テレビウムロック〜修理はお任せあれ(保証は無い)〜
「皆さん、緊急の案件です!」
ルウ・アイゼルネ(飄々とした仲介役・f11945)がグリモアベースでのんびりしていた猟兵達に向かって大声で呼びかける。
「ただいま、キマイラフューチャーにてオブリビオンが大量に出現しました」
ただし今回はいつもと様子が違うらしい。
確認されているオブリビオンは普段と違い、テレビウムだけを狙って動いているらしいのだ。
しかもその攻撃は巻き込まれたグリモア猟兵のテレビウムがグリモアベースに避難することすら出来ないほど熾烈を極めているそうだ。
そのため予知以外の、現地からの情報は当事者からなぜか外れた他種族からの伝聞でしか得られてないらしい。
そのため不確定な文言になっている、とルウは言い訳した。
「そんな中、気になる情報がもたらされたました」
その情報は『追われているテレビウムの顔に、変な鍵っぽいアイコンが表示されていた』という物だった。
「……現在グリモアベースでもテレビウムに表示された鍵について調べられていますが、ウイルスの類なのかオブリビオンによるものなのか、はたまた偶然の一致なのかは未だ不明です。ただ、上は今回の襲撃と何らかの関係性があるだろうと見ています」
現在オブリビオン達は『鍵が表示されたテレビウムだけに』執着し、他には一切興味を示していないようなので、テレビウムの近くにさえいれば飛んで火に入る夏の虫状態でボコボコに殴れるようだ。
「そこで、この謎の鍵の正体を解析または解除されるまで、テレビウムの皆様を守ってきていただきます。キマイラフューチャーは享楽的な世界でお馴染みですが……このようなお祭りは早々に潰れていただきましょう」
平岡祐樹
どうも、完全に出遅れたポンコツMSです。
金色の週間を前にキマイラフューチャーで起きた大騒動を鎮圧すべく、皆様には大暴れしていただきます。こちらも即返しの勢いで執筆する予定です。
テレビウムに、キマイラフューチャーに何が起きているのか、その真相は皆さまの動きにかかっております!
第1章 集団戦
『スロットマシン怪人』
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POW : プレジャー・プリーズ
自身の【刹那的な楽しみ】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : スリーセブン・スラッシャー
【頭部のスロットをフル回転しての連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : ロスト・ロケット
自身の装備武器に【遺失技術製のロケットエンジン】を搭載し、破壊力を増加する。
イラスト:風馳カイ
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ジャック・カラック
テレビウムだけ狙うとかマイナー過ぎないかな...
あ、可愛いからとかそういう理由なら僕はご遠慮願いたいね
修理とかなら要相談ってとこだけど
鍵が表示された子だけを狙うって、自分の意思で鍵を表示してても狙われるのかな?
試しに鍵を表示してみようか。
それなら狙う対象が増えて、混乱するだろうし
こちらに向かってこないなら行く手を阻むだけさ
ロボットを展開して攻撃と盾で両方に備えるよ
僕がボコボコにされるのは勘弁してほしいからね
相手が不利な攻撃をしそうな時がチャンス。
一気に叩かせてもらおうか
鍵が出ている子を、捕まえたいにしたって、この敵の量は多過ぎじゃないかな!
ああ、おじさんにこんなに詰め掛けられても困っちゃうな!
「誰か助けてー!」
「カギカギカギカギカギ」
「テレビウムだけ狙うとかマイナー過ぎないかな...…あ、可愛いからとかそういう理由なら僕はご遠慮願いたいね。修理とかなら要相談ってとこだけど」
ジャック・カラック(ガラクタノホシ・f04652)は全く何も映ってない画面で、同族を追い立てるスロットマシン達を眺めていた。
「鍵が表示された子だけを狙うって、自分の意思で鍵を表示してても狙われるのかな?」
カラックの画面に鍵のアイコンが表示される。すると他のテレビウムを追いかけていたスロットマシンの一団の一部が即座に分かれ、カラックに向かって突撃してきた。
「お、鍵なら何でもいいみたいだね? それじゃおじさんも頑張ろうか」
カラックが近くにあった自動車に触れ、そのまま合体する。
「カギカギカギィ!」
正気を失っている声を上げながら突進してくるスロットマシン達に、カラックは近くにあったベンチを踏み台にして飛び上がり、腕についたタイヤを思いっきり上から叩きつけた。
「鍵が出ている子を、捕まえたいにしたって、この量は多過ぎじゃないかな!」
「カッ……カギ……」
頭をひしゃげさせられたスロットマシン達がうわ言を上げながら消えていく。
周りに自分を狙うオブリビオンが一先ずいなくなったのを確認したカラックは元の何も映っていない画面に顔を戻そうとした。
「ん? あれ……消せない? 嘘だろう?」
しかし鍵の表示はまるで貼りついたかのように消せない。自分の意思で表示したはずのもののコントロールが失われていることにカラックは冷や汗をかき始めた。
