テレビウム・ロック! ~ マグロにひかれたところから
キマイラフューチャー世界、某街中。
「たすけてー!」
テレビウムの男の子は、必死で逃げていた。
青いまん丸ボディに獣っぽい耳。どこにでもいそうな子供だったが、あえて気になる点を挙げるとするなら、頭部のテレビ画面が鍵のマークを映したまま全く変化しないということだろうか。
「た、たすけ……あぅ!?」
走り疲れ、転んでしまう男の子。その背後に、怪しい影が迫った。
『ふっふっふ、もう逃げられないよ』
勝ち誇る眼鏡の少女はアヤカ・ウザカワ。過激な動画投稿者として知られるオブリビオンだ。
『だいじょうぶ、怖くないよぉ。お姉ちゃんと一緒に楽しいとこ行こうねぇ』
両手をワキワキさせながら、猫なで声で男の子に迫るアヤカ。普通に事案モノである。
このままR指定まっしぐらかと思われたその時、意外なところから救助が入った。
『ツゥゥゥナアアァァァッッ!!?』
マクロだった。
頭にマグロを乗せた赤ふんどし男たちが、猫に追われてこちらに向かって全力疾走してくる。
『何事……って、ホントに何事!?』
(魚だけに)ギョッとする暇こそあれ、アヤカと男の子は逃げることもできずにマグロと猫の大群に飲み込まれてしまった。
『ちょっ!? ……きゃ!? ……ぶっ、ぐえっ!?』
蹴られ踏まれ引っ掻かれ、ボロ雑巾みたいになったアヤカを置き去りにして、マグロたちは何処へともなく走り去って行った。
『痛たた、もう最低……ハッ! あの子は!?』
腰をさすりながら起き上がったアヤカは慌てて周囲を見回したが、テレビウムの男の子はどこにもいない。
耳を澄ましてみれば、マグロたちは走っていった方角から「たぁすけて~」と覚えのある声が聞こえてくる。どうやら、群に巻き込まれたまま連れていかれてしまったらしい。
『そ、そんなぁ。もうちょっとだったのにぃ。踏んだり蹴ったりされた上に、また最初からやり直しだなんて……』
がっくりとうなだれて、肩を震わせる。
「ヒドイ、ヒドイよ……ああ、なんだろうゾクゾクしてきた」
なんか恍惚とした表情でビクンビクンしてたが、やがて気を取り直したアヤカはマグロを追って走り出したのだった。
***
田抜・ユウナ(狸っていうな・f05049)は予知した光景を説明し終えると、猟兵たちを見渡して言った。
「……どういうことなの?」
予知した当人が訊いてどうする。
簡単にまとめると、その内容はこうだ。
男の子をメガネの少女が襲っていたところ、偶然通りかかったマグロの集団に轢かれた。
「うん、さっぱり分かんないけど、取りあえず進めるわね」
理解を放棄して、ユウナはお気に入りの伊達メガネをくいと直した。
「皆に向かってもらうのはキマイラフューチャー世界よ。現場に着いたら、まずはマグロ怪人ツーナーに当たってもらうわ」
マグロ怪人ツーナー。ご存知の方も多いだろう、常にマグロ好きな猫たちに追いかけられているという哀れなオブリビオンである。
「ツーナーたちは街中を縦横無尽に走り回ってるんだけど、その集団にテレビウムの男の子が巻き込まれてしまってるの」
男の子に気付いているのかいないのか、ツーナーたちは直接的な危害を加える様子はない。しかし、全力疾走する男どもに連れ回されるのはツラかろう。
早急に怪人たちを撃滅し、彼を救出してやってほしい。
そして、無事に助けることができたら、今度は男の子を追いかけているオブリビオンから逃走することになる。
「どうやら敵は、足止めのために配下を呼び出そうとするみたい。道中の妨害を突破して、逃げ切った後にオブリビオンの討伐って流れが理想的ね」
伝えられる情報はこれで全部だったが、ユウナはどこか釈然としない様子だった。
「……なんか妙な予感がするのよね。もしも異変があった場合は、彼の安全を確保できないかもしれない。守りながらの戦いになることも想定しておいてね」
黒姫小旅
どうも、黒姫小旅でございます。
此度は【期間限定シナリオ】。早期完結を目指しますので、人数超過の際にプレイグ却下する可能性が通常よりも高いです。ご了承ください。
●NPC
エドモンドくん。
青色の猫型テレビウムの男の子、八歳。
●第一章
集団戦。
猫に追われて爆走しているマグロ怪人ツーナーを全滅させると、群れの中からテレビウムの男の子を救い出すことができます。
●第二章
集団戦。
逃走経路は現場で判明します。
なんかモッフモフで可愛い配下たちが足止めしてくるので突破してください。
●第三章
ボス戦。
かまってちゃんでマゾヒスト。
第1章 集団戦
『マグロ怪人ツーナー』
|
POW : 止められない止まれない
【食べられるという恐怖心から無限のスタミナ】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
SPD : そんなことより助けて欲しい
レベル分の1秒で【腕を振り払うことで自らに噛み付いてる猫】を発射できる。
WIZ : 水を得たお魚
【水鉄砲】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を水浸しにし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:くずもちルー
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ユェン・ウェイ
状況がカオスすぎだよ!!
