映っているようだ。
「鍵……?」
 意識を集中すると、何処からともなく視線が集まってくる。
 キョロキョロ見渡せばわらわらとイルカがこちらを見いて、問答無用で追いかけてくるような気がした。
「ひゃぁあ!?」
 慌てて逃げ出すと、本当についてくる。
「たーすけてぇえええー!!」


「テレビウムの顔に鍵のようなものが映っていて、という事件を聞いた? 私もソレの一つを予知したの」
 空裂・迦楼羅(焔鳳フライヤー・f00684)は少し悩ましげに語りかける。
 キマイラフューチャーの、賑やかな場所よりは少し静かな場所。
 具体的には裏通り。そこでイルカに追われてい子が居るみたい。
「あるテレビウムの子が大変な目に遭っている、もしくは遭ってしまうの」
 彼の名前はヴァルツ。猟兵ではない、一般のテレビウムの男の子だ。
 黒色寄りの体色に、先割れスプーンのようなモノを持っている。
「慌てて逃げているようだから、彼を助けるため、オブリビオンの追手を倒すなり追い返すなりしてほしいのよ」
 沢山現れては、テレビウムを追い回し、更には追撃してくる予知まで見えたから、助けて保護して、守ってあげてほしいのだ、と迦楼羅は言う。
「そこから先は見えないけれど、沢山似たような事件が起こっているようだから、なにかの前触れなのかしらね……突然だけれど急ぎ、現場に向かって欲しいの。よろしく、お願いするのだわ」


タテガミ
 こんにちは、タテガミです。

 可愛い子に旅をさせる気分でお送りします。
 今回の予知で現れたオブリビオンは可愛さを主張してきます。
 特に意味はありません。一般テレビウムも可愛いのです。
 もう一度だけ言います。可愛らしい行動に意味はありません。

 集団戦では、どうか心を鬼に蹴散らして欲しいと思うところです。
 それでは良き、追いかけっこを。
153




第1章 集団戦 『何も答えてくれないベルーガ』

POW   :    おまえを消す方法
【全て消すモード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    ベルーガに乗った中年
【ベルーガの調教師】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    ベルーガがせめてきたぞ
戦闘用の、自身と同じ強さの【熱線銃装備の軍用ベルーガ】と【ガトリングガン装備の軍用ベルーガ】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。

イラスト:ケーダ

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「何について調べますかー」
 テレビウムを追いかけるベルーガはこう声を掛ける。何回も、何回も執拗に。
「あぁもう! ついてこないでー!」
 ヴァルツはそう言葉を返すが、応答はない。後ろからはずっと同じ問が飛び続け、追い回してくる。
 質問がこないと知るやいなや、今度は自問自答しながら追いかける。
「え、可愛さを更に伸ばす方法ですか?」
「今期の検索結果上位にはこう、あざとめに目があった時にウィンクがベストとあります」
 ぱちーんとウィンクをわざわざ見せてくるベルーガ。
「僕は何も言ってないよぉ~! うわぁあん」
 ヴァルツの声が、木霊する。
ノイシュ・ユコスティア
武器はロングボウ。
走って現場に向かう。
ヴァルツとベルーガを見つけたら、双方の間に割って入る。
注意を引くために素早く矢をつがえ、敵を攻撃する。
ユーベルコードを使用し、流花(ファルコン)を召喚。その背に騎乗する。
「ヴァルツ、君も乗るんだ。」

上空に飛び、そこから敵を攻撃。
敵とは距離を取りつつ、1体ずつ確実に倒す。(技能:スナイパー、2回攻撃)
「どうして彼を狙うんだ?」
僕が攻撃している間、流花には敵がいない方向に逃げてもらう。

敵の数が多すぎて(または手持ちの矢が少なくなり)撃破できないとわかったら、逃げることを優先する。
人通りが多いところのほうが安全かな?
「大丈夫?
怖くなかったかい?」





 ノイシュ・ユコスティア(風の旅人・f12684)が急いで現場に向かうと、質問攻めにしながら執拗に追い続けるベルーガと、声をあげて逃げるテレビウム、ヴァルツの姿があった。
 ズザザァとわざとらしく砂埃を起こしながら間に割り込み、愛用のロングボウ【Lucht taistil gaoithe】に弓を番えて、素早く放つ。
「何について調べますか?」
「貴方がココに現れた理由?」
「我々が追いかける理由?」
 自問自答ならぬ自問だけを並べ、言葉を返すベルーガは援護射撃をもれなくその身に受けて、追いかける勢いを失い失速した。
「おいで、流花。 一緒に飛ぼう!」
 ノイシュのその声に、流花が召喚に応じて現れ、羽ばたく。
 背丈はノイシュの二倍近く有るため、小柄なヴァルツはこちらは二倍驚いた。
「わ、わぁあ!??」
「大丈夫、流花は怖いファルコンじゃないからね。君も乗るんだ」
 流花にふわりと騎乗したノイシュが手を差し出したのをみて、『ヒーローが助けに来てくれたんだ』とヴァルツは喜んでその手を取る。
 数度の羽ばたきでノイシュを乗せた流花は上空へその身を逃がす。
 ベルーガがコチラを見て何やら言っているようだがそれはよく聞こえなかった。
 各ベルーガの上に、誰かが召喚されたようだが、それはノイシュにあまり関係ないことだ。
 まるではやぶさの如き狙いすまされた弓が、息をするようにひとつ、またひとつとベルーガを的確に射抜く。
 流花が敵が居ない方に飛翔していたが、手持ちの弓矢がどうも敵の数に合わない。
 圧倒的に、全てを倒し切るのは難しいとさえ、一目手わかった。
 ――どうして彼を狙うんだ?
 ヴァルツの窮地を救い、人の居ない通りではすぐ見つかってしまうと思い、あえて人混みに紛れられるように賑やかな通りの方へ舞い降りた。
 地上に戻ってノイシュはヴァルツに声を掛ける。
「大丈夫? 怖くなかったかい?」
「唐突でビックリしたの! お兄さんありがと……って、あの声がまだ聞こえるよ~!」
 まだ少し声は遠くだ、今すぐは来ないだろうが……。時間の問題かも知れない。
 確かにヴァルツの画面には鍵の表示がある。
 それだけで狙われている理由は今ひとつわからないのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒天・夜久
ノイシュさんに続くような形で。

