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チェイス!~テレビウム・ロック~

#キマイラフューチャー #テレビウム・ロック! #テレビウム #システム・フラワーズ

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●ヴィジョン・キー
 彼は、いわゆるオタクであった。
 前文明が滅びた後の世界であるキマイラ・フューチャーにおいて何らかのオタクでない奴がいるのか、という議論はさておいて、いわゆる典型的なオタクであった。
 コンコンスポットを巡り、コミックやライトノベルを延々と探し、偶然同じタイトルのものが出てきたのならば保存用・布教用・閲覧用とストックすることを厭わない。都市の一角で書籍類が出やすい場所は概ね把握しており、それだけに留まらず映像媒体やゲームメディアの関連もしばしば捜し歩いている。ゲームをコンコンで取得したときには、いわゆる実況プレイでの布教もやっているとかなんとか。
 そんな彼の顔面に。
「オゥフwwww拙者、なぜか顔面ロックされてるでござるよwwwwお気に入りのアニメを流そうにもブルースクリーンならぬロックスクリーンですなwwwwしかも現状を実況しようにも放送機材も動かせぬでござるよwww」
 ――件の「鍵の映像」が映る。
 突然の状況にも動じることなく……むしろ楽しんでいるような様子を見せながらぺしぺしと顔面スクリーンを叩くテレビウムの彼だが、どうやら映す映像を選べないだけでなく生放送もできないようで、しばらくしてがっくりと肩を落とした。
「ドゥフwwwwこれはwwwwどうしようもないでござるなぁwwww」
 知り合いに代わりに放送してもらおうか、と彼は踵を返し――
「あいやまたれよ、テレビウム殿。その鍵、その頭もろとも我らに引き渡していただこうぞ」
「ひょ!?」
 その周囲を囲む忍者装束のオブリビオンに、彼は奇妙な声を上げた。

●護衛対象:オタクなテレビウム
 集まった猟兵たちを前に、ニコラはそういった状況が今まさに起ころうとしているのだと説明を終えた。
「転移先はそのテレビウムのすぐそば……タイミング的に、忍者のオブリビオンに囲まれた状況に飛び込むことになるわ」
 つまりはホットスタート。画面に鍵を映した彼をひとまず守り抜いてほしい、とニコラは猟兵たちに告げる。
「既に類似の事件がいくつも起こっているわ。だいたいの流れとしては、画面に鍵を表示するテレビウムを守りながら画面の鍵により指定された地点まで移動。その後は彼を護衛しながら、その鍵の奪取を目論んでいる親玉オブリビオンとの戦闘となっているわ」
 そしてその流れは、今案内するこの依頼でも変わらないであろうと。
「ともかく、敵との連戦となるわ……予知に引っかかっているのは、テレビウムを襲う忍者のオブリビオンだけよ。そのあとの戦闘は、どんなオブリビオンが出てくるかを見ながら臨機応変に対処してちょうだい」
 不明情報も多いが、類似の事件が頻発していることもあって事の流れは予期しやすい――基本はテレビウムを守りオブリビオンを撃破すればよいとシンプルな状況を再度説明し、ニコラは転移ゲートを開いた。


Reyo
 はじめましての方ははじめまして。そうでない方はいつもありがとうございます。今回はお急ぎでのお届けを予定しておりますReyoです。

 さて、場所はキマイラフューチャー、守るべきは顔である画面に謎の鍵を映されたテレビウム。ちなみに、本シナリオでの護衛対象のテレビウムは典型的なオタクです。名前を聞けば教えてくれるでしょう。
 では今回の注意点について……と言いつつ、2章・3章の敵は現時点では不明ですので全体を通して共通の注意事項となります。

●注意事項
 護衛対象となるテレビウムはオブリビオンに優先的に狙われます。その優先度は猟兵との戦闘よりも上です。従って、敵を倒すことよりも彼を守ることを重視したほうが良い結果になりやすいでしょう。特に集団戦の場合は護衛の重要度は非常に高くなります。ボス戦においてはボスの足止めや行動妨害が有効です。
 各章において、いかにしてテレビウムを守りぬくか、その上で迅速にオブリビオンを撃破するかの方法をご提示ください。
 また、2章・3章は開始時に簡単な状況説明を行います。

 それでは、どうぞよろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『紫御殿』

POW   :    仮面合身の術でござる!
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【男子がカッコいいと思うもの】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD   :    仮面手裏剣の術でござる!
【懐】から【自動追尾する真っ白な仮面】を放ち、【相手の視界を塞ぐこと】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    仮面狼群の術でござる!
【仮面を被った狼の群れを召喚、爪や牙】が命中した対象を切断する。

イラスト:りょうま

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

秋月・信子
@SPD

すぐに囲まれているテレビウムを救出しなければならない状況なのですね…
では、転移したら即座にUC【影の魔獣の召喚】で影で作り出した黒豹に乗ります
そして【先制攻撃】を仕掛けるようショットガンを一発撃ってオブリビオンの注意をこちらに向けれたら、影の豹でオブリビオンの壁を跳躍して…ちょっと乱暴ですけど着地したらテレビウムの襟首を咥えさせ、オブリビオンを正面からショットガンで【なぎ払い】その勢いで突破します

…流石に咥えたままだと可哀想ですし、引き上げたら私の後ろに乗って貰います
恐らく…敵は私達を追ってくるでしょう
ショットガンの弾が切れたらテレビウムに装填して貰い、終わるまでハンドガンで応戦します