とりあえず怪人を倒せばいいんだよね?
頑張るぞ!
【ダッシュ・ジャンプ・スライディング】を駆使してとりあえずツーナー軍団に接近したら片っ端から【ガチキマイラ】で攻撃していくよ!
とにかく敵に近い部分、手や足をパンチやキックの要領で突き出してライオン頭に変形させてくね
おらー!食べちゃうぞー!
猫さんはオブリビオンじゃないなら巻き込まないように注意して
【失せ物探し】で敵軍を確認してエドモンドも巻き込まないようにしないとね
相手の攻撃は【野生の勘】も活かして避ける!
猫さん、ボクは食べても美味しくないし飛んでこないで!
上手くエドモンドを助け出せたら、救出しに来た旨を伝えて安心してもらおう
メメ・ペペル
そこのまぐろさん、とまりなさーい!
てれびうむのぴんちは、おなじてれびうむとしてみすごせませんよ!
【エレクトロギオン】をつかって、たいりょーのネコチャンろぼをしょーかんします!
『操縦』でネコチャンろぼにとーそつのとれたうごきをさせ、あいてをかくらんしつつ、『見切り』ですきをついて『属性攻撃』をしかけます!
いけ、ネコチャンろぼ!
びりびりせーでんきけだまばくだん、いっせーはっしゃ!
しびれて「まっぐろ」こげになってください!
あっ、いまのは「まっくろ」と「まぐろ」をかけたぎゃぐです!
(アドリブ・共闘歓迎です!)
●
現場に転送されたユェン・ウェイ(M.Y.W・f00349)が目撃したものについて説明しよう。
まず、キマイラフューチャー世界ならではの未来的な街並み。そして、爆走するマグロ頭の赤ふんどしと、それを追うにゃんこ。はるか後方から『待て待て~』とか言って女が追ってくるが、あれはひとまず無視してほしい。
「状況がカオスすぎだよ!?」
大丈夫、皆そう思ってる。安心できないだろうが、がんばるしかない。
「と、とにかく、怪人を倒せばいいんだよね?」
「てれびうむのぴんちです、がんばります!」
ふんす、と気合を入れて進み出たのは、メメ・ペペル(やせいのてれびうむ・f15302)だ。
同族のピンチを救わんと、メメは勇んで【エレクトロレギオン】を発動。数にして105体もの猫型機械兵を召喚し、マグロ怪人の群れへとけしかけた。
「いけ、ネコチャンろぼ!」
『イィィヤアアアァァアッッ!!? 猫が増えたァァァァァッッ!?』
絶叫する怪人ツーナーたち。まさに前門の虎後門の狼な状態だ。ちょっとかわいそうな気がするぞ。
猫型ロボットと本物の猫に挟まれてマグロがパニックに陥ったところへ、満を持してユェンが飛び込んだ。
「おらー! 食べちゃうぞー!」
駆け込みながら、腰溜めに構えた右拳をライオンの頭部に変形。突撃の勢いを殺さずに正拳突きの要領で叩きこむ。
『ギャアアァァァァアアッッ!? でっかい猫ォォォオオオッッ!!?』
悲鳴を上げるツーナーに、ゴツイ牙が食い込んだ。
ユェンの連撃は止まらない。右手を人型に戻すや、今度は左足を獅子頭に変じて回し蹴り。懐に滑り込んで打ち込んだ肘鉄から口が生じてひと齧り。
一騎当千で食い散らかすユェンに、猫たちも『俺たちにも食わせろにゃー!』とばかりに暴れまわった。
「ち、ちょっと猫さんたち、危ないよ! あとボクは食べても美味しくないし飛んでこないで!」
うっかり猫を噛んでしまわないよう注意しながら、ユェンの目はずっとある物を探していた。目まぐるしく入れ替わり立ち替わる戦場で、ついに彼女はそれを発見する。
マグロの巨躯に引っかかった青色ボディ、鍵のマークを映したテレビ画面。
「見つけた、エドモンドくんだよ!」
救出対象のテレビウムを発見。指差して知らせると、後衛のメメは即座に応じた。
「びりびりせーでんきけだまばくだん、いっせーはっしゃ!」
巧みな操縦テクでコマンドを送ると、猫ロボたちが毛玉型の爆弾を吐き出す。
Bzzzzz!!