「大きなハヤブサ……、あっちですね」

【アトラタス】に乗って機動力を確保した状態で、流花の飛んできた方に逆に突っ込む。
ベルーガの群れを視認したらユーベルコードを使って弾幕を張って、バイクを180度転身させてまた発進。背後の安全は蒸気ガトリングを持った人形にさらに射撃を加えてもらって確保。

その後はノイシュさんのいる通りとの交差点手前で、ベルーガのさらなる出方をうかがう感じでバイクを道を塞ぐように止めて様子を見ます。状況がまずそうだったらノイシュさんの方に行って「まだ来ます!」と警告を入れます。





「大きなハヤブサ……、あっちですね」
 先の猟兵、ノイシュが地上に降りる前の飛行姿を目撃していた黒天・夜久(ふらり漂う黒海月・f16951)。漆黒のボディに摩訶不思議な紫のラインが走る【アトラタス】を駆り、夜久はベルーガから逃れるようにコチラへ飛んでいくのだろうと考え、自ら進んでそのうち追いつくであろうベルーガの波に突っ込んだ。
 キィイと急激にブレーキを踏めば、アトラタスは横滑りしながら器用に停車する。
 遠巻きに、ベルーガの姿が見えたからだ。ココからならまだ少し距離があるが。それだから出来ることが有る。
「このタイミングで弾幕を張れば、足止めになるでしょう」
 火属性の魔法の矢を心持ち無差別に放ち、進行妨害の手助けとする。
 一つは使われて無さそうな建物の看板を、また別の建物の上に放置されたバケツ等。ガコンと魔法の矢を受けてバケツが建物からこぼれ落ちれば、それはベルーガの頭にごつんとあたり、ピヤァ!? と見た目通りのイルカっぽい声がした。
 何度かに分けてウィザート・ミサイルを打ち込み、アトラタスを180度向きを変えて今来た道を戻る。
 運転中の妨害があっては安心できないと、ミーティアに背後を頼む。
 人形遣いが繰る人形とは言え、持っている物は蒸気ガトリングガンだ。喪服のドレスの裾を翻し弾丸の雨が我先にと先を急ぐベルーガに降り注ぐ。
「お探しのものはなんですか?」
「何について調べますか?」
「只今の弾丸の発射数ですか?」
 降り注ぐ雨の向こうで、重症までの深手を負わなかったのだろうベルーガの声がする……いや、した気がした。幻聴と思いたいが、意外としぶといらしい。
 遠く空を眺めても、大きなハヤブサの姿を見かけられなかったがあの方角であればきっと人通りの多い通りだろうと夜久は見当をつけていた。
 特に理由はないが、大きくは『感』。誰かを追跡する時に、その人の行動を眺めている故の直感と言えばいいか。
 おそらく、と思う通りとの交差点手前で後ろを確認する。
 人混みのためそこまでベルーガの声は聞こえる気がしないが、住民ではない真っ直ぐ刺さるような視線がある。
 ――振り切れてない。確実に、居る。そのうち追いついてくるでしょう。
 夜久はそう思う。それもまた、『感』だがベルーガは追跡を諦めて居ないらしい……。
「走るバイクの速度をお知らせしますか?」
「検索ワードが不正です。もう一度お願いします」
 自問は遠くからでも聞こえた。バイクの駆動音を身近に聞いていても聞こえるのだ。ベルーガの波に真正面から突っ込んだらどれほどやかましいことか。
 ――ノイシュさんは、大分遠くまで逃げ切れただろうか。
 とりあえず、おいかけよう。と、夜久はアトラタスをまた走らせるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

間仲・ディコ
はいはいはいー!! そこまでっす!!
イルカ!! かわっ…いい…けどこれだけ数がいると恐怖っすね!
ヴァルツくんはひとまず逃げられたみたいだし、
ここはひとつ暴れて足止めーっす!!

【トリニティ・エンハンス】で攻撃力底上げ!
がっつり応戦仕様で!
【気合い】入れて【時間稼ぎ】するっすよ、
なるべく多くの敵をこちらに【おびき寄せ】たいところ!
【範囲攻撃】でまとめてズバッと!!

近くで見ると改めてかわいいなあ~!!
あっ…あざとかわいい…!! その角度好き!!

って言ってられないっすね! 危ない危ない、ちゃんと攻撃は【見切り】、【カウンター】おみまいっす!!

…ところでどうしてイルカに乗っているのがおじさんなんすか!!





