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テレビウム・ロック!~非日常テレビウム

#キマイラフューチャー #テレビウム・ロック! #テレビウム #システム・フラワーズ #コミカル #パヴェル

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●テレビウムピンチ!
 ぽてぽてぽてぽて!
 ぽて、ぽてぽてぽて!
 小さな足、小さな歩幅でせいいっぱい走っているのは、藤色のテレビウムの少年だ。
「わ~! なんで~! 顔が、顔がぁ~!」
 彼の顔には鍵のような像が浮かんでいる。どうやら彼自身にも、その理由はわかっていないようだ。
「しかもなんか追っかけてくるよ~!?」

「待つッピ!」
「止まるっピ!」
「悪いようにはしないッピ!」

 桃色のまるまるとした鳥がたくさん、何故か飛ばずにてちてちとテレビウムの彼を追いかけてきている。
「悪いようにはしないって、それ絶対つかまったらやばいタイプだって僕知ってるもん~!」
 ぽてぽてぽて。てちてちてち。追いかけっこはまだ続くようだが、なにせ鳥の方は数が多い。このままではいずれ少年はつかまってしまうだろう。

●グリモアベースにて
「あ~……何でどうしてボクにぃぃぃぃぃぃぃ~」
 キマイラフューチャーの背景広がる一区画。そこで頭を抱えているのはカボチャ。カボチャだ。ハロウィンにはまだ早いとか言ってくれるな。フルフェイスタイプのカボチャマスクを被ったカボチャ頭は、なにかに苦悩しているようだ。そばに透け気味のカボチャのグリモアが見えることなら、そのカボチャはグリモア猟兵なのだろう。
「でも、このピンチを見てしまって見なかったことにするなんて、ボクには出来ない……でも、キマフュ、キマフュかぁ……」
 キマフュに何かトラウマでもあるのだろうか。渋々立ち上がったカボチャ。頭はカボチャだが、身体はスラッとした人間のもので、インバネスコートを纏っている。ちょっとおしゃれなカボチャなのだろうか。
「キマイラフューチャーで、テレビウムが大変なことになってるんだよう……誰か行ってくれるかなぁ……?」
 自信なさげにカボチャマスクの瞳(空洞)を彷徨わせる彼は、神無月・孔雀(へたれ正義のカボチャマスク・f13104)というグリモア猟兵だ。
「パヴェルくんっていう藤色のテレビウム(10歳)の顔に鍵マークが出ちゃって、しかも怪人たちに追いかけられているんだよ」
 どうやら彼らを追うオブリビオン達を撃破して彼を守ってほしい、そういうことのようだ。
「彼は今、アキクサさまっていう鳥型オブリビオンに追いかけられている最中だよう。今から行けば、介入するタイミングは充分あるよ。行ってくれるかな~?」
 告げた孔雀は自身が現地にワープして猟兵達を喚ぶのではなく「ボクはここから猟兵のみんなを送るから!」と何故か譲らないが、きちんとグリモア猟兵としての役目は果たすのならばまあいいだろう。
 可愛い外見のアキクサさまはある意味強敵かもしれないが、猟兵たちよ、頑張れ!


篁みゆ
 こんにちは、篁みゆ(たかむら・ー)と申します。
 はじめましての方も、すでにお世話になった方も、どうぞよろしくお願いいたします。

 このシナリオの最大の目的は、「オブリビオンの討伐」です。

 第一章では、複数のアキクサさまとの集団戦。

 第二章では、オブリビオン複数との集団戦。

 第三章では、ボスオブリビオンとの直接対決となります。

 ご参加はどの章からでも、何度でも歓迎いたします。

●パヴェル(10歳)
 藤色のテレビウムの少年。身長も足も歩幅も小さいけれど、頑張って逃げています。

●第一章・介入地点
 狭い通路を抜けた先にある、広めの広場です。広場で待機していると、パヴェルが広場へ逃げてきて、アキクサさまが追ってきます(タイミングが合えばオープナング公開後、第一章の冒頭文を追加しますが、ない状態でプレイングお送りいただいても構いません)

 現地まではグリモア猟兵の孔雀がグリモアベースより、猟兵のみなさまをお送りする形となります。

 孔雀は怪我をしたり撤退する猟兵のみなさまを送り帰したり、新たにいらっしゃる猟兵の皆さまを導いたりと、後方で活動しており、冒険自体には参加いたしません。

●執筆速度
 遅くとも4月30日の朝までは完成するよう、早めに執筆していく予定です。

●プレイング再送について
 プレイングを失効でお返ししてしまう場合は、殆どがこちらのスケジュールの都合です。ご再送は大歓迎でございます(マスターページにも記載がございますので、宜しければご覧くださいませ)

●お願い
 単独ではなく一緒に描写をして欲しい相手がいる場合は、お互いにIDやグループ名など識別できるようなものをプレイングの最初にご記入ください(今回に限っては速度重視のため、お相手とプレイング送信時間が大幅にずれた場合、プレイング締切になってしまう場合もあるかもしれません)
 また、ご希望されていない方も、他の方と一緒に描写される場合もございます。

 皆様のプレイングを楽しみにお待ちしております。
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第1章 集団戦 『アキクサさま』

POW   :    ぽかぽかの風
【召喚したヒーターの熱風】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    どっちが本物?
【もう一羽のアキクサさま】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    究極の平和主義
全身を【スーパーもふもふモード】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。

イラスト:橡こりす

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「わーわーわー! こーなーいーでー!」
 広場に通ずる細い道――というか建物と建物の狭い間を小さな身体を利用して走り抜けてきたパヴェル。ぴょんっと通路の障害物を飛び越えて広場に出る。

「押すんじゃないッピ!」
「私が先に行くッピ!」
「一羽一羽順に通るッピ!」

 どうやらアキクサさまは建物と建物の狭い空間に詰まってしまったようだ。ぎゅうぎゅうと音が聞こえてきそうである。
 パヴェルはほっと息をついたが、アキクサさまは追跡を諦めたわけではない。程なく広場へと出現するだろう。

 むぎゅむぎゅ……ぽーん、と。
明智・珠稀
愛らしいテレビウムさん…!
この明智、しかとお守りいたしましょう…!
(【ダッシュ】でパヴェルさんの元へ。盾となるように敵に立ちはだかり)
いでよ、たまちゃんず!(UC【行け!たまちゃん人形!】を発動)
さぁ、アキクサさまをモフッてモフッてモフり倒すのです…!

■戦闘
状況に応じで、明智人形のいくらかはパヴェルさんの護衛に。
自身は妖刀を手に先陣きって動き、刀を持った明智人形を指揮しつつ
迫りくる敵を斬りまくる【2回攻撃】【衝撃波】【なぎ払い】
「イキますよ、ふふ!」

敵UC発動したら全力でもふもふを楽しむ
「ふんわりもこもこですね、ふふ!」
うっとりしつつ、敵UCの発動解けたら再度攻撃を

※アドリブ、絡みネタ大歓迎♡


日留部・由穏
※アドリブ連携歓迎

なるほど、猟兵としての情報が無ければ愛らしい追いかけっこだと見守ってしまうところでした。
失礼いたしました、すぐにお力添えを。

目には目を、鳥には鳥を。
紙に一枚『アート』を施し、パヴェル君の鍵のお顔を描かせていただき、オブリビオンにはこちらを追うようにと『催眠術』。
その紙は紙飛行機に付け、パヴェル君とは別方向に飛ぶことで誘導して貰いましょう。
その無防備な後ろを千羽の折り鶴達に追撃させましょう。
はい、私の作品の全てが【ゴッド・クリエイション】にて忠実な臣下として働いてくれているというわけです。どうぞ侮らなきよう。硬度は人以上です。
(紙や折り鶴などは白衣の下から)


フラウ・ユーリン
ふ、フーちゃんの顔にも鍵が映ってしまったのです!
やめるのですー! 追わないでくださいですー!

で、でもフーちゃんは猟兵ですのでっ。迎え撃つこともできるのですっ
他のことよりは、属性攻撃が得意ですから……
フーちゃんたちをめがけてくる鳥さんたちに向かって、炎の魔法をばばーんと放つのです!
……わ、悪いことしてる気分になってきますが、フーちゃんたちは被害者なのですー!(泣きながら)

(アドリブ・絡み 可)



 予知された広場で待機していると、建物と建物の間からぴょーんと飛び出してきた藤色のテレビウムがひとり。広場の中をぽてぽてぽてと少し走ってようやく止まり、肩で息をしながら後ろを向いて何かを確認している様子。彼がパヴェルで間違いないだろう。

「早く行くッピ!」
「むぎゅっピッ!」
「痛いッピ!」

「あわわわわ……ど、どうしよう、まだ追ってくるつもりなんだっ……!」
 建物の間に詰まっている何かに視線を向けつつ震えているパヴェル。

 ぽーん!

 その時、詰まっていた何かがひとつ抜けて。建物の間から、パヴェルに向かって勢いよく発射された。
「わぁぁぁぁっ……!?」
「させませんっ……!!」
 もうだめだ、とばかりに俯いて、小さな手で顔を手で覆うパヴェル。そんな彼の前に、スッと躍り出たのは黒衣の青薔薇。
「愛らしいテレビウムさん……! この明智、しかとお守りいたしましょう……!」

 ぱいーん!
「ッピー!?」

 そもそも自分が詰まりから発射されるとは思っていなかったと思しきアキクサさまの桃色の体当たりをその胸板で弾いたのは、明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)だった。
「えっ……あっ……」
「なるほど、猟兵としての情報が無ければ愛らしい追いかけっこだと見守ってしまうところでした」
 突然の展開に驚いて顔を上げたパヴェルの隣へとゆったりと、だが長い脚特有の大きな歩幅で白衣の裾を揺らしながら歩み行くのは日留部・由穏(暁天・f16866)。
「失礼いたしました、すぐにお力添えを」
 優しい笑顔をパヴェルに向けた由穏は、白衣の下から取り出した紙にパヴェルの顔に映し出されている鍵を描いてゆく。
「めちゃくちゃすごいヒーローさんたちだよね!? 僕知ってる!」
 顔に鍵マークが出てしまっている故に表情は読めないが、猟兵達を前にしてパヴェルが興奮気味なのは、声色からもわかる。
 しかしいまここでパヴェルの羨望を受け止めている余裕はなさそうだ。そうこうしている間にも、先程のような長距離発射はないが、ぽんっ、ぽんっと次々にアキクサさまが広場へと飛び出してきている。
 だが……ん? アキクサさまの一部が、パヴェルのいる場所とは違う場所へとてちてち動いている――?