ビリビリ静電気が炸裂、エドモンド少年を避けて的確に怪人ツーナーだけを焼いた。
電撃に驚いた猫たちがフニャーと逃げ出して、後には痺れて香ばしくなったマグロたちが取り残される。
「『まっぐろ』こげなのです! ……あっ、いまのは『まぐろ』と『まっくろ』をかけたぎゃぐです」
やり遂げた笑顔で胸をはるメメ。自分でギャグの説明をしちゃうあたり、かわいい。
ともあれ、二人の活躍によりツーナーたちはずいぶんと数を減らしていた。あともう一息で、全滅せしめることができるだろう。
「待ってて、エドモンドくん。必ず助けてあげるからね!」
ユェンの呼びかけが届いたか、テレビウムの小さな手がブンブン振られるのが見えた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ギルベルト・クオーレハイド
…むっさ苦しいなぁおい!
生臭いのか?いや汗臭い?両方?
まあどっちでもいいか!取り敢えず保護すればいいんだな!
猫苦手なのか?可愛いのにもったいない。
んじゃ今から好きになろうぜ!
え、どうすんのかって?フッフッフッ…(ニヤァ
そりゃお前、こうすんだよ!
バイオモンスターの特性を生かして、でっかい猫になるぜ!
体積変わらなければ何にでもなれるって便利だよな!
元の身長が2m越えだからめちゃくちゃデカイぞ!
【怪力、2回攻撃】で蹴散らしながら敵に突っ込んで救出だ!
オラどけどけー!退かないと頭から食っちまうぞー!(ノリノリ
あ、ひょっとしたらトラとかピューマとかになってるかもな!まぁネコ科だしいいか!
(アドリブ可)
杼糸・絡新婦
あ~、変態がテレビウムの子供を
追いかけまわしてるて事やろ、要は。
子供ビビらすなや!!
SPD
流石に鋼糸で解体ショーはまずかろう。
UCにてバトルキャラクターズ
ケルベロスを召喚、30体から6体ずつ合体させ5体
にして追跡と攻撃を行う。
ほれ、攻撃ついでに味見でもしておいで。
・・・食いたいかなあ、あれ。
敵の攻撃は捕獲した【敵を盾にする】ことでガード。
・・・マグロガード。
●
『ツゥゥゥナアアァァァッッ!!』
なおも走り続けるマグロ怪人ツーナーたちだったが、何気なく後ろを振り返ってギョッとした。
『また何か増えてるぅぅぅぅっっ!!?』
後方から追いかけてくる猫たちに、なんかデッカイのが混ざってる。
巨大猫の正体は、何を隠そうギルベルト・クオーレハイド(バイオモンスターの元マフィア、現在無職・f17151)その人だった。
バイオモンスターの種族特徴を生かして猫に変身したのだが、もともと大柄だったギルベルト。猫になっても無茶苦茶デカイ。もはや猫っていうよりも、ネコ科の猛獣だ。トラとかピューマとか、そういうの。
『ギャアアァァァァアアッッ!!?』
「おいおい、悲鳴はねえだろ。よく見てみろよ、猫かわいいぜ。今からでも間に合うって、猫好きになろうぜよォォォッ!!」
どんな猫好きでもトラウマになりそうな形相で叫びながら、猫型ギルベルトは加速。マグロの群れに追いつくと、最後尾の背中にガブリと噛みつき、持ち前の怪力で千切っては投げ飛ばしていく。
「オラどけどけー!」
『お助けェェェッ!?』
吹っ飛んだマグロは大の字で地面に墜落、うめいてるところに猫たちが殺到し『ゴチですにゃー』とハムハムする。
さらに、どこからともなく参加したケルベロスもガプガプしている。
…………。
地獄絵図だった。
不喜処地獄って知ってる? こんな目に遭いたくなかったら、皆も動物をイジメちゃだめだからね。
***
「……しっかし、そんな食いたいかなあ、あれ」
ケルベロスを放った張本人、杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)が、ちょっと離れたところから様子を見ながら、微妙な表情でつぶやいた。
ぶっちゃけ、食べるどころか触れるのだって嫌かもしれない。
「味見くらいはええけど、子供が見とるんやからねー! 怖がらせるようなことしたらあかんよー!」
『……ツナ!?』
ギルベルトやケルベロスたちに声をかけると、マグロたちがこっちを向いた。
何か、期待するような瞳で見つめてくる。
『たぁぁすけてぇぇぇぇぇぇぇっっ!!』
「なんでこっち来んね――ん!?」
思わず叫んだ。
助けを求めて駆け寄ってくるマグロ。何それ怖い。夢に出てきそうだ。
「自分らオブリビオンやろがい! 猟兵に向かって助けてってなんやねん!?」