 すぐに特定されないようにと人混みの中に紛れ、猟兵とヴァルツは逃げるように走っていたがベルーガが徐々に追いついてきたようだ。
 声だけでもすぐにわかる。既に後方に居るようだ。
「どうやったら確実に逃げ切れるか?」
「それは検索してほしいことですか?」
「検索ワードが足りません。もう一度お願いします」
 それで、他に何を調べますか、とベルーガは問いかけに答える様子がない。
「はいはいはぁーい!! そこまでっす!!」
 人混みの中から間仲・ディコ(振り返らず振り出しに戻らず・f01702)がやってきた。
「イルカ!! かわっ……いい……ッけど、これだけ数がいると圧倒的恐怖っすね!」
 ヴァルツ君はひとまずにげられてるみたいだし、とディコは離れていく背中を見送り心ろで呟く。
 ――なら、ここはひとつ。暴れて足止めーっす!
「何について調べますか?」
「ん。じゃあ、『イルカ 可愛い』で!」
「検索中」
「検索中。しばらくお待ち下さい」
 なんとしても欲しがる検索ワードかはさておき、ディコはベルーガをひとまず静かにさせた。欲しがるものを提示すると黙るものだ。
 その間に何重もの炎と水と風の魔力を身体に纏い、攻撃力を底上げする事に集中する。これで応戦仕様だ、そう簡単には負けない! と気合の入った視線でベルーガを見るとウーンと悩むように片目を瞑って、思考していた。
 何かを言うかと待ってみれば今度は逆の目を瞑って、ウーン? と首を傾げている。どうみてウインクである。
 どうやら一応、指定された言葉を検索しているらしい。
「……あっ……あざとかわいい……!! その角度好き!!」
 集団ベルーガが一斉に悩んでウインクする仕草は実に可愛さの楽園である。
 思わずディコは見とれてしまう。
 時間稼ぎのことをうっかり忘れてしまいそうであった。
「検索結果が大量に検出されました」
「ベルーガは黙読することにします」
 ベルーガは自身の上に調教師を召喚し、ヴァルツを再度行おうとやかましく自問を再度繰り返しながら行く手を遮るディコへ攻撃を仕掛ける。
「……って、可愛さに見とれてる場合じゃないっすね! 危ない危ない」
 まっすぐ突進してくるベルーガの群れを、ひょいひょいとディコは躱す勢いでステップを刻んで身体を翻し、カウンターで周囲のベルーガをルーンソードで一気に打倒す。
 全てを打ち倒す事はできないが、足止めは確かに叶っただろう。
 ふぅ、とちょっぴり乱れた息を整えて、先程ベルーガの上に居た何かの顔を思い出す。
「……ところでどうしてイルカに乗っているのがおじさんなんすか!!」
 ――あんなに可愛い顔してるのに、なんでちょっぴり残念仕様っすか……。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『アキクサさま』

POW   :    ぽかぽかの風
【召喚したヒーターの熱風】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    どっちが本物?
【もう一羽のアキクサさま】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    究極の平和主義
全身を【スーパーもふもふモード】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。

イラスト:橡こりす

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

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※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 大量のイルカから逃げ切る事に成功した猟兵たちとヴァルツ。
 息を整え、次の奇襲が起こる前にもう少し遠くへ足を伸ばそうとしていた時だ。
 ――ピコン、と軽い音がした。
 音の出処を探すと、ヴァルツの画面に何か鍵以外が表示されている。
『セントラルビル 5号室』
 文字と共に、目的地までのマップが表示されている。
 現在地からそこまで遠いものではないようだが、
 ……5号室に何が有るというのだろう。
「ピィイイイイ?」
 今まで走ってきた君たちの体温に釣られたのか、もふもふの桃色がどんどん集まってきていた。ウインクまでして実に可愛らしい。
 もたもたしているとぶつかってきそうだ。
 それはそれで嬉しい人もいるかも知れないが、桃色のもふもふは間違いなくヴァルツを見ている。
「ピィイイ!」
 止まれば降り注ぐ桃色の雨を躱し先を急がなければならないだろう。
 君たちは指示されたマップの場所へ無事にたどり着けるだろうか。
間仲・ディコ
か、わ……激かわ…!!
もっふもふ!! もっふもふっすよ!!
ちょっともふもふを堪能、いえ、ここも応戦させていただきまっす!!

セントラルビルの5号室っすね、いい感じに捌けたら後で向かうっす!
にしても、なんだか上手いこと誘導されてる感じ~? 何があるんすかね?

さっ、レッツもふもふタイムっす!!
また自分のかわいさをよく分かってるっすね…近くにたくさん【おびき寄せ】てもふもふもふもふ。

…はっ、またもや目的を見失うとこで!
【早業】でもふりつつ、【カウンター】で対抗するっす!

もふもふにまんぞ…敵の数がある程度落ち着いたら、
【映灼】でおっきい炎の壁を作って追跡を邪魔しちゃうっす!
足止めして【時間稼ぎ】狙い!



●桃色と壁

 上を見上げるとピィピィとそこら中にもふもふが、もとい、アキクサインコのアキクサさまが猟兵とヴァルツを見ている。
「ピィイイ!」
「か、わ……激かわ……!! ヴァルツくんも見て下さいっす、もっふもふ!! もっふもふっすよ!!」
 あまりのもふもふさに間仲・ディコの気分も急上昇だ。特に丸っこいフォルムが最高である。
「可愛らしいけど、いっぱいが僕をみてるよぉ~!」
 ヴァルツは視線が集中するのを嫌がって尻込みする。
「えぇと、表示されてたのはセントラルビルの5号室っすよね。大丈夫覚えてるっす」
 このもふもふを堪能して、いい感じに捌けたらあとで向かおうと心に決めるディコ。
「……にしても、なんだか上手いこと誘導されてる感じ~? 何があるんすかね?」
「わかんないよぉ~」
 ヴァルツの声を引き金に、アキクサさまが滑空もとい、落下を開始した。
「ヴァルツくんは今のうちに先に、向こうへ逃げるっす! 誰かが必ずいち早く追いかけるっすから!」
「う、うん~。絶対、だよ~!」
 ディコの言葉を信じて、ヴァルツは駆け出した。
 一部のアキクサさまの体積がよりもふもふに、いうなればスーパーもふもふモードになり丸っこい身体は更に触り心地が良さそうなもふもふになっている。
 モードチェンジしてないアキクサさまも落下してくるのだが、少し大きいのか? と思える程度にしか個体差がない。
「ぴぃい」
「ピィイイイ!」
 元気な声とは裏腹に、眼前にはもふもふの雨だ。
「さっ、レッツもふもふタイムっす!!」
 ――いえ、ここも応戦させていただきまっす! もふもふはその過程っす!
 ポトポトとディコの元へ落ちてくるアキクサさまたちは飛ぶでもなく、コロコロ転がりながら迫ってくる。
 スーパーもふもふアキクサさまは何故か通常のアキクサさまに転がされているようだ。
「ピィイ?」
「ピィイイ!」
 言ってる事は何もわからないが、スーパーもふなアキクサさまが片目を瞑ってウインクしているのがディコ場所にもよく見えた。
 何故その体制でウィンクしているのか。意味がわからないが……。
「あぁもう可愛い! また自分のかわいさをよくわかってるっすね……!」
 ヴァルツを後ろにかばい、こっちこっちと手招きするとアキクサさまは何の疑問もないのかコロコロ転がされてくる。
「隙しかない! もふもふもふ」
 すかさず胸に飛び込むと、3,4体のアキクサ様に囲まれいっそハイパーもふもふとでも言えそうな天国に迷い込んだ気分になった。
 ――やばい、これは人をダメにする!
 ディコの直感は、そう告げていた。もふもふ天国、やばい。
「……はっ、またもや目的を見失うとこで!」
 ギリギリで正気に戻ったディコはあと少しだけと、名残惜しく早業を駆使して存分にもふもふしてコロコロ転がる身体を思い切り押した。
「ぴぃい!?」
 転がるスーパーアキクサさまはバランスが取れないようでどんどんと遠くに転がっていく。
 通常のアキクサさまもスーパーもふを放って置く気になったようで、助けに行かない。
「ピィイイ!」
 跳ねるように飛びながら、こちらに攻撃してこようとしているようだが少し数が減ったような気がする。
「さあ、覚悟してくださいねぇ!」
 ディコの言葉とともに、アキクサさまの追撃を遮るようにまばゆい高熱を放つ大きな炎の壁を作り出した。
 一つに見えて、いくつもの炎の束。コレを簡単に突破できるとは言わせない。
「強いて言えば、もう一度もふもふさせて貰っても……?」
「ピィイ?」
 炎に突っ込んでもがくアキクサさまを横目に、やっぱりあとちょっとだけ、ともふもふに魅了されるディコだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ノイシュ・ユコスティア
ヴァルツのことが気になって戻ってきたよ。
「インコ?これはかわいい。
…いや、見とれてはダメだね。」
攻撃時には、1体を確実に撃破するためにユーベルコードを使用。

