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テレビウム・ロック!~チェイス&スマッシュ!

#キマイラフューチャー #テレビウム・ロック! #テレビウム #システム・フラワーズ

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●走れ、テレビウム!
 キマイラフューチャーの町並みを、とてとてと駆けていく影があった。
 身長は四十センチ程、丸っこい体つきは四肢を備えた人型ではあるが、その頭はテレビジョン受信機――いわゆるテレビの形をしている。
 テレビウムと呼ばれる種族である。外見からは判別しにくいものの、彼女――そう、そのテレビウムは女性だった。いや、年齢からいえば女児というべきか。
 ともあれ、彼女は走っていた。十年程の人生の中でこれ以上必死に走ったことはないほど一生懸命に走っていた。
 事実、彼女は狙われているのだ。テレビとは違う、四角い頭をした怪人達に。
「……わたしが、なにしたって……いうの……?」
 乱れきった息に混じって、そんな呟きがこぼれる。
 その辛苦を示すように明滅する彼女の頭のテレビには、ぼんやりとした鍵のような映像が映し出されていた。

●走れ、猟兵!
 グリモアベースの一室に、息を切らせた神楽火・遥瑠(テンペストナイト・f02078)が飛びこんでくる。
「みんな、キマイラフューチャーで緊急事態なの!!」
 その一声を皮切りに、遥瑠は実況アナウンサー並の早口で状況をまくし立てる。
 キマイラフューチャーに住むテレビウムの中に、頭のテレビ画面に鍵の映像を映し出した者が現れた。理由は明らかではないが、その「鍵映像」の頭を持つテレビウムを、無数の怪人達が追っているのだという。
「追いかけられてるのはテレビウムの女の子で、十歳くらいなの。今のところ怪人に捕まってはないんだけど、もうそろそろ体力の限界で……もし捕まっちゃったら、きっと怪人たちにひどい目に合わされるに違いないの!」
 そういうわけで、事態は一秒を争う。すぐにでもキマイラフューチャーに赴き、怪人に襲われそうな彼女を救出しなければならない。
「敵は雀牌戦闘員っていう、マージャンパイの頭をした怪人オブリビオンだよ! 一体は弱っちいけど、基本的に十数人でまとまって行動してるから囲まれないように気をつけて! ロンとかチーとかツモとかドラとか、暗号みたいな言葉でコミュニケーションしてるから、頑張れば攻撃パターンを読めるかも!」
 それはどうなんだろう、と首を傾げる猟兵達をよそに、遥瑠はキマイラフューチャーへの転送準備を整える。
「それじゃあよろしくお願いしますっ!」


中村一梟
 猟兵の皆様ごきげんよう。
 というわけで、キマイラフューチャーのイベントらしきシナリオをお届けします。
 全体での締め切りが4月30日朝ということで、できるだけ早くリプレイを返せるように努めますのでよろしくお願いいたします。

 今回のフラグメントは集団戦2回とボス戦1回です。それぞれ個性的なキマイラフューチャーのオブリビオンが相手となりますので、皆様も負けないくらい濃厚なプレイングで挑戦してください。
 追われているテレビウム娘の処遇は決めていませんので、かばったり守ったり助け出したりご随意に。

 それでは、今回も皆様と良い物語を作れることを楽しみにしております。
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第1章 集団戦 『雀牌戦闘員』

POW   :    国士無双
予め【異なる顔の戦闘員が14人揃う】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    三元牌
【3人同時攻撃】による素早い一撃を放つ。また、【鳴く】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    立直
【相手の行動を読み、作戦通りの攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【狙いすました一発】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。

イラスト:ケーダ

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

デュラン・ダグラス
【アドリブ・絡みOK】
俺ァ強面だがヒーローだし、これでも子供好きなんでなァ。
ヤツらのやり口は気に食わねェ!

【SPD】
UCで飛んで、テレビウムの嬢ちゃんと敵の間に割り込みに行くぜ。
まず嬢ちゃん抱えて、敵から引き離したい(他にやる猟兵居なければ)

俺は猟兵だ、嬢ちゃんを助けに来たんだ。
…怖がられねェか心配…(強面)

あとは嬢ちゃん守りつつ、近づかれたり包囲されないよう、遠距離から『ドラセナ・ガトリングガン』の【誘導弾】で攻撃。
敵の攻撃はUCので飛んで基本回避、間に合わなかったら【オーラ防御】で被害軽減してェ。

危ねェと判断したら、嬢ちゃん抱えて飛んで離脱する。
俺としちゃ最優先は、嬢ちゃんの無事なんでな。


琥珀川・れに
少女のピンチと聞いて立ち上がらずにはいられない!

今日はマスクをちけて変装した「謎の紳士」姿で行くぞ
(理由は特にない。お助けキャラっぽくてかっこいいから)

数が多くても見破られやすい攻撃なら【見切り】と【カウンター】で余裕だな。
貴族的にスマートにスタイリッシュに剣を振るうよ

UCで

テレビウム娘を【かばう】
さあお嬢さん、怪我はないかな?
可愛らしいお嬢さん、このまま攫ってしまいたい
(拒否られた場合)
やれやれ照れさせてしまったかな
(好印象だった場合)
では僕の後ろの物影に隠れてくれたまえ