『どうでもいいから助けてェェェェェっ!!』
「ええい、もう来るんとちゃうわ!!」
話が通じない、と絡新婦は即座に割り切って鋼糸を構えた。ヤドリガミとしての本体でもある鋼糸【絡新婦】は、その名にふさわしく蜘蛛の糸の如く風に舞い、マグロ集団へと飛んだ。
最前列の一体に巻き付き、四肢を絡め取って動きを封じて、横向きに引き倒す。
先頭が転べば、あとは為すがままだ。後続がけっ躓いて転び、それに躓いてまた転倒。そうして次々に転んで行って、あっという間にマグロの山ができた。
「マグロガード、ってかバリケードか? まあ、それはさておき……」
絡新婦は再び鋼糸を操り、動けなくなったマグロ怪人の中からテレビウムの男の子を探し出すと、優しく巻き取って引っ張り出した。
「よしよし、エドモンド君っていうたかいな? もう大丈夫やからね」
と、腕に抱いて背を向ける。
背後から猫の歓声とマグロの悲鳴が聞こえてくるが、絡新婦の体が邪魔になってエドモンドの視界には何も入らなかった。
「お、救出成功したみたいだな」
ひとしきり暴れたギルベルトも、人間型に姿を戻しながら歩いてくる。
「あ、あの、猟兵さん、たすけてくれてありがとうございます」
しっかりと感謝の言葉を述べる男の子に、二人は満足げにうなずきあった。
「怪我はなさそうだな」
「そやね。でも、まだ変態が追っかけてくるみたいやから、さっさと逃げた方がええわ」
これからどう動くか。
猟兵たちが今後の方針について相談しようとした、その時だった。
『―― ナビゲーションモード ヲ 起動 シマス』
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『アキクサさま』
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POW : ぽかぽかの風
【召喚したヒーターの熱風】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : どっちが本物?
【もう一羽のアキクサさま】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : 究極の平和主義
全身を【スーパーもふもふモード】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
イラスト:橡こりす
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
『――ナビゲーション 開始 大至急 目的地 ニ 向カッテ クダサイ』
謎の機械音声とともにテレビウムの画面に写し出されていた鍵のマークがくるりと回転、まるで方位磁石のようにある方角を指し示した。
『50m 先ヲ 右 デス』
「え、え? 何これ!?」
エドモンド本人も、何が起こっているのか分からない様子だ。
猟兵たちは保護したテレビウムの異変に困惑するが、ゆっくり考えている時間はなかった。
『絶対に逃がさないんだからねー!』
後方から少女の声が近づいてくる。
この場でオブリビオンとの戦闘は避けた方がいい。
そう判断して、猟兵たちはエドモンドを連れて駆け出した。
『繰リ返シマス 大至急 目的地 ニ 向カッテ クダサイ』
●
『ぴよぴよ』『きゅうきゅう』『くるっぽー』
遁走する猟兵たちの前に、真ん丸な影がいくつも出現した。
彼らを足止めするために呼び集められた下級オブリビオンたちである。
名称、アキクサさま。ふわふわでぬくぬくな超絶かわいい鳥さんだ。
行く先々でコロコロしてるアキクサさまの妨害だか誘惑だかを、果たして猟兵たちは突破できるのか!?
ユェン・ウェイ
今度は可愛いのが出てきた!
オブリビオンじゃなきゃもふもふしたかったなぁ……
でも今はそれどころじゃないから、どいてもらうよ!
という訳でもう一度足や腕を【ガチキマイラ】で変身させつつアキクサさまを薙ぎ払っていくね
【フェイント】も交えた攻撃でどんどんやっていくよ
何羽現れてもひたすら叩けばきっと道が開けるはず……!
多少のダメージは覚悟の上、ひたすら突っ切るよ!
出来るだけエドモンドを気遣って庇うようにも心がけるよ
ナビにも注意しなきゃ、進行方向確認しないと危ないしね
にしてもどこに向かっているんだろう?
鍵も謎だし……行けば分かるかな?