●ダイナミック・エントリー
「オホゥwwwwこれ、もしかしなくても拙者大ピンチでござるかwwww?」
「良い理解だ――ならば素直に、そっ首差し出してもらおう!」
 きらりと刃をきらめかせながら、数人の忍者オブリビオンがオタクテレビウムへと切りかかる。こんな状況でも普段通りの口調が崩れないのは、図太いのか鈍感なのか。
「――させませんよ!」
 ――大穴として、この手のピンチにはすぐに駆け付けてくれる猟兵という存在を信じているというのもあるだろうか?
 テレビウムの頭上から、派手な銃声が一発。当てることよりもその音でオブリビオンを警戒させるべく放たれたその一発を先駆けにし、その後を追って飛び込んでくるのは一匹の黒豹とその背にまたがった女猟兵である。
「ドゥフwwww猟兵wwwwktkrですなwwww」
「ああもう、笑ってる暇があるんですか貴方!?」
 ポケットからスマートフォンのようなものを取り出して女猟兵――秋月・信子(魔弾の射手・f00732)の姿を撮影しようとする心臓に毛の生えまくったテレビウムの様子に辟易しつつ、信子はユーベルコード製の黒豹にひとつの指示を出す。
「少し荒っぽくなりますけど……ひとまず、離脱を優先します!」
「オッホ?」
 荒っぽくなる、という信子の言葉に首を傾げるテレビウム。そこを黒豹がひょいと咥え上げる……親猫が子猫にするように、彼の首元を咥えて。ぶらーん、と黒豹の口元からテレビウムが垂れているのは、状況を考えなければ面白おかしいものだったろうが――
「貴様、イェーガー……ええい、よくも我らの邪魔を!」
 周囲はオブリビオンによる包囲網。とてもではないが笑って眺められるものではない。
「そのためにここに来ましたから――行きますよ、テレビウムさん!」
「オッフォゥwwwwこれは過激でござるよぉwwww」
 故に信子は即座に動く。構えるはショットガン、狙うは正面。ポンプアクションのセミオートショットガンとは思えない速射によってオブリビオンたちを怯ませ、その間を駆け抜けていく。
「ええい、逃がすな、追え! 追えーッ!」
 無論、逃げられただけであきらめるほどオブリビオンものんきではない。その集団の長らしき者が声を張り上げれば、駆ける信子の後を追うようにして忍者オブリビオンたちもまた走り出した。

 ――そして、その追撃に続くものがひとつ。
 グリモア猟兵の開いた転移ゲートはどうやら件のオタク・テレビウムの位置を基礎座標としているらしい。するりと宙を滑って位置を変えていく転移ゲートから飛び出せば、多少の戦場移動をものともせずに迅速な合流を果たせることだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

月山・カムイ
なるほど、移動していても彼を起点に転移できるのでしたら、逃げ回りながら個別撃破、というのもありですね
首を落とそう等と物騒な事を考える輩は、真っ二つにされる覚悟はできていますか?

宇宙バイクを地上走行形態に変形させて、現れる
追い縋ろうとする忍者たちをばったばったと切り伏せる
剣刃一閃、触れたものを問答無用で真っ二つにする刃で、白い仮面だろうと巨大ロボだろうとお構いなしに

なかなか楽しそうなテレビウムの人ですが、そういえばお名前は?
はしゃぐのは構いませんが、振り落とされないように注意だけはして下さいね

等と彼の安否を気にしつつ、並走しながら向かってくる忍者の対処を行う



●ブレイドライダー
 ドルン、という重低音。獣と人外のチェイスに、バイクが参戦した鬨の音である。
「さらにwwww猟兵が増えるとはwwwwフォカヌポゥwwwwこれはwwww生放送できないのが本当に悔やまれるでありますぞwwww」
 女猟兵が駆る黒豹の背にちょこんと乗っかったテレビウムが、己の画面を変えられぬことを悔やむような声音で叫ぶ。ぶんぶんと手を振って駄々をこねる姿は、その喋り口調にやたらと草が生えまくっていることを除けば非常に可愛らしい。
「なかなか楽しいそうなお方ですね? ――テレビウムの、と呼ぶのもけったいです。お名前を聞いても?」
 行きがけの駄賃とばかりにユーベルコードにより絶対的な切断力を得た絶影で数人の忍者を膾切りにした月山・カムイ(絶影・f01363)は、片手にハンドル、片手に刀という器用な立ち回りを見せながら件のテレビウムに尋ねる。
「オゥフwwww助けてくれた猟兵の方に名乗り遅れるとわwwww拙者、メッチャ・クサハエルと申しますぞwwwwあ、今度生放送で生猟兵と会った自慢をしてもいいですかなwwww?」
「この状況を乗り越えたのなら、どうぞお好きに――!」
 振り落とされないように、という忠告をしつつ、素晴らしい運転技術でスーパードリフト。メッチャを女猟兵に任せ、カムイは改めて追手のオブリビオンたちに向き直る。
「首を落とそうなどという物騒な考え――つまりは、そちらも真っ二つにされる覚悟はできているということでよろしいのですね?」
「ふん、たかが一人増えたところで――まとめて掛れば、数はこちらが上であるぞ!」
 であえー、であえー、とどこぞの時代劇のような口調で忍者の首領が声をあげれば、数人の忍者オブリビオンが四方八方からカムイに襲い掛かる。狼を呼び出しての近接戦闘が数名に、それをカバーするような白仮面投擲……走行中の攻防であることを考えれば十分高レベルなそれらを――
「寄らば切る――言ったはずですよ、真っ二つにされる覚悟はあるかと!」
 鋼と同等の硬度と切れ味を持つはずの白仮面や、近接用の狼の屈強な体を文字通り一閃。まるで熱したナイフがバターを切るような滑らかさで、カムイの絶影がオブリビオンたちの攻撃をまとめて切り払う。それだけに飽き足らず――刻印を光らせて瞬間的に全長を伸ばした絶影は幾人かの忍者をも牙にかけ、真っ二つに切り裂いていた。
「なん、だと――!?」
「私から40m弱……それが射程圏内です。斬られたい奴からかかってきなさい」
 一瞬のうちに真っ二つにされた仲間の姿に唖然とする忍者にドリフトターンを華麗に魅せつけ、カムイはセリフを投げつけながらメッチャの後を追う方向へとバイクを走らせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

伊美砂・アクアノート
【SPD】
―――きゃは、生実況ができねぇってンなら、後で話のタネにでもしてくれよ。銃撃戦を特等席で見るなんて、中々無ぇ機会だぜ?

