テレビウムロック!~いっしょにあそぼ~
●いっしょにあそぼ
とことこと散歩していたテレビウムは、ショーウインドウの前ではたと立ち止まる。
「あれ……ぼくの顔、どうなってるの」
顔の画面に浮かびあがった白い鍵のマークは、彼が自分で映したものではなく。いくら切り替えてみようとしても、一向に治らない。
「うぅん、こまったなぁ」
お医者さんに行ってみようか、ああでも、しばらくしたら治るかも。ガラスの前でそんな風にぼんやり考えていたところ。
『ぴぃ』
「ん……わ、君、かわいいね」
可愛らしい鳴き声が隣から聴こえて、そこにはふわふわの桃色いんこ。かわいいものが大好きな彼は、ふふと笑って話しかけた。
「君、どこから来たの?」
『ぴ』
「あ、もう一匹。お友達かな、兄弟かな」
『ぴぴ』
『ぴぃぴ』
「ふふ、仲良しなんだね……あれ?」
『ぴぃ』
『ぴぃぴぃ』
『ぴぃぴぃぴぃぴぃぴぃ』
どどどどどど。
「ふ、ふぇええ」
こちらへ向かってくる無数の桃色いんこの群れに、テレビウムは理由もわからず追いかけ回されるのだった。
●いっしょににげて
「諸君、よく来てくれた。キマイラフューチャーに至急向かってもらいたい」
海洋生物を模したヒーローマスク、パーヴォ・シニネンがそう告げると、彼の宿主である肉体の子供が、ぱ、とテレビウムらしき絵が描かれたノートを見せた。
「既に話題になっている話だが、最近あの世界の住民であるテレビウム達の画面に、鍵のマークが強制表示されている。本人達が表示を取り消そうとしても、頑として消えないそうだヨ」
宿主が描いたと思われるテレビウムの絵にも、確かに鍵のマーク。
「我輩が予知したテレビウムのシュウくんも同じ状況でね。更に、彼は今まさに怪人達に襲われている。すぐに彼の元へ行き、怪人達を撃破して救出してあげてほしい」
ぺらりとページをめくれば、そこにはピンク色のまん丸な小鳥のようなナニカ。
「彼を襲っているのは『アキクサさま』というセキセイインコ型のオブリビオンだ。まぁ愛らしい見た目をしているが、とっても数が多くてネー……」
敵の襲撃は一度では済まないだろう、とパーヴォは続ける。ともあれシュウを守り抜くのが、今回の猟兵の役目だ。
「罪もない一般人が命の危険に晒されている。よろしく頼むよ」
宿主はノートを閉じて、船型のグリモアを掌に浮かべる。
「それでは諸君、よい旅を」
遅咲
こんにちは、遅咲です。
オープニングをご覧頂きありがとうございます。
●成功条件
全ての怪人達を撃破し、テレビウムのシュウを救出する。
30日までの完結を目指す為、プレイングをお預かり次第なるべく早く執筆予定です。
そのため、個別でのお返しによる少人数受付となるかもしれません。
ゆるふわ展開です。
どの章からのご参加もお気軽にどうぞ。
皆さんのプレイング楽しみにしています、よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『アキクサさま』
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POW : ぽかぽかの風
【召喚したヒーターの熱風】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : どっちが本物?
【もう一羽のアキクサさま】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : 究極の平和主義
全身を【スーパーもふもふモード】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
イラスト:橡こりす
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ジャック・カラック
同じテレビウムとして、見過ごせないね
それに、画面を勝手に固定されちゃ、不便だろうし、助けるよ
シュウさんが逃げている途中で角に誘導するよ
足止めしておくから、君は少しでも遠くに避難して!
前もって壁を叩いて投げられるものを用意しておいて、
最初はものを投げて僕に気が向くようにするよ
僕が相手になっても構わないかな?
とはいってもテレビウム的に僕って中古っぽく見えるし、見劣りするのは許して欲しいな
相手の注意が僕に向いたら
すかさず攻撃に入るよ
もう一体現れたら物を投げて本物か見極めたい所だね
そんな余裕がないなら、纏めて僕のナイフの餌食になってもらうさ
愛らしい姿でも、群れて来られると恐ろしいものだね
「ふぇええ、誰か、誰かぁ」
ぴぃぴぃと鳴く桃色いんこの群れに追い掛け回される、テレビウムのシュウ。小さな足を一生懸命動かし、全力で走り続けて周囲に助けを呼ぶも。
「あら、かわいい」
「楽しそうにおいかけっこしてるなぁ」
通行人には、小さな彼が桃色いんこと戯れているようにしか見えないらしく。
「も、もうだめかも……」
絶望感が胸を満たし始めて諦めかけた時、彼の手をとる者が居た。
「こっちだよ、シュウさん!」
「き、君は?」
シュウよりも錆びついた身体は、同じテレビウムのジャック・カラック。彼の顔は何も映らぬ画面だけれど、ぐっと掴んでくれた手に少しだけ安心を覚える。
空いている手でジャックは壁をこんこん。ぽん、と出てきたのはふかふかのテレビウム型ぬいぐるみ。シュウの手を離して、ぐっと背を押す。
「後ろを振り返らないで、あの角を曲がって逃げ続けて!」
「でっでも、君もあぶないよぉ」
「大丈夫、僕は猟兵だから」
さぁ行って、と促されたシュウはまっすぐ走る。同時に、投げつけられたぬいぐるみに桃色いんこが足を止めた。シュウの姿が見えなくなったのを確認して、ジャックは道の真ん中でいんこを待ち構える。