敵を脅すつもりで、一番近くにいる敵を攻撃する。
「地図をよく見せてもらえないかな?」
今回は、ヴァルツを守りながら走ってビルに向かう。

基本は逃げることを優先。
ヴァルツに先頭で行ってもらい、僕は後ろから彼のペースで走る。
敵の様子を伺い、近づかれたら攻撃する。
(モコモコ…触りたいけど、我慢しないと!)
前からやって来た敵も気付き次第攻撃し、空いた隙間から逃走。

彼がどこへ行ったらいいか迷っていたら手を引いて誘導する。
「まだ走れる?あと少しだからね!」





「うあぁあ~ん、たすけてぇ~!」
「ぴぃいいいいい」
「ピィイイ!」
 ぽんぽん跳ねるように、アキクサさまはヴァルツを追跡していた。
 可愛らしいのが可愛らしいのを追いかけている、見方を変えれば大変平和な光景だった。
「ヴァルツのことが気になって戻ってきたけど……インコかな? これはかわいい」
 ノイシュ・ユコスティアは並走するように走りながらヴァルツに追いついた。
「……いや、見とれていてはダメだね」
 浅く呼吸を整えて、ロングボウに矢を番える。
 これは打ち漏らしを穿つ為。本命は別だ。
「矢よ、雨となり敵を貫け!」
 風の精霊の加護を受け、複数の矢が降り注ぎ、アキクサさまを一体ずつ確実に止める。別の猟兵は穏便に止めたが、ノイシュはそこまでもふもふにつられない。
 ユーベルコードまずは一体撃破し、番えた矢で一番近くに居たアキクサさまを狙撃する。
「ピィ!?」
 アキクサさまの腹が矢で貫かれ、ばたばたもがくも動けないようだ。
「今だね。地図をよく見せてもらえないかな?」
「うん、いいよ~」
 ヴァルツが画面を見せれば、示された地図の目的地はココから近い事がわかった。
「今はここに行ってみない事には、解決しないかも知れないね」
「お兄さんたちなら、なんとかできるのかなぁ~」
「どうかな。じゃあ、行こうか」
 ノイシュはヴァルツを護りながら、跳ねるアキクサさまを躱しビルの方へ向かうことにした。
「ぴぃ~~~」
「~~~ぴぃ!」
 アキクサさまは積極的に襲撃してこないが、おかしな声が聞こえたかと思うと、その数が増えている。
 どちらかは分身なのだろうが、個体数が二倍近く増えているのだ。
 これでは、キリがない。
 ヴァルツに先を走ってもらい、ノイシュは彼のペースに合わせて少し後ろを走っているのでその様子を見ている。
 時々羽ばたき方でも忘れたのか、ぽよんと地面に落ちて弾む動作がみえる。
 もふもふしているので、痛みなどはないのだろうが、見ていて少し癒やされる。
 ――モコモコ……触りたいけど、我慢しないと!
 生唾を飲み込むように、本音を隠すノイシュ。
「ピィイ!」
「ピピィ!」
「ひぇえ~!?」
 前からもアキクサさまが弾みながら転がりながら雪崩れて、ヴァルツは思わず転びそうになるが、ノイシュがすかさず風の精霊の加護を受けた豪雨を呼び時間を稼ぐ。
「大丈夫かい、こっちだよ!」
 ノイシュが手を差し出せば、ヴァルツはその手をとって一緒に走り出した。
「まだ走れる? あと少しだからね!」
「もう、ちょっとなら! 頑張れると思うよぉ~!」
 角を曲がれば、セントラルビルがあるはずだ。あと、すこし。もう少しだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フロース・ウェスペルティリオ
……おや。何やら大変そうだねぇ。
えーっと、あの鳥さんを足止めすれば良いのかな?