【オルタナティブ・ダブル】で分身。オレはショットガン、拙者はアサルトライフルを手に持って、追いかけてくるニンジャを【2回攻撃6、援護射撃5】でフルオートで一斉射撃するでござるよ。
リロードの時間も惜しいからな。弾が尽きれば、その場で銃は撃ち捨てる

片方のオレが分銅鎖を振り回して突撃し、足止め役になり
もう片方の拙者がテレビウム殿を連れて離脱するでござるよ
きゃは、一度言ってみたかったんだ…此処はオレに任せて先に行けッ!ってね
拙者は、鉈を手に【かばう5】で共に走るでござるよ…!



●ダブル・インディケイト
 彼女の登場は、重奏する銃声が祝福した。
「さぁさぁ、特等席へのご案内だぜぇ!」
 空中の転移ゲートから飛び降りながら、黒豹の背に乗って逃げるメッチャ・クサハエル(職業:キマチューバー・独身男性)を狙うオブリビオン目掛けてショットガンとアサルトライフルの弾幕が放たれた。銃の持ち主は伊美砂・アクアノート(さいはての水香・f00329)――その姿は1つではなく、ユーベルコードで呼び出された彼女の別人格を搭載した「もう一人のアクアノート」と共にあった。
「オッホォwwww空から美少女ktkrですぞwwww生放送だったらコメント弾幕まったなしwwww現実では銃弾の弾幕がまったなしですなwwww」
「――きゃははははは、オレたちの様子を生放送できなくて残念っていうなら、後で話のタネにでもしてくれよ」
「その通り、拙者たちの戦い様、特等席で見れる機会はそうそうないでござるからな!」
「口調のキャラ付けwwww古典的だがこれがいいwwww」
 片や「オレ」片や「拙者」というあからさまな別人格の様子に、メッチャのテンションは天井知らずだ。猟兵たちが適切な対応で忍者オブリビオンを退けているから、という理由もあるが――この戦場の中で一番のんきなのは間違いなく事態の中心にいるはずのメッチャというテレビウムだ。
「おっと――弾切れだな。なんだったらコレ、やるぜ?」
「オゥフwwww弾切れだからってwwww銃を投げるとは大胆でござるなwwww」
 猟兵登場のサイン代わり、とでもいうようにアクアノート(オレ)がショットガンをメッチャに投げ渡す。
「拙者のライフルも弾切れでござるな――では、アクアノート殿」
「ああ、接近戦の始まりだ――!」
 他の猟兵たちがバイクや黒豹といった移動手段を確保しているのに対し、アクアノートは徒歩。その状況が、彼女たちに「あるセリフ」を許した。
「一度言ってみたかったんだよな――此処はオレに任せて先に行けッ! てね」
「ついでに言えば、拙者、残るオブリビオンを倒してしまっても構わんのでござろう?」
 黒豹の背に乗ったメッチャの護衛はバイクに乗った猟兵に任せるとでもいうように腕を掲げ――装備するのはそれぞれ鎖分銅と鉈。超接近戦の構えを見せるアクアノートたちに対し、忍者オブリビオンたちは彼女らを無視して通り過ぎることを選ぶが――
「だから、通さねえっていってんだろう?」
「拙者に背を向けるとは、余裕でござるな?」
 宙を飛んでメッチャを追おうとしたオブリビオンにはアクアノート(オレ)の鎖が伸び、やや迂回するコースを取ろうとしたオブリビオンにはアクアノート(拙者)の鉈が容赦なく叩きつけられた。
 彼女らが徒歩でここに降りたのには、ひとつ、大きな理由がある――それは速度を中心とした能力への特化。そもそも、アクアノートという猟兵にとって先を行く黒豹やバイクに走って追いつく程度は朝飯前なのだ。そんな猟兵を徒歩とみて無理に突破しようとした忍者オブリビオンたちは、瞬く間にアクアノートたちの手によって狩られるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

荒・烏鵠
スゲー特徴的なしゃべり方しますネこのテレビウム。いやイイけど。ムダにズーッと話させておきたい。文法とか解析してェ。

【WIZ】
大仰に印を組んでいかにも大技使うぜーッてな具合に注意を引く。ンで警戒されたらユベコを使い、相手から視覚と聴覚を一時的に奪う。さすがにビビるだろ?
その間に妖力込めた組紐で足止めする。投げりゃ勝手に巻き付いてくれッかンな。後はテレビウムの首根っこ掴んでシナトの封印を解き、巨大化させて騎乗、スタコラサッサだ!



●トリックアクト・ウィズフォックス
 黒豹、バイク、そしてそれらの速度に脚力だけで追走する猟兵。未だ忍者オブリビオンによる攻勢は衰えるところを知らず、数こそ減っても絶えぬ追跡の手がテレビウム、メッチャ・クサハエルを追い続けていた。
「オゥフwwww拙者、モテてみたいとは思っておりましたがこういう状況に陥るとは思ってもみませんでしたなぁwwww」
 黒豹を操る猟兵に背を預け、とうのメッチャは非常に呑気。くるりと戦場を見回しては、追いすがる忍者オブリビオンの中に美女がいないかを探すなどしており――
「ドゥフォwwwwこれはwwwwデカいwwww」
 故に、転移ゲートから飛び降りる荒・烏鵠(古い狐・f14500)の姿に気づくのも、メッチャが最も早かった。
「デカいだけじゃねえぜ? ――化かすも化けるも大得意、つまませれば一級品たぁオレのことよ!」
 空中で巨大化するシナト――荒の朋友たる狐姿の風精霊――を足場代わりに、大手を振って魅せるは五行の印。
「ええい、まだ増えるかイェーガー!」
 袖振り腕振り指を組み、大仰に誇示される五行印に何らかの術を警戒し、追いすがる忍者オブリビオンたちが声をあげる。ある者は使い魔の狼を走らせ、ある者は仮面を投擲し――とにもかくにも、新たに出現した脅威である荒に対し、オブリビオンたちの目線が一斉に向いた。
 ……それが、荒の狙いであるとも知らずに。
「引っかかったな? ――暝神に帰依し奉る。契約に基づき、我に調停者を預けよ」
 早口で言祝がれたのは神への祝詞を冠したユーベルコード。呼び覚まされた桃花纏う子羊が「めぇ」と一声挙げれば、荒に目線を向け、敵意を迸らせていたオブリビオンたちが一斉に――転けた。
「下す名前は太平羊――視覚聴覚、触角ついでに第六感。突然【何もわからない世界】に放りだされた気分はどうだ?」
 その荒の声も、もはやオブリビオンたちには届いていない。ユーベルコードの効果により五感を奪われ去ったのだ。オブリビオンたちからすれば、突如として音もしなければ何かに触れる感覚もない暗黒世界に投げ込まれたに等しい。
「オホwwww猟兵というのはwwwwやはり凄まじいですなwwww」
「オレにかかればこれくらい、ってことよ――それよりも、その喋り方、どういう文法?」
 荒の術中に嵌りそこかしこで自滅するオブリビオンを見て、メッチャが感心した様子で拍手。受けて、荒は鼻の下を軽くこすりながらずっと気になっていたことを聞き返す。
「ま、それはさておき――今の内に拘束……するまでもねえな。後は煮るなり焼くなり、どうとでもなるじゃん」
 これまでメッチャを護衛していた猟兵たちがある程度数を減らしていたことも相まって、荒の術式により残るオブリビオンは一網打尽。あとはまだ息のある少数のオブリビオンにトドメを刺すだけであり……その状況は猟兵の大勝利といって差し支えのないものであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『戦闘員・ナグルド』