「僕が相手になっても構わないかな?」
ジャックの声にぴ?と首を傾げるふわふわいんこ達。
「とはいっても、僕って中古っぽく見えるし、見劣りするのは許して欲しいな」
テレビウムというだけであまり見分けはつかないらしく、ぴぴ、と一斉にジャックへ襲いかかるいんこ達。その瞬間、ジャックは小さな身体で素早くダッシュ。ナイフの刃がきらりと光って、桃色の羽根が周囲に散る。
突然の攻撃に慌てふためくいんこ達。ならばとふわふわの身体を膨らませると、ぽふんといんこの群れは2倍に。ジャックが再び壁をこんこん、ぽんと現れるボールの山。
「どれが本物かわからないなら、これでどうかな」
びゅんとボールの山を投げつければ、ぽふんっと消え失せる偽物。ボールをぶつけられ、ぴぃぴぃ怒る本物いんこ。偽物が続々と消えることで、いんこの群れは元の数へ。
「それじゃ、纏めてナイフの餌食になってもらうよ」
たん、と足を蹴って走り出して、いんこの群れへ突っ込むジャック。刃は鋭く素早く、一撃が小鳥のいのちを散らす。
「愛らしい姿でも、群れて来られると恐ろしいものだね」
やれやれ、と一息ついて、ジャックはシュウのあとを追う。
大成功
🔵🔵🔵
アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎
可愛らしい見た目とはいえオブリビオン。
人々に危害を加えるなら、ここで屠らせていただきます。
先ずはテレビニウムのシュウさんを『かばう』よう動きましょう。
迫る敵にはホワイトパスで敵の動きを『見切り』つつ、ホワイトマーチで無力化していきます。
敵の目的が分からない以上、囲まれないよう移動し続けたいですね。
倒す事も必要ですが、一番は守る事だと認識しています。
それ故、倒しきれないと判断した場合はホワイトファング等で動きを妨害し、『時間稼ぎ』に徹します。
他の猟兵と協力ができれば、私が壁となり留まる事も選択肢に残しておきます。
それにしても鍵とは不思議ですね。
鍵があるなら錠もあるのでしょうか?
さっき助けてくれたテレビウムは無事だろうか、猟兵だと言っていたけど。ぱたぱた走りながら、もうそろそろいいかと振り返るシュウ。
「よ、よかった、追ってこない」
『ぴぃ』
「え?」
もう一度ぴぃという鳴き声が聞こえてゆっくり正面を見る。振り切ったはずのふくふく桃色いんこが、また群れを成して彼の前に立ちはだかっていた。
「ふぇええ、なんでぇ」
元来た道を戻ろうとして、それではさっきの群れにぶつかるかもしれないと気付く。前門のいんこ、後門にもいんこ。
そんな彼と桃色いんこに割り込むように、背の高い者がふわりと立つ。
「シュウさん、私の後ろへさがって下さい」
「き、君も猟兵?そうだよね、だって、キマイラじゃなさそうだもの」
状況が呑み込めぬ彼の言葉に、アリウム・ウォーグレイヴはやわい笑みと共に頷きで返す。しかし、桃色いんこ達へ遣る視線は鋭い。可愛らしい見た目とはいえ、相手はオブリビオン。
「彼に危害を加えるなら、ここで屠らせていただきます」
宣言と共にすらりと抜いた刺突剣に、いんこ達は敵意を察したらしい。ぴぃぴぃとふわふわの毛を逆立て、アリウムとシュウめがけて一斉にアタック。
「失礼します」
「わっわぁ」
青年は小鳥達の視線、羽ばたき、魔力の流れを読み取る。素早くシュウを抱きかかえ、嘴による刺撃を躱す。
お返しとでも言うように、同時に刺突剣の封印を解いていんこをひと突き。ぴ!と驚きの声をあげる身体は、みるみるうちに凍りついていく。突然仲間がぴしりと凍りつき、ぴぃぴぃ慌てる桃色の群れ。
目的がわからぬ以上は囲まれてはいけないと、背後を確認しながら移動し続けるアリウム。抱きかかえられたまま、はわわと大人しくするシュウ。
このままやられてたまるかといった風に、いんこは丸い身体を膨らませ、ぽふんと倍の数へ増やす。冷静に状況を把握していた青年は、ふむ、と頷きシュウへ声をかける。
「このままではあなたを守りきれそうにありませんね。私が合図したら、すぐにあちらの道へ走って下さい」
「う、うん」
「疲れていると思いますが、別の猟兵達も必ずあなたを助けてくれます」
透る氷の瞳は何処か憂いがあるけれど、伝わってくる想いをシュウはしっかり受け取っている。こくりと頷いたのを見て、曇天は再び笑む。
そっと下へ降ろすと同時、走って、と声をかければ、小さな身体はとてとてと空っぽの道を突っ切っていく。
「それにしても、鍵とは不思議ですね。鍵があるなら錠もあるのでしょうか?」
シュウの画面に映っていた白い鍵を思い出しながら、アリウムは桃色いんこ達へ剣を向ける。
大成功
🔵🔵🔵
ノネ・ェメ
かわいい。 ぇ、かわ。 まってむり。 スタイリッシュ飛びついてのハグ。 実際周りにどう見られていたかはさておき。 あとは片時も離れない。 ノネとしては、以上で。
アキクサさまもなんだかモードに入っちゃうともう動けなくなるっぽいし? ノネがゆるふわ~っともふもふを堪能し続ける限り、テレビウムの子に手を出させずに済むのではと。 子守唄くらいの特典ならいくらでもつけるし。
などと供述しつつ、永遠にもふっていたいだけなことは隠しもしなかったり←
ぴぃぴぃという鳴き声は聞こえてこない。走り疲れたシュウは前と後ろをしっかり確認したあと、少しだけ足を止める。しかし、二度あることは三度ある。
「ぼく、なにかしたかなぁ……」
息を切らせていると、ふいに影がかかった。建物の影とは別のようで、しかも動く。嫌な予感と共にそっと見上げてみれば、桃色いんこの群れがずらり。
「あ」
ぴ、とひと鳴きした個体がこちらへふわりと落ちてくる。今度こそもうだめだ、そう心が確信した時だった。