「カギッ? カギカギカギィ!」
そんなカラックの元に先ほどよりも遥かに多い数のスロットマシンの群れが押し寄せてくる。
「ああ、おじさんにこんなに詰め掛けられても困っちゃうな!」
カラックは嬉しくない悲鳴を上げながら、スロットマシンの魔の手から逃げ始めた。
苦戦
🔵🔴🔴
優陽・無訓
鍵が表示されたテレビウムを狙っての事件か。
いずれにしても、オブリビオンは見過ごせないからね。
まずは「キーボード」による演奏で惹きつけようか。
こちらに関心が向いたら、片手で演奏しつつ、
「鋼糸」で腕や脚に巻き付けて動きを封じるよ。
じゃ、始めようか。
使うユーベルコードは【Tempesta di fiori】。
せめて安らかに眠れ。
アドリブ・絡みは歓迎だよ。
「鍵が表示されたテレビウムを狙っての事件か。いずれにしても、オブリビオンは見過ごせないからね」
優陽・無訓(影夢の弾語手・f06284)は逃げ惑うテレビウムと追いかけるスロットマシンの間に割り込む。
「さぁ、始めようか!」
無訓は手持ちのキーボードによる演奏を始めるが、スロットマシンは一切反応せずにすれ違っていく。
猟兵を見たら問答無用で襲いかかってくるはずのオブリビオンにとって、その行動はあまりに異質だった。
「本当に他には一切興味を示さないんだね。……まぁ、それは織り込み済みなんだけどね」
苦笑いを浮かべる無訓がキーボードから片手を離し、挙げる。
すると無訓からすれ違っていったスロットマシン達が一斉に転び、その場で這い蹲り始めた。
その足をよく見ると、とても細い金属の糸が巻き付いていた。
それに気づいたスロットマシンが振り返り、その排出口からコインが巻き付かれたミサイルが鋼糸に向かって放たれる。
「カギ……カギ……」
自分の足を巻き込みながらも鋼糸を吹き飛ばしたスロットマシンは、うわ言を繰り返し、足を引きずりながらなおも遥か遠くにいったテレビウムを追いかけようとする。
「……本当に異常だ」
その様子に無訓は眉をひそめながらもう一度鋼糸を放ち、その動きを封じた。
今回のオブリビオンが何らかの精神異常を受けているのはもはや明らか。
敵ではあるものの、使い捨ての尖兵として扱われている様子のスロットマシンに哀れみを覚えながらも無訓は目を閉じた。
「『踊り巡れ、花嵐』……せめて安らかに眠れ」
スロットマシンに巻き付いていた鋼糸が、姿が全く見えなくなるほど大量の霞草の花びらに変わる。
白い霞草に覆われたスロットマシンのうわ言は徐々に小さくなり、全てが舞い散った後には何も残っていなかった。
成功
🔵🔵🔴
鳶沢・成美
理由は不明でもオブリビオンが相手なら戦うまでです
他に方法も知りませんからね
”目立たない”様に物陰から”全力魔法”の”2回攻撃”で【火雷神道真】使用
”誘導弾”で確実にあたるように攻撃
「基本的にテレビウムさんを追いかけていく感じなので隙だらけですね」
アドリブ・絡み・可 ””内技能
いくら猟兵に興味がなかったとしても流れ弾が当たったら大怪我はするし、何よりも怖い。しかし暴れている理由が分からなくても猟兵であればオブリビオンを倒さなくてはならない。
そんなわけで鳶沢・成美(人間の探索者・f03142)は目立たないように物陰に隠れながら、カギカギ言って走り回るスロットマシンを監視していた。
「基本的にテレビウムさんを追いかけていく感じなので隙だらけですね」
一応ここに来る前にルウから聞いてはいたものの、改めて自分の目で確認するとその異様さがより際立っていた。
「……とりあえず『道真さんよろしくー』」
全力で放たれた雷の礫がまるで引き寄せられたかのようにスロットマシン達に落ち、とんでもない音が辺りに響き渡る。
雷が直撃したスロットマシンは黒焦げになってその場に次々と崩れ落ちていった。
あまりにとんでもない音とその威力の余波によって追いかけられていたテレビウムはひっくり返って気絶してしまっていた。
「あっ、しまった……! 大丈夫ですか⁉︎」
「ううっ……」
遠目では当たったか否かが分からないため成美は慌ててテレビウムの元に駆け寄る。
抱き上げたテレビウムからうなされるような声が聞こえてきたことに成美は安堵するが、テレビウムの画面から肝心の鍵のアイコンは消失していない。
「少なくとも、本人が気絶していても鍵は出続けるのか。って、これどうしよう……?」
このまま放置してしまえばこのテレビウムは別の所から来たオブリビオンに反撃することすら出来ずにボコボコにされるかどこかに連れ去られるか……とにかく酷い目に遭わされてしまうだろう。
かといって軽く頰を叩いても声をかけても起きる様子はない。
成美はこれから自分に襲いかかってくるであろう苦難を予期してため息をつくと、未だに目を覚まさないテレビウムをおぶってこの場から離れた。
成功
🔵🔵🔴
アーサー・ツヴァイク
※アドリブ共闘大歓迎
今度の相手は全身スロット野郎か…まだしぶとく生き残ってるのが残っているな。
まずは【フルスピード・スカイドライブ】で追っかけてくるスロット怪人集団の先頭に突っ込む。
戦場に無事乱入できたら、テレビウム君を逃がすのは先の猟兵たちに託して、怪人の相手を引き受けるぜ。
あれだよ、ここは俺に任せてお前たちは先に行け! ってやつだな。
安心しろ、直ぐに追い付く!