POW   :    強靭で無敵だド!
全身を【頑丈なサンドバッグ 】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    バチバチするド!
【触れると爆発する砂 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    飛び道具卑怯だド!
【ボクシンググローブ 】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。

イラスト:井渡

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ショウ・ザ・ウェイ
 メッチャ・クサハエルを追っていた忍者オブリビオンを討伐し終えるのと、ほぼ同時。最後の1体にとどめを刺し、オブリビオンが骸の海へと帰った瞬間にそれは起こった。
「オゥフwwww今度は一体なんでござるかな、コレwwww」
 ブゥン、と低い稼働音を立てながら、メッチャの顔面……テレビウム共通の特徴である画面に映っていた鍵がくるりくるりと回転し、暫く後に縮尺の荒い地図へと変化した。
 地図の中には「J」と書かれた青い印と、鍵のマークをした矢印で示された箇所がそれぞれ1つずつ。さらには、まるでナビゲーションシステムのような経路案内まで出始めている。それによると、Jと書かれた青い矢印が現在位置のようだ。
「猟兵殿wwww拙者、今どうなっているでござるかwwww今北産業でお願いしたいでござるよwwww」
 1つ、画面の表示が変わった。
 2つ、ナビが開始されている。
 3つ、とりあえず目的地はそう遠くなさそう。
 メッチャのリクエスト通りかいつまんで3行で説明する猟兵。
「ンッフゥwwwwこれはwwww行ってみるしかないでござるなぁwwww? それにしてもwwww顔ロックから顔ナビとはwwww」
 それもそうだ、とメッチャの言葉に猟兵たちは頷き、ナビシステムに従って道を歩き始めた。

 ――その矢先に。

「ここから先は通行止めだド!!」
 ――喋る黒いサンドバックがどこからともなく次々と落着し、ナビシステムの示す道をどんどん塞いでいく。
 喋るサンドバックなど、いくら世界広しといえどそうそう存在するはずもなく。それは紛れもなくオブリビオン。鍵の奪取ができぬとなれば、今度は道を塞ぐよう動くようだ。
 言わずもがな、最短経路は――オブリビオンをぶっ飛ばした先に存在する。
荒・烏鵠
ねえねえメッチャ氏~、カースタントってご存じ~?
基本的に車が色々跳ね飛ばしていくスタイルの映画のコトなンだけどさ~!

ちょっと体験してみん?

【WIZ】
戻れ、シナト!交代だ、暴レ猪!コマンド巨大化だッ!
メッチャ氏をひっつかんでドデカい装甲猪に乗り、ドッカーンとサンドバッグの壁を跳ね飛ばす!
ついでにシナトと神宴扇を使って土気抑制の木気を纏った局所的豪風を重ねて威力アップだ!

オラオラどけどけーッ!野生の暴走トラックナメんじゃねーぜェ!!
爆薬はねェが視聴率取れるだろコレならよォ!!


秋月・信子
@POW

はぁ…逃げ回って撒いたと思ったら一難去ってまた一難なのね…
そう言えばテレビウムのメッチャさんが秋月『氏』信子『氏』と呼んでたけど…『氏』ってキマイラヒューチャーワールドで使われている敬称なのかな?(よく分かってない顔
それなら…えぇっと、メッチャ氏
危ないですから、あまりはしゃぎ回らないでくださいね?

道を塞いでいるサンドバッグのオブリビオンですけど、全く動けないみたいですね
それなら…ショットガンを【零距離射撃】できる距離まで近づいて、UC【接射】で【吹き飛ばし】てしまうかのようにドミノ倒しになって貰います

メッチャ氏どうかしました…え、純白のおパン…ツ?…!
だ、だから、ふざけないで下さいッ!