「やめるのですー! 追わないでくださいですー!」
「ここにもいたッピ!」
「追いかけるッピ!」

 ぽてぽてぽて。広場を他の猟兵たちのいる方へと、小さな足で必死に駆けてくるピンク色のテレビウムの姿が……。そちらに向かっててちてちてちと数羽のアキクサ様が向かっている。
「ふ、フーちゃんの顔にも鍵が映ってしまったのですー!」
 どうやら猟兵であるテレビウムのフラウ・ユーリン(お菓子なテレビ・f04335)の顔にも鍵マークが浮かんでしまったようで。ペロキャンのような耳とロッド(?)を揺らしながら、必死にアキクサさまから逃げようとしている。

「はっ……!? あちらにも愛らしいテレビウムさんっ……!?」
 タタッ……ふわっ……タタッ……!!
「わ、わぁっ……なんなのですー!?」

 目にも留まらぬ速さでフラウの元へと駆けつけた珠稀は、ふわりと彼女をお姫様抱っこして、素早く由穏とパヴェルの元へと戻ってきた。

「横取り禁止ッピ!」
「まとめてもふもふに埋めてやるッピ!」

 突然獲物を奪われたアキクサさまたちは、当然のごとくおかんむりだ。
「パヴェルさんと一緒に私たちの後ろへ」
 フラウをパヴェルの横へとおろした珠稀は、そろそろ詰まりがとれたアキクサさまたちの群れへと向き直り。

「いでよ、たまちゃんず!」

 喚び出したのは珠稀を模したからくり人形の群れ。
「数には数を、ですか。なるほど、基本的思考は私も同じです」
 200体近いたまちゃん人形をみた由穏はそう呟き、さきほど鍵マークを記した紙を紙飛行機へとつなげる。そして。

「さあご覧なさい。あなた方の求めているものは、あちらではありませんか?」

 アキクサさまたちへと催眠術をかけながら、その紙飛行機を飛ばした。

「……ッピ?」
「反対に逃げられたッピ!」
「あっちだッピ!」

 すると、アキクサさまたちの向かう方向が変わる。紙飛行機に吊り下げられた鍵マークを、自分たちの追っているモノだと思い込んだようだ。
「これならばパヴェル君もフラウさんも安全でしょう」
「素敵な案ですね……! それではたまちゃんず、さぁ、アキクサさまをモフッてモフッてモフり倒すのです…!」
 由穏の対応によりふたりのテレビウムの危険が軽減したと判断した珠稀は、『妖刀【閃天紫花】』を手に先陣を切り、たまちゃんずを指揮しながらアキクサさまの群れへと迫る。
「さて、これで終わりではありませんよ」
 やっぱり何故か飛ばずに、律儀にてちてちと紙飛行機を追いかけるアキクサさまたちの無防備な背中。それを見据えた由穏の白衣の下からざわざわざわと飛び出したのは、折り鶴たちだ。

「目には目を、鳥には鳥を」

 ざわざわざわざわざわっ……千羽の折り鶴たちが白衣から飛び出るさまは、まるで吸血鬼のマントから蝙蝠が飛び出る様子のよう。由穏の『ゴッド・クリエイション』によって生命を得た彼らは、忠実な臣下として彼の命に従う。
「わぁっ! すごいなぁ! そう思わない?」
 たまちゃん人形を率いて駆けていく珠稀の後ろ姿。由穏の白衣の中から飛び出てアキクサさまを追う折り鶴たち。それらを見ていたパヴェルが、隣りにいるフラウへと無邪気に問う。
「で、でもフーちゃんは猟兵ですのでっ。迎え撃つこともできるのですっ」
 しかし猟兵であるフラウは、ただただ守られているのは何か違う、と思ったのだろう。必死に自分にできることを考える。
(「うーん、うーん。他のことよりは、属性攻撃が得意ですから……」)

「炎の魔法をばばーんと放つのです!」

 ペロキャンのロッド(?)を掲げたフラウが放ったのは、50本の炎の矢。普段ならば半分くらい外れるかもしれないそれは、密集しているアキクサさまたちを狙えば、その殆どが当たる。

「熱いッピ!」
「ぽかぽかは好きだけど、熱いのは別っピ!」
「焼鳥になっちゃうッピ!」

 炎に包まれるアキクサさまたちのリアルな声。
「……わ、悪いことしてる気分になってきますが、フーちゃんたちは被害者なのですー!」
 幼いフラウの心に罪悪感が生まれる。けれども彼女は主張する。自分たちは悪くはないと。
「な、泣かないで~」
 表情はわからないが声色と仕草で察したのだろう。パヴェルは背伸びしてフラウの頭を撫で――たかったが届かないので肩をぽむぽむと叩く。
「罪悪感に泣く必要はありません。あなた方は紛れもなく被害者なのですから」
 優しい声色で告げた由穏は、折り鶴たちをアキクサさまの群れへと突撃させる。紙でできた折り鶴に何ができる、と侮ることなかれ。
「どうぞ侮らなきよう。硬度は人以上です」

「痛いッピ!」
「ごふぁっ!?」
「鉛玉を喰らったようッピ!!」

 ざわざわざわ。アキクサさまたちも群れの数が減ってきたことで、鍵マークを追いかける前に邪魔者へ対処したほうが良いと気がついたのだろう。

「みんな、あれの出番ッピ!」
「つ、ついにっピか!?」
「わかった、行くッピ!」

「「スーパーもふもふモード!! ……ッピ!」」

 足を止めたアキクサさまたちが、その場から動かなくなる。そのかわりに羽根にはたっぷりと空気をはらみ、見ただけで一発でもふもふだとわかる姿へと変身したのだ!
 だが、だが。アキクサさまへと迫っていた珠稀とたまちゃん人形たちは動じない。
「イキますよ、ふふ! さぁ、アキクサさまをモフッてモフッてモフり倒すのです……!」
 むしろうっとりとしつつ、手当たり次第アキクサさまたちをもふりはじめた!
「ふんわりもこもこですね、ふふ!」
 全力でもふもふを楽しむ珠稀とたまちゃん人形たち。その様子を離れた場所から見ているのは由穏とフラウとパヴェル。
「あ、ちょっとフーちゃんももふもふしたいですっ……」
 欲望をつい口に出してしまったフラウ。あの状態のアキクサ様にはこちらの攻撃がほぼ通じないがあちらはまったく動けない。ならちょっとだけでも……と思いもしたが、狙われている身としては軽率に近づくのが得策ではないことは彼女にもわかる。
「が、がまんできるのですっ」
「我慢できて偉いですね」
 うずうずを堪えるフラウの頭を、由穏は優しく撫でた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

小烏・安芸
もこもこが群れで歩いとる。可愛らしいのはええんやけど……こんだけ多いと暑苦しいわ!
まぁ、これもお仕事やし、パヴェルくんに下がるように言って前に出たろ。ほら、猟兵さんが来たから安心して任しとき。

あーあーただでさえ暑苦しいのに増えよって……ま、数多いんを相手にするならこれよな。錬成カミヤドリで相手したる。
出した複製は周囲に展開。無理やり突破してくるヤツの迎撃用に数本手元に残しつつ突っ込ませたる。突っ込ませたのを手元に戻すついでに敵の背後を突けるしな。
分身するんやったら分身ごと一掃できる手数と範囲で攻めればええってことや。
ただでさえ多いんが増えたりしたらそりゃ詰まるわな。避けるんも進むんも難儀やろ?


エイミ・メルシエ
むむ。なんだかキマフュの危機の予感がしますね……
わたしのキマフュは、荒らさせませんよー! 成敗、成敗!(特大ハニーディッパー型グルメツールで素振り)

マカロンみたいなかたちと色ですが、わたしは容赦しません!
そんなテキトーな語尾でキャラ付けしようったって、そうはいきません!
わるいこには、これです! オブリビオンにとって重いかはわかりませんが、マカロンタワーを! どかんっと落とします!
これだけいるんだから、何匹かには当たるはず……!
なんなら、複製品ですし……食べてくれてもいいんですよ、ちょーっと咳き込むかもしれませんが!



「あんなトコロやこんなトコロまで触られ尽くしたッピ……」
「もうお嫁にもお婿にも行けないッピ……」

 スーパーもふもふモードに変化して動けないのをいいことに、アキクサさまをもふもふしつくした猟兵(と人形たち)。
「もう安心かな~?」
 ぐったりしているアキクサさまを遠目に見て、パヴェルは楽観的な言葉を口にしたが。

「こうなったら意地でもアイツを追うッピ!」
「この恨み、はらさでおくべきかッピ!!」

 アキクサさまはどうやら恥辱を力へと変えたようである。
「わ、わぁ~!! また来るよぉ~!!」
 最初よりだいぶ数が減ったとはいえ、追いかけられたというトラウマはなかなか消えぬもの。パヴェルはガクガクと震え始めた。
 てちてちてち。てちてちてち。
 段々とパヴェルとの距離を詰めるアキクサさま。もう、なぜ飛ばずに律儀に徒歩で追いかけてくるのかは問うまい。
「ど、どうしよう~!?」
 ……と、その時。

 スタッ……!!