んー、液状になって粘度を上げたら、蜘蛛の糸とか漁業の投網とかみたいな感じで広範囲に広がって捕獲、ないし鳥さんの通行の邪魔をしておこうか。
(どっちが本物?は)まとまって行動してくれる分には狙い易くてありがたいねぇ。
んー、路地や建物と街路樹の間、建物の入り口等、幅が限られる場所だとやり易くて助かるけど、まぁ、そうでなくても弓矢で一部を飛ばして広げれば良いかなぁ。
ヴァルツさんや猟兵の皆さんに当たらないよう気を付けるね。

うん、急にハードモードな追いかけっこで大変だろうけど、目的地も近いようだし、頑張ってねぇ。





 角を曲がっても、大量のアキクサさまが後ろからコロコロと丸い身体をふんだんにアピールしながらヴァルツに迫る。どんなに逃げても、跳ねながら丸いものが飛んで来て、それの標的にされれば誰でも多少は怖いものだ。
 ビルは既に目の前だが、跳ねるもふもふの数が逃走を妨害する。いくつかが眼前まで迫って跳ねた。ぽよよん。
「わ、わわわ~!?」
「……おや。何やら大変そうだねぇ」
 不意に話しかけられたヴァルツは多少驚いた様子だったが、いつの間にかそこへ現れたフロース・ウェスペルティリオ(蝙蝠花・f00244)の雰囲気に、助けに来たヒーローであることは直ぐに伝わった。
「助けて助けて~! 追いかけられてるんだよぉ~!」
「えーっと、あの鳥さんを足止めすれば良いのかな?」
 ヴァルツの画面をちらりと見ると、目的地は目と鼻の先なのだと直ぐにわかった。
 ――では、この場で可能な範囲の足止めをしないとね。
 人型に保っていた形状からするすると溶けるように液状へ姿を変えるフロース。
 ――んー、なるべく粘度を上げて。薄く、長く、広がる感じで……。
 瞬時に糸のような、網のような細かさまで身体を伸ばすとアキクサさまたちへふわっと覆いかぶさる。所々の形状変化は歪では有るが、やろうとしたことを成すには十分すぎる程だった。
 表面積が変わらない範囲を、薄く伸ばして絡め取る様は、まるで漁のように鮮やかだが。粘着質の網状液体である以上、それは主の居ない女郎蜘蛛の巣のようにアキクサさまを吸い付けた。
「ぴぃい!?」
「ピィ!」
 じたじた。ばたばた。身体の粘度を高めているため、捕獲されてしまったアキクサさまは上手く逃げ出せないようだった。
「ふふ、ヴァルツさんが困っているだろう? 大人しく邪魔されていてくれないかい?」
 わたわた。もぞもぞ。アキクサさまは大人しく出来ないようである。
「ぴぃ~~~」
「~~~ぴぃ!」
「ピピィイイ!」
 掛け声を掛けるように一羽、二羽とその数を増やし、一部がフロースの身体の限界付近から範囲外に飛び出す。
 アキクサさまも、可愛いだけではないのだ。多分。
 増えたアキクサさまと共に、絡まっているものもあるようだが追うためには手段を選べなくなってきたということか。
「纏まって行動してくれる分には狙い易くてありがたいねぇ」
 アキクサさまを捕らえていない部分を集め、フロースはロングボウを番えられる程度まで身体を人へ戻す。
 息を切らしながら走るヴァルツを後ろから狙おうというのだろう。
「二羽で一対。どちらかは分身なのだろうけど」
 邪魔をすると決めた以上、追いかけっこを再開させるつもりはなかった。
 ズド、と穿たれたのはフロースの弓矢だ。命中したアキクサさまはポトリと力なくその場に落ちる。
「ハードモードな追いかけっこで大変だろうけど、目的地も近いようだし。頑張ってねぇ」
「う、うん! ありがとう、お兄さぁ~ん!」
 上半身だけ起こしていたフロースはビルの敷地へ入っていったヴァルツと他の猟兵を見送った。
 ピィイ、ピイと囀る桃色の鳥は、どこまでも悔しげに鳴き続けていた――。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『アヤカ・ウザカワ』

POW   :    そんなにあたしに関わりたいの?仕方ないなあ♪
全身を【構ってオーラ】で覆い、自身が敵から受けた【痛みや苦しみ】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD   :    もっとアタシに構えー!
【音や煙が派手な様々な火器を装備したモード】に変形し、自身の【回避力と移動力】を代償に、自身の【命中と攻撃速度】を強化する。
WIZ   :    世界で一番可愛いのはアタシ!
【笑顔】【挑発的なポーズ】【自分を見ろというオーラ】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。

イラスト:つかさ

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠リサ・ムーンリッドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。




 セントラルビルは電気こそ付いていたが何処にも誰も、居なかった。
 おかしいくらいに静まり返り、示された5号室に向かうのを邪魔するものもいない。ビルの壁に貼られた案内図を見ると、ビル外部に隣接する階段を登る必要のない5号室という孤立した建物であるようだった。
 まるで体育館のような広さの扉に「5号室」との表記がある。
 この場所が目的地なのだろう。
 慎重に扉を開けば、ただひろい空間の遠くに、一つ作業机がある。
 それ以外にその空間を彩るものはないようだ。
「……はぁ、はぁ……」
 ジジ、ザザザ……。
 足を休め、今度こそ逃げ切ったと呼吸を整えていると、砂嵐のような音がした。
「……ん~?」
 ヴァルツの画面が砂嵐しか映してないかと思い、軽く画面を触るとパッと何かに切り替わる。
『NowLoading……(0%)(終了までの目安15分)』
 少し眩しい光を放ちながら、何かのファイルを受信しているらしい。
「えぇえ? どうしよう! あ、あしがうごかないよ~!」
 何をしても画面が切り替わらないどころか、その場から動くことが出来ないヴァルツ。猟兵が手を貸すが、疲れた以外の要因でその場から動けないようである。
「やっだ、本当にここまで来てくれちゃったんだ。可愛さの伝道師たるアタシ信者ののみんな、やっさしー!」
 作業机から立ち上がる影がある。始めからこの部屋に居た唯一の人物が声を発したのだ。
「可愛い子には旅をさせよっていうじゃん? インパクト超欲しくってー」
 生中継の視聴数とかバク上がりで超ウけるんだけど、とアヤカ・ウザカワは楽しそうに笑った。
「鍵のテレビウムは極上のネタだってタレコミ受けたから張り付いたかいがあったよねー!」
 笑った表情から一瞬で真顔に、そして見下すように一言。
「でもさ、アタシより目立つ子とか、……ちょー許さないから」
 動けないなら今のうちだよね、と構ってオーラを全開でアヤカはヴァルツを狙う。
 15分は動けないヴァルツを守り、アヤカを退ける為の戦いが、今、始まるのだ。
宮落・ライア
へぇぇぇぇえええい!!
横入り唐突救援ヒーローライアちゃんだよぉぉぉおぉおお!!
(窓からどーん!)
さぁ存分に安心したまえ!