…などと茶番を入れつつ怪人には本気で行くぜ。左手にレイシューターを構えて射撃。怪人を近づけさせないぜ!
右手はブーストアームを構えて待機。【力溜め】で十分に構えたら【ブーステッド・ソニックアーム】を発動!
全部まとめて【吹き飛ばし】だ!
「ひいぃぃぃっ! お助けー!」
追いかけてくるスロットマシンから、鍵のアイコンを短い手で隠しながらテレビウムは細い路地裏を走る。
そこを抜けた瞬間、機械同士がぶつかり合う音が後方から聞こえた。
聞き覚えのない異音に思わず足を止めて振り返ると、そこにはバイクのタイヤがめり込んで停止したスロットマシンと、その傍に降り立った赤いアーマーに身を包んだ戦士……アーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)の姿があった。
「おう、大丈夫だったか?」
「え、嘘……モノホン?」
テレビウムがアーサーの姿に釘付けになる中、バイクがめり込んだスロットマシンを踏み越えて別のスロットマシン達が進行してくる。
「ドーンブレイカー、前! 前!」
「おっと、いけねぇ」
アーサーは首を鳴らすと再び正面を向き直す。
「安心しろ、直ぐに追い付く! ここは俺に任せてお前は先に行け!」
「は、はい! 出来たら後でサインしてくださいね!」
アーサーの言葉にテレビウムは頷いてその場から駆け出していく。こんな状況にもかかわらずサインをねだってくるのは強心臓の表れなのか、能天気なのか……ただ今は重要なことではない。
「さて、まとめてやっちまうか!」
【Select……COUNT ACTION!】
スロットマシンの足元をレイシューターで撃ち抜きながら、アーサーはベルトにスマートフォンのような物をかざす。
【3……2……1……!】
すると何かのカウントダウンが始まり出し、右腕に謎のオーラが生じ始める。
『骸の海の向こう側まで……』
アーサーは足を縦に開き、背中を見せるように思いっきり体を捻る。
【Good luck!】
『ぶっ飛べええええ!!』
そして今まで溜めてきたパワーを一気に放出するように前に発射された拳は、路地裏で列を成していたスロットマシン達を軽々となぎ払っていった。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『戦闘員・ナグルド』
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POW : 強靭で無敵だド!
全身を【頑丈なサンドバッグ 】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : バチバチするド!
【触れると爆発する砂 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 飛び道具卑怯だド!
【ボクシンググローブ 】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
イラスト:井渡
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🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
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各地で猟兵達が奮戦する中、テレビウム達に再び異変が起き始めた。
「あれ、画面が変わったぞー?」
マジックミラー越しに首を傾げるテレビウムの顔には鍵のアイコンと重なるようにキマイラフューチャーの地図が表示され始めたのである。
この地図の場所について猟兵が尋ねるとすぐに答えが返ってきた。
「ここ? 川がそばにあるからすぐ分かるよ! 両手を挙げて走ってるバーチャルキャラクターの看板がある橋だよ! 確かあっちの……」
そう言って指差したテレビウムが固まる。指差した先を見てみると黒いサンドバッグのオブリビオン達が行方を遮るように立ち尽くしていた。
「カギ……カギ……」
いつもなら自分を倒せるかどうか挑発してくるはずのサンドバッグだが、スロットマシンと同じようにうわ言を言いながら全く動こうとしない。
増援が来てしまう前に実力行使で排除し、問題の看板があるという橋へと向かおう!
鳶沢・成美
そのキャラクターは一粒何百メートルとかいうあれに似ているんですかね?