「むむ。なんだかキマフュの危機の予感がしますね……」
 パヴェルの前に、颯爽と躍り出た者がいた。ドレスの裾をふんわりと揺らしながら特大ハニーディパーを手に降り立った彼女。まるでお菓子の妖精か、あるいはお菓子のアイドルのようではあるが、真の姿はお菓子(ただし食べられない)のヤドリガミである。
「わたしのキマフュは、荒らさせませんよー! 成敗、成敗!」
 ぶんっ、ぶんっと特大ハニーディッパーで素振りを始めた彼女はエイミ・メルシエ(スイート&スウィート&プリンセス・f16830)。キマイラフューチャー出身の、マカロンタワーの食品サンプルのヤドリガミだ。ならばこの世界に愛着と、この世界を脅かすオブリビオンに殺意をいだくのも無理からぬこと。
「もこもこが群れで歩いとる。可愛らしいのはええんやけど……こんだけ多いと暑苦しいわ!」
 そんなエイミの後方からパヴェルの横へ回って足を止めたのは、小烏・安芸(迷子の迷子のくろいとり・f03050)。そのツッコミも尤もである。
「ほら、猟兵さんが来たから安心して任せとき」
「わぁっ……! お願い、あいつらやっつけて!」
 パヴェルに下がるようにと告げると、彼はめちゃくちゃすごいヒーローさんたちへとキラキラした視線(多分)を送りながら、言われたとおりに下がる。
「マカロンみたいなかたちと色ですが、わたしは容赦しません!」
 びしぃっとアキクサさまたちへと特大ハニーディッパーを向けて宣言するエイミ。
「そんなテキトーな語尾でキャラ付けしようったって、そうはいきません!」
 それは黙っておけばよかったのに。

「なにを言うッピ!?」
「テキトーとか言うなッピ!」
「これでも努力してるッピ!」

 何を努力しているのかはわからぬが、アキクサさまの逆鱗に触れてしまったようである。しかし動いたのは、エイミの方が早かった。
「わるいこには、これです! これだけいるんだから、何匹かには当たるはず……!」
 彼女が発動させたのは、錬成カミヤドリ。彼女の本体であるマカロンタワーの食品サンプル(台座とかじられた跡つき)を10個周囲に浮かび上がらせて、念力で操る。
「えいっ!」
 ぴゅーんと飛ばされたマカロンタワー。だがしかし、食品サンプルと侮ることなかれ。樹脂粘土で作られた色とりどりのマカロンを文字通り塔のように積み上げたそれは、集まったマカロンたち自身の重さの他に台座で重量感が追加されたもの。
 それを~どすんっ!

「ギェッ!?」
「むぎゅっ!?」

 ある程度の重さのあるそれを念力で思い切り落とせば、立派な鈍器である。

「これは……食べ物ッピ?」
「誰かがかじってるッピ!」
「なんなら、複製品ですし……食べてくれてもいいんですよ」
「潰された仲間の分も!」
「食い尽くしてくれるッピ!」
「ちょーっと咳き込むかもしれませんが!」

 さり気なく挟まれたエイミの挑発にまんまとかかったアキクサさまたちは、その愛らしい嘴でマカロンタワーを突き始める……が。

「グホッ……」
「ゲホッ……」
「うう……お腹痛くなってきたッピ……」

 もちろん本物のマカロンではないので、良い子は食べてはいけません。咳き込むどころか、すでに腹痛まで起こしたアキクサさまもいる。けれども彼らは諦めない。

「こ、こうなったら……」
「アレ……ッピね!」
「行くッピ!」

 なんだかつい先程見たような流れだが、気のせいだろう。
 ぷるぷるぷると身体を震わせたアキクサさまは……ぽいーん! と分裂した。いや、もう一羽のアキクサさまが現れたのだ。
「ふ、増えたー!?」
「あーあーただでさえ暑苦しいのに増えよって……ま、数多いんを相手にするならこれよな」
 そのさまに慌てるパヴェルを背中で守るようにして、落ち着いた様子のまま息をつく安芸。

「あ、お腹痛いッピ……」
「痛いッピ……」

 ちなみに腹痛のアキクサさまは、腹痛のまま分裂した様子。
「あーあー、今、楽にしたる」
 安芸が使用したのは、エイミと同じく錬成カミヤドリ。喚び出されたのは、30振りを超える短刀。数本を手元に残して周囲に展開したそれを、一気にアキクサさまの群れへと突っ込ませる!
 ザシュッ……ザシュッ……。斬りつけ、あるいは一突きにされていくアキクサさまたち。突っ込ませた短刀を手元に戻すついでに、他の個体を背後から突くという殺意の高さ。

「捌かれ……ッピ……」
「焼き鳥の次は刺身ッピ……か……」
「分身するんやったら分身ごと一掃できる手数と範囲で攻めればええってことや」

 ぽてりぽてりと倒れてゆくアキクサさまたち。だが中には、短刀の包囲網を超えて猟兵たちへと突撃してくる個体もいくらかいた。

「このままやられるわけにはいかないッピ!」
「せめて一矢報いるッピ!」

 てちてちてちてち……素早く助走をつけたかと思うと、安芸とエイミに向かってそれぞれが飛んだ。
 しかし。

「成っ敗っ!!」
「ッピー!?」

 エイミによる特大ハニーディッパーのフルスイング。打たれたアキクサさまは、ホームランボールよろしく街並みの向こうの方へと飛び去っていき。

「ほんならウチの手で直々に刺身にしてやろか」
「ピィィィィィィィ……!?」

 安芸に飛びかかったアキクサさまは、彼女の刃によって素早く解体されてゆく。
 自ら短刀の間合いに入ってしまったのだから、仕方あるまい。

 これで現在、焼き鳥と刺身とたたきの準備が整った(多分違う)。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

未不二・蛟羽
テレビリウムさんが大変っすー!?
パヴェルさん怖がってるっす!理由があっても、弱いものいじめ、だめっす!
ヒーローっぽく、かっこよく助けるっす!

【誘惑】と【かばう】で、パヴェルさんからアキクサさまさんの気をこっちに引くっす

もふもふ…もちもちとは違うっす?
なんか増えたっす!?もふもふいっぱいっす!
どっちが本物かとか、わかんないっすから、両方叩けばきっと正解するっすよね!
ってことで、尻尾の蛇を【ガチキマイラ】で変化させて攻撃っす!ついでにもふもふってのもちょっと体験したいっす!
…っは!ヒーローっすもん!夢中になってないっすもん!ちゃんと、悪いもふもふは【大食い】でもぐもぐ、っす!

【アドリブ・連携歓迎】


鎹・たから
困っているのですね
ならばたからは、パヴェルをすくいましょう

かわいいふわふわです
ピンク色のふわふわの鳥達です
…いけません、見とれている場合では

パヴェルを追うのなら
たからはあなた達をほろぼします

終雪でなるべく複数をまきこみ攻撃
パヴェルに攻撃が行かぬよう常に割り込みます
【念動力、範囲攻撃、衝撃波、気絶攻撃、2回攻撃】

敵の攻撃にはオーラ防御とかばうで対処
そのふわふわはとても魅力的ですが
パヴェルを追うことは許しません

逃げ回って疲れたでしょう
パヴェルに沫雪で回復を
大丈夫、たからはあなたをまもります
【医術、優しさ】

その鍵の表示は、治らないのですね
困りましたね
医者に診てもらうべきでしょうか

※ふわもこ大好き



「ッピ! ッピ! もうなりふりかまってられないッピ!!」
「突撃ッピ! 総員突撃っピ!」

 猟兵達にいろいろな方法で調理された仲間たちを見て、残ったアキクサさまたちは特攻を決めたようだ。そう言うやいなや、それまでのてちてちと可愛らしい歩調から、そしてその丸みからは想像できないような速度で駆け出した。
 数はたしかに最初より減った。だが、目を吊り上げて勢いよく迫ってくるさまには名状しがたい迫力ある。
「わぁぁぁぁっ……、こっち来る~!!」
 怯えるパヴェル。だがしかし、彼の前に助けは現れた。

「パヴェルさん怖がってるっす! 理由があっても、弱いものいじめ、だめっす!」

 猛禽の翼を広げ、パヴェルの頭上を飛び越えて着地した未不二・蛟羽(花散らで・f04322)は、パヴェルを庇いながらアキクサさまたちへと視線を向ける。

「パヴェルさんは渡さないっす! かかってくるっす!」

「邪魔者多いッピ!」
「数で攻めてくるッピ!」

 蛟羽の誘惑に似た挑発に、見事に惹かれるアキクサさまたち。だがその言葉はそっくりそのままお返ししたい。

「困っているのですね。ならばたからは、パヴェルをすくいましょう」

「むっ……また邪魔者が前に出てきたッピ!」
「二手に分かれるッピ!」

 蛟羽と並ぶようにしてパヴェルの前にすっ……と歩み出た角を持つ彼女は、鎹・たから(雪氣硝・f01148)。ピッピッ言っているアキクサさまを銀の瞳でじぃ、と見つめる。
(「かわいいふわふわです。ピンク色のふわふわの鳥達です」)
 お怒り状態でも、アキクサさまの魅力は損なわれていない。ならばふわもこ大好きなたからが彼らに目を奪われてしまうのも、無理からぬこと。だが、今守るべきは――。
(「……いけません、見とれている場合では」)
 己を戒めるように、瞳に写ったふわもこを振り払うように一度瞑目し、たからはゆっくりと瞼を上げる。

「パヴェルを追うのなら、たからはあなた達をほろぼします」

「ッピー!?」
「こちらの数はもう少ないッピ」
「ならばもう一度分裂して数を増やすッピ!」

 ぷるぷると身体を震わせたアキクサさまが、ふたたびぽいーん! と分裂――否、もう一羽のアキクサさまを喚んだ。
「なんか増えたっす!? もふもふいっぱいっす!」
 戸惑っているというより物珍しさに喜んでいるような蛟羽だが、アキクサさまたちにはその様子が、自分たちの技に戸惑っているように見えたのだろう。ちょっと得意げな表情で攻め寄ってくる。
 けれども彼らのその考えは甘かった。

「どっちが本物かとか、わかんないっすから、両方叩けばきっと正解するっすよね!」

 明るく悪びれもせずに告げられた蛟羽の言葉。アキクサさまたちが悪寒に震えたその直後。蛟羽の尻尾の蛇が……ライオンの頭へと変化した!