※アドリブ大好き&楽しみ。追加省略アレンジもご自由に。



 先陣を切ってテレビウムの少女の救出に向かったのは、デュラン・ダグラス(Dracaena Dragon・f16745)と琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)の二人だった。
「少女のピンチ! これは立ち上がらずにはいられないね!」
「ああ、ヤツらのやり口は気に食わねェ! 絶対に助け出すぜ!」
 街路を駆け抜け、少女とそれを追う怪人軍団を捕捉した二人は、手短に作戦を組み立てる。
「まず嬢ちゃんを敵から引き離したいな」
「賛成だ。そのためには敵を一度止めないといけないね」
「わかった。なら俺が先に行くぜ!」
 力強くそう言って、デュランはその背に翼を生やした。一対のそれは大きな葉のような形状をしている。彼の体に組みこまれた植物とドラゴンの因子の影響によるものだ。
「ひとっ飛びするとすっか! ドラセナ・ジェットウィングス!!」
 葉翼からジェットエネルギーが噴出。二メートルを超えるデュランの巨体が急加速し、砲弾のように飛翔する。
「何だあれは!? 鳥か!? 飛行機か!?」
 迫って来る緑の彗星を、雀牌戦闘員が足を止めて見上げる。
「違うね! 俺は、ドラセナドラゴンだ!」
 着地と同時、翼に宿したジェットエネルギーを全解放。強烈な突風が戦闘員達を吹き飛ばす。
「五萬と東風と三筒がやられた!!」
「こうなれば大三元アタックをかけるしかない! 發、中、行くぞ!」
 三人の雀牌戦闘員が飛び出す。彼らは一糸乱れぬ連携を見せ、デュランに襲いかかるが――。
「これで君とダンスを踊ろう」
「何っ!?」
 れにが割りこみ、ルーンソードで先頭の戦闘員の胴を薙ぐ。六色の魔力光が爆裂。白牌は粉々に砕け散った。
「よくも白を……手牌を立て直すぞ!」
 数を減らした雀牌戦闘員達は後退し、陣形を立て直す構え。その隙に、二人の猟兵はテレビウムの少女を振り返った。
「さあお嬢さん、怪我はないかな?」
「……うん、だいじょうぶ」
 全力で走り続けた少女は息を乱しているものの、負傷はしていないようだった。
「可愛らしいお嬢さんだ。このまま攫ってしまいたいね」
 演劇めいたれにの台詞に、少女はびくっと身を竦めた。
「やれやれ照れさせてしまったかな」
「いや、怯えてんだろ。……安心してくれ。俺達は嬢ちゃんを助けに来たんだ」
 そう言って屈みこむデュラン。片膝をついているとはいえ自身よりも遥かに大きな彼を、テレビウムの少女はおずおずと見上げて首を傾げた。
「……そうなの? こわい顔のおじちゃんと仮面のおにいちゃんは、わたしをおいかけにきたんじゃないの?」
 幼子らしいストレートな修飾が心に刺さるものの、怖がられているわけではないと知ってデュランは密かに安堵した。
「ああ、そうだ。俺達はあいつらをやっつけてやる。だからもう大丈夫だ」
「うん、わかった。おじちゃん、おにいちゃん、ありがとう」
 いい子だ、と彼女を頭を一度撫でて、デュランは立ち上がった。振り返れば、後続と合流した雀牌戦闘員達が横列を組んで迫りつつある。
「では僕の後ろの物影に隠れてくれたまえ」
「最優先は、嬢ちゃんの無事だ。近づかれたり包囲されないようにな」
「勿論。……いざとなれば、頼むよ」
「ああ。危ねェと判断したら、嬢ちゃん抱えて飛んで離脱する」
 デュランはドラセナ・ガトリングガンを片腕に接続し、れにはマントを翻しエペ ド ルーンの鞘を払う。
「おじちゃん、おにいちゃん、がんばれ!!」
 オブリビオンの前に立ち塞がる二人の背中に、少女の懸命なエールが投げかけられた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジィン・カデシュ
【SPD】
おー、ヒーロータイムっすね、なんか脇で観戦したい欲が湧いてくるっすけど今回残念ながら観客できたんじゃないんすよねえ。ヘーイそこのロクデナシどもー、めっちゃ邪魔するっすよーおらーーーーーーーーーって群れの中につっこんでいくっす、同時にユーベルコード【近似解 ラプラスの悪魔】を使用して回避に全振り状態になるっす。これで●三元牌の連続攻撃を回避するつもりっすね、≪アート≫ペイントブキでアイツラの顔に色を付けてなんの牌かわかんなくしてやるっすよ。まあ挑発ぐらいにはなるんじゃないっすかね?



 テレビウムの少女を守りつつ、猟兵達と雀牌戦闘員との戦いは続く。戦況が乱戦の様相を呈し始めた時、ジィン・カデシュ(未だ形の定まらぬ・f14713)は果敢に戦闘員の眼前へと飛びこんで行った。
「ヘーイそこのロクデナシどもー、めっちゃ邪魔するっすよーおらーーーー!」
 大きく腕を振るい、ペイントブキから塗料を撒き散らす。蛍光色の霧が雀牌戦闘員達を直撃し、その頭(あるいは顔)をビビッドピンクに染め上げた。
「わぷっ!? おのれふざけた真似を!」
 先頭の戦闘員が声を上げ、仲間達を煽る。
「三元牌アタックで反撃だ! 行くぞ――」
 彼は連携攻撃の合図を出すべく振り返り、そこで固まった。
「えーと……今鳴けるのって誰だ?」
 残る戦闘員達も顔を見合わせる。が、皆が皆ピンク一色となってしまっているため誰がどの牌なのか区別がつかない。彼らは混乱した。
「俺が二萬だから、隣のお前は三萬だろ?」
「違うよ、俺四萬だよ」
「え、違うの? 三萬どこ行った?」
「ええい、とにかく誰でもいいから後二人!」
 叱咤が飛び、判別はできないものの三人の戦闘員がジィンに襲いかかる。だが、破れかぶれの攻撃は『近似解 ラプラスの悪魔(ラプラスチャァ・デーモン・レプリカ)』を発動したジィンにはとっくに予想されており、彼らの拳は虚しく空を切った。
「なんか脇で観戦したい欲が湧いてくるっすけど今回残念ながら観客できたんじゃないんすよねえ。つーわけで、ヒーロータイムっすよ!」

成功 🔵​🔵​🔴​

緋月・透乃
幼女を襲う麻雀頭ねー。これは変質者かな?
まあ、オブリビオンだから何してようが倒すだけだね!
命を取り合う暴力の賭け麻雀と行きたいところだね!