まあいいですけども
相手が動かないのなら遠慮は無用、遠距離から”全力魔法”の”2回攻撃”で
【火雷神道真】使用
何とかの一つ覚えみたいですが、こういう場合はやっぱりこれが使いやすい
街中で地形破壊系のユーベルコードというわけにもいきませんからね
”誘導弾”で誘導して、周辺の被害は最小限に抑えたいところ
アドリブ・絡み・可 ””内技能
「そのキャラクターは一粒何百メートルとかいうあれに似ているんですかね?」
「うーん……そういうのは分からないやー」
成美の問いかけにテレビウムは首を傾げる。
もしテレビウムの言っている物がUDCアースで見たことがあるアレと同じ物だったとしてもキマイラフューチャーは一度人類が絶滅した見られている世界。かつて日本のお菓子界をリードした企業の商品のキャッチフレーズの情報も一緒に消え失せてしまったのだろう。
「ごめんね、お兄さん」
「まあいいですけども……ねっ!」
成美は申し訳なさそうにするテレビウムに笑いかけながら、掌で転がしていた雷の礫を思いっきり振りかぶって投じた。
雷の礫は空中で弾けると大量の落雷に変わり、サンドバッグに降り注ぐ。
「何とかの一つ覚えみたいですが、こういう場合はやっぱりこれが使いやすい。街中で地形破壊系のユーベルコードというわけにもいきませんからね」
サンドバッグは正面から雷を受けた。しかしスロットマシンと違い、消滅しない。
成美は目を疑いながらもう一度雷の礫を投じてみたが、サンドバッグ達に変化する様子はない。
「……おかしいですね」
おそるおそる近づいてみるが、サンドバッグ達は「カギカギ」言うだけで殴ろうとも逃げようともしない。だが、先ほどのテレビウムのように気絶したのであれば「カギカギ」言えるわけがない。
つまり、先ほどの雷が全く効いてないことを指していた。
「うーん、これはどうしたもんか……」
予想外の事態に成美は思わず笑ってしまいながら手を口に当たる。
そんな中、成美の後をついてきたテレビウムは声を出してサンドバッグを一気に引っ張ってみた。
するとサンドバッグは抵抗することなく簡単に元の場所からズレた。
「あ、やった! 道が開いたよお兄さん!」
「えっ、ええ……」
喜ぶテレビウムとズレたサンドバッグの姿に成美は思わず困惑の声を上げてしまった。
自分の攻撃が効かなかったのは不本意ではあるが、一筋の光明を得た成美はテレビウムと一緒になってサンドバッグを一体ずつ歩行の邪魔にならない所へ退かし始めるのであった。
苦戦
🔵🔴🔴
優陽・無訓
動こうとしない、というのが気になるけど、
増援が来ても困るし、さて、どうしようか。
鋼糸と鞭を使っていこうか。
翼で飛んですり抜けつつ、鋼糸で傷を付けてみたり、
可能なら、巻き付けて縛ったナグルドを、
別のナグルドにぶつけてみるよ。
ある程度攻撃したら、ユーベルコードに切り替えるよ。
使うのは【cantare in silenzio】だよ。
アドリブ・絡みは歓迎だよ。
「動こうとしない、というのが気になるけど、増援が来ても困るし……さて、どうしようか」
まるで警察が車両で通行止めをしているかのように大量のサンドバッグが隙間なく埋め尽くしている道を前に無訓は首を傾げた。
「お兄さんお兄さん、その羽でぼくを乗せて乗り越えたらラクショーじゃないの?」
不思議そうに問いかけるテレビウムに無訓はしゃがんで目線を合わせて答えた。
「たしかに楽勝だけど、その地図が示す所に別のオブリビオンがいて、俺がそのオブリビオンに捕まったらキミは逃げられなくなるだろう? そうなった時のために退路は常に用意しておくべきなのさ」
「なるほどー」
テレビウムはとりあえず頷いたが、あまりに棒読みで本当に理解したかどうかは微妙であった。
無訓は翼を広げて空に飛び立ち、ひとまず鋼糸を飛ばしてサンドバッグを傷つけてみる。
すると切られた頭部から砂が顔を覗かせた。その砂が翼が動いたことによって舞い、それに触れたサンドバッグが爆発して宙を舞った。
「なるほど、あの砂は触れると爆発するのか……それなら」
無訓はキーボードを取り出すと演奏を始める。だがキーボードから肝心の音が流れない。
『こんな演出はどうかな?』
サンドバッグの体が見えない刃に切られたかのように、次々と傷ついていく。
そして演奏を止めると無訓は砂を全身から流すサンドバッグの一体に鋼糸を巻きつけると、釣り上げて別のサンドバッグの上で振り回す。
するとサンドバッグから流れ出た砂が直撃し、食らったサンドバッグがまるで花火のように爆発して打ち上がる。
そうして宙に舞ったサンドバッグをさらに振り回しているサンドバッグで吹っ飛ばすと、遠くのサンドバッグに着弾させて爆発し、それで吹き飛んだサンドバッグが別のサンドバッグの上に落ちて爆発し……とどんどん勝手に被害を増していく。
「砂は爆発したら消えるみたいだし……しばらくこのまま待ちますか」
ここまで連鎖すればもう俺が手を加える必要はないだろう、と無訓は鋼糸を解くと、近くにあった信号機に腰掛けてサンドバッグ達が一掃されるのを待つことにした。
成功
🔵🔵🔴
鳶沢・成美
これはナグルドのユーベルコードの効果かな?