●マッド・イェーガー~怒りのバスターロード~
 目の前にどさどさと降り積もっていくオブリビオン・サンドバック。彼らは自分から動く能力はないのか、降下した時のまま直立したり、あるいは折り重なる形で進路を妨害していた。
「さぁさぁ、イェーガー! ここから先へ行きたければ、ぶっ飛ばしてみるがいいド! できるならば、だがド!」
 その上で、サンドバックたちは口を揃えてそうがなりたてる。確かに、進路の行く先々を次々と埋め尽くしていくその姿は圧巻であったが――
「ねぇねぇメッチャ氏~」
「なんでござるかなwwww荒氏wwww」
「カースタントって、ご存知?」
 対する猟兵とメッチャは和やかなものだ。ナビの指示通りに進むのを決めた際に互いの名を交換したようで、荒とメッチャはオブリビオンを前にして呑気に見えて物騒さの見え隠れする話題で盛り上がっていた。
「オウフwwwwよく映画とかであるやつですなwwww最近だとグランド・セウト・オットットとかのゲームでよくやれますのwwww」
「……実際に体験してみん?」
「――マwwww? でござるかwwww?」
「まーじ、まじ」
 ――そんなやり取りが後方でされていることなどつゆ知らず。
「あの、名前に『なんとか氏』ってつけるのは、キマイラフューチャーで使われてる敬称なのでしょうか……」
 そんなことを考えつつ、ショットガンを構えて前進するのは信子だ。近寄ってくる猟兵にサンドバックも「お、やるか?」といった表情(最も、バックの表面がそう見えているだけかもしれないが)で待ち構える。
「さてと――まったく動けないようですから、ひとまずこれを試してみましょうか」
「……ド?」
 信子が構えているのはショットガン……紛れもない飛び道具。されど、それを使おうとしているのはサンドバックの目と鼻の先……いわば超至近距離。さて、これはユーベルコードで封じられるのか? とサンドバックが思い悩むも答えは出ず。そうこうしている間に、ぴたりとサンドバックの鼻先(やはりバックの表面がたまたまそう凹んでいる場所かもしれない)にショットガンの銃口が突き付けられた。
「と、飛び道具は――」
「安心してください……ショットガンは近接武器です」
「ドォォォォォォ!?!?」
 いや、やはり銃器だからショットガンは遠距離武器だ! とユーベルコードで信子の射撃を止めにかかるも時すでに遅し。零距離接射――信子のユーベルコードにより強化された散弾は、サンドバックを数個まとめて吹き飛ばし、吹き飛ばした先で他のサンドバックたちをなぎ倒していくという2次被害まで生み出した。
「……うーん、確実に道はできますけど」
 これでは何発かかるか判らない、とメッチャの顔面に映る地図を見ようと信子が振り返る。
「オーラオラオラオラオラオラ!」
「ドゥフフォカヌポォwwww!」
 ――信子の視界に飛び込んできたのは、それ自体が戦車と同等の体躯を誇る超巨大な装甲猪に乗った荒とメッチャ。いたく意気投合した様子の2人の駆るユーベルコード製巨大猪が、先ほどの信子の1射とは比べ物にならない規模のクラッシュを引き起こす。
「――きゃっ!」
 しかも、その猪には荒の同胞シナトと術具神宴扇による突風付きである。人為的ソニックブームを纏った猪の突進に巻き込まれ、数多のサンドバックが「ドォォォォォォ!?」という声をドップラー効果に乗せながら吹き飛んだ。安全な位置にいる信子ですら、突風にあおられて思わずガードする姿勢に入るほど……吹き飛んだサンドバックの数と合わせて、その威力は推して知れよう。
「どけどけぇ! 野生の暴走トラック、ナメんじゃねぇぜ! 視聴率取るにはコレだろうよぉ!」
「オゥッフッフッフッフッフwwwwアッ、信子氏wwww! 白でござるなwwww!?」
「へ……?」
 その勢いで突っ走っていく荒はともかく、投げ込まれるのはメッチャからの爆弾発言がひとつ。
 いったい何のことだ、と自分の身を検め――先の暴風で見事にスカートが捲れあがっていたことに気づいた信子は顔を真っ赤にしながら装甲猪を追いかけるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荒谷・つかさ
考えたら負けな気がするわ。
だってここはキマイラフューチャー。
お気楽極楽ご機嫌ゴイスーな世界なんだから!
(つかさはすべてのしこうをほうりなげた)

何はともあれ、私の選択肢はPOWのみ。
なので「怪力」込みで殴って……なるほど、確かに頑丈だわ。
でも、今回は別に倒す必要は無いのよね。
動かず、壊せず、邪魔なだけなら……どかせばいいのよ。

【鬼神剛腕砲】発動。
サンドバッグ怪人をひっつかみ、全力で斜め45度、明後日の方向へ投擲!
掴んでは投げ、掴んでは投げを繰り返して進行方向を掃除するわ。
私の腕力ならもしかしたら星の重力を振り切っていっちゃうかもしれないけれど、別に問題無いわよね?



●ドントシンク・フィールエヴリシング
 道中、新たに合流したのは小柄な女猟兵である。転移ゲートからキマイラフューチャーに降り立つその姿は、ただひたすらに膂力、筋力、あるいは爆発力を求められるこの状況においてやや頼りなく見えたが……
「やっぱり、こういうのは考えたら負けね」
 先駆していた猟兵たちが代わる代わるショットガンや猪突でサンドバックたちをぶっ飛ばしているのを見て、彼女――荒谷・つかさ(風剣と炎拳の羅刹巫女・f02032)は襷を取り出し服の袖をたくし上げた。
「ドゥフフwwwwまだまだwwww猟兵の方々が増えるでござるなwwww巫女装束がカワユスでございますぞwww」
「あら、どうもありがとう――じゃあ、ちょっと交代するわね」
 猪突に乗ってサンドバックぶっ飛ばしツアーを楽しんでいたメッチャからの言葉を軽く受け流しつつ、ほかの猟兵が休息できるようつかさが一歩前へ。ナビシステムの座標までの距離を地図から概算しつつ、つかさはしずしずとサンドバックの前へ進み出た。
「ぐぬぬ、猪の勢いにやられがちだド! でもお前みたいな女の子には負けないド!」
「あら、サンドバックのわりに、女性への呼びかけ方はよく知っているのね」
 交わす言葉はただそれだけ。直後、つかさの細腕からは考えられぬ剛拳がサンドバックの鼻面(何度も言うが、布のシワがたまたまそう見えているだけかもしれない)をぶったたいた。
 ――ドォン、という重く低い音。ザァ、とサンドバックと拳がぶつかり合ったことにより生まれた衝撃波が周辺一帯を薙ぎ払い……サンドバックはなんとか、つかさの1撃を耐えきり健在であった。
「――なるほど、確かに頑丈だわ」
「ふ、思い知ったド?」
「……でも、それだけね」
「ド?」
 己の拳に耐えるほど、硬い――だが、言い換えればそれ以外に特に見るべき点は存在しない。それが、つかさが目の前のオブリビオンに下した評価の全てであった。
「動かず、壊せず、邪魔なだけ……だから、効率よく退いてもらうわ」
「ド、ドドドォ!?」
 ぐっ、とサンドバックを掴み上げるつかさの拳。浅く息を吸い――そして息を止めて力む。吸気によりつかさの全身に力がみなぎり、サンドバックをふわりと浮かせ――
「――斜め上45度、ぶっとびなさい!」
「ド―――ッ!?」
 サンドバックの悲鳴は、最初の一瞬を除いて届くことはなかった。羅刹であるつかさの全力が込められた投擲は、ソニックブームを引き起こし音速を突破、サンドバックの声よりもサンドバックが飛び去る速度の方が早くなってしまったのだ。
「―――ォォォォォ」
 遅れること数秒、ドップラー効果でやや低くなった声が地表に届くころには、つかさは乱取りの要領で次々とサンドバックを投げ飛ばしている。数分を数えるうちに、星になったサンドバックの数は50を超えた。
「……これで、ナビのポイントまではあと少しかしら?」
 的確に進路上のサンドバックを排除したつかさは、メッチャの方を振り返り地図を確認する。
「オゥフwwwwまさかの人力宇宙飛行とはwwww拙者、ちょっと常識を疑うべきか迷いますぞwwww」
 つかさの奮闘を見ていたメッチャのコメントはともかく、その顔面に表示された地図はだいぶ縮尺を縮め、目標地点が目と鼻の先であることを示していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ティラノサウルス怪人』