先に食べておいて【沢山食べよう!】を発動した状態で現場へ飛行急行して、いきなりオブリビオンへ攻撃をしかけて割り込むよ!

女の子にはさっさと逃げるなり隠れるなりするように言うよ。守りながら戦うとかやってられないし。

あとは攻撃しやすい位置にいる敵から高速飛行接近の勢いをのせた攻撃で倒していくよ。
万が一、私を無視して女の子に向かう敵がいたら、そいつを狙うしかないね。



 大いに隊列を乱し、もはや何の役をも狙えない死に体となった雀牌戦闘員達。彼らにとどめを刺すべく、緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)がやって来た。
「いっぱい食べて楽しくいこー!」
 ユーベルコードによって得た高速飛行能力を遺憾なく発揮し、彼女は上空から雀牌戦闘員達に襲いかかった。
「幼女を襲う麻雀頭ねー。これは変質者かな?」
 愛用の重戦斧を担ぎ、戦闘員達の前に立ちはだかる透乃。惜し気もなく肌を晒した豊かな肢体からは、ユーベルコード『沢山食べよう!』の副産物たる食欲をそそるような香りが立ち上っている。
「まあ、オブリビオンだから何してようが倒すだけだね!」
「そう簡単にやれると思うな! 国士無双、フォーメーションだ!」
 陣形を立て直した十四人の戦闘員が並び、波状攻撃を仕掛けてくる。彼らの戦闘力は役満によって引き上げられていたが、その動きを目にした透乃は臆することなく唇の端を持ち上げた。
「命を取り合う暴力の賭け麻雀と行きたいところだね!」
 地を蹴り、透乃が飛翔。戦斧を振るって三人の戦闘員を薙ぎ倒す。加速を保ったまま残る戦闘員達に突撃、斧と拳とで叩きのめしていった。
 激しい攻防の後、最後に立っていたのは透乃だった。彼女は物陰に隠れていたテレビウムの少女のほうを振り返り、笑顔でVサイン。
「これでもう大丈夫だよ!」

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『働き蜂戦闘員』

POW   :    御槍奉公
【槍】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    飛行モード
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ   :    数で圧す
自身が戦闘で瀕死になると【さらなる増援】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。

イラスト:森乃ゴリラ

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
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 大失敗[評価なし]

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※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●鍵が導く先
「助けてくれて、ほんとにありがとう」
 イルミという名前のテレビウムの少女は、ぺこりと頭を下げた。
 その時、猟兵達はイルミのテレビの映像が切り替わったことに気づいた。
 その映像はどこかの地図のように見える。ここに行け、ということだろうか。
「わかんない。けど……行かなきゃいけない気がする」
 そう言ってイルミは駆け出す。猟兵達も彼女を追って走り出した。
 ややあって、猟兵達の耳に奇妙な音が聞こえてくる。
 ブブブブブ……という音。それが聞こえてくるほうを見やると、黄色い体の怪人の群れが猟兵達とイルミを追いかけてきていた。
 働き蜂戦闘員。奇妙な音は奴らの羽音だったのだ。
 猟兵達はオブリビオンを迎撃しつつイルミのテレビが示す先へと向かうため、それぞれの武器を手に取った。
ガイ・レックウ
【POW】で判定
「地図は気になるがその前に!!蜂どもは消し飛ばす!!」

アサルトウェポンでの【先制攻撃】で牽制しつつ、【オーラ防御】で防御力をあげつつ、【残像】と【フェイント】と【見切り】の同時発動で相手の攻撃を避けながら距離を詰めるぜ
接近できたら【怪力】【範囲攻撃】のスキルを乗せた【なぎはらい】を叩き込み、相手の動きを乱したらユーベルコード【天砕く紅の流星群】での一斉攻撃で撃滅するぜ!!



 新たに現れたオブリビオンの群れに、ガイ・レックウ(相克の戦士・f01997)はAW01-2カスタムの銃口を向けた。
「地図は気になるがその前に!!」
 フルオートで発砲。出鼻をくじかれた働き蜂戦闘員達が銃弾を避け、高度を下げた。
 槍を構えて向かってくる戦闘員。ガイが二振りの刀を抜き放つや、赤いオーラがその体から噴き出す。
 それはまるで、燃え上がる灼炎の如き姿であった。
「蜂どもは消し飛ばす!!」
 吠えるガイに向かって、戦闘員が槍を突き出す。突撃の勢いを乗せた大振りな一撃は、しかし彼の残像を貫くだけ。
 赤光が閃き、槍もろともオブリビオンの体を切り砕く。先頭の一体を屠ってできた隙間に、ガイは体を滑りこませた。
 妖刀と炎刀、二振りの刃が旋風となって舞う。猛威たる斬撃の前に、働き蜂戦闘員はリーチの差を活かして包囲する構えを見せた。
 が、それは赤瞳の剣士の手の内だった。ガイは刀を地面に突き立て、空手となった量の拳を天に向かって突き上げた。
「全てを砕け、紅の流星!! 天より降り注ぎ、わが敵を滅せよ!!」
 本命の『天砕く紅の流星群(クラッシュメント・シューティングスター)』が発動。飛来する真紅の炎が、オブリビオン達を貫いていく。密集隊形を取っていた働き蜂達に対するには効果的な一撃だ。
 刃と流星、二段構えの猛攻に働き蜂戦闘員は次々と駆逐され、生き残ったオブリビオン達は慌ててガイの間合いから逃れていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フィロメーラ・アステール
「うおー、助けにきたぞー!」
おお、戦闘員だ!?
戦闘員が相手ならアクションせねばならない!