●
夕日色の羽毛に身を包んだ真ん丸な鳥さん、アキクサさま。マグロ怪人とは打って変わってすごく可愛い。
「もふもふしたいところだけど、……オブリビオンだし、何より今はそれどころじゃないからね。どいてもらうよ!」
ユェン・ウェイ(M.Y.W・f00349)は誘惑を振り切ると、再び片腕をライオンの頭部に変形させた。
『ぴよ~!?』『チュンッ!?』
薙ぎ払われたアキクサさまが宙を舞い、近くの建物の壁とかにぶつかってポヨンて跳ねた。可愛いったら可愛い。
ほっこりしつつも心を鬼にして突っ切ろうとするユェンだが、アキクサさまだって負けてはいない。
ヒーターを召喚し、熱風を放つことで対抗する。ちなみに、こちらのヒーターは丸くて可愛いアキクサさまモデル。もうシーズンが終わってるので、大変お買い得になっております。
「かわいい! ほしい!」
「熱いから近寄っちゃだめだよ!」
さっそくアキクサさまに魅了されてるエドモンドくんを引き留めたユェンは、テレビウムの顔画面を確認して、わずかに眉をひそめた。
相変わらず謎の鍵マークが浮かんだままで、ときおり電子音声で『左 デス』などと進路を指定してくる。
「……どこに連れて行こうとしてるんだろ」
ユェンの疑問に答えられる者は、どこにもいない。ナビに従って進めば、何か分かるだろうか……?
大成功
🔵🔵🔵
杼糸・絡新婦
大至急らしいし、なんかまだ来とるし、
ナビゲートしてくれるなら素直に従おか。
引き続きバトルゲームキャラクターのケルベロスが
動けるなら足止めと攻撃してもらう。
あ~、さっきの光景に比べたら全然癒やしやん。
止まっとる間はないのが残念やけど。
UCにて鋼糸を召喚、
蜘蛛の巣のように張り巡らし、
こっちに飛んできたやつを
絡みつくようにして攻撃。
捕獲できたなら【敵を盾にする】で
他の敵の攻撃からガード。
【かばう】を利用しつつ、
エドモンドが巻沿いにならないよう注意。
●
『ケーンケーン』『ピーヒョロロ~』
どっちが本物でしょう! とアキクサさま。一体が二体に、五体が十体に、いっぱいがいーっぱいに。ねずみ算式に増えていき……
『チチチ!?』
いざ猟兵に飛びかかろうとした途端、ふわふわ羽毛が何かに引っ掛かった。
キラリ、と日差しを受けて、張り巡らされていた糸が光る。
鋼糸のトラップだ。いつの間に仕掛けられていたというのか。
アキクサさまたちは蜘蛛の巣に捕らわれた蝶々、あるいはパーキングエリアとかに陳列してるキーホルダーのように、なすすべなく空中でぶらんぶらんしてる。可愛い。
あと、視線を下に移してみれば、ケルベロスたちがアキクサさまをコロコロしてた。ボール遊びするワンちゃんみたいで可愛い。
「あ~、さっきの光景に比べたら全然癒やしやん」
鋼糸の主である杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)、しみじみと目を細める。いやぁまったく、爆走するふんどしマグロとはえらい違いですね。
正直、こうしてずっと和んでいたいところだが、今の彼らは追われる身。足を止めることは許されない。
「なんや大至急らしいし、ここはナビゲートに従おか」
そう決断して、絡新婦は謎の機械音声に導かれるままに走っていく。
成功
🔵🔵🔴
メメ・ペペル
わわ、かってにしゃべった!(画面を白黒させる)
それにしても、えどもんどどのはこんなことになっているのに、なんでボクはなんともないんでしょうね?
こんどはもふもふさんですか!そのあったかいやつ、なぜかボクがぎゃぐをいうと、「あたりがさむくなる」といわれるので、ぜひぱく……しゃくよーしたいです!
『見切り』でひーたーのこーげきをふせいで、【ユーベルジャック】をはつどーさせます!
ひーたーかえしです!まるで、はるのようきのようなあたたかさ、このねむけにあらがえますかね?
あれ……?でもここでもふもふさんがねむってしまったら、ボクがぎゃぐをいうあいてが……ま、いっか!