で! ああキミが敵?
構ってあげるよ。

【ダッシュ・ジャンプ】
【怪力・力溜め・鎧砕き・グラウンドクラッシャー・衝撃波】
痛いとかじゃすまないだろうけど、喰らってみる?

【二回攻撃・剣刃一閃】
隙も気を逸らすのもいけないよ。

テレビウムに攻撃を無理やりやるなら
【かばう・激痛耐性・気合い・覚悟】で受ける





「……ぇぇぇえええい!!」
 何処からともなく声がした。声の主は何処だと、アヤカが探せばそれは突然視界の隅から現れる。
「横入り! 唐突! 救援ヒーローライアちゃんだよぉぉぉおぉおお!!」
 骨肉の剣で目の前を遮るのだから当たり前、と言わんばかりにバリィイインと派手に窓ガラスを破壊し、破片と共に宮落・ライア(ノゾム者・f05053)が何事もなかったようにやってきて服の埃を払う。
「さぁ存分に安心したまえー!」
 誰が尋ねるより早く、大きな声で存在を示したライア。 
 いやぁ障害物は殴って壊して進みたくなるけど窓ガラスって特に割り甲斐があるよね! と爽やかな表情が物語っていたがアヤカはソレを圧倒的に無視した。
「んで!……ああちょっと見失ってた。キミが敵? ボクが構ってあげるよ」
 カッコよく殴り込んで満足してしまったライア。いやぁうっかりうっかり。
「先手必勝! 問答無用! てぇえええええええい!!」
 話を聞くなら先に穿つ! と言わんばかりアヤカへ急激に接近し、攻撃に転じるライア。
 ブォンブォンと大剣を振るうが狙いが甘く、当たらない。
「甘い甘い激甘ちゃんだなぁ。動画配信に求められる危険度な撮影はもっと上なんだよー?」
 骨肉の剣を振るうライアの姿を間近でスマホでパシャリと撮影してついでに、自撮りもパシャリ。
 どうやら動画配信中であるらしい。
「自称ヒーローと戦闘中なう、っと! マジヤバめ~」
「画面ばっかり見てると、ひっどい目にあうんだからね!」
 無差別に斬りつけるように奮っていた骨肉の剣に手を添えて、一瞬ばかりの集中。
 力を溜めて、大剣を棍棒のように振るいアヤカの脳天目掛けて一気に振り下ろす!
「……おっとぉ?」
 直撃自体は避けたアヤカだったが剣圧でその場に転んだ。
 ライアの剣撃はそのままの勢いで床を叩いた為、打点を中心に床が一気に崩壊していく。
 この場所が二階や三階であったなら、フロアの床が抜けて色々危ない目にあっていたことだろう。
 ――痛いとかじゃすまないだろうけど、その体に喰らってみる?
 その気があるならご要望に答えるよ、と視線で語りかければハッ、と笑う声がした。
 ライアの強気な姿にアヤカは口の端の血を拭い、にまーっと笑って応じる。
「へーぇ、誰かは知らないけど……そんなにあたしに関わりたいの? 仕方ないなあ♪」
 全身にオーラを纏い、スマホの角を使って全力で殴り掛かるがライアはひょいと躱す。
 スマホのうさちゃんカバーにより角も合わさって鬼の攻撃に思えたが、当たらなければ意味はない。
「それは絶対痛いやつ! まぁ避けるんだけどー!」
「えぇ? 痛いのはきらい? またまたぁー」
 フェイントを織り交ぜて、ライアに視線を合わせればデコピンを一撃。
「痛ったぁあああああ!?」
 オーバーアクションと共にライアは床に転がるのだった。
「……っと、隙を見せて一気に!」
「そうは行かないのがじんせーなんだよねぇー」
 飛び起きて駆け出すライアだったが、今度は自分で砕いた瓦礫に足を取られる。
 何故か膝が言うことを聞かず、上手く動かせない。
「おぉ~、いいねぇ視聴率うなぎ登り~♪」
 いつの間にか体力が奪われていたようだ。
 パシャリパシャリと、撮影される音が頭上から響く――。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヒバゴン・シルバーバック
アレンジアドリブ絡み可能。使用はPOW

「ウザいでウホ!」
ロボットゴリラのヒバゴン・シルバーバックは思わずウザカワをビンタしていた。怒りにも似た悲鳴を上げ、芸人のように頬を張った。
「はっ!ごめんウホ、いきなりビンタしてしまっ……ウザいでウホ!」
二度目!しかし鋼の大きな手で叩いているにも関わらず、響き渡るのは小気味良いビンタの音!反射的に手が出るものの、何故か力が入らないのだ。
「ウザさにツッコミを入れさせて力を吸い取ってるでウホ!ウザいでウホ!」
ウザカワをビンタする度に疲れていくヒバゴン。
「く、こうなれば力尽きる前に張り倒すしかないウホ!ウホオォー!」
ヒバゴンは必死になってビンタを繰り出し続けた。