「むりかわいすぎ」
横から光速のカットインが入り、小さなシュウをぺしゃんこにする筈だった桃色いんこの群れは、そのまま真横に吹っ飛ばされていく。突然の出来事にビックリマークとクエスチョンマークを映し出したいシュウだったが、画面は白い鍵マークのまま。
吹っ飛ばした正体はなんなのかというと、青い髪が印象的な少女であり、いんこ達に全力で抱きついていた。
「き、君、だ、だいじょうぶ……?」
「ぁ、ダイジョブダイジョブ」
うごうご逃げ出そうとするいんこ達を掴んで離さないノネ・ェメは、シュウに顔だけ向けてにこにこと返す。
彼女も猟兵なのだろうかと首を傾げていると、やっとこさ少女の腕から抜け出した個体がシュウへと近寄ってくる。ふぇ、とテレビウムが怯えた声をあげそうになった時のこと。
澄み渡り、透き通るような音色がシュウの耳に届く。どこかやさしい名残りを感じさせる音楽はどこからするのかと周囲を見渡せば、音楽の出処はノネからだった。
「シュウさん、疲れたでしょ。これでちょっとは癒される、かもかも」
言われてみれば確かに、聴いているだけで疲れがとれていくように感じる。はじめは歌っているのかと思ったが、ノネが話しかけてくる間も音は流れ続けている。まるで、彼女の身体そのものが音楽を奏でる楽器のようだった。
桃色いんこはというと、うっとりと音楽に聞き惚れていて、その場でうとうと。すかさずノネはぐわっと抱き寄せもふもふ。エンドレスもふもふ。
ぴぃぴぃと慌てる数匹が、翼を広げる。もふもふはノネの腕を弾くように、もっふもふの無敵モードへと変化するも、少女はどこ吹く風。
「おっけーおっけー、子守唄くらいの特典ならいくらでもつけるし」
やさしい音楽は何処までも続く。いくら無敵と成ったいんこ達も、攻撃ではなく癒しの音色を防ぐことは叶わない。ノネはすやすや眠る小鳥達をせっせと懐へ。
「ここはノネに任せちゃっていーよ、シュウさんは遠くに逃げて」
なんとなく、彼女の心配は要らなさそうだ。もふり倒す猟兵に、テレビウムは丁寧にお辞儀をしてその場を去る。
大成功
🔵🔵🔵
ヴォルフガング・ディーツェ
【SPD>POW】
少年を追いかける愛らしい鳥……ってなにあの数、やっば!?
【調律・墓標守の黒犬】でテオ…黒犬を召喚し【騎乗】して突っ込んでいくよ
テオ!お肉だーってきらっきらな目で敵を見ない噛らない!見た目でもうちょい躊躇して!
シュウの保護に動く人がいないなら最優先で確保し、俺が庇うかテオに乗って貰って守ろう
オレ達は猟兵だよ、もう大丈夫だからね…!
憂いがなくなれば倒すだけ
鞭に炎の【属性攻撃】を乗せ、【二回攻撃】【範囲攻撃】を駆使しダメージが通る個体優先で撃破
テオも爪で引き裂いたり、噛み砕く様に指示
いずれもシュウの保護優先、無理のない範囲で行おう
何かこの光景見たことが…あ、公園で鳩を追い散らすあれ
テレビウムも災難だなぁと思いを馳せつつ、ヴォルフガング・ディーツェはキマイラフューチャーに降り立つ。確かこの辺りで件のシュウに出会える筈と見渡してみれば。
「たすけてぇえ」
あれか、と悲鳴の先へ視線を遣れば、小さなテレビウムがとことこ走ってくる。その背後には桃色いんこが数羽。どことなくほのぼのとした雰囲気に、自然と心がほんわかしてしまう、が。
「少年を追いかける愛らしい鳥……ってなにあの数、やっば!?」
前言撤回、シュウは夥しい数の桃色いんこの群れを引き連れていた。もはや小鳥の群れというよりフラミンゴの群れかもしれない。
すぐさま電子界へ接続、ダウンロード。邪鉄の武装を纏った巨大な黒犬が姿を現せば、ひらりと飛び乗り愛犬へ声をかける。
「テオ、突っ込むよ……ってその目はナシ!見た目でもうちょい躊躇して!」
ヴォルフガングを乗せた大きなわんこは桃色いんこ達にぶつかっていくが、その目をきらきら輝かせている。ごはんの時間とでも思ったのか。くあっと大きな口を開けてご自慢の牙で噛ろうとするも、主人に制止され少し不服そうに口を閉じた。
黒犬に驚いたのは桃色いんこ達だけではなく、腰が抜けたシュウもぺたりとその場に座りこんでしまう。ヴォルフガングはひょいっと彼を拾いあげ自分の前へ乗せ、優しく声をかける。
「驚かせてごめんね、オレ達は猟兵だよ!もう大丈夫だからね……!」
「あっう、うん。ありがとうございます」
そういえば先程までの猟兵達にお礼を言っていなかった。彼らの無事が、ふいに心配になってくる。そんな彼の気持ちを察したのか、ヴォルフガングはふわりと笑った。
「キミを助けた猟兵達もきっと無事だよ、今は自分の身の安全を一番に考えて」
耳と尻尾からキマイラかと思うも、少年の外見にしては不思議と安心できる大人のようで。シュウがこくりと頷き黒犬にしがみついたのを確かめてから、ヴォルフガングは愛犬から降りて向こうへ逃がす。
「憂いがなくなれば、倒すだけだ」
シュウを乗せた黒犬が桃色いんこ達から十分に距離を離したのを確認し、鞭に炎を奔らせる。ぴしゃりと音を立てた焔の波は、一気に小鳥達を絡めとった。
ぴぴ、と慌てふためくいんこ達だったが、無敵モードを使う前にあっという間に火焔の海へ。悲しげな声に少しだけ胸が痛んだけれど、シュウの命には代えられない。ところで、妙な既視感を覚えるヴォルフガング。
「何かこの光景見たことが……あ、」
公園で鳩を追い散らすあれだ。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ジョン・ドゥ・キャット』
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POW : キャスパリーグの災禍