「ッピー!?」
「止まるッピ!」
「急には止まれないッピ!」

 がおーっと大きな口を開けるライオンに本能的な危機を感じたのか、アキクサさまたちはその場に止まろうとするも、急には止まれない。いや、むしろ蛟羽の方がダッシュでアキクサさまの群れに飛び込んで、もふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふ。

「や、やめるッピ!」
「その顔向けないでほしいッピ!」
「だったらまだもふられた方がマシッピ!」

 もっふもふに夢中になっている蛟羽。ライオンの頭に本能的危機を感じていると思しきアキクサさまたちは、蛟羽から距離をとっていく。
「……っは! ヒーローっすもん! 夢中になってないっすもん!」
 もふもふが離れていっている事に気がついた蛟羽は、ちゃんと正気に戻って立ち上がり、そして。

「ちゃんと、悪いもふもふはもぐもぐ、っす!」

 手始めに抱きしめていたアキクサさまを、ライオンの頭でむしゃあ。

「ひぃぃぃぃぃぃっ!?」
「こいつ焼き鳥ッピ!」
「あいつはたたきッピ!」
「あっちの刺身のほうが美味しいッピ!」

 必死で蛟羽の意識を別の個体にそらそうとするアキクサさまたちだが。

「んじゃ、全部もぐもぐして味を確かめるっす!」

 そうなりますよねー。


 一方、たからへと向かったアキクサさまたちはというと。

「凍えなさい、ほろびなさい」

 彼ら、実は二手に分かれるほどたからと蛟羽の距離が開いていないことに気づいていなかったようだ。たからがアキクサさまへと向けた掌により、天から降り注ぎ始めたのは広範囲の雪と霰の奔流は、念動力の使用により器用に蛟羽を避けて、彼の周りにいるアキクサさまたちをも巻き込んでいく。

「寒いッピ!」
「冷たいッピ!」
「食べきれなかった分、新鮮なまま冷凍保存されるッピ!?」

 叩きつけるように吹雪くそれらに打ち付けられて、ころんころんと地に転がるアキクサさまたち。

「大丈夫っす! 良い子は、ヒーローはお残ししないっすから!」

 まるでいくらでも食べられる、そんな大食いのライオン頭によってアキクサさまたちが姿を消すのに、そう時間はかからなかった。


「逃げ回って疲れたでしょう」
「でもめちゃくちゃすごいヒーローさんたちが来てくれたから、大丈夫!」
 たからに癒やしてもらいながら、安心したように告げるパヴェル。だがその顔には、まだ鍵が表示されたままで。
「その鍵の表示は、治らないのですね。困りましたね」
 医者に見せるべきだろうか、たからがそう思ったその時、パヴェルの顔に変化が起こった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『何も答えてくれないベルーガ』

POW   :    おまえを消す方法
【全て消すモード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    ベルーガに乗った中年
【ベルーガの調教師】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    ベルーガがせめてきたぞ
戦闘用の、自身と同じ強さの【熱線銃装備の軍用ベルーガ】と【ガトリングガン装備の軍用ベルーガ】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。

イラスト:ケーダ

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「わ、わ、わ、また顔がー!?」
 わたわたと慌てるパヴェル。その顔を覗き込んで見れば、彼の顔に表示された鍵が何処か場所を指し示しているようだ。
「えっと、ここは……おっきなゲームセンターがあるところだ!」
 彼が言うには、様々なゲームを置いたアミューズメントパークのようなものがある場所らしい。では、なぜ鍵はその場所を指し示しているのか。

「そこに行けば、顔、直るのかな~?」

 首をかしげるパヴェル。
 確証は誰にもない。だが何の手がかりもない今、表示の指示に従うのが最適だろうことは猟兵たちにもわかる。

「僕、行くよ~! だって顔が直るかもしれないんでしょ~?」

 ここでじっとしていても、謎の表示が消えるとは限らない。パヴェルが行くと決めたのなら、それを止める理由はない。
 しかし、驚異はまだ完全に去ってはいなかった。

「キュ~!」
「キュキュ~!」

 泣き声のような高音。その音がしたほうを見れば、白い物体がたくさん近づいて来ているではないか。

「何について調べますか?」
「何について調べますか?」
「何について調べますか?」

 耳をすませば聞こえてくるのは、ただの鳴き声ではなかった!

「わあぁぁっ!?」

 驚いて尻餅をついたパヴェル。無理もない。同じ言葉を繰り返すイルカの大群が、こちらへと向かってきているのだから。

「に、逃げなきゃっ……」

 危機を感じたパヴェルは、猟兵たちの手を借りて立ち上がり、駆け出す。
 向かうは鍵の指し示すアミューズメントパーク。
 白いイルカ――ベルーガたちを振り払いながら、目的地へと急げ!

(※鍵表示のあるテレビウムさんが続けてご参加くださった場合、鍵が指し示しているのはパヴェルと同じ場所になります)
小烏・安芸
もふもふした鳥の次はイルカかぁ。いやまぁ、こんだけ押し寄せてくるとちょっとアレやけど、外見だけなら可愛い系のが続くなー……って、なんでそこで中年が出てくるねん! せめて少年にしとかんか!

あー……しゃーない。そーいう趣味はないんやけど、そこの中年共々大人しく縛られとってもらおうか。これなら指示もだせんやろう。
そもそも延々同じ事言われるとそれはそれで気味悪いし、精神衛生的にも黙ってもらった方がええやろ。

ん? 縛った後どうするかって? 大人しゅう退くんやったらともかく、あくまでパヴェルくん狙うんやったら……ひと思いにざっくりと行こうか。この鉈、切れ味悪いから相当痛いと思うけどな。


明智・珠稀
おやおや、愛らしいイルカさんですね、ここはパラダイスでしょうか…!(うっとり)
しかしながら!パヴェルさんの身を脅かすとなれば見過ごすわけには参りません…!
さぁ、戦い愛ましょう…!(鞭を手に)

■戦闘
「さぁ、私の鞭捌きを堪能してください、ふふ!」
と、イルカ達に鞭で【先制攻撃】、また【2回攻撃】で手数を増やし猛攻を
「私のテクニックはいかがでしょう、ふふ!」

敵UCで調教師さん現れたら
「あぁ、私も調教されたいです、ふふ!」と不埒な想像を膨らませるド変態。
「その中年調教師さんに調教されるのは私です!」と
謎の対抗心を燃やし、武器を妖刀に持ち替え
UC【妖剣解放】でイルカに攻撃を

※アドリブ、絡みネタ大歓迎♡


未不二・蛟羽
ゲーセンに行けば、パヴェルさんの鍵のなぞ、解けそうっす?
ちゃんとお顔見て話したいっす!だから一緒に早く向かうっす!

イルカさんこわいっすよ!?
何も調べないっす!イルカさんに用はないっす!目の前ふさがっててめっちゃ邪魔っすー!

こうなったら【逆シマ疾風】で風を纏いながら、【空中戦】で突破っすー!
こっちは速く、あっちは遅くっす!
中年さん吹っ飛ばして分断すれば、少しは弱くなってくれる筈っす!

パヴェルさんがイルカさんから逃げ切れること優先
空から突破できるなら、先にパヴェルさんを抱えて安全圏まで飛んでいくっす!

イルカさんの足止めは任せろっす!
パヴェルさんは気をつけて先に行って欲しいっす!

アドリブ・連携歓迎


フラウ・ユーリン
と、鳥さんに続いてイルカさんなのですー!?
しかもこっちも追っかけて来てるのです、なんか怖いのですー!軽くホラーなのですー!
調べものぐらい自分で出来るのですー!

で、でも。怖くても、フーちゃんもパヴェルくんを守るのです!
パヴェルくん、だいじょうぶですよ。一緒に逃げましょう!

……えっと、イルカさんにも炎は効きますかね……?
今のフーちゃんにできることは、やっぱりこれなのです。パヴェルくんを守りながら、またミサイルをびゅーんと放つのです!
今度は焼き鳥ならぬ、焼きイルカにしてやるのですー!

(アドリブ・絡み 可)



「ゲーセンに行けば、パヴェルさんの鍵のなぞ、解けそうっす?」
「た、たぶん……?」
 未不二・蛟羽(花散らで・f04322)の問いかけに首を傾げるパヴェル。顔が直るという確証はないが、鍵の指し示すその場所にナニカがあるのはほぼ間違いないだろう。
「ちゃんとお顔見て話したいっす! だから一緒に早く向かうっす!」
「……うんっ!!」
 蛟羽の言葉を嬉しく思ったのだろう。明るい声でパヴェルは頷いた。だが。
「と、鳥さんに続いてイルカさんなのですー!?」
 同じく顔に鍵が浮かんでしまっているフラウ・ユーリン(お菓子なテレビ・f04335)が口にしたとおり、猟兵たちとパヴェルには多数のベルーガが迫っているのだ。
「しかもこっちも追っかけて来てるのです、なんか怖いのですー! 軽くホラーなのですー!」
「イルカさんこわいっすよ!?」
 愛らしい顔をしているものの同じ言葉を繰り返しながら迫ってくる彼ら。蛟羽もフラウと同じく、軽く恐怖心をいだいていた。

「何について調べますか?」
「何について調べますか?」
「何について調べますか?」

「何も調べないっす! イルカさんに用はないっす! 目の前ふさがっててめっちゃ邪魔っすー!」
「調べものぐらい自分で出来るのですー!」
 今調べたいものを挙げるとすれば、フラウやパヴェルの顔に映し出されている鍵についてだが、それを聞いてベルーガたちが答えてくれるとは思えない。ベルーガがオブリビオンであるからという以前に、なんか本能的にそう思ってしまう不思議。
(「で、でも。怖くても、フーちゃんもパヴェルくんを守るのです!」)
 鍵表示の出ているフラウは自らも追われる立場だというのに、小さなカラダいっぱいに勇気を奮い立たせて。
「パヴェルくん、だいじょうぶですよ。一緒に逃げましょう!」
「うんっ!」
 はしっと小さな手と手を繋いだフラウとパヴェル。
「イルカさんの足止めは任せろっす! フラウさん、パヴェルさんを頼んだっす!」
「任せてくださいなのです!」
「パヴェルさんは気をつけて先に行って欲しいっす!」
 蛟羽の言葉にフラウは大きく頷いた。テレビウムのふたりを先行させて、蛟羽は仲間たちと共にベルーガたちを足止めしなが退治する。そしてふたりを追えば良い。正直、パヴェルと同じように鍵の表示が出て追われているフラウのことも心配だ。だが彼女も猟兵のひとりである。万が一ベルーガが猟兵たちを超えて二人を追っても誰かが追いつくまでは対処ができるだろう――否、追わせなければいいだけのこと。その気持ちは他の仲間達も同じ――多分。
「おやおや、愛らしいイルカさんですね、ここはパラダイスでしょうか……!」
 うっとりとベルーガたちを見つめている明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)。
「しかしながら! パヴェルさんの身を脅かすとなれば見過ごすわけには参りません……! さぁ、戦い愛ましょう……!」
 よかった、パヴェルを守るという根本は同じようだ。その手に持った、薔薇の刻印入りの黒革の長鞭をパァンッパァンッと打ち鳴らしている。
「もふもふした鳥の次はイルカかぁ。いやまぁ、こんだけ押し寄せてくるとちょっとアレやけど。外見だけなら可愛い系のが続くなー……」
 小烏・安芸(迷子の迷子のくろいとり・f03050)も眉をしかめて苦笑する。
「さぁ、私の鞭捌きを堪能してください、ふふ!」
 全く困惑していない珠稀は、ベルーガの群れの中へと進み入り、嬉々として鞭を振るっている。それもテクニックを活かして素早くっ、何度もっ、容赦なくっ、いい音を立ててっ、追い立てるようにっ。
「私のテクニックはいかがでしょう、ふふ!」
 恍惚の笑みを浮かべながら、心から楽しそうな珠稀。一方、ベルーガはというと。