 ●

「ほぉら、アタシが可愛すぎて強いからもうホント~」
 一人で写真撮影と動画撮影とを続け楽しそうなアヤカ。自撮りで最高に可愛い顔を撮影している最中のようだ。そしてそれを見ていたマシンがある。ヒバゴン・シルバーバック(ゴリラ型ロボット・f07349)だ。
「いやもう、なんかどうしようもなくウザいでウホ!」
 言葉を発した時には既に手が出ていた。怒りにも似た悲鳴を上げ、芸人のように頬を張った。
 ――パァンと、軽い打撃音が響く。
 攻撃だなんだと言うつもりも、会話しようという気がなかったわけではない。
 ただ、ヒバゴンはプログラム通りに動いてしまっただけだ。
 それがただ、人類が認識しうる『ビンタ』であっただけの話。
「痛った!? 可愛いアタシの、可愛い頬を叩くのは誰よー! あぁもう5時間も掛けてふんわり髪型にしたのが台無しじゃなーいどうしてくれんのよぉ!」
 頬を擦るよりさきに、セットされた髪が崩れたことを気にして手櫛でササッと治そうとするがうまくいかないアヤカ。
「今すっごいいいところだったのにー。アヤカちゃん大逆転のチャンスがぁー!」
 思わず痛いと言ったがそこまで痛そうではなく、むしろにまにましている。そういう基質なのだろうか。
「……あぁそうだスマホをミラーモードにしてちゃちゃっとやっちゃえばまだ間に合う!」
 ヒバゴンの相手より、視聴率が下がるのが耐えられないのかポケットから櫛を取り出して戦闘そっちのけでスマホを見つめ始めた。
 目を凝らせば怒気のようにオーラを纏っていくのが見えたかも知れない。
 ひと目を気にする女の子にとって、可愛く見えるようにあり続けるのは重要なのである。
「はっ! ごめんウホ、いきなりビンタしてしまっ……ウザいでウホ!」
 戦闘中に身だしなみだけ気にする動画の配信者の視聴率はそもそもヒバゴンには関係がないのだ。思わず謝ったが、ウザさが勝ってしまって畳み掛けるように、ビンタが飛ぶ。スパァアン。
 鋼の大きな手から放たれているのも関わらず、聞こえる音は張りのある小気味良いビンタの音。
 二発目。それは逃げることも躱すことも可能であった一撃だ。
 ハリセンで殴ったとしてもココまで気持ちが澄み渡る音にはならないだろう。
 髪を直しながら、叩かれればスマホの角で殴る。ゴム製のスマホカバーは衝撃を和らげていた為、ヒバゴンには痛みなど感じない。
 3発、4発と回数を重ねていくとその対応も作業じみてきていくのだが、そこであることに気がつく。
「もしかしてウザさにツッコミを入れさせて力を吸い取ってるでウホ?……ウザいでウホ!」
 芸風を突っ込ませることで、攻撃を浴び、繰り返させる事で無力化を狙っている……これがアヤカの戦法だというのか。
「ウザいウザくないじゃ視聴率はとれないってーの。やられるたびつよくならなきゃ、女の子じゃいられないのよ」
 パァン、スパァアアンといい音が響く中、髪を直し続けるアヤカというシュールな戦闘はヒバゴンに圧倒的に不利であった。
「く、こうなれば力尽きる前に張り倒すしかないウホ! ウホオォー!」
 ヒバゴンは必死になってビンタを繰り出し続ける。倒れるまで叩き続けてやるという根性や見事。
「流石に叩きすぎよー! 可愛い顔が台無しだってばぁあ!」
 ヒバゴンが倒れ、動けなくなる頃には頬が腫れ上がるアヤカの姿があったが邪魔されないうちにとメイクで誤魔化す作業に移るのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

間仲・ディコ
そっかー、そうきたかー。
そっかー、次は肉球を堪能したかったなあ~~……
……おっと、切り替えていきますよ!

ヴァルツくんが大変なことに!
ここは彼をかばいつつ、守りに入るっすよ!

えっなになに!? 撮影中!!?
じゃあ【気合い】入れていくっすー!!

基本的には【カウンター】で、反撃!!っす!
目立つように気持ち派手めにいきますか!

それにしても、怒濤のビンタ攻撃は圧巻っすねえ……意外と奴さんも元気だなあ!

視聴率狙いなら、何が一番盛り上がるっすかね?

……あっ、燃やすか!!

戦闘中、ここぞって見せ場がきたら、【映灼】で特大の【捨て身の一撃】を!!

やーやー私の活躍見てくれたっすか!? えっ、眩しくて見えなかった!!?




 動画配信者の姿を目にすると新たなるもふもふを期待していた間仲・ディコは。
「そっかー、そうきたかー。そっかー、次は肉球を堪能したかったなあ~~……」
 可愛いの、可愛いの、と来たらもう一つおまけ、と思ってしまうのが人の性。
 外れてしまった物は仕方がないと、気持ちを切り替える。
「ヴァルツくんが大変なことに! ここは彼をかばいつつ、守りに入るっすよ!」
 ザザッと派手に音を立てて、動けないヴァルツの前に陣取るディコ。
「なんかー、失礼なこと言ってる子いる~? マジでテン下げなんですけどぉ~?」
 でも撮影はテンション上げて行かなくちゃね、とアヤカは笑顔でピースサイン。
 視線を釘付けにするようなオーラを放ち、ディコは何故だかアヤカから目を離せない気がした。
「えっなになに!? 撮影中!!?」
 ――じゃあ気合い入れていくっすー!! 元気いっぱいな姿で映らなきゃっす!
 笑顔とポーズに感心を示さなかった分、攻撃力が下がったようだがそれでも大した問題ではなかった。
 ディコの狙いはカウンター、派手に立ち回ることあったからだ。
 攻撃力が下がろうと、反撃ならば相手の力を利用している。攻撃の反動をプラスマイナスで言えばゼロなのだ。
「それにしても、怒濤のビンタ攻撃は圧巻っすねえ」
 ――意外と奴さんも元気だなあ!
 叩かれる音、叩く音、その連続を見ていたディコは呆気にとられていたがそういうこともあるだろうと、面白おかしく見守った。
 相手が視聴率を気にしているというのなら、では、最大に盛り上がるものが何であるかを考える。
「……うーん。……あっ、燃やすか!!」
 凄く良いことを思いついたと、明るい表情を見せ始めるディコの姿に、アヤカは注目しだす。
「なになに? なにか、生放送が盛り上がりそうなことでもあるわけ?」
 聞くだけならタダだし聞いてあげる、とアヤカが言うとディコは満面の笑みを浮かべた。
「そりゃあもう、特大の! 最高の奴っすよ!」
 ディコの声を合図に、まばゆい高熱の炎が踊り狂う。
 沢山の炎を一つの束にまとめ上げ、一つの槍のように編み上げると容赦なくアヤカの腹部に突き刺す!
 アヤカを中心に燃え上がるさまはこれもまた、圧巻な光景だろう。
 デンジャラスなことまですれば、視聴率は万全だ! アヤカはきっと、炎の中心で燃えてるか倒れているだろう。轟々と燃える炎の束を延焼分も含めてスッ、と沈静化させて、ディコはアヤカの持っていたスマホを見る。
 スマホ自体は焦げては居るが、機能に問題は無そうだ。
「やーやー私の活躍見てくれたっすか!?」
 流れるコメントを見ていると、ディコにはやや悲しい結末が待っていた。
「えっ、眩しくて見えなかった!!?」
 燃え盛りすぎて、生放送画面には音しか届いていなかったらしい。