【凶事を呼び込む巨大な怪猫】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : ボイオティアの眼
【額に、全てを見透かす大山猫の目を開眼して】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : ウルタールの猫葬列
【殺されて死んだ、無残な姿の猫たち】の霊を召喚する。これは【爪】や【牙】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:ハレのちハレタ
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
桃色いんこ達を骸の海へと還した猟兵達は、今回の被害者であるシュウと合流する。
「皆さん、助けてくれてありがとうございました」
そう言って顔を上げたテレビウムは、猟兵達の表情を見て小首を傾げる。
「あの、どうかしたのかな。あっぼくの顔、まだ治ってない?」
首を横に振る猟兵達に促され、すっと道の脇にあるビルのガラスへ顔を向けた。
「え、え、なにこれ」
先程まで白い鍵マークひとつだった画面が、不思議な展開図を表示している。ぴこぴこと点滅しているのは、先程と同じ白い鍵。そして端の方に有る、鍵の方向へ指し示す矢印マーク。
よく見れば展開図は地図のようで、シュウがとことこ歩くと矢印も動きだす。
「これ、ぼくのことなの?じゃあ、このカギって」
行ってみるしかないだろう、そう判断した猟兵達がシュウへ呼びかける。
「……うん、よくわからないけど。ここに行けば、治るかもしれないよね」
シュウがこくりと頷いた時、にゃあおという鳴き声が辺りに響き渡った。
「見つけたにゃ!追え!」
「あいつらをあの場所へ着かせるにゃ!」
「ひぇっ」
二足歩行の猫達は、憎しみを宿した目でシュウと猟兵達を睨みつける。怯えたシュウを猟兵達は守るように構え、白い鍵の在処へ走り始める。
ほんの少しだけ振り返ったテレビウムは、こわい顔をした猫達が、どこか寂しげなことが不思議だった。
アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎
今回の騒動の黒幕。突然出てきた地図。
なぜそれをオブリビオンが阻止しようとするのか。
疑問は尽きませんが、考えてもしょうがありません。先ずは目的地までショウさんを護衛してからですね。
なぜ彼を追うのか、目的地を阻むのか。オブリビオンに問いかけてみましょう。
答えが聞ければ儲けもの。返していただかなくても『時間稼ぎ』ができるので良しとします。
ショウさんを『かばう』ように動きつつ、ホワイトパスで敵の攻撃を『見切り』続けましょう。
距離が離れているうちは『属性攻撃』ホワイトファングで牽制し、距離が縮まると同時にホワイトマーチで屠っていきます。
殿となり、他の猟兵にお任せすることも視野に入れます。
画面が示す道を塞ぐ猫の群れの視線から、小さなシュウを守るようにコートで遮るアリウム・ウォーグレイヴ。今回の騒動の黒幕、突然出てきた地図。阻止しようとするオブリビオン達――疑問は尽きないが、今自分がやるべきことは彼の護衛。
折角ならばと時間稼ぎも含めて、猫達に語りかける。
「なぜ彼を追うのですか、目的地を阻むのも、なんらかの理由があるのでしょう?」
「うるさいにゃ!」
「猟兵に教える筋合いはないにゃ!」
涼やかな声で問う青年をキッと睨みつけ、猫達は爪を出した前脚を構える。
「やはり、そう簡単には教えてくれませんか……質問を変えましょう、あなた達は誰かに命令されて、彼を追っているのでしょう?それは誰ですか」
「俺達は命令にゃんてされてにゃい!」
「そうにゃ、僕らはいつだって自分の意思で動いているにゃ!」
猫と問答を繰り返すアリウムはこっそりとシュウを呼ぶ。
「今のうちです、私が剣を振るったら皆さんと一緒に道を突っ切って」
「ねぇ、君も、一緒に来てくれる?」
「……ええ、私が殿を務めます。後ろからついていきますから、どうか安心して下さい」
ならばと了承するようにこくりと頷くテレビウムに笑んで、青年は唐突に刺突剣を振るう。切っ先から放たれた氷の礫の弾丸が猫達を襲うと、命中した箇所から、ぱきりぱきりと凍結が始まった。
突然の攻撃に慌てる猫達を素早く斬り伏せ、アリウムが拓いた道をまっすぐ進むシュウと猟兵達。その背を追いかける猫達はふしゃあと鳴き、無残な姿の猫の死霊を喚ぶ。
過去にどんな目に遭ったのかはわからずとも、酷い怪我を負った霊の姿に青年は同じように心を痛める。ちらりと視線を遣れば、小さなテレビウムの画面は地図を表示したまま。その手は震えていたが、聴こえた呟きから、それが恐怖から来るものではないことを青年は察する。
「あの子達、いたかったのかな」
「……残念ながら、私にはあなた達を救うことが出来ない」
そう呟いて放つ氷の弾丸にはひとかけらの慈悲を込めて。距離を縮める猫は、白雪の刃で次々と屠られていく。
「だから、人間はキライにゃ」
「ずっとずっと、憎み続けてやるにゃ」
ほんのり涙をこぼす猫達を置いて、シュウの背を追うようにアリウムは走る。
大成功
🔵🔵🔵
ノネ・ェメ
休んでてほしい所だけど、肝心の地図がシュウさんの顔じゃあ、シュウさんに鍵の場所まで行ってみてもらわないことには、なのかな。 ノネも付き添お。
猫(?)たちも愛らしい顔して目こわいし、目には耳をということで(???)。 耳をすませば、猫がどこにどれだけいるかは見えてるようなものだから、シュウさんに最適そうなルートのアドバイスもできるかと。
サポートに徹して上手にすり抜けられたなら、不要に傷つけ合わずに済むかなぁ、とも。
あれ、でも猫たちもシュウさんには鍵の場所へ着かせたいっぽい……?