POW   :    ザウルスモード
【巨大なティラノザウルス】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    ティラノクロー
【鋭く長い爪】による素早い一撃を放つ。また、【装甲をパージする】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    学説バリエーション
対象の攻撃を軽減する【羽毛モード】に変身しつつ、【体から生えた鋭く尖った針のような羽毛】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:九廸じゃく

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●アト・ディ・エンド
 メッチャ・クサハエルの顔面が示していたポイントは――そこに何かあるかもしれないと身構えていた猟兵たちには拍子抜けなことに、何の変哲もない広場であった。周囲をビルに囲まれた、なんてことはない公共スペースである。
「オゥフwwww何が起こるものかと思っておりましたがwwww」
 そしてそれはメッチャにとっても同じだったのだろう。ここへ向かえば何かが起こる……そう考えて行動していたのは、猟兵だけではない。
「フゥムwwwwどうしたものですかなぁwwww」
 メッチャがそう言いながら数歩、広場の中心に向けて歩き出す。
 そして、メッチャが広場の中心にたどり着いた瞬間に――
「ドゥフフフフwwww前がwwww見えぬでござるぞwwww」
 カッ、という効果音が付きそうな勢いで、メッチャの顔面が強く発光した。まるでサーチライトのように強烈な光は、メッチャがあたふたと慌てた様子で顔を振るたびに周囲一帯、時には上空までを照らし出す光条となる。
「――見つけたぞ、テレビウム・ロック!」
 そして、それは予期せぬ来訪者――オブリビオンを引き付けてしまう。
「どうやらオレの配下は皆突破されたようだが……このティラノサウルス怪人じきじきにその『鍵』をいただいてやろう!」
 大声で名乗りを上げながら突撃してくるティラノサウルス怪人。
 メッチャは怪人の声からオブリビオンの出現こそわかるものの、光り輝く画面のせいで状況をあまりつかめていないようだ。
 この広場に来て急に光始めたメッチャの画面、そして襲い来るオブリビオン――場所を移すことなく、この場でメッチャを守り切ることが、今ここで猟兵に求められる戦いだ。
月山・カムイ

これは少々いただけませんね、メッチャ氏をまず保護せねば
それと、近付けないよう足止めも必要ですね

まずはティラノ怪人とメッチャ氏を引き剥がす為にバイクにてひき逃げアタックを行う
メッチャ氏を下がらせるのは他の猟兵に任せ、防衛線を構築
無響肩部・絶影による斬撃の檻を作り出し、彼に向かおうとする動きを阻害する

幾ら素早く動こうとも、逃がしはしません
あと、なぜ彼を狙うのか教えてもらえますか?
彼自身は、少し愉快な人畜無害なテレビウムでしょうに

巨大化すれば足を削り、加速しようとすればそれ以上の速度で出鼻を挫く
問題はこちらの斬撃を無視出来る防御力を得た場合だが……
その場合は、仲間の助力を期待しましょう


亜儀流野・珠

見えずとも安心して良いぞ!えーと…サハエル?よ!
何やらティラノが来たが新たな猟兵も駆け付けたぞ!
…大勢な!奥義・千珠魂!俺たち、召喚だ!

召喚した半数はサハエルの前に俺と共に配置、残りは突撃だ!
突っ込む方は薙刀・狐の爪で一斉に斬り掛かる!
硬そうだからなるべく関節や頭を狙うぞ!
もし守りを固めてきたら…火炙りにでもしてやろう!皆の狐火でじりじり焼いてやる!

もしサハエルに近寄って来たら俺と俺たち、皆で木槌「砕」を構え一斉に殴り掛かる!
硬くとも多数の衝撃を受け後退は免れまい!
ついでにその場合は俺たちと俺たちとで挟み撃ちになるしな!