●
『20m先 左 デス』
「わわ、かってにしゃべった!」
メメ・ペペル(やせいのてれびうむ・f15302)は驚いて、顔の画面を白黒させる。
「ぼくの顔、なんでこんなになっちゃんたんだろ」
「ボクはなんともないけど、なにがちがうんでしょうね?」
テレビウム同士、顔を見合わせるが何ら思い当たる節はなかった。世界のあちこちで同様の異変が報告されているが、テレビ顔面がジャックされる、あるいはされない条件はいまだに明らかになっていない。
ともあれ、考えている余裕はない。今はオブリビオンの妨害を突破するのが先決だ。
『ホーホケキョ!』『テッペンカケタカ!』
アキクサさまたちは再びヒーターを召喚、ぽかぽか風で猟兵たちを足止めしようとする。
「まってました!」
キラン! メメの顔画面が光った。
メメには以前から悩みがあった。なぜか、彼がギャグを言うと「周りがサムくなる」のだそうだ。
ギャグで寒くならないようにするには、どうすればいいのか? ヒーターでぬくぬくにすればいい! ……そういうものか?
「そういうものです。なので、ぜひぱく……もとい! しゃくよーしたいです!」
ってなわけで、メメは【ユーベルジャック】発動。アキクサさまの能力をパク……もとい借用し、ヒーターを召喚した。
「ひーたーかえしです!」
放たれる温風。春の陽気に温度設定して、心地よいぽかぽかを提供する。
『ホッ……ホゥホウ』
”春眠暁を覚えず”の言葉のごとく、眠たくなるアキクサさま。もはや、彼らは惰眠をむさぼるばかりで足止めすることなど頭から抜け落ちている。
しかし、メメは気付いた。自分は大いなる過ちを犯してしまったことに。
……アキクサさまが寝てしまったら、ギャグを言う相手がいない!?
他の猟兵たちを見た。目を逸らされた。
エドモンドくんを見た。『……ソノ先 左 デス』
「……ま、いっか!」
切り替えが早いって大事だね。
***
足止めもなくなって、ナビに導かれるまま左折して直進するとスクランブル交差点に行き着いた。
さあ、次はどちらへ向かえばいいのか……
『目的地ニ 到着 シマシタ ナビゲーション ヲ 終了 シマス』
……到着というが、そこは高層ビルに囲まれた横断歩道の上だ。特に気になるものはない。こんなところに連れてきて、何をしようというのか?
「えどもんど どの、なにもかわりは ありませんか?」
メメが訊ねるが、エドモンドくんも相変わらず訳が分からない様子。
「う、うん。何も感じないけ『――ブッ』」
唐突に、声が途切れた。
「え、えどもんど どの?」
困惑するメメに答えることもなく、無言のエドモンドくんは五歩ほど前進。ピョンピョンと左右に跳ねて立ち位置を調整し、
『座標確認 接続 ヲ 開始 シマス』
カッ! 鍵マークの浮かんだテレビ画面が、まばゆい光を放射した。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『アヤカ・ウザカワ』
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POW : そんなにあたしに関わりたいの?仕方ないなあ♪
全身を【構ってオーラ】で覆い、自身が敵から受けた【痛みや苦しみ】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD : もっとアタシに構えー!
【音や煙が派手な様々な火器を装備したモード】に変形し、自身の【回避力と移動力】を代償に、自身の【命中と攻撃速度】を強化する。
WIZ : 世界で一番可愛いのはアタシ!
【笑顔】【挑発的なポーズ】【自分を見ろというオーラ】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
イラスト:つかさ
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠リサ・ムーンリッド」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
何の変哲もないスクランブル交差点。
高層ビルに囲まれた映えそうなスポットだが、何故だか一般人の姿が見当たらない。たぶん、騒ぎを聞きつけて避難したんだろう。いまごろ、撮影ドローンが配信する動画で猟兵たちの活躍を視聴しているに違いない。
●
突然、頭部のテレビ画面からまばゆい光を発し始めたエドモンドくん。猟兵たちが声をかけたり揺さぶったりしてみるが、意識がないのか何の反応もない。
『――接続中 接続中 完了スルマデ 動カサナイデ クダサイ』
例の機械音声がして、テレビ画面にデジタル数字が映し出された。
15:00
14:59
14:58
・
・
・
カウントダウンのようだが、その意味するところを理解するよりも先に、脅威がやってきた。
眼鏡をかけた少女、冒頭からずっと追いかけてきていたオブリビオンの『アヤカ・ウザカワ』である。
ようやく追い付いたアヤカは、顔を真っ赤にして言った。
『……ぜぃぜぃ、ああ゙たぢ……ぞの、デレビ……はぁ、ひぃ……わ、わたして……』
息も絶え絶えだった。ずっと走りっぱなしだったからね。
酸欠気味で会話もままならないアヤカだったが、エドモンドを強奪せんとユーベルコードの気配を見せる。
エドモンドくんを連れて逃げることも難しそうだ。どうやら、彼を守りながらこの場で戦うしかないらしい。
メメ・ペペル
ほえー!!えどもんどどのー!!