「休んでてほしいけど、そういうワケにはいかないみたいだね」
「だいじょうぶ、ぼく、まだ走れるよ」
地図を表示しているのはシュウの画面であり、彼自身が移動しなくては意味がない。そうわかってはいても、ノネ・ェメは小さな彼の体力が気掛かりだった。
彼女達が身を潜めているのは、曲がりくねった細い路地がいくつも並ぶビル街の物陰。聴こえてくるのはオブリビオン達の怒声と鳴き声。
「あいつらどこ行ったんにゃ!」
「探せ、絶対に逃がすにゃ!」
このまま隠れ続けていても目的地には辿り着かない。ならば、と少女はそっと耳をすませる。
「猫たちも愛らしい顔して目こわいし、“目には耳”をということで」
聴き取れる音域を凄まじい範囲に拡大させれば、猫達の声だけではなく足音、その数、距離、周囲の建物の形までもが、彼女の中へ立体的な情報として取り込まれる。
「……うん、右方向に4匹、左のビルの裏路地なら誰も居ない」
いこ、とシュウの手を引くノネを中心に、そろりと小走り気味に移動する猟兵達。
「ストップ、二つ先の道から2匹来てる」
逐一猫達の居場所を耳で確認し、衝突する危険があれば物陰に身を隠す。少女はシュウの画面の地図と、自分の聴覚から取り込む情報を照らし合わせ、現状で最適なルートを即座に生み出していく。
「すごい、君、全部見えてるみたいなんだね!」
「これならシュウさんもそんなに疲れないし、猫達とも不要に傷つけ合わずに済むかなぁって」
「……君は、とってもやさしいね」
感激したように言葉をもらすシュウに、ノネはふわりと笑って彼の小さな手を握る。
「それはシュウさんだよ。猫のこと、気になるんでしょ?」
ほんの少しだけ俯いて、テレビウムはぽつりとこぼす。
「あの子達、みんなこわい顔をしてた。でも、みんなさみしそうだった。なにかあったのかな」
「うーん、ノネ達には理由はわかんないけど。シュウさんがそんな風にあの子達を想ってあげるのは、いいことだって思うよ」
彼らを救うことはできなくても、想うことはできるから。だからこそ、シュウを彼らに奪われてはいけない。
「鍵まではもーちょっとかかるよ。いこ、シュウさん」
小さな手をとり、少女は耳をすませる。
大成功
🔵🔵🔵
フィロメーラ・アステール
(逃避行の裏でこっそり)
「さーて猫たち、追いかけっこはおしまいだぞ!」
おウチに還る時間が来たってことさ!
ゾロゾロ連れて目的地についても面倒だし!
【おわりを印す天の客星】を発動!
終焉の星の放つ沈静の魔力で、猫たちを沈静化させる!
そして閃光で、召喚されたもの達をかき消すぞ!
残ってるヤツには【破魔】の力を込めた【踏みつけ】キック!
おっと、容赦はしてやらないぞ!
どんな物語を背負っていようと、オブリビオンはあたしの敵だ!
同情や哀れみを誘う仕草は、連中の武器でしかない!
というわけで【気合い】を入れてビシバシやる!
……まあ、次に復活することがあったら。
もうちょっと面白おかしく過ごせるヤツになってるといいな!
幼い逃避行の裏で、敵を自分に惹きつけることで彼を助ける猟兵も居る。フィロメーラ・アステールはきらきら星屑を纏って、ずらりと彼女を囲む猫達をびしりと指さす。
「さーて猫たち、追いかけっこはおしまいだぞ!おウチに還る時間が来たってことさ!」
「そんなちっぽけな見た目で、にゃにができるっていうにゃ!」
「俺たちに勝てるワケがないにゃ!」
猫達の手に収まりそうなほど小さな妖精を見て、彼らは自信満々。負けるなどとは夢にも思っていないのだろう。
「さっさと倒して、あのテレビウムを追っかけるにゃ!」
フィロメーラを手っ取り早く追い払いたいのか、彼らは猫の死霊を喚ぶ。悲しげで憎しみのこもった鳴き声と共に、ぼろぼろな身体の死霊の群れが妖精に飛びかかる。
「させるか!お前達、みんな揃ってお星様のおやすみを聞けー!」
彼女の声を目印とするように、終焉を告げる星霊が集う。星々の放つ魔力は周囲に神々しさと静けさを齎し、猫達はふにゃっとおかしな鳴き声でその場に崩れ落ちる。同時に、目の眩むような閃光が死霊達を包みこめば、見るも無残な姿は一斉にかき消されていく。
「にゃ、にゃにが起こってるにゃ」
「怯んだら負けにゃ!相手はあんなにちっこい!霊がダメにゃら僕達でかかるにゃ!」
そう鼓舞した猫を筆頭に、群れは死霊に頼らず自慢の爪と牙を出して接近。しかしフィロメーラはそんな武器もなんのその。煌く羽でくるりと宙を舞えば、細い脚で猫の頭をぐっと踏みつける。破魔の力がこめられた蹴撃は凄まじいダメージを生み出し、踏みつけられた猫はふわりと光の粒子となっていく。
「このガキ、意外に強いにゃ!?」
「おっと、容赦はしてやらないぞ!」
逃げ出そうとする者を見つければ、とん、と宙返りしてから勢いをつけて星屑煌めくキック。星霊の魔力で弱体化した猫達はひとたまりもない。
「どんな物語を背負っていようと、オブリビオンはあたしの敵だ!」
猫達が同情や哀れみを誘う仕草を見せたとしても、彼女には攻撃を緩める理由などなく。気合は破魔の力に乗せて、蹴撃のロンドを踊り続ける。あれだけ沢山居た猫の群れは、いつのまにか光の粒子としてふわりと融けて、いつしか何処にも居なくなっていた。
「……まあ、次に復活することがあったら。もうちょっと面白おかしく過ごせるヤツになってるといいな!」
その別れの言葉は、幸運を齎す妖精としての、ちょっとしたおまじないかもしれない。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『ギヴ』
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POW : あそんであげる
小さな【メリーゴーランド】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【遊園地】で、いつでも外に出られる。
SPD : しあわせになあれ
いま戦っている対象に有効な【すてきなプレゼント】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : ……わすれちゃったの?