「何について調べますか?」
「テクニックを調べますか?」
「テクニックについて調べます!」

 珠稀の言葉を拾ったのだろう。ベルーガたちの様子が変わってゆく。何やらベルーガたちの傍らの空間が歪んだかと思うと、そこに現れたのは――中年の調教師だった。
「これはっ!? まさか私のテクニックが、その調教師さんに劣るということでしょうか!?」
 驚愕に打ち震える珠稀の前で、ベルーガ一頭に対し一人呼び出された中ね……調教師は、華麗にベルーガの背へと飛び乗る。
「って、なんでそこで中年が出てくるねん! せめて少年にしとかんか!」
 安芸のツッコミも尤もである。だが少年だと調教師としての技術が未熟――というのは建前で、恐らく何かに引っかかってしまいそうなのだ。たぶん。
「あぁ、私も調教されたいです、ふふ! ぜひそのテクニックを私に!! 私の身体に! 直接教え込んでください!!」
 珠稀は珠稀で独自の解釈をして不埒な妄想に耽っているが、仕方がない、これがたぶん通常運転の彼なのである。

「何について調べますか?」
「何について調べますか?」
「何について調べますか?」

 調教師を乗せたベルーガたちは、調教師に己を操らせながらもまた同じ言葉を繰り返しながら猟兵たちへと迫ってくる。
「パヴェルさんの後は追わせないっす!!」
 猟兵たちの壁を抜けようとしているベルーガ(+中年)を発見した蛟羽は、素早く風の加護を翼に纏い、羽ばたいて空中へとその身を躍らせる。
 ベルーガたちは様々な方向から猟兵たちを抜けようと押し寄せてくるが、蛟羽に隙はない。こちらのベルーガに風圧の弾丸を放ち、身を翻して別の方向のベルーガにも放つ。羽ばたいて空中を高速移動することで、全範囲をカバーするように攻撃することができた。
 そしてその風圧の弾丸を受けたベルーガたちは、動きを鈍らせていく。中にはベルーガの背から落とされた調教師もいて、ベルーガはキューキュー鳴きながら調教師の元へと宙を泳いで行った。
 だがしかし。そんなベルーガたちの前に立ちはだかるのは一人の男。

「その中年調教師さんに調教されるのは私です!」

 ベルーガに謎の対抗心を燃やし始めた珠稀だ。ベルーガと調教師が合流するのを妨げるように立つ彼は、いつの間にか鞭ではなく『妖刀【閃天紫花】』を手にしている。
 そして妖刀の怨念(と自信の対抗心と嫉妬心)を纏った珠稀は、衝撃波を孕んだ斬撃でベルーガを斬りつけては高速移動で別のベルーガの元へと移動して斬りつけ……を繰り返す。

「何について調べますか?」
「何について調べますか?」
「何について調べますか?」

 ベルーガの数は明らかに減ってきている。だが、まだ同じ言葉を繰り返して迫ってくる彼ら。
「あー……しゃーない。そーいう趣味はないんやけど、そこの中年共々大人しく縛られとってもらおうか」
 ため息を付いた安芸が『咎力封じ』を発動させる。
「そもそも延々同じ事言われるとそれはそれで気味悪いし、精神衛生的にも黙ってもらった方がええやろ」
 放たれた手枷と猿轡と拘束ロープが、次々とベルーガと中年を拘束してゆく。

「はぁんっ……!」
「……ん?」
「拘束、されちゃいました♡」
「……、……」

 なぜか珠稀が手枷と拘束ロープにかかっている。しかも拘束ロープの巻き付き方――縛り方が明らかにおかしい。具体的に言うならば、身体に這う縄が六角形になるような縛り方だ。
 自分から、放たれる手枷とロープに飛び込んだのだろうか。
「いや、ウチ、そーいう趣味ないから」
 大事なことだから、もう一度告げた安芸。
「……まぁ、ええか」
 珠稀にくるりと背を向けて、安芸は縛り上げたベルーガたちへと迫る。
「大人しゅう退くんやったらともかく、あくまでパヴェルくん狙うんやったら……」
 取り出した『咎刻の顎』を見せつけるようにして威圧しつつ。
「……ひと思いにざっくりと行こうか。この鉈、切れ味悪いから相当痛いと思うけどな」
 一応、宣言する意味も込めて告げた安芸だったが、ベルーガたちの返答は勿論予想できていた。

「何について調べますか?」
「何について調べますか?」
「何について調べますか?」

 ザシュッザシュッ……躊躇わず鉈を振り下ろす。切れ味があまり良くないからして、斬撃というよりも打撃に近い部分もあるが、ベルーガたちの数を減らすには十分に効果があった。


 * * * * * * * * *


「だいじょうぶですか? パヴェルくん」
「う、うん」
 てちてちてち、てちてちてち。小さな歩幅で精一杯走るフラウとパヴェル。繋いだ手はそのままだ。
 ベルーガたちの発生した広場からは結構離れた気がする。テレビウム体感的に。
「ちょっと、休むです?」
 疲れた様子の見えるパヴェルを気遣ってフラウが声をかけたその時。

「何について調べますか?」
「何について調べますか?」
「何について調べますか?」

 少し離れた位置から聞こえてきたのは、忌まわしきベルーガたちの声。
「わぁぁぁっ……!?」
「だ、だいじょうぶですよ。パヴェルくんはフーちゃんが守るのです!」
 怯えるパヴェルを小さな背で隠すようにして、フラウはペロキャン型ロッド(?)を手に考える。
「……えっと、イルカさんにも炎は効きますかね……?」
 だが、迷っている暇はない。
(「今のフーちゃんにできることは、やっぱりこれなのです」)
 自分に自信を付与するように心の中で力強く頷いて、フラウが喚ぶのは大量の炎の矢。

「今度は焼き鳥ならぬ、焼きイルカにしてやるのですー!」

 その矢は、追いかけてきたベルーガたち目掛けて周囲の空気を熱しながら飛んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

日留部・由穏
※アドリブ連携歓迎

なるほど、ひとまず画面の指示通りにパークに向かう形で賛成です。急ぎましょう。
ベルーガ達には先程パヴェル君の鍵のお顔を描いた紙を見せ、何の狙いで彼を追っているのですか?と聞いてみたいところです。
が…何も答えないでしょうね。
ならば次に聞く事は、おまえを消す方法、です。
ええ、人の世ではそう返すのだと教わりました。合ってますよね?

ある程度は光線銃で応戦します。
軍用ベルーガを喚び出すようであれば本体を狙って【謎を喰らう触手の群れ】を使いましょう。
私が掌に取り出した紙風船、これは何に使うものか分かりますか?
ぽんと叩くと答えが出てきます。おまえを喰らうUDCです。


鎹・たから
此処に居るテレビウムの画面は、皆同じ場所を指しているのですね
顔の表示が治るのならば幸いです
パヴェルが行きたいというのなら
たからも喜んで同行しましょう

イルカが調べ物が得意とは知りませんでした
そうですね、あなた達を消す方法が知りたいと思います
パヴェルの道を阻まないでください

囲まれぬよう背後に気をつけ
パヴェルを守るように移動
敵の攻撃は【かばう、オーラ防御】で対処

イルカの群れを荒雪で攻撃
パークへの道を切り拓いていきましょう
【念動力、2回攻撃、衝撃波、範囲攻撃、気絶攻撃】
攻撃はいずれもパヴェルの保護を最優先に

たから達が必ずパヴェルを守ります
パークへ辿り着きましょう


エイミ・メルシエ
さて、あの鳥さんたちが痛い目見たのはともかく。新手はイルカと来ましたか。
わたし、噂で聞いたことありますよ。あのイルカ、消えない、って……。
しかーし! こちらとしては、消えて貰わねば困るのです!
みなさん、しつこいイルカに対する合言葉はご存知ですか? そう、それは……『お前を消す方法』!

というわけで、エイミ・メルシエ、歌います!
みなさんのパワーを強くするため、張り切って! 突発ライブ! いきますよ!
タイトルは、もちろん『お前を消す方法』!
シンプルに邪魔なイルカさんたちを、どーにかこーにかやっちゃってください、みなさん!
近付かれたり何か飛んできた際は、ハニーディッパーで応戦です!