ならばたくさん巻き込むようにして攻撃すれば、効けばダメージを与えられるし、
効かなくても動けなくなる、そしてナグルドの攻撃もこっちに集中するのでテレビウムも守れる
これは攻撃するだけ得ですね
”範囲攻撃”であることを意識して”全力魔法”でナグルドに対し【氷雪竜巻】使用
「寒の戻りってやつですね(嘘)」
そういえば、テレビウムさんの名前聞いてませんでしたねえ、後で聞いておかないと
アドリブ・絡み・可 ””内技能
アーサー・ツヴァイク
※アドリブ共闘大歓迎
こっちが力で攻めようとすると守りを固めるようだな…
ならその習性を利用しようじゃないか
まずは【怪力】で力任せに投げ飛ばしたり、【グラップル】でがっちり掴んで投げ飛ばしたり、なんやかんやでサンドバッグを一纏めにする。
一纏めにごっちゃになったところに…【シャイニングブレイク】! …を光の鎖だけで留める。光の鎖で一纏まりにふんじばってからが本番だ。
光の鎖をでグッと掴んだら【フルスピード・スカイドライブ】を発動! サンドバッグと一緒にお空にゴー! だぜ!!
後は適当に高い所から放りなげてリリース。こっちは急ぎなんだ、殴られたいなら今度じっくりやってやるからさ。今日はこれで簡便な!
『舞え、氷の竜よ。アイストルネード……なんちゃって』
無数の細かい氷の粒がサンドバッグを傷つけ、大爆発を起こしていく。
しかし成美はその結果に首を傾げていた。
「うーん……これはこいつのユーベルコードの効果かな? 近距離で殴ると大爆発してカウンターって感じか……流石はサンドバッグ?」
本来の【氷雪竜巻】は氷の粒で相手を傷つけるだけで爆発を起こすわけではない。つまり爆発はサンドバッグの能力による物だという予測が容易に想像出来た。
その一方サンドバッグ達は仲間が吹っ飛ばされた隙間を埋めるためか、氷が冷たかったからか一纏まりに集まっていた。
「寒の戻りってやつですかね?」
「お兄さーん、関心してないで退かす手止めないでー!」
後ろからテレビウムの悲鳴が聞こえてくる。
テレビウムの言う通りまだまだサンドバッグは大量にあり、突破することはまだまだ出来そうになかった。
そんな中、遠くから轟音が響いてくる。その方向を見ると龍を模したヘッドを持つバイクに乗った赤い鎧を身に纏った人がこっちに向かって来ていた。
別のテレビウムが相乗りしていたバイクは成美の横で止まり、運転手が軽々と降りる。
「おいおい何だよ、このナグルドの群れは……」
「ああ、こいつ『ナグルド』って言うんですか」
「ああそうだ……って、あんたもお仕事中か、お疲れ様!」
同僚だと天性の勘が囁いたのか、運転手はマスク越しににこやかに対応する。
「俺はアーサー、よろしく頼むぜ!」
「鳶沢成美です、こちらこそよろしくお願いします。で、こいつらどうすればいいですかね?」
名前を知っているということは対処法も知っているのではないか、と成美はアーサーに問いかける。
するとアーサーはサンドバッグ改め、ナグルドの方を見やった。
「うーん……俺が見たのはドードーうるさくて、殴られっぱなしになっているだけで、こう……カギカギ言って動かない所は見たことないんだよな……。あんたこうしてるってことは戦ったんだろう、どうだったんだ?」
成美はついさっき行った戦闘について包み隠さずアーサーに伝えた。
「なるほど……こっちが近距離で攻めると爆発して、遠距離で攻めようとすると守りを固めるっぽいのか」
「はい。だからたくさん巻き込むようにして攻撃すれば、効けばダメージを与えられるし、効かなくても動かなくなる。ナグルドがもし攻撃に回ったとしてもこっちに集中するだろうからテレビウムも守れる……。ぶっちゃけ攻撃した方が得なんですよね」
「……ならその習性を利用しようじゃないか」
アーサーは成美に耳打ちして作戦を伝える。すると成美は笑顔で頷き、前を向いた。
「分かりました、それじゃあ……そこの……えーと、名前なんでしたっけ?」
「僕? 僕はアー・ナログーだよー?」
「じゃあナログーさん、今からもう一発技ぶち込むんで下がってください!」
「わかったー!」
今更ながら名前が判明したテレビウムことナログーが成美とアーサーの後ろに下がる。
『舞え、氷の竜よ。アイストルネード……なんちゃって』
再び成美が【氷雪竜巻】を放ち、食らったナグルドが爆発して宙を舞う。
食らわなかったナグルドが一ヶ所に集まり出す中に次々と別の無傷のナグルドが遠くから投げ込まれていく。
「さっすがドーンブレイカーだぜ!」
「ドーンブレイカーって言うんだあの人……。僕が必死に引っ張ってようやく動くあいつを次々に投げ飛ばしてる……すごいなぁ」