自身が戦闘で瀕死になると【楽しかった思い出】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:棘ナツ
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠コルチェ・ウーパニャン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵達に支えられ、ようやくシュウが辿り着いたのは誰も居ない公園だった。立ち並ぶビルに囲まれる姿は箱庭のようで、シーソーやブランコ、すべり台がちらほらと置かれている。
「ここで、合ってるのかな?」
改めて画面を確認しても、白い鍵と矢印は同じ場所でぶつかっている。何か目立つものは無いかと、猟兵達が辺りを見渡した時だった。
「えっわ、わぁあ!?」
小さなシュウの身体が眩いばかりの光を放っている。突然の出来事にシュウ本人は慌てているが、何故か身体が思うように動かない様子だった。
「ふぇえ、猟兵さん、どうしよ、足が全然動かない。どうしよ、ぼく」
もはや泣き出しているテレビウムを宥める猟兵達の耳に、澄んだ音が聞こえる。どこかせつなく寂しげな音色はだんだんと近付いてきて。
「な、なにあれ」
光り輝く回転木馬の頭、スカートを飾るいくつものハサミ、トゥシューズを履いてくるくると舞い踊る姿は異形そのもの。
オルゴールの音色は彼女から鳴り響いているのだろう。郷愁を帯びた音が、猟兵達を惑わせる。彼女以上に光を放ちながら、テレビウムは言った。
「……なつかしい気がする。でも、」
ぎゅっと、シュウの手が猟兵の手を握る。
「こわい。アレに近付いちゃいけないって、ぼく、わかるよ」
彼のいのちを、彼女に断ち切らせてはいけない。
リステル・クローズエデン
バイク『プロト・コメット』に騎乗し
ダッシュしながら乱入する。
「ここでもですか。初見の相手ですが。」
視力+見切り+第六感で行動を見切り
先制攻撃+高速詠唱で【我流忍法・空から金物】発動。
さらに問答無用で、
属性攻撃+追跡+騎乗+運転+ダッシュ
+衝撃波+吹き飛ばし+オーラ防御 で
「プロトコメット、アクセル全開」
突進攻撃を行います。
「プレゼントはノーセンキュー。問答無用にゴーホーム」
戦闘後は、すぐさま場を離れます。
身動き取れぬシュウへと舞姫がハサミを揺らして近付く。その間に割り込むように猛スピードで突っ込んできた灰色の装甲のバイクが、派手なブレーキ音を立てる。
「ここでもテレビウムを襲う事件ですか。今回は初見の相手ですね」
愛車から降りることなくリステル・クローズエデンは赤い瞳で舞姫を見た。続発している一連の事件を追いかけているのだろうか。
「き、君も猟兵?」
「そういうことです。では、手早く済ませましょう」
光を放つテレビウムに声をかけられ、背後を振り返ることなく女が答える。舞姫は軽やかなステップでリステルへと距離と詰め、くるりと何度も超高速回転を繰り返す。ハサミの切っ先がリステルの肌に触れそうな度に、ライダーは愛車を自慢のテクニックで駆使して身を翻す。
ふと、舞姫が白い掌を指揮者のようにふわりと宙へ掲げる。ぽふんと軽い音と共に煙の中から生まれたのは、犬や猫の形をした鮮やかな色をした玩具達。細い指がネジを回せばわんわんにゃあにゃあ、リステルの愛車に纏わりつく。
ライダーがそれらを全て無言で轢き倒すと、散らばる部品がキィンと音を鳴らす。同時に、悲しそうなオルゴールの音色が響く。
「此処にはあなたに相応しい遊園地も、舞台もありません」
そう告げたのち、短く唇が動く。囁くような詠唱と共に、宙からガシャンと金属の群れが舞姫めがけて落下。バケツにタライ、挙句の果てには巨大な一斗缶。
「ひえっ」
回転木馬に命中した金物達が響かせる音色と、舞姫の調子っぱずれな甲高いオルゴールが不協和音を奏でる。随分と痛そうに見えたのか、何故かシュウが悲鳴をあげて頭を押さえる。
ふらふらとした足取りの舞姫は、それでも負けじともう一度掌を翳す。けれど生み出されるのは煙だけで、舞姫は不思議そうに小首をかしげた。
「問答無用」
それは燃え尽きるまで速度を上げ続ける隕石の輝きのように。限界まで吹かすエンジンはフルスロットル。靡かせる髪は空の青を映しているようで。
「プロトコメット、アクセル全開」
ど、と音を立てた灰の機体は舞姫めがけて突っ込んだ。その威力を殺すことかなわず、舞姫はすべり台にめり込む形で吹き飛ばされる。ひしゃげたすべり台から、ぱらぱらと破片が崩れ落ちる。
「プレゼントはノーセンキュー。問答無用にゴーホーム」
リステルはまっすぐな瞳のまま、さらりと長い髪を払う。
大成功
🔵🔵🔵
ノネ・ェメ
ノネならメリーゴーランドも避けきれるんじゃないかと思うし、シュウさんも抵抗しないことはないと思うけど、もし遊園地に吸い込まれたら電脳魔術で「ハッキング」し返して「救助活動」を……
まぁ、やり方は、わからないんですけど←
たしかにネットの海を泳ぐのとかなら人一倍早い方だと思うけど、電脳魔術師じたいはいつからなっていたのか、全然覚えがなくて。。 音楽だけが取り柄のはずなのに、その取り柄たるシンフォニアが副業に甘んじてるって、本当なら相当な魔力はあるはず。 いきなりの実践でも、なんてゆかこう、何か出来ないかな? 遊園地から助け出すだけでも……助け出せた!?