とりあえず上空から警戒し、仲間が上から攻撃されるのを防ぐぞ!
そして【星界式瞬間加速法】で華麗な【パフォーマンス】を披露!
【残像】を放ちながら、いざ【空中戦】だ!

【オーラ防御】のバリアを纏って体当たりしたり!
【念動力】で【衝撃波】を放ち、【吹き飛ばし】たり!
【ダンス】のごとき軽やかな動きで敵を翻弄したり!
空中【ジャンプ】を使った急加速・急制動・方向転換も自由自在!

地面に落ちたヤツとか、こっちに気を取られたヤツを狙ってもらえたら、楽に戦えるようになるんじゃないかな!



 戦場へと到着したフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)は、猟兵達と戦うオブリビオンの姿を上空から見下ろして声を上げた。
「おお、戦闘員だ!?」
 その通り、奴らは働き蜂戦闘員。倒されても倒されても目的のため黙々と戦い続ける、哀しきソルジャー達……かどうかはさておき。
「戦闘員が相手ならアクションせねばならない!」
 くわっと目を見開いて、フィロメーラは急降下。風を切りつつ、ユーベルコード『星界式瞬間加速法(スターリー・ロケットスターター)』を発動。
「世界の果てまでかっ飛ばすぞー!」
 宙を蹴り、フィロメーラがさらに加速する。放出されるオーラが彼女の体を輝かせる様は、さながら流星の如く。
「うおー、助けにきたぞー!」
 力強く拳を突き出し、突撃するフィロメーラ。上空からの急襲に気づいた戦闘員がユーベルコードを発動して飛び、迎撃に向かう。
「くらぁえぇぇっ!!」
 突き出された槍を螺旋の動きで回避、フィロメーラの拳が働き蜂戦闘員に突き刺さる。衝撃が炸裂。六倍もの体格差を覆し、戦闘員を吹き飛ばす。
「今だ!」
 フィロメーラが声を上げる。叩き落とされた働き蜂に、他の猟兵が追撃を加える。
 オブリビオン達は素早く飛び回るフィロメーラに翻弄され、次々と撃墜されていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

デュラン・ダグラス
【アドリブ・絡み・協力OK】
イルミの行かなきゃいけないって気持ちは無視できねェ。
この事件の原因に関わるものだろうし、単純に俺が子供のそういう気持ちを軽視したくねェんでな。

【POW】
だから、蜂共は邪魔すんな!
(明らかにイルミを害そうとしてることへ怒り、UC使用)

『ドラセナ・グレートソード』で敵を思い切り、【怪力】でまとめて【なぎ払って】【吹き飛ばし】つつ戦う。
イルミに近づかれちゃ困るんでな。

万が一イルミが攻撃されそうになったら【かばう】ぜ。
なに、痛いのは我慢【激痛耐性】できる。

敵の攻撃は『グレートソード』で【武器受け】か、『ドラセナ・スーパーアイビー』巻き付けた【敵を盾にする】ことで防ぐぜ。



「イルミの行かなきゃいけないって気持ちは無視できねェ」
 そう呟いて、デュランは追跡してくる戦闘員達を振り返る。それに気づいたイルミも足を止めた。
「おじちゃん?」
「先に行きな。俺は奴らを倒してから追いかける」
 おそらく、イルミの行く先にはこの事件の原因に関わるものが待っているはずだ。それを抜きにしても、デュランにはイルミの気持ちを無視することはできなかった。
「任せな。これでも俺はヒーローなンだぜ?」
 そう告げる男の背中に頷いて、イルミは再び駆け出した。
「……うん! おじちゃん、がんばって!」
 正反対の方向を向いているため、互いに顔は見えなかった。だが、きっとイルミは笑顔でエールを贈っただろう。そして、デュランもまた無骨ながらも頼もしい笑みを浮かべていただろう。
「俺は強面だが、これでも子供思いでね」
 働き蜂戦闘員が槍を投擲する。狙いはデュランではなく、イルミだ。数十メートルの距離も、怪人の膂力をもってすれば十分に射程内。
「何が目的かは知らねぇが、子供を傷つけようとするなんざ……許しちゃおけねぇなァ!」
 他者を害する者への鮮烈な怒り。それを引き金にユーベルコード『ドラセナ・レイジ』が発動。二周りほど巨大化したデュランが、腕を掲げて投槍を防ぐ。
「蜂共は邪魔すんな!」
 貫かれた傷をものともせず、デュランが大剣を振るった。横薙ぎの烈風がオブリビオン達を吹き飛ばす。
「さあ来い! まとめて相手してやるぜ!」
 槍を構えて向かってくる戦闘員達を前に、緑の竜の咆哮が響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔴​

琥珀川・れに
ふうん、面白そう。
この地図の先には何があるんだろうね
もっと顔を寄せてよく見せてごらん?
驚いた、とても美しい顔だ…【口説く】(そんな技能はない)

冒険になりそうなら彼女は危ないから連れて行きたくないんだけど…どうやら置いていくことも危ないようだ、敵だね。

【ブラッドガイスト】
体のどこかを殺戮捕食態にして
沢山いるので早急に無力化したい。
横っ腹を食っては次、急所を喰らっては次、というように食い散らかしていこう。
お行儀が悪いかもしれない
だけど、粗悪なものを全部食べる必要もないよ。