伊美砂・アクアノート
【SPD】
…落ち着きなさい。落ち着け
大丈夫、ちょっとなんか二足歩行のティラノサウルス怪人が襲ってきただけよ。「見つけたぞ」とか素で相手に伝えちゃうウカツさんで、『鍵』を頂こう!とか大真面目に宣言しちゃってる子だから、まぁ慌てないで
伊達メガネを装着し、冗談めかしてメッチャさんに状況を伝える

【ロープワーク5、拠点防御5、かばう5】【結界糸・無風陣】
両手の指で、極細の硝子糸を操作。五指を別々に動かして、糸の結界を張る
・・・どうせ、目が見えてても『視えない』わよ?
さあ、ボクが張り巡らせるのは硝子糸の檻。血染めの纐纈、慚愧の奇術
末期の記憶と冥途の土産を、同時に持って逝くと良い
結界の射程内に斬撃を飛ばすよ


荒・烏鵠
@WIZ

守ってウサギサン!というわけでみんな大好きウサギサンだ!白くてもふもふ、見上げるほどデカい体、空気を切る鋭いウサキック!
まごうかたなきみんなのアイドル、ウサギ=サンですね、間違いない。
行けッウサギ!地面を蹴り砕き、瓦礫で羽毛をはじけ!そして隙を見せたティラノ怪人を蹴り砕け!
学説によると羽毛は顎から首の下にかけて&足には生えていなかったハズ!ドチラも急所!コレは蹴るしかないですねェ!ガンバレウサギ!

オレはメッチャ氏の周りで組紐と神符を使い、衝撃波などを防ぐ防御結界を張りながら、シナトと扇の力で飛んでくる破片とかからターゲットを守らァ。
ひゅーっ見ろよあのウサ筋を!こいつはやるかもしれねぇ!


秋月・信子
@POW
相手のUCに力負けしてしまった、可愛い妹分の絶体絶命なピンチに応じて参上よ
真の姿を開放させて引き出した力で【鎧破壊】力と貫通力を高めたマグナムリボルバーでデカくなって良い気になったトカゲ野郎に【鎧無視攻撃】を与えるわ
思いがけない奇襲で怯んだ隙に信子を救出したら、その後は他の猟兵達と連携しつつ戦闘よ
信子が持ち直したら、何時もの蒼眼と紅眼の力を弾に宿らせた魔弾でフィニッシュ、もしくは他の猟兵に次を繋げる致命傷を与えれば万々歳ってとこね

さぁて、戦いが終わったら鍵が示した先に何があるのか拝みましょ…はぁ?
あっちは白でこっちは黒?
…ッ!? ぶっ殺されたい?(チャキ



●ディフェンド・リアクト
 襲い来るティラノサウルス怪人に対し、猟兵の対応は迅速であった。
「大丈夫、ウカツでクソ真面目な二足歩行のティラノサウルス怪人が襲ってきただけよ、慌てないで?」
「イェーガー! 真面目とかいいつつそれは全く褒めてないやつだな! 敵同士とはいえ多少は敬意を持て!」
 振りかぶられた怪人の爪が、その爪から離れた場所で腕を振りぬいたアクアノートの動作で弾き返される――きらり、と一瞬遅れて中空に閃きがひとつ。刹那の見切りで起動されていたユーベルコード「結界糸・無風陣」により生成された極細のガラスワイヤーの反射光だ。それらを束ねて防御のために振るったのが今の動作らしい。
「ドゥフフwwwwその声はアクアノート氏でござるなwwwwなるほどwwwwつまり脳筋ザウルスが来たのでござるなwwww」
「ええ、その通り、状況はそうだから、落ち着いて? ……落ち着きなさい、落ち着け!」
「ひょえいっwwww」
 わたわたと、視界が光に閉ざされているなりに猟兵に協力しようと動き回るメッチャを一喝するアクアノート。護衛対象に動き回れてては、確かに防御の効率は落ちる――アクアノートの声に真剣味を覚え、メッチャも敬礼のポーズで立ち止まった。
「おうおう、威勢がいいじゃん? ――オレもちょっと加勢させてもうじゃんよぉ!」
 アクアノートの硝子糸が目に見えぬ防御陣を張り、それを補強するように荒の組紐術と神符による結界が張り巡らされていく。
「私の見えない結界糸――」
「オレの組紐神符の防御膜――」
 抜けるものなら抜いてみろ。内部にメッチャを収容した二重の防御陣形。アクアノートの一閃が怪人の爪を弾き返したように、硝子糸の結界は爪を通さぬ不可視の盾。対してあからさまな配置でメッチャを守る荒の結界術は、直接的な攻撃以外にも破片や余波からメッチャを守るためのものである。
 その上で。
「行きなさい、血染めの纐纈、慚愧の奇術……! 末後の記憶と冥途の土産、まとめて骸の海まで持ち帰るが良い!」
「暝神に帰依し奉る。契約に基づき、我に破壊者を貸し給え――みんな大好きウサギサン、白くてもふもふ、見上げるほどデカい体に空気を切り裂く鋭いキック……ウサギ=サンの猛攻、タダで済むとは思うなよ!」
 アクアノートの結界糸は自由自在な配置により不可視の斬撃を飛ばし、荒の呼び出したキックボクサー・ウサギ=サンは華麗なフットワークで怪人との距離を詰めて攻撃の隙を狙う。
「ええい、奇天烈な技を使いおってからに……!」
 不可視の斬撃を爪や装甲で無理に受け、ウサギ=サンに対しては羽毛を生やしての射撃戦。どうにかこうにか立ち回る怪人であるが――その場にいる猟兵はアクアノートと荒だけではない。