「何について調べま――」
 炎に焼かれてなおパヴェルに迫ろうとするベルーガの言葉が途切れた。何かに撃ち抜かれたベルーガは、調教師と共に重力に従って地へと落ちる。
「間に合いましたね」
「パヴェル、無事ですか?」
「あの鳥さんたちが痛い目見たのはともかく。新手はイルカと来ましたか」
 地に落ちたベルーガが消えゆくより先にパヴェルの元へと駆けつけたのは、
 日留部・由穏(暁天・f16866)と鎹・たから(雪氣硝・f01148)、エイミ・メルシエ(スイート&スウィート&プリンセス・f16830)の三人。先程ベルーガを射抜いたのは、由穏の光線銃のようだ。
「イルカたちがこっちへ向かったので、わたしたちが先に駆けつけたのですっ」
「ここからは、たからたちがパヴェルを守りながら同行します。パークへ必ず辿り着きましょう」
 特大ハニーディッパーをぶんぶん振ってやる気を示すエイミと、やさしくパヴェルに語りかけて守るように立つたから。
「残りのベルーガたちを片付けたら、他の人達も追ってくることになっています」
 そう告げた由穏は、新たにこちらへ迫ってこようとするベルーガたちへと向き直り、手にしていた紙を見せる。
(「まあ……何も答えないでしょうね」)
 十分予想はできるが、そんなに尋ねてほしいならばと由穏は先程の、パヴェルの鍵が表示された顔を描いた紙を手に問う。
「何の狙いで彼を追っているのですか?」
 
「何について調べますか?」
「何について調べますか?」
「何について調べますか?」

 ベルーガたちの反応は、予想通りだ。
「イルカが調べ物が得意とは知りませんでした」
 たからのその言葉。彼女は心からそう思ったのかもしれないが、エイミや由穏には不思議と皮肉に聞こえる。
「わたし、噂で聞いたことありますよ。あのイルカ、消えない、って……。みなさん、しつこいイルカに対する合言葉はご存知ですか?」
「ええ、私も人の世でこういう場合に返す言葉を教わっています」
「たからが今考えていることと、同じだと良いのですが」
 エイミの呼びかけに由穏は頷き、たからは首をかしげる。
「大丈夫ですっ。きっと、同じです!」
 たからに頷いてみせたエイミは、ベルーガたちに向き直り、特大ハニーディッパーで彼らを指し示す。

「何について調べますか?」
「何について調べますか?」
「何について調べますか?」

「わたしたちが知りたいのは――」

「「「『お前を消す方法』です!」」」

 三人の声が重なる。それに満足したのか、エイミはくるりとその場で一回転してドレスの裾を揺らし、流れるようにポーズを取った。

「というわけで、美少女アイドル戦士、エイミ・メルシエ、歌います! みなさんのパワーを強くするため、張り切って! 突発ライブ! いきますよ!」
 そういえば彼女は、最近何故か突然アイドル活動を始めたらしい。

「タイトルは、もちろん『お前を消す方法』!」

 足でリズムを取りながら、エイミは歌い始める。

 かわいいかわいいイルカさん
 可愛いけれど邪魔なのよ
 あなたに聞きたいことはないの
 だから静かにしていてね

 かわいいかわいいイルカさん
 どうして黙ってられないの?
 静かにしていてくれないなら
 あなたに聞くのはただひとつ

 Ah――教えてよ
 お前を消す方法
 Ah――今必要なのは
 お前を消す方法
 ただそれだけなのよ

 エイミの歌声は、それを聞いて共感した者をパワーアップさせる。恐らく今、由穏とたからはこれ以上にないほど共感しているだろう。
「シンプルに邪魔なイルカさんたちを、どーにかこーにかやっちゃってください、みなさん!」
「パヴェルの道を阻まないでください」
 エイミの声援を受け、たからはありったけの力込めて不可視の雪風の渦を放つ。広範囲に及ぶそれをベルーガたちが視認することは叶わず、何度も吹き付けるそれにベルーガたちは地へと壁へと吹き飛ばされ、力尽きていく。
 それでも残った数体のベルーガは、手数を増やすためなのか、軍用ベルーガたちを喚び出した。可愛さに似合わぬ武器を装備した軍用ベルーガたちが熱線銃やガトリングガンを放つ。たからは身体を張ってパヴェルを庇い、エイミは特大ハニーディッパーを振って弾丸をいくつか打ち返した。
「私が本体を狙いましょう。その間、お任せします」
 軍用ベルーガを喚び出したベルーガたちは、なぜか攻撃に加わろうとしない。それが『攻撃しない』のではなく『攻撃できない』のであれば――本体である彼らを狙わぬ手はない。由穏は防御をふたりに任せ、白衣の下から紙風船を取り出した。
「私が掌に取り出した紙風船、これは何に使うものか分かりますか?」

「何について調べますか?」
「紙風船ついて調べますか?」
「紙風船について調――」

「ぽんと叩くと答えが出てきます」

 問いかけに食いついたベルーガたちの前で、紙風船を軽くはたく由穏。
 ぱぁんと割れた紙風船から現れたのは、紫の触手の塊。

「――おまえを喰らうUDCです」

 告げるが早いか触手たちは本体であるベルーガたちを喰らうように絡みつき。ほぼ同時に軍用ベルーガたちの姿はかき消えた。
「一掃してしまいましょう!」
「これ以上、パヴェルを追わせません」
 エイミが特大ハニーディッパーを手に、弱ったベルーガたちへと迫る。たからが再び不可視の雪風を放ち、由穏もまた光線銃でベルーガを打つ。


 程なくして、その場は静寂に満ちた。
 もう、あのしつこい問いかけは聞こえない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『キリ』

POW   :    縁切断(物理)
【手刀】が命中した対象を切断する。
SPD   :    縁消去(物理)
【何らかプラス】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【狛犬のような自動砲台】から、高命中力の【その感情を抱いた時の記憶を消す光線】を飛ばす。
WIZ   :    ただの八つ当たり
【なんかムカついた】から【強烈なビンタ】を放ち、【あまりの理不尽さからくる動揺】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:華月拓

👑7
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠カスミ・アナスタシアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 すべての猟兵たちと合流しパヴェルの先導で辿り着いたのは、目的地である、ゲームセンターを大きくしたようなアミューズメントパークだ。

「ここ、なんだけど……」

 パヴェルの顔の鍵が指しているのは確かにこの場所である。だが、何の変哲もない、ただのゲーム系アミューズメントパークだ。猟兵たちもあたりを見渡して首を傾げたその時。

「わ、わぁぁぁぁぁぁっ!?」

 パヴェルの突然の叫び声。だがその原因はパヴェルを見ずとも知れた。
 彼が、まばゆいほどの光を発しているのだ。

「なんで僕、光ってるのー!?」

「良い目印だよねぇ」

 その時聞こえてきた声は、猟兵の誰のものでもない高い声。

「おかげでボクもすぐに見つけられたし?」

 ふわり、上空から雲のようなものに乗って降りてきたのは、中性的な子ども。

「このテレビウムとの縁、ボクが切ってあげるよ!」

 くすくすと笑いながら迫ってくる怪人。パヴェルは後ずさろうとしたのだが……。

「な、なんでっ……動けないっ!?」

 どうやらパヴェルはこの場から動けなくなってしまったよう。
 ならばこの場で目の前の怪人と戦うしか、選択肢はない。


(※鍵表示のあるテレビウムさんが続けてご参加くださった場合、パヴェルと同じように発光していてその場から動けないものの、その場から動かないでできる攻撃や行動は可能と判定します)
小烏・安芸
分かりやすく出てきてくれて助かるわ。とりあえず……君はどついてええ子ってことで間違いないんやね。じゃ、遠慮無くやらせてもらおうか!

見かけによらんと結構腕力はある方か。だったら正面からガチンコ……するわけないわな?
いやもちろんどつくよ。ただしこっちは手甲型にしたバラックスクラップにプラスして、その辺の使えそうなもの……そうやな、この手の施設に良くあるメダルゲームのメダルとか使わせてもらって、ビルドロボットで補強した拳で相手したろ。これなら少々切られても補充すればええし。

そりゃーウチはか弱い乙女やし、これくらいはハンデがあってええよな? あ、もちろんこっちは手加減とかはせんからあしからず。


鎹・たから
パヴェル、安心してください
たから達は必ずあなたを守り、すくいます

この身に妖怪を宿しましょう
あなたの縁切りなど敵わないほど、強力な妖です
どのような代償を払おうと、必ずあなたをほろぼします

パヴェルが攻撃射線に入らぬよう庇う立ち位置を意識
【かばう、オーラ防御】

音もなく超高速で敵に接近
パヴェルを襲う隙は作らせませんよ
【暗殺、ダッシュ】

手裏剣とフォースセイバーで素早く斬りこみます
その角を斬り落とせば大人しくなりますか
縁を切るのでしょう?
あなたにそれが出来るとは到底思えませんが
【2回攻撃、気絶攻撃、鎧砕き、恫喝】

どれだけ痛みがあろうとも
たからをヒーローと呼んでくれた彼をすくう
それがたからのつとめです


フラウ・ユーリン
フ、フーちゃんも、動けなくなってしまったのですっ……!
しかもなんかまぶしいのですよ……!
これじゃ、パヴェルくんを守れないのです……ちょっとは猟兵らしくできるかなと思ったのに……うう……。
……でも! こんなことじゃ、パヴェルくんとの縁は切れないのですよ……っ!

この状態でも、魔法の発動くらいはできそうなのですよ。
……動けないフーちゃんはここで、こてーほーだいになるしかない……
……となればっ、三度目のウィザード・ミサイルですっ!
フーちゃんの炎も、熱くて、明るいのです! すごいのですからっ!
フーちゃんたちは、オブリビオンなんかには負けないのですーっ!


亜儀流野・珠
俺には心強い御守り「綾結び」がついている!
これが在る限り縁は切れんだろう!諦めろ!
…というかお前縁切るような力あるのか?

動けん者達がいるしな。守る為に人手を増やしておくか!
奥義「千珠魂」…俺たち、召喚だ!
念の為30ほどは動けぬ者達の傍に居させよう!

俺も「俺たち」も木槌「砕」で戦うぞ!
前後左右から木槌を持った俺たちが殺到すればどうしようもないだろう!
飛ぶなどして逃げたら砕を投げて打ち落としてやれ!

更にだ!「俺たち」も小さいが皆「綾結び」を着けている!
これで縁を切るなど完全に無理になったな!
見えんか?近付いてよく見てみろ…で近付いたところを砕でドーン!とやってしまえ!