終わったら、ハンカチですっとぬぐって「ごちそうさま」

※アドリブ大好き。追加省略絡みご自由に
※速さ優先で不採用も構わないよ



 数を減らしながらも、働き蜂戦闘員はまだ猟兵達とイルミを追ってくる。
「危ないから連れて行きたくないんだけど………とは言っていられないね」
 呟いて、れにはオブリビオンに向けて駆けた。接近してくる紫色の影に、働き蜂戦闘員が槍を構え、密集隊形を取る。
「さて……食事の時間と行こうか」
 その血に刻まれた刻印が魔力を滾らせる。手袋がひとりでに破け、両の手があらわになった。
「お行儀が悪いかもしれないけど、見逃しておくれよ」
 マントが翻る。身を屈めたれにが、戦闘員達の陣中に飛びこんだ。
 突き出される鈍色の穂先。それを迎え撃つれには素手。一見彼女に勝ち目はないように見える。
 ばきり。激しい音を立てて働き蜂の槍が折れ――否、噛み砕かれた。
 れにの白い手が変貌していた。しなやかな指はそのままに爪が長く伸び、掌には鋭い牙を備えた異形の顎がぱっくりと口を開き、涎ではなく血の雫を滴らせる。
『ブラッド・ガイスト』――殺戮捕食態。魔を屠り喰らうための武器と化したれにの両手が、鉄と肉の区別なくオブリビオンを貪っていく。
「だけど、粗悪なものを全部食べる必要もないよ」
 ある者は腹を裂かれ、またある者は心臓を抉られる。獣の所業、と呼ぶにはその猛威は荒々しすぎた。
「ごちそうさま」
 ほどなくして追っ手は壊滅し、れには元の姿に戻った手をハンカチで拭う。
 再び手袋をはめ、れにはイルミの元へと歩み寄っていく。
「この地図の先には何があるんだろうね。……もっと顔を寄せてよく見せてごらん?」
 片膝をついてイルミの顔を覗きこむれに。
「驚いた、とても美しい顔だ……」
「もー! いきなりヘンなこと言わないでよ、おにいちゃん!!」
 短い手足をばたつかせて抗議するイルミに謝りつつ、れには彼女が映し出している地図を再度確認する。
(ふうん、面白そう。ここには何があるんだろうね)
 そう、彼女達が今いる所こそが、イルミの地図が示す場所だった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『妹が大好きな怪人・マイホゥ』

POW   :    妹の願いを叶えぬ兄などいない!お兄ちゃん頑張るぞ
【妄想の元気系妹の激励 】【妄想の清楚系妹の声援】【妄想のツンデレ系妹の罵倒(?)】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    妹の何が良いかだと?これを見れば良さがわかるぞ
レベル×5本の【妹 】属性の【動画を再生するモニター付ドローン】を放つ。
WIZ   :    どんな妹が好みだい?言わなくてもわかっているさ
【頭部のタブレットPC 】から【対象が考える理想の妹の幻影】を放ち、【実体化した幻の妹とのふれあい】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:因果

👑7
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフィン・スターニスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ディア・マイ・シスター
 映し出された地図に従い、示された場所へと辿り着いた猟兵達とイルミ。
 だがそこは、得に特徴的な建物があるわけでもなければ怪人達がたむろしているわけでもない、キマイラフューチャーの一般的な街角に見えた。
「ここに、なにがあるんだろう?」
 首を傾げるイルミ。猟兵達も同じく、この場所にどんな意味があるのか量りかねていた。
 と、そこにヒステリックな調子の男の声が投げ掛けられた。
「おいお前達!! ボクの妹を一体どこへ連れていくつもりだ!?」
 びしっと猟兵達を指差すその男の頭部は、テレビジョン受信機――いわゆるテレビの形をしていた。
 自然と、猟兵達の視線はイルミに向けられる。だが、彼女は首を振った。
「わたし、ひとりっこだよ?」
 あまりにぶっ飛んだ状況に心が追いついていないのか、その声音は平坦だった。だが、断固とした否定の意思は伝わってくる。
「何を言うんだ妹よ! ボクは君のお兄ちゃんだぞ? なお『お兄様』か『おにいさま』でも可。しかし『兄貴』は認めないッ!!」
「……なんなのこの人……」
 怯えるというよりもむしろ呆れた調子でイルミが呟いた。しかしオブリビオンはそんな彼女の言葉など耳に入っていないようで。
「妹よ! キミこそが我が理想の楽園への扉を開く鍵!! 百花繚乱の妹達がボクを待っているんだ! さあ、ボクをシスターパラダイスへと連れて逝ってくれ!!」
 もう何が何だか。しかしながら、この怪人がこれまでの追っ手とは比較にならないほどヤバい奴だということに間違いはない。
 猟兵達は「最後がこいつかよ……」という思いを抱えつつも、イルミを守るように立ちはだかった。
ガイ・レックウ
【SPD)で判定
「この怪人は全力でぶっ飛ばさないとダメなようだな」

やれやれといった感じで首を振るぜ。
【オーラ防御】で防御を固めた後【フェイント】と【残像】で惑わしつつ、【見切り】で相手の攻撃をかわし、接近するぜ

「変態はしばかないとな」
【怪力】、【鎧砕き】、【2回攻撃】のスキルを乗せたランスでの【串刺し】。そしてユーベルコード【氷竜闘技『アブソリュート・ゼロドライブ』】の絶対零度の拳でぶんなぐってお仕置きしてやるぜ!!


黒瀬・ナナ
……な、何というか、その、健全な女の子にはあまり見せちゃいけない系な怪人な気がするので、颯爽と間に割って入ってイルミちゃんを『かばう』わね。
大丈夫、わたしは怪しい者じゃないのよ。通りすがりの強くて美人なおねえさんが、張り切ってお手伝いさせてもらうわ!

どんな相手であれ、油断は禁物よね。
『聞き耳』と『第六感』を働かせて相手の行動を『見切り』躱しながら、隙を伺い。
自慢の『怪力』で振り回して力を溜めておいた薙刀で、一気にに貫く!