ドーンブレイカーファンのテレビウムが興奮する中、ナログーは感嘆していた。
そうこうしているうちに道の真ん中にはとんでもない高さのナグルドタワーが出来上がった。
【Select……FINAL ACTION!!】
アーサーはナグルドタワーを覆うように光の鎖で出来た網をその上にかける。
そして光の鎖をライドランの後部に引っかかるとそのまま飛び乗った。
【Select……FLYING ACTION!!】
『行くぜ、ライドラン! 大空でも宇宙でも、どこまでも飛んで行くぜえええ!!』
アーサーがアクセルを全開にするとその姿がライドランから発せられる蒸気に隠れ、一気に空中に踊り出た。
そして成美やテレビウム達の姿が見えないほどの高度まで飛んだ所でアーサーは鎖を手に取った。
「こっちは急ぎなんだ、殴られたいなら今度じっくりやってやるからさ。今日はこれで簡便な!」
そしてそのまま手を離し、空中に放り出されたナグルド達よりも速く地上へと帰還する。
「よし、成美ナログーヒーロ、後ろに乗ってくれ! あいつらが落ちてくる前に走り抜けるぞ!」
「わ、分かりました!」
投げられたヘルメットを受け取った成美とナログーは、意気揚々と駆け寄るテレビウムことヒーロの後を追ってライドランに跨った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『マルチプル・アースムーバー』
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POW : タイヘン キケンデスノデ チカヅカナイデクダサイ
【放り投げた瓦礫や、ドリルの一撃など】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を瓦礫の山に変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : シャリョウガ トオリマス ゴチュウイクダサイ
【ブルドーザー形態による猛烈突進攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : ゴメイワクヲ オカケシテオリマス
【排気マフラー】から【環境に厳しい有害物質たっぷりの黒煙】を放ち、【強烈な粘膜刺激と視界の悪化】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:おおゆき
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠グァンデ・アォ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
両手を挙げて走るバーチャルキャラクターの看板が一望できる橋の上。
そこに猟兵達に護衛されたテレビウム達が次々と集まり始めていた。
そんな中、巨大なウォーマシンがこちらにやってくる。その傍らにはテレビウムの姿はない。
「ハジメマシテ、ワタクシ、テレビウムノシュウリヲウケオッテマイリマシタ『マルチプル・アースムーバー』トモウシマス。ヨロシクオネガイシマス」
マルチプルは丁寧に頭を下げるが、その手についている重機はどう見えても手術用ではなく解体用のそれである。
「あの……僕達こんな見た目だけど機械じゃないんですけど……」
困惑した様子でヒーロやナログーが顔を見合わせていると、突然この場にいるテレビウム達の画面の表示が消え、眩い光を発するようになった。
「うっ、うわぁ⁉︎」
「何これ、調整できないよー!」
「ヤハリミナサンコショウシテイマス!」
その様子を見たマルチプルは焦ったような声を出し、勢い良く左手のドリルや背中に背負ってあるキャタピラを動かし始める。
「カギガヒョウジサレテイルノガナニヨリノショウコデス! ミナサンアンシンシテクダサイ、ワタクシガチャントナオシテアゲマスカラ!」
アーサー・ツヴァイク
※協力アドリブ大歓迎
修理業者なんざ呼んでねえんだよ、とっとと帰れ!
一つも安心できそうにないこいつをテレビウム君たちに近づけさせるわけにはいかねぇ。【フルスピード・スカイドライブ】を発動させて、まずはこのデカブツを【吹き飛ばし】だぜ!
敵も頑丈だろうし、この程度ではやられないだろう。だが、テレビウム君たちとデカブツの間に割り込められれば十分。
後は瓦礫が飛んでこようが、ドリルがこようがバスターホーンの【盾受け】や【激痛耐性】【オーラ防御】などで耐え抜く!
瓦礫の山が出来上がってきたら、バスターホーンをハンマーに変えて【ダイナミック・ストライク】で粉々に粉砕してやるぜ!!