このかうんとだうんはなんですかー!?ばくはつおちはかんべんですよー!!
あっ、どろーんだ!これはみっかみばんねておきてかんがえたぎゃぐを、みんなにひろーするちゃんすですよ!!
【ガジェットショータイム】でおっきなかくせーきをしょーかんします!おもいついたとっておきのぎゃぐを、おーきなおとにかくさんしてくれます!
なぜかぎゃぐをいうたびに、かってにてきにこおりの『属性攻撃』をうつんですけど、なんででしょうね?
まあ、てきのうごきをふうじられるからいっか!
それー!ふとんがふっとんだー!
ねこがねころんだー!
●
メメ・ペペル(やせいのてれびうむ・f15302)は、気付いた。
「あ、どろーんだ!」
ちょっと離れた上空に浮かぶ飛行物体。
猟兵たちの活躍を撮影・生配信するために、どっかの一般人が飛ばしたのだろう撮影用ドローンである。許可なく撮影したものを流すのはトラブルの元だから、注意しようね。
とまあお堅い話はさておき、撮られているとなればメメとしては言わずにいられないことがある。
【ガジェットショータイム】発動。巨大な拡声器を召喚すると、満を持して開口一発。
「ふとんが、ふっとんだ!」
……ドヤ!
顔のテレビ画面に、これでもかってほど自慢げな顔文字が浮かんだ。
三日三晩、寝たり起きたりしてたらパッと思いついた選り抜きのギャグである。今日は調子がいいので、特別にもうひとネタ。
「ねこが ねころんだー!」
…………――
だだ滑りである。ボス戦中だぞ。こんな空気にしてくれちゃって、どう責任をとるのか。
しかし、心配はご無用。
メメが召喚したのはただの拡声器ではない。ど滑りして凍り付いた空気を、実ダメージありの《属性攻撃:氷》として敵に叩き付けることができるのだ。
まあ、そういうわけで、舞台裏ではきちんと戦闘処理されます。
『やっと出番がきたのに、ほとんど描写なしなんてヒドいよぉ。こんな雑な扱い……はぁん』
妙に顔を赤らめたりしてらっしゃるが、きっと氷結を受けて寒いからである。たぶん。
成功
🔵🔵🔴
ユェン・ウェイ
今更だけどアドリブ連携歓迎!
……ねぇ君、大丈夫?
そんなにヘトヘトなら帰った方がいいんじゃない……骸の海に……
エドモンドのカウントも気になるけど、とりあえず先にこの変な子を倒そうか
ということで相手がパワーアップするより前に【ダッシュ・ジャンプ】を駆使して接近!
またしても【ガチキマイラ】でがぶっといっちゃうよ!
構ってオーラもなんのその、エドモンドのが気になるからきっと大丈夫!
【フェイント】も交えた攻撃でさっさと相手を倒しちゃおう
もしエドモンドに攻撃が当たりそうなら庇いにいくよ
構ってオーラとかは大丈夫だろうけど火器は心配だからね
もし敵を倒せたらカウントが終わるまで護衛は続けるよ
……何が起きるんだろ?
杼糸・絡新婦
動かさないでください言うとうしなあ、
あんさんもよう頑張ったんやろうけど、
お触りアウトやな、帰れ。
てわけにもいかんのやろうな。
真の姿解放
召喚済のゲームキャラクターのケルベロスは
全部合体させ一体にしてしまい
攻撃にあたらせる。
こっちにきた敵の攻撃は脱力して受け止め流し、
オペラツィオン・マカブル発動し
サイギョウで排出やり返す。
【フェイント】を入れ相手を惑わし時間稼ぎをする。
【情報収集】
一応聞くけど、
鍵の件、どうやって知った?