……それにしても、男の人ってあーゆーので喜ぶものなのかしら。
お、お兄ちゃん、だーいすき?(上目遣いで妄想妹達の真似をしてみる)

※他猟兵様達との絡み、アドリブ等OKです。


摩訶鉢特摩・蓮華
うわぁ…最悪…妹でもなんでもない女の子を妹呼ばわりして、しかも自分のキモイエゴを押し付けようとするなんて…あなたなんて兄でもなければ男でもないの!そんなに楽園に行きたいなら、蓮華が連れて逝ってあげるよ、シスターパラダイス(骸の海)にね!

POW
体内の地獄の炎を爆発的に高めて身体能力をパワーアップさせるよ!
身体速度を上げて両手の鉄塊剣の手数を増やして(攻撃回数増加)蓮華のほうに意識を向けさせて、他のお仲間さんたちが攻撃しやすいように敵の注意を引くね!
「ほらほら!よそ見してると微塵切りの細切れにしちゃうよ!お兄ちゃん♪」
「所詮、妄想の妹の声援じゃ大した力にはならなかったみたいだね!」


デュラン・ダグラス
【アドリブ・絡み・協力OK】
子供に近づけちゃならねェヤツだというコトはわかった。
ああ、コトが終わったら、イルミもちゃんと褒めてやらねェと。
頑張ってたからなァ。

【POW】
『ドラセナ・グレートソード』で【なぎ払って】よろめかせるなり回避させるなりで隙を作りたい。
本命はコッチ(UC使用)だ、綱引勝負と行こうじゃねェか!

蔦が繋がったら【怪力】生かして引っ張って、イルミの方から引き離す。
それが一番の狙いだが、この状態じゃ俺を優先的に狙って来そうだ。
つまり、俺以外がヤツを狙う隙ができる。
攻撃は【武器受け】するつもりだし、俺は【激痛耐性】もある。

悪ィな、ドラセナドラゴンは守る為なら狡い手も厭わねェのさ。


温水・千歳
連携アドリブ歓迎
無口系羅刹娘

【POW】

怪人の妄言を聞いて、年下の友人達をもやもやっと思い浮かべる
…まあ、年下の子達が可愛いのは万歩譲ってわからなくもないけど
とりあえず、気持ち悪いかな

おむすびを取り出しパクついて【米飯礼賛】、発動
ん、とりあえずこいつ、叩きのめして黙らせようか

相手の攻撃を『怪力』で受け止めた後
掴める場所を掴んで振り回して反撃開始
雑に力任せに地面に叩きつけてあげるのが手軽でいいかな
そう、動かなくなるまで何度でも

いえすろりーた、のーたっち
地獄に落ちるといい、変態


ジィン・カデシュ
【SPD】
いやなんかかなり素直な感想言わせてもらうと、なんなんすかね、コイツ。
真面目に相手をするのもアホらしいし言動も謎だし…
大体妹ってなんすか、家族?はあ、それじゃあ俺に判んないのも当たり前
かもしれねーっすけど。
とりあえずなんか有害な動画を再生するらしいんでそれを…そうっすねえ、ユーベルコードでパワードスーツ『ザカライア』を召喚、一緒に行動するっす、操作はAI頼りで、俺自身は≪アート≫で有害動画を垂れ流すドローンの画面を塗りつぶして、変な思想をばら撒けないようにするっす。本体への直接攻撃は優先順位低めで、可能ならザカライアにお願いするかんじっすかね。


フィロメーラ・アステール
「よーし、頑張ってくれお兄ちゃん!」
妹が応援してるなら逃げるわけにはいかないよな!
カッコイイ所を見せたら妹が増えるかもしれない!

などと【鼓舞】して無謀な挑戦に引き込むぞ!
これだけ煽れば避けたりなんかできないはずだぜ!

そこへ【成層圏・重力隕石落とし】だ!
【気合い】とともに飛び上がり、急降下しながら【全力魔法】の重力波を纏う!
そのまますごいヤバい【踏みつけ】攻撃!

周辺の地形……妄想世界を破壊する! 残酷!(地形?)
必要なら【破魔】の力を込めることで浄化!
あと可能なら顔面の画面を踏み抜いてヒドい事にする!

……恨むなら、己の弱さを恨むんだな。
何かのために強くなるなら、守りきる責任が伴うんだぞ!(適当)


琥珀川・れに
…彼にGPSでも付けていたのかい?お兄さんが見つかってよかったね
…冗談だよ

やれやれ無粋な悪漢だ
女の子を困らせる者にはお仕置きをしてあげよう

君はなんとなく電気に弱そうだね
UCで雷の魔力で攻撃力を上げて、その狙いやすそうな大きな画面を【串刺し】で刺突してみよう

水にも弱そうだ。
可能なら同じUCで水の【属性攻撃】もしたいけど…2回目はうまくいかなくても仕方ない

彼女が見ている。
かっこいい所見せないとね?
(ウインク)

さあ僕の可愛い小鳥ちゃん(テレビウム)
君はここでどうするんだい?