ぇ、任意で出られる? ええと。そですか(
すべり台からずるりと身体を起こした舞姫に、シュウは小さな悲鳴をあげる。瞬間、なんの予備動作も無しにその場から勢いよくジャンプすると宙を舞う。彼女が猟兵達を軽々と追い越して、狙うのは彼。
「シュウさん!」
「え」
ノネ・ェメがシュウの指先に触れる前に、こつん、と舞姫の回転木馬がシュウに当たった。みるみるうちに、テレビウムは木馬の中へと吸い込まれていく。
「シュウさん、どこにやったの」
問いかけるノネに向かって、舞姫は郷愁を促すオルゴールの音でしか語らない。しかし、白い手を差し出し小首をかしげた。まるで「あなたもどう?」と言わんばかりに。
「お断りだし」
すぐさま少女は考える、どうすれば、どうすれば彼を助けられるの。可能性があるとすれば、いつのまにか手にしていた電脳魔術士の力。けれどその力をいつ手にしたかなど覚えておらず、使い方もろくすっぽ。
「ノネ、音楽だけが取り柄のはずなのに」
いつからか、声だけでなく肉体そのものが音を奏でるようになったこの身に宿るシンフォニアの力。それがあくまでも本職ではないのなら。
「相当な魔力があるってこと、だよね」
誰よりもはやくネットの海を泳げるのなら、彼の居る場所へ辿り着けるかもしれない。す、と目を閉じ、うたう。誰よりも豊かな表現、誰よりも正確で癒しを与えるピッチ、誰よりも変幻自在なグルーヴ。それこそが、少女の武器。
オルゴールの音色をかき消すような深く染み渡るその音色に乗せ、電子の海を泳ぐ。もっとはやく、もっとふかく、あの子の元へ。
「……居た」
パレードと光のお祭が集まる靄のような世界。あちこちから響く子供達の笑い声。永遠に動き続けるアトラクション。その場で立ちすくむテレビウムへと、手を伸ばす。
「シュウさん、シュウさん」
「ノネさん?」
そっとつないだ手は一気に、現実世界へと引き戻す。再びノネが目を開ければ、そこは箱庭公園と猟兵達、そして手をつないだシュウ。
「……助け出せた!?」
きょとんとしているシュウをこの目で見ても、自分がやり遂げたことに実感がもてない。
「ありがとう、ノネさん」
きゅっと手を握るシュウは未だ光り続け、画面も同じままだけど。きっと笑っているのだと、少女は思う。
「ぼく、さっきの場所で、帰りたいって思ったら、帰っていいよって言われたんだ」
「え?」
「遊びたいだけ遊んで、帰りたくなったら帰っていいんだよって」
「……じゃあ、ノネがやんなくても、出られたってこと?」
ええと、そですか。と脱力するノネにシュウは慌てて言葉を続ける。
「でっでも、ノネさんの声がきこえたから、ちゃんと帰れるんだって思ったんだ。だから、ありがとう」
テレビウムの感謝は心からのもので、ノネは目を細めた。その耳に、寂しげなオルゴールの音色が響く。
「まだ、終わってない」
そっと自分の背後にシュウを隠し、ノネは舞姫へ視線を遣る。
大成功
🔵🔵🔵
甚五郎・クヌギ
(くるくる、くるくる、回る姿を目で追いかける)
ふむ、回る頭とは奇っ怪な
ずっと見ていたら目がくらくらしてしまいそうな相手であるな
回転する彼女の鋏に斬られぬように気をつけて参るとしよう
舞い手の動きは軽快であるが
しっかりと見切って薙ぎ払い、簡単に近付けさせはしない
回転の弱まる隙があればこちらからも攻撃に転じる
【妖剣解放】、己の身体を回転させて技に更なる勢いを乗せ
いざ、渾身の一撃を!
(アドリブ、連携歓迎です)
くるくる、くるくる、回る木馬と回る身体。舞姫の動きを目で追いながら、甚五郎・クヌギはふわふわとした顎を触る。
「ふむ、回る頭とは奇っ怪な。ずっと見ていたら、目がくらくらしてしまいそうな相手であるな」
猟兵達の背後に隠れたシュウを確かめ、猫は薙刀の切っ先を舞姫へ向けた。距離をはかりながら、金の瞳で睨みを利かせる。
「シュウ君、我輩達から決して離れないことだ」
「うん」
とん、と再び予備動作なしに宙を舞った舞姫だったが、同じ手は通用しない。しっかりと動きを見ていたクヌギが駆け、薙刀を素早く振るう。
薙ぎ払うことで生まれた風は凄まじく、ぶわりと吹きすさぶことで舞姫の脚を転ばせる。
「簡単には近づけさせん」
鋭い突きを躱した舞姫は一気に後退すると、白い掌を翳す。煙の中から生み出されたのは、猫じゃらしにネズミの玩具、色とりどりのよく跳ねるボール。ぱっと放たれたそれらはクヌギへと飛びかかるが、赤猫はふんと鼻で笑った。
「これはこれは、我輩も随分馬鹿にされたものである」
ならば遊んでやろうかと、猫じゃらしと跳ねるボールを爪で斬り裂き、ネズミの群れをなぎ倒す。同時に薙刀で再び風を巻き起こせば、逆回転がかかったのか、舞姫の動きが緩くなるのをクヌギは見逃さなかった。
「いざや、参らん」
にぃと笑った口元から鋭い牙が見え隠れ。妖刀の怨念はざわりとその身に纏わりつき、深い呼吸と共に赤猫は奔る。一般人であるシュウの目には捉えられない程の速度で舞姫に接近、びゅっという音がして、数秒後に砂場の砂が舞い上がる。衝撃波に歩みを止めた舞姫の眼前に迫るクヌギは、自身の小さな身体を限界まで回転させる。
「回転なら、我輩も負けていないのである!」
そう叫んだと同時、悪鬼悪漢を成敗する刃は稲光り、渾身の一撃が舞姫の身体をずたずたに斬り捨てる。
「……すごい」
思わず感嘆の声をもらしたシュウに、クヌギは軽く頭を下げた。その場に伏した舞姫の、細い手足がかたりと動き、回転木馬がからんと回る。
くるくる、くるくる、ぐるぐる、ぐるぐるぐるぐる。
不釣り合いな頭を大きく揺らして、舞姫はまた立ち上がり。
「……ねぇ、君は、どうしてそこまでするの」
テレビウムは、声を震わせる。
大成功
🔵🔵🔵
フィロメーラ・アステール
「なんか厄介そうなヤツが出てきたなー!」
シュウが動けないと、敵の手が届くのは時間の問題?!