日留部・由穏
※連携アドリブ歓迎

動けない状況での奇襲とは、厄介ですね……。
基本的にはパヴェル君やテレビウム君達を守ることを意識しつつ、引き続き光線銃で応戦します。
あの雲は彼女の移動の足場になっているのでしょうか、こちらも消しておきたいところですね。

画面が光ることで狙われやすいのであれば、可能な限り『催眠術』を使い、【私の慈悲】の炎を束ねたものがテレビウムの画面の光だと誤認させましょう。
そうですね……あれは新たなテレビウムの少年だと、逃げなさい、等と一演技してみましょうか。私は演劇の神ではありませんがね。
うまく策に乗ってくれたなら重畳。自分が燃えていることにも気付かないままやがて眠りにつくでしょう。


エイミ・メルシエ
縁を、切る?
へんなことを言うヒトですねぇ、どうやって切るっていうんです?
どちらかといえば、今ものすごぉーく邪魔な、あなたとの縁を切ってしまいたいのですが……

うーむ。直々にお仕置きしてもいいのですが……アンコール、との声が脳内に響いてきていますから、わたしはそれに答えなければ。
というわけで!『お前を消す方法』リターンズといきましょう!
相手はイルカさんではないですが、オブリビオンに変わりはありませんからね!
そう、今日のエイミちゃんはノリにノってるのですよ! 喉の調子とか!
張り切って! やっちゃいますよー!

(※アドリブ歓迎)


明智・珠稀
パヴェルさんの顔やお身体が美しく輝き…神々しいですね、ふふ!(恍惚)
しかし、動けないとは心配です。
またしても愛らしい敵のお出ましにトキメキを隠せない私ですが、
パヴェルさんの身の安全を第一に動かせていただきます、ふふ!

■戦闘
『愛しの御主人様♡』で敵に流し目ビームを発射。
「さぁ、私と縁を結びましょう、私はしぶといですよ、ふふ!」
と繋がれることが出来たらうっとりド変態。
自身は黒革の鞭でぴしぴし攻撃。
「こうして縁を紡ぐのも幸せではありませんか?ふふ!」
敵攻撃にはオーラシールドで【オーラ防御】【盾受け】。
またパヴェルさんが狙われた場合は
「お相手はこちらですよ!」と【かばう】

※アドリブ&絡み&ネタ大歓迎!


未不二・蛟羽
目印じゃなくて、パヴェルさん、っすよ!
動けない人いじめるのだめっす!
それに友達の縁は、勝手に切るもんじゃないっすよ!

…でもあの尻尾、もふもふ?
そういえばさっきのもふもふ気持ちよかったっす…あれも触った気持ちいいっすかね…
はっ、これ以上記憶失くなるのはごめんっす!
【スカイステッパー】で【空中戦】に持ち込んで、光線銃は回避

【野生の勘】で攻撃の隙を見つけて、【笹鉄】のワイヤーで拘束。【ロープワーク】でパヴェルさんやテレビウムさんから距離を取るようにぶん投げるっす
攻撃に巻き込んじゃったら良くないっすもんね!
巻き込みの心配がなくなったら、尻尾の蛇ちゃん【ガチキマイラ】で攻撃
悪いやつは、もぐもぐっすー!



「分かりやすく出てきてくれて助かるわ。とりあえず……君はどついてええ子ってことで間違いないんやね」
「はぁ? そんなわけないだろ」
「じゃ、遠慮無くやらせてもらおうか!」

 怪人――キリの返答を聞かずに小烏・安芸(迷子の迷子のくろいとり・f03050)は素早く彼女との距離を詰めていく。もともと問いのつもりも確認のつもりもない。キリの返答が何であっても、やることに変わりはないのだ。
 駆けながら発動させた『ビルドロボット』で、手甲型に変形済みの『ラスティ・ピース』を改造してゆく。パークの中のメダルゲームコーナーが見えたことで思いついたのだ。念動力で視認範囲のメダルを自身へと引き寄せる。はたから見ると、ざわりざわりと銀の鱗が安芸の手元へと宙を泳いでいくようだった。
(「恐らく見かけによらんと、結構腕力はある方やろ。だったら正面からガチンコ……するわけないわな?」)
 猟兵として培ってきた経験に基づいた勘。それに従った安芸は、キリが身構える前にメダルで補強した拳を振るう。もちろん間合いに入ってから足を止めることなど無く、駆けた勢いと自重をプラスした重い一撃。安芸の持つ素早い走力が、威力を上乗せして。

「っ――! ったいじゃないかっ!!」

 ガシャンッ! 金属音が響く。頬を殴られたキリは、安芸の拳を振り払おうと反射的に手を振った――否。
 チャリン、チャリチャリチャリン……。
 キリの手が当たった手甲部分から、数枚のメダルがこぼれ落ちる。いくら彼女がオブリビオンだといっても、ただ手を振るっただけでそれを壊せるとは思えない。
「なるほどな、その手刀、随分切れ味ええみたいやな?」
 そう、安芸の手甲は『切られた』のだ。どうやらキリの手刀は、それほどの力を持つらしい。
「まーこっちも補充すればええだけやけどな?」
 キリと距離を取るように後ろへ跳んで、安芸はニヤリと笑う。この場ではメダルに事欠かない。多少切られても補充は容易だ。

「卑怯者。素手のボクに武装して殴りかかるなんて、ありえない」
「そりゃーウチはか弱い乙女やし、これくらいはハンデがあってええよな?」

 ――あ、もちろんこっちは手加減とかはせんからあしからず――付け加えた安芸に、キリは目を吊り上げて。

「は? か弱い? どの口で言うわけ? 自己評価見直したほうが良くない? ボクのほうがよっぽどか弱い見た目してると思うけど」
「こーゆーのは見た目やないやろ?」

 ああ言えばこう言う、ああ言われれはこう返す。女子の言葉には、直接的な棘の他に不可視の棘も多分に含まれているものだ。
「……おんなのこって、こわい……」
 だがパヴェルはその攻防よりも口撃の方に恐怖をいだいたようで。発光しながら小さく震えている。
「パヴェル、安心してください。たから達は必ずあなたを守り、すくいます」
 そんな彼を安心させるべく、鎹・たから(雪氣硝・f01148)はこれまでしてきたのと同じように、彼を守るという強い意志を言の葉に乗せて贈る。そして彼が射線に入らぬように意識して、庇うように立った。
「たからはこの身に妖怪を宿しましょう。あなたの縁切りなど敵わないほど、強力な妖です」
 告げて銀月の視線をキリに向ける。妖怪、悪鬼、幽鬼を順に宿していくごとに、その銀は研がれゆく刃のように鋭さを増していった。けれども――。
 ポタッ……ポタリ……。床に赤が落ちて、落ちて、落ちて……。
「……! 血!? 怪我したの!? 大丈夫!?」
 動けずとも、目の前にいるたからが血を流していることはわかるのだろう。パヴェルは慌ててたからに問う。けれどもたからは振り返らず、キリに視線を刺したまま口を開いた。
「パヴェル、安心してください。どれだけ痛みがあろうとも、たからをヒーローと呼んでくれたパヴェルをすくう、それがたからのつとめです」
「めちゃくちゃすごいヒーローのお姉さん……」
「どのような代償を払おうと、必ずあなたをほろぼします」
 その意志の強さを乗せた言葉は、パヴェルを感動で震わせ、キリに苛立ちをいだかせる。

「できるもんならやってみれば?」

 顔に浮かべた苛立ちを隠そうともせずに、キリは傍らに狛犬のような物体を喚び出した。そしてその狛犬から放たれた光線は、真っ直ぐにたからへと向かう!
 けれどもたからは、微動だにしない。たからが避ければ、動くことの出来ぬパヴェルが光線を受けてしまう。だからたからは顔の前で腕を交差させて、オーラの力で少しでもダメージを軽減するべく身構えた。
「くっ……」
 多少軽減したものの、これまでの敵と違って一撃が強力だ。ツ――ポタリ、ポタリと滴る血の量が増える。けれども、絶対に、たからはパヴェルの守護を放棄しない。何度その光線で、パヴェルを守りすくうと改めて強く思った時の記憶を消されようとも、その思いが変わることはないのだから。

「さすがに倒れないか~。だったら何度でも縁を切るだけだよ」
「縁を、切る? へんなことを言うヒトですねぇ、どうやって切るっていうんです?」

 キリのその言葉に反応して、たからの隣に歩み出たのはエイミ・メルシエ(スイート&スウィート&プリンセス・f16830)。
「どちらかといえば、今ものすごぉーく邪魔な、あなたとの縁を切ってしまいたいのですが……」
 思い悩むような表情を作ったエイミ。それにキリが反応を返す前にエイミとは反対側へと歩み出たのは。
「俺には心強い御守り『綾結び』がついている! これが在る限り縁は切れんだろう! 諦めろ!」
 亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)だ。その手には、桜の模様が編み込まれた紅い紐飾りが握られている。

「……というかお前縁切るような力あるのか?」
「……まさかそれ、縁結びのお守り?」

 珠の挑発にも似た疑問に返されたのは、先程までとは打って変わった低い声。

「ボク、縁結びって、大っ嫌いなんだよねぇっ!!」

 可愛かった顔を恐ろしいほどの憎悪に歪ませたキリが駆け出す。どうやら的確に地雷を踏んでしまったらしい。
「うーむ。嫌いだからという理由だけですぐにキレる子には直々にお仕置きしてもいいのですが……アンコール、との声が脳内に響いてきていますから、わたしはそれに答えなければ」
 エイミが素早く取り出したのは『スイート☆アイドルマイク』。女児向けアニメの玩具のような名前のそれは、泡立て器の形をしたマイクである。
「というわけで! 『お前を消す方法』リターンズといきましょう! 相手はイルカさんではないですが、オブリビオンに変わりはありませんからね!」
 どうやらまた、歌うことで仲間を強化するようだ。
「そう、今日のエイミちゃんはノリにノってるのですよ! 喉の調子とか! 張り切って! やっちゃいますよー!」
「……俺たち、召喚だ!」
 エイミちゃんオン・ステージが始まるのに合わせて、珠は自身の分身を喚び寄せる。180体の分身のうち30体ほどを動けぬハヴェルたちとそれを守るたからのそばに置き、自身と残りの分身は『砕』を手にキリへと向かってゆく。