さて、何が開くかなあ。
●
理由はさておき、ハアハア荒い息のアヤカへ、ユェン・ウェイ(M.Y.W・f00349)はおそるおそる声をかけた。
「ねぇ君、だいじょう……ぶ、じゃなさそうだね」
『はっ! 構ってくれる人発見!?』
風が起きそうな勢いで顔をあげるアヤカ。
『ねえねえ、アタシのこと気になる? 気になるよね! ねえ、構って構って!』
「え、ええ……」
ぐいぐいこられて、ユェンは困惑をあらわに杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)を振り返った。
「……どうしよう?」
「どうしよ、言われてもなぁ」
これには絡新婦も苦笑い。
「まあ、あれや。あんさんもよう頑張ったんやろうけど、帰れ」
「そうだね、帰った方がいいんじゃない? ……骸の海に」
『うっそ、帰れコール!?』
ガーン! って音が聞こえてきそうな表情でショックを受けるアヤカ。
眼鏡の奥でじわりと涙が浮かぶ。
『う、うぅ……マグロに轢かれたのを皮切りに、誰一人としてまともに構ってくれないなんて、ヒドすぎるよ。……ああもう、ここまでのプレイは初めてぇ』
何かクネクネしてる。マジでどうしよう。
「とりあえず、この変な子を倒そうか」
「せやな」
というわけで、戦闘開始だ。
***
『一回くらいはアタシに構えー!』
構ってオーラを纏うアヤカに対し、猟兵たちもユーベルコードを発動した。
まずはユェン。右腕をライオンへと変じてガブっと噛みつきにかかる――と見せかけて、直前で変異を解いて左足へと移す。
相手の虚をつく回し蹴りが脇腹に炸裂、鋭い牙が喰い込んだ。
『うぐっ!? ……ぅー、ちょっとくらいは構ってよー!』
アヤカは痛みに悶えながら、様々な火器を取り出すと一度にぶっ放した。閃光、轟音、黒煙が辺り一面を埋め尽くすなか、ユェンは負傷も覚悟で花火やら爆竹やらを叩き落していくが、防ぎきれなかった弾丸が後方へ飛ぶ。
「まずっ……絡新婦、そっち行った!」
「任せとき!」
後衛に立っていた絡新婦が、撃ち漏らしを引き受けた。真の姿を解放。白い着物の青年が、トラ柄の獅子を持つ多眼の怪人へと変貌する。
化け蜘蛛と化した絡新婦は、降り注ぐ弾丸の雨に対して完全脱力の構えで、瞬時に爆炎に飲み込まれる。そして――
「――サイギョウ!」
オブリビオンの背後に、音もなく狩衣姿の狐人が回り込んだ。
【オペラツィオン・マカブル】!
からくり人形から、アヤカが放ったのとまったく同じ花火や爆竹の数々が掃射される。
『ぅきゃあああああっっ!?』
まさか自身の攻撃が返ってくるとは思わず、アヤカは防御もままならない。全弾命中し、一瞬の後には黒焦げになって倒れ伏していた。
もはや戦う力も残っていないアヤカへ、絡新婦は歩み寄るとすぐ傍にしゃがみ込む。
「一応聞いとくけど。鍵の件、どうやって知った?」
「う、鍵……?」
瀕死のアヤカは頭をもたげ、絡新婦の複眼を見返して……
「えーと……トレンド?」
「まあ、そんなもんやろな」
こんなところでテレビウムたちが襲われる理由が明らかになるわけもなく、絡新婦はさっさと背を向けて、代わりに召喚されたケルベロスが進み出る。
「あ、これって、ちゃんと答えなかったからヒドい目にあわされる流れキャアア!?」
何かを期待するようなアヤカに応えられたかどうかはさておき、地獄の番犬は牙を剥いて襲いかかった。
***
さて、オブリビオンの討伐も完了して、猟兵たちはエドモンドくんの周囲で時が来るのを待っていた。
顔画面に表示されたカウントは、時おり早まったり遡ったりを繰り返しながら、徐々にその数字を減らしていく。
00:15
00:14
・
・
・
00:01
00:00
カウントダウン終了。
と同時に、放たれ続けていたまばゆい光が消えた。
「……あれ? い、今何が……?」
意識を取り戻したエドモンドくんが、不思議そうに周囲をキョロキョロと見回す。その顔画面は、ずっと表示されていた鍵マークが消えて普通の顔文字になっていた。
「あ、顔が戻ってる!」
無邪気に喜ぶエドモンドくんだが、猟兵たちは不可解そうに顔を見合わせた。
結局、何が何だか分からないままだ。……と、思ったその時だった。
――…………!!!
世界がざわめいた。
足元の横断歩道か、周囲のビル群か、どこからとも判別の付かない“声”が聞こえてくる。
――システム・フラワーズより緊急救援要請。
――全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に、侵入者あり。
――テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど、開放されるメンテナンスルートは増加する。至急の救援を請う。
それは一方的に告げたきり黙り込み、あとにはいつもと変わらないキマイラフューチャー世界の街並みが広がっているだけだった。
いったい何者が、誰に向けて、どんな意図を持って放たれたアナウンスだったのだろうか。明確な答えは出せないまでも、猟兵たちには予感めいた何かが感じられた。
【END】
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