●アグレッシブ・アサルト
「見えずとも安心するがよい、ええと――なんとかハエルよ! ここに来るは亜儀流野・珠! 駆け付けたのは、なにもオブリビオンだけじゃないんだな!」
 転移ゲートが揺らめいて、飛び出したのは――無数の掌サイズの猟兵であった。少し遅れて飛び降りてきた、それでも小柄な少女こそそれらの本体、亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)である。
「俺たち総勢、約170! 1人1人は小さくても――これだけの数が居ればそうそう通しはしないぞ!」
 珠(本体)の跳ねた毛がぴょんと動けば、それに従うようにして半数のちび珠がアクアノートと荒の防御結界前に布陣。残る半分が本人と共に薙刀を構えて怪人へ向けて突撃を開始する。
「防御は彼らに任せてよさそうですね――なら、足止めを!」
 そして珠の群れを突き抜けるようにして一台のバイクが突っ走る――カムイの愛車であるZX650が、乗り手の制御を離れて自走しているのだ。
「なっ――乗り手が居ないだと!?」
「私の愛機を見くびってもらってはこまりますよ――多少手を放しても、ちょっと走って止まるくらいはできる子ですからね!」
 乗り手もなく突っ込んでくるバイクに驚愕した怪人に対し、乗り手であるカムイの一撃が放たれる。突っ込んだバイクの轢き逃げアタックをどうにか受け流しても、隙を生ぜぬ2段構えということだ。そこに珠による無数の連撃も加わるのだから、怪人からすればたまったものではなく――
「ええい、奪うべき者がいるからとは思ったが、護衛である貴様らを皆殺しにしてから手に入れればいいだけのことよ!」
 爪を振るって一部のちび珠を吹き飛ばし、装甲で強引にカムイの一撃を受け止めて、選ぶは理性と引き換えの諸刃の刃でもある自己強化――即ち巨大化である。
「相変わらず、大きい……!」
 以前も巨大ティラノサウルスと対峙したことがある信子は、目の前に現れる古代の覇者にわずかに怯む。こればかりは何度見ても慣れるものではなく――
「危ないぞっ!」
「えっ――」
 珠の声に反応して回避するのも間に合わない。理性なくした巨竜の一撃が、ぶんっ、と信子の体を宙へ跳ね上げた。
「おおっと、そのまま落としはしないぜ!?」
 荒の指示を受け着地点へ滑り込むのはキックボクサー・ウサギ=サン……その柔らかな体毛が気絶した信子の体を受け止め、メッチャの居る防御陣まで運び込む。
「巨大化するとやはり厄介か――足止めを続けます、攻め手のある方は続いてください!」
 あの様子では、テレビウムを狙う理由など聞けるはずもない――そう判断し、あの愉快なテレビウムを助けるためにカムイは単身ティラノサウルスの足元へと踏み込む。狙うは関節、および腱……巨体であるが故に狙いやすく、そしてその俊敏な動きを縛るに最適な位置。カムイの意に応じた絶影が、主の血液を吸い上げながら無尽の刃となって剣の嵐を巻き起こした。
「薙刀の刃が欠けちまった――だったら、こっちで!」
 カムイが足元を攻めるのなら、と珠は分厚い鱗に有効打を出せない薙刀を木槌へと持ち替え、一斉にティラノサウルスの頭を狙いに行く。理性なき怪物を止めるには気絶させるしかないという判断だろう。もちろん、メッチャを守る位置についているちび珠たちも見ているだけではなく、主に続いて木槌に持ち替え殴りかかる者や、遠距離から狐火で火炙りを狙う者もいる。
「――防御陣はまだまだ維持できるけど……!」
 ティラノサウルスが動くたびに、その余波が衝撃波となってメッチャの居る防御陣にまで届いている。アクアノートの操る硝子糸も、それらに耐えてはいるが全くの無傷という訳ではない。思わず弱音を吐いたアクアノートに――
「可愛い妹分が、世話をかけたわね」
「信子さん!? 気が付いて……いや、違うわね、貴女!?」
「ご明察……ちょっとあそこのトカゲ野郎に風穴開けに来たわ」
 応じるのは、まだ防御陣の中で気を失っている信子とそっくりの姿をした――瞳の紅い信子。アクアノートは自分とよく似た気配に、ソレがナニモノであるかを瞬時に見抜いた。
「――やれるのね?」
「ええ、借りは返す主義なの」
「なら、任せた!」
 故に意思疎通はすぐさまに。防御陣の一部を開き、もう1人の信子のための空間を開くアクアノート。
「ほんとは1人でやるような技じゃないんだけどね――特別よ?」
 ごそごそと、赤い瞳の信子が拾い上げたのは信子が持っているオートマチック拳銃。それに己の太ももかに吊ったホルスターから抜いたリボルバーを併せて二挺拳銃となり――
「灰は灰に、塵は塵に――過去は、過去に!」
 力持つ聖句を唱え、両手の引き金を絞れば、放たれるは紅と紅が絡み合う深紅の螺旋。ユーベルコードにより放たれた2発の弾丸が、カムイと珠により動きを制限されていたティラノサウルスの頭蓋を深々と穿った。
「――さっきぶっ飛ばされた分は、これでチャラにしてあげる」
 ぐらり、とティラノサウルスの巨躯が揺れ……ぐっと踏みとどまる。致命とも思える頭蓋への一撃は、わずかに巨竜の動きを止めるだけに収まり――
「おっと、でっかい隙をさらしてるじゃねえの!」
 その瞬間を待っていたとでもいうように、キックボクシングの巧みなステップワークでウサギ=サンが全身のバネを込めた飛び膝蹴りをティラノサウルスの顎へと叩き込んだ。
 ――めしり、と離れていても聞こえるような破砕音。わずかに遅れて、ティラノサウルスの頭が内圧上昇に耐えかねて破裂。顎から上を失った巨竜は――元の怪人姿に戻ることもなく、その体をゆっくりと倒れさせた。
「――オゥフwwww何やらwwww前が見えるように――」
「あら、そっちの光も消えたみたいね?」
 どぅ、と地に伏せたティラノサウルスの体が突風を巻き起こす。それは防御陣の中にいた信子やメッチャのところまで届き――
「ドゥフwwwwいつの間にwwww黒にwwww」
「……ハァ?」
 ひらりと紅い瞳の信子のスカートを捲った。
 直後、5発の銃撃音と共にメッチャがタップダンスを踊る羽目になったのは言うまでもない。

●キー・ホール
 オブリビオンが倒れ伏し、メッチャの顔面の光も、そしてこれまで映っていた鍵も消えた。
 それと同時に――まるで、周囲のビルがさざめくようにして機械音声が鳴り響いた。

 ――システム・フラワーズより緊急救援要請
 ――全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に侵入者あり
 ――テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど開放されるメンテナンスルートは増加する
 ――至急の救援を請う

 ひょ、と。メッチャが首をかしげる。
 どうやら――この事件はまだ始まりにしかすぎないらしい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月24日


挿絵イラスト