「くっ……ムカつく!!」

 波のように押し寄せる大勢の珠。巨大な木槌を振るわれるキリは、それを避け、時には避けきれず、けれどもバシィィィィィッ!! と激しい音のする強烈なビンタを繰り出していく。ビンタを受けた珠の分身は消滅してゆくが、なにぶん分身の数は多い。

「更にだ! 『俺たち』も小さいが皆『綾結び』を着けている! これで縁を切るなど完全に無理になったな!」
「ムカつくムカつくムカつくムカつく……!!」

 キリの中に苛立ちばかりが募ってゆくのが、傍から見てもわかる。ビンタで分身を消すのに躍起になっているキリを見て、猟兵たちは息を合わせたかように誰からともなく動き出した。
 エイミの歌に共感し、力をもらった彼女たちは、常以上の速さでキリへと接近し。

「近くで『綾結び』を見せてやろうか?」
 分身を殴りつけているキリの横から、珠が『砕』を振るう。

「キレすぎやない? まーウチらには都合がええけど」
 巨大な木槌で力任せに叩かれたキリは、珠の分身にぶつかりながら吹き飛んだ。彼女が体勢を立て直す前にその懐に入り込んだ安芸は、メダルを追加して改造した拳を振り下ろす。

「かっ……はっ……」
「縁を切るのでしょう?」
 衝撃にたまりかねて血を吐いたキリが安芸から逃げるように身体を翻した先に、たからは立っていた。パヴェルを襲う隙を作らせまいと音もなく高速移動した彼女は、『不香の花』と『玻璃の花』を手に彼女に斬り込んで。
「あなたにそれが出来るとは到底思えませんが」
 六花のように冷たく、告げる。

「そうです! むしろわたしたちが、あなたとパヴェルくんたちの縁を切るのです!!」
 マイクを通して叫んだエイミ。その言葉に共感するものはいても、反論をいだく猟兵はいない。


 * * * * * * * * *


(「フ、フーちゃんも、動けなくなってしまったのですっ……! しかもなんかまぶしいのですよ……!」)
 パヴェルと同じくその場から動けず、発光してしまっているフラウ・ユーリン(お菓子なテレビ・f04335)。
(「これじゃ、パヴェルくんを守れないのです……ちょっとは猟兵らしくできるかなと思ったのに……うう……」)
 もどかしさと情けなさが、彼女の胸の中に満ちていく。
「……でも! こんなことじゃ、パヴェルくんとの縁は切れないのですよ……っ!」
 しかし、彼女は諦めなかった。自分を鼓舞するかのように大きな声を上げる。

「……目印が、目障り」

 口元を吐血で染めたキリの鋭い視線がフラウを射抜いた。イラつきと殺意に満ちてゆく彼女の瞳。
「目印じゃなくて、パヴェルさんとフラウさん、っすよ!」
 ふたりを守るように未不二・蛟羽(花散らで・f04322)が前へと出る。
「動けない人いじめるのだめっす! それに友達の縁は、勝手に切るもんじゃないっすよ!」

「ボクが切りたいから切る。異論は認めない」

「暴論っす!!」
 蛟羽の言うとおりであるが、彼女は相当こじらせているのだろう、こちらの言葉に聞く耳を持たぬ様子。もし聞く耳を持っていたら、オブリビオンなんかになっていないだろう。
「またしても愛らしい敵のお出ましにトキメキを隠せない私ですが、パヴェルさんの身の安全を第一に動かせていただきます、ふふ!」
 それまでパヴェルの発する光を、美しくかつ神々しく思い、恍惚の表情を浮かべていた明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)だったが、さすがに本来の目的を見失っているわけではなかった。
「さぁ、私と縁を結びましょう、私はしぶといですよ、ふふ!」
 告げて放った流し目ビーム。珠の分身をかき分け消しながらパヴェルの元へと向かおうとしていたキリに命中したそれは、爆発を呼び、そして――。

「はぁっ!? なに、これ!?」

 なんと、珠稀とキリを運命の赤い糸で繋いでしまったのだ!!

「あぁ……これで私たち、(赤い糸で)結ばれましたね♡」
「っ……冗談じゃな……」
「既成事実というやつですよ♡」

 うっとりと赤い糸を眺める珠稀。……本当に本来の目的を見失っているわけではない……よね?

「こうして縁を紡ぐのも幸せではありませんか? ふふ!」
「幸せなわけないだろっ!!」

 縁を切ると豪語し、縁結びが嫌いだという彼女にとって、こうして自身が目に見える形で、しかも赤い糸なんて縁結びの代名詞みたいなもので繋がれてしまうことは、我慢しがたいことであろう。それは想像に難くない。
 一秒でも早くこの糸を断ち切ってしまいたいのだ。手刀を繰り出すために手を振り上げた彼女だったが――。

 ビシィンッ!!

 珠稀の黒革の鞭がその手を打った。キリが再び手を動かす。珠稀が鞭を振るう、キリが再び手を動かす。珠稀が鞭を振るう、キリが再び手を動かす。珠稀が鞭を振るう……その繰り返し。
(「そういえばさっきのもふもふ気持ちよかったっす……あれも触った気持ちいいっすかね……」)
 彼女の動きに合わせて、雲のような尻尾のようなもふもふが揺れる。蛟羽は無意識のうちにそのもふもふに惹かれてしまっていた。
「はっ、これ以上記憶失くなるのはごめんっす!」
 が、自身で自身を律して空中を蹴り上がる。そしてその位置から投擲するのは『笹鉄』。使用者である蛟羽の血を原料として生み出されたワイヤーと鉤爪は、珠稀との攻防を続けているキリへとたやすく巻き付いた。そのまま宙を蹴り上がりつつ、ワイヤーを引いてパヴェルやフラウから彼女を遠ざけてゆく。動けないふたりを攻撃に巻き込むわけにはいかないからだ。
「フラウさん、炎の矢は放てそうですか?」
 それまでフラウとパヴェルのそばで光線銃を放っていた日留部・由穏(暁天・f16866)は、これまでの戦況を踏まえてひとつの策を編み出した。
「はいっ。この状態でも、魔法の発動くらいはできそうなのですよ」
「ならば、彼女が私の術にかかりましたら合図をしますので、炎の矢を放ってください。まともに狙うよりも、当たりやすくなると思います」
「わかったのです! ……動けないフーちゃんはここで、こてーほーだいになるしかない……」
 フラウに指示を出し、由穏は100本近い白い炎を喚び出した。そしてそれを一つに束ね、キリに暗示をかけるべく動く。
 ふよふよふよ……テレビウムらしく低い位置を行く白い炎。それを指して由穏は口を開いた。

「そこのテレビウムの少年、こちらへ来てはなりません! 早く逃げなさい!」

 由穏は演劇の神ではないゆえに演技に自信があるわけではなかったが、その声に反応してキリがこちらに顔を向けた。素早く催眠術で暗示をかける由穏。うまくいけば、あの炎をテレビウムの放つ光だと誤認してくれるだろう。

「!? 待て! 逃さないよ!」

 キリは由穏たちの元から離れゆく白い炎を追おうと身体を動かす。だが蛟羽のワイヤーに絡め取られた身体は、思うように動かない。
「……」
「……、……」
 ちらりと由穏を見た蛟羽は、彼が頷いたのを見てワイヤーを引く手を緩める。白い炎が十分にパヴェルたちから離れたのを確認したからだ。けれども彼女を捉えたワイヤーの端を手放すことはしない。

「待て! 待て!」

 手と身体を拘束されながらも白い炎へと駆けゆくキリ。今、彼女の瞳には、『無防備なテレビウムの少年』しか映っていないのだ。
「フラウさん、今です」
「フーちゃんの炎も、熱くて、明るいのです! すごいのですからっ!」
 由穏の合図でフラウが100本弱の炎の矢を放つ。常ならば、半分程度当たれば重畳だろう。だがキリの意識が完全に白い炎へと向いている今、その命中率は確実に上がっている。

「つかまえ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 捕らえるように白い炎に覆いかぶさったキリの背に、大量の炎の矢が突き刺さる。それと同時に――彼女が熱さや痛みを感じることはないが――彼女自身も気づかぬうちに、白い炎が彼女を腹や胸元から焼いてゆく。
「縁を紡いだ相手がいなくなるのは寂しいことですが……猟兵である私とオブリビオンは、今生では結ばれぬことが叶わぬ間柄。ならばさぁ、最後の仕上げといきましょう!」
 白と赤の炎に包まれるキリを、珠稀は容赦なく黒鞭で打ち据える。
 程なく炎が消え、響くのは鞭の音。黒焦げのキリから、珠稀の鞭で打たれた部分の焦げがぽろぽろと剥がれてゆく。
「焼き加減はウェルダンっすね。いや、ちょっと焦げすぎっすかね?」
 手にしたワイヤーに手応えがないのを確認した蛟羽は、黒焦げのキリの傍らへと降り立ち、尻尾の蛇を獅子の頭へと変形させる。
 これからすることはひとつ。
「悪いやつは、もぐもぐっすー!」

 こうして完全に、キリの姿は消え去った。


「あっ、顔が戻った!!」
「本当なのです!!」
 パヴェルとフラウの言葉に猟兵たちがそちらを見れば、たしかにふたりの鍵の表示はなくなっている。まばゆいほどの光も、いつの間にか消えていた。

 (・▽・)(>。●)

「パヴェルが無事で良かったです」
「これで一件落着……やろか?」
「ふたりとも、可愛い顔だな」
「終わりましたね!」
 たからに安芸、珠やエイミもふたりの顔の表示が戻ったことを喜んだ……が。

「システム・フラワーズより緊急救援要請」

「えっ……?」
 突然聞こえてきた声に、誰かが声を上げる。あたりを見渡してみても、声の主らしいものは見当たらない。

「繰り返す。システム・フラワーズより緊急救援要請」

 まるで、周囲の建造物が喋っているかのように聞こえ、声の主の特定は困難だ。

「全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に、侵入者あり」

 猟兵たちがその声の内容を理解するよりも早く、声は情報を流してゆく。

「テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど、開放されるメンテナンスルートは増加する。至急の救援を請う」

 ここに集った彼らにわかるのは、事態がこれで終わりではないことと、想像していたよりもなんだか深刻そうな状況だということだけだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月30日


挿絵イラスト