ここは物量で押し返すか!
【はじまりを刻む地の新星】を使うぜ!
【全力魔法】の波動で、公園の遊具たちを魔力生命体に変換!
みんな、シュウを守るために力を貸してくれー!
……うむ!
みんなもシュウを守るために頑張ると言っている、気がする!
むしろ一緒に遊びたいのかも!
あたしの【第六感】がそう囁く!
じゃあ楽しかった思い出は、楽しい想いで上書き!
陽気な【パフォーマンス】で【ダンス】パーティーを始めようか!
遊具が暴れる愉快な戦いで、戦場の空気を書き換えて【鼓舞】!
あと必要なら【オーラ防御】のバリアを飛ばして支援するぞ!
舞姫の頭部である回転木馬がぐるぐると回る。バイクの衝突と薙刀の一撃を受けた細身の身体はぼろぼろで、それでも舞姫はテレビウムを諦める様子はない。
「なんか厄介そうなヤツが出てきたなー!シュウ、やっぱまだ逃げられないか?」
「う、うん。全然、足が動かなくて」
「よし!」
相変わらず身動きが取れずしょんぼりとしているシュウに、フィロメーラ・アステールは笑顔で返す。
「なら、ここは物量で押し返す!」
煌めく羽で飛び回りながら、妖精は拳を振りあげた。星屑を纏う魔力がフィロメーラを中心に、一気に箱庭の中で満たされていく。公園の遊具にあっという間に星の瞬きが染み渡った。
「みんな、シュウを守るために力を貸してくれー!」
高らかに声をかけた彼女に呼応するように、公園全体の空気が震える。シーソーはぎっこんばったん、ブランコはゆらゆら、ジャングルジムはがしゃりがしゃり。ぬっと手足が生えた遊具達は、地面からその身を立ち上がらせた。
「……うむ!みんなもシュウを守るために頑張ると言っている、気がする!」
「そうなの?」
「むしろ一緒に遊びたいのかも!」
あたしの第六感がそう囁くのだと、問うたテレビウムに妖精は明るく答えた。仮初のいのちを宿した遊具達は、舞姫へと歩き出す。ど、という音を立ててシーソーが板を叩きつけ、ブランコは素早く鎖を振りかざし。ジャングルジムはその身体を檻とする。
くるりくるりと舞いながら、器用に遊具の攻撃を躱す舞姫は、とんと軽い足取りで鉄棒の先に降り立った。きゅっと大事なものを抱きしめるように両手を組むと、胸から溢れだす美しい光景。
それは誰のものなのだろう――子供達の笑い声、微笑みあう恋人達の囁き、人々を乗せて楽しく動くアトラクション。回転木馬の頭部はオルゴールの音色を鳴らし続け、シュウへと静かに手を伸ばす。
「……君、泣いてるの?」
光を放つシュウは、細い指先を伸ばす舞姫に問うた。
「でも、ぼくは行かない……行きたくないんだ。ごめんね」
首を横に振ったシュウに、舞姫は伸ばした手を降ろす。その様子を見たフィロメーラは笑顔で頷く。
「うん!じゃあ楽しかった思い出は、楽しい想いで上書き!」
両手を広げた幸運を運ぶ妖精は、いのちをもった遊具の上をホップステップジャンプ。過去より今、今より未来が輝くために。想いはダンスに乗って、舞姫よりも明るく楽しくその場の空気を変えてゆく。その眩しさは、思い出を超えてゆく。
「もう終わりにしようぜ、お前も遊び疲れただろ」
フィロメーラがそう語りかけた時、遊具達は一斉に舞姫へ襲いかかる。抵抗する姿を見せなかった彼女は、静かにその攻撃を受け入れる。
最期にオルゴールが奏でられて、音が、途切れた。
魔力が消え失せ元通りになった遊具達以外、もはやそこには猟兵とシュウ以外、誰も居なくなっていた。
「お、おわったの、かな」
おずおずと問いかけたシュウに、猟兵達は頷き、そして彼を指さした。
「え、え、なに?ぼく、なにかまた……あっ」
輝いていた光は収まり、彼の画面にはビックリマークが表示されている。くるくると画面は変わり、それは彼自身の意思で行われているようだった。
「治った、治ったよ!」
ぴょんぴょん跳ねて喜ぶテレビウムを、猟兵達が微笑ましく見守っていた時のこと。箱庭を形作っていたビルの群れがガタガタ震え、どこからともなく音声が流れ始める。
「システム・フラワーズより緊急救援要請」
「全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に、侵入者あり」
「テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど、開放されるメンテナンスルートは増加する。至急の救援を請う」
唐突に喋りだしたビルの群れにまたもすっとんきょうな声をあげるシュウ。猟兵達も、互いの顔を見て疑問を浮かべた。
「ねぇ、猟兵さん。なにが、起きてるのかな」
不安そうに言葉を紡ぐテレビウムの小さな手を、猟兵達はそっとつなぐ。
大成功
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