任せたら間違いなく大失敗になりそうな予感がするマルチプルにライドランに乗ったアーサーが体当たりを仕掛ける。
「ナ、ナニヲスルンデスカー!」
「修理業者なんざ呼んでねえんだよ、とっとと帰れ!」
尻餅をついたマルチプルを指差し、アーサーが怒鳴るとマルチプルの排気マフラーから黒煙が噴き出した。
「アナタガヨンデナクテモ、ワタシハイライヲウケテキタノデス! ジャマヲスルナラヨウシャハイタシマセン!」
ゆっくりと起き上がったマルチプルは両腕を上げて吠えた。
「テレビウムノミナサマ、タイヘンキケンデスノデチカヅカナイデクダサイ!」
マルチプルが思いっきり地面にドリルを突き刺し、跳ね上がったレンガやコンクリートの破片を右手のシャベルで思いっきりアーサーに向かって叩きつける。アーサーもバスターホーンを構えて向かい来る破片を次々と受け止める。
「ひいいいいいっ!」
「うわぁっ!」
しかし元から明後日の方向に飛んでいった物など全ての破片を受け止めることは出来ず、偶然射線に入ってしまったテレビウム達が逃げ惑う。
「しまった……!」
「ホントウニシマッタトオモウナラサッサトテヲヒクノデス!」
テレビウムの悲鳴に反射的に振り返ってしまったアーサーに、いつの間にかそばに近づいていたマルチプルのシャベルが叩きつけられる。
アーサーはすぐに盾を構えなおすが、あまりの衝撃に橋の上を滑らされた。
「アマリキイテイマセンカ……」
盾がもろに当たった反動で痺れたのか、マルチプルは右手を回した。
その隙に最初の動きと今の攻撃に入るまでの動きの速さの違いの原因を考えていたアーサーの目に、マルチプルの足元にあるボロボロに壊された路面が入った。
「瓦礫の上だと動きが速くなるのか……? ならば」
【Select…SMASH ACTION!】
『バスターホーンの馬力…受け止めてみろおおおおお!!』
盾からハンマーへと姿を変えたバスターホーンを思いっきり叩きつける。
「ソンナオオブリノコウゲキハアタリマセンヨ!」
その一撃を軽々と避けたマルチプルであるが真っ平らな路面で構えなおす姿は、攻撃してきたときと比べて明らかに動きが鈍くなっていた。
「自分でフィールドを傷つければ傷つけるほど動きが良くなるのか……こりゃあさっさと片付けねぇとまずいな」
瓦礫が一掃された路面で盾を構え直したアーサーは唸りながら、ドリルで橋を壊すマルチプルの姿を見つめていた。
成功
🔵🔵🔴
鳶沢・成美
それにしても厄介なユーベルコードを持っていますね、これは面倒な
「ナログーさんたち、危ないです。十分下がっておいてくださいね」
”戦闘知識”から危険が少なそうな方にテレビウムたちを誘導
そして”早業”の”全力魔法”の【風神旋風縛】で捕縛を試みる
「風で特急列車がすっころぶ事だってあるんです。なら重機だってどうにかできる……はず」
アドリブ・絡み・可
優陽・無訓
修理する気無いよね、それ。
怪しい修理屋さんには、ご退場頂こうかな。
あの黒い煙は厄介だね。
浴びたりしないよう、飛んでかわしてみたりダッシュや残像を使って避けるよ。
あの腕、一瞬だけでも、動きを止められないかな?
鋼糸やウィップで腕の付け根部分を巻きつけて、動きを止めてみるよ。
動きが止まったなら、ユーベルコード【Tempesta di fiori】を使うよ。
「黒煙より白の花吹雪を、なんてね」
アドリブ・共闘歓迎だよ。
佐藤・和鏡子
この世界でかなりまずい事が起きようとしているようなので、協力させていただきます。
今回は他の方もいるようなので、ミレナリオ・リフレクションで敵の攻撃を相殺したり、医術や救助活動を使っての負傷者の救護など、援護重視で動きます。
攻撃する際は、救急車で体当たり(捨て身の一撃・吹き飛ばし)を食らわせます。
いくら機械でも車に突っ込まれたらただではすまないでしょうから。
敵の攻撃は救急車の車体で防ぎます。(武器受け)
成美は飛び交う瓦礫にてんやわんやしているテレビウム達に大声で呼びかけた。
「ナログーさんたち、危ないです。十分下がっておいてくださいね!」
「言われなくとも分かってますー!」
成美の指示にナログーが悲鳴のような大声で答える。
どうやら画面がおかしなことになっていても視界が妨害されている訳ではないらしい。しかしなぜかテレビウム達は必死に危険な橋の上を走り回って瓦礫を避けていた。
「ナログーさん! 橋から離れた方が安全だと思います、瓦礫は弾き返すので早くこっちに!」
見かねた成美が呼びかけるとナログーは泣きそうな声をあげた。
「分かってるよ! でも橋の外にいこうとしたら体が勝手に内に戻ろうとするんだー!」
「はいっ!?」
まさかの事態に成美は思わず目をひん剥いた。
「テレビウムの皆さん、大丈夫ですか?」
そんな中、避けきれずに破片をぶつかってしまったテレビウムを守るように救急車が横付けし、一人の少女……佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)が中から降りてきた。
「動かないでくださいね、今手当てしますから」
「やだ、戦場の白衣の天使……イダダダッ!?」
「はい、暴れないでくださいねー、我慢してー」
その笑顔にテレビウムは一瞬ときめいたが、直後に起きた骨折した腕を固定する時の痛みで一瞬で現実に引き戻された。