※アドリブ大好き&楽しみ。追加省略アレンジもご自由に。



「……彼にGPSでも付けていたのかい? お兄さんが見つかってよかったね」
「むー。それおもしろくないよ、おにいちゃん」
「……冗談だよ」
 いくつか言葉を交わした後、れにに連れられてイルミが戦場から離れていく。
「――待て待て待てぇい!!」
 その光景に、マイホゥが大仰な身振りで腕を掲げて絶叫した。
「なぜボクではなくお前が『おにいちゃん』などと呼ばれているんだ!? ちゃんと正しく『おねえちゃん』と呼ばれろよ!」
 れにはイルミを手近な物陰へと送り出して、肩を竦めてみせた。
「やれやれ無粋な悪漢だ」
 黒瀬・ナナ(春陽鬼・f02709)はイルミの姿を隠すような位置に立ちつつ、マイホゥの言葉にドン引きしていた。
「……な、何というか、その、健全な女の子にはあまり見せちゃいけない系な怪人な気がします……」
「いやなんかかなり素直な感想言わせてもらうと、なんなんすかね、コイツ。真面目に相手をするのもアホらしいし言動も謎だし……」
 呆れ果てた様子のジィン。家族という言葉は彼にとって今ひとつピンと来ない存在であったが、このオブリビオンが有害指定されるべき輩なのは理解できた。
 その思いは摩訶鉢特摩・蓮華(紅蓮眼・f09007)も同じである。彼女はあからさまに蔑んだ目を怪人に向けていた。
「うわぁ……最悪……妹でもなんでもない女の子を妹呼ばわりして、しかも自分のキモイエゴを押し付けようとするなんて……」
「……まあ、年下の子達が可愛いのは万歩譲ってわからなくもないけど」
 言葉少な温水・千歳(桜花・f13514)の脳裏には、年少の友人達の顔。しかし、彼女が感じている友愛は怪人が語るのとは異なる健全なものなので。
「とりあえず、気持ち悪いかな」
「さっきから聞いていれば好き勝手なことを! 妹が好きで! 何が悪い!!」
 大音声で妹愛を叫ぶマイホゥ。ガイはやれやれと首を振り、デュランも頷く。
「この怪人は全力でぶっ飛ばさないとダメなようだな」
「完全に理解不能だが、子供に近づけちゃならねェヤツだというコトはわかった」
 猟兵達の心は一つになった。彼らはユーベルコードを発動させるタイミングを計りつつ、イルミを守りマイホゥを包囲する半円形の陣形を組む。
「女の子を困らせる者にはお仕置きをしてあげよう」
「あなたなんて兄でもなければ男でもないの! そんなに楽園に行きたいなら、蓮華が連れて逝ってあげるよ、シスターパラダイス(骸の海)にね!」
 れにと蓮華が先んじて疾走。何やら怪しげな構えを取るマイホゥを間合いに捉える。
「これで君とダンスを踊ろう」
「Ignition on!」
 雷の魔力を帯びたれにが閃光のような刺突を放ち、体内で地獄の炎を燃やした蓮華が両手の鉄塊剣を振り回す。
「真の妹愛を持つ者だけが使える妹愛神拳(マイラブしんけん)……受けてみろッ!!」
 なぜかいかがわしい印象を与える動きで、マイホゥが二人の先制攻撃をぬるりと回避。反撃を繰り出す。
 と。
『兄さん、ガンバ! 猟兵なんかに負けないで!!』
 マイホゥの頭部のディスプレイにピンク髪で胸の大きな元気系妹の画像が浮かび、激励を贈った。
「ありがとう! お兄ちゃん頑張るぞ!!」
 マイホゥの動きが鋭さを増す。剣風を貫き迫る拳。直撃の寸前、割りこんだナナの振るう薙刀がそれを弾き返した。
「強くて美人なおねえさんが、張り切ってお手伝いさせてもらうわ!」
「そんな安易な属性付け! 転生して妹になって出直してこい!」
 放たれた蹴りをかわし、ナナの渾身の突きが放たれる。マイホゥがそれを受け、あまりの剛力に吹き飛ばされる。
「いくっすよー、ザカライアー!」
 蒸気パワードスーツを駆るジィンがそれを追撃。鋼の猛腕が防御ごと怪人を地に叩き伏せる。
『兄様……わたし、兄様が勝つって信じてますから……!』
 画像が切り替わり、黒髪ロングで瞳を潤ませた清楚系妹の声援台詞が流れ出す。マイホゥはパワードスーツの手を押し退け、立ち上がった。
「……ああ、約束するよ。俺は勝つ。……世界と、お前のために!」
 妄想妹とのやり取りに影響されて、一人称がブレている。だがそれは決してふざけているわけではなく、マイホゥの体に妹愛力(マイラブぢから)が溜まってきたことの証であった。
「どうしても理想の妹世界を否定したいのだな。ならばお前達に、ボクの秘蔵の妹萌動画を見せてやろう! これでお前達にも妹がどんなに愛らしく素晴らしい存在か理解できるはずだ!!」
 マイホゥがドローンを放つ。液晶画面を備えたそれが、彼のバイブルたるアニメを再生し始めた。
「さあ、刮目せよ! シスターパラダイス第8話『誕生日~グッバイ・マイ・ブラザー~』!」
 それはその筋の愛好家の間では知らぬ者は妹萌を語る資格なしともされる、神回の中の神回であったが――。
「有害動画は封印っすよー」
 ジィンのペイントブキによって画面は塗り潰され、音声のみでお送りします状態になってしまった。
「何をするんだァーーッ!?」
 悲痛な叫びを上げるマイホゥに、おむすびを平らげ準備万端、『米飯礼賛(フードファイト・ライスパワー)』を発動した千歳が肉薄した。
「ん、とりあえずこいつ、叩きのめして黙らせようか」
 怪人の脚を掴み(十五歳の少女に触られてマイホゥはちょっと嬉しそうだった)、円を描いて振り回す。いわゆるジャイアントスイングである。
「いえすろりーた、のーたっち。地獄に落ちるといい、変態」
 色々間違った標語を掲げ、千歳はマイホゥを放り投げた。怪人は地面に叩きつけられ、勢いのままに十数メートルも転がる。
『ちょっと、何やられてんのよバカにぃ! あんたがやられちゃったらあたし達もおしまいなのよ!? だから……がんばってよ、お兄ちゃん!!』
 画面に写った金髪ツインテに釣り目な妹は、罵倒から涙声の応援に変わる高度なツンデレ技を披露してマイホゥを奮い立たせる。
「……そうだ。……俺は負けられない……妹達が、ボクを待っているんだッ!!!」
 ついに、マイホゥの妹愛力が最高潮に達した。噴出するリビドーにピンクの法被と妹萌シャツが破れ散る。
「妹達よ……ボクを見守っていてくれ」
「黙れ変質者が!」
「変態はしばかないとな!」
 ガイのランスとデュランの大剣が同時に襲いかかる。超妹愛力に覚醒したマイホゥは穂先を逸らし、跳躍して回避。
「逃がしゃしねェぜ! ドラセナ・ウィップ!」
 デュランの右腕が蔦となって伸び、マイホゥを捕らえた。分泌されていた特殊な樹液が爆薬となって炸裂。蔦は怪人を拘束したまま鋼の如く硬質化する。
「悪ィな、ドラセナドラゴンは守る為なら狡い手も厭わねェのさ。……今だ!」
 デュランの台詞に込められた真意を刹那に察し、ガイが槍を手放し拳を振り上げた。
「蒼き氷竜の息吹よ、具象化せよ!」
 召喚された氷蒼竜の魔力がガイの手に宿る。彼はそのまままっすぐ拳を突き出した。
「くらえ!! 絶対零度の一撃を!!」
 拳撃と共に魔力が解放され、拘束するデュランもろともにマイホゥを凍結地獄の中に飲みこんだ。
「大丈夫か!?」
 召喚竜の力で保護され無事だったガイが、凍りついた腕を引く。デュランは身じろぎし、分厚い霜を振り払う。
「これくらいは平気だ。……奴は?」
 二人が純白の彫像と化したオブリビオンに目を向ける。次の瞬間、氷の塊が砕け中から満身創痍のマイホゥが飛び出して来た。
「やってくれたな……! だが、ボクの妹は後九人――」
 そう言って怪人は頭部のタブレットを操作する。が、画面は暗転したまま反応しない。
「ま……まさか!? 妹達が……ッ!?」
 突然の別れに戸惑うマイホゥ。だが、その嘆きはすぐさま目の前の猟兵達への怒りへと転化される。
「よくも妹達を!! 絶対に、絶対に許さないぞ!!」
 憤怒が怪人の体を一回り巨大に見せていた。マイホゥは静かながらも威圧感のある足取りで一歩を踏み出し――。
「よーし、頑張ってくれお兄ちゃん!」
「!?」
 突如として投げかけられた妹ボイスに、マイホゥが動きを止めた。
「どこだ!? どこだ妹よ! さあ、お兄ちゃんに顔をみせてくれ!」
 その声の主はフィロメーラだったが、怒りに目が眩んだマイホゥは気づかない。これ幸いと、ナナと蓮華が乗っかって呼びかける。
「お、お兄ちゃん、だーいすき?」
「ほらほら! よそ見してると微塵切りの細切れにしちゃうよ! お兄ちゃん♪」
「なぜだ!? なぜお兄ちゃんを攻撃してくるんだ妹よ! もしかして負けそうだから怒っているのか? はははツンデレさんだなぁ。しかしボクは負けないぞ。愛する妹達の声援がある限り!」
「妹が応援してるなら逃げるわけにはいかないよな! カッコイイ所を見せたら妹が増えるかもしれない!」
 フィロメーラの言葉に、妹大好き怪人は清々しいほど力強く頷いた。
「そうだ! ボクは逃げない! 妹を愛さない者共なんかに負けたりなんかしない!」
「そうそう、その通り! というわけで――成層圏! 重力隕石落とし!!!」
 重力波を纏った跳び蹴りがマイホゥの頭に炸裂。そこに詰まった下劣な妄想を踏み潰す。
「妹達が君を見ているように、僕達の活躍を彼女が見ている。……かっこいい所見せないとね?」
 割れたタブレットの筐体に、れにの魔法剣が突きこまれる。水の魔力がたちまち溢れ、歪んだ愛を押し流していった。
「マイホゥ死すとも妹愛は死せず!!」
 やっぱり理解不能な断末魔を遺して、妹が大好きな怪人・マイホゥは骸の海へと消えていった。