成功 🔵​🔵​🔴​

エヴァンジェリ・マクダウェル
うざかわギャル怖い!うざい!怖い上に危険な輩はほっとけないな

バウンドボディでの伸縮性弾力性を生かして中距離から伸ばした腕でぺしぺし鞭の様に叩いてやろう、この体に火器のダメージはあまり有効ではな…くもない痛い!衝撃でとてもゆれるじゃないかこやつめ
基本人型で、高火力で飛ばされたりしたら無理に形を維持せずに潰れて衝撃分散

火器類は鈍器なイメージがあったから少し油断してしまったな、ガトリングガンは振り回す物だと思っていたよ

貴様が可愛いのは認めてやろう、だが可愛さには方向性があるからな。このぷるぷるボディと貴様の可愛さではどちらが上とは決められないのだよ





 メイクを直しコレで完璧、とぱちーんとウインクして決め顔をつくるアヤカ。
 エヴァンジェリ・マクダウェル(鍵を持つ者・f02663)は少し冷めた気持ちになっていたが顔には出さない。
「うざかわギャル怖い! うざい!」
 顔には出さなかったがストレートに声には出した。まったくもって大胆である。
「ギャルは可愛いだけで怖い生き物じゃないです~!」
 べー、と舌を出してアヤカも子供じみた喧嘩を始めた。
「怖い上に危険な輩はほっとけない。こうしてくれよう」
 伸縮自在の身体を可能な範囲伸ばし、アヤカに近い部分からにょーんと腕を伸ばし、べっちべちと鞭のように叩く。
 不定形に近い身体の一部なので鞭に見えるかはアヤカ次第だが、小馬鹿にされたのはわかったようだ。
「じゃあ張り切ってもっとアタシに構えー!」
 兎の耳が生やされたピンクのガトリングガンを装備し、思いの丈と共に思い切りうち放つ。
 バララララと連続して発射される音の数だけエヴァンジェリが襲われるが、妙にスモークが炊かれる。煙たい。
「この体に火器のダメージはあまり有効ではな……くもない痛い!」
 実弾ではなく魔法弾の乱射であった為、痛いだけで済んだようだが伸ばしていた身体が衝撃でとても揺れる。
 伸縮性のあるモードになっているため、現在は跳ね返すに至らないが貫通されてもいないようだ。
「まーぁ? 構うだけなら得意分野だよ?」
 人型に素早く戻り、ガトリングガンの銃弾を瞬間的に液状に身体を変えて避けながら近距離を狙う。
 握られたのはウィザードロッド。それで全てを決めてやろうという算段のようだ。
「じゃあもっともっと構いなさいよー!」
 銃口を振り乱し、どんどん弾丸をエヴァンジェリに打ち込むアヤカ。
 ちゅどーんと100分の1でおかしな音が鳴ったが、どれもこれも器用に避けられ余裕が無くなってきた。
「火器類は鈍器なイメージがあったから少し油断してしまったな」
 ――ガトリングガンは振り回す物だと思っていたよ。経験則で。
 エヴァンジェリの周囲には、鈍器として扱う人物がいたようで、認識が他の人とはズレていたことを改めて認識した。
「貴様が可愛いのは認めてやろう。だが、可愛さには方向性があるからな?」
 どのように可愛いとか、表現するまでもなくめちゃくちゃ可愛いとか論理的な問題だ。
「配下が皆可愛かったらしいが、そういうヤツは大抵なにかが可愛くない」
 バッサリとエヴァンジェリが言い切れば、アヤカは口答えしようと口を開くが反論する内容がでてこない。
 何か可愛くない、という一言に思う所があったのだろうか?
「それに、このぷるぷるボディと貴様の可愛さではどちらが上とは決められないのだよ」
 ブラックタールである自身の身体をぷるぷるだと主張するエヴァンジェリにとっては、その『ぷるぷる』という表現ですら可愛いのだ。
「えぇ……そ、そんなの認めないわ! 絶対、ないわ、ないない! ほらみなさいよ視聴率だって下がってる!」
 スマホを見せてきたアヤカの生放送画面には、段々減りゆく視聴率が表示されていた。
「ほーぉ? わからないやつはどこにでもいるさ」
 近づいて来たの好機とばかりに、精一杯力任せに頭を杖で叩く!
 頭に強い衝撃が入ったことで、アヤカは悶絶するように倒れた。もういい、放っておこう。
 ――この手の輩とは相容れないのだ……。
 エヴァンジェリはその一言で生配信画面を消したが、そのときはもう、視聴する人は何処にもいなかったらしい。




 ●
 アヤカが倒れた後、ヴァルツの画面から光が収まっていくのを猟兵たちは確認した。
 しかし、正常に戻ったかと思いきや、雑音だらけの音が、耳に届く。

「ザザッ……システム・フラワーズより緊急救援要請……」
「……ジジッ……全自動物資供給機構……『システム・フラワーズ』に……、侵入者……あり……」
「……テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど……、開放されるメンテナンスルートは増加する。……至急の救援を請う」

 聞こえた音声を確かめようにも、音が終われば鍵も砂嵐も消えており正常に戻っていた。
「ふぇえ~……なんか今日は大変な一日だったよぉ、どーなつたくさんたべたぁい~」
 あの音はなんだろう、猟兵達は疑問に思ったが、分かることはあまり多くはない。
 ひょんなことからひとりのテレビウムが災難な事件に巻き込まれた、そんなある日の出来事となるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月27日


挿絵イラスト