「シャリョウガトオリマス、ゴチュウイクダサイ!」
その一方、マルチプルが右手と左手を合わせるとシャベルが巨大化させる。
そして体勢を低くすると黒煙を後ろのマフラーから噴き出しながら突進した。
その後ろで空を飛び、攻撃のチャンスを伺っていた無訓は涙目になりながら咳き込んでいた。
「あの煙は、厄介だね……」
煙には直接当たっていないはずなのに、目と喉が痛む。どうやら直接当たっていなくても相手に影響を与える物質が含まれているらしい。
シュウリスル、と言っておきながら、下手すれば死んでしまうような行為を繰り返すマルチプルに無訓の信頼度は皆無に等しくなっていた。
「修理する気無いよね、それ。怪しい修理屋さんには、ご退場頂こうかな」
橋の上というただでさえ狭い場所で、多くのテレビウム達を守りながら戦闘を行うのはかなり厳しい物がある。
まずは動きを封じることを考え、無訓は巨大なシャベルに向かって鋼糸を投じ、巻きつけた。
そしてそのまま引っ張って動きを止めようとしたが、元の重さと馬力の差に屈し、まるで凧のように引っ張られてしまう。
このままでは好きなように振り回されるだけに終わってしまう。だが、ここにいる猟兵は彼だけではなかった。
「ミレナリオ・リフレクション!」
マルチプルの動きを完全にトレースした救急車が真正面からぶつかり、マルチプルの突進を無理矢理止める。
「いくら機械でも車に突っ込まれたらただではすまないでしょうから、このまま押し切ります!」
『風の神様よろしくです』
車輪から摩擦による煙を上げながらも、マルチプルに負けることなく突っ込み続ける救急車により、僅かに浮かび上がったマルチプルの足元に強烈な風が吹き込んだ。
「風で特急列車がすっころぶ事だってあるんです。なら重機だってどうにかできる……はず!」
お札を発光させる成美がそう断言するとマルチプルはそのままひっくり返されてしまった。
「カ、カイジョ……デキナイ⁉︎」
マルチプルは起き上がるために人型へ戻ろうとするが、成美の【風神旋風縛】によりユーベルコードを封じされており、身動きが取れない。
マフラーもひっくり返った時に潰れ、動けなくなったことにより黒煙の排出も止まった。
「『踊り巡れ、花嵐』!」
マルチプルに巻きついていた鋼の糸が霞草へと変わり、マルチプルを覆い尽くしていく。
「エラーエラーエラー! モンダイハッセイ、タイショデキマセン!」
「……黒煙より白の花吹雪を、なんてね」
そう言って無訓が地面に降り立つと同時に、霞草の花びらが一気に空に舞い上がり中にいたはずのマルチプルはどこかへと消え失せていた。
成美が【風神旋風縛】を解除すると花びらが重力に従って落ちてくる。サイケデリックなキマイラフューチャーでは珍しい幻想的な光景が広がる中で無訓はうつむきながら目をこすった。
「大丈夫ですか?」
和鏡子が医療器具を持って無訓に心配そうに話しかける。
「大丈夫だよ、ちょっとばかし目を回しちゃっただけだから」
「でも一応見させてください。あの煙の風下にずっといましたから……何か悪影響が後で出るかもしれないので」
丁寧ではあるものの有無を言わさない様子に無訓は苦笑いを浮かべつつも、近くにあった瓦礫の上に座って大人しく診察を受けることにした。
その一方でテレビウム達の画面から光が消え、しばらく暗くなった後……テレビウム独特のドットで作られた顔のアイコンが表示された。
「あ、戻った!」
「よかった、治ったよー!」
テレビウム達が喜びの声を上げる中、戦いの間も両手を上げて走っていたバーチャルキャラクターが手を突然下げた。
「テレビウムの一定数の集合を確認、プランFPを発動する」
にこやかな笑顔から真顔に変わったバーチャルキャラクターの口が動くとテレビウムの画面から男の声が聞こえ始めた。
「こ、これは何がおきてるんですか?」
「いえ、私、人体は分かりますが機械のことに関しては……」
成美の問いかけに和鏡子が困ったように返す中、バーチャルキャラクターは話を続ける。
「システム・フラワーズより緊急救援要請。全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に、侵入者あり。テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど、開放されるメンテナンスルートは増加する。至急の救援を請う」
そう一息に言い切るとバーチャルキャラクターは再び笑顔を見せ、何事も無かったかのように両手を上げて看板の中を走り出した。
「……ハッキングされたのか?」
「さぁ……?」
「と、とりあえず怪我している人はこちらに集まってください! 無料で治療いたしますので!」
訳が分からないまま、猟兵達は顔を見合わせながらもこの場で自分達ができることをし始めるのであった。
笑いと自由の世界に、悪意が少しずつ近づき始めている。
それが露わになる日は……そう遠くはない。
成功
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最終結果:成功
完成日:2019年04月28日
宿敵
『マルチプル・アースムーバー』
を撃破!
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