●ようこそゴールへ
 全ての追っ手は撃破された。猟兵達はイルミの画面に表示された地図を改めて覗きこむ。
「さあ僕の可愛い小鳥ちゃん。君はここでどうするんだい?」
 れにの言葉に、イルミは首を傾げた。ここに至ってなお何らの続報も口にしないということは、イルミは本当に何も知らないのだろう。
 どうしたものか、と考えこむ猟兵達。と、彼らの耳にノイズでざらついた声が飛びこんできた。
――システム・フラワーズより緊急救援要請。
 聞き慣れない名称。声の出所も判然としない。どこかにスピーカーがあるというよりも、そこにある建築物や道路等の全てから聞こえてくるような感覚。
――全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に、侵入者あり。
 その場にいる誰も、キマイラフューチャー出身の猟兵ですら、そのシステムの名前を聞いたことがなかった。
――テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど、開放されるメンテナンスルートは増加する。至急の救援を請う。
 だが、その内容からすればこの世界の根幹を揺るがす事件が起こっていることが予想される。にわかに緊張を帯びる猟兵達を、イルミが見上げた。
「おじちゃん、おにいちゃん、おねえちゃん。なんなの――?」
 いつの間にか、その顔には地図ではなく、普段と同じ戯画化された顔が映っていた。
「大丈夫だ。それより、よく頑張ったな、イルミ」
 デュランの無骨な手が、テレビウムの少女の頭を撫でる。イルミはその手を照れ臭そうに受けながらも、やはりどこかに不安を残した表情を見せていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月30日


挿絵イラスト